以下、図面を用いて、本発明の一の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る除包システム1の全体構造を示した図である。この除包システム1は、取り出しユニット支持部2、錠剤収集部3、錠剤分配機構4等を有して構成される。なお、除包システム1は、例えば服用量1回分の錠剤を分包して一包化する分包部としての分包装置5上にセットされて用いられ、分包装置5と共に一包化システム6を構成する。
取り出しユニット支持部2は、後述の錠剤取り出しユニット100を支持する部位であり、本実施形態では、高さの異なる2つの棚板21,22を有し、棚板21,22にそれぞれ6室の収納室23を設けている。錠剤取り出しユニット100は各収納室23に配置されて支持される。もちろん、棚板21,22の段数、収納室23の室数は全く限定されるものではない。
取り出しユニット支持部2の下方には錠剤収集部3が設けられている。錠剤収集部3は、各収納室23に配置された各錠剤取り出しユニット100から取り出された錠剤を1箇所に集める。図1〜図3に示したように、幅方向に隣接する各収納室23に配置された錠剤取り出しユニット100の全てから排出される錠剤を受け止められるように、上部が正面からみて幅広で、下部が幅方向略中央ほど幅が狭まる略漏斗状に形成されている。そして、幅方向略中央の下部が、収集した錠剤を供給する供給口31となっている。供給口31には、供給口用開閉シャッター32が設けられており、該供給口用開閉シャッター32の閉鎖時においては各錠剤取り出しユニット100から排出された錠剤を、例えば服用量1回分に相当する一包化相当分ずつ収集し、開口時においては収集された一包化相当分の錠剤を供給口31から錠剤分配機構4に供給する。なお、本願における一包化相当分の錠剤とは、分包装置5において一つの袋やシートに包装される量の錠剤をいい、服用量1回分に相当する場合が多いが、それに限定されるものではない。
錠剤分配機構4は、錠剤収集部3の下方に設けられる。錠剤分配機構4は、その下方にセットされる分包装置5に錠剤収集部3から供給された一包化相当分の錠剤を分配する。分包装置5には、縦横複数列で錠剤マス51が設けられており、そのそれぞれに一包化相当分の錠剤を分配する。錠剤分配機構4は、かかる機能を有するものであればその構造は限定されるものではないが、本実施形態の錠剤分配機構4は、分配カップ41と、分配カップ41を支持して適宜位置に移動させる移動制御機構42とを有して構成される。
移動制御機構42は、図4に示したように、本実施形態では、XYスライダ機構420と分配カップ41を支持するカップ支持台421とを備えると共に、図5に示したタイミングベルト422を備えてなる。なお、図1〜図4ではタイミングベルト422の表示は省略している。XYスライダ機構420は、本実施形態では、カップ支持台421をX方向にスライド可能に支持するX方向レール420aと、X方向レール420aに直交し、X方向レール420aの各端部付近に配設される一対のY方向レール420b,420bとを有して構成される。X方向レール420aの各端部には、Y方向レール420b,420bに沿ってスライド可能な連結用スライド体420c,420cが設けられている。また、各Y方向レール420b,420bの各端部は、X方向レール420aに略平行に、取り出しユニット支持部2の下方に延びる支柱部材1bに固定された固定フレーム420d,420dによって支持される。
一方の固定フレーム420dには、各Y方向レール420b,420bの長手方向延長上にそれぞれステッピングモータ等のモータ420e,420eが支持される。モータ420e,420eの回転軸には一方のタイミングプーリ420f,420fが連結される。一方の固定フレーム420dに対向する他方の固定フレーム420dにおける、各Y方向レール420b,420bの長手方向延長上にも他方のタイミングプーリ420g,420gが回転可能に支持されている。また、連結用スライド体420c,420cのそれぞれには、Y方向レール420b,420bに沿って所定間隔をおいてガイドプーリ420h,420h,420i,420iが2つずつ設けられている。
そして、図5(a),(b)に示したように、タイミングベルト422を、X方向レール420aを中心として見た場合に、モータ420e,420e側に位置する2つのガイドプーリ420h,420hに図5(a),(b)の手前から奥側へと掛け回し、駆動側の一方のタイミングプーリ420f,420fにそれぞれ内側から外側へと掛け回し、さらに、対向配置された他方のタイミングプーリ420g,420gに外側から内側へと掛け回し、X方向レール420aを中心として図5(a),(b)の手前に位置する2つのガイドプーリ420i,420iに外側から内側へ掛け回すようにして、平面視でH型に配設する。また、タイミングベルト422のうち、図5(a),(b)の手前に位置する2つのガイドプーリ420i,420i間の連結部422aをカップ支持台421に連結する。
