JP6632759B1 - 昇華転写用ブラックトナー、昇華転写用トナー及び昇華転写染色方法 - Google Patents

昇華転写用ブラックトナー、昇華転写用トナー及び昇華転写染色方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱保存性が良好な昇華転写用ブラックトナー、昇華転写用トナー及び昇華転写染色方法を提供する。【解決手段】少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有し、前記昇華性染料として昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料及び昇華性イエロー染料を含む昇華転写用ブラックトナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を主成分とするものであり、前記昇華性ブルー染料が、少なくともC.I.ディスパースブルー56からなる昇華性ブルー染料を含有し、総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%をA、総トナー中に含有される前記C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料の総質量%をB、総トナー中の前記昇華性染料の総質量%をTとしたとき、A/Tが0.2〜0.55の範囲にあり、B/Aが0.4〜4.0の範囲にある。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式を用いる昇華転写染色方法に使用する昇華転写用ブラックトナー、昇華転写用トナー及びこのトナーを用いる昇華転写染色方法に関する。
近年、インクジェット方式を用いた昇華転写染色方法が広く普及してきた。インクジェットプリンタによって昇華性染料を含有するインクを中間記録媒体上に画像形成し、その中間記録媒体と布帛を重ね合わせて加熱し、染料の昇華性を利用して布帛を染色する方法である。この方法によって、従来の捺染方法よりも工程を簡略化でき、多品種少量生産化、および納期の短納期化を実現できるようになった。さらにパソコン上で作成した電子ファイルデータを使用できるので、デザインの作成や変更を容易に行うことができる。しかし、インクジェットプリンタの問題として、中間記録媒体への印刷に時間がかかることや、印刷した中間記録媒体が水分を含んでいるので乾燥工程が必要になることが挙げられる。したがって、従来の捺染法に比べると生産効率は大幅に向上したが、更なる工程の簡素化や生産の効率化が課題になる。
一方、電子写真方式を用いる昇華転写染色方法は、中間記録媒体への画像形成が迅速で行われ、中間記録媒体の乾燥を行う必要もなく、工程を簡素化することができる。
昇華性染料を含有するトナーにおいては、昇華性染料の種類によって、結着樹脂と溶融混練すると、結着樹脂に対して可塑的な作用を発現するものがある。これによって、トナーのガラス転移温度が低下し、耐熱保存性が問題になる。当該トナーを高温環境下で放置されると、トナー表面に染料が染み出して結晶を形成し、トナーの流動性を著しく悪化させてしまう。
昇華転写用ブラックトナーにおいては、少なくとも昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料、昇華性イエロー染料の3色の昇華性染料を含有するため、必然的にトナー中に含まれる昇華性染料の総量が多くなる。色調補正のためにブラウン色やバイオレット色等の染料を添加することもあって、その場合はさらに昇華性染料の総量が増加する。
したがって、昇華転写用ブラックトナーは、昇華性染料の総量が多いため、他の色のトナーに比べて耐熱保存性の問題が深刻になる。
ブルー系の昇華性染料としてC.I.ディスパースブルー56が旧来の昇華転写捺染に使用されていたが、インクジェットにおいてはインク性能を損ない(特許文献1)、電子写真液体トナーにおいては帯電制御性に問題がある(特許文献2)ため使用できない。
なお、同昇華性染料のトナーへの応用については、乾式トナーにおいて通常の紙への印刷用のカラートナーの着色剤として使用する例があるが(特許文献3、4)、昇華転写捺染を目的とした乾式トナーにおける使用例はない。
特開昭52−136275号公報 特開2006−208601号公報 特開昭59−185349号公報 特開平6−332258号公報
本発明は、耐熱保存性が良好な昇華転写用ブラックトナー、昇華転写用トナー及び昇華転写染色方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、昇華転写用ブラックトナーにおいて昇華性ブルー染料として少なくともC.I.ディスパースブルー56を、他のアントラキノン系の昇華性染料と共に使用し、且つ結着樹脂をポリエステル系樹脂とすると、耐熱保存性が良好なブラックトナーが得られことを見出し、本発明を完成させた。
かかる本発明の第1の態様は、少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有し、前記昇華性染料として昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料及び昇華性イエロー染料を含む昇華転写用ブラックトナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を主成分とするものであり、前記昇華性ブルー染料が、少なくともC.I.ディスパースブルー56からなる前記昇華性ブルー染料を含有し、総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%をA、総トナー中に含有される前記C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料の総質量%をB、総トナー中の前記昇華性染料の総質量%をTとしたとき、A/Tが0.2〜0.55の範囲にあり、B/Aが0.4〜4.0の範囲にあることを特徴とする昇華転写用ブラックトナーにある。
