JP2023148222A - 部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止性能に優れた、樹脂基材を含む部材を、真空プロセスを用いることなく実現する。【解決手段】表面に微細凹凸構造を有する樹脂基材1と、該微細凹凸構造側において樹脂基材1上に位置する、粒子を含む多孔質材からなる多孔質層2と、を有し、多孔質層2は、微細凹凸構造の空隙に多孔質材が充填された充填部2aと、微細凹凸構造上の表層20bとからなり、微細凹凸構造は、柱状の凸部1a又は柱状の凹部が周期的に二次元状に配置しており、表層20bの厚さが80nm以上150nm以下であり、凸部1a又は凹部の間隔が20nm以上300nm以下であり、凸部1aの高さ又は凹部の深さが10nm以上120nm以下である部材とする。【選択図】図2

Description

本発明は、反射防止構造を備え、光学素子として用いられる部材に関する。
近年、ガラス材料より安価であり、軽量且つ耐衝撃性に優れる点等からプラスチックレンズが多用されるようになってきている。レンズは表面での反射を低減するために、反射防止膜が必要であり、該反射防止膜としては、特許文献1のように、蒸着で形成される金属酸化物の多層反射防止膜が一般的である。特許文献2には、シラン化合物の加水分解物とシリカ系微粒子を有機溶剤中に分散したコーティング液を用いて反射防止層を形成する方法が記載されている。
特開2005-241740号公報 特開2008-116348号公報
しかしながら、特許文献1のような蒸着による多層反射防止膜は、真空プロセスを要するためタクトタイムが長くなってしまう。特許文献2のようなコーティング膜は、真空プロセスが不要となる点で好ましいが、反射防止性能が十分とは言えない。
本発明の課題は、反射防止性能に優れた、樹脂基材を含む部材を、真空プロセスを用いることなく実現することにある。
本発明の第一は、表面に微細凹凸構造を有する樹脂基材と、前記微細凹凸構造側において樹脂基材上に位置する、粒子を含む多孔質材からなる多孔質層と、を有する部材であって、
前記多孔質層は、前記微細凹凸構造の空隙に前記多孔質材が充填された充填部と、前記微細凹凸構造上の表層とからなり、
前記微細凹凸構造は、柱状の凸部又は柱状の凹部が周期的に二次元状に配置しており、
前記表層の厚さが80nm以上150nm以下であり、
前記凸部又は凹部の間隔が20nm以上300nm以下であり、前記凸部の高さ又は凹部の深さが10nm以上120nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、反射防止性能に優れた、樹脂基材を含む部材を、真空プロセスを用いることなく実現することができる。
本発明の部材を光学素子として用いた実施形態の断面模式図である。 本発明の部材の基本構成を示す断面模式図である。 本発明に係る樹脂基材の微細凹凸構造例を模式的に示す斜視図である。 本発明に係る反射防止構造の多孔質層の様子を示す断面模式図である。 本発明の部材の他の実施形態の断面模式図である。 本発明に係る樹脂基材の成形型の作製工程を示す断面模式図である。 本発明に係る樹脂基材の射出成形の工程を示す断面模式図である。 本発明の部材の屈折率モデルを示す概略図である。
本発明は、表面に微細凹凸構造を有する樹脂基材と、該微細凹凸構造側において該樹脂基材上に位置する、多孔質材からなる多孔質層と、を有する部材である。本発明において、多孔質層は、粒子を含み、微細凹凸構造の空隙に上記多孔質材が充填された充填部と、微細凹凸構造上の表層と、からなり、微細凹凸構造は、柱状の凸部又は柱状の凹部が周期的に二次元状に配置してなる。さらに、表層の厚さが80nm以上150nm以下、微細凹凸構造の凸部又は凹部の間隔が20nm以上300nm以下であり、前記凸部の高さ又は凹部の深さが10nm以上120nm以下である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
図1(a)は本発明の部材を光学素子として用いた実施形態の厚さ方向の断面模式図である。係る光学素子は、基材層10の少なくとも一方の表面に反射防止構造20を備えている。図1(a)は、基材層10の両面に反射防止構造20を有する構成例である。また、図1(b)は、他の実施形態の厚さ方向の断面模式図であって、一般的にレプリカレンズと呼ばれているガラス基材上に基材層10が積層された光学素子であって、ガラス基材30の両面に基材層10が積層され、その表面に反射防止構造20を備えている。
図2は、本発明の部材の基本構成を示す厚さ方向の断面模式図である。本発明の部材は、樹脂基材1と多孔質層2とを備えており、反射防止構造20は、表面に微細凹凸構造を有する樹脂基材1の、該微細凹凸構造側に多孔質層2を備えた部材において、微細凹凸構造と多孔質層2とからなる部分を指す。
本発明に係る樹脂基材1の表面に形成される微細凹凸構造は、図3(a)、(b)の斜視図に示すように、基準面Bに対して柱状に陥没した部分或いは柱状に突出した部分を有する。以下では、柱状に突出した部分を凸部1a、柱状に陥没した部分を凹部1bと呼ぶ。
