JP6631240B2 - 硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法 - Google Patents

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本発明は、硫化水素含有ガスから湿式法によって硫化水素を取り除き、取り除いた硫化水素を脱硫触媒を用いて硫黄または硫黄を含む塩等として回収する硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法に関する。
コークス炉ガスを始めとした硫化水素含有ガスから湿式法により硫化水素を取り除く方法として、主なものとしては、タカハックス法とフマックス法がある。いずれの方法においても多くの設備で、図1に示されるように、吸収塔1と再生塔2を含む。吸収塔1では、硫化水素含有ガス3と、脱硫触媒がアルカリ溶液に溶解されてなる脱硫触媒溶液5とを接触させるものである。再生塔2では、酸素含有ガス6と前記の脱硫触媒溶液5を接触させるものである。
吸収塔1において、硫化水素含有ガス3と脱硫触媒溶液5を接触させることで、硫化水素含有ガス3に含まれる硫化水素を脱硫触媒溶液5に溶け込ませ、硫化水素含有ガス3から硫化水素を取り除き、精製ガス4とする。溶け込んだ硫化水素は脱硫触媒溶液に溶けている脱硫触媒と反応することで酸化され、固体状の硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンとなる。この時、脱硫触媒自身は還元され、酸化体から還元体へと変化する。
また、再生塔2において、酸素含有ガス6と硫化水素を溶け込ませた脱硫触媒溶液5を接触させることで、接触させた酸素含有ガス6に含まれる酸素を脱硫触媒溶液5に溶け込ませ、溶けた酸素が脱硫触媒溶液に含まれる硫化水素と反応した後の還元体の脱硫触媒と反応し、脱硫触媒を酸化体へと戻し、再び脱硫触媒溶液に溶けた硫化水素と反応できる形態に再生する。
脱硫触媒は脱硫触媒溶液に溶けた硫化水素と酸素と交互に反応することで、還元体と酸化体を行き来し、繰り返し利用される。脱硫触媒溶液5は吸収塔1と再生塔2を循環しながら、繰り返し利用される。生成された硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンが溶解した脱硫触媒溶液7は系外に抜き出される。
特許文献1に記載のタカハックス法では、主に芳香族環を2つ有するナフタレン、芳香族環を3つ有するアントラセンまたはフェナントレン骨格を持つキノン類、ハイドロキノン類もしくはそれらの塩で、標準酸化還元電位E=0.45〜0.7Vを示す物質を脱硫触媒として利用している。この時、芳香族環が分子内に2つ以上あることで水への溶解度が低下してしまうため、スルホン酸やカルボン酸などの酸性基を導入することで水への溶解性を高めた物質を脱硫触媒としている。
従来、タカハックス法では一般に、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸塩またはその還元体が触媒として利用されている。水溶液中の触媒化合物のキノン基が酸化と還元を繰り返し、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムとその還元体とを行き来することで、あるいは、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸アンモニウムとその還元体とを行き来することで、脱硫触媒溶液中に溶けた硫化水素を固体の硫黄または硫黄を含む塩もしくはイオンを含む水溶液としている。
特許文献1が発明された時点では、主に固体の硫黄による回収を目的とされていたが、固体硫黄の市場価値の変動などを受け、最近では硫黄を含む塩もしくはイオンを含む水溶液として回収する技術が普遍化してきている。非特許文献1では、より水溶液として回収しやすくするための触媒の開発が行われており、芳香族環を1つだけ有する1,2,4−トリヒドロキシベンゼンや、4−メチルカテコールの検討が行われているが、いずれも既存のタカハック法の触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸塩と同等の活性しか有していない。
また、特許文献2のフマックス法は、触媒として芳香族ポリニトロ化合物または芳香族ポリオキシ化合物を用いる図1に示されるような硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法であり、その脱硫触媒としては通常ピクリン酸を利用しており、硫黄の回収形態は固体の硫黄だけでなく、硫黄を含む塩もしくはイオンが溶解した水溶液として回収されることが多い。
特公昭39−001015号公報 特公昭33−007084号公報 特開平8−059600号公報 特開2012−25900号公報
内田洋、津留義通、河田達也、寺崎太二郎、小島幸、井筒和一郎著「2−ニトロソ−1−ナフトール−4−スルホン酸による湿式酸化脱硫法」燃料協会誌、第60巻、1981年、p.58−64
