JP6651341B2 - ベーパー回収装置 - Google Patents

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Description

本発明は、揮発性燃料液体を貯留する貯液タンクに付設され、貯液タンクから放出される燃料蒸気(ベーパー)を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離・回収して、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから外部へ放出するベーパー回収装置に関する。
特許文献1には、燃料供給施設の貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体を、シリカゲル等の吸着剤が充填されている吸着槽に導入し、燃料蒸気成分(ガソリン等の主成分となる炭化水素:HC(hydrocarbons)成分)を槽内の吸着剤に吸着させて分離する吸着処理を行い、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから外部へ放出することにより、燃料蒸気を含んだ気体がそのまま大気中に放出されることを防止したベーパー回収装置の構成が示されている。また、特許文献1に記載のベーパー回収装置は、その吸着処理で吸着剤に吸着された燃料蒸気成分を、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体の導入を断った状態で、吸着槽内の雰囲気を必要に応じてパージガスを併用しながら負圧状態(極低圧状態)に吸引し、吸着剤に吸着されている燃料蒸気成分を吸着剤から脱着する脱着処理を行い、この脱着した燃料蒸気成分を貯液タンク内に戻す還流処理を行って回収することにより、燃料の無用な損失を抑制した構成にもなっている。
特許第5060159号公報
従来技術のベーパー回収装置では、吸着槽内で吸着剤に吸着されている燃料蒸気成分を吸着剤から脱着する脱着処理は、例えばスクロール式の真空ポンプ等の吸引ポンプを用いて、吸着槽内の雰囲気を必要に応じてパージガスを併用しながら負圧状態(極低圧状態)に吸引することにより行われる。
ところが、吸引ポンプを用いて吸着槽内の雰囲気を吸引する場合、吸引された吸着槽内の雰囲気はポンプ筐体内で密閉移送空間に閉じ込められ、ポンプ吸込口からポンプ吐出口に移送される。その際、吸引された吸着槽内の雰囲気が、ポンプ筐体内での密閉移送空間の容積変化によって密閉移送空間内で圧縮され、雰囲気中の燃料蒸気成分等がこの密閉移送空間内で液化してしまう。特に、ベーパー回収装置では、吸引ポンプは、吸着槽に吸着された燃料蒸気成分を脱着するときに専ら駆動され、通常、脱着が終了すると、直ちに吸着槽との間の連通が遮断され、かつその駆動も停止されるので、ポンプ筐体内の密閉移送空間内で燃料蒸気成分等の液化が起きてしまうと、その液化した燃料蒸気成分等は、次に脱着処理が行われるときまで、そのまま密閉移送空間内に滞留することになる。
この結果、ベーパー回収装置では、ポンプ筐体内の密閉移送空間内に液化した燃料蒸気成分等が滞留したままになっていると、ポンプ筐体内の密閉移送空間を含む各部がウェットな状態になり、ドライな状態に比べ特に摺動部の消耗部品の寿命が短くなる問題があった。このように、ベーパー回収装置において、脱着処理で用いられる吸引ポンプのポンプ筐体内での燃料蒸気成分等の液化は、装置自体の寿命の低下や消耗部品の交換頻度を高めてしまうという問題があった。
本発明は、上述した問題点を鑑みてなされたもので、装置自体や消耗部品の寿命の低下を防ぎ、燃料蒸気成分の吸着性能や脱着性能の維持をはかったベーパー回収装置を提供することを目的とする。
本発明に係るベーパー回収装置は、脱着処理で用いられる吸引ポンプに係り、ポンプ筐体内でポンプ吸込口からポンプ吐出口へ吸着槽内の雰囲気が閉じ込められて移送される密閉移送空間に、別途、乾燥気体を導入することによって、密閉移送空間内における燃料蒸気成分のベーパー濃度を希釈し、密閉移送空間の容積変化によって密閉移送空間内の雰囲気が圧縮されても、密閉移送空間内で燃料蒸気成分が液化し滞留するのを抑制できるようにしたことを特徴とする。
加えて、本発明に係るベーパー回収装置は、吸着槽内の吸着剤からの燃料蒸気成分の脱着が終了すると、吸着槽との間の連通の遮断に対して、吸引ポンプの駆動停止を遅延させ、かつその遅延期間の間も密閉移送空間には乾燥気体を導入されるようにしたことを特徴とする。
より具体的には、本発明に係るベーパー回収装置は、燃料液体から蒸発した燃料蒸気(ベーパー)を吸着する吸着剤が充填された吸着槽と、貯液タンク内から放出される燃料蒸気を含んだ気体を吸着槽に供給して当該気体に含まれる燃料蒸気成分を吸着剤に吸着させるベーパー回収部と、吸着槽と連通し、吸着剤により燃料蒸気成分を除去された気体を吸着槽外に排出する気体排出部と、吸着槽と連通し、吸着剤に吸着された燃料蒸気成分を脱着させる脱着部と、脱着部により脱着された燃料蒸気成分を貯液タンクに還流させる還流部と、ベーパー回収部、気体排出部、脱着部、及び還流部を作動制御する制御部とを備えたベーパー回収装置であって、脱着部は、一側が吸着槽に連通し、他側が還流部に連通した脱着管路と、脱着管路に設けられ、吸着槽内から吸着された燃料蒸気成分を含む気体を吸引し、還流部に吐出する吸引ポンプと、吸引ポンプよりも吸着槽側の脱着管路部分に設けられ、吸着槽と吸引ポンプとの間を連通/遮断する脱着弁と、吸引ポンプのポンプ筐体内の密閉移送空間に連通して設けられ、密閉移送空間に乾燥気体を供給する気体供給部とを有し、制御部は、脱着部の脱着弁を閉弁して吸着槽と吸引ポンプとの間の連通を遮断する際、脱着弁の閉弁に対して、吸引ポンプの駆動停止及び気体供給部による乾燥気体の供給停止を遅延させ、当該遅延期間の間も駆動中の吸引ポンプの密閉移送空間に乾燥気体を供給する構成としたことを特徴とする。
本発明のベーパー回収装置によれば、吸着槽内から吸着された燃料蒸気成分を含む気体を吸引して還流部に吐出する吸引ポンプの、密閉移送空間を含むポンプ筐体内の各部をドライな状態に保つことができ、吸引ポンプ自体の寿命の低下を引き起こす原因となる、密閉移送空間内での燃料蒸気成分等の液化やその滞留を防止することができる。これにより、吸引ポンプ自体の寿命の低下を防ぎ、燃料蒸気成分の吸着性能や脱着性能の維持をはかることができる。特に、吸引ポンプのポンプ筐体内で密閉移送空間の形成に用いられる運動用シール材等の消耗部品の消耗を低減し、その交換周期を長くすることができ、メンテナンスコストを低減することができる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明によるベーパー回収装置の一実施例を示すシステム系統図である。 本実施例のベーパー回収装置において実行される吸着処理、脱着処理のフローチャートである。 図2に示したフローチャート部分の続きのフローチャートである。
本発明に係るベーパー回収装置の一実施の形態について、燃料供給施設として車輌等にガソリン等の揮発性燃料液体を補給する給油所に適用したベーパー回収装置を例に、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるベーパー回収装置の一実施例を示すシステム系統図である。
本実施例のベーパー回収装置10が適用された給油所1は、その敷地面地下に、燃料油液(燃料液体)を貯留する貯液タンク2が埋設された構成になっている。また、給油所敷地面には、車輌等の補給対象に燃料油液を給液するための給油機(燃料供給機)3が設置され、給油機3による給油作業(燃料供給作業)の邪魔とならない敷地面適所には、注油口4や、通気管5が設けられている。
給油機3は、燃料供給配管を介して連通接続された貯液タンク2内の燃料油液をポンプにより汲み上げ、給油ホース先端に設けられた給油ノズル(図示省略)を操作することによって、補給対象に燃料油液を供給する。給油作業の際、給油機3は、補給対象に対する給油量(燃料供給量)を流量計(図示省略)により計測して出力する。したがって、貯液タンク2内の燃料油液の貯留液量は、貯液タンク2に連通接続されている給油機3を用いた給油作業が繰り返される度に、その給油量分ずつ減少することになる。
