JP6652500B2 - ワクチンプラットフォームとしてのフラジェリン含有タンパク質ナノ粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、組込みアジュバントとしてのTLR5結合タンパク質フラジェリンのタンパク質配列を組み込んだ自己集合タンパク質ナノ粒子に関する。さらに、本発明は、ワクチン接種のためのそのようなナノ粒子の使用に関する。
侵入病原体に対する第一線の防御は、宿主の先天性免疫によるものであり、膜結合受容体であるToll様受容体(TLRs)は、それにおいて重要な役割を果たしている(Yoon S.I.等、Science 2012、335: p.859-64)。TLRsは、それらのロイシンに富むリピート配列(LRR)細胞外ドメインを用いて高度保存分子構造を有する抗原を認識する。このLRRは、馬蹄形状を有する。各TLRは、特殊な形態のウイルス若しくは細菌核酸、リポ多糖(LPS)又は特定のパターンを有する他の病原体関連分子などの細菌表面分子であり得る、その特定の分子抗原を認識する別個のリガンド結合ドメインを有する。それらは様々な無関係の分子抗原を認識するが、すべての公知のアゴニスト活性化TLR構造、すなわち、それらの分子抗原を認識し結合したTLRsは、抗原結合により類似の二量体の構成となり、これが、それらのC末端領域を互いに近接させ、これは次にそれらの細胞内Toll/インターロイキン−1受容体(TIR)ドメインを活性化し、それにより、細胞シグナル伝達カスケードを開始する。
本発明の範囲に関して、多くの異なるTLR受容体のうち、TLR5が魚から哺乳動物に至るまでの脊椎動物で保存されている唯一のタンパク質結合TLRであることに注目することは、興味深い。TLR5は、運動フラジェリンに関与する、β−及びγ−プロテオバクテリアに由来する分解された形態のむち様鞭毛フィラメントフラジェリンに結合する。最近の結晶学的研究で、フラジェリンとTLR5との二量体複合体が示された。TLR5へのフラジェリンの結合により、MyD88依存性シグナル伝達経路が誘導され、これがひいては樹状細胞、単球及び上皮細胞における炎症促進性転写因子NF−kBを活性化し、最終的に有鞭毛細菌に対する先天免疫応答をもたらす。
フラジェリンは、D0、D1、D2及びD3の4つのドメインから構成されている分子構造を有する。そのタンパク質鎖は、D0ドメインにおけるN末端から始まって大きなループ状に、他のドメインD1、D2及びD3を経て分子の先端に達し、向きを変えて、D3、D2及びD1を経て戻り、そのC末端を、D0ドメイン内でN末端に非常に近接するように配置させる。フラジェリンは、先天免疫系の活性化の2つの様式を有する。第1の様式は、主としてそのD1ドメインの高度保存部分を介してTLR5受容体に結合することによるものである(Yoon等、上記引用文中)。活性化の他の様式は、主としてそのD0ドメインの高度保存C末端部分を介してインフラマソームと相互作用することによるものである(Lightfield K.L.等、Nat Immunol. 2008、9: p.117-8)。
フラジェリンは、通常のアジュバント、すなわち、抗原と一緒に注射される別個の物質として使用されている。あるいは、フラジェリンはまた、それ自体の分子構造内に抗原を含むように改変されてもいる。第2のアプローチは、アジュバント効果が抗原の効果と共局在化し、そのため、アジュバントの用量を著しく減少させることができ、結果として副作用を著しく低減することもできるという利点がある。
フラジェリンのにおける制約の1つとなり得るのは、炎症性免疫応答を誘導するその潜在能力である。インフラマソームと相互作用するD0のC末端部分を欠くフラジェリン構築物を遺伝子操作により得ることによって免疫刺激の炎症部分を低減することが可能であり得る。
多くのアジュバントはその重度の副作用のため、使用する上で大きな制約がある。例えば、フロイント完全アジュバントは、非常に強い免疫刺激性製剤であり、動物実験でさえもはや用いることができない。現在のところ、ヒト用の承認済みアジュバントは非常に少数しか存在せず、最も重要なものは、ミョウバンである。全身的に適用されるアジュバントの副作用を制限する1つの可能な方法は、微粒子系としてそれらを製剤化すること、すなわち、副作用を制限し、目的の抗原の近傍にアジュバントを濃縮させ得る微粒子の形態又は油乳剤にアジュバントを組み込むことである。したがって、抗原及びアジュバントは、同じリンパ節に同時に到達し、そのため、アジュバントの全身性副作用が低減されると共にアジュバント効果が増大し得る。
フラジェリンは、国際公開第2004/071493号に記載されているもののように、タンパク質ナノ粒子に用いられる特に興味深いアジュバントである。その理由は、フラジェリンは、イミキモドなどの小分子又はCpGなどの核酸ベースの物質である多くの他のアジュバントとは対照的に、それ自体タンパク質であるからである。フラジェリンはタンパク質であるので、化学的架橋結合の必要なしに分子生物学によりナノ粒子上に組み込むことができる。
本発明は、タンパク質オリゴマー化ドメインND1、リンカーL1、タンパク質オリゴマー化ドメインND2、フラジェリンの誘導体FLA、及びさらなる置換部分Xを含む連続鎖からなる以下の式(Ia)又は(Ib)
X−ND1−L1−ND2−FLA (Ia)又はFLA−ND1−L1−ND2−X (Ib)
の複数の構築ブロック(式中、
ND1は、m個のND1サブユニットの(ND1)mオリゴマーを形成するタンパク質であり、
ND2は、n個のND2サブユニットの(ND2)nオリゴマーを形成するタンパク質であり、
m及びnは、それぞれ2と10の間の数であり、ただし、mは、nと等しくなく、nの倍数でなく、nは、mの倍数でなく、
L1は、結合、又は短い柔軟なリンカーであり、
FLAは、フラジェリンであるか、又はフラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが、TLR5結合ドメインD1を少なくとも含むフラジェリンの誘導体であり、欠落ドメイン(一又は複数)が、残りのフラジェリン配列の2つの末端を結合させる1〜20個のアミノ酸の柔軟なリンカーセグメントにより置換されていても、又は完全に折りたたまれたタンパク質抗原により置換されていてもよく、
Xは、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)の凝集体からなる自己集合タンパク質ナノ粒子であって、
タンパク質オリゴマー化ドメインND3、リンカーL2、タンパク質オリゴマー化ドメインND4、並びにさらなる置換部分Y及びZを含む連続鎖からなる以下の式(II)
Y−ND3−L2−ND4−Z (II)
の複数の構築ブロック(式中、
ND3は、y個のND3サブユニットの(ND3)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
ND4は、z個のND4サブユニットの(ND4)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
y及びzは、2と10の間の数であり、ただし、yは、zと等しくなく、zの倍数でなく、zは、yの倍数でなく、
ND3がND1と同一であるか、又はND4がND2と同一であるか、又はND3及びND4の両方がそれぞれND1及びND2と同一であり、
L2は、結合であるか、又はL1と異なるか、若しくはL1と同一であってもよい短い柔軟なリンカーであり、
Y及びZは、互いに独立に、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)と共集合していてもよい自己集合タンパク質ナノ粒子に関する。
エピトープ含有鎖及び直立位置のフラジェリン又はフラジェリン誘導体含有鎖の共集合から構成される種々のタンパク質ナノ粒子の概略図である。左上隅に、オリゴマー化ドメインND2及びND1と融合したフラジェリン含有タンパク質鎖を、右に、T=1二十面体対称を仮定した場合の、1:59の比率でND3−L2−ND4−Zと共集合したナノ粒子を示す。明確にするために、ほぼ確実に無秩序なHisタグ(X及びY)は、示さない。「ND1」及び「ND3」:五量体オリゴマー化ドメイン;「ND2」及び「ND4」:三量体オリゴマー化ドメイン;「FLA」:フラジェリン又はフラジェリン誘導体;「Z」:エピトープA)フラジェリンD0−D1−D2−D3及び対応するエピトープ提示ナノ粒子のモデル。B)フラジェリンD0−D1−D2及び対応するエピトープ提示ナノ粒子のモデル。C)フラジェリンD0−D1及び対応するエピトープ提示ナノ粒子のモデル。D)フラジェリンD1−D2−D3及び対応するエピトープ提示ナノ粒子のモデル。E)ND3−L2−ND4コアのオリゴマー化ドメインND4と融合したNANP B細胞エピトープ(Z)のモデル。 フラジェリンとTLR5との相互作用の概略図である。フラジェリンは理想的には、二量体で、反転した配向でナノ粒子上に提示されなければならない。示したタンパク質鎖の部分は、(例えば、五量体)オリゴマー化ドメインND1から始まり、ND1は、リンカーLにより(例えば、二量体)オリゴマー化ドメインND2に結合されており、ND2は、フラジェリンのD2ドメイン、続いてD1ドメイン、さらに先端(T)までからなるフラジェリン誘導体FLAにさらに連結されている。先端において、D1配列は、それ自体の上に折り返えされ、D2ドメインに折り込まれる。明確にするために、ほぼ確実に無秩序なHisタグは、示さない。A)左:単量体のモデル。右:フラジェリンがTLR5との相互作用のための適切な二量体立体配座で保持されている二量体のモデル。B)上パネル:TLR5二量体と相互作用するフラジェリン二量体のモデル。下パネル:左:切断図(clipped view)での完全集合「フラジェリンのみ」粒子のモデル。右:外形図での完全集合「フラジェリンのみ」粒子のモデル。 pPEP−Tのベクターマップを示す図である。「prom」:プロモーター;「term」:ターミネーター;「ori」:起点;「bp」:塩基対:「amp」:アンピシリン耐性遺伝子 タンパク質ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。組換えで発現したタンパク質のリフォールディング及び共集合の後、試料を炭素被覆グリッド上に吸着させ、2%酢酸ウラニルで逆染色した。(A)「FLA−SAPNの設計」の項及び実施例6で述べるT81c−WRW−8RRVRA−D0−D1:T81c−WRW−8RRVRA−T1BT共集合比率12:48。バーは、50nmを表す。(B)実施例8で述べるT81c−8−D0−D1:T81c−8−Pf共集合比率3:57。バーは、200nmを表す。(C)実施例7で述べるPD52−2i88−PANDORA−D2−D1−ori:PD52−2i88−PANDORA−Noro共集合比率5:55。バーは、200nmを表す。(D)実施例9で述べるDIM−D0−D1:DIM−D2−D1−tip3_NIC−pept共集合比率5:55。バーは、200nmを表す。 実施例1及び5のLONG−D2−D1−ori構築物のSDS−PAGEを示す図である。この構築物は、41.1kDaの理論分子量を有する。CL−遠心透明溶解液FT−通過画分1−10mMイミダゾールによるpH8.0洗浄2−500mM NaHPOによるpH8.0洗浄3−pH6.3洗浄4−pH5.9洗浄5−pH4.5洗浄Elu−5及び10μlの試料をゲルに加えることによる250mMイミダゾール溶出 各種解像度でのLONG−D2−D1−ori構築物のタンパク質ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。組換えで発現したタンパク質のリフォールディング及び共集合の後、試料を炭素被覆グリッド上に吸着させ、2%酢酸ウラニルで逆染色した。バーは、それぞれ右上、左上、右下及び左下の写真について1000nm、500nm、200nm及び100nmを表す。 TLR5細胞経路の活性化を示す図である。