JP6648623B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
有機感光体は、無機感光体に比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面などにおいて利点を有するため、現在ではほとんどの感光体に有機感光体が用いられている。
このような感光体は、高い耐久性を維持したまま、高い濃度安定性やドット再現性が得られないという問題がある。このような問題を解決する技術として、電子写真感光体にP型半導体粒子及び有機化合物からなる電荷輸送剤を添加する技術が提案されている(特許文献1参照。)。
前記表面層には、CuMO2(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、
X線光電子分光法にて測定された、前記P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、下記条件式(A)を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28
Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]が0.18より小さい場合、すなわち、P型半導体粒子表面を被覆する、絶縁体であるCuOが少なすぎる場合には、図1(a)及び(b)で示されるように、P型半導体粒子PSの電気抵抗が著しく低いため、P型半導体粒子PSに対し、電界方向Eに位置するP型半導体粒子PS1以外の他のP型半導体粒子PS2及びPS3に電荷が拡散しやすくなり、ドット再現性を低下させてしまう。
一方で、Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]が0.28より大きい場合、すなわち、P型半導体粒子表面を被覆するCuOが多すぎる場合には、図2(a)及び(b)で示されるように、P型半導体粒子PSの電気抵抗が高すぎるため、P型半導体粒子PS1に電荷移動がしにくくなり、耐メモリー性を低下させてしまう。
本発明では、Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)]を0.18〜0.28の範囲内とすることにより、図3(a)及び(b)で示すように、P型半導体粒子PSの電気抵抗を適度に調整することができ、その結果、P型半導体粒子PSから、その電界方向Eに位置するP型半導体粒子PS1に効率的に電荷移動させ、ドット再現性及び耐メモリー性を向上させることができるものと考えられる。
なお、図1〜3中、符号dは電荷(電子)の移動方向を示し、その長さは電荷の移動のしやすさを示している。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面層と順次積層して構成されており、表面層にはCuMO2(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、条件式(A)を満たすこと(詳細は後述する。)を特徴とする。
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面層が順次積層された層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面層が順次積層された層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面層が順次積層された層構成
図4に示すとおり、本発明の電子写真感光体10は、導電性支持体1上に、中間層2、感光層3、表面層4が順次積層されて構成されている。
感光層3は、電荷発生層3a及び電荷輸送層3bから構成されている。
表面層4には、P型半導体粒子PSが含有されている。
本発明に係る表面層は、バインダー樹脂と、当該バインダー樹脂中に分散されたP型半導体粒子とを有している。感光体最表層に表面層を設けることで、高い耐摩耗性を得ることができる。
(1)P型半導体粒子
P型半導体粒子は、電荷を輸送するキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体粒子である。すなわち、正孔が多数キャリアとなる半導体である。
本発明においては、P型半導体粒子として、CuMO2(Mは周期表第13族の元素を表す。)が表面層に含有されている。
周期表第13族の元素としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)が挙げられる。本発明において好ましく用いられる第13族元素としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムであり、具体的には、CuAlO2、CuGaO2、CuInO2等の粒子が挙げられる。これらのP型半導体粒子を電子写真感光体の表面層に添加することにより、耐摩耗性に優れ、画像ボケ及び画像メモリーの発生しない高画質の電子写真感光体とすることができる。
また、本発明に係るP型半導体粒子は、X線光電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis:ESCA、XPSともいう。)にて測定された、粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、その強度比(以下、ESCAピーク強度比ともいう。)が下記条件式(A)を満たす(図3(a)及び(b)参照。)ことを特徴とする。
0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28
図5には、縦軸を相対強度、横軸を束縛エネルギー(結合エネルギー)とするCu(I)及びCu(II)のESCAスペクトルを示している。Cu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークは、それぞれ約923eVに観測されるピークPI(2p3/2)及びPII(2p3/2)である。なお、図5中、符号PI(2p1/2)及びPII(2p1/2)は、それぞれCu(I)及びCu(II)のCu2p1/2軌道に由来する光電子ピーク、符号Sは、サテライトピークを示している。
本発明に係るP型半導体粒子の数平均1次粒径は、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、20〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
P型半導体粒子の数平均一次粒径が10nm以上であることにより、分散性を確保することができ、100nm以下であることにより、電荷の拡散を抑制し、形成される画像に高いドット再現性が得られる。
走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影する。ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く。)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用して数平均1次粒径を算出する。
P型半導体粒子の含有率が5体積%以上であることにより、露光後の残留電位の上昇が抑制される。また、P型半導体粒子の含有率が25体積%以下であることにより、潜像拡散が抑制される。
P型半導体粒子は、例えば、焼結法により作製することができる。具体的には、P型半導体粒子としてCuAlO2を用いる場合、Al2O3(純度99.9%)とCu2O(99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得る。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して微粉砕し、酸を添加してCuO被膜を除去することにより、所望の粒径及びESCAピーク強度比を有するCuAlO2を得ることができる。
CuO被膜除去のための酸としては特に制限されないが、シュウ酸や酢酸等が挙げられる。
また、CuO被膜の除去方法としては、上記では一例として酸処理を用いたが、本発明の効果を阻害することなくCuO被膜を除去することができれば、特にこれに制限されない。
P型半導体粒子は、分散性の観点から表面修飾剤で表面修飾されたものであってもよく、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾されたものであることが好ましい。
