JP6330711B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子に関する。
例えばパソコンなどのディスプレイの表面には、視認性向上のためのフィルム状の反射防止構造体が設けられることが多い。このような反射防止構造体として、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小な凸部を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている。この方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
このようなモスアイ構造では、原理的にはこの凸部の底面の幅に対する高さの比(以下、アスペクト比という。)は大きい程、高い反射防止性能が得られる。一方で、アスペクト比が大きくなると、凸部の構造の安定性が失われ、隣接する凸部の先端部同士が互いに結合し、反射防止性能を劣化させるという問題(以下、スティッキングという。)があった。またアスペクト比が高いと、金型から凸部を転写する際に、その金型に樹脂等が目詰まりしてしまうという問題があった。
そのため、アスペクト比を高くすることなく、高い反射防止性能を得るために様々な検討がされている。
例えば特許文献1では、凸部に二つ以上のステップを設けることにより、光学素子の反射防止性能を向上させることが記載されている。凸部に二つ以上のステップを設けると、モスアイ構造による屈折率が連続的に変化する界面の中に、不連続界面が生じる。この不連続界面は、入射した光の一部を反射する。この不連続界面で反射した光同士を干渉させることで、反射光を低減させることが提案されている。
特開2010−79200号公報
しかしながら、特許文献1に記載された光学素子は、その反射防止性能が十分でなかった。また高い反射防止性能を得ようとすると、反射光が干渉する頻度を増やす必要があり、より多くのステップを凸部に形成する必要があった。このような多数のステップを有する凸部を作製するには、複雑な工程を経る必要があり、作製することが難しかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、反射防止性能が高く、製造することが容易な光学素子を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、凸部のステップの幅やステップの位置に着目して鋭意研究を重ねた。
その結果、所定の範囲に凸部のステップの幅や位置を設ければよいことを見出した。
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、前記凸部の80%以上が、1つ以上のステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;(ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂部を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
Figure 0006330711
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〔2〕基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、前記凸部の80%以上が、2つ以下のステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;(ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂点を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
Figure 0006330711
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〔3〕基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、前記凸部の80%以上が、1つのステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;(ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂点を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
Figure 0006330711
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〔4〕前記凸部の最頻高さが、使用環境下の光の波長範囲における中央値の45〜55%の範囲内にあることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学素子。
〔5〕前記ステップを有する凸部の包絡面が、錘形状であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の光学素子。
〔6〕隣接する7つの前記凸部の中心点が正六角形の6つの頂点と対角線の交点となる位置関係で連続して整列しているエリアを複数備え、該複数のエリアの面積、形状および格子方位がランダムであることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学素子。
本発明の光学素子は、基体上に微小な凸部を有し、その凸部が所定の幅および所定の位置にステップを有しているので、高い反射防止性能を有する。また所定の幅および所定の位置にステップを有しているので、ステップの数を少なくすることができ、より容易に製造することができる。
