しかしながら、上記従来の移動式プラントは、ベッセルの後方に配置された混錬装置が、開口を有するケーシング内に、原動機で駆動される混錬軸が配置されているので、混錬軸が駆動される際の騒音が、開口を通じて周囲に発散する問題がある。特に、コンクリートの材料である骨材がケーシングとブレードとの間に噛み込まれて発生する金切り音は、大きな騒音となる。移動式プラントは、コンクリートの打設位置の近くに設置されて稼働する必要があるため、コンクリートの打設現場が住宅地や病院や教育機関等に接近していると、騒音が原因で稼働が許されず、工事を遂行できなくなる恐れがある。すなわち、この移動式プラントは、移動式でありながら、移動先でコンクリートの製造ができない場合があり、使用する位置の選択の自由度が低いという問題がある。
また、上記従来の移動式プラントは、速硬性セメントを投入する場合、ベッセルの後部の天井に設けられた蓋を外してマンホールを開け、このマンホールから速硬性セメントをセメント室内に投入する。このとき、粉体である速硬性セメントが飛散し、周辺の環境を汚染する恐れがある。
そこで、本発明の課題は、騒音が原因で稼働ができなくなる不都合を解消でき、使用位置の選択の自由度が高い移動式バッチャープラントを提供することにある。また、粉体の飛散を防止できて、環境に与える影響の少ない移動式バッチャープラントを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の移動式バッチャープラントは、予め配合された粉体材料を貯蔵する粉体貯蔵装置と、
骨材を貯蔵する骨材貯蔵装置と、
水を貯蔵する水貯蔵装置と、
上記粉体材料と骨材と水を混合するミキシング装置と、
上記粉体貯蔵装置からミキシング装置へ粉体材料を搬送する粉体搬送装置と、
上記骨材貯蔵装置からミキシング装置へ骨材を搬送する骨材搬送装置と、
上記水貯蔵装置からミキシング装置へ水を供給する水供給装置と、
上記粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置及び水供給装置の動作を制御する制御装置と、
上記粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置、水供給装置及び制御装置のうちの少なくとも1つを支持し、車両に搭載可能に形成された支持構造と、
上記粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置、水供給装置、制御装置及び支持構造のうちの少なくとも1つから発生する騒音を低減する騒音低減機構と
を備えることを特徴としている。
上記構成によれば、予め配合されて粉体貯蔵装置に貯蔵された粉体材料が、制御装置による制御の下、粉体搬送装置でミキシング装置へ搬送される。また、骨材貯蔵装置に貯蔵された骨材が、制御装置による制御の下、骨材搬送装置でミキシング装置へ搬送される。また、水貯蔵装置に貯蔵された水が、制御装置による制御の下、水供給装置でミキシング装置へ搬送される。ミキシング装置により、制御装置の制御の下、上記粉体材料と骨材と水が混合される。これにより、超速硬コンクリートや、普通コンクリートや、モルタルや、グラウト等が製造される。製造された超速硬コンクリート等は、ミキシング装置から排出され、所定の打設位置に打設される。本発明の移動式バッチャープラントによれば、騒音低減機構により、粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置、水供給装置、制御装置及び支持構造のうちの少なくとも1つから発生する騒音が低減されるので、稼働時の騒音が効果的に低減される。したがって、この移動式バッチャープラントは、例えば住宅地や病院や教育機関等に接近した位置であって、騒音の防止が求められる位置で、問題無く稼働することができる。その結果、使用する位置の選択の自由度が高く、稼働効率を高めることができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置は、概ね円筒形状の混合槽と、この混合槽内で回転駆動されるブレードを有し、
上記ブレードに設けられ、可撓性材料で形成されて上記混合槽の底面又は内側面に常に接触して摺動する摺動部材により、上記騒音低減機構が構成されている。
上記実施形態によれば、ミキシング装置は、概ね円筒形状の混合槽内に、粉体材料と骨材と水が投入される。これらの粉体材料と骨材と水が、上記混合槽内で回転駆動されるブレードにより混合される。ここで、上記ブレードに、可撓性材料で形成されて上記混合槽の底面又は内側面に常に接触して摺動する摺動部材が設けられているので、ブレードの駆動時に、ブレードと混合槽との間に隙間が形成され難くなる。これにより、ブレードと混合槽との間に骨材の噛み込みが発生する不都合が効果的に防止される。その結果、ブレードと混合槽との間の骨材の噛み込みにより発生する金切り音が、効果的に防止される。このようにして、上記摺動部材により騒音低減機構が構成されることにより、ミキシング装置に起因する騒音が効果的に防止される。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ブレードの上記混合槽の底面に対応する位置に設置され、上記混合槽の底面に常に接触する底面摺動部材と、上記ブレードの上記混合槽の内側面に対応する位置に設置され、上記混合槽の内側面に常に接触する側面摺動部材を有する。
上記実施形態によれば、ブレードの混合槽の底面に対応する位置に設置された底面摺動部材が、混合槽の底面に常に接触することにより、ブレードが駆動される際にブレードと混合槽の底面との間に隙間が形成され難くなる。また、ブレードの混合槽の内側面に対応する位置に設置された側面摺動部材が、混合槽の内側面に常に接触することにより、ブレードが駆動される際にブレードと混合槽の内側面との間に隙間が形成され難くなる。これにより、ブレードと、混合槽の底面及び内側面との間に骨材の噛み込みが発生する不都合が効果的に防止され、骨材の噛み込みにより発生する金切り音が効果的に防止される。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置は、上記混合槽内に投入された材料の質量を測定するロードセルと、上記混合槽の姿勢を保持する姿勢保持装置を有する。
上記実施形態によれば、ミキシング装置は、姿勢保持装置により混合槽の姿勢が保持されるので、このミキシング装置の混合槽内に投入された材料の質量を、ロードセルで高精度に測定することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置に上記粉体搬送装置で粉体材料を搬送すると共に上記水供給装置で水を供給し、このミキシング装置で粉体材料と水を混合して混合体を形成する先練工程と、
上記先練工程の後に上記骨材搬送装置で骨材を搬送し、上記混合体に骨材を追加する骨材追加工程と、
上記骨材追加工程で追加された骨材と混合体を混合する骨材混合工程と
を実行する制御装置により上記騒音低減機構が構成されている。
上記実施形態によれば、制御装置による制御の下、先練工程が実行され、ミキシング装置に粉体搬送装置で粉体材料が搬送されると共に水供給装置で水が供給され、このミキシング装置で粉体材料と水が混合されて混合体が形成される。この先練工程の後に、骨材追加工程が実行され、骨材搬送装置で骨材が搬送され、上記混合体に骨材が追加される。引き続いて、骨材混合工程が実行され、上記骨材追加工程で追加された骨材と混合体が混合される。このように、ミキシング装置で混合体を形成し、この後に混合体に骨材を追加するので、骨材の投入に伴う騒音を、混合体により低減することができる。さらに、混合体を形成した後に骨材を追加し、この追加された骨材と混合体が混合されるので、骨材を先に投入し、この後に粉体材料や水を追加して混合を行うよりも、混合に伴う騒音を効果的に低減できる。このようにして、上記先練工程と、上記骨材追加工程と、上記骨材混合工程とを実行するように制御を行う制御装置が、移動式バッチャープラントの騒音を効果的に低減して、騒音低減機構として機能する。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置が、上記混合槽内に投入された材料を、この材料の種類と配合に応じた所定の回転数で所定の回転時間だけ混合する混合運転と、この混合運転が終了した後に上記回転数よりも少ない回転数で混合するアジテート運転とを行う。
