JP6647003B2 - 配管用成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルを含有する配管用成形品に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、成形加工性が良好で、高い耐熱性を有し、電気特性、寸法安定性、耐衝撃性、耐酸性及び耐アルカリ性等にも優れ、吸水性が低く、低比重である。そのため、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、各種の電気・電子部品、事務機器部品、自動車部品、建材、飲料水や飲料液体周辺部品、その他各種外装材や工業用品等広範囲の用途に利用されている。
ところで、樹脂組成物より製造する各成形品(部品)は、様々な規格に適合するように製造されるところ、最近では、例えば飲料水周辺部品に係るドイツの飲料水部材規格KTWが見直され、その規格の要件の1つとして樹脂組成物がブタジエンフリーであることが求められている。このような材料要求に伴い、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物にこれまで使用されていた、ブタジエンを生じさせ得るゴム補強ポリスチレン等を用いない樹脂組成物が求められている。
ここで、飲料水周辺に使用される配管として特許文献1や特許文献2ではポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が提案されている。これらの文献に記載の樹脂組成物は、主にゴム補強ポリスチレンを用いるものであるが、従来から使用されている塩化ビニル製配管よりも耐熱性を要求される配管用途に使用できるとされている。
また、特許文献3にはブタジエンを含有しないポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を用いた流体工学部品が記載されている。
特開2003−074754号公報 特開2008−291183号公報 特表2015−500901号公報
しかしながら、特許文献1、2には、いずれも耐衝撃性を確保するためにゴム補強ポリスチレンを用いた樹脂組成物についての例示しかなく、ブタジエンフリーとするためには、樹脂組成物に例えばゴム補強ポリスチレンを含めずに、その耐衝撃性を改善させることが必要である。さらに、上記のような樹脂組成物より配管用成形品を得た場合は、周期的な厚みむらによる外観不良が発生しやすい(配管用成形品がチューブ形状の場合にはチューブ内面に発生しやすい)という課題もあった。
また特許文献3に記載の樹脂組成物はポリフェニレンエーテル、ポリスチレン及び任意のポリエチレン以外にポリマーを含まず、またガラス繊維を含有するものであるが、このような樹脂組成物を配管などの配管用成形品に用いた場合、外観が悪いなどの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ブタジエンフリーであり、かつ外観、耐衝撃性、耐熱性に優れる配管用成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレンホモポリマー及び、水添ブロック共重合体を含む樹脂組成物からなる配管用成形体で、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
〔1〕
(A)ポリフェニレンエーテル、(B)ポリスチレンホモポリマー、及び(C)スチレン重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られた、重量平均分子量が10万〜40万の範囲である水添ブロック共重合体、を含有する樹脂組成物からなる配管用成形品であって、
前記樹脂組成物が、前記(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、
前記(A)成分5〜40質量部、
前記(B)成分40〜90質量部、及び
前記(C)成分3〜30質量部、を含有し、
前記樹脂組成物中のブタジエンが、0.1mg/kg未満であることを特徴とする配管用成形品
〔2
前記樹脂組成物が、前記(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、更に(D)リン系酸化防止剤を0.05〜1質量部含有することを特徴とする〔1〕に記載の配管用成形品。

前記(A)成分の重量平均分子量が40,000〜100,000の範囲であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の配管用成形品。

前記(C)成分の水素添加率が95%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の配管用成形品。

前記配管用成形品がチューブ形状部を有し、
前記チューブ形状部の外径D(mm)は48mmより大きく、
前記チューブ形状部の肉厚t(mm)が、(1/40)D<t<(1/20)Dの範囲であることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の配管用成形品。

飲料液体用部材の輸送もしくは貯蔵に用いられることを特徴とする〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の配管用成形品。
