JP2019219083A - 流動焙焼炉 - Google Patents
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Description
第2発明の流動焙焼炉は、第1発明において、前記排気配管には、少なくとも該排気配管の開閉を行う開閉バルブ、または前記筒状炉心部からの流動用ガスと被焙焼物とを分離するための被焙焼物分離フィルタが設けられていることを特徴とする。
第3発明の流動焙焼炉は、第1発明において、前記供給配管は、前記被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられていることを特徴とする。
第4発明の流動焙焼炉は、第3発明において、前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ、前記筒状炉心部の周方向に沿っていることを特徴とする。
第5発明の流動焙焼炉は、第3発明において、前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向であることを特徴とする。
第6発明の流動焙焼炉は、第4発明または第5発明において、前記補助ガスの単位時間当たりの供給量が、前記ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることを特徴とする。
第2発明によれば、排気配管には、開閉バルブが設けられていることにより、投入される原料の重量が変更になっても、流動用ガスの排気量を変更でき、空塔速度の調整がさらに容易になり、この点で被焙焼物の持ち出しが抑制され、回収率を上げることができる。また被焙焼物分離フィルタが設けられていることにより、被焙焼物分離フィルタによっても被焙焼物の持ち出しを抑制される。
第3発明によれば、供給配管が、流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられていることにより、補助ガスを流動層に直接供給することができ、空塔速度の最適化がさらに容易に制御可能になる。
第4発明によれば、供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部の周方向に沿っていることにより、筒状炉心部の内周近傍の流動ガスが滞りやすい部分の流れを速くすることができ、より能率的に焙焼を行うことができる。
第5発明によれば、供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向であることにより、被焙焼物の比重が比較的小さい場合でも流動層での焙焼をより確実に行いながら、被焙焼物が飛散することを抑制できる。
第6発明によれば、補助ガスの単位時間当たりの供給量が、ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下であることにより、被焙焼物の飛散を抑制しながら、より能率的に被焙焼物の焙焼を行うことができる。
図1には、本発明の第1実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を示す。図1において黒色の太線矢印は、流動用ガスの流れ方向を示している。
図1に示すように、流動焙焼炉10には、原料32と一緒に流動層を生じさせるための流動媒体31が装入されている。流動焙焼炉10にガス供給管12から流動用ガスが導入されるとともに、原料32があらかじめ定められた量だけ投入される。流動用ガスの流速は、原料32と流動媒体31との混合物の「空塔速度」が、「最小流動化速度」以上で「終末速度」未満であるように調整する。この流動用ガスの流速は、排気配管15を考慮して算出、および調整されている。例えば、投入される原料32の量と種類により、開閉バルブ16のうちのいくつを開くかを決定し、焙焼を行う前に設定する。
図2には、本発明の第2実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を、図3には、図2のIII−III矢視での断面図を示す。第1実施形態の流動焙焼炉10との相違点は、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段として、筒状炉心部11の側面に補助ガスを供給する供給配管18が設けられている点である。
流動層を生じさせて焙焼する工程は第1実施形態に係る流動焙焼炉10と同じである。ただし、第2実施形態では、流動用ガスの流速は、供給配管18から供給される補助ガスの単位時間当たりの流量を考慮して算出、および調整されている。例えば、補助ガスの単位時間当たりの流量について、これまでの経験やコンピュータシミュレーションにより最適化した値を求め、これに基づいて補助ガスの流量を決定して焙焼を行う。
図4には、本発明の第3実施形態に係る流動焙焼炉10の正面方向からの断面図を示す。第1実施形態の流動焙焼炉10との相違点は、筒状炉心部11の内部の空塔速度の調整手段として、筒状炉心部11の側面に補助ガスを供給する供給配管18が設けられている点である。
流動層を生じさせて焙焼する工程は第1実施形態に係る流動焙焼炉10と同じである。ただし、第3実施形態では、流動用ガスの流速は、供給配管18から供給される補助ガスの単位時間当たりの流量を考慮して算出、および調整されている。例えば、補助ガスの単位時間当たりの流量について、これまでの経験やコンピュータシミュレーションにより最適化した値を求め、これに基づいて補助ガスの流量を決定して焙焼を行う。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が24.1±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、4時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が1.9±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
実験1の実施例1〜3では、図1に示す第1実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。ただし、排気配管15は図中の6本のうち、最も下に位置する2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。加えて実施例1では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例2ではセラミックスが、実施例3では網が用いられた。実施例4〜6では、排気配管15は図中の6本のうち下側から4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。実施例4では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例5ではセラミックスが、実施例6では網が用いられた。実施例7〜9では、排気配管15の6本の全ての開閉バルブ16が開かれた。実施例7では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例8ではセラミックスが、実施例9では網が用いられた。また、比較例1では、図1の6つの排気配管15の開閉バルブ16の全てが閉じられた。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
実施例1〜9、比較例1のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表1に、測定結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
焙焼により得られた試料の回収率は、下記の数1により算出した。
R=W1/(W2−S)×100
W1:回収した試料の重量
W2:投入した原料32(今回はNi(OH)2)が全て焙焼された(今回はNiO)ときの重量
S:投入した原料32に含まれている硫黄の重量
回収した試料中における酸化ニッケルの含有量の割合は、回収した試料中に含まれる酸化ニッケル(NiO)と水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の含有量をそれぞれ算出し、それぞれの含有量の合計値に対するNiO含有量の割合(重量%)として算出した。
回収した試料中における硫黄の含有量は、硫黄分析装置(三菱化学株式会社製,型式:TOX−100)を用いて測定した。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、表2に示した砒素、硫黄品位の銅精鉱が用いられた。
