JP2017160331A - アルカリ可溶性樹脂及び感光性樹脂組成物 - Google Patents

アルカリ可溶性樹脂及び感光性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐溶剤性、密着性及び現像性に特に優れ、しかも耐熱性にも優れる硬化膜を与えるアルカリ可溶性樹脂を提供すること。また、このようなアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、並びに、該硬化膜を有することで高性能化を実現し得る表示装置用部材及び表示装置を提供すること。【解決手段】有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られたものであり、かつ主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂。【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリ可溶性樹脂及びそれを含む感光性樹脂組成物の他、感光性樹脂組成物を用いた硬化膜、表示装置用部材及び表示装置に関する。
アルカリ可溶性樹脂は、土木建築材料から電子情報材料に至るまで様々な分野で使用される化合物であり、例えば、アルカリ現像型のレジスト組成物(感光性樹脂組成物とも称す)等の材料として好ましく使用されている。感光性樹脂組成物は、塗工膜に光や電子線を照射することによって物性が変化する組成物、すなわち例えば、露光された部分が硬化し、その他の部分が溶解性を示すといった特性を有する組成物であり、この特性を利用して電子情報材料や光学材料等の様々な分野で使用されている。その主要な用途の一つにカラーフィルタがある。カラーフィルタは、通常、3原色(RGB)画素、樹脂ブラックマトリックス、保護膜及び柱状スペーサー等から構成されるもので、液晶表示装置や撮像管素子の主要部材である。
感光性樹脂組成物は、通常、アルカリ可溶性樹脂や重合性単量体等の他、顔料や染料等の色材を含む構成からなるが、近年では、液晶表示装置や撮像管素子等における表示品位や撮像品位を向上させるために、高輝度化や高コントラスト化への要求が一段と高まっており、更に薄膜化の要請もあって、感光性樹脂組成物中の色材濃度を高める傾向にある。同様の理由で、カラーフィルタを構成する画素の微細化も顕著である。
アルカリ可溶性樹脂に関する従来技術としては、例えば、特許文献1に、リビングラジカル重合開始剤として有機テルル化合物を用いてカラーフィルタ用共重合体を得る手法が開示されており、特許文献2には、特許文献1とほぼ同様の有機テルル化合物を用いたリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する手法が開示されている。特許文献3には、その他のリビングラジカル重合法であるジチオ化合物を用いたRAFT(可逆的付加−開裂連鎖移動重合)法によりアルカリ可溶性重合体を得る手法が開示されている。
特開2013−216714号公報 特開2009−19165号公報 特開2007−25152号公報
上述したように、近年では感光性樹脂組成物中の色材濃度を高める傾向にあるが、色材の分散安定性や硬化性が不充分となる等、種々の課題を有している。これらの課題に加えて、本発明者は、色材濃度が高い感光性樹脂組成物を用いて硬化物(硬化膜)を形成した場合には、耐溶剤性が充分でないために、硬化膜を溶剤で洗浄する際に色材が溶剤中に溶出するという課題が生じ、しかも密着性も充分なレベルに達しないことを見いだした。また上述したように、近年ではカラーフィルタを構成する画素の微細化が顕著であるが、微細化ゆえに密着性に課題が生じ、歩留まりの低下が懸念される。
ここで、特許文献1に記載の共重合体は、耐熱性や表面硬度、密着性の点で課題があり、例えば高温暴露後の経時変化をより充分に抑制して各種物性を安定して発現できる硬化物を与えるための工夫の余地があった。特許文献2に記載の手法で得られるビニル系重合体についても同様の課題があった。
ところで、リビングラジカル重合法としては、特許文献1、2に記載された有機テルル化合物を用いるTERP法の他、例えば特許文献3に記載のジチオ化合物を用いたRAFT法、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ)を用いるTEMPO法、金属錯体を用いるATRP(原子移動ラジカル重合)法等が挙げられるが、本発明者は、TERP法以外の重合法では、着色や残留金属分が生じたり、単量体が制限されたりする等の新たな課題があることを見いだした。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐溶剤性、密着性及び現像性に特に優れ、しかも耐熱性にも優れる硬化膜を与えるアルカリ可溶性樹脂を提供することを目的とする。また、このようなアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜、並びに、該硬化膜を有することで高性能化を実現し得る表示装置用部材及び表示装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、感光性樹脂組成物の主成分であるアルカリ可溶性樹脂に着目し、これを有機テルル化合物の存在下でリビングラジカル重合により作製すると、分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が低いものとなり、耐溶剤性、密着性及び現像性に特に優れる硬化物を与えることができるとともに、他のリビングラジカル重合法(RAFT法、TEMPO法、ATRP法等)では懸念される課題が生じず、感光性樹脂組成物等の主成分として特に好適なアルカリ可溶性樹脂が得られることを見いだした。そして、このアルカリ可溶性樹脂を主鎖に環構造を有するものとすると、得られる硬化物は耐熱性にも極めて優れたものとなり、高温暴露した場合であっても経時変化が抑制されて各種物性を安定して発現できるものとなることを見いだし、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られたものであり、かつ主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂であることによって初めて、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。また、このようなアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用レジストとして特に好適であり、これを硬化してなる硬化膜、表示装置用部材及び表示装置は、電子情報材料や光学材料等の様々な分野に極めて有用であることも見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られたものであり、かつ主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂である。
本発明はまた、上記アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物でもある。
上記重合性化合物は、多官能重合性化合物であることが好ましい。また、上記感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用の感光性樹脂組成物であることが好ましい。
本発明はまた、上記感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜でもある。
本発明はまた、上記硬化膜を有する表示装置用部材でもある。
本発明は更に、上記硬化膜を有する表示装置でもある。
本発明はそして、主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂を製造する方法であって、該製造方法は、有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程を含むアルカリ可溶性樹脂の製造方法でもある。
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、上述のような構成であるので、耐溶剤性、密着性及び現像性に特に優れ、しかも耐熱性にも優れる硬化膜を与えることができるものである。このようなアルカリ可溶性樹脂を含む感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用レジストとして特に好適であり、これを硬化してなる硬化膜、表示装置用部材及び表示装置は、電子情報材料や光学材料等の様々な分野に極めて有用である。
後述する試験例1、2で得た樹脂組成物について行った、塗膜の耐溶剤性試験の測定データ(透過率スペクトル)である。 後述する試験例3〜7で得た樹脂組成物について行った、塗膜の現像性試験の測定データである。 後述する試験例8、9で得た樹脂組成物について行った、塗膜の現像性試験の測定データである。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
〔アルカリ可溶性樹脂〕
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性を示す樹脂(重合体)であり、分子内に酸基を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。中でもカルボキシル基やカルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
なお、アルカリ可溶性樹脂は、後述する感光性樹脂組成物中でバインダー樹脂として作用し得る。
上記アルカリ可溶性樹脂の酸価(AV)は、例えば、20mgKOH/g以上であることが好ましい。これにより、充分なアルカリ可溶性が発現され、現像性により優れる硬化物を与えることが可能になる。より好ましくは30mgKOH/g以上である。酸価の上限は、例えば硬化性や硬化物の耐水性、現像性等をより高める観点から、300mgKOH/g以下であることが好ましい。より好ましくは250mgKOH/g以下、更に好ましくは200mgKOH/g以下、特に好ましくは180mgKOH/g以下である。中でも、現像性をより一層高める観点から、160mgKOH/g以下、150mgKOH/g以下、140mgKOH/g以下、130mgKOH/g以下であるほど好ましい(上限値が低い範囲ほど好ましい)。
本明細書中、重合体の酸価は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、5000以上であることが好ましい。これにより、耐熱性や機械的強度により優れる硬化物を与えることができる。より好ましくは8000以上である。このように高分子量であると、色材分散性がより良好になる他、アルカリ可溶性樹脂の劣化が充分に抑制されて信頼性が向上するために非常に好適である。Mwの上限は特に限定されないが、低粘度化をより達成して現像性をより高める観点から、例えば、30万以下が好ましく、より好ましくは25万以下、更に好ましくは10万以下、特に好ましくは5万以下、最も好ましくは3万以下である。
