次に図面を参照しながら本発明の包装製品製品を説明する。
図1は本発明の包装製品の実施形態を示す断面図、図2aおよび図2bは本発明の包装容器の他の実施形態を示す充填前および充填後の一部切り欠き正面図、図2cおよび図2dはそれぞれ図2aのIIa−IIa線断面図および図2bのIIb−IIb線断面図、図3aは本発明の包装容器に用いられるエアゾールバルブの一実施形態を示す断面図、図3bはそのエアゾールバルブが開いた状態の断面図、図4aは本発明の包装容器に用いられるエアゾールバルブの他の実施形態を示す断面図、図4bはそのエアゾールバルブが開いた状態の断面図、図4cは図4aの部分拡大断面図、図5aは本発明の包装容器に用いられるエアゾールバルブのさらに他の実施形態を示す断面図、図5bはそのエアゾールバルブが開いた状態の断面図、図6aは本発明の二重エアゾール製品に用いられるエアゾールバルブの更に他の実施形態を示す断面図、図6bはそのエアゾールバルブが開いた状態の断面図、図6cは図6aの部分拡大断面図、図6dは図6bの部分拡大断面図である。
図7a、図7b、図7c、図7gは本発明の包装容器に用いられる吐出部材の一実施形態を示す断面図、図7d〜7fはそれらによって吐出される吐出物の断面図、図8は本発明の包装容器に用いられる吐出部材のさらに他の実施形態を示す断面図、図9aおよび図9bはそれぞれ本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す充填前および充填後の一部切り欠き正面図、図10は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図11a、図11b、図11cおよび図11dはそれぞれ本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図11eはそれに関わる内袋の要部断面側面図、図11fは、本発明の包装容器のさらに他の実施形態の部分断面図、図12aは本発明の包装容器に用いられる隔壁部材の一実施形態を示す斜視図、図12bはその断面図、図12c、図12dは本発明の包装容器に用いられる隔壁部材の他の実施形態を示す断面図、図13a、図13bは本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す充填時および充填後の断面図、図14は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図15は図14の包装容器であって、内容物充填後の断面図である。
図16aおよび図16bはそれぞれ本発明に関わる内袋の他の実施形態を示す伸張時の正面図および収縮時の一部切り欠き正面図、図17a、図17bはそれぞれ本発明に関わる内袋のさらに他の実施形態を示す伸張時の正面図および収縮時の正面図であり、図17cは図17bのVII−VII線断面図、図18aおよび図18bはそれぞれ本発明に関わる内袋のさらに他の実施形態を示す要部正面図および要部断面図、図18cおよび図18dはそれぞれ本発明に関わる内袋のさらに他の実施形態を示す要部正面図および要部断面図、図19a、図19bは本発明の包装容器に用いられる内袋のさらに他の実施形態を示す斜視図、図20は本発明に関わる内袋のさらに他の実施形態を示す断面図、図21は本発明に関わる内袋のさらに他の実施形態を示す断面図である。
図22は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図23は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図24は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図25は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図26は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図27は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図28は本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図である。
図29a〜図29dは本発明の包装容器のさらに他の実施形態の製造方法を示す断面図、図30a〜図30dは本発明の包装容器のさらに他の実施形態の製造方法を示す断面図、図31aおよび図31bは本発明の包装容器のさらに他の実施形態を示す断面図、図32aは本発明の包装容器に用いられる噴射部材を示す断面図、図32bはその噴射部材のノズルのX−X線断面の拡大図、図33は本発明の包装容器に用いられる噴射部材の他の実施形態を示す断面図、図34aは本発明の包装容器に用いられる噴射部材のさらに他の実施形態を示す断面図、図34bはその噴射部材のノズルの側面図、図35は本発明の包装容器に用いられる内袋のさらに他の実施形態を示す断面図、図36a、36bは本発明の包装容器に用いられる内袋のさらに他の実施形態を示す断面図である。
図1の二重エアゾール容器1は、剛性を備えた外容器11と、その外容器内に収容される可撓性の内袋12と、前記内袋を上下の収納部27、26に区画する隔壁部材72と、外容器11の開口部に取り付けられるバルブ13bと、そのバルブの下部に装着された係合部材74と、そのバルブ13bと下収納部26とを連通するチューブ5と、そのバルブ13bに取り付けられている吐出部材2を備えている。
外容器11は従来公知のものであり、アルミニウム、ブリキなどの金属板を絞り加工などで有底筒状に成形し、その上部にネッキング加工などで肩部および首部を形成し、首部の上端にカーリング加工でビード17を形成している。なお、合成樹脂や耐圧ガラスなど他の材質のものも採用しうる。
内袋12は、有底筒状であり、上収納部27と下収納部26とその上下収納部の間に介在しているくびれ部71とを有する内袋胴部3aと、その胴部上端に形成され、上端にフランジ部が設けられている内袋首部3bと、前記胴部の下端を閉じる内袋底部3cとからなる。
前記くびれ部71の半径は胴部3aより小さく、前記上下収納部27、26はくびれ部71に向かってテーパ状に形成されている。これにより、上下収納部27、26が内容物の吐出と共に収縮しやすく、内容物の残量を小さくすることができる。また、下収納部26の下部は底部3cに向かって底部面積が小さくなるようにテーパ状に形成されている。これにより内袋の外容器への収納が容易になり好ましい。
このくびれ部の厚さは、内袋の他の部分より厚く形成されている。これにより、このくびれ部に強度を与える。そのため、このくびれ部に隔壁部材72を嵌入させると隔壁部材72としっかり嵌合し、隔壁部材72を外れにくくする。
また、図36aに詳細に示すように、内袋12は2層構造であり、耐アルカリ性の高い内層231と、その内層の外側に積層されたガスバリア性の高い外層232とから構成されている。これにより、内袋の下収納部26にpHが11〜13であるアンモニア水溶液を充填し、隔壁部材72をくびれ部に嵌入し、上収納部27に水を充填し、バルブを外容器に固着した状態で、25℃で1ヶ月間経過したときの水のpH変化は3未満となる。また、上収納部27にアンモニア水溶液、下収納部26に精製水を充填し、バルブを外容器に固着して、上記条件で放置しても水のpH変化は3未満である。水のpH変化は、内容物をより安定に保存するためには2未満であることが好ましく、特に1未満であることが好ましい。そのため、内容物Aおよび内容物Bが原液のpHや、揮発性成分、ガス発生成分などの有無に関わらず、外容器11が侵食されず、お互いの原液に影響することなく長期間安定に保存することができる。
また、想像線に示すようにさらに耐酸性の高い最外層240を設けて3層構造にしてもよい。本発明の包装製品は1つの内袋に複数の内容物を収納するため、内容物がアルカリ性と酸性の原液からなる組合せの場合は両方の原液に対して耐腐食性やバリア性などが必要になるが、該構成にすることにより内容物同士の相互作用や外容器の腐食などの悪影響を防ぐことができる。これらの積層構造は特に限定されるものではなく、内層に耐酸性層、外層に耐アルカリ性層を設けてもよく、内容物に応じて適宜決めることができる。さらに、前記耐アルカリ性層、耐酸性層、ガスバリア層以外にも、酸素吸収性の優れた材質からなる酸素吸収層や、各種機能を有する補助層を設けても良い。さらに耐酸性層とアルカリ性層の積層体の両面にガスバリア層を2層設けて4層構造にしてもよく、さらには耐酸性層とアルカリ性層の間および両面にガスバリア層をもうけて5層構造としてもよい。また、ガスバリア層で耐酸性層あるいは体アルカリ性層の両面を覆った3層構造体の両面に、さらに耐酸性層と耐アルカリ性層をそれぞれ設けて5層構造にしても良い。
前記耐アルカリ性層としては、たとえば、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD−6)、ナイロン6(NY−6)、ナイロン6,6、ナイロン6−ナイロン6,6共重合体、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13などのポリアミド、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、二軸延伸ポリエチレン(OPE)、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−ブテン共重自体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EMA、EEA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体(EMMA)、環状オレフィン共重合体(COC)などのポリオレフィン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
前記耐酸性層としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、二軸延伸ポリエチレン(OPE)、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重自体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、イオン架嬌オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EMA、EEA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合体(EMMA)、環状オレフィン共重合体(COC)などのポリオレフィン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、などが挙げられる。
前記ガスバリア層としては、たとえば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD−6)、ナイロン6(NY−6)、ナイロン6,6、ナイロン6−ナイロン6,6共重合体、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13などのポリアミド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アルミニウムなどの金属箔などが挙げられる。これらのうち、特にアンモニアの透過が少なく安定に保存できる点から、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD−6)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、アルミニウムなどの金属箔を用いることが好ましい。
前記酸素吸収層としては、たとえば、コバルトや鉄、ニッケル、銅、銀、錫、チタンなどの金属触媒や還元性鉄、還元性亜鉛、酸化第一鉄、四三酸化鉄、炭化鉄、ケイ素鉄などの酸素吸収剤を、前述のポリアミドやポリオレフィンなどの合成樹脂に混入して成形した複合材料などが挙げられる。
前記補助層としては、たとえば、シリカ、活性炭、ゼオライト、アルミナ、アルミなどの粉体や、ポリアミド、ポリオレフィンなどの樹脂粉末、あるいは繊維状にしたものを内袋の内面および/または外面に塗装や被覆、蒸着したものが挙げられる。特にシリカを蒸着させる場合は、弱酸性、耐アルカリ性を向上させる効果がある。また繊維状活性炭で被覆する場合は、透過したアンモニアや酸素などのガスを効果的に吸着してバリア機能を向上させる効果がある。さらに、前記耐アルカリ性層、耐酸性層、ガスバリア層、酸素吸収層に用いる前述の合成樹脂に、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムカプリレート、シクロヘキシルアミンカーバメートなどの揮発性防錆剤や、カーボンブラックなどの導電性粉末や銀、ニッケルなどの金属粉末、カーボン繊維などの帯電防止剤を含有させて内袋を成型しても良い。
内袋の具体例としては、耐酸性層/耐アルカリ性層(たとえば、LLDPE/MXD−6、PET/MXD−6、ETFE/MXD−6、COC/ETFE)、耐酸性層/ガスバリア層/耐アルカリ性層(たとえば、LLDPE/EVOH/MXD−6、PET/EVOH/LLDPE、PET/EVOH/ETFE、LLDPE/ETFE/NY、LLDPE/Al/NYなど)、耐酸性層/耐アルカリ性層/ガスバリア層/耐アルカリ性層(耐酸性層)(たとえばPET/OPE/Al/LLDPE、LLDPE/MXD−6/EVOH/LLDPE)、耐酸性層/酸素吸収層/耐アルカリ性層(たとえば、LLDPE/Fe+NY/LLDPE)、耐酸性層/酸素吸収層/ガスバリア層/耐アルカリ性層(たとえば、LLDPE/Fe+NY/ETFE/LLDPE)、耐酸性層/ガスバリア層/耐アルカリ性層(耐酸性層)/ガスバリア層/耐アルカリ性層(たとえば、LLDPE/EVOH/NY/EVOH/LLDPE、PET/Al/LDPE/Al/NY)、耐酸性層/耐アルカリ性層/ガスバリア層/耐酸性層/耐アルカリ性層(たとえばPET/OPE/Al/PET/LLDPE、LLDPE/NY/EVOH/LLDPE/NY)、補助層/耐酸性層/ガスバリア層/耐アルカリ性層/補助層(たとえばSi/LLDPE/EVOH/LLDPE/活性単繊維被覆)などの積層構造が挙げられる。
本発明の包装製品に用いられる内袋の内面は酸性原液とアルカリ性原液の両方と接触するため、酸性原液およびアルカリ性原液の両方に対して安定なポリオレフィンやフッ素樹脂を最内層に設けることが好ましい。また最内面に補助層を設けても良い。
前記内袋を構成する成分として合成樹脂を使用する場合はブロー成型などにより成型することができ、また金属箔を使用する場合には金属箔に合成樹脂膜をラミネートしたり、合成樹脂液をスプレーコートするなどにより得ることができる。なお、各層を密着させるための接着層を層間に設けたり、接着成分を合成樹脂と混合して成形することができる。