本発明によれば、ブタジエンフリーであり、かつ成形加工性に優れ、外観、耐衝撃性、耐熱性に優れた配管用成形品を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の配管用成形品は、(A)ポリフェニレンエーテル、(B)ポリスチレンホモポリマー、及び(C)スチレン重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加して得られ、重量平均分子量が10万〜40万の範囲である水添ブロック共重合体、を含有する樹脂組成物からなるものである。また、本実施形態の樹脂組成物は、前記(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、(A)成分5〜50質量部、(B)成分20〜90質量部、(C)成分3〜30質量部を含有し、樹脂組成物中のブタジエンが0.1mg/kg未満である。さらに、本実施形態の樹脂組成物は、(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、更に(D)リン系酸化防止剤を0.05〜1質量部含有することが好ましい。
まず、樹脂組成物に用いられる各成分について説明する。
−(A)ポリフェニレンエーテル−
本実施形態で用いられる(A)ポリフェニレンエーテル(本明細書において、(A)成分とも称し、またポリフェニレンエーテルを「PPE」と称することもある)は、下記式(I)及び/又は式(II)で表される繰返し単位構造(フェニレンエーテルに由来する単位構造)を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
Figure 0006647003
Figure 0006647003
(式(I)、(II)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基又はハロゲン原子を表す。但し、R5及びR6は、同時に水素原子ではない。R1〜R6は、置換されていてもよいし、無置換であってもよい。)
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。上記の中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、式(I)及び/又は式(II)で表される繰返し単位構造を主たる繰返し単位構造とする共重合体である。ここでいう主たる繰返し単位構造とは、共重合体中に50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含まれる繰返し単位構造をいう。
ポリフェニレンエーテル共重合体の代表例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。
また、単量体単位として、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位や2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテル単量体単位等を主たる繰返し単位構造として含んでいるポリフェニレンエーテル共重合体が好ましい。ポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、特開昭63−301222号公報等に記載されているもの等を使用することができる。
本実施形態では、(A)成分として、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体等で変性された変性ポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。この変性ポリフェニレンエーテルとしては、特に限定されず、本実施形態の効果の範囲内で、公知の変性ポリフェニレンエーテルも使用できる。例えば、この変性ポリフェニレンエーテルは、特開平02−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−059724号公報等に記載されているものを使用することができる。
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、ラジカル開始剤の存在下又は非存在下において、ポリフェニレンエーテルに不飽和カルボン酸又はその誘導体を溶融混練して反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと、不飽和カルボン酸又はその誘導体とを、ラジカル開始剤存在下又は非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のジカルボン酸や、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド等;、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸や、これらモノカルボン酸のエステル、アミド等が挙げられる。また、飽和カルボン酸であるが、変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本実施形態で用いる誘導体となり得る化合物も用いることができる。具体的にはリンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)ポリフェニレンエーテルの形状は、粉体であることが好ましい。ここでいう粉体とは、平均粒子径が1〜2000μmの範囲であるものをいい、好ましくは平均粒子径が1〜1000μmの範囲であり、より好ましくは10〜700μmの範囲、更に好ましくは100〜500μmの範囲である。加工時の取り扱い性の観点から、1μm以上が好ましく、溶融混練時に未溶融物の発生を抑制する観点から、1000μm以下が好ましい。ここでいう平均粒子径とは、篩分けによる粒度測定によって測定される。