本発明の第2の態様は、前記昇華性ブルー染料が前記C.I.ディスパースブルー56と、もう1種類以上からなる他の昇華性ブルー染料とから構成されており、前記他の昇華性ブルー染料がアントラキノン系昇華性染料である、ことを特徴とする第1の態様に記載の昇華転写用ブラックトナーにある。
本発明の第3の態様は、前記昇華性レッド染料の少なくとも1種類がアントラキノン系昇華性染料である、ことを特徴とする第1又は2の態様に記載の昇華転写用ブラックトナーにある。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様に記載の昇華転写用ブラックトナーと、昇華転写用マゼンタトナーと、昇華転写用イエロートナーと、昇華転写用シアントナーとからなること特徴とする昇華転写用トナーにある。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の昇華転写用トナーを使用して昇華転写染色を行うことを特徴とする昇華転写染色方法にある。
本発明は、少なくとも結着樹脂、及び昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料、及び昇華性イエロー染料から成る昇華性ブラックトナーで、昇華性ブルー染料として少なくともC.I.ディスパースブルー56を用い、トナーに含まれるC.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料を所定量配合し、さらに結着樹脂をポリエステル系樹脂とすることで、細かな状態で混合・分散が可能で、且つ耐熱保存性が良好なトナーが得られ、本発明の昇華性ブラックトナーは、高温環境下の放置でも、トナー表面に昇華性染料の染み出しが抑制され、トナーの流動性や帯電性が損なわれることがないという効果を奏し、カブリの少ない高品質な染色物が得られる。また、電子写真方式のプリンタや複写機の現像機内部の温度は連続印字において30℃〜50℃になることがあり、本発明の昇華転写用トナーは長期間の使用においても良好な品質を維持することができ、昇華転写後の染色物の品質安定化にもつながるものである。
実施例1の高温放置前後のSEM写真である。 比較例1の高温放置前後のSEM写真である。
以下に本発明を詳細に説明する。
[昇華転写用ブラックトナー]
本発明の昇華転写用トナーは、昇華転写用の乾式トナーであって、少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有するトナーであり、さらに詳細には、少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有するトナー母粒子と、該トナー母粒子に付着された外添剤とを具備する。
本発明の昇華転写用ブラックトナーは、昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料及び昇華性イエロー染料を含有するが、昇華性ブルー染料として、分子骨格にアントラキノン構造を有するC.I.ディスパースブルー56からなる昇華性ブルー染料を用いる。C.I.ディスパースブルー56はトナーとして用いた場合でも耐熱保存性が良好であるが、単独で結着樹脂に混合すると、細かな状態で混合、分散が困難となり、トナーの帯電特性に影響を及ぼしカブリを悪化させることがある。しかしながら、他の昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料、及び昇華性イエロー染料と併用して結着樹脂と混合すると、細かな状態で混合・分散が可能で、さらに、他の昇華性染料の所定量をアントラキノン系化合物にすることで高分散が得られ、カブリが良好で、且つ耐熱保存性が良好なものとなる。
本発明の昇華転写用ブラックトナーは、少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有し、前記昇華性染料として昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料及び昇華性イエロー染料を含む昇華転写用ブラックトナーであって、前記昇華性ブルー染料が、少なくともC.I.ディスパースブルー56からなる昇華性ブルー染料を含有し、総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%をA、総トナー中に含有される前記C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料の総質量%をB、総トナー中の前記昇華性染料の総質量%をTとしたとき、Tが8〜25質量%であり、A/Tが0.2〜0.55の範囲にあり、B/Aが0.4〜4.0の範囲にある。総質量%Tは特に限定されないが、一般的には、8〜25質量%、好ましくは10〜22質量%の範囲にある。この範囲であれば、昇華性染料の総質量%が少なすぎて染色物の黒色濃度が薄くなることはないし、昇華性染料の総質量%が多すぎてトナーの耐熱保存性を悪化させることもない。
総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%Aに対する、総トナー中に含有される前記C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料の総質量%Bの比である、B/Aは、0.4〜4.0の範囲にある。4.0を超える場合は、トナー中に含まれるC.I.ディスパースブルー56が少ないことを意味し、十分なブラックの色相を得るには、他の昇華性ブルー染料を併用する必要があって、トナーとしては耐熱保存性が弱いものとなる。一方、B/Aが0.4未満の場合は、アントラキノン系であるC.I.ディスパースブルー56に対する他のアントラキノン系昇華性染料の含有量が少なすぎるため、染料の分散が不十分となりやすい。この場合結着樹脂中の染料分散径が大きくなり、トナー粉砕時に樹脂と染料の界面で割れるため、トナーの流動性、帯電特性が著しく阻害される。帯電特性が悪化すると白地部のカブリが悪化し、染色物の品質が損なわれる。
