JP6601482B2 - 鉄鋼スラグの処理方法及び設備 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程などで発生した高温のスラグから金属鉄を分離回収するための鉄鋼スラグの処理方法及び設備に関する。
溶銑予備処理工程や転炉工程において、製鋼の副産物としてスラグが発生する。この製鋼スラグは、溶銑や溶鋼中の不純物や不要元素を除去するために加えられるカルシウム系添加剤がそれらと反応し、生成したものであり、各工程において1000℃以上の高温状態で排出される。製鋼スラグには金属鉄が多く含まれており、この製鋼スラグ中の金属鉄は分離回収され、製鉄原料として再利用される。
従来、製鋼スラグから金属鉄を分離する方法としては、磁力選別による分離が一般的であり、ヤードに排滓された高温スラグに散水して冷却した後、篩(グリズリなど)による粒度調整、粉砕機(ハンマークラッシャー、ロッドミルなど)による粉砕処理、乾燥装置による乾燥処理の各工程を経て、磁力選別機による金属鉄の磁力選別が行われる。
しかし、このような従来の方法では、高温スラグに散水して冷却するため、磁力選別を行う前にスラグを乾燥処理する必要があり、その分処理コストが高くなる問題がある。また、乾燥処理には時間がかかるため、時間当たり数トン〜数十トンが生成される製鋼スラグを効率的に処理することは難しい。
このような問題に対して、特許文献1には、高温スラグから金属鉄を分離するための、以下のような方法が示されている。すなわち、生成した高温スラグを篩装置にかけて大塊スラグを選別し、これを破砕することでスラグの粒度を調整した後、ロータリークーラーなどの乾式冷却装置により、後工程の乾式密度分離において処理しやすい温度(100℃〜300℃程度)まで冷却する。次いで、スラグを振動篩にかけて所定の粒径を超えるものを選別し、これをハンマークラッシャやロッドミルなどのような粉砕装置で粉砕して単体分離を促進させ、その後、気流遠心分離装置などを用いた乾式密度分離によりスラグから金属鉄(金属鉄濃度が高い高密度粒状物)を分離する。
特開2016−87553号公報
特許文献1の方法により、高温スラグから金属鉄を高い回収率で分離回収するには、乾式冷却装置で冷却されたスラグについて篩分けと粉砕を繰り返し行い、すべてのスラグを粒径1mm以下まで粉砕する必要がある。しかし、すべてのスラグを粒径1mm以下まで破砕した後、金属鉄の分離を行うとなると、時間当たりの処理量には限度があるため、時間当たり数トン〜数十トンが生成される高温スラグを処理することは事実上難しくなる。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、高温の鉄鋼スラグから金属鉄を高い回収率で分離回収することができるとともに、スラグの大量処理が可能な鉄鋼スラグの処理方法及び設備を提供することにある。
本発明者らは、高温の鉄鋼スラグを乾式冷却装置で冷却した後、乾式密度分離装置により金属鉄を分離する方法において、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、特許文献1のようにスラグを細かい粒度まで粉砕しなくても、適度な粗さの粒度まで破砕したスラグを複数の粒度に分級した上で、各粒度に適した乾式密度分離装置により金属鉄を分離することにより、鉄鋼スラグから金属鉄を高い回収率で分離回収できることが判った。この方法によれば、特許文献1のようにスラグを細かい粒度まで粉砕しないためスラグの大量処理が可能であり、上記課題を解決することができる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]金属鉄を含有する鉄鋼スラグから金属鉄を分離回収するための鉄鋼スラグの処理方法であって、
乾式冷却装置により高温の鉄鋼スラグを冷却して温度を低下させる温度調整工程(A)と、
該温度調整工程(A)を経た鉄鋼スラグを、破砕装置により平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下となるように破砕する破砕工程(B)と、
該破砕工程(B)で破砕された鉄鋼スラグを複数の粒度に分級する分級工程(C)と、
該分級工程(C)で分級された各粒度の鉄鋼スラグを、それぞれ異なる密度分離方式の乾式密度分離装置により金属鉄濃度が高い高密度粒状物と金属鉄濃度が低い低密度粒状物に分離する密度分離工程(D)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[2]上記[1]の処理方法において、分級工程(C)では、鉄鋼スラグを細粒スラグ、中粒スラグ及び粗粒スラグの3つの粒度に分級することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[3]上記[2]の処理方法において、分級工程(C)では、目開きが1〜2mmの篩の篩下を細粒スラグとし、目開きが7〜10mmの篩の篩上を粗粒スラグとし、これら細粒スラグ及び粗粒スラグ以外を中粒スラグとすることを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[4]上記[2]又は[3]の処理方法において、密度分離工程(D)では、細粒スラグを気流式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離し、中粒スラグをエアテーブル式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離し、粗粒スラグを固気流動層式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの処理方法において、さらに、温度調整工程(A)で温度を低下させる前の高温の鉄鋼スラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整える整粒工程(a)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの処理方法において、さらに、密度分離工程(D)で分離された低密度粒状物を還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理工程(E)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[7]上記[6]の処理方法において、密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された粒度が異なる低密度粒状物を混合し、その混合物を還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
