JP6648623B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体に関し、より詳しくは、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れた電子写真感光体に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置において用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)として、無機感光体及び有機感光体が知られている。
有機感光体は、無機感光体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面などにおいて利点を有するため、現在ではほとんどの感光体に有機感光体が用いられている。
有機感光体には高い耐久性が求められており、表面層にP型半導体粒子が含有された電子写真感光体が知られている。
このような感光体は、高い耐久性を維持したまま、高い濃度安定性やドット再現性が得られないという問題がある。このような問題を解決する技術として、電子写真感光体にP型半導体粒子及び有機化合物からなる電荷輸送剤を添加する技術が提案されている(特許文献1参照。)。
しかしながら、近年、電子写真方式の画像形成装置は、軽印刷分野への利用が急拡大しており、感光体には、更なる高耐久化、高画質化が要請されている。有機化合物からなる電荷輸送剤を含む感光体においては、繰り返しの印刷に伴い電荷輸送剤の劣化が進み、ホールのトラップ量が増加し、また、電荷が拡散しやすくなるため、耐メモリー性、ドット再現性など十分な品質を確保することができないという問題があり、更なる改善が求められている。
特開2015−169870号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れる電子写真感光体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、表面層にはCuMOを含むP型半導体粒子が含有され、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度比を特定の範囲内とすることにより、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れた電子写真感光体を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に感光層が形成され、前記感光層上に表面層が形成された電子写真感光体であって、
前記表面層には、CuMO(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、
X線光電子分光法にて測定された、前記P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、下記条件式(A)を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
条件式(A)
0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28
2.前記P型半導体粒子の数平均1次粒径が、10〜100nmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3.前記P型半導体粒子が、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾された粒子であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
4.前記表面層には、有機化合物からなる電荷輸送剤が含有されていることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
5.前記表面層には、バインダー樹脂として、架橋性の重合性化合物由来の樹脂が含有されていることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
本発明の上記手段により、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明の電子写真感光体においては、特に、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、その強度比(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])が0.18〜0.28の範囲内であることを特徴としている。
Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]が0.18より小さい場合、すなわち、P型半導体粒子表面を被覆する、絶縁体であるCuOが少なすぎる場合には、図1(a)及び(b)で示されるように、P型半導体粒子PSの電気抵抗が著しく低いため、P型半導体粒子PSに対し、電界方向Eに位置するP型半導体粒子PS1以外の他のP型半導体粒子PS2及びPS3に電荷が拡散しやすくなり、ドット再現性を低下させてしまう。
一方で、Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]が0.28より大きい場合、すなわち、P型半導体粒子表面を被覆するCuOが多すぎる場合には、図2(a)及び(b)で示されるように、P型半導体粒子PSの電気抵抗が高すぎるため、P型半導体粒子PS1に電荷移動がしにくくなり、耐メモリー性を低下させてしまう。
本発明では、Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]を0.18〜0.28の範囲内とすることにより、図3(a)及び(b)で示すように、P型半導体粒子PSの電気抵抗を適度に調整することができ、その結果、P型半導体粒子PSから、その電界方向Eに位置するP型半導体粒子PS1に効率的に電荷移動させ、ドット再現性及び耐メモリー性を向上させることができるものと考えられる。
なお、図1〜3中、符号dは電荷(電子)の移動方向を示し、その長さは電荷の移動のしやすさを示している。
P型半導体粒子(ESCAピーク強度比<0.18)における電荷移動を示す模式図 P型半導体粒子(0.28<ESCAピーク強度比)における電荷移動を示す模式図 本発明に係るP型半導体粒子(0.18≦ESCAピーク強度比≦0.28)における電荷移動を示す模式図 本発明の電子写真感光体の一例としての概略構成を示す断面図 Cu(I)及びCu(II)のESCAスペクトルを示すグラフ 本発明の電子写真感光体が備えられる画像形成装置の一例としての概略構成を示す模式図
本発明の電子写真感光体は、表面層にはCuMO(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、上記条件式(A)を満たすことを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、ドット再現性向上の観点から、P型半導体粒子の数平均1次粒径が10〜100nmの範囲内であることが好ましい。
また、硬度・弾性変形率の増加、すなわち、耐摩耗性を向上させる観点から、P型半導体粒子が反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾された粒子であることが好ましい。
また、電荷輸送性向上、すなわち、耐メモリー性向上の観点から、表面層には有機化合物からなる電荷輸送剤が含有されていることが好ましい。