これにより、2つのモータ420e,420eが同一方向に回転するとカップ支持台421がX方向レール420aに沿ってスライドする。例えば、図5(a)に示したように、モータ420e,420eによって駆動側のタイミングプーリ420f,420fがいずれも右方向に回転すると、タイミングベルト422の連結部422aに連結されたカップ支持台421がX方向レール420aに沿って左方向にスライドし、モータ420e,420eによってタイミングプーリ420f,420fがいずれも左方向に回転すると、タイミングベルト422の連結部422aに連結されたカップ支持台421をX方向レール420aに沿って右方向にスライドする。図5(b)に示したように、モータ420e,420eが相互に逆方向に回転すると、すなわち、駆動側のタイミングプーリ420f,420fが相互に内向き方向(例えば一方が右方向で他方が左方向)又は相互に外向き方向(例えば一方が左方向で他方が右方向)に回転すると、タイミングベルト422により、X方向レール420a自体が、Y方向レール420b,420bに沿ってる前進又は後退方向にスライドする。タイミングベルト422の連結部422aにはカップ支持台421が支持されているため、カップ支持台421もX方向レール420aと共にY方向に沿って前進又は後退方向に移動する。
XYスライダ機構420は、カップ支持台421をX方向、Y方向に移動できるものであればその構造は限定されるものではなく、一般的な工業設備で用いられるロボシリンダを用いた機構等を採用することも可能であるが、除包システム1に適する簡易でコンパクトな構造とするには、本実施形態のようなH型に配設されるタイミングベルト422を用いた機構を採用することが好ましい。
分配カップ41は底部が開口しており、図6に示したように、分配カップ41が固定支持されるカップ支持台421に該底部を開閉するカップ用開閉シャッター421aが設けられている。XYスライダ機構420及びカップ開閉シャッター421aは、除包システム1の各機構の制御を行う制御部1a(図1参照)によって次のように制御される。カップ支持台421をXYスライダ機構420によって錠剤収集部3の供給口31の下方まで移動させる(図6(a))。このとき、分配カップ41の底部はカップ用開閉シャッター421aによって閉じられている。供給口用開閉シャッター32が供給口側開閉シャッター用モータ32aの動力によって開くと、供給口31から一包化相当分の錠剤が分配カップ41に供給される(図6(b))。分配カップ41を支持するカップ支持台421は、XYスライダ機構420により、分包装置5の上部にセットされた錠剤トレイ50における所定の錠剤マス51に対応する位置まで移動する(図6(d))。所定の位置に至ったならば、カップ側開閉シャッター用モータ421bの駆動によってカップ用開閉シャッター421aが開き、所定の錠剤マス51に一包化相当分の錠剤が供給される(図6(e))。その後は、分包装置5によって分包されるが、分包装置5の詳細は後述する。制御部1aは、錠剤マス51に錠剤を供給した後、カップ用開閉シャッター421aを閉動作するように制御し、さらに、XYスライダ機構420によって、カップ支持台421及び分配カップ41を錠剤収集部3の供給口31下方に復帰させるように制御する。
一方、錠剤収集部3は、分配カップ41に錠剤を供給したならば、供給口用開閉シャッター32を供給口側開閉シャッター用モータ32aによって直ちに閉動作し(図6(c)、次に供給すべき一包化相当分の錠剤を収集するように制御部1aにより制御される(図6(d),(e))。従って、分配カップ41が所定の錠剤マス51に錠剤を供給した後、次の錠剤マス51に錠剤を供給すべく錠剤収集部3の下方に戻った時点では、次の一包化相当分の錠剤が既に収集された状態となっており、供給口用開閉シャッター32が開くと、図6(b)に示したように、即座に錠剤が供給され、再び分配することができる。このように、本実施形態では、錠剤収集部3の供給口31を供給口用開閉シャッター32と、分配カップ41の底部を開閉するカップ用開閉シャッター421aとを設け、それぞれ独立して開閉するように制御される構成であるため、錠剤の収集から分配までの工程の時間短縮に貢献できる。
次に、取り出しユニット支持部2の各収納室23に配置される本実施形態の錠剤取り出しユニット100について図7〜図15に基づいて説明する。本実施形態の錠剤取り出しユニット100は、図7及び図8に示したように、本体フレーム110に支持される錠剤シート保持部120、搬送機構130、錠剤抜き出し機構140,150、錠剤排出部160等を有して構成される。
本体フレーム110は、左右に所定間隔をおいた2枚の側板111,111を有し、側板上縁間に天板112が設けられている。天板112の後部側には、錠剤シート保持部120が設けられている。錠剤シート保持部120は、所定間隔をおいて幅方向に対向する所定高さのシート支持用側板121,121と、各シート支持用側板121,121の前縁付近を互いに内側に折り曲げて形成した前面板122,122を有して構成される。一対のシート支持用側板121,121間の間隔は、搬送対象の錠剤シート200の幅に相当する程度になっており、この間隔は、錠剤シート200の幅に合わせて調整可能とすることが好ましい。前面板122,122の下縁には切り欠き部122a,122aが形成されている。切り欠き部122a,122aの前面板122,122の下縁を基準とした切り欠き高さは、錠剤シート200の一枚分の厚さ(高さ)に相当する程度となっている。
錠剤シート200は、図15に示したように、表面側において外方に突出し、内部に錠剤を収容する錠剤収容部201aが縦横所定間隔をおいて複数形成された包装用シート201と、包装用シート201の裏面に貼着され、錠剤収容部201aの開口を閉塞するアルミ箔などの封止シート202とを有して構成される。処理対象となる錠剤シート200の種類、錠剤収容部201の形成数、錠剤収容部201の形状(円形、略楕円形等)は限定されるものではないが、本実施形態では、図8に示したように、搬送方向に直交する幅方向に2列で、各列において搬送方向に沿って5つの錠剤収容部201aが形成された錠剤シート200を用いている。この錠剤シート200は、錠剤収容部201aを上向きにした姿勢で錠剤シート保持部120に複数枚積層配置される。
