JP6642442B2 - 光学素子、光学複合素子及び保護フィルム付光学複合素子 - Google Patents

光学素子、光学複合素子及び保護フィルム付光学複合素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子、光学複合素子及び保護フィルム付光学複合素子に関する。
本願は、2014年10月24日に、日本に出願された特願2014−217151号と、2014年10月29日に、日本に出願された特願2014−220231号と、2014年10月29日に、日本に出願された特願2014−220232号と、2015年5月19日に、日本に出願された特願2015−101968号と、に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
例えばパソコンなどのディスプレイの表面には、視認性向上のためのフィルム状の反射防止構造体が設けられることが多い。このような反射防止構造体として、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小な凸部を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目)、登録商標)構造の原理を利用したものである。モスアイ構造は、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
反射防止構造体は、入射光に対する屈折率を連続的に変化できれば高い反射防止性能を実現できる。そのため、原理的には反射防止構造体は、微小な凸部に限られず、微小な凹部によって構成されるものであってもよい。
反射防止構造体による反射防止性能は、屈折率変化がより緩やかであると高くなる。そのため、微細な凸部又は凹部の構造体の幅に対する高さ又は深さの比(以下、アスペクト比という。)は大きいことが好ましい。
一方で、アスペクト比が大きくなると、微細な凸部又は凹部が構造的に弱くなり、形状を維持することが難しいという問題があった。アスペクト比が大きくなると、構造体を作製する際の困難さが増すという問題もあった。例えば、このような微細な形状は、ナノインプリント等の金型を用いた方法で作製することができる。しかしながらアスペクト比が高いと、金型から凸部又は凹部を転写する際に、その金型に樹脂等が目詰まりしてしまうという問題があった。
そのため、アスペクト比を高くすることなく、高い反射防止性能を得るために様々な検討がされている。
特許文献1では、凹凸構造の凸部の高さに特定のバラツキを持たせることにより、凹凸構造のうちアスペクト比が高い凸部の比率を抑えつつ、反射色が強くなることを抑制できることが記載されている。
また微細な凸部または凹部を有する反射防止構造体は、凸部同士の間又は凹部に微細な異物が付着し、反射防止効果が損なわれるという問題もある。
特許文献2では、微細凹凸構造の表面の水接触角を140°以上とすることにより、水汚れを付着しにくくした微細凹凸構造体が記載されている。
特開2014−066975号公報 特開2014−077040号公報
しかしながら、例えば特許文献1に記載の光学素子では、凸部の高さに特定の分布をもたせるために、大きさにバラツキのある凹凸構造を作製している。大きさにバラツキのある凹凸は、凹凸ピッチをランダムにしてしまい、所望する波長の光の透過率を高めることが難しい。また特許文献1に記載の光学素子は、汚れに対する対策も十分ではないため、汚れの付着を防止することもできない。
また特許文献2に記載の光学素子は、汚れた水等の水溶性の汚れには有効であるが、人間の皮脂やハンドクリーム等の油脂性の汚れには有効ではなかった。また反射防止性能も充分とは言えなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、反射防止性能及び防汚性に優れた光学素子を提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意研究の結果、複数の凹部と反対方向に突出する突出部を形成することで、反射防止性能及び防汚性に優れた光学素子を得ることができることを見出した。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)本発明の一態様に係る光学素子は、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチで配列する複数の凹部を一面に有する光学素子であって、前記光学素子は、前記複数の凹部が所定の配列で並ぶドメインを平面視で複数有し、複数の前記ドメインに挟まれる領域及び/または前記ドメイン内の前記複数の凹部に囲まれる領域には、複数の突出部が形成され、平面視において前記複数の突出部の占める面積率が、1%〜15%である。
(2)上記(1)に記載の光学素子において、前記複数の突出部の最頻高さが、前記複数の凹部の最頻深さの0.2倍以上0.8倍以下であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)のいずれかに記載の光学素子において、前記複数の突出部のいずれかと隣接する凹部の個数が、前記複数の凹部の全個数に対し、10%以上80%以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記複数の突出部の中に、隣接する前記突出部同士が一部で繋がった山脈状突出部を有してもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記ドメインが平面視でランダムに配置されていてもよい。