(A)ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量は、40,000〜100,000の範囲が好ましく、更に好ましい範囲は45,000〜70,000である。樹脂組成物の配管用成形品への加工時の外観を良好にする観点から、(A)ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量はこの範囲が好ましい。
なお、本実施の形態のポリフェニレンエーテルの分子量に関わる情報は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いた測定により得られる。具体的なゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定条件としては、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21(カラム:昭和電工(株)製K−805Lを2本直列、カラム温度:40℃、溶媒:クロロホルム、溶媒流量:1.0ml/min、サンプル濃度:ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液)を用いて、標準ポリスチレン(標準ポリスチレンの分子量は、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、550)の検量線を作成するという、測定条件とする。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmを、それぞれ選択できる。
本実施形態の樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部に対して、5〜50質量部であり、15〜40質量部が好ましい。(A)成分の含有量が5質量部未満であると、耐熱温度が低く、高温クリープが十分でない。また、(A)成分の含有量が50質量部を超えると、耐衝撃性や成形加工性が十分でない。
(A)成分の還元粘度(0.5g/dLのクロロホルム溶液、30℃測定、ウベローデ型粘度管で測定)は、例えば、0.30〜0.60dL/gであることが好ましく、0.45〜0.60dL/gであることがより好ましい。
−(B)ポリスチレンホモポリマー−
本実施形態で用いられる(B)ポリスチレンホモポリマー(本明細書において、(B)成分とも称す)は、スチレン系化合物を重合して得られるものであって、スチレン系化合物以外の例えばゴム成分と共重合してない重合体である。スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられ、最も好ましいのはスチレンである。
本実施形態の樹脂組成物において、(B)成分の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部に対して、20〜90質量部であり、40〜75質量部であることが好ましい。(B)成分の含有量が20質量部未満であると、十分な成形加工性を得ることができず、90質量部を超えると耐熱性が得られなくなってしまう。
−(C)水添ブロック共重合体−
本実施形態で用いられる(C)水添ブロック共重合体(本明細書において、(C)成分とも称す)は、スチレン重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であり、重量平均分子量10万〜40万の水添ブロック共重合体である。
水素添加前のブロック共重合体の構造は、特に限定されず、例えば、スチレン重合体ブロック鎖をS、共役ジエン化合物重合体ブロック鎖をBと表すと、S−B−S、S−B−S−B、(S−B−)4−S、S−B−S−B−S等の構造を有することができる。
共役ジエン化合物由来の不飽和結合の水添率は95%以上が好ましく、より好ましくは99%以上である。ここでいう、水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。ブロック共重合体を水添することによりフリーのブタジエンを除くことができる。
共役ジエン化合物重合体ブロックのミクロ構造は、特に限定されず、任意に選ぶことができる。通常、ビニル結合量(共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合として組み込まれているものの割合)は、好ましくは2〜60%であり、より好ましくは8〜40%である。ここでいう、ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
(C)成分の重量平均分子量は10万〜40万の範囲であり、好ましくは15万〜35万の範囲であり、より好ましくは20万〜33万の範囲である。(C)成分の重量平均分子量が10万未満であると、十分な耐衝撃性を得ることができず、かつ、(C)成分の劣化度を十分に制御することができない。(C)成分の重量平均分子量が40万を超えると、溶融押出時の負荷が高くなるため、(C)成分の溶融混練や劣化度の制御が困難となる。ここでいう重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりスチレン換算分子量として求めることができる。
