JP6627317B2 - ガラスフィルム積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性に優れたガラスフィルム積層体に関する。
現在、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示デバイス分野、太陽電池等の受光デバイス分野及び有機EL照明等の発光デバイス分野では、素子基板として主にガラス基板が用いられている。これは、ガラス基板は光線透過率、リタデーション等の光学的性能、ガスバリア性及び耐熱性に優れているためである。
これらの分野では軽量化及び薄膜化等が要求されており、通常のガラス基板を薄膜化したガラスフィルムを用いることが検討されている。しかし、ガラスフィルムでは、基板として用いるための割れに対する強度(防割れ性)及びデバイス製造の際のハンドリング性等の点で十分に対応し得ない。
上記課題を解決するために、一般的に用いられているガラス基板の代替品として、PI(ポリイミド樹脂)、PEN(ポリエチレンナフタレート樹脂)、PES(ポリエーテルサルフォン樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、BCB(ベンゾシクロブテン樹脂)等の樹脂が用いられている。
上記の樹脂を用いた基板は、ガラス基板と比較して軽く、薄膜化しても良好なハンドリング性が得られる傾向にある。しかし、樹脂を用いた基板は、熱膨張率、軟化温度等の耐熱性及びガスバリア性に課題があるため、得られるデバイスの性能及び寿命の面で劣る上に、製造時における歩留まりの面でも問題がある。
これらの問題を解決するために、樹脂及びガラスフィルムの積層体を用いることが検討されている。
例えば、特許文献1では、シリコーンポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の樹脂に、ガラスフィルムを組み合わせた積層体が提案されている。また、特許文献2では、積層体の耐熱性を向上させるために、ポリイミド樹脂及びガラスフィルムの積層体を用いることが提案されている。
しかし、特許文献1で用いられている樹脂は軟化温度が低いため、積層体全体の耐熱性が低下するという問題がある。例えば、デバイス製造時に250℃以上の加熱工程がある場合、積層体の樹脂部分が融解してしまい、デバイス部材の歩留まりが低下するという問題が生じる可能性がある。
一方、本発明者らの検討によれば、特許文献2の実施例等で挙げられているポリイミド樹脂は非常に硬いが、脆く伸びない骨格であるために、ガラスフィルムの割れが発生しやすくなることが判明した。ガラスフィルム積層体の割れが発生しやすいと、ガラスフィルム積層体のハンドリング性が低下するため、ガラスフィルム積層体やガラスフィルム積層体を用いたデバイスなどの製造プロセスにおいて生産性等が低下する傾向にある。
特表2002−542971号公報 特開2013−163304号公報
本発明は、防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性に優れたガラスフィルム積層体を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、特定の特性を有するポリイミド樹脂層及びガラスフィルムを有する積層体が、上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1] ガラスフィルム及び前記ガラスフィルムの少なくとも一方の面上にポリイミド樹脂層を有する積層体であって、前記ガラスフィルムの厚さが10μm以上、200μm以下であり、前記ポリイミド樹脂層の厚さが0.1μm以上、60μm以下であり、且つ引裂強度が0.45N/mm以上であることを特徴とする、ガラスフィルム積層体。
[2] [1]に記載のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−ガラスフィルム積層体。
[3] [1]に記載のガラスフィルム積層体が、キャリア基板上に積層されてなる、キャリア基板積層体。
[4] [3]に記載のキャリア基板積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−キャリア基板積層体。
本発明によれば、特定の特性を有するポリイミド樹脂層及びガラスフィルムを有する積層体とすることで、防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性に優れたガラスフィルム積層体が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[ガラスフィルム積層体]
本発明のガラスフィルム積層体は、ガラスフィルム及びポリイミド樹脂層を有する。
前記ポリイミド樹脂層は、ガラスフィルムの少なくとも一方の面上に設けられる。
前記ガラスフィルムの厚さは10μm以上、200μm以下である。
また、本発明のガラスフィルム積層体中の前記ポリイミド樹脂層の厚さは0.1μm以上、60μm以下であり、且つ引裂強度は0.45N/mm以上である。なお、ポリイミド樹脂層の引裂強度は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
ここで、ポリイミド樹脂層の厚さは、本発明のガラスフィルム積層体が、ガラスフィルムの一方の面にのみポリイミド樹脂層を有する場合は、当該ポリイミド樹脂層の厚さをさし、ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を有する場合は、これらのポリイミド樹脂層の合計の厚さをさす。以下、このポリイミド樹脂層の厚さを「ポリイミド樹脂層の厚さの合計」と称す。
前掲の特許文献2のように、ガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層が非常に硬いが、脆く伸びない性質である場合、ガラスフィルム積層体は、防割れ性に劣るものとなり、デバイスなどの製造プロセスにおけるハンドリングに十分に対応できない場合がある。しかし、本発明のごとくポリイミド樹脂層の厚さ及び引裂強度を特定の範囲とし、それをガラスフィルムと組み合わせることにより、ガラスフィルム積層体の防割れ性及びハンドリング性が向上する。また、耐熱性に優れたポリイミド樹脂層をガラスフィルムと組み合わせることで十分な耐熱性が得られると共に可撓性にも優れたものとなることを本発明者らは見出した。
ガラスフィルムの割れは、特に外部刺激等によりその表面に傷や裂け目が生じることに起因するため、ポリイミド樹脂層をガラスフィルムに積層することにより、外部刺激等によるガラスフィルム表面への傷や裂け目の発生を抑制し、割れを防止することができると推測される。また、そのような傷や裂け目が発生しても、特定の厚さ及び引裂強度を有するポリイミド樹脂層をガラスフィルムに積層することにより、その傷や裂け目が成長して、ガラスフィルムが破断し、完全に割れるのを抑制することができると推測される。
本発明のガラスフィルム積層体において、ポリイミド樹脂層はガラスフィルムの少なくとも一方の面に積層されていればよいが、ガラスフィルム積層体の反りを低減するため、またガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性をより向上させるために、ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を有することが好ましい。