(6)本発明の一態様に係る光学複合素子は、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の光学素子と、前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の凹部及び前記複数の突出部の形状を反映した第1コーティング層をさらに有する。
(7)本発明の一態様に係る光学複合素子は、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の光学素子と、前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の凹部及び前記複数の突出部の形状全体を埋める第2コーティング層をさらに有する。
(8)本発明の一態様に係る光学複合素子は、上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の光学素子と、前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の突出部と接触する保護フィルムを有する。
(9)本発明の一態様に係る保護フィルム付光学複合素子は、上記(6)に記載の光学複合素子と、前記光学複合素子の前記第1コーティング層の内、前記突出部を被覆する部分と接触する保護フィルムを有する。
本発明の一態様に係る光学素子は、複数の凹部と反対方向に突出する突出部を有することで、反射防止性能及び防汚性に優れた光学素子を得ることができる。
本発明の一態様に係る光学素子を模式的に示す平面図である。 本発明の一態様に係る光学素子を隣接する凹部の最深点を結ぶ直線で切断した断面模式図である。 本発明の一態様に係る光学複合素子を模式的に示す断面図である。 本発明の別の態様に係る光学複合素子を模式的に示す断面図である。 シミュレーションの方法を説明するための断面模式図である。 実施例1〜3及び比較例1〜3の光学素子の反射率の測定結果である。
(光学素子、光学複合素子)
図1は、本発明の一態様に係る光学素子を模式的に示した平面図である。
光学素子1の一面には、複数の凹部h1〜hnが形成されている。複数の凹部h1〜hnは、平面視で複数のドメインC〜Cに区分されている。複数のドメインC〜Cに挟まれる領域及び/又はドメイン内の複数の凹部h1〜hnに囲まれる領域の一部には、複数の突出部d1〜dnが形成されている。
光学素子1において凹部h1〜hnの格子方位は、各エリアC〜Cの内では揃っているが、巨視的には揃っていない。そのため、多結晶の構造体のような構造を有する。
各ドメインC〜C内では、複数の凹部h1〜hnは所定の配列で並んでいる。所定の配列は、図1に示すように三角格子状であることが好ましい。凹部h1〜hnが三角格子状に配列していると、凹部h1〜hnの配列密度が高まり、より良好な反射防止性能を得ることができる。三角格子状とは、隣接する3つの凹部の中心点が略正三角形の3つの頂点となる位置関係で整列していることを意味する。
略正三角形の3つの頂点となる位置関係とは、具体的に以下の条件を満たす関係をいう。まず、1つの凹部h1の中心点t1から隣接する凹部h2の中心点t2の方向に、長さが最頻ピッチPと等しい長さの線分L1を引く。次いで中心点t1から、線分L1に対して、60゜の方向に、最頻ピッチPと等しい長さの線分L2を引く。線分L2の終点から、最頻ピッチPの15%以内の範囲にもう一つの凹部h3の中心点t3があれば、これら3つの中心点は、略正三角形の3つの頂点となる位置関係にあると言える。
各凹部h1〜hnの中心点t1〜tnは以下のように求める。
AFM(原子間力顕微鏡)の測定結果から傾き補正した基準面と平行に各凹部h1〜hnについて20nm毎に複数の等高線を引き、各等高線の重心点(x座標とy座標で決定される点)を求める。これらの各重心点の平均位置(各x座標の平均とy座標の平均で決定される位点)を、凹部h1〜hnの中心点t1〜tnとする。
最頻ピッチPは隣接する凹部間の距離であり、具体的には、以下のようにして求めることができる。
まず、光学素子1上における無作為に選択された領域で、一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形の領域について、AFMイメージを得る。例えば、最頻ピッチが300nm程度の場合、9μm×9μm〜12μm×12μmの領域のイメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。
こうして求められた距離の逆数がこの領域における最頻ピッチPである。このような処理を無作為に選択された合計25カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における最頻ピッチを求める。こうして得られた25カ所以上の領域における最頻ピッチP〜P25の平均値が最頻ピッチPである。この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましく、より好ましくは5mm〜1cm離れて選択される。
凹部h1〜hnの最頻ピッチは、使用環境下の光の波長以下である。可視光を使用する場合は、最頻ピッチは50nm〜300nmであることが好ましい。最頻ピッチが50nm以上であれば、射出成型やナノインプリントで容易に形状を形成できる。最頻ピッチが300nm以下であれば、良好な反射防止効果を得ることができる。
