JP6637792B2 - コンポジット粒子、その製造方法、ゲル化剤及び油水分離材 - Google Patents

コンポジット粒子、その製造方法、ゲル化剤及び油水分離材 Download PDF

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Description

本発明は、コンポジット粒子、その製造方法、該コンポジット粒子を用いたゲル化剤及び油水分離材に関するものである。
フッ素化合物は、撥水・撥油性、酸素透過性、低屈折率などの特徴を活かして塗料や化粧品等への応用が期待できる。しかしながら、フッ素系化合物は撥水・撥油性が高すぎるため非フッ素原料に対して、分散安定性を保持させることが難しい。
また、空気中で高い撥油性を発現するフッ素化合物は、水中では逆に撥油性が消失し、油が濡れ拡がるという欠点がある。
また、油分を含んだ廃水は、環境を汚染する大きな原因となり、適切に処理することが求められている。従来、油水分離処理には、比重分離等の静置分離、遠心分離、吸着分離等の方法が用いられている。
しかし、静置分離は多大な時間を要し、遠心分離は大がかりな装置を必要とし、吸着分離は大量の油水混合液の処理に不向きである。
本発明者らは、先にフルオロアルキル基含有オリゴマーを用い、フルオロアルキル基含有オリゴマーに起因した優れた特性を付与した各種の新しい機能性材料を提案している(例えば、特許文献1〜3等参照)。
特開2010−209300号公報 特開2010−235943号公報 特開2013−185071号公報
本発明者らは、更にフロオルアルキル基含有オリゴマーを用いた新しい機能性材料の開発を進める中で、アルコキシシリル基を有する特定のフルオロアルキル基含有オリゴマーを縮合させた縮合物とメチルトリメトキシシランの縮合物を含むコンポジット粒子は、各種溶媒やイオン液体をゲル化することが出来ること。また、該コンポジット粒子は、優れた撥水性、親油性を有し、油水分離材として好適に利用できるものであること。更に水と油を含むエマルションに対しても、油水分離材として好適に利用することができるものであることを見出し、本発明を完成するに到った。
従って、本発明の目的は、ゲル化剤及び油水分離材として好適に利用することが出来るコンポジット粒子、その工業的に有利な製造方法、及び該コンポジット粒子を用いたゲル化剤及び油水分離材を提供することにある。
すなわち、本発明が提供しようとする第一の発明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物とメチルトリメトキシシランの縮合物を含むことを特徴とするコンポジット粒子である。
(式中、R1及びR2は、−(CF2)p−Y基、又は−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基を示し、R1及びR2は、同一の基であっても異なる基であってもよく、R1及びR2中のYは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、p及びqは0〜10の整数である。R3、R4及びR5は同一の基であっても異なる基であってもよく、R3、R4及びR5は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。mは2〜3の整数である。)
また、本発明が提供しようとする第二の発明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー及びメチルトリメトキシシランを含む反応原料溶液に、酸を加えて、加水分解反応を行う反応工程を有することを特徴とするコンポジット粒子の製造方法である。
(式中、R1及びR2は、−(CF2)p−Y基、又は−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基を示し、R1及びR2は、同一の基であっても異なる基であってもよく、R1及びR2中のYは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、p及びqは0〜10の整数である。R3、R4及びR5は同一の基であっても異なる基であってもよく、R3、R4及びR5は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。mは2〜3の整数である。)
また、本発明が提供しようとする第三の発明は、前記第一の発明のコンポジット粒子からなるゲル化剤である。
また、本発明が提供しようとする第四の発明は、前記第一の発明のコンポジット粒子を用いたことを特徴とする油水分離材である。
本発明によれば、優れた撥水性、親油性を有したコンポジット粒子を提供することができる。また、該コンポジット粒子は、各種溶媒やイオン液体をゲル化することができ、また水と油を分離する油水分離材として好適に利用することができる。
また、本発明によれば、該コンポジット粒子を工業的に有利な方法で提供することができる。
