JP6214075B1 - 船舶推進方法及び船舶推進装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ推進からハイブリッド推進への移行を円滑に行なえる船舶推進方法を提供する。【解決手段】船舶推進装置1は、プロペラ9と、ガバナ3で制御される主機関2と、インバータ12でトルク制御されるモータ14と、コントローラ4を有する。コントローラは、外部信号から推進状態を判断し、モータ推進制御部50又はハイブリッド推進制御部40で制御する。モータ推進制御ではモータの回転速度が目標回転速度に一致するようフィードバック制御でトルク指令値をインバータに指令し、ハイブリッド制御では主機関出力の現在値と目標値の偏差をPID 演算したアシストトルク指令値でインバータを制御する。主機関出力とモータアシスト量の配分を最適化し、ガバナ制御の主機関の運転を効率化する。【選択図】図1

Description

本発明は、ガバナにより制御される主機関と、インバータによりトルク制御されるモータで船舶のプロペラを回転させるハイブリッド推進による船舶推進方法及び装置に係り、特に、モータ推進からハイブリッド推進に移行が完了するまでモータのトルク制御を継続することによりハイブリッド推進への移行中にプロペラ駆動力が途切れないようにした船舶推進方法及び装置に関するものである。
特許文献1に記載された発明は、モータ推進とハイブリッド推進の切り替えが可能な舶用推進装置において、切り替えの際に回転数の停滞を防止して操作性を向上させることを目的とするものである。この船舶推進装置によれば、モータ推進におけるモータジェネレータM/G20の回転数及びハイブリッド推進における主機関の回転数は、増加率が相対的に大きいランプ関数で制御する。モータ推進からハイブリッド推進に切り替えるためにクラッチ7を嵌合させながらM/Gの回転数及び主機関の回転数を同期させて上昇させる際には、M/Gの回転数及び主機関の回転数を増加率が相対的に小さいランプ関数で制御する。この発明によれば、クラッチ嵌合動作中の切替え回転数の上昇が緩やかになり、回転数停滞が解消されて連続的で違和感のない動作モードの切り替えを行なえることが期待される。
特開2013−132967号公報
特許文献1に記載された発明によれば、モータ推進では、インバータは速度制御を行うが、主機関とモータで航行するハイブリッド推進では、インバータはトルク制御に切替える必要がある。このため、インバータとしては、モータの制御を速度制御とトルク制御に選択的に切替えられる機能があるものが必要であり、何れか片方のみの制御を行なう安価な汎用インバータに比べ、部品コスト又は製造コストが高額になるという問題があった。
また、特許文献1に記載された発明によれば、図15に示すように、モータ推進領域から、ハイブリッド推進領域へ移行する途中に、クラッチが脱状態から嵌状態へ移行する期間があり、その間、瞬間的にではあるが、プロペラ駆動力が低下し、運転状態が不安定になる傾向があるという問題があった。
図15のグラフ左側に示すように、モータ推進領域では、モータ出力割合が100%であり、インバータはモータを速度制御している。ここで、クラッチは脱状態にあり、主機関はプロペラの駆動系から外れている。
図15のグラフ中央に示すように、このモータ推進からハイブリッド推進領域への移行が始まると、インバータは、その制御を速度制御からトルク制御に切替える。この切替えに際して、コントローラはクラッチ嵌指令をクラッチ制御装置に出力し、クラッチ制御装置は、クラッチを嵌状態とするためにクラッチ操作用電磁弁をONとする。しかしながら、クラッチ作動油圧が上昇してから主機関の駆動力がプロペラに伝達されるまでには若干のタイムラグがあるため、瞬間的に主機関出力がプロペラに伝達されない状況が発生し、プロペラ駆動力が一瞬低下する状態となる場合があった。しかも、このタイムラグ時間はクラッチ作動油温度、プロペラ負荷、クラッチの劣化度等の諸条件によって変わり、必ずしも一定というわけではない。
なお、図15のグラフ右側に示すように、ハイブリッド推進領域に入ると、モータがアシスト(モータ出力0kwを越える場合)を行なう量は、プロペラ負荷によって変化し、主機関出力の割合は、100%−モータのアシスト量(%)となる。
さらにまた、特許文献1に記載された発明によれば、モータ推進からハイブリッド推進に移行する際、主機関とプロペラを連結するクラッチの状態を示す情報として、クラッチから直接取得されるクラッチ嵌合信号が必要となり、かかる信号を取得するためのセンサ類の配置にコストがかかるため、その分だけ部品コスト又は製造コストが高額になるという問題があった。
本発明は、上述した問題点を解決することを目的としており、モータの制御に安価な汎用インバータを使用でき、しかも、モータ推進領域からハイブリッド推進領域へ移行する途中であってもプロペラ駆動力が低下することがなく、運転状態が安定しているため運転状態の移行を円滑に行なうことができ、さらに、クラッチの状態を示すクラッチ嵌合信号等が不要である船舶推進方法及び船舶推進装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された船舶推進方法は、
ガバナにより制御される主機関と、前記主機関の駆動力をプロペラに伝達できるクラッチと、前記プロペラを駆動するモータと、エンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータとを備え、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータによるモータ推進と、前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる船舶推進方法であって、
前記モータ推進から前記ハイブリッド推進状態に移行完了しているか否かの判定を、次の3つの条件式を使用して行ない、
(a)主機関出力≧プロペラ回転必要出力値、
(b)モータ出力<プロペラ回転必要出力値、
(c)(モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦所定回転速度、
前記(a)及び前記(b)が成立するか、又は前記(a)及び前記(c)が成立する場合、ハイブリッド推進移行完了と判定し、前記ハイブリッド推進の制御に移ることを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進方法は、請求項1に記載の船舶推進方法において、
前記ハイブリッド推進においては、
現在主機関出力を取得する現在主機関出力取得工程と、
現在のプロペラ回転速度から目標主機関出力を算出する目標主機関出力算出工程と、
前記目標主機関出力と前記現在主機関出力の偏差を使用したPID演算式によりアシストトルク指令値を算出して前記インバータに指示するモータトルク制御工程とを備えて、
前記インバータは引き続き前記モータをトルク制御することを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進装置は、
ガバナにより制御される主機関と、前記主機関の駆動力をプロペラに伝達できるクラッチと、前記プロペラを駆動するモータと、エンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータとを備え、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータによるモータ推進と、前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる船舶推進装置であって、
前記モータ推進から前記ハイブリッド推進状態に移行完了しているか否かの判定を、次の3つの条件式を使用して行ない、
(a) 主機関出力≧プロペラ回転必要出力値、
(b) モータ出力<プロペラ回転必要出力値、
(c) (モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦所定回転速度、
前記(a) 及び前記(b) が成立するか、又は前記(a) 及び前記(c) が成立する場合、ハイブリッド推進移行完了と判定し、前記ハイブリッド推進の制御に移ることを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進装置は、請求項に記載の船舶推進装置において
