JP6626343B2 - 鋼管矢板打設用部材、鋼管矢板打設方法 - Google Patents

鋼管矢板打設用部材、鋼管矢板打設方法 Download PDF

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Description

本発明は、エアや液体などの搬送用流体を利用して掘削ずりを上に向かって移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりや濁水を排出する鋼管矢板打設工事(例えばダウンザホールハンマを利用する鋼管矢板打設工事)で用いることを前提とする鋼管矢板打設方法と、この鋼管矢板打設工事で用いる鋼管矢板打設用部材および鋼管矢板打設補助部材に関するものである。
従来より一般的に用いられている鋼管矢板は、本管と、その両脇の長手方向に沿って一体的に設けられた一対の継手を有している。各継手は、隣り合う位置に打設された鋼管矢板を連結するための手段として機能するものであり、現在では、P−P継手、P−T継手、L−T継手といったタイプの継手が標準化され、この種の継手を具備する鋼管矢板が広く普及している。
このような継手と本管を含んで構成される鋼管矢板は、砂質土、シルト等の軟弱地盤に対する高い水平耐力を有しているという特徴を持っている。このような特徴を生かし、港湾部ばかりでなく河川や複数の鋼管矢板をその側部の継手を介して相互連結した壁状構造体が、仮締め切りなどの仮設工事において広く採用されている。
また近年では、大規模地震における被災の教訓に鑑み、加えて、上述のように鋼管矢板の性能が高く評価されていることもあり、鋼管矢板は、耐震構造を考慮した土留め壁、井筒基礎等の永久構造物、近年ではダムの機能追加工事におけるダム湖内の大水深の仮締切工などに広汎に用いられるに至っている。従って、さらにこの鋼管矢板は、従来の軟弱層ばかりでなく、礫質土層、玉石を含む河床堆積層、岩盤層など各種硬質地盤に対しても適用されるに至っている。
このような鋼管矢板の打設にあたっては、港湾部、河川下流部を中心として、例えばダウンザホールハンマによる打撃圧入工法などを利用した打設工事が行われている。
ダウンザホールハンマによる鋼管矢板の打撃圧入の原理を図11及び図12に示す。
図11は、ダウンザホールハンマによる打撃圧入の原理を示す概略図である。
図12は、ダウンザホールハンマによる打撃圧入の原理を示す詳細図である。
図11及び図12に示すように、鋼管矢板の打設に用いる掘削装置8は主として、クレーン吊り下げ式の回転駆動装置81と、該回転駆動装置81に連結されたドリルロッド82(回転駆動シャフト)と、該ドリルロッドの下方に設けられたダウンザホールハンマ83を有している。
回転駆動装置81は、その下部のドリルロッド82を介してダウンザホールハンマ83を回転駆動する。この回転駆動装置83の下端には、排土経路制御手段として機能する排土キャップ9が設けられている。排土キャップ9は、ドリルロッド83の上端側を取り囲むように取り付けられている。
排土キャップ9の具体的構成例や機能作用を図13〜図16に例示する。
図13は、排土キャップ9の単体の構成例を示す図である。
図14は、図13に示す排土キャップを回転駆動装置81の下端に取り付けた状態を例示する図である。
図15は、排土キャップ9等を利用した鋼管矢板打設の様子を概略的に例示する図である。なお、同図において、回転駆動装置の図示は省略している。
図16は、図15のa−a線、b−b線、c−c線、d−d線に沿った断面図である。
図13及び図14に例示するように、排土キャップ9は、
・ドリルロッドの上端側を取り囲む略円筒形状の筒状部91と、
・該筒状部の天端位置に設けられた接続部92(回転駆動装置下端への接続部)と、
・筒状部91の外周面から張り出すように設けられた排土部93と、
・打設する鋼管矢板の継手73の上端側付け根部(溶接部位)に差し込まれる一対の切欠き部94と、を具備している。
排土キャップ9の筒状部91の内側には、図11及び図15に示すように、回転駆動装置81に連結されたドリルロッド82が挿通するとともに、打設する鋼管矢板本管71の上端側が挿入される。なお、図16(a)(b)(c)に示すように、打設する鋼管矢板本管71の外周面と排土キャップの筒状部91の内周面との間には、平面視環状の隙間95が形成される。図15(b)も併せて参照のこと。
接続部92は、図14に示すように、回転駆動装置81の下端部に固設される。
排土部93は、略箱状の外観を有していて、底部が開口している。すなわち、排土部93の底部には、開口部96が形成されている。この開口部96からは、図15の矢印で示すように、掘削ずりや濁水が噴出する。
一対の切欠き部94は、図13(b)に示すようにそれぞれ略n字状(逆U字状)に形成され、また、各切欠き部94には、図15(b)及び図16(c)に示すように、打設する鋼管矢板継手73の上部側が挿入される。この切欠き部94は、回転駆動装置81の駆動用反力を鋼管矢板に対して確保するための反力確保手段として機能する。継手73の付け根部位(溶接部)の長手方向に沿って、各切欠き部94に対し継手73を相対的に差し込むことで、切欠き部94を形成する縁部と継手73が相互に係合可能になる。