実験2の実施例10〜12では図1に示す第1実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。ただし、排気配管15は図中の6本のうち、最も下に位置する2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。加えて実施例10では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例11ではセラミックスが、実施例12では網が用いられた。実施例13〜15では、排気配管15は図中の6本のうち下側から4本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16が開かれ、後の2本の排気配管15に設けられた開閉バルブ16は閉じられた。実施例13では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例14ではセラミックスが、実施例15では網が用いられた。実施例16〜18では、排気配管15の6本の全ての開閉バルブ16が開かれた。実施例16では被焙焼物分離フィルタ17として焼結体が、実施例17ではセラミックスが、実施例18では網が用いられた。また、比較例2では、図1の6つの排気配管15の開閉バルブ16の全てが閉じられた。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
実施例10〜18、比較例2のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について以下の方法で評価した。表3に、測定結果を示す。なお、評価方法は以下の通りである。
焙焼後、排気ガスとともに流し出された試料をバグフィルタで回収し、その回収量から下式によって回収率(飛散率)を算出した。なお、本来銅精鉱がバグフィルタで捕集されるのはロスになり好ましくなくこの回収率(飛散率)は低い方が好ましい。
R2=W3/W4×100
W3:回収した試料の重量
W4:投入した原料(今回は銅精鉱)32の重量
実験前後の試料については、ICP発光分光分析装置を用いて砒素と硫黄を分析した。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が21.7±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、3時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が2.1±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
実験3の実施例19〜24では、図2に示す第2実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部11の周方向に沿っている形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表4に記載した。また、比較例3では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
実施例19〜24、比較例3のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表4に、測定結果を示す。なお、評価方法は実験1と同じである。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、実験2と同じ銅精鉱が用いられた。
実験4の実施例25〜30では図2に示す第2実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、水平方向であり、かつ筒状炉心部11の周方向に沿っている形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表5に記載した。また、比較例4では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
実施例25〜30、比較例4のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について実験2と同じ方法で評価した。表5に、測定結果を示す。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を準備した。水酸化ニッケルは、平均粒径が23.6±1.0μmのものであり、あらかじめ真空中で170℃、3時間の真空加熱処理が行われ、含有水分が実質的に除去された。分析すると硫黄分が2.0±0.1重量%の割合で含まれていた。その他の不純物成分は、実質的に無視できる程度だった。
実験5の実施例31〜36では、図4に示す第3実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向である形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表6に記載した。また、比較例5では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の水酸化ニッケルが焙焼され、焙焼物である酸化ニッケル(NiO)が回収された。
実施例31〜36、比較例5のそれぞれの処理において、焙焼により得られた試料の回収率(すなわち実収率)、回収した試料中における酸化ニッケルの含有量、および、回収した試料中における硫黄の含有量が評価された。表6に、測定結果を示す。なお、評価方法は実験1と同じである。
<原料>
焙焼対象の原料(被焙焼物)32として、実験2と同じ銅精鉱が用いられた。
実験6の実施例37〜42では図4に示す第3実施形態に係る流動焙焼炉10が用いられた。すなわちこの流動焙焼炉10は、筒状炉心部11の側面に供給配管18が設けられ、この供給配管18からの補助ガスの吐出時の流れ方向が、上側から下側へ向けた鉛直方向である形態をしている。この供給配管18から吐出する補助ガスの単位時間当たりの供給量を、筒状炉心部11の下面のガス供給管12から供給される流動用ガスの単位時間当たりの供給量に対する比として表7に記載した。また、比較例6では、供給配管18から補助ガスを吐出しない状態で焙焼が行われた。なお各実施例、および比較例において、筒状炉心部11の下面のガス供給管12と、供給配管18からの補助ガスとの合計量は等しくしている。これらの条件により、原料32の銅精鉱が焙焼された。
実施例37〜42、比較例6のそれぞれの処理において、バグフィルタでの試料の回収率(飛散率)、及び、銅精鉱中の砒素含有量について実験2と同じ方法で評価した。表7に、測定結果を示す。
11 筒状炉心部
12 ガス供給管
15 供給配管
16 開閉バルブ
17 被焙焼物分離フィルタ
18 供給配管
Claims (6)
- 下側から上側へ向けて流れるガスを用いて被焙焼物が焙焼される筒状炉心部が設けられ、該筒状炉心部の下面には、流動用ガスを供給するガス供給管が設けられるとともに、
前記筒状炉心部の側面には、少なくとも前記筒状炉心部の内部に補助ガスを供給する供給配管、または前記筒状炉心部の内部から流動用ガスを排気する排気配管が設けられている、
ことを特徴とする流動焙焼炉。 - 前記排気配管には、少なくとも該排気配管の開閉を行う開閉バルブ、または前記筒状炉心部からの流動用ガスと被焙焼物とを分離するための被焙焼物分離フィルタが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の流動焙焼炉。 - 前記供給配管は、
前記被焙焼物が焙焼される流動層が形成されている高さ方向の領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の流動焙焼炉。 - 前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、
水平方向であり、かつ、前記筒状炉心部の周方向に沿っている、
ことを特徴とする請求項3に記載の流動焙焼炉。 - 前記供給配管から供給される補助ガスの吐出時の流れ方向が、
上側から下側へ向けた鉛直方向である、
ことを特徴とする請求項3に記載の流動焙焼炉。 - 前記補助ガスの単位時間当たりの供給量が、前記ガス供給管から単位時間当たりに供給される流動用ガスの供給量の0.1倍以上2.0倍以下である、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の流動焙焼炉。
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