JP6644406B2 - アルカリ可溶性樹脂及び感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は更に、上記硬化膜を有する表示装置用部材でもある。
本発明はそして、上記硬化膜を有する表示装置でもある。
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性を示す樹脂(重合体)であり、分子内に酸基を有する。酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。中でも、カルボキシル基やカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
なお、アルカリ可溶性樹脂は、後述する感光性樹脂組成物中でバインダー樹脂として作用し得る。
本明細書中、重合体の酸価は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本明細書中、重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、1分子内に構成単位(A1)を2個以上有する場合、当該構成単位(A1)は同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。構成単位(A)、(A1)を与える(メタ)アクリレート(a)、(a1)の好ましい形態は後述するとおりである。
以下に、アルカリ可溶性樹脂の原料成分や重合方法について更に説明する。
(i)酸基を有する単量体
酸基を有する単量体とは、分子内に酸基と重合性二重結合とを有する化合物である。例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP−1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)を用いることが好適である。より好ましくは、反応性、アルカリ可溶性等の点で、不飽和モノカルボン酸類であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(すなわちアクリル酸及び/又はメタクリル酸)であり、特に好ましくはメタクリル酸である。
重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体としては、例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体等が挙げられる。このような単量体としては、N置換マレイミド系単量体、アクリル系エーテルダイマー、及び、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。この場合、上記アルカリ可溶性樹脂は、N置換マレイミド系単量体単位、アクリル系エーテルダイマー単位、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有する重合体となる。
上述の単量体単位を含む樹脂(重合体)とは、例えば、単量体の重合反応や架橋反応によって当該単量体由来の構成単位を含む樹脂を意味する。
N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド、p−ヒドロキシベンジルマレイミド、o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等が挙げられ、中でも、透明性の観点から、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが好ましく、特にN−ベンジルマレイミドが好適である。N−ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p−ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
アクリル系エーテルダイマーとしては、例えば、例えば、下記一般式(1):
なお、R1及びR2は、同種の有機基であってもよいし、異なる有機基であってもよい。
α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、アルキル−(α−メタリルオキシメチル)アクリレートや、α−(アリルオキシメチル)アクリレートが好適である。中でも、α−(アリルオキシメチル)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリレート(a)は、エステル基に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートである。脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられるが、アルキル基が好ましく、この場合、上記(メタ)アクリレート(a)はアルキル(メタ)アクリレートとなる。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、より好ましくは直鎖状である。
なお、上記脂肪族炭化水素基は置換基を有しないことが好ましいが、置換基を有する場合、その置換基は1種又は2種以上であってもよい。置換基は特に限定されず、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記ベースポリマー成分はまた、必要に応じ、必要に応じ、上述した単量体の少なくとも1以上と共重合可能なその他の単量体(他の単量体とも称す)を1種又は2種以上含んでもよい。
上記単量体成分を重合する方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。中でも、溶液重合が、工業的に有利で分子量等の構造調整も容易であるため、好適である。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。また、重合濃度や重合温度は、使用する単量体の種類や比率、目標とする重合体の分子量によっても異なるが、好ましくは、重合温度を40〜150℃、重合濃度を20〜50質量%に設定することであり、より好ましくは、重合温度を60〜130℃、重合濃度を30〜45質量%に設定することである。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;
なお、例えば、グリコールモノエーテル類やモノアルコール類等のアルコール系溶媒を使用した場合には、これらが重合中に連鎖移動剤として働いてしまうため、より高分子量の重合体を効率よく与えることができないおそれがある。
