[第1の実施形態]
本発明の一実施形態のエアゾール製品について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な断面図である。エアゾール製品1は、後述する易分解性成分を含有する原液と原液を噴射するための噴射剤(以下、これらを合わせてエアゾール組成物2ともいう)とが充填されるエアゾール容器3と、エアゾール容器3を2本連結する噴射部材(図示せず)とを主に備える。なお、本実施形態のエアゾール製品1は、エアゾールバルブ5のうち、バルブ機構を収容する筒部の形状に特徴を有する。そのため、筒部の形状以外は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。以下、それぞれについて説明する。
<エアゾール容器3>
エアゾール容器3は、エアゾール組成物2を充填するための容器である。エアゾール容器3は、容器本体4と、容器本体4に取付けられるエアゾールバルブ5とを主に備える。
(容器本体4)
容器本体4は、エアゾール組成物2を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体4は、汎用の形状であってよい。本実施形態の容器本体4は、上部に開口が形成された有底筒状である。開口は、エアゾール組成物2を充填するための充填口である。容器本体4は、開口に後述するエアゾールバルブ5が取り付けられる。本実施形態の容器本体4は、耐圧性の優れた外容器6と、外容器6内に設けられる内容器7とを主に備える。
外容器6の材質は特に限定されない。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレート等の各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。外容器6は、開口の近傍において、径方向の内側に落ち窪んだ肩部が形成されている。首部には、後述するカバーキャップ51が固着される。
内容器7は、エアゾール組成物2と外容器6の内周面との接触を防ぐために設けられている。これにより、エアゾール組成物2に外容器6を腐食し得る成分が含有されている場合であっても、外容器6は、腐食されにくい。
内容器7の材質は、エアゾール組成物2によって腐食されにくい材質から選択されることが好ましい。このような材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の合成樹脂が例示され、これらの単層構造やポリエチレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンのように積層構造としてもよい。
外容器6および内容器7の上面には、リング状のシール部材86が設けられている。シール部材86は、外容器6および内容器7の上面と、後述するエアゾールバルブのハウジング8のフランジ部82の下面とにより上下から圧縮されるとともに、さらにハウジングの外周部83の外周面とカバーキャップの縁部51bの内周面によって左右から圧縮される。これにより、エアゾール組成物2の漏出が抑えられる。
(エアゾールバルブ5)
エアゾールバルブ5は、容器本体4の開口を閉止して、容器本体4を密閉するための部材である。エアゾールバルブ5は、容器本体4の開口を閉止するよう固着されるカバーキャップ51と、カバーキャップ51と容器本体4とによって挟持され、容器本体4内の所定の位置に保持されるハウジング8と、ハウジング8内に収容されるバルブ機構9とを主に備える。
カバーキャップ51は、エアゾールバルブ5を容器本体4に取り付けるための部材であり、アルミニウム、ステンレス、ブリキ等の金属板からカップ状に成形される。カバーキャップ51は、円盤状のキャップ本体51aと、キャップ本体51aの外周縁において下方に延設された略円筒状の縁部51bとを有する。キャップ本体51aは、中心に後述するステムが挿通されるキャップ側挿通孔が形成されている。縁部51bの下端は、首部の外周面に沿うよう湾曲形状に塑性変形されている。
ハウジング8は、後述するバルブ機構9が収容される部材である。ハウジング8は、中心にステムが挿入されるハウジング側挿入孔が形成された円盤状の天面部81と、天面部81の外周縁において径方向の外側に延設されたフランジ部82と、天面部81の外周縁の近傍において下方に延設された周状の外周部83と、ハウジング側挿入孔の近傍において下方に落ち窪むよう形成された筒部84と、筒部84の下方に延設された周状のチューブ取付部84aと、筒部84の外周面と外周部83の内周面と天面部81の裏面とに三辺が接続された複数の略矩形状の板状部材85とを主に備える。
天面部81は、開口を閉止するための部位である。天面部81は、扁平な略円盤状の部材であり、中心にステムが挿入されるハウジング側挿入孔が形成されている。
フランジ部82は、天面部81の外周縁において、径方向の外側に延設された周状の部位である。フランジ部82は、下面にシール部材86が配設され、外容器6および内容器7の上面とともにシール部材86を挟持する。これにより、エアゾール製品1は、ハウジング8と外容器6および内容器7との部材間におけるエアゾール組成物2の漏出が抑えられる。