A)LONG−D2−D1−ori(実施例5)B)T81c−WRW−8RRVRA−D0−D1:T81c−WRW−8RRVRA−T1BT(12:48)(実施例6)C)PD52−2i88−PANDORA−D2−D1−ori:PD52−2i88−PANDORA−Noro(5:55)(実施例7)上パネル:用量反応活性の評価下パネル:EC50の評価IMG−2205:ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)フラジェリン(0.29ng/ml)、陽性コントロールX軸:ナノ粒子の濃度(ng/ml)Y軸:SEAP発現(ng/ml)又はA%=活性% C57BI/6マウスにおける免疫付与後の抗体力価のELISA結合解析(実施例8[パネルA]及び9[パネルB]で述べる)を示す図である。A)■ 1μgの用量のTB1c−8−Pf単独◆ 10μgの用量のTB1c−8−Pf単独× 3:57の比率及び1μgの用量のT81c−8−D0−D1及びT81c−8−Pfの共集合▲ 3:57の比率及び10μgの用量のT81c−8−D0−D1及びT81c−8−Pfの共集合● 9:51の比率及び1μgの用量のT81c−8−D0−D1及びT81c−8−Pfの共集合* 9:51の比率及び10μgの用量のT81c−8−D0−D1及びT81c−8−Pfの共集合X軸:血清の希釈係数Y軸:OD=光学濃度ELISAプレートは、免疫付与に用いた全免疫原で被覆されている。B)● 5:55の比率及び10μgの用量のDIM−D0−D1及びDIM−D2−D1−tip3_NIC−peptの共集合■ 10μgの用量の担体KLHに結合させたニコチンX軸:血清の希釈係数Y軸:OD=光学濃度ELISAプレートは、非関連担体に結合させたニコチンのみで被覆されている。 Nic−DEDDL構築物のタンパク質ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。組換えで発現したタンパク質のリフォールディング及び共集合の後、ナノ粒子を炭素被覆グリッド上に吸着させ、2%酢酸ウラニルで逆染色した。バーは、1000nmを表す。 抗体形成を示すグラフである。3匹のC57BI/6マウスの群をそれぞれ1週間の間隔をあけた3回の注射で10μgのNic−DEDDL(実施例10)又は10μgの陽性コントロールとしてのNic−KLH(KHL担体に結合させたニコチン)によりs.c.で免疫付与した。0日目(すなわち、最初の注射の前)及びその後の毎回の注射の1週間後における抗体力価をELISAにより測定した。d=最初の免疫付与後の日数;A=抗体力価(log目盛り)。
発明の詳細な説明
本発明では、ナノ粒子に何れか一方の向きで組み込まれたフラジェリンの異なるドメインを含む異なる形態のフラジェリンを述べる。一部の設計では、ナノ粒子表面に近いそれらのN及びC末端によりフラジェリンをナノ粒子に結合させる(図1)が、一方他の設計では、フラジェリンの遠い部分をナノ粒子表面に近接させ、したがって、ナノ粒子上に反対の向きにフラジェリンを発現させる(図2)。
炎症性免疫応答は、アジュバント、特にTLR結合アジュバントの主要な問題の1つであることから、炎症反応を誘導するそれらの能力を低減することは、有益である。D0ドメインの一部である、フラジェリンのC末端部が、インフラマソームと相互作用するペプチド配列を含み、したがって、フラジェリンの炎症反応に関与していることは、公知である。したがって、インフラマソームを活性化するD0ドメインのC末端部を欠くフラジェリン構築物が遺伝子操作により得られた(図2)。
本発明は、タンパク質オリゴマー化ドメインND1、リンカーL1、タンパク質オリゴマー化ドメインND2、フラジェリンの誘導体FLA、及びさらなる置換部分Xを含む連続鎖からなる以下の式(Ia)又は(Ib)
X−ND1−L1−ND2−FLA (Ia)又はFLA−ND1−L1−ND2−X (Ib)
の複数の構築ブロック(式中、
ND1は、m個のND1サブユニットの(ND1)mオリゴマーを形成するタンパク質であり、
ND2は、n個のND2サブユニットの(ND2)nオリゴマーを形成するタンパク質であり、
m及びnは、それぞれ2と10の間の数であり、ただし、mは、nと等しくなく、nの倍数でなく、nは、mの倍数でなく、
L1は、結合、又は短い柔軟なリンカーであり、
FLAは、フラジェリンであるか、又はフラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが、TLR5結合ドメインD1を少なくとも含むフラジェリンの誘導体であり、欠落ドメイン(一又は複数)が、残りのフラジェリン配列の2つの末端を結合させる1〜20個のアミノ酸の柔軟なリンカーセグメントにより置換されていても、又は完全に折りたたまれたタンパク質抗原により置換されていてもよく、
Xは、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)の凝集体からなる自己集合タンパク質ナノ粒子であって、
タンパク質オリゴマー化ドメインND3、リンカーL2、タンパク質オリゴマー化ドメインND4、並びにさらなる置換部分Y及びZを含む連続鎖からなる以下の式(II)
Y−ND3−L2−ND4−Z (II)
の複数の構築ブロック(式中、
ND3は、y個のND3サブユニットの(ND3)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
ND4は、z個のND4サブユニットの(ND4)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
y及びzは、2と10の間の数であり、ただし、yは、zと等しくなく、zの倍数でなく、zは、yの倍数でなく、
ND3がND1と同一であるか、又はND4がND2と同一であるか、又はND3及びND4の両方がそれぞれND1及びND2と同一であり、
L2は、結合であるか、又はL1と異なるか、若しくはL1と同一であってもよい短い柔軟なリンカーであり、
Y及びZは、互いに独立に、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)と共集合していてもよい自己集合タンパク質ナノ粒子に関する。
本発明のタンパク質ナノ粒子は、アジュバント分子を目的の免疫原と共局在化する非常に洗練された方法を提供するものであり、したがって、フラジェリンのアジュバント特性は、ワクチン抗原に対する免疫応答が望まれるワクチン抗原と共局在化させることができる。式(Ia)又は(Ib)の分子にフラジェリン又はフラジェリン(FLA)を含むものを一方とし、目的の抗原(Y又はZ)を組み込んだ式(II)のものを他方とする、2つのナノ粒子形成タンパク質鎖の1つの単一タンパク質ナノ粒子への共集合により、アジュバントと抗原は、完全に共局在化する。したがって、これらの設計では、アジュバント効果は、ナノ粒子の反復抗原提示の恩恵と共局在化する。さらに、アジュバント効果の寄与は、式(Ia)又は(Ib)のフラジェリン含有タンパク質鎖と式(II)の抗原含有タンパク質鎖との異なる共集合比率を用いることによって増加又は減少させることができる。アジュバント効果は、最善の抗原性と最低の副作用との間で最適化するために調整される。
上文で示したように、FLAは、フラジェリン又はフラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが、TLR5結合ドメインD1を少なくとも含むフラジェリン誘導体である。欠落ドメイン(一又は複数)は、残りのフラジェリン配列の2つの末端を結合させる1〜20個のアミノ酸の柔軟なリンカーセグメントにより置換されていても、又は完全に折りたたまれたタンパク質抗原により置換されていてもよい。柔軟なリンカー領域は、抗原の共有結合のための適切な結合部位を含み得る。
フラジェリン含有ナノ粒子は、単独で(すなわち、抗原含有ナノ粒子形成タンパク質鎖との共集合を伴わない)所定のワクチンにおける任意の形態の抗原送達に単に加えられる従来のアジュバントとして用いることができる。
さらなる代替選択肢として、抗原XをB細胞エピトープとして、フラジェリン誘導体FLAをアジュバントとして用いて、アジュバント効果及び反復抗原提示効果による恩恵を最大限にするために、抗原は、式(Ia)又は(Ib)のフラジェリンのみを含むナノ粒子形成タンパク質鎖上に置換部分Xとして、すなわち、やはり式(II)の抗原含有ナノ粒子形成タンパク質鎖との共集合なしに、遺伝子操作により組み込むことができる。
フラジェリンの構造においてタンパク質鎖が、すべてのドメインD0、D1、D2及びD3を経て再び戻るループとなっているので、2つの末端を連続ペプチド鎖に再結合させることによって1つ又はいくつかのドメインを配列から除去して、フラジェリン誘導体FLAを得ることができる。したがって、フラジェリンのD2及びD3ドメインを欠くフラジェリン誘導体構築物は、D1及びD2ドメインの境界面におけるタンパク質鎖を単に連結することによって、容易に遺伝子操作により組み込むことができる。同様に、先端ドメイン(D3又はD2とD3とが一緒になった)をタンパク質抗原により置換することができるが、ただしこの場合、このタンパク質抗原が、そのN及びC末端を介して、D1とD2との間の境界面におけるN及びC末端に連結できることが条件となる。先端ドメインD2及びD3はまた、抗原分子の共有結合のための適切な残基を含むペプチド配列により置換することができる。そのようなペプチドループの例は、その第一級アミノ基に共有結合するための4つのリシン残基を含む、配列KYKDGDKGDDK(配列番号1)である。リシン残基を組み込んだそのような親水性ループは、リシンの側鎖の第一級アミノ酸へのリガンド分子の共有結合のための結合部位となる。アルギニンによりフラジェリン配列内のリシン残基を置換することにより、残りの分子における望ましくない結合部位が除去される。これらの2つの修飾により、以下の配列を有するフラジェリンが得られる。
MAQVINTNSLSLLTQNNLNSQSALGTAIERLSSGLRINSADDAAGQAIANRFTANIGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLQINSQTLGLDQLNVQQKYKDGDKGDDKTENPLQIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号28)
フラジェリンをナノ粒子上に二量体として組み込むことは、本発明のさらなる範囲である。したがって、自身もやはり二量体であるTLR5との相互作用が最適化されている。これは、ND1(mが2である)又はND2(nが2である)のような二量体タンパク質オリゴマー化ドメインを用い、それをフラジェリン誘導体FLAの結合部位として用いることにより、すなわち、それぞれ式(Ib)又は(Ia)に示すように容易に達成される。これは、フラジェリン誘導体を強制的に、TLR5とより容易に相互作用する二量体にする(図2)。好ましくは、そのような設計では、フラジェリンが結合する式(Ia)又は(Ib)の構築ブロックにおける二量体オリゴマー化ドメイン(式(Ia)におけるND2又は式(Ib)におけるND1)は、式(II)の構築ブロックにおける対応するオリゴマー化ドメイン(式(Ia)の鎖と共集合させる場合にはND4、又は式(Ib)の鎖と共集合させる場合にはND3)と異なる。好ましくは式(Ia)又は(Ib)の構築ブロックにおける二量体オリゴマー化ドメインは、式(II)の構築ブロックにおける対応するオリゴマー化ドメイン(ND3又はND4)よりも、強い相互作用、すなわち、二量体形成能力を有する。これは、式(Ia)又は(Ib)及び式(II)の構築ブロックを含む共集合ナノ粒子において、フラジェリン又はフラジェリン誘導体FLAが式(Ia)又は(Ib)の隣接構築ブロック上に常に二量体を形成し、共集合ナノ粒子の全体に単一単量体として分布しないことを保証するものである。