[8]金属鉄を含有する鉄鋼スラグから金属鉄を分離回収するための鉄鋼スラグの処理設備であって、
高温の鉄鋼スラグを冷却して温度調整を行う乾式冷却装置(1)と、
該乾式冷却装置(1)で温度調整された鉄鋼スラグを、平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下となるように破砕する破砕装置(2)と、
該破砕装置(2)で破砕された鉄鋼スラグを複数の粒度に分級する篩装置(3)と、
該篩装置(3)で分級された各粒度の鉄鋼スラグを、それぞれ異なる密度分離方式で金属鉄濃度が高い高密度粒状物と金属鉄濃度が低い低密度粒状物に分離する複数の乾式密度分離装置(4)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
[9]上記[8]の処理設備において、篩装置(3)は、鉄鋼スラグを細粒スラグ、中粒スラグ及び粗粒スラグの3つの粒度に分級するための篩を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
[10]上記[9]の処理設備において、篩装置(3)は、目開きが1〜2mmの篩と、目開きが7〜10mmの篩を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
[11]上記[9]又は[10]の処理設備において、乾式密度分離装置(4)は、細粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離する気流式分離装置(4a)と、中粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離するエアテーブル式分離装置(4b)と、粗粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離する固気流動層式分離装置(4c)からなることを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
[12]上記[8]〜[11]のいずれかの処理設備において、さらに、乾式冷却装置(1)で温度調整する前の高温の鉄鋼スラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整えるための篩装置と破砕装置を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
[13]上記[8]〜[12]のいずれかの処理設備において、さらに、乾式密度分離装置(4)で分離された低密度粒状物を還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理装置(5)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
本発明によれば、高温の鉄鋼スラグから金属鉄を高い回収率で分離回収することができるとともに、スラグを細かい粒度まで粉砕しないため処理時間が短く、処理コストも低くできるため、スラグの大量処理が可能である。このため、鉄鋼製造プロセスの製鋼工程などで大量に発生する鉄鋼スラグを効率的且つ低コストに処理しつつ、金属鉄を高い回収率で分離回収することができる。
本発明の一実施形態の処理フローを示す説明図 図1の実施形態の処理フローを、設備構成とともにより具体的に示す説明図 本発明の一実施形態において、破砕工程(B)で破砕された後のスラグの粒度分布の一例を示すグラフ 本発明の分級工程(C)において、鉄鋼スラグを細粒スラグ・中粒スラグ・粗粒スラグが異なる粒度を有する8種類の形態に分級した場合について、スラグ処理量と密度分離工程(D)における金属鉄回収率を調べた結果を示すグラフ 本発明において細粒スラグに対して使用する乾式密度分離装置である気流式分離装置の一実施形態を示す説明図 本発明において細粒スラグに対して使用する乾式密度分離装置である気流式分離装置の他の実施形態を示す説明図 本発明において中粒スラグに対して使用する乾式密度分離装置であるエアテーブル式分離装置の一実施形態を示す説明図 本発明において粗粒スラグに対して使用する乾式密度分離装置である固気流動層式分離装置の一実施形態を示す説明図 低密度粒状物の還元加熱処理において、処理装置に投入した低密度粒状物の平均粒径と処理装置からの排出歩留まりとの関係を示すグラフ 本発明の実施例において、各粒度のスラグに適用した乾式密度分離装置による金属鉄回収率(密度分離前のスラグに含まれる金属鉄のうち高密度粒状物として分離回収された金属鉄の割合)を示すグラフ 本発明の実施例において、各粒度のスラグに適用した乾式密度分離装置による金属鉄回収後の除鉄スラグの金属鉄残留率(低密度粒状物中の金属鉄含有率)を示すグラフ 本発明の実施例において、各乾式密度分離装置による金属鉄回収前のスラグの温度と、金属鉄回収後の除鉄スラグ(低密度粒状物)の温度を比較して示すグラフ 本発明法と図14に示す従来法の処理コストを比較して示すグラフ 従来法の処理フローの一例を示す説明図
