JP6642087B2 - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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本発明は、ガスバリア性及び密着性に優れたフィルムに関する
ガスバリア性フィルムは、ハードディスクや半導体モジュールなどの精密電子部品類、太陽電池のバックシート、有機ELや電子ペーパーなどのエレクトロニクス部材、食品や医薬品等の包装分野、あるいは非包装分野で酸素および水蒸気を遮断する必要がある部材に広く用いられている。
精密電子部品類の包装用途においては、金属部分の腐食、絶縁不良などを防止するために包装材料を透過する酸素や水蒸気、その他内容物を変質させる気体を遮断するガスバリア性を備える包装体が求められている。特に、食品包装においては蛋白質や油脂などの酸化や変質を抑制し、味や鮮度を保持することが必要である。また、ガスバリアフィルムには、有機ELや電子ペーパーなどの素子にバリア性やフレキシブル性を付与するなどの応用が期待される。さらに、無菌状態での取り扱いが必要とされる医薬品類においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持することが必要である。
そのため、従来から温度、湿度などに影響されないアルミニウムなどの金属箔やアルミニウム蒸着フィルム、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂フィルムやこれらの樹脂をラミネートまたはコーティングしたプラスチックフィルムなどが好んで用いられてきた。
しかし、ガスバリア性樹脂フィルムやガスバリア性樹脂をコーティングしたフィルムは、温度依存性が大きく、高温下で高いガスバリア性を維持できない。さらに、使用後のPVDCやPANなどは廃棄、焼却の際に有害物質が発生する原因となる可能性を有していた。
アルミニウムなどの金属箔やアルミニウム蒸着フィルムを用いた包装材料は、ガスバリア性には優れるが、レトルト耐性がなく、不透明であるため、包装材料を透過して内容物を識別することが難しいだけではなく、使用後の廃棄の際に不燃物として処理しなければならない点や、金属探知機による異物検査や、電子レンジでの加熱処理が出来ない点などの欠点を有していた。
また、これらの欠点を克服した包装用材料として、最近では酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの無機酸化物を透明な基材フィルム上に蒸着したガスバリア性フィルムが上市されている。これらのガスバリア性蒸着フィルムは金属蒸着フィルムほどではないが、酸素、水蒸気などのガス遮断性を有していることが知られている。しかし、これらの無機酸化物蒸着フィルムにおいても、高いガスバリア性と高温高湿下(85℃85%RH)や耐候試験後の層間の密着強度については未だ不十分である。
上記の課題を解決する手段として、特開2015−51520号には、高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、アンカーコート層と無機酸化物層とオーバーコート層とをこの順序で配置し、アンカーコート層をアクリル樹脂とイソシアネート樹脂とからなるウレタン樹脂とし、アクリル樹脂をアクリル酸エステルモノマーとメタクリル酸エステルモノマーの少なくともいずれか一方を2種以上用いてブロック共重合させたガスバリア性フィルムが記載されている。
特開2015−51520号公報
本発明は、高いガスバリア性と、高温高湿下や耐候試験後においても高い層間密着性を有するガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明に係るガスバリアフィルムは、基材の少なくとも一方の面に、アンカーコート層と、無機酸化物層と、オーバーコート層とがこの順序で積層されており、アンカーコート層が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するアクリルモノマーとスチレンモノマーとを共重合してなるアクリル−スチレン共重合体と、イソシアネート化合物とが結合したウレタン樹脂からなり、アクリル−スチレン共重合体におけるスチレンモノマーの割合が、20mol%以上35mol%以下であり、アクリル−スチレン共重合体のOH価が64mgKOH/g以上109mgKOH/g以下であり、アクリル−スチレン共重合体のOH基に対するイソシアネート化合物のNCO基のモル比(NCO/OH)が、1.0以上2.0以下であり、アクリル−スチレン共重合体とイソシアネート化合物とが結合したウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが、80℃以上105℃以下であることを特徴とする。
本発明によれば、高いガスバリア性と、高温高湿下や耐候試験後においても高い層間密着性を有するガスバリア性フィルムを提供できる。
本発明の一実施形態によるガスバリア性フィルムの断面図 本発明の一実施形態によるラミネートガスバリア性フィルムの断面図
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によるガスバリア性フィルムを説明する断面図である。図1に示すように、ガスバリア性フィルム5は、高分子フィルム基材1の上にアンカーコート層2と、無機酸化物層3と、オーバーコート層4とをこの順に積層してなる。
高分子フィルム基材1は、特に制限を受けるものではなく公知のものを使用することが出来る。例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)などの高分子のフィルム基材が挙げられるが、特に限定されない。
高分子フィルム基材1として、透明フィルムを用いることは、大量生産に適するため好ましい。また、厚みに関しては、特に制限を受けるものではなく、ガスバリア性フィルムを形成する蒸着加工などの加工性を考慮すると、実用的には6μm以上188μm以下の範囲が好ましい。