注油口4は、敷地面地下を延設された注油管を介して、貯液タンク2内(望ましくは液相部分L)に連通している。注油口4は、油槽所からハッチ(区画室)に燃料油液を積載して移送してきたタンクローリ車から燃料油液の荷卸しを受けるため、タンクローリ車に備えられた荷卸しホースの注油口側接続端が着脱自在な構成になっており、荷卸し作業時以外は着脱若しくは開閉自在な蓋体(図示省略)によって閉塞されている。
タンクローリ車のハッチから燃料油液を荷卸しする際は、注油口4は、タンクローリ車に備えられている荷卸し口との間を、荷卸しホースによって接続される。そして、タンクローリ車の該当ハッチのハッチ底弁及び荷卸し口の荷卸し弁をそれぞれ開弁操作することによって、該当ハッチに積載された燃料油液が貯液タンク2へ荷卸しされる。したがって、貯液タンク2内の燃料油液の貯留液量は、注油口4を介してタンクローリ車から燃料油液の荷卸し補給を受ける度、その荷卸し量分(補給液量分)だけ増加する。
このように、貯液タンク2内の燃料油液の貯留液量は、燃料油液の荷卸し作業や補給対象への給油作業によって増減し、タンク内の液相部分Lと気相部分Gとの境界に係る、タンク内における燃料油液の液面高さ位置も、貯留液量に応じて変位する。
通気管5は、一側が貯液タンク2内の気相部分Gと連通され、他側が敷地高所(例えば、地上4メートル)に延び、通気弁6を介して、大気雰囲気中に対して開放・開口されている。通気弁6は、ブリーザーバルブとして、通気管5の内圧すなわち貯液タンク2の気相部分Gの雰囲気の圧力が、基準圧としての大気圧に対して所定値以上の差圧を生じると開弁し、貯液タンク2の気相部分Gの雰囲気の圧力を調整する。具体的に、燃料油液の荷卸し時や貯液タンク2内の温度上昇等によって、貯液タンク2の気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して所定値以上高くなった場合は、通気弁6が開弁して、貯液タンク2内の圧力が異常な高圧とならないようにその気相部分Gの雰囲気の一部を外部に放出する。一方、給油機3を用いた給油作業の繰り返しや貯液タンク2内の温度低下等によって、貯液タンク2の気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して所定値以上低くなった場合も、通気弁6が開弁して、貯液タンク2内の圧力が異常な低圧とならないように外部から給気する。なお、この通気弁6の開弁による放出及び給気に関係し、通気弁6が開弁する際の大気圧に対する差圧の所定値の大きさ(大気圧に対する正圧及び負圧を考慮しない絶対値としての所定値)は、タンク内の気相部分Gの雰囲気の圧力が高圧である場合と低圧である場合とで異なる値であってもよい。
ところで、通気弁6が貯液タンク2内の圧力上昇を抑制するために頻繁に圧力調整を行うようにすると、貯液タンク2の気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して僅かながら上昇するだけで通気弁6が開弁し、気相部分Gの雰囲気を形成する燃料蒸気を含んだ気体が通気管5の通気孔から大気中に頻繁に放出されてしまうことになる。特にタンクローリ車からの燃料油液の荷卸し時は、貯液タンク2のタンク内部の圧力は、燃料油液の荷卸し量に対応した貯留液量の増量変化に応じて上昇するので、通気弁6が開弁する際の大気圧に対する差圧の所定値の大きさが適当でないと、貯液タンク2への燃料油液の荷卸しが行われている間、通気弁6が開弁し続けることになる。それにより、燃料油液の荷卸し時における貯液タンク2内の圧力上昇は抑制できるものの、通気管5の通気孔からは、貯留液量の増量変化に応じて縮小する気相部分Gの燃料蒸気を含んだ気体が、一度に大量に外部に放出されることになる。
このようなタンクローリ車からの燃料油液の荷卸し時における通気管5の通気孔からの燃料蒸気を含んだ気体の放出は、環境汚染の原因になるばかりか、荷卸しを受ける燃料油液の総量が多い燃料供給施設にとっては、この放出されてしまった気体に含まれる燃料蒸気の総量も無視できない液量となり、荷卸しを受けた燃料の無用な損失に繋がってしまう。
そこで、給油所1の貯液タンク2には、ベーパー回収装置10が設けられ、このベーパー回収装置10によって、従来、タンクローリ車からの燃料油液の荷卸し時に、気相部分Gの縮小に伴って通気管5の通気孔からそのまま外部に放出していた燃料蒸気を含んだ気体から、燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから外部に放出する一方、その際に回収した燃料蒸気成分は貯液タンク2内に戻すようにしている。
次に、上述した構成からなる給油所1に適用された、本実施例のベーパー回収装置10のシステム構成について、同じく図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るベーパー回収装置10は、ベーパー回収部20、吸着槽(吸着部)30、気体排出部40、脱着部50、還流部60、制御部70を有する。
ベーパー回収部20は、貯液タンク2から放出される燃料蒸気(ベーパー)を含む気相部分Gの雰囲気を、吸着槽30に導入する。ベーパー回収部20は、ベーパー回収管21と、このベーパー回収管21に配設された導入弁22とを有する。ベーパー回収管21は、一側が、通気管5の通気弁6よりも貯液タンク2側の管路部分に連通接続され、貯液タンク2内の気相部分Gと連通している。一方、他側は、吸着槽30のベーパー導入口31に連通接続されている。導入弁22は、貯液タンク2内の気相部分Gと吸着槽30との間を、その開閉に応じて連通/遮断する。導入弁22は、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、後述する制御部70からの制御指示に応じて開閉駆動する。導入弁22は、その開閉に応じて、吸着槽30への、放出ガスとしての燃料蒸気を含む気相部分Gの雰囲気の導入/遮断を行う。
また、ベーパー回収部20には、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力を検出する圧力センサ23が設けられている。図示の例では、圧力センサ23は、貯液タンク2内の気相部分Gと常時連通している通気管5に設けられた構成になっている。圧力センサ23は、例えば差圧伝送器(差圧式圧力計)によって構成され、通気管5の内圧、すなわち貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気の圧力(圧力変化)を、大気圧との差圧で計測する。圧力センサ23の計測出力によれば、タンクローリ車から貯液タンク2に荷卸しされた燃料油液に応じて液面が上昇した場合の貯液タンク2内の圧力上昇、後述の脱着工程時の燃料蒸気が還流されて生じる貯液タンク2内の圧力上昇、給油機3を用いた給油作業の繰り返しによって液面が低下した場合の貯液タンク2内の圧力低下、等を検出できる。圧力センサ23によって検出された計測圧力は、後述する制御部70に入力される。
吸着槽30は、槽内に吸着剤34が充填され、燃料蒸気を含んだ気体の燃料蒸気成分(炭化水素:HC成分)を吸着(化学的吸着と物理的吸着)する吸着部を構成する。吸着剤34には、例えば多孔質のシリカゲル、ゼオライト、吸着ガスの脱着が可能な活性炭(例えば、メソフェーズ活性炭)等のような燃料蒸気成分を分離可能な物質が利用される。
吸着槽30は、図示の例では、ベーパー導入口31、ベーパー還流口32、ベーパー給・排気口33を備え、吸着剤34が充填された槽内は、これら外部連通口31〜33を介して、槽外と連通する構成になっている。ベーパー導入口31は、吸着剤34に吸着させるための燃料蒸気成分を含んだ気体を槽内に導入する。ベーパー還流口32は、吸着剤34に燃料蒸気成分が吸着された槽内を吸引して、吸着剤34から脱着された燃料蒸気成分を槽内から導出する。これに対し、ベーパー給・排気口33は、槽内の吸着剤34によって燃料蒸気成分が吸着されて除去された導入気体を槽内から導出する一方、吸着剤34に吸着されている燃料蒸気成分を脱着する際、パージ用のパージガスを槽内へ導入したり、脱着により負圧状態になっている槽内へ脱圧用の気体を導入する。パージガス及び脱圧用の気体には、乾燥エア、不活性ガス等の乾燥気体が使用される。