重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;過酸化水素、過硫酸塩;等が挙げられる。なお、重合開始剤とともに、遷移金属塩やアミン類等の還元剤を併用してもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸メチル等のメルカプタン系連鎖移動剤、α−メチルスチレンダイマー等の他、特開2015−22175号公報〔0047〕に記載の化合物も挙げられる。中でも、連鎖移動効果が高く、かつ残存単量体を低減でき、入手も容易である点で、n−ドデシルメルカプタン及び/又はメルカプトプロピオン酸を用いることが好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂はまた、側鎖に重合性二重結合を含むことが好ましい。側鎖に重合性二重結合を持たせることにより、熱や光で硬化させることができる。そのため、より耐熱分解性が向上する他、光に対する感度が向上し、より少ない光で硬化し、かつ硬化後の機械強度も高くなる。側鎖に重合性二重結合を導入する方法としては、上記ベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加させる方法が挙げられる。
本明細書中、二重結合当量は、下記式により求めるものとする。
二重結合当量=(ベースポリマーの重量+酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物の重量)/(酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物のモル数)
本明細書中、粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の感光性樹脂組成物(単に樹脂組成物とも称す)は、本発明のアルカリ可溶性樹脂と、重合性単量体(重合性化合物とも称す)と、溶剤とを含む。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
重合性化合物は、重合性の基を有する化合物を意味する。好ましくは、重合性二重結合を有する化合物である。中でも、感光性や硬化性の観点から、重合体二重結合を分子内に2個以上有する化合物、すなわち2官能以上の多官能化合物であることが好ましく、より好ましくは3官能以上の多官能化合物、更に好ましくは4官能以上の多官能化合物である。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
本発明では、溶剤として、少なくともグリコールモノエーテルのエステル類を含む。上述したように、重合効率の観点から、アルカリ可溶性樹脂を得る際の重合溶媒としてグリコールモノエーテルのエステル類を少なくとも用いることが好ましいが、感光性樹脂組成物とする際にもこれをそのまま含むことが好適である。本発明では、溶剤の総量100質量%中、グリコールモノエーテルのエステル類が占める割合は、80〜100質量%である。より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%、すなわち溶剤としてグリコールモノエーテルのエステル類のみを使用することである。
本発明の樹脂組成物はまた、カラーフィルタ用途等に使用する場合は、色材を含むことが好ましい。色材としては、顔料(有機顔料、無機顔料)や染料等を用いることができる。
本発明の樹脂組成物はまた、光重合開始剤を含むことが好適である。
光重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−エチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノン等のα−アミノケトン系化合物;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシー2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
本発明の樹脂組成物はまた、分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては特に限定されないが、例えば、色材への相互作用部位と分散媒(アルカリ可溶性樹脂や溶剤等)への相互作用部位とを有し、分散媒への色材の分散を安定化する働きを持つものが好ましい。一般には、樹脂型分散剤(高分子分散剤)、界面活性剤(低分子分散剤)、色素誘導体に分類され、通常使用されている分散剤を用いればよい。
本発明の感光性樹脂組成物はまた、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂以外のバインダー樹脂;耐熱向上剤;レベリング剤;カップリング剤;現像助剤;水酸化アルミニウム、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材;消泡剤;増感剤;離型剤;滑剤;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;難燃剤;重合抑制剤;増粘剤;等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。分散工程及び混合工程は特に限定されず、通常の手法により行えばよいし、また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。具体的には、例えば、色材、分散剤、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂等)及び溶剤等を含む色材分散液(ミルベースとも称す)を調製した後に、更に、重合性単量体、光重合開始剤、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂等)及び溶剤等を含む透明レジスト液(クリアレジスト液とも称す)を加えて調製することが好ましい。得られた樹脂組成物は、フィルタ等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去することが好適である。
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化性、感光性、現像性及び耐熱性等の他、透明性にも優れ、現像性(現像速度)に極めて優れる硬化物を与えることができるため、例えば、レジスト材料、各種コーティング剤、塗料等の種々の用途に用いることができる。好ましい用途としては、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタ、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の、各種の光学部材や電機・電子機器等が挙げられる。中でも、上記感光性樹脂組成物は、カラーフィルタや光導波路等を作製するための材料(例えば、アルカリ現像型のネガ型レジスト材料)として有用であり、これにより、近年の高性能化の要望に充分に対応できる程度に各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。特に上記感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用途に極めて有用なものである。