アンカーコート層2は、アクリルモノマーと、スチレンモノマーとが共重合されたアクリル−スチレン共重合体と、イソシアネート化合物とが結合した樹脂からなる。
アンカーコート層2のアクリルモノマーとして、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及び(メタ)アクリル酸モノマーの中から選ばれる2種類以上を使用し、2種類のうちの1種類には、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸モノマーまたはアクリル酸モノマーを使用する。(メタ)アクリル酸エステルモノマーは特に制限を受けるものではなく、公知のものを使用することができる。例えば、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、プロピルアクリレート(PA)、ブチルアクリレート(BA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、プロピルメタクリレート(PMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシブチルメタクリレート(HBMA)などが挙げられるが、特に限定されない。また、アクリル酸モノマーも特に制限を受けるものではなく、公知のものを使用することができる。例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)などが挙げられるが、特に限定されない。
層間の密着性を維持するためには、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートの群から1つ以上選択することが好ましい。また、ヒドロキシル基やカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたは(メタ)アクリル酸を用いることにより、イソシアネートと反応してウレタン結合を形成し、層間密着力を向上させることができる。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を指す。
アンカーコート層2に用いるアクリル−スチレン共重合体を構成するスチレンモノマーの割合(スチレンモノマー由来の構造単位の割合)は、5mol%以上50mol%以下が好ましい。スチレンモノマーの割合が5mol%未満では耐候性試験後に十分な層間密着性が得られず、50mol%を超えると湿熱試験後に十分な層間密着性が得られない恐れがある。
また、アクリル−スチレン共重合体のOH価は、10mgKOH/g以上150mgKOH/gが好ましい。OH価が10mgKOH/g未満の場合、または150mgKOH/gを超える場合には、耐久試験後に十分な層間密着性が得られない恐れがある。
アンカーコート層2に用いるイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソサネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート等の各種ジイソシアネート、及びそれらの各種変性物、及びそれらを多官能化したダイマー体、アダクト体、アロファネート体、トリマー体、カルボジイミドアダクト体、ビウレット体、またそれらの重合物、及び多価アルコールを付加した重合物が挙げられるが特に限定されない。
また、アクリル−スチレン共重合体のOH基に対するイソシアネート化合物のNCO基のモル比(NCO/OH)が0.5以上4.0以下であることが好ましい。NCO/OHが0.5未満では十分な密着性が得られない恐れがあり、4.0を超えるとロール・ツー・ロールで塗工した際に硬化不足によりバリア性が低下する恐れがある。
アンカーコート層2のアクリル−スチレン共重合体とイソシアネート化合物との反応生成物である硬化膜のガラス転移温度Tgは40℃以上150℃以下が好ましい。アンカーコート層2の硬化膜のガラス転移温度Tgが40℃未満では耐久性が低く、十分な層間密着性が得られない恐れがある。また、ガラス転移温度Tgが150℃を超えると、折り曲げ、引張りなどの外的要因により、膜に亀裂が生じ、バリア性が低下する恐れがある。
一般に、高分子共重合体のガラス転移温度(Tg)は、次のFOX式(1)により理論計算値として求めることができ、上述したアクリル−スチレン共重合体のガラス転移温度(Tg)も、FOX式(1)で求めることができる。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg・・・式(1)
(式中、Tgは、ガラス転移温度(K)であり、W、W、・・・、Wは、ウレタン樹脂を構成するモノマーの重量分率であり、Tg、Tg、・・・、Tgは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である)
ただし、イソシアネート化合物は、ホモポリマーを形成可能なモノマーではないため、上述したアクリル−スチレン共重合体とイソシアネート化合物とを反応させたウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、実測により求める。
アンカーコート層2の厚みは、10nm以上10,000nmが好ましい。膜厚が10nm未満では膜厚が均一にならない可能性があり十分な密着性が得られない恐れがある。また、10,000nmを超える場合、膜の内部応力によりフィルム基材1から剥離する恐れがある。
また、フィルム基材1への塗膜の接着性を向上させるため、塗工前にフィルム基材1の表面に化学処理、放電処理などを施してもよい。