上記実施形態によれば、ミキシング装置の混合運転では、混合槽内に投入された材料の種類と配合に応じて、所定の回転数で所定の回転時間だけ混合を行うことにより、例えば超速硬コンクリート、普通コンクリート、モルタル及びグラウト等が適切に作製される。この混合運転が終了した後のアジテート運転で、上記材料を上記回転数よりも少ない回転数で混合することにより、作製された生コンクリート等を打設するまでの間に流動性を確保することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記支持構造に立設され、少なくとも上記ミキシング装置の側方に設置された騒音低減壁により、上記騒音低減機構が構成されている。
上記実施形態によれば、支持構造に立設され、少なくともミキシング装置の側方に設置された騒音低減壁で構成された騒音低減機構により、移動式バッチャープラントの騒音を効果的に低減することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、矩形状の上記支持構造の各辺に立設された側面材と、この側面材の上端を塞ぐように設置された天井材とを有するコンテナ体により、上記騒音低減機構が構成されている。
上記実施形態によれば、騒音低減機構が、矩形状の支持構造の各辺に立設された側面材と、この側面材の上端を塞ぐように設置された天井材とを有するコンテナ体で形成され、移動式バッチャープラントを構成する装置を上記コンテナ体内に収容する。これにより、効果的に移動式バッチャープラントの騒音を低減することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記粉体貯蔵装置が、上記粉体材料が袋体に梱包されてなる梱包体を受容し、上記粉体材料を貯蔵するように形成されている
上記実施形態によれば、粉体貯蔵装置が、粉体材料が袋体に梱包されてなる梱包体を受容して粉体材料を貯蔵するように形成されているので、粉体材料を粉体貯蔵装置に投入する際に粉体材料が飛散することが無い。したがって、移動式バッチャープラントの周辺の環境が粉体材料で汚染する不都合を、効果的に防止できる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記粉体貯蔵装置が、上記梱包体を受容する梱包体受容部と、この梱包体受容部に受容される梱包体の袋体の底部に、上記粉体材料を取り出す取り出し口を形成する取り出し口形成部と、上記梱包体受容部に受容された梱包体を加振して上記粉体材料の排出を促進する加振部とを有する。
上記実施形態によれば、粉体材料が袋体に梱包されてなる梱包体が、粉体貯蔵装置の梱包体受容部に受容される。梱包体受容部に受容される梱包体は、取り出し口形成部により、梱包体の袋体の底部に粉体材料を取り出す取り出し口が形成される。梱包体受容部に受容された梱包体は、加振部で加振されて粉体材料の排出が促進される。したがって、梱包体を粉体貯蔵装置に投入することにより、粉体材料を周囲に飛散させることなく、効率的に粉体材料を梱包体から取り出して利用することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記粉体搬送装置及び/又は骨材搬送装置の搬送対象の排出側に、開閉弁が設けられている。
上記実施形態によれば、粉体搬送装置及び/又は骨材搬送装置が搬送対象を搬送しないとき、搬送対象の排出側に設けられた開閉弁を閉じることにより、粉体搬送装置に残留した粉体材料や、骨材搬送装置に残留した骨材が、ミキシング装置に投入される不都合を防止できる。したがって、過剰な粉体材料や骨材がミキシング装置に投入されて粉体材料と水と骨材の配合が適正値から逸脱する不都合を、効果的に防止できる。また、残留した粉体材料や骨材が周囲に飛散して周辺の環境を汚染する不都合を、効果的に防止できる。ここで、開閉弁としては、バタフライ弁を用いることができる。また、開閉弁は、粉体搬送装置及び/又は骨材搬送装置の搬送対象の排出口に設けてもよく、ミキシング装置の粉体搬送装置及び/又は骨材搬送装置から搬送対象が投入される投入口に設けてもよい。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置内に繊維補強材を投入する繊維補強材投入装置を備える。
上記実施形態によれば、繊維補強材投入装置でミキシング装置内に繊維補強材を投入することにより、例えば繊維補強コンクリート等の特殊なコンクリートを製造することができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記繊維補強材投入装置が、上記支持構造上に立設された手摺に取り付けられており、
上記手摺の上記繊維補強材投入装置よりも先端側の部分の高さが、上記支持構造が車両に搭載されたときに高さ制限以下の高さとなるように、低減可能に形成されている。
上記実施形態によれば、支持構造上に立設された手摺に取り付けられた繊維補強材投入装置により、繊維補強材をミキシング装置へ滞りなく投入することができる。また、手摺の上記繊維補強材投入装置よりも先端側の部分の高さを低減することにより、支持構造が車両に搭載されたときに、手摺の高さが、高さ制限以下となる。したがって、移動式バッチャープラントを搭載した車両が、高さ制限に抵触することなく、公道を問題無く通行することができる。ここで、手摺の先端側の部分は、蝶番によって折り畳み可能とされることにより高さが低減可能であってもよく、また、支柱がテレスコ状に形成されることにより高さが低減可能であってもよい。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記ミキシング装置内に、水で希釈された添加剤を供給する添加剤供給装置を備える。
上記実施形態によれば、添加剤供給装置により、水で希釈された添加剤がミキシング装置内に供給される。この添加剤供給装置は、水で希釈された添加剤を供給するので、供給する添加剤の量が少なくても、添加剤の供給量の誤差を抑制することができる。添加剤をミキシング装置内に供給する際に発生する供給量の誤差は、例えば、搬送通路の内側面への付着及び液溜まりや、気泡に起因する流量計の測定誤差等により発生する。水で希釈された添加剤は、希釈されない添加剤よりも量が多く、添加剤によっては添加剤よりも粘性が低いので、上述の供給量の誤差の発生を効果的に抑制することができる。ここで、水で希釈された添加剤をミキシング装置内に供給する場合、希釈した水の量と、水供給装置で供給する水の量が、粉体材料に対応して供給すべき水の量となるように調整する。また、添加剤は、超速硬コンクリートや、普通コンクリートや、モルタルや、グラウト等を製造する際に添加される種々の薬剤であり、例えば減水剤や流動化剤や凝結遅延剤や凝固促進剤等が該当する。ここで、添加剤としては、いわゆる混和剤が包含される。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記制御装置は、製造するものの種類及び量に応じて上記粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置及び水供給装置の制御に関する制御データを有する。