内袋の厚さとしては、ブロー成型のし易さや可撓性を考慮して30μm〜2.0mm、好ましくは50μm〜1.0mmであることが好ましい。なお、内袋は一方の収納部のみを厚くするなど、充填する内容物に応じて各収納部の厚さを任意に設定することができる。
隔壁部材72は、前記くびれ部71に密に嵌入しており、有底筒状の本体4と、その本体の上部にテーパ状に形成されるフランジ部4aと、その本体上面から突出し、上端内面がテーパ状に拡がり、前記チューブ5と密に嵌合する円筒状の係合部4bとからなり、本体の下部側面4cは下向きにテーパ状に細くなっている。また、前記下部側面4cには半径方向外側に突出し、前記くびれ部と係合する環状突出部6が設けられている。この環状突出部6とくびれ部71が係合し、隔壁部材72のくびれ部71からの外れを防止する。これによりチューブ5を挿入した状態で隔壁部材72bをくびれ部71に嵌入させると内袋の下収納部26はチューブ5を除いて完全に密閉される。
また、隔壁部材の材料としてポリアセタール、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂などの合成樹脂、ステンレスなどの金属、合成ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴムなどを用いることができる。これにより隔壁部材の劣化を防ぐことができ、隔壁部材の劣化により生じる上下収納部間の透過や連通を防ぐことができる。なお、隔壁部材と内袋の隙間からアンモニアや酸素などのガスが透過しないように、前記合成樹脂や金属にフッ素ゴムなどの弾性体を隔壁部材の外周面に設けたり、あるいは内容物による劣化を防止するために全体にコーティングしてもよい。
バルブ13bは、たとえば図5に示すように、外容器11のビード17にクリンプされるマウンティングカップ45と、そのマウンティングカップの中央に保持されるハウジング46と、そのハウジング46内に上下移動自在に収容され、2つのステム孔47a、47bを有するステム47と、ハウジング内でステム孔47a、47bと嵌合するステムラバー49a、49bと、そのステムラバーの間に設けられ、各ステムラバーの外周端付近を固定するための円筒状の固定部材20と、前記ステムを常時上向きに付勢するバネとを有している。
このように構成されることでハウジング内は、ハウジング25の内壁とステム14と下側のステムラバー49aによって区画された下側の格納部25aと、上下のステムラバー49a、49bと固定部材20とによって区画された上側の格納部25bとを有する。
またハウジング25はその側部と底部に連通孔48a、48bを備えている。
また、ステム14は2つの吐出孔と、その吐出孔から互いに独立であるステム内通路18a、18bとを有し、それらのステム内通路はそれぞれ下および上のステム孔47a、47bと連通し、下および上の格納部25a、25bを介して各収納部に通じている。
また図1に戻って、二重エアゾール容器1のハウジングの下部には、前記チューブ5を嵌入し、前記係合部材74に嵌入する円筒状の突出部7を有する。さらに、突出部7の下部内面にはガスケットが設けられており、チューブ5とハウジング25の間をシールすると共に、チューブ5の抜け落ちを防止している。
係合部材74は、バルブの突出部を嵌入しており、下開口部8がテーパ状に下向きに開いている円筒状のものである。この係合部材74により、隔壁部材72に嵌入されたチューブ5をバルブ13bに装着するとき、チューブ5の先端を係合部材の下開口部にあわせるだけで、チューブ5の先端はバルブの下端の突出部7にガイドされ、チューブ5のバルブへの装着が容易になる。
チューブ5は、ハウジング46の突出部7に嵌入し、下方に延びており、内容物に対して耐食性を有する金属製(たとえばステンレス)あるいは合成樹脂製のものである。金属製のチューブの外表面および/または内表面に合成樹脂被膜を設けてもよい。これにより、各内容物が混合することなく包装製品を使い切ることができる。
吐出部材2は、2つの連通孔2aを有するバルブ係合部2bと、2つの噴射孔2cと、その連通孔2aと噴射孔2cとをそれぞれ連通する吐出部材内通路2dとからなる。これにより、吐出部材を操作してバルブ13bを開放すると、バルブのステムから別々に噴射された内容物が混合することなく独立に吐出する。
この二重エアゾール容器1は、内袋の下収納部26に内容物Aを充填し、隔壁部材をくびれ部に嵌入して下収納部を、通路を除いて遮断し、上収納部27に内容物Bを充填し、また、バルブを内袋の開口部に載置して、上収納部の開口部を閉鎖し、外容器11と内袋12との間の空間に加圧剤Cをアンダーカップ充填などにより充填し、バルブを外容器に固着し、ステム47に吐出部材2を装着して二重エアゾール製品1aとなる。これにより第1内容物Aおよび第2内容物Bを高速で充填することができ、その作業効率が高い。また、外容器11の底部などに加圧剤充填バルブを設けてもよい。
上記のように製造される図1aの二重エアゾール製品は、内袋12と外容器11の間に充填された圧縮ガスや液化ガスおよび圧縮ガスと液化ガスの混合ガスなどの加圧剤が内袋12を常時加圧している。そのため、内袋12内に内圧が生じている。なお前記圧縮ガスとしては、窒素ガスや炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気およびこれらの混合ガスなどがあげられる。また前記液化ガスとしては、液化石油ガスやジメチルエーテル、フロン類およびこれらの混合ガスなどがあげられる。さらに必要に応じてペンタン類などの圧力調整成分を用いることができる。この状態で吐出部材を作動してバルブ13を開くと、ハウジング46内の圧力が外部の気圧とほぼ同じになり、ハウジング46内で混合するバルブ(たとえば図3a)を使用する場合は、内袋12の下収納部26からは第1内容物Aがチューブ5を通ってハウジング46内に入る。同時に内袋12の上収納部27からは第2内容物Bが連通孔48を通って同じくハウジング46内に入る。そしてハウジング46内で両者が混合され、あるいは層状態を維持しながら、吐出部材の吐出孔などから外部に吐出する。
内容物A、Bが吐出されるとき、下収納部26に加わる圧力と上収納部27に加わる圧力とはほぼ同じである。そのため、片方のみが多く吐出されて他方が残ったり、各内容物の吐出量が異なることにより有効成分を所定の混合比で反応させることができずに効果が充分に得られないといった、不均等に圧力が加わる場合の問題が少ない。また、図1に示す実施形態では、内袋12のくびれ部71は上側の筒部よりも細くなっており、しかも連通孔48が上収納部27の上部と連通しているので、上収納部27の第2内容物Bの残りが少なくなると、上収納部27はくびれ部71から順に上に向かって押しつぶされることになる。同様に、内袋12のくびれ部71は下側の筒部よりも細くなっており、また下収納部26内の第1内容物Aはディップチューブ28の下端の開口から順に吐出されるので、下収納部26はくびれ部71から順に下に向かってつぶされていくことになる。そのため内容物A、Bが内袋12内に残るおそれは少ない。また使い始めると各内容物A、Bはさらに隔離されていくため、内容物A、B同士を一層混合させない状態で保存することができる。
本発明の内袋に充填する内容物としては、1つの外容器に内容物を充填しても安定であるものを用いることができるが、内容物同士が接触、混合などにより反応して効果を発揮する反応型の内容物を充填することができる。
反応型の内容物としては、たとえば酸性原液とアルカリ性原液とからなり、両者を外部に吐出して混合することにより反応成分が反応して効果を発揮するものがあげられ、たとえば、2液反応型染毛剤、脱色剤などがあげられる。
前記2液反応型染毛剤としてのアルカリ性原液は、たとえば、酸化染料、染毛補助成分、アルカリ剤などを溶媒に溶解あるいは分散させたものを用いることができる。また脱色剤としてのアルカリ性原液は、酸化染料などを含有せず、アルカリ剤などを溶媒に溶解あるいは分散させたものを用いることができる。
前記酸化染料は、酸性原液中に含まれる酸化剤により酸化されて発色し、頭髪を所望の色調にするための反応成分である。前記酸化染料としては、パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N、N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノールなどがあげられる。前記酸化染料の配合量はアルカリ性原液中0.01〜15重量%、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。酸化染料の配合量が0.01重量%未満の場合は充分な染毛効果が得られにくく、15重量%を越えて配合しても染毛効果は変わらず、経済的ではない。
前記染毛補助成分は処理後の頭髪の色を調整するなどの目的で用いられ、酸性染料、直接染料、他の補助成分などがあげられる。
前記酸性染料としては、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、ニューコクシン(赤色102号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットエロー(黄色5号)、ファストグリーン(緑色3号)、ブイリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴカルミン(青色2号)、ローズベンカルK(赤色232号)、オレンジII(だいだい色205号)、ウラニン(黄色202号)、キノリンエローWS(黄色203号)、アリザニンシアニングリーンF(緑色201号)、ピラニンコンク(緑色204号)、パテントブルー(青色203号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、ビオラミンR(赤色401号)、オレンジI(だいだい色402号)、ナフト−ルエローS(黄色403号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)などがあげられる。
前記直接染料としては、4−ニトロ−O−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクリン酸などがあげられる。
また前記他の補助成分としては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、ジフェニルアミン、パラメチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等およびそれらの塩、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、フェネチルアルコール、ベンジルオキシエタノール等、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのアルキルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの低級アルキレンカーボネートなどがあげられる。
前記アルカリ剤は、酸化染料を安定に保存する、染毛効果を向上させる、毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を同時進行させて明るい色調を得るなど目的で用いられる。
前記アルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリなどがあげられ、アルカリ性原液のpHを8〜12、好ましくは8.5〜11の範囲に調整する。前記アルカリ剤の中でも優れた仕上がりが得られやすい点からアミン類を用いることが好ましく、さらに前記アミン類の中でも頭髪に使用した後の臭いが無くなりやすい点からアンモニアなどの揮発性を有するアミン類を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、水やアルコール類およびこれらの混合物などがあげられる。前記水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水などがあげられ、前記アルコール類としては、エタノール、イソプロパノールなどの1価の低級アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールなどがあげられる。
前記アルカリ性原液は、酸化染料とアルカリ剤、必要に応じて配合することができる染毛補助成分などを溶媒に溶解あるいは分散させることにより調製することができる。アルカリ性原液の25℃でのpHは8〜12、さらには8.5〜11であることが好ましい。pHが8未満の場合は酸化染料などの有効成分の保存安定性が悪くなり、使用時に所望の効果が得られにくくなる。一方、pHが12を越えると長期間保存したときに内袋が耐えられにくくなり、他の収納部に充填している酸性原液を反応させたり、外部容器の内面コートを腐食させたり、変質、分解などにより安全性が低下する場合がある。
前記酸性原液としては、過酸化水素や酸化酵素などの酸化剤、安定化剤、pH調整剤などを溶媒に溶解あるいは分散させたものがあげられる。
前記酸化剤として過酸化水素(酸素発生成分)を用いる場合の配合量は、酸性原液中0.1〜10重量%、さらには1〜6重量%であることが好ましい。前記過酸化水素の配合量が0.1重量%未満の場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくく、10重量%を越えると頭髪や頭皮の損傷および外容器の腐食や圧力上昇などの悪影響を及ぼしやすくなる。
また前記酸化剤として酸化酵素を用いる場合、前記酸化酵素としてはラッカーゼ、パーオキシターゼ、ウリターゼ、カタラーゼ、チロシナーゼなどがあげられ、その配合量は第2剤中0.001〜20重量%、さらには0.01〜10重量%であることが好ましい。前記酸化酵素の配合量が0.001重量%未満の場合は酸化力が不充分であり良好な染毛効果が得られにくく、20重量%を越えて配合しても効果に大差はなく、不経済である。
前記安定化剤としては、フェナセチン、EDTA、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸、パラベンなどがあげられる。
前記pH調整剤としては、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸などがあげられ、酸性原液のpHを1.5〜6、好ましくは2〜5に調整する。
前記酸性原液は、酸化剤、必要に応じて配合することができる安定化剤、pH調整剤などを溶媒に溶解あるいは分散させることにより調製することができる。酸性原液の25℃でのpHは、1.5〜6、さらには2〜5であることが好ましい。pHが1.5未満の場合は、長期間保存したときに酸性成分が内袋を透過しやすくなり、他の収納部に充填しているアルカリ性原液と反応して有効成分の効果を低下させるなど、内容物の安定性を低下させる場合がある。さらに外部容器の内面コートを腐食させて安全性が低下する場合がある。一方、pHが6を越えるとアルカリ性原液中の有効成分との反応性が低下して効果が小さくなる場合がある。