本発明に係る多孔質層2は、多孔質材からなり、図2において、該多孔質材は、微細凹凸構造の基準面Bから突出した複数の凸部1aの間の空隙に充填されて充填部2aを構成する。また、多孔質材は、微細凹凸構造上にも配置され、表層20bを構成する。即ち、多孔質層2は、表層20bと充填部2aからなる。また、本発明において、微細凹凸構造と充填部2aとからなる領域、即ち、樹脂基材1の凸部1aと多孔質層2の充填部2aとからなる領域を、便宜上、複合層20aと呼ぶ。よって、反射防止構造20は、複合層20aと表層20bとからなるとも言える。
また、本発明に係る樹脂基材1が、図3(a)のように柱状に陥没した部分を凹部1bとして有する場合、多孔質材は、凹部1bに充填されて充填部2aを構成する。また、多孔質材は、微細凹凸構造上にも配置され、表層20bを構成する。即ち、図2と同様に、多孔質層2は、表層20bと充填部2aからなる。また、本発明において、微細凹凸構造と充填部2aとからなる領域、即ち、凹部1bの間の樹脂基材1と多孔質層2の充填部2aとからなる領域を、便宜上、複合層20aと呼ぶ。よって、反射防止構造20は、複合層20aと表層20bとからなるとも言える。
図1(a)、(b)に図示した基材層10は、樹脂基材1が図3(b)のように柱状の凸部1aを有する場合には、樹脂基材1より凸部1aを除いた部分であり、基材層10の表面に相当するのが基準面Bである。この場合、樹脂基材1は、基材層10と凸部1aとからなると言える。また、樹脂基材1が図3(a)のように柱状の凹部1bを有する場合には、樹脂基材1より、基準面Bから凹部1bの深さ部分を除いた部分である。この場合、樹脂基材1は、基材層10と、凹部1b間の部位とからなると言える。
〔微細凹凸構造〕
複合層20aの屈折率は、複合層20aにおける充填部2aの体積比率で決まる。即ち、屈折率は微細凹凸構造で調整可能であり、樹脂基材1の屈折率と、充填部2aの多孔質材の屈折率に応じて、反射率が低くなるように適宜調整される。好ましくは、複合層20aにおける充填部2aの体積比率は30%乃至50%である。
本発明に係る微細凹凸構造は、図3(a)、(b)の斜視図に示すように、樹脂基材1の基準面Bに対して柱状に陥没した部分或いは柱状に突出した部分を有する。以下では、柱状に突出した部分を凸部1a、柱状に陥没した部分を凹部1bと呼ぶ。柱状の凸部1a又は柱状の凹部1bは二次元状に周期的に配置されている。凸部1a又は凹部1bの断面形状(柱状の中心軸に対して垂直な方向の断面における形状)としては、円形、多角形のいずれでもよく、異なる形状の凸部1a又は凹部1bが混在していても構わない。製造上の容易性から、実質同一な形状の凸部1a又は凹部1bとすることが好ましい。
また、凸部1a又は凹部1bの平面配置としては、複数個の凸部1a又は凹部1bの行が、複数列配置する碁盤目状でも、凸部1a又は凹部1bが正三角形の頂点に位置する三角格子配列のいずれでも良い。図3(a)では、柱状の凹部1bが、図3(b)は柱状の凸部1aが、いずれも三角格子配列されている。
本発明において、凸部1a又は凹部1bは実質柱状であればよく、製造上、側面が多少傾いていても良く、柱状の中心軸方向に対して、側面のなす角度(開き角)が5°以内であればよい。
本発明において、凸部1aの高さ、又は凹部1bの深さ、即ち複合層20aの厚さDsは、10nm以上120nm以下である。また、凸部1a又は凹部1bの間隔(ピッチ)Pは、20nm以上で対象の光の波長の半分以下が好ましいことから、可視光を対象として、20nm以上300nm以下である。係る範囲であれば、可視光において、良好な反射防止効果が得られる。凸部1aの高さ又は凹部1bの深さ、及び凸部1a又は凹部1bの間隔については、均等であることが望ましいが、上記の範囲内でばらついていても構わない。
〔多孔質層〕
図4は、本発明に係る多孔質層の様子を示す厚さ方向の断面模式図である。多孔質層2は、粒子を含む多孔質材からなり、微細凹凸構造の凹部1b中に充填された充填部と該微細凹凸構造上の表層20bとの2層構成になっている。尚、図4では、微細凹凸構造として凹部1bを設ける例を示しているが、凸部を設ける場合も同様である。
多孔質層2においては、多孔質材に含まれる粒子31,34を、バインダー32で互いに結着し、粒子間に空隙33を形成して多孔質としている。図4(a)は、粒子が鎖状粒子31である形態を、図4(b)は、粒子として鎖状粒子31と中空粒子34とを併用した形態を示す。
多孔質層2の屈折率は1.15以上1.30以下が好ましく、1.18以上1.26以下がより好ましい。屈折率が1.15以上で多孔質層2の機械強度が確保され、屈折率が1.30以下で空気と樹脂基材1との屈折率差を十分に低減し、十分な反射防止効果が得られる。
多孔質層2の表層20bの厚さDaは、80nm以上150nm以下であり、好ましくは120nm以下である。また、微細凹凸構造の凹部1bの深さ(=凸部の高さ=複合層20aの厚さ)Dsは、上記したように、10nm以上120nm以下である。
複合層20aは、上層の表層20bとの干渉による反射防止性能の向上に特に有効であり、且つ、耐擦傷性の向上がある。微細凹凸構造を有していない平滑な樹脂基材1の表面に多孔質層2を設けた場合、多孔質層2と樹脂基材1との界面で多孔質層2の膜剥がれが生じやすい。本発明においては、微細凹凸構造は凹部に充填された多孔質材がアンカーとなり、多孔質層2が剥がれにくく、耐擦傷性が高い。
(粒子)