アンカーコート層2のコーティング方式はバーコート、ナイフコート、ダイコート、(リバース)グラビアコート、マイクログラビアコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷などが挙げられるが特に限定されない。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
無機酸化物層3に用いる金属材料は、珪素、アルミニウム、チタン、スズ、亜鉛、インジウム、マグネシウムの群から一つ若しくは複数から選択される。
これらの中でも、無機酸化物層3は、珪素酸化物(SiO)からなる蒸着膜であることが好ましい。この場合、X(珪素と酸素との元素比O/Si)が、1.5≦X≦1.8を満たすことが好ましい。Xが1.5未満の場合、無機酸化物層3の黄色が強くなることによる透明度が低下したり、珪素酸化物(SiO)を蒸発させる際の電子ビームによる加熱時にスプラッシュが発生したりするため好ましくない。一方、Xが1.8を超えると、透明度は向上するが、バリア性が低下する問題がある。
無機酸化物層3の成膜手段としては、真空蒸着方式のうち、電子ビームやレーザービーム等による加熱蒸着法が好ましく用いられ、特に電子ビーム加熱蒸着法が、成膜速度や無機酸化物蒸着用材料への昇温降温が短時間で行える点で有効である。
蒸発した金属材料によってアンカーコート層2の表面上に形成される無機酸化物層3の厚さは、一般的には5nm以上300nm以下の範囲内が望ましく、さらに好ましくは10nm以上150nm以下であり、その値は適宜選択される。
ただし、無機酸化物層3の厚みが5nm未満であると、均一な膜が得られないことや、十分なバリア性能を発揮できない場合がある。また、膜厚が300nmを超える場合は、膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引張りなどの外的要因により、膜に亀裂が生じる恐れがある。
オーバーコート層4は、硬く脆い無機酸化物膜3を保護し、擦れや屈曲によるクラックの発生を防止するために設けられ、水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有した成分からなる。オーバーコート層4は、水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有するコーティング液を無機酸化物層3の上に塗工し、乾燥させることにより形成される。
オーバーコート層4の厚みは、通常10〜6,000nm、好ましくは50〜600nmである。膜厚が10nm未満では十分なバリア性が発現しない可能性がある。また、6000nmを超える場合、膜の内部応力により無機酸化物層3から剥離する恐れがある。また、無機酸化物層3への塗膜の接着性を向上させるため、塗工前に無機酸化物層3の表面に化学処理、放電処理などを施してもよい。
オーバーコート層4の塗工方式としては、アンカーコート層1と同様に通常のコーティング方法を用いることができる。バーコート、ナイフコート、ダイコート、(リバース)グラビアコート、マイクログラビアコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷などが挙げられるが特に限定されない。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリビニルピロリドン樹脂(PVP)などを用いることができ、これらを単独あるいは複数組み合わせて用いてもよい。
アルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどを用いることができる。また、アルコキシシランの加水分解生成物としては、メタノールなどのアルコールにアルコキシシランを溶解し、その溶液に塩酸などの酸の水溶液を添加し、加水分解反応させることにより調製したものが挙げられる。
また、無機酸化物層3との密着性を上げるために、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するもの、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられ、これらのシランカップリング剤を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の一実施形態によるラミネートガスバリア性フィルムの断面図である。図2に示すように、ラミネートガスバリア性フィルム8は、上述した第1の実施形態に係るガスバリア性フィルム5の両面に、接着剤層6を介してラミネート樹脂層7を設けたものである。
接着剤層6の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリブタジエン、ワックス、カゼイン、又はそれらの混合物を主成分として含有した、無溶剤型、溶剤型、水性型、又は熱溶融型接着剤を使用することができる。
接着剤層6の塗工方式としては、アンカーコート層1と同様に通常のコーティング方法を用いることができる。バーコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート、マイクログラビアコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷などが挙げられるが特に限定されない。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。接着剤層6の厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15μm以上200μm以下の範囲である。
ラミネート樹脂層7の材料としては、その用途に応じて選択され、例えば精密電子部品の包装袋として使用される場合には、袋を密閉するためにヒートシール性を有する樹脂層が好適に使用される。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、これらの金属架橋物、又はポリ乳酸樹脂などの生分解性樹脂を使用することができる。
