JP6402062B2 - ダストリサイクル方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダストリサイクル方法に関する。
製鋼プロセスで発生するダストは、一般に集塵機等により回収される。この回収されたダストは、鉄源として溶銑処理や転炉等でリサイクルされる。
特に転炉では、酸化鉄を主体とする多量のダストが発生する。このダストは、転炉排ガスを冷却、集塵及び回収する設備であるOG設備(Oxygen Converter Recovery System)を用いて湿式集塵法により回収される。転炉で発生したダストは鉄の含有量が多いことから、リサイクルの点よりこのダストの回収技術や利用技術が様々に提案されている。
上記ダストの回収技術や利用技術として、例えば転炉で回収したダストの水分を一定割合以下とすることで酸化を抑制し保存する方法が提案されている(例えば特開平03−138322号公報参照)。さらに転炉で発生したダストを粗粒(粗粒ダスト)と細粒(細粒ダスト)とに分別し、粗粒ダストを転炉原料又は溶銑予備処理原料とし、細粒ダストを焼結鉱又はペレットの原料とする転炉ダストの再利用方法が提案されている(例えば特開2007−9240号公報参照)。
これらの方法は、ダストの回収や再利用が可能である点で要求に沿うといえる。しかしながら、上記方法のダスト回収システムでは、システム内を流れる水の水質調整を行っておらず、送水配管の詰まり、堆積物の付着及び腐食等が懸念される。さらに、鉄源として再利用する点より回収されるダストはより高い鉄含有率(Fe濃度)を有することが望まれるが、これらの方法では鉄含有率の高いダストを回収することが難しい。加えて、この回収したダストにおいて、飛散による目減り、発熱、固結等が懸念される。
特開平03−138322号公報 特開2007−9240号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、ダスト回収の際に設備面の不具合の発生を効果的に抑制し、高い鉄含有率を有するダストを効率的に回収でき、かつこの回収したダストを効率よく転炉に装入して、高い鉄歩留を安全に得ることができるダストリサイクル方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、湿式集塵装置により転炉で発生するダストを含む排ガスに散水する工程と、分級器により上記散水工程後の集塵排水から粗粒を分離する工程と、シックナーにより上記粗粒分離工程後の細粒含有水から細粒を分離する工程と、上記粗粒分離工程で分離した粗粒を乾燥する工程と、上記乾燥工程で処理した粗粒を吹錬開始前の転炉に装入する工程とを備え、上記粗粒分離工程で処理する集塵排水のpHを10以上12以下の範囲に調整し、上記細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHを7以上9以下の範囲かつ上記集塵排水のpHと細粒含有水のpHとの差が3以上となるよう調整し、上記乾燥工程で含水率を0.1質量%以上5質量%以下の範囲とし、上記装入工程で0.3m/sec以下の排ガス風量となる空塔速度で下記式(1)を満たす質量の粗粒を装入することを特徴とするダストリサイクル方法である。
DC≦6.5−M ・・・(1)
ただし、DCは粗粒の質量[ton]である。Mは乾燥工程で処理した粗粒の含水率[質量%]である。
当該ダストリサイクル方法は、粗粒分離工程で処理する集塵排水のpHを10以上に調整するので、集塵排水中の鉄分がFeイオンとして溶解した状態で存在することを効果的に抑制し、鉄含有率の高い粗粒を回収できる。また当該ダストリサイクル方法は、粗粒分離工程で処理する集塵排水のpHを12以下に調整するので、集塵排水中の鉄分が水酸化イオンと反応しFe(OH)が析出することに起因する堆積物の発生を効果的に抑制できる。さらに当該ダストリサイクル方法は、細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHを7以上に調整するので、シックナーの腐食を十分に抑制できる。また当該ダストリサイクル方法は、上記細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHが9以下、かつ集塵排水のpHと細粒含有水のpHとの差(ΔpH)が3以上となるよう調整するので、送水配管内のダスト付着に起因する詰まりを十分に抑制できる。
さらに当該ダストリサイクル方法は、粗粒分離工程で分離した粗粒の含水率を0.1質量%以上となるよう調整するので、意図しない飛散が原因の粗粒の目減りを十分に抑制できる。また当該ダストリサイクル方法は、粗粒分離工程で分離した粗粒の含水率を5質量%以下となるよう調整するので、粗粒を保存中の発熱や固結を十分に抑制できる。さらに当該ダストリサイクル方法は、装入工程で式(1)を満たす質量の粗粒を装入するので、粗粒に起因する水蒸気爆発又は火炎の発生を効果的に抑制できる。また当該ダストリサイクル方法は、装入工程で0.3m/sec以下の排ガス風量となる空塔速度の条件下で吹錬開始前の転炉に粗粒を装入するので、意図しない飛散及び吹錬での酸素ガス噴流による粗粒の噴き上がりが原因の粗粒の目減りを効果的に抑制できる。
ここで、上記「粗粒」とは、粒径が50μm以上のものの割合が80体積%以上であるダストを意味する。また上記「細粒」とは、粒径が50μm未満のものの割合が80体積%以上であるダストを意味する。上記「粒径」は、レーザー回析散乱法により測定される粒子の最も長い弦の長さを意味する。
本発明によれば、ダスト回収の際に設備面の不具合の発生を効果的に抑制し、高い鉄含有率を有するダストを効率的に回収でき、かつこの回収したダストを効率よく転炉に投入し、高い鉄歩留を安全に得ることができる。
本発明の一実施形態に係るダストリサイクル方法の手順を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係るダストリサイクル方法の系を示すブロック図である。 実施例の粗粒中の全鉄量のpH依存性を示すグラフである。 実施例の粗粒中の金属鉄量のpH依存性を示すグラフである。 転炉への粗粒装入のタイミング及び排ガス風量と鉄歩留との関係性を示すグラフである。