これにより、吸着槽30では、ベーパー導入口31を介して槽内に導入された燃料蒸気を含んだ気体は、その燃料蒸気成分が吸着剤34に吸着されて分離される。その際、燃料蒸気成分が除去された気体は、ベーパー給・排気口33を介して槽外に排出される。これに対し、吸着剤34に吸着された燃料蒸気成分は、ベーパー導入口31からの燃料蒸気を含んだ気体の導入、及びベーパー給・排気口33からの燃料蒸気成分が除去された気体(清浄気体)の放出を断った状態で、ベーパー還流口32を介して槽内を真空吸引することにより、吸着剤34から脱着させられ、ベーパー還流口32から槽外に排出される。
加えて、吸着槽30には、槽内に充填された吸着剤34による燃料蒸気成分の吸着状況及びこの吸着剤34に吸着された燃料蒸気成分の脱着状況を監視するための吸着剤検知センサ35が設けられている。吸着剤検知センサ35には、吸着剤34が燃料蒸気成分を吸着する際に熱を発し、吸着された燃料成分が分離する際に吸着剤34から熱を奪う特徴があることから、熱電対、測温抵抗体、或いはサーミスタ等の温度センサが利用される。
図示の例では、吸着剤検知センサ35は、槽内をベーパー導入口31及びベーパー還流口32側からベーパー給・排気口33側にかけて複数の領域(例えば、上層領域、中間層領域、下層領域の3ブロック)に分割し、その分割した領域毎に設けられた複数の温度センサによって構成されている。吸着剤検知センサ35は、吸着剤34による燃料蒸気成分の吸着状況、及び吸着剤34に吸着された燃料成分の脱着状況を、その分割した領域毎に、対応する温度センサの検出出力変化で検出する。この場合、吸着剤34による燃料蒸気成分の吸着状況は、対応する領域の吸着剤34が燃料蒸気成分を吸着することによって起きる吸着剤34の発熱で検出する。また、吸着剤34に吸着された燃料成分の脱着状況は、対応する領域の吸着剤34で燃料蒸気成分が分離することによって起きる吸着剤34の冷却で検出する。
気体排出部40は、吸着槽30で燃料蒸気成分が吸着剤32に吸着されて除去された気体を、大気中に放出する。また、吸着槽30の槽内に充填された吸着剤34から燃料蒸気成分を脱着した際に負圧状態(極低圧状態)になっている吸着槽30の槽内雰囲気の圧力を、大気圧状態若しくはその近傍状態からなる基準状態に脱圧するため、外部大気を吸着槽30の槽内に導入する。気体排出部40は、気体排気管41と、この気体排気管41に配設された気体排出弁42とを有する。気体排気管41は、一側が吸着槽30のベーパー給・排気口33に連通接続され、他側が敷地高所(例えば、地上4メートル)に延び、大気雰囲気中に通気孔として開放・開口されている。気体排出弁42は、吸着槽30のベーパー給・排気口33と通気孔で開放・開口された大気雰囲気との間を、その開閉に応じて連通/遮断する。気体排出弁42は、例えば電磁作動式、空気圧作動式、或いはモータ駆動等による流量調整機能を備えた開閉弁によって構成され、後述する制御部70からの制御指示に応じて開閉駆動するとともに、さらに開弁の際にはその開弁量を調整して単位時間当たりの通過流量を調整できるようになっている。
脱着部50は、吸着槽30の槽内に充填された吸着剤34で吸着した燃料蒸気成分を脱着し、吸着槽30の槽外に導出する。脱着部50は、パージガス生成部51と、パージガス供給部52と、吸着槽吸引部53と、フラッシュガス供給部54とを有する。
パージガス生成部51は、吸着槽30の吸着剤34に吸着されている燃料蒸気成分を脱着する際に使用するパージガスを生成する。本実施例では、取り扱う燃料油液や燃料蒸気成分が可燃性であるためこれらの燃焼要因である酸素を排除する目的で、パージガスとして不活性ガスである窒素ガスが用いられている。そのため、パージガス生成部51として、窒素ガス生成装置510を備えている。窒素ガス生成装置510は、既存の構成で、図示の例では、圧縮空気圧力調整器511、圧縮空気供給圧力計512、窒素供給器513、窒素出力圧力調整器514、窒素出力圧力計515、窒素バッファタンク516、窒素出力流量調整器517を有する。窒素ガス生成装置510は、圧縮機で圧縮され、エアードライヤーで除湿された圧縮空気を、圧縮空気圧力調整器511で圧力調整して窒素供給器513に取り込み、窒素供給器513で酸素と窒素ガスNを分離し窒素ガスNを取り出し、窒素供給器513から取り出された窒素ガスNを窒素出力圧力調整器514で圧力調整して、窒素バッファタンク516に所定圧力の窒素ガスNを貯留し、窒素バッファタンク516から窒素出力流量調整器517を介して所定流量の窒素ガスNを出力可能な構成になっている。
窒素供給器513は、深冷分離、吸着分離、或いは膜分離等の分離方法を利用して、大気(原料ガス)から窒素ガスNを精製する。なお、窒素ガスNは、窒素供給器513に代えて、直接、窒素ガスNを貯蔵するボンベから供給を受けることも可能である。
本実施例では、酸素と窒素ガスNを分離するための構成に膜を利用した膜分離方式の窒素供給器513が用いられているものとする。この場合、膜により分離された窒素ガスN内に含まれる酸素の濃度(酸素残留濃度)は、膜自体の特性を基に、圧縮空気の供給圧と窒素ガスNの出力流量に応じて決まる。そこで、窒素ガス生成装置510では、窒素供給器513から出力される窒素ガスN内に含まれる酸素残留濃度が、脱着する燃料油液や燃料蒸気の物性から得ることができる燃焼必要酸素濃度以下となるように、窒素ガスNの出力流量が窒素出力流量調整器517により調整されている。
また、膜分離方式の窒素供給器513を用いた本実施例のベーパー回収装置10では、供給される圧縮空気の圧力(供給圧)が低下することにより、窒素供給器513から出力される窒素ガスN中の酸素残留濃度が燃焼必要酸素濃度に到達してしまうのを防止するため、圧縮空気供給圧力計512により検出された圧力が、窒素供給器513で出力される窒素ガスN中の酸素残留濃度が燃焼必要酸素濃度となる所定圧力よりも低下した場合、例えば後述の吸着槽吸引部53の真空ポンプ533の運転を停止させる等して、燃料蒸気成分の脱着処理の実行を禁止するようになっている。加えて、窒素供給器513の故障により十分な窒素ガスNの供給ができない場合も、窒素バッファタンク516の圧力が低下するので、窒素出力圧力計515により検出された圧力が所定圧力より低下した場合は、窒素供給器513の故障を検出し、例えば真空ポンプ533を停止させる等して、燃料蒸気成分の脱着処理の実行を禁止するようになっている。なお、圧力計512,515は、連続的に作動して圧力を計測するものの他、圧力が所定圧力となった場合にのみ作動する圧力スイッチ等の圧力検出手段であってもよい。
窒素バッファタンク516は、後述のスクロール型真空ポンプ533により吸引される吸着槽30槽内に対する窒素ガスNの供給流量が不足することを防止するために設置されたものである。すなわち、後述のスクロール型真空ポンプ533は、スクロールの回転に応じて周期的に高い流量を短時間で吸引先である吸着槽30槽内の雰囲気を吸い込むため、所定量以上の安定したパージガスによる雰囲気濃度を得るためには、吸着槽30に供給される窒素ガスNを窒素バッファタンク516に予め貯留しておくようにすることが有効になる。
パージガス供給部52は、パージガス生成部51で生成された窒素ガスNにより吸着槽30の吸着剤34に吸着されている燃料蒸気成分を脱着する際、パージガス生成部51によって生成された窒素ガスNを吸着槽30に導入する。パージガス供給部52は、パージガス供給管521と、このパージガス供給管521に配設されたパージガス流量計522、パージ流量調整器523、パージガス供給弁524とを有する。パージガス供給管521は、一側が、窒素ガス生成装置510の出力端に連通接続され、他側が、吸着槽30の給・排気口33に連通接続されている。図示の例では、パージガス供給管521の他側は、吸着槽30の給・排気口33に連通接続された気体排気管41の、気体排出弁42に対して給・排気口33側の部分に接続されている。パージガス流量計522は、吸着槽30に導入される窒素ガスNの流量を計測する。パージ流量調整器523は、吸着槽30に導入される窒素ガスNの流量を調整する。パージガス供給弁524は、吸着槽30の給・排気口33と窒素ガス生成装置510の出力端との間を、その開閉に応じて連通/遮断する。パージガス供給弁524は、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、後述する制御部70からの制御指示に応じて開閉駆動する。パージガス供給弁524は、その開閉に応じて、吸着槽30への窒素ガスN(パージガス)の導入/遮断を行う。