さらに、ナノ粒子上に優先的に二量体として、反転した配向でフラジェリンを組み込むことにより、TLR5二量体との相互作用を最適化することができる(図2)。そのようなナノ粒子が好ましい。例えば、D1−D2フラジェリン構築物は、D0及びD1ドメイン間の境界面にKAKKKDGKDDKDS(配列番号29、図2における「T」)のようなペプチド配列を有するタンパク質鎖を結合させ、それにより、D0を除き、タンパク質鎖を再結合させずにD3を完全に除去することによって作製することができる。その結果として、得られるフラジェリン分子は、D2ドメインにそのN及びC末端を有し、以下のようなD2−D1配列を示す。
SARLSDLEANNAVRGESKITVNGAEYTANATGDRITLAGRTMFIDRTASGVSTLINEDAAAARRSTANPLASIDSALSRVDAVRSSLGAIQNRFDSAKAKKKDGKDDKDSKNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELSVQATNGTNSDSDLRSIQDEIQQRLEEIDRVSNQTQFNGVKVLSQDNQMKIQVGAKDGETITIDLQKIDVKSLGLDGFNVNGPREATVGDLRSSFRNVTGYDTYAAGADRYRVDINSGAV(配列番号30)
例えば、GS又はGKDGKDGS(配列番号31)又はGKDGKDGKDGKDGS(配列番号32)などの1〜20個のアミノ酸を有する類似の柔軟性リンカー配列(図2における「T」)を用いることができる。好ましくは、リンカー配列は、リンカーを柔軟にするためにグリシン残基を散在させた主に荷電又は極性アミノ酸を含む。このD2−D1構築物における望ましくない結合部位を排除するために、リシン残基をアルギニン残基により置換する。
その後、フラジェリン誘導体FLAは、フラジェリンのD2部分において二量体オリゴマー化ドメインND1又はND2に連結されなければならない。単独の又は式(II)の対応する構築ブロックと共集合した、そのような構築ブロックからナノ粒子を調製することにより、反転した配向のフラジェリン誘導体を含む好ましいナノ粒子が形成される。
単量体構築ブロック
ペプチド(又はポリペプチド若しくはタンパク質)は、アミド結合により共有結合したアミノ酸の鎖又は配列である。ペプチドは、天然、修飾天然、部分合成又は完全合成であり得る。修飾天然、部分合成又は完全合成は、天然に存在しないことを意味すると理解される。アミノ酸という用語は、20種の必須天然α−L−アミノ酸から選択される天然アミノ酸、α−D−アミノ酸、6−アミノヘキサン酸、ノルロイシン、ホモシステイン、若しくは同類のものなどの合成アミノ酸、並びにホホセリン若しくはホスホチロシンなどの、電荷などの特定の特性を変化させるある種の方法で、又はn−オクタノイル−セリン、若しくは同類のものなどの他の修飾により修飾された天然アミノ酸を含む。アミノ酸の誘導体において、アミド結合を形成するアミノ基がアルキル化され、又は側鎖アミノ、ヒドロキシ若しくはチオ官能基がアルキル化若しくはアシル化され、又は側鎖カルボキシ官能基がアミド化若しくはエステル化されている。好ましくは、本発明のタンパク質は、20種の必須天然α−L−アミノ酸から選択されるアミノ酸を含む。
大まかな近似で、ペプチドは、それらのサイズに基づいてタンパク質と区別することができる。すなわち、おおむね、50個以下のアミノ酸の鎖は、ペプチドであるとみなすことができるが、より長い鎖は、タンパク質であるとみなすことができる。ジペプチドは、最も短いペプチドであり、1つのペプチド結合により結合された2個のアミノ酸からなる。同様にトリペプチドは、3個のアミノ酸からなり、テトラペプチドは、4個のアミノ酸からなる、等である。ポリペプチドは、長く、連続的で、非分枝ペプチド鎖である。文献では、ペプチドをタンパク質と区別するサイズの境界は、多少根拠薄弱である。時には、アミロイドベータなどの長い「ペプチド」は、タンパク質とみなされ、逆の場合も同様に、インスリンなどのより小さいタンパク質は、ペプチドと呼ばれている。
短い柔軟なリンカー鎖L1又はL2は、置換されていてもよい炭素原子、置換されていてもよい窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びそれらの組合せから選択され、好ましくは鎖に1〜60個の原子、特に1〜20個の原子を含む。そのような短い柔軟なリンカー鎖は、例えば、ポリエチレンオキシ鎖、柔軟な糖鎖又は、好ましくは柔軟なペプチド鎖、例えば、1〜20個のアミノ酸、特に1個又は数個のグリシンアミノ酸を含む1〜6個のアミノ酸からなるペプチド鎖である。最も好ましいリンカーは、高含量のグリシンを含む1〜6個のアミノ酸からなる。
本発明によるオリゴマー化ドメインは、好ましくはコイルドコイルである。コイルドコイルは、下文でより詳細に説明するように、集合して多量体ヘリックスバンドルを形成する、主に疎水性の残基が3及び4残基の間隔をあけて連続するパターンを有するタンパク質配列である。
コイルドコイルでないオリゴマー化ドメインは、例えば、バクテリオファージT4タンパク質フィブリチンの三量体化ドメイン(フォルドン)である(Tao Y.等、Structure 1997、5巻、p.789-798)。
オリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3及び/又はND4、並びにリンカーL1及び/又はL2は、免疫刺激性核酸、好ましくはデオキシイノシンを含むオリゴデオキシヌクレオチド、デオキシウリジンを含むオリゴデオキシヌクレオチド、CGモチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチド、CpGs、イミキモド、レシキモド、ガルジキモド、イノシン及びシチジンを含む核酸分子又は類似のものなどのナノ粒子のアジュバント特性を増強する標的化物質(targeting entity)又は置換部分によりさらに置換されていてもよい。ナノ粒子のアジュバント特性を増強する他の置換部分は、適応免疫応答を促進し、且つ/又は改善することができる免疫刺激性の正に荷電した分子のクラスである、カチオンペプチドなどの抗菌ペプチドである。免疫増強特性を有するそのようなペプチドの例は、プライムブースト免疫付与後の強力なタンパク質特異的2型駆動獲得免疫(protein-specific type-2 driven adaptive immunity)を誘導する正に荷電した人工抗菌ペプチドKLKLLLLLKLK(配列番号2)である。置換部分とみなされる特定の標的化物質は、ER標的化シグナル、すなわち、小胞体(ER)へのタンパク質又はペプチドの輸送を誘導するシグナルペプチドである。
任意選択の置換部分、例えば、上述の任意選択の置換部分は、末端の近くであって、オリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3及び/又はND4のL1又はL2に結合した末端とは反対側にある適切なアミノ酸に連結していることが好ましい。タンパク質ナノ粒子の自己集合時に、そのような置換部分は、ナノ粒子の表面に提示される。そのような置換部分は、連続的タンパク質鎖の末端に連結することができ、あるいはND1、ND2、ND3及び/又はND4の末端の近くであって、L1又はL2に結合した末端とは反対側に位置するアミノ酸の側鎖官能基に連結することができる。
最も好ましい実施形態において、置換部分は、ペプチド又はタンパク質置換部分であり、タンパク質鎖の単純延長を表すX、Y及び/又はZと称される。これらの単純延長は例えば、1つの単一分子として組換えタンパク質発現システムにおいて発現させることができる複合単一連続タンパク質配列を得るための、例えば、ND1のN末端におけるX−ND1−L1−ND2−FLAのような、又はY−ND3−L2−ND4−Zのような両端におけるものなどである。
他の実施形態において、ペプチド又は非ペプチド置換部分は、ND1、ND2、ND3及び/又はND4の末端の近くであって、L1又はL2に結合した末端とは反対側に位置するアミノ酸の側鎖官能基に、あるいは好ましくは、X、Y及び/又はZがペプチド又はタンパク質である場合、X、Y及び/又はZ延長内のアミノ酸の側鎖官能基に連結することができる。
リンカーL1又はL2に置換部分を結合させることも可能である。そのような場合、自己集合性タンパク質ナノ粒子のリフォールディング時に、置換部分は、自己集合性タンパク質ナノ粒子の内部空洞に位置する。
オリゴマーを形成する傾向は、そのようなタンパク質が条件によってオリゴマーを形成し得ることを意味する。例えば、変性条件下では、それらは、単量体であるが、生理的条件下では、それらは、例えば、二量体、三量体、四量体又は五量体を形成し得る。所定の条件下で、それらは、ナノ粒子の形成に必要な1つの単一オリゴマー化状態をとる。しかし、それらのオリゴマー化状態は、条件の変化により、例えば、塩濃度の増加により二量体から三量体に(Burkhard P.等、Protein Science 2000、9: p.2294-2301)又はpHの低下により五量体から単量体に変化し得る。
式(Ia)、(Ib)又は(II)による構築ブロック構造は、ウイルスキャプシドタンパク質と明らかに異なる。ウイルスキャプシドは、60のオリゴマーを形成する1つの単一タンパク質又は例えば、B型肝炎ウイルス粒子のようなその複数(欧州特許第1262555号、欧州特許第0201416号)から、あるいは共集合して、ウイルスの種類によって二十面体とは別の他の形状もとり得る、ウイルスキャプシド構造を形成する、複数のタンパク質から構成されている(Fender P.等、Nature Biotechnology 1997,15:52-56)。本発明の自己集合タンパク質ナノ粒子(SAPN)は、ウイルス様粒子とも明らかに異なる。その理由は、それらが(a)ウイルスキャプシドタンパク質以外から構築されており、(b)ナノ粒子の中心の空洞が小さすぎて全ウイルスゲノムのDNA/RNAを収容することができないからである。
タンパク質オリゴマー化ドメインは、周知のものである(Burkhard P.等、Trends Cell Biol 2001、11: p.82-88)。RCSB−PDBタンパク質構造データベース(http://www.rcsb.org/)は、タンパク質の原子構造を含んでいる。このウェブサイトは、それらの原子構造間でタンパク質オリゴマーを同定するためのツールを提供する。「タンパク質化学量論(Protein Stoichiometry)」における限定子「A5」により高度検索モード(http://www.rcsb.org/pdb/search/advSearch.do)を用いて、五量体タンパク質オリゴマー化ドメインを検索する。「SCOP分類ブラウザー(SCOP classification Browser)」における限定子「コイルドコイルタンパク質」により高度検索モードを用いて、コイルドコイルタンパク質オリゴマー化ドメインを検索する。2つの検索を組み合わせることにより、データベースにおけるすべての五量体コイルドコイルタンパク質構造が検索される。同様に、「A2」、「A3」又は「A4」をそれぞれ限定子として用いて二量体、三量体又は四量体コイルドコイル構造を検索することができる。本発明において、オリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3及びND4は、好ましくはコイルドコイルドメインである。コイルドコイルは、集合して(折りたたたまれて)多量体ヘリックスバンドルを形成する、通常7アミノ酸(ヘプタッドリピート)又は11アミノ酸(ウンデカッドリピート)の配列である、主に疎水性の残基が3及び4残基の間隔をあけて連続するパターンを有するタンパク質配列である。3及び4残基間隔が多少不規則に分布したものを含む配列を有するコイルドコイルも予期される。疎水性残基は、特に疎水性アミノ酸Val、Ile、Leu、Met、Tyr、Phe及びTrpである。主に疎水性とは、諸残基のうちの少なくとも50%が、上述の疎水性アミノ酸から選択されなければならないことを意味する。