本発明の油水分離材を用いて油水分離を行う実施形態の一つを示す概略図。 本発明の油水分離材を用いて油水分離を行う実施形態の一つを示す概略図。 実施例2で得られたコンポジット粒子試料のSEM写真。 実施例3で得られたコンポジット粒子試料のSEM写真。 実施例4で得られたコンポジット粒子試料のSEM写真。 濾過材として、実施例3のコンポジット粒子を用い、処理水1を分離処理した際の写真。 濾過材として、実施例3のコンポジット粒子(a)、SiO2(b)をそれぞれ用い、処理水2を分離処理した際の写真。 濾過材として、実施例3のコンポジット粒子(a)、SiO2(b)をそれぞれ用い、処理水3を分離処理した際の写真。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明に係るコンポジット粒子は、前記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー(以下、「フルオロアルキル基含有オリゴマー」ということもある)を縮合させた縮合物とメチルトリメトキシシランの縮合物を含むことを特徴とするものである。
本発明に係るコンポジット粒子は、フルオロアルキル基含有オリゴマー及びメチルトリメトキシシランを含む反応原料溶液に、酸を加えて加水分解反応を行う反応工程を行い得られるものであることが好ましい。
反応工程に係るフルオロアルキル基含有オリゴマーは、下記一般式(1)で表され、加水分解可能なアルコキシシリル基を有するものである。
(式中、R1及びR2は、−(CF2)p−Y基、又は−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基を示し、R1及びR2は、同一の基であっても異なる基であってもよく、R1及びR2中のYは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、p及びqは0〜10の整数である。R3、R4及びR5は同一の基であっても異なる基であってもよく、R3、R4及びR5は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。mは2〜3の整数である。)
一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマーは、本発明のコンポジット粒子に、主に優れた撥水性を付与するために用いられる。
一般式(1)中のR3、R4及びR5で示される炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
一般式(1)中のR1及びR2の−(CF2)p−Y基、又は−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基のp及びqは、0〜10、好ましくは0〜3である。特にR1及びR2は、−CF(CF3)OC37であることが好ましい。
一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマーは、例えば、トリメトキシビニルシラン等のトリアルコキシビニルシランを過酸化フルオロアルカノイルと反応させることにより製造される(例えば、特開2002−338691号公報、特開2010−77383号公報参照)。
反応工程に係るメチルトリメトキシシランは、4官能性アルコキシシランであるテトラエトキシシラン(TEOS)とは異なり、≡Si-O-主鎖にメチル基が直接置換しているため、加水分解・縮合反応後においても≡Si-O-ネットワーク内に有機基の機能を発現させることが出来る。本発明において、メチルトリメトキシシランは、工業的に入手できるものであれば、特に物性等に制限なく用いることができる。本発明において、トリメトキシシランは、フルオロアルキル基含有オリゴマーに起因した優れた撥水性を維持しながら、更に本発明に係るコンポジット粒子に優れた親油性も付与するのに用いられる。
本発明において、反応工程は、無溶媒下でも行うことが出来るが、効率的に反応を行うため、反応溶媒を用いて反応を行うことが好ましい。
用いることが出来る反応溶媒は、前記フルオルアルキル基含有オリゴマー及びメチルトリメトキシシランが溶解できるものが用いられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが挙げられ、この中で、エタノールが特に好ましい。
本発明の反応工程において、反応原料溶液を調製する際に、フルオロアルキル基含有オリゴマー及びメチルトリメトキシシランを混合する順序は特に制限されるものではない。
反応原料溶液中のメチルトリメトキシシランの含有量は、前記一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマー200mgに換算した値で、0.01〜10ml、好ましくは0.05〜5mlである。反応原料溶液中の前記メチルトリメトキシシランの含有量が、上記範囲にあることにより、得られるコンポジット粒子は、親油性、撥水性が優れたものになる。
反応工程において、反応原料溶液に加える酸としては、フルオロアルキル基含有オリゴマー中のアルコキシシリル基とメチルトリメトキシシランを加水分解することができるものであれば、特に制限されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸又は酢酸等が挙げられ、反応性が高い点で、好ましくは酢酸である。