吸着槽吸引部53は、吸着槽30の吸着剤34が収容された槽内の雰囲気を吸引して、吸着剤34に吸着されている燃料蒸気成分の脱着を行う。吸着槽吸引部53は、吸引配管531と、吸引弁532と、真空ポンプ(吸引ポンプ)533とを有する。吸引配管531は、一側が、吸着槽30のベーパー還流口32に連通接続され、他側が、真空ポンプ533のポンプ吸込口に連通接続されている。吸引弁532は、吸着槽30のベーパー還流口32と真空ポンプ533のポンプ吸込口との間を、その開閉に応じて連通/遮断する。吸引弁532は、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、後述する制御部70からの制御指示に応じて開閉駆動する。吸引弁532は、その開閉に応じて、真空ポンプ533の駆動停止とは独立に、吸着槽30の槽内の真空引きの実行/停止を行う。真空ポンプ533は、気体を吸気側から排気側に向かってポンプ筐体内で密閉移送空間に閉じ込めて移送する方式の気体移送式真空ポンプが用いられている。
本実施例では、真空ポンプ533として、ポンプ吸込口から吸引した気体を固定スクロールと旋回スクロールとで形成される密閉移送空間に閉じ込めて吸気側から排気側に向かって圧縮して移送し、ポンプ吐出口から吐出するスクロール型真空ポンプ533が用いられている。スクロール型真空ポンプ533は、その旋回スクロールを固定スクロールに対して公転運動させるモータの駆動/停止によって、ポンプ吸込口が開弁状態の吸引弁532を介して連通する、吸着槽30の吸着剤34が収容された槽内の雰囲気を吸引し、槽内の真空引きを行う。これにより、吸着剤34に燃料蒸気成分が吸着されている状態では、真空ポンプ533の駆動によって、吸着剤34から燃料蒸気成分を脱着させながら、槽内の雰囲気が脱着させられた燃料蒸気成分とともに吸引されることになる。
また、本実施例のスクロール型真空ポンプ533には、ポンプ筐体内でポンプ吸込口からポンプ吐出口へ吸着槽内の雰囲気が閉じ込められて移送される密閉移送空間の容積変化によって密閉移送空間内の雰囲気が圧縮されても、密閉移送空間内における燃料蒸気成分のベーパー濃度を希釈し、密閉移送空間内で燃料蒸気成分が液化してしまうのを抑制するガスバラスト導入孔が密閉移送空間に連通するように設けられている。これに伴い、ポンプ筐体には、このガスバラスト導入孔に乾燥気体からなるフラッシュガスを別途供給するためのフラッシュガス導入口が設けられている。
フラッシュガス供給部54は、スクロール型真空ポンプ533に乾燥気体からなるフラッシュガスとして、本実施例では、パージガス生成部51で生成された不活性ガスを供給する。フラッシュガス供給部54は、フラッシュガス供給管541と、このフラッシュガス供給管541に配設されたフラッシュガス流量計542、フラッシュガス供給弁543とを有する。フラッシュガス供給管541は、一側が、窒素ガス生成装置510の出力端に連通接続され、他側が、スクロール型真空ポンプ533のフラッシュガス導入口に連通接続されている。フラッシュガス流量計542は、スクロール型真空ポンプ533にフラッシュガスとして導入される窒素ガスNの流量を計測する。フラッシュガス供給弁543は、スクロール型真空ポンプ533のフラッシュガス導入口と窒素ガス生成装置510の出力端との間を、その開閉に応じて連通/遮断する。フラッシュガス供給弁543は、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、後述する制御部70からの制御指示に応じて開閉駆動する。フラッシュガス供給弁543は、その開閉に応じて、スクロール型真空ポンプ533の窒素ガスN(フラッシュガス)の導入/遮断を行う。
還流部60は、脱着部50の吸着槽吸引部53のスクロール型真空ポンプ533から吐出される、吸着槽30の吸着剤34が収容された槽内の雰囲気を、貯液タンク2に還流する。還流部60は、ベーパー還流管61と、このベーパー還流管61に配設された冷却ユニット62とを有する。ベーパー還流管61は、一側が、スクロール型真空ポンプ533のポンプ吐出口に連通接続され、他側は、貯液タンク2内に連通接続されている。冷却ユニット62は、スクロール型真空ポンプ533が吸引した、吸着剤34から脱着させられた脱着燃料蒸気成分を含んだ雰囲気を冷却して、その脱着燃料蒸気成分を液化する。冷却ユニット62には、その冷却構成として、例えば、冷媒をコンプレッサにより圧縮して冷却する構成、冷却水による冷却を用いた構成等を利用することができる。冷却ユニット62によって液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む雰囲気は、ベーパー還流管61の他側から貯液タンク2に戻される。
制御部70は、例えば、メモリ等の記憶部を含むマイクロコンピュータによって構成されている。制御部70は、上述した圧力センサ23、吸着剤検知センサ35、パージガス流量計522、フラッシュガス流量計542といった各種センサや計測機器の出力を基にして、ベーパー回収部20、気体排出部40、脱着部50、還流部60といった各部の作動を制御し、ベーパー回収装置10の吸着処理、脱着処理等の実行制御を行う。次に、本実施例のベーパー回収装置10の吸着処理、脱着処理について、図2、図3を参照しながら説明する。
図2、図3は、本実施例のベーパー回収装置において実行される吸着処理、脱着処理のフローチャートである。
本実施例のベーパー回収装置10において、制御部70は、図2、図3に示す吸着処理、脱着処理を開始するに当たって、脱着部50の吸着槽吸引部53における吸引弁532を閉弁するとともに、ベーパー回収部20の導入弁22を開弁する(ステップS11,S12)。ここでは、この吸引弁532の閉弁、及び導入弁22の開弁に先立って、既に、制御部70によって、パージガス供給部52のパージガス供給弁524は閉弁され、気体排出部40の気体排出弁42は開弁され、フラッシュガス供給部54のフラッシュガス供給弁543は閉弁されている状態にあるものとする。
これにより、ベーパー回収装置10では、吸着処理を実行するための準備が完了する。この吸着準備完了状態は、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力が上昇したり、容量減少した場合でも、これらに起因して貯液タンク2内から放出される貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気が、通気管5の通気弁6を開弁させることなく、まず、ベーパー回収部20を介してベーパー導入口31から吸着槽30の槽内に導入される状態に該当する。したがって、以降、貯液タンク2内から気相部分Gの燃料蒸気成分を含んだ雰囲気が放出されれば、ベーパー回収装置10では、その燃料蒸気成分を含んだ雰囲気がベーパー回収部20を介して吸着槽30の槽内に導入され、燃料蒸気成分が吸着槽30内の吸着剤34によって吸着されて分離され、燃料蒸気成分が除去された気体が気体排出部40を介して大気中に放出されることになる。すなわち、ベーパー回収装置10では、吸着処理が実行される。