また、産業資材の部材として使用される場合には、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、真空断熱材、EL用基板、カラーフィルター等の用途特性に応じた樹脂フィルム層が使用され、例えば、ポリエチレンテレフタテート、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セルローストリアセテート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、など高温高湿で長期間使用可能な樹脂を使用することができる。ラミネート樹脂層7の厚さは、一般的には10μm以上500μm以下の範囲である。
ラミネート樹脂層7とガスバリア性フィルム5との貼り合わせには、例えば、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、又は押出しラミネート法を利用することができる。例えば、押出しラミネート法を利用した場合には、接着剤層6は省略することも可能である。
なお、接着剤層6を介して貼り合わされるラミネート樹脂層7は、ガスバリア積層フィルム5の片面にのみ設けてもよい。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。
<実施例1>
<アンカーコート層の積層工程>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)/スチレンモノマーの割合をモル比で12/38/30/20(OH価:67mgKOH/g)として分子量4万となるように共重合させた。この(メタ)アクリル樹脂のOH基に対して、イソシアネート化合物としてタケネートD−110N(三井化学(株)製)をNCO/OH比が1.0になるように調整し、固形分1%とした塗液を16μmのPET上にバーコーター#3で塗工し、120℃で1分乾燥させ、厚み25nmの膜を形成した。得られた膜を60℃で2日間硬化させ、Tg85℃のアクリルウレタン膜であるアンカーコート層を得た。
<無機酸化物層の積層工程>
蒸着材料の無機酸化物は金属珪素と二酸化珪素とを用い、O/Si比が1.61になるように混合した。金属珪素は50μm以下の径を有する粉末が95%以上のものを使用し、二酸化珪素には結晶構造を95%含み、50μm以下の径を有する粉末が95%以上のものを使用した。次に、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置により、電子銃から放出する電子ビームを蒸着用材料に照射し蒸発させ、アンカーコート層上に厚み30nmの酸化珪素膜を形成した。
<オーバーコート層の積層工程>
(1)テトラエトキシシランを0.02mol/Lの塩酸で加水分解した。
(2)けん化度99%、重合度2300のPVAの5wt%水溶液を調製した。
(3)(2)の溶液に(1)の溶液をSiO/PVA=65/35となる割合で加え、オーバーコート層溶液とした。この溶液を無機酸化物層上にバーコーター#5にて塗工し、120℃で2分乾燥させ、300nmのオーバーコート層を形成し、図1に示した積層構造のガスバリア性フィルムを得た。
<ガスバリア性フィルムへのラミネート樹脂層積層工程>
得られたガスバリア性フィルムの両面に、5g/mのポリウレタン系接着剤を介して厚さ50μmの耐加水分解PET(東レ製、X10S)をドライラミネート法により積層し、図2に示した積層構造のラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<実施例2>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)/スチレンモノマーの割合をモル比で20/30/30/20(OH価:109mgKOH/g)とし、Tg80℃のアクリルウレタン膜を得た以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<実施例3>
NCO/OH比を2.0とした以外は実施例2と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<実施例4>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/スチレンモノマーの割合をモル比で12/53/35(OH価:64mgKOH/g)とし、Tg105℃のアクリルウレタン膜を得た以外は実施例3と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<実施例5>
アンカーコート形成用塗液を固形分5%の塗液とし、厚み50nmのアクリルウレタン膜を得た以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
以下に本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)の割合をモル比で12/58/30(OH価:68mgKOH/g)とした以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<比較例2>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)の割合をモル比で25/45/30(OH価:136mgKOH/g)とした以外は実施例3と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<比較例3>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)の割合をモル比で12/78/10(OH価:66mgKOH/g)とした以外は実施例3と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<比較例4>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)の割合をモル比で20/10/70(OH価:117mgKOH/g)とし、NCO/OH比を0.1とした以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