反応原料溶液に加える酸の混合量は、特に制限されず、適宜選択される。また、反応原料溶液に、酸を混合して、加水分解を行う際の反応温度は、−5〜50℃、好ましくは0〜30℃である。反応温度が、−5℃未満だと、加水分解速度が遅くなり過ぎるので、反応効率が悪く、また、50℃を超えると、コンポジット粒子の分散安定性が低くなり易い。また、反応原料溶液に、酸を混合して、加水分解を行う際の反応時間は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは1〜72時間、特に好ましくは1〜50時間である。
また、本発明では、収率を向上させることを目的として、必要により塩基の存在下に、更に加水分解反応を継続して行うことが出来る。
用いることが出来る塩基としては、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、反応性が高い点で、好ましくは炭酸アンモニウムである。
反応原料溶液に加える塩基の混合量は、特に制限されず、適宜選択される。また、反応原料溶液に、塩基を混合して、加水分解を行う際の反応温度は、20〜100℃、好ましくは50〜100℃である。反応時間は1時間以上、好ましくは1〜10時間である。
そして、反応工程を行うことにより、シロキサン結合を主骨格とするコンポジット粒子が生成し、本発明に係るコンポジット粒子を含有する反応液が得られる。
反応終了後、常法により減圧下に溶媒を除去、必要により洗浄等の精製を行ってコンポジット粒子を得る。
本発明において、前記コンポジット粒子を含有する反応液は、後述するように油水分離材として使用するための、各種基材の改質を行う改質液としてそのまま使用することが出来る。
また、本発明のコンポジット粒子の他の好ましい物性としては、動的光散乱法により求められる平均粒子径が好ましくは10〜500μm、好ましくは20〜300μmである。平均粒子径が前記範囲内にあると、種々の分散溶媒、樹脂材料、各種基材等への分散性が良好である点で好ましい。
本発明に係るゲル化剤は、本発明のコンポジット粒子からなるものである。本発明に係るゲル化剤は、有機溶媒及びイオン液体をゲル化することが出来る。
ゲル化することが出来る有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、エチルイソプロピルスルホン等が挙げられるが、特にこれらの有機溶媒に限定されるわけではない。
ゲル化することが出来るイオン液体は、カチオンとアニオンとの塩であり、常温(25℃)、常圧(0.1MPa)で液体であり、且つ沸点を持たない物質であれば、特に制限されない。例えば、イオン液体を構成するカチオンとしては、アミジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン及び3級アンモニウムカチオン、4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
また、イオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、ベンゾトリアゾールイオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、BF4 -、PF6 -、PO2(OMe) 2 -、PS2(OEt)2 - 、(CO2Me)2PhSO3 -、CF3SO3 -、HSO4 -、(CF3SO22-等の1価のアニオン;SO4 2-等の2価のアニオンが挙げられ、ここに例示したアニオンが、製造が易いという点で好ましい。なお、ゲル化出来るイオン液体は、特にこれらのイオン液体に限定されるわけではない。
本発明において、好ましいイオン液体は、カチオンがトリ−n−ブチル−アリルアンモニウム塩、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム塩、トリエチルドデシルアンモニウム塩、トリ−n−ブチル{3−(トリメトキシシリル)プロピル}アンモニウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、エチルイミダゾリウム塩、トリ−n−ブチル−アリルホスホニウム塩、トリ−n−ブチルメチルホスホニウム塩、トリエチルドデシルホスホニウム塩、トリ−n−ブチル{3−(トリメトキシシリル)プロピル}ホスホニウム塩、トリ−n−オクチル{3−(トリメトキシシリル)プロピル}ホスホニウム塩、トリ−n−ブチル(2−ヒドロキシエチル)ホスホニウム塩であり、アニオンが(CF3SO22-、PF6 -、HSO4 -、CF3SO3 -、塩素イオン、又はヨウ素イオンである。
本発明に係るゲル化剤と、有機溶媒やイオン液体との混合処理は、前記有機溶媒やイオン液体に、前記ゲル化剤を添加して行うことが望ましい。有機溶媒やイオン液体への本発明のゲル化剤の添加量は、該ゲル化剤の添加によりゲル化を起こす範囲であれば特に制限はなく、多くの場合、有機溶媒及びイオン液体100重量部に対して、ゲル化剤を5〜80重量部、好ましくは10〜60重量部である。