以下、本発明に係るダストリサイクル方法の実施形態について説明する。
図1に示すダストリサイクル方法は、湿式集塵装置により転炉で発生するダストを含む排ガスに散水する工程(散水工程S1)、分級器により上記散水工程後の集塵排水から粗粒を分離する工程(粗粒分離工程S2)、シックナーにより上記粗粒分離工程後の細粒含有水から細粒を分離する工程(細粒分離工程S3)、上記粗粒分離工程で分離した粗粒を乾燥する工程(乾燥工程S4)、及び上記乾燥工程で処理した粗粒を吹錬開始前の転炉に装入する工程(装入工程S5)を備える。また、図2に当該ダストリサイクル方法の系を示す。
製鋼工程の転炉1では銑鉄から不純物が除かれる。転炉1では、例えば酸素の銑鉄への吹き込みにより銑鉄中から炭素を除く脱炭処理が行われる。転炉1の吹錬中には、ダスト及びガス成分Cを含む排ガスAが発生する。当該ダストリサイクル方法は、この排ガスAからダストを回収し、リサイクルする。
転炉1のガス吹き込み形式としては、上吹き形式又は上底吹き形式が挙げられる。
また転炉1の溶銑量は特に限定されないが、例えば80ton以上100ton以下である。
さらに転炉1の溶銑温度は特に限定されないが、例えば1200℃以上1400℃以下である。
転炉1の溶銑炭素濃度は特に限定されないが、例えば3.5質量%以上5質量%以下である。
転炉1の送酸速度は特に限定されないが、例えば2.5Nm/min・t以上4.2Nm/min・t以下である。
転炉1の酸素積算量は特に限定されないが、例えば37Nm/t以上52Nm/t以である。
[散水工程]
本工程では、転炉1で発生したダスト含む排ガスAに湿式集塵装置21により散水する。具体的には、転炉1で発生する排ガスAをOG設備2の湿式集塵装置21に送り、湿式集塵装置21で排ガスAに散水し、排ガスAを水及びダストを含む集塵排水Bとガス成分Cとに分離する。このようにして、散水工程では転炉1で発生したダストを集塵排水Bとして回収する。なお、ガス成分Cは排ガス回収装置23に送り処理する。
(OG設備)
上記OG設備2は、湿式集塵装置21、集塵排水Bを貯める水槽22、ガス成分Cを排出する排ガス回収装置23、及びこれらを接続する配管を備える。
湿式集塵装置21は、装置内に排ガスAが通過する空間(チャンバー)、この空間内に設置された散水ノズル、散水された水を回収する機構及びガス成分Cを回収する機構を有する。湿式集塵装置21では、装置上部のガス入口から排ガスAを導入し、この排ガスAに対して散水を行い、水で排ガスA中のダストを捕集する。
水槽22は、湿式集塵装置21の下部に設けられ、湿式集塵装置21の装置下部から排出された集塵排水Bを一時的に貯水する槽である。
水槽22では、分級器3に送る集塵排水Bを一時的に貯水する。水槽22から分級器3への集塵排水Bの送水は、例えば水槽22と分級器3との間の送水配管の途中に送水ポンプ(図2では示していない)を配設し、このポンプで集塵排水Bを送る方法を用いることができる。
本工程では、転炉1で発生した排ガスAを湿式集塵装置21に送り、湿式集塵装置21の上部から湿式集塵装置21の内部に導入する。湿式集塵装置21の内部では、排ガスAは上部から下部に向かって流れる。湿式集塵装置21では、上部から導入した排ガスAに対して散水ノズルによる散水を行う。上記散水は、例えば上部から下部に向かって多段的に設けられた散水ノズルによりスプレー方式で行うことができる。
本工程の散水で用いる水は、環境負荷やリサイクルの面から後述する細粒分離工程後の排水Gを用いることが好ましい。なお、散水する水として排水Gを用いる場合、必要に応じて新たに水を補給できる。
[粗粒分離工程]
本工程では、分級器3により上記散水工程後の集塵排水Bから粗粒Dを分離する。具体的には、pHを10以上12以下の範囲に調整した集塵排水Bを分級器3により処理して粗粒Dと細粒含有水Eとに分離する。粗粒Dは鉄分を非常に多く含むので、そのまま鉄源として用いることができる。分離した粗粒Dは乾燥工程で乾燥する。また、分級後の上澄みは、細粒含有水Eとして送水配管を通じてシックナー4に送る。
細粒含有水Eの分級器3からシックナー4への送水は、例えば高低差を利用する自然流下を用いる方法、分級器3とシックナー4との間の送水配管の途中に送水ポンプ(図2では示していない)を配設し、このポンプで細粒含有水Eを送る方法等を用いることができる。
(分級器)
分級器3としては、例えば集塵排水Bが供給される円筒状の供給部、供給部内の上澄みを排出する排出部及び供給部の下方に接続され、中央が下方に突出する漏斗状の底部を備える沈降分離槽を用いることができる。この沈降分離槽は、漏斗状の底部の先端に沈降物を回収できる回収口を有する。
分級器3に集塵排水Bを供給すると、集塵排水B中の粒径の大きなダストは分級器3の底部に沈降する。粒径の大きなダストは沈降速度が大きいためである。沈降したダストは分級器3の底部から粗粒Dとして回収する。また上澄みは細粒含有水Eとして回収する。
なお、上記回収口から排出された粗粒Dはスクリューコンベア、ベルトコンベア等を用いて回収位置まで運搬できる。
集塵排水BのpHの下限としては、10であり、10.2が好ましく、10.5がより好ましい。一方、上記pHの上限としては、12であり、11.9が好ましく、11.8がより好ましい。集塵排水BのpHが上記下限未満である場合、集塵排水B中において酸化反応が起きやすくなる。この酸化反応が起きると集塵排水B中に存在する鉄が高い割合でFeイオンの状態で存在することとなるので、粗粒Dにおける鉄含有率(Fe濃度)が低下するおそれがある。なお、粗粒Dにおける鉄含有率が低い場合、高炉や製鋼工程での鉄源としての効率的な再利用が難しくなるおそれがある。一方、集塵排水BのpHが上記上限を超える場合、集塵排水B中に存在する鉄が水酸化イオンと反応し、FeOH(水酸化鉄)が集塵排水Bから析出しやすくなる。水酸化鉄が析出すると堆積物が生じ、この堆積物が送水配管内に付着する。この堆積物は、水槽22と分級器3との間の送水配管の詰まりの原因となることがある。