例えば、式(Ia)、(Ib)又は(II)の好ましい単量体構築ブロック構造において、ND1、ND2、ND3及びND4は、以下の式の何れかのタンパク質である。
[aa(a)−aa(b)−aa(c)−aa(d)−aa(e)−aa(f)−aa(g)] (IIIa)、
[aa(b)−aa(c)−aa(d)−aa(e)−aa(f)−aa(g)−aa(a)] (IIIb)、
[aa(c)−aa(d)−aa(e)−aa(f)−aa(g)−aa(a)−aa(b)] (IIIc)、
[aa(d)−aa(e)−aa(f)−aa(g)−aa(a)−aa(b)−aa(c)] (IIId)、
[aa(e)−aa(f)−aa(g)−aa(a)−aa(b)−aa(c)−aa(d)] (IIIe)、
[aa(f)−aa(g)−aa(a)−aa(b)−aa(c)−aa(d)−aa(e)] (IIIf)、
[aa(g)−aa(a)−aa(b)−aa(c)−aa(d)−aa(e)−aa(f)] (IIIg)、
ここで、aaは、アミノ酸又はその誘導体を意味し、aa(a)、aa(b)、aa(c)、aa(d)、aa(e)、aa(f)及びaa(g)は、同じ若しくは異なるアミノ酸又はその誘導体を意味し、好ましくはaa(a)及びaa(d)は、同じ若しくは異なる疎水性アミノ酸又はその誘導体を意味し、xは、2と20の間の数、好ましくは3と10の間の数である。
ヘプタッドリピートは、式aa(a)−aa(b)−aa(c)−aa(d)−aa(e)−aa(f)−aa(g)(IIIa)のヘプタペプチド又は式(IIIb)〜(IIIg)のその並べ替えの何れかである。
好ましいのは、すべてのタンパク質オリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3及びND4が以下の通りである、式(Ia)、(Ib)又は(II)の単量体構築ブロックである。
(1)xが3であり、これらの6アミノ酸の表1のスコアの合計が少なくとも14であるようにaa(a)及びaa(d)が20天然α−L−アミノ酸から選択される式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質、並びに17までのさらなるヘプタッドを含むそのようなタンパク質;
あるいは
(2)xが3であり、これらの6アミノ酸の表1のスコアの合計が少なくとも12であるようにaa(a)及びaa(d)が20天然α−L−アミノ酸から選択される式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質、ただし、1つのアミノ酸aa(a)は、隣接ヘプタッドのアミノ酸aa(d)若しくはaa(g)へのらせん間塩橋を形成することができる荷電アミノ酸であり、又は1つのアミノ酸aa(d)は、隣接ヘプタッドのアミノ酸aa(a)若しくはaa(e)へのらせん間塩橋を形成することができる荷電アミノ酸であり、並びに2つのさらなるヘプタッドを含むそのようなタンパク質。隣接ヘプタッドのアミノ酸へのらせん間塩橋を形成することができる荷電アミノ酸は、例えば、他のアミノ酸がLys、Arg若しくはHisである場合にはAsp若しくはGluであり、又は逆も同様である。
Figure 0006652500
また好ましいのは、1つ又は複数のタンパク質オリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3又はND4が以下の好ましいタンパク質から選択される、式(Ia)、(Ib)又は(II)の単量体構築ブロックである:
(11)aa(a)がVal、Ile、Leu及びMet並びにそれらの誘導体から選択され、aa(d)がLeu、Met、Val及びIle並びにそれらの誘導体から選択される式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。
(12)1つのaa(a)がAsnであり、他のaa(a)がAsn、Ile及びLeuから選択され、aa(d)がLeuである式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、通常二量体化ドメインである。
(13)aa(a)及びaa(d)が両方ともLeu又は両方ともIleである式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、通常三量体化ドメインである。
(14)aa(a)及びaa(d)が両方ともTrpである式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、通常五量体化ドメインである。
(15)aa(a)及びaa(d)が両方ともPheである式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、通常四量体化ドメインである。
(16)aa(a)及びaa(d)が両方ともTrp又はPheである式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、通常五量体化ドメインである。
(17)aa(a)がLeu又はIleであり、1つのaa(d)がGlnであり、他のaa(d)がGln、Leu及びMetから選択される式(IIIa)〜(IIIg)の何れかのタンパク質。そのようなタンパク質は、五量体化ドメインである可能性を有する。
他の好ましいタンパク質は、上文で定義したタンパク質(1)、(2)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)及び(16)であり、さらに
(21)少なくとも1つのaa(g)がAsp及びGluから選択され、以下のヘプタッドにおけるaa(e)がLys、Arg若しくはHisであり;且つ/又は
(22)少なくとも1つのaa(g)がLys、Arg及びHisから選択され、以下のヘプタッドにおけるaa(e)がAsp若しくはGluであり、且つ/又は
(23)少なくとも1つのaa(a〜g)がLys、Arg及びHisから選択され、配列における3若しくは4アミノ酸離れたaa(a〜g)がAsp若しくはGluである。アミノ酸aa(a〜g)のそのような対は、例えば、aa(b)及びaa(e)又はaa(f)である。
PCOILS(http://toolkit.tuebingen.mpg.de/pcoils; Gruber M.等、J. Struct. Biol. 2006、155巻(2号)、p.140-5)又はMULTICOIL(http://groups.csail.mit.edu/cb/multicoil/cgi-bin/multicoil.cgi)などのコイルドコイル予測プログラムは、コイルドコイル形成タンパク質配列を予測することができる。したがって、式(Ia)、(Ib)又は(II)の単量体構築ブロックにおいて、ND1、ND2、ND3及びND4は、コイルドコイル予測プログラムPCOILSにより14、21又は28のウインドウサイズのうちの少なくとも1つですべてのそのアミノ酸について0.9より高い確率でコイルドコイルを形成すると予測される2ヘプタッドリピートの長さの配列を少なくとも含むタンパク質である。
式(Ia)、(Ib)又は(II)のより好ましい単量体構築ブロックにおいて、ND1、ND2、ND3及びND4は、コイルドコイル予測プログラムPCOILSにより14、21又は28のウインドウサイズのうちの少なくとも1つですべてのそのアミノ酸について0.9より高い確率でコイルドコイルを形成すると予測される3ヘプタッドリピートの長さの少なくとも1つの配列を含むタンパク質である。
式(Ia)、(Ib)又は(II)の他のより好ましい単量体構築ブロックにおいて、ND1、ND2、ND3及びND4は、コイルドコイル予測プログラムPCOILSにより14、21又は28のウインドウサイズのうちの少なくとも1つですべてのそのアミノ酸について0.9より高い確率でコイルドコイルを形成すると予測される2ヘプタッドリピートの長さの少なくとも2つの別個の配列を含むタンパク質である。
公知のコイルドコイル配列は、RCSBタンパク質データバンク(http://www.rcsb.org)などのデータバンクから検索することができる。
最も好ましいのは、実施例で述べるコイルドコイル配列及び単量体構築ブロックである。
さらに他の好ましい実施形態において、1つのオリゴマー化ドメインND1、ND2、ND3又はND4は、バクテリオファージT4タンパク質フィブリチンの三量体化ドメイン(フォルドン)(Tao Y.等、Structure 1997、5: p.789-798)又はその誘導体である。この三量体化ドメインは、配列GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号3)を有する。このドメインのわずかな改変も想定される。
自己集合タンパク質ナノ粒子:LCMユニット
自己集合タンパク質ナノ粒子(SAPN)は、式(Ia)、(Ib)の単量体構築ブロック又は式(Ia)若しくは(Ib)の単量体構築ブロックと式(II)の単量体構築ブロックとの混合物から形成される。そのような構築ブロックが集合する場合、それらは、いわゆる「LCMユニット」を形成する。そのようなLCMユニットに集合する、単量体構築ブロックの数は、最小公倍数(LCM)により定義される。したがって、例えば、単量体構築ブロックのオリゴマー化ドメインが五量体(ND1)(m=5)及び二量体(ND2)(n=2)を形成する場合、10単量体がLCMユニットを形成する。リンカーセグメントLが適切な長さを有する場合、このLCMユニットは、球状タンパク質ナノ粒子の形態に集合し得る。
自己集合タンパク質ナノ粒子(SAPN)は、1つ又は複数のLCMユニットのみの集合により形成され得る(表2)。そのようなSAPNは、位相幾何学的に閉じた構造を示す。
正多面体
四面体、立方体、八面体、十二面体及び二十面体の5種の正多面体が存在する。それらは、異なる内部回転対称要素を有する。四面体は、2回及び3つの3回軸を有し、立方体及び八面体は、2回、3回及び4回回転対称軸を有し、十二面体及び二十面体は、2回、3回及び5回回転対称軸を有する。立方体では、これらの軸の空間配向は、八面体と正確に同じであり、また十二面体及び二十面体では、互いに対するこれらの軸の空間配向は、正確に同じである。したがって、本発明のSAPNの目的のために、十二面体及び二十面体は、同一であるとみなすことができる。十二面体/二十面体は、60個の同じ3次元構築ブロックから構築される(表2)。これらの構築ブロックは、多面体の非対称性ユニット(AUs)である。それらは、錐体であり、錐体の稜は、回転対称軸の1つに対応し、したがって、これらのAUsは、それらの稜において2回、3回及び5回対称要素を有する。これらの対称要素がタンパク質オリゴマー化ドメインから得られる場合、そのようなAUsは、上述のように単量体構築ブロックから構築される。2つのオリゴマー化ドメインND1及びND2又はND3及びND4をAUの2つの対称軸に沿って整列させれば十分である。これらの2つのオリゴマー化ドメインが安定なオリゴマーを形成する場合、第3の対称軸に沿った対称境界面が自動的に生じ、それは、この境界面に沿った相互作用、例えば、疎水性、親水性若しくはイオン性相互作用を最適化することにより、又はジスルフィド架橋のような共有結合により、安定化させることができる。
Figure 0006652500
正多面体対称を有する自己集合タンパク質ナノ粒子(SAPN)の集合
規則的形状(十二面体、二十面体、八面体、立方体)を有する自己集合タンパク質ナノ粒子(SAPN)を得るために、複数のLCMユニットが必要である。例えば、三量体及び五量体オリゴマー化ドメインを含むモノマーから二十面体を形成するために、それぞれ15個の単量体構築ブロックから構成される4つのLCMが必要である。すなわち、規則的形状を有するタンパク質ナノ粒子は、60個の単量体構築ブロックから構成されることとなる。2つのオリゴマー化ドメインのオリゴマー化状態の組合せが必要であり、2つの可能な多面体を形成するためのLCMユニットの数を表2に示す。
