JP6819955B2 - コンポジット粒子、その製造方法、それを用いた油水分離材、及びそれを用いた有機化合物吸着剤 - Google Patents

コンポジット粒子、その製造方法、それを用いた油水分離材、及びそれを用いた有機化合物吸着剤 Download PDF

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Description

本発明は、コンポジット粒子及びその製造方法に関する。また本発明は、該コンポジット粒子を用いた油水分離材及び有機化合物吸着剤に関する。
フッ素化合物は、撥水・撥油性、酸素透過性、低屈折率などの特徴を活かして塗料や化粧品等への応用が期待できる。しかしながら、フッ素系化合物は撥水・撥油性が高すぎるため、非フッ素原料に対して分散安定性を保持させることが難しい。
また、空気中で高い撥油性を発現するフッ素化合物は、水中では逆に撥油性が消失し、油が濡れ拡がるという欠点がある。
油分を含んだ廃水は、環境を汚染する大きな原因となり、適切に処理することが求められている。従来、油水分離処理には、比重分離等の静置分離、遠心分離、吸着分離等の方法が用いられている。
しかし、静置分離は多大な時間を要し、遠心分離は大がかりな装置を必要とし、吸着分離は大量の油水混合液の処理に不向きである。
本発明者らは、先にフルオロアルキル基含有オリゴマーを用い、フルオロアルキル基含有オリゴマーに起因した優れた特性を付与した各種の新しい機能性材料を提案している(例えば、特許文献1〜3等参照)。
また、本発明者らは、先に4、4’―ジフェニルメタンジイソシアネートの存在下、アルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマーのアルカリ性条件下若しくは酸性条件下におけるゾルーゲル反応により、得られるナノコンポジット粒子を提案した(非特許文献1参照。)。
特開2010−209300号公報 特開2010−235943号公報 特開2013−185071号公報
日本化学会講演予稿集,Vol.95th,No.3,Page1007(2015)
混合液が、例えば油分の割合が多いものや、利用価値の高い油分を含む場合は、水のみ又は油のみが油水分離材を通過するタイプのものが使用者にとって有利な場合がある。このタイプの油水分離材は、親水性及び撥油性に優れているか、又は親油性及び撥水性に優れていることが条件である。非特許文献1に記載のナノコンポジット粒子は、撥水性に優れたものではあるが、超親油性及び超撥水性に優れたものは未だ得られていない。
したがって本発明の課題は、油水分離材や有機化合物吸着剤として好適に利用することができる超親油性及び超撥水性に優れたコンポジット粒子、その工業的に有利な製造方法、並びに該コンポジット粒子を用いた油水分離材及び有機化合物吸着剤を提供することにある。
本発明者らは、フルオロアルキル基含有オリゴマーを用いた新しい機能性材料の開発を進める中で、特定のフルオロアルキル基含有オリゴマーを縮合させた縮合物と、エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーとを含むコンポジット粒子は超親油性及び超撥水性を有し、油水分離材や有機化合物吸着剤として好適に利用できるものであることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明が提供しようとする第一の発明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマーを縮合させた縮合物と、エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーとを含有するコンポジット粒子である。
式中、R及びRは、−(CF)p−Y基、又は−CF(CF)−[OCFCF(CF)]q−OC基を示し、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
Yは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、p及びqはそれぞれ独立に0以上10以下の整数である。
、R及びRは、炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
mは2〜3の整数である。
また、本発明が提供しようとする第二の発明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー及びエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む反応原料溶液に、アルカリを加えて、該アルコキシシリル基の加水分解反応を行う反応工程を有するコンポジット粒子の製造方法である。
式中、R及びRは、−(CF)p−Y基、又は−CF(CF)−[OCFCF(CF)]q−OC基を示し、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
Yは水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示し、p及びqはそれぞれ独立に0以上10以下の整数である。
、R及びRは、炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
mは2〜3の整数である。
また、本発明が提供しようとする第三の発明は、前記第一の発明のコンポジット粒子を用いた油水分離材である。