上記実施形態によれば、製造するものの種類及び量が特定されれば、これらに応じた制御データに基づいて、制御装置によって粉体貯蔵装置、骨材貯蔵装置、水貯蔵装置、ミキシング装置、粉体搬送装置、骨材搬送装置及び水供給装置が制御される。したがって、操作者は、製造するものの種類及び量を制御装置に入力すれば、この入力内容に応じて適切に各装置が制御されて、自動的に超速硬コンクリートや、普通コンクリートや、モルタルや、グラウト等が製造される。したがって、操作者の技量や経験等に基づくことなく、安定した品質の超速硬コンクリート等が得られる。ここで、制御データは、制御装置が有する記憶装置に格納してもよく、移動式バッチャープラントと分離したサーバ等に格納してもよい。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、超速硬コンクリート、繊維補強コンクリート、普通コンクリート、モルタル又はグラウトを製造するものである。
上記実施形態によれば、超速硬コンクリート、繊維補強コンクリート、普通コンクリート、モルタル又はグラウトを、使用する位置の近傍で製造することができるので、少量でありながら品質の安定した製品を提供できる。また、特に超速硬コンクリートの場合は、打設位置の近傍で製造できるので、硬化までの時間の余裕を十分に持って、打設作業を行うことができる。
一実施形態の移動式バッチャープラントは、上記支持構造が搭載される車両は、中型トラックである。
上記実施形態によれば、支持構造が中型トラックに搭載されることにより、移動式バッチャープラントを、比較的狭い道路であっても通行して移動させることができる。したがって、移動式バッチャープラントを、使用が望まれる位置に高い自由度で移動して設置することができる。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の移動式バッチャープラントが搭載された車両を示す側面図であり、図2は、実施形態の移動式バッチャープラントが搭載された車両の荷台部分を示す平面図であり、図3は、実施形態の移動式バッチャープラントを示す側面図であり、図4は、移動式バッチャープラントを模式的に示すブロック図である。
実施形態の移動式バッチャープラント1は、車両としての中型トラックに搭載され、超速硬コンクリートを打設位置の近傍で製造するものである。本実施形態では、移動式バッチャープラント1を、道路に関連する構造や設備の補修のために用いる。例えば、道路の舗装、床版及び高欄等に生じた欠損、穴及びひび割れを補修するため、所定の補修対象の近傍で、移動式バッチャープラント1で超速硬コンクリートを製造する。移動式バッチャープラント1で製造した超速硬コンクリートは、中型トラックが道路を走行することにより、他の補修対象に順次配達される。
この移動式バッチャープラント1は、中型トラックの荷台2上に設置されており、予め配合された粉体材料としての超速硬セメント及び細骨材を貯蔵する粉体貯蔵装置3と、骨材を貯蔵する骨材貯蔵装置4と、水を貯蔵する水貯蔵装置としての水タンク5と、上記超速硬セメントと骨材と水を混合するミキシング装置6と、添加剤の水溶液を貯蔵する添加剤貯蔵装置としての添加剤タンク65を備える。また、上記粉体貯蔵装置3からミキシング装置6へ超速硬セメントを搬送する粉体搬送装置としてのスクリューコンベア7と、上記骨材貯蔵装置4からミキシング装置6へ骨材を搬送する骨材搬送装置としてのベルトコンベア8と、水タンク5からミキシング装置6へ水を供給する水供給装置としての自吸式渦巻ポンプ66を備える。また、添加剤タンク65からミキシング装置6へ添加剤の水溶液を供給する添加剤供給装置としての自吸式渦巻ポンプ71を備える。さらに、移動式バッチャープラント1は、上記粉体貯蔵装置3と、上記骨材貯蔵装置4と、上記水タンク5と、上記ミキシング装置6と、上記スクリューコンベア7と、上記ベルトコンベア8と、上記自吸式渦巻ポンプ66,71との動作を制御する制御装置10を備える。この移動式バッチャープラント1は、上記粉体貯蔵装置3と、上記骨材貯蔵装置4と、上記水タンク5と、上記ミキシング装置6と、上記スクリューコンベア7と、上記ベルトコンベア8と、上記自吸式渦巻ポンプ66,71と、上記制御装置10を支持する支持構造としての支持フレーム12を備え、この支持フレーム12によって中型トラックの荷台2に搭載可能に形成されている。中型トラックの荷台2には、移動式バッチャープラント1に電力を供給する発電機11が搭載されている。この移動式バッチャープラント1は、上記ミキシング装置6に、騒音を低減する騒音低減機構が設けられている。
粉体貯蔵装置3は、平面方向の断面積が下方に向かうにつれて縮小するように形成されて超速硬セメントを貯蔵するホッパを有し、このホッパの下端がスクリューコンベア7に連結されている。上記ホッパの下部には、ホッパ内の超速硬セメントを振動によってスクリューコンベア7へ送り出す電磁ノッカが設けられている。電磁ノッカは制御装置10により動作が制御される。ホッパは密閉可能に形成され、天井部に、超速硬セメントをホッパ内へ投入するための開口と、この開口を開閉する開閉扉3aが設けられている。
骨材貯蔵装置4は、平面方向の断面積が下方に向かうにつれて縮小するように形成されて骨材を貯蔵するホッパを有し、このホッパの下端がベルトコンベア8に連結されている。上記ホッパの下部には、ホッパ内の骨材を振動によってベルトコンベア8へ送り出す電磁ノッカが設けられている。電磁ノッカは制御装置10により動作が制御される。ホッパは密閉可能に形成され、天井部に、骨材をホッパ内へ投入するための開口と、この開口を開閉する開閉扉4aが設けられている。骨材貯蔵装置4に投入される骨材は、多くの場合、粗骨材である。
水タンク5は内部の水位を測定する水位計を有し、水タンク5はからミキシング装置6へ連なる給水管に、自吸式渦巻ポンプ66と流量計67と開閉弁68が介設されている。水位計、自吸式渦巻ポンプ66、流量計67及び開閉弁68は制御装置10に接続されており、制御装置10の制御の下、自吸式渦巻ポンプ66によって水タンク5からミキシング装置6へ所定量の水が供給される。
添加剤タンク65は内部の液位を測定する水位計を有し、添加剤タンク65はからミキシング装置6へ連なる給水管に、自吸式渦巻ポンプ71と流量計72と開閉弁73が介設されている。水位計、自吸式渦巻ポンプ71、流量計72及び開閉弁73は制御装置10に接続されており、制御装置10の制御の下、自吸式渦巻ポンプ71によって添加剤タンク65からミキシング装置6へ所定量の添加剤の水溶液が供給される。添加剤タンク65には、超速硬コンクリートに添加する添加剤としての凝結遅延剤や減水剤等の水溶液が貯蔵される。なお、添加剤タンク65には、ミキシング装置6で混合すべき他の添加剤の水溶液を貯蔵してもよい。また、水位計、自吸式渦巻ポンプ71、流量計72及び開閉弁73は、複数の添加剤に対応して複数組を設置してもよい。
ミキシング装置6は、蓋を有して内部が密閉される円筒形の混合槽と、この混合槽内で回転駆動され、超速硬セメントと骨材と水を混合させるブレードを有する。ブレードは、後に詳述するように、混合槽内で回転駆動されると共に、騒音低減機構を有する。ミキシング装置6の蓋には、ブレードを駆動するモータ61と、スクリューコンベア7から超速硬セメントを受け取って混合槽内に導く粉体入口13と、ベルトコンベア8から骨材を受け取って混合槽内に導く骨材入口15が設けられている。骨材入口15には、開閉弁としてのバタフライ弁14が設けられており、ベルトコンベア8の停止時にバタフライ弁14を閉じることにより、ベルトコンベア8から過剰な骨材が混合槽内に投入されないようになっている。ミキシング装置6のモータ61とバタフライ弁14は、制御装置10によって動作が制御される。また、ミキシング装置6は、後に詳述するロードセル18と姿勢保持装置を介して支持フレーム12に支持されている。ロードセル18と姿勢保持装置は制御装置10に接続されている。ミキシング装置6に投入された材料の質量がロードセル18によって測定され、ロードセル18の測定値が制御装置10に入力される。また、制御装置10の制御により、ミキシング装置6の姿勢が、姿勢保持装置によって適切に保持される。また、ミキシング装置6は、混合槽の底部に開閉可能な排出口を有し、この排出口に、混錬後のコンクリート等を排出するシュート69が連なっている。
