JP6652827B2 - 化学除染の二次廃棄物低減方法、二次廃棄物の溶離回収装置及び化学除染システム - Google Patents

化学除染の二次廃棄物低減方法、二次廃棄物の溶離回収装置及び化学除染システム Download PDF

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本発明は、原子力プラント等、放射性核種に汚染された機器、配管及びこれらを含む系統の金属部材表面から化学薬品により放射性核種を除去する場合に発生する二次廃棄物量を低減する方法、二次廃棄物を溶離し回収する装置並びに化学除染システムに関する。
原子力プラントにおいては、定期検査作業時や廃止措置におけるプラント解体時の作業者の被ばく線量を低減、廃止措置におけるプラント解体により発生する放射性廃棄物の量を低減するため、放射性核種に汚染された機器、配管およびこれらを含む系統の金属部材表面から化学薬品により放射性核種を除去する作業(以下、化学除染と呼ぶ)が行われる。
このような化学除染に関し特許文献1が知られている。特許文献1では、シュウ酸とヒドラジンの混合溶液を還元除染剤、過マンガン酸カリウム溶液を酸化除染剤として使用し、還元除染剤を使用する除染(以下、還元除染と呼ぶ)と酸化除染剤を使用する除染(以下、酸化除染と呼ぶ)を交互に複数回繰り返し、放射性核種が含まれる金属の酸化皮膜を溶解させる。溶解させた金属イオンや放射性核種は、還元除染中に陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換樹脂塔に通水して、陽イオン交換樹脂に吸着させて除去する。酸化除染に使用した過マンガン酸カリウムは、酸化除染後に還元剤に含まれるシュウ酸と混合してマンガンイオンとカリウムイオンに分解し、陽イオン交換樹脂塔に通水して除去する。更に、シュウ酸とヒドラジンは過酸化水素と触媒を使って反応させて二酸化炭素、水、窒素に分解する。以上の操作により生じる陽イオン交換樹脂が化学除染の二次廃棄物として発生する。
また、特許文献2には、陽イオン交換樹脂に吸着させた金属イオンや放射性核種を硫酸溶液と混合し、更に混合物を挟むように電極を設置して通電することで陰極に金属イオンを析出させ回収する方式が開示されている。
特開2000−105295号公報 特開2013−217801号公報
しかしながら、特許文献1では、化学除染による二次廃棄物である陽イオン交換樹脂は、再生されることなく廃棄される。
また、特許文献2では、陽イオン交換樹脂に吸着させた金属イオンや放射性核種を硫酸溶液と混合し、更に混合物を挟むように電極を設置して通電することで陰極に金属イオンを析出させ回収する。しかしながら、目的対象外の水素イオンの移動に多くの電気が費やされ、本来、陰極へと移動させるべき、FeあるいはCo等の金属イオンの移動が損なわれ、電流利用率が低減する。換言すれば、金属イオン及び/又は放射性核種の電析効率の低下を招く恐れがある。
そこで本発明は、陽イオン交換樹脂に吸着された金属イオン及び/又は放射性核種を高電流利用率にて電析回収可能とすると共に、金属イオン及び/又は放射性核種の電析による回収率を向上し得る化学除染の二次廃棄物低減方法、二次廃棄物の溶離回収装置及び化学除染システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の二次廃棄物の溶離回収装置は、ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として収容する溶離液タンクと、前記溶離液を、金属イオン及び/又は放射性核種が捕捉された陽イオン交換樹脂塔に通水し、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を、陽イオン交換膜により隔離された陰極室へ導入すると共に、陽極室へ電解液を導入し、陽極及び陰極に通電することで、前記金属イオン及び/又は放射性核種を前記陰極表面に析出させ回収する電析回収装置とを備え、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整することを特徴とする。
また、本発明の化学除染の二次廃棄物低減方法は、化学除染対象となる配管あるいは機器に化学除染剤を含む系統水を通水する工程と、前記化学除染対象へ通水後の前記系統水を陽イオン交換樹脂塔へ通水する工程と、前記陽イオン交換樹脂塔へ、ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として通水し、前記陽イオン交換樹脂塔に捕捉された金属イオン又は放射性核種を溶離する工程と、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を、陽イオン交換膜により電解槽内が隔離され陰極が配された陰極室に導入すると共に、陽極が配された陽極室に電解液を導入する工程と、前記陰極室に導入される前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整するpH調整工程と、前記陰極及び陽極に通電し、前記金属イオン及び/又は放射性核種を前記陰極表面に析出させる回収工程と、を有する。
更にまた、本発明の化学除染システムは、化学除染対象となる配管あるいは機器に化学除染剤を含む系統水を通水し、通水後の系統水に含まれる金属イオン及び/又は放射性核種を捕捉する陽イオン交換樹脂塔を有する化学除染装置と、ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として収容する溶離液タンクと、陽イオン交換膜により、陰極が配される陰極室と陽極が配される陽極室とに隔離される電解槽を有する電析回収装置と、前記溶離液を前記金属イオン及び/又は放射性核種を捕捉した陽イオン交換樹脂塔へ通水し、当該陽イオン交換樹脂塔より流出する前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を回収する溶離液回収タンクを有する溶離回収装置と、を備え、前記溶離回収装置は、前記溶離液回収タンク内の溶離液を前記陰極室へ導入すると共に前記陽極室へ電解液を導入し、前記陽極及び陰極に通電し、前記陰極表面に前記金属イオン又は放射性核種を析出させるものであって、前記陰極室へ導入される溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整することを特徴とする。
本発明によれば、陽イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂塔)に吸着された金属イオン及び/又は放射性核種を高電流利用率にて電析回収することが可能となると共に、金属イオン及び/又は放射性核種の電析による回収率を向上できる。
また、金属イオン及び/又は放射性核種を電析回収することにより、陽イオン交換樹脂塔が再生されるため、陽イオン交換樹脂塔を再利用することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る化学除染システムの全体構成図である。 陽イオン交換樹脂に吸着された鉄イオンをギ酸とヒドラジンの混合液に溶離する場合のギ酸濃度と鉄イオン溶離率との関係図である。 図2に示すFeイオン溶離率を求めるための工程説明図である。 1mol/Lのギ酸にヒドラジンを添加した場合の、ヒドラジン濃度と、陽イオン濃度及びpHとの関係図である。 陽イオン交換樹脂に吸着されたFeイオンをギ酸とヒドラジンの混合液に溶離する場合の混合液のpHとFeイオン溶離率との関係図である。 図1に示す溶離回収装置を構成する電析回収装置の概略構成図である。 図6に示す電析回収装置により回収される溶離液中の鉄イオン濃度の経時変化を示す図である。 回収された溶離液のpHと鉄イオン除去率(回収率)との関係図である。 回収された溶離液のpHを調整する説明図であって、pH調整剤の添加による回収された溶離液のpHの時間変化を示す図である。 本発明の一実施例に係る実施例1の化学除染システムの動作説明図である。 本発明の一実施例に係る実施例1の化学除染システムの動作説明図である。 本発明の他の実施例に係る実施例2の化学除染システムの全体構成図である。 本発明の他の実施例に係る実施例3の化学除染システムの全体構成図である。
図1に、本発明の一実施形態に係る化学除染システムの全体構成図を示す。化学除染システム1は、化学除染装置2及び溶離回収装置3より構成される。化学除染装置2は、配管又は配管に接続される弁あるいはポンプ等の機器を含む化学除染対象20、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5及び弁11は、配管40により接続され、1つの閉ループを形成可能に構成される。配管40を流れる溶液は、ポンプ4により加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24の順で流れ、ポンプ5により、弁11、化学除染対象20、弁17、ポンプ4の順に流れる。
弁16を挟み、冷却器28の下流とサージタンク24の上流を配管42で接続し、配管42に弁14、混合樹脂塔22、弁12が設置されている。混合樹脂塔22には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を、1:1又は1:2の割合で混合したイオン交換樹脂が充填されている。更に、冷却器28の下流とサージタンク24の上流を配管43で接続し、配管43に弁15、陽イオン交換樹脂塔21、弁13が設置されている。陽イオン交換樹脂塔21には、陽イオン交換樹脂が充填されている。すなわち、化学除染対象20、配管40、弁17、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5及び弁11にて、形成される1つの閉ループに対し、冷却器28及びサージタンク24との間に、陽イオン交換樹脂塔21及び混合樹脂塔22が弁12〜15を介して並列に接続可能な構成としている。