また、硬度・弾性変形率の増加、すなわち、耐摩耗性を向上させる観点から、表面層には、バインダー樹脂として、架橋性の重合性化合物由来の樹脂が含有されていることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《電子写真感光体》
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層と順次積層して構成されており、表面層にはCuMO(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、条件式(A)を満たすこと(詳細は後述する。)を特徴とする。
感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層構造であってもよく、また、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造であってもよい。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面層を含めた具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面層が順次積層された層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面層が順次積層された層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面層が順次積層された層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面層が順次積層された層構成
本発明の電子写真感光体は、上記(1)〜(4)のいずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、上記(3)の層構成のものが特に好ましい。
図4は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。
図4に示すとおり、本発明の電子写真感光体10は、導電性支持体1上に、中間層2、感光層3、表面層4が順次積層されて構成されている。
感光層3は、電荷発生層3a及び電荷輸送層3bから構成されている。
表面層4には、P型半導体粒子PSが含有されている。
なお、本発明の電子写真感光体は、有機感光体であり、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物によって発現される電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体などを含むものとする。
〈表面層(4)〉
本発明に係る表面層は、バインダー樹脂と、当該バインダー樹脂中に分散されたP型半導体粒子とを有している。感光体最表層に表面層を設けることで、高い耐摩耗性を得ることができる。
表面層の厚さは、0.2〜10μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜6μmの範囲内である。
(P型半導体粒子(PS))
(1)P型半導体粒子
P型半導体粒子は、電荷を輸送するキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体粒子である。すなわち、正孔が多数キャリアとなる半導体である。
本発明においては、P型半導体粒子として、CuMO(Mは周期表第13族の元素を表す。)が表面層に含有されている。
周期表第13族の元素としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が挙げられる。本発明において好ましく用いられる第13族元素としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムであり、具体的には、CuAlO、CuGaO、CuInO等の粒子が挙げられる。これらのP型半導体粒子を電子写真感光体の表面層に添加することにより、耐摩耗性に優れ、画像ボケ及び画像メモリーの発生しない高画質の電子写真感光体とすることができる。
(2)ESCAスペクトル
また、本発明に係るP型半導体粒子は、X線光電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis:ESCA、XPSともいう。)にて測定された、粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、その強度比(以下、ESCAピーク強度比ともいう。)が下記条件式(A)を満たす(図3(a)及び(b)参照。)ことを特徴とする。
条件式(A)
0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28
ESCAピーク強度比が0.18より小さい場合、P型半導体粒子の電気抵抗が著しく低いため、P型半導体粒子に対し、電界方向に位置するP型半導体粒子以外の他のP型半導体粒子に電荷が拡散しやすくなり、ドット再現性を低下させ(図1(a)及び(b)参照。)、ESCAピーク強度比が0.28より大きい場合、P型半導体粒子の電気抵抗が高すぎるため、P型半導体粒子に電荷移動がしにくくなり、耐メモリー性を低下させてしまう(図2(a)及び(b)参照。)。
なお、本発明において、ESCAピーク強度比は、X線光電子分析装置を用いて、P型半導体粒子の表面上の組成を均一であると仮定してESCAスペクトルを測定し、Cu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークトップの強度比から算出する。
図5には、縦軸を相対強度、横軸を束縛エネルギー(結合エネルギー)とするCu(I)及びCu(II)のESCAスペクトルを示している。Cu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークは、それぞれ約923eVに観測されるピークPI(2p3/2)及びPII(2p3/2)である。なお、図5中、符号PI(2p1/2)及びPII(2p1/2)は、それぞれCu(I)及びCu(II)のCu2p1/2軌道に由来する光電子ピーク、符号Sは、サテライトピークを示している。
(3)P型半導体粒子の粒径等
本発明に係るP型半導体粒子の数平均1次粒径は、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、20〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
P型半導体粒子の数平均一次粒径が10nm以上であることにより、分散性を確保することができ、100nm以下であることにより、電荷の拡散を抑制し、形成される画像に高いドット再現性が得られる。
なお、本発明において、P型半導体粒子の数平均1次粒径は、以下のようにして測定される。
走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影する。ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く。)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用して数平均1次粒径を算出する。
P型半導体粒子は、表面層中5〜25体積%の範囲内で含有されていることが好ましく、より好ましくは10〜25体積%の範囲内である。
P型半導体粒子の含有率が5体積%以上であることにより、露光後の残留電位の上昇が抑制される。また、P型半導体粒子の含有率が25体積%以下であることにより、潜像拡散が抑制される。
(4)P型半導体粒子の作製方法