更に、本発明が提供しようとする第四の発明は、前記第一の発明のコンポジット粒子を用いた有機化合物吸着剤である。
本発明によれば、超親油性及び超撥水性を有するコンポジット粒子を提供することができる。また、該コンポジット粒子は水と油を分離する油水分離材や有機化合物吸着剤として好適に利用することができる。
また、本発明によれば、該コンポジット粒子を工業的に有利な方法で提供することができる。
図1は、本発明の油水分離材を用いて油水分離を行う実施形態の一つを示す概略図である。 図2は、本発明の油水分離材を用いて油水分離を行う実施形態の一つを示す概略図である。 図3(a)及び(b)は、実施例1−12のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像である。 図4(a)及び(b)は、実施例2−14のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像である。 図5(a)及び(b)は、実施例3−12のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明に係るコンポジット粒子は、前記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー(以下、「フルオロアルキル基含有オリゴマー」ということもある)を縮合させた縮合物と、エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーとを含有するものである。
本発明に係るコンポジット粒子は、フルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物100質量部に対して、エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーを好ましくは0.01質量部以上5000質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以上1000質量部以下含むことが、超親油性及び超撥水性を発現する観点から好ましい。
本発明のコンポジット粒子は、動的光散乱法により求められた平均粒子径が好ましくは0.01μm以上50μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上40μm以下である。平均粒子径がこの範囲内にあると、種々の分散溶媒、樹脂材料及び各種基材等への分散性が良好になる。
本発明のコンポジット粒子は、エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの粒子の表面に、該粒子よりも小径である、フルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物の粒子が分散配置されている構造を有することが好ましい。フルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物の粒子は、芯材であるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの粒子の表面に均一に分散していることが好ましい。「均一に分散」とは、(i)芯材であるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの粒子の表面が露出するように、疎らで且つ均一にフルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物の粒子が配置されている場合、及び(ii)芯材であるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの粒子の表面が露出しないように、緻密に且つ均一にフルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物の粒子が配置されている場合の双方の分散状態を包含する。本発明のコンポジット粒子が超親油性及び超撥水性を容易に発現する観点からは、フルオロアルキル基含有オリゴマーの縮合物の粒子は、芯材であるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの粒子の表面に、(i)の状態で分散配置されていることが好ましい。
本発明に係るコンポジット粒子は、フルオロアルキル基含有オリゴマー及びエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む反応原料溶液にアルカリを加え、アルコキシシリル基の加水分解反応を行う反応工程によって得られるものであることが好ましい。
反応工程に係るフルオロアルキル基含有オリゴマーは、前記一般式(1)で表され、加水分解可能なアルコキシシリル基を有するものである。一般式(1)中のR、R及びRで示される炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。
一般式(1)中のR及びRの−(CF)p−Y基、又は−CF(CF)−[OCFCF(CF)]q−OC基のp及びqはそれぞれ独立に0以上10以下の整数であり、好ましくはそれぞれ独立に0以上3以下の整数である。特にR及びRは、−CF(CF)OCであることが好ましい。
