JP6624089B2 - 車両の制動制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、「ブレーキ操作部材(10)と;第1ピストン−シリンダユニット(12)であって、少なくとも規定された最小操作量だけ操作されたブレーキ操作部材(10)によって第1ピストン−シリンダユニット(12)の第1ピストン(14)が変位可能であり、これにより、ピストン−シリンダユニット(12)の第1内圧が増大可能となるように、ブレーキ操作部材(10)を配置した第1ピストン−シリンダユニット(12)と;少なくとも1つのホイールブレーキシリンダであって、第1ピストン−シリンダユニット(12)内の増大された第1内圧によって少なくとも1つのホイールブレーキシリンダのブレーキ圧が増大可能となるように第1ピストン−シリンダユニット(12)と液圧接続された少なくとも1つのホイールブレーキシリンダと;第1ブレーキブースタ(24)と;を備える車両のためのブレーキシステムにおいて、第2ピストン−シリンダユニット(26)であって、第1ブレーキブースタ(24)によって第2ピストン−シリンダユニット(26)の第2ピストン(28)が変位可能であり、これにより、第2ピストン−シリンダユニット(26)内の第2内圧が増大可能となるように第1ブレーキブースタ(24)を第2ピストン−シリンダユニット(26)に配置し、第2ピストン−シリンダユニット(26)内の増大された第2内圧によって少なくとも1つのホイールブレーキシリンダのブレーキ圧が増大可能となるように少なくとの1つのホイールブレーキシリンダを液圧接続した第2ピストン−シリンダユニット(26)を備える」ことが記載されている。
特許文献1には、回生ブレーキと協調して制動を行うために、2つの電気モータによって駆動される、2つのピストン−シリンダユニットにて構成された制動制御装置について記載されている。この装置には、2つのピストン−シリンダユニットが設けられるため、装置全体の小型化が困難である。従って、制動制御装置には、小型化され得るものが望まれている。
この課題を解決するために、出願人は、特許文献2に記載されるような制動制御装置を開発している。特許文献2の制動制御装置には、マスタシリンダに固定されるケース部材(「ハウジング」ともいう)と、ケース部材に固定される第1電気モータと、第1電気モータとは別にケース部材に固定される第2電気モータと、制動操作部材に機械的に接続され、直線的に移動する入力ロッドと、マスタシリンダ内のピストンを押圧し入力ロッドの中心軸線に平行、且つ、直線的に移動可能な出力ロッドと、第1電気モータの出力、及び、第2電気モータの出力が入力され、入力ロッドと出力ロッドとの間の相対的な移動を許容し、ケース部材に内蔵される差動機構と、第1電気モータの出力、及び、第2電気モータの出力を制御することによって、入力ロッドに作用する力と出力ロッドの変位とを独立して制御するコントローラと、が備えられている。この制動制御装置では、2つの電気モータの協働によって、その機能が達成されるが、例えば、電気モータのうちの1つが不調になった場合等で、フェイルセーフが確保されることが必要である。
本発明の目的は、回生ブレーキと協調して制御可能な制動制御装置において、装置不調時のフェイルセーフが確保され得るものを提供することである。
本発明に係る車両の制動制御装置は、車両の制動操作部材(BP)の操作に応じて、マスタシリンダ(MC)からホイールシリンダ(WC)に制動液を圧送して、前記車両の車輪(WH)に制動トルクを発生する。車両の制動制御装置は、前記制動操作部材(BP)に接続された入力ロッド(RDI)と、前記入力ロッド(RDI)の中心軸線(Jin)と平行に移動可能であり、前記マスタシリンダ(MC)内のピストン(PNA)を押圧する出力ロッド(RDO)と、前記入力ロッド(RDI)に対して助勢力(Fjs)を発生する第1電気モータ(MTF)と、前記出力ロッド(RDO)の変位(Sro)を調整する第2電気モータ(MTS)と、「前記第1電気モータ(MTF)の出力を前記入力ロッド(RDI)に伝達する第1伝達機構(PNF&Gfa)、前記第2電気モータ(MTS)の出力を前記出力ロッド(RDO)に伝達する第2伝達機構(PNS&Gsa、PNO&Gsb)、及び、前記入力ロッド(RDI)の出力を前記出力ロッド(RDO)に伝達する第3伝達機構(PNO&Gfb)にて構成され、前記入力ロッド(RDI)と前記出力ロッド(RDO)との間の相対的な動きを調整する差動機構(DFR)」と、前記第1電気モータ(MTF)、及び、前記第2電気モータ(MTS)を制御して、前記入力ロッド(RDI)に作用する操作力(Fbp)と前記変位(Sro)とを独立して制御するコントローラ(ECU)と、前記第2電気モータ(MTS)に通電が行われない場合に、前記第2伝達機構(PNS&Gsa、PNO&Gsb)の前記マスタシリンダ(MC)内の液圧(Pma、Pmb)の減少に対応する後退方向(Hrs)の動きを拘束するロック機構(LOK、SLK)と、を備える。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記ロック機構(LOK)は、前記第2伝達機構(PNS&Gsa、PNO&Gsb)の動きを拘束するロック状態と前記第2伝達機構(PNS&Gsa、PNO&Gsb)の動きを許容する解除状態とを切り替え、前記コントローラ(ECU)は、前記ロック機構(LOK)を駆動し、前記第2電気モータ(MTS)へ通電を行わない場合には前記ロック状態を達成し、前記第2電気モータ(MTS)へ通電を行う場合には前記解除状態を達成するよう構成される。例えば、前記コントローラ(ECU)は、前記第2電気モータ(MTS)が不調であるか、否かを判定し、前記第2電気モータ(MTS)が不調であることを判定する場合に、前記第2電気モータ(MTS)へ通電を停止し、前記ロック状態を達成するよう構成される。
本発明に係る車両の制動制御装置では、前記ロック機構(SLK)は、前記第2電気モータ(MTS)から前記出力ロッド(RDO)には動力を伝達するが、前記出力ロッド(RDO)から前記第2電気モータ(MTS)には動力を伝達しないよう構成される。
上記構成によれば、電源失陥時等、第2電気モータMTSに通電が行われない場合には、ロック機構(移動ロック機構LOK、又は、自己ロック機構SLK)によって、第2ラックRKSの動き(特に、後退方向Hrsの並進運動)が拘束される。このため、第2電気モータMTSの非通電時には、入力ロッドRDIが、前進方向Hffに移動されると、出力ロッドRDOは、前進方向Hfpに移動され、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbが増加される。ロック機構LOK、SLKによって、電源失陥時を含む装置不調時において、制動操作部材BPの操作が、効率的に、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbに変換され得る。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字、及び、移動方向>
本発明に係る車両の制動制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、各種記号の末尾に付された添字(「fr」等)は、それが何れの車輪に関するかを示す包括記号である。具体的には、「fr」は右前輪、「fl」は左前輪、「rr」は右後輪、「rl」は左後輪を示す。例えば、各ホイールシリンダにおいて、右前輪ホイールシリンダWCfr、左前輪ホイールシリンダWCfl、右後輪ホイールシリンダWCrr、及び、左後輪ホイールシリンダWCrlと表記される。
本発明に係る車両の制動制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。また、各種記号の末尾に付された添字(「fr」等)は、それが何れの車輪に関するかを示す包括記号である。具体的には、「fr」は右前輪、「fl」は左前輪、「rr」は右後輪、「rl」は左後輪を示す。例えば、各ホイールシリンダにおいて、右前輪ホイールシリンダWCfr、左前輪ホイールシリンダWCfl、右後輪ホイールシリンダWCrr、及び、左後輪ホイールシリンダWCrlと表記される。
各構成要素の移動方向(特に、直線運動)において、「前進方向」は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaが上昇し、車輪WHの制動トルクが増加される方向に相当する。逆に、「後退方向」は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaが下降し、車輪WHの制動トルクが減少される方向に対応する。また、回転運動する構成要素においては、「正転方向」が、ホイールシリンダWCの液圧Pwaが上昇し、車輪WHの制動トルクが増加される方向に対応する。一方、「逆転方向」は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaが下降し、車輪WHの制動トルクが減少される方向に相当する。従って、各構成要素が組み付けられた状態では、「前進方向」と「正転方向」とが対応し、「後退方向」と「逆転方向」とが対応する。
