JP5332782B2 - ダイクッション装置 - Google Patents
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(1)本発明は、ワークのプレス成型時に上金型との間でワークを保持するブランクホルダと、該ブランクホルダを気体の圧力により弾性的に上方付勢しプレス成型時に前記ブランクホルダとともに降下するクッションと、該クッションの上昇を一時的に阻止するロッキング装置とを備えたダイクッション装置において、前記クッションを上下方向に駆動可能なクッション駆動手段と、前記クッションの上昇時に上向きの駆動力を発生するように前記クッション駆動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
図1は、本発明に係るダイクッション装置10の第1実施形態を示す概略構成図である。図1に示すようにダイクッション装置10は、プレス機械の下部に設けられる。
搬入側搬送装置8は、未加工のワーク6を把持部8aで把持して移動させブランクホルダ11上に置く動作を行なうことにより、ワーク6をプレス機械に搬入する。搬出側搬送装置9は、加工後のワーク6を把持部9aで把持して移動させブランクホルダ11上から取り除く動作を行なうことにより、ワーク6をプレス機械から搬出する。搬入側搬送装置8および搬出側搬送装置9としては、産業用ロボットや専用のトランスファー装置を使用できる。
クッション12は、気体の圧力を利用してブランクホルダ11を弾性的に上方付勢しプレス成型時にブランクホルダ11とともに降下する装置である。クッション12は、1本もしくは複数のクッションピン13と、クッションパッド14と、ピストン15とからなる。
クッションパッド14は、上面でクッションピン13を支持している。
ピストン15は、クッションパッド14の下面に連結されてクッションパッド14を支持している。
クッションピン13、クッションパッド14及びピストン15は、クッション12として一体となって上下動する。
ガス圧シリンダ16内には圧縮ガス(例えば、空気や窒素)が封入されており、この圧縮ガスによりピストン15に対して上向きの力を作用させる。
ブランクホルダ11もおおむねクッション12と一体となって上下するが、ブランクホルダ11とクッションピン13が短時間離れることもありえる。
図1に示す第1実施形態において、制御手段30は、電源ライン34からクッション駆動手段20へ電力を供給する回路を開閉する開閉器31と、開閉器31の開閉を制御する指示器32とを備える。
指示器32は、開閉器31に回路の開閉を指示する装置であり、開閉信号Scを出力する。指示器32は、例えば、プログラマブルな制御装置やリレー回路によって構成することができる。
指示器32は、クッション12の上昇時には回路を閉じるように開閉器31に指示し、クッション12の停止時又は下降時には回路を開くように開閉器31に指示する。
搬入側搬送装置8が成形前のワーク6をブランクホルダ11の上に置く。スライド1が上死点から下降を開始する。
(期間b)
スライド1の下降とともに上金型2が下降し、ワーク6が上金型2とブランクホルダ11に挟まれた状態になると、ガス圧シリンダ16からピストン15、クッションパッド14、クッションピン13を経てブランクホルダ11に伝わる上向きの力によりしわ押さえが行われる。さらにスライド1が下降すると、しわ押さえが行われた状態でワーク6が下金型3に押し当てられ、絞り成形が行われる。さらにスライド1が下降して下死点に達するとワーク6が上金型2と下金型3に挟まれた状態になる。
以下の動作1と動作2が並行して行われる。
スライド1とそれに固定された上金型2が上昇し上死点に達して1サイクルが終了する(期間e)。
(動作2)
ブランクホルダ11がロッキング装置17によりロッキングされている状態で搬出側搬送装置9が成形後のワーク6をブランクホルダ11の上から搬出する(期間c)。その後、ロッキングが解除されガス圧シリンダ16から伝わる上向きの力により、クッション12が上昇する(期間d)。
これにより、ロッキング装置17によるロッキングが解除された後のクッション12の上昇速度を速くすることができるので、プレス生産のサイクルタイムを短くでき、生産性を向上できる。
次に、本発明に係るダイクッション装置10の第2実施形態について説明する。
本発明に係るダイクッション装置10の第2実施形態の構成は、図1と同じであるが、第2実施形態では、指示器32は、クッション12が上昇中でありかつ上昇速度(変換器42から入力されるクッション上下速度信号Sv)が所定速度値V1以下である場合にのみ回路を閉じるように開閉器31に指示する。また指示器32は、クッション12が上昇中であっても、クッション12の上昇速度が速度値V1よりも高い場合、及び、クッション12が停止又は下降中の場合には、回路を開くように開閉器31に指示する。