外周部83は、天面部81の外周縁の近傍において、下方に延設された周状の部位である。外周部83の外周面は、上端側がシール部材86の内周面と接しており、下端側が内容器7の内周面と接している。これにより、容器本体4からのエアゾール組成物2の漏出がより抑えられている。
筒部84は、後述するバルブ機構9を収容する部位であり、ハウジング側挿入孔の近傍において下方に落ち窪むよう形成されている。また、筒部84は、上部に開口(ハウジング側挿入孔)が形成された略円筒状の部材である。筒部84の底部には、容器本体4に充填されたエアゾール組成物2を筒部84に取り込むための取込口87が形成されている。
図2は、ハウジング8の底面図である。図2に示されるように、本実施形態のエアゾール製品1において、筒部84の外周面は、軸方向沿って延びる複数の凹部88が形成されている。それぞれの凹部88は、筒部84の上端から下端にかけて形成されている(図1参照)。また、凹部88の内側は筒部の中心方向に突出している。これにより、筒部84は強度が高くなるため厚さを0.3〜2mm程度に薄くすることができ、さらに筒部の外周面は、表面積が増大されている。その結果、後述するエアゾール組成物2に含まれる易分解性成分が分解して発生するガスは、筒部84を透過して容器本体4からハウジング8内に移行されやすい。ハウジング8内に移行されたガスは、後述するステムラバー93やカバー部95をさらに透過して外部に放出されやすい。その結果、容器本体4内の圧力上昇が、効果的に抑制され得る。なお、本実施形態において、「軸方向に沿って延びる」とは、単に軸方向のみに直線状に延びるよう形成された凹部だけでなく、たとえば軸方向に対して所定の角度だけ傾斜した斜め方向に延びる凹部も含む。
凹部88の数、形状、位置および数は特に限定されず、ハウジング8の表面積を増大し得る形状、位置および数であればよい。一例を挙げると、凹部88の形状は、図2に示されるように底面側から見てハウジング8の径方向の内側に台形状に落ち窪んだ形状であってもよく、半円状、三角形状に落ち窪んだ形状であってもよい。凹部88の位置は、図2に示されるように筒部84の上端から下端にかけて軸方向に沿って延びるよう形成されていてもよく、ハウジング8の外周面の下端側のみのように部分的に設けられてもよい。また、凹部88の数は、1つ以上であればよい。凹部88は、ハウジング8の中心軸に対して対称となる位置に複数個設けられることが好ましい。本実施形態では、ハウジング8の中心軸に対して3対、計6箇所に凹部88が形成されている。
ハウジング8の材質は特に限定されない。一例を挙げると、ハウジング8の材質は、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール等である。これらの中でも、ハウジング8の材質は、易分解性成分が分解して発生するガス、特に酸素を透過させやすい点で、ポリアセタールが好ましい。
図1に戻り、チューブ取付部84aは、筒部84の下方に延設された略円筒状の部位である。チューブ取付部84aは、取込口87と接続された上端と、ディップチューブ89が挿入される挿入口が形成された下端とを有する。チューブ取付部84aの内径は、ディップチューブ89の外径と同程度である。そのため、チューブ取付部84aには、ディップチューブ89が挿し込まれて保持される。
ディップチューブ89は、容器本体4の内底近傍まで延びる比較的長尺の略円筒状部材である。ディップチューブ89は、チューブ取付部84aに挿し込まれる上端と、容器本体4に充填されたエアゾール組成物2の液相に浸漬され、エアゾール組成物2を取り込むための開口(図示せず)が形成された下端とを有する。
板状部材85は、筒部84の外周面と外周部83の内周面と天面部81の裏面とに三辺が接続された略矩形状の部材である。再び図2を参照し、それぞれの板状部材85は、筒部84の外周面と外周部83の内周面とを接続するよう取り付けられている。板状部材85により、ハウジング8の強度が高められる。なお、板状部材85の数および配置は特に限定されないが、2枚の板状部材85の間に1つの凹部88が位置するように、かつ、筒部84を介して対象となる位置に設けることが好ましい。本実施形態では、6個の板状部材85が筒部84の外周面に等間隔(等角度)で放射状に設けられた場合が例示されている。
バルブ機構9は、ハウジング8内に収容される部材であり、容器本体4の内外を連通するステム孔92が形成されたステム91と、ステム孔92の周囲に取り付けられ、ステム孔92を閉止するためのステムラバー93と、ステム91とステムラバー93とを上方向へ付勢するスプリング94と、ステムラバー93の上面のうち少なくとも一部を覆うカバー部95とを主に備える。
ステム91は、ハウジング8内を上下方向に摺動する部材であり、上部ステム96と下部ステム97とからなる。