回転駆動装置81の動力を受けて排土キャップ9(回転駆動装置81と一体となっている排土キャップ9)が回転しようとすると、切欠き部94を形成する縁部が継手73の付け根部分(溶接部位の近傍)に引っ掛かる。すなわち、回転駆動装置81の動力を受けて排土キャップ9が回転しようとしても、切欠き部94に差し込まれている継手73が排土キャップ9の回転を妨げるので、回転駆動装置81の反力が、切欠き部94と継手73を介して鋼管矢板70に確保される。
上記構成の排土キャップ9は、図11及び図15に示すように、掘削装置のドリルロッド82の外周面との間に隙間を空けた状態で、回転駆動装置81の下端に固設されている。
ダウンザホールハンマ83は、打撃圧入力発生用のピストンを内蔵している。ダウンザホールハンマ83の上端側にはドリルロッド82が接続され、該ドリルロッド82は排土キャップ9の筒状部91の内側を通って、回転駆動装置81に作動可能に連結されている。
一方、ダウンザホールハンマ83の下方には、地盤を掘削するための拡縮可能な掘削ビット85が設けられている。掘削ビット85の上方であって、ダウンザホールハンマ83の下方の外周面には、打撃力を鋼管矢板本管71の下部に印加するためのリング状段部101(鋼管矢板側のケーシングトップ75とぶつかり合う係合部)が固設されている。
掘削装置先端の掘削ビット85は、拡径状態と縮径状態との間で変位可能に構成されている。掘削ビット85が縮径状態にあるときには、当該掘削ビットを鋼管矢板本管71に対して自在に抜き差しすることができる。拡径状態では、掘削ビット85は外方に張り出して、その外側端の旋回軌跡は、図12に示すように鋼管矢板本管71の外径を上回る。
鋼管矢板の打設時には、図11に示すように鋼管矢板本管71の内空部にドリルロッド82とダウンザホールハンマ83との結合体を挿入し、その先端開口部から掘削ビット85を突き出し、該掘削ビットを拡径状態にセットして対象地盤を掘削する。
上記構成の掘削装置8を用いて打設を行う際には、回転駆動装置81でダウンザホールハンマ83に回転力を付与すると同時に、コンプレッサーでダウンザホールハンマ83内に圧縮エア(圧搾空気)を供給する。圧縮エアがダウンザホールハンマ83内に供給されると、ダウンザホールハンマ83に内蔵したピストンが上下駆動して、該ピストンの打撃力がハンマ先端の掘削ビット85に伝達される。その結果、回転を加えながら掘削対象地盤に対し連続的に打撃掘削を行うことができる。
一方、ダウンザホールハンマ83に向けて供給される駆動用エア(圧搾空気)は、当該ダウンザホールハンマを駆動させるだけでなく、鋼管矢板本管71の内側でエアリフト効果を発生させ、掘削ビット85で削り出される掘削ずり(掘削土)をエアによって吹き上げる。すなわち、掘削ビット85で削り出される掘削ずり(掘削土)は、ダウンザホールハンマ83の駆動用エア(圧搾空気)に由来するエアフローに乗ってエアリフト式に吹き上がる。
エアリフト効果を発生させる上記駆動用エア(圧搾空気)に由来するエアは、より低圧の大気(外気)へと向かって流れる。
すなわち、図15において矢印で示すように、ダウンザホールハンマ83の駆動に用いられたエア(圧搾空気)は、
1)鋼管矢板本管71の内空部(詳細には、該鋼管矢板本管71の内壁とドリルロッド72の外周面との間の隙間などから成る経路)を通り、
2)鋼管矢板本管71の上端開口部から排出され、さらに、
3)鋼管矢板本管71の上に覆い被さるように設けられた排土キャップ9の天端にぶつかってエアフローの方向を変え、さらに、
4)排土キャップの排土口96を経て外部に(より低圧の系外に)排出されるとともに、
5)鋼管矢板本管の上端側外周面と排土キャップ内周面との間に形成された平面視環状の隙間95を経て外部に(より低圧の系外に)排出される。
つまり、上記1)〜5)の排土口96や隙間95などを含んで構成される経路は、当該排土口96や隙間95を出口とする開放的な流路(大気へ通ずる経路)を構成しており、ダウンザホールハンマ83の駆動用エア(圧搾空気)は、低圧の外気へ向かう経路を経て排土口96や隙間95から排出される。
なお、排土口96よりも内側の経路、隙間95よりも内側の経路では、駆動用エア(圧搾空気)の影響により気圧が大気よりも高く、他方で、排土口96よりも外側、隙間95よりも外側では、大気圧となっている。そのため、ダウンザホールハンマ83の駆動用エア(圧搾空気)は、排土口96と隙間95に向かうエアフロー(高圧から低圧へと向かう気流)を生じさせる。
したがって、エアリフト効果によって吹き上げられた掘削ずりは、ダウンザホールハンマ83の駆動用エアに由来するエアフローに乗って誘導され、鋼管矢板本管71の内空部(詳細には、該鋼管矢板本管71の内周面とドリルロッド82の外周面との間の隙間などから成る経路)を通って、鋼管矢板本管71の上端開口部から排出され、さらに、鋼管矢板本管71の上から覆いかぶさるように設けられた排土キャップ9の天端にぶつかって移動方向を変え、排土キャップ9の排土口96(図15参照)から噴出する。同時に、鋼管矢板本管71の上端側外周面と排土キャップ内周面との間に形成された平面視環状の隙間95(図15(b)と図16(a)(b)を参照)からも、掘削ずりがエアの流れに乗って噴出し、その後は自由落下する。
上述した原理で対象地盤を打撃掘削することにより、鋼管矢板上部側からの掘削ずりの噴出を伴いながら、ダウンザホールハンマ83が掘進する。そして図12に示すように、ダウンザホールハンマ83が掘進するとき、掘削ビット上部であってダウンザホールハンマ下方の外周面に固設したリング状段部101と、鋼管矢板本管71の下端側内壁側に固設した段部87とが、上下方向で相互干渉して(相互にぶつかり合って)、鋼管矢板が掘進方向へ打撃圧入される。