ポンプ5の下流と弁11の上流の配管40に一端が接続され、弁33、触媒塔26、弁18を介して他端が配管40に接続される配管44が敷設されている。触媒塔26には、過酸化水素と有機酸との化学反応を促進する触媒、例えば0.5%Ru担持活性炭が充填されている。なお、触媒塔26に替えて紫外線照射装置を設置する構成としても良い。弁33の下流且つ触媒塔26の上流側の配管44には、ポンプ7、弁19、過酸化水素タンク25が設置されている。ポンプ5の下流と弁11の間の配管40には、配管40より分岐する配管41が敷設され、ポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23が配管41により接続される。化学除染剤タンク23には、化学除染のために使用する化学薬品が貯蔵される。複数の化学薬品を使用する場合、その都度、これらポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23を洗浄して使用する。なお、使用する化学薬品の数に応じて、複数の、配管41、ポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23を、配管40に並列に接続する構成としても良い。サージタンク24には給排水管50が設けられ、給排水管50に弁34が設置されている。
溶離回収装置3は、陽イオン交換樹脂塔21の下流と弁13の間の配管43に一端が接続される配管46により接続される弁36、ポンプ8、弁35及び溶離液タンク32を備える。また、溶離回収装置3は、陽イオン交換樹脂塔21の上流と弁15の間の配管43に一端が接続される配管45により接続される弁37及び溶離液回収タンク31を備える。溶離液回収タンク31の下流に、ポンプ9及び電析回収装置30が設置され、電析回収装置30は、配管48によりポンプ9を介して溶離液回収タンク31に接続される。また、電析回収装置30の下流側は、配管49により溶離液回収タンク31に接続される。溶離液回収タンク31には排水管51が設けられ、排水管51に弁38が設置されている。
次に、溶離回収装置3を構成する溶離液タンク32より弁35、ポンプ8、弁36を介して陽イオン交換樹脂21に供給される溶離液について説明する。図2は、陽イオン交換樹脂に吸着された鉄イオンをギ酸ヒドラジン混合溶液に溶離する場合のギ酸濃度と鉄イオン溶離率との関係図である。試験条件として、鉄イオンの吸着容量が総吸着容量の約80%となるように硫酸鉄(FeSO)水溶液を通水して、鉄イオンを吸着させた陽イオン交換樹脂を使用した。溶離液として、ヒドラジンによりpHを4.7に調整したギ酸とヒドラジンの混合液(以下、ギ酸ヒドラジン混合液と称する)400mLを用意し、陽イオン交換樹脂200mLに400mL/hで通水し、鉄イオンを溶離した。更に、純水100mLを通水して、陽イオン交換樹脂中のギ酸ヒドラジン溶液を溶出させた。温度は室温(25℃±5℃)である。
この時の結果を表1に示す。表1では、ギ酸濃度M(mol/L)毎の、Feイオン吸着量(g)、Feイオン溶離量(g)及びFeイオン溶離率(%)を示している。
Figure 0006652827
ここで、Feイオン溶離量(g)の測定及びFeイオン溶離率(%)の算定について説明する。図3に、図2に示す鉄イオン溶離率を求めるための工程説明図を示す。図3の左図に示すように、先ず、ヒドラジンによりpH4.7に調整したギ酸ヒドラジン混合液を溶離液としてVmL用意し、配管46を介し陽イオン交換樹脂塔21へ通水する。陽イオン交換樹脂塔21に吸着されたFeイオンが溶離液中に溶離された溶離液を、配管45を介して溶離液回収タンク31に回収する。溶離液回収タンク31内に回収された溶離液中のFeイオン濃度Cを測定し、溶離液の液量VよりFeイオン溶離量をC・Vにて求める。
次に、図3の右図に示すように、水と3.5重量%HClを1:1の容量比で混合したHCl水溶液(塩酸)をVmL用意し、配管46を介し陽イオン交換樹脂塔21へ通水する。これにより、先に溶離液により溶離されず陽イオン交換樹脂塔21に残存するFeイオンを溶離し、HCl水溶液と共に、配管45を介して溶離液回収タンク31に回収する。溶離液回収タンク31内に回収されたHCl水溶液中のFeイオン濃度Cを測定し、HCl水溶液の液量VよりFeイオンの残存量をC・Vにて求める。
表1におけるFeイオン吸着量は(C・V+C・V)として得られ、Feイオン溶離量はC・Vとして得られる。また、Feイオン溶離率(%)は次式(1)にて求められる。
Feイオン溶離率=(C・V)/(C・V+C・V)×100・・・(1)
図2は、横軸にギ酸ヒドラジン混合液中のギ酸濃度(M:mol/L)、縦軸に鉄イオン溶離率(%)をとり、表1に示す結果をプロットしたものである。図2より、ギ酸濃度を1mol/L以上にすると鉄イオンを90%以上溶離できることが分かった。更に、ギ酸濃度を1mol/L以上にしても鉄イオンの溶離率は同程度であることが分かった。
ギ酸ヒドラジン混合液を使用する場合、鉄イオンはヒドラジンイオン(N )により溶離される。陽イオン交換樹脂塔21に吸着された陽イオンは、別の陽イオンと置き換わることにより溶離される。ギ酸(HCOOH)の解離は次式(2)で生じ、次式(2)の平衡定数が2.88×10−4であるため、仮にギ酸1mol/Lとしても陽イオンである水素イオン(H)の濃度は0.02mol/Lである。
HCOOH = H+ + HCOO・・・(2)
一方、ヒドラジン(N)の解離は次式(3)で生じ、次式(3)の平衡定数が1.07×10−6であるため、ヒドラジン1mol/Lに対して陽イオンであるヒドラジンイオン(N )の濃度は0.001mol/Lである。陽イオン濃度を高くするためには、ギ酸、あるいはヒドラジン濃度を高くする必要があるが、濃度を高くすると、無害化のために使用済みの溶離液を過酸化水素と反応させて、窒素、二酸化炭素、水に分解する溶離液分解工程の処理時間がかかる。あるいは、設備規模が大きくなるため好ましくない。
少ないギ酸、ヒドラジン濃度で陽イオン濃度を高めるためには、ギ酸とヒドラジンを混合して化学反応(次式(3))により陽イオンであるヒドラジンイオンの濃度を高くすれば良い。
HCOOH + N = N + + HCOO・・・(3)
図4に、1mol/Lのギ酸にヒドラジンを添加した場合の、ヒドラジン濃度と、陽イオン濃度及びpHとの関係図を示す。ギ酸濃度1mol/L一定として、ヒドラジン濃度を0.0から1.5mol/Lまで増加させた場合の陽イオン濃度の計算結果を示す。なお、ここでの陽イオン濃度は、水素イオン(H)濃度とヒドラジンイオン(N )濃度の総和である。図4において、実線は、ヒドラジン濃度と陽イオン濃度との関係を示し、矢印は参照すべき縦軸が陽イオン濃度(mol/L)であることを示す。また、点線は、ヒドラジン濃度とpHとの関係を示し、矢印は参照すべき縦軸がpHであることを示す。
例えば、ギ酸が1mol/L、ヒドラジン濃度が0.95mol/L(pHが4.8)となるようにギ酸とヒドラジンを混合すると水素イオンとヒドラジンイオンの総和で0.95mol/Lの陽イオンを生成することができる。すなわち、ギ酸やヒドラジンを各々単独で1mol/Lとする場合よりも50倍以上の陽イオン濃度とすることができる。従って、鉄イオンの溶離に使用されるヒドラジンイオン(N )濃度を高くするためには、pHを高くする必要がある。よって、pHは4以上とすることが望ましい。本試験ではpH4.7に調整したが、pHは4〜5の範囲に調整することが好適である。水素イオン濃度を低減する観点からpHを中性付近にすることが好ましいがpHを6より大きくすると溶離した鉄イオンが陽イオン交換樹脂中で鉄酸化物として析出するため、溶離が困難となる。また図4に示されるように、pHが5を超えると少ないヒドラジン濃度でpHが大きく変化する(急激に上昇する)ためギ酸ヒドラジン混合溶液のpHを調整することが困難である。従って、pHは5以下とすることが望ましい。
図5に、陽イオン交換樹脂に吸着されたFeイオンをギ酸ヒドラジン混合液に溶離する場合の混合液のpHとFeイオン溶離率との関係図を示す。
試験条件として、ギ酸の濃度2mol/L一定とし、ヒドラジンに添加したギ酸ヒドラジン混合液240mLを溶離液として使用した。この溶離液を、陽イオン交換樹脂20mLに40mL/hで通水した。陽イオン交換樹脂の交換容量(吸着容量)は、0.46meq/mL−Resinである。ここで、meq/mL−Resinとは、陽イオン交換樹脂1mLで何ミリ当量のイオンを交換できるかを示す単位である。温度は室温(25℃±5℃)である。また、pHを3.7〜7.8まで変化させた。
この時の結果を表2に示す。表2では、pH毎の、Feイオン吸着量(mg)、Feイオン溶離量(mg)及びFeイオン溶離率(%)を示している。
Figure 0006652827
ここで、Feイオン吸着量(mg)、Feイオン溶離量(mg)及びFeイオン溶離率(%)の算定については、上述の図3と同様である。
図5に示すように、pHを3.7〜7.8間で変化させた場合、pHが4〜5の範囲でFeイオン溶離率が95%以上となり溶離に好適であることが実験からも確認された。
続いて、図6に、図1に示す溶離回収装置を構成する電析回収装置の概略構成図を示し、図7に、図6に示す電析回収装置により回収される溶離液中の鉄イオン濃度の経時変化を示す。図6に示すように、溶離した鉄イオンを電極表面に回収するための電析回収装置30は、電解槽300が陽イオン交換膜301により間仕切り(隔離)され、間仕切り(隔離)された各々の領域、すなわち、陰極室304内に陰極302が、また、陽極室305内に陽極303が設置されている。陰極302は導線308を介して、また、陽極303は導線309を介して直流電源310に接続されている。