多孔質層2に含まれる粒子は、無機粒子が好ましく用いられる。具体的には、酸化ケイ素粒子、フッ化マグネシウム粒子、フッ化リチウム粒子、フッ化カルシウム粒子、フッ化バリウム粒子が挙げられ、好ましくは酸化ケイ素粒子である。粒子の形状としては鎖状、繭型、真球、円盤、棒状、針状、角型などが挙げられる。多孔質層2の屈折率を下げる場合には、鎖状粒子や、シェルに囲まれた空孔を有する中空粒子が好ましい。
鎖状粒子は、酸化ケイ素粒子として得られ、一次粒子である球状粒子が、直線又は屈曲しながら複数連なった二次粒子である。鎖状粒子を構成する一次粒子は、個々の形状が明確に観察できる状態でも、粒子同士が互いに融着するなどして形が崩れた状態であっても構わないが、個々の形状を明確に観察できる状態の方が好ましい。鎖状粒子を構成する一次粒子は、真球状でも繭型や俵型であっても良いが、繭型或いは俵型が特に好ましく、短径が8nm以上20nm以下で長径が短径の1.5倍以上3.0倍以下の粒子が特に好ましい。
鎖状粒子の太さは、一次粒子1個の平均粒子径に相当している。一次粒子の平均粒子径は、塗工液から抽出した鎖状粒子について、窒素吸着法によって得られる比表面積から算出することができる。鎖状の酸化ケイ素粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、8nm以上20nm以下が好ましい。係る平均粒子径が8nm以上で鎖状粒子の表面積が適度に抑えられ、雰囲気中の水分や化学物質の取り込みによる膜の信頼性の低下の恐れがなくなる。また、係る平均粒子径が20nm以下で、溶媒への分散が安定になり良好な塗工性が得られる。
鎖状粒子の平均粒子径は、二次粒子のフェレ径に相当しており、塗工液中の粒子であれば動的光散乱法によって求めることができる。鎖状粒子の平均粒子径は、一次粒子の平均粒子径の4倍以上8倍以下が好ましい。鎖状粒子の平均粒子径が一時粒子の平均粒子径の4倍以上であれば、膜が緻密になり過ぎず、屈折率を十分に下げることができ、8倍以下であれば、塗工液の粘度が適度な範囲になり、良好な塗工性、レベリング性が得られる。
また、多孔質層2中に含まれる鎖状の酸化ケイ素粒子の鎖状粒子を構成する一次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡像から算出することができる。
中空粒子の製造方法として、酸化ケイ素粒子の場合は特開2001-233611号公報や、特開2008-139581公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。またフッ化マグネシウム粒子の場合は特開2012-76967号公報や特開2015-145325号公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。
中空粒子の平均粒子径とは平均15nm以上300nm以下であることが望ましく、30nm以上80nm以下が好ましい。平均粒子径が15nm以上であれば、粒子を安定的に製造することができ、平均粒子径が300nm以下であれば、粒子間に発生するボイドがさほど大きくなく、粒子による散乱も抑えられる。
中空粒子の平均粒子径とは平均フェレ径である。この平均フェレ径は、塗工液に含まれる粒子或いは多孔質層2中に含まれる粒子を透過型電子顕微鏡像によって観察したものを画像処理によって測定することができる。画像処理方法としては、image Pro PLUS(メディアサイバネティクス社製)など市販の画像処理を用いることができる。所定の画像領域において、必要に応じて適宜コントラスト調整を行い、粒子測定によって各粒子のフェレ径を測定し、複数の粒子の平均値を算出して求めることができる。
中空粒子のシェルの厚みは、平均粒子径の10%以上50%以下、好ましくは20%以上35%以下である。シェルの厚みが10%以上であれば、粒子自体の強度が十分であり、シェルの厚みが50%以下であれば、粒子が占める体積に対する空隙の割合が大きく、粒子を用いる効果、即ち屈折率1.30以下の多孔質層2を形成することができる。
鎖状粒子、中空粒子以外の粒子の平均粒子径は、塗工液中であれば動的光散乱法によって求めることができる。多孔質層2中であれば、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡像から、複数の粒子についてフェレ径を計測し、それらの平均値を平均フェレ径とすることができる。
(バインダー)
粒子31,34同士を結合させるバインダー32は、粒子31,34が無機粒子であれば、同質の無機材料が好ましい。同質の材料を使用することで、粒子間の結合強度が強くなるとともに、使用環境によって変質しにくい多孔質層を実現することができる。そのため、粒子として酸化ケイ素粒子を用いた場合、バインダーは酸化ケイ素化合物が好ましい。酸化ケイ素化合物として好ましい例は、ケイ酸エステルを加水分解・縮合することにより得られる酸化ケイ素オリゴマーの硬化物である。
多孔質層2中のバインダー量は、多孔質層2に含まれる粒子100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下が好ましく、さらには1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下が望ましい。バインダー量が0.1質量部以上であれば、粒子同士の結着が十分となり多孔質層2も十分な強度が得られ、20質量部以下であれば、バインダーが粒子の配列を乱すことなく、多孔質層2が可視光に対して良好な散乱による低屈折率を実現できる。
