以下、本発明の第1及び第2実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、シート製造装置の構成について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに形成する技術に基づくものである。本実施形態にかかるシート製造装置は、原料を供給する供給部と、原料を解繊する解繊部と、解繊部で解繊処理された解繊物を堆積させる堆積部と、堆積部で堆積したウエブからシートを成形する成形部と、シート及びウエブの少なくとも一方にマーキングを付与する付与部と、マーキングが付与されたシートを原料として供給されたときに、原料に付与されたマーキングを読み取る読取部と、を備えるものである。以下、具体的にシート製造装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、供給部10と、粗砕部20と、解繊部30と、分級部40と、選別部50と、添加物投入部60と、堆積部70と、成形部200と、付与部及び読取部300等を備えている。そして、これらの部材を制御する制御部を備えている。
供給部10は、粗砕部20に原料としての古紙Pu等を供給するものである。供給部10は、例えば、複数枚の古紙Puを重ねて貯めておくトレー11と、トレー11中の古紙Puを粗砕部20に連続して投入可能な自動送り機構12等を備えている。シート製造装置1に供給する古紙Puとしては、例えば、オフィスで現在主流となっているA4サイズの用紙等である。また、本実施形態では、粗砕部20に供給する古紙Puに付与されたマーキングを読み取る読取部300が配置されている。なお、読取部300の詳細な構成については後述する。
粗砕部20は、供給された古紙Puを数センチメートル角の紙片に裁断するものである。粗砕部20では、粗砕刃21を備え、通常のシュレッダーの刃の切断幅を広げたような装置を構成している。これにより、供給された古紙Puを容易に紙片に裁断することができる。そして、分断された粗砕紙は、搬送路201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕紙を繊維状に解きほぐす解繊を行うものである。本願においては、解繊部30で解繊されるものを被解繊物と言い、解繊部30を通過したものを解繊物と言う。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒である。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、搬送路202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に搬送路202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、搬送された繊維をインク粒と脱墨繊維(脱墨解繊物)とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。繊維からインク粒を除去することを脱墨と言う。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入物が導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方にむかって径が小さくなる。
分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口40bへ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出され、脱墨が進行する。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が多量に含まれた短繊維混合物が排出される。そして、排出されたインク粒が多量に含まれる短繊維混合物は、サイクロン40の上部排気口40cに接続された搬送路206を介して受け部80に回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから搬送路203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや搬送路206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む分級物を複数の開口から通過させて選別するものである。さらに、具体的には、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口を通過した通過物は、ホッパー部56で受けてから搬送路204を介して堆積部70に搬送される。一方、選別部50の選別により開口を通過しなかった残留物は、送り路としての搬送路205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口を通過した通過物は搬送路204を介して堆積部70に空気中で搬送される。選別部50から堆積部70へは、気流を発生させる図示しないブロアによって搬送されてもよいし、上方にある選別部50から下方にある堆積部70に重力で搬送されてもよい。搬送路204における選別部50と堆積部70との間には、搬送される通過物に対して樹脂(例えば、融着樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加物を添加する添加物投入部60が設けられている。なお、添加物としては、融着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤等を投入することも可能である。これらの添加物は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。
堆積部70は、搬送路204から投入された繊維を含む通過物と樹脂とを含む材料を用いて堆積させてウエブWを形成するものである。堆積部70は、繊維を空気中に均一に分散させる機構と、分散された繊維をメッシュベルト73上に堆積する機構を有している。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブとして示している。