在主機関出力を取得する現在主機関出力取得部と、
現在のプロペラ回転速度から目標主機関出力を算出する目標主機関出力算出部と、
前記目標主機関出力と前記現在主機関出力の偏差を算出する偏差算出部と、
前記偏差算出部が算出した偏差に基づきアシストトルク指令値を算出して前記インバータに出力するPIDレギュレータとを備えて、
前記ハイブリッド推進でも、前記インバータは引き続き前記モータをトルク制御するコントローラを有することを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進方法は、請求項1記載の船舶推進方法において、
前記モータ推進では、速度制御ハンドル位置からモータ目標回転速度を決定し、モータ回転速度がモータ目標回転速度に一致するようフィードバック制御によりトルク指令値を前記インバータに指令するに際して、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない値となるように制限することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進方法は、請求項に記載の船舶推進方法において、
前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進装置は、請求項記載の船舶推進装置において
記モータ推進では、速度制御ハンドル位置からモータ目標回転速度を決定し、モータ回転速度がモータ目標回転速度に一致するようフィードバック制御によりトルク指令値を前記インバータに指令するに際して、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない値となるように制限することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせるコントローラを有することを特徴としている。
請求項に記載された船舶推進装置は、請求項に記載の船舶推進装置において、
前記コントローラは、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴としている。
請求項1に記載の船舶推進方法及び請求項に記載の船舶推進装置によれば、クラッチの状態を示す情報、例えばクラッチ直結信号、スリップ率信号、クラッチ入力軸回転速度信号等が不要になる事から、クラッチの機種毎に異なる性能の影響を受け難く、また舶用ハイブリッドシステムの構成がシンプルになる為、ハイブリッドシステムのコストを下げられる効果が期待できる。
請求項に記載の船舶推進方法及び請求項に記載の船舶推進装置によれば、インバータの運転中にインバータ制御を速度制御とトルク制御の間で切替えることが不要になる事から、舶用ハイブリッドシステムにおいて安価な汎用インバータを使用することができる。
請求項に記載の船舶推進方法及び請求項に記載の船舶推進装置によれば、トルク指令値の単位時間あたりの変化量が制限されることにより、前記インバータの応答性が見掛け上“鈍くなり”、前記エンジン発電機の応答性に合わせられて、エンジン発電機がハンチングしないようになる。これによって、電機推進を行う船舶推進装置におけるモータの応答性が、ディーゼルエンジンを主機関とする船舶推進装置においてプロペラを駆動する場合の応答性と同程度となる。
請求項に記載の船舶推進方法及び請求項に記載の船舶推進装置によれば、モータに電力を出力するインバータの応答性がエンジン発電機の応答速度にマッチングするように、インバータを制御するモータ推進制御部のパラメータが調整されており、推進用のモータの応答性が、主機関ディーゼルエンジンがプロペラを駆動する時の応答性と同程度となっている。このため、モータ推進制御部はエンジン発電機の側からの情報に基づく制御を行う必要がなく、エンジン発電機はガバナ制御のみで回転速度を安定させることが出来、エンジン発電機がハンチングを起こすことは確実に防止される。
実施形態の船舶推進装置の制御ブロック図である。 実施形態の船舶推進装置の制御フロー図である。 実施形態の船舶推進装置の制御においてモータ推進領域からハイブリッド推進領域へ移行する際のプロペラ軸出力割合の変化等を示す図である。 実施形態の船舶推進装置の制御において適用される主機関出力とプロペラ回転必要出力値の大小判断に関するヒステリシス図である。 実施形態の船舶推進装置の制御において適用されるモータ出力とプロペラ回転必要出力値の大小判断に関するヒステリシス図である。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部の制御ブロック図である。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部における偏差リミッタの作用又は機能を示すグラフである。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部においてインバータの応答速度をエンジン発電機の応答速度に近くなるように調整するPIDレギュレータの作用又は機能を説明するグラフである。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部におけるモータ回転速度の下限リミッタによる制御を示すグラフであり、下限リミットを0未満に設定した場合を示す図である。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部におけるモータ回転速度の下限リミッタによる制御を示すグラフであり、下限リミットを0以上に設定した場合を示す図である。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部における制御フロー図である。 実施形態の船舶推進装置のモータ推進制御部における速度制御ハンドルのハンドル位置と、モータ目標回転速度の対応関係を示す表である。 実施形態の船舶推進装置のハイブリッド推進制御部の制御ブロック図である。 実施形態の船舶推進装置のハイブリッド推進制御部において、目標主機関出力を取得するために用いられる目標主機関出力とプロペラ回転速度の関係を示すグラフの一例である。 実施形態の船舶推進装置のハイブリッド推進制御部において、目標主機関出力を取得するために用いられる目標主機関出力とプロペラ回転速度の関係を示す2点間直線補間テーブルの一例である。 実施形態の船舶推進装置における他のシステム構成例を示す図である。 実施形態の船舶推進装置における他のシステム構成例を示す図である。 従来の船舶推進装置の制御においてモータ推進領域からハイブリッド推進領域へ移行する際のプロペラ軸出力割合の変化等を示す図である。
実施形態の船舶推進装置の概略構成について図1〜図4を参照して説明する。この船舶推進装置は、コントローラの制御により、インバータを介してモータをトルク制御し、またガバナによって主機関を制御し、これによってプロペラを回転させて船舶を推進させるハイブリッド型の船舶推進装置である。また、この船舶推進装置は、主機関の出力やモータ回転速度等から船舶の推進状態を的確に判定し、モータ推進及びハイブリッド推進を的確に切り換えて船舶の推進制御を行なうことができる。
図1に示すように、船舶推進装置1の主機関2は、例えばディーゼル機関であり、ガバナ3によって制御される。ガバナ3は、後に詳述するコントローラ4からのガバナ指令値(回転数指示)を与えられ、主機関2の回転速度を自律的に指令値に調整する。ガバナ3にはラックセンサ5が設けられており、ラックセンサ5は燃料噴射量を制御するラック位置を検出して前記コントローラ4に出力する。主機関2の出力軸の近傍には第1回転数検出センサ6が設けられており、第1回転数検出センサ6は主機関回転速度を検出して前記コントローラ4に出力する。主機関2の出力軸は、クラッチ7と減速変向機構8を介してプロペラ9に接続されており、主機関2の駆動によりプロペラ9が回転する。減速変向機構8の近傍には、第2回転数検出センサ10が設けられており、第2回転数検出センサ10は、プロペラ回転速度を検出して前記コントローラ4に出力する。