前記酸性原液とアルカリ性原液のpHの差は、有効成分が安定に保存され、かつ吐出したときに効果的に反応し、所望の効果が得られやすい点から5〜10、さらには6〜9であることが好ましい。
なお前記アルカリ性原液および酸性原液は、前述の成分以外にも染毛効果以外の効果を発揮するために他の有効成分を配合したり、吐出形態や使用感に応じて界面活性剤や粘度調整剤、油性成分、発泡剤などを配合することができる。
前記他の有効成分としては、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、銀などの殺菌・防腐剤、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸などのビタミン類、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどのホルモン類、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液、香料などがあげられる。
前記他の有効成分の配合量は、各原液中0.01〜15重量%、さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。前記他の有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、有効成分を配合する効果が得られにくく、所望の効果を得るためには使用量が多くなる。一方15重量%を越えると、濃度が高くなりすぎて有効成分によっては頭髪や頭皮などに悪影響を及ぼす場合がある。
前記界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、デカなど)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などがあげられる。
前記粘度調整剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースエチルエーテル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、第4級窒素含有セルロースエーテル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどがあげられる。
前記油性成分としては、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、コハク酸ジエトキシエチルなどのエステル油、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン、流動パラフィンなどの炭化水素、ツバキ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、べヘニルアルコールなどの高級アルコール、ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスなどのロウ(ワックス)などがあげられる。
前記発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンおよびこれらの混合物があげられる。
本発明の包装製品に充填される内容物として、上記の染毛剤に限定されるものではなく、同じ内容物でも良い。しかし、本発明の包装製品に用いる内袋は各収納部間の接触性やガス透過性が少なく内容物を安定に保存することができる点から、互いに種類が異なる内容物を充填することができる。前記互いに種類が異なる内容物とは、各収納部に充填される内容物(源液)の有効成分やその配合量、溶媒などの配合成分や、液状、ゲル状、クリーム状といった内容物の形態(粘度が異なるものを含む)、さらには均一系や不均一系、エマルジョン、分散系などの内容物の状態(色調、透明感などの内容物の外見)などが異なることをいう。
本発明の包装製品は、前記内容物を前述の互いに区画された複数の収納部を備えている包装容器に充填するため、内容物が収納部に充填されている状態では内容物同士が接触したり混合することがない。さらにガスを発生しうる内容物であっても、ガスの透過量が少なく安定に保存できるため、各収納部に充填する内容物としては、吐出時あるいは吐出後の内容物同士の接触や混合などにより反応し効果を発揮する、あるいは活性化させる反応成分を配合したものを用いることができる。また、内容物同士が溶解あるいは混合しやすいものを用いることができるため、吐出時あるいは吐出後に反応成分が容易に反応し効果が得られやすい。
内容物同士が接触したり混合することにより生じる反応としては、中和反応、水和反応、酸化・還元反応、イオン交換反応、溶解、分解などがあげられ、前記反応により得られる効果としては、上述した染毛剤の発色(変色、脱色)のほかに、発熱、冷却、増粘、膜形成、発泡、制汗などがあげられる。
前記中和反応する反応成分の組み合わせとしては、水溶性高分子とpH調整剤(酸性成分またはアルカリ性成分)、たとえばカルボキシビニルポリマーとアルカリ成分、アクリル酸/スレアレス共重合体やアクリル酸/セテス共重合体とアルカリ成分、アクリル酸/アミノアクリル酸/PEG・アルキル(炭素数10〜20)共重合体と酸性成分などがあげられる。これらは、頭髪用セット剤や染毛剤、消炎鎮痛剤、ほてり止め、冷却剤などの用途に用いることができ、吐出した内容物(吐出物)を増粘させることにより付着性を向上させたり、冷却感の持続性を向上させるなどの効果を得ることができる。
前記水和反応する反応成分の組み合わせとしては、たとえばグリセリンやジエチレングリコール、プロピレリングリコールなどの多価アルコールと水、無水ケイ酸、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機粉体と水などがあげられる。これらは、保湿剤やクレンジング剤、パック剤、シェービングフォームなどの用途に用いられ、水和熱による温感を得ることができる。
前記酸化・還元反応する反応成分の組み合わせとしては、たとえばパラフェニレンジアミンなどの染料と過酸化水素や酸化酵素などの酸化剤、亜硫酸ナトリウムと過酸化水素、チオ硫酸ナトリウムと過酸化水素などがあげられる。これらは、染毛剤、保湿クリーム、クレンジング剤、パック剤、シェービングフォームなどの用途に用いられ、発色(変色)による染毛、発熱による血行促進、皮膚軟化などの効果を得ることができる。
前記イオン交換反応する反応成分の組み合わせとしては、たとえばアルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムなどがあげられる。これらは、保護膜の形成や食品、遊戯具、趣向品などの用途に用いられ、膜形成効果を得ることができる。
前記溶解する反応成分の組み合わせとしては、たとえば尿素と水、(無水)塩化カルシウムと水、クロロヒドロキシアルミニウムと水などがあげられる。尿素と水の組み合わせの場合には、痒み止め、皮膚軟化剤、角質除去剤、軟膏などの用途に用いられ、吸熱による冷却感効果を得ることができる。(無水)塩化カルシウムと水の組合せの場合は、保湿剤やクレンジング剤、パック剤、シェービングフォーム、トリートメント剤などの用途に用いられ、温熱感を得ることができる。クロロヒドロキシアルミニウムと水の場合には、制汗剤として用いられ、クロロヒドロキシアルミニウムが水に溶解するとイオン化されて制汗効果を発揮する。
前記分解反応する反応成分の組合せとしては、たとえば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩と、クエン酸、酒石酸、リン酸などの酸があげられ、炭酸塩が酸を含む水溶液に溶解すると炭酸塩が分解されて炭酸ガスが発生し、界面活性剤などの発泡剤と共に配合しておくことで発泡効果が得られる。これらは頭髪用化粧品や人体用化粧品、医薬部外品、医薬品などに好ましい、しかしその用途は特に限定されない。なお発生した炭酸ガスによる血行促進効果も得られ、育毛剤として好適に用いることができる。
前記反応成分は、内容物が収納部に充填されている状態では反応成分同士が反応しないように異なる内容物に配合される。内容物の具体例としては、たとえば特開平10−45547号公報、特開平10−287534号公報、特開2001−2537号公報、特開2001−288055号公報、特開2001−294519号公報、特開2001−181159号公報、特願2002−367294号など記載の染毛剤や、特開昭63−46313号公報、特開平6−172145号公報など記載の酵素染毛剤、特開平7−173033号公報など記載のクレンジング、特開平6−336413号公報、特開平8−268828号公報、特開2001−19606号公報など記載のパック剤、特開平11−228332号公報、特開平11−279031号公報など記載のトリートメント剤、特公昭45−19996号公報など記載のひげそり用組成物、特願2003−19481号、特開平10−306276号公報など記載の発熱性組成物などがあげられる。
前記内容物の形態としては、液状、ゲル状、クリーム状、ペースト状など特に限定されないが、内袋の収納部間(隔壁部分)やバルブのハウジング内部、吐出通路内部などで内容物同士が接触した場合などの不必要な時の反応を阻止し、反応成分の効果の低下を低減することができる点から、内容物の流動性により反応成分の移動が少ないゲル状やクリーム状、ペースト状など、内容物が粘性を有するものが好ましい。内容物の粘度としては100cp以上、さらに1000cp以上であることが好ましく、100pc以下の場合は、流動性による反応成分の移動を阻止する効果が得られにくい。また各内容物を所定の吐出量比で吐出し易くするために、各内容物の粘度比は5:1〜1:5であることが好ましい。
また内容物の状態としては、有効成分などが溶媒に溶解した均一系、油成分と水成分とが分離した不均一系、さらには油成分と水成分とが乳化した油中水型あるいは水中油型エマルジョンや、粉末などの固形分が溶媒に分散した分散系など持に限定されないが、吐出時あるいは吐出後に各内容物中の反応成分が容易に反応し、効果を得られやすくするために、各内容物の比重差が少ないものや、内容物(溶媒)同士が溶解あるいは混合しやすいものが好ましい。
前記内容物の充填割合は、各内容物の吐出量の調整が容易であり、反応成分が反応しやすく効果が発揮しやすくなる点から、容量比で5:1〜1:5、さらには4:1〜1:4であることが好ましい。
前述した本発明の包装容器に充填する特に好ましい例として、2液反応型染毛剤をあげたが、発熱成分を含む第1剤と、水を含む第2剤とからなる2液反応型発熱製剤にも好適に用いることができる。
前記第1剤としては、水に溶解あるいは水と水和して発熱する発熱成分(たとえば、塩化マグネシウム、ゼオライトなど)を油性基剤(たとえば、流動パラフィンなどの炭化水素、エステルオイル、シリコーンオイルなどの液体オイル)中に分散させた油性製剤などがあげられる。
また第1剤中には、発熱成分を分散させるための界面活性剤(たとえば、非イオン系界面活性剤など)や、発泡成分(たとえば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩)、増粘剤(たとえば、パルミチン酸デキストリンなど)などを配合しても良い。
前記第2剤としては、水、クリーム(油中水型エマルジョン)、水性ゲルなど、水を含む含水製剤などがあげられる。また発熱効果を持続させるために、第2剤として前記油性基剤に親水性界面活性剤を分散させたものを用いても良い。さらに第1剤中に発泡成分として炭酸塩を含有する場合には、炭酸塩を分解して炭酸ガスを発生させるための酸(たとえば、クエン酸など)を配合することが好ましい。
なお前記第1剤および第2剤共に、前述の成分以外にも、発熱効果以外の効果を発揮するために有効成分(たとえば、トリートメント剤、保湿剤、紫外線吸収剤、アミノ酸、ビタミン、抽出エキス、防腐剤、洗浄剤、香料など)、発泡剤(たとえば、液化石油ガス、イソペンタンなど)などを配合することができる。2液反応型発熱製剤の場合は、第2剤中の水分が内袋を透過して第1剤中の発熱成分と反応する可能性があるが、本発明の包装製品に用いる内袋は優れたバリア機能を有するため、水分の透過を防止でき、発熱効果を低下させることなく長期間安定に保存することができる。
図2aおよび図2bは、本発明の包装容器を内袋式の二重エアゾール容器10に適用した他の実施形態である。この二重エアゾール容器10は、剛性を備えた外容器11と、その外容器内に収容される可撓性の内袋12と、外容器11の開口部に取り付けられるバルブ13(図2b参照)とを備えている。外容器11は前記実施の形態と同様に従来公知のものを用いることができる。
前記内袋12は、中央部21が上下を連通する状態(図2a)と、遮断する状態(図2b)とをとるように開閉自在に構成されている。その他内袋12の材料は図1の内袋12と実質的に同じものである。
内袋12の内部は中央部21を介して下収納部26と上収納部27とに分けられており、図2bに示すように中央部21が閉じた状態では、上下の収納部27、26同士は、バルブ13に設けられるディップチューブ28を残してほぼ遮断される。この上下収納部を有する包装容器でいうディップチューブとは、下収納部とバルブとを連通し、下収納部と外部とを連通する通路の一部であり、合成樹脂製あるいは金属製であっても構わない。
この実施形態では、前記中央部21の開閉自在な構成は、上側の筒部30の下端に折り曲げ線31を介して連続する複数枚の逆三角形状の折り曲げ片32と、下側の筒部33の上端に折り曲げ線34を介して連続する三角形状の折り曲げ片35と、それらの折り曲げ片32、35の間に設けられる蛇腹状の筒状部36とからなる。上側の折り曲げ片32と下側の折り曲げ片35の先端同士は互いに向き合っている。蛇腹状の筒状部36の上端は、上側の三角形状の折り曲げ片32の斜辺と折り曲げ線31を介して連続した鋸歯状の形態を備えている。同様に下端は下側の三角形状の折り曲げ片35の斜辺と折り曲げ線34を介して連続した鋸歯状の形態を備えている。そして蛇腹状の筒状部36は、上下の三角形の先端同士を結ぶ縦方向の線が山折りの折り曲げ線40とされ、上下の三角形の基部同士を結ぶ縦方向の線が谷折りの折り曲げ線41とされている。そのため蛇腹状の筒状部36は、図2cおよび図2dに示すように、山折りの折り曲げ線40と谷折りの折り曲げ線41とが交互に配置されて折り畳み自在とされている。
