JP7102965B2 - 流動焙焼炉 - Google Patents

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本発明は、流動焙焼炉に関する。さらに詳しくは、高品位が要求される被焙焼物を焙焼可能な流動焙焼炉に関する。
一般的に、流動焙焼炉は、原料単独、もしくは流動媒体を用いてガスを供給しながら焙焼対象の粉状または粒状の原料をあたかも流体のように浮遊させることによって媒体との混合状態をつくり上げ、効率的に焙焼する装置である。焙焼対象の原料と流動媒体とを混合させた状態で焙焼することにより原料と流動媒体とが衝突しながら焙焼が進み、また、原料が流動層内に比較的長時間滞留できるため、効率的に焙焼することができる。
このような流動焙焼炉を用いて供給した原料に対する焙焼を確実に行うためには、ガスの流速を、原料(以下、本明細書において「被焙焼物」と称することがある)と流動媒体との混合物の空塔速度が、最小流動化速度以上、終末速度未満の範囲となるように正確に制御されなければならない。
ここで、「空塔速度」とは、ガス流量/炉内断面積で求められる実速度である。ここで「炉内断面積」は、炉芯の軸心に垂直な平面における炉内の面積をいう。また、「最小流動化速度」とは、被焙焼物と流動媒体との混合物である粉体等(本明細書で少なくとも粉体及び流体のいずれかを含んでいるものを「粉体等」と称することがある)が流動を始める最小の速度である。「終末速度」とは、流動層から粉体等が上昇して飛び出し始める速度をいう。
上記のように速度制御が正確に行われる必要があるのは、以下のような理由のためである。すなわち、供給するガスの流速が、原料と流動媒体との混合物の「最小流動化速度」未満であると、原料が流動化しないために焙焼が均一に進まず、原料の凝集が発生する等の問題が生じる。
一方で、ガスの流速がその混合物の「終末速度」以上であると、流速が速すぎて原料または流動媒体がガスと共に流されてしまい、効果的に焙焼を施すことができないという問題、または回収率が大きく低下するという問題が生じる。
つまり、流動焙焼では、ガス流量を適切な範囲内で制御して、原料を焙焼に足る時間、流動層内で流動化させることが必要となる。
特許文献1には、古砂ダストを流動焙焼炉の焙焼室内に供給し、その焙焼室内において流動焙焼させ、焙焼室内に形成される流動層の上部位置に開口する溢流口からオーバーフローさせて、再生処理ダストとして回収する技術が開示されている。ここで、古砂ダストは、鋳物古砂再生用の乾式再生機で発生したダストを集じんして得たものである。また、流動焙焼炉の底部には、珪砂がベース砂として収容されている。
また、特許文献2には、金属鉄源を流動焙焼炉で酸化焙焼する工程と、焙焼炉の溢流口より排出された粗粒子の酸化層を剥離する工程と、剥離工程後の酸化鉄と金属鉄粉を流動焙焼炉に循環する工程と、生成した微粉酸化鉄を焙焼ガスと共に流出させて焙焼ガス中より捕捉回収する工程とからなる高品位酸化鉄の製造方法が開示されている。
これらの特許文献1または2では、古砂ダストまたは酸化鉄が焙焼されているが、焙焼後にこれらの原料がどの程度均一に焙焼されているかについては言及されていない。
特開2000-42515号公報 特開昭61-236616号公報
二次電池の材料として多く用いられる酸化ニッケル(NiO)は、焙焼後の被焙焼物の純度に対する要求が非常に厳しい。酸化ニッケルは、硫酸ニッケル(NiSO)を含有する水溶液にアルカリを添加し、中和して水酸化ニッケル(Ni(OH))を得、その水酸化ニッケルを焙焼して製造される。焙焼後の酸化ニッケルに含まれる不純物の硫黄品位が、例えば100ppmを超えるような高さだと、電池の特性を低下させる等の影響が生じるなど好ましくない。特許文献1等で開示されている従来の流動焙焼炉での焙焼は、焙焼後の被焙焼物の純度を上げる必要性はそれほど高くなく、特許文献1で開示されている構成では、焙焼後の被焙焼物の純度を上げることが困難であった。また、水酸化ニッケルは凝集しやすく、そのまま炉内に供給された場合、焙焼が均一に進行せず、この点でも被焙焼物の純度を上げることが困難であった。すなわち従来の流動焙焼炉の構成では、焙焼の均一性を十分に上げることができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、焙焼後の被焙焼物の純度に対する要求が高い場合でも、被焙焼物を均一に、かつ高能率に焙焼することができる流動焙焼炉を提供することを目的とする。
第1発明の流動焙焼炉は、下側から上側へ向けて流れるガスを用いて被焙焼物が焙焼される筒状炉心部が設けられ、該筒状炉心部の下面には、流動用ガスを供給するガス供給管が設けられるとともに、前記筒状炉心部の側面には、少なくとも前記筒状炉心部の内部に補助ガスを供給する供給配管が設けられており、前記供給配管は、前記被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられており、前記筒状炉心部の外側に位置する供給配管の軸心を含む直線が、前記筒状炉心部の軸心方向から見て前記筒状炉心部の軸心を通過し、前記供給配管が前記筒状炉心部の内部で折り曲げられていることで、
前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ、前記筒状炉心部の周方向に沿っていることを特徴とする。