図4は、本発明に係るダイクッション装置10の第3実施形態を示す概略構成図である。第3実施形態は、クッション高さ信号Shを指示器32に入力する点で、第1実施形態(図1)と異なる。
第3実施形態では、指示器32は、クッション12が上昇中でありかつクッション高さ(リニアエンコーダ41から入力されるクッション高さ信号Sh)が所定範囲内である場合にのみ回路を閉じるように開閉器31に指示する。また、指示器32は、クッション12が上方に移動中であっても、クッション高さが所定範囲以外である場合、及び、クッション12が停止又は下降中の場合には、回路を開くように開閉器31に指示する。
このように第3実施形態では、必要な高さ範囲でのみクッション12の上昇をアシストするので、電力消費を節約できる効果がある。
また、図5に示すように、H1をクッション12の下降端よりも高い位置に設定し、H2をクッション12の上昇端よりも低い位置に設定すれば、クッション12の上昇開始及び停止にともなう衝撃を緩和することができ、騒音の低減や装置の劣化・破損の予防に効果がある。なお、H1を、クッション12の下降端の位置に設定してもよい。
図6は、本発明に係るダイクッション装置10の第4実施形態を示す概略構成図である。
図6に示す第4実施形態において、電源ライン34には後述する電力制御手段51(インバータ51A)に電力を供給するコンバータ55が接続されている。コンバータ55と電力制御手段51は、直流バス56により電気的に接続されている。
コンバータ55としては、ダイオードブリッジやサイリスタブリッジを使用した電力非回生型コンバータや、IGBT・GTO・パワーMOSFETなどの電力制御素子でブリッジを構成した電力回生型コンバータを用いることができる。
図6の構成例において、電力制御手段51は、コントローラ52からの指令に従って、リニアモータ21がトルクを発生するように、リニアモータ21へ供給される電流・電圧を制御するインバータ51Aである。インバータ51Aとしては、IGBT・GTO・パワーMOSFETなどの電力制御素子をPWM変調によりスイッチングする電圧型ないし電流型インバータがよく用いられる。
変換器42から出力されたクッション上下速度Svは、目標速度生成器54とトルク指令器53の両方に入力される。
トルク指令器53は、目標速度生成器54からのクッション上昇速度目標値Stと、変換器からのクッション上下速度Svを比較し、インバータ51Aへトルク指令値Stqを出力する。トルク指令器53は、PIDやI−PDなどのフィードバック演算を行う。制御性を高めるためにフィードフォワード演算を併用してもよい。このようなトルク指令器53は、アナログ電子回路や、プログラマブルな制御装置によって実現できる。
目標速度生成器54は、変換器42から送られてくるクッション上下速度Svに基づいて、クッション上昇速度目標値Stを生成する。具体的には、あらかじめ記憶させておいた値Vcをクッション上昇速度目標値Stとしてトルク指令器53へ出力する。ここで、本発明の効果を発揮させるために、従来方法でクッションが上昇する速度(クッション駆動手段20で上昇をアシストしない場合のクッション上昇速度)よりも大きい速度目標値を、上昇アシスト速度値Vcとして記憶させておく。記憶させておく値は、手動で設定したり、あらかじめ金型やワークごとに値を決めたりしてもよい。
目標速度生成器54は、任意の適当な値(例えば、ゼロ)を出力する。
トルク指令器53は、目標速度生成器54から入力されるクッション上昇速度目標値にかかわらず、トルク指令値としてインバータ51Aに対してゼロを出力する。この結果、インバータ51Aは、移動子23に力が発生しないようにリニアモータ21へ電流・電圧を供給するようになり、クッションパッドに加わる力はガス圧シリンダ16からピストン15を介して加わる力だけとなり、従来のクッションと同じ動作になる。
インバータ51Aを構成するすべての電力制御素子のゲート信号をオフにし、インバータ51Aからリニアモータ21へ電流・電圧を供給しないようにする。リニアモータ21はフリーラン状態となり移動子23に力が発生しなくなるので、クッションパッドに加わる力はガス圧シリンダ16からピストン15を介して加わる力だけとなり、従来のクッションと同じ動作になる。