LCMユニットがさらに集合して、複数のLCMユニットから構成される正多面体を形成するかどうかは、2つのオリゴマー化ドメインND1及びND2又はND3及びND4の互いに対する幾何学的配置に、とりわけ2つのオリゴマー化ドメインの回転対称軸の間の角度に依存する。これは、主として、i)ナノ粒子における隣接ドメイン間の相互作用、ii)リンカーセグメントLの長さ、iii)個々のオリゴマー化ドメインの形状によって支配される。この角度は、正多面体における配置と比較してLCMユニットにおいてより大きい。また、この角度は、正多面体とは対照的に単量体構築ブロックにおいて同じでない。この角度が正多面体のより小さい値に制限され(2つのオリゴマー化ドメインの間の引力疎水性、親水性若しくはイオン性相互作用、又は共有結合性ジスルフィド架橋により)、リンカーセグメントLが十分に短い場合、それぞれが規定の数の単量体構築ブロックを含む所定の数のLCMユニットは、さらにアニールして、正多面体を形成する(表2)か、又はより多くの単量体構築ブロックを取り囲んで、多面体の厳密な内部の対称を欠くナノ粒子を形成する。
2つのオリゴマー化ドメインの間の角度が十分に小さい(二十面体対称を有する正多面体におけるものより小さい)場合、多数(数百)のタンパク質鎖がタンパク質ナノ粒子に集合し得る。そのような設計では、SAPNsは、「全五量体」ウイルス構造の準等価性理論又はウイルスキャプシドのタイリング理論(tiling theory)により記述された構造と同様に60タンパク質鎖の数倍に相当する分子量を有し得る。
好ましくは、フラジェリン含有ナノ粒子に含まれるべき抗原は、B細胞エピトープ及び/又はT細胞エピトープであり得、(a)癌細胞に対する免疫応答を誘導するのに適するタンパク質又はペプチド;(b)感染症に対する免疫応答を誘導するのに適するタンパク質、ペプチド又は炭水化物;(c)アレルゲンに対する免疫応答を誘導するのに適するタンパク質又はペプチド;(d)ヒト疾患の治療のための免疫応答を誘導するのに適するタンパク質又はペプチドホルモン;及び(e)依存症又は他の障害を治療するための免疫応答を誘導するのに適するハプテン分子からなる群から選択される。そのようなタンパク質、そのペプチド断片、ペプチド、炭水化物又はハプテンを含むタンパク質ナノ粒子は、ヒトにおける、あるいはまた家畜及び愛玩動物における免疫応答を誘導するのに適し得る。
さらなる態様において、本発明は、上で定義した式(Ia)又は(Ib)の単量体構築ブロックに関する。
他の態様において、本発明は、本明細書で述べるタンパク質ナノ粒子を含む組成物に関する。そのような組成物は、ワクチンとして特に適している。好ましいワクチン組成物は、水性緩衝液中タンパク質ナノ粒子を含み、例えば、糖由来賦形剤(グリセロール、トレハロース、スクロース若しくは同類のものなど)又はアミノ酸由来賦形剤(アルギニン、プロリン、グルタミン酸塩若しくは同類のものなど)又はアニオン、カチオン、非イオン性若しくは両性イオン界面活性剤(コール酸塩、デオキシコール酸塩、トゥイーン若しくは同類のものなど)又は溶液のイオン強度を調節するためのあらゆる種類の塩(NaCl、MgCl若しくは同類のものなど)をさらに含み得る。
他の態様において、本発明は、前述の有効量のタンパク質ナノ粒子を、そのようなワクチン接種を必要とする対象に投与することを含む、ヒト又は非ヒト動物にワクチン接種する方法に関する。
FLA−SAPN(フラジェリン含有自己集合タンパク質ナノ粒子)の設計
本発明によるFLA−SAPNの特定の例は、以下の構築物「FLA−SAPN−1a」及び「FLA−SAPN−2」である。
式(Ia)に対応するT81c−WRW−8RRVRA−D0−D1(FLJB_SALTY)(FLA−SAPN−1a)
MGHHHHHHASWRWDGGLVPRGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGMAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号4)
式(II)に対応するT81c−WRW−8RRVRA−T1BT(FLA−SAPN−2)
MGHHHHHHASEYLNKIQNSLSTEWSPSSVTGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGSGDPNANPNVDPNANPNVNANPNANPNANP(配列番号5)
そのような構築物は、以下の部分構築物から構成されている。
Figure 0006652500
精製を容易にするために、FLA−SAPN−1aは、式(Ia)又は(Ib)で定義するように以下の配列Xから始まるものであり、
MGHHHHHHASWRWDGGLVPRGS (配列番号6)
これは、ニッケルアフィニティー精製のためのHisタグ及びDNAレベルでのさらなるサブクローニングのための制限部位(Ncol、Nhel、BamHI)を含む。
ND1については、五量体化ドメインを選択した(m=5)。特定の五量体コイルドコイルは、トリプトファンジッパー五量体化ドメインの新規修飾である(Liu J.等、Proc Natl Acad Sci USA 2004; 101(46): p.16156-61、pdb-entry 1T8Z)。
原初のトリプトファンジッパー五量体化ドメインは、以下の配列を有する。
SSNAKWDQWSSDWQTWNAKWDQWSNDWNAWRSDWQAWKDDWARWNQRWDNWAT(配列番号12)。
FLA−SAPN−1aに用いた五量体化ドメインの修飾コイルドコイル配列は、13位で始まり、49位で終わり、C末端においてわずかな配列変異(NQRWDの代わりにRALWM)を含むが、原初の配列(配列番号12)におけるトリプトファン残基のヘプタッドリピートパターンを保持している。
13−WQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWM−49(配列番号7)。
この配列は、2つのグリシン残基の短いリンカーL1(GG)により延長され、次に、極めて安定なコイルドコイル三量体である、以下の配列の三量体化ドメインND2と連結される。
RLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARG(配列番号8)
三量体は、SDS−PAGEの完全に変性条件下でさえも形成されることが示された(図5)。それは、最適化三量体コイルドコイルの傾向を有するPADRE配列の誘導体である、pan−DR結合HTLエピトープストリングRFVAAWTLRVRAも含む。
FLA−SAPN−1aにおいて、式1aの「FLA」部分は、以下の配列を有するネズミチフス菌フラジェリンのD0及びD1ドメイン(米国特許第8420102号におけるような)から構成されている。
MAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号9)
この設計は、タンパク質発現、精製及び生物物理学的解析に用いた以下の配列をもたらす。
MGHHHHHHASWRWDGGLVPRGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGMAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号4)
FLA−SAPN−1a単量体のモデルを図1Cに示す。
対応する構築物「FLA−SAPN−2」は、以下の通りである。
精製を容易にするために、FLA−SAPN−2は、式(II)で定義するように以下の配列Yから始まるものであり、
MGHHHHHHASEYLNKIQNSLSTEWSPSSVTGS(配列番号10)
これは、ニッケルアフィニティー精製のためのHisタグ、セリンにより置換された1つのシステインを含む、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の以下のCSタンパク質由来のT細胞エピトープ配列T1BT(Calvo-Calle J.M.、Infection and immunity 2006:p.6929-6939)
EYLNKIQNSLSTEWSPSSVT(配列番号13)
及びDNAレベルでのさらなるサブクローニングのための制限部位(Ncol、Nhel、BamHI)を含み、したがって、FLA−SAPN−1aの「X」と多少異なっている。
FLA−SAPN−2におけるND3は、適切な共集合を保証するためにFLA−SAPN−1aにおけるND1と完全に同一である。
13− WQTWNAKWDQWSNDWNAWRSDWQAWKDDWARWRALWM−49(配列番号7)。
次いで、この配列は、これもFLA−SAPN−1aと同じである、2つのグリシン残基の短いリンカーL2(GG)により延長される。
FLA−SAPN−2において、次にリンカーを以下の配列の三量体化ドメインND4に連結させる。
RLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARG(配列番号8)
これは、FLA−SAPN−1aにおけるのと正確に同じであり、したがって、ナノ粒子FLA−SAPN−1a及びFLA−SAPN−2のコアND1−L1−ND2及びND3−L2−ND4は、完全に同一であり、リフォールディング時の2つのタンパク質鎖の適切な共集合を保証する。
FLA−SAPN−2において、式(II)の「Z」部分は、3リピート(NANP)及び天然CSタンパク質配列に存在するそのいくつかの修飾(DPNANPNVDPNANPNV、配列番号14)を含み、免疫応答が生じる、B細胞エピトープである、熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイト周囲タンパク質(CSP)のリピート領域から構成されている。それは、以下の配列SGにより粒子に連結される。
SGDPNANPNVDPNANPNVNANPNANPNANP(配列番号11)
この設計は、タンパク質発現、精製及び生物物理学的解析に用いた以下の配列をもたらす。
MGHHHHHHASEYLNKIQNSLSTEWSPSSVTGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGSGDPNANPNVDPNANPNVNANPNANPNANP(配列番号5)
FLA−SAPN−2単量体のモデルを図1Cに示す。
T=1二十面体対称を仮定した、1:59の比率のFLA−SAPN−1a及びFLA−SAPN−2から共集合するナノ粒子のモデルを図1Cに示す。
48:12の比率で共集合したFLA−SAPN−1a及びFLA−SAPN−2タンパク質のEM写真を図4に示す。
実施例1−クローニング
ナノ粒子構築物をコードするDNAは、標準的な分子生物学の手順を用いて作製した。タンパク質配列LONG−D2−D1−oriをコードするDNAを含むプラスミド
MGHHHHHHASWRWDGGLVPRGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGSGSSARLSDLEANNAVKGESKITVNGAEYTANATGDKITLAGKTMFIDKTASGVSTLINEDAAAAKKSTANPLASIDSALSKVDAVRSSLGAIQNRFDSAIGSRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELSVQATNGTNSDSDLKSIQDEIQQRLEEIDRVSNQTQFNGVKVLSQDNQMKIQVGANDGETITIDLQKIDVKSLGLDGFNVNGPKEATVGDLKSSFKNVTGYDTYAAGADKYRVDINSGAV(配列番号15)
は、図3の基本SAPN発現構築物のNcoI/EcoRI制限部位にクローニングすることにより構築した。