タカハックス法、フマックス法はいずれも、循環利用している脱硫触媒溶液の一部を、硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンが溶解した脱硫触媒溶液として、系外に抜き出すため、脱硫触媒溶液中の脱硫触媒の濃度を保つために、随時、補給する必要がある。そのため、脱硫触媒はより活性が高く、少量であっても効果を発揮できるものが望まれている。活性の高い脱硫触媒を利用することで、十分な活性を得るために必要な脱硫触媒の量が少なくなるため、補給する量を減らしコストを下げることができ、さらに脱硫触媒の在庫を貯蔵するための設備や脱硫触媒を補給するための設備が小型化できるためである。
また、さらに、タカハックス法、フマックス法はいずれも、脱硫触媒を貯蔵する際の形態や輸送する際の形態が水溶液であるため、容量が嵩んで貯蔵する際や輸送する際にコストが掛かるという問題を擁していた。そのため、貯蔵する際や輸送する際が水溶液状になる脱硫触媒ではなく、固体状になる脱硫触媒が望まれていた。
しかしながら、フマックス法の脱硫触媒であるピクリン酸は乾燥させ固体化すると爆発性があるため、大量のピクリン酸を貯蔵、輸送する場合には、安全上の理由で水溶液状態でしか取り扱えない。
一方、タカハックス法では特許文献3のとおり固体化の可能性があるが、一度水溶液として製造されたものを塩析出させて結晶化する方法であり、プロセスが複雑化しコスト面での問題があるため、現状では製造されておらず、手に入りにくい。
また、非特許文献1で検討されているような1,2,4−トリヒドロキシベンゼンや4−メチルカテコールは、固体状で販売されているものの、活性は既存のタカハックス触媒と同程度である。
上記課題を鑑みて、本発明は、固体状で取り扱いができ、爆発性のような安全の問題が無く、従来の脱硫触媒よりも高い脱硫性能を有する脱硫触媒を用いた湿式脱硫方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、爆発性がなく、固体状の触媒を発明者らが鋭意検討した結果、湿式脱硫方法において、脱硫触媒としてトリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を用いると脱硫能力が既存のタカハックス触媒よりも高いことを見出した。
発明者らは貯蔵や輸送のコストの観点から、固体状での取り扱いが可能であり、芳香族環の少ない化合物での検討を進めた。特許文献1では水溶性の確保のために、酸性基が導入されることが必須とされていたが、分子内の芳香族環が1つのみの化合物であれば、特段、酸性基を導入することなしに、水溶液化させることが可能であることが分かった。また、すでに非特許文献1などで活性があることが確認されている1,2,4−トリヒドロキシベンゼンでは、既存のタカハックス触媒程度の活性が得られたものの、同様の置換基を有し、官能基の位置のみが異なるピロガロールで検討を行ったところ、十分な活性が得られないことが分かった。また、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンにさらにヒドロキシ基が1つ追加された2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンであっても、十分な活性が得られないことが分かった。したがって、単純な官能基の種類だけでなく、その位置関係と置換数も考慮して検討しなければならないことが明らかとなった。
いくつもの芳香族環が1つのみの化合物で検討を行った結果、トリメチルヒドロキノンが既存のタカハックス触媒よりも高い活性を持つことが分かった。その反応機構は図2に示される通り、従来のタカハックス触媒と同様に、キノン基の部分で、溶解した硫化水素(HS)11による還元と、酸素(O)13による酸化が生じ、酸化体のトリメチルベンゾキノン9と還元体のトリメチルヒドロキノン10とに変化しているものと考えられる。
したがって、反応系に、トリメチルベンゾキノン、トリメチルヒドロキノンのどちらか一方のみを用いても、触媒のキノン基が酸化及び還元されることが繰り返されて、酸化体と還元体を行き来することになり、反応系では双方が存在して、脱硫が進行すると考えられる。
このように、湿式脱硫方法において、脱硫触媒としてトリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を用いることで、本発明の課題を解決できることを見出し、発明を為すに至った。
(1) 脱硫触媒がアルカリ溶液に溶解されてなる脱硫触媒溶液に、硫化水素含有ガスを接触させることにより、前記硫化水素含有ガスの脱硫を行う湿式脱硫方法において、前記脱硫触媒として、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を用い、前記硫化水素含有ガスを接触させた後の前記脱硫触媒溶液に酸素含有ガスを接触させて、前記硫化水素の硫黄分を硫黄、硫黄を含む塩、若しくは硫黄を含むイオンとして回収することを特徴とする硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
(2) 前記アルカリ溶液のアルカリ源としてアンモニアを用いることを特徴とする(1)に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
