JP6640324B2 - 船舶推進装置及び船舶推進方法 - Google Patents
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Description
1)発電機回転速度と、系統の電圧及び周波数を安定化させる系統安定化装置と、系統安定化装置が異常環境の発生を予測するための情報を検出する波検出器とが必要になるため、構造が複雑である。
2)エンジン発電機のエンジンの回転速度を制御するガバナと、発電機の励磁電圧を制御するAVRの両方について調整が必要であり、調整するパラメータが多く、制御が複雑である。
2)負荷変動に対してエンジン発電機の過給機が応答するまでにタイムラグがある点(物理的な遅れ)。
エンジン回転速度を自律的に調整するガバナによって制御されるエンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、
船舶を推進するためのモータと、
前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータと、
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、トルク指令値をPID演算して前記インバータに出力するPIDレギュレータであって、前記モータの応答性が、前記エンジンがプロペラを駆動するとした場合の応答性と同程度となるように、前記トルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度に制限するPIDパラメータが設定されたPIDレギュレータと、
を具備することを特徴としている。
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、前記PIDレギュレータがトルク指令値をPID演算するに際して、当該現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差を所定の値の範囲内に制限する偏差リミッタを設け、当該偏差リミッタから出力された偏差を前記PIDレギュレータに入力させるようにしたことを特徴としている。
前記PIDレギュレータが算出した前記トルク指令値に、前記モータの回生電力量を任意に制限することができる下限リミットを設ける下限リミッタを有することを特徴としている。
前記モータの目標とする回転速度に、予め設定した設定定数を加えて速度リミッタ指令を算出し、該速度リミッタ指令を前記インバータに出力して前記モータの過回転を防止する速度リミッタを有することを特徴としている。
エンジン回転速度を自律的に調整するガバナによって制御されるエンジンで発電機を駆動するエンジン発電機の前記エンジンを駆動して発生させた電力を、モータをトルク制御するインバータを介して前記モータに供給することにより船舶を推進する船舶推進方法であって、
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により前記トルク指令値を算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴としている。
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、PIDレギュレータがトルク指令値をPID演算するに際して、当該現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差を所定の値の範囲内に制限し、当該制限された偏差から前記PID演算式によりトルク指令値を算出して前記インバータに出力することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴としている。
算出された前記トルク指令値に、前記モータの回生電力量を任意に制限することができる下限リミットを設けることを特徴としている。
前記モータの目標とする回転速度に、予め設定した設定定数を加えて速度リミッタ指令を算出し、該速度リミッタ指令を前記インバータに出力して前
記モータの過回転を防止することを特徴としている。
すなわち、トルク指令値の単位時間あたりの変化量を制限することにより、前記インバータの応答性を“鈍くして”、前記エンジン発電機の応答性に合わせ、エンジン発電機がハンチングしないようにする訳である。
従来においては、エンジン発電機の容量をモータ容量の例えば3倍程度としてモータの負荷変動に対する余裕度を確保する必要性があったが、本発明は、このエンジン発電機の余裕度の必要性を低減することが出来、エンジン発電機の容量を従来より小さいものにすることが出来る。
すなわち、モータに出力する電力の応答性がエンジン発電機の応答速度(応答遅れ)にマッチングするようにPIDレギュレータのPIDパラメータ値によってトルク指令値の単位時間あたりの変化量が制限されている為、前記インバータの応答性を“鈍くして”、前記エンジン発電機の応答性に合わせ、エンジン発電機がハンチングしないようになされる。言い換えると、電機推進を行う船舶推進装置におけるモータの応答性が、ディーゼルエンジンを主機関とする船舶推進装置におけるプロペラを駆動する場合の応答性と同程度となる。
図1に示すように、この船舶推進装置1は、エンジン2により発電機3を駆動して電力を発生するエンジン発電機4を備えている。エンジン2は、エンジン2の回転速度を自律的に調整する機能を備えたガバナ5によって制御される。発電機3は、AVR(Automatic Voltage Regulator )6によって励磁電圧を制御される。発電機制御装置7は、発電機3が発電する電気の電流と電圧周波数を検出し、これに基づいてガバナ5とAVR6を制御することができる。
(モータ9の許容最高回転速度−最大モータ目標回転速度)>設定定数α
の関係にある。これにより、インバータ8は、速度リミッタ指令を越えてモータ9を駆動することができなくなり、モータ9の過回転が防止される。
その結果、トルク指令値の単位時間あたりの変化量が制限されることにより、前記インバータの応答性が見掛け上“鈍くなり”、前記エンジン発電機の応答性に合わせられて、エンジン発電機がハンチングしないようになる。これによって、電機推進を行う船舶推進装置1におけるモータ9の応答性が、ディーゼルエンジンを主機関とする船舶推進装置においてプロペラを駆動する場合の応答性と同程度となる。
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)−E(n −1) )+Δt /Tl×E(n)
+Td/Δt (E(n)−2E(n−1)+E(n −2))
トルク指令値(n) =トルク指令値(n−1) +トルク指令演算値 …(式2)
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)+Δt /Tl×ΣEi
+Td/Δt (E(n)−E(n −1)) …(式3)
Kp:比例分ゲイン(P 分) Tl:積分時間(I 分) Td:微分時間(D 分) Δt:演算周期
E(n):(式1)から算出さ制限された値(偏差)
以下、PIDパラメータの調整について、各成分ごとに説明する。
モータ9の負荷が急激に増加した時にエンジン発電機4の回転速度が瞬間的に大きく低下した場合、又はモータ9の負荷が急激に低下した時にエンジン発電機4の回転速度が瞬間的に大きく変化した場合にはP分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、P分パラメータ調整は、I分、D分パラメータ調整に影響を与えるので、P分パラメータを調整した場合は、必要によりI分、D分パラメータの再調整を行なう。