上部ステム96は、略棒状の部位であり、噴射時にハウジング8内に取り込まれたエアゾール組成物2が通過するステム内通路96aを有する。また、上部ステム96には、ハウジング8内の空間とステム内通路96aとを連通するステム孔92が形成されている。ステム孔92は、非噴射時には、ステムラバー93の内周面により閉止される。上部ステム96の上端には、ステム内通路96aの上端が開口している。また、上部ステム96の上端には、ハウジング8に取り込まれたエアゾール組成物2を噴射するための噴射部材(図示せず)が取り付けられる。噴射部材は、ステム91を上下に摺動させて、エアゾールバルブ5を非噴射状態と噴射状態とに切り替えるための部材である。
下部ステム97は、略円柱状の部位であり、上部ステム96の下端に一体的に設けられている。下部ステム97は、比較的大径の大径部97aと、大径部97aの下端に設けられ、大径部97aよりも小径の小径部97bとからなる。大径部97aと小径部97bとは径が異なるため、大径部97aと小径部97bとの接続位置には、段部が形成される。段部には、後述するスプリング94の上端が取り付けられる。大径部97aの上面は、ステムラバー93の下面と当接している。これにより、非噴射時においてハウジング8内のエアゾール組成物2は、ステム孔92に取り込まれず、漏出しにくい。
ステムラバー93は、ステム孔92の周囲に取り付けられ、ハウジング8の内部空間と外部とを遮断するための部材である。また、ステムラバー93は、中心に上部ステム96が挿通される挿通孔が形成された円盤状の部材である。ステムラバー93の内径は、上部ステム96のうち、ステム孔92が形成されている箇所の外径よりもわずかに小さく、非噴射時において、内周面を上部ステム96外周面と密着させて、ステム孔92を閉止する。ステムラバー93の外周近傍は、後述するカバー部95を介してカバーキャップ51の下面とハウジング8の上面とにより挟持される。これにより、ステムラバー93は、エアゾールバルブ5内において適切に位置決めされる。
スプリング94は、ステム91を上方向へ常時付勢するために、ハウジング8内に圧縮状態で保持される部材である。スプリング94は、下部ステム97の段部に接続される上端と、ハウジング8の内底面に接続される下端とを有する。スプリング94は、非噴射時において、ステム91を上方向へ付勢し、下部ステム97の大径部97aの上面がステムラバー93の下面に押し当てられる位置までステム91を移動させる。
カバー部95は、ステムラバー93の上面のうち少なくとも一部を覆う円板状のシール部材であり、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂から成形される。カバー部95は、ステムラバー93の上面と、カバーキャップ51の下面とによって挟持される。カバー部は厚さが0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。また、カバー部の厚さは、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。厚さが0.2mm未満である場合、ステムラバー93を浸透したエアゾール組成物の液体がカバーキャップ51と接触しやすく、腐食しやすくなる傾向がある。一方、厚さが2mmを超える場合、発生したガスが透過しにくく、圧力の上昇を抑制する効果が不充分になりやすい。本実施形態のエアゾール製品1は、カバー部95を備えることにより、たとえばエアゾール組成物2に酸性成分やアルカリ性成分などのカバーキャップ51を腐食し得る成分が含有されている場合であっても、このような腐食性成分はカバーキャップ51と接触しにくい。また、カバーキャップ51が金属製である場合、金属と易分解性成分(たとえば過酸化水素)とは反応しやすく、ガスが発生しやすい。しかしながら、本実施形態のエアゾール製品1は、カバーキャップ51とステムラバー93とが接触しないため、ガスの発生が抑制され得る。したがって、エアゾール製品1は、長期保存される場合であっても、容器本体4の内圧が上昇しにくい。
以上のエアゾール容器3に、エアゾール組成物2が充填される。なお、容器本体4にエアゾール組成物2を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、容器本体4の開口から原液等を充填し、エアゾールバルブ5により開口を閉止し、エアゾールバルブ5のステム91から噴射剤等を充填する方法が採用される。ほかにも、エアゾールバルブ5を固着する前に噴射剤等を充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。
<エアゾール組成物2>
次に、上記エアゾール容器3に充填されるエアゾール組成物2について説明する。エアゾール組成物2は、エアゾール容器3に加圧充填される内容物である。エアゾール組成物2は、易分解性成分を含有する原液と、原液を噴射するための噴射剤とを主に含む。ここで、上記のとおり、上記実施形態のエアゾール容器3は、筒部84の外周面の表面積が増大されている。そのため、エアゾール組成物2の原液に含まれる易分解性成分が分解してガスが発生する場合であっても、発生したガスは、筒部84を透過してハウジング8内に取り込まれ、その後、外部に放出されやすく、容器本体4内の圧力上昇が効果的に抑制され得る。そのため、上記エアゾール容器3は、分解によりガスを発生しやすい原液を好適に充填し得る。以下の説明では、このような原液の一例として、二液式染毛剤を構成する2つの液剤のうち、酸化染料を酸化するための酸化剤(たとえば過酸化水素)が配合された液剤(第2剤)について説明する。