本発明の光学素子を模式的に示す断面図である。 本発明の光学素子を模式的に示す平面図である。 ステップの定義を説明するための模式図である。 ステップの幅およびステップの高さの定義を説明するための断面模式図である。 本発明の光学素子の製造方法を模式的に示した断面模式図である。 本発明の光学素子の製造方法における移行工程を模式的に示した断面模式図である。 シミュレーションの方法を説明するための断面模式図である。 本発明の光学素子に可視光領域の波長を入射した場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の光学素子に近赤外光領域の波長を入射した場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の光学素子に近紫外光領域の波長を入射した場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
図1は、本発明の光学素子を模式的に示す断面図である。また図2は、本発明の光学素子を模式的に示す平面図である。基体1上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチPを有する複数の微小な凸部c1〜cnを備える。また凸部c1〜cnの間に平坦部fを有していてもよい。
図1におけるt1〜tnは各凸部c1〜cnの中心点である。AFM(原子間力顕微鏡)の測定結果に基づき、基準面と平行に各凸部について20nm毎に複数の等高線を引き、各等高線の重心点(x座標とy座標で決定される点)を求める。これらの各重心点の平均位置(各x座標の平均とy座標の平均で決定される位点)が、該凸部の中心点である。
図1におけるm1〜mnは、AFMで求めた隣接する中心点の中点である。また、平坦面fは、AFMの測定結果に基づき、その領域内の中点における表面高さと、その領域内における任意の点の表面高さとを結ぶ直線の、AFMの基準面に対する傾きが±10゜以下である領域である。なお、基準面は測定領域における基体面と平行な面とした。
最頻ピッチPは、具体的には、以下のようにして求めることができる。
まず、基体1上における無作為に選択された領域で、一辺が最頻ピッチPの30〜40倍の正方形の領域について、AFMイメージを得る。例えば、最頻ピッチが300nm程度の場合、9μm×9μm〜12μm×12μmの領域のイメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。こうして求められた距離の逆数がこの領域における最頻ピッチPである。このような処理を無作為に選択された合計25カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における最頻ピッチを求める。こうして得られた25カ所以上の領域における最頻ピッチP〜P25の平均値が最頻ピッチPである。なお、この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましく、より好ましくは5mm〜1cm離れて選択される。
凸部c1〜cnは、図2に示すように複数のエリアC〜Cに分かれていてもよい。
各エリアC〜Cは、隣接する7つの凸部の中心点が正六角形の6つの頂点と対角線の交点となる位置関係で連続して整列している領域である。なお、図2では、各凸部の中心点の位置を、便宜上、その中心点を中心とする円uで示している。円uは、図1に示すように、各凸部だけでなく、その周辺の平坦面を含む領域に相当する。
本発明において、隣接する7つの凸部の中心点が正六角形の6つの頂点と対角線の交点となる位置関係とは、具体的には、以下の条件を満たす関係をいう。
まず、1つの中心点t1から、隣接する中心点t2の方向に長さが最頻ピッチPと等しい長さの線分L1を引く。次いで中心点t1から、線分L1に対して、60゜、120゜、180゜、240゜、300゜の各方向に、最頻ピッチPと等しい長さの線分L2〜L6を引く。中心点t1に隣接する6つの中心点が、中心点t1と反対側における各線分L1〜L6の終点から、各々最頻ピッチPの15%以内の範囲にあれば、これら7つの中心点は、正六角形の6つの頂点と対角線の交点となる位置関係にある。
各エリアC〜Cの最頻面積Q(各エリア面積の最頻値)は、以下の範囲であることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、0.026μm〜6.5μmであることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm以上1μm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、0.65μm〜26μmであることが好ましい。
最頻ピッチPが1μm以上の時、50μm×50μmのAFMイメージ測定範囲内における最頻面積Qは、2.6μm〜650μmであることが好ましい。
最頻面積Qが好ましい範囲内であれば、反射防止性能の視野角依存性が高くなる問題を防止しやすい。
また、各エリアC〜Cは、図2に示すように、面積、形状及び格子方位がランダムである。
面積のランダム性の度合いは、具体的には、以下の条件を満たすことが好ましい。
まず、ひとつのエリアの境界線が外接する最大面積の楕円を描き、その楕円を下記式(7)で表す。
Figure 0006330711
最頻ピッチPが500nm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、0.08μm以上であることが好ましい。
最頻ピッチPが500nm以上1μm未満の時、10μm×10μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、1.95μm以上であることが好ましい。
最頻ピッチPが1μm以上の時、50μm×50μmのAFMイメージ測定範囲内におけるπabの標準偏差は、8.58μm以上であることが好ましい。
πabの標準偏差が好ましい範囲内であれば、反射光の平均化の効果に優れ、反射防止性能の視野角依存性が高くなる問題を防止しやすい。