まず、繊維を空気中に均一に分散させる機構として、堆積部70には、繊維及び樹脂が内部に投入されるフォーミングドラム71が配置されている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させることにより通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜることができる。フォーミングドラム71には複数の小孔を有するスクリーンが設けられている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させて、通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜるとともに、小孔を通過した繊維や繊維と樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
フォーミングドラム71の下方には、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73が配されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向に移動するようになっている。
また、フォーミングドラム71の鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、フォーミングドラム71の小孔スクリーンを通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを形成することができる。フォーミングドラム71からの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属性でも、樹脂性でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものであってもよい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブWの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において厚みなどの寸法等の形態が変化した場合であってもウエブWとして示している。そのため、ウエブWと示していても、後述するシートPrのことである場合もある。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、搬送部100によって搬送される。本実施形態の搬送部100は、メッシュベルト73から最終的にシートPr(ウエブW)としてスタッカー160に投入されるまでの間のウエブWの搬送過程を示している。従って、メッシュベルト73の他、各種ローラー等は搬送部100の一部として機能する。搬送部としては、搬送ベルトや搬送ローラーなどの少なくとも一つがあればよい。具体的には、まず、搬送部100の一部であるメッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。次いで、ウエブWは、メッシュベルト73から搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。なお、本実施形態では、ウエブWの搬送方向における堆積部70の下流側において堆積部70によって堆積されたウエブWからシートPrを形成する範囲は成形部200に属する。
ウエブWの搬送方向における堆積部70の下流側に加圧部が配置されている。なお、本実施形態の加圧部は、ウエブWを加圧するローラー141を有する加圧部140である。ローラー141と張架ローラー72の間にウエブWを通過させることにより、ウエブWを加圧することができる。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。
ウエブWの搬送方向における加圧部140の下流側には、切断部前ローラー120が配置されている。切断部前ローラー120は、一対のローラー121を有している。一対のローラー121のうち、一方が駆動制御ローラーであり、他方が従動ローラーである。
ウエブWの搬送方向における切断部前ローラー120の下流側には、搬送されるウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断する切断部110が配置されている。切断部110は、カッターを備え、連続状のウエブWを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状(シート状)に切断する。切断部110は、例えば、ロータリーカッターを適用することができる。これによれば、ウエブWを搬送させながら切断が可能となる。従って、切断時にウエブWの搬送を停止させないので、製造効率を向上させることができる。なお、切断部110は、ロータリーカッターの他、各種カッターを適用してもよい。
切断部110よりウエブWの搬送方向の下流側には、切断部後ローラー125が配置されている。
切断部後ローラー125よりもウエブWの搬送方向の下流側に、加熱加圧部150を構成する一対の加熱加圧ローラー151が配置されている。当該加熱加圧部150は、ウエブWに含まれる繊維同士を樹脂を介して結着(定着)させるものである。加熱加圧ローラー151の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられており、当該一対の加熱加圧ローラー151間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱加圧ローラー151によって加熱加圧されることで、樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。これにより、密度が高まってウエブWとしての強度が向上する。加熱加圧部150では、加熱加圧処理前におけるウエブWの厚みに対しておよそ1/5から1/10の厚みのウエブWとなるように加熱加圧する。なお、本実施形態の加熱加圧部150にはウエブWにマーキングを付与する付与部が設けられている。当該付与部の詳細な構成は後述する。