(3) 前記脱硫触媒溶液は、前記トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体の状態で、アルカリ溶液に投入して溶解させて製造することを特徴とする(1)または(2)に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
(4) 前記トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体の状態で、前記脱硫触媒溶液に投入して、前記脱硫触媒を補充することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
(5) 吸収塔と再生塔とを用い、
前記吸収塔と前記再生塔との間で前記脱硫触媒溶液を循環させながら脱硫を行う、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法であって、
前記吸収塔において、前記脱硫触媒溶液に、前記硫化水素含有ガスを接触させることにより、前記硫化水素含有ガス中の硫化水素を、前記脱硫触媒溶液中に溶解させて、前記硫化水素含有ガスから前記硫化水素を除去して精製ガスとし、
前記吸収塔から前記再生塔に、前記硫化水素を溶解させた前記脱硫触媒溶液を循環させ、前記再生塔において、前記脱硫触媒溶液に酸素含有ガスを接触させて、硫黄、硫黄を含む塩、若しくは硫黄を含むイオンを生成させ、前記硫黄、前記硫黄を含む塩、若しくは前記硫黄を含むイオンを回収し、その後、前記脱硫触媒溶液を前記吸収塔に循環させる、ことを特徴とする硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
(6) 前記再生塔に、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体状で前記脱硫触媒溶液に投入して前記脱硫触媒を補充することを特徴とする(5)に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
本発明によれば、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を脱硫触媒として用いることで、固体状で取り扱いができ、爆発性のような安全の問題が無く、従来の脱硫触媒よりも高い脱硫性能を有する脱硫触媒を用いた湿式脱硫方法を提供することができる。
一般的な脱硫触媒を用いた硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法の概略構成図である。 トリメチルヒドロキノンおよびトリメチルベンゾキノンと、硫化水素(HS)及び酸素(O)との推定反応式である。 再生塔に固体状脱硫触媒の投入口が設けられた再生塔を有する脱硫設備の模式図である。 吸収塔と再生塔の機能を兼ね備えた脱硫設備の模式図である。 実施例1〜3と比較例1〜8に用いた脱硫触媒活性評価試験装置の模式図である。 実施例4〜6と比較例9、10に用いた脱硫試験装置の模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示されるように、本発明の湿式脱硫方法は、従来の湿式脱硫方法と同様に、吸収工程と再生工程の大きく二つの工程から構成される。
一つ目の吸収工程は、硫化水素含有ガス3中に含まれる硫化水素をアルカリ性の脱硫触媒溶液5に接触させて、硫化水素を脱硫触媒溶液に溶け込ませる工程であり、吸収塔1で実行されることが多い。
硫化水素含有ガス3とは、主に各種の乾留炉、加熱炉、動力プラント等から排出される排ガスで、10ppmから10000ppm程度の硫化水素を含有するガスであり、アルカリ溶液への硫化水素の溶解平衡の問題から、ある程度高濃度の硫化水素を含有するガスの方が高い硫化水素除去率を実現できるため、より好ましくは1000ppm以上10000ppm以下の硫化水素を含有するガスである。硫化水素含有ガスは、硫化水素以外に水素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、アンモニア、シアン化水素などが含まれうる。コークス炉から排出されるコークス炉ガスは一般に上記程度の硫化水素を含み、本発明を適用する硫化水素含有ガスの好例である。
硫化水素含有ガスと脱硫触媒溶液を接触させることで、硫化水素含有ガスに含まれている硫化水素を脱硫触媒溶液へと溶解させるが、この際、硫化水素含有ガスに含まれるシアン化水素などの他の酸性ガスが、脱硫触媒溶液へと溶解しても構わず、特にシアン化水素を同時に除去することを目的としても問題ない。
硫化水素含有ガスと接触させ硫化水素を溶け込ませる脱硫触媒溶液5は、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を脱硫触媒としてアルカリ溶液に溶解させたものである。この際、脱硫触媒の濃度は十分な活性を得るために0.01mmol/L以上が好ましい。また、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの水への溶解度が大きくないため、上限は10mmol/L以下が好ましい。
さらに、硫化水素含有ガスから硫化水素を吸収させるためには、脱硫触媒溶液5のpHをアルカリ性に保つ必要があるが、高アルカリになりすぎると脱硫触媒の活性低下につながるため、脱硫触媒溶液のpHは7.5〜11.0の範囲に維持することが好ましい。
トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を脱硫触媒として用いることで、たとえば、タカハックス法の脱硫触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムを用いた場合と比較すると、1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの既存の販売形態(1mol/Lナトリウム塩水溶液)では、1kgあたりおよそ1molの1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムを含むのに対し、トリメチルヒドロキノン粉末では1kgあたり6mol以上のトリメチルヒドロキノンを含み、いずれの脱硫触媒の分子においても分子1つに対して1つの活性部位を持つため、単位重さあたりの活性部位はトリメチルヒドロキノン粉末の方が、一般に入手できる1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウム水溶液に対して6倍以上となり、貯蔵や輸送の費用が低減できる。本観点から考えると環の数が少ないものが好ましく、本発明で用いるトリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンは芳香族環の数が一つであり、貯蔵や輸送の費用の低減に効果的である。
脱硫触媒溶液を構成するアルカリ溶液のアルカリ源には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが利用される。本発明においては脱硫触媒であるトリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方がアルカリ金属を含んでいないため、アルカリ源に特にアンモニアを用いることにより、アルカリ金属を含まない脱硫触媒溶液によって脱硫の効果を発揮することができる。このことは、本プロセスの後、脱硫触媒溶液から硫酸イオンまたはその塩を回収する工程または脱硫触媒溶液を廃液として処理する工程において、アルカリ金属による設備の損傷などを考慮する必要が無くなり、設備や操業上の制約を緩和することになり有利であるため、アルカリ源にアンモニアを用いることが好ましい。
脱硫触媒溶液と硫化水素含有ガスとの接触方法は、吸収塔下部より硫化水素含有ガスを挿入し、吸収塔上部より脱硫触媒溶液を散布して、脱硫触媒溶液に硫化水素を吸収させる方法でも良いし、吸収塔において脱硫触媒溶液を溜め、溜められた脱硫触媒溶液に硫化水素含有ガスを吹込む方法でもよく、これら以外の方法でも構わない。吸収塔下部より硫化水素含有ガスを挿入し、吸収塔上部より脱硫触媒溶液を散布する形態の場合、硫化水素含有ガスと脱硫触媒溶液の接触面積をより大きくするために、充填剤などを利用しても構わない。
また、再生工程は、硫化水素を吸収させた脱硫触媒溶液5に、酸素含有ガス20を吹き込んで脱硫触媒を再生させるとともに、溶液中に溶けた硫化水素を硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンにする工程であり、再生塔19で実施されることが多い。酸素含有ガスは、トリメチルヒドロキノンをトリメチルベンゾキノンに酸化させるために必要なものであり、空気、酸素、又は、酸素富化空気などを使用することができる。
脱硫触媒溶液中の脱硫触媒の酸化体であるトリメチルベンゾキノンと、還元体であるトリメチルヒドロキノンとの役割について記す。吸収塔で脱硫触媒を含むアルカリ性の溶液に硫化水素が溶解すると、脱硫触媒溶液中のトリメチルベンゾキノンが硫化水素と反応し、トリメチルヒドロキノンになる。吸収塔においてアルカリ性の溶液に溶解する硫化水素の量は、脱硫触媒の濃度よりも高くなるため、吸収塔から取り出される脱硫触媒溶液中における脱硫触媒のほとんどがトリメチルヒドロキノンとなり、全量の硫化水素の処理が終了しないまま、再生塔へと送液される。再生塔では、前記の通り、酸素含有ガスを吹込むことで、トリメチルヒドロキノンが酸素含有ガス中の酸素と反応しトリメチルベンゾキノンとなるため、再び硫化水素と反応することが可能となる。
吸収塔から送液され再生塔に導入される脱硫触媒溶液中の脱硫触媒は、前記の通りほとんどがトリメチルヒドロキノンとなるが、再生塔において酸素との反応と硫化水素との反応を繰り返して、脱硫触媒溶液中の硫化水素量が減少していくと、トリメチルベンゾキノンが硫化水素と反応できなくなる一方で、酸素は随時供給されトリメチルヒドロキノンがトリメチルベンゾキノンになる反応のみが進行するため、脱硫触媒溶液中の脱硫触媒においてトリメチルベンゾキノンの割合が上昇していく。トリメチルベンゾキノンの割合が上昇した脱硫触媒溶液は再生塔から吸収塔に送液され、再利用される。したがって、脱硫触媒溶液中の硫化水素はその一部が吸収塔で酸化されるが、大半は再生塔において酸化され、硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンとなる。