<本発明に係る制動制御装置の実施形態>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置の実施形態を備えた車両について説明する。車両には、電気駆動装置EDS、制動操作部材BP、操作量センサBPA、制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BAC、電子制御ユニット(「コントローラ」ともいう)ECU、タンデムマスタシリンダ(単に、「マスタシリンダ」ともいう)MC、及び、流体路(制動配管)HKA、HKB(単に、「HK」とも表記)が備えられる。
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置の実施形態を備えた車両について説明する。車両には、電気駆動装置EDS、制動操作部材BP、操作量センサBPA、制動アクチュエータ(単に、「アクチュエータ」ともいう)BAC、電子制御ユニット(「コントローラ」ともいう)ECU、タンデムマスタシリンダ(単に、「マスタシリンダ」ともいう)MC、及び、流体路(制動配管)HKA、HKB(単に、「HK」とも表記)が備えられる。
車両の各々の車輪WHfr、WHfl、WHrr、WHrl(単に、「WH」とも表記)には、ブレーキキャリパCPfr、CPfl、CPrr、CPrl(単に、「キャリパ」とも称呼され、「CP」とも表記)、ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrl(単に、「WC」とも表記)、及び、回転部材KTfr、KTfl、KTrr、KTrl(単に、「KT」とも表記)が備えられる。マスタシリンダMC、流体路HK(HKA、HKBの総称)、及び、ホイールシリンダWCは、液密状態にされている。
≪電気駆動装置EDS≫
車両には電気駆動装置EDSが備えられる。即ち、車両は、電気自動車、又は、ハイブリッド自動車である。電気駆動装置EDSは、駆動用電気モータMTDと駆動用電子制御ユニットECDとで構成される。例えば、車両の前方車輪WHfr、WHflに、駆動用電気モータMTDが、ドライブシャフトDSを介して備えられる。車両は、所謂、前輪駆動である。
車両には電気駆動装置EDSが備えられる。即ち、車両は、電気自動車、又は、ハイブリッド自動車である。電気駆動装置EDSは、駆動用電気モータMTDと駆動用電子制御ユニットECDとで構成される。例えば、車両の前方車輪WHfr、WHflに、駆動用電気モータMTDが、ドライブシャフトDSを介して備えられる。車両は、所謂、前輪駆動である。
車両が加速される場合には、駆動用の電気モータ(単に、「駆動モータ」ともいう)MTDは、電気モータとして機能し、前輪WHfr、WHflに駆動力を発生させる。一方、車両が減速される場合には、駆動モータMTDは発電機として機能し、前輪WHfr、WHflに回生制動力を発生させる。この際、車両の運動エネルギは、発電機MTDによって電力に変換され、車載された2次電池BATに蓄えられる。駆動モータMTDは、所謂、駆動力発生装置のみならず、回生制動装置としても機能する。
駆動用電子制御ユニットECDによって、駆動用の電気モータMTDが制御される。駆動用電子制御ユニットECDによって、図示されない加速操作部材(例えば、アクセルペダル)の操作量に応じて、駆動モータMTDの出力トルクが調整される。また、制動時においては、駆動用電子制御ユニットECDによって、制動操作部材BPの操作量Bpaに基づいて、発電機でもある駆動モータMTDを介して、回生制動力Rgaが制御される。電子制御ユニットECDでは、蓄電池BATの充電状態が監視され、これに基づいて、発生可能な最大回生制動力Rgmが演算される。最大回生制動力Rgmは、通信バスCMBを介して、電子制御ユニットECDから電子制御ユニットECUに送信される。制動用電子制御ユニットECUにて、摩擦制動力、及び、回生制動力、夫々の目標値が決定される。回生制動力の目標値Rgtは、通信バスCMBを介して、制動用電子制御ユニットECUから駆動用電子制御ユニットECDに送信され、電子制御ユニットECDにて、目標値Rgtに基づいて、実際値Rgaが制御される。以上、電気駆動装置EDSについて説明した。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPは、回転運動が可能な状態で、車体BDに固定されている。制動操作部材BPと車体BDとの固定部に、操作変位センサSBPが設けられる。操作変位センサSBPによって、操作変位Sbpが検出される。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WH(即ち、各車輪WHfr、WHfl、WHrr、WHrl)の制動トルクが調整され、車輪WHに制動力が発生される。
具体的には、車両の車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定される。回転部材KT(KTfr、KTfl、KTrr、KTrl)を挟み込むようにキャリパCPが配置される。そして、キャリパCP(即ち、CPfr、CPfl、CPrr、CPrl)には、ホイールシリンダWC(即ち、各ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrl)が設けられている。ホイールシリンダWC内の制動液の圧力(液圧)が増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(結果、制動力)が発生される。
操作量センサBPAは、制動操作部材BPに設けられる。操作量センサBPAによって、運転者による制動操作部材BPの操作量(制動操作量)Bpaが取得(検出)される。具体的には、操作量センサBPAとして、「制動操作部材BPの操作変位Sbpを検出する操作変位センサSBP」、及び、「制動操作部材BPの操作力Fbpを検出する操作力センサFBP」のうちの少なくとも1つが採用される。即ち、操作量センサBPAは、操作変位センサSBP、及び、操作力センサFBPについての総称である。従って、制動操作量Bpaは、制動操作部材BPの操作変位Sbp、及び、制動操作部材BPの操作力Fbpのうちの少なくとも1つに基づいて決定される。制動操作量Bpaは、電子制御ユニット(コントローラ)ECUに入力される。
≪制動アクチュエータBAC≫
制動アクチュエータBACは、制動操作部材BPに作用する操作力Fbp(即ち、入力ロッドRDIに作用する力)と、マスタシリンダMCのピストン変位(即ち、出力ロッドRDOの変位Sro)との関係を独立に制御する。アクチュエータBACは、ハウジングHSG、第1電気モータMTF、第2電気モータMTS、入力ロッドRDI、出力ロッドRDO、及び、差動機構DFRにて構成される。
制動アクチュエータBACは、制動操作部材BPに作用する操作力Fbp(即ち、入力ロッドRDIに作用する力)と、マスタシリンダMCのピストン変位(即ち、出力ロッドRDOの変位Sro)との関係を独立に制御する。アクチュエータBACは、ハウジングHSG、第1電気モータMTF、第2電気モータMTS、入力ロッドRDI、出力ロッドRDO、及び、差動機構DFRにて構成される。
ハウジングHSGは、内部に空間をもつ箱型の部材であり、「ケース(容器)」ともいう。ハウジングHSGの内部には、差動機構DFR等、アクチュエータBACを構成する部材が収められている。ハウジングHSGは、取付ボルトBLT、及び、ナットNUTによって、車両の車体BDに固定される。そして、車体BDに対する固定部とは反対側にて、ハウジングHSGにマスタシリンダMCが固定される。
ハウジングHSGの内部には、第1電気モータMTF、及び、第2電気モータMTSが固定される。第1電気モータMTFと第2電気モータMTSとは別個の電気モータである。従って、ハウジングHSGには2つの電気モータMTF、MTSが内蔵されている。第1電気モータMTFの出力(第1回転軸Shf)、及び、第2電気モータMTSの出力(第2回転軸Shs)は、差動機構DFRに入力される。
入力ロッドRDIは、制動操作部材BPに、接続ロッドRDCを介して、機械的に接続される。具体的には、制動操作部材BPには接続ロッドRDCが機械接続され、接続ロッドRDCと入力ロッドRDIとが機械接続される。制動操作部材BP(ブレーキペダル)は、車体BDに対する取付部を中心に回転運動するが、接続ロッドRDCによって、この回転運動が吸収され、入力ロッドRDIの直線運動(前進、又は、後退)に変換される。