加熱加圧部150よりもウエブWの搬送方向の下流側に、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断する後切断部130が配置されている。後切断部130は、カッターを備え、ウエブWの搬送方向における所定の切断位置に従って切断する。これにより、所望するサイズのシートPr(ウエブW)が成形される。そして、切断されたシートPr(ウエブW)はスタッカー160等に積載される。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状で)あってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
次に、付与部及び読取部の構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる付与部及び読取部の構成を示す概略図であり、図2(a)は付与部の構成を示し、図2(b)はマーキングが付与されたウエブの外観を示し、図2(c)は読取部の構成を示している。付与部は、堆積部及び成形部の少なくとも一方に備えられている。本実施形態では、付与部が成形部に備えられた構成について説明する。
本実施形態の付与部によって付与されるマーキングは、シートの表面に対して凸または凹を有するエンボスである。そして、本実施形態では、成形部200の一部を構成する加熱加圧部に付与部が設けられている。また、本実施形態の付与部では、シートの表裏の両方の面にマーキング(エンボス)を付与する構成である。具体的には、図2(a)に示すように、加熱加圧部150を構成する一対の加熱加圧ローラー151の表面部152に付与部としての突部が設けられている。詳細には、一方の加熱加圧ローラー151aの表面部152には突部155aが設けられている。また、他方の加熱加圧ローラー151bの表面部152にも同様にして突部155bが設けられている。そして、突部155aと突部155bとが接触しない位置関係で配置され、一対の加熱加圧ローラー151が同じ回転速度で回転するように構成されている。
そして、ウエブWは、一対の加熱加圧ローラー151の間に挟まれて押し圧(加熱加圧)される。そうすると、ウエブWに含まれる樹脂が溶けて繊維同士が樹脂を介して結着されるとともに、ウエブWは圧縮される。その際に、突部155a,155bの形状に従ってウエブWの表面400に凹形状が形成され、図2(b)に示すように、表面400に凹部400a,400bを有するエンボス加工されたウエブWが形成される。本実施形態のウエブWでは、ウエブWの一方面Waにおいて凹部400aで構成されたマーキングMaが形成されるとともに、ウエブWの他方面Wbにおいても同様にして凹部400bで構成されたマーキングMaが形成される。そして、一方面Waにおける凹部400aと、他方面Wbにおける凹部400bとがウエブWの搬送方向において交互に形成されている。
なお、マーキングMaは、ウエブWの表面に凹や凸を有するエンボスであればよく、凹凸の大きさや、深さ、数等は適宜設定するこができる。この場合、所望のマーキングMaに対応するように加熱加圧ローラー151a,151bの突部155a,155bの形態を適宜設定すればよい。例えば、一対の加熱加圧ローラー151の表面部152に対して凹部を設ければ、ウエブWは凸を有するエンボスができる。また、一方の加熱加圧ローラー151に対しては突部155aを設け、他方の加熱加圧ローラー151に対しては、突部155aに対向する位置に凹部を設ければ、ウエブWの一方面Waにおいては凹を有し、他方面Wbにおいては凸を有することができる。また、ウエブW(シートPr)におけるマーキングMaの形成位置も適宜設定することができる。この場合にも、所望のマーキングMaの位置に対応するように加熱加圧ローラー151の突部155a,155bの位置等の形態を適宜設定する。マーキングMaの位置は、シートPrの状態となったときに、使用条件に影響を与えない範囲の位置に設けることが好ましく、例えば、シートPrの端部に設ける方がよい。なお、図2ではわかりやすくするために、突部155a,155bを大きく描いたが、後述する読取部300で読み取れる範囲で小さくすることが望ましい。最も望ましいのは人間の目には認識できないような凹や凸である。
また、加熱加圧ローラー151は、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材を用いてもよいし、シリコンゴム、ウレタンゴム等による弾性材を用いてもよい。さらに、一対の加熱加圧ローラー151のうち、一方の加熱加圧ローラー151が金属材で、他方の加熱加圧ローラー151が弾性材であってもよい。
エンボスのマーキングMaが付与されたウエブWは後切断部130によって切断される。これにより、エンボスのマーキングMaが付与されたシートPrが成形される。
次に、読取部の構成について説明する。読取部は、マーキングが付与されたシートを原料として供給されたときに、原料に付与されたマーキングを読み取るものである。本実施形態の読取部300は、エンボスのマーキングMaが付与されたシートPrが古紙Pu(原料)として供給されたときに、当該シートPr(古紙Pu)に付与されたエンボスを読み取るものである。エンボスを読み取ることにより、供給された原料が既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。一方、エンボスを読み取ることができなかった場合は、供給された原料はまだ解繊されていないもの(再生されていないもの)であることを把握することができる。これにより、供給された原料が解繊されたか否か、再生されたか否かを把握することができる。読取部300は、古紙Puに付与されたエンボスのマーキングMaの領域を読み取り可能な位置に配置され、本実施形態では、粗砕部20に古紙Puを供給する供給部10近傍に配置されている(図1参照)。
本実施形態の読取部300は、光学式センサーである。読取部300は制御部に接続されており、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。読取部300で取得したデータは制御部に送信され、制御部では送信されたデータに基づいて演算処理を行い、マーキングMaの有無等を判断することができる。