搬送機構130は、錠剤シート保持部120に保持された錠剤シート200を1枚ずつ本体フレーム110の前方に向かって搬送する機構であり、錠剤シート保持部120からその前方に送り出す送り出し部131、錠剤シート保持部120の前方に位置する第1搬送部132、第1搬送部132のさらに前方に位置する第2搬送部133を有して構成される。
送り出し部131は、本体フレーム110の天板112の後部の幅方向略中央部で表面に露出するように設けられた送り出しローラ1311,1311(図8では後方の送り出しローラ1311のみを図示)を有する。後部支持板112の下方における側板111,111間に、前後方向に所定間隔をおいて2本の回転軸1312,1312が設けられ、各回転軸1312,1312が、第1モータ1313の回転によって回転する伝達ギヤ部材1314,1314を介して回転するようになっており、各回転軸1312,1312に送り出しローラ1311,1311が支持される。従って、第1モータ1313が回転駆動することにより、送り出しローラ1311,1311が回転し、錠剤シート保持部120に保持された錠剤シート200のうち、最下層に位置するものが、前面板122,122の下縁の切り欠き部122a,122aを通過して前方に送り出される。
第1搬送部132は、前後方向に所定間隔をおいて側板111,111間に回転自由に掛け渡された回転軸1321,1321と、該回転軸1321,1321にそれぞれ設けられた送り歯車1322,1322とを有している。送り歯車1322,1322は、各回転軸1321,1321に沿って本実施形態では3枚配設されている。上記のように本実施形態で用いた錠剤シート200は、錠剤収容部201aが2列で設けられているため、各錠剤収容部201aに隣接した幅方向各側部201b,201b及び錠剤収容部201aの各列間に位置する幅方向中間部201cに対応して、3枚の送り歯車1322,1322を取り付けている。各送り歯車1322,1322は、錠剤シート200の幅方向各側部200b,200b及び幅方向中間部200cを所定の摩擦力でより前方に搬送できるものであればその形状、材質等は限定されるものではないが、本実施形態では、各送り歯車1322,1322の外周縁を比較的鋭利に形成し、あるいは、回転方向に向かって突出する鉤状に形成して、錠剤シート200の上記部位に食い込むようにしている。それにより、錠剤シート200を確実に前方に送ることができる。また、各送り歯車1322,1322に対向する位置において、天板112から一部が露出して回転する回転ローラ1322a,1322aが設けられており(図14参照)、錠剤シート200は、各送り歯車1322,1322と各回転ローラ1322a,1322aとの間を通過して前方に送られる。
第1搬送部132及び第2搬送部133の間には、第2モータ134が配設されている。第2モータ134の回転軸1341が一方の側板111の外方に突出しており、その端部に主動ギヤ1342が連結され、主動ギヤ1342の後方側に、主動ギヤ1342に噛合する第1搬送部側伝達ギヤ1343が設けられている。第1搬送部側伝達ギヤ1343と一方の側板111との間であって、第1搬送部側伝達ギヤ1343と同軸上に第1搬送部側伝達ギヤ1343と共に回転する中継用伝達ギヤ1344が取り付けられ、中継用伝達ギヤ1344に、各回転軸1321,1321の一方の側板111の外方に設けた回転軸側伝達ギヤ1321a,1321aがそれぞれ噛み合うように設けられている。これにより、第2モータ134の回転駆動力が、各ギヤ1342,1343,1344,1321a,1321aを介して伝達され、各回転軸1321,1321が回転し、それにより各送り歯車1322,1322が回転する。
第2搬送部133は、上記のように、第1搬送部132の前方側に第2モータ134を隔てて設けられる。第2搬送部133の構成は第1搬送部132と同様であり、前後方向に所定間隔をおいて側板111,111間に回転自由に掛け渡された回転軸1331,1331と、該回転軸1331,1331にそれぞれ3枚ずつ設けられた送り歯車1332,1332とを有している。また、各送り歯車1332,1332に対応して、天板112から一部が露出している回転ローラ1332a,1332aが設けられている。
第2モータ134の回転軸1341に連結された主動ギヤ1342の前方側に、主動ギヤ1342に噛合する第2搬送部側伝達ギヤ1345が設けられ、第2搬送部側伝達ギヤ1345と同軸上に配置された中継用伝達ギヤ1346に、回転軸側伝達ギヤ1331a,1331aがそれぞれ噛み合っている。これにより、第2モータ134が回転すると、各ギヤ1342,1345,1346,1331a,1331aを介して、各回転軸1331,1331が回転し、それにより各送り歯車1332,1332が回転する。従って、第2モータ134の回転駆動力は、第1搬送部133の送り歯車1322,1322と第2搬送部134の送り歯車1332,1332とを同期回転させる。