集塵排水Bの温度の下限としては、0℃が好ましく、5℃がより好ましい。一方、上記温度の上限としては、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。
集塵排水BのpHの調整は、作業性の点より水槽22から分級器3への送水配管で行うことが好ましい。なおpHの調整は、分級器3や水槽22で行ってもよく、pH調整用の水槽を設け、この水槽で行ってもよい。
集塵排水BのpHの調整は、例えばアルカリ性薬剤の投入により行うことができる。このアルカリ性薬剤としては、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩が挙げられる。より具体的には、水酸化ナトリウム、消石灰、炭酸カルシウム等が挙げられる。上記アルカリ性薬剤は、水溶液として集塵排水Bに投入できる。なお、上記アルカリ性薬剤は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[細粒分離工程]
本工程では、シックナー4により上記粗粒分離工程後の細粒含有水Eから細粒Fを分離する。具体的には、pHを7以上9以下の範囲かつΔpHが3以上となるよう調整した細粒含有水Eからシックナー4により細粒Fを分離する。つまり、シックナー4で細粒含有水Eから細粒Fを沈降回収する。細粒Fは、高炉や製鋼工程での鉄源、脱珪剤等として用いることができる。
(シックナー)
シックナー4としては、例えば円筒状の本体部、本体部の下方に接続され、中央が下方に突出する漏斗状の底部、本体部の側面上部に位置する排水部、及び本体部内に配設される攪拌部を有する凝集沈殿槽を用いることができる。この凝集沈殿槽は、漏斗状の底部の先端に沈降物を回収できる回収口を有する。凝集沈殿槽は、上記排出部から細粒分離後の上澄みを回収できる。
なお、上記凝集沈殿槽の最大径及び高さは、上記沈降分離槽の最大径及び高さより大きいことが好ましい。
シックナー4に細粒含有水Eを供給すると、シックナー4の攪拌部の比較的低速の回転により細粒含有水E中の粒径の小さなダストが濃縮し沈降する。シックナー4の底部に沈降したダストは細粒Fとして回収する。また、上澄みは排水Gとしてシックナー4の排水部より排出する。なお、シックナー4から回収した細粒Fはフィルタープレスにより脱水してもよい。また、排水Gを湿式集塵装置21の散水ノズルに送るための送水配管は、シックナー4の排水部に連結することが好ましい。
細粒含有水EのpHの下限としては、7であり、7.1が好ましく、7.2がより好ましい。一方、上記pHの上限としては、9であり、8.2が好ましく、7.8がより好ましい。細粒含有水EのpHが上記下限未満である場合、シックナー4内部や分級器3からシックナー4までの送水配管内の細粒含有水EのpHが酸性になりやすい。細粒含有水EのpHが酸性になると、腐食によりシックナー4の損傷や分級器3からシックナー4までの送水配管の損傷等の設備損傷が生じるおそれがある。一方、細粒含有水EのpHが上記上限を超える場合、ダストが付着して送水配管の詰まりが生じるおそれがある。例えば細粒分離工程後の排水Gを散水工程で散水する水として用いる場合、シックナー4から湿式集塵装置21の散水ノズルへの送水配管や散水ノズルで詰まりを生じるおそれがある。
集塵排水BのpHと細粒含有水EのpHとの差(ΔpH)の下限としては、3であり、3.1が好ましく、3.2がより好ましい。一方、上記ΔpHの上限としては、5が好ましく、4.5がより好ましく、4がさらに好ましい。上記ΔpHが上記下限未満である場合、分級器3からシックナー4までの送水配管内にダストが付着して送水配管の詰まりを生じるおそれがある。一方、上記ΔpHが上記上限を超える場合、腐食によるシックナー4の損傷や分級器3からシックナー4までの送水配管の損傷等の設備損傷が生じやすくなる。
細粒含有水Eの温度の下限としては、0℃が好ましく、5℃がより好ましい。一方、上記温度の上限としては、50℃が好ましく、40℃がより好ましい。
細粒含有水EのpHの調整は、作業性の点より分級器3からシックナー4への送水配管で行うことが好ましい。なおpHの調整は、シックナー4で行ってもよく、pH調整用の水槽を設け、この水槽で行ってもよい。
細粒含有水EのpHの調整は酸性溶液の投入により行うことができる。この酸性溶液としては、酸の水溶液が挙げられる。具体的には、塩酸、硝酸、リン酸等の酸の水溶液が好ましく挙げられる。なお、上記酸性溶液は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[乾燥工程]
本工程では、上記粗粒分離工程で分離した粗粒Dを乾燥する。具体的には、分級器3により集塵排水Bから分離した粗粒Dをその含水率が0.1質量%以上5質量%以下となるよう乾燥する。なお、分級器3の底部から回収した直後の粗粒Dの含水率0.1質量%以上5質量%以下である場合、乾燥工程を省略できる。
(乾燥設備)
乾燥工程では、作業の効率性の点より乾燥設備5(乾燥機5)を用いることができる。この乾燥設備5としては、例えばロータリキリング、スチームチューブ式ドライヤ、ロータリドライヤ、ドラム式乾燥機、コンベア式乾燥機等が挙げられる。なお、乾燥設備5は単独で又は2以上組み合わせて用いることができる。
また、乾燥工程における乾燥は、自然乾燥であってもよい。さらに、自然乾燥と上記乾燥設備5との併用であってもよい。
なお、粗粒Dは、重機械(重機)、ダンプカー、貨車等を用いて乾燥設備5まで運搬できる。
乾燥工程後の粗粒Dの含水率の下限は、0.1質量%であり、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、上記含水率の上限は、5質量%であり、4.5質量%が好ましく、4質量%がより好ましい。上記含水率が上記下限未満である場合、粗粒Dが飛散しやすくなり、粗粒Dの搬送や保存が困難となるおそれがある。例えば粗粒Dをベルトコンベアで搬送する際に粗粒Dの落下が生じて粗粒Dの目減りを生じるおそれがある。また、粗粒Dの飛散は環境の面からも好ましくない。一方、上記含水率が上記上限を超える場合、粗粒Dが酸化して発熱するおそれがあり、粗粒Dの保存中に火炎が生じる場合がある。また粗粒Dの固結を生じるおそれがある。後述のホッパー内での粗粒Dの保存中に粗粒Dの固結を生じると、ホッパーからの粗粒Dの切り出しが不能となることがある。