陰極302が設置された陰極室304には配管48が接続され、配管48には溶離液回収タンク31、ポンプ9が接続されている。溶離液回収タンク31内に、陽イオン交換樹脂塔21を通水後に回収された溶離液は、ポンプ9により電解槽300の下部から陰極室304に通水され、陰極室304の上部から抜き出され、配管49を介して再び溶離液回収タンク31へと還流する。一方、陽極303が設置された陽極室305には配管311が接続され、配管311には電解液タンク306、ポンプ307が接続されている。電解液タンク306内の電解液は、ポンプ307により電解槽300の下部から陽極室305に通水され、陽極室305の上部から抜き出され、再び電解液タンク306へと還流する。溶離液回収タンク31及び電解液タンク306には各々ガス放出口(図示せず)がタンク上部に設置されている。
また、図6に示すように、ポンプ313及びpH調整剤タンク314が、配管312により溶離液回収タンク31に接続されている。溶離液回収タンク31には、陽イオン交換樹脂塔21を通水後に回収された溶離液に、電極部が浸漬するようpH計315が設置されている。このpH計315により測定される回収された溶離液のpH測定値に基づき、制御部316は、ポンプン313の吐出圧等を制御し、pH調整剤タンク314に収容されるpH調整剤を、配管312を介して溶離液回収タンク31へ添加し回収された溶離液のpHを調整する。ここで、pH調整剤タンク314に収容されるpH調整剤として、ヒドラジンが用いられる。また、ポンプ313によるpH調整剤を溶離液回収タンク31への添加については後述する。
なお、図6では、図1に示す溶離液回収タンク31に弁38を介して接続される排水管51、及び、弁37を介して溶離液回収タンク31に接続される配管45については、図示を省略している。また、図6では、pH計315を溶離液回収タンク31内に設置する場合を示すがこれに限られるものではない。例えば、pH計315を、ポンプ9を介して溶離液回収タンク31と電解槽300の陰極室304とを接続する配管48のうち、溶離液回収タンク31とポンプ9との間に設置する構成としても良い。また、pH計315を配管48のうち、ポンプ9と陰極室304との間に設置する構成としても良い。
試験条件として、図6に示す電析回収装置30の溶離液回収タンク31に、鉄イオンを溶離した溶離液(Feイオン濃度:7.3g/L)を1L充填し、電解液タンク306にギ酸1mol/Lを1L充填した。陰極302として、ステンレス製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用し、陽極303として、白金を蒸着させたチタン製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用した。直流電源310により一定電流(9A)を通電し、鉄イオンを溶離した溶離液を適宜採水して、鉄イオンを溶離した溶離液中の鉄イオン濃度の経時変化を分析した。なお、陰極室304及び陽極室305の体積は250mLとし、陰極室304に170mL/minの溶離液を通水し、陽極室305に170mL/minの電解液を通水した。また、ポンプ313によるpH調整剤タンク314から溶離液回収タンク31へのpH調整剤(ヒドラジン)の添加は行わなかった。
この時の結果を表3に示す。表3では、通電時間(h)毎の溶離液中におけるFeイオン濃度を溶離液中鉄濃度(g/L)として示している。通電時間は0.0〜5.9hとし、通電時間2.7hの時点で、一度、電析回収装置30を停止し、陰極302を別の新たなステンレス製電極に交換した。
Figure 0006652827
表3及び図7に示すように、5.9hの通電で、鉄イオン濃度が0.57g/Lまで低下した。すなわち90%以上の鉄イオンを回収できた。
電流利用率は、回収した鉄量を、電気量が全て鉄回収に利用された場合の鉄量で除した値の百分率で定義する。通電時間5.9hでの電流利用率は12%と計算される。ここで、回収した鉄量は次式(4)により求められ、通電量から計算される鉄量は次式(5)により求められる。
(回収した鉄量:mol)={(初期値:7.3g/L)−(終了値:0.57g/L)}×(溶離液量:1L)÷55.847g/mol×1L = 0.12mol・・・(4)
(電気量が全て鉄回収に利用された場合の鉄量:mol)=(電流値:9C/s)×(通電時間:6h)×(単位換算:3600s/h)÷(鉄の価数:2)÷(ファラデー定数:96500C/mol)=1.0mol・・・(5)
ここで、式(4)における55.847g/molは、Feの原子量であり、式(5)においては、通電時間5.9hを6hとして計算した。
鉄イオン濃度が0.96g/L以下となる通電時間4.6hから5.9hまでのデータを用いて電流利用率を計算すると3.1%と計算される。化学除染中の除染液中の鉄イオン濃度は0.01〜0.1g/L程度であるので、直接、化学除染中の除染液中から鉄イオンを回収する従来手法に比べ、本実施形態によれば、数倍電流効率を向上させることができる。すなわち、従来手法では、Feイオン濃度が低いため、通電時間を長くする必要があり、電流利用率は低下する。
本実施形態では、図6に示すように、電解槽300を、陽イオン交換膜301により陰極室304及び陽極室305に隔離する構造とした。比較のため、電解槽300に陽イオン交換膜301を設置することなく、陽極及び陰極を設置し通電した。この場合、鉄イオンを溶離した溶離液は茶褐色、黒色と変化し、鉄イオンの電極での回収が阻害された。この原因は、次式(6)及び(7)に示すように、陽極の表面で2価の鉄イオンが3価に酸化され、2価の鉄イオンとの反応により酸化鉄が生成したためと推定される。
Fe2+ = Fe3+ + e・・・(6)
Fe2+ + 2Fe3+ + 4HO = Fe + 8H・・・(7)
従って、鉄イオンを溶離した溶離液が、陽極303と接触せぬよう陽イオン交換膜301を設置することが重要となる。
次に、本実施形態における第3の実験結果を、図8を用いて以下に説明する。上述の表3及び図7を用いて説明した第2の実験と同様に、図6に示す電析回収装置30を用いた。図6に示す電析回収装置30の溶離液回収タンク31に、5gの鉄を含む硫酸鉄と硫酸によりpHを0.1から3.5に調整した鉄イオン溶液(鉄イオン濃度:10g/L)0.5L充填し、電解液タンク306に1mol/Lのギ酸1mol/Lを1L充填した。陰極302として、ステンレス製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用し、陽極303には白金を蒸着させたチタン製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用した。直流電源310により一定電流(6A)を1時間通電し、通電後の鉄イオン溶液中の鉄イオン濃度を分析した。第2の実験と同様に、ポンプ313によるpH調整剤タンク314から溶離液回収タンク31へのpH調整剤(ヒドラジン)の添加は行わなかった。この時の結果を図8に示す。図8では、縦軸を鉄イオン除去率(%)とし、横軸を鉄イオン溶液のpHとし、その関係を示している。縦軸である鉄イオン除去率(%)は、次式(8)により計算した。
R=(A−A)/A×100・・・(8)
ここで、Rは鉄イオン除去率、Aは鉄イオン溶液中の初期鉄イオン濃度、Aは電着後の鉄イオン溶液中の鉄イオン濃度である。
図8に示すように、pHが0.26になると鉄イオンを電極(陰極302)に付着できなくなることが分かる。pHを1にすると速度は小さいが鉄イオンを電極(陰極302)に付着できることが分かる。更にpHを2以上に制御すると鉄イオンの電極(陰極302)への付着速度が大幅に増加することが分かる。この原因は、pHが低下すると、析出した鉄が酸性液に触れることで次式(9)により鉄イオンとして溶解するためと考えられる。
Fe + 2H = Fe2+ + H↑・・・(9)
本実施例形態における上述の第2の実験のように、鉄イオンの陰極302への付着を実施すると鉄イオンを溶離した溶離液のpHの低下が生じる。陰極302表面では次式(10)に示す反応により鉄イオンが鉄として析出する。
Fe2+ + 2e = Fe・・・(10)
鉄イオンが析出すると、陰極302を流れる液の電気的バランスがとれるように、Fe2+イオン1molに対して2molの割合でHイオンが、陽極303から陽イオン交換膜301を透過し陰極302側に移動する。従って、陰極302側のH濃度が高くなり、pHが低下する。
従って、鉄イオンを溶離した溶離液(回収された溶離液)のpHを測定し、pHが1以上となるよう回収された溶離液のpHを制御することが好ましく、回収された溶離液のpHが2以上となるよう溶離液のpHを制御することが望ましい。また、陽イオン交換樹脂塔21からの鉄イオンの溶離に用いた溶液、すなわち、溶離液タンク32(図1)に収容される溶離液である、ギ酸とヒドラジンの混合液と同じpHとする。具体的には、pHを5以下にする。これは、回収された溶離液のpHが6より大きくなると、上述のように、回収された溶離液中の鉄イオンが鉄酸化物として析出し、鉄イオンの陰極302への付着が阻害され電析による回収率が低下するためである。また、このように、回収された溶離液のpHを調整することは、鉄イオンの溶離に用いた溶離液、すなわち、溶離液タンク32に収容される溶離液に含まれるヒドラジンを、使用後に過酸化水素等により無害化する観点からも望ましい。具体的には、次式(11)に示す反応によりヒドラジン(N)は、無害化される。
+ 2H = N + 4HO・・・(11)
なお、上述した鉄イオン溶液の場合と同様に、コバルトイオン溶液の場合には、上記式(9)及び式(10)に示す反応は、それぞれ、次式(9’)及び(10’)に示す反応となる。
Co + 2H = Co2+ + H↑・・・(9’)
Co2+ + 2e = Co・・・(10’)
次に、図6に戻り、回収された鉄イオンを含む溶離液のpH調整について説明する。図6に示す制御部316は、図示しないCPU等のプロセッサ、各種プログラムを格納するROM、演算結果を一時的に格納するRAM、及びHDD等の記憶装置から構成される。