本実施形態の読取部300は、図2(c)に示すように、光を照射する光源部300aと受光部300bとを有している。読取部300の光源部300a及び受光部300bは、供給される古紙Puの表面に対向して配置されている。そして、光源部300aから古紙Puに向けて光を照射させると、照射された光は古紙Puの表面で反射する。そして、反射した光は受光部300bによって受光される。そして、制御部では、古紙Puに対して光源部300aから発光された光が、古紙Puで反射して受光部300bによって受光されるまでの時間データに基づいて各種演算するように構成されている。本実施形態の制御部では、取得された複数の時間データに基づいて時間差を演算し、規定以上の時間差が生じた場合に凹凸有り、すなわち、エンボス有りと判断するように構成されている。例えば、古紙Puのエンボスを有するマーキングMaを読み取る場合、光源部300aから古紙Pu(シートPr)に対して光を照射して凹部400aに反射し受光部300bによって受光されるまでの時間データと、光源部300aから古紙Pu(シートPr)に対して光を照射して表面400に反射し受光部300bによって受光されるまでの時間データとが制御部に送信される。制御部では、送信された各時間データに基づいて、時間差を演算し、規定以上の時間差を有していた場合、読み取りされた古紙Puにはエンボスを有するマーキングMaが付与されていると判断する。一方、読取部300から送信された時間データに基づいて、時間差を演算し、規定以上の時間差を有していない場合、読み取りされた古紙Puにはエンボスを有するマーキングMaが付与されていないと判断する。一枚の古紙についてマーキングが付与されている可能性がある箇所とマーキングが付与されていない箇所を含む複数個所で読み取りを行い、マーキングMaが1つ以上付与されていると判断されれば、供給された古紙Puはすでに再生(解繊)された紙であると把握できる。一方、マーキングMaが1つも付与されていないと判断されれば、供給された古紙Puは一度も再生されていない未解繊古紙であると判断される。ここで、シート製造装置1が解繊されていることや再生されていることを把握できない古紙は、リサイクル紙であっても再生していないものとみなす。例えば、シート製造装置1とは異なる装置により再生された古紙でマーキングがないものは、再生されていたとしても、その性状がわからない。そのため、シート製造装置1で再生されたシートや、シート製造装置1と同じ種類のシート製造装置で再生されたシートや、シート製造装置1が性状を理解できるシート製造装置で再生されたシートであって、所定の位置に所定のマーキングがされていることを把握できたシートを、再生されたシートとみなす。
なお、本実施形態では、ウエブW(シートPr)の両面Wa,WbにエンボスのマーキングMaが付与されるため、古紙Puとして表裏のいずれからも読み取り可能である。例えば、古紙Puの一方面にマーキングMaを付与された構成の古紙の場合、マーキングMaが付与された面が読取部300側にないと読み取ることができない。本実施形態では古紙PuのマーキングMaが付与された面を揃える必要がなく、容易に供給可能となる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
付与部としての突部155a,155bを有する一対の加熱加圧ローラー151によってウエブWを加熱加圧することにより、ウエブWに含まれる繊維同士が樹脂で結着されるとともに、エンボスを有するマーキングMaが形成される。これにより、作業効率を向上させることができる。また、マーキングMaが付与された古紙Puがシート製造装置1に供給された場合、読取部300によってマーキングMaのエンボスが読み取られる。これにより、供給された古紙Puが既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態のシート製造装置の基本構成については第1実施形態におけるシート製造装置1の構成と同様なので説明を省略する(図1参照)。以下、第1実施形態と異なる構成、すなわち、付与部及び読取部の構成について説明する。なお、本実施形態では、付与部が堆積部に備えられた構成について説明する。以下、具体的に説明する。
図3は、本実施形態にかかる付与部及び読取部の構成を示す概略図であり、図3(a)は付与部の構成を示し、図3(b)及び図3(c)はマーキングの形成過程を示し、図3(d)はマーキングが付与されたウエブの外観を示し、図3(e)は読取部の構成を示している。
本実施形態の付与部によって付与されるマーキングは、シートの他の部分とは密度の異なる部分である。そして、本実施形態では、本実施形態にかかる付与部は堆積部70の一部を構成するメッシュベルト73に設けられている。具体的には、図3(a)に示すように、メッシュベルト73のフォーミングドラム71(図1参照)と対向する面の一部に凹部73aが設けられている(なお、メッシュベルト73の同面の一部に凸部を設けてもよい)。
そして、堆積部70においてフォーミングドラム71を介してメッシュベルト73上に繊維や樹脂を含む材料を堆積させてウエブWを形成する。このとき、図3(b)に示すように、メッシュベルト73の凹部73aの形状に倣ってウエブWに凸部Wcが形成される。すなわち、図3(c)に示すように、ウエブWの一方面に凸部Wcを含む凹凸形状を有するウエブWが形成される。そして、凸部Wcを含む凹凸形状を有するウエブWを加熱加圧部150の一対の加熱加圧ローラー151によって加熱加圧する。
これにより、図3(d)に示すように、密度が異なる部分を有するマーキングMbが付与されたウエブWが形成される。本実施形態のウエブWでは、密度が互いに異なる第1密度部401aと第2密度部401bとを有するマーキングMbが形成される。第1密度部401aはメッシュベルト73に繊維等を堆積させた際の凹部73aに対応するウエブWの凸部Wcの部分であり、第2密度部401bはウエブWの凸部Wc以外の部分に対応する部分である。従って、ウエブWの凸部WcはウエブWの凸部Wc以外の部分に比べて、加熱加圧ローラー151で加圧される繊維等の堆積量が多いので、第1密度部401aの方が第2密度部401bよりも密度が高くなる。この場合、堆積部70がマーキングMbを付与する付与部となる。