発明の流動焙焼炉は、第明において、前記補助ガスの単位時間当たりの供給量が、前記ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることを特徴とする。
第1発明によれば、次の効果を奏する。
a)筒状炉心部に補助ガスを供給する供給配管、または流動用ガスを排気する排気配管が設けられている。すなわち、供給配管により補助ガスを供給することでガスの流れの最適化を行ったり、焙焼により膨張した流動用ガスの抜くことでガス流量の最適化を行ったりするという、筒状炉心部の内部の空塔速度の調整手段が設けられていることにより、筒状炉心部内部の空塔速度の最適化が容易に制御可能になり、被焙焼物を均一に、かつ高能率に焙焼することができる。
b)供給配管が、流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられていることにより、補助ガスを流動層に直接供給することができ、空塔速度の最適化がさらに容易に制御可能になる。
c)供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部の周方向に沿っていることにより、筒状炉心部の内周近傍の流動ガスが滞りやすい部分の流れを速くすることができ、より能率的に焙焼を行うことができる。
発明によれば、補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることにより、被焙焼物の飛散を抑制しながら、より能率的に被焙焼物の焙焼を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る流動焙焼炉の正面方向から見た断面図である。 本発明の第2実施形態に係る流動焙焼炉の正面方向から見た断面図である。 図2の流動焙焼炉のIII-III矢視での断面図である。 本発明の第3実施形態に係る流動焙焼炉の正面方向から見た断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための流動焙焼炉およびその運転方法を例示するものであって、本発明は流動焙焼炉およびその運転方法を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、本明細書において、「水平」および「鉛直」の記載は厳密に水平および鉛直であることを意味するのではなく、実質的に発明の効果が得られる範囲で水平および鉛直であることを意味する。
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を示す。図1において黒色の太線矢印は、流動用ガスの流れ方向を示している。
本実施形態の流動焙焼炉10には、筒状炉心部11が、軸心を鉛直にした状態で設けられている。この筒状炉心部11の下部には固定層19が設けられている。固定層19は例えば球状のアルミナなどのセラミックスを充填したものを用いることができ、セラミックスはポーラスであってよく、高い充填率のものであってよい。そして被焙焼物が固定層19の下に落ち込まないように固定層19を何層かで構成してもよい。例えば固定層19の下側を球状のアルミナを用い、固定層19の上側をより小さな球状のアルミナを用いてもよい。
この固定層19の下面には、筒状炉心部11の下部から流動用ガスを導入するためのガス供給管12が設けられている。このガス供給管12から太線矢印で示す向きに流動用ガスが供給されることで、固定層19の上に位置している流動媒体31および原料32が流動化して流動層が生じ、この流動層内で原料32が浮遊した状態で焙焼が行なわれる。なお、焙焼時には、流動用ガスがガス供給管12から導入されるとともに、筒状炉心部11の上部から流動用ガスは排出される。
筒状炉心部11の下部には、流動媒体31等を一定の温度に保持するためのヒータ13が設けられている。なおこのヒータ13は原料32によっては設けられない場合もある。ヒータ13が用いられない場合は、例えば高温の流動用ガスを流して流動焙焼してもよい。
筒状炉心部11に供給する原料32は、筒状炉心部11の側部に設けられた原料投入管14により適宜投入される。そして原料投入管14は原料32投入後、蓋またはバルブで閉じられる。
本実施形態に係る流動焙焼炉10では、筒状炉心部11の側面に、筒状炉心部11の内部から流動用ガスを排気するための排気配管15が、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段として設けられている。図1では排気配管15は6本、筒状炉心部11の側面に設けられており、2本ずつ流動焙焼炉10の高さ方向に3箇所に分かれて設けられている。ただしこの本数、配置、および排気配管の内径は排気される流動用ガスの流量、および被焙焼物の種類によって最適な構成となるように決定されている。
筒状炉心部11に設けられた、流動用ガスを排気する排気配管15により、焙焼により膨張した流動用ガスを抜くことができる、すなわち、筒状炉心部11の内部の空塔速度を調整することができるため、筒状炉心部11内部の空塔速度の最適化が容易になり、被焙焼物を均一に、かつ高能率に焙焼することができる。
また、本実施形態に係る流動焙焼炉10では、排気配管15に、排気配管の開閉を行う開閉バルブ16が設けられている。開閉バルブ16は特に限定されないが、例えばボールバルブ、バタフライバルブなどを用いることができる。