また必要に応じて、ガラスフィルムとポリイミド樹脂層の間に接着層、その他の機能を有する中間層を有していてもよい。
本発明のガラスフィルム積層体の形状は、特に限定はないが、例えば、板状及びロール状等が挙げられる。
<ガラスフィルム>
本発明のガラスフィルム積層体に用いられるガラスフィルム(以下、「本発明のガラスフィルム」と称す場合がある。)は、厚さが10μm以上、200μm以下である。本発明のガラスフィルムの厚さは、好ましくは20μm以上であり、更に好ましくは30μm以上である。また、好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。ガラスフィルムの厚さがこの範囲であることで、ガラスフィルム及びガラスフィルム積層体のハンドリング性が向上し、可塑性も得られる傾向にある。本発明のガラスフィルムは可撓性を有することが、曲面形状等のデバイスのデザインの自由度が高くなるため好ましい。
本発明のガラスフィルムの材質は特に限定されず、市販のガラスフィルムを用いることもできる。市販のガラスフィルムとしては、例えば、日本電気硝子社製のG−Leaf、旭硝子社製のSPOOL、コーニング社製のCorning Willow Glass等が挙げられる。
<ポリイミド樹脂層>
本発明のガラスフィルム積層体におけるポリイミド樹脂層(以下、「本発明のポリイミド樹脂層」と称す場合がある。)は、引裂強度が0.45N/mm以上であり、且つガラスフィルム積層体中のポリイミド樹脂層の厚さの合計が0.1μm以上、60μm以下である。
ポリイミド樹脂層の厚さの合計は、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上であり、通常60μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。ポリイミド樹脂層の厚さの合計が上記範囲であることで、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性が良好となり、さらにガラスフィルム積層体の無色透明性が良好となる傾向にある。
ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を有する場合、その両面のポリイミド樹脂層の厚さの比率は、ガラスフィルム積層体の反り等の性能を損なわない範囲であれば特に限定はない。例えば、同じ構造や物性のポリイミド樹脂層をガラスフィルムの両面に積層する場合、その積層体の反りを低減するため、両面のポリイミド樹脂層の厚さが等しいことが好ましい。
本発明のポリイミド樹脂層は、ガラスフィルムの割れを防止するために、ポリイミド樹脂層の引裂強度が0.45N/mm以上であり、更に好ましくは0.5N/mm以上、特に好ましくは、0.6N/mm以上である。ポリイミド樹脂層の引裂強度の上限は特になく、高い方が好ましい。
引裂強度が0.45N/mm以上である本発明のポリイミド樹脂層を形成するには、例えば、後述のポリイミド樹脂の製造原料におけるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物又はジイソシアネート化合物との組み合わせにおいて、好適な組み合わせを選択し、引裂強度の向上に有効な骨格構造を導入する方法が挙げられる。例えば、ポリイミド樹脂に硬さを持たせるために、ビフェニル環等の芳香族を含む原料を用いる、ポリイミド樹脂に伸びを持たせるために、ビシクロヘキシル環等の屈曲性を持つ原料を用いる等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂の分子量を高くするといった方法も挙げられる。ポリイミド樹脂の分子量を高くする方法としては、原料の組み合わせ及び組成比、温度及びpHなどの重合条件、成膜条件等により制御する方法、架橋剤を加えて分子量を向上させる方法等が挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂層の軟化温度は、好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。ポリイミド樹脂層の軟化温度の上限は特になく、高い方が好ましい。
本発明のポリイミド樹脂層のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150℃以上であり、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。ポリイミド樹脂層のガラス転移温度(Tg)の上限は特になく、高い方が好ましい。
ポリイミド樹脂層の軟化温度及びガラス転移温度が上記下限以上であることで、本発明のガラスフィルム積層体をデバイスの基板として用いる際に、ポリイミド樹脂層が軟化しないため、デバイス製造の歩留まりやデバイス性能の低下を抑制できる傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層を構成するポリイミド樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3万以上であり、より好ましくは5万以上である。また、上限は無く、高い方が良いが、例えば50万以下である。ポリイミド樹脂層の分子量が上記範囲であることで、ポリイミド樹脂層の機械強度が向上し、引裂強度が向上する傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層の熱膨張率は、100〜200℃の範囲において、好ましくは100ppm/K以下であり、更に好ましくは70ppm/K以下である。ポリイミド樹脂層の熱膨張率が上記上限以下であることで、ガラスフィルム積層体の反りが小さくなる傾向にある。また、本発明のガラスフィルム積層体をデバイスの基板として用いる際に、ポリイミド樹脂層の寸法精度が維持され易く、得られるデバイスの性能及び製造歩留りが向上する傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層は、ガラスフィルム積層体の用途やガラスフィルム積層体上に積層されるデバイスの種類等に依存するが、以下のような機械的強度を有することが好ましい。
本発明のポリイミド樹脂層の引張強度は、好ましくは50MPa以上、さらに好ましくは70MPa以上であり、一方、好ましくは400MPa以下、さらに好ましくは300MPa以下である。
本発明のポリイミド樹脂層の引張弾性率は、好ましくは1000MPa以上、さらに好ましくは1500MPaであり、一方、好ましくは20GPa以下、さらに好ましくは10GPa以下である。
本発明のポリイミド樹脂層の引張伸度は、好ましくは10%GL以上、さらに好ましくは20%GLであり、一方、好ましくは300%GL以下、さらに好ましくは200%GL以下である。
ポリイミド樹脂層がこのような機械的強度を有することにより、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性が向上し、より耐久性の高いデバイスが得られる傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層の表面粗さ(Ra)は、好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは3nm以下であり、特に好ましくは1nm以下である。表面粗さ(Ra)の下限はなく低い方が好ましい。表面粗さ(Ra)が上記上限以下であることで、ポリイミド樹脂層上に形成するガスバリア層等のデバイス構成部材の形成が容易となり、性能を損ねない傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層の5%重量減少温度は、好ましくは350℃以上であり、より好ましくは400℃以上であり、さらに好ましくは430℃以上であり、特に好ましくは450℃以上である。また、5%重量減少温度の上限はなく高い方が好ましい。ポリイミド樹脂層の5%重量減少温度が上記下限以上であることで、ガラスフィルム積層体上にデバイス構成部材を形成する工程において、ポリイミド樹脂層から発生するアウトガスを抑制することができる傾向にあるため好ましい。