なお、マーキングMbは、ウエブWに密度が異なる部分があればよく、メッシュベルト73の凹部73aの大きさや、深さ、数等は適宜設定するこができる。この場合、所望のマーキングMbに対応するようにメッシュベルト73の凹部73aの形態を適宜設定すればよい。また、ウエブW(シートPr)におけるマーキングMbの形成位置も適宜設定することができる。この場合にも、所望のマーキングMbの位置に対応するようにメッシュベルト73の凹部73aの位置等の形態を適宜設定する。マーキングMbの位置は、シートPrの状態となったときに、使用条件に影響を与えない範囲の位置に設けることが好ましく、例えば、シートPrの端部に設ける方がよい。
第1密度部401aと第2密度部401bとを有するマーキングMbが付与されたウエブWは後切断部130によって切断される。これにより、マーキングMbが付与されたシートPrが成形される。
次に、読取部の構成について説明する。読取部は、マーキングが付与されたシートを原料として供給されたときに、原料に付与されたマーキングを読み取るものである。本実施形態の読取部300は、マーキングMbが付与されたシートPrが古紙Pu(原料)として供給されたときに、当該シートPr(古紙Pu)に付与された密度の異なる部分を読み取るものである。密度の異なる部分を読み取ることにより、供給された原料が既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。読取部300は、古紙Puに付与されたマーキングMbの領域を読み取り可能な位置に配置され、本実施形態では、粗砕部20に古紙Puを供給する供給部10近傍に配置されている(図1参照)。
本実施形態の読取部300は、光学式センサーである。読取部300は制御部に接続されており、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。そして、読取部300で取得したデータは制御部に送信され、制御部では送信されたデータに基づいて演算処理を行い、マーキングMbの有無等を判断することができる。
本実施形態の読取部300は、図3(e)に示すように、光を照射する光源部300cと受光部300dとを備えている。そして、光源部300cと受光部300dとにおける光軸が、読み取りされる古紙Puに対してほぼ垂直方向となるよう、光源部300cと受光部300dとが古紙Puを介するようにして配置される。なお、光源部300cと受光部300dとの配置位置を逆に配置してもよい。そして、光源部300cから古紙Puに向けて光を照射させると、発せられた光は、古紙Puを透過し、古紙Puを透過した光は、受光部300dによって受光される。
そして、制御部では、取得された複数の受光量データに基づいて受光量差を演算し、規定以上の受光量が生じた場合に密度差を有する部分が有ると判断するように構成されている。例えば、古紙Puの密度が異なる部分(第1密度部401a及び第2密度部401b)を有するマーキングMbを読み取る場合、光源部300cからマーキングMbに対して光を照射して第1密度部401aを透過したし光を受光部300dによって受光した受光量データと、光源部300cからマーキングMbに対して光を照射して第2密度部401bを透過した光を受光部300dによって受光した受光量データとが制御部に送信される。制御部では、送信された受光量データに基づいて、受光量差を演算し、規定以上の受光量差を有していた場合と有していない場合があるときは、読み取りされた古紙Puには密度の異なる部分(第1密度部401aと第2密度部401b)を有するマーキングMbが付与されていると判断する。一方、読取部300から送信された受光量データに基づいて、受光量差を演算し、規定以上の受光量差を有している箇所がない場合、読み取りされた古紙Puには密度差を有するマーキングMbが付与されていないと判断する。すなわち、供給された古紙Puは未解繊古紙であると判断される。本実施形態においても、古紙Puの表裏によらずマーキングMbを読取可能である。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
付与部としての凹部73aを有するメッシュベルト73に対して繊維及び樹脂を堆積させ、凸部Wcを有するウエブWを形成し、当該ウエブWを加熱加圧部150で加熱加圧することにより、ウエブWに含まれる繊維同士が樹脂で結着されるとともに、互いに密度の異なる第1密度部401aと第2密度部401bとを有するマーキングMbが形成される。そして、マーキングMbが付与された古紙Puがシート製造装置1に供給された場合、読取部300によってマーキングMbの密度が異なる部分(第1密度部401a及び第2密度部401b)が読み取られる。これにより、供給された古紙Puが既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態のシート製造装置の基本構成については第1実施形態におけるシート製造装置1の構成と同様なので説明を省略する(図1参照)。以下、第1実施形態と異なる構成、すなわち、付与部及び読取部の構成について説明する。
図4は、本実施形態にかかる付与部及び読取部の構成を示す概略図であり、図4(a)は付与部の構成を示し、図4(b)はマーキングが付与されたシート(ウエブ)の外観を示し、図4(c)は読取部の構成を示している。
本実施形態の付与部500は、ウエブWにマーキングとしての貫通する孔510を形成(付与)するものであり、さらに詳細には、製造されたシートPrが原料として供給される際におけるシートPrの搬送方向と垂直な方向において、シートPrの中央となる位置にマーキングとしての孔510を付与するものである。
