JP6634974B2 - 酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents
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Description
酸化ニッケルの製造方法において、流動焙焼による焙焼の対象となる原料は水酸化ニッケルである。原料の水酸化ニッケルとしては、Ni(OH)2を主成分としているものであればよく、特に限定されない。
(1)流動焙焼炉の構成
図1は、流動焙焼炉を備えた流動焙焼装置の構成の一例を模式的に示す図である。本実施の形態に係る酸化ニッケルの製造方法においては、例えば図1に示すような流動焙焼装置1を用いて水酸化ニッケルを焙焼して酸化ニッケルを製造する。なお、流動焙焼装置1としては、炉の下方からガスを流して流動焙焼を行うことができ、焙焼して得られた材料(酸化ニッケル)を上方に向かって気流搬送して回収することができる設備を備えるものであれば、図1に例示するものに限定されない。
炉本体11は、例えば円筒形状を有し、流動焙焼を行う焙焼室を構成するものである。この炉本体11の内部において、原料である水酸化ニッケルと流動媒体との混合物がガスにより浮遊流動化して流動層を形成する。より具体的に、炉本体11は、炉本体上部11Aと、炉本体下部11Bとに分けられる。
ガス導入管12は、被焙焼物である水酸化ニッケルと流動媒体とを、炉本体11(炉本体下部11B)の付近(ヒーター15により加熱されている空間)で浮遊させるためのガスを導入するための配管である。また、焙焼して得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収する際にも、このガス導入管12からガスを導入し、そのガスによって酸化ニッケルを気流搬送して回収する。なお、図1中の矢印は、ガスの流れを示している。
回収サイクロン13は、炉本体11の上方に位置し、炉本体11内で流動焙焼して得られた焙焼物である酸化ニッケルを回収する。回収サイクロン13としては、回収時におけるガス供給により、酸化ニッケルを効率的に回収できるものであれば特に限定されない。
流動焙焼処理においては、例えば、固定層21をアルミナにより構成し、また流動媒体として球状のアルミナを用いて、所定の流速、流量のガスをガス導入管12を介して炉本体11の下方から供給しながら、炉本体11の内部に原料である水酸化ニッケルを投入して、その水酸化ニッケルと流動媒体とを浮遊流動化させることによって行う。なお、固定層21を構成する化合物や流動媒体等は、あくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
流動焙焼によって水酸化ニッケルを焙焼したのち、得られた焙焼物である酸化ニッケルを流動焙焼炉から回収する。上述したように、酸化ニッケルの回収は、例えば、図1に示すように、流動焙焼炉の炉本体11の後段に連続して設けられた回収サイクロン13によって回収することができる。
焙焼対象の原料(被焙焼物)として、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が25.0±1.0μmのものであり、真空中で150℃、3時間の真空加熱処理を行って、含有水分を実質的に除去した。また、その水酸化ニッケルについて分析したところ、硫黄分が2.0±0.1%の割合で含まれるものであることが確認された。なお、その他の不可避的に含まれる成分は、含有量が少なく実質的に無視できる程度であった。
(実施例1〜17:流動焙焼による焙焼)
流動焙焼炉を用いて原料の水酸化ニッケルを焙焼し、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)を回収する処理を行った。具体的に、流動焙焼炉としては、新島ネオライト工業株式会社製の装置を用い、焙焼炉の炉心の内径は直径150mmで、有効な均熱帯は高さ方向で約30cmであり、その範囲で流動焙焼を行った。
比較例1〜5では、バッチ式電気炉を用いて、水酸化ニッケルを静置させた状態で焙焼した。このとき、実施例1と同じ流量の空気を流して焙焼した。なお、焙焼温度は800℃〜1200℃とし、20分間の焙焼時間で焙焼した。
比較例6では、実施例1と同様に流動焙焼炉を用いて焙焼温度を1000℃として処理を行った。ただし、焙焼の終了後、空気の流量を1.0(焙焼時の空気流量1.0に対して)として、そのガスと共に焙焼物である酸化ニッケルの回収を行った。
実施例、比較例のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率、回収物中における酸化ニッケルの含有量の割合、及び、回収物中における硫黄の含有量について評価した。表1に、評価結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
焙焼により得られた試料の回収率は、下記の(1)式により算出した。
回収率(%)=回収した試料重量÷(投入したNi(OH)2が全てNiOになったときの重量−硫黄の含有量)×100 ・・・(1)式
回収物中における酸化ニッケルの含有量の割合は、回収物中に含まれる酸化ニッケル(NiO)と水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の含有量をそれぞれ算出し、それぞれの含有量の合計値に対するNiO含有量の割合(重量%)として算出した。
回収物中における硫黄の含有量は、硫黄分析装置(三菱化学株式会社製,型式:TOX−100)を用いて測定した。
11 炉本体
11A 炉本体上部
11B 炉本体下部
12 ガス導入管
13 回収サイクロン
14 原料投入管
15 ヒーター
16 ガス排気管
21 固定層
22 流動媒体層
Claims (1)
- 硫黄を含む水酸化ニッケルを焙焼することによって、硫黄の含有量の低減した、電池材料用の酸化ニッケルを製造する酸化ニッケルの製造方法であって、
流動媒体として焙焼して得られる酸化ニッケルの終末速度よりも速い終末速度を有するものを使用した流動焙焼炉を用いて、ガスを水酸化ニッケルと前記流動媒体との混合物の最小流動化速度以上、終末速度未満の流速で供給しながら、水酸化ニッケルを800℃以上1200℃以下で10分以上30分以下焙焼し、前記流動焙焼炉にて焙焼して得られる酸化ニッケルを回収する際に、焙焼時に供給するガス流量の1.2倍以上2.5倍以下の流量のガスを、酸化ニッケルの終末速度以上、前記流動媒体の終末速度未満の流速で供給する
酸化ニッケルの製造方法。
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