本発明は、乾式で高温の鉄鋼スラグ(以下「スラグ」という)から金属鉄を分離回収するためのスラグの処理方法であり、従来法のように全てのスラグを細かく(例えば粒径1mm以下)粉砕した上で金属鉄の単体分離を行うのではなく、スラグの破砕粒径を適度な粗さ(平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下の粒度)に止め、そのスラグを複数の粒度に分級した上で、各粒度に適した乾式密度分離装置により金属鉄の分離を行うものである。すなわち、本発明の処理方法は、乾式冷却装置により高温のスラグを冷却して温度を低下させる温度調整工程(A)と、この温度調整工程(A)を経たスラグを、破砕装置により平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下となるように破砕する破砕工程(B)と、この破砕工程(B)で破砕されたスラグを複数の粒度に分級する分級工程(C)と、この分級工程(C)で分級された各粒度のスラグを、それぞれ異なる密度分離方式の乾式密度分離装置により金属鉄濃度が高い高密度粒状物と金属鉄濃度が低い低密度粒状物に分離する密度分離工程(D)を有する。また、通常、温度調整工程(A)で温度を低下させる前の高温のスラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整える整粒工程(a)を有する。また、本発明の処理方法は、さらに、密度分離工程(D)で分離された低密度粒状物を還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理工程(E)を有することができ、この場合、密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された粒度が異なる低密度粒状物を混合し、その混合物を還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理することが特に好ましい。
図1は、本発明の一実施形態の処理フローを示しており、図2は、図1の実施形態の処理フローを、設備構成とともにより具体的に示している。以下、この実施形態を例に本発明の詳細を説明する。
製鋼工程などで精錬容器から排滓されたスラグはピットなどに排出され、凝固した高温のスラグSとなる。ピットなどで凝固した高温のスラグSには、大塊スラグが含まれており、一般に粒径200mm程度以上のスラグは鉄分比率が90mass%以上であるため、図示しないが、通常、温度調整工程(A)で温度を低下させる前の高温のスラグを篩目200mm程度の篩装置(グリズリなど)で選別し、篩上は鉄源として回収する。篩下は破砕装置で破砕することでスラグの粒度を整える整粒工程(a)が行われる。
温度調整工程(A)では、高温のスラグSを乾式冷却装置1で冷却して温度を低下させ、破砕装置に投入可能な温度であって、金属鉄の密度分離処理がしやすい温度に調整する。通常、温度調整前のスラグは1000℃以上の温度を有するが、例えば、これを100〜300℃程度まで冷却する。乾式冷却装置1は、スラグに直に散水することなくスラグの冷却を行うものであり、この乾式冷却装置1の種類に特に制限はないが、例えば、冷却水を循環させてスラグを間接冷却するロータリークーラー、ファンによりスラグを強制的に冷却する風冷装置、空気の対流によりスラグを冷却する自冷式装置などを用いることができ、本実施形態の乾式冷却装置1もロータリークーラーで構成されている。このロータリークーラーは、内部に被冷却材であるスラグが装入される円筒状の本体100と、この本体100の外側に散水を行う散水機構101を備え、回転する本体100に散水機構101から散水することにより、本体100内でスラグSを搬送しながら冷却するものである。
破砕工程(B)では、温度調整工程(A)で温度調整されたスラグSを破砕装置2により破砕するが、破砕装置2の目標破砕粒径(例えば、破砕機の出口隙間)の設定により、平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下の粒度となるように、好ましくは平均粒径が5〜10mmで、最大粒径が30mm以下の粒度となるように破砕する。この場合、目標破砕粒径を設定して、一度の破砕により上記粒度となるように破砕することが好ましい。
ここで、平均粒径とは、粒子直径の算術平均値であり、篩分け法によって粒度分布を求め、粒径毎の質量%より篩目開きで表したものである。また、以下の説明において記載されている「平均粒径」もすべて同様である。
従来法(特許文献1の方法)のように、スラグをすべて細かく(例えば粒径1mm以下)破砕することは処理速度の低下につながるため、本発明では粗めに設定された破砕粒径でスラグを破砕することで破砕処理速度を確保し、大量のスラグの処理を可能とする。通常、破砕装置2では、破砕したスラグを目標破砕粒径に応じた所定の篩目で篩分けし、篩上を再破砕することで、スラグを目標破砕粒径に破砕処理するようにしているが、本発明では目標破砕粒径を粗めに設定することで、再破砕するスラグ量が少なくなり或いは再破砕なしに1回の破砕を行うだけでよいため、破砕処理速度を高めることができる。
表1に、破砕装置(ジョークラッシャ)の目標破砕粒径(破砕機の出口隙間)を1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mmにそれぞれ設定し、スラグを破砕した場合の処理量を示す。表1に示されるように、破砕粒径1mmの場合の処理量が1t/hであるのに対して、破砕粒径30mmでは36t/hであり、30倍以上の処理量となる。
Figure 0006601482
ここで、破砕工程(B)で破砕されたスラグの平均粒径が1mm未満では、高い破砕処理速度が得られず、スラグの大量処理ができない。一方、平均粒径が30mmを超えると、金属鉄の単体分離が不十分となり、金属鉄の回収率が低下する。また、最大粒径を50mm以下としたのは、金属鉄を分離回収した後のスラグ(除鉄スラグ)は、その後に有価成分の回収を目的とした加熱処理(例えば、ロータリーキルンなどを用いた還元加熱処理)がなされる際の反応性の観点から、金属鉄濃度が3.5mass%以下であることが好ましいが、粒径が50mm以下であれば、1つのスラグ粒子に含まれる金属鉄成分は概ね3.5mass%以下になるからである。また、以上の観点から、より好ましい破砕粒度は、平均粒径が5〜10mmで最大粒径が30mm以下となるような粒度である。
図3に、本発明の破砕工程(B)において、例えば、平均粒径が8.3mmで最大粒径が50mm以下となるように破砕したスラグの粒度分布を示す。
使用する破砕装置2の種類に特に制限はないが、例えば、ジョークラッシャ、ハンマークラッシャ、ロッドミルなどを用いることができる。
分級工程(C)では、破砕工程(B)で破砕されたスラグを篩装置3により複数の粒度に分級するが、これは次工程の密度分離工程(D)においてスラグ粒度に応じた最適な乾式密度分離装置で金属鉄の密度分離(比重分離)を行うため、粒径をある程度一定に揃えたスラグとするためである。
スラグの粒径を一定以上に揃えることにより密度分離の精度が高まるため、この分級工程(C)では、細粒、中粒、粗粒の3つの粒度に分級することが好ましい。