混合処理方法は、ミキサー等の強力なせん断力が作用する機械的手段で行ってよいが、本発明では超音波照射を行っても容易に目的とするゲルを得ることができる。
超音波処理の条件等は、ゲル化を行う有機溶媒やイオン液体或いはゲル化剤の添加量等により異なるが、多くの場合、超音波の出力が20〜500W、好ましくは30〜200Wで、1時間以上、好ましくは2〜24時間である。
本発明に係る油水分離材は、前記コンポジット粒子を用いたことを特徴とするものである。
本発明に係る油水分離材と、水と油を含む混合液を接触させることにより水と油を分離することが出来る。
本発明のコンポジット粒子は、例えば、以下の2つの方法により油水分離材として用いることが出来る。
(1)水に不溶な基材を本発明のコンポジット粒子で改質する方法。
(2)本発明のコンポジット粒子自体をそのまま濾過材として用いる方法。
前記(1)に係る基材としては、水に不溶である無機物や有機物を用いることが出来る。無機物としては、例えば、ガラス繊維、シリカ、シリカゲル、アルミナ、スラグウール、モレキュラーシーブ、ゼオライト、活性炭、珪藻土、砂、石綿等が挙げられる。有機物としては、天然高分子または合成高分子であってもよい。天然高分子としては、例えば、セルロース、羊毛、綿、絹等が挙げられる。合成高分子としては、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート等の縮合系または付加系重合高分子重合体や、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のエチレン系不飽和高分子重合体等が挙げられる。
また、基材の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、細片状、海綿状、リボン状、フィブリル状、ウェブ状、マット状、綿布状、不織布状等が挙げられる。
また、本発明においては、市販の濾紙等を改質する基材として用いてもよい。この場合、濾紙の孔径は5μm以下、好ましくは0.1〜3μmとすることが効率的に油水分離を行う観点から好ましい。
前記(1)において、基材を本発明のコンポジット粒子で改質する方法としては、本発明のコンポジット粒子を基材の表面や内部に固定或いは担持することが出来る方法であれば特に制限はなく公知の方法を用いることが出来る。その一例を挙げると、本発明のコンポジット粒子が0.1〜50wt%の濃度で分散した分散液に、基材を接触させた後、乾燥する方法等がある。また、分散液と基材との接触は、基材を分散液へ浸漬する方法、スプレーにより基材に吹き付ける方法、或いは基材へ分散液を塗布する方法等により行うことが出来る。
なお、コンポジット粒子が分散した分散液は、前記した反応終了後のコンポジット粒子を含む反応液をそのまま用いてもよい。
図1は、本発明のコンポジット粒子により改質を行った濾紙を用いて、水と油の混合液を分離処理する場合の一つの実施形態を示す概略図である。
図1に示す実施形態では、カラム(1b)、改質した濾紙(1a)からなる簡単な分離システム(A)を備え、改質した濾紙(1a)は本発明のコンポジット粒子で改質したものである。
カラム(1b)の途中に改質した濾紙(1a)を噛ませることで、カラム(1b)に投入された水と油の混合液(1)は改質した濾紙(1a)と接触する。油(1')は改質した濾紙(1a)を通過し、水は改質した濾紙(1a)を通過することが出来ないので、水と油を分離することが出来る。なお、必要により分離効率を高めるため分離操作は圧力をかけたり、或いは減圧下に行うことができる。この場合、先に油(1’)は改質した濾紙(1a)を選択的に通過し、次いで強い外力により水は遅れて改質した濾紙(1a)を通過する場合があるが、水が溶出する前に、油水分離操作を終える等の手段により改質した濾紙(1a)を介して水と油を分離することができる。
図2は、本発明のコンポジット粒子を濾過材として用いて、水と油の混合液を分離処理する場合の一つの実施形態を示す概略図である。
図2に示す実施形態では、カラム(2b)、濾過材(2c)を含む濾過材層(2a)からなる簡単な分離システム(B)を備えている。
カラム(2b)には濾過材(2c)として本発明のコンポジット粒子が充填されて濾過材層(2a)が形成されている。カラム(2b)に水と油の混合液(1)を投入することにより、濾過材(2c)と混合液を接触させることが出来る。油(1')は濾過材層(2a)を通過し、水は濾過材層(2a)を通過することが出来ないので、水と油を分離することが出来る。なお、必要により分離効率を高めるため分離操作は圧力をかけたり、或いは減圧下に行うことができる。また、目詰まり等を抑制するため、濾過材層(2a)の上部及び/又は下部に濾過助剤を充填した層を必要により設けることが出来る。
用いることができる濾過助剤としては、特に制限はなく公知のものを広く用いることができる。例えば、珪藻土、砂粒子、真珠岩、アンスラサイト、セルロース、羊毛、綿、絹、炭素質濾過助剤、酸性白土、ベントナイト、セライト、タルク、マイカ、カオリナイト等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることが出来る。