本発明の部材は、必要に応じて、図5に示すように、多孔質層2上、即ち樹脂基材1とは反対側の表面に、防汚層や親水層などの機能層3を設けても良い。防汚層としては、フッ素ポリマーを含む層、フルオロシラン単分子層、酸化チタン粒子を含む層などが挙げられる。親水層には親水性ポリマー層が好ましく、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホルコリン基などの両イオン性親水基を有するポリマーを含む層が特に好ましい。
本発明の部材は、レンズ、ミラー、フィルター、機能性フィルム等の光学素子として好ましく用いることができる。特に、高耐久で高性能な反射防止性能が求められる表示デバイス、撮像デバイスなどが挙げられる。中でも、軽量化が求められる頭部装着型ディスプレイ(HMD,Head Mounted Display)のレンズやフィルターなどが好適である。
〔製造方法〕
以下、本発明の部材の製造方法について説明する。
(樹脂基材)
微細凹凸構造を有する樹脂基材は、反転した微細凹凸構造を有する成形型を使って、射出成形やインプリントで作製することができる。レンズの場合は曲面に微細凹凸構造を有する成形型を作製する必要がある。反転した微細凹凸構造を有する成形型の製造工程を、図6に示す。図6は、厚さ方向の断面模式図である。係る方法により、鏡面型面に微細凹凸構造を形成し、複合層の屈折率及び層厚の制御が可能である。
図6(a)に示すように、微細凹凸構造を形成する成形型は、スタバックス材からなる基材41上に、NiPからなるめっき膜42を成長させた後、表面を平滑化する。次いで、めっき膜42の表面を洗浄した後、スパッタにて表面にSiO2膜43を一様な膜厚100nm以上300nm以下で成膜する。スパッタではSiターゲットを用いArガスとO2ガスの割合を微調整して成膜する。後工程のドライエッチングでSiO2膜43のエッチング深さを膜組成のエッチング選択比で制御する為に、SiO2膜43において、めっき膜42と近い側にはSiリッチな膜を形成する。また、めっき膜42と遠い側には微細凹凸構造の凸部の高さ又は凹部の深さに相当する厚み以上のSiO2膜を形成する。
図6(b)に示すように、SiO2膜43上に、スピンコートでフォトレジスト44を膜厚が一様になるように塗布し、プリベーク等の乾燥処理を施す。
フォトレジスト44に対して、電子ビーム描画にて、凹凸構造の凸部又は凹部に対応するパターンを鏡面型曲面に対して法線方向になるように描画する。電子ビーム描画により、微細凹凸構造の凸部又は凹部の断面形状、大きさ、間隔、即ち、複合層の屈折率が調整可能である。描画工程で用いるフォトレジスト44の厚みは鏡面型面に形成する微細凹凸構造と関係し、具体的には高さを80nmとするとドライエッチングでの選択比から60nm以上の厚さが必要となる。尚、フォトレジスト44に関しては描画装置等の仕様に応じてバーク、タークの処理により、界面反射の低減を適時行う。
描画後の成形型を現像液に浸漬して描画パターンを形成した後、ポストベーク処理を行うことで、SiO2膜43上のフォトレジスト44に、ドライエッチングで形成する微細凹凸構造を高さ方向に縮小した類似パターンが形成される(図6(c))。
図6(d)に示すように、フォトレジスト44をマスクにしてCHF3ガスを用いたドライエッチングでSiO2膜43を、凸部の高さ又は凹部の深さ分エッチングして、鏡面型面に反転した微細凹凸構造を形成する。凸部の高さ又は凹部の深さはSiO2膜43の膜厚とドライエッチング時間で制御可能である。
ドライエッチング後に酸素ガスによるアッシング処理を施すことで、フォトレジスト44の残渣を除去し、反転した微細凹凸構造が形成されたSiO2膜43を有する射出成形用鏡面型が製作される(図6(e))。
次に、図6の工程で作製された成形型を用いた樹脂基材の射出成形による製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、図1(a)に示した部材の製造工程であり、厚さ方向の断面模式図である。
基材層10の両面に反射防止構造20を有する部材を構成する場合、両面に微細凹凸構造が形成されるように、図7(a)に示すように、両面側にそれぞれ反転した微細凹凸構造を有する成形型61a,61bを用意する。成形型61a,61bは射出成形装置の固定側、可動側の型62a,62bのそれぞれに組み込まれるが、いずれを固定側としても良い。尚、樹脂基材1の表面が曲面状である場合には、微細凹凸構造の凸部又は凹部は、該曲面の法線方向に沿って形成される。
次に、図7(b)に示すように、成形型61aと61bとの間隙に、未硬化の樹脂63を注入する。射出成形の樹脂には吸水性が少ないシクロオレフィンポリマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、吸水性が少ないシクロオレフィン樹脂を用いることが好ましい。シクロオレフィン樹脂を用いる場合、溶融樹脂温度は250℃以上290°以下が好ましく、金型温度は125℃以上140℃以下が好ましく、保圧は20MPa以上90MPa以下で成形することが好ましい。