このように構成される内袋12は、図2aのように伸張している状態では、上下の三角形状の折り曲げ片32、35は下向きおよび上向きに延び、蛇腹状の筒状部36は図2cに示すように開いた星形を呈する。そのため、中央が大きく開口しており、それにより内袋12の下収納部26と上収納部27とが大きく連通する。他方、内袋12のフランジ24を容器の軸方向下向きに押し下げたり、内容物を充填してバルブをクリンプした後など、図2bのように上下に収縮している状態では、上側の三角形状の折り曲げ片32および下側の三角形状の折り曲げ片35がそれぞれ内向きに折り曲げられ、図2bおよび図2dのように中央を除いてほぼ上下を遮断する形態となる。そのとき、蛇腹状の筒状部36はそれらの折り曲げ片32、35の内向きの変形を許しながら、折り畳まれた星形(図2d)を呈し、前述のようにディップチューブ28を残して上下方向にはほぼ密に閉じる。なお、図2dでは、わかりやすいように、筒状部36の縦片同士の間に隙間を開けた状態で示しているが、実際にはほぼ密着する。また、図2bのように蛇腹状の筒状部36が縮んだときは、山折りの折り曲げ線40も上下に圧縮されながら内側に引っ張られるので、左右に屈曲しながら内向きに湾曲する。
前記バルブ13は、図2bに示すように、外容器11のビード17にクリンプされるマウンティングカップ45と、そのマウンティングカップの中央に保持されるハウジング46と、そのハウジング46内に上下移動自在に収容されるステム47と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ(図示していない)と、ハウジング46の下端から下方に延びている前述のディップチューブ28とからなる。このバルブ13は、ハウジング46の下部に内袋12の上収納部27と連通する連通孔48を備えている以外は、実質的に従来のバルブと同じである。すなわちマウンティングカップ45は、内袋12のフランジ24およびガスケット49を介してビード17にクリンプされる湾曲フランジ50と、ハウジング46を保持する有底筒状のハウジング保持部51とを有する。マウンティングカップ45はたとえばアルミニウムやブリキなどの金属板製である。
ハウジング46は略有底筒状の合成樹脂製の部品であり、その上端とマウンティングカップ45の下面との間には、ステム47のステム孔を開閉するバルブラバー(図示していない)が介在されている。ステム47、バネ、バルブラバーは従来公知のものを採用することができる。このハウジング46は、ディップチューブ28によって内袋12の下収納部26と連通し、連通孔48によって内袋12の上収納部27の上部と連通している。すなわちディップチューブ28と連通孔48は、各収納部と外部とを連通する通路の一部である。該通路の長さや大きさを調整することで、各収納部からの流量をコントロールすることができ、各収納部に充填されている内容物の吐出量を適切な比率に調整することができる。前記ディップチューブ28としては、内容物に対する耐食性や非浸透性が高い金属(たとえばステンレス)あるいは合成樹脂を用いたり、あるいはそのような合成樹脂で表面をコートしたものが好ましい。これにより、ディップチューブが上下の収納部に充填されている内容物と反応することがない。また、ディップチューブ28内に残っている下側の内容物とディップチューブ28の外側の上収納部27内の内容物がディップチューブ28を浸透して混合されたり、反応しあったりすることがない。
また、本発明のエアゾール製品に用いられるバルブとして、図3aに示す逆止弁付きバルブ13a、図4aに示すバルブ13b、図5aに示すバルブ13c、さらに図6aに示すバルブ13dを用いてもよい。図3aのバルブ13aのハウジング46aは、下端に一対の連通孔48a、48bを有し、一方の連通孔48aはディップチューブ係合部55に係合されているディップチューブ28を通じて内袋の下収納部26と連通し、他方の連通孔48bは直接内袋12の上収納部27と連通している。これらの連通孔48a、48bの上部には逆止弁51aを設けている。この逆止弁51aは連通孔48a、48bの上部に設置されたボール53と、ボール53を連通孔に押し付けて塞ぐように付勢するバネ52とから構成されている。
ステム14に挿着される噴射ボタンやスパウトなどの吐出部材を押し下げてステム孔47aを開くと外気と連通するため、外容器と内袋との間の空間に充填されている圧縮ガス等の加圧剤による加圧力により内容物がバネ52に付勢されているボール53を押し上げ、ステム孔、ステムを経由して吐出部材の噴射孔より吐出される。また、通常の状態ではボール53はバネ52により下に付勢され連通孔を塞いでいるため、ハウジング46a内で混合された内容物は各収納部へ逆流することがない。このようにこの逆止弁51は各収納部からバルブへの流れを許し、バルブから収納部への流れを阻止する。これにより、一度ハウジング46a内で混ざりあった内容物が収納部に戻ることを防止することができる(図3a、図3b参照)。このバルブ13aでは、上下収納部に収納された内容物A、Bはバルブのハウジング46a内で混合される。そのため、各収納部からバルブの連通孔48a、48bまでの各通路はそれぞれが独立しており、連通孔48a、48bから外部までの各通路は共有される。
図4aに示すバルブ13bは、ハウジング25と、そのハウジングに摺動自在に収容される2つのステム孔47a、47bを有するステム14と、ハウジング内でそれらのステム孔47a、47bと嵌合するステムラバー49a、49bと、そのステムラバーの間に設けられ、各ステムラバーの外周端付近を固定するための円筒状の固定部材20とを有する。このように構成されることでハウジング内は、ハウジング25の内壁とステム14と下側のステムラバー49aによって区画された下側の格納部25aと、上下のステムラバー49a、49bと固定部材20とによって区画された上側の格納部25bとを有する。また、ステム14は、それぞれが独立である通路18a、18bを有し、それらの通路は下および上のステム孔47a、47bにより下および上の格納部25a、25bを介して各収納部と通じている。つまり、ステム14を押し下げステム孔47a、47bを開くことで、下収納部の内容物は下収納部からディップチューブ28そしてハウジングの下端の連通孔48aを通って下側の格納部25aに至り格納され、上収納部の内容物は連通孔48bから上側の格納部25bに至り格納される。そして、さらにこれらの内容物はそれぞれステム孔47a、47bそしてステム内通路18a、18bを通って吐出孔に向かう。このように、このバルブ13bを用いることで、それぞれ上下の収納部の内容物同士をバルブ13b内で混ざり合わせることなく同時に吐出させることができる。つまり、このバルブ13bを用いることにより、各収納部から外部に連通する各通路が独立している。これは本発明のエアゾール製品の上下収納部の内容物が、それぞれ混ざり合うことで反応し、硬化や発熱、吸熱、変色などするとき、あるいは反応はしなくても内容物がそれぞれ異なる色を呈していたり、2液が容易に混ざるもの、例えば、水とアルコールなどの相溶性に優れた内容物の組み合わせや、比重差の小さい内容物の組み合わせであるとき特に効果的であり、好ましい(図4a、図4b参照)。
また、図5aのバルブ13cは、ステム14内の通路が一本であり、それぞれ各収納部から各格納部25a、25bを通じてステム孔47a、47bまで押し出された後、それぞれ内容物がステム14内で混ざるように構成されたバルブである。他の構成は図3aのバルブ13bと同じである。これにより、ステム14内で内容物が混合されるため、混合された内容物がバルブ内へ逆流することがなく、内容物を長期間安定して保存することができる。図5aおよび図5bはこのバルブ13cと実質的に同じバルブ13cの開閉状態を示す。
図6aのバルブ13dは、ハウジング25と、そのハウジングの中に摺動自在に収容されるステム孔47aを有するステム14と、そのハウジング内壁とステムの間に嵌入される筒状の中間シール部材20aと、その中間シール部材の上に設けられステム孔47aと係合するステムラバー49aと、それらを外容器にクリンプすることで外容器に固着させるマウンティングカップ49cを備えている。また、ハウジング25は、上下収納部と連通している連通孔48a、48bを有している。これにより、通常ステム孔47aはステムラバー49aにより閉じられており、また、連通孔48bから流れ込む上収納部の内容物は中間シール部材20aとステム14の傾斜面によりシールされ中間シール部材20aの内側へは流れ込まないように構成されている。ステム14を下げ、ステム孔47aを開くことで、下収納部に充填された内容物はディップチューブ28、ハウジングの下端の連通孔48aを通じて内側の格納部25aに達し、ステム孔47aに向かう。それに対して、上収納部に充填された内容物はハウジング側壁の連通孔48b、通路48cから直接ステム孔47aに向かう。このとき通路48cと格納部25aとは連続するが、加圧剤によって生じる圧力勾配により内容物は上に流れ、連通孔48a、48bに逆流することはない。これにより、ステム14で上下内容物は合流し、混ざり合う。ここで、それぞれ通路48cと格納部25aは実質的に上下収納部と独立して連結しており、それぞれの内容物を収容する格納部としての作用を奏する(図6a、図6b参照)。そのため、ステムとして図4aのステム14を用いる場合、各収納部から外部まで各収納部に充填された内容物は混合されることがなく、各収納部と外部とが連通している各通路が独立している。なお、ディップチューブ28は、ディップチューブをハウジング下部の筒状部分の外側に挿着する例を示したが、他の実施例に基づくような他の挿着方法でも良い。
次に、本発明のエアゾール製品に用いられる吐出部材としては従来のスパウトやノズル付きのものを用いることができるが、図7a、図7b、図7c、図7gに示す吐出部材29a、29b、29c、29eさらには図8に示す吐出部材29dを用いることができる。図7a〜c、図7gの吐出部材29a、29b、29c、29eはそれぞれの内容物が独立で吐出されるバルブ(例、図4のバルブ13b)と用いるときに好ましく、図8の吐出部材29dは、前記内容物が独立して吐出されるバルブ以外にもそれぞれの内容物がバルブ内で混ぜ合わされた状態で吐出されるバルブ(例、図3aのバルブ13a、図5aのバルブ13c、図6aのバルブ13d)と用いることができる。
図7aの吐出部材29aは、中心に隔壁が設けられた円筒状のものであり、その中に内容物を通すことで断面ストライプ状の吐出物30aを得ることができる(図7d参照)。また、図7bの吐出部材29bは同心上に二層に区画された円筒状のものであり、その中に内容物を通すことで断面二層状の吐出物30bを得ることができる(図7e参照)。さらに、図7cの吐出部材29cは周辺部が区画された円筒状のものであり、その中に内容物を通すことで断面斑模様の吐出物30cを得ることができる(図7f参照)。また、図7gの吐出部材29eのように吐出口47がテーパ状に拡がっていて、へら状であっても構わない。
また、図8の吐出部材29dは、バルブのビード部に係合している支持部42aと、その支持部の上に連続して設けられている幹部42と、その幹部側面から垂直に等間隔で設けられている複数の枝部(くしの歯)43aと、その幹部42の底面に設けられるステム係合部42cと、その幹部の下部に設けられている通路洗浄用の開囗部54とを備えているくし型のものである。前記幹部42は、内部にステム係合部42cから天面まで一直線に設けられる通路42bと、側壁に等間隔で並んだ複数の吐出孔43と、前記通路42bと各吐出孔43とをつなぐ複数の通路42dとを有する。また、枝部43aは幹部側壁に設けられる前記吐出孔43の間に等間隔に並べられている。これにより内容物はステムからステム係合部42cより通路42bに流れ、各吐出孔43より吐出する。このものは、内容物として染毛剤やトリートメント剤、スタイリング剤などに用いる場合が効果的である。この吐出部材29dを用いたエアゾール製品では、吐出孔43を枝部の根元に設けてあるため、髪をとかすことで自然と内容物は髪に行き届き、満遍なく付与することができる。また、通路洗浄用の開口部54は、通路42bと連続しており、開口部付近に従来公知のボール型の逆止弁54aが設けられている。さらに実用新案登録2567137号公報に示されている洗浄手段を用いてもよい。そのため、使用時は通路開口部54から吐出部材29dの外側に内容物が漏れないようになっている。このような洗浄手段を設けることで、使用後に吐出部材29dの通路内に残存した内容物を通路開口部54から水や洗浄液を注入すると吐出部材29d内の残存物を洗い流すことができる。さらに本発明のエアゾール製品の吐出部材として特開平10−236539号公報の図1、図7に開示されている塗布装置を用いてもよい。
上記のように構成される図2のエアゾール容器10は、内袋12の上端開口から下収納部26に第1内容物Aを充填し、ついで内袋12を下方向に圧縮して中央部21を閉じて下収納部26と上収納部27とを遮断し、さらに上端開口から上収納部27に第2内容物Bを充填し、さらにアンダーカップ充填などの方法で内袋12と外容器11の間に噴射剤ないし加圧剤を充填し、バルブ13のマウンティングカップ45を外容器11にクリンプすることにより二重エアゾール製品(包装製品)となる。実際にはさらにステム47に押しボタンないしスパウト、たとえば、図7aの吐出部材29a、図7bの吐出部材29b、図7cの叶出部材29cまたは図8の吐出部材29dなど、さらには公知の吐出部材を装着し、カバーを被せて完成する。
上記の製造法においては、内容物の充填作業のとき、下収納部26に第1内容物Aを充填した後、内袋12のフランジ24を容器の軸方向下向きに押し下げるなどして内袋を上下に収縮させ、中央部21を閉じるので、上収納部27に第2内容物Bを充填するときに第1内容物Aと混ざりにくい。そのため、第2内容物Bを高速で充填することができ、作業効率が高い。なお、第2内容物Bを充填するとき、ディップチューブ28を取り付けず、第2内容物Bの充填後にディップチューブ28を中央部21の中心に貫通させるようにする。ただしディップチューブ28を内袋12内に挿入してから中央部21を閉じ、その後、第2内容物Bを充填するようにしてもよい。その場合、第1内容物Aの充填後にディップチューブ28のみを先に挿入し、第2内容物Bを充填してからディップチューブ28の上端にハウジング46を装着するようにしてもよく、はじめからディップチューブ28の上端にハウジング46やマウンティングカップ45を取り付けて、バルブ13全体をユニットとして取り扱うようにしてもよい。また上収納部27に第2内容物Bを充填するときの充填圧力や、充填した第2内容物Bの自重により、内袋12の中央部21が収縮し、上下の収納部26、27を遮断できるように中央部21の強度を設定すれば、内容物や噴射剤ないし加圧剤の充填、バルブ13のクリンプが容易になる。また、加圧剤を充填する前、外容器内に残留している酸素を除くため、バキュームあるいは不活性ガスや液化ガスで置換してもよい。これにより、エアゾール製品として内容物をより長く保存することができる。