本明細書中、分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記アルカリ可溶性樹脂は、耐溶剤性や密着性、現像性を向上させる観点から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分散度(PDI又は分子量分布とも称す)が2.2以下であることが好ましい。より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下である。分子量分布の下限は特に限定されないが、例えば、1.0以上であることが好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂はまた、硫黄化合物を含まないことが、硬化膜とした際の着色を充分に抑制できるため好ましい。具体的には、アルカリ可溶性樹脂の総量100質量%に対し、硫黄化合物の含有量が1質量%未満であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下である。なお、硫黄化合物とは、硫黄原子(S)を含む化合物であれば特に限定されない。参考までに、ジチオ化合物を用いるRAFT法によりアルカリ可溶性樹脂を作製した場合、得られたアルカリ可溶性樹脂100質量%中の硫黄化合物(残留硫黄分)の含有量は、通常は、1質量%程度である(例えば特開2006−259680号公報〔0167〕〜〔0168〕に記載の合成例1より残留硫黄分を算出すると、1質量%程度となる)。
上記アルカリ可溶性樹脂はまた、金属化合物を含まないことも、各種性能をより充分に発揮できるため好ましい。具体的には、アルカリ可溶性樹脂の総量100質量%に対し、金属化合物の含有量が0.5質量%未満であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以下である。なお、金属化合物とは、金属原子を含む化合物であれば特に限定されない。参考までに、金属錯体を用いるATRP法によりアルカリ可溶性樹脂を作製した場合、得られたアルカリ可溶性樹脂100質量%中の金属化合物(残留金属分)の含有量は、通常は、0.5質量%程度である(例えば、特開2013−018934号公報〔0186〕に記載のポリマー1の合成法より残留金属分を算出すると、0.5質量%程度となる)
上記アルカリ可溶性樹脂は、主鎖に環構造を有する。主鎖に環構造を有することで、耐熱性や表面硬度、密着性に優れ、高温暴露後の経時変化が抑制されて各種物性を安定して発現できる硬化物を与えることができる。なお、最近の表示装置では、各種部材に外部からの衝撃に耐えうる強度をもたせるため、基板に強化ガラスを使用することがあるが、アルカリ可溶性樹脂として主鎖に環構造を有する重合体を用いると、高温暴露後においても強化ガラスに対して優れた密着性を発揮できる硬化物が得られるため、非常に有用である。
上記アルカリ可溶性樹脂は、有機テルル化合物の存在下でリビングラジカル重合により得られたものである。具体的には、有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程を含む製造方法により得ることが好ましい。また、当該重合工程により得られる重合体(ベースポリマーとも称す)の側鎖に重合性二重結合を導入することによって得ることも好ましい。後者の製法により得られる側鎖二重結合含有重合体も、本発明のアルカリ可溶性樹脂に包含される。
このような製造方法、すなわち、主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂を製造する方法であって、有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程を含むアルカリ可溶性樹脂の製造方法もまた、本発明の1つである。この製造方法は、上記重合工程により得られるベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加させる工程を更に含んでもよく、また、通常の重合工程で行われるその他の工程(例えば、重合後の分離精製工程等)を1又は2以上含んでもよい。
なお、原料の単量体は各々1種又は2種以上を使用することができ、ベースポリマーを形成する単量体成分(モノマー組成物とも称す)を「ベースポリマー成分」とも称する。
以下に、アルカリ可溶性樹脂の原料成分や重合工程について更に説明する。
−原料成分(単量体等)−
(i)重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体
重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体としては、例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体等が挙げられる。このような単量体としては、N置換マレイミド系単量体、アクリル系エーテルダイマー、及び、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。この場合、上記アルカリ可溶性樹脂は、N置換マレイミド系単量体単位、アクリル系エーテルダイマー単位、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有する重合体となる。
特にN置換マレイミド系単量体単位、及び/又は、アクリル系エーテルダイマー単位を含む樹脂(重合体)は、耐熱性や分散性(例えば色材分散性等)、硬度等がより向上された硬化膜を与えることが可能になる。また、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を含む樹脂は、密着性、硬化性、乾燥再溶解性等の製版性に寄与する性能や、色材分散性、耐熱性、透明性等がより向上された硬化膜を与えることが可能になる。
上述の単量体単位を含む樹脂(重合体)とは、例えば、単量体の重合反応や架橋反応によって当該単量体由来の構成単位を含む樹脂を意味する。
(i−1)N置換マレイミド系単量体
N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド、p−ヒドロキシベンジルマレイミド、o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等が挙げられ、中でも、透明性の観点から、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが好ましく、特にN−ベンジルマレイミドが好適である。N−ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p−ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
(i−2)アクリル系エーテルダイマー
アクリル系エーテルダイマーとしては、例えば、例えば、下記一般式(1):
(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の有機基を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(1)中、R及びRが表し得る炭素数1〜25の有機基としては、置換基を有していてもよい、炭素数1〜25の炭化水素基であることが好適である。例えば、特開2013−061599号公報〔0037〕に例示された、直鎖状又は分岐状のアルキル基;アリール基;脂環式基;アルコキシで置換されたアルキル基;アリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。中でも、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような、酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素の炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。
なお、R及びRは、同種の有機基であってもよいし、異なる有機基であってもよい。
上記アクリル系エーテルダイマーの中でも、ジアルキル−2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体が好適である。具体的には、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。着色の少なさや分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、より好ましくは、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートである。
(i−3)α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体
α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、アルキル−(α−メタリルオキシメチル)アクリレートや、α−(アリルオキシメチル)アクリレートが好適である。中でも、α−(アリルオキシメチル)アクリレートがより好ましい。
上記α−(アリルオキシメチル)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(2):
(式中、Rは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。)で表される化合物が好適である。なお、本明細書では、「α−(アリルオキシメチル)アクリレート」に、Rが水素原子である化合物(すなわちα−アリルオキシメチルアクリル酸)も含むものとする。
上記Rは、目的や用途に合わせて、適宜選択すればよいが、Rが表し得る炭素数1〜30の有機基としては、置換基を有していてもよい、炭素数1〜30の炭化水素基であることが好適である。具体的には、例えば、特開2013−061599号公報〔0037〕に例示された、鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をアルコキシ基で置き換えたアルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をヒドロキシ基で置き換えたヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をハロゲンで置き換えたハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状不飽和炭化水素基、及び、その水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた鎖状不飽和炭化水素基;脂環式炭化水素基、及び、その水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた脂環式炭化水素基;芳香族炭化水素基及びその水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた芳香族炭化水素基;等が挙げられる。また、これら有機基に更に任意の置換基が結合していてもよい。
上記α−(アリルオキシメチル)アクリレートの具体例としては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸i−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘプチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等の鎖状飽和炭化水素基含有α−(アリルオキシメチル)アクリレートが好ましい。その他、特開2013−061599号公報〔0037〕に例示された化合物(例えば、アルコキシアルキル−α−(アリルオキシメチル)アクリレート等)も好適である。これらの中でも、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(α−(アリルオキシメチル)メチルアクリレートとも称す)が特に好適である。