P型半導体粒子は、例えば、焼結法により作製することができる。具体的には、P型半導体粒子としてCuAlOを用いる場合、Al(純度99.9%)とCuO(99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得る。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して微粉砕し、酸を添加してCuO被膜を除去することにより、所望の粒径及びESCAピーク強度比を有するCuAlOを得ることができる。
CuO被膜除去のための酸としては特に制限されないが、シュウ酸や酢酸等が挙げられる。
また、CuO被膜の除去方法としては、上記では一例として酸処理を用いたが、本発明の効果を阻害することなくCuO被膜を除去することができれば、特にこれに制限されない。
また、P型半導体粒子(酸処理前)の他の作製方法としては、例えば、プラズマ法が挙げられる。プラズマ法としては、直流プラズマアーク法、高周波プラズマ法、プラズマジェット法などの方法が挙げられる。
直流プラズマアーク法では、金属合金を消費アノード電極とする。そして、カソード電極からプラズマフレームを発生させる。そして、アノード側の金属合金を加熱、蒸発させ、金属合金の蒸気を酸化、冷却することにより、P型半導体粒子を得ることができる。
高周波プラズマ法では、大気圧力のもとでガスを高周波誘導放電によって加熱したときに発生する熱プラズマを利用する。このうちプラズマ蒸発法では、不活性ガスプラズマ中心に固体粒子を注入し、プラズマ中を通過する間に蒸発させ、この高温蒸気を急冷凝縮することにより超微粒子を得ることができる。
プラズマ法は、不活性ガスのアルゴン、及び2原子分子ガスである水素や窒素、酸素雰囲気中でアーク放電すると、アルゴンプラズマ、水素プラズマなどが得られるが、特に2原子分子ガスが解離して生じた水素(窒素、酸素)プラズマは分子状ガスに比べて極めて反応性に富んでいるので、不活性ガスのプラズマと区別して反応性アークプラズマとも呼ばれている。このうち、酸素プラズマ法は、P型半導体粒子を生成する方法として効果的である。
(5)表面修飾
P型半導体粒子は、分散性の観点から表面修飾剤で表面修飾されたものであってもよく、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾されたものであることが好ましい。
表面修飾剤としては、表面修飾前のP型半導体粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面修飾剤を用いてもよく、このような表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、本発明においては、表面層の硬度を更に高める目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性反応基であるものを用いることがより好ましい。ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤を用いることにより、表面層用バインダー樹脂が後述する重合性化合物由来の硬化樹脂である場合に、当該重合性化合物とも反応するために強固な保護膜を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
表面修飾剤としては、上記S−1〜S−36以外にも、ラジカル重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面修飾剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、表面修飾剤の使用量は、特に制限されないが、修飾前のP型半導体粒子100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲内であることが好ましい。
(6)P型半導体粒子の表面修飾方法
P型半導体粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前のP型半導体粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、P型半導体粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶媒を除去して粉体化することによって行うことができる。
スラリーは、修飾前のP型半導体粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部の割合で混合されたものであることが好ましい。
また、スラリーの湿式粉砕に用いる装置としては、湿式メディア分散型装置が挙げられる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、P型半導体粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、P型半導体粒子に表面修飾を行う際にP型半導体粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などによって微粉砕及び分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールを用いることができるが、特にジルコニア製やジルコン製のものを用いることが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものを使用することができるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁であることが好ましい。
(電荷輸送剤)
本発明においては、表面層に有機化合物よりなる電荷輸送剤が含有されていることが好ましい。これにより、電荷輸送剤をP型半導体粒子に対して粒径が小さいものとすることができるため、電荷輸送剤をP型半導体粒子間に効果的に配列させることができ、電荷輸送層からのホール注入率が向上する。さらに、P型半導体粒子と電荷輸送剤との間で電荷授受を行いながらホール輸送を行うため、露光に対して忠実に静電潜像を形成することができる。以上のことから、形成される画像に高い濃度安定性及びドット再現性が得られる。
表面層を構成する有機化合物からなる電荷輸送剤としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有するトリフェニルアミン誘導体が挙げられる。
Figure 0006648623
一般式(1)中、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。Rcは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基又は−CH=C(Rx)を表し、Rxは、水素原子、フェニル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Za及びZbは、それぞれ独立に、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又は−CHCHO−を表す。m、n及びoは、0又は1を表す。r、s及びtは、0〜2の整数を表す。Ra、Rb、Rc、Za及びZbは、同一のものであっても、異なるものであってもよい。
Rcは、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基又は−CH=C(Rx)を表すが、Rcとして−CH=C(Rx)が選択される場合、アリール基における置換基としては、例えば、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、メトキシ基などが挙げられる。
Ra、Rb及び/又はRcが、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す場合、(Ra−Za)−、(Rb−Zb)−及び/又はRc−の結合位置は、フェニル基(m、n、oが1の場合)又は窒素原子(m、n、oが0の場合)に対してパラ位が好ましい。