(原液)
原液は、酸化剤、pH調整剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮するための他の有効成分、界面活性剤、油性成分等を溶媒に含有させた液体成分である。
酸化剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、酸化剤は、過酸化水素等である。酸化剤は、過酸化水素に加えて、酸化酵素が用いられてもよい。
酸化剤として過酸化水素が使用される場合、過酸化水素は、原液中に純分換算で1質量%以上配合されることが好ましく、2質量%以上配合されることがより好ましい。また、過酸化水素は、原液中に純分換算で20質量%以下配合されることが好ましく、15質量%以下配合されることがより好ましい。過酸化水素の含有量が1質量%未満である場合、酸化力が不充分となりやすい。一方、過酸化水素の含有量が20質量%を超える場合、本実施形態のエアゾール製品は、発生するガス(酸素)の量が過剰となりやすく、充分に圧力上昇を抑制しきれない可能性がある。
過酸化水素は、容易に分解する易分解性成分である。過酸化水素は、容易に分解し、酸素を発生する。特に、過酸化水素は、金属(たとえば容器本体4等を構成するアルミニウムやブリキ)と反応して酸素を発生しやすい。そのため、過酸化水素を含む原液が容器本体4内に充填されている場合、過酸化水素は、経時的に分解して酸素を発生し、エアゾール容器3の内圧を上昇させる。しかしながら、上記のとおり、上記実施形態のエアゾール容器3は、筒部84の外周面の表面積が増大されている。そのため、過酸化水素が分解して発生した酸素は、外部に放出されやすく、容器本体4内の圧力上昇が効果的に抑制され得る。なお、本実施形態において、「易分解性」とは、たとえば過酸化水素やアンモニアのように分子構造的に不安定であり自然に分解されるものをいう。
酸化酵素としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化酵素であれば特に限定されない。一例を挙げると、酸化酵素は、ラッカーゼ、パーオキシターゼ、ウリターゼ、カタラーゼ、チロシナーゼ等である。
酸化剤として酸化酵素が使用される場合、酸化酵素は、原液中に0.001質量%以上配合されることが好ましく、0.01質量%以上配合されることがより好ましい。また、酸化酵素は、原液中に10質量%以下配合されることが好ましく、5質量%以下配合されることがより好ましい。酸化酵素の含有量が0.001質量%未満である場合、酸化力が不充分となりやすい。一方、酸化酵素の含有量が10質量%を超える場合、得られる効果に差が見られず、高コストとなりやすい。
pH調整剤としては、酸化染毛剤に使用される通常のpH調整剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、pH調整剤は、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸等である。原液は、pH調整剤により、pH1以上に調整されることが好ましく、2以上に調整されることがより好ましい。また、原液は、pH調整剤により、6以下に調整されることが好ましく、5以下に調整されることがより好ましい。
安定化剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の安定化剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、安定化剤は、無水亜硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ペンテト酸、リン酸水素2ナトリウム、エチドロン酸、フェナセチン、EDTA、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸、パラベン等である。
安定化剤が含有される場合、安定化剤は、原液中に0.001質量%以上配合されることが好ましく、0.01質量%以上配合されることがより好ましい。また、安定化剤は、原液中に10質量%以下配合されることが好ましく、5質量%以下配合されることがより好ましい。安定化剤の含有量が0.001質量%未満である場合、安定化剤の効果が不充分となりやすい。一方、安定化剤の含有量が10質量%を超える場合、得られる効果に差が見られず、高コストとなりやすい。
粘度調整剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の粘度調整剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、粘度調整剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースエチルエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン等である。