上記のように構成される図2の二重エアゾール製品も、図1の包装製品と同様に、内袋12と外容器11の間に充填された圧縮ガスや液化ガスおよび圧縮ガスと液化ガスの混合ガスなどの加圧剤が内袋12を常時加圧している。そのため、内容物A、Bが吐出されるとき、下収納部26に加わる圧力と上収納部27に加わる圧力とはほぼ同じである。そのため、内容物を効率よく吐出することができ、収納部の片方のみ内容物が極端に多く残ったりしない。
図9aおよび図9bのエアゾール容器60は、胴部直径が小さく、たとえば10〜40mmであり、製品を小型化したり、内容物の安定度が悪く短期間で使い切ってもらうために内容量を少なくするときなどに好適に用いることができる。該エアゾール容器の外容器11は上端が上方に延ばされ、上端からいくらか下側に半径方向内側に突出する凹溝61が形成されている。またバルブのマウンティングカップ45が、ハウジング46を保持する保持部63と、その保持部を外容器11に取り付けるカバー64とに分かれている。保持部63は外容器11の上端にパッキン62を介して係合するフランジ65を有し、下端周縁は前記凹溝61の内面側に顕れる突起の上部に係合している。また、カバー64は有底筒状で、その下端近辺の周囲が凹溝61にカシメられている。すなわち図2の場合は外容器11の上端に設けられるビード17にバルブ13のマウンティングカップ45の湾曲フランジ50をクリンプしているが、図9aのエアゾール容器60の場合は、凹溝61にカシメ付けており、その点で異なる。さらに内袋12の上端は外容器11の上端と保持部63の間に介在されるように、円筒状に上向きに延びている。
また内袋12の上端近辺には、外容器11の凹溝61の内面側の突起と係合する環状溝65aが設けられている。さらに内袋12の中央部21には、図2aの場合のような明確な折り目線は設けられておらず、下向きの円錐台66aと上向きの円錐台66bの部分に三角形状の凹部が折り畳みの起点となるように配列されている。両方の円錐台66a、66bの間の円筒状の部分66cには、折り目も蛇腹も設けられていない。しかしこのような折り畳みの起点を設けるだけでも、内袋12を上下方向に圧縮すると、円筒状の部分66cで座屈が生じ、折り畳まれて閉じる。他の部分、たとえば内袋12の中央部21を含めた全体の形態、外容器11の材質およひ形態については、図2の二重エアゾール容器10と実質的に同じである。
この二重エアゾール容器60についても、図2の場合と同様に、内袋12の下収納部26に第1内容物Aを充填し、内袋12の上端開口部を押さえるなどして中央部21を閉じた後、上収納部27に第2内容物Bを充填し、内袋12と外容器11の間に圧縮ガスなどを充填し、バルブを固着することにより、内袋式の二重エアゾール製品が得られる(図9b参照)。そしてそれらの充填作業は容易である。得られた二重エアゾール製品も図2のエアゾール容器を用いた二重エアゾール製品とほぼ同じようにして使用され、第1内容物Aと第2内容物Bとを混合しながら、あるいは層状態で吐出することができる。
図10に示すエアゾール容器67においては、内袋12に2個所の開閉自在な中央部21が設けられ、それにより上中下の3個所の収納部68a、68b、68cが設けられている。そしてディップチューブ28の途中に、中間の収納部68bと連通する貫通孔69が形成されている。なお貫通孔69は、中間の収納部68bの上下方向の中間に設けるのが好ましい。他の部分は図9bのエアゾール製品と実質的に同じである。
このものはバルブ13を操作することにより、下収納部68cの第1内容物Aがディップチューブ28の下端からディップチューブ28内に入り、中収納部68bの第2内容物Bが貫通孔69からディップチューブ28内に入り、その部位から両者が一緒になって上昇し、ハウジング46内に入る。さらに上収納部68aの第3内容物Cがハウジング46の連通孔48を通ってハウジング46内に入る。それにより3種の内容物A、B、Cは混合された状態で、あるいは層状態を維持したまま、外部に吐出される。他の点については、図9bのエアゾール容器60およびエアゾール製品と実質的に同じであり、実質的に同じ作用効果を奏する。なお、下収納部68cとハウジング46を連通するディップチューブ28と、中収納部68bとハウジング46を連通する短いディップチューブの2本のディップチューブを設けてもよい。その場合は、ディップチューブ内で2種の内容物B、Cが混合しない。
図11aのエアゾール容器70では、内袋12の上下収納部の容積が異なっており、上収納部27が下収納部26より大きく、その容積比はおよそ4:1となっている。各収納部の容積は充填する内容物の容積や好ましい吐出量の比によって任意に設定することができるが、吐出量比を通路の孔径や長さなどで調整し易い点から、上下収納部の容積比は5:1〜1:5であることが好ましい。また内袋12の途中に、外容器11の開口部より小さいくびれ部71が設けられている。そしてディップチューブ28の周囲に、そのくびれ部71に上側から密に係合する隔壁部材72が取り付けられている。それによりくびれ部71自体が開閉作用をしなくても、隔壁部材72によって閉じることができる。このものは内袋12の下収納部26に第1内容物Aを充填した後、ディップチューブ28を挿入して隔壁部材72でくびれ部71を塞ぐと、下収納部26と上収納部27とが遮断される。その後、上収納部27に第2内容物Bを充填すると、第1内容物Aと第2内容物Bが混合しない。したがってこのものも第2内容物Bを高速で充填することができ、作業効率が高い。本実施の形態ではくびれ部は、テーパ状に狭まりくびれているが、凹凸状であってもよい。しかし、テーパ状であることで、隔壁部材の挿入が容易である。また、このエアゾール容器70において、くびれ部が他の内袋の部分より厚くなっていても構わない。この場合、隔壁部材とくびれ部との係合を一層強固に、そしてはずれにくくすることができるさらに、内袋の収納部の外周面には、内袋の収縮しやすいように縦溝(図示せず)が設けられているものが好ましい。これにより効率よく内袋を収縮することができ、使用後の内容物の残量を選らすことができる。
なお、隔壁部材72をたとえばスポンジやゴムなどの弾性部材で構成し、その中心にディップチューブ28を通すための貫通孔73を開閉自在に形成し、その弾力性により常時閉じるように構成することもできる。その場合は第1内容物Aを充填した後、隔壁部材72のみを内袋12に入れてくびれ部71を塞ぎ、上収納部27に第2内容物Bを充填した後にディップチューブ28を内袋12に入れて隔壁部材72の貫通孔73に挿入することができる。その場合はディップチューブ28を装着したバルブ13を後から外容器11にクリンプすることができるので、従来とほぼ同様の作業でよく、作業効率が高い。なお、くびれ部71を外容器11の開口部より小さくするのは、隔壁部材72の開口部からの挿入を容易にするためであり、隔壁部材72をスポンジなどの柔軟な材料で構成する場合は、くびれ部71の大きさはとくに制限されない。また、くびれ部内部または隔壁部材外部にO−リングを設けてもよい。これにより上下収納部の密閉度が増し、内袋内での上下収納部の内容物の混合をさらに防止するので好ましい。また、くびれ部外部から弾性体を設けてもよい。さらに、くびれ部および隔壁部材に段差を設けてもよい。これによりくびれ部と隔壁部材はクリップ嵌合する。この場合も上下収容部の密閉度が増加し、前述と同様の作用を奏し、特にくびれ部の厚さを厚くした場合、そのクリップ嵌合がはずれにくく好ましい。
図11bのエアゾール容器75は、内袋の上下収納部の容積が図11aと異なっており、下収納部が上収納部よりも大きくなっている。また隔壁部材72がくびれ部71内に深く嵌合する栓体の形態を備えているほかは、図11aのエアゾール容器70と同じである。このものは下収納部26と上収納部27の間のシール性が高い。他の点については、図11aのエアゾール容器70と実質的に同じ作用効果を奏する。
さらに、図11cのエアゾール容器75aは、その長さが隔壁部材72までであるディップチューブ28と、そのディップチューブ28をバルブに装着しやすくする係合部材74とを有している。この係合部材74はハウジングに装着されており、円筒状のものであり、ディップチューブを挿入する下開口部がテーパ状に下向きに開いている。これにより、エアゾール製品の製造工程においてバルブを容器開口部に載せる際に、ディップチューブの先端が係合部材74の挿入口にガイドされディップチューブのバルブへの装着が容易になる。また、隔壁部材とディップチューブは、あらかじめ高いシールで固着しておくことができる。また、この係合部材74は想像線で示すように、内袋と係合するようにしてもよい。これにより、上収納部の内容物を完全にバルブから隔離することができる。これは上収納部の内容物のマウンティングカップに対する腐食性が高い場合に用いることが好ましい。
図11aのエアゾール容器70、図11bのエアゾール容器75および図11cのエアゾール容器75aでは隔壁部材72に直接ディップチューブ28を挿入しているが、図11dのエアゾール容器75bのように、隔壁部材72とバルブのハウジング46の下端とをディップチューブ28よりも太いチューブ28aで密に連結し、その中にディップチューブ28を挿入するようにしてもよい。この場合、隔壁部材72とチューブ28aの全体、あるいは下端がくびれ部71に嵌合する太い部分を備えたチューブ28a自体が実質的な隔壁部材となる。このように太いチューブ28aを用いると、その上端が内袋12の開口部近辺にくるので、ディップチューブ28の挿入が容易になる。なお、太いチューブ28aは想像線で示すように、内袋の底部近辺まで伸ばすようにしてもよい。チューブ28aの上端をバルブハウジングの下端外周に嵌着させることもでき、その場合、チューブ28aの上端近辺に、ハウジング46の側壁に設けた連通孔48に合わせてチューブ28aに切り欠きを設ける。
なお、図11fに示すように、ディップチューブ28自体に太い部分71bを設け、その太い部分をくびれ部71に嵌入することにより上下収納部を遮断するように構成することもできる。この場合、ディップチューブ28がそのまま隔壁部材となる。また、図11a〜図11dのいずれの場合も、くびれ部71に図11eに示すようなリップシール71aを設けるのが好ましい。これらの場合、上下の収納部間のシール性はさらに高くなる。またリップシール71aは隔壁部材72の側に設けてもよい。図11cの場合はチューブ28あるいは係合部材74に同様なリップシール71aを設けることで係合部材74とチューブ28のシール性を高めることができる。
また、図12a、図12cに示す隔壁部材72b、72cを用いてもよい。図12aの隔壁部材72bは円筒状の胴部150と、その胴部の上部にテーパ状に形成されるフランジ部151と、その胴部の下部側面に所定の間隔で円筒状に並んでおり、その端部に半径方向外側に突出した引掛け部153を有する脚部152とを備えている。その脚部152は、円筒状に並んでいるため、半径方向に弾性を示し、そのため、その脚部152を内袋のくびれ部下部にクリップ嵌合する。これにより隔壁部材72bはくびれ部と脚部152とフランジ部151とで固定される。つまり、ディップチューブを挿入した状態でこの隔壁部材72bを嵌合させると内袋の下収納部はディップチューブの通路を除いて完全に密閉される。このような隔壁部材72bと係合させる内袋として、内袋のくびれ部下部にその隔壁部材の引っ掛け部と係合しやすいようにフランジを設けてもよい(図12b参照)。さらに、本実施の形態では隔壁部材72bの胴部は円筒であるが下向きに細くなるテーパ状の円錐台でもよく、その場合は内袋のくびれ部の内面も同じ傾きのテーパ状にする。これにより、隔壁部材を嵌入するとき、くびれ部と隔壁部材との間の隙間は小さく、内袋の上下収納部の密閉度がより強固なものになる。
図12cの隔壁部材72cは、有底筒状の本体160と、その本体の上部にテーパ状に形成されるフランジ部161と、その本体上面から突出し、ディップチューブの下端と摺動自在に嵌合する円筒状の係合部162とを備えており、前記本体上面中央には、前記係合部162の内部ど連通している連通孔163が設けられている。前記本体は外周面中央にO−リング164を有し、内面は前記連通孔163に向かってテーパ状に閉じている。このようにO−リング164を有することで内袋のくびれ部と隔壁部材72cとをシールする。このようにして隔壁部材72cは、上方向にはO−リング164によって固定され、下方向にはO−リング164およびフランジ部161によって固定される。また、隔壁部材内面がテーパ状に閉じていることで、内容物の流れを滑らかにし、それらによる詰まりを防止する。本実施の形態では、くびれ部と隔壁部材との間のシールとしてO−リングを用いているが、隔壁部材の外周側面に半径方向外側に突出した突出部および/または内袋くびれ部内面に半径方向内側に突出した突出部を設けてもよい。さらに、内袋くびれ部の外側からかしめるようにして金属リングを設けてもよい。
前記係合部162はディップチューブ28の下端を止めるものであり、内面にO−リング165を有し、これはディップチューブと隔壁部材との間の軸方向の移動を許してシールするものである。この隔壁部材72cに用いられるディップチューブは、その長さがバルブから隔壁部材までのものである。さらに、この係合部においてディップチューブは上下に移動可能となるようにディップチューブ先端と隔壁部材の本体上面との間に隙間を有するように装着されている。そのため、この隔壁部材72cを用いた内袋に内容物を充填するとき、内袋に力が加わり、内袋が変形してもディップチューブがはずれず、内容物を充填した後、運搬のときまた使用中に落としたりなどして、外容器に衝撃が加わり、可撓性を有する内袋が上下に伸縮してもディップチューブがはずれない。また、ディップチューブが内容物により劣化されて膨張するなど、ディップチューブとバルブとの係合が弱くなる場合でも、ディップチューブを支持してディップチューブが下収納部に落ちることを防ぐことができる。さらに、内容物を充填する際、隔壁部材と下収納部の間にたまるガスをバルブを開放することにより抜くことができる。
また、図12dに示す隔壁部材72dのように係合部162を本体160から煙突状として高く突出させても良い。この係合部162内(煙突内)では、ディップチューブ28は摺動自在である。ここでディップチューブ28を係合部162と浅く係合させることにより、バルブの位置を外容器の開口部より高くして内容物を充填しやすくすることができる。
さらにこの係合部162の先端を直接バルブのハウジング下部と当接するようにしても良い。これにより、バルブを固着したとき、バルブが係合部162を介して隔壁部材72dを押さえることになり、隔壁部材72dがくびれ部からの外れるのを防止することができる。また、想像線で示すように係合部材74を有するエアゾール容器の場合も同様の効果を得ることができる。また、ディップチューブを設けず、係合部材74に係合部162の先端を直接挿入してもよい。