乾燥工程における乾燥温度の下限は、105℃が好ましく、150℃がより好ましい。一方、上記乾燥温度の上限は、400℃が好ましく、300℃がより好ましい。上記乾燥温度が上記下限未満である場合、粗粒Dから水分を十分に除去できないおそれがある。一方、上記乾燥温度が上記上限を超える場合、粗粒Dの含水率が低くなりすぎるおそれや粗粒Dの変質を生じるおそれがある。また、乾燥工程のコストが高くなるおそれがある。
乾燥工程における乾燥時間の下限は、2分が好ましく、3分がより好ましい。一方、上記乾燥時間の上限は、40分が好ましく、30分がより好ましい。上記乾燥時間が上記下限未満である場合、粗粒Dから水分を十分に除去できないおそれがある。一方、上記乾燥時間が上記上限を超える場合、粗粒Dの含水率が低くなりすぎるおそれがある。さらに、乾燥工程における作業性の低下やコストの上昇を招くおそれがある。
[装入工程]
本工程では、上記乾燥工程で処理した粗粒Dを吹錬開始前の転炉1に装入する。具体的には、0.3m/sec以下の排ガス風量となる空塔速度で式(1)を満たす質量の粗粒Dを吹錬開始前の転炉1に装入する。本工程では、例えば溶銑、鉄スクラップ等と共に、粗粒Dを吹錬開始前の転炉1に装入できる。なお、装入工程後、吹錬を開始し、再度、転炉1による銑鉄の処理(一次精錬)を行う。このようにして、鉄源としての粗粒Dを有効に再利用できる。
転炉1に装入する粗粒Dの平均粒径の下限としては、200μmが好ましく、300μmがより好ましい。上記平均粒径が上記下限以上である場合、粗粒Dの意図しない飛散をより効果的に抑制できる。ここで「平均粒径」とは、JIS−Z−8815(2013年)に準拠しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS−Z−8819−2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を指す。
粗粒Dの転炉1への装入は、一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。さらに鉄スクラップと共に粗粒Dを転炉1に装入する場合には、鉄スクラップと粗粒Dとを一緒に転炉1に装入してもよい。これにより、転炉1への装入作業の回数を減らすことができ、また装入に伴う発塵をより抑制できる。
本工程では、粗粒Dを転炉1に装入する際の方式(装入方式)として、例えば搬送シュート方式、ベルトコンベアを用いる炉上ホッパー方式等を用いることができる。
上記装入方式として搬送シュート方式を用いる場合、例えば以下のようにして粗粒Dを転炉1に装入できる。まず、乾燥設備5から粗粒Dを搬出し、粗粒Dを計量する。次に、粗粒Dの装入量(DC)を式(1)を満たすよう決定し、転炉1への装入量を設定する。次に、設定した装入量の粗粒Dを搬送シュート(図2には示していない)に投入する。次に、搬送シュートより粗粒Dを転炉1に装入する。また、搬送シュートには鉄スクラップも投入することで、鉄スクラップと共に粗粒Dを転炉1に装入できる。
さらに、上記装入方式としてベルトコンベアを用いる炉上ホッパー方式を用いる場合、例えば以下のようにして粗粒Dを転炉1に装入できる。まず、乾燥設備5から粗粒Dを搬出し、粗粒Dを計量する。次に、粗粒Dの装入量(DC)を式(1)を満たすよう決定し、転炉1への装入量を設定する。次に、設定した装入量の粗粒Dをホッパー(図2には示していない)に投入する。次に、粗粒Dをホッパーから切り出し、この切り出した粗粒Dを転炉1までベルトコンベアで運搬して転炉1に装入する。なお、ベルトコンベアを用いる炉上ホッパー方式を用いる場合、鉄スクラップは前もって転炉1に装入しておくことが好ましい。
上記ホッパーは、粗粒Dを一時的に貯めることができ、下部には所定量の粗粒Dを切り出すことができる機構を有する。上記ホッパーは、転炉1の上部に設けることができる。
なお、粗粒Dの運搬や計量の際には、例えばリフマグ(リフティングマグネット)、ダンプカー、重機械(重機)、貨車、ベルトコンベア等を用いることができる。
上記排ガス風量の上限としては、0.3m/secであり、0.27m/secが好ましく、0.22m/secがより好ましい。排ガス風量が上記上限を超える場合、粗粒Dの意図しない飛散が生じ、粗粒Dの目減りを生じるおそれがある。
一方、上記排ガス風量の下限は、0m/secでもよい。発塵防止の点からは上記排ガス風量は0m/secより大きいことが好ましく、0.01m/sec以上であることがより好ましい。
排ガス風量は、空塔速度で調整できる。例えばOG設備2の排ガス回収装置23のインペラ(図2には示されていない)の回転速度を制御することにより空塔速度を調節して、排ガス風量を制御できる。
本工程では、粗粒Dを吹錬開始前の転炉1に装入する。これは、上記上限以下の排ガス風量となる空塔速度で粗粒Dを転炉1に装入したとしても、粗粒Dの転炉1への装入のタイミングが吹錬の開始後であると酸素の噴流により粗粒Dが吹き上がり、粗粒Dの目減りが生じるおそれがあるからである。
装入する粗粒Dの質量は下記式(1)を満たす。粗粒Dの装入量が式(1)を満たさない場合、粗粒Dを転炉1に装入する際及び転炉1に装入した後に水蒸気爆発や火炎の発生のおそれがある。
DC≦6.5−M ・・・(1)
DC:粗粒の質量[ton]
M:乾燥工程で処理した粗粒Dの含水率[質量%]
<利点>
当該ダストリサイクル方法では、粗粒分離工程で処理する集塵排水のpH及び細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHを調整する。このため、当該ダストリサイクル方法は、送水配管内の詰まり、送水配管やシックナーの腐食等の設備不具合の発生を効果的に抑制できる。
当該ダストリサイクル方法では、粗粒分離工程で処理する集塵排水のpHを調整し、かつ細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHを調整する。このため、回収したダストは、鉄含有率(Fe濃度)が大きい。特に、当該ダストリサイクル方法は、非常に高い鉄含有率を有する粗粒を回収できる。