図1に示すように、船舶推進装置1のモータ11は、インバータ12により制御される。インバータ12には、エンジン発電機EGからの電力線13が接続されている。エンジン発電機EGは、エンジンENと発電機GRによって構成されており、エンジンENは、エンジンENの回転速度を自律的に調整する機能を備えたガバナGVによって制御される。発電機GRは、AVR(Automatic Voltage Regulator )によって励磁電圧を制御される。発電機制御装置CTは、発電機GRが発電する電気の電流と電圧周波数を検出し、これに基づいてガバナGVとAVRを制御することができる。
図1に示すように、インバータ12は、前記コントローラ4からのトルク指令値を受け、電力線13を介してエンジン発電機EGからの系統電力をモータ11に与えてトルク制御する。モータ11の出力軸は、減速変向機構8を介してプロペラ9に接続されており、モータ11の駆動によりプロペラ9が回転する。モータ11には、第3回転数検出センサ14が設けられており、第3回転数検出センサ14は、モータ回転速度を検出して前記コントローラ4に出力する。
図1に示すように、モータ11を制御するインバータ12と、主機関2を制御するガバナ3は、共通の制御手段であるコントローラ4により制御される。コントローラ4は、特にハイブリッド推進時に主機関2とモータ11をバランス良く駆動制御するため、以下に説明する構成を備えている。
図1に示すように、コントローラ4は外部信号処理部20を有している。外部信号処理部20は、コントローラ4の外部にある各種機器、センサ等から入力された信号を、コントローラ4内での制御に適合した形式で必要なタイミングにおいて出力することができる。まず、外部信号処理部20には、船舶の運転位置に設置された速度制御ハンドル15が接続されている。速度制御ハンドル15は、操縦者によって操作・設定されたハンドル位置に対応する信号を出力する。また、ラックセンサ5から送られるラック位置の信号と、第1回転数検出センサ6から送られる主機関回転速度と、第2回転数検出センサ10から送られるプロペラ回転速度と、第3回転数検出センサ14から送られるモータ回転速度も、コントローラ4の前記外部信号処理部20に入力される。
図1に示すように、外部信号処理部20には推進状態判定部30が接続されている。推進状態判定部30は、外部信号処理部20から取得した各種信号・情報に基づいて船舶の推進状態を常時監視しており、船舶の推進状態がハイブリッド推進状態に移行完了しているか否かを判定している。ハイブリッド推進状態に移行が完了していないと判定した場合は、モータ推進状態としてモータ推進制御部による制御を行い、ハイブリッド推進状態に移行が完了していると判定した場合は、ハイブリッド推進制御部による制御を行う。
図2を参照して推進状態判定部30における推進状態の判定について説明する。
まず、現状の推進状態判定部30における推進状態の判定に基づき、ハイブリッド推進移行が未完了かを判断し(S1)、未完了ではない場合(S1、NO)、ハイブリッド推進移行済みであるとして、ハイブリッド移行完了(S2)と判定して終了する。
未完了である場合(S1、YES)、モータ推進状態かつハイブリッド推進移行未完了か、ハイブリッド推進状態かつハイブリッド推進移行完了かを判定するために、次のようにステップS3、S5で2段階の判断を行なう。
まず、主機関出力≧プロペラ回転必要出力値が成立するか否かを判断し、成立しない場合(S3、NO)、主機関出力よりプロペラ回転必要出力値の方が大きいので、ハイブリッド推進移行未完了であるとして、ハイブリッド推進移行未完了(S4)と判定して終了する。
ステップS3において、プロペラ回転必要出力値とは、主機関とクラッチとが直結している状態で主機関がプロペラを回転させるための最低限の必要負荷を意味する。このプロペラ回転必要出力値は、個々の船舶及び波等の環境により異なるのであり、実際の試運転により設定する必要がある。図3に示すように、船舶の運転状態が、モータ推進領域かつハイブリッド移行未完了から、ハイブリッド領域かつハイブリッド移行完了へと移行していく際、主機関がプロペラの回転出力(負荷)を担うようになり、逆にモータの出力は相対的に小さくなっていく。後述する数値例では.250kwを例示したが、通常この値の±20%程度の範囲で設定される場合が多い。
ステップS3の判定において、主機関出力≧プロペラ回転必要出力値が成立する場合(S3、YES)には、ステップS5の判定を行なう。すなわち、(モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦所定回転速度、又はモータ出力<プロペラ回転必要出力値が成立するか否かを判断し、成立しない場合(S5、NO)、主機関とモータの間で回転数差又は出力差があり、クラッチがスリップしていることを意味するので、ハイブリッド推進移行未完了(S4)と判定して終了する。
ステップS5において、モータ回転速度と主機関回転速度の回転速度差は、通常0〜50rpmの範囲で適宜に設定されており、この設定された値を所定回転速度として上記式による判定を行なう。
S5の判定において、(モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦設定回転速度、又はモータ出力<プロペラ回転必要出力値の何れかが成立する場合(S5、YES)、主機関とモータの間で回転数差又は出力差がないか又は小さく、またモータ出力が小さい状態であり、クラッチが嵌合していることを意味するので、ハイブリッド推進移行完了(S6)と判定して終了する。
なお、図2を参照して説明した推進状態の判定において、ステップS3及びステップS5では、それぞれ図4A及び図4Bに示すヒステリシス図に従って条件の成立(Y)又は不成立(N)を判定する。
すなわち、ステップS3の主機関出力に関する判定では、図4Aに示すように、プロペラ回転必要出力値LOWの設定値は、プロペラ回転必要出力値に対して50KW程度小さい値に設定しており、条件が不成立となってNへ移行する場合にはプロペラ回転必要出力値LOWを判断条件とし、条件が成立してYへ移行する場合には大きめのプロペラ回転必要出力値を判断条件としている。
また、ステップS5のモータ出力に関する判定では、図4Bに示すように、条件が成立してYへ移行する場合にはプロペラ回転必要出力値LOWを判断条件とし、条件が不成立となってNへ移行する場合には大きめのプロペラ回転必要出力値を判断条件としている。
これを換言すれば、前記所定出力値を高所定出力値と低所定出力値とに別け、前記主機関出力が前記高所定出力値以上であり、かつ、モータ出力が前記低所定出力値以下になったとき、前記クラッチが嵌合したと判断し、前記ハイブリッド推進の制御に移るようにしているわけである。
これによって、常に安全サイドに判断が行われると共に、システムのハンチングを防止している。
以上説明したように、推進状態判定部30が、ハイブリッド推進状態に移行が完了していないと判定した場合は、その判定信号によりモータ推進制御部を選択してモータ推進制御部による制御を行い、ハイブリッド推進状態に移行が完了していると判定した場合は、その判定信号によりハイブリッド推進制御部を選択し、ハイブリッド推進制御部による制御を行う。
次に、図5〜図10を参照して、モータ推進制御部の構成及びこれによる制御について説明する。
図5に示すように、モータ推進制御部50は速度算出部53を有している。速度算出部53には、図1に示したように外部信号処理部20を介して速度制御ハンドル15が接続されている。速度制御ハンドル15は、操縦者によって操作・設定された位置に対応した信号を出力し、速度算出部53はこの信号に基づいてモータ目標回転速度を算出する。
図5に示すように、速度算出部53には、速度リミッタ54が接続されている。速度リミッタ54は、速度算出部53が算出したモータ目標回転速度に設定定数αを加えて速度リミッタ指令を算出し、インバータ12に与える。この設定定数αは、速度制御ハンドル15を最大にした場合の最大モータ目標回転速度に当該設定定数αを加えても、モータ11の許容最高回転速度未満になるように設定される。すなわち、
(モータ11の許容最高回転速度−最大モータ目標回転速度)>設定定数α
