JP6632202B2 - 浄化槽 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽と、嫌気処理された被処理水を好気処理する好気処理槽とを備える浄化槽に関する。
従来の浄化槽としては、例えば、特許文献1に示す構成を備えるものが知られている。
特許文献1に記載される浄化槽は、被処理水を嫌気処理する嫌気ろ床槽と、嫌気処理された被処理水と共に流動可能な微生物を担持した担体を収容し、前記担体に気泡供給する散気部を備えて好気処理する担体流動槽とを備えており、嫌気ろ床槽で嫌気処理された後の被処理水が、エアリフトポンプを経て担体流動槽に移流するように構成されている。
特許第4090218号公報
従来の浄化槽では、嫌気ろ床槽からエアリフトポンプによって移送される被処理水中に浮遊物質(SS)が含まれる場合があり、これにより担体流動槽の負荷が増大して好気処理反応、特に硝化反応が低下する虞がある。尚、特許文献1の浄化槽は、担体流動槽の下流に担体ろ過槽を備えているため、浮遊物質(SS)が当該担体ろ過槽で除去され得る構成となっているが、担体ろ過槽の負荷が増大するため、被処理水中に浮遊物質(SS)の流出が発生する虞もある。
また、従来の浄化槽における固液分離槽や嫌気ろ床槽では、被処理水中に含まれる浮遊物質(SS)が重力沈降により分離されるため、これらの処理槽において十分な滞留時間を設ける必要がある。即ち、従来の浄化槽における固液分離槽や嫌気ろ床槽では、被処理水の滞留時間を確保すべく所定の容量を必要とするため、小容量化を図ることが困難となっている。
本発明の目的は、好気処理槽への浮遊物質(SS)の流入を防止でき、且つ小容量化を図ることのできる浄化槽を提供することにある。
本発明の浄化槽に係る第1特徴構成は、被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽と、嫌気処理された被処理水を好気処理する好気処理槽とを備える浄化槽において、ろ過層を形成してあるろ過槽を、前記嫌気処理槽と前記好気処理槽との間に設けてあり、被処理水が、前記好気処理槽から前記ろ過槽に直接循環せず、前記ろ過槽から、前記嫌気処理槽以上の上流槽に被処理水を返送する返送装置を設けてあり、前記ろ過槽に逆洗装置を設けてある点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、嫌気処理槽と好気処理槽との間にろ過槽を設けることによって、嫌気処理槽から移流してきた被処理水中に含まれる浮遊物質(SS)を除去することができるため、好気処理槽における好気処理反応低下を防止することができる。また、ろ過槽を設けることによって嫌気処理槽における重力沈降による浮遊物質(SS)の分離時間を短縮することができる。その結果、嫌気処理槽を減容することが可能となり、ろ過槽を設けたとしても浄化槽全体としての小容量化を図ることができる。
また、本構成のごとく、返送装置により、ろ過槽の被処理水を嫌気処理槽以上の上流槽に返送することによって、当該上流槽において被処理水中の浮遊物質(SS)や汚泥を濃縮・貯留させることができる。
また、本構成によれば、逆洗装置による逆洗を実施してろ過槽のろ過層に付着した汚泥を剥離させることでろ過槽におけるろ過層の目詰まりを防止することができる
特徴構成は、前記嫌気処理槽の上流に固液分離槽を備え、前記返送装置が該固液分離槽に被処理水を返送する点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、ろ過槽で剥離した汚泥を含む被処理水を固液分離槽に返送することによって、被処理水中の浮遊物質(SS)や汚泥が固液分離槽で重力沈降により分離されるため、好気処理槽への浮遊物質(SS)の流出をより効果的に防止することができる。
第3特徴構成は、固液分離槽と、該固液分離槽の下流に配置される好気処理槽とを備える浄化槽において、ろ過層を形成してあるろ過槽を、前記固液分離槽と前記好気処理槽との間に設けてあり、被処理水が、前記好気処理槽から前記ろ過槽に直接循環せず、前記ろ過槽から、前記固液分離槽に被処理水を返送する返送装置を設けてあり、前記ろ過槽に逆洗装置を設けてある点にある。