第1実施形態ではクッション上昇速度のフィードバック制御が行われていないので、外乱(例えば、ガス圧シリンダ16からの気体の漏れ、電源ライン34の電圧変動など)によってクッション12の上昇速度にばらつき・ふらつきが発生することがある。これに対し、第4実施形態では、クッション上昇速度をフィードバック制御するので、外乱があってもクッション上昇速度にばらつき・ふらつきが発生せず、クッション上昇速度目標値St通りに上昇させることができる。
変形例1において、コントローラ52は、以下のように動作する。
コントローラ52は、クッション12が上昇中でありかつクッション上下速度Svが所定速度値V1より低い場合には所定速度値V1をクッション上昇速度目標値Stにして、クッション12の上昇速度がクッション上昇速度目標値に一致するように電力制御手段51を制御する。
コントローラ52は、クッション上下速度Svが所定速度値V1より高い場合はクッション上下速度Svをクッション上昇速度目標値として電力制御手段51を制御する。
コントローラ52は、クッション12の停止時又は下降時には、クッション駆動手段20が駆動力を発生しないように電力制御手段51を制御する。具体的には、トルク指令器53は、目標速度生成器54から出力されたクッション上昇速度目標値にかかわらず、トルク指令値としてインバータ51Aに対してゼロを出力する。もしくは、インバータ51Aを構成するすべての電力制御素子のゲート信号をオフにしてもよい。
変形例1によれば、必要な場合にのみクッション12の上昇をアシストするので、上述の第2実施形態と同様に、電力消費を節約できる効果がある。
変形例2において、コントローラ52は、以下のように動作する。
コントローラ52は、クッション12が上昇中でありかつクッション高さが所定範囲内である場合には、上昇アシスト速度値Vcをクッション上昇速度目標値Stにして、電力制御手段51を制御する。
コントローラ52は、クッション12が上昇中でありかつクッション高さが所定範囲以外である場合には、クッション上下速度Svをクッション上昇速度目標値Stにして、電力制御手段51を制御する。
上述の変形例2によれば、必要な高さ範囲でのみクッション12の上昇をアシストするので、第3実施形態と同様に、電力消費を節約できるともに騒音の低減や装置の劣化・破損の予防に効果がある。
(A)第1〜第4の実施形態において、クッション駆動手段20はリニアモータ21に限られず、代わりに、クッション12の上下動を回転運動に変換するラックピニオンと回転モータの組み合わせや、クッション12の上下動を回転運動に変換するボールスクリューと回転モータの組み合わせでも良い。
このような構成で、N1:N2=VLmax:VCmaxとなるように、大径ピニオン81aの半径N1と小径ピニオン81bの半径N2を選べば、リニアモータ21でVLmaxを出したときに、クッション12をVCmaxで移動させることができる。
(K)第4実施形態において、クッション12を駆動する力を大きくするため、クッション駆動手段20と電力制御手段51を複数組設けることも可能である。
2 上金型
3 下金型
4 ボルスタープレート
5 ベッド
6 ワーク
8 搬入側搬送装置
9 搬出側搬送装置
10 ダイクッション装置
11 ブランクホルダ
12 クッション
13 クッションピン
14 クッションパッド
15 ピストン
16 ガス圧シリンダ
17 ロッキング装置
20 クッション駆動手段
21 リニアモータ
22 固定子
23 移動子
24 支持材
30 制御手段
31 開閉器
32 指示器
34 電源ライン
41 リニアエンコーダ
42 変換器
51 電力制御手段
51A インバータ
52 コントローラ
53 トルク指令器
54 目標速度生成器
55 コンバータ
56 直流バス
Claims (8)
- ワークのプレス成型時に上金型との間でワークを保持するブランクホルダと、該ブランクホルダを気体の圧力により弾性的に上方付勢しプレス成型時に前記ブランクホルダとともに降下するクッションと、該クッションの上昇を一時的に阻止するロッキング装置とを備えたダイクッション装置において、
前記クッションを上下方向に駆動可能なクッション駆動手段と、
前記クッションの上昇時に前記クッション駆動手段が上向きの駆動力を発生するように、かつ、前記クッションの下降時に前記クッション駆動手段が駆動力を発生しないように、前記クッション駆動手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするダイクッション装置。 - ワークのプレス成型時に上金型との間でワークを保持するブランクホルダと、該ブランクホルダを気体の圧力により弾性的に上方付勢しプレス成型時に前記ブランクホルダとともに降下するクッションと、該クッションの上昇を一時的に阻止するロッキング装置とを備えたダイクッション装置において、