また、上記のようなメカニズムであるため、脱硫触媒溶液に溶解させる脱硫触媒としては、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンのどちらか一方であっても、双方であっても構わない。反応によって、吸収塔、再生塔のそれぞれにおいて、上述のような存在形態に落ち着くためである。
脱硫触媒溶液と酸素含有ガスとの接触方法は、再生塔に脱硫触媒溶液を溜め、溜められた脱硫触媒溶液に酸素含有ガスを吹込む方法でもよいし、再生塔下部より酸素含有ガスを挿入し、再生塔上部より脱硫触媒溶液を散布して、脱硫触媒溶液に硫化水素を吸収させる方法などのそれ以外の方法でも構わない。
吸収工程と再生工程を有する設備としては、上述のように、吸収塔と再生塔とを別に作っても構わないし、図4に示されるように、吹込む硫化水素含有ガス24と酸素含有ガス30が混合しないように考慮されていれば、再生塔と吸収塔の機能を兼ね備えた一つの設備で実施されても構わない(例えば、特許文献4等、参照)。
図4では、塔内に設置した隔壁27よりも上部が吸収塔として機能し、この上部にて吸収工程が実施され、隔壁27よりも下部が再生塔として機能し再生工程が実施される。隔壁27より上部では、硫化水素含有ガス24が隔壁27に近い位置より吹込まれ、循環利用されている脱硫触媒を溶解させた脱硫触媒溶液28、31が上部より散布することで、硫化水素含有ガス24が接触し、硫化水素含有ガス24中の硫化水素が脱硫触媒溶液28、31に吸収され、硫化水素が除かれた硫化水素含有ガス24は精製ガス25として塔頂付近より回収される。この時、硫化水素含有ガス24と脱硫触媒溶液28、31の接触面積を増大させるために、塔上部の硫化水素含有ガス24の導入部と精製ガス25の導出部との間に、充填剤層26を設けてもよい。硫化水素を吸収した脱硫触媒溶液28、31は隔壁27をつたい、シールポット29を経由し、シールポット29から溢れた脱硫触媒溶液28が塔下部に蓄えられる。塔下部に蓄えられた脱硫触媒溶液28に酸素含有ガス30が吹込まれ、脱硫触媒の再生が行われる。酸素含有ガス30は脱硫触媒溶液28を通過した後、排ガス33として排出される。塔下部に蓄えられた脱硫触媒溶液28、31は塔下部より抜き出され、生じた硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンを適宜、分離、回収した後、送液ポンプ32によって塔上部から導入されることにより、循環利用される。隔壁27とシールポット29により、吹込む硫化水素含有ガス24と酸素含有ガス30が混合しないようになっている。
本発明に係る固体状の脱硫触媒を設備中の脱硫触媒溶液に投入する際、事前に水またはアルカリ溶液に溶解させて水溶液状にしてから設備中の脱硫触媒溶液に投入しても良いし、固体状の脱硫触媒をそのまま設備中の脱硫触媒溶液に投入しても良い。固体状の脱硫触媒をそのまま設備中の脱硫触媒溶液に投入する場合、固体状の脱硫触媒を水溶液状にする必要が無くなり、工程の複雑化を防ぐことができるため好ましい。
脱硫触媒は、劣化したり、硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンを回収する工程で、脱硫触媒溶液の一部抜き出しにより、除々に消失されることから、設備稼働中に、連続的又は断続的に補充することが好ましい。補充に当たっては、循環させている脱硫触媒溶液の抜き出し量、抜き出した溶液の成分、循環している脱硫触媒溶液の酸化還元電位などを考慮し、脱硫触媒の添加量、及びタイミングを、適宜決定すればよい。
また、固体状の脱硫触媒をそのまま投入する場合、投入するための投入口を設備中に設ける必要があるが、再生塔と吸収塔とが別の設備として作られ、再生塔19において脱硫触媒溶液を溜め、溜められた脱硫触媒溶液に酸素含有ガス20を吹込む方法を実施する図3のような場合、再生塔の上部に直接固体の脱硫触媒を投入する投入口21を設けることが好ましい。再生塔19に溜められた脱硫触媒溶液は設備を循環している脱硫触媒溶液の大半をしめており、また、酸素含有ガス20が吹き込まれることにより、撹拌が促進されている状態にあるため、効率よく脱硫触媒を脱硫触媒溶液へと溶解、拡散させることができる。
また、本発明に係る固体状の脱硫触媒を、設備中の脱硫触媒溶液に投入する際、脱硫触媒溶液中に、他の触媒が含まれていても構わない。例えば、既存の湿式脱硫装置を使用して、本発明の方法を実施する場合は、既に脱硫触媒溶液に、従来のタカハックス法で使用されている脱硫触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸塩とその還元体が含まれているが、当該溶液に、本発明に係る固体状の脱硫触媒を追加していくように、実施しても構わない。
〔比較例1〕
図5に示すように、500mLビーカー34に400mLの模擬反応液35を入れ、磁気撹拌機36を用いて溶液を撹拌しながら、円筒ガス噴射管37を通じて空気を0.3L/minで吹込み反応を実施した。模擬反応液35の組成は、溶解した硫化水素の代替としてNaSHを10mmol/Lの濃度とし、タカハックス法の脱硫触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムを0.2mmol/Lの濃度とした。硫化水素はアルカリ溶液に溶解した場合、硫化水素イオンになるため、水溶液化した際にナトリウムイオンと硫化水素イオンに電離するNaSHを硫化水素の代替として用いた。NaSHのアルカリ性により、模擬反応液35調整時のpHは7.5〜11.0の範囲内になるため、アルカリ源によるpH調整は行わなかった。脱硫触媒による活性の評価を一定とするため、反応液の温度を湯浴40を用いて30℃の一定に保った。なお、本試験はバッチ試験であり、溶液中の硫化水素イオン濃度が減少し続ける条件で行われた。