当該ダストリサイクル方法で回収したダストは、高炉や製鋼工程の鉄源として用いることができる。特に回収した粗粒は、粗粒中の鉄含有率が高いことから高炉や製鋼工程での鉄源としてより好ましく再利用できる。
当該ダストリサイクル方法では、粗粒分離工程で分離した粗粒を含水率が一定の範囲内となるよう乾燥工程で乾燥する。このため、意図しない飛散が原因の粗粒の目減り、粗粒を保存中の発熱や固結等を効果的に抑制できる。
当該ダストリサイクル方法では、装入工程で上記式(1)を満たす質量の粗粒を装入する。このため、例えば粗粒を転炉に装入する際及び転炉に装入した後に水蒸気爆発や火炎の発生を効果的に抑制できる。よって、当該ダストリサイクル方法は、安全性に優れる。
当該ダストリサイクル方法では、上記装入工程で0.3m/sec以下の排ガス風量となる空塔速度の条件下で粗粒を吹錬開始前の転炉に装入する。このため、意図しない飛散及び吹錬での酸素ガス噴流による粗粒の噴き上がりが原因の粗粒の目減りを効果的に抑制できる。ゆえに、当該ダストリサイクル方法では、高い鉄歩留を得ることができる。
[その他の実施形態]
なお、本発明のダストリサイクル方法は、上記実施形態に限定されない。
当該ダストリサイクル方法では、散水工程、粗粒分離工程、細粒分離工程、乾燥工程又は装入工程を多段的に行うことができる。
当該ダストリサイクル方法では、2以上の湿式集塵装置、2以上の分級器、及び2以上のシックナーを用いることができる。
当該ダストリサイクル方法では、集塵排水や細粒含有水に水や添加剤を加えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって制限されず、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例及び比較例]
以下のダストリサイクル系で、転炉から発生するダストを回収し、さらにこの回収したダストを転炉に装入し、精錬を行った。
上記ダストリサイクル系は、排ガス回収装置、湿式集塵装置及び湿式集塵装置下部に連結する水槽を有するOG設備と、分級器と、シックナーとをこの順で備える系、並びに上記分級器で分離した粗粒の含水率調整に用いる乾燥設備と、乾燥した粗粒を一時的に貯めるホッパーとをこの順で備える系を有する。
上記ダストリサイクル系のOG設備の湿式集塵装置は、散水ノズルを有する。上記ダストリサイクル系において、OG設備の水槽と分級器との間、分級器とシックナーとの間、及びシックナーと湿式集塵装置の散水ノズルとの間は送水配管で連結されている。水槽と分級器との間の送水配管、及び分級器とシックナーとの間の送水配管は、送水配管内の水のpHを調整するための機構を備える。OG設備の水槽と分級器との間の送水配管の途中には送水ポンプが配設されている。さらに、OG設備の排ガス回収装置内にはインペラを有する。このインペラの回転速度を制御することにより空塔速度を調節して、排ガス風量を制御できる。
上記ダストリサイクル系のホッパーは、転炉の上に位置し、所定量の粗粒を切り出すことができる機構を下部に有する。ホッパーから切り出された粗粒は、ベルトコンベアを介して転炉に装入できる。
まず、表1〜3に示す条件で転炉による銑鉄の処理(一次精錬)を行った。転炉の容量は100tonとした。転炉の形式は上底吹きを採用した。酸素を送る上吹きノズルとして、孔数が6個であり、孔直径が28.4mmであり、孔角度が12°であるノズルを用いた。底吹きのガスはCOとArとの混合ガス(CO/Arガス)を用いた。底吹きのガスが吹き込む羽口の形式は一層環状管とし、羽口の個数は4とした。羽口の開口面積は25.8mmとした。羽口の合計開口面積は103.2mmであった。
また、一次精錬は、以下のように制御した。すなわち、必要酸素量(銑鉄の脱炭に必要な酸素量)は当業者常法のスタティック制御により決定した。CaO、昇熱用副原料及び冷却用副原料は、当業者常法の方法で決定した。吹錬末期のダイナミック制御は、当業者常法の制御により実施した。
次に、一次精錬を行いながら転炉で発生した排ガスをOG設備に送り、OG設備の湿式集塵装置で排ガスに対して散水を行った。散水は、水の流量230t/hrの条件で散水ノズルより水を噴霧することにより行った。また散水は散水ノズルを6本用いて多段的に行った。散水により、排ガスをダスト及び水を含む集塵排水とガス成分とに分離した。集塵排水はOG設備下部の水槽に回収し、ガス成分はOG設備の排ガス回収装置に送った。
次に、上記水槽に回収した集塵排水を送水配管を通じて分級器に送水した。この時、この送水配管が備えるpH調整機構を用いて上記集塵排水のpHを調整した。pH調整後の上記集塵排水のpHを表1〜3に示す。pHの調整には水酸化ナトリウム、及び消石灰を用いた。
次に、分級器により上記集塵排水から粗粒を沈降分離し粗粒を回収した。粗粒回収後の上澄みを細粒含有水とした。
次に、上記細粒含有水を送水配管を通じて分級器からシックナーに送水した。この時、この送水配管が備えるpH調整機構を用いて細粒含有水のpHを調整した。pH調整後の上記細粒含有水のpHを表1〜3に示す。pHの調整には塩酸を用いた。
次に、シックナーにより上記細粒含有水から細粒を分離し細粒を回収した。なお、シックナーからの排水は、送水配管を通じてシックナーから湿式集塵装置の散水ノズルに送水し、散水用の水として再利用した。
一方で、分級器から回収した粗粒を乾燥設備まで搬送した。この粗粒を乾燥設備に投入し、表1〜3に示す含水率となるよう乾燥を行った。乾燥設備はロータリーキルンを用いた。
次に、上記乾燥後の粗粒を搬送してホッパーに投入し、一時的に貯めた。
次に、表1〜3に示す量の粗粒をホッパーから切り出し、切り出した粗粒を転炉に装入し、転炉による銑鉄の処理(一次精錬)を行った。転炉への装入及び転炉の精錬は、表1〜3に示す排ガス風量となる空塔速度下で行った。なお、ホッパーから切り出した粗粒は、ホッパーから転炉までベルトコンベアで搬送した。