上記α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートは、例えば、国際公開第2010/114077号パンフレットに開示されている製造方法により製造することができる。
上記重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体の含有割合(2種以上用いる場合はその合計の割合)は、例えば、上記ベースポリマー成分100質量%に対し、1〜40質量%以上であることが好ましい。これにより、耐熱性や分散性、表面硬度等をより一層高めることができる。中でも特に、N置換マレイミド系単量体、アクリル系エーテルダイマー、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートの含有割合(2種以上用いる場合はその合計の割合)が、上記ベースポリマー成分100質量%に対し、1〜40質量%であることが好ましい。これらの単量体成分に由来する主鎖環構造の含有量が増加すると、密着性が向上する傾向にある。また、N置換マレイミド系単量体の添加量をより増加させるとより硬度が高い硬化物が得られ、アクリル系エーテルダイマーを用いると耐熱着色性により優れる硬化物が得られる。なお、N置換マレイミド系単量体の含有割合が多すぎると、現像速度がより適切なものとはならないことがある。上記N置換マレイミド系単量体、アクリル系エーテルダイマー、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートの含有割合としてより好ましくは2〜30質量%である。
(ii)酸基を有する単量体
上記ベースポリマー成分は、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体に加えて、酸基を有する単量体を含むことが好ましい。
酸基を有する単量体とは、分子内に酸基と重合性二重結合とを有する化合物である。例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP−1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)を用いることが好適である。より好ましくは、反応性、アルカリ可溶性等の点で、不飽和モノカルボン酸類であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(すなわちアクリル酸及び/又はメタクリル酸)であり、特に好ましくはメタクリル酸である。
上記酸基を有する単量体の配合割合は、例えば、ベースポリマー成分の総量100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましい。これにより、アルカリに対する溶解性がより充分となり、現像性が必要とされる用途に更に有用な樹脂組成物となる。また、高温暴露後においても硬化物の優れた外観や密着性等をより維持できる点で、60質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10〜50質量%である。
(iii)他の単量体
上記ベースポリマー成分はまた、必要に応じ、上述した単量体の少なくとも1以上と共重合可能なその他の単量体(他の単量体とも称す)を1種又は2種以上含んでもよい。他の単量体としては特に限定されず、例えば、環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体;環状構造非含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体;芳香族ビニル化合物;等の他、ブタジエン、イソプレン等のブタジエン又は置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレン又は置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;等が挙げられる(但し、上記(i)、(ii)の単量体に該当するものを除く)。
上記環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、ビフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、o−ビフェニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、m−ビフェニルオキシエチルアクリレート、p−ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、o−ビフェニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、p−ビフェニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、m−ビフェニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−ビフェニル=カルバマート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−ビフェニル=カルバマート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−m−ビフェニル=カルバマート、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート等のビフェニル基含有モノマー、ビニルナフタレン等のナフタレン環含有モノマー、ターフェニル(メタ)アクリレート、o−ターフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記環状構造非含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
上述した他の単量体の中でも、透明性が良好で耐熱性を損ないにくい点で、環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体や芳香族ビニル化合物が好ましい。より好ましくは、環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体である。更に好ましくは、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルや(メタ)アクリル酸ベンジルである。
上記他の単量体の配合割合は特に限定されないが、例えば、ベースポリマー成分の総量100質量%に対し、0〜70質量%であることが好ましい。中でも、環状構造含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び/又は芳香族ビニル化合物を含む場合は、耐熱性や硬度、色材分散性、現像速度、透明性等の観点から、その含有割合は1〜50質量%であることが好ましい。
−重合工程−
上記単量体成分は、1種又は2種以上の有機テルル化合物の存在下で、リビングラジカル重合工程に供される。
有機テルル化合物としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(3):
(R)(R)(R)C−Te−R(3)
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(3)中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。
炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−、sec−、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、より好ましくは、メチル基又はエチル基である。
アリール基としては炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。中でもフェニル基が好ましい。
置換アリール基としては炭素数が7〜20であることが好ましく、具体的には、置換基を有するフェニル基又はナフチル基が挙げられる。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−CORaで示されるカルボニル含有基(Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、又は、アリーロキシ基を表す)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等が挙げられ、中でもトリフルオロメチル置換フェニル基が好適である。また、置換基の数は1〜2個であることが好ましく、置換基の数が2の場合は、パラ位又はオルト位に置換基を有することが好適である。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、ピロール基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記Rに関して述べた炭素数1〜8のアルキル基と同様のものが挙げられる。
は、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。このうちアリール基、置換アリール基及び芳香族ヘテロ環基については、上記Rに関して述べた各基と同様のものが挙げられる。
オキシカルボニル基としては、例えば、−COOR(Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表す)で表される基が好ましく、具体的には、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−、sec−、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が好ましい。
上記有機テルル化合物として具体的には、以下の化合物等が挙げられる。
(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−アミノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−シアノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−(メチルテラニル−メチル)ピリジン、2−(1−メチルテラニル−エチル)ピリジン、2−(2−メチルテラニル−プロピル)ピリジン、2−メチルテラニル−エタン酸メチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−エタン酸エチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸エチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルアセトニトリル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル等の他、(フェニルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−フェニルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−フェニルテラニル−プロピル)ベンゼン等。