本発明のポリイミド樹脂層は、後述するポリイミド樹脂を含んでいればよく、本発明の効果を損なわない範囲でその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、架橋剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。また、粉末状、粒状、板状又は繊維状の、無機系充填剤並びに有機系充填剤も挙げられる。
架橋剤はポリイミド樹脂の分子量や機械物性を向上させる効果がある。架橋は熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の方法を用いることができる。その際、架橋剤としてエポキシ基、炭素−炭素2重結合、炭素―炭素3重結合、イソシアネート基、カルボキシ基、水酸基等の反応性官能基を有する化合物、オキサゾリン、トリアリルイソシアヌレート、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物を含んでも良い。また、更に架橋助剤を含んでいてもよい。
その他の成分を含むことで、ポリイミド樹脂層の機械特性、表面平滑性、耐久性及びガラスフィルムとの接着性を向上させる効果、ポリイミド樹脂層の形成を容易にする効果等を得ることができる場合がある。
その他の成分の中でも、ポリイミド樹脂層とガラスフィルムの接着性を向上させ、更にガラスフィルムの防割れ性を向上させるために、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
これらその他の成分は、ポリイミド樹脂層及びポリイミド樹脂の原料製造工程等のどの段階で添加してもよい。例えば、これらその他の成分は、後述のポリイミド組成物に配合してもよい。また、ポリイミド樹脂層中のその他の成分の含有量は、無色透明性や機械物性等、ポリイミド樹脂層の物性を大きく損なわない範囲あれば特に限定されない。
<ポリイミド樹脂>
本発明のポリイミド樹脂層に含まれるポリイミド樹脂は特に限定されず、その構造も特に制限されない。ポリイミド樹脂の構造は、例えば、原料であるテトラカルボン酸二無水物に由来する単位及びジアミン化合物に由来する単位の組み合わせ、テトラカルボン酸二無水物に由来する単位及びジイソシアネート化合物に由来する単位の組み合わせ等により決定される。
本発明のポリイミド樹脂層に含まれるポリイミド樹脂のイミド化率は、特に限定されないが、好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。また、イミド化率の上限は無く、100質量%でもよい。ポリイミド樹脂層に含まれるポリイミド樹脂のイミド化率がこの範囲であることで、ポリイミド樹脂層からのアウトガスが減少し、またポリイミド樹脂層の耐熱性が向上する傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層に含まれるポリイミド樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば、二段法として、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物からポリイミド前駆体を製造しポリイミド樹脂を得る方法、並びにテトラカルボン酸二無水物及びジイソシアネート化合物からポリイミド前駆体を製造しポリイミド樹脂を得る方法が挙げられる。また、一段法として、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物から直接ポリイミド樹脂を製造する方法、並びにテトラカルボン酸二無水物及びジイソシアネート化合物から直接ポリイミド樹脂を製造する方法が挙げられる。
これらの方法は公知の方法を用いることができ、具体的には、特開2012−233083号公報、特開2014−100702号公報等に記載の方法でポリイミド樹脂を得ることができる。
(ポリイミド樹脂の原料)
本発明のポリイミド樹脂の原料であるテトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物及びジイソシアネート化合物は特に限定されないが、具体的には以下のものが挙げられる。
本発明のポリイミド樹脂において、テトラカルボン酸無水物及びジアミン化合物、並びにテトラカルボン酸無水物及びジイソシアネート化合物の組み合わせに特に制限はなく、各原料を1種類ずつ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物、分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物、分子内に縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物及び分子内にフッ素原子を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物の中でも、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性の向上及び耐熱性の点から、分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物、分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物及び環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
(芳香族テトラカルボン酸二無水物)
(分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物)
分子内に含まれる芳香環が1つであるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、ピロメリット酸二無水物が、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に好ましい。
(独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物)
独立した2つ以上の芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2、3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、独立した2つの芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましく、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性及び耐熱性向上の点で特に好ましい。
(縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物)