また、総トナー中の前記昇華性染料の総質量%Tに対する、総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%Aの比である、A/Tは、0.2〜0.55、好ましくは0.22〜0.50の範囲にある。この比が小さいと、トナー中に含まれるC.I.ディスパースブルー56が少なくなる傾向なることを意味し、十分なブラックの色相を得るには、他の昇華性ブルー染料を併用する必要があって、トナーとしては耐熱保存性が弱いものとなる。一方、この比が大きい場合は、アントラキノン系であるC.I.ディスパースブルー56に対する他のアントラキノン系昇華性染料の含有量が少なくなる傾向となるため、染料の分散が不十分となりやすい。この場合結着樹脂中の染料分散径が大きくなり、トナー粉砕時に樹脂と染料の界面で割れるため、トナーの流動性、帯電特性が著しく阻害される。帯電特性が悪化すると白地部のカブリが悪化し、染色物の品質が損なわれる。
本発明の昇華転写用ブラックトナーは、トナー中に含まれる昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料、および昇華性イエロー染料の総量(ブラウン染料、オレンジ染料、バイオレット染料等の補色系の昇華性染料を含有する場合はこれらも含める)は8質量%〜25質量%で、好ましくは11質量%〜22質量%である。昇華性染料の総量は、少なすぎるとブラックの濃度が不十分で薄くなってしまう。また、昇華性染料の総量が多すぎる場合は、トナーの結着樹脂中への分散不良を起こし易く、また、可塑的な作用によってトナーのガラス転移温度が低下して耐熱保存性が問題になる。
また、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、ポリエステル系樹脂を主成分とするものである。ここで、ポリエステル系樹脂とは、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂とをグラフト重合した樹脂も含むものである。
なお、主成分とするとは、総樹脂の50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上含有されることをいう。
本発明の昇華転写用ブラックトナーは、昇華性ブルー染料として、少なくともC.I.ディスパースブルー56からなる昇華性ブルー染料を使用しているので、耐熱保存性が良好なトナーとなる。かかるトナーは、高温環境下の放置でも、トナー表面に昇華性染料の染み出しが抑制され、トナーの流動性や帯電性が損なわれることがない。また、電子写真方式のプリンタや複写機の現像機内部の温度は連続印字において30℃〜50℃になることがあり、本発明の昇華転写用ブラックトナーは長期間の使用においても良好な品質を維持することができ、昇華転写後の染色物の品質安定化にもつながる。
本発明の昇華転写用ブラックトナーのガラス転移点は、53℃〜70℃で、好ましくは55℃〜65℃である。昇華転写用トナーとしてのガラス転移温度が53℃より低い場合は耐熱保存性に悪影響を及ぼす。70℃以下であれば中間記録媒体への定着性を阻害することもない。
本発明の昇華転写用ブラックトナーの製法には混練粉砕法と重合法があって、本発明では基本的には既存の公知の方法であれば、どちらの方法でも製造できるが、混練粉砕法の方が、混練工程において十分な熱と剪断力を付与し、昇華性染料を溶融しながら分散できるので好ましい。
[昇華転写用トナー]
本発明の昇華転写用トナーは、上述したブラックトナーの他、マゼンタトナー、イエロートナー、及びシアントナーを含むものであるが、マゼンタトナー、イエロートナー、及びシアントナーは、従来から公知のトナーを用いることが可能である。
但し、各トナーは、昇華性染料以外、結着樹脂などの成分はできるだけ同一のものが好ましいが、これに限定されるものではない。
以下、昇華転写用トナーについて詳細に説明するが、上述した昇華転写用ブラックトナーにも適用できるものである。
[昇華性染料]
本発明の昇華転写用トナーにおいて、昇華性ブラックトナーは、昇華性ブルー染料、昇華性イエロー染料及び昇華性レッド染料が含まれるが、昇華性ブルー染料として、少なくともアントラキノン骨格を有するC.I.ディスパースブルー56からなる昇華性ブルー染料を含有される。また、C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系の昇華性染料を所定量含有することを特徴とする。C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料としては、昇華性ブルー染料としてC.I.ディスパースブルー14、60、72、334、及び359等が挙げられ、昇華性レッド染料としてC.I.ディスパースレッド4、及び60等が挙げられる。
また、本発明の昇華性ブラックトナーにおいては、昇華性ブルー染料、昇華性イエロー染料及び昇華性レッド染料の他、色調の微調整のためにオレンジ染料、ブラウン染料、バイオレット染料等が添加されてもよい。
マゼンタトナー、イエロートナー、及びシアントナーには、従来から公知の昇華性染料が用いられる。各トナーにおける昇華性染料は、1種類だけ用いてもよいが、複数種を混合して用いてもよい。
レッド染料としては、C.I.ディスパースレッド4、9、11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、73、75、92、93、146、152、158、177、190、190:1、207、239、240、343、C.I.バットレッド41等が挙げられる。
このうち、アントラキノン系昇華性染料は、C.I.ディスパースレッド4、9、11、53、55、55:1、59、60、70、92、190、190:1、及び207である。