表1〜3の「粗粒装入のタイミング」の欄において、「前」は転炉吹錬開始前を意味し、「後」は転炉吹錬開始後を意味する。表1〜3に示す「粗粒装入のタイミング」の欄が「前」のものは、まず、鉄スクラップ、粗粒、及び溶銑をこの順で転炉に装入し、吹錬を開始して、転炉による銑鉄の処理(一次精錬)を行った。一方、表1〜3に示す「粗粒装入のタイミング」の欄が「後」のものは、鉄スクラップ及び溶銑をこの順で転炉に装入し、吹錬を開始して、吹錬開始後に粗粒を転炉に装入し、転炉による銑鉄の処理(一次精錬)を行った。
転炉は、上記の銑鉄処理で用いたものと同じである。この精錬では、量が87.5ton以上96.0ton以下、温度が1260℃以上1350℃以下、及び炭素濃度が3.8質量%以上4.8質量%以下の溶銑を用いた。また、送酸速度を2.7Nm/min・t以上3.9Nm/min・t以下とし、酸素積算量を38.5Nm/t以上49.0Nm/t以下とした。この精錬の制御は、上述の一次精錬の制御と同様した。
Figure 0006402062
Figure 0006402062
Figure 0006402062
[評価]
実施例及び比較例について、以下の評価を行った。その結果を表4〜6に示す。また、図3に実施例の粗粒中の全鉄量のpH依存性を示すグラフを示し、図4に実施例の粗粒中の金属鉄量のpH依存性を示すグラフを示す。さらに、図5に転炉への粗粒装入のタイミング及び排ガス風量と鉄歩留との関係性を示す。
(水槽から分級器までの送水配管の詰まり)
OG設備下部の水槽から分級器までの送水配管において、送水配管の詰まりが発生するか否かを確認した。詰まりが発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、詰まりが発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「詰まり1」の欄に示す。
(分級器からシックナーまでの送水配管における詰まり)
分級器からシックナーまでの送水配管において、送水配管の詰まりが発生するか否かを確認した。詰まりが発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、詰まりが発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「詰まり2」の欄に示す。
(水槽からシックナーまでの送水配管及びシックナーの腐食)
OG設備下部の水槽からシックナーまでの送水配管及びシックナーにおいて、腐食が発生するか否かを確認した。水槽からシックナーまでの送水配管及びシックナーの両方において腐食が発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、水槽からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方において腐食が発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「腐食」の欄に示す。
(シックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管における詰まり)
シックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管において、送水配管の詰まりが発生するか否かを確認した。詰まりが発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、詰まりが発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「詰まり3」の欄に示す。
(粗粒及び細粒の成分組成)
誘導結合プラズマ発光分光分析法(分析下限:0.01質量%)により、回収した粗粒及び細粒について組成の分析を行い、「全鉄量(T.Fe)」[質量%]、「金属鉄量(M.Fe)」[質量%]及び「酸化鉄量(FeO+Fe)」[質量%]を求めた。これらの結果を表4〜6に示す。
(粗粒のベルトコンベア運搬時における目減り)
ホッパーから切り出した粗粒をホッパーから転炉までベルトコンベアで搬送する際に粗粒のベルトコンベアからの落下が発生するか否かを確認した。落下が発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、落下が発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「ベルトコンベア落下」の欄に示す。
(粗粒のホッパーでの切り出し性)
粗粒をホッパーから切り出す際に粗粒の切り出し不能が発生するか否かを確認した。粗粒の切り出し不能が発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、粗粒のホッパーからの切り出しが不能となった場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「ホッパー切り出し性」の欄に示す。
(水蒸気爆発又は火炎の発生)
粗粒を転炉に装入する際及び転炉に装入した後に水蒸気爆発や火炎の発生の有無を確認した。水蒸気爆発及び火炎の発生の両方が発生しなかった場合を「良好」(A)と評価し、一方、水蒸気爆発及び火炎の発生のうち少なくとも一方が発生した場合を「不良」(B)と評価した。この結果を表4〜6の「水蒸気爆発又は火炎の発生」の欄に示す。
(鉄歩留)
下記式(3)より、鉄歩留[%]を求めた。この結果を表4〜6の「鉄歩留」の欄に示す。
Y=100X/Z ・・・(3)
X=x1×xc1−x2×xc2−x3×xc3
Z=z1×zc1
Y:鉄歩留[%]
X:鉄の増分[ton]
Z:粗粒の鉄分[ton]
x1:精錬終了後に転炉から出鋼した溶鋼の質量[ton]
xc1:精錬終了後に転炉から出鋼した溶鋼の鉄含有率[質量%]
x2:転炉に装入した溶銑の質量[ton]
xc2:転炉に装入した溶銑の鉄含有率[質量%]
x3:転炉に装入したスクラップの質量[ton]
xc3:転炉に装入したスクラップの鉄含有率[質量%]
z1:転炉に装入しようとした粗粒の質量[ton]
zc1:転炉に装入しようとした粗粒の鉄含有率[質量%]
Figure 0006402062