一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマーは、例えば、トリメトキシビニルシラン等のトリアルコキシビニルシランを過酸化フルオロアルカノイルと反応させることにより製造される(例えば、特開2002−338691号公報及び特開2010−77383号公報参照を参照のこと)。得られるフルオロアルキル基含有オリゴマーはナノレベルの微小な粒子である。
反応工程に係るエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは、本発明のコンポジット粒子に、主に優れた親油性を付与し、また優れた油水分離能を付与するものである。
本発明において、用いることができるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは、シクロデキストリンにおける−OH基や−CHOH基がエポキシ系化合物で架橋された構造を有するものである。エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは水不溶性のものであることが好ましい。エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの正確な構造は未だ特定されていないが、本発明者らはエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの構造を以下のように考えている。下記の構造中、CDの文字を円で囲った図形はシクロデキストリンを意味する。
エポキシ系化合物によって架橋される対象化合物であるシクロデキストリンとしては、例えば六員環化合物であるα−シクロデキストリン、七員環化合物であるβ−シクロデキストリン、及び八員環化合物であるγ−シクロデキストリンが知られている。本発明においては、これらのシクロデキストリンを特に制限なく用いることができる。1つのシクロデキストリンポリマーは1種のシクロデキストリンから構成されていてもよく、あるいは2種以上のシクロデキストリンから構成されていてもよい。
シクロデキストリンを架橋するために用いられるエポキシ系化合物としては、例えばエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限られない。これらのエポキシ系化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは例えば次の方法で得ることができる。すなわち、シクロデキストリンをアルカリ水溶液に加え、これに非晶質ケイ酸を添加し、更にこれに架橋剤としてエポキシ系化合物を加える。シクロデキストリンとしては、上述のとおり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンのうちのいずれか1種のみを用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。次いで反応系を−15℃以上90℃以下、好ましくは10以上70℃以下の温度条件下に、15分以上、好ましくは15分以上300分以下の時間にわたって撹拌する。これによって、目的とするエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーが得られる。エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの製造方法については、例えば特開2006−143953号公報等にも記載されている。また、本発明で用いることのできるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは例えば株式会社環境工学から入手できる。
前記のようにして得られるエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは、動的光散乱法により求められた平均粒子径が0.1μm以上1,000μm以下であることが好ましく、0.3μm以上600μm以下であることが更に好ましい。
反応工程に係る反応溶媒は、前記フルオロアルキル基含有オリゴマーが溶解できるものが用いられる。反応工程に係る反応溶媒としては、例えばメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等の低級アルコールが挙げられ、これらは単独で使用してもよく、あるいは2種以上の混合溶媒であってもよい。この中で、メタノールが特に好ましい。
反応原料溶液中のエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの含有量は、1質量部以上400質量部以下であることが好ましく、5質量部以上350質量部以下であることが更に好ましい。エポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーの含有量がこの範囲内であることを条件として、一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有オリゴマーの含有量は、200質量部以上であることが好ましく、200質量部以上350質量部以下であることが更に好ましい。反応原料溶液中での両者の含有量がこの範囲内であることにより、本発明のコンポジットは超親油性及び超撥水性を呈する。
反応工程において、反応原料溶液に加えるアルカリとしては、アルコキシシランの加水分解を行うことができるものであれば特に制限されず、例えば水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。これらのうち、反応性が高い点で、水酸化アンモニウムが好ましく用いられる。