特徴構成は、前記ろ過層が、複数のろ過担体を前記ろ過槽の底部に沈降堆積させた状態で形成してある点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、被処理水中に含まれる浮遊物質(SS)や汚泥をより確実に捕捉することができる。
本発明における一実施形態の内部構成を示す図である。 本発明における一実施形態の処理フローを示す図である。
〔実施形態〕
以下、本発明に係る浄化槽の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浄化槽1は、上流側から固液分離槽A、嫌気ろ床槽B(嫌気処理槽の一例)、第1ろ過槽C1(ろ過槽の一例)、担体流動槽D(好気処理槽の一例)、第2ろ過槽C2、処理水槽E、及び消毒槽Fを備えて構成されている。
被処理水の原水は、原水流入口2から第1流入バッフル11を介して固液分離槽Aに流入し、嫌気ろ床槽B、第1ろ過槽C1、担体流動槽D、第2ろ過槽C2、処理水槽Eの順に下流へ移送されつつ分解処理され、消毒槽Fを経て放流口から槽外に放流される。
固液分離槽Aは、原水流入口2から流入した被処理水を受けて一時貯留する。これにより、被処理水中に含まれる大きな夾雑物、固形物、油脂等が重力沈降により分離されて、槽上部にスカムが貯留されると共に、槽底部に汚泥が貯留される。
固液分離槽Aで処理された被処理水は、第1移流口H1から嫌気ろ床槽Bへと流れる。第1移流口H1は、水面下に常時位置するように、固液分離槽Aと嫌気ろ床槽Bとを仕切る第1仕切壁W1の上下方向の中間位置に設けられている。尚、第1移流口H1は、第1仕切壁W1の嫌気ろ床槽Bの側に設けられている第2流入バッフル12に通じている。
嫌気ろ床槽Bには、嫌気性微生物を定着保持して育成できる嫌気ろ床3が設けられている。嫌気ろ床3の構成例としては、例えば網目状の濾材押さえ用板と網目状の濾材受け用板との間に複数の球状濾材を充填した構成などを挙げることができる。
嫌気ろ床槽Bでは、被処理水が嫌気ろ床3を通過する際に、その濾材の表面に付着した嫌気性微生物による有機物の嫌気分解が実施されると共に、固液分離槽Aで捕捉できなかった固形物が捕捉される。また嫌気ろ床槽Bでは、嫌気性微生物の働きにより酸化態窒素の脱窒反応も行われる。
尚、固液分離槽Aと嫌気ろ床槽Bは、LWL〜HWLの範囲で流量を調節可能な流量調整部Rを備えており、朝夕の特定時間等に集中する被処理水量のピーク量を吸収する構成としてある。
嫌気ろ床槽Bで処理された被処理水は、流量調整用の第1エアリフトポンプP1によって第1ろ過槽C1に移送される。尚、第1エアリフトポンプP1は計量ボックス15を備えており、槽外に設置された第1ブロワ13から空気が供給される。また、嫌気ろ床槽Bと第1ろ過槽C1とを仕切る仕切壁に設けられたバッフル16の内側に第1エアリフトポンプP1の吸込み口が配置される。
第1ろ過槽C1には、複数のろ過担体からなる第1ろ過層4が形成されている。当該第1ろ過層4は複数のろ過担体を沈降堆積させた状態で形成してあることが望ましい。そのようなろ過担体の一例としては、例えば、比重約1.08、直径15mm、長さ15mmの中空円筒状担体が挙げられる。またろ過担体の素材としては、例えばポリプロピレン(PP)が挙げられる。尚、ろ過担体の形状、大きさ、素材については上記構成に限定されるものではなく、耐久性や処理性能がこれと同等以上と判断され得るような構成であればどのような構成であっても良い。
第1ろ過槽C1では、第1エアリフトポンプP1によって第1ろ過層4の上に供給された被処理水が下降流として第1ろ過層4を通過し、その際に被処理水中の浮遊物質(SS)が主として捕捉される。下降流のろ過処理においては、第1ろ過層4が複数のろ過担体を沈降堆積させた状態で形成してあることから、後段に設置される担体流動槽Dの直前までろ過処理を行うことができるため、第1ろ過槽C1に沈降した汚泥が担体流動槽Dへ流出する虞がなく、被処理水中に含まれる浮遊物質(SS)や汚泥をより確実に捕捉することができる。さらに、後述する返送装置の第2エアリフトポンプP2の吸込み口を第1ろ過層4の上方に設けることで、逆洗時にも浮遊物質(SS)や汚泥の担体流動槽Dへの流出を防止することができる。ろ過された被処理水は、第1ろ過槽C1と担体流動槽Dとを仕切る第2仕切壁W2の下部に設けられている第2移流口H2を介して担体流動槽Dに流れる。