1時間30分間の反応時間の経過に従い反応液のサンプリングを行い、キャピラリ電気泳動装置による硫化水素イオン濃度を測定し、硫化水素イオン濃度の経時変化から硫化水素イオンの減少率1.50mmol・L−1・hr−1を得た。なお、硫化水素イオン濃度の反応時間に対する関係を最小二乗法により直線近似し負の傾きの大きさを求め、得られた傾きの大きさから触媒を入れずに同様の実験を行った際に得られる傾きの大きさを差し引いた値を硫化水素イオンの減少率とした。
〔実施例1〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに、固体状のトリメチルヒドロキノンを入れ、模擬反応液35中に溶解させて実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率3.07mmol・L−1・hr−1を得た。これは、トリメチルヒドロキノンが従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの2倍程度の硫化水素イオン処理能力を持ちうることを示している。
〔実施例2〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに固体状のトリメチルベンゾキノンを入れ、模擬反応液35中に溶解させて実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率2.86mmol・L−1・hr−1を得た。これは、トリメチルベンゾキノンが従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの2倍程度の硫化水素イオン処理能力を持ちうることを示している。
〔実施例3〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに固体状のトリメチルヒドロキノンとトリメチルベンゾキノンの両方を入れ、模擬反応液35中に溶解させて実施した。トリメチルヒドロキノンとトリメチルベンゾキノンの濃度はそれぞれ0.1mmol/Lとなるようにし、あわせた触媒濃度が0.2mmol/Lとなるようにした。NaSH濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率2.95mmol・L−1・hr−1を得た。これは、トリメチルヒドロキノンとトリメチルベンゾキノンの両方を同時に用いた場合も、従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの2倍程度の硫化水素イオン処理能力を発揮しうることを示している。
〔比較例2〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりにヒドロキノンを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は1.02mmol・L−1・hr−1となった。これは、キノン基を有する最も単純な化合物の一つであるヒドロキノンでは、従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の性能を得られないことを示している。
〔比較例3〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりにカテコールを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は0.87mmol・L−1・hr−1となった。これは、キノン基を有する最も単純な化合物の一つであるカテコールでは、従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の性能を得られないことを示している。
〔比較例4〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウムを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は1.46mmol・L−1・hr−1となった。これは、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウムが従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の硫化水素イオン処理能力しか持ちえないことを示している。
〔比較例5〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに1,2,4−トリヒドロキシベンゼンを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は1.53mmol・L−1・hr−1となった。これは、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンが従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の硫化水素イオン処理能力しか持ちえないことを示している。