縮合芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(フッ素原子を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物)
フッ素原子を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,4−ジフルオロピロメリット酸二無水物、1,4−ジトリフルオロメチルピロメリット酸二無水物等が挙げられる。
(脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
(鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
(環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
環状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8,2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、ビシクロヘキサン骨格を有することが好ましく、特に、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物が、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(ジアミン化合物)
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジアミン化合物としては、分子内に含まれる芳香環が1つであるジアミン化合物、独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物、縮合芳香環を有するジアミン化合物、フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物、シロキサン系芳香族ジアミン化合物等が挙げられる。
脂肪族ジアミン化合物としては、鎖状脂肪族ジアミン化合物、環状脂肪族ジアミン化合物、シロキサン系脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。
ジアミン化合物の中でも、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性及び耐熱性向上の点から、分子内に含まれる芳香環が1つであるジアミン化合物、分子内に独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物、フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物、シロキサン系芳香族ジアミン化合物及びシロキサン系脂肪族ジアミン化合物を用いることが好ましい。
(芳香環が1つであるジアミン化合物)
芳香環が1つであるジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、3−アミノベンジルアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−フェニレンジアミンが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に好ましい。
(独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物)
独立した2つ以上の芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミド、2,7−ジアミノフルオレン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメトキシビフェニル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェノキシ)メタン、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5’−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン等の独立した2つの芳香環を有するジアミン化合物;1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,3,5−トリメチルベンゼン、N,N−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等の独立した3つの芳香環を有するジアミン化合物;2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ビス(4−アミノベンズアミド)−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン等の独立した4つの芳香環を有するジアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、独立した芳香環の数が2以上、4以下であるものが好ましい。特に、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミド、1,5’−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン及び2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性、可撓性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(縮合芳香環を有するジアミン化合物)
縮合芳香環を有するジアミン化合物としては、例えば、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール、1,5−ジアミノナフタレン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシド等が挙げられる。
これらの中でも、2−(4−アミノフェニル)−6−アミノベンゾオキサゾール、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−1H−ベンゾイミダゾールが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性、可撓性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物)
フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物としては、例えば、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、1,4−ビス{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらの中でも、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル及び2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性、可撓性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(シロキサン系芳香族ジアミン化合物)
