次に、図1乃至図9を参照して、本発明の実施形態に係るクラッシュカン構造について説明する。本実施形態に係るクラッシュカン構造のクラッシュカンの材料は特に限定されないが、例えばアルミニウム合金製である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るクラッシュカン構造を示し、(A)はクラッシュカン10の取付位置を示す自動車100の斜視図、(B)は(A)の要部を抜き出した斜視図である。図1に示すように、自動車100のフロントバンパー101内には衝撃吸収部材として車幅方向に延びるバンパービーム2が設けられている。そして、バンパービーム2と車体前後方向に延びるサイドフレーム1,1との間には、塑性変形可能なクラッシュカン10,10が取り付けられており、該クラッシュカン10,10が衝突時に車体前後方向に圧潰して衝撃エネルギーを吸収するようになっている。
図2は、実施形態1に係るクラッシュカン構造を示し、(A)は車体前方から見た正面図、(B)は平面図、(C)は拡大側面図である。クラッシュカン10,10は、先端部(車体前方側)がバンパービーム2の左右にそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、クラッシュカン10の先端部の上下に一対の挟持部19,19が形成され、挟持部19,19によりバンパービーム2の嵌入部2aを上下から挟み込むようにして溶接により固着されている。また、クラッシュカン10の後端部(車体後方側)には連結用プレート18が溶接により固着され、該連結用プレート18がサイドフレーム1の先端部に固定されるようになっている。
次に、図3及び図4を参照して、実施形態1に係るクラッシュカン構造におけるクラッシュカン10について詳細に説明する。図3は図2(B)のa部拡大図であり、図4は図3におけるX−X線拡大断面図である。クラッシュカン10は、クラッシュカン本体11及びリブプレート12から構成されている。
クラッシュカン本体11は、1枚の矩形状板部材を、車体の左右方向(車幅方向)に間隔を有して互いに対向する板状の第1の一対の壁部11a,11bと、車体の上下方向に間隔を有して互いに対向する板状の第2の一対の壁部11c,11dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状にプレス成形により形成されており、第2の一対の壁部11c,11dが、第1の一対の壁部11a,11bの一端同士及び他端同士を互いに一体に連結している。また、第1の一対の壁部11a,11bは、板面がクラッシュカン本体11における左右の垂直方向の壁部であり、第2の一対の壁部11c,11dは、板面がクラッシュカン本体11における上下の水平方向の壁部である。そして、4つの板状の壁部11a,11b,11c,11dは、板面が車体前後方向に沿うように配設されている。
第1の一対の壁部11a,11bにおける一方の壁部11aには、車体前後方向に延びる挿入孔13が形成されている(図2(C)、図4参照)。本実施形態では、挿入孔13が壁部11aの車体前後方向の全長に亘って形成されており、該挿入孔13はクラッシュカン本体11のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、後述の断面コ字状のリブプレート12を挿入する該リブプレート12におけるリブプレート連結片12cの幅と同等の幅を有するように開口して形成されている。
第1の一対の壁部11a,11bにおける他方の壁部11bには、車体前後方向に延びる嵌合孔14が上下に離れて形成されている。本実施形態では、嵌合孔14が壁部11bの車体前後方向及び上下方向にそれぞれ2ヶ所(合計4ヶ所)に離間して形成されている。4つの嵌合孔14は、クラッシュカン本体11のプレス成形時に形成されている。
リブプレート12は、互いに対向する一対のリブプレート片12a,12bと、リブプレート片12a,12bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片12cとで、反リブプレート連結片側(リブプレート連結片12cの反対側)が開口する断面略コ字状にプレス成形により形成されている。そして、一対のリブプレート片12a,12bは、クラッシュカン本体11の中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されている。