ここで、図12dの隔壁部材のように係合部162が本体160から高く突出している隔壁部材72eを設けたエアゾール製品190bの製造方法を図29に示す。初めに外容器11に挿入した内袋12の開口部から内容物Aを下収納部に充填する(図29a)。このとき、内容物Aを充填した内袋12を外容器11に挿入しても良い。その後、ディップチューブを装着した隔壁部材72eを内袋のくびれ部71に挿入し、上収納部27に内容物Bを充填する(図29b)。ここでバルブ13の下端(係合部材74)をディップチューブ28の先端に当接させ、加圧剤をアンダーカップ充填できる状態までディップチューブ28を押し下げながら、バルブ13を載置する(図29c)。さらに、外容器11と内袋12の間の空間56の空気をバキュームやガス置換などにより排出する。このように空間56の残存空気を排出することにより、内容物と残存空気との反応を防ぎ、内容物の安定性を向上させることができる。その後、空間56に加圧剤を充填し、バルブ13を固着する。なお外容器の底部に、図23に示すようなガス充填バルブ121を備えている場合は、バルブを固着した後、加圧剤を充填しても良い。最後にステム14を押し下げ、バルブ13を開放し、内容物を充填したとき上下収納部27、26に混入したガス57を排出する(図29c、d)。このようにエアゾール製品190bを製造することにより、初期使用時にガスと混在しながら内容物が勢い良く吐出されることを防止することができる。また、エアゾール製品内の残存酸素濃度が1%以下、好ましくは0.1%以下にすることができ、内容物が酸素と反応する場合であっても酸素との反応を防ぎ、長期間安定に保存することができる。
また、図30に隔壁部材72fを設けたエアゾール製品190cの他の製造方法を示す。このエアゾール製品190cは、図4に示すバルブ13bのように上下収納部の内容物がバルブ13内で混ざり合わさることなく吐出することができるものが備えられており、ここでは図4のバルブ13bを用いて説明する。このエアゾール製品190cの製造方法は、内容物を充填せず、バルブ13bを載置し、外容器11と内袋12との間の空間56の空気を排出し、空間56に加圧剤を充填し、バルブ13bを固着する(図30a)。ここでステム14を押し下げ、バルブ13を開放し、上下収納部27、26内の空気を排出する(図30b)。その後、バルブ13bの一方の通路18bを遮断しておき、バルブ13bの池の通路18aから内容物Aを下収納部26に充填する(図30c)。次に、バルブ13bの通路18aを遮断しておき、バルブ13bの通路18bから内容物Bを上収納部27に充填する(図30d)。これらの内容物A、Bの充填する順番は逆であっても構わない。このようにエアゾール製品190cを製造することにより、内容物A、Bを空気と接触させることなく充填することができるので好ましい。なお、図29で説明したように外容器の底部に充填バルブ121を備えている場合、加圧剤の充填は、バルブを固着した後に行っても、内容物を各収納部に充填した後に行ってもよい。また内容物は、マウンティングカップとハウジング外周面との間に空間を有している構造のバルブを用いる場合、充填圧力によりステムラバーを撓ませてステムラバーとマウンティングカップとの間に隙間を形成し、その隙間から空間を介して、ステムの外周から内容物を上収納部に充填してもよい。
図31には隔壁部材72fとバルブ13とを可撓性のチューブ28cでつないだエアゾール製品190dを示す。ここで可撓性のチューブ28cの長さは十分長く、図31bのようにバルブ13が固着された後は、上収納部27内で撓む。このエアゾール製品190dは、チューブ28cの上端とバルブ13、チューブ28cの下端と隔壁部材72fとをそれぞれ装着した状態で、隔壁部材72fを内袋のくびれ部71に装着することができる(図31a)。つまり、バルブを載置する際、バルブの下端をディップチューブの先端と当接させ、係合させる必要がないため、バルブの載置が容易になる。さらに、上収納部に内容物を充填する際は、図31aに示すように、チューブを撓ませてバルブを内袋の開口部からずらし、内容物を充填しやすくできる。
図13bのエアゾール容器190は、外容器11aと、胴部にくびれ部71を有し、首部に上下に伸縮自在の蛇腹194が設けられている内袋12と、その内袋のくびれ部71に装着され、下収納部26と上収納部27を遮断し、その上端内面がテーパ状である係合部162を有する隔壁部材72と、バルブに装着された吐出部材190aとを備え、さらにバルブ13のハウジング下部にディップチューブ28を挿入しやすくする係合部材74を備えており、他の構成は、図11cに示されるエアゾール製品75aと実質的に同じものである。
外容器11aは、図9aの外容器11と同じ上端が上方に延ばされ、上端からいくらか下側に半径方向内側に突出する凹溝が形成されており、細長いものである。
隔壁部材72は、ディップチューブ28がその隔壁部材を貫通しうるように挿入される貫通孔73を有し、充填後はディップチューブ28の下端が貫通孔73を貫通して、下収納部26内に位置する(図13b)。
係合部材74は、ハウジング下部のディップチューブ係合部の外周に密に嵌入される筒部197と、その筒部下端から底部面積が広がるテーパ部198とからなり、テーパ部内部が回転放物面を有する挿入部193を構成する。これによりエアゾール製品の製造時にバルブを外容器開口部に設置するだけで、あらかじめ隔壁部材に装着されているディップチューブ28の先端は係合部材74の挿入部193と当接し、ディップチューブ先端をディップチューブ係合部に導くことができ、バルブ13との係合が容易になる。
吐出部材190aは、バルブから吐出された内容物を混合する手段を有するものであり、吐出部材通路内がヘリックスミキサーが構成されている。これにより、バルブ内で混合された内容物を均一に混合することができる。このような吐出部材としてたとえば、実開昭64−25357号公報、実開平4−100483号公報などを用いることができる。
このエアゾール製品190の製造方法は、外容器11aに挿入した内袋12の開口から内容物Aを下収納部26に充填する。ついでディップチューブ28を挿入した隔壁部材72をくびれ部71に嵌入し、上収納部27に内容物Bを充填する。その後、係合部材74を備えたバルブ13をディップチューブ28と係合させ、外容器と内袋との間の空間に圧縮ガスなどの加圧剤をアンダーカップ充填により充填し(図13a)、さらに、内袋12を外容器の中に押し込むようにしてバルブのカバー下端外周をクリンチし、外容器の凹溝に固着する。このとき内袋12の上端は内容物充填時より下方に位置する(図13b)。このように内袋12が軸方向に伸縮できるように蛇腹を有するため、このエアゾール製品190の製造が容易になる。また、ディップチューブを貫通可能な隔壁部材を用いることにより、上収納部に内容物Bを充填する際、ディップチューブの上端を内袋の開口よりも高い位置にすることができるため、ディップチューブ内に内容物が侵入することなく安全に充填することができる。
図14のエアゾール容器180は、伸縮可能であるディップチューブ28cを備えており、他の構成は図1に示されるエアゾール製品1と実質的に同じである。
ディップチューブ28cは、径が異なる二本のチューブ28a、28bからなり、径の大きい太いチューブ28aに径の小さい細いチューブ28bが挿入されている。また、太いチューブ28aの内径と細いチューブ28bの外径が実質的に同じとなるように、そして、細いチューブ28bの方が太いチューブ28aより長く形成されており、太いチューブ28aの長さはバルブ13をクリンプした後の状態で、バルブのディップチューブ係合部55と隔壁部材72の係合部162との間の距離と同じである。
該エアゾール製品180の製造方法は、先ず内容物Aを下収納部に充填し、ディップチューブ28cを取り付けた隔壁部材72を内袋のくびれ部に嵌入し、このとき太いディップチューブ28aを延ばしてその上端を内袋の開口部より上に突出させる(図14参照)。この状態で内容物Bを充填し、バルブを載置して、ディップチューブ28cを、その上端から細いチューブ28bが突出するまで縮め、バルブのディップチューブ係合部55とディップチューブ28c(実際には細いディップチューブ28b)とを係合させる(図14参照)。その後、加圧剤を充填し、さらに、マウンティングカップのクリンプを行う。この状態では、細いチューブ28bの両端は、バルブのディップチューブ係合部55と隔壁部材の係合部162と係合しており、太いチューブ28aの両端は、係合部材74の挿入部193内部と隔壁部材72の係合部162の上端内面と当接している。これにより細いチューブ28bが実質的にエアゾール製品のディップチューブの働きを奏する。太いチューブ28aは組み立て時のガイド作用と、上収納部内の内容物Bと細いチューブ28b内の内容物Aの接触を防止し、内容物の安定性をさらに向上させる。
本実施の形態では細いチューブが太いチューブより長い場合について記載したが、太いチューブの方が細いチューブより長くてもよい。この場合、バルブをクリンプしたとき、太いチューブの両端がバルブのディップチューブ係合部55と隔壁部材の係合部162と係合し、太いチューブが実質的にエアゾール製品のディップチューブとしての働きを奏する。
図16aに示す内袋76は、中央部21が上下に伸縮自在の蛇腹となっている。すなわち上収納部27の円筒壁の下端に下向きに閉じる第1円錐台77が連続し、その下端に下に向かって外向きに拡がる第2円錐台78が谷折りの折り曲げ線を介して連続し、さらにその下端に下に向かって閉じる第3円錐台79が山折りの折り曲げ線を介して連続している。同様に下収納部26の円筒壁の上端に、前記第1、第2および第3円錐台77、78、79で構成される半分の蛇腹80aとは逆向きの蛇腹の半分80bが形成され、上側の蛇腹の半分と連続して全体として一つの蛇腹80となっている。第1円錐第77および第3円錐台79の幅は、第2円錐台78の幅より広くするのが好ましい。
上記のように構成される内袋76は、図16aのように上下方向に伸びている状態では、上下の蛇腹の半分80a、80bが接続される谷折りの折り曲げ線、すなわち第3円錐台79、79同士が連続する折り目線81によって囲まれる開口部の面積が広い。そして図16bに示すように上下を縮めると、その折り目線81が内側に押し込まれ、それによって囲まれる開口部の面積が小さくなる。したがって図2の内袋12と同様の開閉作用が得られる。なお、図11a、図11bに示されているような隔壁部材72を合わせて採用してもよい。また、蛇腹80は断面円形のものに限らず、断面矩形状であってもよい。
図17aに示す内袋82は、中央部21に円筒状のくびれ部71が設けられ、その中央に薄肉または厚肉にした半環状の折り目線83が形成されている。この実施形態では正面側と裏面側の対向する2個所の部位84で折り目線83が途切れている。この内袋82を使用する場合、下収納部26に第1内容物Aを充填した後、図17bに示すように、くびれ部71の中間を折り目線83に沿って左右に押しつぶす。それにより上下の収納部27、26同士の連通が遮断される。そして押しつぶしのとき、折り目線が途切れている部分84は曲がりにくく、そのためその部分を起点として折り曲げ線83に沿って押しつぶされていく。その結果、図17cに示すように、途切れている部分84が横方向に拡がる。この押しつぶした状態は上下方向に力を加えることにより維持することができる。ディップチューブ28は押しつぶしの前に挿入してもよく、押しつぶした後、ただちに、あるいは上収納部27に第2内容物Bを充填した後、押しつぶした部位にこじ入れるようにして挿入してもよい。
なおくびれ部71を設けずに単に折り目線83を設けるだけでもよい。しかしその場合は、前述のように折り目線が途切れている部分84が外方向に突出する(図17c参照)ので、外容器11の内面にぶつかるおそれがある。そのためくびれ部71を設けて突出部が所定の範囲内に収まるようにする方が好ましい。さらにくびれ部71を設ける場合あるいは設けない場合のいずれの場合も、折り目線83を省略することもできる。しかし折り目線83を設けると、スムーズに押しつぶすことができ、しかも押しつぶされた状態が安定するので好ましい。
図17aの場合はくびれ部71の途中に円筒状の部位を設けているが、図9の中央部21のように、正面ないし側面から見た断面形状がV字状のくびれ部としてもよい。その場合も押しつぶしの形状が明確になり、押しつぶした状態が安定する。またくびれ部71は通常は円周方向に均等に設けるが、たとえば片方に偏心させるなど、均等に設けなくてもよい。その場合は上下に力を加えるとくびれ部に曲げモーメントが働き、座屈の作用で自然に押しつぶした状態になる。さらにくびれ部71の上から見た断面形状は、図17aで左右の寸法が短く、図17bで左右の寸法が長い楕円状あるいは矩形状にすることもできる。その場合もスムーズに押しつぶすことができ、押しつぶされた状態が安定する。
さらに図17bにおいて、押しつぶされる部位の片方の壁に凹溝を設け、他方にその凹溝と嵌合する突条を形成し、両者で嵌合させてもよい。図17aの場合は折り目線83に途切れた部分84を設け、押しつぶしの起点としているが、たとえば図18aおよび図18bの内袋85のように、外壁の一部86をつまみ、ヒートシールなどで接合することにより、折り畳みの起点とすることもできる。なお、内向きに折れ込ませてヒートシールなどで接合してもよい。いずれの場合も、そのときの接合した部分86(外壁の一部)が縦方向のリブとなり、折り畳み方向が定められるので、スムーズに折り畳まれる。なお、断面円弧状の外向きのリブ、あるいは内向きのリブを形成してもよい。また、図18c、図18dに示すように、内袋85のくびれ部に板状の縦リブ87を一体に成形してもよく、成形後に接合してもよい。その場合、縦リブ87の中間に折り曲げの起点となるヒンジ88を形成してもよい。
図16aの内袋76、図17a、図17cの内袋そして図18a、図18cのいずれの内袋においても、第1内容物を充填して中央部を押しつぶした後、ディップチューブが通る貫通孔を残してヒートシール、超音波溶着、高周波溶着、接着剤による接着、その池の手段で押しつぶした部位同士を密に接合するようにしてもよい。それにより収納部間のシール性が高くなる。また、前記いずれの実施形態においても、収納部の個数は2個に限らず、3個あるいは4個以上にすることができる。また、これらの内袋の材質は図1の内袋12と実質的に同じである。そのため、内袋は優れたバリア機能を有しており、酸性原液とアルカリ性原液とからなる内容物を用いても耐久性が高い。