これらの中でも、好ましくは、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリルである。
上記有機テルル化合物の製造方法は特に限定されず、通常の手法を採用すればよい。
上記有機テルル化合物の使用量は、目的とする重合体の分子量や分子量分布に応じて適宜設定することが好適である。例えば、有機テルル化合物1モルに対し、リビングラジカル重合に供する単量体成分の総量が20〜4000モルとなるように、有機テルル化合物の使用量を設定することが好ましい。より好ましくは当該単量体成分の総量が40〜1500モルとなるように設定することである。
上記重合工程では、必要に応じ、アゾ系重合開始剤を1種又は2種以上併用してもよい。アゾ系重合開始剤を使用することで、重合速度をより促進することができる。
アゾ系重合開始剤としては特に限定されず、ラジカル重合開始剤として通常使用されるものを用いればよい。具体的には、例えば、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、1,1'−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。中でも、重合温度や溶剤の種類等に応じて適宜選択することが好ましい。
上記アゾ系重合開始剤を併用する場合、その使用量は、有機テルル化合物1モルに対して0.01〜100モルとすることが好ましい。より好ましくは0.1〜100モル、更に好ましくは0.1〜5モルである。
上記重合工程ではまた、必要に応じ、ジテルリド化合物を1種又は2種以上併用してもよい。ジテルリド化合物としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(4):
{(R)−Te} (4)
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。)で表される化合物が好適である。Rの具体例や好ましい形態は、上記一般式(3)中のRに関して述べたものと同様である。
上記ジテルリド化合物として具体的には、例えば、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルテルリド、ジシクロブチルテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。中でも、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが好ましい。より好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリドである。
上記ジテルリド化合物を併用する場合、その使用量は、有機テルル化合物1モルに対して0.01〜100モルとすることが好ましい。より好ましくは0.1〜100モル、更に好ましくは0.1〜5モルである。
上記重合工程は、無溶媒下で行ってもよいし溶媒存在下で行ってもよいが、溶媒存在下で行うこと、すなわち溶液重合法で重合を行うことが好適である。溶媒としては、重合反応に不活性な化合物を用いることが好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、1,4−ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等の有機溶媒;水;が挙げられる。
上記重合工程を溶媒存在下で行う場合、単量体成分の濃度は適宜設定すればよく特に限定されないが、例えば、重合反応液の取扱い性を考慮すると、重合溶液100質量%中、単量体成分の濃度が10〜60質量%であることが好ましい。
上記重合工程は、0〜150℃温度範囲で行うことが好ましい。より好ましくは20〜100℃、更に好ましくは20〜80℃である。また、重合時間は1分〜100時間とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜30時間である。
−側鎖に重合性二重結合を導入する方法−
上記アルカリ可溶性樹脂は、側鎖に重合性二重結合を有さないものであってもよいが、側鎖に重合性二重結合を有するものであることも好適である。側鎖に重合性二重結合を持たせることにより、熱や光で硬化させることができる。そのため、より耐熱分解性が向上する他、光に対する感度が向上し、より少ない光で硬化し、かつ硬化後の機械強度も高くなる。側鎖に重合性二重結合を導入する方法としては、上記重合工程により得られたベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加させる方法が挙げられる。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられ、当該化合物としてこれらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、得られる重合体の反応性の点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、酸基と結合し得る官能基としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、水酸基、オキセタニル基、イソシアネート基等が挙げられ、上記化合物としてこれらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、エポキシ基、オキサゾリン基又は水酸基が好ましく、変性処理反応の速さ、耐熱性、分散性の点から、エポキシ基(グリシジル基を含む)がより好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール等の水酸基と二重結合とを有する化合物;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基と二重結合とを有する化合物; ビニルオキサゾリン、イソプロペニルオキサゾリン等のオキサゾリン基と二重結合とを有する化合物;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(単量体)を用いることが好ましい。特に、反応性が高く、かつ反応のコントロールがしやすいうえ、入手が容易で、ラジカル重合性二重結合だけでなく同時に水酸基も導入できる点から、(メタ)アクリル酸グリシジル、及び/又は、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルがより好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物の付加量は、ベースポリマーを与える単量体成分(ベースポリマー成分)の総量100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部である。当該化合物の付加量がこの範囲にあることで、硬化性がより高まり、硬化後の強度がより充分なものとなる他、得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体)の保存安定性がより向上され、また、硬化物において着色が充分に抑制される。より好ましくは5質量部以上である。また、上限は55質量部以下であることがより好ましく、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは45質量部以下である。
上記ベースポリマー中の酸基の一部に、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加する方法は、公知の方法を採用すればよく特に限定されない。反応温度は、例えば60℃〜140℃が好ましい。また、トリエチルアミンやジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;塩化テトラエチルアンモニウム等のアンモニウム塩;臭化テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム塩、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物;等の公知の触媒を使用することが好ましい。
上記二重結合の導入の結果、得られるアルカリ可溶性樹脂(側鎖二重結合含有重合体)の二重結合当量(二重結合1molあたりの樹脂重量(g)を意味する)は、好ましくは300〜4000g/molである。二重結合当量がこの範囲にあると、光に対する感度が高くなって現像性がより向上される他、硬化時の着色がより抑制され、また、保存安定性や溶媒に対する溶解性がより向上される。より好ましくは100〜3000g/mol、更に好ましくは100〜2000g/molである。
二重結合当量は、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、同じ樹脂重量の化合物であれば、二重結合当量の数値が大きいほど二重結合の導入量が少なくなる。二重結合当量は、重合体や二重結合を導入する化合物の仕込み量から計算できる。滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。
本明細書中、二重結合当量は、下記式により求めるものとする。
二重結合当量=(ベースポリマーの重量+酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物の重量)/(酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物のモル数)
〔感光性樹脂組成物〕
本発明の感光性樹脂組成物(単に樹脂組成物とも称す)は、本発明のアルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物(重合性単量体とも称す)と、光重合開始剤とを含む。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
本明細書中、感光性樹脂組成物の「固形分総量」とは、感光性樹脂組成物を構成する成分のうち、硬化物を形成する成分の総量、すなわち硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く成分(固形分、不揮発分)の総量を意味する。具体的には、アルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物と、光重合開始剤と、更に他の硬化物形成成分(例えば、色材、分散剤等)を含む場合は当該成分と、の合計の固形分質量を意味する。
<アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂は、上述した本発明のアルカリ可溶性樹脂である。なお、必要に応じて、上記アルカリ可溶性樹脂以外の樹脂を1種又は2種以上併用してもよい。
上記アルカリ可溶性樹脂の含有割合は特に限定されず、他成分の割合を考慮して適宜設定することが好ましいが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、アルカリ可溶性樹脂の総量が5〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは7〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