担体流動槽Dは、微生物を担持した状態で被処理水と共に流動可能に構成してある複数の流動担体6を収容保持する。また担体流動槽Dの槽底部中央に散気管7が設けられており、槽外に設置された第2ブロワ14からの空気供給により、散気管7から気泡が放出されるよう構成されている。散気管7から気泡が放出されると、槽中央で上昇流及び槽側壁側で下降流が生じ、これにより流動担体6が槽内を旋回流動する。
担体流動槽Dでは、流動担体6に付着した微生物の働きにより有機物の好気分解及びアンモニア態窒素の硝化反応が行われる。流動担体6の一例としては、例えば、比重約1.01、大きさ20mm×20mmの角形スポンジ状担体が挙げられる。また流動担体6の素材としては、例えばポリウレタン(PU)が挙げられる。尚、流動担体6の形状、大きさ、素材については上記構成に限定されるものではなく、耐久性や処理性能が同等以上と判断され得るような構成であればどのような構成であっても良い。
担体流動槽Dで処理された被処理水は、担体流動槽Dと第2ろ過槽C2とを仕切る第3仕切壁W3の上部に設けられている第3移流口H3を介して、オーバーフローにより第2ろ過槽C2に流れる。
第2ろ過槽C2には、上述の第1ろ過槽C1と同様に、複数のろ過担体からなる第2ろ過層8が形成されている。当該第2ろ過層8は複数のろ過担体を沈降堆積させた状態で形成してあることが望ましい。そのようなろ過担体の一例としては、例えば、比重約1.08、直径15mm、長さ15mmの中空円筒状担体が挙げられる。またろ過担体の素材としては、例えばポリプロピレン(PP)が挙げられる。尚、ろ過担体の形状、大きさ、素材については上記構成に限定されるものではなく、耐久性や処理性能がこれと同等以上と判断され得るような構成であればどのような構成であっても良い。
第2ろ過槽C2では、第3移流口H3から第2ろ過層8の上に供給された被処理水が下降流として第2ろ過層8を通過し、その際に被処理水中の浮遊物質(SS)が主として捕捉される。ろ過された被処理水は、第2ろ過槽C2と処理水槽Eとを仕切る第4仕切壁W4の下部に設けられている第4移流口H4を介して処理水槽Eに流れる。
処理水槽Eは、第2ろ過槽C2で濾過した被処理水を一時的に貯留すると同時に、第2ろ過槽C2で捕捉できなかった剥離汚泥を分離し、汚泥の流出を防止する。また処理水槽Eには、循環用の第4エアリフトポンプP4が設けられており、貯留された被処理水の一部が固液分離槽Aに常時移送される。尚、第4エアリフトポンプP4には、槽外に設置された第2ブロワ14から空気が供給される。
処理水槽Eで処理された被処理水は、処理水槽Eと消毒槽Fとを仕切る第5仕切壁W5の上部に設けられている第5移流口H5を介して、オーバーフローにより消毒槽Fの消毒装置10に流れる。被処理水は、消毒装置10で消毒剤と接触して消毒された後、消毒槽Fに一時貯留されてから放流口より槽外に放流される。
第1ろ過槽C1には、その底部に第1逆洗管5(逆洗装置の一例)が設けられている。また第1ろ過槽C1には、被処理水返送用の第2エアリフトポンプP2(返送装置の一例)が設けられている。槽外に設置された第2ブロワ14から空気が供給され、第1逆洗管5から気泡が放出されると、第1ろ過層4のろ過担体に付着した汚泥が剥離し、第1ろ過層4の目詰まりを防止する。そして、剥離した汚泥を含む被処理水が、第2エアリフトポンプP2により固液分離槽Aに返送される。
第1逆洗管5による逆洗動作と、第2エアリフトポンプP2による返送動作とを制御する制御機構を設けるように構成しても良い。逆洗動作は、浄化槽への被処理水の流入が無いと考えられる時間帯に実施されることが望ましく、例えば、1日に3回以上(例えば午前2時、3時、4時に開始)で、1回あたり10分間程度で実施されるように制御されることが望ましい。返送動作は、逆洗時あるいは逆洗直後に実施されるように制御されることが望ましい。