スクリューコンベア7は、粉体貯蔵装置3のホッパの下端に投入口が連結され、ミキシング装置6の粉体入口13に排出口が連結されている。スクリューコンベア7は、密閉されたケーシング内で回転駆動されるスクリューにより、超速硬セメントを投入口から排出口へ搬送する。スクリューコンベア7を用いることにより、ミキシング装置6へ搬送して投入する超速硬セメントの量を高精度に定めることができると共に、搬送中の超速硬セメントの飛散を効果的に防止できる。また、スクリューコンベア7の排出口には、開閉弁としてのバタフライ弁16が設けられており、スクリューコンベア7の停止時にバタフライ弁16を閉じることにより、スクリューコンベア7から過剰な超速硬セメントが混合槽内に投入されないようになっている。スクリューコンベア7のスクリューを回転駆動するモータと、バタフライ弁16は、制御装置10によって動作が制御される。
ベルトコンベア8は、骨材貯蔵装置4のホッパの下端に投入口が連結され、ミキシング装置6の骨材入口15に排出口が連結されている。ベルトコンベア8は、密閉されたケーシング内に、骨材を載置して搬送するコンベヤベルトと、コンベヤベルトを駆動する駆動ローラが収容されている。このような密閉型のベルトコンベアを用いることにより、搬送中の骨材の落下や、骨材に起因する騒音の拡散や、骨材に付着した粉塵の拡散を防止するようになっている。ベルトコンベア7の駆動ローラを回転駆動するモータは、制御装置10によって動作が制御される。
制御装置10は、水タンク5及び添加剤タンク64の水位計と、自吸式渦巻ポンプ66,71と、流量計67,72と、開閉弁68,73に接続されており、上記水位計と流量計67,72の測定値に基づいて、自吸式渦巻ポンプ66,71と開閉弁68,73の動作を制御する。また、制御装置10は、粉体貯蔵装置3及び骨材貯蔵装置4の電磁ノッカに接続されており、スクリューコンベア7及びベルトコンベア8に粉体材料と骨材を導く際に、電磁ノッカを作動させる。
また、制御装置10は、ミキシング装置6のモータ61に接続されており、粉体材料と骨材と水と添加剤の配合や外気温度等に基づいて、モータ61の動作を制御する。また、制御装置10は、ミキシング装置6の混合槽の排出口に設けられた開閉扉の駆動装置に接続されており、排出口の開閉を制御してコンクリート等の排出を制御する。また、制御装置10は、骨材投入口15のバタフライ弁14に接続されており、ベルトコンベヤ8の動作に応じてバタフライ弁14の開閉を制御する。また、制御装置10は、ミキシング装置6のロードセル18と姿勢保持装置に接続されており、ロードセル18の測定値に基づいて粉体材料や骨材の投入質量を検知する。また、制御装置10は、スクリューコンベア7のモータに接続されており、操作者による動作の開始指令や、ミキシング装置6の混錬時間や、ミキシング装置6への粉体材料の投入量等に基づいて、スクリューコンベア7のモータの動作を制御する。また、制御装置10は、バタフライ弁16に接続されており、スクリューコンベア7の動作状況に基づいて、バタフライ弁16の開閉の動作を制御する。また、制御装置10は、ベルトコンベア8のモータに接続されており、操作者による動作の開始指令や、ミキシング装置6の混錬時間や、ロードセル18で測定されたミキシング装置6への骨材の投入量等に基づいて、ベルトコンベア8のモータの動作を制御する。
この制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)と、コンピュータプログラムが格納された記憶装置を有し、記憶装置のコンピュータプログラムが読み出されてCPUで実行されることにより、制御装置10の機能が実現される。上記記憶装置は、磁気ディスクや半導体メモリ等で形成することができる。上記記憶装置には、上記コンピュータプログラムのほか、移動式バッチャープラント1で製造が可能なコンクリート、グラウト及びモルタル等に関するデータが記憶可能になっている。この制御装置10は、操作者から各種の指令や条件等が入力される入力装置としての操作部75と、運転状況や運転条件等が出力される出力装置を備える。上記操作部75は、表示機能を兼ね備えた液晶タッチパネルで形成され、出力装置を兼ねている。なお、入力装置は、押しボタン、キーボード又は音声入力装置等を含んで構成されてもよい。また、出力装置は、信号ランプ、液晶表示装置又は音声出力装置等を含んで構成されてもよい。
この制御装置10は、移動式バッチャープラント1で製造が可能なコンクリート、グラウト及びモルタル等に関するデータとして、これらのコンクリート等を製造するときの材料の使用量の内訳である配合に関する配合データと、これらの材料を投入して混合するときの各装置の制御に関する制御データを用いる。これらの配合データと制御データは、コンクリート等の種別に応じて、複数のパターンが予め設定されて記憶されている。これらの配合データと制御データは、制御装置10の記憶装置に格納されてもよく、移動式バッチャープラント1とは別個に設置したサーバの記憶装置に格納されてもよい。サーバの記憶装置にデータが格納された場合は、移動式バッチャープラント1に通信装置を設け、この通信装置を介して制御装置10がデータを受信して利用する。
上記配合データとしては、例えば、セメントの種類、骨材の寸法、コンクリートのスランプ、空気量、水セメント比、細骨材率、単位水量、添加剤の量等で構成されたものを用いることができる。また、上記制御データとしては、自吸式渦巻ポンプ66,71による流量、開閉弁68,73の開閉タイミング、電磁ノッカの作動タイミング、スクリューコンベア7及びベルトコンベア8による材料の搬送量、バタフライ弁14,16の作動タイミング、ミキシング装置6の作動タイミング及び作動時間等で構成されたものを用いることができる。
本実施形態の移動式バッチャープラント1でコンクリート等を製造する場合、制御装置10の操作部75を通して、製造するものの種別と、製造する量が、操作者によって指定される。このとき、操作部75には、製造するものの種別として、コンクリート、グラウト及びモルタル等のいずれかを提示するメニューが表示され、操作者はメニューから製造すべき種別を選択して指定する。なお、メニューには、コンクリート等の更に詳細な種別や商品名を表示して、選択可能にしてもよい。また、操作部に、製造するコンクリート等の量の数値を提示するメニューが表示され、操作者はメニューから、製造する量の数値を選択して指定する。なお、製造するコンクリート等の量は、操作部75に入力キーを表示し、操作者が入力キーを通じて数値を直接入力するようにしてもよい。操作部75を通じて指定された種別と量に基づいて、制御装置10は、記憶装置に格納された配合データと制御データのうち、適切な配合データと制御データを読み出す。読み出された配合データを操作部75に表示すると共に、運転の実行を促す実行ボタンを表示する。操作者が実行ボタンを通じて運転の開始を指示すると、制御装置10は、制御データに基づいて、自吸式渦巻ポンプ66,71、開閉弁68,73、電磁ノッカ、スクリューコンベア7、ベルトコンベア8、バタフライ弁14,16及びミキシング装置6の制御を行い、配合データに従った材料を用いて、コンクリート等を自動的に製造するようになっている。このように、操作者が操作部75を通じてメニューを選択すれば、自動的に所望の所定量のコンクリート等を製造できるので、操作者がコンクリート等の製造に関する高度な知識や技量を有していなくても、高品質のコンクリート等を製造することができる。なお、操作部75を通じて、コンクリート等が発揮すべき強度、スランプ、流動性、硬化時間等を指定してもよい。制御装置10は、コンクリート等が発揮すべき強度、スランプ、流動性及び硬化時間等が指定された場合、指定された内容に応じて配合データと制御データを調整し、調整した配合データを操作部75に表示して操作者の確認を促すと共に、操作者が確認の入力を行うと、調整した制御データに沿って各装置を制御する。