以下、上記一般式(1)で表される構造を有するトリフェニルアミン誘導体の具体例を示す。
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
Figure 0006648623
上記例示化合物No.1〜No.67において、Rは水素原子又はメチル基である。
上記一般式(1)で表される構造を有するトリフェニルアミン誘導体のうち、m及びnが0であり、oが1であり、Ra、Rb及びRcが、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基又はメトキシ基であり、Za及びZbが単結合であるものが好ましい。具体的には、上記例示化合物No.6〜No.17が好ましい。
一般式(1)で表される構造を有するトリフェニルアミン誘導体は、公知の合成方法、例えば、特開2006−143720号公報などに開示されている方法で合成することができる。
電荷輸送剤は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
以上のような電荷輸送剤は、表面層中5〜25体積%の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜20体積%の範囲内である。
電荷輸送剤の含有割合が5体積%以上であることにより、露光後の残留電位の上昇が抑制される。また、電荷輸送剤の含有割合が25体積%以下であることにより、膜硬度が確保されながらも潜像拡散が抑制される。
本発明において、表面層中のP型半導体粒子及び電荷輸送剤の体積比率は、表面層の形成工程において、P型半導体粒子及び電荷輸送剤の添加量(質量部)から換算することができる。例えば、有機物(電荷輸送剤など)の比重を1.1、P型半導体粒子の比重を5として換算することができる。
(バインダー樹脂)
表面層を構成するバインダー樹脂としては、高い耐久性を維持する観点から、硬化性樹脂が好ましく、特に、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる架橋型硬化性樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることもできる。
架橋性の重合性化合物としては、具体的には、2個以上のラジカル重合性官能基を有する重合性化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)が挙げられる。このようなバインダー樹脂は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、多官能ラジカル重合性化合物を重合反応し、硬化させることにより形成されるものである。
架橋性の重合性化合物としては、多官能ラジカル重合性化合物とともに、ラジカル重合性官能基を1個有する化合物(以下、「単官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を併用することもできる。単官能ラジカル重合性化合物を用いる場合においては、その割合は、バインダー樹脂を形成するためのモノマー全量に対して20質量%以下が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
多官能ラジカル重合性化合物としては、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることから、ラジカル重合性官能基としてアクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を2個以上有するアクリル系モノマー又はこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。従って、樹脂としてはアクリル系モノマー又はそのオリゴマーにより形成されるアクリル系樹脂が好ましい。
本発明においては、多官能ラジカル重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。また、これらの多官能ラジカル重合性化合物は、モノマーを用いてもよいが、オリゴマー化して用いてもよい。
以下、多官能ラジカル重合性化合物の具体例を示す。
Figure 0006648623
Figure 0006648623
ただし、上記の例示化合物M1〜M14を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH=CHCO−)を示し、R′はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を示す。
(その他の添加剤)
本発明に係る表面層には、バインダー樹脂、P型半導体粒子及び電荷輸送剤の他に、他の成分が含有されていてもよく、例えば、各種の酸化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの各種の滑剤粒子を加えることもできる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
以下、表面層以外の感光体の構成につき、上記(1)の層構成、すなわち、導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面層が順次積層された層構成である場合について説明する。
〈導電性支持体(1)〉
本発明の電子写真感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛又はステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム又は紙などが挙げられる。
〈中間層(2)〉
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらの中でも、アルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ又は酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
これら金属酸化物粒子は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜350質量部の範囲内である。
中間層の厚さは、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmの範囲内である。
〈電荷発生層(3a)〉
本発明に係る感光層における電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ又はチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
これらの電荷発生物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、又はこれらの樹脂のうち二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部の範囲内である。
電荷発生層の厚さは、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合などにより異なるが、0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmの範囲内である。
〈電荷輸送層(3b)〉
