JP4674431B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ブレーキ装置に関するものであり、特に、動力式流体圧供給装置を備えたブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特表平11−505788号公報には、動力の供給により作動させられ、ブレーキアクチュエータに流体圧を供給可能な動力式流体圧供給装置と、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に応じた流体圧を発生させる流体圧発生装置と、前記動力式流体圧供給装置からブレーキアクチュエータに流体圧が供給される第1状態と前記流体圧発生装置からブレーキアクチュエータに流体圧が供給される第2状態とに切り換え可能な切換装置とを含むブレーキ装置が記載されている。このブレーキ装置においては、動力式流体圧供給装置に異常が検出された場合に第1状態から第2状態に切り換えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
しかし、上記公報に記載のブレーキ装置においては、動力式流体圧供給装置に異常が検出された場合に、流体圧発生装置からブレーキ操作部材の操作状態に応じた流体圧がブレーキアクチュエータに供給されることになるが、動力式流体圧供給装置から液圧が供給される場合に比較して、ブレーキ力が小さくなりがちである。そこで、本発明の課題は、動力式流体圧供給装置の異常時にも十分な流体圧を供給可能なブレーキ装置を得ることであり、この課題は、ブレーキ装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
本願請求項1に記載のブレーキ装置は、(1)液圧により作動させられるブレーキシリンダを備え、車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、(2)動力の供給により作動させられ、前記ブレーキシリンダにブレーキ操作部材の操作状態に応じた液圧を供給可能な2つの動力式液圧供給装置と、(3)前記ブレーキシリンダに2つの動力式液圧供給装置のうちのいずれか一方から液圧が供給される第1状態と他方から液圧が供給される第2状態とに切り換える切換装置とを含むブレーキ装置であって、
前記いずれか一方の動力式液圧供給装置が、(a)作動液を汲み上げて加圧するポンプと動力の供給によりポンプを作動させるポンプモータとを備えたポンプ装置と、(b)そのポンプ装置と前記ブレーキシリンダとの間に設けられた液圧制御弁と、(c)その液圧制御弁をブレーキ操作状態に基づいて制御することにより前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する第1制御部とを含み、
前記他方の動力式液圧供給装置が、(d)電動モータと、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能であって前記電動モータの駆動により作動させられるピストンとを備え、前記ピストンの前方の液圧室に前記ブレーキシリンダが接続された動力式液圧シリンダと、(e)前記電動モータの回転を直線運動に変換するとともに、前記電動モータの駆動力を前記ピストンに伝達し、かつ、前記駆動伝達装置が、前記電動モータに電流が供給されない状態で、前記液圧室の液圧による前記電動モータの、前記ピストンを後退させる向きの回転を許容する駆動伝達装置と、(f)前記電動モータへの供給電流をブレーキ操作状態に基づいて制御することにより、前記ピストンの前方の液圧室の液圧を制御して、前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する第2制御部とを含み、前記切換装置が、前記一方の動力式液圧供給装置の異常時に、前記第1状態から第2状態に切り換える異常時切換部を含むものとされる。
また、請求項2に記載のブレーキ装置においては、前記一方の動力式液圧供給装置が、前記ポンプ装置に電力を供給する第1電源を含み、前記他方の動力式液圧供給装置が、前記動力式液圧シリンダに電力を供給する、前記第1電源とは別の第2電源を含むものとされ、請求項3に記載のブレーキ装置においては、前記一方の動力式液圧供給装置が、前記液圧制御弁を制御する第1CPUを含み、前記他方の動力式液圧供給装置が、前記動力式液圧シリンダの前記電動モータへの供給電流を制御する、前記第1CPUとは別個の第2CPUを含むものとされる。