まず、陽イオン交換樹脂塔21を通水後の鉄イオンを含む溶離液は、弁37及び配管45(図1)を介して溶離液回収タンク31に流入する。この溶離液回収タンク31へ流入する段階、及び、その後のポンプ9を介して電解槽300の陰極室304内に流入する時点(通電前)では、鉄イオンを含む溶離液のpHは、溶離液タンク32より陽イオン交換樹脂塔21に通水される時点における溶離液のpHと同一である。その後、直流電源301により陰極302及び陽極303を通電し電析を開始すると、電析時間(通電時間)に応じて、電解液であるギ酸が循環する陽極室305より陽イオン交換膜301を透過し、Hイオンが陰極室304側へと移動する。Fe2+を陰極302に析出させるため、上述のようにFe2+の2倍の量のHが消費され、陰極室304及び溶離液回収タンク31を還流する鉄イオンを含む溶離液(回収された溶離液)のpHは電析時間に応じて低下する。
そこで、制御部316は、pH計315により測定される電析開始後の鉄イオンを含む溶離液のpH測定値を所定周期で取り込み、鉄イオンを含む溶離液のpHがpH1からpH5の範囲となるよう、ポンプ313へ起動指令を送信し、pH調整剤タンク314より配管312を介して溶離液回収タンク31へpH調整剤であるヒドラジン(N)を添加(注入)する。ここで、上述の第2の実験結果を基に、鉄イオンを含む溶離液のpHを変化させても溶離液中の鉄イオンの陰極302への付着速度が一定であるとの条件で、pH調整剤であるヒドラジン(N)の添加による鉄イオンを含む溶離液のpHの時間変化を求めた結果を図9に示す。ここで、溶離回収装置3の溶離液回収タンク31に、鉄イオンを溶離した溶離液(Feイオン濃度:7.3g/L)を1L充填し、電解液タンク306にギ酸1mol/Lを1L充填した。陰極302として、ステンレス製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用し、陽極303として、白金を蒸着させたチタン製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用した。図9は、縦軸を、鉄イオンを含む溶離液のpH、横軸を、試験時間である電析時間(通電時間)(h)とし、pH調整剤であるヒドラジン(N)を断続的に添加した時の時間変化を示す。図9に示すように、電析開始後、鉄イオンを含む溶離液のpHは時間の経過と共に低下する。鉄イオンを含む溶離液のpHがpH1に達する前の時点、例えば、pH1.20となった時点で、0.1mol/Lのヒドラジン(N)を添加すると、所定時間経過後(pHが1まで低下)に鉄イオンを含む溶離液のpHは急激に上昇しpH4.5を超える。そこから、転じてpH5に達する前(pH4.7)よりpH2.5付近まで一旦急激にpHは低下し、その後pHは緩やかに低下する。再びpH1に達する前の時点、例えば、pH1.20となった時点で、0.1mol/Lのヒドラジン(N)を添加すると、上述と同様の変化が得られた。
従って、制御部316は、図示しない記憶装置に予め設定された下限値(例えば、pH1.20等)を格納し、所定周期でpH計315より得られる鉄イオンを含む溶離液のpH測定値と予め設定された下限値を比較する。比較の結果、鉄イオンを含む溶離液のpH測定値以下の場合、制御部316は、ポンプ313に起動指令を送信し、pH調整剤タンク314から配管312を介して溶離液回収タンク31へpH調整剤であるヒドラジン(N)を添加し、電析期間における鉄イオンを含む溶離液のpHがpH1以上pH5以下の範囲内となるようpHを調整する。なお、上記下限値の設定は、予め実験により求めた値を用いれば良い。このように、制御部316は、pH計315から得られる鉄イオンを含む溶離液のpH測定値を所定周期で取得し、取得されたpH測定値に基づきフィードバック制御する。
次に、制御部316が上述のフィードバック制御に替えて、予め図示しない記憶装置に格納される、通電時間(電析時間)毎に、所望のpHに制御するために必要となるヒドラジン(N)添加量との関係を用いて、鉄イオンを含む溶離液のpHを調整する構成について説明する。表4は、通電時間(電析時間(h))毎の、溶離液中の鉄イオン濃度、pH1、pH2、pH3、pH4、及びpH4.7に制御するために必要となるヒドラジン(N)添加量との関係を示している。表4に示す関係は、予め、上述の第2の実験条件と同様とし、pH調整剤であるヒドラジン(N)の添加量を変えて、通電時間(電析時間)毎に、鉄イオンを含む溶離液のpHをpH計315により測定し、測定されたpHが、それぞれ、pH1、pH2、pH3、pH4、及びpH4.7であったときのヒドラジン(N)添加量を図示しない記憶装置に格納することにより得られる。ここで、上述の第2の実験条件とは、溶離回収装置3の溶離液回収タンク31に、鉄イオンを溶離した溶離液(Feイオン濃度:7.3g/L)を1L充填し、電解液タンク306にギ酸1mol/Lを1L充填し、陰極302として、ステンレス製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用し、陽極303として、白金を蒸着させたチタン製鋼板の電極(10cm×10cm)を使用したことである。
Figure 0006652827
制御部316は、図示しない記憶装置に表4に示す関係を、例えば、テーブルとして格納する。電析開始後、制御部316は、pH計315から得られる鉄イオンを含む溶離液のpH測定値を所定周期で取得し、図示しない記憶装置に格納されるテーブルを参照する。その後、制御部316は、取得されたpH測定値の測定時刻、すなわち、表4中の通電時間(h)における所望のpHに制御するために必要となるヒドラジン(N)添加量を抽出する。制御部316は、抽出されたヒドラジン(N)添加量となるよう、ポンプ313へ起動指令及び吐出圧等の操作量を出力し、pH調整剤タンク314より、pH調整剤であるヒドラジン(N)を溶離液回収タンク315へ配管312を介して添加する。
なお、図6に示す本実施形態では、配管312を介してpH調整剤を溶離液回収タンク31へ添加する構成としたが、これに限られるものではない。配管312の一方端(pH調整剤タンク314に接続される端部とは反対側の端部)を、溶離液回収タンク31と電解槽300の陰極室304とを接続する配管48のうち、溶離液回収タンク31とポンプ9との間で合流させる構成としても良い。また、配管312の一方端を配管48のうち、ポンプ9と陰極室304との間で合流させる構成としても良い。更には、回収された溶離液のpH調整効果が多少低減するものの、配管312の一方端を、電解槽300の陰極室304に下方より接続する構成としても良い。
また、上述の実施形態では、制御部316により、鉄イオンを含む溶離液(回収された溶離液)へのpH調整剤の添加を制御する構成としたが、これに限られるものではない。場合によっては、pH計315により得られる回収された溶離液のpH測定値を図示しない表示部に表示し、表示されるpH測定値をオペレータが判断し、ポンプ313を起動することで、pH調整剤タンク314より配管312を介して溶離液回収タンク31へpH調整剤を添加する構成としても良い。
また、pH計315により得られる回収された溶離液のpH測定値に加え、上述の表4に示した、通電時間(電析時間(h))毎の、溶離液中の鉄イオン濃度、pH1、pH2、pH3、pH4、及びpH4.7に制御するために必要となるpH調整剤の添加量との関係を、図示しない表示部に表示する構成としても良い。この場合、オペレータは、表示されるpH測定値に加え、所望のpHに調整するためのpH調整剤の添加量を参照することが可能となり、より適切にポンプ313を起動することが可能となる。
なお、陰極302として、ステンレス製鋼板を用いる場合を説明したが、これに替えてステンレス製のメッシュ電極を用いても良い。
なお、本実施形態では、溶離液としてギ酸とヒドラジンの混合液としたが、これに限らず、グリコール酸とヒドランジンの混合液又はマロン酸とヒドラジンとの混合液でとしても良い。また、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか1つとヒドラジンとの混合液でも良い。すなわち、例えば、ギ酸及びグリコール酸を所定の濃度で混合しヒドラジンを添加し混合液としても良く、また、ギ酸及びマロン酸を所定の濃度で混合した後、ヒドラジンを添加し混合液としても良い。
また、陽イオン交換樹脂塔21より溶離する金属イオンとしてFeイオンを例に説明したが、これに限られない。例えば、陽イオンとして、Co,Ni等としても良い。
本実施形態によれば、上述のとおり、陽イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂塔)に吸着された金属イオン及び/又は放射性核種を高電流利用率にて回収することが可能となると共に、金属イオン及び/又は放射性核種の電析による回収率を向上することが可能となる。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例においても、陽イオン交換樹脂塔21より溶離する金属イオンとして、Feイオンを一例とし、また、溶離液としてギ酸とヒドラジンの混合液を用いる場合を例に説明する。
図10及び図11に、本発明の一実施例に係る実施例1の化学除染システムの動作説明図を示す。本実施例における、化学除染装置2及び溶離回収装置3よりなる化学除染システム1は、上述の図1に示す構成と同様であり、また、溶離回収装置3を構成する電析回収装置30、回収された溶離液のpHを調整する機構であるpH調整剤タンク及びpH計並びにポンプの構成は、上述の図6に示す構成と同様であるため、以下では説明を省略する。
以下では、化学除染対象20である配管や機器が、ステンレス鋼あるいはニッケル基合金である場合における、本実施例の化学除染システム1による化学除染工程を説明する。図10及び図11において、白抜きで表される弁は開状態を、また、黒く塗りつぶされた弁は閉状態を示している。先ず化学除染システム1を動作可能な状態とする準備工程について説明する。
(1)準備工程