したがって、ダウンザホールハンマ83を鋼管矢板本管71に挿通させた状態で地盤を掘削すれば、それと同時に打撃力が鋼管矢板下部に印加されて、該鋼管矢板がダウンザホールハンマ83に追随するので、掘削と同時に鋼管矢板本管3の打撃圧入が進行する。
上述したダウンザホールハンマなどを用いた河川部等での鋼管矢板打設工事では、図15において矢印で示すように、圧搾空気に由来するエアリフト効果(流体搬送効果)によって吹き上げられた「小石混じりのくり粉状の掘削ずり」が「濁水」に混じった状態で、エアフローに誘導されて、排土キャップ9の排土口96や、排土キャップ内周面と鋼管矢板本管外周面との間の隙間95から、エアリフトの勢いに乗って爆発的に噴出する。つまり、(排土口96や隙間95から単に落ちてくるのではなく)後続の圧搾空気等による押し流し作用の影響を受けて勢いよく爆発的に噴き出すように排出される。
このようにエアフローに誘導されて次々に噴出する「小石混じりのくり粉状の掘削ずり」や「濁水」の多くは、エアフローの勢いに乗って、鋼管矢板本管71の外側に噴出して地表方向に向かって落下または飛散するものの、掘削ずりや濁水の一部は、落下または飛散する過程で継手73内に進入する。特に、(図16(b)(c)に示す位置関係から分かるように)継手73の間近に位置する隙間95’や切欠き部94からほぼ連続的に噴出し続ける掘削ずりや濁水の多くは、噴出位置の下方にある継手73の方へ向かって落下または飛散し、(落下コース、飛散コースに継手73の上部開口部があるため)そのまま継手73内に進入する。
このように鋼管矢板の継手73内に入り込んだ掘削ずりは、後工程で継手内に充填する止水材による止水性を妨げるといった問題がある。
そこで、本願発明者によって、鋼管矢板の打設後に継手内を洗浄することが提案されているが、打設時に継手内に入り込む掘削ずりは大量で、しかも、打設完了後では継手内に入り込んだ掘削ずりの逃げ場がなく、さらに、濁水の影響等を受けて継手内で締め固まっているため、継手内に入り込んだ掘削ずりの除去作業(洗浄作業)が困難で且つ煩雑であるといった問題がある。
また、打設の過程で鋼管矢板の継手内に入り込んだ掘削ずりは、後工程で止水性を妨げるだけでなく、当該鋼管矢板を打ち込むときの貫入抵抗を増大させる一因となって鋼管矢板の打ち込み(圧入)を妨げるといった問題がある。
そこで、上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、鋼管矢板打設時には鋼管矢板の貫入抵抗を緩和することができ、しかも、鋼管矢板打設後には鋼管矢板継手部における止水性を向上させることができる、鋼管矢板打設用部材、鋼管矢板打設補助部材、鋼管矢板打設方法を提供することにある。
上記目的は、
流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で用いる部材であって、
打設の過程で落下または飛散してくる前記掘削ずりが鋼管矢板の継手内へ進入するのを可及的に防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成される鋼管矢板打設用部材によって達成される。
上記の鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の継手上部側に対して嵌め込み可能に構成されていることが好ましい。
また上記の鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の打設に用いる機材または部材に吊り下げ可能に構成されていることが好ましい。
また上記の鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の上方から落下または飛散してくる掘削ずりが継手内に進入しないように庇の如く設けられていることが好ましい。
また上記目的は、
流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で用いる部材であって、
打設する鋼管矢板の継手と係合する既打設鋼管矢板の継手に対して用いられ、
打設の過程で落下または飛散してくる前記掘削ずりが既打設鋼管矢板側の継手内へ進入するのを可及的に防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成される鋼管矢板打設補助部材によって達成される。
また上記目的は、
流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で利用する方法であって、
鋼管矢板の継手上部側から当該継手内へ掘削ずりが進入するのを可及的に防止する第1の掘削ずり進入防止手段を配置する工程と、
前記鋼管矢板の継手を既打設鋼管矢板の継手に係合させた状態で、鋼管矢板上部側から掘削ずりを排出しながら該鋼管矢板を対象地盤に打ち込む工程と、
を含む鋼管矢板打設方法によって達成される。
上記の鋼管矢板打設方法では、好ましくは、既打設鋼管矢板の継手に対して、その継手上部側からその継手内へ掘削ずりが進入するのを可及的に防止する第2の掘削ずり進入防止手段を配置する工程を、更に含むことが望ましい。