粘度調整剤が含有される場合、粘度調整剤は、原液中に0.01質量%以上配合されることが好ましく、0.1質量%以上配合されることがより好ましい。また、粘度調整剤は、原液中に5質量%以下配合されることが好ましく、3質量%以下配合されることがより好ましい。粘度調整剤の含有量が0.01質量%未満である場合、泡持ちを良くする、液たれを防止するなどの粘度調整効果が得られにくい。一方、粘度調整剤の含有量が5質量%を超える場合、原液は、粘度が高くなり過ぎて、調合やエアゾール容器3への充填が難しくなりやすく、噴射されずに残る量が多くなりやすい。なお、原液の粘度は1,000mPa・s以上であることが好ましく、2,000mPa・s以上であることがより好ましい。また、原液の粘度は、50,000mPa・s以下であることが好ましく、30,000mPa・s以下であることがより好ましい。原液の粘度が1,000〜50,000mPa・sに調整される場合、エアゾール容器内で発生するガスは、たとえば原液中を上昇して1箇所に集まる等の現象が起こりにくい。その結果、集まったガスが取込口から取り込まれることが防がれる。したがって、粘度が適切に調整された原液を含むエアゾール組成物は、噴射される際に飛び散り等を発生しにくい。
染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の有効成分であれば特に限定されない。一例を挙げると、有効成分は、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、尿素等の保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の殺菌・防腐剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル等の紫外線吸収剤、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸等のビタミン類、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液等の各種抽出液、ポリオクタニウム6、ポリオクタニウム7、ポリオクタニウム22等のコンディショニング剤、香料等である。
界面活性剤としては、酸化染毛剤に使用される通常の界面活性剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン/メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)/メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸石鹸、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩、ベヘントリモニウムメトサルフェート/セタノール/イソアルキル(C10〜40)アミドプロピルエチルジモニウムメトサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等である。
界面活性剤が含有される場合、界面活性剤は、原液中に0.01質量%以上配合されることが好ましく、0.1質量%以上配合されることがより好ましい。また、界面活性剤は、原液中に20質量%以下配合されることが好ましく、15質量%以下配合されることがより好ましい。界面活性剤の含有量が0.01質量%未満である場合、原液をクリーム状とする場合は安定なクリームが得られにくく、また、泡状で噴射する場合は原液と液化ガスとの乳化が不安定になり発泡しにくくなる傾向がある。一方、界面活性剤の含有量が20質量%を超える場合、原液は、べたつきやすく、洗い流しにくくなるなど、使用感が低下しやすい。
油性成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の油性成分であれば特に限定されない。一例を挙げると、油性成分は、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル等のエステル油、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動パラフィン等の炭化水素、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヤシ油等の油脂、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール等の高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス等のロウ(ワックス)等である。
油性成分が含有される場合、油性成分は、原液中に0.01質量%以上配合されることが好ましく、0.1質量%以上配合されることがより好ましい。また、油性成分は、原液中に20質量%以下配合されることが好ましく、10質量%以下配合されることがより好ましい。油性成分の含有量が0.01質量%未満である場合、油性成分を配合することによる頭髪への艶の付与、櫛通りを良くするなどの効果が得られにくく、原液をクリーム状にする場合は安定なクリームが得られにくい。一方、油性成分の含有量が20質量%を超える場合、泡状で噴射する場合は、噴射されたエアゾール組成物は、発泡性が低下しやすく、利便性が悪くなる傾向がある。