接続ロッドRDCと制動操作部材BPとの取付部(接続部)に操作力センサFBPが設けられる。操作力センサFBPによって、操作力Fbpが検出される。入力ロッドRDIは、ハウジングHSGに対して、その中心軸線Jinの方向に直線的に移動可能な状態で組み付けられている。ここで、中心軸線Jinは、「入力軸線」とも称呼される。入力ロッドRDIと制動操作部材BPとの取付部とは反対側の部位にて、入力ロッドRDIは差動機構DFRに入力される。
入力ロッドRDIと同様に、出力ロッドRDOは、ハウジングHSGに対して、その中心軸Jotの方向に直線的に移動可能な状態で組み付けられている。出力ロッドRDOは、アクチュエータBACの出力部材であり、その端部にて、マスタシリンダMC内のピストンPNAを押圧する。
入力、出力ロッドRDI、RDOは、2つの異なるロッド部材であり、相互に移動し得る状態で、ハウジングHSGに組み付けられている。幾何的な関係において、入力ロッドRDIの中心軸線Jinと、出力ロッドRDOの中心軸線Jotとは、平行であって、「0(ゼロ)」より大きい距離をもって離れている。即ち、軸線Jinと軸線Jotとは異なる軸線であり、同軸ではない。また、出力ロッドRDO、マスタシリンダMCの円筒内壁、第1ピストンPNA、及び、第2ピストンPNBは同軸上に配置される。従って、これら部材の中心軸線が軸Jotである。なお、中心軸線Jotは、「出力軸線」とも称呼される。
差動機構DFRにて、第1電気モータMTFの出力、及び、第2電気モータMTSの出力が、個別に制御される。これにより、入力ロッドRDIに作用する力(即ち、制動操作部材BPの操作力)Fbp、及び、出力ロッドRDOの変位(即ち、ピストンPNAの変位)Sroが、独立して調整される。ここで、第1、第2電気モータMTF、MTS(総称して、「MT」とも表記)の出力とは、夫々の電気モータにおける回転方向(正転、又は、逆転)、及び、トルクの大きさである。
差動機構DFRが、ハウジングHSGに内蔵される。差動機構DFRによって、入力ロッドRDIと出力ロッドRDOとの間の相対的な移動が許容される(即ち、相対的な動きが調整可能である)。差動機構DFRには、第1、第2電気モータMTF、MTSの出力が入力される。そして、差動機構DFRを介して、第1電気モータMTFによって、入力ロッドRDIに対して力(後述の助勢力Fjs)が加えられる。また、差動機構DFRを介して、第2電気モータMTSによって、出力ロッドRDOの変位Sroが制御(調整)される。従って、差動機構DFRは、2入力(入力ロッドRDIと第1電気モータMTFとを個別の入力とすれば、3入力)、且つ、1出力の動力伝達機構である。差動機構DFRの詳細については、後述する。
電子制御ユニット(コントローラ)ECUは、操作量Bpa(操作変位Sbp等の総称)に基づいて、第1、第2電気モータMTF、MTSを制御する。具体的には、コントローラECUのマイクロプロセッサMPRには、2つの電気モータMT(第1、第2電気モータMTF、MTSの総称)を制御するための制御アルゴリズムがプログラムされていて、電気モータMTを制御するための信号が演算される。また、コントローラECU内には、第1電気モータMTFを駆動する第1駆動回路DRF、及び、第2電気モータMTSを駆動する第2駆動回路DRSが設けられる。第1、第2駆動回路DRF、DRS(総称して、「DR」とも表記)は、複数のスイッチング素子で構成された電気回路であり、マイクロプロセッサMPRによって制御される。
コントローラECUは、電気モータMTを制御することによって、入力ロッドRDIに作用する力Fbpと出力ロッドRDOの変位Sro(結果として、マスタシリンダ内のピストン変位)との関係を独立して制御する。即ち、制動操作部材BPの操作特性(操作変位Sbpと操作力Fbpとの関係)と、摩擦制動力との関係が任意に設定され得る。例えば、コントローラECUは、駆動モータMTDが回生制動力Rgaを発生している場合(即ち、駆動モータMTDが発電機として機能している場合)、入力ロッドRDIの変位Sbpの増加(即ち、操作量Bpaの増加)に伴い入力ロッドRDIに作用する力Fbpを増加するとともに、出力ロッドRDOの変位Sroをゼロの状態に維持するよう、第1電気モータMTFの出力、及び、第2電気モータMTSの出力を制御する。該制御が、「回生協調制御」と称呼される。回生協調制御によって、駆動モータMTDによって回生される電力が十分に確保されるとともに、制動操作部材BPの操作特性が適正化され得る。以上、アクチュエータBACについて説明した。
マスタシリンダMCは、出力ロッドRDOと機械的に接続されている。マスタシリンダMCには、2つの第1、第2流体路(制動配管)HKA、HKB(単に、「HK」とも表記)が流体的に接続される。制動操作部材BPが操作されると、制動液(ブレーキフルイド)は、マスタシリンダMCから流体路HKに排出(圧送)され、4つのホイールシリンダWC内の制動液が加圧される。なお、マスタシリンダMCからホイールシリンダWCまでの構成部材の内部には、制動液が満充填され、液密状態にされている。
マスタシリンダMC内では、その内壁、及び、2つのピストンPNA、PNBによって、2つの第1、第2液圧室Kma、Kmbが形成される。マスタシリンダMCは、所謂、タンデム型マスタシリンダである。ダイアゴナル型流体路の構成では、マスタシリンダMCの第1液圧室Kmaは、第1流体路HKAを通して、ホイールシリンダWCfr、WCrlに流体接続される。また、マスタシリンダMCの第2液圧室Kmbは、第2流体路HKBを通して、ホイールシリンダWCfl、WCrrに流体接続される。第1液圧室Kmaに係る構成と、第2液圧室Kmbに係る構成とは、基本的には同一である。
第1、第2ピストンPNA、PNBは、2つの弾性部材(例えば、圧縮ばね)PSA、PSBによって出力ロッドRDOに押圧されている。具体的には、マスタシリンダMCの内筒底部と第2ピストンPNBとの間に第2ピストンばねPSBが圧縮されて設けられ、第2ピストンPNBと第1ピストンPNAとの間に第1ピストンばねPSAが圧縮されて設けられる。従って、出力ロッドRDOと第1ピストンPNAとは分離可能ではある。しかし、第1、第2ピストンばねPSA、PSBによって、出力ロッドRDOに押し付けられているため、制動時には一体となって移動される。
制動操作部材BPが操作されると、入力ロッドRDIが、前進方向Hffに移動される。回生協調制御が実行されていない場合、入力ロッドRDIの前進に伴って、出力ロッドRDOが前進方向Hfpに移動され、第1、第2ピストンPNA、PNBが、出力ロッドRDOによって押圧される。第1、第2ピストンPNA、PNBが前進方向Hfpに移動されると、先ず、第1、第2ピストンPNA、PNBによって、リザーバRSVへの流体路が塞がれる。さらに、第1、第2ピストンPNA、PNBが前進されると、第1、第2液圧室Kma、Kmbの体積が減少され、4つのホイールシリンダWC内の液圧Pwaが増加される。
制動操作部材BPが初期位置(非制動時に対応する位置)に向けて戻されると、入力ロッドRDIが、後退方向Hrfに移動される。回生協調制御が実行されていない場合、入力ロッドRDIの後退に伴って、出力ロッドRDOが後退方向Hrpに移動され、第1、第2ピストンPNA、PNBは、第1、第2ピストンばねPSA、PSBによって後退方向Hrpに押される。従って、第1、第2ピストンPNA、PNBは後退し、第1、第2液圧室Kma、Kmbの体積が増加される。結果、マスタシリンダMCに制動液が戻り、4つのホイールシリンダWC内の液圧Pwaが減少される。
なお、入力ロッドRDIの入力軸線Jinに沿った動きにおいて、「前進方向Hff(図では左方向)」は、ホイールシリンダ液圧Pwa(即ち、車輪WHの制動トルク)が増加する方向である。また、前進方向Hffは、制動操作部材BPの操作量Bpaが増加する方向でもある。逆に、入力ロッドRDIの「後退方向Hrf(図では右方向)」は、ホイールシリンダ液圧Pwa(即ち、車輪WHの制動トルク)が減少する方向である。また、後退方向Hrfは、制動操作部材BPの操作量Bpaが減少する方向でもある。
出力ロッドRDO、及び、第1、第2ピストンPNA、PNBの出力軸線Jotに沿った動きにおいて、「前進方向Hfp(図では左方向)」は、第1、第2液圧室Kma、Kmbの体積が減少する方向であり、マスタシリンダMCから制動液が圧送される。従って、第1、第2ピストンPNA、PNBの前進方向Hfpの移動は、ホイールシリンダ液圧Pwa(即ち、車輪WHの制動トルク)が増加する方向である。逆に、出力ロッドRDO、及び、第1、第2ピストンPNA、PNBの「後退方向Hrp(図では右方向)」は、第1、第2液圧室Kma、Kmbの体積が増加する方向であり、マスタシリンダMCに制動液が吸収される。従って、第1、第2ピストンPNA、PNBの後退方向Hrpの移動は、ホイールシリンダ液圧Pwa(即ち、車輪WHの制動トルク)が減少する方向である。