加えて、本実施形態に係る流動焙焼炉10では、排気配管15に、筒状炉心部11からの流動用ガスと被焙焼物とを分離するための被焙焼物分離フィルタ17が設けられている。被焙焼物分離フィルタ17のろ過径は、被焙焼物の平均粒径によって決定される。ろ過径が被焙焼物の平均粒径以上であると、被焙焼物と流動用ガスとの分離を行うことができず、ろ過径が被焙焼物の平均粒径よりも非常に小さいとすぐに目詰まりを起こし、排気配管15からの排気が不十分となるからである。例えば平均粒径が20μm前後の被焙焼物の場合、被焙焼物分離フィルタ17のろ過径は20μmの半分程度の10μmとすることが好ましい。
被焙焼物分離フィルタ17は、金属粉末を焼結して得られた金属焼結体である。金属の種類は、被焙焼物の性状に影響を及ぼさないものであれば問題ない。例えばろ過のために用いられる材料としては、ステンレス、ニッケル、ブロンズ、チタン、銅などの金属が該当する。
被焙焼物分離フィルタ17が金属焼結体であることにより、焙焼時の高温に対して耐久性を有しているので、焙焼温度が高い被焙焼物に対しても継続的に使用をすることができる。
なお被焙焼物の焙焼温度によっては、被焙焼物分離フィルタ17はセラミックスのものを用いることも可能である。セラミックスは広義には「無機物を加熱処理し焼き固めた焼結体を指す」が、フィルタに用いられる材料としては、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウムが該当する。この場合、コストを抑えることが可能である。
また、被焙焼物分離フィルタ17は、工業用金網を用いることも可能である。工業用金網の材料としては、ステンレスを用いることができる。この場合、さらにコストを抑えることが可能である。
排気配管15には、開閉バルブ16が設けられていることにより、投入される原料32の重量が変更になっても、流動用ガスの排気量を変更でき、空塔速度の調整がさらに容易になり、この点で被焙焼物の持ち出しが抑制される。また被焙焼物分離フィルタ17が設けられていることにより、被焙焼物分離フィルタ17によっても被焙焼物の持ち出しを抑制される。
なお、本実施形態では、排気配管15の筒状炉心部11に近い側に被焙焼物分離フィルタ17が配置されている。このように配置することで、開閉バルブ16に被焙焼物が到達するのを抑制でき、被焙焼物により開閉バルブ16が故障することを抑制できる。
開閉バルブ16と被焙焼物分離フィルタ17の配置は上記の配置に限定されない。また、開閉バルブ16と被焙焼物分離フィルタ17とは、いずれか、またはどちらともが省略される場合がある。
(第1実施形態に係る流動焙焼炉10の運転方法)
図1に示すように、流動焙焼炉10には、原料32と一緒に流動層を生じさせるための流動媒体31が装入されている。流動焙焼炉10にガス供給管12から流動用ガスが導入されるとともに、原料32があらかじめ定められた量だけ投入される。流動用ガスの流速は、原料32と流動媒体31との混合物の「空塔速度」が、「最小流動化速度」以上で「終末速度」未満であるように調整する。この流動用ガスの流速は、排気配管15を考慮して算出、および調整されている。例えば、投入される原料32の量と種類により、開閉バルブ16のうちのいくつを開くかを決定し、焙焼を行う前に設定する。
流動焙焼炉10はヒータ13により加熱した状態にしておき、原料32を投入して焙焼することが好ましい。原料32投入後、加熱すると時間がかかり効率が悪くなるからである。ヒータ13は電気式であることが、制御が容易である点で好ましい。また、図示していないが、ガスバーナなどはコスト面で安く、好ましい。
(第2実施形態)
図2には、本発明の第2実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を、図3には、図2のIII-III矢視での断面図を示す。第1実施形態の流動焙焼炉10との相違点は、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段として、筒状炉心部11の側面に補助ガスを供給する供給配管18が設けられている点である。
図2では供給配管18は2本、筒状炉心部11の側面に設けられている。供給配管18の筒状炉心部11に接合されている部分の軸心は、2本とも同一水平面内に設けられている。また、これら2本の供給配管18は、筒状炉心部11の周方向に等分に配置されている。ただしこの本数、配置、および排気配管の内径は排気される流動用ガスの流量、および被焙焼物の種類によって最適な構成となるように決定されている。
筒状炉心部11に設けられた、補助ガスを供給する供給配管18により、筒状炉心部11の内部の流動用ガスの流れの最適化を行うことができる、すなわち、筒状炉心部11の内部の空塔速度を調整することができるため、被焙焼物を均一に、かつ高能率に焙焼することができる。
この供給配管18は、被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられていることが好ましい。このような構成であることにより、補助ガスを流動層に直接供給することができ、空塔速度の最適化がさらに容易になる。