溶媒としては、水やアルコール類およびこれらの混合物等が例示される。水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水等が例示される。また、アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の1価の低級アルコールが例示される。
(噴射剤)
噴射剤は、原液を適宜発泡させて噴射するための媒体であり、容器本体4内では一部が気相として存在し、残る一部が液相として存在する。液相の噴射剤は原液と乳化物を形成する。
噴射剤は、酸化染毛剤に使用される通常の噴射剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、噴射剤は、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等の炭素数が3〜5個の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル、1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン等のハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物などの液化ガスである。
噴射剤は、エアゾール組成物2中3質量%以上配合されることが好ましく、5質量%以上配合されることがより好ましい。また、噴射剤は、30質量%以下配合されることが好ましく、20質量%以下配合されることがより好ましい。噴射剤の配合量が3質量%未満である場合、エアゾール組成物2は、発泡性が不充分になりやすい。一方、噴射剤の配合量が30質量%を超える場合、エアゾール組成物2は、噴射時に飛び散りやすい。
以上のエアゾール組成物2は、たとえば上記した原液と噴射剤とをエアゾール容器3に充填し、混合することにより調製できる。これにより、得られたエアゾール製品1は、エアゾール製品は、長期間保管される場合であっても内圧が上昇しにくいため、製品寿命が長く、かつ、安全性が高い。
なお、二液式染毛剤の他方の液剤(第1剤)は、特に限定されない。他方の液剤としては、酸化染料、染毛補助成分、アルカリ剤、安定化剤、粘度調整剤、染毛効果以外の効果を発揮する他の有効成分、界面活性剤、油性成分等を溶媒に含有させた液体成分が例示される。
酸化染料としては、酸化染毛剤に使用される通常の酸化染料であれば特に限定されない。一例を挙げると、酸化染料は、パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノール等である。
染毛補助成分としては、酸化染毛剤に使用される通常の染毛補助成分であれば特に限定されない。一例を挙げると、染毛補助成分は、酸性染料、直接染料、他の補助成分等である。
酸性染料としては、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエロー(黄色5号)、ファストグリーン(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、ローズベンカルK(赤色232号)、オレンジII(だいだい色205号)、ウラニン(黄色202号)、キノリンエローWS(黄色203号)、アリザニンシアニングリーンF(緑色201号)、ピラニンコンク(緑色204号)、パテントブルー(青色203号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、ビオラミンR(赤色401号)、オレンジI(だいだい色402号)、ナフトールエローS(黄色403号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)等が例示される。
直接染料としては、4−ニトロ−O−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクリン酸等が例示される。
他の補助成分としては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、ジフェニルアミン、パラメチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等およびそれらの塩、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール、フェネチルアルコール、ベンジルオキシエタノール等、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアルキルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の低級アルキレンカーボネート等が例示される。