リブプレート片12a,12bの間隔は、クラッシュカン本体11の壁部11aに形成された挿入孔13の上下幅に対応し、かつ、クラッシュカン本体11の壁部11bに形成された嵌合孔14,14の上下間隔に対応している。クラッシュカン本体11の内部の中空部Aは、リブプレート片12a,12bにより、上側から第1中空部15、第2中空部16、第3中空部17に上下に3分割されている。
リブプレート片12a,12bの他端には、クラッシュカン本体11の壁部11bに形成された嵌合孔14,14に対応する突片12d,12dが、車体前後方向に間隔を置いて形成されている。クラッシュカン10の組立時には、リブプレート12を図4における右から左に移動させながら、クラッシュカン本体11の挿入孔13にリブプレート12を挿入した後、突片12d,12dを嵌合孔14,14に嵌入して位置決めする。そして、リブプレート12を挿入孔13及び嵌合孔14の対応箇所で壁部11a及び壁部11bに、それぞれ溶接3により接合する。そして、一対のリブプレート片12a,12bがクラッシュカン本体11の中空部A内を通り、リブプレート連結片12cがクラッシュカン本体11における壁部11aの外側(車幅方向外側)に露出するとともに、リブプレート12の突片12d,12dが壁部11bの外側に突出した状態となる。これにより、リブプレート12は、一端側(リブプレート連結片12c側)が、車体前後方向に沿って上下に2分割された壁部11aの挿入孔13側端面によって挟持された状態で、当該壁部11aに接合されている。なお、図3においては溶接3の図示を省略している。
実施形態1に係る自動車のクラッシュカン構造は、第1の一対の壁部11a,11bと、第2の一対の壁部11c,11dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状のクラッシュカン本体11がプレス成形により形成され、壁部11a,11b,11c,11dの板面が車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、壁部11a,11b,11c,11dの板面が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。また、クラッシュカン本体11には、第1の一対の壁部11a,11bにおける一方の壁部11aに一端を接合するとともに、当該一対の壁部11a,11bにおける他方の壁部11bに他端を接合するリブプレート12が、中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、リブプレート12が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。従って、衝撃エネルギー吸収効率を高めることができる。
また、リブプレート12を挿入する挿入孔13は、クラッシュカン本体11のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、挿入孔13の幅をリブプレート12におけるリブプレート連結片12cの幅と同等に開口して形成されているので、第1の一対の壁部11a,11bにおける一方の壁部11aに、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接するようにプレス成形した後、当該一方の壁部11aに挿入孔13をプレス成形により加工したものに比べて、1枚の矩形状板部材からなるクラッシュカン本体11の矩形状周長が短くなり、かつ、端材も発生せず、クラッシュカン本体11の板部材のコストを低減することができるとともに、プレス成形工程が短縮されてクラッシュカン本体11の生産性を向上することができる。
また、クラッシュカン本体11をプレス成形する際、挿入孔13、嵌合孔14等の穴あけ加工を同時に行うことができるので、クラッシュカン本体11の生産性を向上することができる。また、リブプレート12を挿入孔13から中空部A内に挿入し、リブプレート12の突片12dを嵌合孔14に嵌入するので、リブプレート12の位置決めも容易であり、組付け性に優れている。さらに、一対のリブプレート片12a,12bがリブプレート連結片12cで断面略コ字状に一体に形成されているため、当該リブプレート片12a,12bのクラッシュカン本体11への組付け性が容易である。
また、リブプレート12が、互いに対向する一対のリブプレート片12a,12bと、リブプレート片12a,12bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片12cとで反リブプレート連結片側が開口する断面略コ字状に形成されて、一対のリブプレート片12a,12bが中空部A内を通っているので、一対のリブプレート片12a,12b及びリブプレート連結片12cで衝撃エネルギー吸収効率をさらに高めることができる。