また、この場合には、目開きが1〜2mmの篩の篩下を細粒スラグとし、目開きが7〜10mmの篩の篩上を粗粒スラグとし、これら細粒スラグ及び粗粒スラグ以外を中粒スラグとすることが好ましく、これにより特に単体分離しやすい粒度のスラグを得ることができる。篩下を細粒スラグとするための篩の目開きが1mm未満では、中粒スラグの粒径が小さくなりすぎるため、中粒スラグの乾式密度分離装置が目詰まりを起こすなどの問題を生じるおそれがあり、一方、2mmを超えると、細粒スラグの粒径が大きくなりすぎるため、細粒スラグの乾式密度分離装置における密度分離の精度が低下するおそれがある。また、篩上を粗粒スラグとするための篩の目開きが7mm未満では、粗粒スラグの乾式密度分離装置の密度分離の精度が低下するおそれがあり、一方、10mmを超えると中粒スラグの乾式密度分離装置の密度分離の精度が低下するおそれがある。
例えば、目開きが1mmの篩の篩下を細粒スラグとし、目開きが10mmの篩の篩上(且つ目開きが30mmの篩の篩下)を粗粒スラグとし、これら細粒スラグ及び粗粒スラグ以外を中粒スラグとすることで、粒径1mm以下の細粒スラグ、粒径1mm超10mm以下の中粒スラグ、粒径10mm超30mm以下の粗粒スラグという3つの粒度のスラグに分級することができる。
分級工程(C)で使用する篩装置3の種類に特に制限はないが、例えば、振動篩(振動スクリーン)などを用いることができる。この振動篩は、一定の網目径を持つスクリーンを振動させることで篩上と篩下に分離する篩装置である。
破砕工程(B)で破砕されたスラグを、上記のように目開きが異なる篩を用いて、細粒スラグ、中粒スラグ、粗粒スラグが下記のような粒度を有するように10種類の形態に分級し、それぞれの場合の金属鉄回収率(密度分離前のスラグに含まれる金属鉄のうち高密度粒状物xとして分離回収された金属鉄の割合)とスラグ処理量を調べた。なお、下記(1)〜(10)のスラグ粒度のうち「以下」はその篩目の篩下、「超」はその篩目の篩上を意味し、(1)〜(10)の各場合において、左側から順に細粒スラグ、中粒スラグ、粗粒スラグの各粒度を示している。この試験では、細粒スラグについては図5に示す気流遠心分離装置を用いて、中粒スラグについては図7に示すエアテーブル式分離装置を用いて、粗粒スラグについては図8に示す固気流動層式分離装置を用いて、それぞれ高密度粒状物xと低密度粒状物yに密度分離し、高密度粒状物xを金属鉄として回収し、低密度粒状物yを除鉄スラグとした。
(1)0.5mm以下、0.5mm超2mm以下、2mm超30mm以下
(2)1mm以下、1mm超2mm以下、2mm超30mm以下
(3)1mm以下、1mm超4.5mm以下、4.5mm超30mm以下
(4)1mm以下、1mm超7mm以下、7mm超30mm以下
(5)1mm以下、1mm超10mm以下、10mm超30mm以下
(6)1mm以下、1mm超15mm以下、15mm超30mm以下
(7)2mm以下、2mm超4.5mm以下、4.5mm超30mm以下
(8)2mm以下、2mm超7mm以下、7mm超30mm以下
(9)2mm以下、2mm超10mm以下、10mm超30mm以下
(10)2mm以下、2mm超15mm以下、15mm超30mm以下
図4は、(1)〜(10)の各場合における金属鉄回収率とスラグ処理量を示したものであり、“×”プロットが金属鉄回収率を、棒グラフがスラグ処理量(分級工程までのスラグ処理量)をそれぞれ示している。
図4によれば、(4)、(5)の場合に金属鉄回収率が90%以上で且つ高いスラグ処理量が得られており、特に好ましい分級形態であると言える。また、(8)、(9)の場合には、金属鉄回収率は90%を若干下回るものの、比較的高い金属鉄回収率とスラグ処理量が得られている。なお、(1)〜(10)の形態によって、金属鉄回収率とスラグ処理量に大きな差が生じているが、金属鉄回収率については、それぞれの装置において高密度粒状物xと低密度粒状物yの密度分離に適した粒径があり、その粒径範囲を外れると分離精度が落ち、金属鉄回収率が低下してしまうためである。また、スラグ処理量については、破砕工程(B)での破砕粒径や分級工程(C)で分級する粒度によって、スラグ処理量に差が生じてしまうためである。
密度分離工程(D)では、分級工程(C)で分級された各粒度のスラグを、それぞれの粒度に適した異なる乾式密度分離装置4で金属鉄濃度が高い高密度粒状物xと金属鉄濃度が低い低密度粒状物yに分離する。
製鋼スラグを対象とする場合、大量のスラグを連続処理する必要があるため、従来ではドラム磁選機や吊り下げ磁選機などによる磁力選別が行われることが多いが、本発明では高温スラグを処理するため、スラグ温度が磁石のキューリー点温度(約300℃)を超えると磁石の使用が困難となる。このため本発明では、金属鉄とスラグの密度差(比重差)に基づく乾式密度分離装置4で金属鉄の分離を行う。
乾式密度分離装置4としては、気流式分離装置、エアテーブル式分離装置、固気流動層式分離装置などが挙げられるが、本発明では、分級工程(C)で分級された各粒度のスラグについて、それぞれの粒度に適した乾式密度分離装置4を用いて金属鉄の分離を行う。
ここで、スラグを細粒(例えば粒径1mm以下)、中粒(例えば粒径1mm超10mm以下)、粗粒(例えば粒径10mm超30mm以下)の3つの粒度に分級した場合において、各粒度のスラグを金属鉄濃度が高い高密度粒状物xと金属鉄濃度が低い低密度粒状物yに分離する場合、細粒スラグについては気流式分離装置を、中粒スラグについてはエアテーブル式分離装置を、粗粒スラグについては固気流動層式分離装置を、それぞれ用いるのが好ましいことが判った。
すなわち、気流式分離装置は、小粒径(粒径1mm以下が好ましい)の粒子を分離することが可能であるため、細粒スラグの処理に適しており、エアテーブル式分離装置は、エアによる影響を、分離に適した範囲で受けることができる粒子径が1mm〜10mm程度であるため、中粒スラグの処理に適しており、固気流動層式分離装置は、流動媒体と混合されない粒子の粒径が10mm程度以上であるため、粗粒スラグの処理に適していることが判った。
このため本実施形態では、細粒スラグを高密度粒状物xと低密度粒状物yに分離する乾式密度分離装置4aとしては気流式分離装置(気流遠心分離装置など)を、中粒スラグを高密度粒状物xと低密度粒状物yに分離する乾式密度分離装置4bとしてはエアテーブル式分離装置を、粗粒スラグを高密度粒状物xと低密度粒状物yに分離する乾式密度分離装置4cとしては固気流動層式分離装置を、それぞれ用いている。