また、供給配管18は、筒状炉心部11に接合されている部分に対し、筒状炉心部11の内部で折り曲げられている構成が好ましい。折り曲げられた供給配管18の端部の軸心は、供給配管18の筒状炉心部11に接合されている部分が含まれている水平面内に位置している構成が好ましい。そして、図3の白抜き矢印で示すように、供給配管18の端部から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ、筒状炉心部11の周方向に沿うようになっていることが好ましい。
供給配管18から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部11の周方向に沿っていることにより、筒状炉心部11の内周近傍の流動ガスが滞りやすい部分の流れを速くすることができ、より能率的に焙焼を行うことができる。
補助ガスは、筒状炉心部11の下面に設けられているガス供給管12から供給される流動用ガスと同じ成分であることが好ましい。また、補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。補助ガスの単位時間当たりの供給量がこの範囲にあることにより、被焙焼物の飛散を抑制しながら、より能率的に被焙焼物の焙焼を行うことができる。すなわち補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍よりも小さい場合、原料32によっては、流動用ガスの滞留を抑制することができない。また補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の2.0倍よりも大きい場合、被焙焼物の飛散が抑制できなくなる。
(第2実施形態に係る流動焙焼炉10の運転方法)
流動層を生じさせて焙焼する工程は第1実施形態に係る流動焙焼炉10と同じである。ただし、第2実施形態では、流動用ガスの流速は、供給配管18から供給される補助ガスの単位時間当たりの流量を考慮して算出、および調整されている。例えば、補助ガスの単位時間当たりの流量について、これまでの経験やコンピュータシミュレーションにより最適化した値を求め、これに基づいて補助ガスの流量を決定して焙焼を行う。
(第3実施形態)
図4には、本発明の第3実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を示す。第1実施形態の流動焙焼炉10との相違点は、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段として、筒状炉心部11の側面に補助ガスを供給する供給配管18が設けられている点である。
図4では供給配管18は2本、筒状炉心部11の側面に設けられている。供給配管18の筒状炉心部11に接合されている部分の軸心は、2本とも同一水平面内に設けられている。また、これら2本の供給配管18は、筒状炉心部11の周方向に等分に配置されている。ただしこの本数、配置、および排気配管の内径は排気される流動用ガスの流量、および被焙焼物の種類によって最適な構成となるように決定されている。
筒状炉心部11に補助ガスを供給する供給配管18が設けられている、すなわち、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段が設けられていることにより、筒状炉心部11内部の空塔速度の最適化が容易になり、被焙焼物を均一に、かつ高能率に焙焼することができる。
この供給配管18は、第2実施形態の流動焙焼炉10と同様、被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられていることが好ましい。このような構成であることにより、補助ガスを流動層に直接供給することができ、空塔速度の最適化がさらに容易になる。
また、供給配管18は、筒状炉心部11に接合されている部分に対し、筒状炉心部11の内部で折り曲げられている構成が好ましい。折り曲げられた供給配管18の端部の軸心は、供給配管18の筒状炉心部11に接合されている部分が含まれている水平面に対し、垂直であり、開口部が下を向いている構成が好ましい。このような構成により、図4の白抜き矢印で示すように、供給配管18の端部から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向となる。
供給配管18から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向であることにより、被焙焼物の比重が比較的小さい場合でも流動層での焙焼をより確実に行いながら、被焙焼物が飛散することを抑制できる。
補助ガスは、第2実施形態に係る流動焙焼炉10と同様、筒状炉心部11の下面に設けられているガス供給管12から供給される流動用ガスと同じ成分であることが好ましい。また、補助ガスの単位時間当たりの供給量が、第2実施形態に係る流動焙焼炉10と同様、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることが好ましい。補助ガスの単位時間当たりの供給量がこの範囲にあることにより、被焙焼物の飛散を抑制しながら、より能率的に被焙焼物の焙焼を行うことができる。すなわち補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍よりも小さい場合、原料32によっては、流動用ガスの滞留を抑制することができない。また補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管12から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の2.0倍よりも大きい場合、被焙焼物の飛散が抑制できなくなる。