成形樹脂温度がガラス転移温度以下の温度まで冷却した後、図7(c)に示すように、エジェクターピンを用いて成形品が傾かないように離型して両面に微細凹凸構造を有する樹脂基材1が得られる。
開角の小さいレンズ(平面に近いレンズ)を射出成形する場合、例えばレンズの光軸方向を離型方向とする場合には微細凹凸構造の凸部の高さ又は凹部の深さは問題なく、形成可能である。但し、開角の大きいレンズの場合には、成形型61a,61bに形成された微細凹凸構造の凸部又は凹部の柱状の中心軸が光軸と平行でない箇所を離型する場合に微細凹凸構造が変形し反射率を大きく変える構造分布を生じる可能性がある。しかしながら、本発明では、凸部の高さ又は凹部の深さが120nm以下であるため、樹脂基材1の弾性変形で離型時の歪を吸収できるため、問題ない。
(多孔質層)
次に多孔質層の製造に用いられる塗工液について説明した後、反射防止構造の製造方法について説明する。
〈塗工液〉
多孔質層2を形成するための塗工液は、多孔質材を構成する粒子と該粒子同士を結着するバインダー成分と有機溶媒とを含んでいる。該塗工液中で粒子が均一に分散していること、塗布後の溶媒の乾燥速度が遅い方が、微細凹凸構造の凸部間又は凹部内に粒子を均一に充填することができる。粒子が分散媒やバインダーとなる成分の影響を受けて凝集した状態で存在していると、微細な凸部間又は凹部内に浸入しにくくなる。また、塗工液の塗布後の乾燥過程で微細凹凸構造側とその反対側で乾燥速度に大きな差がある場合には、微細凹凸構造の凸部間又は凹部内への粒子の充填が不十分となり、充填部内の空隙が大きくなりやすい。さらに、凸部間の空隙又は凹部が大きくなると多孔質層2のアンカー効果が弱くなり、耐擦傷性が弱くなる。
バインダーは、粒子と同質の材料が好ましい。そのため、粒子として酸化ケイ素粒子を用いた場合、バインダーは酸化ケイ素化合物が好ましい。酸化ケイ素粒子は表面にシラノール(Si-OH)基を有しているが、塗工液中で酸化ケイ素オリゴマーと混合することによって、表面のシラノール基の数をさらに増やすことができる。その結果、粒子同士がより結着しやすい表面状態になることが可能になる。塗工液を塗布及び乾燥させると、酸化ケイ素オリゴマーが複数の粒子を互いに結着するため、耐擦傷性の高い多孔質層2を実現することができる。
本発明に係る塗工液において、バインダーとなる成分の含有量は、上記した多孔質層2の組成と同様である。
塗工液に用いることができる有機溶媒は、粒子が析出したり、塗工液が急激に増粘したりしない溶媒であれば良い。例えば以下の溶媒が挙げられる。メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、シクロペンタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-エチルブタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノールなどの1価のアルコール類。エチレングリコール、トリエチレングリコールなどの2価以上のアルコール類。メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノールなどのエーテルアルコール類、ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルのようなエーテル類。ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類。n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタンのような各種の脂肪族系ないしは脂環族系の炭化水素類。トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの各種の芳香族炭化水素類。アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの各種のケトン類。クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、テトラクロロエタンのような、各種の塩素化炭化水素類。N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレンカーボネートのような、非プロトン性極性溶媒等。これらの溶媒のうち、2種類以上の溶媒を混ぜて使用することも可能である。
粒子の分散性、塗工液の塗布性の観点から、塗工液に含まれる溶媒の30質量%以上が、炭素数4以上6以下の水酸基を有する水溶性溶媒で沸点の高いものが好ましい。中でも、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、イソプロポキシエタノール、ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、3-メトキシ-1-ブタノールから選択される少なくとも1種の溶媒を含むことが特に好ましい。
〈多孔質層の作製〉