本発明に係る油水分離材で処理対象する水と油の混合液は、溶液状態のものであってもエマルションであってもよい。
本発明に係る油水分離材は、例えば、油を含んだ廃水処理、各種産業分野での生産現場での水と油の分離或いは精製手段等に利用することが出来る。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<フルオロアルキル基含有オリゴマー試料>
フルオロアルキル基含有オリゴマー(以下、「VM」という)として下記表1のものを使用した。
表1中、分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリスチレン換算)による数平均分子量である。
{実施例1〜7}
VMをエタノール溶液に溶解し、メチルトリメトキシシランを添加し反応原料溶液を調製した。次いで酢酸を添加し、マグネチックスターラーにより室温(25℃)で48時間撹拌を行った。次に炭酸アンモニウムを添加し70℃で5時間反応を行い反応液試料を得た。なお、各試薬の仕込み量は、表2に通りである。
反応終了後、反応液試料から溶媒を減圧下で除去し、次いでメタノール中で再分散を行い、遠心分離させることにより、白色粉末として目的物(コンポジット粒子試料)を得た。
{比較例1}
反応原料溶液にメチルトリメトキシシランを添加しない以外は実施例3と同様にして反応を行って、反応液試料及びコンポジット粒子試料を得た。
注)MTMS;メチルトリメトキシシラン
<物性の評価>
上記で調製したコンポジット粒子試料について平均粒子径を測定した。また、実施例2、実施例3、実施例4及び比較例1で得られたコンポジット粒子試料についてドデカンと水の接触角を測定した。また、実施例2、実施例3及び実施例4で得られたコンポジット粒子試料のFE−SEM写真を図3〜5にそれぞれ示す。
なお、平均粒子径とドデカンと水の接触角は下記のように測定した。
(平均粒子径の評価)
得られたコンポジット粒子を、メタノールに再分散させて光散乱光度計(大塚電子製のDLS−6000HL)を用いて測定した。
(ドデカンと水の接触角の評価)
実施例2、実施例3、実施例4及び比較例1で得られた反応液試料に、ガラス板を1分間、室温(25℃)で浸し、ガラス板を引き上げた後、自然乾燥、さらに一晩真空乾燥を行って改質ガラス板試料を調製した。この改質ガラス板試料の表面のドデカンと水の接触角を協和界面科学製のDrop Master.300を使用して評価した。その結果を表3に示した。
なお、接触角の評価は、水及びドデカンを滴下30分後の値として評価した。
注)「−」は未測定を示す。
(ゲル化能の評価)
前記で調製した実施例2〜4と比較例1のコンポジット粒子試料10mgを、表4に示す各種の溶媒及びイオン液体1gにそれぞれ添加し、発振周波数:42kHz:40wで5時間超音波をかけることによりゲルが形成(25℃)されるかどうかを目視で確認した。その結果を表4に示す。
表中の「○」ゲルが観察されたことを示す。また、表中の「×」はゲル化が観察されなかったことを示す。
(油水分離材としての評価)
クロマトグラフィー用カラム(内径10mm)に海砂を層厚が約1mmになるに充填し、次いで実施例3で得られたコンポジット粒子試料200mg(層厚約4mm)を充填し、更にその上に海砂を層厚が約1mmになるに充填した。
このクロマトグラフィー用カラムを用いて、下記の3種類の処理水について水−油の分離試験を行った。
処理水1については、実施例3のコンポジット粒子に代えて、SiO2(Wakogel C−500HG)及び比較例1のコンポジット粒子試料を用いたものを同様に試験した。
また、処理水2及び処理水3については、実施例3のコンポジット粒子に代えて、SiO2(Wakogel C−500HG)(比較例2)を用いたものを同様に試験した。
処理水1(混合液);
1,2−ジクロロエタンと水の混合液(1:1vol.)2mlを調製した。なお、混合液中の水は硫酸銅五水和物により青色に着色した。
処理水2(エマルション);
1,2−ジクロロエタン(5ml)と水(0・05ml)及び乳化剤としてSpan80(20mg)を混合し、エマルションを調製した。
処理水3(エマルション);
トルエン(5ml)と水(0.05ml)及び乳化剤としてSpan80(80mg)を混合し、エマルションを調製した。
(評価結果)
処理水1;
処理水1を分離処理した結果を表5に示す。なお表5中の記号は下記のことを示す。
◎;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率も高い。
○;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率が低い。
△;目視的に濾液に若干の水の混入が観察される。
×;目視的に濾液に多くの水の混入が観察される。
図6に示すように、本発明のコンポジット粒子を濾過材として用いて減圧下において処理水1を濾過することにより、濾過材層を1,2−ジクロロエタンのみが通過し、水と1,2−ジクロロエタンを分離することができた。