第1、第2液圧室Kma、Kmbの液圧Pma、Pmb(結果、ホイールシリンダWC内の液圧Pwa)を検出するよう、第1、第2液圧センサPMA、PMBが設けられる。第1、第2液圧Pma、Pmbは、電子制御ユニットECUに入力される。
<電気モータMTF、MTSの駆動処理>
図2の制御フロー図を参照して、第1、第2電気モータMTF、MTSの駆動処理例について説明する。アクチュエータBACでは、差動機構DFRに入力される2つの電気モータMTF、MTSの出力が調整されることによって、入力ロッドRDIに作用する力Fbp(即ち、制動操作部材BPの操作力Fbp)と出力ロッドRDOの変位Sro(即ち、制動操作部材BPの操作変位Sbp)とが独立して制御される。
図2の制御フロー図を参照して、第1、第2電気モータMTF、MTSの駆動処理例について説明する。アクチュエータBACでは、差動機構DFRに入力される2つの電気モータMTF、MTSの出力が調整されることによって、入力ロッドRDIに作用する力Fbp(即ち、制動操作部材BPの操作力Fbp)と出力ロッドRDOの変位Sro(即ち、制動操作部材BPの操作変位Sbp)とが独立して制御される。
先ず、ステップS110にて、制動操作量Bpa、及び、回生制動力(実際値)Rgaが読み込まれる。ステップS120にて、制動操作量Bpaに基づいて、「操作量Bpaが増加しているか、否か」が判定される。操作量Bpaが増加中であり、ステップS120が肯定される場合(「YES」の場合)には、ステップS130に進む。一方、ステップS120が否定される場合(「NO」の場合)には、ステップS140に進む。
ステップS130にて、回生制動力Rgaに基づいて、「回生制動中であるか、否か」が判定される。回生制動力Rgaが発生されている回生制動中であって、ステップS130が肯定される場合(「YES」の場合)には、ステップS170に進む。一方、ステップS130が否定される場合(「NO」の場合)には、ステップS160に進む。
ステップS140にて、制動操作量Bpaに基づいて、「操作量Bpaが一定か、否か」が判定される。制動操作部材BPが保持され、ステップS140が肯定される場合(「YES」の場合)には、ステップS180に進む。一方、操作量Bpaが減少中であり、ステップS140が否定される場合(「NO」の場合)には、ステップS150に進む。
ステップS150にて、回生制動力Rgaに基づいて、「回生制動中であるか、否か」が判定される。回生制動力Rgaの発生中であって、ステップS150が肯定される場合(「YES」の場合)には、ステップS190に進む。一方、ステップS150が否定される場合(「NO」の場合)には、ステップS200に進む。
操作量Bpaが増加され、且つ、回生制動力Rgaが発生されない場合には、ステップS160にて、第1電気モータMTF、及び、第2電気モータMTSは、ともに正転方向Rff、Rfsに駆動される。従って、第1電気モータMTF、及び、第2電気モータMTSによって、出力ロッドRDO(結果、ピストンPNA)は前進方向Hfpに移動され、結果、摩擦制動力が発生される。
操作量Bpaが増加され、回生制動力Rgaが発生される場合には、ステップS170にて、第1電気モータMTFは正転方向Rffに駆動され、第2電気モータMTSは逆転方向Rrsに駆動される。従って、第1電気モータMTFの動きが、第2電気モータMTSによって、抑制(一部、又は、全部が相殺)されるため、出力ロッドRDO(結果、第1、第2ピストンPNA、PNB)は、僅かに前進方向Hfpに移動される、又は、移動停止状態(保持状態)に維持される。結果、摩擦部材MSBによる摩擦制動力は、僅かに発生されるか、又は、発生されない。
制動操作部材BPが保持されて、操作量Bpaが一定に維持される場合には、ステップS180にて、第1電気モータMTF、及び、第2電気モータMTSは、共に停止状態にされる。従って、出力ロッドRDO(結果、ピストンPNA、PNB)は移動されない。操作量Bpaは減少されるが、未だ回生制動力が発生されている場合には、ステップS190にて、第1電気モータMTFは逆転方向Rrfに駆動され、第2電気モータMTSの回転は停止される。操作量Bpaが減少され、回生制動力が発生されない場合には、ステップS200にて、第1電気モータMTFは逆転方向Rrfに駆動される。このとき、第2電気モータMTSは、ステップS170にて逆転方向Rrsに駆動された分だけ、正転方向Rfsに駆動され、その後、逆転方向Rrsに駆動される。
なお、第1電気モータMTFが正転方向Rffに駆動される場合、第1ラックRKFの助勢部Pjsは、前進方向Hffの力を受ける。逆に、第1電気モータMTFが逆転方向Rrfに駆動される場合、第1ラックRKFの助勢部Pjsは、後退方向Hrfの力を受ける。また、第2電気モータMTSが正転方向Rfsに駆動される場合、第2ラックRKSは、前進方向Hfsの力を受ける。逆に、第2電気モータMTSが逆転方向Rrsに駆動される場合、第2ラックRKSは、後退方向Hrsの力を受ける。
ステップS170、及び、ステップS200の処理が、上記の回生協調制御に相当する。回生協調制御では、第1電気モータMTF、及び、第2電気モータMTSの出力が調整されることによって、入力ロッドRDIと出力ロッドRDOとが、「力と変位との関係」において、相互に依存することなく、独立して制御される。結果、制動操作部材BPにおいて、操作変位Sbpに対する操作力Fbpの特性(操作特性)が、常に適切な特性に維持される。このため、「回生制動力のみが発生」、「回生制動力と摩擦制動力とが協調されて発生」、及び、「摩擦制動力のみが発生」の3つの状態が遷移した場合であっても、夫々の状態遷移において操作特性は急変されることなく、滑らかな操作特性が確保され得る。
例えば、駆動モータ(発電機)MTDが回生制動力Rgaを発生している場合(Rga>0)に、「入力ロッドRDIの変位(即ち、制動操作部材BPの操作変位Sbp)が増加するのに対して、入力ロッドRDIに作用する力(即ち、制動操作部材BPの操作力Fbp)が増加される状態」、且つ、「出力ロッドRDOの変位Sro(即ち、ピストンPNAの変位)がゼロの状態(即ち、摩擦制動力が発生しない状態)」が達成され得る。このため、制動操作部材BPの操作特性(操作変位Sbpに対する操作力Fbpの関係)が適切に維持された状態で、回生制動力と摩擦制動力との協調(車両全体での制動力において夫々の寄与度)が適宜調整され得る。結果、回生制動力が効果的に使用されるため、車両減速時の運動エネルギが、効率良く、回収され得る。即ち、回生可能な電力が最大化されるとともに、操作変位Sbpに対する操作力Fbpの特性(操作特性)が好適に維持され得る。
上述した第1、第2電気モータMTF、MTSの駆動処理例では、回生制動力の実際値Rgaが採用された。これに代えて、駆動用のコントローラECD内で演算される回生制動力の目標値Rgtが採用され得る。いずれの場合であっても、回生協調制御は、回生制動力の有無に基づいて、制動操作量Bpaに応じて実行される。
<差動機構DFRの第1実施形態>
図3の概要図を参照して、アクチュエータBACに設けられた差動機構DFRの第1の実施形態の構成、及び、作動について詳述する。制動アクチュエータBACに差動機構DFRが採用されるため、第1、第2電気モータMTF、MTSによって、力と変位とが分離されて、別個に独立制御される。このため、回生協調制御が可能な制動制御装置が、特許文献1のように2つのマスタシリンダが採用されることなく、1つのマスタシリンダMCにて構成され得る。
図3の概要図を参照して、アクチュエータBACに設けられた差動機構DFRの第1の実施形態の構成、及び、作動について詳述する。制動アクチュエータBACに差動機構DFRが採用されるため、第1、第2電気モータMTF、MTSによって、力と変位とが分離されて、別個に独立制御される。このため、回生協調制御が可能な制動制御装置が、特許文献1のように2つのマスタシリンダが採用されることなく、1つのマスタシリンダMCにて構成され得る。
≪差動機構DFRの構成≫