本発明の硬化膜は、上述した本発明の感光性樹脂組成物を硬化してなるものであり、上記樹脂組成物に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより得ることができる。具体的には、例えば、基板(基材とも称す)上に上記樹脂組成物を塗布して乾燥させ、その塗布面に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより得ることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物はレジスト材料として好適に用いられるため、上記感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜がレジスト硬化膜である形態は、本発明の好適な形態の1つである。
なお、カラーフィルタを構成する部材は、具体的には3原色(RGB)画素、樹脂ブラックマトリックス、保護膜及び柱状スペーサー等があるが、これらのカラーフィルタを構成する部材のうち少なくとも1つが、本発明の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜を有することが好ましい。ここで、RGB画素を形成する場合、本発明の樹脂組成物は赤・緑・青の各3原色の色材を含み、樹脂ブラックマトリックスを形成する場合は黒色の色材を含む。
1)基板上に、感光性樹脂組成物を公知のコート法でコート(塗工)し、乾燥し、塗膜を作製する。基板としては透明基板が好ましく、具体的には、ガラス(好ましくは無アルカリガラス)や透明プラスチック等が挙げられる。公知のコート法としては、スピンコート法、スプレー法等が挙げられ、スピンコート法が好ましい。乾燥条件に関し、乾燥温度は室温〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は10秒〜60分が好ましく、より好ましくは30秒〜10分である。また、常圧又は真空下で加熱乾燥することが好ましい。
本発明の表示装置用部材及び表示装置は上記硬化膜を有するが、更に、他の構成部材等を1種又は2種以上有するものであってもよい。近年では、表示装置等の技術の進歩に伴い、使用される各部材に対しても更に高度な性能が強く要望されているが、本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、このようなニーズに充分に対応できる程度に、各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。表示装置としては特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。タッチパネル式表示装置としては、特に、静電容量方式のものが好ましい。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC(商品名:HLC−8220GPC、東ソー社製)にて、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、カラムにTSKgel SuperHZM−N(東ソー社製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算にて算出した。
各製造例で調製した樹脂溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。その後、熱風乾燥機(商品名:PHH−101、エスペック社製)を用い、真空下160℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定した。その重量減少量から、共重合体溶液の固形分(樹脂)の重量(固形分濃度)を計算した。
各製造例で調製した樹脂溶液を1.5g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液で滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM−555、平沼産業社製)を用いて行い、固形分濃度から、ポリマー1g当たりの酸価を求めた(mgKOH/g)。
粘度の測定は、25℃の条件下でB型粘度計(商品名:BQ200、ヤマト科学社製)を用いて行った。
ガラス基板に、調製例で得た樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(90℃、3分間)した後、塗布膜から50μmの距離に10μmのラインアンドスペースの開口部を設けたフォトマスクを介して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着した。UVアライナ(商品名:TME−150RNS、TOPCON社製)によって30mJ/cm2(365nm照度換算)の露光量で露光を行い、0.05%水酸化カリウム水溶液をスピン現像機にて30秒間散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像し、残渣及びパターン直線性の評価を行った。パターン直線性の評価基準は以下のとおりである。
〇:現像後のパターンのエッジがシャープであった。
×:現像後のパターンのエッジの一部又は全部に残渣が確認された。
調製例1
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)767部を仕込み、窒素雰囲気下にて85℃に昇温した後、滴下系1としてベンジルマレイミド(BzMI)60部、メタクリル酸(MAA)162部、メタクリル酸エチル(EMA)372部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)6部、PGMEA60部、パーブチル(登録商標)O(重合開始剤、日本油脂社製、以下PBOとも称す)6部を、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)7.2部、PGMEA72.8部を、それぞれ5時間かけて連続的に供給した。その後30分85℃を保持した後、PBOを3g添加した。更に85℃で30分保持し、温度を115℃まで昇温し、1.5時間保持することで重合液(ベースポリマー溶液)を得た。