反応原料溶液に加えるアルカリの混合量は特に制限されず適宜選択される。また、反応原料溶液にアルカリを混合してアルコキシシランの加水分解を行う際の反応温度は、好ましくは−5℃以上50℃以下であり、更に好ましくは0℃以上30℃以下である。反応温度を−5℃以上に設定することで、アルコキシシリル基の加水分解速度が過度に遅くなることを防止でき、十分な反応効率が得られ、また50℃以下に設定することで、コンポジット粒子の分散安定性の過度の低下を抑制できる。反応原料溶液にアルカリを混合してアルコキシシリル基の加水分解を行う際の反応時間は特に制限されず適宜選択されるが、好ましくは1時間以上72時間以下であり、特に好ましくは1時間以上24時間以下である。
前記反応は、必要により液を撹拌することによって十分な反応効率が得られる。また、前記方法によって得られたエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーは、上述のとおり平均粒子径が好ましくは0.1μm以上1,000μm以下、更に好ましくは0.3μm以上600μm以下であるところ、反応時に液を撹拌することによって物理的に破壊することができ、それによって微小なコンポジット粒子、例えば平均粒子径が好ましくは0.01μm以上50μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上40μm以下であるコンポジット粒子を得ることができる。
反応終了後、常法により減圧下に溶媒を除去、必要により洗浄等の精製を行って目的とするコンポジット粒子を得る。
以上の方法で得られた前記コンポジット粒子は、これを例えば油水分離材として用いることができる。詳細には、本発明のコンポジット粒子を油水分離材として用い、該油水分離材と、水及び油を含む混合液とを接触させることにより水と油を分離することができる。
本発明のコンポジット粒子は、例えば、以下の2つの方法により油水分離材として用いることができる。
(1)水に不溶な基材を本発明のコンポジット粒子で改質する方法。
(2)本発明のコンポジット粒子自体をそのまま濾過材として用いる方法。
前記(1)に係る基材としては、水に不溶である無機物や有機物を用いることができる。無機物としては、例えば、ガラス繊維、シリカ、シリカゲル、アルミナ、スラグウール、モレキュラーシーブ、ゼオライト、活性炭、珪藻土、砂、石綿等が挙げられる。有機物としては、天然高分子又は合成高分子であってもよい。天然高分子としては、例えば、セルロース、羊毛、綿、絹等が挙げられる。合成高分子としては、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート等の縮合系又は付加系重合高分子重合体や、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のエチレン系不飽和高分子重合体等が挙げられる。
基材の形状は特に制限されるものではなく、例えば細片状、海綿状、リボン状、フィブリル状、ウェブ状、マット状、綿布状及び不織布状等が挙げられる。
本発明においては、市販の濾紙等を改質する基材として用いてもよい。この場合、濾紙の孔径は好ましくは5μm以下、更に好ましくは0.1μm以上3μm以下とすることが効率的に油水分離を行う観点から有利である。
前記(1)において、基材を本発明のコンポジット粒子で改質する方法としては、本発明のコンポジット粒子を基材の表面や内部に固定あるいは担持することができる方法であれば特に制限はなく公知の方法を用いることができる。その一例を挙げると、本発明のコンポジット粒子が1質量%以上50質量%以下の濃度で分散した分散液に基材を接触させた後、乾燥する方法等がある。また、分散液と基材との接触は、基材を分散液へ浸漬する方法、スプレーによって基材に吹き付ける方法、あるいは基材へ分散液を塗布する方法等により行うことができる。
図1は、本発明のコンポジット粒子により改質を行った濾紙を用いて、水と油の混合液を分離処理する場合の一つの実施形態を示す概略図である。同図に示す実施形態の分離システムAは、改質した濾紙1a及びカラム1bを備えている。改質した濾紙1aは本発明のコンポジット粒子で改質したものである。
カラム1bの途中に、改質した濾紙1aを介在させることで、カラム1bに投入された水と油の混合液1は、改質した濾紙1aと接触する。油1’は、改質した濾紙1aを通過する一方、水は、改質した濾紙1aを通過することができないので、水と油を分離することができる。必要に応じ分離効率を高めるために、分離操作中に圧力を加えることや、あるいは減圧することが可能である。この場合は、初めに油1’が、改質した濾紙1aを選択的に通過し、次いで強い外力の関係で水は遅れて改質した濾紙を通過する場合がある。そして、油1’が溶出した後に、油水分離操作を終える等の手段によって、油水分離材を介して水と油を分離することができる。
図2は、本発明のコンポジット粒子を濾過材として用いて、水と油の混合液を分離処理する場合の一つの実施形態を示す概略図である。同図に示す実施形態の分離システムBは、カラム2b、及び濾過材2cを含む濾過材層2aを備えている。
カラム2bには濾過材2cとして本発明のコンポジット粒子が充填されて濾過材層2aが形成されている。カラム2bに水と油の混合液1を投入することにより、濾過材2cと混合液を接触させることができる。油1’は濾過材層2aを通過する一方、水は濾過材層2aを通過することができないので、水と油を分離することができる。必要に応じ分離効率を高めるために、分離操作中に圧力を加えることや、あるいは減圧することが可能である。また、目詰まり等を抑制するために、濾過材層2aの上部及び/又は下部に濾過助剤を充填した層を必要により設けることができる。