図19aに示す内袋85は上下収納部が上収納部材85bと下収納部材85aとに分かれている。上収納部材85bは筒状であり、胴部89aと、その胴部89aの上下両端からテーパ状に延びる肩部89bと、それらの端部から延びる首部89cとを有し、上首部の上端にはフランジ部89dが形成されており、下首部の内側には雌ネジ98aが形成されている。下収納部材85aは有底筒状であり、胴部89aと、その胴部の上端からテーパ状に延びる肩部89bと、その肩部の上部から上向きに延び、胴部より径が小さい首部89cとを有し、その首部の外表面には雄ネジ98bが形成されている。前記上収納部材85bの下首部の雌ネジ98aと下収納部材85aの首部の誰ネジ98bとが連結できるようになっており、これらを螺合することで実質的に1つの内袋85を形成する。これによりこの内袋85の連結部がくびれ部に相当する。また、この内袋85を本発明の包装容器に用いるときは、隔壁として、前記隔壁部材を用いることもできるが、これらの上下収納部材が接する面あるいは上収納部材の下肩部の開口にアルミ箔や合成樹脂フィルムなどの薄いフィルム(図示していない)を用いてシールする。または、上収納部材85bも有底筒状に成形してもよい。次いで各収納部に内容物を充填し、上下の収納部材同士を連結し、外容器内に収容した後、バルブを外容器に載置するときなどにディップチューブ28でそれらのフィルムを破ることで、本発明の包装容器を得ることができる。ここで連結手段はネジを用いたがこれに限定するものではなく、嵌合するように上下の開口部の径を異なるようにしてもよい。さらにテーパ面同士の嵌合としてもよい。また、このようなディップチューブ28としてはフィルムなどを破りやすいように先を鋭くすることが好ましい。また、フィルムをもちいらず、連結部の内径と実質的に同じ外径を有するディップチューブ28を用いて上下収納部のシールを行っても良い。この内袋の上下収納部材85a、85bは図1の内袋12と同様の材質から成形されている。また、上下収納部材の間に用いられる薄いフィルムも内袋と同様の材質で成形されるため、バリア機能が高く酸性原液とアルカリ性原液とからなる内容物を用いても耐久性が高い。
図19bに示す内袋85dは、アルミニウムなどの金属製の内袋である。この内袋85aは図19aの内袋85と同様に上下収納部材85a、85bからなる。この上下収納部材は、アルミニウムあるいはアルミニウムの内面および/または外面に前述の耐アルカリ性層や耐酸性層などの樹脂シートをラミネートしたシートを貼り合せることにより成形され、上収納部材85aは円筒状の上首部86aと雌ネジを有する円筒状の下首部86bを二枚のアルミニウムシートで挟み、縁を張り合わすことにより形成される。また、下収納部材85bは、雄ネジを有する円筒状の首部86dをアルミニウムシートで挟み、貼りあわせ形成される。この内袋85dは、上収納部材85aの下首部86bと、下収納部材85bの首部86dとを螺合させることにより生成される。
この内袋を用いた本発明の包装製品の充填方法としては、上収納部材85bのテーパ状の下肩部89b内面に薄いフィルムを貼付して底部を形成し、上下の収納部材にそれぞれ別のラインで内容物を充填し、これらを連結して外容器に挿入する。次いでディップチューブ付きのバルブを上収納部材の上首部に装着してフィルムを破り加圧剤を充填し、バルブを固着する。または、下収納部材85aに内容物を充填し、フィルムを被せ、上収納部材85bを連結し、上収納部材に内容物を充填し、その後外容器に該充填した内袋を収容し、バルブを挿入して加圧剤を充填するようにしてもよい。これにより製品の生産速度を上げることができる。さらに、内容物に対応した材質の内袋を用いることができるため、内容物を長期間安定に保存することができる。
また、フィルムをもちいらず連結部内径と実質的に同一の外径を有するディップチューブで上下収納部をシールする場合、下収納部材に内容物を充填し、上収納部材を連結した後、ディップチューブを挿入し、上収納部材に内容物を充填し、加圧剤を充填するようにしても良く、この場合、上下収納部材を連結した後、下収納部材、上収納部材の順に内容物を充填しても良い。
さらに、フィルムを用いて、連結部内径と実質的に同一の外径を有するディップチューブを用いても良い。これにより、一層シール性を高めることができる。
図20の内袋185は、上下に収納部を区画するくびれ部71を中央付近に有し、上収納部27の内径が下収納部26の内径および外容器の開口部の径より大きく、下収納部26の内径が外容器11の開口部の径より小さいものである。この内袋185を用いた包装製品の充填方法は、始めに下収納部26の内容物Aを充填し、上収納部27とくびれ部71とからなる肩部186を想像線で示される外容器11の開口部に引掛けるようにして、内袋185の下収納部26を外容器11の中に挿入する。ついで、くびれ部71にディップチューブ28を挿入した隔壁部材72を挿入し、内袋185の開口部からバキュームし、上収納部27を収縮させ内袋185を外容器11内に挿入する。その後、従来の方法で内容物B、加圧剤等を充填する。該充填方法により、内袋内の酸素濃度を低くするこどができ、充填後に内容物が酸素に触れにくくなるので、内容物を安定な状態で保存することができ、包装製品(エアゾール製品)を長期間に安定して保存することができる。他の構成は図1の内袋12と実質的に同じである。
図21の内袋187は、その内袋を上下に区画して上下収納部27、26を形成するためのくびれ部71が中央付近に細長く形成されており、そのくびれ部71の径はディップチューブ28の外径と実質的に同じである。これによりディップチューブ28を挿入すると上下の収納部27、26間はディップチューブ28の通路を除いて密閉される。細長いくびれ部により、内容物Aと内容物Bとの接触を防止することができ、くびれ部の細さや長さを調整することで所望の安定性を得ることができる。この内袋187を用いる包装製品の充填方法は、始めに下収納部26に内容物Aを充填し、ディップチューブ28をくびれ部71に挿入し、上収納部27に内容物Bを充填する。また、シール性を確保するために、くびれ部71にリップを設けてもよい。
図22のエアゾール容器90は、剛性を備えた透明または半透明な合成樹脂製または耐圧ガラス製の外容器91と、その外容器91内に収容される上下の収納部92a、92bを有する内袋92と、外容器の開口部に取り付けられるバルブ93とを備えている。
この外容器91は、有底筒状の胴部と、その胴部の上端からテーパ状に延びる肩部と、その肩部から連続してなる首部とを有する。前記首部下端には前記肩部上端に連続して凹溝91aが形成されている。この外容器91はポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの合成樹脂からなるパリソンを空気圧などで膨らませ、金型に密着させ、それを冷却させて中空体を得る従来公知のブロー成形などで製造することができる。なお、特開2000−327053号公報に開示されている形状の外容器を用いてもよい。このように外容器91を透明または半透明にすることで、外から中身が確認でき、その内容量(残量)あるいは上下収納部の状態を確認することができる。特に、上下収納部に互いに混ざりあうことで反応する内容物を充填したエアゾール製品のときは、外容器に目盛りを設けることでその内容物の正確な残量が確認でき、また、その内容物の状態が確認できるので好ましい。なお該実施の形態では、外容器が透明または半透明であるため、外観で内容物の残量を確認することができる。また他方、外容器が下透明な場合は、製品の上下方向の途中に糸ないし紐を連結しておくのが好ましい。このものは糸の他端を摘んで製品を吊り下げるなどして製品の傾きにより内容物の残量を確認することができる。
前記内袋92は、前述した図21の内袋187と実質的に同じものであり、外容器91の開口部より小さいくびれ部94が設けられており、そのくびれ部94はディップチューブを挿入することで上下収納部に区画することができる。ただし、この内袋の上側収納部92aと下側収納部92bとの間のくびれ部94の外周面には特開平9−104487号公報に開示されているガス吸収剤95をシート状に成形したもの、あるいはガス透過性の袋に収納したものが設けられている。このようなガス吸収剤95は収納部に充填される内容物がアンモニアなどの安定化剤を含む染毛剤第1剤や過酸化水素などの酸化剤を含む染毛剤第2剤である場合に特に好ましい。これにより、過酸化水素の分解により発生する酸素やアンモニアから発生するアンモンニアガスが内袋92を透過して内袋と外容器91との間の空間に出てきた場合であっても、その酸素やアンモニアガスを吸収するので、外容器内部の圧力が上昇することを防止することができる。また発生したガスによる内容物の劣化や外容器の腐蝕などを防止することができる。このガス吸収剤95は内袋92の内側にコーティングされていてもよい。この場合、内袋を透過せず内袋内に蓄積されたガスを吸収することができる。しかし、内側の場合は内容物と直接接触し、ガス吸収剤の表面が液体で覆われるため、発生したガスとの接触が少なくなり、ガス吸収作用が妨げられるので、その作用は外側の方が効果的である。さらに、このガス吸収剤は一方の収納部の肩部あるいは外周面に設けてもよい。また内袋92の外表面全体に設けてもよく、外容器91の内面に設けてもよい。さらに、ガス吸収剤をガス透過1の袋に入れたものを外容器内に収納しても良い。また実公平5−34780号公報に記載されている内袋の中間層にガス吸収シートを用いても良い。さらに、外容器91の内圧が一定の圧力以上で外部にガスを放出する安全弁または機構を設けてもよい。このような機構として特開平8−104381号公報に開示されている蓋部材の取り付け構造や特開平7−149382号公報に開示されている外容器の口部やマウンティングカップの形状を用いてもよい。この場合、ガス吸収剤の吸収量を超える量のガスが発生したり、ガス吸収剤が規定の量を吸収しなかったり、外容器91内の圧力が異常に上昇することでバルブ等が抜け飛ぶことを防止することができる。また、前述したように内袋を透過せず蓄積されたガスを内袋内部から外部への連通を許す特開平8−133359号公報に開示されている逆止弁を内袋に設けてもよい。これにより内袋の膨張、さらには膨張による内袋の破裂を防止することができる。
前記バルブ93は、上端に半径方向外側に突出する突出部を有する筒状のハウジングと、その突出部を外容器91の開口部との間に挟むようにしてハウジングを固定し、外容器の開口部を覆い、前記凹溝91aにかしめることで外容器を気密にするマウンティングカップとを有する。他の構成は実質的に図2bのバルブ13と同じである。ハウジング内部と上側収納部92aとはハウジング側壁に形成した連通孔97aによって連通し、下側の収納部とはハウジング下端の連通孔97bを介してディップチューブ28によって連通している。このディップチューブ28の径は前記内袋92の小さいくびれ部94よりわずかに大きくなっている。そのため、内袋のくびれ部94にディップチューブ28を嵌入することで内袋の上下収納部を遮断することができる。このディップチューブ28の長さは特に限定されないが、内容物の減少に伴って内袋92がつぶれても通路が確保されるように、エアゾール容器90の底部まで届いているものが好ましい。また内袋のくびれ部94の強度を他の部分より強くし、ディップチューブ28の長さを下端がくびれ部近辺に位置する程度としてもよい。この場合は、内袋92は、下収納部92bの内容物の減少に伴い底部からくびれ部の順に収縮するように構成されているものが好ましい。また、この実施形態においても、図11eに示すリップシール71aと同様のリップシールをくびれ部94に設けてもよい。これにより、より強固に上下収納部を閉じることができる。他の構成は図11cのエアゾール容器75aと同様であり、同様の作用を得ることができる。
これまで開示してきた包装容器の実施の形態では、上収納部と下収納部との間には、隔壁部材で連続しているところを除き、図22に示すように空間96が設けられている。すなわち内容物によっては内袋を構成する合成樹脂シートを透過しやすいものがあり、内容物を区画する隔壁が合成樹脂シートだけである場合、その隔壁を内容物が透過して他の内容物と反応し劣化させるおそれがある。しかし、前述の包装容器では、内袋を構成するシートを内容物が透過しても、前記空間96により他の内容物が充填されている内袋と直接接触することができないため、他の内容物が充填されている内袋を透過することを防止できる。さらに前述のガス吸収剤と併用する場合は、浸透を防止する効果が一層高くなる。また隔壁についてもガスバリア性高い隔壁を用いるのが好ましい。
図23のエアゾール容器120は、外容器の底部に加圧剤を充填する充填バルブ121と、容器本体の開口部にバルブと挟むことで吊り下げられ、下端が容器本体の底部と接触しないように設けられている内袋122とを有する(特開2000−24557号公報)。この内袋122は、中央にくびれ部71によって上下収納部に区画しており、くびれ部71には図11bの隔壁部材72と同様のものが設けられている。さらに、内袋122には、軸方向に折れ線123が設けられており、内容物の吐出と共にその折れ線に沿って折れ、縮むように構成されている。このエアゾール容器120は、内袋122の上下収納部に各内容物を充填し、バルブ124を固着させる。その後、加圧剤を充填バルブ121から充填することによりエアゾール製品を得ることができる。なお、該実施の形態では容器本体の上端開口部を内側に折り曲げてバルブを固着している(特開2000−62870号公報)。
図24のエアゾール容器130は、底部132と胴部133と頭部134とからなり、これらを二重捲き締めすることで形成するスリーピース缶である容器本体131と、容器本体の開口部に吊り下げられるように構成される内袋135とを有するものである。内袋135は、中央にくびれ部71を有し、そのくびれ部にはディップチューブ28が嵌入されている隔壁部材72が設けられている。さらに、この隔壁部材72の上には、ディップチューブ28が嵌入され、鋭い刃を半径方向外向きに複数個有する円筒状のガス抜き具136が設けられている。ガス抜き具136は隔壁部材72の中央部にディップチューブ28と共に嵌入することにより接合する。このガス抜き具136により内容物をほぼ全量吐出したとき、内袋135は収縮により破られ、外容器の内部空間と内袋の内部空間とが連通する。全量吐出後はさらにバルブを開くことで自然に外容器の内部空間にある加圧剤を外に排出することができる。使用後、外容器に孔をあけてガスを抜くなどの特別な措置を行う必要がなく、エアゾール容器しても安全であり、さらにリサイクルにも好ましい。このガス抜き具136は、合成樹脂などで隔壁部材72と一体に成形してもよい。また本発明のエアゾール製品には、このようなガス抜き具として、特開平9−267876号公報の図1、5に示されているガス抜き治具、特開平10−310111号公報の図1、3、4、5、6、7および8に示されているガス抜き構造、特開平11−171268号公報の図1、3、4,6、7、8、9、10、11および、12に示されているガス抜き用具を用いてもよい。