〔比較例6〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに4−メチルカテコールを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は1.72mmol・L−1・hr−1となった。これは、4−メチルカテコールが従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の硫化水素イオン処理能力しか持ちえないことを示している。
〔比較例7〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりにピロガロールを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は0.03mmol・L−1・hr−1となった。これは、ピロガロールが硫化水素イオン処理能力を有さないことを示し、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンの結果と比較すると、同一の官能基を有していても、その位置により硫化水素イオン処理能力に差があることを示している。
〔比較例8〕
比較例1と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりに2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンを入れ実施した。濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例1と同様である。その際、硫化水素イオンの減少率は0.50mmol・L−1・hr−1となった。これは、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンでは、従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の性能を得られないことを示し、1,2,4−トリヒドロキシベンゼンの結果と比較すると、同一の官能基を有していても、その数により硫化水素イオン処理能力に差があることを示している。
〔比較例9〕
実験装置を図6に示す。吸収塔42は塔径60mm、高さ900mmのガラス製の塔に10mmφのラヒシリングを750mmの高さまで入れた充填塔とし、再生塔48は塔径80mm、高さ1300mmのガラス製の気泡塔とし、ガス吹き込み口には円筒ガス噴射管を使用し、有効液高は1000mmであった。また、実験用の循環液槽45として10Lのガラス瓶を使用した。
模擬ガス41の組成はアンモニア10000ppm、硫化水素5000ppmを含む窒素ガスを用意し、上記吸収塔42の下部から0.8Nm/hrで吹込んだ。また、再生塔48下部より吹込む空気49の量は50NL/hrとした。模擬反応液46は45L/hrの流速で送液ポンプ47により系内を循環させた。模擬反応液はタカハックス法の脱硫触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウム濃度を2mmol/Lとし、アルカリ源としてアンモニア水を用いて初期のpHを9.0に調整した。試験開始後のアルカリ源は模擬ガス41に含まれるアンモニアのみとし、それ以外のpH調製は実施していない。
吸収塔42上部より出てくる処理後の精製ガス43の硫化水素濃度を炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ44で一定時間毎に測定し、導入した硫化水素の中の除去された硫化水素濃度の割合である硫化水素除去率を求めた。その結果、試験開始後5時間後において硫化水素除去率100.0%、15時間後において硫化水素除去率99.2%となった。
〔実施例4〕
比較例9と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりにトリメチルヒドロキノンを入れ実施した。実験設備、濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例9と同様である。その際、試験開始後5時間後と15時間後においてそれぞれ硫化水素除去率99.9%と99.3%を得た。これは、トリメチルヒドロキノンには従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の硫化水素イオン処理能力があることを示している。
〔比較例10〕
比較例9と同様の実験を1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムの代わりにヒドロキノンを入れ実施した。実験設備、濃度、アルカリ源、反応温度はいずれも比較例9と同様である。その際、試験開始後5時間後と15時間後においてそれぞれ硫化水素除去率87.3%と62.8%を得た。これは、ヒドロキノンでは従来のタカハックス触媒である1,4−ナフトキノン−2−スルホン酸ナトリウムと同等の性能を得られないことを示している。模擬反応液であるアルカリ溶液に溶解した硫化水素が触媒によって十分に処理されず、アルカリ溶液に蓄積してしまった結果、硫化水素を十分に吸収できなくなったためと考えられる。