(C)成分は、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量が15,000以上であることが好ましく、20,000〜70,000の範囲であることがより好ましい。さらに好ましくは全てのスチレン重合体ブロックの重量平均分子量が15,000以上である。(C)成分のスチレン重合体ブロックの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、十分な耐衝撃性を得ることができ、かつ、(C)成分の劣化度を十分かつ容易に制御することができる。ここでいうスチレン重合体ブロックの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)によりスチレン換算分子量として測定することができる。
(C)成分におけるスチレン重合体ブロックの含有量は、特に限定されないが、より容易に耐衝撃性を発現させる観点から、20〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。(C)成分におけるスチレン重合体ブロックの含有量は、例えば、以下の方法により測定することができる。四酸化オスミウムを触媒として水添前の共重合体をtert−ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I. M. Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム分解法」ともいう。)により得たスチレン重合体ブロックの質量(ここで、平均重合度が約30以下のスチレン重合体は除かれている)から、下記式に基づきスチレン重合体ブロックの含有量を求めることができる。
スチレン重合体ブロックの含有量(質量%)=(水添前の共重合体中のスチレン重合体ブロックの質量/水添前の共重合体の質量)×100
(C)成分は、組成や構造の異なる2種以上の水添ブロック共重合体を併用することもできる。例えば、スチレン重合体ブロック含有量が50%以上の水添ブロック共重合体と、スチレン重合体ブロック含有量が30%以下の水添ブロック共重合体との併用といったようなブロック含有量が異なる水添ブロック共重合体の併用;あるいはスチレンと共役ジエンのランダム共重合体ブロックを含有するブロック共重合体を水添して得られる水添ランダムブロック共重合体同士を併用することが可能である。
(C)成分は、例えば製造方法として、特公昭36−19286号公報、特公昭43
−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報などに記載された方法があげられる。
本実施形態の樹脂組成物において、(C)成分の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部に対して、3〜30質量部であり、5〜25質量部であることが好ましい。(C)成分の含有量が3質量部未満であると、十分な耐衝撃性を得ることができず、30質量部を超えると耐衝撃性が得られないばかりでなく、曲げ弾性率や曲げ強度等の剛性が十分でなくなってしまう。
−−(C)水添ブロック共重合体の製造方法−−
(C)水添ブロック共重合体の製造方法としては、限定されるものではないが、例えば次の方法を挙げることができる。
まず、n−ブチルリチウムを重合触媒とし、シクロヘキサン溶中で、テトラヒドロフランをビニル含有量調節剤として、例えばスチレンとブタジエンをアニオンブロック共重合することにより、所定のスチレンブロック含有量、重量平均分子量を有する、ブロック共重合体を合成する。尚、ポリマー構造はモノマーの仕込みの量を、分子量は触媒量を、変化させることによりコントロールすることができる。スチレンブロック含有量は、紫外分光光度計(UV)を、重量平均分子量は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
また、引きつづき、上記のブロック共重合体の水素添加は、例えばビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドとn−ブチルリチウムを水添触媒として、水素圧5kg/cm2、温度50℃で2時間水素添加を行う(例えば特開昭59−133203号公報に記載)。この方法では、それぞれブタジエンブロック部分の二重結合の99%以上は水素添加され、スチレンブロック部分のベンゼン環はほとんど水添されないで残すことができる。
尚、水素添加率(水添ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の平均水素添加率)は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により下記の条件で測定することができる。
測定機器:JNM−LA400(JEOL製)
観測核:1
溶媒:重水素化クロロホルム
測定サンプル:ポリマーを水素添加する前後品
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
−(D)リン系酸化防止剤−
本実施形態には(A)、(B)及び(C)成分に加えて(D)リン系酸化防止剤(本明細書において、(D)成分とも称す)を加えることが好ましい。リン系酸化防止剤とは、分子中にリン原子を有する化合物を含む酸化防止剤である。
(D)リン系酸化防止剤は、高温下で劣化の原因となるヒドロペルオキシドを還元することで安定化するため、比較的短い波長(例えば波長420〜500nm)の光の透過率の向上に寄与し、特に薄黄色着色の低減に寄与する。