本発明に係る鋼管矢板打設用部材は、打設の過程で上から落下または飛散してくる掘削ずり等が鋼管矢板の継手内へ進入するのを可能な限り防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成される。
これにより鋼管矢板打ち込み時において、掘削ずりがその継手内へ入り込むのを可能な限り避けることができるので、鋼管矢板の貫入抵抗(継手内に入り込んだ掘削ずり等に起因する貫入抵抗)を緩和することができる。
また、継手内への掘削ずりの進入を可及的に抑制できるので、仮に、鋼管矢板打設後に継手の洗浄を行う場合でも、継手内の掘削ずり等の除去(打設後の洗浄作業)が容易になる。
さらに、継手内への掘削ずりの進入が可及的に抑制される結果、打設後に充填する止水材を継手のほぼ全体にわたって行き渡らせることが可能になるので、打設した鋼管矢板継手部における止水性が向上する。
本発明に係る鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の継手上部側に対して嵌め込み可能に構成されている。
このように、継手に対して掘削ずり進入防止手段を嵌め込むことで、掘削ずりや濁水などの落下衝撃を受けても当該部材が外れにくくなり、継手上部からの掘削ずりの進入をより確実に防止できるようになる。
本発明に係る鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の打設に用いる機材または部材に吊り下げ可能に構成されている。
このように、掘削ずり進入防止手段を吊り下げ式に設けることで、打設完了時の掘削ずり進入防止手段の取り外しが容易になる(当該機材や部材を吊り上げれば鋼管矢板打設用部材が自動的に継手から外れるため)。
本発明に係る鋼管矢板打設用部材において、掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の上方から落下または飛散してくる掘削ずりが継手内に進入しないように「庇(ひさし)」の如く設けられている。
ここでいう庇とは、例えば、継手上部の開口部に対して屋根の如く機能するものである。このような庇手段によっても、掘削ずりや濁水の進入を可及的に妨げることができるので、前述した貫入抵抗の緩和と止水性の向上の効果を達成することができる。
本発明に係る鋼管矢板打設補助部材は、打設する鋼管矢板の継手と係合する既打設鋼管矢板の継手(つまり打設済みの隣の鋼管矢板の継手)に対して用いられる部材であり、打設の過程で上から落下または飛散してくる前記掘削ずりが既設側の継手内へ進入するのを可及的に防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成される。
このような部材を用いることで、打設済みの隣の鋼管矢板の継手内に掘削ずりが進入するのを可及的に防止することができる。その結果、鋼管矢板の貫入抵抗(隣接鋼管矢板の継手と係合する新設鋼管矢板の貫入抵抗)を緩和することができる。
また、継手内への掘削ずりの進入を可及的に抑制できるので、仮に、鋼管矢板打設後に継手の洗浄を行う場合でも、継手内の掘削ずり等の除去が容易になる。その結果、打設後に充填する止水材を継手のほぼ全体にわたって行き渡らせることができるので、打設した鋼管矢板継手部における止水性が向上する。
また、隣り合う鋼管矢板の連結部(相互に係合しあう継手内)のほぼ全体にわたって確実に止水材を行き渡らせることができるので、連結状態の鋼管矢板継手部における止水性を向上させることができる。
本発明に係る鋼管矢板打設方法は、鋼管矢板打設用部材流体や鋼管矢板打設補助部材を用いることを前提とする。したがって、上述した格別の効果を達成することができる。
第1実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を排土キャップに取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。 第1実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を使って鋼管矢板を地盤に打ち込んでいる状態)を示す正面図と側面図である。 図1および図2の鋼管矢板打設用部材の単体を拡大して示す平面図、正面図、側面図である。 鋼管矢板打設時における鋼管矢板継手と鋼管矢板打設用部材の位置関係を示す平面図である。 鋼管矢板打設補助部材の使用状態を示す平面図である。 第2実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を排土キャップの切欠き部に取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。 第3実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を排土キャップに取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。 図7のe−e線に沿った断面図である。 図7および図8の鋼管矢板打設補助部材の単体を示す正面図、側面図、平面図である。 本発明を適用可能な鋼管矢板の継手形状のバリエーションを示す平面図である。 ダウンザホールハンマによる打撃圧入の原理を示す概略図である。 ダウンザホールハンマによる打撃圧入の原理を示す詳細図である。 排土キャップの単体の構成例を示す図である。 図13に示す排土キャップを回転駆動装置の下端に取り付けた状態を例示する図である。 排土キャップ等を利用した鋼管矢板打設の様子を概略的に例示する図である。 図15のa−a線、b−b線、c−c線、d−d線に沿った断面図である。