シロキサン系芳香族ジアミン化合物としては、主鎖フェニルタイプと側鎖フェニルタイプが挙げられる。主鎖フェニルタイプとしては、例えば、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)ポリジメチルシロキサン、信越化学社製両末端アミノ変性シリコーン(PAM−E、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008)、東レダウコーニング社製両末端アミノ変性シリコーン(BY16−871、BY16−835U)、モメンティブ社製両末端アミノ変性シリコーン(XF42−C5379)等が挙げられる。側鎖フェニルタイプとしては、例えば、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、信越化学社製両末端アミノ変性シリコーン(X−22−1660B−3、X−22−9409)等が挙げられる。
(脂肪族ジアミン化合物)
(鎖状脂肪族ジアミン化合物)
鎖状脂肪族系ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
(環状脂肪族ジアミン化合物)
環状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)が、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性、可撓性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(シロキサン系脂肪族ジアミン化合物)
シロキサン系脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
これらの中でも、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性、可撓性及び無色透明性向上の点で特に好ましい。
(ジイソシアネート化合物)
ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
(芳香族ジイソシアネート化合物)
芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸1,3−フェニレン、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トルエンジイソシアネート等が挙げられる。
また、芳香族ジイソシアネート化合物としては、フッ素原子を有する芳香族ジイソシアネート化合物であってもよく、フッ素原子を有する芳香族ジイソシアネート化合物としては、フッ化ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
(脂肪族ジイソシアネート化合物)
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、鎖状脂肪族ジイソシアネート化合物及び環状脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。環状脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
(テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物又はジイソシアネート化合物の組み合わせ)
上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物又はジイソシアネート化合物の組み合わせは特に限定されず、適宜調整することができるが、ガラスフィルム積層体の防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性向上の点で特に以下の組み合わせが好ましい。
A.芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン化合物又は芳香族ジイソシアネート化合物との組合せ
B.フッ素原子を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミン化合物又は芳香族ジイソシアネート化合物との組み合わせ
C.芳香族テトラカルボン酸二無水物と、フッ素原子を有する芳香族ジアミン化合物又はフッ素原子を有する芳香族ジイソシアネート化合物の組み合わせ
また、ガラスフィルムとポリイミド樹脂層との接着性及び防割れ性を更に向上させるために、上記のジアミン化合物に加えてシロキサン系芳香族ジアミン化合物及び/又はシロキサン系脂肪族ジアミン化合物を併用してもよい。これらの中でも、シロキサン系脂肪族ジアミン化合物が好ましく、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンを併用することが特に好ましい。
<ガラスフィルム積層体の製造方法>
本発明のガラスフィルム積層体の製造方法は特に限定されず、上記のガラスフィルムにポリイミド樹脂層を設ける方法についても特に限定されない。
ガラスフィルムにポリイミド樹脂層を設ける方法は、例えば、ガラスフィルムに後述のポリイミド樹脂組成物を塗布し、塗布したポリイミド樹脂組成物を乾燥させてポリイミド樹脂層を形成する方法、予め後述のポリイミド樹脂組成物から作製したポリイミドフィルムをガラスフィルムに貼り合わせてポリイミド樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂層を設ける前に、ガラスフィルムを洗浄する工程、ガラスフィルムに親水性等の表面処理を行う工程、及びガラスフィルムに接着層等を設ける工程等を設けてもよい。
ガラスフィルムにポリイミド樹脂組成物を塗布し、塗布したポリイミド樹脂組成物を乾燥させてポリイミド樹脂層を形成する方法において、ポリイミド樹脂組成物の塗布方法は特に限定はなく、例えば、ダイコーディング、スピンコーティング、ロールコーディング、スプレーコーティング、スクリーン等の印刷法;キャスト法;コーターを用いる方法;浸漬法;カレンダー法;吹き付け法;流延法等が挙げられる。
塗布したポリイミド樹脂組成物を乾燥させる方法も特に限定されない。例えば、室温乾燥、熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、熱板又はホットロール等を用いた接触による加熱等が挙げられる。
塗布したポリイミド樹脂組成物を加熱乾燥させる場合の加熱温度は、ポリイミド樹脂組成物中の溶媒の種類に応じて好適な温度を用いることができるが、通常40℃以上、好ましくは60℃以上である。一方、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。加熱乾燥温度が40℃以上である場合、溶媒が十分揮発される点で好ましい。また、加熱乾燥温度が400℃以下である場合、有機溶媒の揮発が急激に起こらないために、得られるポリイミド樹脂層に気泡等が発生することが防止される傾向にある。溶媒の急激な揮発を防止することは、得られるポリイミド樹脂層の外観や品質の低下を抑制する点において好ましい。また、加熱の雰囲気は、空気雰囲気下でも不活性ガス雰囲気下でもよく特に制限はないが、ポリイミド樹脂層の着色抑制のために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で加熱することが好ましい。
予めポリイミド樹脂組成物から作製したポリイミド樹脂フィルムをガラスフィルムに貼り合わせてポリイミド樹脂層を形成する方法は特に限定されないが、例えば、ドライラミネート、熱ラミネート、真空ラミネート、ウェットラミネート、フレームラミネート等のラミネート加工方法等が挙げられる。
(ポリイミド樹脂組成物)