また、本実施形態の付与部500は、ウエブWの搬送方向における加熱加圧部150の下流側に配置されている。付与部500は、押し型501と受け型502とを有している。押し型501にはパンチング部501a(本実施形態では1本)が配置されている。押し型501と受け型502とはウエブWを介して対向して配置されている。そして、押し型501は受け型502に対して上下方向に移動可能であり、押し型501のパンチング部501aでウエブWを押し当てながら受け型502側に移動させることによりウエブWに孔510を形成することができる。そして、一定期間毎に押し型501を上下方向に移動させ、図4(b)に示すように、製造された1枚のシートPrに間隔を開けて孔510(本実施形態では2つ)を形成する。
押し型501のパンチング部501aは、ウエブWの搬送方向と垂直な方向における中央部に対応する位置に固定配置されている。これにより、図4(b)に示すように、製造されたシートPrが原料として供給部10のトレー11から粗砕部20に向けて搬送される搬送方向(白抜き矢印)と垂直な方向において、シートPrの中央に対応する位置に孔510を形成することができる。なお、シートPrに形成される孔510の位置は、ウエブWに対する孔510の形成時における位置誤差、ウエブWの切断時における誤差等により、ずれ量を含むものである。また、孔510は、シートPrにおける端辺部に設けることが好ましい。すなわち、シートPrの印刷時において余白部分となる部分に孔510を設ける。また、孔510の大きさは、目に見えない程度の大きさが好ましい。これらの孔510の形成条件は、適宜設定することができる。
次に、読取部の構成について説明する。読取部は、マーキングが付与されたシートを原料として供給されたときに、原料に付与されたマーキングを読み取るものである。本実施形態の読取部300は、マーキングとしての孔510が付与されたシートPrが古紙Pu(原料)として供給されたときに、当該シートPr(古紙Pu)に付与された孔510を読み取るものである。孔510を読み取ることにより、供給された原料が既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。一方、孔510を読み取ることができなかった場合は、供給された原料はまだ解繊されていないもの(再生されていないもの)であることを把握することができる。これにより、供給された原料が解繊されたか否か、再生されたか否かを把握することができる。読取部300は、粗砕部20に古紙Puを供給する供給部10近傍に配置されている(図1参照)。さらに、古紙Puに付与された孔510を読み取り可能な位置に配置されている。すなわち、製造されたシートPrが原料として供給部10のトレー11から粗砕部20に向けて搬送される搬送方向(白抜き矢印)と垂直な方向において、シートPrの中央に形成された孔510に対応する位置に固定配置されている(図4(b),(c)参照)。なお、本実施形態の読取部300は、一つである。
本実施形態の読取部300は、光学式センサーである。読取部300は制御部に接続されており、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。読取部300で取得したデータは制御部に送信され、制御部では送信されたデータに基づいて演算処理を行い、孔510の有無等を判断することができる。
本実施形態の読取部300は、図4(c)に示すように、光を発する発光部551と、光を受光する受光部552とを有している。読取部300の発光部551及び受光部552は、供給される古紙Puの表面に対向して配置されている。そして、発光部551からシートPrに向けて光を照射させ、照射された光が孔510を通過すると、通過した光は受光部552によって受光される。そして、制御部では、シートPrに孔510が有ると判断する。一方、発光部551からシートPrに向けて光を照射させ、照射された光が受光部552によって受光されない場合は、シートPrに孔510が無いと判断する。ここで、シート製造装置1が解繊されていることや再生されていることを把握できない古紙は、リサイクル紙であっても再生していないものとみなす。例えば、シート製造装置1とは異なる装置により再生された古紙でマーキングがないものは、再生されていたとしても、その性状がわからない。そのため、シート製造装置1で再生されたシートや、シート製造装置1と同じ種類のシート製造装置で再生されたシートや、シート製造装置1が性状を理解できるシート製造装置で再生されたシートであって、所定の位置に所定のマーキングがされていることを把握できたシートを、再生されたシートとみなす。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
シートPrに孔510を形成し、当該孔510を読み取ることで既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。また、孔510は搬送方向と垂直な方向におけるシートPrの中央に形成されるため、孔510の有無を読み取る読取部300の数は一つあればよい。すなわち、読取部300の構成を簡略化することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態のシート製造装置の基本構成については第1実施形態におけるシート製造装置1の構成と同様なので説明を省略する(図1参照)。以下、第1実施形態と異なる構成、すなわち、付与部及び読取部の構成について説明する。図5は、本実施形態にかかる付与部及び読取部の構成を示す概略図であり、図5(a)は付与部の構成を示し、図5(b)は読取部の構成を示している。
本実施形態の付与部600は、不可視インクを用いてウエブWにマーキング610を付与(印刷)するものである。また、本実施形態の付与部600は、ウエブWの搬送方向における加熱加圧部150の下流側に配置されている。付与部600は、第1印刷部601と第2印刷部602とを有している。第1印刷部601は、不可視インクを貯留するとともに、貯留された不可視インクをウエブWに塗布可能な塗布部601aを備えている。第2印刷部602も同様にして、不可視インクを貯留するとともに、貯留された不可視インクをウエブWに塗布可能な塗布部602aを備えている。不可視インクは、ウエブWに印刷した時点や所定時間経過後に見えなくなる物質を用いたインクである。そして、不可視インクに対して特定の処理を施すことによって可視化されるインクである。不可視インクとしては、例えば、紫外線を照射すると蛍光を発するインクである。また、不可視インクとしては、この他に、加熱することにより発色するインクを用いてもよい。