また、本体フレーム110の天板112うち、錠剤シート保持部120の前方側である第1搬送部132及び第2搬送部133が設けられている範囲において、幅方向に離間して一対のシート案内部材113,113が設けられている。シート案内部材113,113の相互間隔は、錠剤シート保持部120のシート支持用側板121,121間の相互間隔とほぼ同じに設定される。従って、錠剤シート保持部120において最下層に位置する錠剤シート200は、送り出し部131の送り出しローラ131,131によって切り欠き部122a,122aを通過して前方に送り出され、シート案内部材113,113の内面間でガイドされながら、上記第1搬送部132の送り歯車1322,1322により、該送り歯車1322,1322と回転ローラ1322a,1322aとの間を通過して前方に搬送され、さらに、第2搬送部133の送り歯車1332,1332により、該送り歯車1332,1332と回転ローラ1332a,1332aとの間を通過して前方に搬送されるが、本実施形態では、この搬送経路の中途に、錠剤を抜き出すための錠剤抜き出し機構140,150が設けられている。本実施形態では、搬送機構130が前後方向に所定間隔をおいて2つの搬送部131,132を有しており、錠剤抜き出し機構140,150はそのそれぞれに対応して設けられている。
まず、第1搬送部131に設けられる錠剤抜き出し機構(第1錠剤抜き出し機構)140は、前後方向に所定間隔を有する2本の回転軸1321,1321間において、側板111,111間に上下に間隔をおいて掛け渡される2本の支持シャフト141,141と、第1錠剤抜き出し部材142とを有して構成される。第2搬送部132に設けられる錠剤抜き出し機構(第2錠剤抜き出し機構)150も同様に、2本の回転軸1331,1331間において、上下に間隔をおいて掛け渡される2本の支持シャフト151,151と、第2錠剤抜き出し部材152とを有して構成される。
第1及び第2錠剤抜き出し部材142,152には、図13に示したように、略直方体形状に形成され、その厚さ方向に、上下に2つの貫通孔1421,1421,1521,1521が形成されており、各貫通孔1421,1421,1521,1521にそれぞれ2本の支持シャフト141,141,151,151が挿通されて支持される。2本の支持シャフト141,141,151,151に支持されることにより、第1及び第2錠剤抜き出し部材142,152は回転できない構造となっている。但し、第1及び第2錠剤抜き出し部材142,152は、支持シャフト141,141,151,151に、リニアブッシュ1411,1511等を介して配設し、軸方向への摺動抵抗を小さくした構成とすることが好ましい。この点についてはさらに後述する。
第1及び第2錠剤抜き出し部材142,152の底部には、搬送方向後方側(錠剤シート保持部120側)から前方に向かって徐々に下方に突出する形状の傾斜部1422,1522が設けられている。第1及び第2錠剤抜き出し部材142,152は、この傾斜部1422,1522が搬送対象である錠剤シート200の上方位置であって、錠剤収容部201aが該傾斜部1422,1522の下方を通過する際には、該傾斜部1422,1522に接触して錠剤収容部201aを押し潰すことができる位置にセットされる。
各傾斜部1422,1522は、搬送方向に沿って徐々に突出するため、錠剤収容部201aは、搬送方向前端がまず各傾斜部1422,1522における後端に接触して僅かに押し潰され(図14の状態)、さらに搬送されていくと、傾斜部1422,1522の下方への突出量が増大していき、それに従って錠剤収容部201aが押し潰されて変形する量が徐々に増していく。これに伴って、錠剤シート200の裏面に配置された封止シート202は、まず前端側が錠剤に押圧されて突き破られ、錠剤収容部201aの変形量が増すに従って、錠剤の下方への突出量が増えていき、それに伴って突き破られる範囲が徐々に広がっていく。封止シート202が所定の範囲突き破られると収容されている錠剤が下方に飛び出すが、錠剤収容部201aが、垂直方向から一気に押圧され、封止シート202のうち、錠剤収容部201aの開口に対応する範囲が全て突き破られるわけではない。封止シート202は、上記のように搬送方向前端側から徐々に破られていく過程で錠剤が下方に飛び出すため、封止シート202の少なくとも搬送方向最後端202aは、包装用シート201における錠剤収容部201aの後端隣接部付近とつながった状態となっている(図15(b),(c)参照)。従って、封止シート201の一部が錠剤と共に錠剤排出部160に落下して混入するような事態が生じにくい。
本実施形態では、錠剤抜き出し機構140,150を搬送方向に沿って2組設けている。これは、本実施形態の錠剤シート200に錠剤収容部201aが2列で形成されているため、それに対応させたものである。つまり、より後方に位置する第1錠剤抜き出し機構140では、第1錠剤抜き出し部材142を図8及び図15において搬送方向後方から前方を見て左列の錠剤収容部201aに対応する位置に設け、前方に位置する第2錠剤抜き出し機構150では、第2錠剤抜き出し部材152を右列に対応する位置に設けている。また、第1錠剤抜き出し部材142と第2錠剤抜き出し部材152との搬送方向に沿った間隔が、錠剤シート200の搬送方向前端側の錠剤収容部201aと搬送方向後端側の錠剤収容部201aとの端縁間距離以上の距離に設定されている。
これにより、錠剤シート200を後方から前方に搬送するだけで、まず、搬送方向左列の錠剤収容部201aが前方から順に第1錠剤抜き出し部材142の傾斜部1422に接触して各錠剤収容部201aから錠剤が一錠ずつ取り出される(図15(b)参照)。この際、搬送方向右列の錠剤収容部201aには第1錠剤抜き出し部材142の傾斜部1422が接触しないが、第1錠剤抜き出し機構140の設置範囲を通過すると、第2錠剤抜き出し部材152の傾斜部1522に接触し、各錠剤収容部201aから錠剤が一錠ずつ取り出される(図15(c)参照)。すなわち、本実施形態では、第1錠剤抜き出し部材142及び第2錠剤抜き出し部材152を上記のような関係で設けることにより、搬送機構130によって錠剤シート200を搬送するだけで錠剤を一錠ずつ取り出すことが可能になる。