また、各エリアC〜Cの形状のランダム性の度合いは、具体的には、前記式(7)におけるaとbの比、a/bの標準偏差が0.1以上であることが好ましい。
また各エリアC〜Cの格子方位のランダム性は、具体的には、以下の条件を満たすことが好ましい。
まず、任意のエリア(I)における任意の隣接する2つの凸部の中心点を結ぶ直線K0を画く。次に、該エリア(I)に隣接する1つのエリア(II)を選択し、そのエリア(II)における任意の凸部と、その凸部に隣接する6つの凸部の中心点を結ぶ6本の直線K1〜K6を画く。直線K1〜K6が、直線K0に対して、いずれも3度以上異なる角度である場合、エリア(I)とエリア(II)との格子方位が異なる、と定義する。
エリア(I)に隣接するエリアの内、格子方位がエリア(I)の格子方位と異なるエリアが2以上存在することが好ましく、3以上存在することが好ましく、5以上存在することがさらに好ましい。
凸部c1〜cnは、格子方位が各エリアC〜Cの内では揃っているが、巨視的には揃っていない多結晶構造体である。巨視的な格子方位のランダム性は、FFT(高速フーリエ変換)基本波の最大値と最小値の比で評価できる。FFT基本波の最大値と最小値の比は、AFM像を取得し、その2次元フーリエ変換像を求め、基本波の波数だけ原点から離れた円周を作図し、この円周上の最も振幅の大きい点と最も振幅の小さな点を抽出し、その振幅の比として求める。この際のAFM像の取得方法は、最頻ピッチPを求める際のAFM像の取得方法と同じである。
FFT基本波の最大値と最小値の比が大きい場合は、凸部の格子方位が揃っており、凸部を2次元結晶とみなした場合単結晶性が高い構造と言える。反対に、FFT基本波の最大値と最小値の比が小さい場合は、凸部の格子方位が揃っておらず、凸部を2次元結晶とみなした場合は多結晶構造であると言える。
凸部c1〜cnが、上記好ましい範囲のFFT基本波の最大値と最小値の比を有する場合、ステップ面で反射された反射光が特定の面内方向に反射されることはなく、均等に反射される。そのため、面内の反射強度が、見る角度によって異なることはない。言い換えると、視野角依存性の低い反射防止性能を得ることができる。
また凸部c1〜cnの80%以上は、1つ以上のステップを有し、かつ以下の条件を満たす。このとき、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂部を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。
Figure 0006330711
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ステップの幅および高さが当該範囲であれば、ステップを有さない光学素子に対して、高い反射防止性能を示す。またステップの幅および高さが当該範囲であれば、3つ以下のステップでも高い反射防止性能を得ることができ、所望の光学素子をより簡便に作製することができる。
ここで、ステップを有する凸部の割合は以下のように判断する。AFMイメージから、任意の方向と位置における長さ5μmの線に沿った図1のような断面を得る。この断面の凸部が30個〜40個以上含まれる任意の部分を抽出し、その中に含まれる各凸部について、ステップを有する凸部の割合を測定する。
また最頻直径dは、同様の範囲において、各凸部の底点間距離を有効桁数2桁で丸め各凸部の直径とし、その最頻値を求めることで得られる。
また最頻高さhは、同様の範囲において、各凸部の頂点の高さと底点の高さとの差を有効桁数2桁で丸め各凸部の高さとし、その最頻値を求めることで得られる。
ここで底点は、以下のように定義する。図1における凸部c1と凸部c2のように、隣接する凸部間に平坦面fを有さない場合、隣接する凸部間の最も低い位置を底点とする。また図1における凸部c6と凸部c7のように、隣接する凸部間に平坦面を有する場合、その平坦面fの終端点を底点とする。すなわち、AFMの測定結果に基づき、その領域内の中点における表面高さと、その領域内における任意の点の表面高さとを結ぶ直線の、AFMの基準面に対する傾きが±10゜以上となる点を底点とする。
またステップ、ステップの幅、ステップの高さは以下のように定義する。
まずステップは、以下の手順で設定する。なお凸部c1〜cnは、包絡面の形状において、作用効果上無視できる程度の微細な凹凸を有する場合があり、そのような微細な凹凸は無視した上で設定するものとする。具体的には、凸部のフィッティング曲線に対して、凸部c1〜cnの最頻高さhの3%以下の変化は無視する。
(ア)広義の変曲点を求める。
(イ)変曲点のそれぞれに接線を引く。
(ウ)接線の交点に最も近い点を変化点とする。
(エ)各変化点同士を直線で結ぶ。また最も頂点に近い変化点は、次の変化点がないため、変化点における接線を引く。こうして得られた直線を底点に近いものから第1直線、第2直線、・・・とする。
(オ)これらの直線のうち第n直線の傾きが、第n−1直線の傾きおよび第n+1直線の傾き以下である場合、この第n直線の区間を「ステップ」と定義する。
上記(ア)〜(オ)の手順を、図3(a)〜(d)を用いて説明する。図3(a)〜(d)はステップの定義を説明するための模式図である。
まず手順(ア)として、広義の変曲点を定義する。変曲点とは数学的には、平面上の曲線が上に凸から下に凸または下に凸から上に凸に変化する点を意味するが、本発明ではこれに加えて底点および微分不可能点も広義の変曲点とする。また後述する変曲点に対する接線の定義の関係上、微分不可能点では便宜的に2点の変曲点を持つとする。この2点の変曲点は、曲線が折れ曲がる点に対し底点側から無限に近い点と、曲線が折れ曲がる点に対し頂点側から無限に近い点とした。これら変曲点に対して、底点に近い順から番号を付与することで、第1変曲点〜第n変曲点とする。
この広義の変曲点の求め方を、図3(a)を用いて具体的に示す。図3(a)において、凸部の底点から順に確認すると、まず底点が第1変曲点となる。次に曲線の凹凸の方向が変化する点が、底面に近い点から順に第2変曲点および第3変曲点となる。さらに、曲線が折れ曲がる点(すなわち、微分不可能点)が、第4変曲点および第5変曲点となる。最後に、第2変曲点および第3変曲点と同様に、曲線の凹凸の方向が変化する点が、底点に近い点から順に第6変曲点および第7変曲点となる。