本発明に係る鋼管矢板打設用部材は、鋼管矢板の本管上部からの掘削ずりや濁水の排出を伴う鋼管矢板打設工事で用いる部材である。鋼管矢板打設時の掘削によって生じる掘削ずりや濁水などは、エアや液体などの流体エネルギーを利用して鋼管矢板本管の上部に向かって移動させる。エアリフトなどの搬送流体の流れに乗って鋼管矢板上部に移動してきた掘削ずりや濁水は、当該流体の勢いに乗って外部(より低圧の外部)へ放出される。
そのような流体を用いる鋼管矢板打設工事の具体例としては、従来技術との関係で前述したダウンザホールハンマを具備する掘削装置などが挙げられる。
また、掘削ずりを鋼管矢板上部まで搬送するとともに、該鋼管矢板上部から排出するための「流体」の具体例としては、ダウンザホールハンマの駆動(動力源)に利用するエア(圧搾空気)などが挙げられる。
以下、ダウンザホールハンマを具備する掘削装置を用いることを前提として、本発明の具体的実施形態について説明する。なお、ダウンザホールハンマを具備する掘削装置の具体的説明(構成や機能作用など)や符号については、図11〜図16との関係で言及した従来技術の説明を援用するとともに、本実施形態での図示や詳細説明を省略する。また、本実施形態の実施の前提である「ダウンザホールハンマを具備する掘削装置」は、本発明で適用可能な掘削装置の一例であり、掘削装置は必ずしもこれに限定されるものではない。
(鋼管矢板打設用部材の構成)
以下、図1〜図4に基づいて、本発明に係る鋼管矢板打設用部材の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を排土キャップに取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。
図2は、第1実施形態に係る鋼管矢板打設用部材の使用状態(鋼管矢板打設用部材を使って鋼管矢板を地盤に打ち込んでいる状態)を示す正面図と側面図である。
図3は、図1および図2の鋼管矢板打設用部材の単体を拡大して示す平面図、正面図、側面図である。
図4は、鋼管矢板打設時における鋼管矢板継手と鋼管矢板打設用部材の位置関係を示す平面図である。
鋼管矢板打設用部材1は、鋼管矢板打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が鋼管矢板の継手内へ進入するのを可及的に防止する「掘削ずり進入防止手段」として機能する。なお、従来技術との関係で前述したとおり、ダウンザホールハンマを使った鋼管矢板の打撃圧入では、掘削ずりや濁水が、鋼管矢板本管の内側でエアリフトによって吹き上げられて、本管の上端開口部から排出され、排土キャップ9の排土口96や隙間95から噴出するようになっている。図15及び図16を参照。
図1〜図3に示すように、この鋼管矢板打設用部材1は、全体として止水栓のような形態に形成されており、チェーン3(連結部材)を介して、吊りピース5(連結部)に連結されている。吊りピース5は、排土キャップ9の筒状部91の外周面に固設されている。なお以下の説明において、排土キャップ9(排土経路制御手段)については、図11〜図16との関係で前述した従来技術の説明を援用するとともに、添付図面において同一符号を用いる。
この鋼管矢板打設用部材1は、図3の拡大図に示すように、
・ 鋼管矢板の継手上端側の開口部から継手内に挿入される栓状の本体11と、
・ 継手の上端部に引っ掛かるように張り出したフランジ部13と、
・ この部材の上に降り注いだ掘削ずりや濁水の落下方向(流れ落ちる方向/逃げる方向)を制御するための落下方向制御部15と、
・ チェーンなどの連結部材を連結するための連結部16と、
を具備している。
栓状の本体11は、鋼管矢板の継手上部側に対して嵌め込み可能に構成されている。したがって、本体11の外径は、継手上部の内径よりも僅かに小さく形成されている。
フランジ部13は、本体11よりも外側に張り出すように形成されており、また、継手上部の内径よりも大きくなるように形成されている。このフランジ部13は、継手の上端部に引っ掛かるように張り出しおり、その結果、鋼管矢板打設用部材1の全体が継手内に完全に埋没してしまうのを防いでいる。
連結部16は落下方向制御部15の上に固設されている。この連結部16は、図1に示すチェーン3を連結するための部分であるとともに、把手としても機能するように設けられている。
なお、本実施形態の場合では、鋼管矢板打設用部材1(掘削ずり進入防止手段)は、排土キャップ9に対して吊り下げ可能に構成されているが、鋼管矢板打設用部材1を吊り下げるものは必ずしも排土キャップに限定されるものではなく、鋼管矢板の打設に用いる他の機材や部材に吊り下げることも可能である。そのような機材や部材の具体例としては、排土キャップのほか、回転駆動装置などの機材やその付属部材などが挙げられる。
落下方向制御部15は、フランジ部13の上に形成されており、
・谷状の斜面が形成された第1のガイド部17と、
・第1のガイド部を横切るように形成された窪み状(凹部形状)の第2のガイド部18と、を有している。