アルカリ剤としては、酸化染毛剤に使用される通常のアルカリ剤であれば特に限定されない。一例を挙げると、アルカリ剤は、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンや、アンモニア、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等である。
なお、安定化剤、粘度調整剤、界面活性剤、油性成分、溶媒は、上記したものが使用され得る。
二液式染毛剤の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、それぞれの液剤は、別々の容器に充填され、その後、連結され、それぞれの液剤を同時に噴射し得る噴射部材を装着することにより調製し得る。
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態のエアゾール製品について、図面を参照しながら説明する。図3は、本実施形態のエアゾール製品1aの模式的な断面図である。本実施形態のエアゾール製品1aは、ハウジング8を覆うハウジングカバー10が設けられており、かつ、エアゾール組成物が噴射剤(液化ガス)を含んでおらず、外容器6と内容器7aとの間に窒素などの圧縮ガスが加圧剤として封入されている以外は、第1の実施形態において上記したエアゾール製品1と同様の構成である。そのため、重複する構成については同一の参照符号を付して説明を適宜省略する。
(ハウジングカバー10)
ハウジングカバー10は、ハウジング8を覆うよう取り付けられる部材である。ハウジングカバー10は、略円筒状の本体部11と、本体部11の下方に形成され、ハウジング8のチューブ取付部84a(ただし本実施形態ではディップチューブは取り付けられない)を覆う下端部12と、本体部11の上方に形成された拡径部13とから主に構成される。
本体部11は、ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、筒部84の略下半分が収容される部位である。本体部11の内径は、ハウジング8の筒部84の外径よりもわずかに大きい。そのため、ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、筒部84の外周面と本体部11の内周面とは、離間している。
下端部12は、ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、ハウジング8のチューブ取付部84aを覆う部位である。下端部12の内径は、チューブ取付部84aの外径よりも大きい。そのため、ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、チューブ取付部84aの外周面と下端部12の内周面とは、離間している。
拡径部13は、ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、下方から上方に向かって徐々に径が拡大される逆円錐台状の部位である。拡径部13の周面には、ハウジング8のそれぞれの板状部材85が嵌め込まれるためのスリット(図示せず)が形成されている。ハウジングカバー10がハウジング8に取り付けられた状態において、拡径部13の上面は、カバーキャップ51の下面と離間している。
(容器本体4a)
容器本体4aは、耐圧性の優れた外容器6と、外容器6内に設けられ、可撓性を有する内容器7aとからなる。内容器7aには、噴射剤を含まないエアゾール組成物(原液、図示せず)が液密状態で充填される。外容器6と内容器7aとの間には、加圧剤が封入される。加圧剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気、酸素ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスが例示される。
本実施形態のエアゾール製品1aは、図3に示されるように、ステム91が下方に摺動されてステム孔92が開放されると、内容器7a内と外部とが連通する。その結果、内容器7aに充填されているエアゾール組成物は、外容器6と内容器7aとの間に封入された加圧剤により加圧され、かつ、外部と内容器7aとの圧力差にしたがって、チューブ取付口からハウジング8内に取り込まれ、その後、外部に噴射され得る。
ところで、図3に示されるように、チューブ取付部84aは、容器本体4aの上端から幾分下方に形成されている。そのため、仮にハウジングカバー10が取り付けられていなければ、噴射時に内容器7aが収縮した際に、チューブ取付部84aよりも上方にあるエアゾール組成物は、チューブ取付部84aから取り込まれない。その結果、内容器7a内には、噴射されずに残存するエアゾール組成物の量が増えやすい。
しかしながら、本実施形態のエアゾール製品1aは、ハウジングカバー10が取り付けられている。そのため、噴射時に内容器7aが収縮されると、内容器7a内のエアゾール組成物は、ハウジングカバー10とハウジング8との間隙(拡径部13の上面とカバーキャップ51の下面との間隙S)を通過するよう内容器7a内を移動させられる(矢印A1参照)。間隙Sからハウジングカバー10とハウジング8との間隙に取り込まれたエアゾール組成物は、ハウジング8の外周面に沿って下方へ移動され、次いで、チューブ取付部84aからハウジング8内に取り込まれる(矢印A2参照)。その後、エアゾール組成物は、外部に噴射され得る。