これまでの実施形態では、容器の内圧を圧縮ガスなどの加圧剤によって高めるエアゾール容器を開示してきたが、図25の包装容器100では、内袋を加圧する手段としてポンプ機構101を採用している。このポンプ機構101を備えたバルブ101aは、ハウジング102と、そのハウジング内に収容されるステム103と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ104aと、そのハウジング内に収容され逆止弁作用を奏するピストン104と、そのハウジング102の下端に設けられている連通孔103a、103bと、その連通孔103a、103bを塞ぐ逆止弁106a、106bとから構成されている。これらの逆止弁106a、106bは、図3aに示す逆止弁51aと同じものであり、バネにより連通孔103a、103b側に付勢されるボールによって連通孔103a、103bが閉じるように構成されている。前記ステム103、ピストン104は従来公知のものであり、ステム103上端部には押しボタンが取り付けられている。また連通孔103aにはディップチューブ28が取り付けられており、これにより、下収納部と連通している。他の構成である内袋、外容器については図2あるいは図22などと同様である。これにより押しボタンを押し下げると、ピストン104が下降し、逆止弁の作用でハウジング102内に一回分の内容物が吐出される。その後、押しボタンは、ステム103を介してバネ104により上昇する。この上昇のとき、図示していない第1および第2ピストンも上昇し、下端の逆止弁106a、106bを通じてハウジング102内に次回の吐出のための内容物を吸い上げる。このようなポンプ機構を有する包装容器を用いることで、2種類の異なる内容物を内袋内に残すことなく使用することができる。他の構成特に、内袋の構成は図1の内袋12と実質的に同じである。
図26は外力によって直接内容物を押し出すスクイズボトルタイプの包装容器の実施形態を示している。この包装容器110は、可撓性の外容器111と、上下に収納部を有する内袋112と、外容器の開口部に取り付けられるキャップ113とから構成されている。この包装容器110では外容器111がポンプを構成しており、局部的に力を受けて変形しても弾力的にもとの形状に戻るように構成されている。また外容器110の一部に外気と連通する穴115が形成され、その穴115の内側に逆止弁114が設けられている。
前記内袋112は図22のエアゾール容器90のものと同様であり、上下の収納部に分かれている。また、前記キャップ113は、略山型で合成樹脂製であり、裾には連通孔115a、115bを有する。中央の連通孔115bはディップチューブ28を介して下収納部に連通し、他の連通孔115aは直接上側の収納部に連通している。そしてこれらの連通孔115a、115bの上部はハウジング混合室116を介して、スパウト117へつながっている。これによりキャップ113を外容器に固着し、外容器111の一部を押しつぶすように外力Qを加えると、内袋112全体に均一な圧力が加わり、上下収納部からそれぞれ連通孔115a、115bを通ってハウジング混合室116に入り、そこで混合された後、スパウト117を通って吐出される。なお、ハウジング混合室116の天面には、スパウト117から空気を吸い込まないようにするために逆止弁118が設けられている。また、ハウジング混合室116の入口である連通孔115a、115bにも逆止弁を設けるのが好ましい。この場合ハウジング混合室116内で混合された内容物がディップチューブ28内に逆流することが防止できる。ディップチューブ28の長さはくびれ部94まででもよく、下端まで伸びていてもよい。
図27は内袋自身の弾性力によって内容物を押し出す包装容器140の実施形態である。この包装容器140は、バルブ141と、合成ゴムやシリコーンゴムなどの弾性材料からなる内袋142と、その内袋142を収納し、開口部でバルブ141と係合する容器本体と、それらを固着するキャップとからなる。また、この内袋の内層には耐アルカリ層や耐酸性層を積層させており、内容物による内袋の侵食を防止する。また、フッ素ゴムなど耐アルカリ性および耐酸性の高い材料を用いて製造してもよい。この内袋142は自然な状態で内面同士が密着し、中に空間を残さない(弾性エネルギーがゼロ)ように構成されている。そして内容物を充填することで内袋を膨らます(弾性エネルギーが蓄積される)。したがってバルブを開放することで、内容物をほぼ全量吐出することができる。前記バルブは内袋開口部に強く嵌入されており、内容物を封入している。バルブ141は従来公知のものである。この包装容器140はバルブと内袋の間が強く密閉されていれば外容器はなくてもよい。この場合、内袋が外容器と、加圧手段を兼ねている。その場合、内袋142の開口部をさらに金属線などで強く締めてあってもよい。また、可撓性のある内袋の上下収納部の回りに弾性力を有するゴムベルトなどを巻いても良い。
図28のエアゾール容器170は、バルブ171と、そのバルブに上端が連結される内内袋172と、その内内袋を収容する外内袋173とを有するものである。ここで外内袋173は、本発明の内袋に該当し、内内袋172は外内袋173を区画する隔壁に該当する。しかし、前述の隔壁部材は上下収納部間に圧力を伝達しないが、この内内袋172は上下収納部間に圧力を伝達する。前記バルブは図3〜図6で示すバルブ13b、13cまたは13dを用いており、これらバルブはバルブの下端に連通孔48aを有し、バルブの上端側面に連通孔48bを有する。前記内内袋172はバルブのハウジングを覆うように、そして連通孔48bを塞がないようにして取り付けられ、バルブとは連通孔48aで通じている。また、前記外内袋173はバルブと連通孔48bで通じている。これによりバルブが開かれることでそれぞれ内外内袋の内容物はバルブ内に流れ込む。この内内袋172とバルブとのシールをより強固なものとするために、内内袋172とバルブとの間にO−リングなどのシール機構を設けてもよい。このエアゾール容器を用いたエアゾール製品の製造方法は、内容物を内内袋172と外容器に収納されている外内袋173を別々のラインで充填し、内内袋172をバルブに固着し、ついで、そのバルブを外内袋173に挿入する。ここで、加圧剤を充填し、バルブを固着することで製造することができる。また内袋をあらかじめバルブに固着しておき、バルブから内容物を充填してもよい。
前述したように、外容器が不透明である場合、その製品の内容物の残量が確認できる残量確認手段を備えているものが好ましい。
図32aに本発明のエアゾール製品に用いることができる噴射部材の一例を示す。この噴射部材200は、図4bに示すバルブ13bのように上下収納部の内容物がバルブ13内で混ざり合わさることなく吐出することができるエアゾール製品に用いられる。噴射部材200は、円筒状であり、ステム14と係合するステム係合部201と、そのステムから供給される内容物A、Bを同時に噴射するノズル202と、それぞれの内容物A、Bがステム係合部とノズル202との間を流れる噴射部材通路203a、203bとからなる。
ノズル202は、有底筒状であり、底部中心に噴射孔202aが設けられ、噴射部材本体204と係合する。また、ノズル202は噴射部材本体204との当接面である底部内面206に、その側縁部から中心に向けて渦巻状の突起208が形成されている。また、その突起の間であり、底部内面206の側縁には、破線で示すように、噴射部材通路203a、203bの開口209a、209bが位置する(図32b参照)。
これにより、バルブの通路18a、18bからそれぞれ吐出された内容物A、Bは、噴射部材通路203a、203bを通り、底部内面206に至る。この底部内面206で、内容物A、Bは突起208により、うず流を形成し、両内容物が混合され、その混合された内容物が噴射孔202より噴射される。
このような噴射部材200は、粘性が小さく、液状であり、霧状やミスト状で噴射され、2液が接触あるいは混合したとき反応し、効果を発揮する内容物を用いるとき、その混合効果が大きく、噴射と同時にその効果が得られ、好ましい。たとえば、混合により中和されて、増粘する内容物を用いる場合、噴射孔で増粘し始めて、粗いミスト状になり、付着面でゲル状となり、垂れ落ちない。また、混合により溶解して発熱あるいは吸熱する内容物を用いる場合、温かいあるいは冷たい霧やミスト状に噴射される。
図33には、本発明のエアゾール製品に用いることができる噴射部材の他の一例を示す。このものも、図32と同様に内容物A、Bがバルブ内で混ざり合わさることなく吐出することができるエアゾール製品に用いられる。この噴射部材211は、2つの噴射孔202a、202bを有する2つのノズル205a、205bと噴射部材本体204とからなり、これらの2つの噴射孔202a、202bは、その噴射角度が互いに交差するように設けられている。該噴射部材を用いて噴射すると、各噴射孔より噴射された噴射物は噴射孔からそれほど離れていない距離で混合される。そのため混合後すぐ反応し始める2液反応型の内容物を用いる場合、空間で反応し始めたり、対象物に付着直後に反応し始めたりし、噴射後短時間でその効果を得ることができる。
ここでノズル205a、205bは噴射部材本体204に係合しているが、一体に成形してもよい。
図34には、噴射部材のさらに他の一例を示す。この噴射部材215は、図33の噴射部材211と同様に、別々に供給される内容物を別々に噴射する。噴射部材215は、バルブから別々に供給された内容物A、Bを噴射部材通路203a、203bと通じて、独立して流す噴射部材本体204と、噴射部材本体のノズル挿入口216に挿入されるノズル202とからなる。噴射部材215は、中心の噴射孔202aと、その中心の噴射孔202aの外周に均一な間隔で、3つ形成されている外側の噴射孔202bとを有する。中心の噴射孔202aは、円形状であり、ノズルの中心に設けられ、噴射部材通路203aと通じている。また、ノズル挿入口216の内面軸方向には溝217が形成されており、この溝217は噴射部材通路203bと通じており、この溝217とノズル202との間のスリットが外側の噴射孔202bを形成している。外側の噴射孔202bの数は限定されず、2〜10個程度設けることができる。このように形成されているため、この噴射部材215から噴射される噴射物はストライプ状となる。このような噴射部材215に用いられるエアゾール製品の内容物としては、粘状が高いものが好ましい。それにより、ストライプ状に噴射された噴射物は手など他の力を加えることで、混合しやすい。また、内容物A、Bとして、それぞれゲル状の内容物とムース状の内容物とを用い、ゲル状の内容物が噴射部材通路203aを通り、噴射孔202aから噴射され、ムース状の内容物が噴射部材通路203bを通り、噴射孔202bから噴射されるように本願発明の包装容器と噴射部材215を連結させることにより、ゲル状の内容物がムース状の内容物に包まれた噴射物を得ることができる。
ここで本発明の包装容器において、2種類の内容物を充填する内袋の好ましい形態を図35に示す。
この内袋220は、有底筒状であり、上収納部221と下収納部222とその上下収納部の間に介在しているくびれ部223とを有する胴部224と、その胴部上端に形成され、上端にフランジ部225aが設けられている首部225と、前記胴部の下端を閉じる底部226とからなる。
この内袋220は、図1の内袋12と同様の材料を用いてチューブ状の合成樹脂を成形し、ブロー成型により成形されており、底部226が合成樹脂の貼りあわせによって形成されている。そのため、内袋を連続的に製造することができ、生産効率が良い。しかし、内容物がガスを発生あるいは含有すると、ガスがこの底部の接合面から透過する場合がある。このガスの透過を防ぐため、底部226の下に樹脂シートを貼り付けたり、ガス吸収剤からなるガス吸収コート227を設けても構わない。これにより、ガスの透過をより一層防いでバリア機能を高くすることができ、特にガスがアンモニアなどのアルカリ性のガスであったり、酸素ガスなどの酸化性のガスである場合、そのガスによる外容器の腐食を防ぐことができる。さらに想像線で示すように、外容器内に収納され、外容器とバルブとの間に取り付けられ、内袋220の全体を収納する円筒状のガス吸収袋228を設けても構わない。
このような内袋においては、複数の異なる内容物を充填するため、内袋は各内容物に対して安定である必要がある。ここで安定とは、内袋が内容物に対して耐食性を有したり、内容物が自己分解などにより発生するガスの透過を防止したりし、包装製品として劣化しにくいことをいう。
このような内袋としては、たとえばそれぞれの収納部に充填される内容物に対して安定である材質を積層させて形成するものが挙げられる。また、いずれかの収納部に充填される内容物に対して安定な材質で形成した内袋に、他の収納部に充填される内容物に対して安定な材質を収納部の外周面や内周面にフィルムなどで覆ってもよい。さらに、図19aの内袋85のように、上収納部材85aと下収納部材85bとからなり、それぞれ上下収納部材85a、85bがそれぞれ充填される内容物に対して安定な材質で形成してもよい。内袋をこのように構成することで、内袋の上下どちらかの収納部にpHが11〜13であるアンモニア水溶液を充填し、残りの収納部に水を充填した状態で、25℃で1ヶ月間経過したときの水のpH変化が3未満となる優れたバリア機能を有し、アルカリ性原液と酸性原液とからなる反応性の高い内容物であっても長期間安定に保存できる。
さらに、上下に収納部を有する内袋に、上収納部にはアルカリ性の内容物を充填し、下収納部に酸性の内容物を充填する包装製品に用いる内袋として図36aに示すような、2層構造の内袋230を用いることができる。内袋230は、耐アルカリ性に優れた材質からなる内層(耐アルカリ性層)231と、その内層の外側に積層された耐酸性に優れた材質からなる外層(耐酸性層)232とから構成されている。この内層と外層の材質は逆であっても構わない。これにより、内袋が内容物により腐食され、破裂することを防止する。また、アルカリ性成分や酸性成分が内袋を透過して外容器を腐食させたり、他方の収納部内に浸透して他の内容物を劣化させることがない。
また、図36bの内袋234を用いてもよく、内袋234は、前述の耐酸性(耐アルカリ性)に優れた材質からなる内袋本体235に、耐アルカリ性(耐酸性)に優れた材質からなるフィルム236を上収納部221の外周面に積層したものである。このフィルム226は、アルカリ性の内容物が下収納部222に充填されるときは、下収納部26に積層される。外周面に積層させる手段としては、内袋成型時に積層させてもよく、内袋成型後に貼り付けたり熱収縮(シュリンク)させて覆っても良い。
本発明の包装製品に用いられる内袋は優れたガスバリア機能を有するため、アンモニアなどの揮発性アルカリ成分を含有するアルカリ性原液と過酸化水素などの酸素発生成分を含有する酸性原液とからなる非常に反応性の高い内容物であっても、経時的に内袋内部から外部さらには外部から内部へのアンモニアや酸素の透過を防止してアルカリ原液中のアンモニア濃度の低下や酸性原液中の過酸化水素の分解を防止でき、アンモニアと共に配合されアンモニアにより安定化されている酸化染料などの反応成分の劣化、さらには過酸化水素の分解を防止でき、安定した染毛効果が得られる。
かくして得られる包装製品は、優れたバリア機能を有するため2液反応型染毛剤や脱色剤、酵素染毛剤などの高い反応性を有する内容物はもちろんのこと、頭髪用セット剤、育毛剤、消炎鎮痛剤、ほてり止め、冷却剤、パック剤、クレンジング剤、シェービングフォーム、保湿剤、制汗剤、ビタミン剤、皮膚軟化剤などとして吐出するエアゾール製品とすることができる。