本発明に係る感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA(ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部の範囲内である。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性及び含有割合などによって異なるが、5〜40μmの範囲内であることが好ましく、よりに好ましくは10〜30μmの範囲内である。
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどを添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
〈電子写真感光体の製造方法〉
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、表面層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理することにより、表面層を形成する工程
以下、各工程について説明する。
(工程(1):中間層の形成)
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液中に導電性粒子や金属酸化物粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の形成工程において使用する溶媒としては、導電性粒子や金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコール類が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能とに優れていることから好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、上記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
(工程(2):電荷発生層の形成)
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(3):電荷輸送層の形成)
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(4):表面層の形成)
表面層は、例えば、架橋性の重合性化合物、P型半導体粒子、電荷輸送剤、重合開始剤及び必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「表面層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この表面層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物を硬化処理することにより表面層を形成することができる。
表面層の硬化処理においては、塗膜中の重合性化合物に活性線を照射してラジカルを発生させて重合反応し、かつ、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化させることにより、当該重合性化合物が架橋型硬化性樹脂として形成されることが好ましい。
また、表面層の硬化処理においては、塗膜を加熱することによって塗膜中のバインダー樹脂を形成するための成分を硬化させることにより、当該成分を熱硬化性樹脂として形成することもできる。
表面層形成用塗布液においては、P型半導体粒子は、バインダー樹脂を形成するための全モノマー100体積部に対して5〜60体積部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは10〜60体積部の範囲内である。
また、電荷輸送剤は、バインダー樹脂を形成するための全モノマー100体積部に対して5〜75体積部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜50体積部の範囲内である。
表面層形成用塗布液中にP型半導体粒子及び電荷輸送剤を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
表面層の形成に用いられる溶媒としては、バインダー樹脂を形成するためのモノマー、P型半導体粒子、電荷輸送剤等を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜は、乾燥しないで硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥又は熱乾燥を行った後、硬化処理を行うことが好ましい。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)〜180℃の範囲内であり、特に好ましくは80〜140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1〜200分間であり、特に好ましくは5〜100分間である。
架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用することもできる。
ラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物又はフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造又はアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。
以下、光重合開始剤としてアシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例を示す。
Figure 0006648623
重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の添加割合は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
架橋性の重合性化合物に照射する活性線としては、紫外線や電子線がより好ましく、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜100mJ/cmの範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。
吸収線量は、0.5〜10Mradの範囲内であることが好ましい。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
表面層の形成の工程においては、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
《画像形成装置》
本発明の電子写真感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができ、このような画像形成装置としては、例えば、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものが挙げられる。
図6は、本発明の電子写真感光体が備えられる画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21と、定着手段24とからなる。画像形成装置100の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