ポリイミド樹脂層の形成に用いるポリイミド樹脂組成物は、少なくとも溶媒、並びに前記のポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体を含む。
ポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体とは、ポリイミド樹脂のみ、ポリイミド樹脂前駆体のみ及びこれらの混合物を指す。ポリイミド樹脂のイミド化率は特に限定されず、ポリイミド樹脂の主鎖にアミック酸構造を含むものもポリイミド樹脂とする。また、ポリイミド樹脂前駆体とは、ポリアミック酸樹脂及びポリアミック酸エステル樹脂を指す。
ポリイミド樹脂組成物の溶媒は、特に限定はないが、例として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、アニソール、ジグライム、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン等の非プロトン系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
これらの中でも特にN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンが、ポリイミド樹脂及びポリイミド樹脂前駆体との相溶性が高い傾向にあるため好ましい。
ポリイミド樹脂組成物の溶媒は、ポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体の合成時に用いた溶媒を合成後に除去せず、そのままポリイミド樹脂組成物の溶媒として用いてもよい。また、ポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体を貧溶媒中に添加することで固体状に析出させた後に、ポリイミド樹脂組成物の溶媒に再溶解させてポリイミド樹脂組成物とすることもできる。
また、ポリイミド樹脂組成物中にポリイミド樹脂を含む場合は、塗膜形成時の吸湿による白化を抑制するためにアニソールや脂肪族アルコールを含んでいることが好ましい。これらの溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の混合物であってもよい。
ポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体の濃度は、特段の制限は無いが、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下である。ポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂及び/又はポリイミド樹脂前駆体の濃度をこの範囲内に調整することで、良好な塗工性が得られる傾向にある。
本発明で用いるポリイミド樹脂組成物の粘度は、特段の制限は無いが、通常10mPa・s以上、好ましくは1.0×10mPa・s以上である。また、通常5.0×10mPa・s以下、好ましくは2.0×10mPa・s以下である。ポリイミド樹脂組成物の粘度を上記範囲内に調整することで、ポリイミド樹脂組成物からポリイミド樹脂層を形成する際に、良好な塗工性を達成し、溶媒除去(乾燥)が容易になる傾向がある。
なお、ポリイミド樹脂組成物の粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定するものとする。粘度の測定は公知の方法によって行うことができ、例えば国際公開公報第99/60622号に記載されている方法に従って行うことができる。
<ガラスフィルム積層体の好適物性>
本発明のガラスフィルム積層体を、例えば光電変換素子やボトムエミッション型の発光素子や表示素子等の用途に用いる場合は、ガラスフィルム積層体は、無色透明性が高いことが好ましい。
本明細書において、無色透明であることは、ガラスフィルム積層体の膜厚1〜300μmにおいて、500nmの光線の透過率が70%以上であることを表す。前記透過率は、さらに好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上である。ここで、透過率は、JIS K 7136−1による、500nmにおける全光線透過率を用いる。
本発明のガラスフィルム積層体は、その膜厚が1〜300μmにおいて、黄色度(イエローインデックス(YI))が、通常−10以上、好ましくは−5以上、より好ましくは、−1以上である。一方、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
本発明のガラスフィルム積層体の厚さ方向のリタデーション(Rth)は、使用する波長、例えばデバイス用途であれば400〜800nmの間の任意の波長で、通常500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。また、本発明のガラスフィルム積層体の面内方向のリタデーション(R0)は、通常20nm以下、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに好ましくは3nm以下である。リタデーションがこの範囲となることで、ボトムエミッション型のデバイスの場合、デバイスの視野性が向上する傾向となるため好ましい。
[キャリア基板積層体]
本発明のガラスフィルム積層体は、そのハンドリング性をさらに向上させるために、キャリア基板に積層されて固定されていてもよい。
ここで使用されるキャリア基板は硬質で耐熱性を有することが好ましい。すなわち、製造工程上必要とされる温度条件で、変形しない素材を用いることが好ましい。具体的には、通常200℃以上、好ましくは250℃以上のガラス転移温度を持つ素材でキャリア基板が構成されていることが好ましい。また、デバイスの製造コストを低減するためには、安価なキャリア基板を用いることもまた好ましい。このような観点から、キャリア基板の材料の好ましい例としては、ガラス、セラミック、金属、シリコンウエハ等が挙げられる。
キャリア基板の厚さは、特に限定されないが、通常0.3mm以上、好ましくは0.5mm以上であり、一方、通常5.0cm以下、好ましくは2.0cm以下である。キャリア基板の厚さがこのような範囲にあることにより、キャリア基板の耐衝撃性が向上し、かつデバイス製造コストを下げることができる。
キャリア基板として用いられるガラスとしては、特に限定されるものではないが、例として、青板ガラス(アルカリガラス)、高ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス(ホウケイ酸ガラス、コーニング社製イーグルXG等)、アルミノケイ酸塩ガラス等が挙げられる。
本発明のガラスフィルム積層体をキャリア基板に固定する方法は特に限定されないが、例えば、粘着剤を用いて固定する方法、両者を加熱加圧して固定する方法、金属治具等を用いて機械的に固定する方法等が挙げられる。
[デバイス−ガラスフィルム積層体・デバイス−キャリア基板積層体]
本発明のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、有機EL層、光電変換層、バリア層、封止層、電極、トランジスタ、カラーフィルター、偏光膜、シリコン酸化膜等のデバイス構成部材を形成し、デバイスとして用いることができる。また、この場合において、ポリイミド樹脂層及びデバイス構成部材との間に、接着層等の層を設けてもよい。
前記のデバイス構成部材の形成方法は特に限定されない。
ガラスフィルム積層体にデバイス構成部材を形成後、表示、受光、発光等の各用途に用いるデバイス−ガラスフィルム積層体とすることができる。