谷状の斜面を具備する第1のガイド部17は、上から落下または飛散してきた掘削ずりや濁水を、凹部である第2のガイド部18の方へ誘導する役割などを担う。
第2のガイド部18は、図3(b)に示すように、湾曲凸状の底面を有している。この第2のガイド部18は、第1のガイド部17によって誘導されてきた掘削ずりや濁水を、所定の方向(隣の既打設の鋼管矢板継手に向かわない方向)に向かって落下させる役割などを担う。
このような落下方向制御部15を鋼管矢板打設用部材1の上面側に形成することで、鋼管矢板打設用部材1の上に落下または飛散してきた掘削ずりや濁水が、既打設鋼管矢板の継手73’の内空部の方へ向かわないように逃がすことが可能になる。図4参照。
なお、本実施形態では図2に示すように、鋼管矢板打設用部材1を排土キャップ9に対して一つ設けて、片側の継手73だけに配設しているが、鋼管矢板打設用部材1を排土キャップ9に対して二つ設けて、両側の継手73,73のそれぞれに配設することも可能である。
(鋼管矢板打設補助部材の構成)
次に、図5に基づいて、本発明の係る鋼管矢板打設補助部材について説明する。
図5は、鋼管矢板打設補助部材2の使用状態を示す平面図である。
鋼管矢板打設補助部材2は、図5に示すように、打設する鋼管矢板の継手73と係合する既打設鋼管矢板の継手73’(隣の既打設鋼管矢板の継手)に対して用いられる部材である。
この鋼管矢板打設補助部材2は、
・ 打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が既打設鋼管矢板側の継手内へ進入するのを可及的に防止するためのカバープレート21(掘削ずり進入防止手段)と、
・ このカバープレート21を既打設鋼管矢板側の継手73’の上端に位置決めするための差し込み部23(カバープレート21の下面側に突き出た位置決め部材)と、
を具備している。
カバープレート21は、新たに打設する鋼管矢板継手73と係合する既打設の鋼管矢板継手73’の上端部に載置される。具体的には図5(a)に示すように、このカバープレート21は、新たに打設する鋼管矢板継手73の外側位置(平面視での外側位置)において、既打設の鋼管矢板継手73’の上端側開口部を略塞ぐように取り付けられる。なお、図5(a)に示すように、新たに打設する鋼管矢板継手73に接触しないように、カバープレート21を形成するとともに設置することが望ましい。
カバープレート21をこのように取り付けることで、打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が既打設鋼管矢板側の継手73’内へ進入するのを可及的に防止することができる。また、新たに打設する鋼管矢板継手73の外側位置(平面視での外側位置)において、既打設の鋼管矢板継手73’の上端開口部を覆うように設けられるので、新たに打設する鋼管矢板の打撃圧入を妨げることはない。
差し込み部23は、カバープレート21の下面側に突き出るように設けられた部材で構成されている。この差し込み部23を、既打設の鋼管矢板継手73’内に差し込むことで、掘削ずりや濁水などの落下衝撃を受けても継手上端から外れにくくなる。したがって、鋼管矢板70の打設中において、継手73’上端の開口部を略塞ぐ状態が保持される。
なお、図5(a)に示すように、今回打設する鋼管矢板70の片側にのみ既打設の鋼管矢板70’が存在する場合には、当該片側の既打設鋼管矢板の継手73’上端に鋼管矢板打設補助部材2を配設し、また、図5(b)に示すように、今回打設する鋼管矢板70の両側に既打設の鋼管矢板70’,70’が存在する場合には、当該両側の既打設鋼管矢板の継手上端にそれぞれ鋼管矢板打設補助部材2,2を配設する。
(鋼管矢板の打設方法)
次に、上述した鋼管矢板打設用部材1と鋼管矢板打設補助部材2を用いた鋼管矢板の打設方法について説明する。なお、本実施形態は、ダウンザホールハンマを具備する掘削装置を用いることを前提とする。ダウンザホールハンマを具備する掘削装置の具体的説明については、図11〜図16との関係で言及した従来技術の説明を援用するとともに、同一符号を用いる。
本実施形態において
・鋼管矢板打設用部材1は「第1の掘削ずり進入防止手段」として機能し、
・鋼管矢板打設補助部材2は「第2の掘削ずり進入防止手段」として機能する。
はじめに、排土キャップ9を下端に具備する掘削装置8をクレーンで吊り下ろし、ドリルロッド82、ダウンザホールハンマ83、掘削ビット85等の結合体(連結体)を、鋼管矢板本管71に挿入する。そのまま掘削装置8を吊り下ろすと、鋼管矢板本管71が排土キャップ9の筒状部91に内側に入り込む。図11参照。
そのとき、鋼管矢板本管71の両側に設けられた継手73,73が、それぞれ、排土キャップ9の略n字状の切欠き部94,94に入り込むように、掘削装置8(排土キャップ9)の周方向の位置決めを行う。すなわち図16(c)の断面図に示すように、切欠き部94が継手73の付け根側に位置するように(切欠き部94が継手の溶接部の近傍を挟み込むように)、当該切欠き部94に対して継手73を相対的に差し込む。
打設する鋼管矢板70に対する排土キャップ9の位置決め(切欠き部94,94への継手73,73の相対的な差し込み)が完了したら、続いて、排土キャップ9の外周面に連結された鋼管矢板打設用部材1(第1の掘削ずり進入防止手段)を鋼管矢板の継手73に配設する。本実施形態の場合では、鋼管矢板打設用部材1が具備する栓状の本体11を、継手73上端側の内空部に嵌め込むように挿入する。図2参照。