まず、図10の上図に示すように、弁10、19、36及び37を閉状態とする。その他の弁は全て開状態とする。この状態でサージタンク24に接続される給排水管50より、イオン交換水を導入する。必要量のイオン交換水導入後、図10の下図に示すように、給排水管50に設置された弁34を閉状態にすると共に、更に弁12、13、14、15、18及び33を閉状態にする。これにより、化学除染対象20、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5及び弁11は、これらを接続する配管40により1つの閉ループが形成される。
上記閉ループが形成された状態で、ポンプ4及び5を起動し、化学除染装置2及び化学除染対象20である配管あるいは機器に充填された水(以下、系統水と呼ぶ)を閉ループ内で循環させる。なお、ここで系統水とは、例えば、化学除染剤タンク23より供給される薬剤が添加された後の水も含め、化学除染装置2内に存在する水をいう。
上記閉ループ内を循環する系統水は、加熱器27により所定の温度まで昇温され、その後所定温度を維持するよう制御される。ここで、所定温度は、90±5℃とすることが望ましい。準備工程終了後、酸化除染工程に移行する。
(2)酸化除染工程
酸化除染工程では、図10の下図に示す各弁の開閉状態にて、化学除染剤(酸化除染剤)を化学除染剤タンク23に充填する。酸化除染剤の充填終了後、弁10を開状態とし、ポンプ6を起動する。この時の各弁の開閉状態は、図11に示す状態となる。ポンプ6の起動により、化学除染剤タンク23内に充填された酸化除染剤は、配管41を介して上記閉ループを形成する配管40へ注入される。ここで、酸化除染剤として、過マンガン酸カリウムあるいは過マンガン酸が好適である。閉ループ内を循環する系統水中の過マンガン酸イオン濃度が200〜500mg/Lとなるよう、ポンプ6を介して化学除染剤タンク23より過マンガン酸カリウムや過マンガン酸を配管40へ注入する。
酸化除染剤の注入が完了した後、ポンプ6を停止して弁10を閉状態とする。この時、各弁の開閉状態は図10の下図に示す状態に戻り、そして、ポンプ4及びポンプ5により、2〜6h(時間)酸化除染剤を化学除染対象20である配管あるいは機器(例えば、弁あるいはポンプ)に循環させる。次に、酸化除染剤分解工程に移行する。
(3)酸化除染剤分解工程
酸化除染剤分解工程では、図10の下図に示す各弁の開閉状態にて、過マンガン酸イオンをマンガンイオンに還元する化学薬品を化学除染剤タンク23に充填する。過マンガン酸イオンをマンガンイオンに還元する化学薬品として、例えば、シュウ酸が好適である。シュウ酸と過マンガン酸イオンは、次式(12)に示す反応を生じる。
2MnO + 5(COOH)
= 2Mn2+ + 6OH + 10CO + 2HO・・・(12)
従って、過マンガン酸イオンの2.5倍モル以上のシュウ酸を準備する。
弁10を開状態とし、ポンプ6を起動する。この時、各弁の開閉状態は図11に示す状態となる。ポンプ6の起動により、化学除染剤タンク23内に充填された過マンガン酸イオンをマンガンイオンに還元する化学薬品を、配管41を介して配管40へ注入する。
過マンガン酸イオンをマンガンイオンに還元する化学薬品の配管40への注入が完了した後、ポンプ6を停止すると共に弁10を閉状態とする。これにより、各弁の開閉状態は、図10の下図に示す状態となる。その後、サージタンク24内の系統水を作業員による目視にて、過マンガン酸イオンの紫色が透明になったことを確認した後、酸化除染剤分解工程は完了する。酸化除染剤分解工程完了後、次に、還元除染工程へ移行する。
(4)還元除染工程
還元除染工程では、図10の下図に示す各弁の開閉状態から、弁13及び弁15を開状態とし、陽イオン交換樹脂塔21に系統水を循環させる。また、還元除染剤を化学除染剤タンク23に充填する。還元除染剤の充填完了後、弁10を開状態とすると共にポンプ6を起動する。ポンプ6の起動により、化学除染剤タンク23内に充填された還元除染剤は、配管41を介して配管40へ注入される。ここで、還元除染剤として、例えば、シュウ酸又はシュウ酸とヒドラジンの混合溶液が好適である。配管40及び配管43により化学除染対象20及び陽イオン交換樹脂塔21を循環する系統水中のシュウ酸濃度が、2000〜3000mg/Lとなるよう、ポンプ6により化学除染剤タンク23からシュウ酸を配管40へ注入する。また、同様に、系統水中のヒドラジン濃度が400〜600mg/Lとなるよう、ヒドラジンを配管40へ注入する。
還元除染剤の配管40への注入が完了した後、ポンプ6を停止すると共に弁10を閉状態とする。そして、ポンプ4及びポンプ5により、6〜12h化学除染対象20である配管あるいは機器に還元除染剤を循環させる。その後、還元除染剤分解工程へ移行する。
(5)還元除染剤分解工程
還元除染剤分解工程では、過酸化水素タンク25に過酸化水素を充填する。この時、弁19は閉状態にある。また、弁18及び弁33を開状態とし、触媒塔26に系統水を循環させる。
続いて、弁19を開状態とすると共にポンプ7を起動する。ポンプ7の起動により、過酸化水素タンク25内に充填された過酸化水素は、配管44を介し、開状態にある弁33を通流し配管40へ注入される。過酸化水素の注入濃度は、還元除染剤との反応当量の1〜2倍が好適である。還元除染剤がシュウ酸、ヒドラジンの場合は、それぞれ次式(13)、(14)に示すように過酸化水素と反応する。
(COOH) + H = 2CO + 2HO・・・(13)
+ 2H = N + 4HO・・・(14)
シュウ酸濃度が3000ppmの場合は、過酸化水素の反応当量は1133ppmであり、ヒドラジン濃度が600ppmの場合は、過酸化水素の反応当量は1275ppmである。なお、還元除染剤の分解に伴い過酸化水素注入濃度を変えても良いし、還元除染剤の初期濃度で計算した過酸化水素濃度で一定のままとしても良い。
式(13)及び式(14)の反応により、シュウ酸濃度及びヒドラジン濃度が、検出限界(10mg/L)に到達した時点で、ポンプ7を停止して、弁10、18及び33を閉状態とする。これにより、過酸化水素タンク25内に充填された過酸化水素の配管40への注入は終了する。還元除染剤分解工程終了後、次に、追加除染の要否判定工程へ移行する。
(6)追加除染の要否判定工程
追加除染の要否判定工程では、化学除染対象20である配管あるいは機器の放射線量が目標値以下になっている場合や、経済的または時間的要求により追加除染できない場合は、浄化工程に移行する。上記以外の場合は、弁13及び弁15を閉状態とし、すなわち、各弁の開閉状態を図10の下図の状態とし、(2)酸化除染工程へ戻り、以降の工程を繰り返す。
(7)浄化工程
浄化工程では、加熱器27での加熱を停止し、冷却器28による冷却を開始する。化学除染対象20、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5、弁11、及びこれらを接続する配管40により形成される閉ループ内を循環する系統水の温度が60℃以下となった時点で、弁12及び弁14を開状態とする。これにより、系統水は、配管40及び配管42を介して混合樹脂塔22へ流入し、その後、化学除染対象20へと流れ循環する。サージタンク24で適宜系統水の電気伝導率を測定する。サージタンク24での系統水の電気伝導率が1mS/m以下になるまで浄化(系統水の循環)を続ける。サージタンク24での系統水の電気伝導率が1mS/m以下となった時点で、ポンプ4及びポンプ5を停止して、弁18、33、34を開状態とし、給排水配管50から化学除染装置2内の系統水を排水する。これにより、化学除染工程を終了する。
次に、化学除染対象20である配管あるいは機器が炭素鋼や低合金鋼である場合における、本実施例の化学除染システム1による化学除染工程を説明する。
(1’)準備工程
まず、図10の上図に示すように、弁10、19、36及び37を閉状態とする。その他の弁は全て開状態とする。この状態でサージタンク24に接続される給排水管50より、イオン交換水を導入する。必要量のイオン交換水導入後、図10の下図に示すように、給排水管50に設置された弁34を閉状態にすると共に、更に弁12、13、14、15、18及び33を閉状態にする。これにより、化学除染対象20、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5及び弁11は、これらを接続する配管40により1つの閉ループが形成される。
上記閉ループが形成された状態で、ポンプ4及び5を起動し、化学除染装置2及び化学除染対象20である配管あるいは機器に充填された系統水を閉ループ内で循環させる。上記閉ループ内を循環する系統水は、加熱器27により所定の温度まで昇温され、その後所定温度を維持するよう制御される。ここで、所定温度は、90±5℃とすることが望ましい。準備工程終了後、有機酸除染工程に移行する。
(2’)有機酸除染工程
有機酸除染工程では、図10の下図に示す各弁の開閉状態から、弁13及び弁15を開状態とし、陽イオン交換樹脂塔21に系統水を循環させる。次に、有機酸除染剤を化学除染剤タンク23に充填する。有機酸除染剤の充填完了後、弁10を開状態とし、ポンプ6を起動する。ポンプ6の起動により、化学除染剤タンク23内に充填された有機酸除染剤は、配管41を介して配管40へ注入される。ここで、有機酸除染剤として、マロン酸又はマロン酸とシュウ酸の混合溶液が好適である。系統水中のマロン酸濃度が2000〜6000mg/Lとなるよう、ポンプ6により化学除染剤タンク23からマロン酸を配管40へ注入する。また、同様に、系統水中のシュウ酸濃度が50〜400mg/Lとなるよう、シュウ酸を配管40へ注入する。
有機酸除染剤の配管40への注入が完了した後、ポンプ6を停止すると共に弁10を閉状態とする。そして、ポンプ4及びポンプ5により、6〜12h化学除染対象20である配管あるいは機器に有機酸除染剤を循環させる。その後、有機酸除染剤分解工程へ移行する。
(3’)有機酸除染剤分解工程
有機酸除染剤分解工程では、過酸化水素タンク25に過酸化水素を充填する。この時、弁19は閉状態にある。また、弁18及び弁33を開状態とし、触媒塔26に系統水を循環させる。