(D)成分の具体例としては、例えば、アルキルホスファイト類、アルキルアリールホスファイト類、及びアリールホスファイト類が挙げられ、工業的には、(株)ADEKA製の、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10及びアデカスタブ2112、BASF製のイルガフォス168等が入手可能である。これらの中でも、アデカスタブPEP−36、イルガフォス168が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、(D)成分の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部であることが更に好ましい。(D)成分の含有量が0.05質量部未満であると、十分な変色抑制効果を得ることができない傾向があり、1質量部を超えるとモールドデポジット(MD)の原因となる虞がある。
なお、モールドデポジット(MD)は、成形する際に溶融した樹脂中から低分子量物がガスとして噴出し、金型に堆積し、汚染する現象である。
−その他の成分−
本実施形態の樹脂組成物には、本実施形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他のプラスチック添加剤(例えば、(D)リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染顔料、プラスチック用各種無機充填剤等)、ガラス繊維を添加することができる。
(D)リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤としてはイオウ系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
可塑剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染顔料、プラスチック用各種無機充填剤としては、通常汎用されるものを適宜使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物には、更に他のポリマーやオリゴマーを添加することができる。例えば、流動性を改善するための石油樹脂、テルペン樹脂及びその水添樹脂、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、シリコーン樹脂やフェノール樹脂等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物には、ガラス繊維を含有させることができるが、樹脂組成物100質量%においてガラス繊維の含有量が20質量%までであることが、高い外観を有する樹脂組成物を得ることができるため好ましい。また、当該含有量は、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、最も好ましくは含有しない。
−樹脂組成物中のブタジエン濃度−
本発明の樹脂組成物中のブタジエン濃度は、0.1mg/kg未満である。ブタジエンを0.1mg/kg未満とするため、本発明の樹脂組成物中にはゴム強化ポリスチレンを含有しないことが好ましい。当該濃度を0.1mg/kg未満とすることにより、樹脂組成物をブタジエンフリーとして扱うことができ、例えば飲料水部材規格KTWに適合させることができる。なお、樹脂組成物中のブタジエン濃度の測定方法はガスクロマトグラフィを用いて測定することができる。また、「ブタジエン」はブタジエン(CH2=CHCH=CH2)を指し、重合化ブタジエン残基を含まない。
−樹脂組成物の製造方法−
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に規定するものではなく、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による溶融混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては200〜360℃の範囲、好ましくは240〜320℃の範囲である。より具体的には、(A)、(B)、及び(C)成分などの各成分を、二軸押出機を用いて溶融混練する際、二軸押出機のダイ出口から押出される溶融樹脂組成物の温度を200〜360℃の範囲とすることができる。
二軸押出機を用いて本実施形態の樹脂組成物を製造するに際して、(B)成分は、(A)成分及び/又は(C)成分と同じ上流側の供給口から同時供給することも可能であるが、押出機バレルの上流側から少なくとも40%以降のバレル(バレルの後段)から供給することが好ましい。(B)成分をバレルの後段から供給することにより、(B)成分の分解をより抑制することができ、それ故に、樹脂組成物の機械的強度(例えば引張強度、曲げ強度、シャルピー衝撃強度など)の低下を防止することができる。
本実施形態の樹脂組成物の製造に用いることができる二軸押出機としては、例えば、スクリューを駆動させる駆動部と、樹脂組成物を押出すダイとを有している。そして、二軸押出機には、その上流から第1原料供給口、第2原料供給口(サイドフィーダ)が設けられており、第1原料供給口と第2原料供給口の間に、必要に応じて、第2原料供給口の下流側にベント口が設けられている。
二軸押出機を用いた押出しプロセスとしては、上記した材料を第1原料供給口および第2原料供給口から供給し、駆動部によりスクリューを駆動させることで上記した材料を溶融混練し、ダイから押出すことにより、樹脂組成物を得ることができる。