<比較例5>
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メチルメタクリレート(MMA)/メチルアクリレート(MA)の割合をモル比で20/10/70(OH価:117mgKOH/g)とし、NCO/OH比を0.1とし、膜厚を2μmとした以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルム及びラミネートガスバリア性フィルムを得た。
上記実施例1〜5及び比較例1〜5のガスバリア性フィルムについて、以下の方法で水蒸気透過度、アンカーコート層の硬化膜のTgの測定値、及び層間密着力を測定評価した。
<水蒸気透過度について>
実施例1〜5及び比較例1〜5のガスバリア性フィルムの水蒸気透過度を、モダンコントロール社製の水蒸気透過度測定装置(MOCON PERMATRAN 3/33)を用いて40℃90%RHの雰囲気で測定した。
<硬化膜のTgの測定値について>
アンカーコート層の硬化膜のTgの測定値はSII社製の示差走査熱量測定装置(EXSTA6000)を用いて−20℃から250℃まで10℃/min.で昇温させ、5分間保持した後、270℃/min.で−20℃まで冷却した。これを2サイクル行い、2サイクル目の値を採用した。
<層間密着性について>
層間密着力は、上述したラミネートガスバリア性フィルム(図2)を用いて評価した。具体的には、ラミネートガスバリア性フィルムに対して、耐湿熱試験85℃85%RH(エスペック(株)製PR−4J)で1000時間処理と、耐候性試験装置((株)東洋精機製作所製アトラス・ウェザオメータCi4000)で500時間処理とを実施した後の層間密着力を評価した。耐候性試験条件はブラックスタンダード温度65℃、試験槽温度40℃、相対湿度50%RH、放射照度60W/m、散水ありで行った。試験片を10mm巾の短冊状に切り出し、その端部を一部剥離させ、引っ張り試験機((株)島津製作所製AGS−500NX)により、4条件、すなわち、300mm/min.の速度でT型剥離、180度剥離、界面に水を付けた状態でT型剥離、180度剥離とを行い、4条件のうち層間密着力が1N以上であった測定結果が4つの場合を○、3つを△、2つ以下を×とした。
次の表1に測定結果を示す。
Figure 0006642087
<評価>
表1に示されるように、実施例1〜5は、水蒸気透過度、耐湿熱試験後の層間密着性、及び耐候試験後の層間密着性のいずれにおいても良好な結果を示した。比較例1〜3は水蒸気透過度及び耐湿熱試験後の層間密着性は良好な結果を示したが、耐候試験後の層間密着性が低かった。比較例4〜5は水蒸気透過度が高く、耐湿熱試験後の層間密着性及び耐候試験後の層間密着性が低下した。
本発明は、水蒸気などの種々のガスに対する高ガスバリア性と、高温高湿下や耐候試験後における層間密着性とに優れたガスバリア性フィルムとして利用でき、ガスバリア性や封止が求められる分野に幅広く適用できる。
1 高分子フィルム基材
2 アンカーコート層
3 無機酸化物層
4 オーバーコート層
5 ガスバリア性フィルム
6 接着剤層
7 ラミネート樹脂層
8 ラミネートガスバリア性フィルム

Claims (6)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、アンカーコート層と、無機酸化物層と、オーバーコート層とがこの順序で積層されており、
    前記アンカーコート層が、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するアクリルモノマーとスチレンモノマーとを共重合してなるアクリル−スチレン共重合体と、イソシアネート化合物とが結合したウレタン樹脂からなり、
    前記アクリル−スチレン共重合体における前記スチレンモノマーの割合が、20mol%以上35mol%以下であり、
    前記アクリル−スチレン共重合体のOH価が64mgKOH/g以上109mgKOH/g以下であり、
    前記アクリル−スチレン共重合体のOH基に対する前記イソシアネート化合物のNCO基のモル比(NCO/OH)が、1.0以上2.0以下であり、
    前記アクリル−スチレン共重合体と前記イソシアネート化合物とが結合したウレタン樹脂のガラス転移温度Tgが、80℃以上105℃以下であることを特徴とする、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記アンカーコート層の厚みが10nm以上10,000nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記無機酸化物層はSiOで表される珪素酸化物からなる蒸着膜であり、1.5≦X≦1.8であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記無機酸化物層の膜厚が10nm以上150nm以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記オーバーコート層は、水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解生成物とを含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記オーバーコート層の厚みが50nm以上600nm以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性フィルム。
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