ブルー染料としては、C.I.ディスパースブルー14、19、26、26:1、35、55、56、58、60、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145、334、359、360、C.I.ソルベントブルー3、63、83、105、111等が挙げられる。
このうち、アントラキノン系昇華性染料は、C.I.ディスパースブルー14、19、26、26:1、35、55、56、60、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、334、359、C.I.ソルベントブルー63、及び105である。
イエロー染料としては、C.I.ディスパースイエロー3、7、8、23、39、51、54、60、71、86、C.I.ソルベントイエロー114、163等が挙げられる。
このうち、アントラキノン系昇華性染料は、C.I.ソルベントイエロー163だけである。
オレンジ染料としては、C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、5、20、25、25:1、33、56、76等が挙げられる。
ブラウン染料としては、C.I.ディスパースブラウン2等が挙げられる。
バイオレット染料としては、C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、29、36、57等が挙げられる。
このうち、アントラキノン系昇華性染料は、C.I.ディスパースバイオレット8、17、23、27、28、及び57である。
[結着樹脂]
また、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、昇華性染料との親和性の観点からポリエステル系樹脂を主成分とする。ここで、ポリエステル系樹脂とは、ポリエステル系樹脂とビニル系樹脂とをグラフト重合した樹脂も含むものである。
以下、ポリエステル系樹脂に用いる原料モノマーを説明する。
ポリエステルの原料モノマーとしては、2価以上の多価アルコールと2価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
2価のアルコールとしては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロース、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
本発明において、これらの2価以上の多価アルコールは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
また、2価のカルボン酸化合物としては、例えばマレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸等のジカルボン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。好ましくは、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらのうち、トリメリット酸及びその無水物が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
本発明において、これらの2価以上の多価カルボン酸化合物は単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
本発明においては、トナーとしてのガラス転移温度は上記のとおり53℃〜70℃である。一般的に昇華性染料をトナー用のポリエステル系樹脂等と溶融混練すると、トナー組成物のガラス転移温度が低下することがあるので、結着樹脂のガラス転移温度は53℃〜75℃のもので、昇華性染料を配合したトナーのガラス転移温度が53℃〜70℃の範囲に収まるものが好ましい。このような温度範囲であれば、耐熱保存性を悪化させることなく、かつ中間記録媒体へのトナー定着性を阻害することもない。
[ワックス]
本発明の昇華転写用トナーは、電子写真プロセスで良好な定着画像を得るために、定着部の離型剤としてワックスを含有することができる。
本発明のトナーに用いられる離型剤として使用可能なワックスとしては、トナー用に公知のワックスが全て使用でき、特に制限されるものではない。例えば、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然系ワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エチレン−プロピレン共重合体等の炭化水素系ワックス、長鎖脂肪酸と長鎖アルコールから合成される合成エステルワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトン、エーテル及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体などが挙げられる。これらのワックスを単独で使用しても良いし、2種類以上併用して使用してもよい。ポリエステル系樹脂に対するワックスの分散性を考慮すると、少なくとも1種類は極性基を有するワックス、例えばカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、合成エステルワックス、分子末端を酸変性またはアルコール変性したパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を使用することが好ましい。
ワックスの融点は、65℃〜150℃の範囲のものが使用でき、好ましくは75℃〜145℃の範囲で、さらに好ましくは85℃〜140℃である。ワックスの融点が65℃以上であればトナーの耐熱保存性を悪化させる影響は少なく、150℃以下であれば、トナーの定着時にワックスが溶融して離型効果を十分に発揮することができる。また、これらのワックスは低分子量成分が除去されて、DSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