用いることができる濾過助剤としては、特に制限はなく公知のものを広く用いることができる。例えば、珪藻土、砂粒子、真珠岩、アンスラサイト、セルロース、羊毛、綿、絹、炭素質濾過助剤、酸性白土、ベントナイト、セライト、タルク、マイカ及びカオリナイト等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る油水分離材で処理対象する水と油の混合液は、溶液状態のものであってもエマルションであってもよい。
本発明に係る油水分離材は、例えば、油を含んだ廃水処理、各種産業分野での生産現場での水と油の分離あるいは精製手段等に利用することができる。
本発明のコンポジット粒子は、油水分離材としてだけでなく、有機化合物吸着剤としても有用である。本発明のコンポジット粒子を有機化合物吸着剤として用いる場合には、該コンポジット粒子自体をそのままカラムに充填し、吸着させたい有機化合物を含む液が該カラム内を通過するようにすればよい。液がカラム内を通過する間に、該液中に含まれる有機化合物が本発明のコンポジット粒子に吸着され、該液から分離される。
本発明のコンポジット粒子を有機化合物吸着剤として用いた場合に、高吸着率で吸着可能な化合物としては、例えばダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル類、クロロフェノール類、ポリフェノール類などの芳香族化合物が挙げられる。これらの化合物は、例えば水溶性有機溶媒(アセトン、メタノール等)を少量含む水溶液に溶解した状態で本発明のコンポジット粒子と接触させることで、該コンポジット粒子に吸着される。
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。特に断らない限り「%」は「質量%」を表す。
<フルオロアルキル基含有オリゴマー試料>
以下の実施例及び比較例で用いたフルオロアルキル基含有オリゴマー(以下、「VM」という)は、以下の表1に示すものである。同表中、分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリスチレン換算)による数平均分子量を表す。
<1>ドデカンとの接触角、及び水と接触角の評価
以下の表2、表4及び表6に示す実施例及び比較例で得られた反応液試料に、ガラス板を1分間、室温(25℃)で浸した。ガラス板を引き上げた後、自然乾燥させ、更に一晩真空乾燥を20℃で行った。このようにして得られた改質ガラス板の表面について、ドデカンとの接触角、及び水との接触角を協和界面科学製のDrop Master.300を使用して測定した。その結果を表3、表5及び表7に示す。同表中、「−」は接触角に変化がなかったことを示す。
〔実施例1−1ないし1−12〕
表2に示す量のVMをメタノール5mlに溶解した溶液に、α−シクロデキストリンポリマー((株)環境工学製)を表2に示す量添加し、マグネティックスターラーにより10分間撹拌を行った。次いで、25%アンモニア水溶液1mlを添加し、マグネティックスターラーを用いて室温(25℃)で5時間撹拌を行った。反応終了後、反応液試料から溶媒を減圧下で除去し、次いでメタノール中で再分散を行い、遠心分離することにより、白色粉末として目的物(コンポジット粒子)を得た。得られたコンポジット粒子について、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表3に示す。また実施例1−12のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像を図3(a)及び(b)に示す。
〔比較例1〕
α−シクロデキストリンポリマーとのコンポジット化を行わなかったVMについて、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表3に示す。
〔実施例2−1ないし2−14〕
実施例1−1ないし実施例1−12において、シクロデキストリンポリマーとしてβ−シクロデキストリンポリマー((株)環境工学製)を用いた。また、VMとβ−シクロデキストリンポリマーとの仕込量を以下の表4に示すとおりとした。これら以外は実施例1−1ないし実施例1−12と同様にしてコンポジット粒子を得た。得られたコンポジット粒子について、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表5に示す。また実施例2−14のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像を図4(a)及び(b)に示す。
〔比較例2〕
β−シクロデキストリンポリマーとのコンポジット化を行わなかったVMについて、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表5に示す。
〔実施例3−1ないし3−12〕
実施例1−1ないし実施例1−12において、シクロデキストリンポリマーとしてγ−シクロデキストリンポリマー((株)環境工学製)を用いた。また、VMとγ−シクロデキストリンポリマーとの仕込量を以下の表6に示すとおりとした。これら以外は実施例1−1ないし実施例1−12と同様にしてコンポジット粒子を得た。得られたコンポジット粒子について、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表7に示す。また実施例3−12のコンポジット粒子の走査型電子顕微鏡像を図5(a)及び(b)に示す。
