JP6627317B2 - ガラスフィルム積層体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、シリコーンポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の樹脂に、ガラスフィルムを組み合わせた積層体が提案されている。また、特許文献2では、積層体の耐熱性を向上させるために、ポリイミド樹脂及びガラスフィルムの積層体を用いることが提案されている。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[2] [1]に記載のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−ガラスフィルム積層体。
[3] [1]に記載のガラスフィルム積層体が、キャリア基板上に積層されてなる、キャリア基板積層体。
[4] [3]に記載のキャリア基板積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−キャリア基板積層体。
本発明のガラスフィルム積層体は、ガラスフィルム及びポリイミド樹脂層を有する。
前記ポリイミド樹脂層は、ガラスフィルムの少なくとも一方の面上に設けられる。
前記ガラスフィルムの厚さは10μm以上、200μm以下である。
また、本発明のガラスフィルム積層体中の前記ポリイミド樹脂層の厚さは0.1μm以上、60μm以下であり、且つ引裂強度は0.45N/mm以上である。なお、ポリイミド樹脂層の引裂強度は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
ここで、ポリイミド樹脂層の厚さは、本発明のガラスフィルム積層体が、ガラスフィルムの一方の面にのみポリイミド樹脂層を有する場合は、当該ポリイミド樹脂層の厚さをさし、ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を有する場合は、これらのポリイミド樹脂層の合計の厚さをさす。以下、このポリイミド樹脂層の厚さを「ポリイミド樹脂層の厚さの合計」と称す。
ガラスフィルムの割れは、特に外部刺激等によりその表面に傷や裂け目が生じることに起因するため、ポリイミド樹脂層をガラスフィルムに積層することにより、外部刺激等によるガラスフィルム表面への傷や裂け目の発生を抑制し、割れを防止することができると推測される。また、そのような傷や裂け目が発生しても、特定の厚さ及び引裂強度を有するポリイミド樹脂層をガラスフィルムに積層することにより、その傷や裂け目が成長して、ガラスフィルムが破断し、完全に割れるのを抑制することができると推測される。
また必要に応じて、ガラスフィルムとポリイミド樹脂層の間に接着層、その他の機能を有する中間層を有していてもよい。
本発明のガラスフィルム積層体の形状は、特に限定はないが、例えば、板状及びロール状等が挙げられる。
本発明のガラスフィルム積層体に用いられるガラスフィルム(以下、「本発明のガラスフィルム」と称す場合がある。)は、厚さが10μm以上、200μm以下である。本発明のガラスフィルムの厚さは、好ましくは20μm以上であり、更に好ましくは30μm以上である。また、好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。ガラスフィルムの厚さがこの範囲であることで、ガラスフィルム及びガラスフィルム積層体のハンドリング性が向上し、可塑性も得られる傾向にある。本発明のガラスフィルムは可撓性を有することが、曲面形状等のデバイスのデザインの自由度が高くなるため好ましい。
本発明のガラスフィルム積層体におけるポリイミド樹脂層(以下、「本発明のポリイミド樹脂層」と称す場合がある。)は、引裂強度が0.45N/mm以上であり、且つガラスフィルム積層体中のポリイミド樹脂層の厚さの合計が0.1μm以上、60μm以下である。
ポリイミド樹脂層の厚さの合計は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、通常60μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。ポリイミド樹脂層の厚さの合計が上記範囲であることで、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性が良好となり、さらにガラスフィルム積層体の無色透明性が良好となる傾向にある。
引裂強度が0.45N/mm以上である本発明のポリイミド樹脂層を形成するには、例えば、後述のポリイミド樹脂の製造原料におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物又はジイソシアネート化合物との組み合わせにおいて、好適な組み合わせを選択し、引裂強度の向上に有効な骨格構造を導入する方法が挙げられる。例えば、ポリイミド樹脂に硬さを持たせるために、ビフェニル環等の芳香族を含む原料を用いる、ポリイミド樹脂に伸びを持たせるために、ビシクロヘキシル環等の屈曲性を持つ原料を用いる等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂の分子量を高くするといった方法も挙げられる。ポリイミド樹脂の分子量を高くする方法としては、原料の組み合わせ及び組成比、温度及びpHなどの重合条件、成膜条件等により制御する方法、架橋剤を加えて分子量を向上させる方法等が挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。ポリイミド樹脂層のガラス転移温度(Tg)の上限は特になく、高い方が好ましい。
ポリイミド樹脂層の軟化温度及びガラス転移温度が上記下限以上であることで、本発明のガラスフィルム積層体をデバイスの基板として用いる際に、ポリイミド樹脂層が軟化しないため、デバイス製造の歩留まりやデバイス性能の低下を抑制できる傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層の引張強度は、好ましくは50MPa以上、さらに好ましくは70MPa以上であり、一方、好ましくは400MPa以下、さらに好ましくは300MPa以下である。
本発明のポリイミド樹脂層の引張弾性率は、好ましくは1000MPa以上、さらに好ましくは1500MPaであり、一方、好ましくは20GPa以下、さらに好ましくは10GPa以下である。
本発明のポリイミド樹脂層の引張伸度は、好ましくは10%GL以上、さらに好ましくは20%GLであり、一方、好ましくは300%GL以下、さらに好ましくは200%GL以下である。
ポリイミド樹脂層がこのような機械的強度を有することにより、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性が向上し、より耐久性の高いデバイスが得られる傾向にある。
その他の成分としては、架橋剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。また、粉末状、粒状、板状又は繊維状の、無機系充填剤並びに有機系充填剤も挙げられる。