(実施形態2)
次に、図5を参照して、本発明の実施形態2に係るクラッシュカン構造におけるクラッシュカン20について詳細に説明する。図5は、実施形態1における図4相当図である。クラッシュカン20は、クラッシュカン本体21及びリブプレート22から構成されている。
クラッシュカン本体21は、1枚の矩形状板部材を、車体の左右方向(車幅方向)に間隔を有して互いに対向する板状の第1の一対の壁部21a,21bと、車体の上下方向に間隔を有して互いに対向する板状の第2の一対の壁部21c,21dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状にプレス成形により形成されており、第2の一対の壁部21c,21dが、第1の一対の壁部21a,21bの一端同士及び他端同士を互いに一体に連結している。また、第1の一対の壁部21a,21bは、板面がクラッシュカン本体21における左右の垂直方向の壁部であり、第2の一対の壁部21c,21dは、板面がクラッシュカン本体21における上下の水平方向の壁部である。そして、4つの板状の壁部21a,21b,21c,21dは、板面が車体前後方向に沿うように配設されている。
第1の一対の壁部21a,21bにおける一方の壁部21aには、車体前後方向に延びる挿入孔23が形成されている。本実施形態では、挿入孔23が壁部21aの車体前後方向の全長に亘って形成されており、該挿入孔23は、クラッシュカン本体21のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、リブプレート22の板厚と同等の幅を有するように開口して形成されている。
第1の一対の壁部21a,21bにおける他方の壁部21bには、車体前後方向に延びる嵌合孔24が形成されている。本実施形態では、嵌合孔24が壁部21bの車体前後方向の2ヶ所に離間して形成されている。2つの嵌合孔24は、クラッシュカン本体21のプレス成形時に形成されている。
リブプレート22は板状部材であり、クラッシュカン本体21の中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設され、中空部Aは、リブプレート22により、上側から第1中空部25、第2中空部26に上下に2分割されている。
リブプレート22の他端には、クラッシュカン本体21の壁部21bに形成された嵌合孔24に対応する突片22dが、車体前後方向に間隔を置いて形成されている。クラッシュカン20の組立時には、リブプレート22を図5における右から左に移動させながら、クラッシュカン本体21の挿入孔23にリブプレート22を挿入した後、突片22dを嵌合孔24に嵌入して位置決めする。そして、リブプレート22を挿入孔23及び嵌合孔24の対応箇所で第1の一対の壁部21a,21bにそれぞれ溶接3により接合する。これにより、リブプレート22がクラッシュカン本体21の中空部A内を板面が車体前後方向に沿うように通った状態となるとともに、リブプレート22の一端が壁部21aの外側に突出する一方、突片22dが壁部21bの外側に突出している。
実施形態2に係る自動車のクラッシュカン構造は、第1の一対の壁部21a,21bと、第2の一対の壁部21c,21dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状のクラッシュカン本体21が形成され、壁部21a,21b,21c,21dの板面が車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、壁部21a,21b,21c,21dの板面が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。また、クラッシュカン本体21には、第1の一対の壁部21a,21bにおける一方の壁部21aに一端を接合するとともに、当該一対の壁部21a,21bにおける他方の壁部21bに他端を接合するリブプレート22が、中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、リブプレート22が座屈して衝撃エネルギーをさらに吸収する。従って、衝撃エネルギー吸収効率を高めることができる。
また、クラッシュカン本体21をプレス成形する際、挿入孔23、嵌合孔24等の穴あけ加工を同時にプレスにより行うことができるので、クラッシュカン本体21の生産性が向上する。さらに、リブプレート22を挿入孔23から中空部A内に挿入し、リブプレート22の突片22dを嵌合孔24に嵌入するので、リブプレート22の位置決めも容易であり組付け性に優れている。