これにより、上から落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が継手73内へ進入するのを可能な限り防止することができる。なお、従来技術との関係で前述したとおり、鋼管矢板の打撃圧入の過程で、排土キャップ9の排土口96や隙間95(図15及び図16参照)からは掘削ずりや濁水が噴出して、それらが落下または飛散するようになっている。
また、上述した鋼管矢板打設用部材1(第1の掘削ずり進入防止手段)の配置に加えて、本実施形態の場合では、鋼管矢板打設補助部材2(第2の掘削ずり進入防止手段)を、新たに打設する鋼管矢板の継手73と係合する既打設鋼管矢板(隣の既設鋼管矢板)の継手73’に対して配置する。図5参照。
本実施形態の場合では、鋼管矢板打設用部材2が具備するカバープレート21を、新たに打設する鋼管矢板継手73の外側位置(平面視での外側位置)において、既打設の鋼管矢板継手73’の上端側開口部を略塞ぐように取り付ける。そのとき、カバープレート21の下面側に突き出るように設けられた差し込み部23を、既打設の鋼管矢板継手73’内に差し込む。
このような鋼管矢板打設補助部材2を配設することで、打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が既打設鋼管矢板側の継手73’内へ進入するのを可及的に防止することができる。
以上のとおり、
・新たに打設する鋼管矢板の継手73に対して鋼管矢板打設用部材1(第1の掘削ずり進入防止手段)を配設し、更に
・隣接位置にある既打設の鋼管矢板の継手73’に対して鋼管矢板打設補助部材2(第2の掘削ずり進入防止手段)を配設したら、
以後は従来と同様に、ダウンザホールハンマ83や排土キャップ9等を利用した鋼管矢板の打撃圧入を進める。図11及び図12参照。
そして、鋼管矢板の打撃圧入が完了したら、掘削装置8をクレーンで吊り上げて、排土キャップ9を鋼管矢板本管71から引き離すとともに、ドリルロッド82やダウンザホールハンマ83などの結合体を鋼管矢板本管71から引き抜く。すると、排土キャップ9の外周面にチェーン3を介して連結されていた鋼管矢板打設用部材1(第1の掘削ずり進入防止手段)が排土キャップ9とともに持ち上げられて、その栓状の本体11が継手73内から引き抜かれる。
なお、図5(a)に示すように、今回打設する鋼管矢板70の片側にのみ既打設の鋼管矢板70’が存在する場合には、上記打撃圧入の最終段階では、鋼管矢板70の継手73上端に載置された(のみで連結はされていない)鋼管矢板打設用部材1は、その本体11の下端が、当該片側の既打設鋼管矢板の継手73’上端に当接し、打設の進行と共に容易に押し上げられるため、上記掘削装置8の引き抜き以前に、打設が完了し嵌合した継手73と73’の上端位置が揃った状態では自動的に外れるようになっている。その際も、鋼管矢板打設部材1は上記チェーン3を介して排土キャップ9と連結されているため、単独で落下して紛失する心配もない。
続いて、隣の既打設鋼管矢板の継手73’上端に配設していた鋼管矢板打設補助部材2(第2の掘削ずり進入防止手段)を取り外す。取り外した鋼管矢板打設補助部材2は、次回の鋼管矢板の打設時に再利用することができる。
以上の手順を経て、鋼管矢板1本分の打設作業が完了する。
(鋼管矢板打設補助部材の第2実施形態)
次に、図6に基づいて、鋼管矢板打設補助部材の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る鋼管矢板打設用部材1bの使用状態(鋼管矢板打設用部材1bを排土キャップ9に取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。
第2実施形態に係る鋼管矢板打設補助部材1bは、庇(ひさし)状の部材からなる「掘削ずり進入防止手段」で構成されている。本実施形態では、この庇状部材は一例としてゴム板で構成している。
庇状の鋼管矢板打設補助部材1bは、図6に示すように、打設する鋼管矢板継手73の上端開口部を覆うことができるように、排土キャップ9の切欠き部94の部位に取り付けられている。したがって、鋼管矢板本管71の外周面と排土キャップ9の内周面との間の隙間であって、継手の上端開口部の近傍の隙間95’(図16(b)参照)から、掘削ずりや濁水が噴出してきても、鋼管矢板打設補助部材1bをなすゴム板によって進路(継手73の上端開口部に向かう進路)が遮られることになる。
よって、このような庇状の鋼管矢板打設補助部材1bを、鋼管矢板継手73の上端開口部の上に継続的に位置するように配設することで、打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が鋼管矢板継手73内へ進入するのを可及的に防止することができる。
(鋼管矢板打設補助部材の第3実施形態)
次に、図7〜図9に基づいて、鋼管矢板打設補助部材の第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態に係る鋼管矢板打設用部材1cの使用状態(鋼管矢板打設用部材1cを排土キャップ9に取り付けた状態)を示す正面図と側面図である。
図8は、図7のe−e線に沿った断面図である。
図9は、図7および図8の鋼管矢板打設補助部材(ゴム板)の単体を示す正面図、側面図、平面図である。