また、本発明のガラスフィルム積層体は、前述のキャリア基板に積層され、キャリア基板積層体として用いることができるが、このキャリア基板積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材を形成し、デバイス−キャリア基板積層体とすることもできる。
上記のデバイス構成部材を形成する前に、必要に応じてガラスフィルム積層体の洗浄及び表面処理を行ってもよい。また必要に応じてデバイス構成部材を形成する前にガラスフィルム積層体上に各種バリア層を積層してもよい。これらの方法は限定されない。
洗浄方法の例としては、ドライ洗浄の例として、UVオゾン洗浄、プラズマ洗浄、スパッタ洗浄、イオン洗浄、加熱洗浄、ドライアイス噴射洗浄等が挙げられ、ウェット洗浄の例として、水洗浄、アルカリ洗浄、酸洗浄、洗剤洗浄、溶剤洗浄、液体噴射洗浄等が挙げられる。
各種バリア層の積層の一例として、ガスバリア性のポリマーをコートする方法、プラチナやアルミニウム等の金属やアルミナや酸化チタン等の無機酸化物、金属窒化物等を積層し、金属および無機の薄膜よりなるバリア層をコートする方法、有機バリア層又は有機・無機複合バリア層をコートする方法等が挙げられる。
本発明のデバイスーガラスフィルム積層体は、ガラスフィルム積層体上に、表示、受光、発光等の用途に合わせて、必要なデバイス構成部材が積層されたものである。例えば、TFT液晶ディスプレイデバイスフィルムを製造する場合には、アモルファスシリコン等のTFTを形成すればよい。また、ゲート金属層、窒化ケイ素ゲート誘電体層及びITI画素電極を形成することにより、TFTを形成しうる。さらにTFTの上に、液晶ディスプレイのために必要な構造を公知の方法によって形成することもできる。
デバイスーガラスフィルム積層体の表示用途としては、上記TFT液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。
また、受光用途としては、太陽電池デバイス等が挙げられ、発光用途としては、有機ELを用いた照明等が挙げられる。
また、太陽電池用途に用いる際には、ガラスフィルム積層体上に、例えば結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体材料又は有機化合物材料等を用いた太陽電池を形成すればよい。具体的には、透明電極、結晶シリコン、アモルファスシリコン又は有機材料を含有する光電変換層及び対向電極を形成することにより、太陽電池を形成しうる。さらに太陽電池の上に、太陽電池にとって必要な構造を、公知の方法によって形成することもできる。
なおデバイス構成部材が形成されたデバイス−ガラスフィルム積層体に対しては、封止処理、回路以外の層を積層する処理、部材をモジュール化する処理等を行ってもよい。
デバイス−ガラスフィルム積層体は、キャリア基板上に積層することもできる。この場合は、デバイス−ガラスフィルム積層体を積層した後キャリア基板を剥離することで、デバイス−ガラスフィルム積層体を得る。その剥離方法は特に制限されないが、ガラスフィルム積層体及びデバイス構成部材の性能を損なうことなく剥離できるという点で、物理的に剥離する方法が特に好ましい。
物理的に剥離する方法とは、例えば、デバイス構成部材の周縁を切離してデバイス−ガラスフィルム積層体を得る方法や、デバイス構成部材の周縁を吸引してデバイス−ガラスフィルム積層体を得る方法、デバイス構成部材の周縁を固定し、キャリア基板だけ移動させてデバイス−ガラスフィルム積層体を得る方法等が挙げられる。
本発明のデバイス−ガラスフィルム積層体の用途としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーといった表示デバイス、太陽電池等の受光デバイス、有機EL照明等の発光デバイスを挙げることができる。特に、薄型化、軽量化、フレキシブル性を付与したい用途への適用に最適である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその主旨に反しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[各種物性・特性の測定・評価方法]
<引裂強度>
振り子式エルメンドルフ引裂試験機(東洋精機(株)製)を用い、JIS K−7128−2に準じて測定したポリイミド樹脂フィルムの引裂き強さ(N)をフィルム厚み(mm)で割り、引裂強度とした。
<防割れ性>
ハサミを用いてポリイミド−ガラスフィルム積層体を裁断し、割れ方を観察して、以下の基準で5段階評価した。
1:裁断部以外で割れが生じ、ガラスフィルム積層体が破断した。
2:割れは裁断部のみ。裁断部から2mm角以上の積層体の破断片が生じた。
3:割れは裁断部のみ。裁断部から2mm角未満の積層体の破断片が生じた。
4:割れは裁断部のみ。破断片は発生せず、裁断部のクラックが2mm以上であった。
5:割れは裁断部のみ。破断片は発生せず、裁断部のクラックが2mm未満であった。
<耐熱性>
ポリイミド樹脂層の耐熱性として、ポリイミド樹脂のガラス転移温度を評価した。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル社製:EXSTAR6000)を用いて、昇温速度10℃/minとして測定した。
[ポリイミド樹脂及びポリイミド樹脂組成物の製造]
<合成例1>
(1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(H−BPDA)の合成)
1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物150gを、水593g及び水酸化ナトリウム83.3gの溶液に溶解し、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸四ナトリウム塩の水溶液を得た。この水溶液をRu/C触媒を用いて、10MPaG、120℃で核水素化した。次いで49%硫酸水溶液429gを滴下して析出させ、析出物を濾過して、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸(H−BTC)157g(収率81%)を得た。
温度計、攪拌機及びジムロート冷却管を備えた300mlの3つ口フラスコに、窒素下にて上記で得られたH−BTC33.7g(0.98mol)、無水酢酸90gを添加した。これを攪拌下、昇温して還流温度(130℃〜140℃)で3時間反応させた。反応後、10℃まで冷却し、濾過を行い、白色の結晶を得た。得られた結晶をトルエンにて洗浄し、減圧乾燥機にて乾燥を実施して、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(H−BPDA)含有組成物23.5g(収率78%)を得た。
<合成例2〜14、16及び17>
(ポリイミド樹脂組成物1〜13、15及び16の調製)
テトラカルボン酸二無水物及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、室温で撹拌した。撹拌後、残りの溶媒の1/2量にジアミン化合物を溶解させたものを加え、80℃で6時間加熱撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物1を得た。表1の合成例2の欄に、用いたテトラカルボン酸二無水物(表1中、「酸無水物」と記載)、溶媒及びジアミン化合物(表1中、「ジアミン」と記載)の種類と量を示す。