得られた重合液にアンテージW−400(川口化学工業社製)を1部、グリシジルメタクリレート(GMA)を79.3部、トリエチルアミンを2部加えて、110℃2時間、115℃5時間保持することで、付加反応を行った。得られた樹脂溶液1について各種物性を測定した。結果を表1に示す。
EMAをメタクリル酸メチル(MMA)に変更したこと以外は調製例1と同様にして樹脂溶液2を得た。得られた樹脂溶液2について各種物性を測定した。結果を表1に示す。
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA767部を仕込み、窒素雰囲気下にて85℃に昇温した後、滴下系1としてBzMI60部、MAA90部、EMA300部、CHMA150部、PGMEA60部、PBO6部を、滴下系2としてn−DM7.2部、PGMEA72.8部を、それぞれ5時間かけて連続的に供給した。その後30分85℃を保持した後、PBOを3g添加した。更に85℃で30分保持し、温度を115℃まで昇温し、1.5時間保持することで樹脂溶液3を得た。得られた樹脂溶液3について各種物性を測定した。結果を表2に示す。
EMAをエチルアクリレート(EA)に変更したこと以外は調製例3と同様にして樹脂溶液4を得た。得られた樹脂溶液4について各種物性を測定した。結果を表2に示す。
作製例1
ガラス容器に、下記の各試験例で使用しているものと同じ樹脂溶液を固形分で3部、分散剤としてBYK2001(ビックケミー社製)を0.98部、Green顔料G−58(DIC社製)を3.5部、PGMEAを18部、0.1mmφのシリカビーズを51部入れ、ペイントシェーカー(東機精機社製)で4時間分散することで、GREEN顔料分散ミルベースを得た。
試験例1
固形分換算で、調製例1で得た樹脂溶液1を20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)6.6部、作製例1で得たGREEN顔料分散ミルベース(MB)を75部(固形分)、光重合開始剤としてイルガキュア369(BASF社製)3.3部、更に希釈溶媒(PGMEA)を固形分濃度20%となるように加え、攪拌することで樹脂組成物1を得た。得られた樹脂組成物1について、上述した方法にて現像性を評価した。結果を表1に示す。
調製例1で得た樹脂溶液1の代わりに調製例2〜4で得た樹脂溶液2〜4をそれぞれ用いたこと以外は、試験例1と同様にして樹脂組成物2〜4を得た後、現像性を評価した。結果を表1、2に示す。
表2中、※1は、パターンが全て剥離したため、現像性を評価できなかったことを示す。
試験例1と試験例2とは、使用したアルカリ可溶性樹脂が、エステル基に炭素数2〜5の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(a1)に由来する構成単位(A1)を有するか否かで主に相違する。この相違の下、現像性を評価した結果を比較すると、構成単位(A1)を有するアルカリ可溶性樹脂を用いた試験例1では、残渣が無く、パターン直線性にも優れていたのに対し、構成単位(A1)を有しないアルカリ可溶性樹脂を用いた試験例2では、残渣が確認され、パターン直線性にも劣ることが分かる。また、試験例1及び2で用いたアルカリ可溶性樹脂は、共にMwが3万前後の高分子量であるが、試験例1で用いたアルカリ可溶性樹脂は、試験例2で用いたアルカリ可溶性樹脂に比較して、著しく粘度が低減されており、分子量分布も狭いことが分かる。それゆえ、アルカリ可溶性樹脂が構成単位(A1)を有するか否かが、樹脂の粘度や、感光性樹脂組成物としたときの現像性に大きな差異を与えることが確認された。
なお、上記では明示していないが、試験例1、3で得た感光性樹脂組成物の硬化膜は、透明性や耐熱性、耐溶剤性にも優れていた。
Claims (5)
- 酸基を有し、かつ主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂であって、
該アルカリ可溶性樹脂は、エステル基に炭素数1〜5の直鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(a)に由来する構成単位を有し、かつガラス転移温度(Tg)が50℃以上であり、
該(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位は、エステル基に炭素数2〜5の直鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(a1)に由来する構成単位を含み、該(メタ)アクリレート(a1)が有する該脂肪族炭化水素基は水酸基を含まず、
該(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の含有割合が、ベースポリマーの全構成単位100質量%に対して15〜80質量%であり、該(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位の含有割合が、該(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の総量100質量%中80〜100質量%であり、
該ベースポリマーは、酸基を有する単量体と、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体と、該(メタ)アクリレート(a)とを含む単量体成分を重合してなる
ことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂(ただし、N−位置換マレイミド、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸を共重合成分として含むアルカリ可溶性樹脂を除く。)。 - 請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂、重合性単量体及び溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、
該溶剤は、グリコールモノエーテルのエステル類を含み、
該溶剤の総量100質量%中、該グリコールモノエーテルのエステル類の占める割合は、80〜100質量%であることを特徴とする感光性樹脂組成物。 - 請求項2に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化膜。
- 請求項3に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置用部材。
- 請求項3に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置。
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