第3実施形態に係る鋼管矢板打設補助部材1cは、隙間95を部分的に埋める部材からなる「掘削ずり進入防止手段」で構成されている。本実施形態では、この鋼管矢板打設補助部材1c(隙間を埋める部材)は一例としてゴム板で構成され、図7及び図8に示すように、打設する鋼管矢板本管71の外周面と排土キャップ9の内周面との間の隙間95のうち、切欠き部94の周囲にある隙間(すなわち、継手73の周囲に位置する隙間)を埋めるように配設される。
このような鋼管矢板打設補助部材1cを、鋼管矢板継手73の上端開口部を略取り囲むように隙間95に配設することで、継手73の上端部(上端開口部)に向かう掘削ずりや濁水の落下コース、飛散コースを遮ることができる。すなわち、打設の過程で落下または飛散してくる掘削ずりや濁水が鋼管矢板継手73内へ進入するのを可及的に防止することができる。
なお、本実施形態では、図7および図8に示すように、切欠き部94の近傍に限定して鋼管矢板打設補助部材1c(隙間を埋める部材)を設けているが、鋼管矢板本管71の外周面と排土キャップ9の内周面の間の隙間95の略全周を、この部材(ゴム板)で埋めるようにしてもよい。
(その他の実施形態や変形例)
上述した実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の例示的実施形態であり、本発明の技術的範囲をこれに限定する趣旨ではない。すなわち、特許請求の範囲の記載の本発明には、上述した実施形態のほかにも、流体を利用して掘削ズリや濁水の排出をする際、鋼管矢板継手上空部を経由する―従って継手内に掘削ずりが落下・進入する恐れのある開放的な―流路を用いる掘削装置を使うことを前提とする実施形態が含まれることに留意されたい。
また、例えば、上述した実施形態では、図10(a)に示すP−P継手と呼ばれるタイプの継手部を具備する鋼管矢板を打設することを前提としているが、図10(b)(c)に示すようなP−T継手、L−T継手といったタイプの継手部を具備する鋼管矢板の打設に本発明を適用することも可能である。
1 鋼管矢板打設用部材(掘削ずり進入防止手段)
1b 鋼管矢板打設用部材(掘削ずり進入防止手段)
1c 鋼管矢板打設用部材(掘削ずり侵入防止手段)
2 鋼管矢板打設補助部材(掘削ずり進入防止手段)
3 チェーン(連結部材)
5 吊りピース(連結部)
8 掘削装置
9 排土キャップ(排土経路制御手段)
11 栓状の本体
13 フランジ部
15 落下方向制御部
16 連結部
17 第1のガイド部
18 第2のガイド部
21 カバープレート(掘削ずり進入防止手段)
23 差し込み部(カバープレートの下面側に突き出た位置決め部材)
70 鋼管矢板
71 鋼管矢板の本管
73 鋼管矢板の継手
75 ケーシングトップ
81 回転駆動装置
82 ドリルロッド(回転駆動シャフト)
83 ダウンザホールハンマ
85 掘削ビット
91 筒状部
92 回転駆動装置下端への接続部
93 排土部
94 切欠き部
95 隙間
95’ 隙間
96 排土口(開口部)
101 リング状段部(係合部)

Claims (4)

  1. 流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で用いる部材であって、
    打設の過程で落下または飛散してくる前記掘削ずりが鋼管矢板の継手内へ進入するのを可及的に防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成され
    前記掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の継手上部側に対して嵌め込み可能に構成されている、ことを特徴とする鋼管矢板打設用部材。
  2. 流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で用いる部材であって、
    打設の過程で落下または飛散してくる前記掘削ずりが鋼管矢板の継手内へ進入するのを可及的に防止するための掘削ずり進入防止手段を含んで構成され
    前記掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の打設に用いる機材または部材に吊り下げ可能に構成されている、ことを特徴とする鋼管矢板打設用部材。
  3. 前記掘削ずり進入防止手段は、鋼管矢板の上方から落下または飛散してくる掘削ずりが継手内に進入しないように庇の如く設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管矢板打設用部材。
  4. 流体を利用して掘削ずりを移動させ、鋼管矢板上部側から前記掘削ずりを排出する鋼管矢板打設工事で利用する方法であって、
    鋼管矢板の継手上部側から当該継手内へ掘削ずりが進入するのを可及的に防止する第1の掘削ずり進入防止手段を配置する工程と、
    前記鋼管矢板の継手を既打設鋼管矢板の継手に係合させた状態で、鋼管矢板上部側から掘削ずりを排出しながら該鋼管矢板を対象地盤に打ち込む工程と、
    前記既打設鋼管矢板の継手に対して、その継手上部側からその継手内へ掘削ずりが進入するのを可及的に防止する第2の掘削ずり進入防止手段を配置する工程と、
    を含むことを特徴とする鋼管矢板打設方法。
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