なお、錠剤シート200の錠剤収容部201aが3列以上の場合には、錠剤抜き出し機構140,150をその列数に応じて、搬送方向前端側の錠剤収容部201aと搬送方向後端側の錠剤収容部201aとの端縁間距離以上の距離を隔てて錠剤抜き出し機構を増設すれば、錠剤収容部201aの幅方向の列数にかかわらず1錠ずつの取り出しが可能である。また、各錠剤抜き出し機構に、錠剤抜き出し部材を複数ずつ設けることにより、一組の錠剤抜き出し機構によって取り出される錠剤を複数錠ずつとすることも可能である。もちろん、錠剤収容部201aが1列の場合には、第1錠剤抜き出し機構140のみを設けた構成とすることも可能である。いずれにしても錠剤抜き出し機構140,150及び錠剤抜き出し部材142,152は、錠剤シート200の幅方向の配列数、一度に取り出す錠剤数等を考慮して適宜に増減可能な構造とすることも可能である。この場合、それに応じて、錠剤シート保持部120の幅、搬送機構130の長さ等も適宜に調節可能あるいは増減可能な構造とすることで対応できる。
ここで、各錠剤抜き出し機構140,150には、搬送されてくる錠剤シート200の各列の錠剤収容部201aに、錠剤抜き出し部材142,152の傾斜部1422,1522が略正対するようにガイドするガイド機構143,153を設けることが好ましい(図11及び図12参照)。錠剤シート200が搬送機構130によって搬送されてくる際に、幅方向へのずれが生じる場合がある。また、錠剤の種類によって錠剤収容部201aの大きさや形状は必ずしも一定ではない。そのため、錠剤抜き出し部材142,152の傾斜部1422,1522の位置が固定されていると、錠剤収容部201aに左右いずれかに偏った位置で接触する場合が生じる。偏った位置で接触すると、傾斜部1422,1522によって錠剤収容部201aが押し潰されて錠剤が下方に押圧された際に、封止シート202が偏った方向から突き破られ、錠剤が円滑に取り出されない可能性がある。
ガイド機構143,153の構成は限定されるものではないが、本実施形態では、錠剤抜き出し部材142,152に取り付けられるガイド片1431,1431,1531,1531を有し、ガイド片1431,1431,1531,1531に錠剤収容部201aが当接することによって錠剤抜き出し部材142,152の幅方向の位置が変わり、錠剤収容部201aに正対させる構成である。錠剤抜き出し部材142,152を幅方向に変位させる部材として、本実施形態では、錠剤抜き出し部材142,152の貫通孔1421,1421,1521,1521に挿通される支持シャフト141,141,151,151と上記のリニアブッシュ1411,1511が相当する。すなわち、本実施形態では、これらの支持シャフト141,141,151,151とリニアブッシュ1411,1511は、錠剤抜き出し機構140,150において、錠剤抜き出し部材142,152を回転不能に支持する部材として用いられると共に、ガイド機構143,153の構成部材も兼用している。
ガイド片1431,1431,1531,1531は、錠剤抜き出し部材142,152の下部に設けられた傾斜部1422,1522の側方で、搬送されてくる錠剤シート200に向かってすなわち後方に位置する錠剤シート保持部120方向に突出するように設けられる。
すなわち、ガイド片1431,1431,1531,1531は、板ばね部材からなり、錠剤シート保持部120の設置方向である後方に向かって突出し、さらに後方端縁が外方に拡開する第1片部1431a,1431a,1531a,1531aと、第1片部1431a,1431a,1531a,1531aよりも搬送方向前方側に位置し、第1片部1431a,1431a,1531a,1531aよりも内方に向かって膨出する第2片部1431b,1431b,1531b,1531bを有している。従って、相対的には、第1片部1431a,1431a,1531a,1531a間の対向間隔は広く、第2片部1431b,1431b,1531b,1531b間の対向間隔は狭くなっている。なお、第2片部1431b,1431b,1531b,1531bの前方側には第3片部1431c,1431c,1531c,1531cが設けられているが、これは、錠剤が取り出されて空になった錠剤収容部201aが通過する部分であるため、通過しやすいように相互間隔は広めに形成している。
ガイド片1431,1431,1531,1531は、第2片部1431b,1431b,1531b,1531b付近から上方に延びる上部延長片1431d,1431d,1531d,1531dを有しており、この上部延長片1431d,1431d,1531d,1531dが各錠剤抜き出し部材142,152の下部に固定され、第1片部1431a,1431a,1531a,1531a、第2片部1431b,1431b,1531b,1531b及び第3片部1431c,1431c,1531c,1531cが傾斜部1422,1522の側方に隣接配置されるように設けられる。
また、各錠剤抜き出し部材142,152は、上記のように、支持シャフト141,141,151,151に摩擦抵抗の低いリニアブッシュ1411,1411,1511,1511を介して支持されている。このため、ガイド片1431,1431,1531,1531に左右に力が付与されると、各錠剤抜き出し部材142,152は支持シャフト141,141,151,151に沿って左右にスライドする。