(第3実施形態に係る流動焙焼炉10の運転方法)
流動層を生じさせて焙焼する工程は第1実施形態に係る流動焙焼炉10と同じである。ただし、第3実施形態では、流動用ガスの流速は、供給配管18から供給される補助ガスの単位時間当たりの流量を考慮して算出、および調整されている。例えば、補助ガスの単位時間当たりの流量について、これまでの経験やコンピュータシミュレーションにより最適化した値を求め、これに基づいて補助ガスの流量を決定して焙焼を行う。
以下、本発明に関連する実験を行い、本発明の各実施形態の実施例を示して説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実験1)(排気配管15の効果の検証、原料:水酸化ニッケル)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH))を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が24.1±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、4時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が1.9±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
なお、以下の各実験においては、バッチ処理を行った。すなわち各原料32は所定量を流動焙焼炉10に装入し、次に空気を流動用ガスとして炉内下部から送り込んで流動化するとともに所定の温度に昇温し維持して流動焙焼を行い、焙焼後の流動用ガスは上部から排出するようにした。
<流動焙焼処理>
実験1の実施例1~3では、図1に示す第1実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。ただし、排気配管15は図中の6本のうち、最も下に位置する2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。加えて実施例1では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例2ではセラミックスが、実施例3では網が用いられた。実施例4~6では、排気配管15は図中の6本のうち下側から4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。実施例4では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例5ではセラミックスが、実施例6では網が用いられた。実施例7~9では、排気配管15の6本の全ての開閉バルブ16が開かれた。実施例7では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例8ではセラミックスが、実施例9では網が用いられた。また、比較例1では、図1の6つの排気配管15の開閉バルブ16の全てが閉じられた。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は20分、流動用ガスには空気が用いられた。所定の焙焼後炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
被焙焼物分離フィルタ17として、ろ過径が10μmのものが用意された。用意されたのは、アルミニウムを焼結して得られた金属焼結体、材料がアルミナであるセラミックス、ステンレス製の工業用金網である。
<評価>
実施例1~9、比較例1のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表1に、測定結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
[焙焼により得られた試料の回収率]
焙焼により得られた試料の回収率は、下記の数1により算出した。
(数1)
R=W/(W-S)×100
R:回収率[%]
:回収した試料の重量
:投入した原料32(今回はNi(OH))が全て焙焼された(今回はNiO)ときの重量
S:投入した原料32に含まれている硫黄の重量
[回収した試料中における酸化ニッケルの含有量の割合]
回収した試料中における酸化ニッケルの含有量の割合は、回収した試料中に含まれる酸化ニッケル(NiO)と水酸化ニッケル(Ni(OH))の含有量をそれぞれ算出し、それぞれの含有量の合計値に対するNiO含有量の割合(重量%)として算出した。
[回収した試料中における硫黄の含有量]
回収した試料中における硫黄の含有量は、硫黄分析装置(三菱化学株式会社製,型式:TOX-100)を用いて測定した。
Figure 0007102965000001
表1に示すように、流動焙焼炉10に排気配管15が設けられた実施例1~9では、良好な結果が得られた。すなわち、回収率は全て高い値を示し、その回収した試料中における酸化ニッケルの含有割合も全て99.5%以上で、原料32の水酸化ニッケルのほとんどが酸化ニッケルに焙焼できていることが分かる。また、回収した試料中の硫黄の含量量も極めて少なくなった。これは、排気配管15と所定の被焙焼物分離フィルタ17が設けられていることで、筒状炉心部11内の空塔速度が抑えられ、最適化されて、流動用ガスによって試料が持ち去られることを抑制できるとともに、被焙焼物分離フィルタ17により試料が持ち去られるのを抑制できたためであると考えられる。