多孔質層2の作製は、樹脂基材1上への塗工液の塗布工程と、該塗工液の乾燥及び/又は焼成工程からなる。樹脂基材1に塗工液を塗布する方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スリットコート法、印刷法、グラビアコート法やディップコート法などが挙げられる。凹面などの立体的に複雑な形状を有する部材を製造する場合は、均一な厚みで塗布し易いため、スピンコート法が好ましい。
塗工液の乾燥及び/又は焼成工程としては、特に限定されない。
微細凹凸構造を有する樹脂基材は反転した微細凹凸構造を有する成形型を使って、射出成形で作製した。凹部の間隔Pは250nmとした。樹脂材料としてはシクロオレフィン樹脂を用い、溶融樹脂温度は270℃、金型温度は130℃、保圧は50MPaで成形した。溶融樹脂射出後、成形樹脂温度がガラス転移温度以下の温度まで冷却した後、エジェクターピンを用いて成形品が傾かないように離型して微細凹凸構造を有する樹脂基材を製作した。
各例の樹脂基材に対し、塗工液を調製し、塗布して多孔質層を形成した。以下に評価方法を記す。
〈微細凹凸構造のサイズの評価〉
FIB付き高分解能SEM装置を用い、FIBでの断面出し加工(Slice)とSEMによる観察(View)を細かく繰り返し、取得した像を再構築することで微細凹凸構造の立体的なサイズの評価を行った。
〈反射防止構造の反射率の評価〉
反射率測定機(オリンパス製 USPM-RUIII)を用い、波長380nm乃至780nmまで反射率を測定した。
〈多孔質層の屈折率の評価〉
微細凹凸構造のサイズと反射率の結果を用い、解析から多孔質層の屈折率を求めた。解析に用いた反射防止構造の屈折率モデルを図8に示した。
図8において、横軸が層厚を示している。Daは多孔質層の表層の層厚、Dsは複合層の層厚であり、FIB付き高分解能SEM装置の評価結果を用いた。また、縦軸は屈折率を示している。Nsrはシクロオレフィンポリマーの屈折率(1.537)とした。Naは多孔質層の屈折率である。Nsbは微細凹凸構造の底(樹脂基材側)での複合屈折率、Nstは微細凹凸構造の上(表層側)での複合屈折率である。
複合屈折率はMaxwell-Garnettの式で表し、式中の固体の体積分率はFIB付き高分解能SEM装置の評価結果から求めた値を使った。また、微細凹凸構造の多孔質層、即ち充填部の屈折率は表層の多孔質層の屈折率と同じとして、多孔質層の屈折率を求めた。
〈耐擦傷性の評価〉
反射防止構造の耐擦傷性の評価を以下の方法で行った。シルボン紙を使って、50往復の乾拭き試験を行い、目視にて膜剥がれやキズの確認を行った。その際に荷重は100g/cm2から100g/cm2ずつ増加していき、膜剥がれやキズが確認されるまで行った。例えば、500g/cm2荷重の50往復乾拭き試験後に膜剥がれやキズが確認された場合は耐擦傷性の評価結果は400g/cm2評価とした。
(実施例1)
微細凹凸構造として円柱状の凹部が三角格子配列した樹脂基材を作製し、以下の方法にて多孔質層を形成するための塗工液を調製し、樹脂基材の上に多孔質層を形成して、反射防止構造を有する部材を作製した。
鎖状酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散液(日産化学株式会社製 IPA-ST-UP、粒子径40nm、固形分濃度15質量%)400gに1-プロポキシ-2-プロパノールを加えながら、イソプロピルアルコールを加熱蒸留した。固形分濃度が30.0質量%となるまで、イソプロピルアルコールを蒸留して、鎖状酸化ケイ素粒子の1P2P溶媒置換液(以下、「溶媒置換液1」と称する)200gを調整した。尚、動的光散乱方法で計測した結果、上記鎖状酸化ケイ素粒子の粒子径分布のピーク値が40nmであり、一次粒子の平均粒子径は10nm、二次粒子の長径は40nm乃至100nmであった。
別の容器に、ケイ酸エチル12.48gにエタノール13.82gと硝酸水溶液(濃度3%)を加え、室温で10時間攪拌し、シリカゾル1(固形分濃度11.5質量%)を調製した。ガスクロマトグラフィーにより原料のケイ酸エチルが完全に反応していることを確認した。
固形分濃度が5.0質量%になるように、溶媒置換液1を乳酸エチルで希釈した後、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100:5になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、鎖状酸化ケイ素粒子を含む塗工液1を得た。
得られた塗工液1を樹脂基材上に滴下し、スピンコーターにて成膜後、ホットプレートにて100℃で5分間焼成を行い、反射防止構造を有する部材を作製した。
その後、反射率評価を行ったところ波長400nm乃至700nmの平均反射率は0.12%であり、耐擦傷性評価を行ったところ400g/cm2であった。
その後、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行った。多孔質層の表層の層厚Daは91nm、凹部の深さDsは60nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に例示したように、側面が上部(開口部)に向かってやや広がる形状であり、開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは151nmであった。屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.20であった。