先ず、差動機構DFRの構成について説明する。差動機構DFRは、ラック・アンド・ピニオン機構(回転運動と直線運動との変換機構)によって形成される。ラック・アンド・ピニオン機構では、「ピニオンギヤと称呼される円形歯車」と、「平板状のロッドにピニオンギヤに咬み合うように歯(ラックギヤ)が設けられたラック」とが組み合わされる。差動機構DFRは、「第1、第2ピニオンギヤPNF、PNS」、「第1、第2ラックRKF、RKS」、「入力、出力ロッドRDI、RDO」、及び、出力ピニオンギヤPNOを含んで構成される。ここで、「第1、第2ピニオンギヤPNF、PNS」、「第1、第2ラックRKF、RKS」、及び、出力ピニオンギヤPNOが、「第1、第2電気モータMTF、MTS」の出力(動力)を伝える「伝達機構」に相当する。
先ず、差動機構DFRの構成について説明する。差動機構DFRは、ラック・アンド・ピニオン機構(回転運動と直線運動との変換機構)によって形成される。ラック・アンド・ピニオン機構では、「ピニオンギヤと称呼される円形歯車」と、「平板状のロッドにピニオンギヤに咬み合うように歯(ラックギヤ)が設けられたラック」とが組み合わされる。差動機構DFRは、「第1、第2ピニオンギヤPNF、PNS」、「第1、第2ラックRKF、RKS」、「入力、出力ロッドRDI、RDO」、及び、出力ピニオンギヤPNOを含んで構成される。ここで、「第1、第2ピニオンギヤPNF、PNS」、「第1、第2ラックRKF、RKS」、及び、出力ピニオンギヤPNOが、「第1、第2電気モータMTF、MTS」の出力(動力)を伝える「伝達機構」に相当する。
差動機構DFRは、3つの伝達機構で構成される。「第1伝達機構」によって、第1電気モータMTFの出力が入力ロッドRDIに伝達される。具体的には、以下で説明する、第1ピニオンギヤPNF、及び、第1ラックRKFの第1入力ラックギヤ部Gfaの組み合わせ(ラック・アンド・ピニオン機構)が、第1伝達機構に相当する。「第2伝達機構」によって、第2電気モータMTSの出力が、出力ロッドRDOに伝達される。第2ピニオンギヤPNSと第2ラックRKSの第2入力ラックギヤ部Gsaとの組み合わせ、及び、出力ピニオンPNOと第2ラックRKSの第2出力ラックギヤ部Gsbとの組み合わせが、第2伝達機構に相当する。「第3伝達機構」によって、入力ロッドRDIの出力が、出力ロッドRDOに伝達される。出力ピニオンギヤPNOと第2ラックRKFの第1出力ラックギヤ部Gfbとの組み合わせが、第3伝達機構に相当する。差動機構DFRによって、入力ロッドRDIと出力ロッドRDOとの間の相対的な動きが調整される。
ハウジングHSGの内部に、固定部材KTEによって、第1、第2電気モータMTF、MTSが固定される。第1電気モータMTFの出力シャフト部Shfには、第1ピニオンギヤPNFが固定される。同様に、第2電気モータMTSの出力シャフト部Shsには、第2ピニオンギヤPNSが固定される。なお、第1電気モータMTFの回転軸(第1回転軸)Shfと第1ピニオンギヤPNFとの間、及び、第2電気モータMTSの回転軸(第2回転軸)Shsと第2ピニオンギヤPNSとの間のうちの少なくとも1つにおいて、減速機が設けられ得る。
制動操作部材BPには、クレビス(U字リンク)によって、接続ロッドRDCが回転可能に接続される。接続ロッドRDCにおいて、クレビス部の反対側は、球状に加工され、入力ロッドRDIに機械接続される。即ち、入力ロッドRDIと制動操作部材BPとは、接続ロッドRDCを介して、機械的に接続される。制動操作部材BPは、車体BDの取付部にて回転運動するが、接続ロッドRDCによって、制動操作部材BPの回転運動が、入力ロッドRDIの直線運動に効果的に変換される。入力ロッドRDIの先端部(制動操作部材BPに接続される端部とは反対側)は、第1ラックRKFに固定される。
第1ラックRKFは、ハウジングHSGに対して、入力軸線Jin(入力ロッドRDIの中心軸線)に沿って滑らかに移動可能である。第1ラックRKFは、入力部Pinと助勢部Pjsとの、2つの部材で構成される。該構成が、「分割構成」と称呼される。入力部Pinと助勢部Pjsとは、入力軸線Jinに沿って、相互変位が可能なように形成される。入力部Pinには、入力ロッドRDIが固定されるとともに、第1出力ラックギヤGfbが形成され、この第1出力ラックギヤGfbは、出力ピニオンギヤPNOと咬み合わされる。助勢部Pjsには、第1出力ラックギヤGfbとは別に、第1入力ラックギヤGfaが形成され、この第1入力ラックギヤGfaは、第1ピニオンギヤPNFと咬み合わされる。従って、第1ピニオンギヤPNFを介して、助勢部Pjsには、第1電気モータMTFの回転動力が入力される。なお、第1ラックRKFにおいて、第1出力ラックギヤGfbは、第1入力ラックギヤGfaの裏側(入力軸線Jinを挟んで反対側)に位置する。
入力ロッドRDIは、第1ラックRKF(特に、入力部Pin)に固定される。従って、第1電気モータMTFの出力は、動力伝達機構(第1ピニオンギヤPNF、第1ラックRKF)を介して、回転運動から並進運動(平行方向への移動)に変換され、入力ロッドRDIに伝達される。
入力部Pinには、入力軸線Jinに垂直な段差が設けられ、後退方向Hrfに向いた受圧面Minが形成される。同様に、助勢部Pjsには、入力軸線Jinに垂直な段差が設けられ、前進方向Hffに向いた助勢面Mjsが形成される。そして、助勢面Mjsと受圧面Minとの面接触によって、前進方向Hffの力Fjsが付与される。ここで、助勢部Pjsから入力部Pinに対して作用する力Fjsが、「助勢力」と称呼される。
入力部Pinと助勢部Pjsとの間の動力伝達(即ち、力の伝達)は方向性を有する。助勢部Pjsは入力部Pinに対して、前進方向Hffには動力伝達するが、後退方向Hrfへは動力伝達しない。一方、入力部Pinは助勢部Pjsに対して、後退方向Hrfへは動力伝達するが、前進方向Hffへは動力伝達しない。換言すれば、助勢部Pjsが入力部Pinに近づく方向には力は伝達されるが、助勢部Pjsが入力部Pinから離れる方向には力は伝達されない。従って、第1ラックRKFでは、入力部Pin、及び、助勢部Pjsの構成によって、第1電気モータMTFによって発生される助勢力Fjsは、前進方向Hffには伝達されるが、後退方向Hrf(前進方向Hffとは反対方向)には伝達されない。
ハウジングHSGには、第1ラックRKFの後退方向Hrfの移動を阻止するよう、第1ストッパSTFが設けられる。第1ラックRKFの助勢部Pjsは、第1ラック弾性体SPF(例えば、圧縮ばね)によって、後退方向Hrfに押圧される。ハウジングHSGと、助勢部Pjsの助勢部第2端面Mjpとの間に第1ラック弾性体SPFが設けられ、第1電気モータMTFが通電されていない場合には、助勢部Pjsの助勢部第1端面Mjeが、ハウジングHSGに設けられた第1ストッパSTFに押し付けられる。第1ラック弾性体SPFによって、制動操作部材BPが操作されていない場合(即ち、「Bpa=0」の場合)には、助勢部第1端面Mjeが第1ストッパSTFに当接している。
同様に、第1ラックRKFの入力部Pinは、戻し弾性体SPI(例えば、圧縮ばね)によって、後退方向Hrfに押圧される。ハウジングHSGと、入力部Pinの入力部第2端面Mipとの間に戻し弾性体SPIが設けられ、通常の場合には、入力部Pinと助勢部Pjsとが、一体となって移動される。ここで、「通常の場合」とは、「第1電気モータMTFが適正に作動し、その動力が発生され得る場合」、且つ、「制動操作部材BPの操作が急ではなく、第1電気モータMTFの応答が十分に操作に追従し得る場合」である。
第1ラックRKFと同様に、第2ラックRKSには、2つのラックギヤGsa、Gsbが形成される。出力ピニオンギヤPNOは、第1ラックRKFの第1出力ラックギヤGfbと咬み合わされるともに、第2ラックRKSの第2出力ラックギヤGsbとも咬み合わされる。また、第2ラックRKSにおいて、第2出力ラックギヤGsbの裏側には、第2出力ラックギヤGsbとは別に、第2入力ラックギヤGsaが形成される。そして、第2入力ラックギヤGsaは、第2ピニオンギヤPNSと咬み合わされる。従って、第2電気モータMTSの出力は、動力伝達機構(第2ピニオンギヤPNS、第2ラックRKS、出力ピニオンギヤPNO)を介して、回転運動から並進運動に変換され、出力ロッドRDOに伝達される。
第2ラックRKSには、Gsa、Gsbの他に、咬合部Pkg(第2ラックRKSの一部分)が設けられる。咬合部Pkgとつめ部Tsuとが咬み合うことによって、第2ラックRKSの移動を制限する移動ロック機構LOK(「ロック機構」に相当)が構成される。移動ロック機構LOKは、第2ラックRKSの咬合部Pkg、及び、ソレノイドSOLにて構成される。具体的には、咬合部Pkgには、つめ部Tsuの先端が入り込めるよう、複数のロック溝が形成されている。例えば、ロック溝として、出力軸線Jot(入力軸線Jin)に垂直な面を有する矩形断面の溝が採用され得る。ソレノイドSOLが励磁される場合に発生される吸引力によって、ソレノイドSOLのつめ部Tsuは、つめ部Tsuと咬合部Pkgとは離れている。この場合、つめ部Tsuが咬合部Pkgのロック溝に嵌っていない非ロック状態であり、第2ラックRKSは、並進運動が可能である(「解除状態」という)。一方、ソレノイドSOLが励磁されない場合には、ソレノイドSOLの弾性体Slk(例えば、圧縮ばね)によって、つめ部Tsuは、咬合部Pkgに向けて押される。そして、そして、つめ部Tsuが、ロック溝に嵌ることによって、第2ラックRKSの動きが拘束される(「ロック状態」という)。第2ラックRKSのロック状態では、第2ラックRKSの並進運動が拘束され、後退方向Hrsの移動が阻止される。なお、つめ部Tsuの先端は、咬合部Pkgのロック溝と合致するよう、断面矩形形状である。