画像形成装置100は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkの少なくとも一つとして、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C及び2Bkと、露光手段3Y、3M、3C及び3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C及び4Bk、並びに感光体1Y、1M、1C及び1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C及び6Bkより構成されている。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、以下画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段である。本発明においては、帯電手段としては、接触又は非接触のローラー帯電方式のものなどが挙げられる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ、及び当該現像スリーブと感光体との間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
画像形成装置100としては、感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材などの感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M及び1Cに当接する。
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にして
ある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とからなる。
画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bk、並びにクリーニング手段6bとからなる。
なお、図6に示す画像形成装置100では、カラーのレーザープリンタを示したが、モノクロのレーザープリンタやコピーにも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
以上のような画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、真球を100とする形状係数SFが140未満のトナーが好ましい。この形状係数SFが140未満であれば、良好な転写性等が得られ、得られる画像の画質が向上する。トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmの範囲内であることが好ましい。
トナー粒子は、通常、結着樹脂及び着色剤が含有され、所望により離型剤が含有される。この結着樹脂、着色剤及び離型剤はいずれも、従来トナーに用いられている材料を用いることができ、特に制限されない。
上記のトナー粒子を製造する方法としては、特に制約されないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
また、上記トナー粒子に、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカ、チタニア等の無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨剤を適宜量外添することができる。また、上記トナー粒子と、平均粒径25〜45μmの範囲内のフェライトビーズ等からなるキャリアを混合して2成分現像剤として用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《電子写真感光体の作製》
以下のようにして、電子写真感光体101〜109を作製した。
〈電子写真感光体101の作製〉
(導電性支持体の準備)
導電性支持体として、直径60mmの円筒形アルミニウム支持体を準備した。
(中間層の形成)
バインダー樹脂としてのポリアミド樹脂100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、酸化チタン粒子SMT500SAS(テイカ社製)を120質量部、酸化チタン粒子SMT150MK(テイカ社製)を160質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間を5時間として分散させた。この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層形成用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルタとして、公称ろ過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分乾燥して乾燥膜厚2μmの中間層を形成した。
(電荷発生層の形成)
下記組成の電荷発生層材料を混合して、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を調製した。
〔電荷発生層材料〕
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
調製した電荷発生層形成用塗布液を中間層上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
下記組成の電荷輸送層材料を混合して溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
〔電荷輸送層材料〕
電荷輸送物質(4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 225質量部
バインダー:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン:BHT) 6質量部
テトラヒドロフラン(THF) 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−96:信越化学社製) 1質量部
調製した電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、120℃で70分間乾燥して、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(表面層の形成)
(1)P型半導体粒子の作製
(1.1)焼結体の作製
粉末状のAl(純度99.9%)と粉末状のCuO(純度99.9%)とを、1:1のモル比で混合し、アルゴンガス雰囲気中において1100℃で4日間仮焼した後、更に、1100℃で2日間焼結することにより、CuAlOよりなる粉末状の焼結体を得た。
(1.2)湿式粉砕処理
次いで、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒とを湿式メディア分散型装置に入れて湿式粉砕処理を行うことにより、CuAlOを含む数平均1次粒径20nmのP型半導体粒子の粉体を得た。
(1.3)酸処理
得られたP型半導体粒子の紛体とpH3(液温25℃)に調整したシュウ酸水溶液とを湿式メディア分散型装置に入れて、1時間混合し、純水で洗浄することにより、ESCAピーク強度比が0.25となるP型半導体粒子を得た。
なお、ESCAピーク強度比は、島津X線光電子分析装置(ESCA−1000、島津製作所製)を用いて、X線強度を10kV、30mA、分析深度:Normalモードにおいて、P型半導体粒子表面上の組成を均一と仮定し、Cu2p3/2軌道に由来するCu(I)及びCu(II)の光電子ピークの相対強度をそれぞれ測定し、算出した。
(1.4)表面修飾
上記のようにして作製したP型半導体粒子100質量部、表面修飾剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学社製)7質量部及びメチルエチルケトン1000質量部を、湿式サンドミル(径0.5mmのジルコニアビーズ)に入れ、30℃で6時間混合し、その後、メチルエチルケトン及びジルコニアビーズをろ別し、60℃で乾燥することにより、表面修飾がなされたP型半導体粒子の粉体を得た。