また第2ろ過槽C2にも第1ろ過槽C1と同様に、第2逆洗管9と第3エアリフトポンプP3とが設けられている。槽外に設置された第2ブロワ14から空気が供給され、第2逆洗管9から気泡が放出されると、第2ろ過層8のろ過担体に付着した汚泥が剥離し、第2ろ過層8の目詰まりを防止する。そして、剥離した汚泥を含む被処理水が、第3エアリフトポンプP3により固液分離槽Aに返送される。
第2逆洗管9による逆洗動作と、第3エアリフトポンプP3による返送動作とを制御する制御機構を設けるように構成しても良い。逆洗動作は、浄化槽への被処理水の流入が無いと考えられる時間帯に実施されることが望ましく、例えば、1日に3回以上(例えば午前2時、3時、4時に開始)で、1回あたり10分間程度で実施されるように制御されることが望ましい。返送動作は、逆洗時あるいは逆洗直後に実施されるように制御されることが望ましい。
第1ろ過槽C1における逆洗・返送動作と、第2ろ過槽C2における逆洗・返送動作とが、同じタイミングで実施されるように制御される構成としても良い。
〔その他の実施形態〕
1.上述の第1ろ過槽C1及び第2ろ過槽C2のそれぞれにおける第1ろ過層4及び第2ろ過層8を、複数のろ過担体を浮揚させた状態で形成するように構成しても良い。
2.上述の第2及び第3エアリフトポンプP2,P3の返送先は、嫌気処理槽以上の上流槽であればよく、嫌気ろ床槽Bに返送したり、あるいは固液分離槽Aと嫌気ろ床槽Bの両方に返送する構成としても良い。
3.上述の実施形態では、第1ブロワ13及び第2ブロワ14の2台のブロワを使用する構成を示しているがこの構成に限定されるものではなく、1台のブロワで兼用するように構成しても良い。
本発明に係る浄化槽は、小型の浄化槽だけでなく、中型及び大型の浄化槽に用いることもできる。
1 浄化槽
2 原水流入口
3 嫌気ろ床
4 第1ろ過層
5 第1逆洗管(逆洗装置)
6 流動担体
7 散気管
8 第2ろ過層
9 第2逆洗管
10 消毒装置
11 第1流入バッフル
12 第2流入バッフル
13 第1ブロワ
14 第2ブロワ
15 計量ボックス
16 バッフル
A 固液分離槽
B 嫌気ろ床槽(嫌気処理槽)
C1 第1ろ過槽(ろ過槽)
D 担体流動槽(好気処理槽)
C2 第2ろ過槽
E 処理水槽
F 消毒槽
R 流量調整部
P1 第1エアリフトポンプ
P2 第2エアリフトポンプ(返送装置)
P3 第3エアリフトポンプ
P4 第4エアリフトポンプ
H1〜H5 第1〜第5移流口
W1〜W5 第1〜第5仕切壁

Claims (4)

  1. 被処理水を嫌気処理する嫌気処理槽と、嫌気処理された被処理水を好気処理する好気処理槽とを備える浄化槽において、
    ろ過層を形成してあるろ過槽を、前記嫌気処理槽と前記好気処理槽との間に設けてあり、
    被処理水が、前記好気処理槽から前記ろ過槽に直接循環せず
    前記ろ過槽から、前記嫌気処理槽以上の上流槽に被処理水を返送する返送装置を設けてあり、
    前記ろ過槽に逆洗装置を設けてあることを特徴とする浄化槽。
  2. 前記嫌気処理槽の上流に固液分離槽を備え、前記返送装置が該固液分離槽に被処理水を返送することを特徴とする請求項1に記載の浄化槽。
  3. 固液分離槽と、該固液分離槽の下流に配置される好気処理槽とを備える浄化槽において、
    ろ過層を形成してあるろ過槽を、前記固液分離槽と前記好気処理槽との間に設けてあり、
    被処理水が、前記好気処理槽から前記ろ過槽に直接循環せず
    前記ろ過槽から、前記固液分離槽に被処理水を返送する返送装置を設けてあり、
    前記ろ過槽に逆洗装置を設けてあることを特徴とする浄化槽。
  4. 前記ろ過層が、複数のろ過担体を前記ろ過槽の底部に沈降堆積させた状態で形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄化槽。
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