各ドメインC〜Cの最頻面積Q(各エリア面積の最頻値)は、以下の範囲であることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、0.026μm〜6.5μmであることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm以上1μm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、0.65μm〜26μmであることが好ましい。
最頻ピッチPが1μm以上の時、50μm×50μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、2.6μm〜650μmであることが好ましい。
最頻面積Qが好ましい範囲内であれば、反射防止性能の視野角依存性が高くなる問題を防止しやすい。
より具体的には、各ドメインC〜C内に配置される凹部h1〜hnの数は、3個〜1000個であることが好ましく、7個〜500個であることがより好ましい。
ドメインC〜Cのそれぞれは、同じ所定の形状であっても、異なる形状であってもよい。干渉縞等の発生を抑制する観点からは、ドメインC〜Cのそれぞれは異なる形状であることが好ましい。
各ドメインC〜Cは、図1に示すように、面積、形状及び格子方位がランダムに配置されていることが好ましい。面積のランダム性の度合いは、具体的には、以下の条件を満たすことが好ましい。
まず、ひとつのドメインの境界線が外接する最大面積の楕円を描き、その楕円を下記式(1)で表す。
/a+Y/b=1…(1)
最頻ピッチPが500nm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、0.08μm以上であることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm以上1μm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、1.95μm以上であることが好ましい。
最頻ピッチPが1μm以上の時、50μm×50μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、8.58μm以上であることが好ましい。
πabの標準偏差が好ましい範囲内であれば、反射光の平均化の効果に優れ、反射防止性能の視野角依存性が高くなる問題を防止しやすい。
各ドメインC〜Cの形状のランダム性の度合いは、具体的には、前記式(1)におけるaとbの比、a/bの標準偏差が0.1以上であることが好ましい。
ここまで凹部h1〜hnの配列、及び、凹部h1〜hnの配列に伴うドメインC〜Cの配置について説明した。ここで図2の断面模式図を用いて、凹部h1〜hnの定義について説明する。また後述する突出部d1〜dnの定義についても説明する。図2は、任意の隣接する凹部の中心点を結ぶ直線で切断した本発明の一態様に係る光学素子の断面模式図である。
凹部h1〜hnは、標準面Nより図示下方に形成された空隙である。標準面Nは、AFMの傾き補正によりえられる基準面と平行な面であって、AFMから得られる凹部の表面最頻高さ位置の平面である。
ここで、AFMから得られる各高さ位置について説明する。AFMから得られる凹部の高さ情報は、底部最頻高さと、表面最頻高さがある。
底部最頻高さ及び表面最頻高さは、以下の手順で得る。まず、任意に選択した隣接する2つの凹部の中心点を通る断面をAFMにより得る。AFMの断面から、2つの凹部の最深点の位置情報、及び、2つの凹部の間の突出した部分の最高点の位置情報を得る。同様の作業を任意の25カ所で行う。この作業を行うことで、凹部の最深点の位置情報が50カ所、突出した部分の最高点の位置情報が25カ所得られる。得られた位置情報をヒストグラム化し、ガウス関数でフィッティングすることで、凹部の最深点の最頻の位置情報、及び、突出した部分の最高点の最頻の位置情報が得られる。この凹部の最深点の最頻の位置情報が底部最頻高さ、突出した部分の最高点の最頻の位置情報が表面最頻高さとなる。
同様の手順で凹部h1〜hnの最頻深さも測定する。AFMの断面から、2つの凹部の最深点の位置情報、及び、2つの凹部の間の突出した部分の最高点の位置情報の差(凹部の深さ)を測定する。任意の25カ所で同様の作業を行い、ヒストグラム化し、ガウス関数でフィッティングする。ガウス関数のフィッティングにより凹部の最頻深さDが算出される。この際、同時に凹部の深さの標準偏差1σも得られる。
凹部h1〜hnの最頻深さは、100〜500nmであることが好ましい。最頻深さが500nm以下であれば、射出成型やナノインプリントにおいて転写不良を起こしにくく、容易に作製することができる。最頻深さが100nm以上であれば良好な反射防止性能を得ることができる。
凹部の深さの標準偏差1σは、凹部の深さの変動係数に対応する。変動係数は、8%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。変動係数をこの範囲とすることにより射出成形やナノインプリントによりモールドへ材料充填する際に、空隙が生じにくい。
突出部d1〜dnは、次のように定義される。標準面Nより凹部の深さの標準偏差1σだけ、光学素子1と反対側に平行移動した面を規定面Mとする。光学素子1の一部が規定面Mより突出している場合、その位置における標準面Nより凹部h1〜hnと反対側に突出した部分を突出部d1〜dnとして定義する。すなわち、突出部は標準面Nから凹部の標準偏差1σ以上の高さを有する。