この構築物については、2種の構築物の混合/共集合ステップは存在しない。ワクチン免疫原は、ニコチンなどのワクチンエピトープを、フラジェリン誘導体を既に組み込んだ担体に、リシン残基に優先的に共有結合させることによって得られる。
この構築物は、panDR結合CD4エピトープストリングERFVAAWTLRVRAL(配列番号16)を含む三量体新規設計コイルドコイル(ND2)に、2つのグリシン残基(GG)により連結された五量体コイルドコイルトリプトファンジッパー(ND1)から構成されている。この構築物はN末端にHisタグ及びトロンビン切断部位(X)を含む。このX−ND1−L1−ND2コア構造は、上文で詳細に記載されている。C末端には、pdbコード3V47(RCSBタンパク質データバンク)の構造由来のサルモネラ属(Salmonella)フラジェリンのD1及びD2ドメインから構成されているフラジェリン構築物(FLA)が結合している。D1及びD2ドメインの部分を含む残基348〜447は、逆の方向にやはりD1及びD2の部分を含む残基24〜214に、単一グリシン残基により連結されている。この設計は、D1ドメインがナノ粒子の外表面に提示され、TLR5結合部位がナノ粒子の表面に露出するようにフラジェリンD1及びD2分子をナノ粒子に結合させるものである(図2a)。図2と対照的に、新規設計コイルドコイルND2は、三量体コイルドコイルである。
実施例2−発現
プラスミドをアンピシリンを含むLuriaブロス中で37℃で増殖させた大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)細胞に移入して形質転換を起こさせた。発現は、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシドにより誘導した。誘導の4時間後に、細胞を37℃から除去し、4000×gで15分間の遠心分離により収集した。細胞ペレットを−20℃で保存した。ペレットを氷上で解凍し、9M尿素、100mM NaHPO、10mMトリスpH8、20mMイミダゾール及び0.2mMトリス−2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)からなる溶解緩衝液に懸濁した。
あるいはKRX細胞などの、他の細胞株も発現のために用いることができる。KRX細胞においては、発現は、Amp(100μg/mL)及びグルコース(0.4%)を含み37度のO/N前培養を用いたKRX細胞の早期自動誘導プロトコールにより行うことができる。O/N前培養を1:100に、Amp(100μg/mL)、グルコース(0.05%)及びラムノース(0.1%)を含む発現培養に希釈し25℃で24時間(培養した)。タンパク質発現レベルをドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により評価し、図5に示す。構築物は、SDS−PAGEの変性条件下でさえも単量体、三量体及び四量体を形成する。
実施例3−精製
細胞を超音波処理により溶解し、溶解物を30500×gで45分間遠心分離することにより透明にした。透明溶解液をNi−NTAアガロースビーズ(Qiagen、Valencia、CA、USA)とともに少なくとも1時間インキュベートした。カラムを溶解緩衝液で、次いで9M尿素、500mM NaHPO、10mMトリスpH8、20mMイミダゾール及び0.2mM TCEPを含む緩衝液で洗浄した。タンパク質は、pH勾配:9M尿素、100mM NaHPO、20mMクエン酸、20mMイミダゾール及び0.2mM TCEPにより溶出した。その後の洗浄は、pH6.3、5.9及び4.5で行った。pH勾配後、イミダゾール濃度を増加させることによる溶解緩衝液の勾配を用いて、タンパク質をさらに溶出した。純度は、図5に示すようにドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により評価した。
実施例4−リフォールディング
リフォールディングのためにタンパク質を次の条件に再緩衝した(rebuffered):9M尿素、20mMトリスpH8.5、50mM NaCl、5%グリセロール、2mM EDTA。第1のスクリーンの迅速なリフォールディングのために、1.8mg/mlの濃度を有する4μlの溶液を表3に示す緩衝液に0.05mg/mlの最終濃度まで加えた。次いで、溶液を逆染色透過型電子顕微鏡法により種々の解像度で解析した。
Figure 0006652500
MES=2-モルホリノエタンスルホン酸
HEPES=2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸
TRIS=2-アミノ-2-ヒドロキシメチルプロパン-1,3-ジオール
必要な場合、リフォールディング条件を最適化するためのさらなるスクリーンは、pH及びイオン強度のより小さいサンプリングサイズを用いて実施することができる。さらに、トレハロース、スクロース、アルギニン、プロリン又はその他などの賦形剤を加えることができ、あるいは必要な場合、コール酸塩、デオキシコール酸塩、トィーン−80又はその他などの界面活性剤を加えることができる。LONG−D2−D1−oriについては、リフォールディングのさらなる最適化は必要でなく、リフォールディング条件は、pH8.5、50mM NaCl、20mMトリス、5%グリセロールであった。リフォールディング後の種々の解像度でのLONG−D2−D1−oriのEM写真は、十分なナノ粒子形成を示している(図6)。
実施例5−TKR5経路活性化アッセイI
Toll様受容体5(TLR5)に対するLONG−D2−D1−oriのアゴニスト活性をTLR5/SEAPorter HEK293細胞(IMGENEX、カタログ番号IML−105)を用いて試験し、活性LONG−D2−D1−oriのEC50を評価した。IML−105細胞株を1ウェル当たり5×10細胞で96ウェルプレートに16時間平板培養した。細胞を様々な濃度(0.01〜1000ng/ml)の各試験試料、陽性コントロール(IMGENEXフラジェリン、カタログ番号IMG−2205)又は溶媒コントロール(各対応する緩衝液)で2連で24時間処理した。次いで各ウェルの細胞培養培地を1:2に希釈し、96ウェルマイクロタイタープレートに2連で移し、連続希釈分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)標準も2連で加えた。プレートを65℃で30分間インキュベートして、任意の内因性アルカリホスファターゼを不活性化した。次いでホスファターゼ基質を各ウェルに加え、室温で30分間インキュベートした。405nmで読み取ることによりプレートを解析し、用量反応活性評価及びEC50評価を準備した(図7A)。
TLR5アゴニスト活性は、ネズミチフス菌の陽性コントロールフラジェリンの0.29ng/mlと比較して12.59ng/mlの計算EC50値が示されたことから中等度に高かった。
実施例6−TLR5経路活性アッセイII
T81c−WRW−8RRVRA−D0−D1(FLJB_SALTY)と称される式(Ia)の化合物:
MGHHHHHHASWRWDGGLVPRGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGMAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号4)
T81c−WRW−8RRVRA−T1BT(FLA−SAPN−2)と称される式(II)の化合物:
MGHHHHHHASEYLNKIQNSLSTEWSPSSVTGSWQTWNARWDQWSNDWNAWRSDWQAWRDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELERRLEELERFVAAWTLRVRALERRLEELERRIEEIARGSGDPNANPNVDPNANPNVNANPNANPNANP(配列番号5)
これらの2つの共集合鎖は、上文で詳細に記載されている。式(Ia)及び(II)の両方で同じである、すなわち、ND3−L2−ND4と同じである、ND1−L1−ND2コア構造も実施例1におけるものと同じである。鎖1(式Ia)においては、FLA部分は、フラジェリンのD0及びD1ドメインから構成されているが、実施例1と異なる系統に由来する。鎖2におけるY及びZ置換部分は、T1BTT細胞エピトープ及びB細胞エピトープとしての熱帯熱マラリア原虫のCSタンパク質由来のNANPリピート領域由来の28残基長配列である。
2つの鎖のクローニング、発現、精製及びリフォールディングは、実施例1、2、3及び4で述べたプロトコールに実質的に従う。これらの共集合ナノ粒子のリフォールディング条件は、pH7.5、50mM NaCl、20mM HEPES、5%グリセロールである。共集合ナノ粒子のEM写真を図4Aに示す。
TLR5アゴニストとしての用量反応活性評価及びEC50評価は、実施例5で述べたプロトコールに従って実施した。TLR5アゴニスト活性は、ネズミチフス菌の陽性コントロールフラジェリンの0.29ng/mlと比較してわずか0.0901ng/mlの計算EC50値が示されたことから非常に高かった(図7B)。したがって、これらのナノ粒子は、非常に強いTLR5活性化を誘導するものであり、これは、フラジェリン含有鎖が12:48のモル比でしか存在していなにも関わらず、天然フラジェリンより約3倍強い。用量反応曲線は、ベル型の曲線であるように思われ、したがって、フラジェリンのより高い濃度では免疫応答が低下している。最適濃度は、約50ng/mlである。
実施例7−TLR5経路活性アッセイIII
PD52−2i88−PANDORA−D2−D1−oriと称される式(Ia)の化合物:
MGHHHHHHASGSWEKWNAKWDEWKNDWNDWRRDWQAWVDDWAYWTLTWKYGELYSKLAELERRNEELERRLEELARFVAALSMRLAELERRNEELARGSGSSARLSDLEANNAVRGESKITVNGAEYTANATGDRITLAGRTMFIDRTASGVSTLINEDAAAARRSTANPLASIDSALSRVDAVRSSLGAIQNRFDSAIGSKNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELSVQATNGTNSDSDLRSIQDEIQQRLEEIDRVSNQTQFNGVKVLSQDNQMKIQVGAKDGETITIDLQKIDVKSLGLDGFNVNGPREATVGDLRSSFRNVTGYDTYAAGADRYRVDINSGAV(配列番号17)
PD52−2i88−PANDORA−Noroと称される式(II)の化合物:
MGHHHHHHASGSWEKWNAKWDEWKNDWNDWRRDWQAWVDDWAYWTLTWKYGELYSKLAELERRNEELERRLEELARFVAALSMRLAELERRNEELARGSGSTVEQKTRPFTLPNLPLSSLSNSRAPLPISSMGISPDNVQSVQFQNGRCTLDGRLVGTTPVSLSHVAKIRGTSNGTVINLTELDGTPFHPFEGPAPIGFPDLGGCDWHINMTQFGHSSQTQYDVDTTPDTFVPHLGSIQANGIGSGNYVGVLSWISPPSHPSGSQVDLWKIPNYGSSITEATHLAPSVYPPGFGEVLVFFMSKMPGPGAYNLPCLLPQEYISHLASEQAPTVGEAALLHYVDPDTGRNLGEFKAYPDGFLTCVPNGASSGPQQLPINGVFVFVSWVSRFYQLKPVGTAS(配列番号18)
これらの2つの共集合鎖PD52−2i88−PANDORA−D2−D1−ori及びPD52−2i88−PANDORA−Noroは、式(Ia)及び式(II)の両方における同じコア構造を有する。すなわち、ND1−L1−ND2がND3−L2−ND4と同じである。PD52−2i88−PANDORA−D2−D1−ori(式Ia)において、FLA部分は、フラジェリンのD2及びD1ドメインから構成されている。オリゴマー化ドメインND2(又はND4、それぞれ)は、二量体コイルドコイルを形成するように設計されている。B細胞エピトープ(Z)並びにフラジェリン(FLA)の形態の両方が二量体タンパク質であるため、これは重要である。共集合比率は、5:55である。