〔実施例5〕
実施例4と同様の実験で模擬ガスの組成をアンモニア12000ppm、硫化水素4000ppm、シアン化水素1000ppm、二酸化炭素、25000ppm、メタン3000ppmを含む窒素ガスとした場合、5時間後における硫化水素除去率は99.5%であった。これは、コークス炉ガスなどに含まれる他の酸性ガスであるシアン化水素や二酸化炭素、または、コークス炉ガス等に含まれる炭化水素ガスであるメタンが脱硫性能に影響を及ぼさないことを示している。
〔実施例6〕
実施例4と同様の実験で、試験開始後5時間後に一度、模擬ガスの流通および液の循環、空気の吹込みを止め、循環液槽より模擬反応液を2L抜き出し、pHが9.0となるように希釈したアンモニア水2Lを投入した。さらに、トリメチルヒドロキノン609mgを再生塔上部の固体状脱硫触媒投入口50より固体粉末状のまま、再生塔中に蓄えられた溶液に投入した。その後、再度、模擬ガスの流通および液の循環、空気の吹込みを開始し、再開後2時間後に硫化水素除去率が99.1%となった。これは、固体粉末状のまま投入しても、脱硫性能に影響を及ぼさないことを示している。
1、16、42:吸収塔、2、19、48:再生塔、3、15、24:硫化水素含有ガス、4、17、25、43:精製ガス、5、28、31:脱硫触媒溶液、6、20、30:酸素含有ガス、7、23:硫黄若しくは硫黄を含む塩又は硫黄を含むイオンが溶解した脱硫触媒溶液、8、22、33、51:排ガス、9:トリメチルベンゾキノン(酸化体)、10:トリメチルヒドロキノン(還元体)、11:硫化水素、12:硫黄、13:酸素、14:水、18、32、47:送液ポンプ、21、50:固体状脱硫触媒の投入口、26:充填剤、27:隔壁、29:シールポット、34:500mLビーカー、35、46:模擬反応液、36:磁気撹拌機、37:円筒ガス噴射管、38:pH/ORP計、39:溶存酸素計、40:湯浴、41:硫化水素含有ガス(模擬ガス)、44:炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ、45:循環液槽、49:空気。

Claims (6)

  1. 脱硫触媒がアルカリ溶液に溶解されてなる脱硫触媒溶液に、硫化水素含有ガスを接触させることにより、前記硫化水素含有ガスの脱硫を行う湿式脱硫方法において、前記脱硫触媒として、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を用い、前記硫化水素含有ガスを接触させた後の前記脱硫触媒溶液に酸素含有ガスを接触させて、前記硫化水素の硫黄分を硫黄、硫黄を含む塩、若しくは硫黄を含むイオンとして回収することを特徴とする硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
  2. 前記アルカリ溶液のアルカリ源としてアンモニアを用いることを特徴とする請求項1に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
  3. 前記脱硫触媒溶液は、前記トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体の状態で、アルカリ溶液に投入して溶解させて製造することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
  4. 前記トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体の状態で、前記脱硫触媒溶液に投入して、前記脱硫触媒を補充することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
  5. 吸収塔と再生塔とを用い、
    前記吸収塔と前記再生塔との間で前記脱硫触媒溶液を循環させながら脱硫を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法であって、
    前記吸収塔において、前記脱硫触媒溶液に、前記硫化水素含有ガスを接触させることにより、前記硫化水素含有ガス中の硫化水素を、前記脱硫触媒溶液中に溶解させて、前記硫化水素含有ガスから前記硫化水素を除去して精製ガスとし、
    前記吸収塔から前記再生塔に、前記硫化水素を溶解させた前記脱硫触媒溶液を循環させ、前記再生塔において、前記脱硫触媒溶液に酸素含有ガスを接触させて、硫黄、硫黄を含む塩、若しくは硫黄を含むイオンを生成させ、前記硫黄、前記硫黄を含む塩、若しくは前記硫黄を含むイオンを回収し、その後、前記脱硫触媒溶液を前記吸収塔に循環させる、ことを特徴とする硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
  6. 前記再生塔に、トリメチルヒドロキノンまたはトリメチルベンゾキノンの一方又は両方を、固体状で前記脱硫触媒溶液に投入して前記脱硫触媒を補充することを特徴とする請求項5に記載の硫化水素含有ガスからの湿式脱硫方法。
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