突出部d1〜dnの最頻高さHは、凹部h1〜hnの最頻深さの0.2倍以上0.8倍以下であることが好ましく、0.3倍以上0.5倍以下であることがより好ましい。
突出部d1〜dnの最頻高さとは、標準面Nから突出部d1〜dnの頂点までの高さHの最頻値を意味する。突出部d1〜dnの最頻高さHは、任意の25カ所の突出部d1〜dnの高さを測定し、その最頻値を求めることで得る。任意の25カ所の突出部d1〜dnは、一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形の複数枚のAFMイメージから、任意に抽出する。
突出部d1〜dnの最頻高さHがこの範囲内にあれば、耐擦傷性及び反射防止性能の高い光学素子を得ることができる。突出部d1〜dnの最頻高さを所定の高さ以上にすることで、屈折率を段階的に変化させ、反射防止性能をより高めることができる。また突出部d1〜dnの最頻高さを所定の高さ以下にすることで、突出部d1〜dnのアスペクト比が高くなりすぎることを抑制し、耐擦傷性を高めることができる。
突出部d1〜dnの形状は、凹部h1〜hnと反対側に突出するに従い、その断面積が連続的又は段階的に小さくなっていることが好ましい。また断面視で、突出部d1〜dnの側面daは、凹部h1〜hnを構成する傾斜面haと連続していることが好ましい。ここで連続しているとは、突出部d1〜dnの側面daと凹部h1〜hnを構成する傾斜面haの接続部分で、斜面に折れ曲がり等が生じていないことを意味する。具体的には、断面視で接続部分に接線が引けることを意味する。
ここで凹部h1〜hnの形状は、標準面Nに平行な切断面で見たとき、切断面における光学素子1が占める面積比率が、凹部h1〜hnの底部に向かうに従って、連続的又は段階的に大きくなっていることが好ましい。換言すると、凹部を形成する空隙のサイズが、底部に向かうに従い、連続的又は段階的に小さくなっていることが好ましい。具体的な例としては、凹部の形状が錐体、錐台、半球、紡錘体及びこれらの組合せ形状等を挙げることができる。
図1に戻って、突出部d1〜dnは、平面視するとドメインC〜Cの境界領域及び/または各ドメインC〜C内の複数の凹部h1〜hnに囲まれた領域の一部に存在する。
例えばドメインC〜Cの境界領域に突出部が存在する場合、突出部は4つ以上の凹部によって囲まれることが多い。この場合、符号d4に示すように、隣接する突出部同士が一部で繋がることがある。以下、このように連結した突出部を山脈状突出部d4という。
山脈状突出部d4は、隣接する突出部同士が繋がっているため、構造的に強い。そのため、山脈状突出部4を有することで光学素子1の耐擦傷性を高めることができる。また製造過程における破損等を抑制することができる。
各ドメインC〜C内の複数の凹部h1〜hnに囲まれた領域に存在する突出部は、3つの凹部により囲まれることが多い。ドメイン内に形成される突出部は、凹部の配列の局所的な乱れによって形成されることが多いためである。この部分に形成される突出部は、符号d2及びd3に示すように、独立して存在することが多く、錐状の形状をしている。錐状の形状は、円錐状、三角錐状、四角錐状、六角錐状等のいずれの形状でもよい。
平面視で突出部d1〜dnの占める面積率は、1%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
凹部h1〜hnの配列が不揃いとなる部分は、境界部を生み出す。境界部では、なだらかな屈折率変化を得るための凹凸形状が乱れるため、境界部は反射を生み出す原因となる。しかしながら、この部分に突出部d1〜dnを設けることで、反射防止性能を高めることができる。また突出部d1〜dnが全面に存在しないことで、光学素子1の表面に汚れが付着することを抑制することができる。一般に光学素子表面に付着する汚れのサイズは、凹部h1〜hnに比べて大きい。すなわち、突出部d1〜dnを有する光学素子表面に付着した汚れは、起立する突出部d1〜dnの先端で支持され、光学素子表面全体に付着しない。そのため、汚れと光学素子1との接触面積を低減することができ、付着した汚れの除去等が容易になる。
平面視における突出部d1〜dnの面積率は、標準面Nにおける突出部d1〜dnの占める面積の比率である。具体的には、以下の手順で求める。
光学素子1上における無作為に選択された領域で、一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形の領域について、AFMイメージを得る。得られたAFMイメージから突出部d1〜dnを抽出する。抽出された突出部d1〜dnの平坦面Nにおける面積を求め、全体の面積で割ることにより、突出部d1〜dnの面積率が算出される。
また複数の突出部d1〜dnに隣接する凹部h1〜hnの個数は、複数の凹部の全個数に対し、10%以上80%未満であることが好ましく、20%以上70%以下であることがより好ましい。
突出部の出現頻度をこの範囲内とすることにより、耐擦傷性及び反射防止性能の高い光学素子を得ることができる。例えば、突出部同士が繋がり、模式的に突出部のピッチが使用環境下の光の波長以上となることを避け、反射防止性能が劣化することが避けることができる。また射出成形やナノインプリント等の形状転写によって、光学素子1を製造する場合に良好な離形性を有し、容易に作製することができる。
さらに突出部d1〜dnに隣接する凹部h1〜hnの個数が多いということは、突出部d1〜dnが全体に点在していることを意味する。その結果、いずれの部分においても、付着する汚れを突出部d1〜dnの先端で支持することができ、防汚性を高めることができる。