第1印刷部601と第2印刷部602とはウエブWを介して対向して配置されている。そして、第1印刷部601と第2印刷部602とはそれぞれに上下方向に移動可能であり、第1印刷部601の塗布部601a及び第2印刷部602の塗布部602aをウエブWに押し当てることによりウエブWの面にマーキング610が印刷される。なお、付与部600の配置位置や印刷するマーキング610の大きさ等は、適宜設定することができる。
次に、読取部の構成について説明する。読取部は、マーキングが付与されたシートを原料として供給されたときに、原料に付与されたマーキングを読み取るものである。本実施形態の読取部300は、マーキング610が付与されたシートPrが古紙Pu(原料)として供給されたときに、当該シートPr(古紙Pu)の不可視インクで印刷されたマーキング610を読み取り可能なものである。マーキング610を読み取ることにより、供給された原料が既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。一方、マーキング610を読み取ることができなかった場合は、供給された原料はまだ解繊されていないもの(再生されていないもの)であることを把握することができる。これにより、供給された原料が解繊されたか否か、再生されたか否かを把握することができる。読取部300は、粗砕部20に古紙Puを供給する供給部10近傍に配置されている(図1参照)。
本実施形態の読取部300は、紫外線を照射する照射部651と照射部651によって照射された領域の画像を取得する画像取得部652とを備えている。読取部300は制御部に接続されており、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。読取部300で取得したデータは制御部に送信され、制御部では送信されたデータに基づいて演算処理を行い、マーキング610の有無等を判断することができる。なお、本実施形態の読取部300は、一つである。マーキング610は、第1印刷部601と第2印刷部602とによりシートPrの両面に印刷されるため、読取部300は一つでよい。
本実施形態の読取部300は、図5(b)に示すように、照射部651と及び画像取得部652は、供給される古紙Puの表面に対向して配置されている。そして、照射部651からシートPrに向けて紫外線を照射させ、照射された紫外線によって蛍光を発するマーキング610を画像取得部652によって取得する。そして、制御部では、シートPrにマーキング610が有ると判断される。一方、照射部651からシートPrに向けて紫外線を照射させ、照射された紫外線によって蛍光を発するマーキング610を画像取得部652によって取得できない場合は、シートPrにマーキング610が無いと判断される。ここで、シート製造装置1が解繊されていることや再生されていることを把握できない古紙は、リサイクル紙であっても再生していないものとみなす。例えば、シート製造装置1とは異なる装置により再生された古紙でマーキングがないものは、再生されていたとしても、その性状がわからない。そのため、シート製造装置1で再生されたシートや、シート製造装置1と同じ種類のシート製造装置で再生されたシートや、シート製造装置1が性状を理解できるシート製造装置で再生されたシートであって、所定の位置に所定のマーキングがされていることを把握できたシートを、再生されたシートとみなす。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
ウエブWは不可視インクで印刷されるため、シートPrにしたときに目立たない。そして、読取部300では不可視インクを読み取れるので、既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記第1及び第2実施形態におけるマーキングMa及びマーキングMbを形成する場合において、原料に付与されたマーキングに対して、付与部によりシートに付与するマーキングを異ならせてもよい。すなわち、原料として供給される古紙PuのマーキングMa,Mbを読み取りした結果から、読み取りしたマーキングMa,Mbとは異なるマーキングを、解繊後のウエブWに付与する。異なるマーキングとは、マーキングの形状を変えたり、大きさを変えたり、マーキングとマーキングの間隔を変えたりする。このために、付与部は形状などを変更可能であることが望ましい。例えば、上記第1実施形態においては、突部155a,155bの形状や大きさが入れ替え可能になっていて、凹部400a,400bの深さが変えることができる。上記第2実施形態においては、第1密度部401aと第2密度部401bの密度差を変更可能にする。これにより、供給された古紙PuのマーキングMa,Mbと新たに成形されたシートPrに付与されたマーキングとが異なるため解繊された回数を把握することが可能となる。そして、読取部300によって供給される古紙Puの解繊された回数を把握して、例えば、解繊された回数に応じて繊維に添加する樹脂量を制御するように構成してもよい。この場合、読取部300によって供給される古紙Puの解繊された回数が多くなるほど、添加する樹脂量を多くする。シート製造装置1に供給される古紙Puの解繊された回数が多くなるほど、解繊される繊維の長さが短くなり、シートPrとしての強度が低下する場合があるが、本変形例によれば、供給される古紙Puの解繊された回数に応じて、樹脂量が制御されるため、安定した強度を有するシートPrを製造することができる。また、解繊された回数に応じて、繊維の長さが短い繊維が多くなるため、繊維の長さが長い繊維を加えることで、シートPrとしての強度の低下を抑制してもよい。