また、リブプレート22を挿入する挿入孔23は、クラッシュカン本体21のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、挿入孔23の幅をリブプレート22の板厚と同等に開口して形成されているので、第1の一対の壁部21a,21bにおける一方の壁部21aに、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(矩形状板部材の板厚端面)同士が当接するようにプレス成形した後、当該一方の壁部21aに挿入孔23をプレス成形により加工したものに比べて、プレス成形工程が短縮されてクラッシュカン本体21の生産性を向上することができる。
(実施形態3)
次に、図6を参照して、本発明の実施形態3に係るクラッシュカン構造におけるクラッシュカン30について詳細に説明する。図6は、実施形態1における図4相当図である。クラッシュカン30は、クラッシュカン本体31及びリブプレート32から構成されている。
クラッシュカン本体31は、車体の左右方向(車幅方向)に間隔を有して互いに対向する板状の第1の一対の壁部31a,31bと、車体の上下方向に間隔を有して互いに対向する板状の第2の一対の壁部31c,31dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状に形成されており、第2の一対の壁部31c,31dが、第1の一対の壁部31a,31bの一端同士及び他端同士を互いに一体に連結している。また、第1の一対の壁部31a,31bは、板面がクラッシュカン本体31における左右の垂直方向の壁部であり、第2の一対の壁部31c,31dは、板面がクラッシュカン本体31における上下の水平方向の壁部である。そして、4つの板状の壁部31a,31b,31c,31dは、板面が車体前後方向に沿うように配設されている。
実施形態3におけるクラッシュカン本体31は、実施形態1におけるクラッシュカン本体11や実施形態2におけるクラッシュカン本体21と異なり、2つの部材38,39から構成されている。即ち、2つの部材38,39は、プレス成形により、各1枚の矩形状板材を1つの折り曲げ加工方向(図6において、部材38は左方向、部材39は右方向)に折り曲げて上辺部38c、39c及び下辺部38d、39dを有する断面略コ字状に形成したものであり、各々の開口部を対向させて、上辺部38c,39cを溶接3により接合して壁部31cとし、下辺部38d,39dを溶接3により接合して壁部31dとしている。
第1の一対の壁部31a,31bにおける一方の壁部31aには、車体前後方向に延びる挿入孔33,33が上下に離れて形成されている。本実施形態では、挿入孔33が壁部31aの車体前後方向の全長に亘って形成されておらず、クラッシュカン本体11の車体前後方向の両端部は連結されている。2つの挿入孔33は、一方の壁部31aのプレス成形時に成形される。
第1の一対の壁部31a,31bにおける他方の壁部31bには、車体前後方向に延びる嵌合孔34が上下に離れて形成されている。本実施形態では、嵌合孔34が壁部31bの車体前後方向及び上下方向にそれぞれ2ヶ所(合計4ヶ所)に離間して形成されている。4つの嵌合孔34は、クラッシュカン本体31のプレス成形時に形成されている。
リブプレート32は、互いに対向する一対のリブプレート片32a,32bと、リブプレート片32a,32bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片32cとで、反リブプレート連結片側(リブプレート連結片32cの反対側)が開口する断面略コ字状にプレス成形により形成されている。そして、一対のリブプレート片32a,32bは、クラッシュカン本体31の中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されている。
リブプレート片32a,32bの間隔は、クラッシュカン本体31の壁部31aに形成された挿入孔33,33の上下間隔に対応するとともに、クラッシュカン本体31の壁部31bに形成された嵌合孔34,34の上下間隔に対応している。クラッシュカン本体31の内部の中空部Aは、リブプレート片32a,32bにより、上側から第1中空部35、第2中空部36、第3中空部37に上下に3分割されている。