一方、排気配管15が設けられていない比較例1では、実施例1~9に対して回収率は低く、回収した試料中における硫黄品位も高いものであった。これは、流動焙焼中の空塔速度の最適化が不十分であり、被焙焼物である水酸化ニッケルの焙焼が不均一になったことによるものと考えられる。
(実験2)(排気配管15の効果の検証、原料:銅精鉱)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、表2に示した砒素、硫黄品位の銅精鉱が用いられた。
Figure 0007102965000002
<流動焙焼処理>
実験2の実施例10~12では図1に示す第1実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。ただし、排気配管15は図中の6本のうち、最も下に位置する2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。加えて実施例10では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例11ではセラミックスが、実施例12では網が用いられた。実施例13~15では、排気配管15は図中の6本のうち下側から4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。実施例13では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例14ではセラミックスが、実施例15では網が用いられた。実施例16~18では、排気配管15の6本の全ての開閉バルブ16が開かれた。実施例16では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例17ではセラミックスが、実施例18では網が用いられた。また、比較例2では、図1の6つの排気配管15の開閉バルブ16の全てが閉じられた。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は4.0時間とし、流動用ガスには窒素が用いられた。所定の焙焼後炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
<評価>
実施例10~18、比較例2のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について以下の方法で評価した。表3に、測定結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
[フィルタでの試料の回収率]
焙焼後、排気ガスとともに流し出された試料をバグフィルタで回収し、その回収量から下式によって回収率(飛散率)を算出した。なお、本来銅精鉱がバグフィルタで捕集されるのはロスになり好ましくなくこの回収率(飛散率)は低い方が好ましい。
(数2)
=W/W×100
:バグフィルタでの回収率[%]
:回収した試料の重量
:投入した原料(今回は銅精鉱)32の重量
[実験前後の試料中の砒素含有量]
実験前後の試料については、ICP発光分光分析装置を用いて砒素と硫黄を分析した。
Figure 0007102965000003
表3に示すように、流動焙焼炉10に排気配管15が設けられた実施例10~18では、良好な結果が得られた。すなわち、実施例において砒素は0.1重量%未満であり、精鉱中の砒素と硫黄の含有量が大きく減少した。銅精鉱中の砒素、硫黄が減少したため、銅精鉱中の銅含有率が流動焙焼によって10%以上増加し銅を濃縮できた。これは、排気配管15と所定の被焙焼物分離フィルタ17が設けられていることで、筒状炉心部11内の空塔速度が抑えられ、最適化されて、流動用ガスによって試料が持ち去られることを抑制できるとともに、被焙焼物分離フィルタ17により試料が持ち去られるのを抑制できたためであると考えられる。
一方、排気配管15が設けられていない比較例2では、実施例10~18に対して好ましくない結果となった。すなわち、砒素品位が0.1重量%あり、バグフィルタでの回収量は0.4%であった。これは、流動焙焼中の空塔速度の最適化が不十分であり、被焙焼物である銅精鉱の焙焼が不均一になったことによるものと考えられる。
(実験3)(供給配管18(水平方向吐出)の効果の検証、原料:水酸化ニッケル)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH))を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が21.7±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、3時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が2.1±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
<流動焙焼処理>