なお、突出部に隣接しているか否かは以下のように判断する。まず平面視で突出部の標準面Nにおける外縁部から凹部の最頻ピッチ分だけ離れた範囲を描く。その範囲内に、凹部の中心点が存在する場合、その凹部は突出部に隣接していると判断する。
凹部h1〜hnの全個数は、以下の手順で求める。光学素子1の任意の箇所で、一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形のAFMイメージを25カ所で得る。そして、それぞれのAFMイメージ内の凹部h1〜hnの数を測定し、平均化する。突出部に隣接する凹部h1〜hnの個数は、それぞれの画像において突出部d1〜dnと隣接する凹部h1〜hnの数を数え、平均化する。
光学素子1の材料は、特に制限するものではない。有機物でも無機物でもよく、有機物の場合、例えば一般に用いられるUV硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。無機物の場合、Si、SiO、SiON、Ni、スピンオングラス等を用いることができる。その他、有機金属化合物、金属アルコキシド化合物、又はこれらの酸化物等を用いることができる。
また光学素子1は単体で存在する必要はない。別の部材又は層を光学素子1にさらに設けた光学複合素子としてもよい。
光学複合素子の一例として、光学素子1の凹部h1〜hnが形成された面と反対側の面に、支持基体を設けてもよい。支持基体は、フィルム状、シート状、プレート状、ブロック状、レンズ状等のいずれの形状でもよく、使用用途に合わせて変更することができる。
支持基体の材質は、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の合成樹脂、ガラス、半導体等の無機膜などを用いることができる。ポリカーボネートは、耐熱性が高いという利点を有する。一方で、ポリカーボネートはその他の材料と比較して加工性が劣るため、支持基体と光学素子を同一の材料とする場合は、その他の材料を用いてもよい。
支持基体と光学素子の屈折率差は小さいことが好ましい。具体的は、屈折率差が0.1以内であることが好ましく、屈折率差が無い(同一の材料からなる)ことがより好ましい。屈折率差が大きい場合は、支持基体と光学素子の間に、支持基体と光学素子の間の屈折率を有する中間層を挿入してもよい。中間層は段階的に屈折率が変化するように組み合わされた多層の構成でもよく、接着層又は粘着層を兼ねていてもよい。
支持基体の光学素子1が形成されている面と反対側の面には、AR処理、AG処理等の別の反射防止処理を施してもよい。AR処理とは、処理膜の界面で反射した光同士の干渉を利用した反射防止方法である。例えば、蒸着、スパッタ等のドライコーティングやウェットコーティング等の手段により、支持基体の一面に屈折率の異なる層を複数積層することでAR処理を施すことができる。AG処理とは、散乱を利用した反射防止処理である。例えば、支持基体の一面に微粒子を含有させた層をコーティングしたり、支持基体の一面の表面粗度を高めることで、AG処理を施すことができる。また反射防止処理に加えて、抗菌コート処理及び防汚処理等を行ってもよい。
光学素子1が設けられた面と反対側の面に、別の反射防止処理が施された光学複合素子は、例えば表示装置等の表面を保護する透明保護部材として利用することができる。具体的には、表示装置の視認側に透明保護部材を設置する態様が考えられる。
表示装置の視認側に透明保護部材を設置すると、透明保護部材の表示装置と対向する面は外部に露出しないため、汚れが発生しにくい。それに対し、透明保護部材の視認側の面は、人の接触等に伴う皮脂や埃等により汚れが発生しやすい。そのため、視認側にはAR処理、AG処理等の反射防止膜を設け、表示装置側には、光学素子1を設けることが好ましい。
また光学複合素子10の別の例として、図3に示すように、光学素子1の凹部h1〜hnが形成された面に、複数の凹部h1〜hn及び複数の突出部d1〜dnの形状を反映した第1コーティング層2をさらに設けてもよい。ここで「反映」とは、複数の凹部h1〜hn及び複数の突出部d1〜dnの形状を完全に反映させることまでは要しない。複数の凹部h1〜hn及び複数の突出部d1〜dnの形状に対する形状変化率が、凹部及び突出部の延在方向に対して10%以内であり、延在方向と垂直な面方向に対して10%以内であれば、十分に反映と言うことができる。
第1コーティング層2は、用途に応じて種々変更することができる。例えば、フッ素等の単分子膜により第1コーティング層2を形成することにより、防汚性をより高めることができる。フッ素等の単分子膜は、例えば、フッ素原子を含む高分子材料が溶媒中に溶けた離型剤等を塗布し、乾燥させることで得ることができる。
この他にも、例えば図4に示すように、光学素子1の凹部h1〜hnを埋める第2コーティング層3をさらに有する光学複合素子11としてもよい。第2コーティング層3は、例えば光学素子1より低屈折率の材料を用いることができる。低屈折率材料で充填することで、表面に凹凸形状を有する光学素子1より防汚性、耐擦傷性を高めることができる。第2コーティング層3は、例えば、低粘度状態にした材料を塗布又は押し付け、凹部に材料を充填することで得ることができる。
第2コーティング層3でコーティングした光学複合素子11は、例えば太陽電池、発光ダイオード等の層構成の一部として用いることもできる。
これらの他にも、光学素子1の凹部h1〜hnが形成された面を覆う保護フィルム等を設けてもよい。保護フィルム等を設けることで、搬送時に光学素子1の凹凸形状が傷つくことを避けることができる。