リブプレート片32a,32bの他端には、クラッシュカン本体31の壁部31bに形成された嵌合孔34,34に対応する突片32d,32dが、車体前後方向に間隔を置いて形成されている。クラッシュカン30の組立時には、リブプレート32を図6における右から左に移動させながら、クラッシュカン本体31の挿入孔33,33にリブプレート32の一対のリブプレート片32a、32bを挿入した後、突片32d,32dを嵌合孔34,34に嵌入して位置決めする。そして、リブプレート32と第1の一対の壁部31a,31bとを、それぞれ溶接3により接合する。これにより、一対のリブプレート片32a,32bがクラッシュカン本体31の中空部A内を通り、リブプレート連結片32cがクラッシュカン本体31の壁部31aの外側に露出するとともに、リブプレート32の4つの突片32dが壁部31bの外側に突出した状態となる。
実施形態3に係る自動車のクラッシュカン構造は、第1の一対の壁部31a,31bと、第2の一対の壁部31c,31dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状のクラッシュカン本体31がプレス成形により形成され、壁部31a,31b,31c,31dの板面が車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、壁部31a,31b,31c,31dの板面が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。また、クラッシュカン本体31には、第1の一対の壁部31a,31bにおける一方の壁部31aに一端を接合するとともに、当該一対の壁部31a,31bにおける他方の壁部31bに他端を接合するリブプレート32が、中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、リブプレート32が座屈して衝撃エネルギーをさらに吸収する。従って、衝撃エネルギー吸収効率を高めることができる。
また、クラッシュカン本体31のプレス成形時に、挿入孔33、嵌合孔34等の穴あけの加工をプレスにより容易に行うことができるので、クラッシュカン本体31の生産性が向上する。さらに、リブプレート32を挿入孔33から中空部A内に挿入し、かつ、リブプレート32の突片32dを嵌合孔34に嵌入するので、リブプレート32の位置決めも容易であり組付け性に優れている。
また、リブプレート32が、互いに対向する一対のリブプレート片32a,32bと、リブプレート片32a,32bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片32cとで反リブプレート連結片側が開口する断面略コ字状に形成されており、一対のリブプレート片32a,32bが中空部A内を通っているので、一対のリブプレート片32a,32b及びリブプレート連結片32cで衝撃エネルギー吸収効率をさらに高めることができる。
また、リブプレート32のリブプレート連結片32cと、該リブプレート連結片32cに対向する壁部31aと、一対のリブプレート片32a、32bの一端側とで、矩形閉断面状の膨出部30aが車体前後方向に延びるように壁部31aの外側に形成されているので、車体前後方向からの衝撃エネルギーをさらに吸収することができる。
また、クラッシュカン本体31の2つの部材38,39は、2枚の矩形状板部材を断面略コ字状にプレス成形することで、1つの折り曲げ加工方向からプレス成形が可能であり、実施形態1及び実施形態2における断面略矩形状のクラッシュカン本体11及びクラッシュカン本体21のように3つの折り曲げ加工方向からプレス成形するよりも金型構造が複雑化せず、製造コストを低減することができる。
(実施形態4)
次に、図7乃至図9を参照して、実施形態4に係るクラッシュカン構造におけるクラッシュカン40について詳細に説明する。図7及び図8は、実施形態4に係るクラッシュカン構造を示す分解組立図及び斜視図である。また、図9は、実施形態1における図4相当図である。クラッシュカン40は、クラッシュカン本体41及びリブプレート42から構成されている。
クラッシュカン本体41は、1枚の矩形状板部材を、車体の左右方向(車幅方向)に間隔を有して互いに対向する板状の第1の一対の壁部41a,41bと、車体の上下方向に間隔を有して互いに対向する板状の第2の一対の壁部41c,41dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状にプレス成形により形成されており、第2の一対の壁部41c,41dが、第1の一対の壁部41a,41bの一端同士及び他端同士を互いに一体に連結している。また、第1の一対の壁部41a,41bは、板面がクラッシュカン本体41における左右の垂直方向の壁部であり、第2の一対の壁部41c,41dは、板面がクラッシュカン本体41における上下の水平方向の壁部である。そして、4つの板状の壁部41a,41b,41c,41dは、板面が車体前後方向に沿うように配設されている。