の関係にある。これにより、インバータ12は、速度リミッタ指令を越えてモータ11を駆動することができなくなり、モータ11の過回転が防止される。
図5に示すように、速度算出部53には偏差計算部55が接続されている。偏差計算部55には、速度算出部53からモータ目標回転速度が入力される。この偏差計算部55は外部信号処理部20にも接続されており、現在のモータ回転速度が入力される。偏差計算部55は、モータ目標回転速度とモータ回転速度の偏差を算出する。
図5に示すように、偏差計算部55には、偏差リミッタ56が接続されている。偏差リミッタ56には、偏差計算部55から前記偏差が入力される。偏差リミッタ56は、モータ出力の瞬間的な変動量が大きくならないように、下記(式1)に従い、前記偏差が+側及び−側の各偏差リミッタ値の範囲内になるよう制限して出力する。(式1)によって制限されて出力される偏差を特に偏差E(n)で表す。
下限偏差リミッタ値≦E(n)(偏差)≦上限偏差リミッタ値 …(式1)
すなわち、図6において、横軸はモータ目標回転速度と現実のモータ回転速度の差である前記偏差を示しており、縦軸は実際に偏差リミッタ56から出力される偏差E(n)を示している。横軸の前記偏差が0の前後における比較的狭い範囲ではそのまま縦軸の偏差E(n)として出力されるが、±のある範囲を越えると、縦軸に示す制限値である下限偏差リミッタ値と上限偏差リミッタ値に制限されて偏差E(n)として出力される。
図5に示すように、偏差リミッタ56には、PIDレギュレータ57が接続されている。PIDレギュレータ57は、エンジン発電機EGがハンチングしないようなインバータ12の応答速度を実現するPIDパラメータ値、すなわちエンジン発電機EGの応答速度にマッチングしたパラメータ値が設定され、制限された前記偏差E(n)がより小さくなるようにトルク指令値を算出して出力する。
図7に示すように、モータ11を駆動するインバータ12の応答速度(実線)は、エンジン発電機EGの応答速度(破線)よりも大きい。すなわち、応答特性で比較すると、時間に対する出力の立ち上がりは、インバータ12の方がエンジン発電機EGよりも早く、急峻である。そこで、PIDレギュレータ57は、インバータ12に対するトルク指令のPID制御においてPIDパラメータを調整することにより、インバータ12の応答速度をエンジン発電機EGの応答速度以下とし(一点鎖線)、モータ11に出力する電力の応答性をエンジン発電機EGの応答速度にマッチングさせる。すなわち、現在の前記モータの回転速度と目標とする回転速度との偏差E(n)に基づいて、PIDパラメータを調整したPIDレギュレータ57によって、トルク指令値の単位時間あたりの変化量がエンジン発電機EGのハンチングを起こさせない値となったトルク指令値が、インバータ12に出力される。
その結果、トルク指令値の単位時間あたりの変化量が制限されることにより、前記インバータの応答性が見掛け上“鈍くなり”、前記エンジン発電機の応答性に合わせられて、エンジン発電機がハンチングしないようになる。これによって、電機推進を行う船舶推進装置1におけるモータ11の応答性が、ディーゼルエンジンを主機関とする船舶推進装置においてプロペラを駆動する場合の応答性と同程度となる。
より具体的には、偏差リミッタ56で算出され制限された前記偏差E(n)を基に、下記(式2)又は(式3)に従い、トルク指令値を算出する。これは、ソフトウエアデジタル演算処理におけるPID演算式の代表例である。
速度型PID演算式の場合
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)−E(n −1) )+Δt /Tl×E(n)
+Td/Δt (E(n)−2E(n−1)+E(n −2))
トルク指令値(n) =トルク指令値(n−1) +トルク指令演算値 …(式2)
位置型PID演算式の場合
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)+Δt /Tl×ΣEi
+Td/Δt (E(n)−E(n −1)) …(式3)
上記各式において、
Kp:比例分ゲイン(P 分) Tl:積分時間(I 分) Td:微分時間(D 分) Δt:演算周期
E(n):(式1)から算出さ制限された値(偏差)
前記演算周期Δtは、前述の「インバータ12に出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量」における“単位時間”に当たる。通常この演算周期は、1msec〜数秒、好ましくは10〜500msecである。前記“変化量”は、PIDパラメータである比例分ゲイン(P 分)Kp、積分時間(I 分)Tl、微分時間(D 分)Tdに織り込まれおり、トルク指令値の単位時間あたりの変化量がエンジン発電機EGのハンチングを起こさせない値となったトルク指令値がPIDレギュレータから出力される。
すなわち、PIDレギュレータ57においては、モータ11に負荷がかかった時、エンジン発電機の回転速度がハンチングしないように、事前にPIDパラメータを調整する。このPIDパラメータの値はエンジン発電機EGの特性とインバータ12の特性に合わせて決める。この調整は、本船舶推進装置1の試運転等の運転当初に行い、一度設定すれば以後の調整は不要である。
以下、PIDパラメータの調整について、各成分ごとに説明する。
P分パラメータ調整
モータ11の負荷が急激に増加した時にエンジン発電機EGの回転速度が瞬間的に大きく低下した場合、又はモータ11の負荷が急激に低下した時にエンジン発電機EGの回転速度が瞬間的に大きく変化した場合にはP分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、P分パラメータ調整は、I分、D分パラメータ調整に影響を与えるので、P分パラメータを調整した場合は、必要によりI分、D分パラメータの再調整を行なう。
I分パラメータ調整
モータ11の負荷変動が小さい時、エンジン発電機EGの回転速度がハンチングする時は、I分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、I分パラメータ調整は、P分D分パラメータ調整に影響を与えるので、I分パラメータを調整した場合は、必要によりP分、D分パラメータ再調整を行なう。
D分パラメータ調整
モータ11の負荷が急激に変化した時にエンジン発電機EGの回転速度が一時的オーバシュート、又はアンダーシュートする場合は、D分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、D分パラメータ調整は、P分I分パラメータ調整に影響を与えるので、D分パラメータを調整した場合は、必要によりP分、I分パラメータ再調整を行なう。
一応のP分、I分、D分のパラメータ調整後、速度制御ハンドル15を動かしてモータ11(プロペラ10)の回転速度を上げることによって、発電機GRの負荷をあげる。それに伴って、エンジンENの出力を上げるようガバナGVが自動調節する様子を観察し、エンジン発電機EGがハンチングを起こしていないかを確認する。ハンチングを起こすようであれば、前記指針に従ってP分、I分、D分のパラメータを再調整し、ハンチングを起こしていないのが確認できれば、P分、I分、D分のパラメータの調整は終了である。通常、当業者であれば3〜6時間でP分、I分、D分のパラメータの調整を終了することが出来る。
図5に示すように、PIDレギュレータ57には、下限リミッタ58が接続されている。下限リミッタ58には、PIDレギュレータ57で算出された前記トルク指令が入力される。下限リミッタ58は、モータ出力の瞬間的な変動量が大きくならないように、下記(式4)に従い、PIDレギュレータ57で算出された前記トルク指令を制限してインバータ12に出力する。
下限リミッタ値≦トルク指令値 …(式4)
図8に示すように、下限リミッタ値の設定を変えることでモータ回生電力量を任意に制限する事ができる。
図8Aは下限リミッタ値を0未満とした場合の回転速度とモータ11の作動状態の変化を示す。下限リミッタ値を0未満とすると、モータ回生電力量を有りに設定できる。モータ出力(一点鎖線)に細線楕円を付して示したように、モータ回生電力が発生してエネルギを回収しているため、その分だけモータ回転速度(破線)は後述する図8Bに比べて落ちている。