架橋剤はポリイミド樹脂の分子量や機械物性を向上させる効果がある。架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の方法を用いることができる。その際、架橋剤としてエポキシ基、炭素−炭素2重結合、炭素―炭素3重結合、イソシアネート基、カルボキシ基、水酸基等の反応性官能基を有する化合物、オキサゾリン、トリアリルイソシアヌレート、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物を含んでも良い。また、更に架橋助剤を含んでいてもよい。
その他の成分を含むことで、ポリイミド樹脂層の機械特性、表面平滑性、耐久性及びガラスフィルムとの接着性を向上させる効果、ポリイミド樹脂層の形成を容易にする効果等を得ることができる場合がある。
その他の成分の中でも、ポリイミド樹脂層とガラスフィルムの接着性を向上させ、更にガラスフィルムの防割れ性を向上させるために、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
これらその他の成分は、ポリイミド樹脂層及びポリイミド樹脂の原料製造工程等のどの段階で添加してもよい。例えば、これらその他の成分は、後述のポリイミド組成物に配合してもよい。また、ポリイミド樹脂層中のその他の成分の含有量は、無色透明性や機械物性等、ポリイミド樹脂層の物性を大きく損なわない範囲あれば特に限定されない。
本発明のポリイミド樹脂層に含まれるポリイミド樹脂は特に限定されず、その構造も特に制限されない。ポリイミド樹脂の構造は、例えば、原料であるテトラカルボン酸二無水物に由来する単位及びジアミン化合物に由来する単位の組み合わせ、テトラカルボン酸二無水物に由来する単位及びジイソシアネート化合物に由来する単位の組み合わせ等により決定される。
これらの方法は公知の方法を用いることができ、具体的には、特開2012−233083号公報、特開2014−100702号公報等に記載の方法でポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明のポリイミド樹脂の原料であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物及びジイソシアネート化合物は特に限定されないが、具体的には以下のものが挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂において、テトラカルボン酸無水物及びジアミン化合物、並びにテトラカルボン酸無水物及びジイソシアネート化合物の組み合わせに特に制限はなく、各原料を1種類ずつ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
(分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物)
分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物が、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に好ましい。
独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2、3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられる。
縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
フッ素原子を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,4−ジフルオロピロメリット酸二無水物、1,4−ジトリフルオロメチルピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
(鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8,2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
脂肪族ジアミン化合物としては、鎖状脂肪族ジアミン化合物、環状脂肪族ジアミン化合物、シロキサン系脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。
芳香環が1つであるジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、3−アミノベンジルアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−フェニレンジアミンが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に好ましい。
独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミド、2,7−ジアミノフルオレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェノキシ)メタン、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5’−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン等の独立した2つの芳香環を有するジアミン化合物;1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,3,5−トリメチルベンゼン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等の独立した3つの芳香環を有するジアミン化合物;2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ビス(4−アミノベンズアミド)−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン等の独立した4つの芳香環を有するジアミン化合物等が挙げられる。
縮合芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール、1,5−ジアミノナフタレン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド等が挙げられる。
フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物としては、例えば、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、1,4−ビス{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