第1の一対の壁部41a,41bにおける一方の壁部41aには、車体前後方向に延びる挿入孔43が形成されている。本実施形態では、後述の断面略コ字状のリブプレート42を挿入する挿入孔43が壁部41aの車体前後方向の全長に亘って形成されており、該挿入孔43はクラッシュカン本体41のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、リブプレート42におけるリブプレート連結片42cの幅(上下方向の幅)と同等の幅を有するように開口して形成されている。
第1の一対の壁部41a,41bにおける他方の壁部41bには、車体前後方向に沿うように複数の開口部44が上下に離れて形成されている。本実施形態では、開口部44が他方の壁部41bの車体前後方向に沿うように3ヶ所×2列(合計6ヶ所)に離間して形成されている。6つの開口部44は、クラッシュカン本体41のプレス成形時に形成されている。
リブプレート42は、互いに対向する一対のリブプレート片42a,42bと、リブプレート片42a,42bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片42cとで、反リブプレート連結片側(リブプレート連結片42cの反対側)が開口する断面略コ字状にプレス成形により形成されている。そして、一対のリブプレート片42a,42bは、クラッシュカン本体41の中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されている。
リブプレート片42a,42bの間隔は、クラッシュカン本体41の一方の壁部41aに形成された挿入孔43の上下幅に対応している。クラッシュカン本体41の内部の中空部Aは、リブプレート片42a,42bにより、上側から第1中空部45、第2中空部46、第3中空部47に上下に3分割されている。
リブプレート片42a,42bの他端には、クラッシュカン本体41の複数の開口部44に対応し、かつクラッシュカン本体41の他方の壁部41bの内面に沿うように曲折するフランジ部42d,42dが形成されている。フランジ部42d,42dは、その先端部が互いに離れる方向(外向き)に形成されている。なお、フランジ部を形成する向きについては特に限定されず、例えばフランジ部42d,42dの先端部が互いに近づく方向(内向き)としたり、2つとも同一方向とすることもできる。クラッシュカン40の組立時には、リブプレート42を図7における上から下に移動させながら、クラッシュカン本体41の中空部A内に挿入するとともに、リブプレート42のフランジ部42d,42dをクラッシュカン本体41の壁部41bの内面に当接させる。そして、リブプレート42を挿入孔43及び開口部44の対応箇所で壁部41a及び壁部41bに、それぞれ溶接3により接合する。そして、一対のリブプレート片42a,42bがクラッシュカン本体41の中空部A内を通り、リブプレート連結片42cがクラッシュカン本体41における壁部41aの外側(車幅方向外側)に突出して露出した状態となる。これにより、リブプレート42は、一端側(リブプレート連結片42c側)が、車体前後方向に沿って上下に2分割された壁部41aの挿入孔43側端面によって挟持された状態で、当該壁部41aに接合されている。なお、図8においては、開口部44の形状を明確にするため溶接3の図示を省略している。
実施形態4に係る自動車のクラッシュカン構造は、第1の一対の壁部41a,41bと、第2の一対の壁部41c,41dとで、内部に中空部Aを有する断面略矩形状のクラッシュカン本体41がプレス成形により形成され、壁部41a,41b,41c,41dの板面が車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、壁部41a,41b,41c,41dの板面が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。また、クラッシュカン本体41には、第1の一対の壁部41a,41bにおける一方の壁部41aに一端を接合するとともに、当該一対の壁部41a,41bにおける他方の壁部41bに他端即ちフランジ部42dを接合するリブプレート42が、中空部A内を通り、板面を車体前後方向に沿うように配設されているので、車体前後方向から衝撃が加わると、リブプレート42が座屈して衝撃エネルギーを吸収する。従って、衝撃エネルギー吸収効率をさらに高めることができる。