また、本発明においては、表面層の硬度を更に高める目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性反応基であるものを用いることがより好ましい。ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤を用いることにより、表面層用バインダー樹脂が後述する重合性化合物由来の硬化樹脂である場合に、当該重合性化合物とも反応するために強固な保護膜を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
P型半導体粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前のP型半導体粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、P型半導体粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶媒を除去して粉体化することによって行うことができる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、P型半導体粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、P型半導体粒子に表面修飾を行う際にP型半導体粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などによって微粉砕及び分散が行われる。
本発明においては、表面層に有機化合物よりなる電荷輸送剤が含有されていることが好ましい。これにより、電荷輸送剤をP型半導体粒子に対して粒径が小さいものとすることができるため、電荷輸送剤をP型半導体粒子間に効果的に配列させることができ、電荷輸送層からのホール注入率が向上する。さらに、P型半導体粒子と電荷輸送剤との間で電荷授受を行いながらホール輸送を行うため、露光に対して忠実に静電潜像を形成することができる。以上のことから、形成される画像に高い濃度安定性及びドット再現性が得られる。
電荷輸送剤の含有割合が5体積%以上であることにより、露光後の残留電位の上昇が抑制される。また、電荷輸送剤の含有割合が25体積%以下であることにより、膜硬度が確保されながらも潜像拡散が抑制される。
表面層を構成するバインダー樹脂としては、高い耐久性を維持する観点から、硬化性樹脂が好ましく、特に、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる架橋型硬化性樹脂が好ましい。また、硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることもできる。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
本発明に係る表面層には、バインダー樹脂、P型半導体粒子及び電荷輸送剤の他に、他の成分が含有されていてもよく、例えば、各種の酸化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの各種の滑剤粒子を加えることもできる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
本発明の電子写真感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛又はステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム又は紙などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
これら金属酸化物粒子は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜350質量部の範囲内である。
本発明に係る感光層における電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
これらの電荷発生物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、表面層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理することにより、表面層を形成する工程
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
表面層は、例えば、架橋性の重合性化合物、P型半導体粒子、電荷輸送剤、重合開始剤及び必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「表面層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この表面層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物を硬化処理することにより表面層を形成することができる。
また、表面層の硬化処理においては、塗膜を加熱することによって塗膜中のバインダー樹脂を形成するための成分を硬化させることにより、当該成分を熱硬化性樹脂として形成することもできる。
また、電荷輸送剤は、バインダー樹脂を形成するための全モノマー100体積部に対して5〜75体積部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜50体積部の範囲内である。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2の範囲内、好ましくは5〜100mJ/cm2の範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。
吸収線量は、0.5〜10Mradの範囲内であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができ、このような画像形成装置としては、例えば、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものが挙げられる。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
画像形成装置100は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkの少なくとも一つとして、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
ある。
以下のようにして、電子写真感光体101〜109を作製した。
(導電性支持体の準備)
導電性支持体として、直径60mmの円筒形アルミニウム支持体を準備した。
バインダー樹脂としてのポリアミド樹脂100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で撹拌混合した。この溶液に、酸化チタン粒子SMT500SAS(テイカ社製)を120質量部、酸化チタン粒子SMT150MK(テイカ社製)を160質量部添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間を5時間として分散させた。この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層形成用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルタとして、公称ろ過精度が5μmのリジメッシュフィルタ(日本ポール社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、導電性支持体を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分乾燥して乾燥膜厚2μmの中間層を形成した。
下記組成の電荷発生層材料を混合して、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を調製した。
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
下記組成の電荷輸送層材料を混合して溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
電荷輸送物質(4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 225質量部