次に手順(イ)として、変曲点のそれぞれに接線を引く。微分不可能点は、数学的には接線を引くことはできない。しかし、変曲点を便宜的に曲線が折れ曲がる点に対し底点側から無限に近い点と、曲線が折れ曲がる点に対し頂点側から無限に近い点の2点と設定しているため、この2点それぞれに接線を引く。この2点から引かれる接線は、底点側から頂点側へ折れ曲がる直前の傾きを有する直線と、直後の傾きを有する直線となるため、図3(b)のように2本の接線を引くことができる。その他の変曲点は、図3(b)に示すように、数学的に接線を引くことができる。
このように引かれた接線同士の交点に対して、曲線上で最も近い点を、図3(c)で示すように変化点とする(手順(ウ))。ここで微分不可能点は、上述のように2本の接線を引いているため、それらの交点は微分不可能点となる。したがって、微分不可能点は変化点の一つとなる。また、底点は凸部の起点であるので、これも変化点とする。また図3(c)では、便宜上底点に近い側から順に番号を付与した。
次に手順(エ)として、これら変化点同士を直線で結ぶ。また図3(d)で示すように、最も頂点に近い変化点(第7変化点)は、頂点側に直線を結ぶための次の変化点を有さない。そのため、最も頂点に近い変化点はその点における接線を引く。このように引かれた直線を底面側から順に番号を付与する。図3(d)においては、第1直線から第7直線まで引くことができる。
これらの直線のうち、第n直線の傾きが、第n−1直線の傾きおよび第n+1直線の傾き以下である関係を満たす場合、この第n直線の区間を「ステップ」と定義する(手順(オ))。図3(d)を見ると、例えば第2直線の傾きは、第1直線の傾きおよび第3直線の傾き以下であるため、ステップとなる。第4直線および第6直線においても同様である。
次に、ステップの幅およびステップの高さについて説明する。
ステップの幅は、図4で示すように、前述のように定義されたステップを凸部の底面への射影した幅を意味する。すなわち、図4において、第1ステップの幅はwである。ステップの幅の合計は、これら各ステップの幅の合計であり、ステップの幅の合計wは、w+w+wの2倍の値となる。2倍の値となるのは、ステップは同じ高さにおいて、凸部の周方向に同等に形成されるためである。すなわち、図4では1つの底点から頂点までの間にあるステップのみを示しているが、凸部の頂点を通る任意の断面で切断した際に、ステップは1つの底点から頂点までの間と、頂点からもう一つの底点までの間にも存在するため2倍となる。
またステップの高さは、ステップの中点の高さと底点の高さ差を意味する。すなわち、例えば図3(d)で定義された第1ステップの高さはzとなる。また「ステップの高さの平均値z」は、図4において(z+z+z)/3を意味する。このとき、ステップの幅と異なり2倍の値とならないのは、zは平均値であるためである。
また凸部c1〜cnの80%以上が、2つ以下のステップを有し、かつ以下の条件を満たすことが好ましい。
Figure 0006330711
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当該範囲であれば、2つ以下のステップでも高い反射防止性能を得ることができる。また当該範囲では、3つ以上のステップを有する場合より、2つ以下のステップを有する場合の方が高い反射防止性能を有する。すなわち、ステップ数をより少なくすることができ、光学素子をより簡便に作製することができる。
さらに凸部c1〜cnの80%以上が、1つのステップを有し、かつ以下の条件を満たすことが好ましい。
Figure 0006330711
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当該範囲では複数のステップを有する場合に比べて、1つのステップを有する場合に、最も高い反射防止性能を得ることができる。すなわち、光学素子をさらに簡便に作製することができる。
凸部c1〜cnの最頻高さhは、使用環境下の光の波長範囲における中央値の45〜55%の範囲内にあることが好ましい。当該範囲とすることで、より高い反射防止性能とより高い構造安定性を維持することができる。凸部c1〜cnの最頻高さhが、使用環境下の光の波長範囲における中央値より小さすぎると、モスアイ構造による屈折率の連続的な変化が急峻になるため、反射防止性能に劣ってしまう。また凸部c1〜cnの高さが使用環境下の光の波長範囲における中央値より大きすぎると、凸部c1〜cnの構造安定性が落ちてしまい、スティッキングが発生する可能性が高くなる。また金型からの転写も難しくなる。なお「使用環境下の光」とは、紫外光、可視光、赤外光のいずれかを意味する。また使用環境下の光の波長範囲における中央値とは、例えば可視光の380nm〜780nmの光を用いた場合、その中央値は580nmとなる。
凸部c1〜cnの包絡面は錘形状であることが好ましい。凸部c1〜cnの包絡面が錘形状であると、モスアイ構造による屈折率の連続的な変化が高屈折率よりの界面で緩やかになり、低屈折率よりの界面で急峻となるため、より高い反射防止性能を得ることができる。
凸部c1〜cnの材料は、特に制限するものではない。有機物でも無機物でもよく、有機物の場合、例えば一般に用いられるUV硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。無機物の場合、Si、SiO、SiON、Ni、スピンオングラス等を用いることができる。
基体1は、特に限定されるものではない。ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等の合成樹脂、ガラス、半導体等の無機膜などを用いることができる。また凸部c1〜cnの材料と同一の材料からなる平坦層を基体1としてもよい。