移動ロック機構LOKは、コントローラECUによって駆動される。移動ロック機構LOKによって、「第2ラックRKSの動きが拘束されるロック状態」と、「第2ラックRKSの動きが許容される解除状態」とが、適宜、切り替えられる。具体的には、コントローラECUが、第2電気モータMTSへ通電を行う場合には、移動ロック機構LOKは解除状態にされる。一方、コントローラECUが、第2電気モータMTSへ通電を行わない場合(電源失陥によって通電できない場合を含む)には、移動ロック機構LOKはロック状態にされる。アクチュエータBACの駆動源である電源が不調になった場合にも対応できるよう、移動ロック機構LOKのロック状態は、ソレノイドSOLの非通電時に達成される。
ハウジングHSGには、第2ラックRKSの前進方向Hfsの移動を阻止するよう、第2ストッパSTSが設けられる。第2ラックRKSは、第2ラック弾性体SPS(例えば、圧縮ばね)によって、前進方向Hfsに押圧される。ハウジングHSGと、第2ラックRKSの第1端面Mspとの間には、第2ラック弾性体SPSが設けられる。非ロック状態であって、制動操作部材BPが操作されていない場合(即ち、「Bpa=0」の場合)には、第2ラック弾性体SPSによって、第2ラックRKSの第2端面Mseが、ハウジングHSGに設けられた第2ストッパSTSに押し付けられ、当接している。従って、この位置が、制動操作部材BPが操作されてない状態に対応した第2ラックRKSの初期位置である。また、非ロック状態であって、第2電気モータMTSが通電されない場合、第2ラック弾性体SPSによって、第2ラックRKSは前進方向Hfsに移動され、第2端面Mseが、第2ストッパSTSに押し付けられる。
第2ラックRKSに対して、第2ストッパSTSの反対側のハウジングHSGには、第2ラックRKSの後退方向Hrsの移動を阻止するよう、回生ストッパSTRが設けられる。第2ストッパSTS、及び、回生ストッパSTRによって、第2ラックRKSの移動が、所定変位hrgに制限される。即ち、第2ラックRKSが移動し得る範囲は、その初期位置(非制動時に対応した、第2ストッパSTSとの当接位置)から所定変位hrgまでである。第2ラックRKSの後退方向Hrsの移動は、摩擦制動力を発生させないよう、回生協調制御に対応するものである。例えば、電気駆動装置EDS(即ち、回生制動装置)によって発生可能な車両減速度(例えば、0.2〜0.3G)に対応する値として、予め設定され得る。ここで、回生制動装置EDSにおける発生可能な車両減速度は、発電機MTDの容量、コントローラECDの通電量等に基づいて定まる。変位制限hrgによって、コントローラECU、又は、第2電気モータMTSに不調があった場合でも、制動操作部材BPの操作に伴って、確実に摩擦制動力が発生され得る。
出力ピニオンギヤPNOは、出力ロッドRDOに、回転シャフトSFOによって回転可能な状態で固定される。出力ロッドRDOは、ハウジングHSGに対して、出力軸線Jot(出力ロッドRDOの中心軸線)に沿って滑らかに移動可能である。中心軸線Jinと中心軸線Jotとは平行な別軸であり、「別軸構成」と称呼される。第1、第2ラックRKF、RKS、及び、出力ロッドRDOは、ハウジングHSGに対して、中心軸線Jin(中心軸線Jot)に沿って滑らかに移動され得る。即ち、差動機構DFRにおいて、第1、第2ラックRKF、RKS、及び、出力ロッドRDOは、夫々が平行、且つ、直線的に相対運動することができる(換言すれば、相対的な移動が許容される)。
マスタシリンダMCとして、タンデム型マスタシリンダが採用される場合、2つの液圧室Kma、Kmbが直列配置される。このため、マスタシリンダMCの中心軸方向Jotの寸法が長くなる。しかし、別軸構成の差動機構DFRが採用されるため、軸方向の寸法が短縮され、構造が簡略化される。結果、装置全体の小型化が達成され得る。以上、差動機構DFRの構成について説明した。
≪差動機構DFRの作動≫
次に、制御装置の不調時における差動機構DFRの作動について説明する。上述したように、差動機構DFRを構成する各要素(第1ラックRKF等)の動きにおいて、「前進方向Hff、Hfs、Hfp」の移動は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaの増加に相当する。前進方向の直線運動は、第1、第2電気モータMTF、MTSの「正転方向Rff、Rfs」の回転運動に対応する。また、前進方向Hff、Hfs、Hfpとは逆の方向である、「後退方向Hrf、Hrs、Hrp」の移動は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaの減少に相当する。そして、後退方向の直線運動は、第1、第2電気モータMTF、MTSの「逆転方向Rrf、Rrs」の回転運動に対応する。
次に、制御装置の不調時における差動機構DFRの作動について説明する。上述したように、差動機構DFRを構成する各要素(第1ラックRKF等)の動きにおいて、「前進方向Hff、Hfs、Hfp」の移動は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaの増加に相当する。前進方向の直線運動は、第1、第2電気モータMTF、MTSの「正転方向Rff、Rfs」の回転運動に対応する。また、前進方向Hff、Hfs、Hfpとは逆の方向である、「後退方向Hrf、Hrs、Hrp」の移動は、ホイールシリンダWCの液圧Pwaの減少に相当する。そして、後退方向の直線運動は、第1、第2電気モータMTF、MTSの「逆転方向Rrf、Rrs」の回転運動に対応する。
第1電気モータMTF、又は、第1駆動回路DRFが不調である場合には、第1電気モータMTFには通電されない。具体的には、コントローラECUにて、各センサの信号(例えば、第1電気モータMTFの回転角、第1駆動回路DRFの電流値)が参酌されて、第1電気モータMTF、及び、第1駆動回路DRFのうちの少なくとも1つの不調状態が判定される。不調状態が判定されない場合(即ち、第1電気モータMTF、第1駆動回路DRFが適正作動の場合)には、第1電気モータMTFへの通電が行われるが、不調状態が判定される場合には、第1電気モータMTFへの通電が停止される。従って、不調状態では、第1電気モータMTFによって、回転動力が発生されず、助勢力Fjsが生じない。
第1電気モータMTF等の不調状態において、制動操作部材BPが操作され、入力ロッドRDIが前進方向Hffに移動される場合には、RKFの分割構成によって、入力部Pinが助勢部Pjsに対して力を及ぼさない。このため、助勢部Pjsは移動されず、入力部Pinのみが前進方向Hffに移動される。この場合、助勢部Pjsは、第1ラック弾性体SPFにて押圧されているため、第1ストッパSTFと当接する位置に留まる。
第1ラックRKFが一体構造である場合には、入力ロッドRDIの移動に伴って、第1電気モータMTFが、第1ラックRKFの移動によって回転される。従って、制動操作部材BPの操作力Fbpが、第1電気モータMTFを回転させる分だけ増大する。即ち、第1電気モータMTFが、制動操作の抵抗となる。この課題を解消するため、第1ラックRKFには、「2つの部材Pin、Pjsに分割され、入力部Pinと助勢部Pjsとの間の動力伝達が、助勢部Pjsから入力部Pinへの前進方向Hff、及び、入力部Pinから助勢部Pjsへの後退方向Hrfに限って達成される」分割構成が採用される。換言すれば、分割構成では、動力伝達は、助勢部Pjsから入力部Pinへの後退方向Hrf、及び、入力部Pinから助勢部Pjsへの前進方向Hffには行われない。結果、第1電気モータMTF等の不調時に、操作力Fbpが不必要に増大されることが抑制され得る。
第2電気モータMTS、及び、第2駆動回路DRSのうちの少なくとも1つが不調状態の場合には、第1電気モータMTF等の場合と同様に、第2電気モータMTSには通電されない。具体的には、コントローラECUにて、各センサの信号(例えば、第2電気モータMTSの回転角、第2駆動回路DRSの電流値)が参酌されて、第2電気モータMTS、及び、第2駆動回路DRSのうちの少なくとも1つの不調状態が判定される。不調状態が判定されない場合(即ち、第2電気モータMTS、第2駆動回路DRSが適正作動の場合)には、第2電気モータMTSへの通電が行われるが、不調状態が判定される場合には、第2電気モータMTSへの通電が停止される。