より具体的には、(A)、(B)及び(C)成分の二軸押出機への供給位置は、特に限定されないが、次のように設定することが好ましい。(A)成分は、最上部の第1原料供給口から、場合によってはその一部を途中の第2原料供給口から二軸押出機に供給する。(B)及び(C)成分は、最上部の第1原料供給口及び/又は前段途中の第2原料供給口、さらには必要に応じて第3原料供給口を設け、そこから二軸押出機内に供給する。これにより配管用成形品の製造方法の押出条件と相まって、より(B)成分の熱劣化を抑制することができる。
また、二軸押出機としては、異方向回転または同方向回転の二軸押出機が好適である。また、付帯設備として供給設備が必要であるが、たとえば、第2原料供給口(サイドフィーダ)から、その他の樹脂や添加剤等の副原材料を供給することができる。
−配管用成形品−
本発明における、上記の樹脂組成物より製造される配管用成形品は、内部に飲料用液体を輸送または貯蔵する用途として好適に用いることができる。また配管用成形品は、中空形状(管形状)のチューブ形状部を有することが好ましく、これにより、当該輸送用または貯蔵用手段として用いることができる。チューブ形状部は、形状的には直線状のチューブ、屈曲チューブ等の任意の形状が含まれるが、いずれも内部に物を輸送または貯蔵するための貫通穴があいている。また、本発明の配管用成形品には、例えば成形品どうしを接続するためのジョイント部品やシールするための蓋状部品も含まれ、また、チューブ形状部のみからなるチューブ(管)とすることもできる。
本発明の配管用成形品を構成する樹脂組成物は前記したように、ブタジエンフリーであるため各種飲料規格に適合し、耐衝撃性に優れ、さらに耐熱性も良く、押出成形の加工性および外観に優れることによって得られる各種配管用成形品は各種飲料用液体の輸送および貯蔵に好適に用いられる。
ここでいう飲料用の液体の具体例としては、飲料水、飲料用アルコール類、非アルコール飲料類等を挙げることができる。
本発明の配管用成形品がチューブ形状部を有する場合(チューブまたは継手など)、当該チューブ形状部が小口径であるときは肉厚の影響は少ないが、大口径(口径48mm以上)になると、チューブ形状部の外径と肉厚との関係が耐熱性や高温クリープ特性に影響が大きくなる。また、既存の樹脂チューブ(塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等)との耐熱的な優位性を発揮するためには、大口径の配管部材が90℃以上の高温で内圧が負荷された状態でも長期間耐え得るに適した肉厚が必要である。この肉厚の範囲として、管の外径D(mm)が48mm(口径50mm以上を前提とした管の寸法範囲を考慮した最小寸法)より大きい場合、肉厚t(mm)は(1/40)D<t<(1/20)Dの範囲が好ましい。
配管部材を使用する上で支障のない耐圧強度を保持するために肉厚tは(1/40)Dより大きい必要があり、樹脂組成物の使用量を低減させ管の重量が重くなりすぎなくするためには(1/20)Dより小さい必要がある。
−配管用成形品の製造方法−
本発明の配管用成形品は上記から得られた樹脂組成物を成形加工することにより得られる。
この成形方法は特に規定するものでなく、押出成形、射出成形、ブロー成形、ガスインジェクション成形等の一般的な成形方法を用いることができる。配管用成形品を作成する好ましい成形方法は押出成形であり、これにより、配管用成形品がチューブ形状部を有するときには長尺成形品を得ることができる。このときの加工温度の目安は200〜360℃の範囲、好ましくは240〜320℃の範囲である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
−(A)ポリフェニレンエーテル(PPE)−
(PPE−1):ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(旭化成ケミカルズ社製、商品名「ザイロン S201A」)、重量平均分子量は46,000である。
(PPE−2):ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル(旭化成ケミカルズ社製、商品名「ザイロン S203A」)、重量平均分子量は36,000である。
−(B)ポリスチレンホモポリマー−
(GPPS):ホモポリスチレン(PSジャパン社製、商品名「PSJ−ポリスチレン 685」)
−(B’)ポリスチレン−
(HIPS):ゴム補強ポリスチレン(ペトロケミカル社製、商品名「CT60」)
−(C)水添ブロック共重合体−
(SEBS−1):水添スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(スチレン重合体ブロック含有量32質量%、重量平均分子量200,000、水添率99%)
(SEBS−2):水添スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(スチレン重合体ブロック含有量32質量%、重量平均分子量200,000、水添率96%)
なお、SEBS−1は、前述の水添ブロック共重合体の製造方法に記載の方法により得た。すなわち、n−ブチルリチウムを重合触媒とし、シクロヘキサン溶中で、テトラヒドロフランをビニル含有量調節剤として、スチレンとブタジエンをアニオンブロック共重合することにより、スチレン重合体ブロック含有量32質量%、重量平均分子量200,000のブロック共重合体を合成した。また、引きつづき、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドとn−ブチルリチウムを水添触媒として、水素圧5kg/cm2、温度50℃で2時間水素添加を行なった。
また、SEBS−2は、SEBS−1における水素添加の条件を温度50℃で1時間とした以外、SEBS−1と同様にして製造した。