トナー中におけるワックスの含有量は、0.5重量%〜5.0重量%が好ましい。さらに好ましくは1.0重量%〜3.0重量%である。ワックスの含有量が上記の範囲であれば、ワックス分散性を良好にすることができ、複写機やプリンタでの印字の際に良好な定着性およびオフセット性能を示すことができる。
[電荷制御剤]
本発明のトナーにおいては、電荷制御剤を混練物中に配合し、またはトナー粒子に添加することができる。これによって、現像システムに応じた最適なトナー帯電量の調整や、低温低湿時および高温高湿時のトナー帯電特性の安定化を図ることができる。
電荷制御剤としては、公知のものが利用でき、帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる電荷制御剤が好ましい。
トナーを負帯電性に制御する電荷制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体、有機ホウ素化合物、カリックスアレーン系化合物、含フッ素四級アンモニウム塩系化合物、フェノール類とアルデヒド類の重縮合反応によって得られた重縮合体などが使用される。これらの電荷制御剤は単独で使用してもよいし、2種類以上併用して使用してもよい。
トナーを正帯電性に制御する電荷制御剤としては、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩、またスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合性モノマーと四級アンモニウム塩を含むビニル系モノマーとの共重合体(電荷制御樹脂)などが使用される。これらの電荷制御剤または電荷制御樹脂を単独で使用してもよいし、2種類以上併用して使用してもよい。
[昇華転写用トナーの製造方法]
本発明の昇華転写用トナーの製造方法について、前述のとおり本発明のトナーは混練粉砕法であっても重合法であっても構わないが、以下に混練粉砕法による製造方法を説明する。
本発明の昇華転写用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を溶融混練する混練工程と、粉砕工程及び分級工程とによってトナー母粒子を得る混練粉砕法による昇華転写用トナーの製造方法であって、前記粉砕工程又は前記分級工程の後に、外添剤を添加する外添工程を具備する。
[混練工程]
本発明においては、結着樹脂、昇華性染料、ワックス、荷電制御剤、その他の各種分散剤等の原料は、予めヘンシェルミキサーやボールミル等により予備混合してから、溶融混練を行うことが好ましい。
原料の溶融混練は、一般的なトナーの混練に使用可能なものなら特に制限なく、例えば、一軸押出機、二軸押出機、加圧式ニーダ、バンバリー型混練機、オープンロール型混練機等を用いて行うことができる。
溶融混練の条件については、混練直後の混練物の温度が140℃〜180℃になる条件が好ましい。混練物の温度を140℃以上にするのは、昇華性染料にある程度温度をかけて溶融させながら混練することが分散性向上の点で好ましい。また、混練物の温度が180℃を超えると、昇華性染料の種類によっては昇華性染料の揮発または分解が促進するおそれがある。
次いで、得られた混練物を、圧延、冷却ベルト等を用いて冷却し、粉砕工程を効率的に行うために、3mm以下の大きさに粗粉砕する。
[粉砕・分級工程]
次に粗粉砕した混練物を粉砕分級し、所定の粒度分布を得る。粉砕機はトナー用に従来公知の装置を用いることができ、機械式粉砕機(例えば、アーステクニカ社製クリプトロンシステムやターボ工業社製ターボミル等)や圧縮エアーを利用したジェット粉砕機(例えば、ホソカワミクロン社製カウンタージェットミル等)を使用することができる。粉砕されたトナーの形状は、機械式粉砕機で粉砕する方が円形度を適度に揃った状態にすることができるため、ジェット粉砕機よりも機械式粉砕機で処理する方が好ましい。
粉砕されたトナー粒子を分級工程で分級することによって、粒度分布がシャープなトナー粒子を得ることができる。分級機は、従来公知の装置を用いることができ、慣性力を利用した気流式分級機(例えば、日鉄鉱業社製エルボージェット)や、ブレード回転体を有する分級機(例えば、ホソカワミクロン社製TSP、TTSP)などを使用することができる。
分級後のトナーの体積基準の中位径D50は、4μm〜10μmが好ましく、より好ましくは5μm〜9μmである。なお、トナーの体積基準の中位径D50は、ベックマン・コールター社製マルチサイザー3を用いて測定される。
本発明の製造方法では、上記の微粉砕工程の後、または分級工程の後に、熱処理工程において、瞬間的に熱風に曝すことにより、トナーの表面状態を改質することもできる。
熱処理の手段としては、本発明においては、熱気流中にトナー粒子を分散させて表面を瞬間的に溶融させる熱処理装置(例えば、日本ニューマチック社製メテオレインボー)を用いることができる。熱処理温度は、110℃〜330℃が好ましく、より好ましくは130℃〜260℃である。110℃以上の温度であれば効果的にトナーの表面改質を行うことができる。トナー粒子が熱風に曝されるのが瞬間的ではあっても、330℃より高温で処理すると、トナー中のワックス成分がトナー粒子表面にブリードして出てしまい、トナーの流動性や帯電特性を悪化させる要因になるし、トナー中の昇華性染料が揮発して十分な濃度の染色が得られなくなるおそれがある。
[外添工程]
本発明においては、粉砕分級後のトナー、若しくは熱処理工程後のトナーに無機微粒子や有機微粒子等を外添剤として添加することができる。これらの外添剤は、トナー用途に公知のものを特に制限なく使用することができるが、トナーの帯電特性、流動性、耐久性、現像性、転写性、研磨材、潤滑材、保存安定性等の目的に応じて適宜選択して使用することが好ましい。