バインダー:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン:BHT) 6質量部
テトラヒドロフラン(THF) 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−96:信越化学社製) 1質量部
(1)P型半導体粒子の作製
(1.1)焼結体の作製
粉末状のAl2O3(純度99.9%)と粉末状のCu2O(純度99.9%)とを、1:1のモル比で混合し、アルゴンガス雰囲気中において1100℃で4日間仮焼した後、更に、1100℃で2日間焼結することにより、CuAlO2よりなる粉末状の焼結体を得た。
次いで、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒とを湿式メディア分散型装置に入れて湿式粉砕処理を行うことにより、CuAlO2を含む数平均1次粒径20nmのP型半導体粒子の粉体を得た。
得られたP型半導体粒子の紛体とpH3(液温25℃)に調整したシュウ酸水溶液とを湿式メディア分散型装置に入れて、1時間混合し、純水で洗浄することにより、ESCAピーク強度比が0.25となるP型半導体粒子を得た。
上記のようにして作製したP型半導体粒子100質量部、表面修飾剤:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学社製)7質量部及びメチルエチルケトン1000質量部を、湿式サンドミル(径0.5mmのジルコニアビーズ)に入れ、30℃で6時間混合し、その後、メチルエチルケトン及びジルコニアビーズをろ別し、60℃で乾燥することにより、表面修飾がなされたP型半導体粒子の粉体を得た。
下記組成の表面層材料を混合撹拌し、十分に溶解、分散し、表面層形成用塗布液を調製した。
表面修飾したP型半導体粒子 106質量部
バインダー樹脂:トリメチロールプロパントリメタクリラート 100質量部
重合開始剤:イルガキュア819(BASFジャパン社製) 8.4質量部
溶媒:2−ブタノール 313質量部
テトラヒドロフラン 35質量部
以上のようにして、電子写真感光体101を作製した。
電子写真感光体101の作製において、酸処理におけるシュウ酸水溶液のpHを表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、電子写真感光体102及び103を作製した。
電子写真感光体101の作製において、P型半導体粒子の数平均1次粒径が表1に記載のとおりになるように湿式粉砕処理を行った以外は同様にして、電子写真感光体104〜106を作製した。
電子写真感光体106の作製において、電荷輸送剤として例示化合物No.8を23質量部添加して表面層形成用塗布液を調製した以外は同様にして、電子写真感光体107を作製した。
電子写真感光体101の作製において、P型半導体粒子作製時に酸処理を実施せず、また、電荷輸送剤として例示化合物No.8を23質量部添加して表面層形成用塗布液を調製した以外は同様にして、電子写真感光体108を作製した。
電子写真感光体101の作製において、酸処理におけるシュウ酸水溶液のpHを1とした以外は同様にして、電子写真感光体109を作製した。
作製した電子写真感光体101〜109について、下記各評価を行った。
評価結果を表1に示す。
具体的には、23℃・50%RH環境で、画像面積比率6%の文字画像をA4横送りで各500000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前あるいは耐久試験後に、画像メモリー、ドット再現性、耐摩耗性(α値)の評価を行った。
耐久試験後に、ベタ黒とベタ白との混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に上記ベタ黒とベタ白との履歴が現れている(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かで判定し、下記評価基準に従って評価した。
○:軽微なメモリーが視認できる(実用上問題なし)
△:メモリーが視認できる(実用上問題あり)
×:はっきりしたメモリーが発生(実用上問題あり)
耐久試験後に、30℃・80%RH環境において、内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m2)王子製紙社製にて濃度指示値100で印刷し、ドットの形成状態を拡大観察して目視判定し、下記評価基準に従って評価した。
○:一部ドットが細っている(実用上問題なし)
△:全体的にドットが細っている(実用上問題あり)
×:ドットが形成されていない(実用上問題あり)
耐久試験前後における感光層の膜厚を測定し、膜厚減耗量を算出し評価した。感光層の膜厚は均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分は、膜厚プロファイルを作成して除いた。)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の膜厚とした。膜厚測定器は、渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHERGmbH CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とした。100krot(10万回転)あたりの減耗量をα値とした。α値が0.2μm以内であれば、基準を満たすレベルとした。
表1から明らかなように、本発明の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体と比べて、画像メモリー、ドット再現性及び耐摩耗特性において優れた効果を示していることが確認された。
以上から、X線光電子分光法にて測定された、P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度比(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])を0.18〜0.28の範囲内とすることが、耐久試験後においてもドット再現性に優れ、かつ画像メモリーの発生がなく、耐摩耗性と画像特性の安定性に優れた電子写真感光体を提供することに有用であることがわかる。
2 中間層
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
4 表面層
10 電子写真感光体
100 画像形成装置
E 電界方向
PS、PS1〜PS3 P型半導体粒子
PI(2p1/2)、PII(2p1/2)、PI(2p3/2)、PII(2p3/2) 光電子ピーク
S サテライトピーク
d 電荷の移動方向
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
Claims (5)
- 導電性支持体上に感光層が形成され、前記感光層上に表面層が形成された電子写真感光体であって、
前記表面層には、CuMO2(Mは周期表第13族の元素を表す。)を含むP型半導体粒子が含有され、
X線光電子分光法にて測定された、前記P型半導体粒子表面に含有されるCu(I)及びCu(II)のCu2p3/2軌道に由来する光電子ピークの強度をそれぞれInt[Cu(I)]及びInt[Cu(II)]としたとき、下記条件式(A)を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
条件式(A)
0.18≦(Int[Cu(II)]/Int[Cu(I)])≦0.28 - 前記P型半導体粒子の数平均1次粒径が、10〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記P型半導体粒子が、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾された粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層には、有機化合物からなる電荷輸送剤が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層には、バインダー樹脂として、架橋性の重合性化合物由来の樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
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