−(D)リン系酸化防止剤−
(STB):リン系酸化防止剤(BASF社製、商品名「Irgafos168」)
[特性評価方法等]
得られた樹脂組成物の特性評価は、以下の方法及び条件で行った。
(ダンベルおよび短冊形試験片の作製)
得られた樹脂組成物ペレットを100℃で2時間乾燥した後、東芝機械社製、IS−100GN型射出成形機(シリンダー温度を280℃、金型温度を80℃に設定)を用いて、ISO−15103に準じて試験片を作製した。
(1)MFR
JIS K7210に準拠して、試験温度250℃、試験荷重10kgの条件で樹脂組成物ペレットを用いて測定した。
(2)シャルピー衝撃強度
上記試験片を用い、耐衝撃性評価として、ISO−179に準拠し、ノッチ付きにて測定した。
(3)曲げ弾性率
上記試験片を用い、曲げ弾性率評価として、ISO−178に準拠し、試験速度2mm/分にて測定した。
(4)荷重たわみ温度(DTUL)
上記試験片を用い、耐熱性評価として、ISO−75−1に準拠し、1.8MPa下にて測定した。
(5)モールドデポジット
上記試験片を得る過程で、試験片100ショット後の金型の流動末端部のくもりを評価した。
○:目視でくもりがまったく生じない。
△:目視で若干のくもりが見られる。
×:目視であきらかにくもりが生じる。
(6)滞留変色
東芝機械社製成形機EC100SXと幅150mm、長さ150mm、厚さ2mmの平板金型を用いて、実施例・比較例に記載の方法で得られた樹脂組成物ペレット射出成形した。
この時、シリンダー温度を340℃、金型温度を90℃に設定した。射出時間15秒、射出速度50mm/分、冷却時間15秒で3ショット成形した後、10分間放置後、5ショットを前記3ショットと同条件で成形した。得られた平板成形品の前記3ショットのE*との比較で前記10分滞留後5ショットのΔE*を測定した。
○:ΔE*<2
△:ΔE*<3
×:ΔE*≧3
△より変色が少ない状態を合格の範囲とした。
(7)配管用成形品の内側外観
後述の実施例記載の方法で得られたチューブ形状の成形品を1mに切り出し、その内側外観のうねり状偏肉構造を目視確認した。
○:全長1m内にうねり状の周期的な偏肉がまったくない。
△:全長1m内に5cm未満のうねりが1か所以内である。
×:全長1m内にうねり状の周期的な偏肉が一部または全体に見られる。
上記○と△として評価したものを合格とした。
(8)配管用成形品の熱間内圧クリープ
JIS K6776に準拠し、得られたチューブ形状の成形品から、700mmの試験片を切り採り、90±2℃で1時間状態調節後、90℃の温水で1.5MPaの圧力を加え、そのまま1時間放置後、変形の有無を目視によって調べた。
○:目視確認での変形がまったく見られない。
△:目視確認で、一部に若干の変形が見られる。
×:目視確認で、一部もしくは全体にわたって、明らかに変形が見られる。
上記○と△として評価したものを合格とした。
[樹脂組成物中のブタジエン分析]
樹脂組成物中のブタジエン濃度を、ガスクロマトグラフィを用いて下記の方法により測定した。
ブタジエン濃度は、長さ27.5m、内径0.32mmおよび膜厚10μmのCHROMPACKキャピラリカラムCP−PoraPLOT Q−HTを備えたヘッドスペースガスクロマトグラフを用いたガスクロマトグラフィによって、注入量25μlで求めた。1,3−ブタジエンの保存溶液を調製するために、25mlバイアル瓶用の隔壁を中空針で2度穿孔し、中空針は1つの穿孔内に残した。隔壁とねじ蓋を備えたバイアル瓶を秤量した。N,N−ジメチルアセトアミド20mlをピペットでバイアル瓶に採取した。バイアル瓶を再度秤量した。中空針と第2の穿孔を含むバイアル瓶をねじ蓋で閉じた。換気フード内で作業して、1,3−ブタジエン約0.3gを細いチューブ経由で第2の穿孔からバイアル瓶に導入した。ねじ蓋と中空針を備えたバイアル瓶を再秤量した。バイアル瓶中の1,3−ブタジエンの濃度を、溶液1g当たりの1,3−ブタジエンのmg量として求めた。1,3−ブタジエンの標準溶液を調製するために、隔壁と蓋を備えたサンプルバイアル瓶を4個秤量した。N,N−ジメチルアセトアミド20mlをピペットで各バイアル瓶に採取した。0.1ml、0.5ml、1.0mlおよび2.0mlの1,3−ブタジエン保存溶液をそれぞれ、ピペットで4つのバイアル瓶に採取した。バイアル瓶を再秤量した。各バイアル瓶中の1,3−ブタジエンの濃度を、溶液1g当たりの1,3−ブタジエンのmg量として求めた。N,N−ジメチルアセトアミド20mlをピペットで25mlバイアル瓶に採取して蓋をし、シリンジ経由でn−ペンタン40μlを添加して、内部標準溶液を調製した。分析用サンプルを以下の方法で調製した。空の25mlサンプルバイアル瓶を精製窒素でパージした。隔壁と蓋を含むヘッドスペースバイアル瓶を秤量した。質量を正確に記録した固体サンプル約1.00gをバイアル瓶に導入した。N,N−ジメチルアセトアミド5mlをピペットでバイアル瓶に採取し、蓋をした。内部標準溶液20μlをシリンジ経由で隔壁からバイアル瓶に添加した。この手順を繰り返して、合計4つのバイアル瓶サンプルを生成した。1,3−ブタジエン標準溶液A、B、CおよびDのそれぞれ20μlを4つのバイアル瓶に導入した。これらのバイアル瓶をシェーカに入れて、一晩振動させた。各サンプルのヘッドスペースの1μl容積をガスクロマトグラフィで分析し、n−ペンタン内部標準と1,3−ブタジエンとのピーク面積を記録した。各サンプルについて、1,3−ブタジエンの濃度を、1,3−ブタジエンのピーク面積とn−ペンタンのピーク面積の比として求めた。ピーク面積と添加した1,3−ブタジエン濃度との比をプロットし、方程式y=ax+b(y:1,3−ブタジエンとn−ペンタンとのピーク面積比、a:回帰の勾配(kg/mg)、x:固体中の1,3−ブタジエンの濃度(mg/kg)、b:は回帰線の切片)に適合させた。固体中のブタジエンの濃度をb/a(a:回帰線の勾配(kg/mg)、b:回帰線の切片)として求める。結果は、ポリマー1kg当たりの1,3−ブタジエンのmg単位で表した、固体中の1,3−ブタジエンの濃度(すなわち、1,3−ブタジエンの質量ppm)である。