図8Bは下限リミッタ値を0以上とした場合の回転速度とモータ11の作動状態の変化を示す。下限リミッタ値を0以上とすると、モータ回生電力量を無しに設定できる。モータ出力(一点鎖線)は力行又は0であるため、船舶の進行にはブレーキがかからず、その分だけモータ回転速度(破線)は前述した図8Aに比べて落ち方が遅い。
図1及び図5から分かるように、下限リミッタ58はインバータ12に接続されており、下限リミッタ58で下限リミッタが与えられたトルク指令がインバータ12に与えられる。
次に、図9を参照して船舶推進装置1における制御手順、特にコントローラ4のモータ推進制御部50における制御手順について説明する。同図中、YはYES、NはNOの意味である。
制御動作の開始後(START)、船舶の乗組員等が速度制御ハンドル15を操作してある位置に設定すると、当該位置に対応する信号がモータ推進制御部50の速度算出部53に送られ、速度算出部53は、この信号から対応するモータ目標回転速度を算出する(S11)。
速度算出部53は、モータ目標回転速度を速度リミッタ54に出力する。速度リミッタ54は、これに設定定数αを加えて速度リミッタ指令を算出し(S12)、インバータ12に出力する。これにより、インバータ12は、速度リミッタ指令を越えてモータ11を駆動することができなくなり、モータ11の過回転が防止される。
速度算出部53は、モータ目標回転速度を偏差計算部55に出力する。一方、インバータ12は、モータ回転速度の信号を偏差計算部55に出力する。偏差計算部55は、モータ目標回転速度とモータ回転速度との偏差を算出する(S13)。
偏差計算部55は、前記偏差を偏差リミッタ56に出力する。偏差リミッタ56は、モータ出力の瞬間的な変動量が所定の範囲を越えて大きくならないように、前記(式1)に従い、前記偏差が+側及び−側の各偏差リミッタ値以下になるよう制限する(S14)。
すなわち、偏差が下限偏差リミッタ値と上限偏差リミッタ値の間の値である場合(S14、Y)には、モータ目標回転速度とモータ回転速度の実際の偏差を算出された偏差E(n)として出力する(S5)。
偏差が下限偏差リミッタ値と上限偏差リミッタ値の間の値でなく(S14、N)、偏差が0を越える場合(S16、Y)には、上限偏差リミッタ値を算出された偏差E(n)として出力する(S17)。
偏差が下限偏差リミッタ値と上限偏差リミッタ値の間の値でなく(S14、N)、偏差が0を越えない場合(S16、N)には、下限偏差リミッタ値を算出された偏差E(n)として出力する(S18)。
偏差リミッタ56は、以上のようにして算出した偏差E(n)をPIDレギュレータ57に出力する。PIDレギュレータ57は、偏差リミッタ56で算出された前記偏差E(n)を基に、前記(式2)又は(式3)に従い、トルク指令演算値を算出する(S19)。
ここで、PIDレギュレータ57には、エンジン発電機EGの応答速度にマッチングしたパラメータ値が設定されており、インバータ12に出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を制限して、インバータ12の応答速度をエンジン発電機EGの応答速度に近接させた状態、より具体的にはインバータ12の応答速度をエンジン発電機EGの応答速度よりも若干小さくした状態で制御できるようになっており、モータ11に出力する電力の応答性をエンジン発電機EGの応答速度にマッチングさせるようなトルク指令演算値を算出・出力することができる。従って、インバータ12がモータ11に出力する電力が極端に変動することがなく、エンジン発電機EGの回転速度及び周波数が安定化する。
また、本実施形態では、PIDレギュレータ57のPIDパラメータを適宜に設定してインバータ12に出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を制限して、エンジン発電機EGのハンチングを防ぐ一定の効果を得ているとともに、さらに前述した通り偏差を偏差リミッタ56で所定の範囲となるようにしているため、前記偏差が大きい場合に予想されるモータ電力の極端な変化を避けることができ、エンジン発電機EGの回転速度及び周波数をさらに安定化させる相乗効果が得られている。
また、前記偏差リミッタ56で偏差を所定の値の範囲内に制限することにより、前述の特定のPIDパラメータ値が設定されたPIDレギュレータ57に代えて、通常の変換器(例えば、比例器)で当該制限された偏差に基づきトルク指令値を演算しても、その入力値が十分に制限されているので、インバータ12に出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を制限することができる。
従って、インバータ12に出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を制限するものとして、偏差リミッタ56とPIDレギュレータ57とをそれぞれ単独で行ってもよいが、前述の如く、偏差リミッタ56とPIDレギュレータ57とを併用するのが好ましい。
この場合、エンジン発電機EGをハンチングさせないためのPIDパラメータ値の調整は、偏差リミッタ56がない場合に比べれば、インバータ12の応答性を“厳密に鈍くする”設定にする必要はなく、より緩くてもよい。すなわち偏差リミッタ56がない場合のように、インバータ12の応答速度をエンジン発電機EGの応答速度に近づけなくとも、エンジン発電機EGの回転速度及び周波数を安定化させるのに必要な効果は得られる。
PIDレギュレータ57は、トルク指令演算値を下限リミッタ58に出力する。下限リミッタ58は、PIDレギュレータ57で算出されたトルク指令演算値を基に、前記(式4)に従い、トルク指令値を算出する(S20)。
すなわち、トルク指令演算値が下限リミッタ値以上である場合(S20、Y)には、トルク指令演算値をトルク指令値とする(S21)。また、トルク指令演算値が下限リミッタ値未満である場合(S20、N)には、下限リミッタ値をトルク指令値とする(S22)。(式4)の下限リミッタ値の設定を変えることでモータ回生電力量を任意に制限する事ができる。
下限リミッタ58は、算出したトルク指令値をインバータ12に出力し、制御動作は終了する(END)。
以上説明したように、モータ推進制御部の制御によれば、インバータ12がモータ11に出力する電力の変動量は、発電機GRが応答可能な変動量になっている。つまり、モータ11に電力を出力するインバータ12の応答性がエンジン発電機EGの応答速度にマッチングするように、インバータ12を制御するモータ推進制御部50のパラメータが調整されており、推進用のモータ11の応答性が、主機関ディーゼルエンジン2がプロペラ10を駆動する時の応答性と同程度となっている。このため、モータ推進制御部50はエンジン発電機EGの側からの情報に基づく制御を行う必要がなく、エンジン発電機EGはガバナ制御のみで回転速度を安定させることが出来、エンジン発電機EGがハンチングを起こすことは確実に防止される。
さらに、PIDレギュレータ57における上記制御に先立ち、偏差リミッタ56では、モータ目標回転速度とモータ回転速度の前記偏差が所定の値以下となるように制御を行っているため、前記偏差が大きい場合に予想されるモータ11の電力の極端な変化を避けることができ、エンジン発電機EGの回転速度及び周波数を安定化させるさらなる相乗効果も得られる。
以上説明したモータ推進制御部におけるPIDパラメータの調整について、さらに詳しい具体例を挙げて説明する。
PIDパラメータの値は各機器の出力、特性等によって変動する。この例では、各機器の仕様を以下のように設定する。
モータ11の容量:295KW
インバータ12の容量:315KW
エンジン発電機EGの容量:400KW
また、モータ目標回転速度は、図10に示す2点間直線補間テーブルにより決定される。 速度リミッタ54が速度リミッタ指令を算出、出力するために必要な設定定数αは+150min-1とする。すなわち、モータ目標回転速度に150min-1を加えて速度リミッタ指令とする。
以上の設定によれば、PIDパラメータ(速度型)は以下の通りとなる。