続いて、弁19を開状態とすると共にポンプ7を起動する。ポンプ7の起動により、過酸化水素タンク25内に充填された過酸化水素は、配管44を介し、開状態にある弁33を通流し配管40へ注入される。過酸化水素の注入濃度は、有機酸除染剤との反応当量の1〜2倍が好適である。有機酸除染剤がシュウ酸、マロン酸の場合は、それぞれ次式(15)、(16)に示すように過酸化水素と反応する。
(COOH) + H = 2CO + 2HO・・・(15)
+ 4H = 3CO + 6HO・・・(16)
シュウ酸濃度が400ppmの場合は、過酸化水素の反応当量は151ppmであり、マロン酸濃度が6000ppmの場合は、過酸化水素の反応当量は2794ppmである。有機酸除染剤の分解に伴い過酸化水素注入濃度を変えても良いし、有機酸除染剤の初期濃度で計算した過酸化水素濃度で一定のままとしても良い。
式(15)及び式(16)の反応により、シュウ酸濃度及びマロン酸濃度が、検出限界(10mg/L)に到達した時点で、ポンプ19を停止して、弁10、18及び33を閉状態とする。これにより、過酸化水素タンク25内に充填された過酸化水素の配管40への注入は終了する。有機酸除染剤分解工程終了後、次に追加除染の要否判定に移行する。
(4’)追加除染の要否判定工程
追加除染の要否判定工程では、化学除染対象20である配管あるいは機器の放射線量が目標値以下になっている場合や、経済的または時間的要求により追加除染できない場合は、浄化工程に移行する。上記以外の場合は、(2’)有機酸除染工程へ戻り以降の工程を繰り返す。
(5’)浄化工程
浄化工程では、加熱器27での加熱を停止し、冷却器28による冷却を開始する。化学除染対象20、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、サージタンク24、ポンプ5、弁11、及びこれらを接続する配管40内を循環する系統水の温度が60℃以下となった時点で、弁12及び弁14を開状態とする。これにより系統水は、配管40及び配管42を介して混合樹脂塔22に流入し、その後、化学除染対象20へと流れ循環する。サージタンク24で適宜系統水の電気伝導率を測定する。サージタンク24での系統水の電気伝導率が1mS/m以下になるまで浄化(系統水の循環)を続ける。サージタンク24での系統水の電気伝導率が1mS/m以下となった時点で、ポンプ4及びポンプ5を停止し、弁18、33及び34を開状態とする。弁34が開状態とされることにより給排水配管50から化学除染装置2内の系統水が排水される。これにより、化学除染工程が終了する。
次に、本実施例の溶離回収装置3を用いて、陽イオン交換樹脂塔21から金属イオンと放射性核種を溶離し、金属又は金属酸化物として電極表面に析出させ、金属イオンと放射性核種を回収する溶離回収工程について説明する。
(1)金属イオンの溶離工程
金属イオンの溶離工程では、弁35を閉状態とし、溶離液を溶離液タンク32に充填する。ここで、本実施例では、溶離液として、ギ酸濃度が1〜2mol/Lであり、ヒドラジンによりpHを4〜5に調整したギ酸ヒドラジン混合溶液を用いる。なお、溶離液はギ酸ヒドラジン混合液に限らず、例えば、グリコール酸ヒドラジン混合液、あるいはマロン酸ヒドラジン混合液を溶離液として用いても良い。
溶離液タンク32へ溶離液の充填が完了した後、弁13、15、36及び37を開状態とし、排水管51に設置される弁38を閉状態とする。その後、弁35を開状態とすると共にポンプ8を起動する。ポンプ8の起動により、溶離液は、配管46を流れ陽イオン交換樹脂塔21へ流入する。陽イオン交換樹脂塔21を通流後の溶離液は、配管45を流れ溶離液回収タンク31に流入し回収される。ここで、陽イオン交換樹脂塔21に充填された陽イオン交換樹脂量と同量の溶離液が0.5〜1時間で通水できるよう、ポンプ8によりSV1〜2[l/h]通水量を調整する。陽イオン交換樹脂量の2倍量の溶離液を、陽イオン交換樹脂塔21へ通水した後、ポンプ8を停止すると共に弁35を閉状態とする。
次に、イオン交換水を溶離液タンク32に充填する。溶離液タンク32へのイオン交換水の充填が完了した後、再び、弁35を開状態とすると共にポンプ8を起動する。ポンプ8の起動により、イオン交換水は、配管46を流れ陽イオン交換樹脂塔21へ流入する。陽イオン交換樹脂塔21を通流後のイオン交換水は、配管45を流れ溶離液回収タンク31へ流入し回収される。ここで、陽イオン交換樹脂塔21に充填された陽イオン交換樹脂量と同量のイオン交換水が0.5〜1時間で通水できるよう、ポンプ8によりSV1〜2[l/h]通水量を調整する。陽イオン交換樹脂量0.5〜1倍量のイオン交換水を、陽イオン交換樹脂塔21へ通水した後、ポンプ8を停止すると共に、弁35及び弁37を閉状態とする。これにより金属イオンの溶離工程は終了し、次に、金属イオンの回収工程へ移行する。
(2)金属イオンの回収工程
金属イオンの回収工程では、図6に示す電析回収装置30内の電解液タンク306に、1〜2mol/Lのギ酸を電解液として充填する。なお、本実施例では、電解液としてギ酸を用いる場合を例に説明するがこれに限られない。電解液として、他の電気伝導性を有する溶液であれば良い。電解液タンク306への電解液の充填完了後、ポンプ9及びポンプ307を起動する。ポンプ9の起動により、溶離液回収タンク31内の溶離液は、電解槽300の下部から陰極室304へ配管49を介して通水される。また、陰極室304へ通水された溶離液は、陰極室304の上部より抜き出され、再び、配管49を流れ溶離液回収タンク31へと還流する。一方、ポンプ307の起動により、電解液タンク306内に充填された電解液は、電解槽300の下部から陽極室305へ配管312を介して通水される。また陽極室305へ通水された電解液は、陽極室305の上部より抜き出され、再び、配管312を流れ電解液タンク306へと還流する。
直流電源310を起動し、陰極302及び陽極303に通電する。ここで、通電量は1〜10A/dmとするのが好ましい。陰極302及び陽極303に通電することにより、Feイオン等の金属イオン(陽イオン)を、陰極302の表面に析出させ回収する。
適宜、溶離液回収タンク31内の溶離液の放射能濃度、金属イオン濃度を分析し、初期濃度の1/10以下になるまで通電を継続する。初期濃度の1/10以下となった時点で、溶離液の再利用工程に移行する。
(3)溶離液の再利用工程
溶離液の再利用工程では、弁38を開状態とし、排水管51より溶離液回収タンク31内の溶離液を排出する。排出された溶離液を、溶離液タンク32に導入し、pHが4〜5となるようヒドラジンを添加する。これにより金属イオンが回収された後の溶離液を、再度、(1)金属イオンの溶離工程にて使用することが可能となる。
(4)溶離液の分解工程
溶離液の分解工程では、溶離液(ギ酸ヒドラジン混合液)を過酸化水素と化学反応させ、次式(17)に示す反応によりギ酸を分解する。ヒドラジンについても、同様に過酸化水素と化学反応させることにより分解する。
HCOOH + H = CO + 2HO・・・(17)
本実施例によれば、陽イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂塔)に吸着された金属イオン及び/又は放射性核種を高電流利用率にて回収することが可能となると共に、金属イオン及び/又は放射性核種の電析による回収率を向上できる。
また、本実施例によれば、金属イオンや放射性核種を溶離した陽イオン交換樹脂塔21内に充填された陽イオン交換樹脂を再度化学除染に利用できるため、化学除染による二次廃棄物量を低減できる。
また、本実施例によれば、金属イオンや放射性核種の濃度が高く、且つ、水素イオン濃度が低い溶液から金属イオンや放射性核種を電極表面に回収するため、電流効率良く金属イオンや放射性核種を電極表面に金属又は金属酸化物として回収することができる。
また、溶離に使用したギ酸ヒドラジン混合溶液は、二酸化炭素、窒素、水に分解することで無害化できるため、溶離に硫酸などの無機酸を使用する場合と比較して二次廃棄物を少なくできる。
また、本実施例によれば、電析回収装置の陰極側を流れる金属イオンや放射性核種を溶離した溶離液のpHの測定結果に基づき、当該溶離液のpHがpH1からpH5の範囲に調整されることから、電析回収装置の陰極側に金属イオン及び/又は放射性核種を効率良く回収することができる。
図12に、本発明の他の実施例に係る実施例2の化学除染システムの全体構成を示す。実施例1では、配管あるいは機器等の化学除染対象20を化学除染装置2内に設置する構成としたのに対し、本実施例では、化学除染タンク60を化学除染装置2内に設け、化学除染タンク60内に化学除染対象となる配管あるいは機器(弁あるいはポンプ等)を浸漬させ、化学除染を行う構成とした点が異なる。図12において、図1、図10及び図11に示す構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
図12に示すように、本実施例の化学除染システム1aは、化学除染装置2a及び溶離回収装置3より構成される。化学除染装置2aは、配管又は配管に接続される弁あるいはポンプ等の機器を含む化学除染対象を浸漬する化学除染タンク60、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、及び弁11は、配管40により接続され、1つの閉ループを形成可能に構成される。配管40を流れる溶液は、ポンプ4により加熱器27、冷却器28、弁16、弁11、化学除染タンク60の順で流れる。
また、弁16を挟み、冷却器28の下流と化学除染タンク60の上流を配管42で接続し、配管42に弁14、混合樹脂塔22、弁12が設置されている。混合樹脂塔22には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を、1:1又は1:2の割合で混合したイオン交換樹脂が充填されている。更に、冷却器28の下流と化学除染タンク60の上流を配管43で接続し、配管43に弁15、陽イオン交換樹脂塔21、弁13が設置されている。陽イオン交換樹脂塔21には、陽イオン交換樹脂が充填されている。