基体1は、例えばフィルム状、シート状、プレート状、ブロック状等とすることができる。これらの形状は特に限定されるものでなく、その使用用途によって変更することができる。
このような凸部c1〜cnを有する光学素子10は、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどにおける各種ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、リアプロジェクター、FED、OLEDなどのFPD)、ショーウィンドゥなどの窓ガラス、展示額縁、各種表示窓、光学レンズ、太陽電池、道路・交通標識や看板を構成する光学材料などの表面に適用する反射防止体として使用できるし、このような反射防止体を製造するためのナノインプリント用モールドの原版として使用することもできる。
(光学素子の製造方法)
以下に、光学素子の製造方法について説明する。本発明の光学素子は、多数の粒子Mを2次元的に配列させたエッチングマスクを用いることで作製することができる。図5は、本発明の光学素子の製造方法を模式的に示した図である。
まず基体1上に多数の粒子Mからなる単粒子膜エッチングマスク2を形成する(図5(a))。基体1上に単粒子膜エッチングマスク2を形成する方法は、例えばいわゆるLB法(ラングミュア−ブロジェット法)の考え方を利用した方法により基板上に形成できる。具体的には、溶剤中に粒子が分散した分散液を水槽内の液面に滴下する滴下工程と、溶剤を揮発させることにより粒子からなる単粒子膜Fを形成する単粒子膜形成工程と、単粒子膜Fを基板上に移し取る移行工程とを有する方法により製造できる。以下に各工程について具体的に説明する。
(滴下工程および単粒子膜形成工程)
まず、クロロホルム、メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの揮発性の高い溶剤のうちの1種以上からなる疎水性の有機溶剤中に、表面が疎水性の粒子を加えて分散液を調製する。また、図6に示すように水槽(トラフ)Vを用意し、これに、その液面上で粒子を展開させるための液体(以下、下層水という場合もある。)として水Wを入れる。
そして、分散液を下層水の液面に滴下する(滴下工程)。すると、分散媒である溶剤が揮発するとともに、粒子が下層水の液面上に単層で展開し、2次元的に最密充填した単粒子膜Fを形成することができる(単粒子膜形成工程)。
このように、粒子として疎水性のものを選択した場合には、溶剤としても疎水性のものを選択する必要がある。一方、その場合、下層水は親水性である必要があり、通常、上述したように水を使用する。このように組み合わせることによって、後述するように、粒子の自己組織化が進行し、2次元的に最密充填した単粒子膜Fが形成される。ただし、粒子および溶剤として親水性のものを選択してもよく、その場合には、下層水として、疎水性の液体を選択する。
(移行工程)
図6で示すように、単粒子膜形成工程により液面上に形成された単粒子膜Fを、ついで、単層状態のままエッチング対象物である基体1上に移し取る(移行工程)。基体1は平面状でもよく、曲面、傾斜、段差等の非平面形状を一部もしくは全部に含んでいても良い。単粒子膜Fは、基体1が平面でなくても2次元的な最密充填状態を維持しつつ基体表面を被覆することが可能である。単粒子膜Fを基体1上に移し取る具体的な方法には特に制限はなく、例えば、疎水性の基体1を単粒子膜Fに対して略平行な状態に保ちつつ、上方から降下させて単粒子膜Fに接触させ、ともに疎水性である単粒子膜Fと基体1との親和力により、単粒子膜Fを基体1に移行させ、移し取る方法;単粒子膜Fを形成する前にあらかじめ水槽の下層水内に基体1を略水平方向に配置しておき、単粒子膜Fを液面上に形成した後に液面を徐々に降下させることにより、基体1上に単粒子膜Fを移し取る方法などがある。これらの方法によれば、特別な装置を使用せずに単粒子膜Fを基体1上に移し取ることができるが、より大面積の単粒子膜Fであっても、その2次的な最密充填状態を維持したまま基体1上に移し取りやすい点で、いわゆるLBトラフ法を採用することが好ましい(Journal of Materials and Chemistry, Vol.11, 3333 (2001)、Journal of Materials and Chemistry, Vol.12, 3268 (2002)など参照。)。
この移行工程によって、基体1の一方の面である平坦面1aに複数の粒子Mが、略単一層で配列される。すなわち、粒子Mの単粒子膜Fが平坦面1a上に形成される。
粒子配列工程では、下記式(8)で定義される配列のずれD(%)が10%以下となるように、基体1に複数の粒子Mを単一層で配列させることが好ましい。
Figure 0006330711
但し、式(8)中、Aは粒子Mの平均粒径、Bは粒子M間の最頻ピッチである。また、|B−A|はAとBとの差の絶対値を示す。
ずれDは、1.0〜3.0%であることがより好ましい。
ここで粒子Mの平均粒径Aとは、単粒子膜Fを構成している粒子Mの平均一次粒径のことであって、粒子動的光散乱法により求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから常法により求めることができる。
一方、粒子M間のピッチとは、シート面方向における隣り合う2つの粒子Mの頂点と頂点の距離であり、最頻ピッチBとはこれらを平均したものである。なお、粒子Mが球形であれば、隣り合う粒子Mの頂点と頂点との距離は、隣り合う粒子Mの中心と中心の距離と等しい。
粒子M間の最頻ピッチBは、凸部c1〜cnの最頻ピッチPと同様に、具体的には次のようにして求められる。