乾式密度分離装置4aを構成する気流式分離装置は、スラグを気流搬送するなかで、密度が異なるスラグ粒子に対する気流の影響の違いを利用して、スラグを高密度粒状物xと低密度粒状物yに分離する装置であり、方式の違いにより、サイクロンなどの気流遠心分離装置、重力を利用する水平重力分離装置、粒状物の着地点差を利用する慣性差分離装置などがあるが、いずれを用いてもよい。
本実施形態の乾式密度分離装置4aは、気流遠心分離装置で構成されており、図5はその一実施形態を示している。この気流遠心分離装置は、筒状のケーシング6が、外筒ケーシング7aと、この外筒ケーシング7aとの間に流路8が形成されるように、外筒ケーシング7a内に配置される内筒ケーシング7bとからなる。外筒ケーシング7aの下端には分離された低密度粒状物yを排出する排出口70aが、内筒ケーシング7bの下端には分離された高密度粒状物xを排出する排出口70bが、それぞれ設けられている。内筒ケーシング7bの上端には開口部71が形成されるとともに、内筒ケーシング7bの上端側部には、内筒ケーシング7bの上部空間内にスラグを供給する供給管9が接続されている。ケーシング6内の上部位置(本実施形態では、外筒ケーシング7a内の上部位置と内筒ケーシング7b内の上部位置)には、上昇旋回空気流を生じさせるための旋回翼10(主翼10a、補助翼10b)が配置され、この旋回翼10は外筒ケーシング7a上に設置された駆動装置11の回転軸12に吊り下げ保持されている。
この気流遠心分離装置では、旋回翼10を旋回させるとケーシング6内に空気の旋回上昇流が発生するので、供給管9から内筒ケーシング7bの上部空間内にスラグを投入すると、低密度粒状物yは旋回上昇流に乗って旋回しつつ上昇し、遠心力によって外筒ケーシング側に移行した後、流路8内を落下して排出口70aから排出される。一方、高密度粒状物xはそのまま内筒ケーシング7b内を落下し、排出口70bから排出される。以上により、高密度粒状物xと低密度粒状物yが分離される。
また、図6は、乾式密度分離装置4aを構成することがきる水平重力分離装置の一実施形態を示しており、この水平重力分離装置は、ケーシング13の一端側の上部にスラグの供給管14が接続されるとともに、他端側の上部には排風機(図示せず)を備えた排気管15が接続され、また、ケーシング13の一端側の下端部に高密度粒状物xの排出口130が、他端側の下端部に低密度粒状物yの排出口131が、それぞれ設けられている。前記供給管14の途中には空気の吹き込み部140が、その上流側にはスラグの供給部141が、それぞれ設けられている。
この水平重力分離装置では、供給部141から供給管14内に供給されたスラグは、吹き込み部140から吹き込まれた空気に搬送されてケーシング13内に入り、排風機による排気管15からの排気に伴う空気流に乗って水平方向(排気部方向)に搬送される。この際、重力により最初に高密度粒状物xが落下して排出口130から排出され、次いで、低密度粒状物yが落下して排出口131から排出される。以上により、高密度粒状物xと低密度粒状物yが分離される。
図7は、乾式密度分離装置4bを構成するエアテーブル式分離装置の一実施形態を示している。このエアテーブル式分離装置のテーブル16は、長手方向の一端側がスラグ供給部160、他端側のテーブル幅方向両端がスラグ排出部161a、161bであり、長手方向でスラグ排出側が低くなるような傾斜(高低差hの傾斜)を有するとともに、幅方向でも傾斜(高低差hの傾斜)を有する。テーブル16の全体には微小な空気穴162が形成され、テーブル16の下方から供給される空気が、この空気穴160を通じてテーブル面に吹き出すようになっている。また、テーブル16は振動機構(図示せず)により幅方向で振動するように構成されている。
このエアテーブル式分離装置では、テーブル16が幅方向に振動しつつ、空気穴162からテーブル面に空気が吹き出た状態で、スラグ供給部160からテーブル面上にスラグが供給される。供給されたスラグは、テーブル16の長手方向での傾斜によりスラグ排出部161方向に移動するが、スラグ中の高密度粒状物xは、テーブル面による摩擦力の影響が大きいため、テーブルの振動による運搬力によって、幅方向で傾斜したテーブル面の高い側に集められ、スラグ排出部161aから排出される。一方、スラグ中の低密度粒状物yは、テーブルの振動による運搬力よりも空気穴162から噴き出た空気流の影響を強く受けるために、幅方向で傾斜したテーブル面の低い側に滑落して集められ、スラグ排出部161bから排出される。以上により、高密度粒状物xと低密度粒状物yが分離される。
図8は、乾式密度分離装置4cを構成する固気流動層式分離装置の一実施形態を示している。この固気流動層式分離装置は、分離槽17内に所定の層厚で粒状の流動媒体が入れられ、槽底部のガス吹込み部18からガス(通常、空気)が吹き込まれることで流動媒体が流動化し、固気流動層19が形成される。この装置は、流動媒体として、流動化した状態での見掛け密度がスラグの高密度粒状物xよりも低く、低密度粒状物yよりも高い粒状物を用い、スラグ中の高密度粒状物xを固気流動層19の下部側に沈降させ、低密度粒状物yを固気流動層19の上部側に浮上させることにより分離するものである。流動媒体としては、例えば、ジルコンサンド、鉄粉などを用いることができる。なお、流動媒体を構成する粒状物の粒径は特に制限はないが、一般には0.08〜0.12mm程度とすることが好ましい。
なお、固気流動層19を構成する流動媒体の見掛け密度は、流動化ガスの流量を調整することでも、ある程度調整することができる。
分離槽17は、槽内にスラグを供給(投入)するスラグ供給部20と、固気流動層19の下部側に沈降した高密度粒状物xを捕集して回収する沈降物回収機21と、固気流動層19の上部側に浮上した低密度粒状物yを捕集して回収する浮上物回収機22と、沈降物回収機21により回収された高密度粒状物xを槽外に排出する排出部23と、浮上物回収機22により回収された低密度粒状物yを槽外に排出する排出部24を備えている。
沈降物回収機21は、複数のプーリ210(少なくとも一部が駆動プーリ)に案内されて、槽底部を含む槽内壁に沿って移動する無端ベルト211と、この無端ベルト211の長手方向において適当な間隔で設けられる沈降物捕捉用の複数のスクレーパ212を備えている。