[実施例1]
表1に示した配合の樹脂組成物を以下の製造条件にて作製した。スクリュー直径58mm、バレル数13である、減圧ベント口付二軸押出機(東芝機械社製、「TEM58SS」)に、表1に記載の配合組成の材料を、表1に記載する条件で供給して溶融混練した。
押出機のスクリュー構成は全バレル長の約70%を前段(未溶融〜半溶融混合)ゾーン、残りのバレル長約30%をバレルの後段ゾーン(溶融混練ゾーン)とした。バレル設定温度をバレル1:水冷、バレル2:150℃、バレル3〜8:200℃、バレル9:250℃、バレル10〜13:280℃、ダイス:290℃として、スクリュー回転数400rpm、吐出量400kg/hrの条件で、溶融混練及び押出しを行い、樹脂組成物ペレットを得た。この場合、バレル1〜9までがバレルの前段ゾーンであり、バレル10〜13までをバレルの後段ゾーンとした。その際、真空脱気口をバレル11に設け、約100hPaで減圧脱気した。また、窒素を第1供給口下部から約30L/分で供給し、第1供給口上部で酸素濃度は約2.0%とした。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、120mmΦ単軸押出機を用いて、320℃のシリンダー温度で、チューブ形状の口金より樹脂組成物を吐出させてチューブ形状の成形品を得た。具体的には、チューブ形状の口金は、表1に示すようにチューブの厚さが6mm、チューブ外径が200mmΦとなるような形状の口金を用いた。この時の吐出量はチューブ長手方向の速度が10mm/分となるようにおこなった。吐出された樹脂はチューブ外径と接触する設定温度60℃の冷却金型により、内側も冷却用窒素ガスを20〜40℃で吹き込みながら冷却した。
得られた樹脂組成物ペレットおよび成形品を上記評価法にて評価を行い、表1の結果を得た。
[実施例2〜9、比較例1〜5]
表1及び表2に記載の配合及び条件とした点以外は、実施例1と同様の操作で、樹脂組成物ペレットを作製した。得られた樹脂組成物ペレットについて、同様に評価して表1及び表2の結果を得た。
Figure 0006647003
Figure 0006647003
表1及び表2に示すように、実施例1〜9の樹脂組成物は、ブタジエンが0.1mg/kg未満であり、高い耐衝撃性と耐熱性を有し、かつ、配管用成形品とした時の外観に優れ、熱間内圧クリープ性に優れていることが確認された。
本発明の樹脂組成物は、ブタジエンが0.1mg/kg未満であるので、ブタジエンフリーであり、高い耐衝撃性と耐熱性を有し、かつ、配管用成形品とした時の外観に優れ、熱間内圧クリープに優れた配管用成形品である。また本発明の配管用成形品は、例えば、ドイツ飲料水規格KTWに適合するので、飲料用液体の輸送および貯蔵に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル、(B)ポリスチレンホモポリマー、及び(C)スチレン重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られた、重量平均分子量が10万〜40万の範囲である水添ブロック共重合体、を含有する樹脂組成物からなる配管用成形品であって、
    前記樹脂組成物が、前記(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、
    前記(A)成分5〜40質量部、
    前記(B)成分40〜90質量部、及び
    前記(C)成分3〜30質量部、を含有し、
    前記樹脂組成物中のブタジエンが、0.1mg/kg未満であることを特徴とする配管用成形品。
  2. 前記樹脂組成物が、前記(A)、(B)、及び(C)成分の総量100質量部に対して、更に(D)リン系酸化防止剤を0.05〜1質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の配管用成形品。
  3. 前記(A)成分の重量平均分子量が40,000〜100,000の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管用成形品。
  4. 前記(C)成分の水素添加率が95%以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の配管用成形品。
  5. 前記配管用成形品がチューブ形状部を有し、
    前記チューブ形状部の外径D(mm)は48mmより大きく、
    前記チューブ形状部の肉厚t(mm)が、(1/40)D<t<(1/20)Dの範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の配管用成形品。
  6. 飲料液体用部材の輸送もしくは貯蔵に用いられることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の配管用成形品。
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