偏差リミッタ56における下限リミッタ値と上限リミッタ値の範囲が100min-1に調整されている時は、
P分は4.000、I分は1.350、D分は0.055となる。
偏差リミッタ56における下限リミッタ値と上限リミッタ値の範囲が750min-1に調整されている時は、
P分は2.000 I分は0.900 D分は0.000となる。
次に、図11〜図13を参照して、ハイブリッド推進制御部40の構成及びこれによる制御について説明する。
図11に示すように、ハイブリッド推進制御部40は、ガバナ指令値算出部41を有している。ガバナ指令値算出部41は、外部信号処理部20から送られた信号からガバナ指令値(回転数指示)を算出し、ガバナ3に指令する。
図11に示すように、ハイブリッド推進制御部40は、現在主機関出力取得部としての現在主機関出力算出部42を有している。現在主機関出力算出部42は、外部信号処理部20から入力された主機関回転速度とラック位置から、現在主機関出力を推定値として算出する。
尚、現在主機関出力取得部として、主機関2に軸馬力計を設け、軸馬力計が検出した主機関出力の実測値を、コントローラ4の外部信号処理部20に出力するようにしてもよい。この場合、現在主機関出力算出部42は不要であり、外部信号処理部20から出力された主機関出力の実測値を後述する偏差算出部44に与えればよい。
図11に示すように、ハイブリッド推進制御部40は、目標主機関出力算出部43を有している。目標主機関出力算出部43は、外部信号処理部20に接続されている。目標主機関出力算出部43は、目標主機関出力とプロペラ回転速度の関係を示す制御用データを予め備えており、この制御用データと、外部信号処理部20から入力されたプロペラ回転速度から、目標主機関出力を算出する。
前記制御用データは、例えば図12に示すように、目標主機関出力(縦軸、単位[kW])とプロペラ回転速度(横軸、単位[min-1])の関係を示すグラフとして与えられる。このグラフは、いわゆる「プロペラ性能曲線」、「プロペラ負荷曲線」、「プロペラ特性曲線」、「舶用特性曲線」、「舶用三乗特性」等と称されるグラフである。
目標主機関出力算出部43は、外部信号処理部20から入力されたプロペラ回転速度を図12に示す制御用データに適用し、対応する目標主機関出力を算出する。
図12を参照して上記算出の手順の一例をより具体的に説明すれば、例えば、この図12のグラフにおいて、入力されたプロペラ回転速度が450[min -1] である時の目標主機関出力は、
プロペラ回転速度が400 〜500[min -1] での直線の傾きが2.5 なので、
2.5 ×(450[min -1]-400[min -1] )+500[kW]=625 [kW]
となる。
図12に例示するようなプロペラ特性曲線は、主機関2の定格状態の軸馬力Neと回転数nが既知であれば、一般にプロペラの三乗則を表す式Ne/n3 =K(比例常数)により得ることができる。このプロペラ特性曲線は、プロペラごと又はプロペラと主機関の組合せごとに定まる。しかしながら、実際には、主機関の陸上試運転における負荷試験のデータと、海上試運転でのデータとに基づいて作成される場合が多い。
しかも、図12に例示するようなプロペラ特性曲線は、上述したように作成されたものから常に一定不変であるとは限らず、次に例示するように、実際にはマージン(余裕分)を見込んで運用される場合が多い。
新造船のとき:回転マージン+4%曲線
理想的な就航中: 回転マージン+ 2%曲線
トルクリッチ上限作動線:回転マージン−4%曲線
上述のように、船体の使用開始後に生じる船体の傷や汚れ、プロペラ損傷等の経年変化によってマージン(余裕分)の異なる曲線が使用される場合がある。さらに、図12に示したグラフの縦軸、横軸の格子において、プロットされた目標主機関出力の各点の値は、隣接する2点間の直線補間により算出しているので、グラフ全体を1本の右肩上がりの直線で代用することも可能である。
従って、本実施形態における目標主機関出力とプロペラ回転速度の関係を示す制御用データは、グラフ、数値、表といったカテゴリーの相違に係わらず、また各カテゴリー内での表現形式等の相違に係わらず、最も広義に解するものとする。例えば、目標主機関出力とプロペラ回転速度を表した図12に示すグラフは、図13に示すようなデータ表又はテーブル形式のデータとしても表すことができる。
図11に示すように、現在主機関出力算出部42と目標主機関出力算出部43の出力側には、偏差算出部44が接続されている。偏差算出部44は、現在主機関出力算出部42と目標主機関出力算出部43からそれぞれ入力された現在主機関出力と目標主機関出力の偏差を算出し、これを後段のPIDレギュレータ45に出力する。
図11に示すように、PIDレギュレータ45は、偏差算出部44が出力する前記偏差を使用したPID演算式によりアシストトルク指令値を算出する。
より具体的には、偏差算出部44で算出された前記偏差を基に、下記(式5)又は(式6)に示すPID演算式に従い、トルク指令値を算出する。これらの式は、ソフトウエアデジタル演算処理におけるPID演算式の代表例である。
速度型PID演算式の場合
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)−E(n −1)) +Δt /Tl×E(n)
+Td/Δt (E(n)−2E(n−1)+E(n −2)) }
トルク指令値(n) =トルク指令値(n−1) +トルク指令演算値 …(式5)
位置型PID演算式の場合
トルク指令演算値=Kp×{(E(n)+Δt /Tl×ΣEi
+Td/Δt (E(n)−E(n −1))} …(式6)
上記各式において、
Kp:比例分ゲイン(P分)、Tl:積分時間(I分)、Td:微分時間(D分)、Δt:演算周期、E(n):現在主機関出力−目標主機関出力=偏差
である。
以下、PIDパラメータの調整について、各成分ごとに説明する。
P分パラメータ調整
目標主機関出力と現在主機関出力との偏差が大きく、現在主機関出力が目標機関出力に到達するスピードが遅い、つまりモータ11のアシストスピードが遅い場合は、P分パラメータを現状値より大きい値に調整する。反対に、到達スピードが速い場合は、P分パラメータを現状値より小さい値に調整する。現在主機関出力が目標主機関出力に到達するスピードは、ユーザーの要求又は船舶推進装置1の構成に応じて自由に調整可能。尚、P分パラメータ調整は、I分及びD分パラメータの調整に影響を与えるので、I分、D分パラメータの再調整を行なう。
I分パラメータ調整
現在主機関出力が目標主機関出力に到達している時、モータ11の出力が安定しない(ハンチング)時、I分パラメータを現状値より小さい値に調整する。反対にモータ11の応答が鈍い場合はI分パラメータを現状値より大きい値に調整する。尚、I分パラメータ調整は、P分及びD分パラメータの調整に影響を与えるので、P分、D分パラメータの再調整を行なう。
D分パラメータ調整
モータ11がオーバシュート又はアンダーシュートする場合は、D分パラメータを現状値より小さい値に調整する。尚、D分パラメータ調整は、P分及びI分パラメータの調整に影響を与えるので、P分、I分パラメータの再調整を行なう。
P分、I分、D分パラメータを一応調整した後、実際に作動させてモータ11の動きを観察し、好みの作動状態や応答性であれば、P分、I分、D分パラメータ調整は終了である。好みの作動状態でない場合は、再度上記指針に沿ってP分、I分、D分パラメータを調整する。
ここで、ガバナ3を用いたディーゼル機関等の主機関2とモータ11によりハイブリッド推進を行う本発明のシステムが発明された背景について触れる。自動車のハイブリッドシステムでは、コントローラが電子制御でインジェクタのON/OFF時間を制御して燃料噴射量を調整し、主機関出力を制御しているが、これとは異なり、ディーゼル機関とモータで構成された舶用ハイブリッドシステムでは、従来はガバナがコントローラから主機関回転速度を取得し、主機関回転速度から制御量を算出して主機関の出力を制御している。つまり、主機関の出力は、コントローラからの指令値で直接制御するのではなく、現在主機関負荷に対応する主機関回転速度が一定となるように、ガバナが供給する燃料を増減させて制御している。すなわち、コントローラは主機関の出力を直接的に制御することは出来ず、主機関をアシストするモータのアシスト量の算出は、目標機関出力と現在主機関出力の差分に基づき、モータのアシストトルク指令値を算出してモータをトルク制御しているが、これはPID制御ではP分制御に当たる。このように、従来の舶用ハイブリッドシステムの制御では、I分、D分制御が存在しない状態なので、現在主機関出力が目標主機関出力に到達している場合にはモータのアシストトルク指令値の制御をきめ細かく行えず、モータの精妙な制御ができない。これに対して、本実施形態ではPID制御を行うので、スムーズにモータ11がアシスト作動するため、応答性がよく、滑らかな運転を行うことができる。