浮上物回収機22は、水平コンベア式の装置であり、2つのプーリ220(少なくとも一方が駆動プーリ)に案内されて、水平方向で移動する無端ベルト221と、この無端ベルト221の長手方向において適当な間隔で設けられる浮上物捕捉用の複数のスクレーパ222を備えており、コンベア下面側を移動する無端ベルト部分のスクレーパ222が固気流動層19の上部側に浮上した低密度粒状物yを引っ掛けて捕捉できるような高さ位置に配置されている。
高密度粒状物xの排出部23は、沈降物回収機21の無端ベルト211が槽底部を通過してスクレーパ212で高密度粒状物xを捕捉した後、槽側壁を経て槽天井壁に移行する際に、スクレーパ212から外れた高密度粒状物xが取り込まれるように設けられており、本実施形態ではプーリ210に組み込まれた構造となっている。
低密度粒状物yの排出部24は、浮上物回収機22の無端ベルト部分がコンベア下面側を移動してスクレーパ222が低密度粒状物yを捕捉した後、コンベア端部に達した際に、スクレーパ222から外れた低密度粒状物yが取り込まれるように設けられており、本実施形態では、スクレーパ222から外れた低密度粒状物yを捕捉するスクレーパ240と、このスクレーパ240で捕捉された低密度粒状物yが取り込まれる排出口241を備えた回転体で構成されている。
この固気流動層式分離装置では、固気流動層19が形成された状態でスラグ供給部20からスラグを分離槽17内に供給すると、スラグ中の高密度粒状物xが固気流動層19の下部側に沈降し、この高密度粒状物xは沈降物回収機21により捕集・回収され、排出部23から排出される。一方、低密度粒状物yは固気流動層19の上部側に浮上し、この低密度粒状物yは浮上物回収機22により捕集・回収され、排出部24から排出される。以上により、高密度粒状物xと低密度粒状物yが分離される。
密度分離工程(D)で分離された高密度粒状物xは、金属鉄濃度が高い粒状物であり、そのまま或いは必要な加工や処理を施して製鉄原料などとして利用される。一方、密度分離工程(D)で分離された低密度粒状物yは金属鉄濃度が低い粒状物(除鉄スラグ)であり、この低密度粒状物yについては、還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離することにより、有価成分を回収するとともに、スラグ成分も利材化できるようにすることが好ましい。また、この場合、密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された粒度が異なる低密度粒状物yを混合し、その混合物(低密度粒状物y)を還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理することが特に好ましい。
還元加熱処理工程(E)では、例えば、本実施形態のように、ロータリーキルン25からなる還元加熱処理装置5が用いられ、この還元加熱処理装置5(ロータリーキルン25)において1400℃付近まで加熱する還元加熱処理を施して有価成分を回収する。この有価成分を回収では、例えば、スラグの還元加熱処理により、スラグ中のPをガス化してスラグから分離し、冷却されてガス中で析出したP化合物をバグフィルターで捕集して回収し、また、酸化鉄を還元し、金属鉄として回収する。残部のスラグ成分は各種のリサイクル材(例えば、セメント原料、製鉄用のCaO系添加剤など)として利用される。
還元加熱処理工程(E)では、低密度粒状物yの粒径によって高温還元反応性が違ってくる。従来法のようにすべてのスラグを粒径1mm以下まで破砕した場合には、低密度粒状物yの還元加熱処理では粒子単体の反応性は高くなるが、スラグの半溶融体が装置内部で均一に成長するため、ダムリングと呼ばれる装置内部付着現象が起こりやすく、ハンドリング性が悪くなることで歩留りが低下する。一方、低密度粒状物yの粒径が大きい場合には、粒子表面と粒子内部での温度差が発生するため、粒子表面のみ半溶融状態となり、装置内部への粒子の付着が起こりにくいため、ハンドリング性は向上する。ただし、低密度粒状物yの粒径が大きすぎると、粒子中心部の温度が上がりにくくなるため、反応性が低下する。
図9に、還元加熱処理装置5において低密度粒状物yを投入量25t/hで処理した場合における、低密度粒状物yの平均粒径と排出歩留り(ダムリングを生じないで装置外に排出された処理済み粒状物の割合)との関係を示す。これよれば、低密度粒状物yは平均粒径20〜30mm付近が、ダムリングを抑えて比較的高い排出歩留りを確保するのに最適な粒径であるといえる。ここで、本発明の処理方法において、密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された低密度粒状物y(例えば、細粒スラグ、中粒スラグ、粗粒スラグからそれぞれ分離された低密度粒状物y)を混合し、その混合物を還元加熱処理する場合、その混合物は上記のような平均粒径(20〜30mm)になりやすいので、ダムリングが抑えられ、高い排出歩留まりが得られやすいという利点がある。
本発明の処理方法では、密度分離工程(D)を経ることにより、高品質の低密度粒状物yを高い回収率で得ることができるが、さらに、この低密度粒状物yを還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理すること、特に、密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された粒度が異なる低密度粒状物yを混合し、その混合物を還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理することにより、有価物を高い還元率でスラグ成分から分離することが可能となる。
本発明で処理対象となる製鉄工程で発生する鉄鋼スグとしては、脱燐スラグ、脱硫スラグ、転炉脱炭スラグ、脱珪スラグ、電気炉スラグなどの製鋼スラグ以外に、溶融還元スラグ、高炉スラグ(高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラグ)などが挙げられ、これらの1種以上を処理対象とすることができる。
なお、還元加熱処理工程(E)で分離・回収される有価成分はPが主体であり、このため、特に還元加熱処理工程(E)を有する処理方法の場合には、脱燐スラグを処理対象とすることが好ましい。