なお、アルカリ可溶性樹脂の総量100質量%中、上述した本発明のアルカリ可溶性樹脂が50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
<重合性化合物>
重合性化合物は、重合性の基を有する化合物を意味する。好ましくは、重合性二重結合を有する化合物である。また、感光性や硬化性の観点から、多官能であること、すなわち2官能以上の多官能重合性化合物であることが好ましい。中でも、重合性二重結合を分子内に2個以上有する化合物が好ましい。多官能重合性化合物の官能数は、より好ましくは3官能以上、更に好ましくは4官能以上であり、また、上限は特に限定されず、例えば、10官能以下が好ましい。
上記重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。これによって、より感光性及び硬化性に優れたものとなり、より高硬度の硬化膜を与えることが可能になる。(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を意味するが、本発明では、反応性により優れる観点からアクリロイル基を少なくとも含むものが好ましい。
上記重合性化合物の分子量(原子量換算量(炭素原子の質量数を12.01とする)を意味する)は700以下であることが好ましく、より好ましくは650以下、更に好ましくは600以下である。また、二重結合当量は、150以下であることが好ましく、より好ましくは140以下、更に好ましくは110以下である。分子量及び二重結合当量の下限は特に限定されず、硬化が可能な範囲であればよいが、感度向上の観点から、分子量は250を超えることが好ましい。中でも、優れた画素を形成できる点からは、比較的分子量が小さく、かつ二重結合当量が小さい化合物が好ましい。
上記重合性化合物の好ましい具体例としては、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;等。
これらの中でも、各種物性のバランスをより良好なものとする観点から、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び/又は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを用いることが特に好適である。
上記重合性化合物の含有割合は特に限定されず、他成分の割合を考慮して適宜設定することが好ましいが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5〜40質量%であることが好ましい。これにより、硬化性及び透明性がより高いものとなる。より好ましくは7〜35質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
<光重合開始剤>
光重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−エチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノン等のα−アミノケトン系化合物;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’ −テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’ −テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9−フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン系化合物;等。
上記光重合開始剤の中でも、密着性や硬化膜形状を優れたものとする等の観点から、α−アミノケトン系化合物を少なくとも用いることが特に好ましい。α−アミノケトン系化合物の中でも、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノンが好ましく、より好ましくは2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンである。市販品としては、例えば、IRGACURE(登録商標)907、369、379(いずれもBASFジャパン社製)等が好ましい。
上記光重合開始剤の含有割合は特に限定されず、色材等の他成分の割合を考慮して適宜設定することも好ましいが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.5〜30質量%であることが好ましい。これにより、硬化性及び透明性がより一層高められる。より好ましくは1〜25質量%、更に好ましくは1.5〜20質量%である。
<溶剤>
本発明の樹脂組成物はまた、溶剤を含むことが好適である。
溶剤としては特に限定されず、種々の溶剤を使用することができるが、中でも、グリコールモノエーテルのエステル類、モノアルコール類、及び/又は、グリコールモノエーテル類を用いることが好ましい。より好ましくは、グリコールモノエーテルのエステル類を少なくとも用いることであり、グリコールモノエーテルのエステル類とグリコールモノエーテル類とを併用することも好ましい。
上記溶剤の含有割合は特に限定されず、感光性樹脂組成物の使用形態(例えば塗布等)に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、感光性樹脂組成物100質量%中の固形分総量(固形分濃度)が1〜90質量%になるように、溶剤の含有割合を設定することが好ましい。感光性樹脂組成物100質量%中の固形分総量は、より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
<色材>
本発明の樹脂組成物はまた、カラーフィルタ用途等に使用する場合は、色材を含むことが好ましい。色材としては、顔料(有機顔料、無機顔料)や染料等を用いることができる。
上記顔料としては特に限定されないが、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料(キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系等)、染料レーキ系顔料等の有機顔料;白色・体質顔料(酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、有彩顔料(黄鉛、カドミニウム系、クロムバーミリオン、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等)、黒色顔料(カーボンブラック、ボーンブラック、グラファイト、鉄黒、チタンブラック等)、光輝材顔料(パール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等)、蛍光顔料(硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等)等の無機顔料;等が挙げられる。中でも、有機顔料が好ましい。
上記染料としては特に限定されないが、例えば、特開2010−9033号公報、特開2010−211198号公報、特開2009−51896号公報、特開2008−50599号公報に記載されている有機染料を使用することができる。中でも、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が好ましい。
上記色材の総量(色材の総含有量)は特に限定されないが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、正味の色材(固形分)量として3質量%以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、他の含有成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂や重合性化合物)に起因する感光性、溶解性及び硬化性等の画像形成性をより充分に発揮させる観点からは、50質量%以下であることが好ましい。
<分散剤>
本発明の樹脂組成物はまた、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては特に限定されないが、例えば、色材への相互作用部位と分散媒(アルカリ可溶性樹脂や溶剤等)への相互作用部位とを有し、分散媒への色材の分散を安定化する働きを持つものが好ましい。一般には、樹脂型分散剤(高分子分散剤)、界面活性剤(低分子分散剤)、色素誘導体に分類され、通常使用されている分散剤を用いればよい。
上記樹脂型分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水素基含有ポリカルボン酸エステル、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。中でも、構造面から、主鎖が色材への相互作用部位を有するアンカー鎖で、グラフト鎖が分散媒への相互作用性を有する相溶性鎖であるようなグラフト構造の樹脂や、アンカー鎖と相溶性鎖とがブロック構造になっている樹脂が、特に好ましく用いられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤;等が挙げられる。
上記色素誘導体とは、官能基を色素に導入した構造の化合物である。官能基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、ジアルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基、アミド基、フタルイミド基等が挙げられ、母体となる色素の構造としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。
上記分散剤の含有割合は特に限定されず、目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば、分散安定性、耐久性(耐熱性、耐光性、耐候性等)及び透明性等のバランスを考慮すると、色材の固形分総量100質量部に対し、分散剤の固形分が0.01〜60質量部であることが好ましい。より好ましくは0.1〜50質量部、更に好ましくは0.5〜40質量部である。
<他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物はまた、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂以外のバインダー樹脂;耐熱向上剤;レベリング剤;カップリング剤;現像助剤;水酸化アルミニウム、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材;消泡剤;増感剤;離型剤;滑剤;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;難燃剤;重合抑制剤;増粘剤;等が挙げられる。
上記他の成分の使用量は、目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%中、0〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜70質量%、更に好ましくは0.1〜60質量%、特に好ましくは0.3〜50質量%である。
〔感光性樹脂組成物の製造方法〕