そこで、本実施例では、制御部70は、吸着準備完了状態では、吸着剤検知センサ35を構成する、吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域の3ブロック)毎に設けられた温度センサの検出出力を監視して、吸着処理が実行開始されたか否かを検出する(S13)。この場合、吸着槽30内の吸着剤34は燃料蒸気成分を吸着する際に発熱することから、制御部70は、各温度センサの検出出力を基に、いずれかの温度センサに対応する領域の温度上昇率tuが予め定めた所定の温度上昇率tu1を超えているか否かで、その領域の吸着剤34が燃料蒸気成分を吸着することによって発熱して燃料蒸気成分の吸着が行われているか否かを判別する。これにより、例えば燃料油液の荷卸し時や貯液タンク2内の温度上昇等によって、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇や容量減少が起き、ベーパー回収部20を介してベーパー導入口31から吸着槽30の槽内に貯液タンク2内から溢出した気相部分Gの雰囲気が導入され、吸着処理が実行開始されたことを判定できる。
制御部70は、吸着剤検知センサ35の検出出力に基づき、ベーパー回収装置10で吸着処理が実行開始されたことを検出すると、本実施例では、この吸着処理後の脱着処理の準備のために、還流部60の冷却ユニット62を駆動(始動)する(S14)。このように、事前に冷却ユニット62を始動しておくことにより、脱着処理における冷却を効率よく行える。なお、冷却ユニット62として、始動段階から冷却機能をすぐに発揮できる冷却ユニット62を使用した場合には、その始動を脱着処理の開始と同時に行うようにしてもよい。
その後、制御部70は、再び、吸着剤検知センサ35を構成する、吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域)毎に設けられた温度センサの検出出力を監視して、今度は、ステップS13で開始を検出した吸着処理が終了したか否かを検出する(S15〜S17)。この場合も、吸着槽30内の吸着剤34は燃料蒸気成分を吸着する際に発熱することから、制御部70は、各温度センサに対応する吸着槽30内の分割した領域それぞれの温度上昇率tuがいずれも所定値tu1よりも小さくなっているか否かで、吸着処理が終了して、その領域の吸着剤34が燃料蒸気成分を吸着することによって起きる発熱が収束状態になって、その領域の吸着剤34による燃料蒸気成分の吸着が終了したか否かを判別する。この吸着処理が終了した状態は、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇や容量減少が収まり、ベーパー回収部20を介してベーパー導入口31から吸着槽30の槽内に溢出して導入される貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気が減少し、その領域の吸着剤34による燃料蒸気成分の吸着が減少した状態や、貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気が吸着槽30の槽内に導入されても、吸着剤34自体が、今までの燃料蒸気成分の吸着によって燃料蒸気成分を効率的に吸着できなくなってきている状態が該当する。
制御部70は、吸着処理の終了を検出すると、吸着槽30内の吸着剤34に吸着されている燃料蒸気成分の脱着処理を開始準備するため、ベーパー回収部20の導入弁22を閉弁するとともに、脱着部50の吸着槽吸引部53における吸引弁532を開弁する(S18,S19)。これにより、吸着槽30のベーパー導入口31は、貯液タンク2内との連通が遮断され、ベーパー還流口32が、脱着部50の吸着槽吸引部53及び還流部60を介して、貯液タンク2内と連通される。さらに、制御部70は、気体排出部40の気体排出弁42を閉弁して、吸着槽30の給・排気口33の大気雰囲気中に対する連通を遮断する(S20)。
そして、制御部70は、吸着槽吸引部53の真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533を駆動するとともに(S21)、フラッシュガス供給部54のフラッシュガス供給弁543を開弁して(S22)、脱着部50に、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を開始させる。
脱着部50による、吸着槽30内を真空引きする脱着処理が開始されると、吸着槽30の吸着剤に吸着された燃料蒸気成分は、貯液タンク2内から放出される燃料蒸気を含んだ気体の導入が導入弁22の閉弁によって断たれているため、吸着槽30内の雰囲気が吸着槽吸引部53の真空ポンプ533によって真空引きされる。これに伴い、吸着槽30内の吸着剤34に吸着されていた燃料蒸気成分も吸引されて吸着剤34から分離し、吸着槽30内から吸引される吸着槽30内の雰囲気に気化して含まれ、吸着槽30のベーパー還流口32から槽外に排出される。そして、吸着槽吸引部53によって槽外に排出された、吸着槽30内の燃料蒸気成分を含む雰囲気は、還流部60へ導出される。
その際、吸着槽吸引部53の真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533では、ポンプ筐体内で、ポンプ吸込口からポンプ吐出口へ密閉移送空間内に閉じ込められて移送される、吸着槽30内から吸引された燃料蒸気成分を含む気体が、密閉移送空間の容積変化によって圧縮されることによって、その気体中に気化して含まれている燃料蒸気成分が液化してしまう恐れがある。
そこで、本実施例のベーパー回収装置10にあっては、脱着処理の開始に当たってステップS22でフラッシュガス供給弁543が開弁されたフラッシュガス供給部54によって、真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533のポンプ筐体に形成されたフラッシュガス導入口にはフラッシュガスとしての窒素ガスが供給され、ポンプ筐体内の、吸着槽30内から吸引された燃料蒸気成分を含む気体が閉じ込められている密閉移送空間には、ポンプ筐体に形成されたガスバラスト導入孔を介して、窒素ガスが導入されるようになっている。これにより、ポンプ筐体内で、密閉移送空間内に閉じ込められて移送される燃料蒸気成分を含む気体は、ポンプ吸込口からポンプ吐出口へ移送する際の密閉移送空間の容積変化により圧縮されても、この導入された窒素ガスにより、そのベーパー濃度は事前に希釈されているので、ポンプ筐体内の密閉移送空間内でその燃料蒸気成分が液化してしまうのを抑制できるようになっている。
そして、脱着部50により吸着槽30から脱着され、還流部60に導入された、吸着槽30内の燃料蒸気成分を含む雰囲気は、冷却ユニット62によって冷却される。その上で、還流部60からは、液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む気体(フラッシュガスとしての窒素ガスを含む)が、ベーパー還流管61の他側から貯液タンク2に戻される。
制御部70は、ステップS18〜S22の処理を行って脱着処理を開始すると、圧力センサ23の検出出力を基に、貯液タンク2内の圧力すなわちその気相部分Gの圧力Pが、予め設定された所定の上限圧力PHHに達したか否か(S23)、さらに、この上限圧力PHHに貯液タンク2内の圧力Pが達していない場合は(S23、NO)、脱着処理の実行に伴う吸着剤34からの燃料蒸気成分の分離状況を、吸着剤検知センサ35として設けられた吸着槽30内の分割した領域毎それぞれの温度センサの検出出力を基に判定する(図3、S32〜S34)。
この場合、所定の上限圧力PHHは、通気管5の通気弁6が貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気を大気中に放出するために開弁するときの、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力値よりも所定値だけ低い圧力値で、図2のステップS18〜S22の処理により開始された、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる基準となる圧力値である。制御部70は、この上限圧力PHHとの比較によって、脱着処理中に還流部60から貯液タンク2に戻される液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む気体、に基づいた貯液タンク2内の圧力上昇によって通気管5の通気弁6が開弁し、貯液タンク2内の気相部分Gの燃料蒸気成分を含む雰囲気が大気へ放出されることを防止している。