以上述べた処理方法の実施に供される本発明の処理設備は、高温のスラグを冷却して温度調整を行う乾式冷却装置1と、この乾式冷却装置1で温度調整されたスラグを、平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下(好ましくは平均粒径が5〜10mmで、最大粒径が30mm以下)となるように破砕する破砕装置2と、この破砕装置2で破砕されたスラグを複数の粒度に分級する篩装置3と、この篩装置3で分級された各粒度のスラグを、それぞれ異なる密度分離方式で金属鉄濃度が高い高密度粒状物xと金属鉄濃度が低い低密度粒状物yに分離する複数の乾式密度分離装置4を有する。また、通常、乾式冷却装置1で温度調整する前の高温のスラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整えるための篩装置と破砕装置を有する。さらに、乾式密度分離装置4で分離された低密度粒状物yを還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理装置5を有することができる。以上の処理設備を構成する各装置の好ましい条件などは、さきに述べた通りである。
図1及び図2に示す処理フローに従い製鋼スラグの処理を行った。
製鋼工程で精錬容器から排滓された後、ピットに排出されて凝固した高温のスラグを篩目200mmのグリズリにかけ、篩上は鉄源として回収し、篩下を破砕装置で破砕することでスラグの粒度を整えた後、乾式冷却装置(ロータリークーラー)で冷却して約300℃まで温度を低下させ、次いで、ジョークラッシャの目標破砕粒径(破砕機の出口隙間)を30mmに設定してスラグを破砕した。この破砕後のスラグは、平均粒径が8.3mm、最大粒径が30mmであった。
破砕後のスラグを篩装置で篩分けして細粒、中粒、粗粒の3つの粒度に分級した。すなわち、破砕後のスラグを目開きが1mmの篩にかけて、その篩下を細粒スラグ(粒径1mm以下)とし、篩上を目開きが10mmの篩にかけて、その篩下を中粒スラグ(粒径1mm超10mm以下)とし、篩上を粗粒スラグ(粒径10mm超30mm以下)とした。
次いで、各粒度のスラグからの金属鉄の分離回収を、それぞれ異なる密度分離方式の乾式密度分離装置で行った。すなわち、細粒スラグについては図5に示す気流遠心分離装置を用いて、中粒スラグについては図7に示すエアテーブル式分離装置を用いて、粗粒スラグについては図8に示す固気流動層式分離装置を用いて、それぞれ高密度粒状物xと低密度粒状物yに密度分離し、高密度粒状物xを金属鉄として回収し、低密度粒状物yを除鉄スラグとした。
各乾式密度分離装置による金属鉄回収率(密度分離前のスラグに含まれる金属鉄のうち高密度粒状物xとして分離回収された金属鉄の割合)を図10に、除鉄スラグの金属鉄残留率(低密度粒状物y中の金属鉄含有率)を図11に示す。
本実施例では、金属鉄回収率の目標値を90mass%以上とし、除鉄スラグ(低密度粒状物y)を還元加熱処理装置(ロータリーキルン)で加熱する際の反応性の観点から、除鉄スラグの金属鉄残留率の目標値を3.5mass%以下としたが、図10及び図11に示す通り、全ての粒度のスラグの乾式密度分離で目標値を達成することができた。
図14に従来法(特許文献1の方法)による処理フローの一例を示すが、従来法では、金属鉄の単体分離を促進して金属鉄回収率を高めるために、スラグをすべて粒径1mm以下に破砕した上で乾式密度分離を行っているが、大量のスラグを処理するには極めて大規模な設備が必要となる。これに対して本発明法では、粗めに設定された破砕粒径でスラグを破砕するため、高い破砕処理速度が得られ、スラグの大量処理が可能となる。
本実施例における各乾式密度分離装置による金属鉄(高密度粒状物x)回収前のスラグの温度と、金属鉄回収後の除鉄スラグ(低密度粒状物y)の温度を測定した結果を図12に示す。これによれば、粒径が大きいまま密度分離したほうが熱は保持されることが判る。
ここで、本発明法と従来法(図14)でスラグ処理量25t/h(18万t/年)のプラント設備を操業した場合のイニシャルコストとランニングコストを、破砕処理量、密度分離処理量、キルン再加熱エネルギーコスト(除鉄スラグから有価成分を回収するためにロータリーキルンを用いて行う熱処理のエネルギーコスト)から算定した。ランニングコストについては、本発明法では図12に示すように除鉄スラグ温度を保持できるので、従来法よりもキルン再加熱エネルギーコストを低減でき、このためキルン再加熱エネルギーが従来法の75%程度に抑えられる。また、イニシャルコストについては、処理量25t/hを実現しようとすると、従来法では大規模な設備が必要となり、多大なコスト増となる。それらの結果、図13に示すように、本発明法では従来法に対して処理コストを95%削減できると算出された。
1 乾式冷却装置
2 破砕装置
3 篩装置
4 乾式密度分離装置
4a 乾式密度分離装置(気流式分離装置)
4b 乾式密度分離装置(エアテーブル式分離装置)
4c 乾式密度分離装置(固気流動層式分離装置)
5 還元加熱処理装置
6 ケーシング
7a 外筒ケーシング
7b 内筒ケーシング
8 流路
9 供給管
10 旋回翼
10a 主翼
10b 補助翼
11 駆動装置
12 回転軸
13 ケーシング
14 供給管
15 排気管
16 テーブル
17 分離槽
18 ガス吹込み部
19 固気流動層
20 スラグ供給部
21 沈降物回収機
22 浮上物回収機
23,24 排出部
25 ロータリーキルン
70a,70b 排出口
71 開口部
100 本体
101 散水機構
130,131 排出口
140 吹き込み部
141 供給部
160 スラグ供給部
161a,161b スラグ排出部
162 空気穴
210 プーリ
211 無端ベルト
212 スクレーパ
220 プーリ
221 無端ベルト
222 スクレーパ
240 スクレーパ
241 排出口
S スラグ
x 高密度粒状物
y 低密度粒状物

Claims (13)

  1. 金属鉄を含有する鉄鋼スラグから金属鉄を分離回収するための鉄鋼スラグの処理方法であって、
    乾式冷却装置により高温の鉄鋼スラグを冷却して温度を低下させる温度調整工程(A)と、
    該温度調整工程(A)を経た鉄鋼スラグを、破砕装置により平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下となるように破砕する破砕工程(B)と、