保護フィルムは複数の突出部の先端部と接触するように光学素子1の凹部h1〜hnが形成された面を覆う。貼着側に粘着材料を有する保護フィルムを光学素子1に貼着する場合、複数の突出部により、光学素子1の凹部h1〜hnと粘着材料とのクリアランスが保たれる。その結果、粘着材料が凹部を埋めて反射防止特性が低下することを防止できる。また保護フィルムは、図3に示す第1コーティング層2を施した光学複合素子10の凹凸面側に貼着してもよい。
光学素子1は、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどにおける各種ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクター、FED、OLEDなどのFPD)、ショーウィンドウなどの窓ガラス、展示額縁、各種表示窓、光学レンズ、太陽電池、道路・交通標識や看板を構成する光学材料などの表面に適用する反射防止体として使用できるし、このような反射防止体を製造するためのナノインプリント用モールドの原版として使用することもできる。
(光学素子の製造方法)
以下に、光学素子の製造方法について説明する。本発明の一態様に係る光学素子は、所定の形状を有するモールドを1回又は複数回転写することで得ることができる。このモールドは、基板上に多数の粒子を2次元的に配列させたエッチングマスクを用いることで作製することができる。
エッチングマスクは、例えばLB法(ラングミュア−ブロジェット法)を利用した方法により基板上に作製する。具体的には、溶剤中に粒子が分散した分散液を水槽内の液面に滴下する滴下工程と、溶剤を揮発させることにより粒子からなる単粒子膜Fを形成する単粒子膜形成工程と、単粒子膜を基板上に移し取る移行工程とを有する方法により製造できる。
まずクロロホルム、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの揮発性の高い溶剤のうちの1種以上からなる疎水性の有機溶剤中に、表面が疎水性の粒子を加えて分散液を調製する。この分散液を、水槽内に貯留された液体の液面に滴下する(滴下工程)。滴下された分散液は、分散媒である溶剤が揮発するとともに、粒子が液面上に単層で展開し、2次元的に最密充填した単粒子膜を形成する(単粒子膜形成工程)。
滴下工程において、分散液は水槽内の液面の複数箇所に同時に滴下する。同時に滴下された分散液は、滴下された場所を中心にそれぞれ液面上に単層で展開する。その結果、粒子が所定の配列で並ぶドメインが複数形成される。ドメインは通常、不定形となる。
液面の複数箇所から同時に形成されたドメインは、成長して隣接したドメインと接する。この際、ドメイン同士が同じ粒子配列となることは少なく、異なる粒子配列となる。その結果、ドメイン間には隙間が発生する。
光学素子の凹部は、単粒子膜がエッチングされることによりモールド表面に形成される凸部に対応する。すなわち、凹部の最頻ピッチ、ドメインの数、ドメインの面積等は、単粒子膜の状態に影響を受ける。そのため、凹部の最頻ピッチは、使用する粒子の平均粒子径によって制御することができる。またドメインの数及びドメインの面積等は、同時に滴下する分散液の位置間隔、滴下速度、滴下工程終了時間等によって制御することができる。ドメイン同士が接し始めてから、滴下を終了するまでの時間を短くすると、山脈状突出部の出現頻度を高めることができる。滴下の間隔を狭くするとドメインの数が増え、ドメインの面積は小さくなる。
次いで、形成された単粒子膜をエッチング対象物である基板上に移行する。
単粒子膜を基板上に移し取る具体的な方法には特に制限はなく、例えば、疎水性の基板を単粒子膜に対して略平行な状態に保ちつつ、上方から降下させて単粒子膜に接触させ、疎水性である単粒子膜と基板との親和力により、単粒子膜を基板に移行させることができる。
基板上に移行された単粒子膜は、単粒子エッチングマスクとして機能する。単粒子エッチングマスクが片面に設けられた基板を、気相エッチングして表面加工し(エッチング工程)、基板の片面に凸部を形成する。
具体的には、エッチングガスは、エッチングマスクを構成する粒子の隙間を通り抜けて基板の表面に到達する。そのため、その部分に溝が形成され、各粒子に対応する位置にそれぞれ円柱が現れる。気相エッチングを進めると、各円柱上の粒子も徐々にエッチングされて小さくなる。そのため、さらにエッチングを続けることにより、凸部が形成される。
この凸部は、転写により光学素子1の凹部h1〜hnになる。そのため光学素子1の凹部h1〜hnの形状および平均深さは、エッチング時間、エッチングガスの種類、粒子の材質、基板の材質及びこれらの組合せにより制御できる。
エッチングマスクを構成する粒子は、特に限定されない。例えば金粒子、コロイダルシリカ粒子等を用いることができる。エッチングガスは、一般に用いられるものを用いることができる。例えば、Ar、SF、F、CF、C、C、C、C、C、CHF、CH、CHF、C、Cl、CCl、SiCl、BCl、BCl、BC、Br、Br、HBr、CBrF、HCl、CH、NH、O、H、N、CO、COなどを使用できる。
これらの粒子およびエッチングガスは、エッチングされる基体に合わせて変更することができる。例えばエッチングマスクを構成する粒子として金粒子を選択し、基体としてガラス基板を選択してこれらを組み合わせた場合、エッチングガスにCF、CHFなどのガラスと反応性のあるものを用いると、金粒子のエッチング速度が相対的に遅くなり、ガラス基板のほうが選択的にエッチングされる。