PD52−2i88−PANDORA−Noro(式II)における置換部分Y及びZは、それぞれHisタグ及びリンカーGSGSによりND4に連結されたノロウイルスのPタンパク質由来の298残基長配列である。この配列は、ノロウイルスHu/1968/USのP2サブドメインに対応し(Jiang X.等、195(1):p.51-61)、そのX線結晶構造に対応するpdbエントリーコードは1IHMである。それは、Pドメインである残基223〜520(10個のC末端残基521〜530を欠く。その理由は、これらの10残基がX線結晶構造において無秩序であり、高度に正に荷電しているためである)、及びPrasad B.V.V.等、Science 1999; 286:p.287-290により示された命名法によるSドメインのC末端の3アミノ酸である。トレオニン223残基は、コンピュータ視覚化プログラムによってnoro−SAPNへの結合点として注意深く選択された。その理由は、それがウイルスキャプシドの結晶構造における2回軸にわたる鎖の間の最近接点であるためである。
2つの鎖のクローニング、発現、精製及びリフォールディングは、実施例1、2、3及び4で述べたプロトコールに実質的に従う。これらの共集合ナノ粒子のリフォールディング条件は、pH6.8、80mM NaCl、20mM MES、5%グリセロールである。共集合(比率5:55)ナノ粒子のEM写真を図4Cに示す。
TLR5アゴニストとしての用量反応活性評価及びEC50評価は、実施例5で述べたプロトコールに従って実施した。TLR5アゴニスト活性は、ネズミチフス菌の陽性コントロールフラジェリンの0.29ng/mlと比較して17.66ng/mlの計算EC50値が示されたことから中等度に高かった(図7C)。
実施例8−免疫原性I
T81c−8−D0−D1(Eurogentec 0)と称される式(Ia)の化合物:
MGHHHHHHASWKWDGGLVPRGSWQTWNAKWDQWSNDWNAWRSDWQAWKDDWARWRALWMGGRLLLRLEELERRLEELAKFVAAWTLKAAAVDLELAALRRRLEELARGNTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDGGENPLQKIDAALAQVDTLRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLTSVRSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQN(配列番号19)
T81c−8−Pfと称される式(II)の化合物:
MGHHHHHHASWKWDGGLVPRGSWQTWNAKWDQWSNDWNAWRSDWQAWKDDWARLRALLMGGRLLLRLEELERRLEELAKFVAAWTLKAAAVDLELAALRRRLEELARGGSGANANPNANPNANPNANP(配列番号20)
これらの2つの共集合鎖は、実施例6で述べたものと類似している。YにおけるT1BTT細胞エピトープが存在せず、Zにおける熱帯熱マラリア原虫由来のCSタンパク質のリピート領域由来のB細胞エピトープは、16残基長であるにすぎない。三量体コイルドコイル(ND2及びND4)は、panDR結合エピトープPADREを含む。鎖1(式Ia)においては、FLA部分は、フラジェリンのD0(残基6〜171)及びD1(残基229〜312)ドメインから構成されているが、実施例1及び6におけるものと再び異なる系統である、ネズミチフス菌(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Typhimurium)のフェーズIフラジェリン中間ドメイン変異体C150に由来する。D0とD1は、2つのグリシン残基により連結されている。
2つの鎖のクローニング、発現、精製及びリフォールディングは、実施例1、2、3及び4で述べたプロトコールに実質的に従う。この種の共集合ナノ粒子のリフォールディング条件は、pH8.5、50mM NaCl、20mMトリス、5%グリセロールである。3:57の比率の共集合ナノ粒子のEM写真を図4Bに示す。
7匹のC57BI/6マウスの群にそれぞれ2週間の間隔をあけた3回の注射で10μg又は1μgを用いてi.p.で免疫付与処置した。免疫原は、T81c−8−Pf(式II)単独又は3:57及び9:51の2種の共集合比率のT81c−8−D0−D1(式Ia)及び81c−8−Pf(式II)の共集合体であった。言い換えると、ナノ粒子のT1二十面体対称を仮定すると、ナノ粒子当たりゼロ個又は3個又は9個のD0−D1分子を含む3種の免疫原が存在していた。3回目の注射後の抗体力価をELISAにより測定し、図8Aに示す。免疫応答の飽和があるように思われ、3:57の共集合比率での1μg(合計約20ngのフラジェリンに相当する)が、D0−D1ドメインを含まないナノ粒子と比較して抗体力価を約9倍増加させる。9:51の共集合比率での10μgのより高い用量(合計約2μgのフラジェリンに相当する)は、実際、D0−D1ドメインを含まないナノ粒子と比較して免疫応答を多少低下させる。
実施例9−免疫原性II
DIM−D0−D1(Eurogentec 1)と称される式(Ia)の化合物:
MGHHHHHHASGSWEEWNARWDEWENDWNDWREDWQAWRDDWARWRATWMGGRLLSRLERLERRNEELRRLLQLLRNRLERLAQFVRALSMQNAELERRLEELARGMAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号21)
DIM−D2−D1−tip3_NIC−peptと称される式(II)の化合物:
MGHHHHHHASGSWEEWNARWDEWENDWNDWREDWQAWRDDWARWRATWMGGRLLSRLERLERRNEELRRLLQLLRNRLERLAQFVRALSMQNAELERRLEELARGSGSSARLSDLEANNAVRGESKITVNGAEYTANATGDRITLAGRTMFIDRTASGVSTLINEDAAAARRSTANPLASIDSALSRVDAVRSSLGAIQNRFDSAKAKKKDGKDDKDSKNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELSVQATNGTNSDSDLRSIQDEIQQRLEEIDRVSNQTQFNGVKVLSQDNQMKIQVGAKDGETITIDLQKIDVKSLGLDGFNVNGPREATVGDLRSSFRNVTGYDTYAAGADRYRVDINSGAV(配列番号22)
実施例5及び実施例6によれば、フラジェリン誘導体は、そのD2−D1形よりもそのD0−D1形において免疫原性が高いと思われる。したがって、D0−D1形は、D2−D1形のフラジェリンを有する免疫原の免疫原性を増加させるためのTLR5アゴニストとして用いることができる。したがって、この実施例では配列D0−D1
MAQVINTNSLSLLTQNNLNKSQSALGTAIERLSSGLRINSAKDDAAGQAIANRFTANIKGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVKVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLKQINSQTLGLDSLNVHGAPVDPASPWTENPLQKIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号23)
は、式(Ia)における「FLA」に対応し、一方、D2−D1−tip3
SARLSDLEANNAVRGESKITVNGAEYTANATGDRITLAGRTMFIDRTASGVSTLINEDAAAARRSTANPLASIDSALSRVDAVRSSLGAIQNRFDSAKAKKKDGKDDKDSKNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELSVQATNGTNSDSDLRSIQDEIQQRLEEIDRVSNQTQFNGVKVLSQDNQMKIQVGAKDGETITIDLQKIDVKSLGLDGFNVNGPREATVGDLRSSFRNVTGYDTYAAGADRYRVDINSGAV(配列番号24)
は、式(II)における「Z」に対応する。D2−D1−tip3におけるこの配列「Z」は、D2ドメインが上述のようにフラジェリンのD1ドメインと組み合わされているフラジェリンの修飾である。さらに、D2−D1−tip3のタンパク質足場は、ニコチン抗原の提示のための担体として用いる。タンパク質足場への活性化ニコチンの共有結合を可能にするために、表面に露出しているアルギニンをリシンに突然変異させると同時に、表面に露出していないリシン側鎖をアルギニンに突然変異させる。タンパク質配列の第一級アミンへの活性化ニコチンの共有結合により、ニコチンがナノ粒子の表面上に提示される。さらに、ナノ粒子の最外表面にニコチン分子を提示するために、D2−D1タンパク質は、高密度のリシンを含む分子の最も露出した部分(図2A)に配列KAKKKDGKDDKD(配列番号25)をいわゆる「tip3」として有する。したがって、リシン側鎖へのニコチンの共有結合は、ナノ粒子の表面におけるニコチン分子の高密度提示を可能にする。
DIM−D0−D1及びDIM−D2−D1−tip3_NIC−peptのコア(すなわち、ND1−L1−ND2及びND3−L2−ND4)は、同一であり、特に、オリゴマー化ドメインND2及びND4は、それぞれ、二量体コイルドコイルを形成するように設計されている。これにより、フラジェリン分子(何れかの形の)を、二量体TL5受容体と相互作用する状態である、二量体として提示することが可能となる(図2B)。
2つの鎖のクローニング、発現、精製及びリフォールディングは、実施例1、2、3及び4で述べたプロトコールに実質的に従う。この種の共集合ナノ粒子のリフォールディング条件は、pH7.0、50mM NaCl、20mM HEPES、5%グリセロールである。5:55の比率の共集合ナノ粒子のEM写真を図4Dに示す。
7匹のC57BI/6マウスの群にそれぞれ2週間の間隔をあけた3回の注射で10μgを用いてi.p.で免疫付与処置した。免疫原は、5:55の共集合比率のDIM−D0−D1(式Ia)及びDIM−D2−D1−tip3_NIC−pept(式II)の共集合体又は同じ活性化ニコチン分子が結合していた標準担体KLH(スカシガイヘモシアニン)であった。KLHは、ジャイアントキーホールリンペットの血リンパに見いだされ、免疫付与実験における抗原の担体として頻繁に用いられる大きなマルチサブユニットの酸素運搬メタロプロテインである。3回目の注射後の抗体力価をELISAにより測定し、図8Bに示す。TLR5アゴニストを含むこの種のナノ粒子免疫原の抗体力価は、その表面上に同じ抗原(ニコチン)を提示する標準KLH担体の力価と比較して有意に高い。
実施例10−免疫原性III
DEDDLと称される式(Ia)の化合物:
MGDKHHHHHHKDGSDKGSWEEWNARWDEWENDWNDWREDWQAWRDDWARWRATWMGGRLLSRLERLERRNEELRRLLQLLRNRLERLAQFVRALSMQNAELERRLEELARGMAQVINTNSLSLLTQNNLNRSQSALGTAIERLSSGLRINSARDDAAGQAIANRFTANIRGLTQASRNANDGISIAQTTEGALNEINNNLQRVRELAVQSANSTNSQSDLDSIQAEITQRLNEIDRVSGQTQFNGVRVLAQDNTLTIQVGANDGETIDIDLRQINSQTLGLDQLNVQQKYKDGDKGDDKTENPLQRIDAALAQVDALRSDLGAVQNRFNSAITNLGNTVNNLSEARSRIEDSDYATEVSNMSRAQILQQAGTSVLAQANQVPQNVLSLLR(配列番号26)