また、リブプレート42を挿入する挿入孔43は、クラッシュカン本体41のプレス成形時に、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接することなく、挿入孔43の幅をリブプレート42におけるリブプレート連結片42cの幅と同等に開口して形成されているので、第1の一対の壁部41a,41bにおける一方の壁部41aに、1枚の矩形状板部材の車体前後方向に沿う端面(板厚端面)同士が当接するようにプレス成形した後、当該一方の壁部41aに挿入孔43をプレス成形により加工したものに比べて、1枚の矩形状板部材からなるクラッシュカン本体41の矩形状周長が短くなり、かつ、端材も発生せず、クラッシュカン本体41の板部材のコストを低減することができるとともに、プレス成形工程が短縮されてクラッシュカン本体41の生産性を向上することができる。
また、クラッシュカン本体41をプレス成形する際、挿入孔43、開口部44等の穴あけ加工を同時に行うことができるので、クラッシュカン本体41の生産性を向上することができる。また、リブプレート42の他端に、クラッシュカン本体41の開口部44に対応し、かつクラッシュカン本体41の他方の壁部41bの内面に沿うように曲折するフランジ部42dを形成し、クラッシュカン本体41の開口部44の内周縁とリブプレート42のフランジ部42dとを接合するので、リブプレート42の位置決めが実施形態1乃至3のクラッシュカン構造に比べて容易になり、即ち、高精度が要求されず、生産性に優れている。さらに、一対のリブプレート片42a,42bがリブプレート連結片42cで断面略コ字状に一体に形成されているため、当該リブプレート42a,42bのクラッシュカン本体41への組付け性が容易である。
また、リブプレート42が、互いに対向する一対のリブプレート片42a,42bと、リブプレート片42a,42bの一端同士を互いに連結するリブプレート連結片42cとで反リブプレート連結片側が開口する断面略コ字状に形成されて、一対のリブプレート片42a,42bが中空部A内を通っているので、一対のリブプレート片42a,42b及びリブプレート連結片42cで衝撃エネルギー吸収効率をさらに高めることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態1〜4に係るクラッシュカン構造は、組付け性に優れ、挿入孔、嵌合孔等の穴あけの加工も容易であり、生産性に優れたクラッシュカン構造である。
なお、本実施形態に係るクラッシュカン構造について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、クラッシュカンの材料は、アルミニウム合金に限定することなく、鉄、ジュラルミン等のプレス成形可能な他の材料であってもよい。
また、上記実施形態では、挿入孔及び嵌合孔、開口部を形成する壁部の組み合わせ(対)を垂直方向の壁部(11a及び11b、21a及び21b、31a及び31b、41a及び41b)とし、リブプレートの板面が水平方向となるように配設したが、挿入孔及び嵌合孔、開口部を形成する壁部の組み合わせ(対)を水平方向の壁部(11c及び11d、21c及び21d、31c及び31d、41c及び41d)とし、リブプレートの板面が垂直方向となるように配設してもよい。
さらに、クラッシュカン本体を例えば45度回転させて、4つの壁部が斜めになるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、リブプレート(リブプレート片)の枚数を2枚又は1枚としたが、3枚以上であってもよい。また、クラッシュカン本体におけるリブプレートの車体前後方向の配設範囲は、全長であっても一部分であってもよい。また、車体前後方向に分割して配設してもよい。また、リブプレートの板厚もクラッシュカン本体の板厚と同じであってもよく、異なっていてもよい。これらは、クラッシュカンに求められる衝突時の衝撃エネルギー吸収性能に合わせて適宜設定することができる。
なお、リブプレートの後端側(サイドフレーム側)を連結用プレートまで突き当てた場合には、衝突時の荷重が入力された初期から耐荷重性を高めることができる。反対に、突き当てない場合には、リブプレートが無いところに応力が集中し潰れるきっかけになるため、突き当てた場合よりも耐荷重性が低くなる。言い換えると、リブプレートの長さとリブプレートの取付け位置で耐荷重性を調整することができる。
また、クラッシュカンは、自動車のフロントバンパーとリヤバンパーのいずれに取り付けられるものであってもよい。