エッチングマスクは、ドメインを有している。ドメイン間に形成される隙間は、エッチングマスクを構成する粒子間の隙間より大きい。そのため、ドメイン間に形成される隙間部分では、エッチングマスクを構成する粒子間の隙間部分よりエッチングが進み、深い凹部が形成される。
このドメイン間に形成される隙間部分に形成される深い凹部は、転写により光学素子1のドメインC〜Cに挟まれた領域に形成される突出部となる。突出部d1〜dnの高さは、主にエッチング条件によって凹部の深さを制御することにより制御できる。
例えば、エッチング時のガス組成を変更することでドメイン間に形成される隙間部分に形成される凹部の深さをより深くすることができる。より具体的には、モールドとなる元の基板としてSiを選択して、通常Cl:CF=50:50とするガス組成に対して、CHFを加えてCl:CF:CHF=50:45:5〜50:10:40のガス組成に変更することで、ドメイン間に形成される隙間部分に形成される凹部の深さをより深くすることができる。
上述のように、突出部はドメインC〜C間の領域以外に、ドメインC〜C内にも形成される。ドメインC〜C内に形成される突出部の高さ及び出現頻度は、エッチングマスクを構成する粒子の粒子径バラツキによって制御できる。
エッチングマスクを構成する粒子の粒子バラツキは、エッチングマスクにおける所定のドメイン内に配列する粒子の配列を乱す原因となる。そのため、この配列が乱れたエッチングマスクを用いてエッチング工程を行うと、粒子間の隙間のサイズにバラツキが生じ、エッチングの進行状態が変化する。粒子間の隙間のサイズが大きい部分では、深い凹部が形成される。この深い凹部は、転写により光学素子1のドメインC〜C内に形成される突出部d1〜dnとなる。
ドメインC〜C内に形成される突出部d1〜dnを得るためには、粒子径のCV値(変動係数)が3%〜20%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
こうして得られたモールドを1回又は複数回転写することで、突出部が形成された光学素子1を簡便に得ることができる。
突出部d1〜dnの高さは、転写の条件を変更することによっても制御することができる。転写の際に、モールドに対する成形材料の充填率を高くすると、モールドに形成された深い凹部への充填性も高まり、形成される突出部の高さを高くすることができる。これに対し、転写の際に、モールドに対する成形材料の充填率を低くすると、モールドに形成された深い凹部へ成形材料が充填されにくくなり、形成される突出部の高さを低くすることができる。モールドに対する成形材料の充填率は、加える圧力、成形材料の粘度、処理温度等により制御できる。
光学素子の反射防止性能をシミュレーションにより確認した。最初にシミュレーションの方法について説明する(Applied Optics, Vol.26,No.6 1142-1146(1987)、Applied Optics, Vol.32,No.7 1154-1167(1993)など参照。)。
屈折率nの物質と、屈折率nの物質の界面への光が入射した際の反射について考える。このとき屈折率nの物体は、図5で示すように凹部形状を有する。
まず図5に示すように、凹部を有する反射防止層を基準点側からN層に分けてスライスし、基準点側から第1層、・・・第N層までを有する層構造とみなす。第j番目の層は、幅qの空気の領域と幅1−qの反射防止層の領域が繰り返してなる。このときの幅は第j−1層との界面の幅とする。この第j番目の層における実効屈折率をn、この層の厚さをdとした。このとき、nは屈折率n、nおよび幅qから求めることができる。dは、凹部の最頻深さを層数Nで割ることで求めることができる。
第j番目の層に波長λの光が入射角φで入射したとし、以下の式(2)で示すトランスファー行列を計算する。
Figure 0006642442
ここでδ、ωは以下の式(3)および式(4)である。
Figure 0006642442
Figure 0006642442
光の通過する順番に従い、各層のトランスファー行列を左から掛ける演算を第1層から第N層まで繰り返し行う。この操作は式(5)で示すことができる。なお、A,B,C,Dは計算した結果の値である。
Figure 0006642442
上記手順を用いて計算されたA,B,C,Dを用いると、このスライスした複数層の反射率を以下のように示すことができる。
Figure 0006642442
[反射防止特性]
(実施例1)
突出部を有する光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。このとき、凹部の深さは300nm、凹部のピッチ120nm、凹部の直径100nm、突出部の高さ100nm、突出部の占める面積率を15%とした。光は屈折率1.0の空気から、屈折率1.5の界面に入射角5°で入射するものとし、反射防止層の材料の屈折率も1.5とした。凹部の深さ、ピッチ、直径、及び突出部の高さはシミュレーションであるため固定値であるが、実際には最頻値に対応する。
(実施例2)
実施例2では、突出部の占める面積率を2%とした点のみが実施例1と異なる。実施例2の光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。
(実施例3)
実施例3では、突出部の高さを30nmとした点のみが実施例1と異なる。実施例3の光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。
(比較例1)
比較例1では、突出部を設けなかった。すなわち、突出部の占める面積率が0%とした点が実施例1と異なる。比較例1の光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。