このように、本実施形態のエアゾール製品1aは、ハウジングカバー10を備えることにより、エアゾール組成物がチューブ取付口が設けられた位置よりも上方にある場合であっても、エアゾール組成物を適切にハウジング8内に取り込むことができる。その結果、本実施形態のエアゾール製品1aは、噴射されずに内容器7a内に残存するエアゾール組成物の量を減らし得る。特に、本実施形態のエアゾール製品1aは、エアゾール組成物がクリーム状である等、高粘度である場合に好適である。また、内容器7a内に充填されているエアゾール組成物中の易分解性成分(過酸化水素)からガスが発生しても、ガスは、エアゾール組成物(液体)よりも比重が軽いため内容器7a内を上昇し、さらにハウジングカバー10とハウジング8を透過して外部に放出される。その結果、エアゾール容器3内の圧力上昇が抑制されるとともに、ハウジングカバー10内やハウジング8内にガスが溜まりにくく、エアゾール組成物の噴射時にガスの混入による飛び散りが生じにくい。
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記実施形態では、容器本体が外容器と内容器とからなる場合について例示した。これに代えて、本発明は、内容器が省略されてもよい。この場合、エアゾール製品は、金属製の外容器を用いる場合には、外容器の内面にエポキシフェノールやポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデンなどの合成樹脂をスプレーコートしたり、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂シートをラミネートする、さらにはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂粉末を静電塗装するなどして、内面コートを設けることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
以下の原液処方に基づいて、原液を調製した。図1に示される容器本体に、得られた原液を95質量%となるよう充填した。容器本体にエアゾールバルブ5(ハウジング8の材質:ポリブチレンテレフタレート)を固着し、液化石油ガス(LPG(ノルマルブタンとイソブタンとプロパンの混合物、25℃での蒸気圧:0.40MPa))を5質量%となるように充填し、図1に示されるエアゾール製品1を製造した。
(原液処方)
過酸化水素水(35%) 16.0
エチドロン酸(*1) 0.2
POEセチルエーテル(*2) 1.0
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(*3) 0.5
ラノリンアルコール(*4) 1.0
セトステアリルアルコール(*5) 0.5
ジプロピレングリコール(*6) 8.0
フェノキシエタノール 0.1
水 72.7
(合計) 100.0(質量%)
*1:キレスト PH−210SD(商品名)、キレスト(株)製
*2:NIKKOL BC−15(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*3:コータミン86Pコンク(商品名)、花王(株)製
*4:ラノリンアルコール A(商品名)、日本精化(株)製
*5:カルコール 6850(商品名)、花王(株)
*6:ジプロピレングリコール(商品名)、アデカ(株)
(実施例2)
ハウジングの材質をポリアセタールに変更した以外は、実施例1と同様の方法によりエアゾール製品1を製造した。
(比較例1)
筒部84に凹部88(図1参照)が設けられていないバルブ機構を使用した以外は、実施例1と同様の方法によりエアゾール製品を製造した。
実施例1〜2および比較例1で製造したエアゾール組成物について、以下の評価方法にしたがって、圧力の経時変化を評価した。結果を表1に示す。
(圧力の経時変化)
エアゾール製品を45℃の恒温室に正立で静置する。1、2、3、6カ月経過時点で、恒温室から取り出し、25℃の恒温水槽中に1時間保持し、圧力をそれぞれ測定した。それぞれの測定値に、基づいて、初期からの変化量(MPa)、初期の圧力に対する変化率を算出した。
表1に示されるように、実施例1および実施例2のエアゾール製品は、外周面に軸方向に沿って延びる凹部が形成された筒部を備えるバルブ機構を使用した結果、保存時の圧力上昇が効果的に抑制された。中でも、ポリアセタール製の筒部を備えるハウジングを使用した実施例2のエアゾール製品は、6ヵ月経過後の圧力変化が、初期のわずか12%であった。
一方、凹部が形成されていない従来のハウジングを使用した比較例1のエアゾール製品は、圧力の上昇を抑制することができなかった。特に、比較例1のエアゾール製品は、わずか1ヵ月で、実施例2のエアゾール製品の6ヵ月経過後と同じ12%も圧力が上昇した。