Figure 0006402062
Figure 0006402062
<評価結果>
表4より、集塵排水のpH及び細粒含有水のpHを所定の範囲内となるように調整した実施例1〜15では、水槽から分級器までの送水配管及び分級器からシックナーまでの送水配管において詰まり並びに腐食が防止されることがわかる。また、実施例1〜15では、シックナーの腐食が防止されることがわかる。さらに、実施例1〜15では、シックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管や湿式集塵装置の散水ノズルにおいて詰まりが防止されることがわかる。これらのことより、実施例1〜15では、ダスト回収の際に設備面の不具合が防止されることがわかる。
表4、図3及び図4より、実施例1〜15によれば、全鉄量が90質量%以上かつ金属鉄量が85質量%以上の粗粒及び全鉄量が50質量%以上の細粒を回収できる。上記粗粒は、非常に高い鉄含有率を有し、鉄源として好適に再利用できる。
表4より、回収した粗粒の含水率を調整した実施例1〜15によれば、粗粒のホッパーからの切り出し不能、及びベルトコンベア搬送時の粗粒の落下が防止されることがわかる。これらのことより、実施例1〜15は、粗粒を転炉に装入する際に粗粒の目減り(ロス)が防止されることがわかる。
表4より、転炉に装入する粗粒の質量を所定の関係を満たすよう調整した実施例1〜15によれば、粗粒に起因する水蒸気爆発及び火炎の発生を効果的に抑制できることがわかる。
表4及び図5より、排ガス風量が所定以下となるよう調整し、かつ転炉吹錬開始前に粗粒を転炉に装入した実施例1〜15によれば、91%以上の高い鉄歩留を得ることができる。すなわち、回収した粗粒を非常に効率よく再利用できていることがわかる。
表5、6及び図5から以下のことがわかる。すなわち、集塵排水のpHが12より大きい比較例1〜5は、水槽から分級器までの送水配管で詰まりが起きた。
ΔpHが3未満である比較例6〜10は、分級器からシックナーまでの送水配管で詰まりが起きた。
細粒含有水のpHが7未満の比較例11〜15は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起きた。
集塵排水のpHが12より大きい比較例16〜18は、水槽から分級器までの送水配管で詰まりが起きた。
細粒含有水のpHが7未満であり、ΔpHが5を超える比較例19〜21は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起きた。
集塵排水のpHが12より大きく、かつ細粒含有水のpHが7未満の比較例22は、水槽から分級器までの送水配管における詰まりと分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方における腐食が起きた。
集塵排水のpHが12より大きく、粒含有水のpHが9より大きく、かつΔpHが3未満である比較例23及び24は、水槽から分級器までの送水配管、分級器からシックナーまでの送水配管、及びシックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管で詰まりが起きた。
集塵排水のpHが10未満であり、かつ細粒含有水のpHが7未満の比較例25〜27は、水槽から分級器までの送水配管、並びに分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起きた。
粗粒の含水率が0.1質量%未満の比較例28は、ホッパーから転炉までの粗粒の搬送に用いるベルトコンベアで粗粒の落下を生じた。
粗粒の含水率が5質量%を超える比較例29は、ホッパー中の粗粒が固結し、粗粒をホッパーから切り出すことができなかった。つまり、比較例29は、粗粒を転炉に装入することができなかった。
粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさない比較例30〜32は、水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。
転炉吹錬開始後に粗粒を転炉に装入した比較例33は、高い鉄歩留を得ることができなかった。
0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例34は、高い鉄歩留を得ることができなかった。
集塵排水のpHが10未満であり、細粒含有水のpHが7未満であり、かつ粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさない比較例35は、水槽から分級器までの送水配管、並びに分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらに水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。
粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさず、かつ転炉吹錬開始後に粗粒を転炉に装入した比較例36は、水蒸気爆発又は火炎の発生が起き、また高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが7未満であり、かつ粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさない比較例37は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらに水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。
集塵排水のpHが12より大きく、0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例38は、水槽から分級器までの送水配管で詰まりが起き、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