まず、単粒子膜Fにおける無作為に選択された領域で、一辺が粒子M間の最頻ピッチBの30〜40倍のシート面と平行な正方形の領域について、原子間力顕微鏡イメージを得る。例えば粒径300nmの粒子Mを用いた単粒子膜Fの場合、9μm×9μm〜12μm×12μmの領域のイメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。こうして求められた距離の逆数がこの領域における最頻ピッチBである。このような処理を無作為に選択された合計25カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における最頻ピッチB〜B25を求める。こうして得られた25カ所以上の領域における最頻ピッチB〜B25の平均値が式(1)における最頻ピッチBである。なお、この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましく、より好ましくは5mm〜1cm離れて選択される。
また、この際、FFT像のプロファイルにおける1次ピークの面積から、各イメージについて、その中の粒子M間のピッチのばらつきを評価することもできる。
この配列のずれDは、粒子Mの最密充填の度合いを示す指標である。すなわち、粒子の配列のずれDが小さいことは、最密充填の度合いが高く、粒子の間隔が制御されており、その配列の精度が高いことを意味する。
配列のずれD(%)を10%以下とするため、粒子Mの粒径の変動係数(標準偏差を平均値で除した値)は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
基体1に設けられる凸部のピッチPは、粒子M間の最頻ピッチBと同等となる。配列のずれD(%)が小さければ、凸部のピッチPは、粒子Mの平均粒径Aとほぼ同等となるので、粒子Mの平均粒径Aを適切に選択することにより、所望のピッチの凸部を精度良く形成することができる。
粒子Mとして、粒径の変動係数が充分に小さいものを使用すれば、粒子配列工程によって、容易にずれDが10%以下であるように粒子Mを配列できる。すなわち、非常に精度の良く粒子Mが単層で最密充填されたエッチングマスクを、基体1上に配置できる。
(エッチング工程)
このように形成された単粒子膜Fが単粒子エッチングマスク2として機能する。単粒子エッチングマスク2が片面に設けられた基体1を、気相エッチングして表面加工する(エッチング工程)ことにより、基板の片面に凸部c1〜cnを形成する。具体的には、気相エッチングを開始すると、まず図5(b)に示すように、エッチングマスク2を構成している粒子Mの隙間をエッチングガスが通り抜けて基体1の表面に到達し、その部分に溝が形成され、各粒子Mに対応する位置にそれぞれ円柱5が現れる。このとき、気相エッチングにより各円柱5上の粒子Mも徐々にエッチングされて小さくなる。さらにエッチングを続けることにより、凸部を形成することができる。また、エッチングの条件を途中で変更することで、凸部にステップ形状を形成することができる(図5(c))。エッチング条件を変更すると、粒子3がエッチングされる速度が変化し、それに伴い基体1をエッチングする速度も変化する。
単粒子膜エッチングマスク2を構成する粒子Mは、特に限定されないが、例えば金粒子、コロイダルシリカ粒子等を用いることができる。またエッチングガスは、一般に用いられるものを用いることができるが、Ar、SF、F、CF、C、C、C、C、C、CHF、CH、CHF、C、Cl、CCl、SiCl、BCl、BCl、BC、Br、Br、HBr、CBrF、HCl、CH、NH、O、H、N、CO、COなどを使用できる。
これらの粒子Mおよびエッチングガスは、エッチングされる基体1に合わせて変更することができる。例えば単粒子膜エッチングマスクを構成する粒子として金粒子を選択し、基体としてガラス基板を選択してこれらを組み合わせた場合、エッチングガスにCF、CHFなどのガラスと反応性のあるものを用いると、金粒子のエッチング速度が相対的に遅くなり、ガラス基板のほうが選択的にエッチングされる。
単粒子膜エッチングマスク2を構成する粒子Mとしてコロイダルシリカ粒子を選択し、基体としてPET基板を選択してこれらを組み合わせた場合、エッチングガスにArなどの不活性ガスを用いることで、比較的柔らかいPET基板を選択的に物理エッチングすることができる。
また気相エッチングの途中でこのエッチングガスを変更することで、凸部c1〜cnにステップ形状を形成することができる。例えば、基体1としてSiを選択して、Cl:CF=50:50〜100:0の組成でエッチングを行い、その途中でエッチングガスをSF:CH=25:75〜75:25の組成に変更することで、エッチング速度を変化させて凸部を形成することができる。なお、アンテナパワー1500W,バイアスパワー50〜300W、ガス流量30〜50sccmとしている。
一般に、電場のバイアスを数十から数百Wに設定すると、プラズマ状態にあるエッチングガス中の正電荷粒子は、加速されて高速でほぼ垂直に基板に入射する。よって、基板に対して反応性を有する気体を用いた場合は、垂直方向の物理化学エッチングが起こる。
一方で、基板の材質とエッチングガスの種類の組み合わせによるが、気相エッチングでは、プラズマによって生成したラジカルによる等方性エッチングも並行して起こる。ラジカルによるエッチングは化学エッチングであり、エッチング対象物のどの方向にも等方的なエッチングが生じる。
ラジカルは電荷を持たないためバイアスパワーの設定でエッチング速度をコントロールすることはできないが、エッチングガスのチャンバー内濃度(流量)で操作することができる。そのため、エッチングガスのチャンバー内濃度(流量)を変化させることでも垂直エッチングと等方エッチングの割合を制御することができ、凸部にステップ形状を形成することができる。
ここでは、単粒子膜エッチングマスク2を用いて、ステップ形状を有する凸部を直接作製する方法を説明したが、例えば対応する凹形状を有するモールドを作製して転写してもよい。
またこの方法以外の方法で凸部を作製してもよい。例えば、レーザー等の干渉露光を用いて直接凸部形状を形成しても良い。またアルミの陽極酸化において処理電圧を変更することで、対応する凹形状を有するモールドを作製することもできる。この場合、当該モールドから転写により凸部を作製することができる。