シロキサン系芳香族ジアミン化合物としては、主鎖フェニルタイプと側鎖フェニルタイプが挙げられる。主鎖フェニルタイプとしては、例えば、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、信越化学社製両末端アミノ変性シリコーン(PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008)、東レダウコーニング社製両末端アミノ変性シリコーン(BY16−871、BY16−835U)、モメンティブ社製両末端アミノ変性シリコーン(XF42−C5379)等が挙げられる。側鎖フェニルタイプとしては、例えば、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、信越化学社製両末端アミノ変性シリコーン(X−22−1660B−3、X−22−9409)等が挙げられる。
(鎖状脂肪族ジアミン化合物)
鎖状脂肪族系ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
環状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
シロキサン系脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸1,3−フェニレン、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トルエンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、鎖状脂肪族ジイソシアネート化合物及び環状脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。環状脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物又はジイソシアネート化合物の組み合わせは特に限定されず、適宜調整することができるが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に以下の組み合わせが好ましい。
A.芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン化合物又は芳香族ジイソシアネート化合物との組合せ
B.フッ素原子を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン化合物又は芳香族ジイソシアネート化合物との組み合わせ
C.芳香族テトラカルボン酸二無水物と、フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物又はフッ素原子を有する芳香族ジイソシアネート化合物の組み合わせ
また、ガラスフィルムとポリイミド樹脂層との接着性及び防割れ性を更に向上させるために、上記のジアミン化合物に加えてシロキサン系芳香族ジアミン化合物及び/又はシロキサン系脂肪族ジアミン化合物を併用してもよい。これらの中でも、シロキサン系脂肪族ジアミン化合物が好ましく、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを併用することが特に好ましい。
本発明のガラスフィルム積層体の製造方法は特に限定されず、上記のガラスフィルムにポリイミド樹脂層を設ける方法についても特に限定されない。
ポリイミド樹脂層の形成に用いるポリイミド樹脂組成物は、少なくとも溶媒、並びに前記のポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体を含む。
これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
なお、ポリイミド樹脂組成物の粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定するものとする。粘度の測定は公知の方法によって行うことができ、例えば国際公開公報第99/60622号に記載されている方法に従って行うことができる。
本発明のガラスフィルム積層体を、例えば光電変換素子やボトムエミッション型の発光素子や表示素子等の用途に用いる場合は、ガラスフィルム積層体は、無色透明性が高いことが好ましい。
本明細書において、無色透明であることは、ガラスフィルム積層体の膜厚1〜300μmにおいて、500nmの光線の透過率が70%以上であることを表す。前記透過率は、さらに好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。ここで、透過率は、JIS K 7136−1による、500nmにおける全光線透過率を用いる。
本発明のガラスフィルム積層体は、そのハンドリング性をさらに向上させるために、キャリア基板に積層されて固定されていてもよい。
本発明のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、有機EL層、光電変換層、バリア層、封止層、電極、トランジスタ、カラーフィルター、偏光膜、シリコン酸化膜等のデバイス構成部材を形成し、デバイスとして用いることができる。また、この場合において、ポリイミド樹脂層及びデバイス構成部材との間に、接着層等の層を設けてもよい。
ガラスフィルム積層体にデバイス構成部材を形成後、表示、受光、発光等の各用途に用いるデバイス−ガラスフィルム積層体とすることができる。
また、受光用途としては、太陽電池デバイス等が挙げられ、発光用途としては、有機ELを用いた照明等が挙げられる。
また、太陽電池用途に用いる際には、ガラスフィルム積層体上に、例えば結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体材料又は有機化合物材料等を用いた太陽電池を形成すればよい。具体的には、透明電極、結晶シリコン、アモルファスシリコン又は有機材料を含有する光電変換層及び対向電極を形成することにより、太陽電池を形成しうる。さらに太陽電池の上に、太陽電池にとって必要な構造を、公知の方法によって形成することもできる。
<引裂強度>
振り子式エルメンドルフ引裂試験機(東洋精機(株)製)を用い、JIS K−7128−2に準じて測定したポリイミド樹脂フィルムの引裂き強さ(N)をフィルム厚み(mm)で割り、引裂強度とした。
ハサミを用いてポリイミド−ガラスフィルム積層体を裁断し、割れ方を観察して、以下の基準で5段階評価した。
1:裁断部以外で割れが生じ、ガラスフィルム積層体が破断した。
2:割れは裁断部のみ。裁断部から2mm角以上の積層体の破断片が生じた。
3:割れは裁断部のみ。裁断部から2mm角未満の積層体の破断片が生じた。
4:割れは裁断部のみ。破断片は発生せず、裁断部のクラックが2mm以上であった。
5:割れは裁断部のみ。破断片は発生せず、裁断部のクラックが2mm未満であった。
ポリイミド樹脂層の耐熱性として、ポリイミド樹脂のガラス転移温度を評価した。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル社製:EXSTAR6000)を用いて、昇温速度10℃/minとして測定した。