〔比較例3〕
γ−シクロデキストリンポリマーとのコンポジット化を行わなかったVMについて、前記の接触角の測定を行った。その結果を以下の表7に示す。
表2ないし表7に示す結果から明らかなとおり、各実施例のコンポジット粒子によって表面が改質された板ガラスは超親油性であり且つ超撥水性の性能を有することが分かる。
<2>油水分離材としての評価
実施例1−7で得られた反応液試料に、3cm四方にカットした濾紙(Advantec:131、孔径3μm)を1分間、室温で浸し、濾紙を引き上げた後、自然乾燥、更に一晩真空乾燥を20℃で行って改質濾紙試料を調製した。この改質濾紙を油水分離材として用い、その性能を以下の手順で評価した。
評価には、1,2−ジクロロエタン5mlと水5mlの混合液10mlを用いた。混合液中の水は硫酸銅五水和物により青色に着色させておいた。
図1に示す装置を用い、減圧濾過によって混合液の油水分離を行った。改質処理を行わない濾紙(比較例4)を用いた場合についても同様の油水分離を行った。その結果を以下の表8に示す。同表中の記号は下記の特性を示す。
○;濾過開始から10秒後に目視で濾液に水が観察されない。
△;濾過開始から10秒後に目視で濾液に若干の水の混入が観察される。
×;濾過開始から10秒後に目視で濾液に多くの水の混入が観察される。
表8に示す結果から明らかなとおり、比較例4では分離操作直後から水と油を含む混合液が、そのまま濾紙を通過し、全く水と油を分離することができなかった。これに対して、実施例1−7の改質濾紙を用いることにより、水と油を含む混合液から改質濾紙を介して、水と油を分離することが可能であることが判る。
<3>有機化合物吸着剤としての評価
実施例2−1、2−2及び2−7で得られた粒子20mgを、ディスポーサブルエンプティカートリッジ((株)巴製作所製、Type Mini(内容量0.05ml))に充填し、カラムカートリッジを作製した。このカラムカートリッジをシリンジ(ニプロ(株)製ニプロシリンジ)に接続し、0.5mmol/LのビスフェノールA/6%メタノール混合水溶液を3分間かけて5ml通液した。得られた濾液中のビスフェノールAの濃度を高速液体クロマトグラフィー((株)島津製作所製SCL−10AVP)で測定し、通液前の水溶液のビスフェノールAの濃度から通液後の濾液中のビスフェノールAの濃度を差し引くことで吸着率を計算した。また、比較例5として、フルオロアルキル基含有オリゴマーとコンポジット化する前のβ−シクロデキストリンポリマーについて同様の測定を行った。それらの結果を以下の表9に示す。
表9に示す結果から、各実施例のコンポジット粒子はビスフェノールAに対して高い吸着率を示すのに対し、比較例のβ−シクロデキストリンポリマーは各実施例よりもビスフェノールAの吸着率に劣るものであることが判る。
1 混合液
1’ 油
1a 濾紙
1b カラム
2a 濾過材層
2b カラム
2c 濾過材
A,B 分離システム

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー及びエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む反応原料溶液中で、該アルコキシシリル基の加水分解反応を行う反応工程によって得られるコンポジット粒子。


    式中、R及びRは、−CF(CF )OC である
    、R及びRは、炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
    mは2〜3の整数である。
  2. エポキシ系化合物がエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はブタンジオールジグリシジルエーテルのいずれかである請求項1に記載のコンポジット粒子。
  3. 平均粒子径が0.01μm以上50μm以下である請求項1又は2に記載のコンポジット粒子。
  4. 下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー及びエポキシ系化合物架橋シクロデキストリンポリマーを含む反応原料溶液に、アルカリを加えて、該アルコキシシリル基の加水分解反応を行う反応工程を有するコンポジット粒子の製造方法。


    式中、R及びRは、−CF(CF )OCF である
    、R及びRは、炭素数1以上5以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R、R及びRは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
    mは2〜3の整数である。
  5. エポキシ系化合物がエピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル又はブタンジオールジグリシジルエーテルのいずれかである請求項4に記載のコンポジット粒子の製造方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコンポジット粒子を用いた油水分離材。
  7. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコンポジット粒子を用いた有機化合物吸着剤。
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