上述の転写方法としては、成形型に流動性の材料を流し込んだ後、材料を固化して成形型表面の表面形状を転写する射出成形、金型を樹脂やガラス材料に押し付けて表面形状を転写する所謂ナノインプリントなどが挙げられる。
本発明における光学素子の反射防止性能をシミュレーションにより確認した。最初にシミュレーションの方法について説明する(Applied Optics, Vol.26,No.6 1142-1146(1987)、Applied Optics, Vol.32,No.7 1154-1167(1993)など参照。)。
屈折率nの物質と、屈折率nの物質の界面への光が入射した際の反射について考える。このとき屈折率nの物体は、図7で示すように凸部形状を有する。
まず図7に示すように、凸部を頂点からN層に分けてスライスし、頂点側から第1層、・・・第N層までを有する層構造とみなす。
第j番目の層は、幅qの空気の領域と幅1−qの凸部の領域が繰り返してなる。なお、このときの幅は第j−1層との界面の幅とする。この第j番目の層における実効屈折率をn、この層の厚さをdとした。このとき、nは屈折率n、nおよび幅qから求めることができる。またdは、凸部の最頻高さを層数Nで割ることで求めることができる。
第j番目の層に波長λの光が入射角φで入射したとし、以下の式(9)で示すトランスファー行列を計算する。
Figure 0006330711
ここでδ、ωは以下の式(10)および式(11)である。
Figure 0006330711
Figure 0006330711
光の通過する順番に従い、各層のトランスファー行列を左から掛ける演算を第1層から第N層まで繰り返し行う。この操作は式(12)で示すことができる。なお、A,B,C,Dは計算した結果の値である。
Figure 0006330711
上記手順を用いて計算されたA,B,C,Dを用いると、このスライスした複数層の反射率を以下のように示すことができる。
Figure 0006330711
(実施例1)
凸部が一つのステップを有するとして、ステップの幅の合計wおよびステップの高さの平均値zを変更しながら平均反射率を求めた。このとき凸部の最頻高さhは295nm、最頻ピッチPは120nm、最頻直径dは120nmとした。また光は屈折率1.0の空気から、屈折率1.5の界面に入射角5°で入射するものとし、凸部の材料の屈折率も1.5とした。その結果を表1に示す。
なお、平均反射率は以下のように求めた。まず、波長380nmの光を入射角5°で入射した際の光の反射率を、式(13)から計算する。その後、20nm刻みで780nmまで各波長の光を入射した際の反射率を、同様に式(13)から計算する。これら各波長の光の反射率の平均値を求め、平均反射率とした。
Figure 0006330711
この表1において、ステップの幅の合計wが0かつステップの高さの平均値zが0の場合は、ステップを有さない場合の平均反射率を示す。表1の太線で囲む領域は、反射率がステップを有さない場合の平均反射率に対して半分以下の平均反射率の領域を示す。
0.10d≦w≦0.16dおよび0.28h≦z≦0.40hを満たす領域は、ステップを有さない場合の平均反射率(0.1483)と比べても、半分以下の平均反射率となり非常に優れた反射防止性能を有することが分かる。
(実施例2)
またステップが2つの場合においても、実施例1と同様にステップの幅の合計wおよびステップの高さの平均値zを変更しながら平均反射率を求めた。このとき、2つのステップは、典型的な例としてz=aとしたときに0.75aおよび1.25aの位置に存在するものとした。すなわち、例えばz=0.40hとしたときは、2つのステップは0.30hおよび0.50hの位置に存在するものとした。また各ステップの横幅はw/4、縦幅は0.1h/2とした。その結果を表2に示す。なお、このとき凸部の最頻高さ、最頻ピッチ、最頻直径および反射率の計算条件は実施例1と同じとした。
Figure 0006330711
(実施例3)
またステップが3つの場合においても、実施例1と同様にステップの幅の合計wおよびステップの高さの平均値zを変更しながら平均反射率を求めた。このとき、3つのステップは、典型的な例としてz=aとしたときに0.5a、1.0a、1.5aの位置に存在するものとした。すなわち、例えばz=0.40hとしたときは、3つのステップは0.20h、0.40h、0.60hの位置に存在するものとした。また各ステップの横幅はw/6、縦幅は0.1h/3とした。その結果を表3に示す。なお、このとき凸部の最頻高さ、最頻ピッチ、最頻直径および反射率の計算条件は実施例1と同じとした。
Figure 0006330711
表2と表3において同一のwおよびzにおける平均反射率を比較する。表2および表3の一点鎖線で囲まれた領域においては、表2の平均反射率が低いことが分かる。すなわち、当該範囲においては、ステップが2つの場合(表2)の方が、ステップが3つの場合(表3)より平均反射率が低い。
つまり、0.08d≦w≦0.16d、かつ0.30h≦z≦0.48hの範囲では、ステップが2つの場合の方が、ステップが3つの場合より平均反射率の面で優れており、ステップの数を2つ以下とすることができる。
同様に表1と表2において同一のwおよびzにおける平均反射率を比較する。表1および表2の点線で囲まれた領域においては、表1の平均反射率が低いことが分かる。すなわち、当該範囲においては、ステップが1つの場合(表1)の方が、ステップが2つの場合(表2)より平均反射率が低い。
つまり、0.08d≦w≦0.13d、かつ0.26h≦z≦0.42hの範囲では、ステップが1つの場合の方が、ステップが2つの場合より平均反射率の面で優れており、ステップの数を1つとすることができる。
(実施例4)
また次に凸部の包絡面の形状を変更して平均反射率を求めた。凸部の高さと、凸部の3/4hの高さの幅d3/4を変更することで、包絡面の形状を変更した。