(2)表面層の形成
下記組成の表面層材料を混合撹拌し、十分に溶解、分散し、表面層形成用塗布液を調製した。
〔表面層材料〕
表面修飾したP型半導体粒子 106質量部
バインダー樹脂:トリメチロールプロパントリメタクリラート 100質量部
重合開始剤:イルガキュア819(BASFジャパン社製) 8.4質量部
溶媒:2−ブタノール 313質量部
テトラヒドロフラン 35質量部
調製した表面層形成用塗布液を、電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射後、80℃70分間乾燥を行い、乾燥後の厚さが3.0μmの表面層を形成した。
以上のようにして、電子写真感光体101を作製した。
〈電子写真感光体102及び103の作製〉
電子写真感光体101の作製において、酸処理におけるシュウ酸水溶液のpHを表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、電子写真感光体102及び103を作製した。
〈電子写真感光体104〜106の作製〉
電子写真感光体101の作製において、P型半導体粒子の数平均1次粒径が表1に記載のとおりになるように湿式粉砕処理を行った以外は同様にして、電子写真感光体104〜106を作製した。
〈電子写真感光体107の作製〉
電子写真感光体106の作製において、電荷輸送剤として例示化合物No.8を23質量部添加して表面層形成用塗布液を調製した以外は同様にして、電子写真感光体107を作製した。
〈電子写真感光体108の作製〉
電子写真感光体101の作製において、P型半導体粒子作製時に酸処理を実施せず、また、電荷輸送剤として例示化合物No.8を23質量部添加して表面層形成用塗布液を調製した以外は同様にして、電子写真感光体108を作製した。
〈電子写真感光体109の作製〉
電子写真感光体101の作製において、酸処理におけるシュウ酸水溶液のpHを1とした以外は同様にして、電子写真感光体109を作製した。
《評価》
作製した電子写真感光体101〜109について、下記各評価を行った。
評価結果を表1に示す。
なお、評価機として、基本的に図6の構成を有するコニカミノルタ社製「bizhub PRESS C1100」を用い、該評価機に各電子写真感光体を搭載して、評価を行った。
具体的には、23℃・50%RH環境で、画像面積比率6%の文字画像をA4横送りで各500000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前あるいは耐久試験後に、画像メモリー、ドット再現性、耐摩耗性(α値)の評価を行った。
〈画像メモリーの評価〉
耐久試験後に、ベタ黒とベタ白との混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に上記ベタ黒とベタ白との履歴が現れている(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かで判定し、下記評価基準に従って評価した。
◎:メモリー発生無し(良好)
○:軽微なメモリーが視認できる(実用上問題なし)
△:メモリーが視認できる(実用上問題あり)
×:はっきりしたメモリーが発生(実用上問題あり)
〈ドット再現性〉
耐久試験後に、30℃・80%RH環境において、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m)王子製紙社製にて濃度指示値100で印刷し、ドットの形成状態を拡大観察して目視判定し、下記評価基準に従って評価した。
◎:正常にドットが形成されている(良好)
○:一部ドットが細っている(実用上問題なし)
△:全体的にドットが細っている(実用上問題あり)
×:ドットが形成されていない(実用上問題あり)
〈耐摩耗特性の評価〉
耐久試験前後における感光層の膜厚を測定し、膜厚減耗量を算出し評価した。感光層の膜厚は均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分は、膜厚プロファイルを作成して除いた。)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の膜厚とした。膜厚測定器は、渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHERGmbH CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とした。100krot(10万回転)あたりの減耗量をα値とした。α値が0.2μm以内であれば、基準を満たすレベルとした。
Figure 0006648623
〈まとめ〉
表1から明らかなように、本発明の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体と比べて、画像メモリー、ドット再現性及び耐摩耗特性において優れた効果を示していることが確認された。
以上から、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度比(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])を0.18〜0.28の範囲内とすることが、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れた電子写真感光体を提供することに有用であることがわかる。
1 導電性支持体
2 中間層
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
4 表面層
10 電子写真感光体
100 画像形成装置
E 電界方向
PS、PS1〜PS3 P型半導体粒子
PI(2p1/2)、PII(2p1/2)、PI(2p3/2)、PII(2p3/2) 光電子ピーク
S サテライトピーク
d 電荷の移動方向
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層が形成され、前記感光層上に表面層が形成された電子写真感光体であって、
    前記表面層には、CuMO(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、
    X線光電子分光法にて測定された、前記P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、下記条件式(A)を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
    条件式(A)
    0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28
  2. 前記P型半導体粒子の数平均1次粒径が、10〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記P型半導体粒子が、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾された粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記表面層には、有機化合物からなる電荷輸送剤が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記表面層には、バインダー樹脂として、架橋性の重合性化合物由来の樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
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