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、上述した含有成分を混合することによって製造することができる。中でも特に、上述した重合工程と、該重合工程により得られた主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を混合する混合工程とを含む製造方法が好ましい。このように、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を製造する方法であって、重合開始剤としての有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程(a)と、該重合工程(a)により得られた主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を混合する混合工程(c)とを含む製造方法もまた、本発明者による発明の1つである。
上記感光性樹脂組成物の製造方法はまた、上記重合工程(a)により得られたベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加させる工程(b)を含んでもよい。このように、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を製造する方法であって、重合開始剤としての有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程(a)と、該工程(a)により得られたベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を含む化合物を付加させる付加工程(b)と、該付加工程(b)により得られた主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を混合する混合工程(c)とを含む製造方法もまた、本発明者による発明の1つである。
上記製造方法により得られた樹脂組成物は、フィルタ等によって、濾過処理をして微細なゴミを除去することが好適である。
上記製造方法において、重合工程(a)及び付加工程(b)については、上述したとおりである。
上記製造方法において、混合工程(c)は特に限定されないが、各種の混合機や分散機を用いて行うことが好ましい。また、樹脂組成物が色材を含む場合、上記混合工程は、色材の分散工程を含んでもよい。この場合、上記混合工程は、例えば、色材、分散剤、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂等)及び溶剤を含む色材分散液(ミルベースとも称す)を調製した後に、重合性化合物、光重合開始剤、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂等)及び溶剤を含む透明レジスト液(クリアレジスト液とも称す)を加えて混合する工程であることが好ましい。
上記色材分散液の調製に際しては、例えば、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ニーダー、ブレンダー等の分散機を用いて色材を微粒子分散させることが好ましい。より好ましくは、ロールミル、ニーダー、ブレンダー等で混練分散処理をした後、0.01〜1mmのビーズを充填したビーズミル等のメディアミルで微分散処理をすることである。
〔感光性樹脂組成物の用途〕
本発明の感光性樹脂組成物は、耐溶剤性、密着性、現像性及び耐熱性の他、硬化性、感光性、透明性等にも優れる硬化物を与えることができ、例えば、レジスト材料、各種コーティング剤、塗料等の種々の用途に有用である。好ましい用途としては、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタ、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の、各種の光学部材や電機・電子機器等が挙げられる。中でも、上記感光性樹脂組成物は、カラーフィルタや光導波路等を作製するための材料(例えば、アルカリ現像型のネガ型レジスト材料)として極めて有用であり、これにより、近年の高性能化の要望に充分に対応できる程度に各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。特に上記感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ用途に極めて有用なものである。
上記感光性樹脂組成物は、上述のとおり、カラーフィルタの原材料又は光導波路の原材料として用いることが好適であるが、これらの他、各種表示装置における保護膜(カラーフィルタ用保護膜、タッチパネル式表示装置用保護膜等)や、絶縁膜(タッチパネル式表示装置用絶縁膜等)として用いることも好適である。保護膜や絶縁膜に感光性樹脂組成物を使用する場合、当該感光性樹脂組成物はクリアレジスト液であることが特に好ましい。
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上述した本発明の感光性樹脂組成物を硬化してなるものであり、上記樹脂組成物に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより得ることができる。具体的には、例えば、基板(基材とも称す)上に上記樹脂組成物を塗布して乾燥させ、その塗布面に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより得ることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物はレジスト材料として好適に用いられるため、上記感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜がレジスト硬化膜である形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記硬化膜を有する態様の一例として、基板上に上記硬化膜を有するカラーフィルタが挙げられる。この作製方法について以下に詳述する。
なお、カラーフィルタを構成する部材は、具体的には3原色(RGB)画素、樹脂ブラックマトリックス、保護膜及び柱状スペーサー等があるが、これらのカラーフィルタを構成する部材のうち少なくとも1つが、本発明の感光性樹脂組成物により形成された硬化膜を有することが好ましい。ここで、RGB画素を形成する場合、本発明の樹脂組成物は赤・緑・青の各3原色の色材を含み、樹脂ブラックマトリックスを形成する場合は黒色の色材を含む。
上記カラーフィルタは、例えば、次のようにして作製することができる。
1)基板上に、感光性樹脂組成物を公知のコート法でコート(塗工)し、乾燥し、塗膜を作製する。基板としては透明基板が好ましく、具体的には、ガラス(好ましくは無アルカリガラス)や透明プラスチック等が挙げられる。公知のコート法としては、スピンコート法、スプレー法等が挙げられ、スピンコート法が好ましい。乾燥条件に関し、乾燥温度は室温〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は10秒〜60分が好ましく、より好ましくは30秒〜10分である。また、常圧又は真空下で加熱乾燥することが好ましい。
2)その後、所望のパターン形状に応じた開口部を設けたフォトマスク(パターニングフィルム)を、上記1)で得た塗膜の上に、接触状態で又は非接触状態で載せ、光を照射し、硬化させる。光とは、可視光のみならず、紫外線、X線、電子線等の放射線をも意味するが、紫外線が最も好ましい。紫外線源としては、一般に高圧水銀ランプが好適に使用される。
3)上記2)の光照射後、溶剤、水又はアルカリ水溶液等で現像を行う。中でも、アルカリ水溶液が、環境への負荷が少なく高感度の現像を行うことができるため好ましい。アルカリ水溶液中のアルカリ成分としては特に限定されないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び/又は炭酸ナトリウム等が好ましい。アルカリ成分の濃度は、アルカリ水溶液100質量%中、0.01〜5質量%であることが好ましい。アルカリ成分の濃度がこの範囲内であると、アルカリ可溶性樹脂の溶解性がより向上され、現像性(現像速度)をより高めることができる。アルカリ水溶液には、界面活性剤を添加してもよい。
4)以上の1)〜3)の工程を、黒色色材を含む感光性樹脂組成物を用いて行い、基板上に樹脂ブラックマトリックスを形成する。
5)次に、感光性樹脂組成物の色材を赤(R)、緑(G)、青(B)と順次変えて、上記1)〜3)の工程を繰り返し行い、R、G、Bの画素を形成し、RGB画素を作製する。
6)次に、基板上に形成されたRGB画素の保護や表面平滑性を向上させる目的で、必要に応じて、保護膜を形成する。
7)上記カラーフィルタが液晶表示装置用カラーフィルタである場合には、更に、柱状スペーサーを形成することが好ましい。柱状スペーサーは、スペーサーを形成すべき面に、感光性樹脂組成物を所望のスペーサーの高さとなるような厚みに塗工し、上記1)〜3)の工程を経て作製することができる。
ここで、カラーフィルタを作製する際には、各部材の作成時に、現像後加熱(ポストベーク)して硬化を更に進行させ、かつ溶媒が残存している場合はこれを完全に除去させることが好ましい。ポストベークの際の温度は120〜300℃が好ましい。この温度に設定すると、画素の着色及び熱分解による塗膜の平滑性低下をより充分に抑制することができる他、硬化がより進行して塗膜強度がより高まる。より好ましくは150〜250℃、更に好ましくは180〜230℃である。ポストベークは、各部材形成における現像後(各部材作成時における上記3)の後)に行ってもよいし、全ての部材を形成した後に行ってもよい。
<表示装置用部材及び表示装置>
本発明の表示装置用部材及び表示装置は上記硬化膜を有するが、更に、他の構成部材等を1種又は2種以上有するものであってもよい。近年では、表示装置等の技術の進歩に伴い、使用される各部材に対しても更に高度な性能が強く要望されているが、本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、このようなニーズに充分に対応できる程度に、各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。表示装置としては特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。タッチパネル式表示装置としては、特に、静電容量方式のものが好ましい。
上記表示装置用部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材(例えばカラーフィルタ等)であってもよい。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%(質量%)」を、「v」は「体積」を、それぞれ意味するものとする。
1、樹脂溶液(アルカリ可溶性樹脂)の物性評価
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC(商品名:HLC−8220GPC、東ソー社製)にて、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とし、カラムにTSKgel SuperHZM−N(東ソー社製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算にて算出した。このようにして求めたMwをMnで除すことにより、PDI(分散度、Mw/Mn)を求めた。これらを表1に示す。
(2)固形分濃度(N.V.)