従って、例えば、第1錠剤抜き出し機構140においては、図12に示したように、錠剤シート200が搬送されてくると、錠剤収容部201aがガイド片143,143の後方端縁側からその内面に接触する(図12(a),(b),(d),(e)参照)。ガイド片143,143(第1片部1431a,1431a及び第2片部1431b,1431b)は錠剤収容部201aに当接することにより相対的に押圧され、第1錠剤抜き出し部材142は、支持シャフト141,141に沿って左右にスライドしてセンタリングされる(図12(c),(f)参照)。
また、錠剤収容部201aが例えば略楕円形状で、第2片部1431b,1431b間の対向間隔よりも広い場合には、第1片部1431a,1431aが錠剤収容部201aに当接することにより相対的に押圧され、第1錠剤抜き出し部材142は、支持シャフト141,141に沿って左右にスライドしてセンタリングされる。一方、錠剤収容部201aの幅が、第1片部1431a,1431a間の対向間隔よりも狭い場合には、第1片部1431a,1431aの通過した後、第2片部1431b,1431b間を通過する際に両側から規制され、その反力によって第2片部1431b,1431bが押圧され、第1錠剤抜き出し部材142が支持シャフト141,141に沿ってスライドしてセンタリングされる。
このため、本実施形態によれば、錠剤収容部201aの幅方向のサイズが異なる場合でも、対向間隔の異なる第1片部1431a,1431aと第2片部1431b,1431bによって第1錠剤抜き出し部材142が確実にセンタリングされ、傾斜部1422が錠剤収容部201aに略正対し、錠剤収容部201aが左右にあまり偏ることなく傾斜部1422によって押し潰される。その結果、封止シート202の破れ方が偏らず、錠剤が円滑に取り出される。なお、本実施形態では、錠剤収容部201aをガイドする際のガイド片1431,1431間の対向間隔を上記のように2種類設定しているが、ガイド片1431,1431の形状を工夫して対向間隔の種類をさらに増やし、対応可能な錠剤収容部201aのサイズの種類をさらに増やすことも可能である。また、第2錠剤抜き出し部材152に設けられるガイド片153,153の作用が第1錠剤抜き出し部材142のガイド片143,143と同様であることは上記のとおりである。
錠剤排出部160は、図14(b)に示したように、第1錠剤抜き出し部材142及び第2錠剤抜き出し部材152の各傾斜部1422,1522の下方に位置する天板112に形成された排出口161(図14(b)では、第1錠剤抜き出し部材142の傾斜部1422下方の排出口161のみを図示)と、本体フレーム110において排出口161の下方の適宜位置に固定した光センサ等のセンサ部163を有して構成される。上記のように、各錠剤抜き出し部材142,152の各傾斜部1422,1522に各錠剤収容部201aが接触して錠剤が抜き出されると、その錠剤は、各傾斜部1422,1522の下方に位置する排出口161を通過して下方に落下していき、その過程でセンサ部163により通過が検出される。これにより、抜き出された錠剤の数を確実にカウントできる。また、万一、封止シート202の一部が分離し、その破片が落下した場合には、センサ部163が錠剤の場合とは異なる信号を検出する。従って、そのような異常信号を検出した場合には、即座に搬送を停止しアラームを発するなどして、作業者が手動で異物を除去するなどの対応が可能となる。センサ部163としては、光センサに代え、あるいは、光センサと共に、カメラ(撮像素子のみの場合も含む)を用いることもできる。画像を確認することで、錠剤か異物かの判定がより確実になる。また、取り出された錠剤の画像から、各錠剤に刻印、印刷された記号等を読み取って、取り出している錠剤が正しい錠剤か否かの確認を行うこともできる。
錠剤取り出しユニット100は、上記したように、除包システム1において、取り出しユニット支持部2の各収納室23に配設される(図1〜図3参照)。この際、取り出しユニット支持部2の下方に設けられた錠剤収集部3に、各錠剤取り出しユニット100の錠剤排出部160からの錠剤が集められるように、各錠剤取り出しユニット100と錠剤収集部3との間に筒状のシューター180が設けられている。すなわち、各錠剤取り出しユニット100の各錠剤排出部160から排出された錠剤は、シューター180を経由して、錠剤収集部3に集められる。
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、取り出しユニット支持部2の各収納室23に配設されている錠剤取り出しユニット100の錠剤シート保持部120に、所定の錠剤シート200を積層配置する。本実施形態では、上記のように合計12台の錠剤取り出しユニット100を配置可能としているが、例えば、3種類の錠剤を2錠ずつ一包化する場合には、そのうち3台の錠剤取り出しユニット100に各錠剤シート200をセットして起動する。なお、錠剤取り出しユニット100では、錠剤シート200から錠剤が2錠抜き出されると、一時停止し、所定時間経過後に再開するように設定しておく。この設定は、例えば、錠剤取り出しユニット100の背面部や各収納室23などに、入力部(図示せず)を設けておき、入力部を介して一包化相当分の錠剤数が例えば「2」と入力することにより行うことができる。入力部に錠剤数などが入力されると、その信号が上記の制御部1aに送信される。上記の制御部1aは、除包システム1の制御を行うためのものであり、上記した錠剤収集部3の供給口用開閉シャッター32や錠剤分配機構4の制御のほか、錠剤取り出しユニット100の搬送機構130の各モータの駆動等の制御も行う。