また、制御部70は、吸着槽30内を真空引きする脱着処理の実行に伴う吸着剤34からの燃料蒸気成分の分離状況を、図3のステップS32〜S34に示すように、吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域の3ブロック)毎に設けられた温度センサの検出出力を監視し、各温度センサに対応する吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域)それぞれの温度低下率tdがいずれも所定値td1よりも大きくなっているか否かで、図2のステップS18〜S22の処理により開始された、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を終了するか否かを判別する。この吸着槽30内を真空引きする脱着処理を終了する状態は、吸着槽30内の真空引きを続けても吸着剤34に吸着された燃料蒸気成分の分離が収束して燃料蒸気成分の効率的な脱着ができなくなる状態に該当し、制御部70は、各温度センサに対応する吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域)それぞれの温度低下率tdがいずれも所定値td1よりも小さくなり、吸着剤34から分離する燃料蒸気成分の減少によって吸着剤34の冷却が収束してきたことを判別する。
そして、制御部70は、図2のステップS23で、貯液タンク2内の圧力すなわちその気相部分Gの圧力が、予め設定された所定の上限圧力PHHに達したことを検出した場合は、図2のステップS24〜S31に示すような、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる処理を行う。
まず、制御部70は、脱着部50において、吸着槽吸引部53の吸引弁532を閉弁し(S24)、真空ポンプ533が吸着槽30内の雰囲気がポンプ筐体内のポンプ吸込口からポンプ吐出口へ気体を移送する密閉移送空間内に導入されないようしてから、予め定められた所定時間(例えば、10秒)の間だけ、ポンプ筐体に形成されたガスバラスト導入孔を介して、フラッシュガス供給部54から供給されているフラッシュガスとしての窒素ガスだけがポンプ筐体内の密閉移送空間に導入される状態にして、真空ポンプ533をそのまま駆動し続ける(S25)。これにより、脱着処理の際にポンプ筐体内の密閉移送空間内で液化して残留している燃料蒸気成分があれば、窒素ガスで密閉移送空間内をフラッシングし、この窒素ガスと一緒にポンプ吐出口からポンプ筐体外の還流部60に向けて排出できる。
そのため、脱着処理で次に真空ポンプ533を駆動する際は、ポンプ筐体内の密閉移送空間内には、液化した燃料蒸気成分が残留していない状態で、密閉移送空間内の吸着槽30内から吸引された燃料蒸気成分を含む気体を窒素ガスでパージして置き換えた状態で、真空ポンプ533を始動することができる。したがって、密閉移送空間を含む真空ポンプ533のポンプ筐体内の各部をドライな状態に保つことができ、装置自体や消耗部品の寿命の低下を引き起こす原因となる、密閉移送空間内での燃料蒸気成分等の液化やその滞留を防止することができる。これにより、真空ポンプ533自体の寿命の低下を防ぎ、燃料蒸気成分の吸着性能や脱着性能の維持をはかることができる。特に、真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533のポンプ筐体内で密閉移送空間の形成に用いられるチップシール若しくはパッキンといった運動用シール材等の消耗を低減し、その交換周期を長くすることができ、ベーパー回収装置10のメンテナンスコストを低減することができる。
そして、この窒素ガス(フラッシュガス)による、ポンプ筐体内の密閉移送空間内に対するフラッシングが開始され、その継続時間が所定時間(10秒)になると(S25)、
制御部70は、真空ポンプ533の駆動を、吸引弁532の閉弁に対してこの所定時間だけ遅延させて停止し(S26)、パージガス供給部52のフラッシュガス供給弁543を閉弁する(S27)。そのため、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる基準となる上限圧力PHHは、この真空ポンプ533の所定時間(10秒)の継続駆動による貯液タンク2内の圧力上昇分も値は極わずかであるものの考慮した上で、予め設定されている。
このようにして、吸着槽30内を真空引きする脱着処理が貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させられると、その後、制御部70は、圧力センサ23の検出出力を基に、例えば給油機3を使用した給油作業によって貯液タンク2内の燃料油液が減少し、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力Pが予め定められた吸着槽30内の脱着処理の再開が可能な所定の上限圧力PL以下(ただし、PL<PHH)に低下したか否かを監視する(S28)。
そして、制御部70は、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力Pが脱着処理を再開可能な上限圧力PL以下に低下したのを検出すると、脱着部50の吸着槽吸引部53における吸引弁532を開弁し(S29)、吸着槽吸引部53の真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533を駆動するとともに(S30)、フラッシュガス供給部54のフラッシュガス供給弁543を開弁して(S31)、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を再開する。
一方、図2のステップS23、及び図3のステップS32〜S34によって、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力Pは上限圧力PHHよりも低く、吸着槽30内を真空引きする脱着処理を貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる必要はないものの(S22、NO)、吸着槽30の吸着剤34との関係から吸着槽30内を真空引きする脱着処理を終了する場合は、制御部70は、脱着部50におけるパージガス供給部52のパージガス供給弁524を開弁して(S41)、パージガスを使用した吸着槽30内の脱着処理を開始する。このパージガスを使用した脱着処理の開始に当たっては、吸着槽30内を真空引きする脱着処理によって、既に、ベーパー回収部20の導入弁22は閉弁状態に、脱着部50の吸着槽吸引部53における吸引弁532は開弁状態に、気体排出部40の気体排出弁42は閉弁状態に、吸着槽吸引部53の真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533は駆動状態に、フラッシュガス供給部54のフラッシュガス供給弁543は開弁状態に、吸着槽30内は真空引された負圧の低圧状態にそれぞれなっている。
脱着部50によるパージガスを使用した脱着処理が開始されると、吸着槽30内には、給・排気口33を介して、パージガス供給部52からパージガスとしての窒素ガスが導入される。吸着槽30内は、このパージガスとしての窒素ガスの導入によって、吸着槽30内の雰囲気が窒素ガスによって置き換えられながら、同時に、吸着槽吸引部53の真空ポンプ533によって吸引される。
この窒素ガス(パージガス)の導入(パージ)に伴い、吸着槽30内の吸着剤34に吸着されていた燃料蒸気成分は、吸着剤34から分離して吸着槽30内から吸引される吸着槽30内の窒素ガス(パージガス)中に気化して含まれ、吸着槽30のベーパー還流口32から槽外に排出される。そして、吸着槽吸引部53によって槽外に排出された、吸着槽30の槽内の燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)は、還流部60に導出される。