モータ9の負荷変動が小さい時、エンジン発電機4の回転速度がハンチングする時は、I分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、I分パラメータ調整は、P分D分パラメータ調整に影響を与えるので、I分パラメータを調整した場合は、必要によりP分、D分パラメータ再調整を行なう。
モータ9の負荷が急激に変化した時にエンジン発電機4の回転速度が一時的オーバシュート、又はアンダーシュートする場合は、D分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、D分パラメータ調整は、P分I分パラメータ調整に影響を与えるので、D分パラメータを調整した場合は、必要によりP分、I分パラメータ再調整を行なう。
図4Aは下限リミッタ値を0未満とした場合の回転速度とモータ9の作動状態の変化を示す。下限リミッタ値を0未満とすると、モータ回生電力量を有りに設定できる。モータ出力(一点鎖線)に細線楕円を付して示したように、モータ回生電力が発生してエネルギを回収しているため、その分だけモータ回転速度(破線)は後述する図4Bに比べて落ちている。
制御動作の開始後(START)、船舶の乗組員等が速度制御ハンドル12を操作してある位置に設定すると、当該位置に対応する信号がコントローラ11の速度算出部13に送られ、速度算出部13は、この信号から対応するモータ目標回転速度を算出する(S1)。
この場合、エンジン発電機4をハンチングさせないためのPIDパラメータ値の調整は、偏差リミッタ16がない場合に比べれば、インバータ8の応答性を“厳密に鈍くする”設定にする必要はなく、より緩くてもよい。すなわち偏差リミッタ16がない場合のように、インバータ8の応答速度をエンジン発電機4の応答速度に近づけなくとも、エンジン発電機4の回転速度及び周波数を安定化させるのに必要な効果は得られる。
PIDパラメータの値は各機器の出力、特性等によって変動する。この例では、各機器の仕様を以下のように設定する。
モータ9の容量:295KW
インバータ8の容量:315KW
エンジン発電機4の容量:400KW
偏差リミッタ16における下限リミッタ値と上限リミッタ値の範囲が100min-1に調整されている時は、
P分は4.000、I分は1.350、D分は0.055となる。
偏差リミッタ16における下限リミッタ値と上限リミッタ値の範囲が750min-1に調整されている時は、
P分は2.000 I分は0.900 D分は0.000となる。
この船舶推進装置1aはハイブリッド型の船舶推進装置であり、プロペラ10の駆動源として、モータ9と主機関(ディーゼルエンジン)20を有している。モータ9は減速変向機構22を介してプロペラ10に接続され、主機関20は、クラッチ21と減速変向機構22を介してプロペラ10に接続されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
2…エンジン
3…発電機
4…エンジン発電機
8…インバータ
9…モータ
11…コントローラ
14…速度リミッタ
16…偏差リミッタ
17…PIDレギュレータ
18…下限リミッタ
Claims (8)
- エンジン回転速度を自律的に調整するガバナによって制御されるエンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、
船舶を推進するためのモータと、
前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータと、
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、トルク指令値をPID演算して前記インバータに出力するPIDレギュレータであって、前記モータの応答性が、前記エンジンがプロペラを駆動するとした場合の応答性と同程度となるように、前記トルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度に制限するPIDパラメータが設定されたPIDレギュレータと、
を具備することを特徴とする船舶推進装置。 - 現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、前記PIDレギュレータがトルク指令値をPID演算するに際して、当該現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差を所定の値の範囲内に制限する偏差リミッタを設け、当該偏差リミッタから出力された偏差を前記PIDレギュレータに入力させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の船舶推進装置。
- 前記PIDレギュレータが算出した前記トルク指令値に、前記モータの回生電力量を任意に制限することができる下限リミットを設ける下限リミッタを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶推進装置。
- 前記モータの目標とする回転速度に、予め設定した設定定数を加えて速度リミッタ指令を算出し、該速度リミッタ指令を前記インバータに出力して前記モータの過回転を防止する速度リミッタを有することを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか一つに記載の船舶推進装置。
- エンジン回転速度を自律的に調整するガバナによって制御されるエンジンで発電機を駆動するエンジン発電機の前記エンジンを駆動して発生させた電力を、モータをトルク制御するインバータを介して前記モータに供給することにより船舶を推進する船舶推進方法であって、
現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により前記トルク指令値を算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴とする船舶推進方法。 - 現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差に基づいて、PIDレギュレータがトルク指令値をPID演算するに際して、当該現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差を所定の値の範囲内に制限し、当該制限された偏差から前記PID演算式によりトルク指令値を算出して前記インバータに出力することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴とする請求項5に記載の船舶推進方法。
- 算出された前記トルク指令値に、前記モータの回生電力量を任意に制限することができる下限リミットを設けることを特徴とする請求項5又は6に記載の船舶推進方法。
- 前記モータの目標とする回転速度に、予め設定した設定定数を
加えて速度リミッタ指令を算出し、該速度リミッタ指令を前記インバータに出力して前記モータの過回転を防止することを特徴とする請求項5、6又は7のいずれか一つに記載の船舶推進方法。
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