<合成例1>
(1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(H−BPDA)の合成)
(ポリイミド樹脂組成物1〜13、15及び16の調製)
テトラカルボン酸二無水物及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、室温で撹拌した。撹拌後、残りの溶媒の1/2量にジアミン化合物を溶解させたものを加え、80℃で6時間加熱撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物1を得た。表1の合成例2の欄に、用いたテトラカルボン酸二無水物(表1中、「酸無水物」と記載)、溶媒及びジアミン化合物(表1中、「ジアミン」と記載)の種類と量を示す。
同様に、合成例3〜14、16及び17として、合成例2と同じ方法でポリイミド樹脂組成物2〜13、15及び16を得た。
(ポリイミド樹脂組成物14の調製)
テトラカルボン酸二無水物及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、室温で撹拌した後、残りの溶媒の1/2量にジアミン化合物を溶解させたものを加え、80℃で6時間加熱撹拌した。更に、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(東京化成社製)を0.405g入れて撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物14を得た。
(ポリイミド樹脂組成物17及び18の調製)
窒素下で、ジアミン化合物をフラスコ内で撹拌しながら、溶媒に溶解させた。次いで、テトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、室温で5時間撹拌を続けた後、一昼夜保持し、目的とするポリイミド樹脂組成物17を得た。
表1の合成例19の欄に示すテトラカルボン酸二無水物、溶媒及びジアミン化合物の種類と量を用いて、合成例18と同様にポリイミド樹脂組成物18を得た。
(ポリイミド樹脂組成物19及び20の調製)
テトラカルボン酸二無水物、両末端アミノ変性シリコーン及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、80℃で3時間加熱撹拌した。3時間加熱撹拌後、残りの溶媒の1/2量に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解させたものを加え、80℃で3時間加熱撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物19を得た。
表1の合成例21の欄に示すテトラカルボン酸二無水物、溶媒及びジアミン化合物の種類と量を用いて、合成例20と同様にポリイミド樹脂組成物20を得た。
(テトラカルボン酸二無水物)
H−BPDA:1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
6FDA:4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物
(ジアミン化合物)
ODA:4,4'−ジアミノジフェニルエーテル
DA5MG:1,5’−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン
PDA:1,4−フェニレンジアミン
3,3−ASN:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
m−TB:4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル
TFMB:4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
BAPS:ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
4,4−ASN:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
X−22−9409:両末端アミノ変性シリコーン(信越化学社製)
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
(その他)
GOPF:9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン
<実施例1>
厚さ50μmのガラスフィルムの片面に、スピンコーターを用いて、熱処理後の膜厚が5μmとなるようにポリイミド樹脂組成物1を塗布した。その後、窒素ガス雰囲気下、60℃で15分乾燥した。続いて、ガラスフィルムのもう一方の面に、スピンコーターを用いて、熱処理後の膜厚が5μmとなるようにポリイミド樹脂組成物1を塗布した。その後、窒素ガス雰囲気下、80℃で10分乾燥し、更に2℃/minで300℃まで昇温し、300℃で30分加熱して、ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を設けた。
得られたガラスフィルム積層体の防割れ性を上記に記載の方法に従って確認した。評価結果を表2に示す。
実施例1のポリイミド樹脂組成物1を、表2に示すようにポリイミド樹脂組成物2〜20に変更した以外は、それぞれ実施例1と同じようにして、ガラスフィルム積層体及びポリイミド樹脂フィルムを得た。得られたガラスフィルム積層体及びポリイミド樹脂フィルムについて、実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
なお、本発明のガラスフィルム積層体は、ガラスフィルムにポリイミド樹脂層を積層した薄膜状のものであるため可撓性にも優れる。
Claims (4)
- ガラスフィルム及び前記ガラスフィルムの少なくとも一方の面上にポリイミド樹脂層を有する積層体であって、
前記ポリイミド樹脂の構造が1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物に由来する単位を含み、
前記ガラスフィルムの厚さが10μm以上、200μm以下であり、
前記ポリイミド樹脂層の厚さが0.1μm以上、60μm以下であり、
前記ポリイミド樹脂層の引裂強度が0.45N/mm以上、且つ引張弾性率が1000MPa以上であることを特徴とする、ガラスフィルム積層体。 - 請求項1に記載のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−ガラスフィルム積層体。
- 請求項1に記載のガラスフィルム積層体が、キャリア基板上に積層されてなる、キャリア基板積層体。
- 請求項3に記載のキャリア基板積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−キャリア基板積層体。
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