弁16の下流と弁11の上流の配管40に一端が接続され、弁33、触媒塔26、弁18を介して他端が配管40に接続される配管44が敷設されている。触媒塔26には、過酸化水素と有機酸との化学反応を促進する触媒、例えば0.5%Ru担持活性炭が充填されている。なお、触媒塔26に替えて紫外線照射装置を設置する構成としても良い。弁33の下流且つ触媒塔26の上流側の配管44には、ポンプ7、弁19、過酸化水素タンク25が設置されている。ポンプ5の下流と弁11の間の配管40には、配管40より分岐する配管41が敷設され、ポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23が配管41により接続される。化学除染剤タンク23には、化学除染のために使用する化学薬品が貯蔵される。複数の化学薬品を使用する場合、その都度、これらポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23を洗浄して使用する。
溶離回収装置3は、実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。本実施例の化学除染装置2aでは、化学除染タンク60に給排水管62が接続され、給排水管62には弁61が設置される。化学除染の準備工程では、弁10、19、36及び37を閉状態とし、その他の弁は全て開状態とする。この状態で化学除染タンク60に接続される給排水管62より、イオン交換水を導入する。必要量のイオン交換水導入後、弁61を閉状態とし、更に、弁12、13、14及び15を閉状態とすると共にポンプ4を起動し、系統水を上記閉ループ内で循環させることにより、化学除染タンク60内の化学除染対象となる配管あるいは機器を系統水に浸漬させる。以降、実施例1で説明した(2)酸化除染工程〜(7)浄化工程、又は、(2’)有機酸除染工程〜(5’)洗浄工程が実行され、化学除染工程が終了する。化学除染工程終了後、実施例1で説明した(1)金属イオンの溶離工程〜(4)溶離液の分解工程が実行され、溶離回収工程を終了する。
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、サージタンク24及びポンプ5を不要とできることから、化学除染システム1aを構成する化学除染装置2aの部品点数を低減することが可能となる。
図13に、本発明の他の実施例に係る実施例3の化学除染システムの全体構成を示す。実施例2では、化学除染装置2aと溶離回収装置3とを、化学除染装置2a内に設置された陽イオン交換樹脂塔21の流入側(上流側)及び流出側(下流側)にそれぞれ一端が接続される配管45及び配管46により接続する構成とした。これに対し、本実施例では、化学除染装置2と溶離回収装置3とを配管により接続することなく、それぞれ独立に設置する構成とした点が実施例2と異なる。図13において、図1、図10、図11及び図12に示す構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付している。
図13に示すように、本実施例の化学除染システムは、化学除染装置2及び溶離回収装置3より構成され、化学除染装置2及び溶離回収装置3は配管等で接続されることなく、それぞれ独立に離間して設置される。
化学除染装置2は、配管又は配管に接続される弁あるいはポンプ等の機器を含む化学除染対象を浸漬する化学除染タンク60、弁17、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16及び弁11は、配管40により接続され、1つの閉ループを形成可能に構成される。配管40を流れる溶液は、ポンプ4により、加熱器27、冷却器28、弁16、弁11、化学除染タンク60の順で流れる。
また、弁16を挟み、冷却器28の下流と化学除染タンク60の上流を配管42で接続し、配管42に弁14、混合樹脂塔22、弁12が設置されている。混合樹脂塔22には、実施例1また実施例2と同様に、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を、1:1又は2:1の割合で混合したイオン交換樹脂が充填されている。更に、冷却器28の下流と化学除染タンク60の上流を配管43で接続し、配管43に設置される上流側の弁15と下流側の弁13との間に、着脱自在に陽イオン交換樹脂塔21aが設置されている。図13では、陽イオン交換樹脂塔21bが設置された状態を示しているが、これは後述する、金属イオン吸着後の陽イオン交換樹脂塔21aを、同様の特性を有する他の新たな陽イオン交換樹脂塔21bに交換した後の状態を示しているためである。これら、陽イオン交換樹脂塔21a及び21bには、陽イオン交換樹脂が充填されている。
また、実施例2と同様に、弁16の下流と弁11の上流の配管40に一端が接続され、弁33、触媒塔26、弁18を介して他端が配管40に接続される配管44が敷設されている。触媒塔26には、過酸化水素と有機酸との化学反応を促進する触媒、例えば0.5%Ru担持活性炭が充填されている。なお、触媒塔26に替えて紫外線照射装置を設置する構成としても良い。弁33の下流且つ触媒塔26の上流側の配管44には、ポンプ7、弁19、過酸化水素タンク25が設置されている。ポンプ5の下流と弁11の間の配管40には、配管40より分岐する配管41が敷設され、ポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23が配管41により接続される。化学除染剤タンク23には、化学除染のために使用する化学薬品が貯蔵される。複数の化学薬品を使用する場合、その都度、これらポンプ6、弁10及び化学除染剤タンク23を洗浄して使用する。
溶離液回収装置3は、上記金属イオン吸着後の陽イオン交換樹脂塔21aを装着可能に構成されている。この陽イオン交換樹脂塔21aには、溶離液の流れの方向を基準に、上流側に弁36、下流側に弁37がそれぞれ配管46、配管45に設置されている。一端が陽イオン交換樹脂21aに接続される配管46には、溶離液の流れの方向を基準として、弁36の上流側に、ポンプ8、弁35、溶離液タンク32がそれぞれ順に接続される。また、一端が陽イオン交換樹脂塔21aに接続される配管45には、弁37の下流側に溶離液回収タンク31が接続され設置されている。溶離液回収タンク31の下流に、ポンプ9及び電析回収装置30が設置される。その他、溶離液回収装置3の構成は、実施例1及び実施例2と同様であり、電析回収装置30、回収された溶離液のpHを調整する機構であるpH調整剤タンク及びpH計並びにポンプの構成は、の構成は、図6に示す構成と同様である。
本実施例の化学除染装置2では、化学除染タンク60に給排水管62が接続され、給排水管62には弁61が設置される。初期段階で陽イオン交換樹脂塔21aが配管43に設置される弁13及び弁15との間に設置された状態であることを想定する。化学除染の準備工程では、弁10及び弁19を閉状態とし、その他の化学除染装置2内に設置される弁は開状態とする。この状態で化学除染タンク60に接続される給排水管62よりイオン交換水を導入する。必要量のイオン交換水導入後、弁61を閉状態とし、更に弁12、13、14及び15を閉状態とすると共にポンプ4を起動する。これにより、系統水は、ポンプ4、加熱器27、冷却器28、弁16、弁11、化学除染タンク60の順に循環する。これにより、化学除染タンク60内の化学除染対象である配管あるいは機器は系統水に浸漬する。以降、実施例1で説明した(2)酸化除染工程〜(7)浄化工程、又は(2’)有機酸除染工程〜(5’)洗浄工程が実行され、化学除染工程が終了する。
化学除染工程終了後、化学除染装置2内の弁13及び弁15を閉状態とし、金属イオン及び/又は放射性核種を吸着した陽イオン交換樹脂塔21aを配管43との接続を解除することで取り外し、運搬用の台車400に載置し、化学除染装置2と離間配置される溶離回収装置3へ運搬する。なお、陽イオン交換樹脂塔21a取り外し後、配管43に新たに陽イオン交換樹脂塔21bを設置する。金属イオンまたは放射性核種を吸着した陽イオン交換樹脂塔21aを、溶離回収装置3内の配管46に設置される弁36及び配管45に設置される弁37との配管接続部に設置する。これにより、溶離液タンク32内に充填された溶離液を、ポンプ8により陽イオン交換樹脂塔21aへ通水可能な状態となる。その後、実施例1で説明した(1)金属イオンの溶離工程〜(4)溶離液の分解工程が実行される。
なお、本実施例では、化学除染工程終了後、すなわち、洗浄工程終了後に、化学除染装置2より金属イオンまたは放射性核種を吸着した陽イオン交換樹脂塔21aを取り外す手順を説明したが、必ずしもこれに限られず、化学除染対象である配管や機器が、ステンレス鋼あるいはニッケル基合金である場合では、(4)還元除染工程終了後に、陽イオン交換樹脂塔21aを取り外す手順としても良い。
また、化学除染対象である配管あるいは機器が炭素鋼や低合金鋼である場合では、(2’)有機酸除染工程終了後に。陽イオン交換樹脂塔21aを取り外す手順としても良い。
本実施例によれば、実施例2の効果に加え、離間配置される化学除染装置2および溶離回収装置3間で、金属イオンまたは放射性核種を吸着した陽イオン交換樹脂塔を化学除染装置2より取り外し、新たな陽イオン交換樹脂塔を装着し、取り外された陽イオン交換樹脂塔を溶離回収装置に装着する構成であることから、化学除染工程と溶離回収工程を並行して実施することが可能となる。これにより、化学除染から溶離回収までの一連の工程を短時間で実行することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1,1a・・・化学除染システム
2,2a・・・化学除染装置
3・・・溶離回収装置
20・・・化学除染対象
21,21a,21b・・・陽イオン交換樹脂塔
22・・・混合樹脂塔
23・・・化学除染剤タンク
24・・・サージタンク
25・・・過酸化水素タンク
26・・・触媒塔
27・・・加熱器
28・・・冷却器
30・・・電析回収装置
31・・・溶離液回収タンク
32・・・溶離液タンク、
10〜19,33〜38,61・・・弁