    該破砕工程(B)で破砕された鉄鋼スラグを2つ又は3つの粒度に分級する分級工程(C)と、
    該分級工程(C)で分級された各粒度の鉄鋼スラグを、それぞれ異なる密度分離方式の乾式密度分離装置により金属鉄濃度が高い高密度粒状物と金属鉄濃度が低い低密度粒状物に分離する密度分離工程であって、気流式分離装置、エアテーブル式分離装置、固気流動層式分離装置の中から選ばれ、且つ[気流式分離装置で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]<[エアテーブル式分離装置で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]<[固気流動層式分離装置で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]を満たす条件で使用される乾式密度分離装置により、各粒度の鉄鋼スラグをそれぞれ密度分離する密度分離工程(D)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理方法。
  2. 分級工程(C)では、鉄鋼スラグを細粒スラグ、中粒スラグ及び粗粒スラグの3つの粒度(但し、粒度は細粒スラグ<中粒スラグ<粗粒スラグである。)に分級することを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  3. 分級工程(C)では、目開きが1〜2mmの篩の篩下を細粒スラグとし、目開きが7〜10mmの篩の篩上を粗粒スラグとし、これら細粒スラグ及び粗粒スラグ以外を中粒スラグとすることを特徴とする請求項2に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  4. 密度分離工程(D)では、細粒スラグを気流式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離し、中粒スラグをエアテーブル式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離し、粗粒スラグを固気流動層式分離装置により高密度粒状物と低密度粒状物に分離することを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  5. さらに、温度調整工程(A)で温度を低下させる前の高温の鉄鋼スラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整える整粒工程(a)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  6. さらに、密度分離工程(D)で分離された低密度粒状物を還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理工程(E)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  7. 密度分離工程(D)で各乾式密度分離装置により分離された粒度が異なる低密度粒状物を混合し、その混合物を還元加熱処理工程(E)で還元加熱処理することを特徴とする請求項6に記載の鉄鋼スラグの処理方法。
  8. 金属鉄を含有する鉄鋼スラグから金属鉄を分離回収するための鉄鋼スラグの処理設備であって、
    高温の鉄鋼スラグを冷却して温度調整を行う乾式冷却装置(1)と、
    該乾式冷却装置(1)で温度調整された鉄鋼スラグを、平均粒径が1〜30mmで、最大粒径が50mm以下となるように破砕する破砕装置(2)と、
    該破砕装置(2)で破砕された鉄鋼スラグを2つ又は3つの粒度に分級する篩装置(3)と、
    該篩装置(3)で分級された各粒度の鉄鋼スラグを、それぞれ異なる密度分離方式で金属鉄濃度が高い高密度粒状物と金属鉄濃度が低い低密度粒状物に分離する複数の乾式密度分離装置であって、気流式分離装置(4a)、エアテーブル式分離装置(4b)、固気流動層式分離装置(4c)の中から選ばれ、且つ[気流式分離装置(4a)で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]<[エアテーブル式分離装置(4b)で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]<[固気流動層式分離装置(4c)で密度分離される鉄鋼スラグの粒度]を満たす条件で使用される複数の乾式密度分離装置(4)を有することを特徴とする鉄鋼スラグの処理設備。
  9. 篩装置(3)は、鉄鋼スラグを細粒スラグ、中粒スラグ及び粗粒スラグの3つの粒度(但し、粒度は細粒スラグ<中粒スラグ<粗粒スラグである。)に分級するための篩を有することを特徴とする請求項8に記載の鉄鋼スラグの処理設備。
  10. 篩装置(3)は、目開きが1〜2mmの篩と、目開きが7〜10mmの篩を有することを特徴とする請求項9に記載の鉄鋼スラグの処理設備。
  11. 乾式密度分離装置(4)は、細粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離する気流式分離装置(4a)と、中粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離するエアテーブル式分離装置(4b)と、粗粒スラグを高密度粒状物と低密度粒状物に分離する固気流動層式分離装置(4c)からなることを特徴とする請求項9又は10に記載の鉄鋼スラグの処理設備。
  12. さらに、乾式冷却装置(1)で温度調整する前の高温の鉄鋼スラグについて、大塊スラグを選別して破砕することでスラグの粒度を整えるための篩装置と破砕装置を有することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の鉄鋼スラグの処理設備。
  13. さらに、乾式密度分離装置(4)で分離された低密度粒状物を還元加熱処理してスラグ成分と有価成分に分離する還元加熱処理装置(5)を有することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の鉄鋼スラグの処理設備。
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