また、制御装置10は、図示しない温度計に接続されている。温度計は、ミキシング装置6や水タンク5のいずれか又は両方の近傍に配置され、混錬を行う環境の温度を測定し、及び/又は、粉体材料と骨材と水の混合物の温度を推定する。制御装置10は、温度計で測定された温度に基づいて、水の量等の配合を調整することにより、コンクリート等が所定の強度等を発現するようになっている。なお、水タンク5にヒータを設け、水を配合に適した温度に調節してもよい。
また、制御装置10は、コンクリート等の製造時に採用した配合や運転内容に関するデータを、記憶装置に保存する。これにより、コンクリート等の品質保証を行うことができる。ここで、記憶装置に保存するデータとして、製造を行った種別と、材料の実際の投入量と、ミキシング装置6の混錬時間等を採用することができる。
図5は、ミキシング装置6の内部を示す縦断面図であり、図6は、ミキシング装置6の内部を示す平断面図である。図5及び6に示すように、ミキシング装置6は、混合槽20内に、超速硬セメントと骨材と水を混合するための3個の底面ブレード21と、1個の側面ブレード22が設けられている。底面ブレード21は、下端縁が混合槽20の底面20aに接触した状態で、混合槽20の中心軸を公転中心として遊星回転駆動される。側面ブレード22は、側縁が混合槽20の内側面20bに接触した状態で、混合槽20の中心軸回りに回転駆動される。
底面ブレード21は、混合槽20の上部から下部に延在する3個の第1支持棒24の下端に夫々取り付けられている。第1支持棒24は、混合槽20の上部に配置されて概ね三角形状を有する連結部材25の3個の頂点に、夫々連結されている。連結部材25は、中心に公転回転軸26が連結されており、この公転回転軸26は、混合槽20の蓋30の近傍に配置された第1回転アーム28の一端に枢着されている。第1回転アーム28は、混合槽20の円形の蓋30の中心に設けられた回転軸29に連結されている。回転軸29は、蓋30の上に配置されたモータ61に連結されている。第1回転アーム28内には、回転軸29の回転力を公転回転軸26へ伝達する遊星歯車機構が設けられている。第1回転アーム28の他端には、公転回転軸26と反対側の径方向に延びる第2回転アーム31が連結されている。この第2回転アーム31の先端に、混合槽20内の上部から下部に向かって延びる1本の第2支持棒32が連結されており、この第2支持棒32に側面ブレード22が固定されている。
図7は、底面ブレード21を示す正面図であり、図8は、底面ブレード21の構成を示す分解正面図である。
底面ブレード21は、混合槽20の底面20aに接触して摺動する第1攪拌摺動体211を、第1挟持金具212と第2挟持金具213で挟んで保持するように形成されている。第1攪拌摺動体211は、加硫天然ゴムで形成され、台形の下端に矩形を連ねたような6角形状を有する。この第1攪拌摺動体211には、第2挟持金具213及び第1支持棒24に対する固定位置を調節するため、長穴で形成されたガイド穴211aが形成されている。ガイド穴211aは、介在金具214の幅よりも僅かに広い幅と、介在金具214の長さよりも大きい長さに形成されている。
第1挟持金具212は、第1攪拌摺動体211の第1支持棒24と反対側の表面に接して配置されるものである。この第1挟持金具212はステンレス鋼で形成され、台形の下端に矩形を連ねたような6角形状を有すると共に、下部の両側辺と底辺が、第1攪拌摺動体211の両側辺と底辺よりも内側に形成されている。これにより、上端が一致するように第1挟持金具212を第1攪拌摺動体211と重ね合わせたとき、第1攪拌摺動体211の下部の両側と底辺の周辺部分が、第1挟持金具212よりも外側へ張り出すようになっている。また、第1挟持金具212は、第2挟持金具213に対する固定位置を調節するための長穴で形成されたガイド穴212aが形成されている。ガイド穴212aは、ボルト215の軸の直径よりも多少広い幅に形成されている。
第2挟持金具213は、第1攪拌摺動体211の第1支持棒24側の表面に接して配置されるものである。この第2挟持金具213はステンレス鋼で形成され、第1支持棒24と概ね同じ幅の矩形状を有する。この第2挟持金具213は、ボルト215が挿通される2つのボルト穴213aを有する。この第2挟持金具213は、第1攪拌摺動体211に接すると共に第1支持棒24に接して配置され、ボルト穴213aに挿通されたボルト215により、第1挟持金具212と協働して第1攪拌摺動体211を挟持して固定すると共に、第1支持棒24に固定される。
上記第1挟持金具212と第2挟持金具213の間には、第1挟持金具212と第2挟持金具213とに接する介在金具214が配置されている。介在金具214はステンレス鋼で形成され、第1攪拌摺動体211の厚みよりも僅かに小さい厚みを有すると共に、第1攪拌摺動体211のガイド穴211a内を相対移動可能な寸法に形成されている。この介在金具214は、ボルト215が挿通される2つのボルト穴214aを有する。
上記第1挟持金具212と、上記ガイド穴211a内に上記介在金具214が挿入された第1攪拌摺動体211と、上記第2挟持金具213とがこの順に配列され、第1支持棒24の取り付け面に第2挟持金具213が接するように配置される。この状態で、上記第1挟持金具212のガイド穴212aと、上記介在金具214のボルト穴214aと、上記第2挟持金具213のボルト穴213aと、上記第1支持棒24に設けられたボルト穴とにボルト215が挿通され、第1支持棒24の取り付け面と反対側に突出したボルト215の軸にナット216が螺着されて、第1支持棒24に底面ブレード21が固定される。また、ボルト215及びナット216により、第1支持棒24に対する底面ブレード21の位置が固定される。
このように構成される底面ブレード21は、第1攪拌摺動体211と第1挟持金具212が、長穴211a,212aに沿って第1支持棒24の延在方向に移動可能であり、これにより、混合槽20の底面20aとの間の距離が調節可能になっている。ここで、第1攪拌摺動体211の下端が、混合槽20の底面20aに接触するように第1攪拌摺動体211と第1挟持金具212の位置を調節する。これにより、底面ブレード21が遊星回転駆動されるとき、第1攪拌摺動体211の下端が混合槽20の底面20aに常に接触して摺動する。
図9は、側面ブレード22を示す正面図であり、図10は、側面ブレード22の構成を示す分解正面図である。
側面ブレード22は、混合槽20の内側面20bに接触して摺動する第2攪拌摺動体221を、第1挟持金具222と第2挟持金具223で挟んで保持するように形成されている。第2攪拌摺動体221は加硫天然ゴムで形成され、縦長の大きな矩形の下端部の側縁に、一方の側へ突出した小さな矩形を連ねたような形状を有する。この第2攪拌摺動体221は、第1挟持金具222及び第2挟持金具223に対して、幅方向と高さ方向の取り付け位置が調節可能に形成されている。
第1挟持金具222は、第2攪拌摺動体221の第2支持棒32と反対側の表面に接して配置されるものである。この第1挟持金具222はステンレス鋼で形成され、縦長の大きな矩形の下端部の側縁に、一方の側へ突出した小さな矩形を連ねたような形状を有する。また、第1挟持金具222の上部と下部には、第2支持棒32に対する固定位置を調節するための長穴で形成されたボルト穴222aが夫々形成されている。ボルト穴222aは、ボルト224の軸の直径よりも多少広い幅に形成され、第1挟持金具222の幅方向に延在している。
第2挟持金具223は、第2攪拌摺動体221の第2支持棒32側の表面に接して配置されるものである。この第2挟持金具223は、第1挟持金具222と同様に、ステンレス鋼で形成され、縦長の大きな矩形の下端部の側縁に、一方の側へ突出した小さな矩形を連ねたような形状を有する。また、第2挟持金具223の上部と下部には、第1挟持金具222と同様に、第2支持棒32に対する固定位置を調節するための長穴で形成されたボルト穴223aが形成されている。この第2挟持金具223は、第2攪拌摺動体221に接すると共に第2支持棒32に接して配置され、2つのボルト穴223aに挿通された2つのボルト224により、第1挟持金具222と協働して第2攪拌摺動体221を挟持して固定すると共に、第2支持棒32に固定される。