図11に示すように、PIDレギュレータ45の出力側には、下限リミッタ46が接続されている。下限リミッタ46には、PIDレギュレータ45で算出された前記トルク指令が入力される。下限リミッタ46は、モータ出力の瞬間的な変動量が大きくならないように、必要に応じて下記(式7)に従い、PIDレギュレータ45で算出された前記トルク指令を制限してインバータ12に出力する。
下限リミッタパラメータα≦トルク指令値 …(式7)
下限リミッタ46における下限リミッタパラメータαの設定を変えることで、モータ回生電力量を任意に制限する事ができる。すなわち、下限リミッタパラメータαを0未満とすると、モータ回生電力量を有りに設定できる。この場合、モータ回生電力が発生してエネルギを回収しているため、その分だけモータ回転速度は落ちている。
下限リミッタパラメータαを0以上とすると、モータ回生電力量を無しに設定できる。モータ出力は力行又は0であるため、船舶の進行にはブレーキがかからず、その分だけ、モータ回転速度は落ち方が遅い。
図1及び図11から分かるように、下限リミッタ46の出力側はインバータ12に接続されており、下限リミッタ46で必要に応じて下限リミットが与えられたアシスト用のトルク指令が、インバータ12に与えられる。
次に、船舶推進装置1における制御手順、特にコントローラ4のハイブリッド推進制御部40における制御手順について図11を参照しつつ各制御工程ごとに説明する。
1.制御動作が開始された後、船舶の乗組員等が速度制御ハンドル15を操作してある位置に設定すると、ハンドル位置を示す信号がコントローラ4の外部信号処理部20に送られ、外部信号処理部20はハンドル位置の信号を処理してガバナ指令値算出部41に送る。ガバナ指令値算出部41は、外部信号処理部20から送られた信号からガバナ指令値(回転数指示)を算出し、ガバナ3に指令する。ガバナ3は、ガバナ指令値(回転数指示)に基づいて主機関2の制御を行う。
ラックセンサ5から送られるラック位置の信号と、第1回転数検出センサ6から送られる主機関回転速度と、第2回転数検出センサ10から送られるプロペラ回転速度と、第3回転数検出センサ14から送られるモータ回転速度は、それぞれコントローラ4の外部信号処理部20に入力され、いずれも外部信号処理部20で処理され、コントローラ4における後段の各機能ブロックに送られて制御のための演算等に供される。
2.現在主機関出力取得工程
現在主機関出力算出部42には、外部信号処理部20で処理された主機関回転速度とラック位置の各信号が入力される。現在主機関出力算出部42は、これら各信号から主機関出力を推定値として演算する。前述したように、現在主機関出力取得部として主機関2に軸馬力計を設け、軸馬力計が検出した主機関出力の実測値を、コントローラ4の外部信号処理部20に出力してもよい。この場合、現在主機関出力算出部42は不要であり、外部信号処理部20から出力された処理済みの主機関出力の実測値を後述する偏差算出部44に与える。
3.目標主機関出力算出工程
目標主機関出力算出部43には、外部信号処理部20で処理された現在のプロペラ回転速度が入力される。目標主機関出力算出部43は、目標主機関出力とプロペラ回転速度の関係を示す前記制御用データ(図12に例示した)を予め備えており、この制御用データとプロペラ回転速度から、目標主機関出力を算出する。
4.モータトルク制御工程
偏差算出部44は、現在主機関出力算出部42が出力した現在主機関出力と、目標主機関出力算出部43が算出した目標機関出力の偏差を算出する。そして、PIDレギュレータ45は、この偏差と、PID演算式(前記式5、式6)からモータ11のアシストトルク指令を算出する。この場合、現在主機関出力と目標主機関出力の大小関係に対応して、モータ11の状態がモータ力行又はモータ回生に分かれるので、それぞれ次のように制御を行う。
(1)現在主機関出力>目標機関出力の場合
この場合は、図12に例示した「プロペラ性能曲線」のとある回転速度において、同グラフよりも上の位置に現在主機関出力がプロットされる状態であり、船舶が向かい風を受けながら航行しモータ11が動力を生み出している状態(モータ力行)であり以下のような制御を行う。
1)PIDレギュレータ45が次式のようにPID演算でトルク指令を算出する。

トルク指令(n)=トルク指令(n−1)+PID演算値
このトルク指令(n)をインバータ12に指令する。トルク指令は増加する。
2)その結果、モータ出力が増加し、モータ11と軸で直結している主機関2の回転速度が増加する。
3)ガバナ3は主機関2の回転速度を維持しようとする為、主機関2に供給する燃料を絞り、主機関出力が低下する。
4)主機関出力と目標機関出力の偏差が小さくなる。
5)主機関出力と目標機関出力の偏差が0より大きい時は、1)に戻り制御を続行する。主機関出力と目標機関出力の偏差が0の時は、現在主機関出力と目標機関出力が一致し、ガバナ3による主機関2の制御及びインバータ12によるモータ11の制御は、現時点での状態を維持する。
(2)現在主機関出力<目標機関出力の場合
この場合は、図12に例示した「プロペラ性能曲線」のとある回転速度において同グラフよりも下の位置に現在主機関出力がプロットされる状態であり、船舶が追い潮に乗って航行しモータ11が発電している状態(モータ回生)であり以下のような制御を行う。
1)PIDレギュレータ45が次式のようにPID演算でトルク指令を算出し、下限リミッタ46が下限リミッタパラメータαで下限を設定する。
トルク指令(n)=トルク指令(n−1)−PID演算値≧下限リミッタパラメータα このトルク指令(n)をインバータ12に指令する。トルク指令は減少する。
下限リミッタパラメータαが≧0の時は、トルク指令値(n)を0以上に制限する為、モータ11は回生電力を発生しない。
一方、下限リミッタパラメータαが<0の時は、トルク指令値(n)が0未満になる場合もあり、トルク指令値(n)が0未満になった時はモータ11から回生電力が発生する。
このように、トルク指令が下限リミッタパラメータα以上である場合には、トルク指令演算値をトルク指令値とし、トルク指令演算値が下限リミッタパラメータα未満である場合には、下限リミッタパラメータαをトルク指令値とするので、下限リミッタパラメータαの設定を変えることでモータ回生電力量を任意に制限する事ができる。
2)その結果、モータ出力が減少する為、モータ11と軸で直結している主機関2の回転速度が低下する。
3)ガバナ3は主機関2の回転速度を維持しようとする為、主機関2に供給する燃料を増加させ、主機関出力が増加する。
4)主機関出力と目標機関出力の偏差が小さくなる。
5)主機関出力と目標機関出力の偏差が0より小さい時は、1)に戻り制御を続行する。主機関出力と目標機関出力の偏差が0の時は、現在主機関出力と目標機関出力が一致し、ガバナ3による主機関2の制御及びインバータ12によるモータ11の制御は、現時点での状態を維持する。
以上説明したように、ハイブリッド推進制御部40の制御によれば、ガバナ3を用いたディーゼル機関のハイブリッドシステムにおいて、主機関2のアシストをモータ11で行なう際の主機関出力とモータアシスト量の配分を、図12に例示したような「プロペラ特性曲線」や図13に例示したような「 2点間直線補間テーブル」を利用することで最適にする事が可能になる。