(変形例2)第1実施形態では、読取部300は非接触型の光学式センサーを用いたが、これに限定されない。例えば、接触式の粗さ計測器を用いてもよい。このようにしても、凹部400aと凹部400bを読み取ることができる。さらに、例えば、撮像装置を用いてマーキングMaを撮像し、当該撮像した画像データを画像処理することによりマーキングMaを読み取るように構成してもよい。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記第1実施形態では、一様に揃った形状の凹部400a及び凹部400bを形成したが、これに限定されない。凹部400a及び凹部400bのそれぞれが異なる寸法を有してもよい。また、マーキングMaとして、各種文字、図形、記号等を形成してもよい。このようにすれば、既に解繊された古紙Pu(シートPr)であることが容易に判断できる。また、第2実施形態においても、第1密度部401aと第2密度部401bとを一様の領域を有するように形成したが、これに限定されず、第1密度部401a及び第2密度部401bのそれぞれが異なる領域を有してもよい。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例4)上記第1実施形態では、加熱加圧ローラー151に付与部としての突部155a,155bを備えたが、この構成に限定されない。加熱加圧ローラー151とは別個に成形部200のいずれかの箇所に付与部を設けてもよい。この場合、加熱加圧ローラーで加熱加圧した後(ウエブWが冷える状態の前に)、ウエブWに対してエンボスを有するマーキングMaを付与する付与部を配置する。このようにすれば、加熱加圧ローラー151に突部を設けることがなく、加熱加圧ローラー151の製作を容易に行うことができる。また、変形例1で示した異なるマーキングをするために、形状の異なる複数の付与部を入れ替えることができるようになる。
(変形例5)上記第1実施形態では、一対の加熱加圧ローラー151の双方に付与部としての突部155a,155bを設けたが、この構成に限定されない。例えば、一対の加熱加圧ローラー151のうちの一方にのみ突部155a(155b)を設けてもよい。この場合、ウエブWの一方面にのみマーキングを形成することになる。そのため、上記第1実施形態のような反射型の読取部300ではなく、上記第2実施形態のような透過型の読取部300が望ましい。上記第1実施形態において、凹部400aの部分は他の部分よりも圧縮されているため、密度が高くなっている。つまり、上記第1実施形態のマーキングMaは、凹を有するエンボスであるとともに、密度の異なる部分を有する。
(変形例6)上記第1実施形態のマーキングMaは、凹部400aと凹部400bとで構成したが、これに限定されず、例えば、貫通孔を有するマーキングであってもよい。例えば、針のような形状のものでシートを突き刺すことで貫通孔を形成する。この場合は上記第2実施形態のように、シートの一面側と他面側に発光部と受光部を有し、貫通孔を通過した光を受光することで、マーキングMaがあることを把握する。このようにしても、上記同様に、供給されたシートが既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。なお、マーキングMaとして文字や形状を印刷してもよい。
(変形例7)上記第2実施形態のマーキングMbは、第1密度部401aと第2密度部401bとの2つの密度の異なる部分の構成で形成されたが、これに限定されない。例えば、マーキングMbの密度の異なる部分が3つ以上あってもよい。このようにしても上記同様の効果を得ることができる。
(変形例8)上記第1実施形態では、加熱加圧部150に付与部を備えたが、これに限定されない。成形部200の他の一部に成形されたウエブWの表面に紙片を添付する付与部を設けてもよい。このようにしても、紙片が付与された部分のシートPrの厚みが他の部分に比べ厚いマーキングを形成することができる。また、上記第1実施形態や上記第2実施形態のように成形部200や堆積部70に付与部を備えなくてもよい。例えば、後切断部130で切断し、シートPrにした後にマーキングを付与してもよい。
(変形例9)上記第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態では乾式でのシート製造を説明した。しかし、湿式によるシート製造においても離解を繰り返すことで、本願と同様な課題が発生する。そのため、本願は湿式によるシート製造も含み、解繊部で解繊するとは、湿式における離解部で離解することも含むものとする。
(変形例10)上記第3実施形態では、1枚のシートPrに対して2つの孔510を形成したが、これに限定されない。例えば、1枚のシートPrに対して孔510が一つでもよい。さらには、1枚のシートPrに対して孔510が3つ以上でもよい。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例11)上記第3実施形態では、孔510が付与されたシートPrを古紙Pu(原料)として供給する際の搬送方向が、シートPrの長手方向に沿った方向である場合を想定して、孔510をシートPrの短手方向の端辺部に形成したが、これに限定されない。例えば、孔510が付与されたシートPrを古紙Pu(原料)として供給する際の搬送方向が、シートPrの短手方向に沿った方向である場合には、孔510をシートPrの長手方向の端辺部に形成する。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例12)上記第3実施形態では、シートPrにマーキングとしての孔510を形成したが、これに限定されない。例えば、シートPrにマーキングとしてのエンボス加工を施してもよい。このようにしても、エンボス加工によるシートPr面の凹凸を読取部で読み取ることにより、供給されたシートPrが既に解繊されたもの(再生されたもの)であることを把握することができる。
(変形例13)上記第4実施形態では、ウエブWの両面にマーキング610を印刷したが、これに限定されない。例えば、ウエブWの一方の面のみにマーキング610を印刷する構成であってもよい。この場合、読取部300を供給されるシートPrに対してシートPrの両面側に配置する。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例14)なお、上記第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態及び各変形例の構成を適宜組み合わせた構成を用いてもよい。