上記第1挟持金具222と、上記第2攪拌摺動体221と、上記第2挟持金具223とがこの順に配列され、第2支持棒32の取り付け面に第2挟持金具223が接するように配置される。この状態で、上記第1挟持金具222のボルト穴222aと、上記第2挟持金具223のボルト穴223aと、上記第2支持棒32に設けられたボルト穴とにボルト224が挿通され、第2支持棒32の取り付け面と反対側に突出したボルト224の軸にナット225が螺着されて、第2支持棒32に側面ブレード22が固定される。また、ボルト224及びナット225により、第2支持棒32に対する側面ブレード22の位置が固定される。
このように構成される側面ブレード22は、第1挟持金具222と第3挟持金具223が、長穴222a,223aに沿って第2支持棒32の幅方向に移動可能であり、これにより、混合槽20の内側面20bとの間の距離が調節可能になっている。また、第2攪拌摺動体221が、ボルト224及びナット225が緩められたときに第1挟持金具222及び第3挟持金具223に対して幅方向と上下方向に移動可能であり、これにより、混合槽20の内側面20bと底面20aとの間の距離が調節可能になっている。ここで、第2攪拌摺動体221の側縁が混合槽20の内側面20bに接触すると共に、第2攪拌摺動体221の下端が混合槽20の底面20aに接触するように、第2攪拌摺動体221の位置を調節する。これにより、側面ブレード22が回転軸29回りに回転駆動されるとき、第2攪拌摺動体221の側縁が混合槽20の内側面20bに常に接触して摺動すると共に、第2攪拌摺動体221の下端が混合槽20の底面20aに常に接触して摺動する。
このように、可撓性材料である天然ゴムで形成されて混合槽20の底面20aに常に接触して摺動する第1攪拌摺動体211と、混合槽20の内側面20bに常に接触して摺動する第2攪拌摺動体221により、騒音低減機構が構成されている。底面ブレード21の第1攪拌摺動体211が混合槽20の底面20aに常に接触して摺動すると共に、側面ブレード22の第2攪拌摺動体221が混合槽20の内側面20bに常に接触して摺動することにより、第1攪拌摺動体211と底面20aとの間と、第2攪拌摺動体221と内側面20bとの間に隙間が形成され難くなる。これにより、ブレード21,22と、混合槽20の底面20a及び内側面20bとの間に骨材の噛み込みが発生する不都合を効果的に防止でき、骨材の噛み込みにより発生する金切り音を効果的に防止することができる。その結果、ミキシング装置6の作動時の騒音を、大幅に低減することができる。また、ミキシング装置6で混錬が終了したとき、混合槽20の底面20a及び内側面20bへのコンクリート等の付着量を効果的に少なくできるので、混合槽20から排出するコンクリート等の残留を効果的に削減できる。
ここで、側面ブレード22の第2攪拌摺動体221は、混合槽20の底面20aに接触しなくてもよい。また、底面ブレード21の第1攪拌摺動体211と、側面ブレード22の第2攪拌摺動体221のうち、いずれか一方のみを設けてもよい。また、底面ブレード21と側面ブレード22の個数は、3個と1個に限られない。
図11は、ミキシング装置6の支持フレーム12への支持部分を示す正面図である。ミキシング装置6は、ロードセル18と、姿勢保持装置43を介して支持フレーム12に支持されている。
ロードセル18は、圧縮型ロードセルであり、ミキシング装置6の下部に固定された下部フレーム41と、支持フレーム12との間に設置されている。ミキシング装置6の下部フレーム41と支持フレーム12の間には、移動式バッチャープラント1の移動時等にロードセル18への負荷を回避するための保護具18が設置可能になっている。保護具18は板状体で形成され、上端部と下端部がロードセル18の上端と下端にボルト49で夫々固定され、ロードセル18への負荷の入力を防止している。保護具18は、移動式バッチャープラント1の作動時は取り外される。
姿勢保持装置43は、ソレノイドを用いて構成され、本体から電磁力により突出及び没入方向に駆動されるプランジャ44を有する。姿勢保持装置43の本体は支持フレーム12に固定され、プランジャ44の先端がミキシング装置6の下部フレーム41に接触可能に形成されている。姿勢保持装置43は、制御装置10によって動作が制御される。ミキシング装置6の下部フレーム41には、図示しない水準器が設置され、水準器は制御装置10に接続されている。水準器によってミキシング装置6の傾斜が検出されると、制御装置10によって姿勢保持装置43が作動し、下部フレーム41をプランジャ44で押し上げることにより、ミキシング装置6を水平に保持するようになっている。姿勢保持装置43でミキシング装置6を水平に保持することにより、ミキシング装置6に投入される材料のロードセル18による計量の誤差を削減できると共に、ミキシング装置6の動作不良を効果的に防止できる。なお、姿勢保持装置43は、下部フレーム41と支持フレーム12との間に複数個設置するのが好ましい。
本実施形態の移動式バッチャープラント1は、ミキシング装置6内に繊維補強材を投入する繊維補強材投入装置を設置することが可能である。コンクリート等を製造する際、繊維補強材投入装置で繊維補強材を添加することにより、強度の高いコンクリート等を製造することができる。繊維補強材としては、鋼繊維、炭素繊維、及び、ビニロン等の樹脂繊維を用いることができる。
図12は、繊維補強材投入装置を示す側面図である。この繊維補強材投入装置80は、繊維補強材を貯蔵する繊維補強材貯蔵装置81と、この繊維補強材製造装置81から繊維補強材を受容し、この繊維補強材に振動を与える受容加振装置82と、この受容加振装置82で振動が与えられた繊維補強材を搬送する搬送樋83を有する。上記繊維補強材貯蔵装置81の下部には、貯蔵する繊維補強材を排出するための開閉扉87が設けられている。 上記搬送樋83で搬送された繊維補強材は、漏斗状の投入具84に投入され、この投入具84に接続された管路85を通して 、ミキシング装置6内に導かれるようになっている。繊維補強材投入装置80を設けることにより、例えば繊維補強コンクリート等の特殊なコンクリートを製造することができる。
上記繊維補強材貯蔵装置81は、支持フレーム12に立設された手摺90に取り付けられている。手摺90の繊維補強材貯蔵装置81よりも先端側の先端部90aは、矢印Aで示すように、蝶番92を中心に回動して折り畳み可能に形成されている。上記手摺90の先端部90aが折り畳み可能に形成されていることにより、移動式バッチャープラント1がトラックに搭載されたときに、移動式バッチャープラント1の高さが高さ制限以下となるように構成されている。これにより、移動式バッチャープラント1がトラックで搬送される際に、公道を問題無く通行可能になっている。なお、上記手摺90の先端部90aは、蝶番92で折り畳み可能とすることで高さが低減可能である以外に、支柱をテレスコ状に形成することにより、高さが低減可能であってもよい。
次に、本実施形態の移動式バッチャープラント1を用いて、高架道路の補修を行う場合について説明する。
高架道路は、床版の上にアスファルト舗装やコンクリート舗装が設けられると共に、道路の延在方向に連なる床版と床版の間に継手が設けられている。また、舗装の両側に、高欄や標識が設けられている。高架道路が老朽化すると、舗装の表面や、床版の表面や、継手の周辺部分や、高欄に、ひび割れや欠損が発生する。これらのひび割れや欠損は、道路の延在方向に複数箇所に亘って発生する。これらのひび割れや欠損に、超速硬コンクリートを充填することにより補修する。ひび割れや欠損に用いられる超速硬コンクリートの量は少量であり、超速硬コンクリートは製造後に急速に硬化し、しかも、補修箇所が道路に沿って点在するため、既存のコンクリートプラントで製造した超速硬コンクリートを用いるのは困難である。そこで、本実施形態の移動式バッチャープラント1を用いることにより、補修箇所の近傍で超速硬コンクリートを製造し、打設を行う。