一方、処理水1を比較例1の粒子を濾過材として用いて処理した場合は、僅かに水と1,2−ジクロロエタンの分離が行えたが、1,2−ジクロロエタンの回収率は低かった。処理水1をSiO2(比較例2)を用いて処理した場合は、濾過後の濾液に1,2−ジクロロエタンに加えて若干水が混入していることが目視でも確認できた。
処理水2;
処理水2を分離処理した結果を表6に示す。なお表6中の記号は下記のことを示す。
◎;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率も高い。
○;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率が低い。
△;目視的に濾液に若干の水の混入が観察される。
×;目視的に濾液にエマルションが観察される。
注)表中の「−」は未測定を示す。
図7(a)に示すように、本発明のコンポジット粒子を濾過材として用いて減圧下において処理水2を濾過することにより、濾過材層を1,2−ジクロロエタンのみが通過し、エマルションから水と1,2−ジクロロエタンを分離することができた。また、濾過後の濾液中に含まれる溶剤の溶剤回収率を濾過前の溶剤の質量に対する濾過後の溶剤の質量として求めた結果、回収率は90%であった。
一方、図7(b)に示すように、処理水2をSiO2を濾過材として用いて処理した場合は、濾過材層をエマルションごと通過し、エマルションから水と1,2−ジクロロエタンを分離することができなかった。
処理水3;
処理水3を分離処理した結果を表7に示す。なお表7中の記号は下記のことを示す。
◎;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率も高い。
○;目視的に濾液に水が観察されなく、また油の回収率が低い。
△;目視的に濾液に若干の水の混入が観察される。
×;目視的に濾液にエマルションが観察される。
注)表中の「−」は未測定を示す。
図8(a)に示すように、本発明のコンポジット粒子を濾過材として用いて減圧下において処理水3を濾過することにより、濾過材層をトルエンのみが通過し、エマルションから水とトルエンを分離することができた。また、濾過後の濾液中に含まれる溶剤の溶剤回収率を濾過前の溶剤の質量に対する濾過後の溶剤の質量として求めた結果、回収率は87%であった。
一方、図8(b)に示すように、処理水3をSiO2を濾過材として用いて処理した場合は、濾過材層をエマルションごと通過し、エマルションから水とトルエンを分離することができなかった。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマーメチルトリメトキシシランとの共縮合物を含むことを特徴とするコンポジット粒子。

    (式中、R1及びR2−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基を示し、R1及びR2は、同一の基であっても異なる基であってもよく、qは0〜10の整数である。R3、R4及びR5は同一の基であっても異なる基であってもよく、R3、R4及びR5は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。mは2〜3の整数である。)
  2. 一般式(1)の式中のR1及びR2が、−CF(CF3)OC37であることを特徴とする請求項1記載のコンポジット粒子。
  3. 平均粒子径が10〜500μmであることを特徴とする請求項1乃至2の何れか一項に記載のコンポジット粒子。
  4. 下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー及びメチルトリメトキシシランを含む反応原料溶液に、酸を加えて、加水分解反応を行う反応工程を有することを特徴とするコンポジット粒子の製造方法。

    (式中、R1及びR2−CF(CF3)−[OCF2CF(CF3)]q−OC37基を示し、R1及びR2は、同一の基であっても異なる基であってもよく、qは0〜10の整数である。R3、R4及びR5は同一の基であっても異なる基であってもよく、R3、R4及びR5は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示す。mは2〜3の整数である。)
  5. 反応工程は、酸を加えて、加水分解反応を行った後、更に塩基を添加し加水分解反応を引き続き行うことを特徴とする請求項4記載のコンポジット粒子の製造方法。
  6. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンポジット粒子からなることを特徴とするゲル化剤。
  7. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンポジット粒子を用いたことを特徴とする油水分離材。
  8. 請求項7記載の油水分離材に、水と油を含む混合液を接触させることを特徴とする油水分離方法。
  9. 請求項7記載の油水分離材に、水と油を含むエマルションを接触させることを特徴とする油水分離方法。
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