凸部は、一つのステップを有し、ステップの幅の合計wを0.14dおよびステップの高さの平均値zを0.34hで固定した。また凸部の最頻ピッチPは90nm、最頻直径dは90nmとした。また光は屈折率1.0の空気から、屈折率1.5の界面に入射角5°で入射するものとし、凸部の材料の屈折率も1.5とした。その結果を表4に示す。
Figure 0006330711
(実施例5)
凸部の最頻ピッチを120nm、最頻直径を120nmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、平均反射率を求めた。その結果を表5に示す。
Figure 0006330711
(実施例6)
凸部の最頻ピッチを200nm、最頻直径を200nmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、平均反射率を求めた。その結果を表6に示す。
Figure 0006330711
表4〜6において、点線で囲む領域では、ステップを有さない場合の平均反射率(0.1483)の半分以下の平均反射率を示し、高い反射防止性能を有している。当該範囲の時の包絡面の形状は、凸部の高さと、凸部の3/4hの高さの幅d3/4の関係から、その形状が錘形状になっている。
(実施例7)
入射する光の波長による平均反射率の変化を求めた。
凸部は、1つのステップを有し、ステップの幅の合計wを0.14dおよびステップの高さの平均値zを0.34hで固定した。また凸部の最頻ピッチPは120nm、最頻直径dは120nmとした。また光は屈折率1.0の空気から、屈折率1.5の界面に入射角5°で入射するものとし、凸部の材料の屈折率も1.5とした。
可視光領域の波長を入射した際の結果を図8に、近赤外領域の波長の光を入射した際の結果を図9に、近紫外の波長を入射した際の結果を図10に示す。
図8では、凸部の最頻高さが、245nm、295nm、345nmの場合を求めた。また比較のため、凸部がステップを有さない場合で、凸部の最頻高さが245nm、295nm、345nmの場合も求めた。その結果、最頻高さが入射した光の波長範囲における中央値の45〜55%の際に、特に高い反射防止性能を示していることが分かる。具体的には、可視光の380nm〜780nmの光に対しては、凸部の高さが295nmの場合に非常に高い反射防止性能を示している。
図9では、凸部の最頻高さが、650nm、295nmの場合を求めた。また比較のため、凸部がステップを有さない場合で、凸部の最頻高さが295nm、650nmの場合も求めた。この図9から、近赤外光を入射しても、最頻高さが入射した光の波長範囲における中央値の45〜55%の際に、特に高い反射防止性能を示していることが分かる。
図10では、凸部の最頻高さが、140nm、295nmの場合を求めた。また比較のため、凸部がステップを有さない場合で、凸部の最頻高さが140nm、295nmの場合も求めた。この図10から、近紫外光を入射しても、最頻高さが入射した光の波長範囲における中央値の45〜55%の際に、特に高い反射防止性能を示していることが分かる。
1:基体、1a:平坦面、c1〜cn:凸部、t1〜tn:中心点、m1〜m7:中点、f:平坦面、C〜C:エリア、u:円、2:単粒子膜エッチングマスク、F:単粒子膜、3:円柱、M:粒子、V:水槽、W:水

Claims (6)

  1. 基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、
    前記凸部の80%以上が、1つ以上のステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;
    (ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂点を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
    Figure 0006330711
    Figure 0006330711
  2. 基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、
    前記凸部の80%以上が、2つ以下のステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;
    (ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂点を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
    Figure 0006330711
    Figure 0006330711
  3. 基体上に、使用環境下の光の波長以下の最頻ピッチを有する複数の微小な凸部を備え、
    前記凸部の80%以上が、1つのステップを有し、かつ以下の条件を満たすことを特徴とする光学素子;
    (ただし、dは前記凸部の最頻直径であり、hは前記凸部の最頻高さであり、wは前記凸部の頂点を通る任意の切断面における各ステップの幅の合計であり、zはこれら各ステップの高さの平均値である。)。
    Figure 0006330711
    Figure 0006330711
  4. 前記凸部の最頻高さが、使用環境下の光の波長範囲における中央値の45〜55%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
  5. 前記ステップを有する凸部の包絡面が、錘形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 隣接する7つの前記凸部の中心点が正六角形の6つの頂点と対角線の交点となる位置関係で連続して整列しているエリアを複数備え、
    該複数のエリアの面積、形状および格子方位がランダムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
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