第2電気モータMTS等の不調状態において、第2電気モータMTSは、自由に回転され、ロックされない。このため、第2ラックRKSのロック状態が維持されず、後退方向Hrsに移動され得る。結果、出力ロッドRDOの移動量が、所望される量よりも減少され、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbの上昇が妨げられ得る。
この課題を解消するため、第2ラックRKSの移動し得る距離が、第2ストッパSTS、及び、回生ストッパSTRによって、所定変位hrgの範囲内(即ち、第2ストッパSTSとの当接位置から回生ストッパSTRとの当接位置までの範囲)に制限される。この場合、入力ロッドRDIが前進方向Hffに移動されると、出力ピニオンギヤPNOによって、第2ラックRKSは、後退方向Hrsに移動される。第2ラックRKSが、回生ストッパSTRに当接した後は、第2ラックRKSは、その動きが制限され、それ以上は移動されない。結果、第2ラックRKSがロックされ、出力ロッドRDOは前進方向Hfpに移動され、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbが増加される。
加えて、「第2ラックRKSの動きが拘束されるロック状態」と、「第2ラックRKSの動きが許容される解除状態」とを切り替える、移動ロック機構LOKが設けられる。コントローラECUによって、制御装置の適正状態が判定されている場合には、移動ロック機構LOKでは解除状態が達成されている。具体的には、コントローラECUでは、ソレノイドSOLを励磁する信号(制御フラグ)FLslが、「1」に設定される。この適正状態を表す、「FLsl=1」に基づいて、コントローラECUによって、ソレノイドSOLが駆動され、ソレノイド弾性体Slkに対抗する力が発生される。結果、つめ部Tsuと咬合部Pkgと(特に、ロック溝部)の咬み合いが解除され、第2ラックRKSの変位が、第2電気モータMTSによって制御可能にされる。
一方、コントローラECUにて、制御装置の作動が適正ではない、不調状態(第2電気モータMTS、及び、第2駆動回路DRSのうちの少なくとも1つの不調状態)が判定される場合には、移動ロック機構LOKはロック状態にされ、第2ラックRKSの動きが拘束される。具体的には、コントローラECUでは、ソレノイドSOLの駆動信号(制御フラグ)FLslが、「0」に決定される。即ち、装置不調が判定された時点(演算周期)にて、制御フラグFLslが、「1」から「0」に変更される。この不調状態を表示する、「FLsl=0」に基づいて、コントローラECUは、ソレノイドSOLへの通電を停止し、ソレノイドSOLの吸引力は発生されなくなる。結果、ソレノイドSOLに内蔵されたソレノイド弾性体Slkによって、つめ部Tsuが咬合部Pkgに向けて押され、つめ部Tsuと咬合部Pkg(特に、矩形ロック溝)との咬み合いが達成される。移動ロック機構LOKによって、第2ラックRKSの動きは拘束され、第2ラックRKSは、後退方向Hrsにも、前進方向Hfsにも移動されない。
入力ロッドRDIが、前進方向Hffに移動されると、出力ピニオンギヤPNOによって、第2ラックRKSは、後退方向Hrsの力を受ける。しかし、移動ロック機構LOKのロック状態によって、第2ラックRKSは、後退方向Hrsに移動されない。結果、出力ロッドRDOは、前進方向Hfpに移動され、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbが増加する。電源失陥時を含む装置不調時において、移動ロック機構LOKによって、第2ラックRKSの後退方向Hrsの動きが拘束されるため、制動操作部材BPの操作によって、効率的に、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbが発生され得る。
<差動機構DFRの第2実施形態>
図4の概略図を参照して、差動機構DFRの第2の実施形態について説明する。差動機構DFRの第1実施形態では、咬合部Pkgの複数のロック溝として、出力軸線Jotに垂直な面を有する矩形断面溝が採用され、移動ロック機構LOKのロック状態において、第2ラックRKSは、前進方向Hfs、及び、後退方向Hrsに拘束され、出力軸線Jotに沿っては全く移動されない。これに代えて、差動機構DFRの第2実施形態では、移動ロック機構LOK(「ロック機構」に相当)のロック状態において、第2ラックRKSの動きは方向性を有する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
図4の概略図を参照して、差動機構DFRの第2の実施形態について説明する。差動機構DFRの第1実施形態では、咬合部Pkgの複数のロック溝として、出力軸線Jotに垂直な面を有する矩形断面溝が採用され、移動ロック機構LOKのロック状態において、第2ラックRKSは、前進方向Hfs、及び、後退方向Hrsに拘束され、出力軸線Jotに沿っては全く移動されない。これに代えて、差動機構DFRの第2実施形態では、移動ロック機構LOK(「ロック機構」に相当)のロック状態において、第2ラックRKSの動きは方向性を有する。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
咬合部Pkgのロック溝において、出力軸線Jotに平行ではない2つの面のうちの1つが斜面とされる。具体的には、溝形状において、ロック溝の第1面は、出力軸線Jotに対して垂直であり、第2ストッパSTSに近い側にあり、後退方向Hrsを向いている。従って、ロック溝の第1面によって、第2ラックRKSの後退方向Hrsの動きが拘束される。ロック溝の第2面(第2ストッパSTSから離れた側)は、ロック溝の第1面と対面する。この第2面は、出力軸線Jotに対して垂直ではなく、傾斜を有する。即ち、ロック溝の第2面が、斜面として形成されている。第1実施形態と同様に、つめ部Tsuの先端部は、ロック溝の第1面、第2面と合致するよう、斜面を有する形状として形成されている。
つめ部Tsuがロック溝に嵌った状態(即ち、ロック状態)においても、第2ラックRKSは、第2ラック弾性体SPSによって、前進方向Hfsに押されている。第2ラックRKSが前進方向Hfsに押されることで、つめ部Tsuが、ロック溝の第2面を摺動して乗り越え、ロック溝を外れ、隣のロック溝に嵌る。この動作が繰り返されることによって、電源失陥時においても、ロック溝の第2面、及び、これに対応するつめ部Tsuの斜面によって、第2ラック弾性体SPSは、第2端面Mseが、第2ストッパSTSに当接するまで、前進方向Hfsに移動される。例えば、第2ストッパSTSと第2ラックRKSの第2端面Mseとが離れている状態にて電源失陥が生じたときに(不調状態が判定された時点で)、直ちに、つめ部Tsuとロック溝とは咬み合わされる。そして、移動ロック機構LOKの咬み合い状態で、第2ラックRKSは、第2ラック弾性体SPSの弾性力によって押圧され、第2ラックRKSの初期位置にまで戻される。ここで、初期位置は、装置適正時において、非制動操作(即ち、「Bpa=0」)に対応した位置であり、第2ラックRKS(特に、第2端面Mse)が第2ストッパSTSに接触する位置である。移動ロック機構LOKが、方向性を有するため、第2ラックRKSの後退方向Hrsの移動が、確実に制限されるとともに、第2ラックRKSが初期位置にまで復帰され得る。
<差動機構DFRの第3実施形態>
図5の概略図を参照して、差動機構DFRの第3の実施形態について説明する。第1、第2の実施形態では、ソレノイドSOLによって駆動される移動ロック機構LOKによって、第2ラックRKSの後退方向Hrsの移動が拘束された。第3の実施形態では、移動ロック機構LOKに代えて、第2電気モータMTSと第2ラックRKSと間の動力伝達機構として、動力伝達の方向性を有する自己ロック機構SLK(「ロック機構」に相当)が採用される。以下、第1、第2実施形態との相違点について説明する。
図5の概略図を参照して、差動機構DFRの第3の実施形態について説明する。第1、第2の実施形態では、ソレノイドSOLによって駆動される移動ロック機構LOKによって、第2ラックRKSの後退方向Hrsの移動が拘束された。第3の実施形態では、移動ロック機構LOKに代えて、第2電気モータMTSと第2ラックRKSと間の動力伝達機構として、動力伝達の方向性を有する自己ロック機構SLK(「ロック機構」に相当)が採用される。以下、第1、第2実施形態との相違点について説明する。