その際、吸着槽吸引部53の真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533では、ポンプ筐体内で、ポンプ吸込口からポンプ吐出口へ吸着槽30内の燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)が閉じ込められて移送される密閉移送空間では、その容積変化によって密閉移送空間内の雰囲気が圧縮されることにより、その気化して含まれている燃料蒸気成分が液化してしまう恐れがある。
そこで、本実施例のベーパー回収装置10にあっては、脱着処理の開始に当たってステップS22でフラッシュガス供給弁543が開弁されたフラッシュガス供給部54によって、真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533のポンプ筐体に形成されたフラッシュガス導入口にはフラッシュガスとしての窒素ガスが供給され、ポンプ筐体内の、吸着槽30内から吸引された燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)が閉じ込められている密閉移送空間には、ポンプ筐体に形成されたガスバラスト導入孔を介して、フラッシュガスとしての窒素ガスが導入されるようになっている。これにより、ポンプ筐体内で、密閉移送空間内に閉じ込められて移送される燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)は、ポンプ吸込口からポンプ吐出口へ移送する際の密閉移送空間の容積変化により圧縮されても、この導入されたフラッシュガスとしての窒素ガスにより、そのベーパー濃度は事前に希釈されているので、ポンプ筐体内の密閉移送空間内でその燃料蒸気成分が液化してしまうのを抑制できるようになっている。
そして、脱着部50により吸着槽30から脱着され、還流部60に導入された、吸着槽30内の燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)は、冷却ユニット62によって冷却される。その上で、還流部60からは、液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む気体(それぞれパージガス、フラッシュガスとしての窒素ガス)が、ベーパー還流管61の他側から貯液タンク2に戻される。
制御部70は、ステップS41で、パージガス供給部52のパージガス供給弁524を開弁してパージガスを使用した脱着処理が開始されると、圧力センサ23の検出出力を基に、図2のステップS23及び図3のステップS32〜S34と同様にして、貯液タンク2内の圧力すなわちその気相部分Gの圧力Pが、予め設定された所定の上限圧力PHHに達したか否か(図3、S42)、さらに、この上限圧力PHHに貯液タンク2内の圧力が達していない場合は(S42、NO)、脱着処理の実行に伴う吸着剤34からの燃料蒸気成分の分離状況を、吸着剤検知センサ35として設けられた吸着槽30内の分割した領域毎それぞれの温度センサの検出出力を基に判定する(図3、S43〜S45)。
この場合も、所定の上限圧力PHHは、通気管5の通気弁6が貯液タンク2内の気相部分Gの雰囲気を大気中に放出するために開弁するときの、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力値よりも所定値だけ低い圧力値で、図2のステップS41の処理により開始された、パージガスを使用した脱着処理を、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる基準となる圧力値である。制御部70は、この上限圧力PHHとの比較によって、脱着処理中に還流部60から貯液タンク2に戻される液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)、に基づいた貯液タンク2内の圧力上昇によって通気管5の通気弁6が開弁し、貯液タンク2内の気相部分Gの燃料蒸気成分を含む雰囲気が大気へ放出されることを防止している。
また、制御部70は、パージガスを使用した脱着処理の実行に伴う吸着剤34からの燃料蒸気成分の分離状況を、ステップS32〜S34の場合と同様にして、吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域の3ブロック)毎に設けられた温度センサの検出出力を監視し、各温度センサに対応する吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域)それぞれの温度低下率tdがいずれも所定値td2よりも大きくなっているか否かで、ステップS41の処理により開始された、パージガスを使用した脱着処理を終了するか否かを判別する(S43〜S45)。このパージガスを使用した脱着処理を終了する状態は、吸着槽30内への窒素ガス(パージガス)の供給、及び吸着槽30内の燃料蒸気成分を含む窒素ガス(パージガス)の吸引を続けても吸着剤34に吸着された燃料蒸気成分の分離が収束して燃料蒸気成分の脱着ができない、吸着槽30内の吸着剤34からの燃料蒸気成分の脱着が完了した状態に該当し、制御部70は、各温度センサに対応する吸着槽30内の分割した領域(上層領域、中間層領域、下層領域)それぞれの温度低下率tdがいずれも所定値td2よりも小さくなり、吸着剤34から分離する燃料蒸気成分の減少によって吸着剤34の冷却が収束してきたことを判別する。このパージガスを使用した脱着処理での所定値td2は、吸着槽30内を真空引きする脱着処理での所定値td1よりも小さくなっており、さらに精緻に燃料蒸気成分の分離情況を検出できるようになっている。
そして、制御部70は、ステップS42で、貯液タンク2内の圧力すなわちその気相部分Gの圧力Pが、予め設定された所定の上限圧力PHHに達したことを検出した場合は、図2のステップS24〜S31に示した同様な、ステップS46〜S53に示すようなパージガスを使用した脱着処理を貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる処理を行う。このパージガスを使用した脱着処理を中断させる処理の詳細については、吸着槽30内を真空引きする脱着処理の場合と同様なので説明を省略する。
一方、制御部70は、ステップS43〜S45で、吸着槽30内の吸着剤34からの燃料蒸気成分の脱着が完了し、パージガスを使用した脱着処理を終了する場合は、脱着部50において、吸着槽吸引部53の吸引弁532を閉弁し(S54)、真空ポンプ533が吸着槽30内の雰囲気がポンプ筐体内のポンプ吸込口からポンプ吐出口へ気体を移送する密閉移送空間内に導入されないようしてから、予め定められた所定時間(例えば、10秒)の間だけ、ポンプ筐体に形成されたガスバラスト導入孔を介して、フラッシュガス供給部54から供給されているフラッシュガスとしての窒素ガスだけがポンプ筐体内の密閉移送空間に導入される状態にして、真空ポンプ533をそのまま駆動し続ける(S55)。これにより、脱着処理の際にポンプ筐体内の密閉移送空間内で液化して残留している燃料蒸気成分があれば、窒素ガスで密閉移送空間内をフラッシングし、この窒素ガスと一緒にポンプ吐出口からポンプ筐体外の還流部60に向けて排出できる。
そのため、脱着処理で次に真空ポンプ533を駆動する際は、ポンプ筐体内の密閉移送空間内には、液化した燃料蒸気成分が残留していない状態で、密閉移送空間内の吸着槽30内から吸引された燃料蒸気成分を含む気体を窒素ガスでパージして置き換えた状態で、真空ポンプ533を始動することができる。したがって、密閉移送空間を含む真空ポンプ533のポンプ筐体内の各部をドライな状態に保つことができ、真空ポンプ自体の寿命の低下を引き起こす原因となる、密閉移送空間内での燃料蒸気成分等の液化やその滞留を防止することができる。これにより、真空ポンプ533自体の寿命の低下を防ぎ、燃料蒸気成分の吸着性能や脱着性能の維持をはかることができる。特に、真空ポンプ(スクロール型真空ポンプ)533のポンプ筐体内で密閉移送空間の形成に用いられるチップシール若しくはパッキンといった運動用シール材等の消耗を低減し、その交換周期を長くすることができ、ベーパー回収装置10のメンテナンスコストを低減することができる。