(実施例2)
凹部のサイズを変えた樹脂基材を作製し、塗工液1における酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比を100:10とした以外は実施例1と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が0.12%、耐擦傷性評価は400g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、表層の厚さDaは90nm、凹部の深さDsは49nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に示した形をしており、側面は開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは153nmであった。屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.22であった。
(実施例3)
凹部のサイズを変えた樹脂基材を作製し、塗工液1における酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比を100:15とした以外は実施例1と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が0.18%、耐擦傷性評価は400g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、表層の厚さDaは91nm、凹部の深さDsは26nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に示した形をしており、側面は開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは172nmであった。屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.26であった。
(実施例4)
実施例3と同じ条件で樹脂基材を作製し、以下の方法にて塗工液2を調製した以外は、実施例1と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
実施例1と同様にして得られた溶媒置換液1に、鎖状酸化ケイ素粒子:中空酸化ケイ素粒子の質量比が2:1になるように中空酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散液を添加し、分散液2を得た。中空酸化ケイ素粒子のイソプロピルアルコール分散液としては、日揮触媒化成株式会社製 スルーリア4110、平均粒子径(フェレ径)約60nm、シェル厚約10nm、固形分濃度20.5質量%を用いた。また、実施例1と同様にしてシリカゾル1を調製した。
固形分濃度が5.0質量%になるように、分散液2を乳酸エチルで希釈した後、酸化ケイ素粒子:シリカゾル成分の質量比が100:10になるように、シリカゾル1を添加した。さらに、室温で2時間混合攪拌することで、鎖状酸化ケイ素粒子と中空酸化ケイ素粒子を含む塗工液2を得た。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が0.15%、耐擦傷性評価が500g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、表層の厚さDaは105nm、凹部の深さDsは26nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に示した形をしており、側面は開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは172nmであった。
本例においては、凹部中の充填部と表層とで、多孔質材中に存在する中空粒子の割合が違っており、中空粒子は表層側に優先的に配列しており、耐擦傷性が向上していた。最表層に中空粒子が配列することで滑り性が良くなり、鎖状粒子と混ざり合うことで樹脂基材との密着力は十分確保できているためと考えられる。
多孔質層の屈折率の参考となる評価は、次の方法で行った。塗工液2をシリコンウエハ上に、実施例で樹脂基材上に形成したのと同じ条件で塗布、焼成し、多孔質層を形成した。分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用いて、多孔質層に光を入射させ、その反射光を波長380nm乃至800nmまで測定して屈折率を算出しところ1.21であった。
(比較例1)
凹部のサイズを変えた樹脂基材を作製した以外は、実施例2と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が1.10%、耐擦傷性評価400g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、表層の厚さDaは90nm、凹部の深さDsは130nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に示した形をしており、側面は開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは153nmであった。屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.22であった。