第2電気モータMTSの出力軸Shsには、おねじOnjが形成される。このおねじOnjと螺合されるように、第2ラックRKSには、めねじMnjが形成される。おねじOnj、及び、めねじMnjによって、自己ロック機構SLK(具体的には、台形ねじ機構)が構成される。自己ロック機構SLKは、自己ロック機能を有し、第2電気モータMTSから第2ラックRKSには動力伝達可能であるが、第2ラックRKSから第2電気モータMTSには動力伝達できない。即ち、自己ロック機構SLKでは、回転から直線に変換する場合の正効率は、「0」より大きい。しかし、直線から回転に変換する場合の逆効率は、「0」である。なお、自己ロック機構SLKの自己ロック機構は、台形ねじの諸元(リード、接触角、摩擦係数等)によって、機械的に設定される。
電源失陥時等、第2電気モータMTSに通電が行われない場合には、自己ロック機構SLKによって、第2ラックRKSの動きは拘束される。即ち、第2ラックRKSは、前進方向Hfsにも、後退方向Hrsにも移動されない。従って、第2電気モータMTSの非通電時には、入力ロッドRDIが、前進方向Hffに移動されると、出力ロッドRDOは、前進方向Hfpに移動され、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbが増加される。自己ロック機構SLKによって、電源失陥時を含む装置不調時において、制動操作部材BPの操作が、効率的に、マスタシリンダMCの液圧Pma、Pmbに変換され得る。なお、自己ロック機構SLKが採用される場合には、第2ラックRKSの移動によって、第2電気モータMTSは回転されないため、第2ラック弾性体SPS(初期位置復帰用の弾性体)は省略される。
自己ロック機構SLKとして、ウォームギヤ機構が採用され得る。ウォームギヤ機構は、ウォーム(ねじ歯車)、及び、ウォームホイール(はす歯歯車)にて構成される。ウォームに第2電気モータMTSの出力軸Shsが接続され、ウォームホイールに第2ラックRKSが接続される。ウォームギヤ機構の自己ロック機能(ウォームホイール側からウォーム側への動力伝達が不可)は、ウォーム溝の進み角が小さくされることによって設定される。なお、ウォームギヤ機構が採用される場合には、ウォームホイールの回転運動を、第2ラックRKSの直線運動に変換する回転・直動変換機構(例えば、ねじ機構)が設けられる。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態(変形例)について説明する。これらにおいても、制動アクチュエータBACは、上記同様の効果(制御装置の性能とフェイルセーフとの両立、電源失陥時等における好適な制動操作特性の確保)を奏する。
以下、他の実施形態(変形例)について説明する。これらにおいても、制動アクチュエータBACは、上記同様の効果(制御装置の性能とフェイルセーフとの両立、電源失陥時等における好適な制動操作特性の確保)を奏する。
上記の実施形態では、回転部材KT(即ち、車輪WH)に制動トルクを付与する装置として、ディスク型制動装置が例示された。これに代えて、ドラム型制動装置(ドラムブレーキ)が採用され得る。ドラムブレーキの場合、キャリパCPに代えて、ブレーキドラムが採用される。また、摩擦部材はブレーキシューであり、回転部材KTはブレーキドラムである。
また、上記の実施形態では、2系統の液圧回路(制動配管の構成)として、ダイアゴナル型(「X型」ともいう)が例示された。これに代えて、前後型(「H型」ともいう)の構成が採用され得る。この場合、第1流体路HKAが前輪ホイールシリンダWCfr、WCflに流体接続され、第2流体路HKBが後輪ホイールシリンダWCrr、WCrlに流体接続される。
上記の実施形態では、発電機MTDとして、駆動用の電気モータが採用される例について説明した。しかし、発電機MTDとして、駆動用としては機能せず、発電機能のみを有するものが採用され得る。この場合でも、発電機MTDは、車輪WHに機械接続され、車両減速時には、車両の運動エネルギが電力として回生される。このとき、車輪WHには、回生制動力が付与される。
上記の実施形態では、3つのストッパSTF、STS、STRは、ハウジングHSGに固定されるよう例示された。しかし、ストッパSTF、STS、STRは、第1、第2ラックRKF、RKSの変位が拘束できるものであればよい。従って、ストッパSTF、STS、STRのうちの少なくとも1つは、ハウジングHSGではなく、他の構成部材に固定され得る。この場合であっても、ストッパによって、ラックRKF、RKSが変位しないよう、その動きが阻止され得る。
図3を参照して説明した実施形態では、第1電気モータMTFの出力軸Shfに第1ピニオンギヤPNFが固定され、第2電気モータMTSの回転軸Shsに第2ピニオンギヤPNSが固定されていた。第1ピニオンギヤPNF、及び、第2ピニオンギヤPNSのうちの少なくとも1つは、減速機を介して、各電気モータMTF、MTSの回転軸(出力軸)Shf、Shsに、機械的に接続され得る。この場合でも、第1ピニオンギヤPNFは第1電気モータMTFの回転軸Shfに機械的に接続され、第2ピニオンギヤPNSは第2電気モータMTSの回転軸Shsに機械的に接続される。
上記の実施形態では、所定変位hrgの範囲内として、第2ラックRKSの変位が制限された。これに代えて、第2伝達機構の構成部材の後退方向Hrsの動きが、所定変位hrgの範囲内に制限され得る。第2伝達機構によって、第2電気モータMTSから、「PNS→Gsa→Gsb→PNO」の順で動力が、出力ロッドRDOに伝達される。例えば、第2ピニオンギヤPNSにおいて、後退方向Hrs(即ち、逆転方向Rrs)の回転変位が、所定変位hrgの範囲内に制限される。
BP…制動操作部材、WC…ホイールシリンダ、MC…マスタシリンダ、BAC…制動アクチュエータ、MTF・MTS…第1・第2電気モータ、DFR…差動機構、RDI・RDO…入力・出力ロッド、RKF・RKS…第1・第2ラック、PNF・PNS…第1・第2ピニオンギヤ、PNO…出力ピニオンギヤ、STF・STS…第1・第2ストッパ、STR…回生ストッパ、SPF・SPS…第1・第2ラック弾性体、hrg…所定変位、Sri・Sro…入力・出力ロッド変位、ECU…コントローラ、LOK…移動ロック機構、SOL…ソレノイド、SLK…自己ロック機構。
Claims (4)
- 車両の制動操作部材の操作に応じて、マスタシリンダからホイールシリンダに制動液を圧送して、前記車両の車輪に制動トルクを発生する車両の制動制御装置であって、
前記制動操作部材に接続された入力ロッドと、
前記入力ロッドの中心軸線と平行に移動可能であり、前記マスタシリンダ内のピストンを押圧する出力ロッドと、
前記入力ロッドに対して助勢力を発生する第1電気モータと、
前記出力ロッドの変位を調整する第2電気モータと、
前記第1電気モータの出力を前記入力ロッドに伝達する第1伝達機構、前記第2電気モータの出力を前記出力ロッドに伝達する第2伝達機構、及び、前記入力ロッドの出力を前記出力ロッドに伝達する第3伝達機構にて構成され、前記入力ロッドと前記出力ロッドとの間の相対的な動きを調整する差動機構と、
前記第1電気モータ、及び、前記第2電気モータを制御して、前記入力ロッドに作用する操作力と前記変位とを独立して制御するコントローラと、
前記第2電気モータに通電が行われない場合に、前記第2伝達機構の前記マスタシリンダ内の液圧の減少に対応する後退方向の動きを拘束するロック機構と、
を備えた、車両の制動制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
前記ロック機構は、前記第2伝達機構の動きを拘束するロック状態と前記第2伝達機構の動きを許容する解除状態とを切り替え、
前記コントローラは、前記ロック機構を駆動し、前記第2電気モータへ通電を行わない場合には前記ロック状態を達成し、前記第2電気モータへ通電を行う場合には前記解除状態を達成するよう構成された、車両の制動制御装置。 - 請求項2に記載の車両の制動制御装置において、
前記コントローラは、
前記第2電気モータが不調であるか、否かを判定し、
前記第2電気モータが不調であることを判定する場合に、前記第2電気モータへ通電を停止し、前記ロック状態を達成するよう構成された、車両の制動制御装置。 - 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
前記ロック機構は、前記第2電気モータから前記出力ロッドには動力を伝達するが、前記出力ロッドから前記第2電気モータには動力を伝達しないよう構成された、車両の制動制御装置。
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