このナノ粒子タンパク質鎖は、実施例8におけるように、ネズミチフス菌のフェーズIフラジェリン中間ドメイン変異体C150に由来する修飾D0−D1ドメインを「FLA」として含む。この配列内のすべてのリシン残基は、アルギニンにより置換されている。D0及びD1ドメインは、分子の共有結合のための結合部位としての4個のリシンを含む、アミノ酸配列KYKDGDKGDDK(配列番号1)により連結されている。
三量体コイルドコイル(ND2)は、panDR結合配列ELRRLLQLLRNRLERLAQFVRALSMQNA(配列番号27)を含む。置換部分「X」は、6個のアミノ酸のhisタグを含み、3個のリシン残基は、分子の共有結合のため配列全体にわたりほぼ均等に分布している。またN末端は、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)化学による共有結合に適する。
タンパク質鎖のクローニング、発現及び精製は、実施例1、2及び3で述べたプロトコールに実質的に従う。
カップリング反応のための緩衝液の交換の前に、アフィニティー精製によるプールした溶出画分を5mM EDTAとともに少なくとも1時間インキュベートして、浸出する可能性のあるニッケルイオンをすべてキレート化した。次いでHiPrep 26/10脱塩カラムを用いて緩衝液を交換した。カラムを5カラム容積の次のカップリング緩衝液:6Mグアニジウム塩酸塩、150mM NaCl、20mM HEPES pH7.2と平衡化させた後、試料をカラムに結合させた。溶出ステップは、2カラム容積の緩衝液を用いて実施した。
NHS−ニコチン(ニコチン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)のカップリングは、0.24μmolのタンパク質に相当する11.1mgのタンパク質(2.5mL容積)を用いて1:50のモル比(DEDDL:NHS−ニコチン)で行った。NHS−ニコチン(5mg)を12.8μmolに相当する150μlの100%DMSOに溶解した。50倍のモル過剰のNHS−ニコチンのために12μmolに相当する141μLのこのNHS−ニコチン溶液をタンパク質に加えた。カップリング反応物を暗所で(アルミニウムフォイルで被覆)3時間インキュベートし、磁気撹拌機で撹拌した。
非結合NHS−ニコチンを除去し、緩衝液を前リフォールディング緩衝液に交換するための次の緩衝液交換ステップにおいて、PDミニトラップG−25充填カラムを用いて、以下の条件に再緩衝した:8M尿素、20mMトリスpH8.5、150mM NaCl及び10%トレハロース。
タンパク質のリフォールディングは、実施例4で述べたプロトコールに実質的に従った。特に8mgの結合Nic−DEDDLタンパク質(ニコチンに結合したDEDDLタンパク質、3.35mg/mLの2.4mLのタンパク質溶液)を158.4mLのリフォールディング緩衝液(20mM HEPES pH7.0、150mM NaCl、10%トレハロース)に撹拌しながら1滴ずつ加えた。目的とした最終タンパク質濃度は、0.05mg/mLであった。リフォールディング反応は、10分間の総時間にわたって行わせた。リフォールディングされたNic−DEDDLナノ粒子を図9に示す。
3匹のC57BI/6マウスの群に、それぞれ1週間の間隔をあけた3回の注射で、10μgのNic−DEDDL、又は陽性コントロールとしての10μgのNic−KLH(スカシガイヘモシアニンに結合させたニコチン)を用いてs.c.で免疫付与処置した。0日目(すなわち、最初の注射の前)とその後の毎回の注射の1週間後(7、14及び21日目)における抗体力価をELISAにより測定し、図10に示す。これらの実験から、Nic−DEDDLは、高度に免疫原性であり、Nic−KLHと比較して30倍以上良好な抗体誘導を示すことが明らかにされた。3回のみの免疫付与処置後の最大値は、163840に近い力価である。

Claims (15)

  1. タンパク質オリゴマー化ドメインND1、リンカーL1、タンパク質オリゴマー化ドメインND2、FLA、及びさらなる置換部分Xを含む連続鎖からなる以下の式(Ia)又は(Ib)
    X−ND1−L1−ND2−FLA (Ia)又は FLA−ND1−L1−ND2−X (Ib)
    の複数の構築ブロック(式中、
    ND1は、m個のND1サブユニットの(ND1)mオリゴマーを形成するタンパク質であり、
    ND2は、n個のND2サブユニットの(ND2)nオリゴマーを形成するタンパク質であり、
    m及びnは、それぞれ2と10の間の数であり、ただし、mは、nと等しくなく、nの倍数でなく、nは、mの倍数でなく、
    L1は、結合、又は短い柔軟なリンカーであり、
    FLAは、フラジェリンであるか、あるいは、
    ラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが少なくともTLR5結合ドメインD1を含むフラジェリンの誘導体であって
    ラジェリンのD2及びD3ドメインから選択される1又は複数のドメインは、2つの末端を連続ペプチド鎖に再結合させることによりフラジェリンアミノ酸配列から除去されており、且つ/又は1〜20個のアミノ酸が他のアミノ酸により置換されており、且つ/又は直接結合した若しくは1〜20個のアミノ酸を含むリンカーを介して結合した抗原をさらに含む、
    フラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが少なくともTLR5結合ドメインD1を含むフラジェリンの誘導体であり、
    Xは、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)の凝集体からなる自己集合タンパク質ナノ粒子であって、
    タンパク質オリゴマー化ドメインND3、リンカーL2、タンパク質オリゴマー化ドメインND4、並びにさらなる置換部分Y及びZを含む連続鎖からなる以下の式(II)
    Y−ND3−L2−ND4−Z (II)
    の複数の構築ブロック(式中、
    ND3は、y個のND3サブユニットの(ND3)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
    ND4は、z個のND4サブユニットの(ND4)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
    y及びzは、それぞれ2と10の間の数であり、ただし、yは、zと等しくなく、zの倍数でなく、zは、yの倍数でなく、
    ND3がND1と同一であるか、又はND4がND2と同一であるか、又はND3及びND4の両方がそれぞれND1及びND2と同一であり、
    L2は、結合であるか、又はL1と異なるか、若しくはL1と同一であってもよい短い柔軟なリンカーであり、
    Y及びZは、互いに独立に、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)と共集合していてもよい自己集合タンパク質ナノ粒子。
  2. 以下の式(II)
    Y−ND3−L2−ND4−Z (II)
    の複数の構築ブロックと共集合した、
    以下の式(Ia)又は(Ib)
    X−ND1−L1−ND2−FLA (Ia)又は FLA−ND1−L1−ND2−X (Ib)
    の複数の構築ブロックの凝集体からなる、請求項1に記載のタンパク質ナノ粒子。
  3. ND1及びND2のうちの少なくとも1つ並びにND3及びND4のうちの少なくとも1つがコイルドコイルである、請求項1に記載のタンパク質ナノ粒子。
  4. X、Y及びZのうちの少なくとも1つが目的の抗原である、請求項1から3の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子。
  5. フラジェリン誘導体が目的の抗原を含む、請求項1から4の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子。
  6. 式(Ia)の構築ブロックにおけるn又は式(Ib)の構築ブロックにおけるmが2である、請求項1から5の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子。
  7. FLAが、フラジェリンのD2部分において、nが2である式(Ia)におけるオリゴマー化ドメインND2に、又はmが2である式(Ib)におけるオリゴマー化ドメインND1に連結されている、請求項6に記載のタンパク質ナノ粒子。
  8. ND1、ND2、ND3及びND4のうちの少なくとも1つがコイルドコイルである、請求項1から7の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子。
  9. ND1、ND2、ND3及びND4のうちの少なくとも1つがバクテリオファージT4タンパク質フィブリチンの三量体化ドメインである、請求項1から8の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子。
  10. 請求項1から9の何れか一項に記載のタンパク質ナノ粒子を含む組成物。
  11. タンパク質オリゴマー化ドメインND1、リンカーL1、タンパク質オリゴマー化ドメインND2、FLA、及びさらなる置換部分Xを含む連続鎖からなる以下の式(Ia)又は(Ib)
    X−ND1−L1−ND2−FLA (Ia)又は FLA−ND1−L1−ND2−X (Ib)
    の単量体構築ブロック(式中、
    ND1は、m個のND1サブユニットの(ND1)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
    ND2は、n個のND2サブユニットの(ND2)オリゴマーを形成するタンパク質であり、
    m及びnは、それぞれ2と10の間の数であり、ただし、mは、nと等しくなく、nの倍数でなく、nは、mの倍数でなく、
    L1は、結合、又は短い柔軟なリンカーであり、
    FLAは、フラジェリンであるか、あるいは、
    ラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが少なくともTLR5結合ドメインD1を含むフラジェリンの誘導体であって
    ラジェリンのD2及びD3ドメインから選択される1又は複数のドメインは、2つの末端を連続ペプチド鎖に再結合させることによりフラジェリンアミノ酸配列から除去されており、且つ/又は1〜20個のアミノ酸が他のアミノ酸により置換されており、且つ/又は直接結合した若しくは1〜20個のアミノ酸を含むリンカーを介して結合した抗原をさらに含む、
    フラジェリンアミノ酸配列の一部を欠くが少なくともTLR5結合ドメインD1を含むフラジェリンの誘導体であり、
    Xは、存在しないか、又は1〜1000個のアミノ酸を含むペプチド若しくはタンパク質配列である)。
  12. 請求項1から9の何れか一項に記載の有効量のタンパク質ナノ粒子を、そのようなワクチン接種を必要とする対象に投与することを含む、非ヒト動物にワクチン接種する方法。
  13. 請求項1から9の何れか一項に記載の有効量のタンパク質ナノ粒子を含む、ヒト又は非ヒト動物へのワクチン接種のための組成物。
  14. 請求項1から9の何れか一項に記載の有効量のタンパク質ナノ粒子を含む、ヒト又は非ヒト動物のためのワクチン。
  15. 請求項1から9の何れか一項に記載の有効量のタンパク質ナノ粒子を含む、ヒト又は非ヒト動物のためのアジュバント。
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