各錠剤取り出しユニット100が起動すると、錠剤シート保持部120の最下層の錠剤シート200が搬送機構130によって前方に搬送される。第1搬送部131を通過する際に、図8及び図15の左列の錠剤収容部201aが第1錠剤抜き出し部材142の傾斜部1421に接触して、最前列の錠剤が抜き出される。抜き出された錠剤は、錠剤排出部160に排出され、センサ部163によりカウントされる。搬送機構130はそのまま錠剤シート200の搬送を継続するため、続いて2列目の錠剤が同様に抜き出され、センサ部163によりカウントされる。この時点で2錠抜き出されたことがカウントされるため、その検知信号が上記の制御部1aに送られ、搬送機構130は一時停止するように制御される(錠剤シート200は、図15(b)の状態))。抜き出された錠剤は、いずれもシューター180を経由して錠剤収集部3に集められる。錠剤収集部3では、供給口31が供給口用開閉シャッター32によって閉じられているため、ここにおいて一包化相当分の錠剤が収集される。すなわち、上記の例では、3台の錠剤取り出しユニット100から2錠ずつ錠剤が取り出されるため、錠剤収集部3に一包化相当分である計6錠の錠剤が集められる。
錠剤収集部3に一包化相当分の錠剤が収集されると、引き続き、供給口31の下方に分配カップ41が位置している状態で、供給口用開閉シャッター32が開き、当該錠剤が分配カップ41に供給される(図6(a),(b)参照)。分配カップ41は、分包部を構成する分包装置5の錠剤トレイ50における所定の錠剤マス51上に移動し、カップ用開閉シャッター421aを開いて当該錠剤マス51に一包化相当分である上記の6錠の錠剤を分配する(図6(d),(e)参照)。
一方、錠剤収集部3の供給口用開閉シャッター32は、分配カップ41に一包化相当分の錠剤を供給した後、直ちに閉じる(図6(c)参照)。供給口用開閉シャッター32が閉じるとその信号が制御部1aに送られ、分配カップ41が錠剤マスに分配している間に、各錠剤取り出しユニット100の搬送機構130が再び動作して錠剤シート200を前方に搬送する。錠剤2つ分搬送されることにより、各錠剤取り出しユニット100から2錠ずつ錠剤が取り出され、その個数がセンサ部163によりカウントされ、錠剤収集部3に次の一包化相当分である計6錠の錠剤が収集される(図6(d)参照)。分配カップ41は錠剤マス51に分配へ分配後、直ちに錠剤収集部3の供給口31の下方に戻っており、供給口用開閉シャッター32が再び開くと、次の一包化相当分の錠剤が分配カップ41に即座に供給される(図6(a),(b)参照)。その後は、上記の動作を繰り返し、錠剤シート200の左列の錠剤が全て取り出されると、今度は、第2錠剤抜き出し機構150において同様に右列の錠剤が2錠ずつ抜き出され(図15(c)参照)、再び上記の動作を繰り返す。
従って、本実施形態によれば、錠剤の抜き出しを、錠剤シート200を搬送しながら行うと共に、抜き出した錠剤をXYスライダ機構420に支持された分配カップ41の移動によって連続的に間断なく分配でき、速やかに作業を行うことができる。しかも各錠剤取り出しユニット100からは、2つの錠剤抜き出し機構140,150を通じて、錠剤が1錠ずつ取り出されるため、一度に取り出す錠剤の個数に対応して、その個数分、錠剤シート200の搬送量を制御するだけでよく、制御が容易である。
なお、分包装置5は、複数の錠剤マス51に一包化相当分の錠剤が分配されると、それぞれを個装して一包化するが、分包装置5の構成自体は限定されるものではなく、公知の種々のものを採用できる。図16は、分包装置5の一例を示したものである。分包装置5の筐体5Aの上部に、上記の錠剤マス51を備えた錠剤トレイ50が配置されており、その下方であって筐体5Aの内部には、ホッパー52が設けられている。錠剤マス51の底部には開閉可能な底部シャッター51aが設けられ、底部シャッター51aが開放されることにより落下する錠剤をホッパー52が収集する。また、筐体5A内において、錠剤トレイ50の下方には包装機構55が設けられている。包装機構55は、分包紙55aがロール状に巻回された分包紙ローラ55bと、ホッパー52の出口から排出される錠剤を該分包紙55aで一包化相当分ずつ区分けしてシールする被覆シール機構部55cとを有している。
従って、図16の分包装置5によれば、一包化相当分の錠剤が分配されている錠剤マス51の底部シャッター51aが順次開くと、ホッパー52に当該錠剤が落下し、被覆シール機構部55cにおいて、分包紙55aによって包装される。そして、分包紙55aによって被覆された錠剤が、錠剤袋X1,X2として薬剤排出部56に排出される。また、この分包装置5によれば、錠剤取り出しユニット100による自動的に取り出された錠剤が、錠剤トレイ50の各錠剤マス51に分配されるが、錠剤トレイ50が筐体5Aの上部に設けられているため、自動取り出しに適用できない錠剤を各錠剤マス51に手撒きする作業も容易である。そのため、自動的に取り出した錠剤と手撒きした錠剤とを合わせて一包化することもできる。