同様に、合成例3〜14、16及び17として、合成例2と同じ方法でポリイミド樹脂組成物2〜13、15及び16を得た。
<合成例15>
(ポリイミド樹脂組成物14の調製)
テトラカルボン酸二無水物及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、室温で撹拌した後、残りの溶媒の1/2量にジアミン化合物を溶解させたものを加え、80℃で6時間加熱撹拌した。更に、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(東京化成社製)を0.405g入れて撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物14を得た。
<合成例18及び19>
(ポリイミド樹脂組成物17及び18の調製)
窒素下で、ジアミン化合物をフラスコ内で撹拌しながら、溶媒に溶解させた。次いで、テトラカルボン酸二無水物を加えた。その後、室温で5時間撹拌を続けた後、一昼夜保持し、目的とするポリイミド樹脂組成物17を得た。
表1の合成例19の欄に示すテトラカルボン酸二無水物、溶媒及びジアミン化合物の種類と量を用いて、合成例18と同様にポリイミド樹脂組成物18を得た。
<合成例20及び21>
(ポリイミド樹脂組成物19及び20の調製)
テトラカルボン酸二無水物、両末端アミノ変性シリコーン及び1/2量の溶媒を丸底フラスコ中に入れ、窒素気流下、80℃で3時間加熱撹拌した。3時間加熱撹拌後、残りの溶媒の1/2量に4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解させたものを加え、80℃で3時間加熱撹拌し、目的とするポリイミド樹脂組成物19を得た。
表1の合成例21の欄に示すテトラカルボン酸二無水物、溶媒及びジアミン化合物の種類と量を用いて、合成例20と同様にポリイミド樹脂組成物20を得た。
合成例3〜21で用いたテトラカルボン酸二無水物(表1中、「酸無水物」と記載)、溶媒及びジアミン化合物(表1中、「ジアミン」と記載)の種類及び量は表1にそれぞれ示す通りである。
なお、表1中、各化合物の略号は以下の通りである。
(テトラカルボン酸二無水物)
H−BPDA:1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
6FDA:4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物
(ジアミン化合物)
ODA:4,4'−ジアミノジフェニルエーテル
DA5MG:1,5’−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン
PDA:1,4−フェニレンジアミン
3,3−ASN:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
m−TB:4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル
TFMB:4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル
BAPS:ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
4,4−ASN:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
X−22−9409:両末端アミノ変性シリコーン(信越化学社製)
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
(その他)
GOPF:9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン
Figure 0006627317
[実施例及び比較例]
<実施例1>
厚さ50μmのガラスフィルムの片面に、スピンコーターを用いて、熱処理後の膜厚が5μmとなるようにポリイミド樹脂組成物1を塗布した。その後、窒素ガス雰囲気下、60℃で15分乾燥した。続いて、ガラスフィルムのもう一方の面に、スピンコーターを用いて、熱処理後の膜厚が5μmとなるようにポリイミド樹脂組成物1を塗布した。その後、窒素ガス雰囲気下、80℃で10分乾燥し、更に2℃/minで300℃まで昇温し、300℃で30分加熱して、ガラスフィルムの両面にポリイミド樹脂層を設けた。
得られたガラスフィルム積層体の防割れ性を上記に記載の方法に従って確認した。評価結果を表2に示す。
またアプリケーターを用いて、熱処理後の膜厚が30μmとなるように合成例2で作成したポリイミド樹脂組成物1を青板ガラスに塗布した。その後、窒素ガス雰囲気下、80℃で10分乾燥し、更に2℃/minで300℃まで昇温し、300℃で30分加熱した。続いて、青板ガラスからポリイミド樹脂層を剥離した。得られたポリイミド樹脂フィルムの引裂強度及び耐熱性(ガラス転移温度(Tg))を上記に記載の方法に従って確認した。評価結果を表2に示す。
<実施例2〜17、比較例1〜3>
実施例1のポリイミド樹脂組成物1を、表2に示すようにポリイミド樹脂組成物2〜20に変更した以外は、それぞれ実施例1と同じようにして、ガラスフィルム積層体及びポリイミド樹脂フィルムを得た。得られたガラスフィルム積層体及びポリイミド樹脂フィルムについて、実施例1と同様に各種評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0006627317
実施例1〜17に示すように、本発明のガラスフィルム積層体は、防割れ性及び耐熱性に優れることが示された。また、防割れ性に優れることから、ガラスフィルム積層体及びガラスフィルム積層体を用いたデバイスなどの製造プロセスにおけるハンドリング性も十分に得られることが示された。
なお、本発明のガラスフィルム積層体は、ガラスフィルムにポリイミド樹脂層を積層した薄膜状のものであるため可撓性にも優れる。
本発明のガラスフィルム積層体は、防割れ性、ハンドリング性、耐熱性及び可撓性が良好であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等の表示デバイス、太陽電池等の受光デバイス、有機EL照明等の発光デバイスの基板として用いることができる。

Claims (4)

  1. ガラスフィルム及び前記ガラスフィルムの少なくとも一方の面上にポリイミド樹脂層を有する積層体であって、
    前記ポリイミド樹脂の構造が1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物に由来する単位を含み、
    前記ガラスフィルムの厚さが10μm以上、200μm以下であり、
    前記ポリイミド樹脂層の厚さが0.1μm以上、60μm以下であり、
    前記ポリイミド樹脂層の引裂強度が0.45N/mm以上、且つ引張弾性率が1000MPa以上であることを特徴とする、ガラスフィルム積層体。
  2. 請求項1に記載のガラスフィルム積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−ガラスフィルム積層体。
  3. 請求項1に記載のガラスフィルム積層体が、キャリア基板上に積層されてなる、キャリア基板積層体。
  4. 請求項3に記載のキャリア基板積層体のポリイミド樹脂層上に、デバイス構成部材が形成されてなる、デバイス−キャリア基板積層体。
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