本発明に使用される無機微粒子は、上記の目的に応じて疎水化処理を行うことができる。疎水化処理剤としては、トナー用外添剤の表面処理剤として公知のシリコーンオイル、シランカップリング剤などが用いられ、単独で処理されてもよいし、併用して処理されていてもよい。これらのシリコーンオイルやシランカップリング剤は各種官能基で変性されていてもよく、特に正帯電トナーにおいては、アミノ基で変性されたシリコーンオイルやアミノシランカップリング剤等で表面処理された無機微粒子を使用することが好ましい。
無機微粒子の例としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの微粒子が挙げられる。これらの中でシリカ微粒子は必須の外添剤であり、酸化チタンや酸化アルミ等の他の外添剤は前記目的に応じて使用するのが好ましい。
シリカ微粒子は、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により製造されるいわゆるヒュームドシリカに代表される乾式シリカ、及びアルコキシド、水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。シリカ微粒子の平均一次粒子径は、7nm〜250nmが好ましい。より好ましくは12nm〜120nmである。これらのシリカ微粒子は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよい。
本発明におけるトナーにおいて、添加されるシリカ微粒子の含有量は、トナー100重量部に対して0.2重量部〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.5重量部〜3.0重量部である。
本発明のトナーには、上記の目的に応じて有機微粒子を外添することができる。例えば、ポリメチルメタクリレート微粒子、スチレンアクリル微粒子などの有機樹脂微粒子、ステアリン酸亜鉛等の金属石けん類、ポリフッ化ビニリデン微粒子、テフロン(登録商標)微粒子などが挙げられる。また、有機微粒子に無機微粒子を複合させた複合微粒子も使用可能である。例として、ATLAS100(キャボット社製、100nm)が挙げられる。
本発明において、トナー粒子に無機微粒子や有機微粒子等の外添剤を外添するときに用いられる混合機としては、高速撹拌機(日本コークス社製ヘンシェルミキサー、カワタ社製スーパーミキサー等)、ボールミル、V型ブレンダー等の乾式混合用の撹拌装置が好ましい。また、撹拌装置を用いる際には、外添剤を十分にトナー粒子に付着させるために、撹拌具の周速を速くすることや、撹拌時間を長くすることが好ましい。
[昇華転写染色方法]
本発明の昇華転写用トナーは、各種昇華転写染色方法に用いることができる。
本発明に用いる電子写真方式を有するプリンタ又は複合機としては、特に制限なく、市場に流通するプリンタ又は複合機を使用することができる。現像方式は非磁性1成分方式でも2成分方式でもよい。
[中間記録媒体]
本発明でトナー画像を定着させる中間記録媒体(転写紙)としては、電子写真プリンタ等でトナーが定着でき、かつ、後記の昇華転写工程で熱処理をしたときに安定であれば、特に制限されない。例えば、「紙・板紙及びパルプ用語「JISP 0001:1998(2008年 確認、平成10年3月20日 改正、財団法人日本規格協会 発行)」中、第28頁〜第47頁の「3.分類 f)紙・板紙の品種及び加工製品」に記載された紙・板紙の品種及び加工製品(番号6001〜6284.ただし、番号6235の「耐油性」、6263「フルート、段」、6273「パルプ成型品」、6276「カーボン紙」、6277「マルチコビューフォーム用紙」、6278「裏カーボンフォーム用紙」を除く);及び、セロハン(以下、「紙・板紙の品種及び加工製品;及び、セロハン」を「紙等」という。)の中から適宜選択することができる。もっとも市販のコピー用紙(PPC用紙)を問題なく使用することできる。ただし、昇華転写のときに、昇華性染料が透過して裏抜けするような中間記録媒体を使用する場合、染料の透過を防止可能なシート(例えばクッキングペーパーやハシマ社製ベースペーパーなど)を重ねて、昇華転写装置の染料による汚染を防止しなければならない。また、昇華性染料の裏抜けを防止する観点から、パルプの材質、充填剤、表面塗布剤、叩解・プレスの加工条件等を最適にすることで、密度1g/cm以上に調整した中間記録媒体を使用することが好ましい。
[被染色物]
中間記録媒体に記録されたトナー画像を転写する被染色物としては、疎水性繊維又は疎水性繊維を含有する混紡繊維で構成される布帛や、疎水性樹脂を含有するフィルムやプラスチックシート、疎水性樹脂がコーティングされた布帛、フィルム、プラスチックシート、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。これらの疎水性繊維や疎水性樹脂としては、少なくともポリエステル繊維やポリエステル系樹脂を含有し、その含有量は好ましくは70%〜100%、より好ましくは80%〜100%である。
上記のポリエステル繊維を主成分とした布帛の例としては、例えば、サテン、トロピカル、ダブルピケ、マイクロファイバー等が挙げられる。
[昇華転写]
本発明における昇華転写染色方法の昇華転写は、従来公知の方法が使用でき、通常は中間記録媒体におけるトナー画像形成面と被染色物とを重ね合わせて、一定の温度・圧力・加熱時間で熱処理される。
専用の昇華転写装置には、ドラム型ヒータを用いた連続式昇華転写装置(例えば、ハシマ社製HSR−600R)や、昇華転写の際に中間記録媒体(転写紙)と被染色物を一枚一枚切り取って重ね合わせるタイプの平型昇華転写装置(例えば、ハシマ社製HSP−5400、アサヒ繊維機械社製NAP−502など)があり、さらに、減圧下で染料の昇華を促進できる真空式昇華転写装置(例えば、ハシマ社製HSP−1513PV−AT、アサヒ繊維機械社製STP−800など)があり、用途・大きさによって選択することができる。