実験3の実施例19~24では、図2に示す第2実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部11の周方向に沿っている形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表4に記載した。また、比較例3では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は20分、流動用ガス、および補助ガスには空気が用いられた。所定の焙焼後、炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
<評価>
実施例19~24、比較例3のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表4に、測定結果を示す。なお、評価方法は実験1と同じである。
Figure 0007102965000004
表4に示すように、流動焙焼炉10に供給配管18が設けられた実施例19~24では、良好な結果が得られた。すなわち、回収率は全て高い値を示し、その回収した試料中における酸化ニッケルの含有割合も全て99%以上で、原料32の水酸化ニッケルのほとんどが酸化ニッケルに焙焼できていることが分かる。さらには、単位時間当たりの供給量の比が0.1以上2.0以下である実施例20~23では、酸化ニッケルの含有割合は99.5%を超えていることがわかる。また、回収した試料中の硫黄の含量量も極めて少なくなった。これは、補助ガスが水平方向、かつ筒状炉心部11の周方向に吐出されることで、筒状炉心部11の内周近傍の、流動ガスが滞りやすい部分の流れを速くすることができ、より効率的に焙焼を行うことができたためであると考えられる。
一方、供給配管18からの吐出がない比較例3では、実施例19~24に対して回収率は低く、回収した試料中における硫黄品位も高いものであった。これは、筒状炉心部11の内周近傍の、流動ガスが滞りやすいでの滞留を解消することができず、被焙焼物である水酸化ニッケルの焙焼が不均一になったことによるものと考えられる。
(実験4)(供給配管18(水平方向吐出)の効果の検証、原料:銅精鉱)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、実験2と同じ銅精鉱が用いられた。
<流動焙焼処理>
実験4の実施例25~30では図2に示す第2実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部11の周方向に沿っている形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表5に記載した。また、比較例4では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は4.0時間とし、流動用ガスには窒素が用いられた。所定の焙焼後炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
<評価>
実施例25~30、比較例4のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について実験2と同じ方法で評価した。表5に、測定結果を示す。
Figure 0007102965000005
表5に示すように、流動焙焼炉10に供給配管18が設けられた実施例25~30では、良好な結果が得られた。すなわち、実施例において砒素は0.1重量%未満であり、精鉱中の砒素と硫黄の含有量が大きく減少した。銅精鉱中の砒素、硫黄が減少したため、銅精鉱中の銅含有率が流動焙焼によって10%以上増加し銅を濃縮できた。これは、補助ガスが水平方向、かつ筒状炉心部11の周方向に吐出されることで、筒状炉心部11の内周近傍の、流動ガスが滞りやすい部分の流れを速くすることができ、より効率的に焙焼を行うことができたためであると考えられる。
一方、供給配管18からの補助ガスの吐出がない比較例4では、実施例25~30に対して好ましくない結果となった。すなわち、砒素品位が0.1重量%あり、バグフィルタでの回収量は0.5%であった。これは、筒状炉心部11の内周近傍の、流動ガスが滞りやすいでの滞留を解消することができず、被焙焼物である水酸化ニッケルの焙焼が不均一になったことによるものと考えられる。
(実験5)(供給配管18(鉛直下向き方向吐出)の効果の検証、原料:水酸化ニッケル)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH))を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が23.6±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、3時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が2.0±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
<流動焙焼処理>