まず、移動式バッチャープラント1を中型トラックに搭載し、補修対象の道路を走行して補修箇所の近傍に移動させる。移動式バッチャープラント1は、中型トラックに搭載できるので、補修箇所が存在する車線に設定した規制区域にトラックを駐車して稼働できるため、他の車線は解放が可能である。したがって、道路を閉鎖することなく、超速硬コンクリートを製造して道路の補修が可能となる。
移動式バッチャープラント1を補修箇所の近傍に駐車させると、制御装置10を通じて水準器によりミキシング装置6の姿勢を測定する。ミキシング装置6が傾斜している場合、姿勢保持装置43によりミキシング装置6の姿勢を調整する。
次に、補修箇所の近傍に設置した移動式バッチャープラント1に、粉体材料、骨材、添加剤等の材料を投入する。粉体材料は、超速硬コンクリートを製造する場合、超速硬セメントと細骨材の混合物を用いる。粉体材料は、超速硬セメントと細骨材が予め定められた配合で混合されたものを用いるのが好ましい。粉体材料が梱包された梱包体を工事現場に搬入し、粉体貯蔵装置3のホッパの開閉扉3aを開き、開口から粉体材料をホッパ内に投入する。また、骨材が梱包された梱包体を工事現場に搬入し、骨材貯蔵装置4のホッパの開閉扉4aを開き、開口から骨材をホッパ内に投入する。添加剤は、例えば減水剤等を水で所定の濃度に薄めて、添加剤タンク65に投入する。なお、粉体材料、骨材及び添加剤の少なくとも1つは、移動式バッチャープラント1の移動の前に投入してもよい。移動式バッチャープラント1の移動の前に、粉体材料、骨材及び添加剤の全てを投入しておくことにより、現場に到着した直後に混錬を開始し、早期に超速硬コンクリートを得ることができる。
続いて、制御装置10の操作部75に、製造する種別が超速硬コンクリートであることと、製造する量を入力する。制御装置10が、コンクリート等の種別と製造量の入力を受けると、これらの条件に対応した配合データと制御データを記憶装置から読み出す。制御装置10は、読み出した配合データを操作部75に表示すと共に、運転の実行ボタンを操作部75に表示する。
操作部75に表示された実行ボタンを通じて操作者が運転の開始を指示すると、制御装置10は、読み出した制御データに基づいて、移動式バッチャープラント1の動作を開始する。
まず、制御装置10の制御の下、バタフライ弁16を開くと共に、スクリューコンベア7の動作を開始する。これにより、スクリューコンベア7によって粉体貯蔵装置3からミキシング装置6に粉体材料が搬送されて投入される。このとき、粉体貯蔵装置3の電磁ノッカが作動され、粉体材料がホッパからスクリューコンベア7へ速やかに導かれる。粉体貯蔵装置3のホッパは密閉されており、スクリューコンベア7は密閉されたケーシング内で粉体材料を搬送し、ミキシング装置6は密閉されているので、粉体材料が粉体貯蔵装置3からミキシング装置6へ搬送される間に粉体材料が漏出して周囲の環境を汚染する不都合を、効果的に防止できる。
制御装置10は、ロードセル18からの情報により、ミキシング装置6に投入される粉体材料の質量を検出する。ミキシング装置6に、配合データに定められた量の粉体材料が投入されると、制御装置10はスクリューコンベア7を停止すると共に、バタフライ弁16を閉じる。これにより、スクリューコンベア7内に残留した粉体材料がミキシング装置6に投入される不都合が防止される。
続いて、制御装置10の制御の下、ミキシング装置6に水が供給される。すなわち、制御装置10は、開閉弁68を開くと共に自吸式渦巻ポンプ66を起動し、水タンク5からミキシング装置6に水を供給する。流量計67の測定値により、配合データに定められた量の水がキシング装置6に供給されたことを検知すると、制御装置10は自吸式渦巻ポンプ66を停止すると共に開閉弁68を閉じる。
ミキシング装置6に粉体材料と水が投入されると、制御装置10は、ミキシング装置6のモータ61を起動して、底面ブレード21と側面ブレード22による混錬動作を開始する。ミキシング装置6のモータ61が起動されると、3個の底面ブレード21が遊星回転駆動され、側面ブレード22が回転駆動される。ミキシング装置6により粉体材料と水の混錬が所定時間行われると、制御装置10はモータ61を停止し、粉体材料と水の混錬を一時停止する。
ミキシング装置6による粉体材料と水の混錬が停止するすると、制御装置10の制御の下、バタフライ弁14を開くと共に、ベルトコンベア8の動作を開始する。これにより、ベルトコンベア8によって骨材貯蔵装置4からミキシング装置6に骨材が搬送されて投入される。このとき、骨材貯蔵装置4の電磁ノッカが作動され、骨材がホッパからベルトコンベア8へ速やかに導かれる。骨材貯蔵装置4のホッパは密閉されており、ベルトコンベア8は密閉されたケーシング内で骨材を搬送し、ミキシング装置6は密閉されているので、骨材が骨材貯蔵装置4からミキシング装置6へ搬送される間に骨材に付着した塵が漏出して周囲の環境を汚染する不都合を、効果的に防止できる。
制御装置10は、ロードセル18からの情報により、ミキシング装置6に投入される骨材の質量を検出する。ミキシング装置6に、配合データに定められた量の骨材が投入されると、制御装置10はベルトコンベア8を停止すると共に、バタフライ弁14を閉じる。これにより、ベルトコンベア8内に残留した骨材がミキシング装置6に投入される不都合が防止される。
また、制御装置10は、開閉弁73を開くと共に自吸式渦巻ポンプ71を起動し、添加剤の水溶液を添加剤タンク65からミキシング装置6へ供給する。ここで、制御装置10は、ミキシング装置6へ供給する添加剤の水溶液の濃度に基づいて、先に水タンク5からミキシング装置6に供給する水の量を、配合データに定められた量の水から添加剤の水溶液に含まれる水の量を差し引いた量としておくことにより、全体として水の量が配合データに適合するようにしておく。流量計72の測定値により、配合データに定められた量の添加剤がキシング装置6に供給されたことを検知すると、制御装置10は自吸式渦巻ポンプ71を停止すると共に開閉弁73を閉じる。
ミキシング装置6に所定量の添加剤と骨材が投入されると、制御装置10は、ミキシング装置6のモータ61を起動して、底面ブレード21と側面ブレード22により、粉体材料と水と添加剤と骨材との混錬を開始する。底面ブレード21と側面ブレード22が駆動される間、底面ブレード21は第1攪拌摺動体211がミキシング装置6の混合槽20の底面20aに常に接触しながら摺動し、側面ブレード22は第2攪拌摺動体221が混合槽20の内側面20bに常に接触しながら摺動する。したがって、底面ブレード21及び側面ブレード22と、混合槽20の底面20a及び内側面20bとの間の隙間が、実質的に無い状態で混錬が行われる。その結果、底面ブレード21及び側面ブレード22と、混合槽20の底面20a及び内側面20bとの間に骨材の噛み込みが発生する不都合を効果的に防止でき、骨材の噛み込みにより発生する金切り音を効果的に防止することができる。ミキシング装置6により粉体材料と水と添加剤と骨材の混錬が所定時間行われると、制御装置10はモータ61を停止して混錬を終了する。
このように、ミキシング装置6にスクリューコンベア7で粉体材料を投入すると共に自吸式渦巻ポンプ66で水を供給し、このミキシング装置6で粉体材料と水を混合して混合体を形成する先練工程を行う。この先練工程の後に、ミキシング装置6にベルトコンベア8で骨材を投入し、上記混合体に骨材を追加する骨材追加工程を行う。この後、ミキシング装置6により、上記骨材追加工程で骨材が混合された混合体を混合する骨材混合工程を行う。このように、ミキシング装置6で粉体材料と水の混合体を形成した後に、骨材を追加するので、骨材の投入に伴う騒音を、混合体により低減することができる。さらに、混合体を形成した後に骨材を追加し、この骨材と混合体を混合するので、骨材を先に投入し、この後に混合を行いながら粉体材料や水を追加するよりも、混合に伴う騒音を効果的に低減できる。このようにして、上記先練工程と、上記骨材追加工程と、上記骨材混合工程とを実行するように制御を行う制御装置10は、移動式バッチャープラント1の騒音を効果的に低減し、騒音低減機構として機能する。