本例の部材が、実施例2と比較して反射率が大きくなった原因は、凹部の深さが深すぎたため、干渉での反射抑制効果が低下したためと考えられる。
(比較例2)
塗工液の固形分濃度が7.0質量%になるように、溶媒置換液1を乳酸エチルで希釈した以外は実施例2と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が2.70%、耐擦傷性評価が400g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、表層の厚さDaは160nm、凹部の深さDsは49nmであった。また円柱状の凹部の中心軸を含む断面形状は図4(a)に示した形をしており、側面は開き角度θsが3°傾いた直線であった。凹部の深さ方向の中央部の直径をLsとした時のサイズは153nmであった。屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.22であった。
本例の部材が、実施例2と比較して反射率が大きくなった原因は、表層の多孔質層の厚さが厚すぎるため、干渉での反射抑制効果が低下したためと考えられる。
(比較例3)
射出成形型の微細凹凸構造を作る際のドライエッチング条件を変更することで円錐状の凸部を有する微細凹凸構造を形成し、該成形型を用いて射出成形して、円錐状の凹部が三角格子配列した樹脂基材を作製した。係る樹脂基材を用いる以外は実施例3と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が1.15%、耐擦傷性評価が600g/cm2であった。
また、FIB付き高分解能SEM装置を用い、微細凹凸構造のサイズの評価を行ったところ、凹部の形状は開口部に向かって広がる円錐台形をしていた。凹部の底(樹脂基材側)の最小直径は5nm、凹部のトップ(表層の多孔質層側)での最大直径は245nmであり、凹部のトップと、充填部の表面はほぼ一致しており、表層部がなく(Da=0)、凹部の深さDsは350nmであった。深さの屈折率モデルから算出した多孔質層の屈折率は1.26であった。
本例の反射防止構造は屈折率傾斜構造であり、このような構造では、凹部を埋めないモスアイ構造が最適であり、凹部を多孔質材で埋めると耐擦傷性は向上するものの、反射防止性能が劣化してしまう結果となった。
(比較例4)
微細凹凸構造のない成形型を用いて樹脂基材を作製した以外は実施例3と同様にして、反射防止構造を有する部材を作製した。
得られた部材について評価したところ、反射率評価は波長400nm乃至700nmの平均反射率が0.50%、耐擦傷性評価が100g/cm2であった。
多孔質層の膜厚と屈折率は、分光エリプソメータ(VASE、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用いて測定し、単層モデルで算出した。膜厚は90nmであり、屈折率は1.26であった。
実施例と比較例の結果を表1に示す。
Figure 2023148222000002
1:樹脂基材、1a:凸部、1b:凹部、2:多孔質層、20b:表層、30:ガラス基材、31:鎖状粒子、34:中空粒子

Claims (7)

  1. 表面に微細凹凸構造を有する樹脂基材と、前記微細凹凸構造側において樹脂基材上に位置する、粒子を含む多孔質材からなる多孔質層と、を有する部材であって、
    前記多孔質層は、前記微細凹凸構造の空隙に前記多孔質材が充填された充填部と、前記微細凹凸構造上の表層とからなり、
    前記微細凹凸構造は、柱状の凸部又は柱状の凹部が周期的に二次元状に配置しており、
    前記表層の厚さが80nm以上150nm以下であり、
    前記凸部又は凹部の間隔が20nm以上300nm以下であり、前記凸部の高さ又は凹部の深さが10nm以上120nm以下であることを特徴とする部材。
  2. 前記多孔質層の屈折率が1.15以上1.30以下であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  3. 前記微細凹凸構造における前記充填部の体積比率が30%乃至50%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部材。
  4. 前記粒子が、シリカからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の部材。
  5. 前記粒子が鎖状粒子であることを特徴とする請求項4に記載の部材。
  6. 前記粒子が鎖状粒子と中空粒子とであることを特徴とする請求項4に記載の部材。
  7. さらにガラス基材を備え、前記樹脂基材が前記ガラス基材上に積層されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の部材。
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