各製造例で調製した樹脂溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。その後、熱風乾燥機(商品名:PHH−101、エスペック社製)を用い、真空下160℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定した。その重量減少量から、樹脂溶液の固形分(樹脂)の重量(固形分濃度)を計算した。
(3)酸価(AV)
各製造例で調製した樹脂溶液を1.5g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液で滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM−555、平沼産業社製)を用いて行い、固形分濃度から、ポリマー1g当たりの酸価を求めた(mgKOH/g)。表1に示す。
2、塗膜(硬化膜)の物性評価
(1)耐溶剤性
各調製例で得た樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコート法で塗布し、90℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて100mJで露光し、230℃で30分間熱処理を行い、膜厚5μmの薄膜を得た。その後、成膜したガラス基板をN−メチルピロリドン(NMP)20gに55℃で5分間浸漬し、基板を取り出して得たNMP溶液の透過率を分光光度計UV3100(島津製作所社製)で測定した。透過率が高いほど、基板からの色材の染み出しが少ない、すなわち耐溶剤性に優れることを示す。結果を表2及び図1に記す。
(2)現像性・密着性
ガラス基板に、各調製例で得た樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(90℃、3分間)した後、塗膜から50μmの距離にラインアンドスペースの開口部(開口幅:1μm間隔で1〜100μm)を設けたフォトマスクを配置して、2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(商品名:TME−150RNS、TOPCON社製)によって、30mJ/cmの強度(365nm照度換算)で露光を行った。露光後、塗膜に0.05%水酸化カリウム水溶液をスピン現像機にて30秒間散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像して、ラインアンドスペースのパターンを得た。得られたパターンについて、以下の尺度から密着性及び現像性の評価を行った。結果を表3、4及び図2、3に記す。
(2−1)密着性(最小密着幅)
現像により作成した1〜100μmのラインアンドスペースのパターンを、表面粗さ計で、密着している最小パターンを観測した。
(2−2)8μmライン幅
現像により作成した8μmラインアンドスペースのパターンのライン幅を、表面粗さ計にて計測した。
(2−3)高さ
現像により作成した8μmラインアンドスペースのパターンの高さを、表面粗さ計にて計測した。
(2−4)残渣
以下の基準で評価した。
無し:未露光部、露光部がきれいに残渣なく流れている。
有り:未露光部に残渣が確認できる。
(2−5)パターン直線性
表面粗さ計(菱化システム社製、商品名VertScan2.0」)にて、パターンエッジの形状を観察した。結果を図2に示す。パターンエッジが四角に近いほどパターン直線性が優れ、丸みを帯びているほどパターン直線性が劣ることを示す。
なお、8μmライン幅、高さ及びエッジの評価は、残渣の評価よりも、現像性を厳しく評価したものである。したがって、8μmライン幅、高さ及びエッジの評価が良好なものほど、現像性により優れることになる。
(3)耐熱性
ガラスに、厚み30nmでITO(Indium Tin Oxide)が蒸着されたITO基板を用意した。このITO基板に得られた樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、加熱処理(80℃3分間)した後、2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(TOPCON社製、商品名「TME−150RNS」)によって60mJ/cm(365nm照度換算)の露光量で露光を行い、加熱処理(230℃30分間)を行った。得られた塗膜について、以下のようにして、初期物性評価(碁盤目試験、鉛筆硬度)、及び、120℃水蒸気圧条件で3時間のPCT(Pressure Cooker Test)後評価(碁盤目試験、鉛筆硬度)を行った。
(3−1)碁盤目試験
JIS−K5400−8.5(1990年)に準じて試験を行い、下記基準で評価した。
◎:JIS規格で10点であるうえ、セロテープ(登録商標)を剥がす際に強い抵抗を感じる。
○:JIS規格で10点。
×1:JIS規格で8点。
×2:JIS規格で6点。
×3:JIS規格で4点。
×4:JIS規格で2点。
×5:JIS規格で0点。
(3−2)鉛筆硬度試験
JIS−K5600−5−4(1999年)に準じて試験を行ったが、すべて荷重は旧JIS版のJIS−K5400(1990年)の500gで行い、傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆を鉛筆硬度の値として、下記基準で評価した。
◎:鉛筆硬度が6H以上。
○:鉛筆硬度が5H。
△:鉛筆硬度が4H〜2H。
×:鉛筆硬度がH以下。
3、アルカリ可溶性樹脂(樹脂溶液)の調製
調製例A(樹脂溶液A)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)559部、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)240部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した後、滴下系1としてベンジルマレイミド(BzMI)50部、メタクリル酸(MAA)135部、メタクリル酸メチル(MMA)310部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)5部、PGMEA35部、PGME15部及びパーブチル(登録商標)O(重合開始剤、日本油脂社製、以下PBOとも称す)6部を、滴下系2としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)6.3部、PGMEA56部及びPGME24部を、それぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、PBOを2.5部添加した。更に90℃で30分保持し、温度を115℃まで昇温し、1.5時間保持することで重合液(ベースポリマー溶液)を得た。
得られた重合液にアンテージW−400(川口化学工業社製)を0.8部、グリシジルメタクリレート(GMA)を66.1部、トリエチルアミンを1.7部加えて、110℃2時間、ミックスガスバブリング(窒素/酸素=93/7(体積比))しながら、115℃5時間保持することで、付加反応を行った。
得られた樹脂溶液Aについて各種物性を測定した。結果を表1に示す。
調製例1(樹脂溶液1)
窒素置換したグローブボックス内で、反応槽として攪拌機、冷却管を備えたフラスコにベンジルマレイミド(BzMI)39g、メタクリル酸(MAA)105g、メタクリル酸メチル(MMA)242部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)4部、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート(BTEE)9.0部、ジブチルジテルリド(DBDT)2.8部、2,2'−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)1.5部及びプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)390部を仕込み、60℃で46時間反応させた。重合率は99%であった。
反応終了後、フラスコをグローブボックスより取り出し、反応溶液を攪拌しているヘプタン7L中に注ぎ、析出した沈殿物を吸引ろ過、乾燥することにより、淡黄色粉末状の樹脂成分386部(収率99%)を得た。酸価は164mgKOH/gであった。