昇華転写の際における加熱温度は、昇華性染料の昇華温度と被染色物の熱分解の防止の観点から170℃〜230℃が一般的であり、より好ましくは190℃〜210℃である。加熱時間は30秒から最大10分程度で、被染色物の種類を考慮し、用途・出来栄えによって調整することができる。
上記の加熱処理により、中間記録媒体に画像形成されたトナーに含有する昇華性染料分子は、ポリエステル繊維等の分子鎖の隙間に入り込むことによって、被染色物が染色される。加熱時間が経過した後、中間記録媒体と昇華転写された染色物は軽く付着した状態であり、常温まで冷却されてから剥離される。これによって昇華転写による染色が完了する。
下記実施例、比較例を実施し、各種測定を行った結果を表1、表2に示す。
[混練原料]
(結着樹脂)
ポリエステル系樹脂:ダイヤクロンFC1494(三菱ケミカル社製)
Tg:63.2℃、フローT1/2:133.1℃、
分子量:Mn3400、Mw113000、酸価:6.0mgKOH/g
スチレンアクリル樹脂:アクリベースFSR−051(藤倉化成工業社製)
Tg:63.0℃、フローT1/2:169.2℃、
分子量:Mn18000、Mw390000、酸価:0.2mgKOH/g
(昇華性染料)
昇華性ブルー:C.I. Disperse Blue 56(アントラキノン系)(有本化学工業社製)
:C.I. Disperse Blue 72(アントラキノン系)(有本化学工業社製)
:C.I. Disperse Blue 359(アントラキノン系)(有本化学工業社製)
:C.I. Disperse Blue 360(有本化学工業社製)
昇華性イエロー:C.I. Disperse Yellow 54(有本化学工業社製)
昇華性レッド:C.I. Disperse Red 60(アントラキノン系)(有本化学工業社製)
(ワックス)
ビスコール660P(三洋化成工業社製)
(電荷制御剤)
ボントロンE304(オリエント化学工業社製)
(トナー製造装置)
混練:二軸押出機 PCM30(池貝社製)
粉砕:機械式粉砕機 KTM−0型(D50=8μm)(アーステクニカ社製)
分級:気流式分級機 エルボージェット(日鉄鉱業社製)
外添:ヘンシェルミキサー(周速40m/s、10分)(日本コークス社製)
(外添剤)
疎水化シリカ:
AEROSIL RY50 1.0% 平均一次粒子径40nm、PDMS処理(日本アエロジル社製)
AEROSIL RY200L 0.5% 平均一次粒子径12nm、PDMS処理(日本アエロジル社製)
酸化チタン:
AEROXIDE T-805 0.1% 平均一次粒子径21nm、アルキルシラン処理(日本アエロジル社製)
[実施例1〜3、比較例1〜4]
表1に記載の配合、製造条件にて、ブラックトナーを製造した。
昇華性染料(表1の質量%)、ワックス2質量%、電荷制御剤1質量%及びポリエステル系樹脂で合計100質量%となるように計量し、これらをヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製)で周速30m/sで3分間混合した後、二軸押出機(池貝社製PCM30)により溶融混練を行った。得られた混練物を冷却した後、機械式粉砕機(アーステクニカ社製クリプトロンKTM−0型)および気流式分級機(日鉄鉱業社製エルボージェット)を用いて粉砕と分級を行い、粉体を得た。
得られた粉体100質量部に、疎水化処理シリカAEROSIL RY50 1.0質量部、AEROSIL RY200L 0.5質量部、及び酸化チタン:AEROXIDE T-805を0.1質量部を添加してヘンシェルミキサーにて周速40m/sで10分間混合してブラックトナー(昇華転写用トナー、トナーともいう)を得た。
[実施例4]
実施例2のブラックトナーを、粉体の熱処理装置メテオレインボーMR10A(日本ニューチック工業社製)を使用して200℃の熱風で処理を行った。次いで、トナーの流動性を上げるため、熱処理を行った粉体100質量部に、疎水化処理シリカAEROSIL RY200L 0.5質量部を添加してヘンシェルミキサーにて周速40m/sで5分間混合して実施例4のブラックトナーを得た。
[参考例1]マゼンタトナー
以下の配合でマゼンタトナーを製造した。製造工程、外添剤配合は実施例1と同様とした。
結着樹脂 ポリエステル ダイヤクロン FC1494 89.0質量%
昇華性染料 C.I. Disperse Red 60 8.0質量%
ワックス ビスコール660P 2.0質量%
電荷制御剤 ボントロンE304 1.0質量%
合計 100.0質量%
[参考例2]イエロートナー
以下の配合でイエロートナーを製造した。製造工程、外添剤配合は実施例1と同様とした。
結着樹脂 ポリエステル ダイヤクロン FC1494 92.0質量%
昇華性染料 C.I. Disperse Yellow 54 5.0質量%
ワックス ビスコール660P 2.0質量%
電荷制御剤 ボントロンE304 1.0質量%
合計 100.0質量%
[参考例3]シアントナー
以下の配合でシアントナーを製造した。製造工程、外添剤配合は実施例1と同様とした。
結着樹脂 ポリエステル ダイヤクロン FC1494 89.0質量%
昇華性染料 C.I. Disperse Blue 359 8.0質量%
ワックス ビスコール660P 2.0質量%
電荷制御剤 ボントロンE304 1.0質量%
合計 100.0質量%
[ガラス転移温度の測定]
昇華転写用トナー(単にトナー又は外添トナーともいう)を用い、示差走査型熱量計(島津製作所社製DSC−60A)を用いて、専用のアルミニウムセルに試料約10mgを計量し、同熱量計に標準試料のセルと測定試料のセルをセットし、最初に昇温速度15℃/分で170℃まで昇温し、その温度から降温速度15℃/分で30℃まで冷却したサンプルを、昇温速度15℃/分で測定し、非晶質樹脂における前記最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点のガラス転移温度とする。結果は表2に示す。