4〜9,60,307,313・・・ ポンプ
40〜46,48,49,311,312・・・配管
50,62 ・・・給排水管
51・・・排水管
60・・・化学除染タンク
300・・・電解槽
301・・・陽イオン交換膜
302・・・陰極
303・・・陽極
304・・・陰極室
305・・・陽極室
306・・・電解液タンク
308,309・・・導線
310・・・直流電源
314・・・pH調整剤タンク
315・・・pH計
316・・・制御部
400・・・台車

Claims (16)

  1. ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として収容する溶離液タンクと、
    前記溶離液を、金属イオン及び/又は放射性核種が捕捉された陽イオン交換樹脂塔に通水し、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を、陽イオン交換膜により隔離された陰極室へ導入すると共に、陽極室へ電解液を導入し、陽極及び陰極に通電することで、前記金属イオン及び/又は放射性核種を前記陰極の表面に析出させ回収する電析回収装置と、を備え、
    前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整することを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  2. 請求項1に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を回収する溶離液回収タンクと、
    前記溶離液回収タンクと前記電析回収装置の陰極室を接続する第1配管と、
    前記溶離液回収タンク又は前記第1配管に設置され、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定するpH計と、
    前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液に添加されるpH調整剤を収容するpH調整剤タンクと、を備えることを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  3. 請求項2に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記溶離液タンクに収容される溶離液は、ギ酸とヒドラジンの混合液であって、ギ酸濃度が1mol/L以上2mol/L以下であることを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  4. 請求項3に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記pH調整剤はヒドラジンであって、前記陰極室を通流する金属イオン及び/又は放射性核種を含む前記混合液のpHは、1以上5以下に調整されることを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  5. 請求項4に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記陽極室へ導入される電解液は、1mol/L以上2mol/L以下のギ酸であることを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  6. 請求項5に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記溶離液回収タンク又は前記第1配管と、前記pH調整剤タンクを接続する第2配管と、
    前記第2配管に設置され、前記第2配管内に前記pH調整剤タンクに収容されるヒドラジンを通流させるポンプと、
    予めpHの下限値を格納し、前記pH計より得られる前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpH測定値が前記下限値以下の場合、所定量のヒドラジンが前記第2配管内を通流するよう前記ポンプを制御する制御部と、を有することを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  7. 請求項5に記載の二次廃棄物の溶離回収装置において、
    前記溶離液回収タンク又は前記第1配管と、前記pH調整剤タンクを接続する第2配管と、
    前記第2配管に設置され、前記第2配管内に前記pH調整剤タンクに収容されるヒドラジンを通流させるポンプと、
    予め通電時間毎にpHとヒドラジン添加量との関係を保持し、前記pH計より前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpH測定値を取得し、当該pH測定値に対応するヒドラジン添加量を抽出し、抽出されたヒドラジン添加量となるよう前記ポンプを制御する制御部と、を有することを特徴とする二次廃棄物の溶離回収装置。
  8. 化学除染対象となる配管あるいは機器に化学除染剤を含む系統水を通水する工程と、
    前記化学除染対象へ通水後の前記系統水を陽イオン交換樹脂塔へ通水する工程と、
    前記陽イオン交換樹脂塔へ、ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として通水し、前記陽イオン交換樹脂塔に捕捉された金属イオン又は放射性核種を溶離する工程と、
    前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を、陽イオン交換膜により電解槽内が隔離され陰極が配された陰極室に導入すると共に、陽極が配された陽極室に電解液を導入する工程と、
    前記陰極室に導入される前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整するpH調整工程と、
    前記陰極及び陽極に通電し、前記金属イオン及び/又は放射性核種を前記陰極表面に析出させる回収工程と、を有することを特徴とする化学除染の二次廃棄物低減方法。
  9. 請求項8に記載の化学除染の二次廃棄物低減方法において、
    前記陽イオン交換樹脂塔へ通水する溶離液は、ギ酸とヒドラジンの混合液であって、ギ酸濃度が1mol/L以上2mol/L以下であることを特徴とする化学除染の二次廃棄物低減方法。
  10. 請求項9に記載の化学除染の二次廃棄物低減方法において、
    前記pH調整工程は、pH調整剤としてヒドラジンを前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む前記混合液に添加し、pHが1以上5以下の範囲内となるよう調整することを特徴とする化学除染の二次廃棄物低減方法。
  11. 請求項10に記載の化学除染の二次廃棄物低減方法において、
    前記pH調整工程は、前記pH測定結果が予め設定されたpHの下限値以下の場合、所定量のヒドラジンを前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む前記混合液に添加することを特徴とする化学除染の二次廃棄物低減方法。
  12. 請求項10に記載の化学除染の二次廃棄物低減方法において、
    前記pH調整工程は、予め格納される通電時間毎のpHとヒドラジン添加量との関係に基づき、前記pH測定結果に対応するヒドラジン添加量を前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む前記混合液に添加することを特徴とする化学除染の二次廃棄物低減方法。
  13. 化学除染対象となる配管あるいは機器に化学除染剤を含む系統水を通水し、通水後の系統水に含まれる金属イオン及び/又は放射性核種を捕捉する陽イオン交換樹脂塔を有する化学除染装置と、
    ヒドラジンと、少なくともギ酸、グリコール酸及びマロン酸のうち何れか一つとの混合液を溶離液として収容する溶離液タンクと、陽イオン交換膜により、陰極が配される陰極室と陽極が配される陽極室とに隔離される電解槽を有する電析回収装置と、前記溶離液を前記金属イオン及び/又は放射性核種を捕捉した陽イオン交換樹脂塔へ通水し、当該陽イオン交換樹脂塔より流出する前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液を回収する溶離液回収タンクを有する溶離回収装置と、を備え、
    前記溶離回収装置は、前記溶離液回収タンク内の溶離液を前記陰極室へ導入すると共に前記陽極室へ電解液を導入し、前記陽極及び陰極に通電し、前記陰極の表面に前記金属イオン又は放射性核種を析出させるものであって、前記陰極室へ導入される溶離液のpHを測定し、当該pH測定結果に応じて、前記陰極室を通流する溶離液のpHを調整することを特徴とする化学除染システム。
  14. 請求項13に記載の化学除染システムにおいて、
    前記溶離回収装置は、
    前記溶離液回収タンクと前記電析回収装置の陰極室を接続する第1配管と、
    前記溶離液回収タンク又は前記第1配管に設置され、前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液のpHを測定するpH計と、
    前記金属イオン及び/又は放射性核種を含む溶離液に添加されるpH調整剤を収容するpH調整剤タンクと、を備えることを特徴とする化学除染システム。
  15. 請求項14に記載の化学除染システムにおいて、
    前記溶離液タンクに収容される溶離液は、ギ酸とヒドラジンの混合液であって、ギ酸濃度が1mol/L以上2mol/L以下であることを特徴とする化学除染システム。
  16. 請求項15に記載の化学除染システムにおいて、
    前記pH調整剤はヒドラジンであって、前記陰極室を通流する金属イオン及び/又は放射性核種を含む前記混合液のpHは、1以上5以下に調整されることを特徴とする化学除染システム。
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