転炉吹錬開始後に粗粒を転炉に装入し、0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例39は、高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが7未満であり、0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例40は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
粗粒の含水率が0.1質量%未満であり、粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさず、かつ転炉吹錬開始後に粗粒を転炉に装入した比較例41は、ホッパーから転炉までの粗粒の搬送に用いるベルトコンベアで粗粒の落下を生じ、水蒸気爆発又は火炎の発生が起き、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさない比較例42は、水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。
細粒含有水のpHが7未満であり、粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさない比較例43は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらに水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。
集塵排水のpHが12より大きく、0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例44は、水槽から分級器までの送水配管で詰まりが起き、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが9を超え、ΔpHが3未満であり、かつ転炉吹錬開始後に0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例45は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管で詰まりを生じ、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが7未満であり、粗粒の含水率が0.1質量%未満であり、かつ0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例46は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、ホッパーから転炉までの粗粒の搬送に用いるベルトコンベアで粗粒の落下を生じ、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
集塵排水のpHが10未満であり、細粒含有水のpHが7未満であり、粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさず、かつ転炉吹錬開始後に0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例47は、水槽から分級器までの送水配管、並びに分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらに、水蒸気爆発又は火炎の発生が起きた。また、高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが9を超え、ΔpHが3未満であり、粗粒の装入量が式(1)の要件を満たさず、かつ0.3m/secを超える排ガス風量となる空塔速度で粗粒を転炉に装入した比較例48は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーから湿式集塵装置の散水ノズルまでの送水配管で詰まりを生じ、水蒸気爆発又は火炎の発生が起き、さらに高い鉄歩留を得ることができなかった。
細粒含有水のpHが7未満であり、粗粒の含水率が5質量%を超える比較例49は、分級器からシックナーまでの送水配管及びシックナーの少なくとも一方で腐食が起き、さらにホッパー中の粗粒が固結し、粗粒をホッパーから切り出すことができなかった。つまり、比較例49は、粗粒を転炉に装入することができなかった。
以上説明したように、当該ダストリサイクル方法は、ダスト回収の際に設備面の不具合の発生を効果的に抑制し、かつ高い鉄含有率を有するダストを効率的に回収できる。さらに、この回収したダストを効率よく転炉に投入して、高い鉄歩留を安全に得ることができる。
1 転炉
2 OG設備
21 湿式集塵装置
22 水槽
23 排ガス回収装置
3 分級器
4 シックナー
5 乾燥設備
A 排ガス
B 集塵排水
C ガス成分
D 粗粒
E 細粒含有水
F 細粒
G 排水

Claims (1)

  1. 湿式集塵装置により転炉で発生するダストを含む排ガスに散水する工程と、
    分級器により上記散水工程後の集塵排水から粗粒を分離する工程と、
    シックナーにより上記粗粒分離工程後の細粒含有水から細粒を分離する工程と、
    上記粗粒分離工程で分離した粗粒を乾燥する工程と、
    上記乾燥工程で処理した粗粒を吹錬開始前の転炉に装入する工程と
    を備え、
    上記粗粒分離工程で処理する集塵排水のpHを10以上12以下の範囲に調整し、
    上記細粒分離工程で処理する細粒含有水のpHを7以上9以下の範囲かつ上記集塵排水のpHと細粒含有水のpHとの差が3以上となるよう調整し、
    上記乾燥工程で粗粒の含水率を0.1質量%以上5質量%以下の範囲とし、
    上記装入工程で0.3m/sec以下の排ガス風量となる空塔速度で下記式(1)を満たす質量の粗粒を装入することを特徴とするダストリサイクル方法。
    DC≦6.5−M ・・・(1)
    ただし、DCは粗粒の質量[ton]である。Mは乾燥工程で処理した粗粒の含水率[質量%]である。
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