そして、この窒素ガス(フラッシュガス)による、ポンプ筐体内の密閉移送空間内に対するフラッシングが開始され、その継続時間が所定時間(10秒)になると(S55)、
制御部70は、真空ポンプ533の駆動を、吸引弁532の閉弁に対してこの所定時間だけ遅延させて停止し(S56)、パージガス供給部52のフラッシュガス供給弁543を閉弁する(S57)。そのため、パージガスを使用した脱着処理を、貯液タンク2内の気相部分Gの圧力上昇との関係から中断させる基準となる上限圧力PHHは、この真空ポンプ533の所定時間(10秒)の継続駆動による貯液タンク2内の圧力上昇分も値は極わずかであるものの考慮した上で、予め設定されている。
その後、制御部70は、還流部60の冷却ユニット62を停止させ(S58)、パージガス供給部52のパージガス供給弁524を閉弁するとともに(S59)、気体排出部40の気体排出弁42を開弁して、吸着槽30の給・排気口33を大気雰囲気中に対して連通状態にする(S60)。そして、制御部70は、吸着槽30の槽内の脱圧を行うための所定時間の経過を待って、吸着槽30の圧力状態を大気圧状態に戻して、図2のステップS11で説明した吸着準備完了状態になる。これにより、ベーパー回収装置10は、吸着槽30の吸着剤34の再生が完了して、次の吸着処理に対応できる。
以上、本実施例のベーパー回収装置10によれば、吸着槽30内から吸着された燃料蒸気成分を含む気体を吸引して還流部60に吐出する真空ポンプ(吸引ポンプ)533の、密閉移送空間を含むポンプ筐体内の各部をドライな状態に保つことができ、吸引ポンプ自体の寿命の低下を引き起こす原因となる、密閉移送空間内での燃料蒸気成分等の液化やその滞留を防止することができる。これにより、真空ポンプ533自体の寿命の低下を防ぎ、燃料蒸気成分の吸着性能や脱着性能の維持をはかることができ、真空ポンプ533のポンプ筐体内で密閉移送空間の形成に用いられる運動用シール材等の消耗を低減し、その交換周期を長くすることができ、ベーパー回収装置10自体のメンテナンスコストを低減することができる。
本実施例のベーパー回収装置10は、以上述べたとおりであるが、本発明のベーパー回収装置の構成はこれに限定されるものではなく、吸着槽吸引部53の吸引弁532の閉弁に対して、真空ポンプ533の駆動停止及びフラッシュガス供給部54によるフラッシュガス(乾燥気体)の供給停止を遅延させ、当該遅延期間の間も駆動中の真空ポンプ533の密閉移送空間に乾燥気体を供給できるものであれば、種々の変形例が可能である。例えば、フラッシュガスは窒素ガスに限られるものではなく、脱着処理のパージガスと別のものであってもよい。なお、フラッシュガスとパージガスとで別種の乾燥気体を使用する場合は、フラッシュガス供給部54自体が、パージガス生成部51とは別の専用ガス供給源を有するようにすればよい。また、吸引ポンプも、スクロール型真空ポンプに限定されるものではなく、例えばロータリーポンプ等、ポンプ筐体内でポンプ吸込口からポンプ吐出口へ気体を密閉移送空間に閉じ込めて移送する形式の吸引ポンプであればよい。また、吸着槽吸引部53の吸引弁532は、ベーパー回収部20の導入弁22と一体的に、電磁作動式若しくは空気圧作動式の三方弁によって構成することも可能である。
1 給油所(燃料供給施設)、 2 貯液タンク、 3 給油機(燃料供給機)、
4 注油口、 5 通気管、 6 通気弁、 10 ベーパー回収装置、
20 ベーパー回収部、 21 ベーパー回収管、 22 導入弁、
23 圧力センサ、 30 吸着槽(吸着部)、 31 ベーパー導入口、
32 ベーパー還流口、 33 給・排気口、 34 吸着剤、
35 吸着剤検知センサ、 40 気体排出部、 41 気体排気管、
42 気体排出弁、 50 脱着部、 51 パージガス生成部、
52 パージガス供給部、 53 吸着槽吸引部、 54 フラッシュガス供給部、
60 還流部、 61 ベーパー還流管、 62 冷却ユニット、
70 制御部、 510 窒素ガス生成装置、 511 圧縮空気圧力調整器、
512 圧縮空気供給圧力計、 513 窒素供給器、
514 窒素出力圧力調整器、 515 窒素出力圧力計、
516 窒素バッファタンク、 517 窒素出力流量調整器、
521 パージガス供給管、 522 パージガス流量計、
523 パージ流量調整器、 524 パージガス供給弁、 531 吸引配管、
532 吸引弁、 533 真空ポンプ,スクロール型真空ポンプ(吸引ポンプ)、
541 フラッシュガス供給管、 542 フラッシュガス流量計、
543 フラッシュガス供給弁。

Claims (3)

  1. 燃料液体から蒸発したベーパーを吸着する吸着剤が充填された吸着槽と、
    貯液タンク内で発生したベーパーを前記吸着槽に供給して当該ベーパーに含まれる燃料蒸気成分を前記吸着剤に吸着させるベーパー回収部と、
    前記吸着槽と連通し、前記吸着剤により前記ベーパーの燃料蒸気成分を除去された気体を当該吸着槽外に排出する気体排出部と、
    前記吸着槽と連通し、前記吸着剤に吸着された前記燃料蒸気成分を脱着させる脱着部と、
    前記脱着部により脱着された燃料蒸気成分を前記貯液タンクに還流させる還流部と、
    前記ベーパー回収部、前記気体排出部、前記脱着部、及び前記還流部を作動制御する制御部と
    を備えたベーパー回収装置であって、
    前記脱着部は、
    一側が前記吸着槽に連通し、他側が前記還流部に連通した脱着管路と、
    前記脱着管路に設けられ、前記吸着槽内から吸着された燃料蒸気成分を含む気体を吸引し、前記還流部に吐出する吸引ポンプと、
    前記吸引ポンプよりも前記吸着槽側の前記脱着管路部分に設けられ、前記吸着槽と前記吸引ポンプとの間を連通/遮断する脱着弁と、
    前記吸着槽の前記吸着剤に吸着された燃料蒸気成分を脱着する際に使用する乾燥気体を供給する乾燥気体供給源と、
    前記吸引ポンプのポンプ筐体内の密閉移送空間に連通し、前記乾燥気体供給源の乾燥気体を前記密閉移送空間に供給する気体供給部に設けられ、前記密閉移送空間への乾燥気体の導入/遮断を行うフラッシュガス供給弁と、
    前記吸着槽に連通し、前記乾燥気体供給源の乾燥気体を前記吸着槽内に供給するパージガス供給部に設けられ、前記吸着槽内への乾燥気体の導入/遮断を行うパージガス供給弁と、
    を有し、
    前記制御部は、
    前記脱着部により前記吸着剤に吸着された前記燃料蒸気成分の脱着を行う際、前記脱着弁を開弁して前記吸引ポンプを吸引駆動するとともに、前記フラッシュガス供給弁、並びに前記フラッシュガス供給弁及びパージガス供給弁を開弁して行い、
    前記脱着部の前記脱着弁を閉弁して前記吸着槽と前記吸引ポンプとの間の連通を遮断する際、前記脱着弁の閉弁のタイミングに対して、前記吸引ポンプの駆動停止及び前記フラッシュガス供給弁の閉弁による前記気体供給部からの乾燥気体の供給停止のタイミングを遅延させ、当該遅延期間の間も駆動中の前記吸引ポンプの密閉移送空間に乾燥気体を供給す
    ことを特徴とするベーパー回収装置。
  2. 前記制御部は、
    前記脱着部の作動を停止する際、前記脱着弁を閉弁してから所定時間経過後に前記フラッシュガス供給弁の閉弁と前記吸引ポンプの駆動を停止させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のベーパー回収装置。
  3. 前記乾燥気体供給源により前記吸引ポンプの密閉移送空間、前記吸着槽内それぞれへ供給される乾燥気体は不活性ガスであり、
    前記乾燥気体供給源は、前記吸引ポンプの密閉移送空間、前記吸着槽内それぞれへ供給される不活性ガスに含まれる酸素残留濃度が、脱着する燃料油液や燃料蒸気の物性から得ることができる燃焼必要酸素濃度以下となるように不活性ガスの流量を調整する不活性ガス出力流量調整器を備え
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベーパー回収装置。
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