(比較例2)
比較例2では、突出部の占める面積率を18.8%とした点のみが実施例1と異なる。比較例2の光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。
(比較例3)
比較例3では、突出部の占める面積率を18.8%とした点のみが実施例3と異なる。比較例3の光学素子の5°反射スペクトルを上述のシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。
[防汚性]
実施例1〜3及び比較例1〜3のそれぞれの防汚性を試験した。防汚性の試験は以下の手順で行った。
ポリカーボネート板の表面に実施例1〜3及び比較例1〜3の光学素子を転写形成した。構造面の各5か所に皮脂を付着させて10分間放置した後、エタノールにより洗浄除去を行った。皮脂の残存状態を目視によって評価した。その結果を表1にまとめた。表1において「○」は皮脂の残存が確認できない場合であり、「△」は皮脂の輪郭のみが僅かに確認される場合であり、「×」は皮脂の残存が確認できる場合である。
Figure 0006642442
例えば、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の結果を比較すると、光学特性としては、突出部の占める面積率が高まるほど良好になることが分かる。同様に、実施例3、比較例1及び比較例3を比較しても同様の傾向が得られている。
これに対し比較例2及び比較例3に示すように、突出部の面積率が高すぎると、防汚性の観点からは好ましくない。突出部の面積率が高すぎると、汚れと突出部の先端とが触れ合う頻度が高まるためと考えられる。比較例1のように突出部が無い場合は、凹部の標準面全体が、汚れと触れ合うことになるため、この場合も汚れは落ちにくいものと考えられる。
1:光学素子、2:第1コーティング層、3:第2コーティング層、10,11:光学複合素子、h1〜hn:凹部、d1〜dn:突出部、t1〜tn:中心点、C〜C:エリア

Claims (10)

  1. 使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチで配列する複数の凹部を一面に有する光学素子であって、
    前記光学素子は、前記複数の凹部が所定の配列で並ぶドメインを平面視で複数有し、
    複数の前記ドメインに挟まれる領域及び/または前記ドメイン内の前記複数の凹部に囲まれる領域には、複数の突出部が形成され、
    平面視において前記複数の突出部の占める面積率が、1%〜15%であり、
    前記複数の突出部は、標準面より前記複数の凹部の深さの標準偏差1σ以上突出しており、前記標準面から凹部と反対側に突出した部分であり、
    前記標準面は、AFMの傾き補正によりえられる基準面と平行な面であって、AFMから得られる前記複数の凹部の表面最頻高さ位置における平面であり、
    前記表面最頻高さ位置は、任意に選択した隣接する2つの凹部の中心点を通る25カ所のAFM断面画像から2つの凹部の間の突出した部分の最高点の位置情報を得、得られた位置情報をヒストグラム化し、ヒストグラムをガウス関数でフィッティングして得られる突出した部分の最高点の最頻の位置情報であり、
    前記面積率は、AFMにより無作為に選択された一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形の領域における前記標準面全体の面積に対して前記複数の突出部が占める面積率である、光学素子。
  2. 前記複数の突出部は、平面視でランダムに存在する、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記複数の突出部の最頻高さが、前記複数の凹部の最頻深さの0.2倍以上0.8倍以下である請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記複数の突出部のいずれかと隣接する凹部の個数が、前記複数の凹部の全個数に対し、10%以上80%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
  5. 前記複数の突出部の中に、隣接する前記突出部同士が一部で繋がった山脈状突出部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 前記ドメインが平面視でランダムに配置されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の凹部及び前記複数の突出部の形状を反映した第1コーティング層をさらに有する光学複合素子。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の凹部及び前記複数の突出部の形状全体を埋める第2コーティング層をさらに有する光学複合素子。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記複数の凹部及び前記複数の突出部が形成される面に、前記複数の突出部と接触する保護フィルムと、を有する光学複合素子。
  10. 請求項7に記載の光学複合素子と、
    前記光学複合素子の前記第1コーティング層の内、前記突出部を被覆する部分と接触する保護フィルムを有する保護フィルム付光学複合素子。
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