前記クッションを上下方向に駆動可能なクッション駆動手段と、
前記クッションの上昇時に上向きの駆動力を発生するように前記クッション駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、電源ラインから前記クッション駆動手段へ電力を供給する回路を開閉する開閉器と、該開閉器の開閉を制御する指示器とを備え、
前記クッション駆動手段は、前記回路が閉じたときに上向きの駆動力を発生するように前記回路に接続され、
前記指示器は、前記クッションの上昇時には前記回路を閉じるように前記開閉器に指示し、前記クッションの停止時又は下降時には前記回路を開くように前記開閉器に指示することを特徴とするダイクッション装置。 - 前記指示器は、前記クッションが上昇中でありかつ上昇速度が所定速度値以下である場合にのみ前記回路を閉じるように前記開閉器に指示する、請求項2記載のダイクッション装置。
- 前記指示器は、前記クッションが上昇中でありかつクッション高さが所定範囲内である場合にのみ前記回路を閉じるように前記開閉器に指示する、請求項2記載のダイクッション装置。
- 前記指示器は、前記クッションが上昇中であり、上昇速度が所定速度値以下であり、かつクッション高さが所定範囲内である場合にのみ前記回路を閉じるように前記開閉器に指示する、請求項2記載のダイクッション装置。
- ワークのプレス成型時に上金型との間でワークを保持するブランクホルダと、該ブランクホルダを気体の圧力により弾性的に上方付勢しプレス成型時に前記ブランクホルダとともに降下するクッションと、該クッションの上昇を一時的に阻止するロッキング装置とを備えたダイクッション装置において、
前記クッションを上下方向に駆動可能なクッション駆動手段と、
前記クッションの上昇時に上向きの駆動力を発生するように前記クッション駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記クッション駆動手段に供給する電力を制御する電力制御手段と、該電力制御手段を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記クッションの上昇時には、あらかじめ記憶された上昇アシスト速度値Vcをクッション上昇速度目標値にして、前記クッションの上昇速度がクッション上昇速度目標値に一致するように前記電力制御手段を制御し、
前記クッションの停止時又は下降時には、前記クッション駆動手段が駆動力を発生しないように前記電力制御手段を制御することを特徴とするダイクッション装置。 - 前記コントローラは、
前記クッションが上昇中でありかつクッション高さが所定範囲内である場合には、前記上昇アシスト速度値Vcをクッション上昇速度目標値にして、前記電力制御手段を制御し、
前記クッションが上昇中でありかつクッション高さが前記所定範囲以外である場合には、クッション上昇速度をクッション上昇速度目標値にして、前記電力制御手段を制御する、請求項6記載のダイクッション装置。 - ワークのプレス成型時に上金型との間でワークを保持するブランクホルダと、該ブランクホルダを気体の圧力により弾性的に上方付勢しプレス成型時に前記ブランクホルダとともに降下するクッションと、該クッションの上昇を一時的に阻止するロッキング装置とを備えたダイクッション装置において、
前記クッションを上下方向に駆動可能なクッション駆動手段と、
前記クッションの上昇時に上向きの駆動力を発生するように前記クッション駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記クッション駆動手段に供給する電力を制御する電力制御手段と、該電力制御手段を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記クッションが上昇中でありかつ上昇速度が所定速度値V1より低い場合には該所定速度値V1をクッション上昇速度目標値にして、前記クッションの上昇速度がクッション上昇速度目標値に一致するように前記電力制御手段を制御し、
クッション上昇速度が前記所定速度値V1より高い場合はクッション上昇速度をクッション上昇速度目標値にして、前記電力制御手段を制御し、
前記クッションの停止時又は下降時には、前記クッション駆動手段が駆動力を発生しないように前記電力制御手段を制御することを特徴とするダイクッション装置。
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