[トナーの耐熱保存性および流動性の評価]
トナーを50℃の恒温槽で24時間放置した後、42メッシュ篩上に5.0g計量し、パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製)にて10秒間振動させ、42メッシュ上のトナー残量を測定した。42メッシュ残存率10%以下の場合は流動性がそれほど悪化していないので合格とした。より好ましくは5%以下である。結果は表2に示す。
[トナーの高温放置後における染料の染み出しの評価]
また、上記恒温槽に放置したトナーを、走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM6390)を用いて、5000倍の二次電子像によって任意のトナー粒子を30個観察し、トナー粒子1個当たりの染み出した染料の結晶を計算し、以下のように判定した。実施例1及び比較例1の観察結果は図1及び図2に示す。
1: 2μm以上 0.5本以下、そのうち5μm以上 0.1本以下
2: 上記レベル1を満たさず、かつ
2μm以上 1.0本以下、そのうち5μm以上 0.2本以下
3: 上記レベル2を満たさず、かつ
2μm以上 2.0本以下、そのうち5μm以上 0.3本以下
4: 上記レベル3を満たさず、かつ
2μm以上 3.0本以下、そのうち5μm以上 0.5本以下
5: 上記レベル4より悪い場合
判定レベルが1および2を合格とした。
[昇華性染料の分散性の評価]
(TEM観察)
前処理としてトナーサンプルを包埋樹脂(アロニックスLCR D−800、東亜合成社製)の中に分散させ、可視光照射によって硬化させた後、ウルトラミクロトーム(UC7、LEICA社製)によって厚さ約100nmの薄片状サンプルを作成し、さらに四酸化ルテニウムで染色した。これを透過型電子顕微鏡(H−7500、日立製作所製)で観察し、昇華性染料の分散径を求めた。判定は、最大の分散粒子の直径(楕円状や細長い場合は長軸)を基準に以下のように判定し、レベル1および2を合格とした。
1: 100nm以下
2: 100〜200nm
3: 200〜500nm
4: 500〜1000nm
5: 1000nm以上
[布帛上の色相の評価]
トナーの色相について色彩値L、a及びb、並びに黒色濃度を以下の通り測定した。
市販の非磁性1成分現像系を備えたカラーレーザープリンタを使用し、ブラックトナーカートリッジに実施例1のシアントナーを充填し、マゼンタトナーカートリッジに参考例1のマゼンタトナーを充填し、イエローカートリッジに参考例2のイエロートナーを充填し、シアントナーカートリッジに参考例3のシアントナーを充填し、布帛上に所定の画像形成を行った。次いで平型昇華転写装置(ハシマ社製HSP−5400)を用いて、ポリエステル繊維(トロピカル)と画像形成した用紙とを重ね合わせて、プレス圧22.9kPaにて200℃で60秒加熱し、ポリエステル繊維を染色した。このとき、布帛上の色相評価では、X−rite eXact Standard(ビデオジェット・エックスライト社、アパチャー径4mm)を用いて、色彩値L、aおよびbの測定を行った。
色相の評価は、−3.5≦a≦3.5、−3.5≦b≦3.5、黒色度が1.20以上を合格とした。結果は表2に示す。
[布帛上のカブリの評価]
上述のとおり布帛上に昇華転写を行い、昇華転写を行った布帛上の白地部分の反射率と、未染色の布帛の光反射率を色彩色差計CR−400(コニカミノルタ社製)で測定し、その差をカブリの数値として算出した。カブリの数値が2.0以下の場合を合格として、2.0を超える場合は不合格とした。
[実施例11〜13、比較例11〜15]
実施例1〜4のブラックトナーと、参考例1〜3のマゼンタ、イエロー及びシアントナーとを組み合わせて、実施例11〜13のYMCBの昇華性トナーを製造した。
これらの昇華性トナーを用いて印刷を行ったところ、画像濃度、画像品質の面で問題のないものであった。

Claims (5)

  1. 少なくとも結着樹脂及び昇華性染料を含有し、前記昇華性染料として昇華性ブルー染料、昇華性レッド染料及び昇華性イエロー染料を含む昇華転写用ブラックトナーであって、
    前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を主成分とするものであり、前記昇華性ブルー染料が、少なくともC.I.ディスパースブルー56からなる前記昇華性ブルー染料を含有し、総トナー中における前記C.I.ディスパースブルー56の質量%をA、総トナー中に含有される前記C.I.ディスパースブルー56以外のアントラキノン系昇華性染料の総質量%をB、総トナー中の前記昇華性染料の総質量%をTとしたとき、A/Tが0.2〜0.55の範囲にあり、B/Aが0.4〜4.0の範囲にあることを特徴とする昇華転写用ブラックトナー。
  2. 前記昇華性ブルー染料が前記C.I.ディスパースブルー56と、もう1種類以上からなる他の昇華性ブルー染料とから構成されており、前記他の昇華性ブルー染料がアントラキノン系昇華性染料である、ことを特徴とする請求項1記載の昇華転写用ブラックトナー。
  3. 前記昇華性レッド染料の少なくとも1種類がアントラキノン系昇華性染料である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の昇華転写用ブラックトナー。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の昇華転写用ブラックトナーと、昇華転写用マゼンタトナーと、昇華転写用イエロートナーと、昇華転写用シアントナーとからなること特徴とする昇華転写用トナー。
  5. 請求項4に記載の昇華転写用トナーを使用して昇華転写染色を行うことを特徴とする昇華転写染色方法。
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