Mw及びMw/Mnは、カルボン酸成分をメチルエステル化した後に測定し、Mwは17900、Mw/Mnは1.54であった。
得られた樹脂成分300部を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)334部及びPGME223部の混合溶媒中に添加し、857部のベースポリマー溶液を得た。
得られたベースポリマー溶液にアンテージW−400(川口化学工業社製)を0.48部、グリシジルメタクリレート(GMA)を39.7部、トリエチルアミンを1.0部加えて、110℃2時間、ミックスガスバブリング(窒素/酸素=93/7(体積比))しながら、115℃5時間保持することで、付加反応を行った。
得られた樹脂溶液1について各種物性を測定した。結果を表1に示す。
調製例B(樹脂溶液B)
単量体組成を表1に記載のように変更したこと以外は、調製例A(樹脂溶液A)と同様の操作を行って樹脂溶液Bを得た。物性を測定した結果を表1に示す。
調製例2〜5(樹脂溶液2〜5)
単量体組成を表1に記載のように変更したこと以外は、調製例1と同様の操作を行って樹脂溶液2〜5をそれぞれ得た。物性を測定した結果を表1に示す。
表1中、GMAの量は、ベースポリマーを形成する単量体成分の総量100部に対する、GMAの添加量(部)を意味する。
4、顔料分散液の作製
作製例1
分散用樹脂溶液(樹脂の単量体組成:BzMI/CHMA/MMA/MAA=30/30/30/10(質量比)、Mw:10000、酸価:65mgKOH/g、樹脂溶液中の固形分:42%)8.33g(すなわち樹脂3.5g)、分散剤としてDISPERBYK−2001(不揮発分1.3g、ビックケミー・ジャパン社製、byk2001とも称す)2.86g、色材として顔料のC.I.ピグメンバイオレット23(Clariant社製、PV23とも称す)1.6g及び染料のC.I.ピグメントブルー64:6.4gを、225mlマヨネーズ瓶にはかり取り、不揮発分濃度(固形分濃度)が20%となるようにPGMEAで希釈した。これに、径1.0mmのジルコニアビーズ64gを加え、ペイントシェーカーで3時間振とうして分散処理後、デカンテーションによりジルコニアビーズを除いて、青色顔料分散体溶液(ミルベース又はMBと称す)を得た。
5、感光性樹脂組成物の作製及び塗膜物性評価
試験例1
作製例1で得たミルベース(MB)(固形分:3.5g)に、重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を3.5g、調製例Aで得た樹脂溶液Aを8.3g(すなわち樹脂3.5g)、光重合開始剤としてイルガキュア369(BASF社製、Irg369とも称す)を1.2g加え、不揮発分濃度(固形分濃度)が20%となるように、PGMEAで希釈し、樹脂組成物1を得た。樹脂組成物1について、上述した方法にて塗膜物性(耐溶剤性)を評価した。結果を表2及び図1に示す。
試験例2
樹脂溶液Aの代わりに樹脂溶液1を用いたこと以外は試験例1と同様にして樹脂組成物2を得た後、塗膜物性(耐溶剤性)を評価した。結果を表2及び図1に示す。
試験例1と試験例2とは、使用したアルカリ可溶性樹脂の製造方法の点で主に相違する。具体的にいうと、試験例1では、過酸化物存在下での通常のラジカル重合により得られた樹脂溶液Aを用いたのに対し(調製例A)、試験例2では、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られた樹脂溶液1を用いた(調製例1)点で、両者は相違する。この相違の下、塗膜の透過率を比較すると、表1及び図1より透過率に大きな差異が認められる。透過率が大きいほど色材の染み出しが少ない、すなわち耐溶剤性に優れることから、試験例2で用いたアルカリ可溶性樹脂(調製例1の樹脂溶液1)は、耐溶剤性に優れる硬化物を与えることが分かった。おそらく、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合を経ることでアルカリ可溶性樹脂が低分散度化され、これによりGMA付加による架橋網目構造の大きさが均一化されたことで、色材の染み出しが抑制されたものと推測される。
試験例3〜7
表3に示す組成としたこと以外は試験例1と同様にして樹脂組成物3〜7を各々得た後、塗膜物性(現像性・密着性)を評価した。結果を表3及び図2に示す。
試験例3と試験例4とは、使用したアルカリ可溶性樹脂の製造方法の点で主に相違する。具体的にいうと、試験例3では、過酸化物存在下での通常のラジカル重合により得られた樹脂溶液Bを用いたのに対し(調製例B)、試験例4では、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られた樹脂溶液2を用いた(調製例2)点で、両者は相違する。この相違の下、塗膜の現像性及び密着性を比較すると、表3及び図2より、試験例4で得た塗膜は、密着性及び現像性のいずれもが極めて優れることが分かった。
試験例4〜7は、いずれも有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られた樹脂溶液2〜5を使用しているが、これらの樹脂溶液は主に酸価が異なる。この相違の下、塗膜の密着性を比較すると、表3及び図2より、密着性は、酸価に拠らずいずれも優れることが分かった。また、現像性を比較すると、図2の8μm幅のラインアンドスペース形状の写真(8μmL&S)及び断面写真より、いずれもパターン直線性が優れ、ライン形状が良好であることが分かった。中でも、図2より、試験例4、5は現像残渣が少ないため、酸価が低い樹脂溶液を用いれば現像性がより一層向上することも分かった。
試験例8、9
表4に示す組成としたこと以外は試験例1と同様にして樹脂組成物8、9を各々得た後、塗膜物性(現像性・密着性)を評価した。結果を表4及び図3に示す。
試験例8、9は、試験例3、4それぞれの例よりもMBの割合を多くした例である。この場合も、アルカリ可溶性樹脂の製造方法に起因して現像性及び密着性の差が顕著であったことから、有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られたアルカリ可溶性樹脂を用いることにより、色材濃度を高くしても、高いレベルの密着性及び現像性を発揮できることを確認した。
なお、表等には示していないが、樹脂組成物2、4〜7、9について、上述した塗膜の耐熱性試験を行ったところ、初期物性とPCT後物性とに大きな差がなく、いずれも優れた結果であったことから、耐熱性に優れ、高温暴露後も優れた密着性及び表面硬度等の物性を安定して発現できることも分かった。

Claims (8)

  1. 有機テルル化合物存在下でのリビングラジカル重合により得られたものであり、かつ主鎖に環構造を有することを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
  2. 請求項1に記載のアルカリ可溶性樹脂、重合性化合物及び光重合開始剤を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
  3. 前記重合性化合物は、多官能重合性化合物であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. カラーフィルタ用の感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化膜。
  6. 請求項5に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置用部材。
  7. 請求項5に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示装置。
  8. 主鎖に環構造を有するアルカリ可溶性樹脂を製造する方法であって、
    該製造方法は、有機テルル化合物の存在下、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を含む単量体成分をリビングラジカル重合する重合工程を含む
    ことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂の製造方法。
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