また、除包システム1によって除包された錠剤を受け取る分包部として、図17に示した錠剤分包体500を用いることもできる。この錠剤分包体500は、錠剤トレイ510と、封鎖シート520とを有して構成される。錠剤トレイ510は、複数の錠剤マス511を有する点は上記の分包装置5の錠剤トレイ50と同様である。また、錠剤トレイ510は、軽量な合成樹脂製や紙製などから形成され、除包システム1の錠剤分配機構4の下方にセットしたり取り外したりすることができる。封鎖シート520は、合成樹脂製あるいは紙製等の薄いフィルム状のもので、各錠剤マス511の上面開口を閉塞するものである。封鎖シート520は、複数の錠剤マス511の全ての開口を1枚で被覆できる大きさのものを用いると、錠剤トレイ510への貼着工程が容易であるが、各錠剤マス511を個別にあるいは数個ずつ被覆する大きさのものとしてもよい。
図17に示した錠剤分包体500を用いる場合、分包時には、まず、錠剤トレイ510を除包システム1の錠剤分配機構4の下方の所定位置にセットする(図1の錠剤トレイ51と同様の位置)。錠剤分配機構4における分配カップ41の前後左右の移動範囲内にセットされるように、予め、除包システム1に錠剤トレイ510用の保持部(図示せず)を設けておくことが好ましい。錠剤トレイ510をセットしたならば、上記と同様に除包システム1を動作させて錠剤シート200から錠剤を除包し、さらに錠剤分配機構4により各錠剤マス511に一包化相当分の錠剤を分配する(図17(a))。
各錠剤マス511に錠剤を分配した後、各錠剤マス511の開口を閉塞する封鎖シート520と貼着する(図17(b))。封鎖シート520は、例えば、除包システム1に、各錠剤マス511の開口上に錠剤の分配後、該封鎖シート520をその上に置いて貼着する機構を設け、それにより自動的に貼着する構成とすることができる。この構成によれば、錠剤の取り出しから一包化までを錠剤分包体500を用いた場合でも自動的に行うことができる。その一方、錠剤トレイ510への錠剤の分配までを自動的に行ったならば、封鎖シート520を手作業により貼着することもできる。
錠剤分包体500は、各錠剤マス511に一包化相当分の錠剤を分配し、封鎖シート520で封鎖すれば、錠剤マス511毎に錠剤がそのまま一包化されることになる(図17(c)参照)。錠剤分包体500は軽量であるため、除包システム1の錠剤分配機構4の下方から取り外し、そのまま患者に渡すことができる。患者は、錠剤分包体500をそのまま持ち帰り、各錠剤マス511に対応する封鎖シート520の部分を一つずつ破れば、例えば服用量1回分に相当する錠剤を服用できる。
錠剤分包体500は、錠剤の分配を受ける錠剤マス511をそのまま包装部材として利用するものであるが、複数の錠剤マス511が縦横に配されているため、例えば、図17(c)に示したように、1週間分の服用する錠剤について、縦列に曜日を、横列に服用時間帯(朝、昼、夕、就寝前、( )時(指定時に服用))などを示して分配することにより、カレンダー型の薬保持袋などに移し替える必要もなく、服用の間違いを減らすのに効果的である。
また、上記実施形態においては、錠剤分配機構4の移動制御機構42が、除包システム1の幅方向に所定の長さを有する固定フレーム420d,420dが手前側と奥側に一対設けられ、この一対の固定フレーム420d,420d間にY方向レール420b,420bを設けた構成であるが、図18に示した構造とすることもできる。図1に示したように、上記実施形態では、分包装置5の上部に除包システム1を設置しているが、図18では、除包システム1の四隅の支柱部材1bを下方まで延長し、4つの支柱部材1bに取り囲まれる空間に分包装置5を配置し、かつ、図16に示した手前側の固定フレーム420dに代え、手前側の2つの支柱部材1b,1b間の中央部よりもやや向かって左寄りに設けた補助支柱1cと向かって右側手前の支柱部材1bとに、長さの短い短固定フレーム4200d,4200dを取り付けている。そして、各短固定フレーム4200d,4200dにY方向レール420b,420bの手前側の一端を支持させている。
図18に示した実施形態によれば、短固定フレーム4200d,4200d間に隙間が存在するため、この隙間を通じて手を差し入れて、分包装置5の筐体5Aの上部に位置する錠剤トレイ50の各錠剤マス51に錠剤を手撒きしたり、誤って混入した異物の除去を行ったりすることができる。すなわち、図16に示した錠剤分配機構4の場合、手前側の固定フレーム420dが手撒き作業の際に邪魔になる場合があるが、図18に示した実施形態では、短固定フレーム4200d,4200d間の隙間から錠剤トレイ50の錠剤マス51に容易にアクセスでき、必要に応じてより容易に手撒き作業や異物の除去作業等を行うことができる。
なお、図18の向かって左側手前の支柱部材1bと補助支柱1cとの間には、入力指令を行うための入力装置1d(バーコードリーダ、スキャナ(例えば処方箋を直接スキャンして入力)、液晶ディスプレイに表示されるキーボード画像等の入力画面等)が設けられており、図18の実施形態では、この入力装置1dを通じて錠剤シート200の特定(薬の種類の特定)、取り出す錠剤個数の設定等を行うことができる。そして、この入力装置1dから入力された情報が、制御部1aに送られて上記実施形態のような制御のもと、錠剤の取り出しから一包化までの作業がなされる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、錠剤取り出しユニット100において、天板112の一部ないしは全部を透明な部材から構成すると共に、天板112の下方に図示しないカメラ(撮像素子のみの場合も含む)を設け、天板112上を通過する錠剤シート200の封止シート202に印刷された錠剤の種類などを天板112を通して読み取る構成とすることもできる。そして、その読み取った情報を制御部1aに送信して、入力されたデータと比較して、正しい錠剤か否かの確認を行うことができる。