また、下限リミッタパラメータαを0以上に設定した時はトルク指令値(n)が0以上に制限される為、モータ回生電力を発生させない設定にできる。従って、回生電力を熱にして逃がす抵抗装置又は蓄電池が不要になる。一方、下限リミッタパラメータαを0未満に設定した時はトルク指令値(n)が0未満になる事がある。トルク指令値(n)が0未満の時、モータ回生電力が発生する為、発生した電力を蓄電池に充電させることができる。つまり、下限リミッタパラメータαを設定することで、ハイブリッド装置の実際のシステム構成(蓄電池の有無、制動抵抗器の有無)に合わせることができる。
また、PID演算パラメータを調整する事で、モータ11の応答性を遅くする事が出来るので、モータ回生電力の発生電力を急激に増加させず徐々に増加させる事が出来る。すなわち、モータ回生電力をバッテリに充電可能なハイブリッドシステムの場合には、バッテリ充電可能電力に適合するようにモータ回生電力の発生量を調整することができる。
以上説明したハイブリッド推進制御部40におけるPIDパラメータの調整について、さらに詳しい具体例を挙げて説明する。
PIDパラメータの値は各機器の出力、特性等によって変動する。この例では、各機器の仕様を以下のように設定する。
モータ11の容量:295KW
インバータ12の容量:315KW
エンジン発電機の容量:400KW
また、モータ目標回転速度は、図12に示す「プロペラ性能曲線」のデータ又は図13に示す2点間直線補間テーブルにより決定される。
PID演算パラメータ(速度型)は以下の通りとなる。
P分は1.300、I分は0.500、D分は0.000となる。
なお、以上の実施形態では、図1に示すように、主機関2とプロペラ9がクラッチ7及び変向機構8を介して接続され、主機関2の主軸と同軸であるモータ11の主軸が変向機構8を介してプロペラ9に直結されたハイブリッド推進の船舶推進装置1を説明した。しかしながら、本発明が適用可能なハイブリッド推進の船舶推進装置はこれに限定されない。例えば、図14Aに示すように、図1の構造において、モータと変向機構の間にもクラッチを設けたハイブリッド推進の船舶推進装置にも本発明を適用できる。また図14Bに示すように、主機関の主軸と、モータの出力軸を平行に配置し、モータ及びモータのクラッチと変向機構との間に、主機関/モータ動力連結ギアを配置したハイブリッド推進の船舶推進装置にも本発明を適用できる。
また、以上の実施形態で用いられるクラッチとしては、ON/OFFクラッチ、スリップクラッチの何れも用いることができる。
1…船舶推進装置
2…主機関
3…ガバナ
4…コントローラ
7…クラッチ
9…プロペラ
11…モータ
12…インバータ
15…速度制御ハンドル
20…外部信号処理部
30…推進状態判定部
40…ハイブリッド推進制御部
41…ガバナ指令値算出部
42…現在主機関出力算出部
43…目標主機関出力算出部
44…偏差算出部
45…PIDレギュレータ
46…下限リミッタ
50…モータ推進制御部
53…速度算出部
54…速度リミッタ
55…偏差計算部
56…偏差リミッタ
57…PIDレギュレータ
58…下段リミッタ
EG…エンジン発電機
EN…エンジン
GR…発電機
GV…ガバナ

Claims (8)

  1. ガバナにより制御される主機関と、前記主機関の駆動力をプロペラに伝達できるクラッチと、前記プロペラを駆動するモータと、エンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータとを備え、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータによるモータ推進と、前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる船舶推進方法であって、
    前記モータ推進から前記ハイブリッド推進状態に移行完了しているか否かの判定を、次の3つの条件式を使用して行ない、
    (a) 主機関出力≧プロペラ回転必要出力値、
    (b) モータ出力<プロペラ回転必要出力値、
    (c) (モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦所定回転速度、
    前記(a) 及び前記(b) が成立するか、又は前記(a) 及び前記(c) が成立する場合、ハイブリッド推進移行完了と判定し、前記ハイブリッド推進の制御に移ることを特徴とする船舶推進方法。
  2. 前記ハイブリッド推進においては、
    現在主機関出力を取得する現在主機関出力取得工程と、
    現在のプロペラ回転速度から目標主機関出力を算出する目標主機関出力算出工程と、
    前記目標主機関出力と前記現在主機関出力の偏差を使用したPID演算式によりアシストトルク指令値を算出して前記インバータに指示するモータトルク制御工程とを備えて、
    前記インバータは引き続き前記モータをトルク制御することを特徴とする請求項1記載の船舶推進方法。
  3. 前記モータ推進では、速度制御ハンドル位置からモータ目標回転速度を決定し、モータ回転速度がモータ目標回転速度に一致するようフィードバック制御によりトルク指令値を前記インバータに指令するに際して、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない値となるように制限することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴とする請求項1記載の船舶推進方法。
  4. 前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴とする請求項に記載の船舶推進方法。
  5. ガバナにより制御される主機関と、前記主機関の駆動力をプロペラに伝達できるクラッチと、前記プロペラを駆動するモータと、エンジンにより発電機を駆動して電力を発生するエンジン発電機と、前記エンジン発電機から供給される電力を用いて前記モータをトルク制御するインバータとを備え、前記クラッチを離脱させた状態で行う前記モータによるモータ推進と、前記クラッチを嵌合させた状態で行う前記主機関及び前記モータによるハイブリッド推進とを切り替えて船舶を推進させる船舶推進装置であって、
    前記モータ推進から前記ハイブリッド推進状態に移行完了しているか否かの判定を、次の3つの条件式を使用して行ない、
    (a) 主機関出力≧プロペラ回転必要出力値、
    (b) モータ出力<プロペラ回転必要出力値、
    (c) (モータ回転速度−主機関回転速度)の絶対値≦所定回転速度、
    前記(a) 及び前記(b) が成立するか、又は前記(a) 及び前記(c) が成立する場合、ハイブリッド推進移行完了と判定し、前記ハイブリッド推進の制御に移ることを特徴とする船舶推進装置。
  6. 現在主機関出力を取得する現在主機関出力取得部と、
    現在のプロペラ回転速度から目標主機関出力を算出する目標主機関出力算出部と、
    前記目標主機関出力と前記現在主機関出力の偏差を算出する偏差算出部と、
    前記偏差算出部が算出した偏差に基づきアシストトルク指令値を算出して前記インバータに出力するPIDレギュレータとを備えて、
    前記ハイブリッド推進でも、前記インバータは引き続き前記モータをトルク制御するコントローラを有することを特徴とする請求項記載の船舶推進装置。
  7. 前記モータ推進では、速度制御ハンドル位置からモータ目標回転速度を決定し、モータ回転速度がモータ目標回転速度に一致するようフィードバック制御によりトルク指令値を前記インバータに指令するに際して、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない値となるように制限することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせるコントローラを有することを特徴とする請求項記載の船舶推進装置。
  8. 前記コントローラは、前記インバータに出力するトルク指令値の単位時間あたりの変化量を、前記エンジン発電機がハンチングを起こさない前記インバータの応答速度になるように制限するPIDパラメータを設定したPID演算式により算出することによって、インバータの応答性を鈍くしてエンジン発電機の応答性に合わせることを特徴とする請求項に記載の船舶推進装置。
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