粉体材料と水と添加剤と骨材の混錬が終了すると、操作者が制御装置10の操作部75に排出を指令する入力を行う。これに応じて制御装置10は、ミキシング装置6の底部の開閉扉を駆動して排出口を開き、シュート69を通じて超速硬コンクリートの生コンクリートを排出する。操作部75に、所定量の排出を指令する入力が行われると、制御装置10は、入力された量に対応する時間だけ排出口を開き、これにより、シュート69から所定量の超速硬コンクリートが排出される。排出された超速硬コンクリートは、道路の補修に用いられる。
道路に沿って複数の補修箇所が存在する場合、最初の補修箇所の近傍で、複数箇所で用いる分量の超速硬コンクリートを製造する。最初の補修箇所に所定量の超速硬コンクリートを排出すると、操作者は、制御装置10の操作部75に、移動モードに移る指令を入力する。移動モードに移ると、制御装置10は、ミキシング装置6のブレード21,22を、超速硬コンクリートの製造時よりも遅い回転数で回転駆動するアジテート運転を開始する。ミキシング装置6のアジテート運転を行いながら、トラックで移動式バッチャープラント1を次の補修箇所に移動させる。このように、移動式バッチャープラント1を移動する間、ミキシング装置6をアジテート運転するので、混合槽20内の超速硬コンクリートの硬化を防ぐことができる。
移動式バッチャープラント1が次の補修箇所に到着すると、操作者は、制御装置10の操作部75に、排出を指令する入力を行う。これにより、制御装置10は、ミキシング装置6のアジテート運転を停止し、ミキシング装置6の排出口を開いて、シュート69から超速硬コンクリートを排出させる。このように、アジテート運転を行いながら移動式バッチャープラント1を移動させ、複数の補修箇所に超速硬コンクリートを順次排出し、全ての補修箇所で超速硬コンクリートを用いた補修を行う。
本実施形態の移動式バッチャープラント1によれば、補修箇所の近傍で超速硬コンクリートを製造し、アジテート運転を行いながら補修箇所を移動することができるので、硬化までの時間を十分に確保しながら、複数箇所に超速硬コンクリートを提供して補修を行うことが可能となる。
上記実施形態において、粉体貯蔵装置3は、開閉扉3aを開いてホッパに粉体材料を投入したが、粉体材料の梱包体を直接設置するように構成してもよい。図13は、変形例の粉体貯蔵装置50を示す斜視図である。変形例の粉体貯蔵装置50は、粉体材料の梱包体を収容する筒状の収容部51と、収容部51の上端の開口の周りに設けられたゴム製の飛散防止リング52と、収容部51から上方に向かって立設された複数の支持棒53,53,53と、収容部51内の下部に設けられたカッター55と、収容部51の下端に連なる排出部56を有する。この粉体貯蔵装置50は、梱包体として、粉体材料を収容した可撓性の袋体であるフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグという。)58を受け取って、粉体材料を貯蔵すると共に、排出部56の下端に連結されたスクリューコンベア7に粉体を排出するように形成されている。この粉体貯蔵装置50に設置されるフレコンバッグ58は、可撓性の紐の両端がフレコンバッグ58の表面に縫い付けられてなる複数の係合紐59,59を有する。この係合紐59,59は、支持棒53,53,53に対応する位置に複数個設けられている。支持棒53は、下端部に起振器が連結されており、起振器で発生した振動を、支持棒53からフレコンバッグ58内の粉体材料に伝達するように形成されている。
この粉体貯蔵装置50に粉体材料を投入する場合、粉体材料を収容したフレコンバッグ58をトラッククレーン等で吊り上げて収容部51の上方に配置し、この後、収容部51内に下部が挿入されるようにフレコンバッグ58を下降させる。このとき、フレコンバッグ58の表面と係合紐59,59,59,・・・の間に、支持棒53,53,53を挿通させる。収容部51内にフレコンバッグ58の下部を挿入すると、カッター55を作動させてフレコンバッグ58に穴を開ける。なお、フレコンバッグ58を設置するときに、フレコンバッグ58の重みによりカッター55で穴を開けてもよい。こうして、粉体材料を収容するフレコンバッグ58が設置されることにより、粉体貯蔵装置50への粉体材料の投入が完了する。
この粉体貯蔵装置50から粉体材料を搬送する場合、支持棒53からフレコンバッグ58内の粉体材料に振動が与えられ、これにより、フレコンバッグ58の下端に形成された穴から粉体材料が排出される。フレコンバッグ58から排出された粉体材料は、排出部56を通ってスクリューコンベア7に導かれ、スクリューコンベア7によってミキシング装置6へ搬送される。
変形例の粉体貯蔵装置50によれば、粉体材料を収容したフレコンバッグ58を配置する作業は、粉体貯蔵装置3のホッパの上部の開口から粉体材料を投入する作業よりも、低い位置で行うことができる。したがって、粉体材料の投入の作業の危険度を低減することができる。また、粉体貯蔵装置50は、粉体材料を収容したフレコンバッグ58を、係合紐59を支持棒53に係合させながら収容部51に配置する作業により、粉体材料の投入が完了する。したがって、フレコンバッグ58を吊り上げた状態で、フレコンバッグ58からホッパの開口へ粉体材料を投入する作業よりも、効率的かつ容易に粉体材料の投入作業を行うことができる。また、粉体材料を収容するホッパが不要であるので、粉体貯蔵装置50を軽量にでき、移動式バッチャープラント1の軽量化を図ることができる。また、フレコンバッグ58の排出用の穴が収容部51内で開けられると共に、収容部51の上端の飛散防止リング52がフレコンバッグ58の周面に密着するので、粉体材料が外部に漏れる不都合を効果的に防止できる。したがって、粉体材料の飛散による環境への悪影響を効果的に防止できる。
また、上記実施形態において、粉体材料として、超速硬セメントと細骨材の混合物を粉体貯蔵装置3に貯蔵し、スクリューコンベア7で搬送したが、粉体材料としての超速硬セメントと細骨材とを分けて貯蔵し、粉体材料と細骨材を別個に搬送してもよい。この場合、細骨材を貯蔵する細骨材貯蔵装置と、細骨材をミキシング装置6へ供給する細骨材供給装置とを設置すればよい。
また、上記実施形態において、ミキシング装置6に、第1攪拌摺動体211を有する底面ブレード21と、第2攪拌摺動体221を有する側面ブレード22を設けて騒音低減機構を構成すると共に、ミキシング装置6を先練工程と、骨材追加工程と、骨材混合工程とを実行する制御装置10により騒音低減機構を構成したが、他の騒音低減機構を採用してもよい。例えば、騒音低減機構として、少なくともミキシング装置6の側方に位置する騒音低減壁を、支持フレーム12に立設してもよい。また、矩形状の支持フレーム12の各辺に側面材を立設し、この側面材の上端を塞ぐように天井材を設置してコンテナ体を形成し、騒音低減機構を構成してもよい。また、ミキシング装置6に限らず、粉体貯蔵装置3、骨材貯蔵装置4、水タンク5、スクリューコンベア7、ベルトコンベア8、自吸式渦巻ポンプ66,71、制御装置10、支持フレーム12のうちの少なくとも1つから発生する騒音を低減する騒音低減機構を設けてもよい。
また、上記実施形態において、道路の補修工事を行うために移動式バッチャープラント1を用いたが、本発明の移動式バッチャープラントは、他の建設工事や土木工事に広く使用できる。
また、上記実施形態において、超速硬コンクリートを製造する場合について説明したが、超速硬コンクリート以外に、普通コンクリート、グラウト又はモルタル等を製造するために、本発明の移動式バッチャープラントを使用できる。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。