実験5の実施例31~36では、図4に示す第3実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向である形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表6に記載した。また、比較例5では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は20分、流動用ガス、および補助ガスには空気が用いられた。所定の焙焼後、炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
<評価>
実施例31~36、比較例5のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表6に、測定結果を示す。なお、評価方法は実験1と同じである。
Figure 0007102965000006
表6に示すように、流動焙焼炉10に供給配管18が設けられた実施例31~36では、良好な結果が得られた。すなわち、回収率は全て高い値を示し、その回収した試料中における酸化ニッケルの含有割合も全て99%以上で、原料32の水酸化ニッケルのほとんどが酸化ニッケルに焙焼できていることが分かる。さらには、単位時間当たりの供給量の比が0.1以上2.0以下である実施例32~35では、酸化ニッケルの含有割合は99.5%を超えていることがわかる。また、回収した試料中の硫黄の含量量も極めて少なくなった。これは、供給配管18から供給される補助ガスが、上側から下側へ向けた鉛直方向に向けて吐出されることで、流動層での焙焼をより確実に行いながら、被焙焼物が飛散することを抑制できたためであると考えられる。
一方、供給配管18からの吐出がない比較例5では、実施例31~36に対して回収率は低く、回収した試料中における硫黄品位も高いものであった。これは、被焙焼物の飛散の抑制ができず、焙焼が確実に行えなかったことによるものと考えられる。
(実験6)(供給配管18(鉛直下向き方向吐出)の効果の検証、原料:銅精鉱)
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、実験2と同じ銅精鉱が用いられた。
<流動焙焼処理>
実験6の実施例37~42では図4に示す第3実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向である形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表7に記載した。また、比較例6では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
投入原料の重量は、全て同一とし、焙焼条件は全て同一条件とした。具体的には焙焼温度は900℃、焙焼時間は4.0時間とし、流動用ガスには窒素が用いられた。所定の焙焼後炉を冷却し、炉内の被焙焼物を回収した。
<評価>
実施例37~42、比較例6のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について実験2と同じ方法で評価した。表7に、測定結果を示す。
Figure 0007102965000007
表7に示すように、流動焙焼炉10に供給配管18が設けられた実施例37~42では、良好な結果が得られた。すなわち、実施例において砒素は0.1重量%未満であり、精鉱中の砒素と硫黄の含有量が大きく減少した。銅精鉱中の砒素、硫黄が減少したため、銅精鉱中の銅含有率が流動焙焼によって10%以上増加し銅を濃縮できた。これは、供給配管18から供給される補助ガスが、上側から下側へ向けた鉛直方向に向けて吐出されることで、流動層での焙焼をより確実に行いながら、被焙焼物が飛散することを抑制できたためであると考えられる。
一方、供給配管18からの補助ガスの吐出がない比較例6では、実施例37~42に対して好ましくない結果となった。すなわち、砒素品位が0.1重量%あり、バグフィルタでの回収量は0.5%であった。これは、被焙焼物の飛散の抑制ができず、焙焼が確実に行えなかったことによるものと考えられる。
10 流動焙焼炉
11 筒状炉心部
12 ガス供給管
15 供給配管
16 開閉バルブ
17 被焙焼物分離フィルタ
18 供給配管

Claims (2)

  1. 下側から上側へ向けて流れるガスを用いて被焙焼物が焙焼される筒状炉心部が設けられ、該筒状炉心部の下面には、流動用ガスを供給するガス供給管が設けられるとともに、
    前記筒状炉心部の側面には、少なくとも前記筒状炉心部の内部に補助ガスを供給する供給配管が設けられており、
    前記供給配管は、
    前記被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられており、
    前記筒状炉心部の外側に位置する前記供給配管の軸心を含む直線が、前記筒状炉心部の軸心方向から見て前記筒状炉心部の軸心を通過し、前記供給配管が前記筒状炉心部の内部で折り曲げられていることで、
    前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、
    水平方向であり、かつ、前記筒状炉心部の周方向に沿っている、
    ことを特徴とする流動焙焼炉。
  2. 前記補助ガスの単位時間当たりの供給量が、前記ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下である、
    ことを特徴とする請求項に記載の流動焙焼炉。
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