請求項4に記載のブレーキ装置は、前記ブレーキ操作部材の操作によってそれに応じた反力を前記ブレーキ操作部材に付与する反力付与装置を含み、前記ブレーキシリンダに、前記ブレーキ操作部材の操作により液圧を発生させ、その液圧を前記ブレーキシリンダに供給するマスタシリンダを含まないものであり、請求項5に記載のブレーキ装置においては、前記ブレーキシリンダが複数設けられ、前記一方の動力式液圧供給装置が、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられた個別液圧制御弁装置を含み、前記切換装置が、前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御する場合に、前記第1状態とする切換部を含むものとされる。
【0005】
(1)流体圧により作動するブレーキアクチュエータを備え、車輪の回転を抑制するブレーキと、
動力の供給により作動させられ、前記ブレーキアクチュエータにブレーキ操作部材の操作状態に応じた流体圧を供給可能な2つの動力式流体圧供給装置と、
前記ブレーキアクチュエータに2つの動力式流体圧供給装置のうちのいずれか一方から流体圧が供給される第1状態と他方から流体圧が供給される第2状態とに切り換える切換装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置には2つの動力式流体圧供給装置が設けられ、切換装置によって、一方の動力式流体圧供給装置からブレーキアクチュエータに流体圧が供給される第1状態と、他方の動力式流体圧供給装置から流体圧が供給される第2状態とに切り換えられる。例えば、一方の動力式液圧供給装置に異常が生じた場合に第2状態にされれば、ブレーキアクチュエータに他方の動力式流体圧供給装置から流体圧が供給される。動力式流体圧供給装置からの流体圧が供給されるのであり、運転者によるブレーキ操作部材の操作によって発生させられた流体圧が供給されるわけではない。そのため、十分な大きさの流体圧を供給することが可能となる。換言すれば、本項に記載のブレーキ装置においては、動力式流体圧供給装置が冗長に設けられるのである。
切換装置は、後述するように、少なくとも一方の動力式流体圧供給装置の状態に基づいて第1状態と第2状態とに切り換えるものとしたり、車両の走行状態に基づいて切り換えるものとしたり、運転者の意図に応じて切り換えるものとしたりすることができる。例えば、一方の動力式流体圧供給装置の状態が正常である場合に第1状態とし、異常である場合に第2状態とすることができる。また、動力式流体圧供給装置の累積作動時間や作動継続時間、作動回数に応じて第1状態と第2状態とに切り換えることができる。累積作動時間や作動継続時間が設定時間以上になった場合に第1状態と第2状態との間で切り換えが行われるようにしたり、ブレーキ操作の作動毎に第1状態と第2状態とに交互に切り換えられるようにしたりすることができる。
さらに、第1状態と第2状態とでブレーキ作動形態が異なる場合には、車両の走行状態に基づいて第1状態と第2状態とに切り換えたり、運転者による選択操作部材の操作に応じて切り換えたりすることができる。ブレーキ作動形態には、構造で決まる形態や制御で決まる形態等がある。
例えば、一方の動力式流体圧供給装置に、各車輪に対応して設けられたブレーキアクチュエータの流体圧を個別で制御可能な個別流体圧制御弁装置が含まれ、他方の動力式流体圧供給装置に含まれない場合において、複数の車輪のうちの一部の車輪のスリップが過大になった場合等ブレーキアクチュエータ各々の流体圧を個別で制御することが望ましい場合に第1状態に切り換えられるようにすることができる。また、一方の動力式流体圧供給装置の方が他方の動力式流体圧供給装置より供給可能な流体圧の最大値が大きい場合において、運転者の所望する要求ブレーキ力が大きい場合、前方車両との相対位置関係等から大きなブレーキ力が必要な場合等に第1状態に切り換えられるようにすることができる。
さらに、2つの動力式流体圧供給装置において、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に基づいてブレーキアクチュエータに供給する流体圧の目標値を決定する際の制御ゲインが互いに異なることがある。制御ゲインが異なればブレーキ操作状態が同じであってもブレーキの効きの程度が異なり、運転者による操作フィーリングが異なる。また、操作状態を検出する際のフィルタ特性が異なれば、応答性が異なることもある。これらの場合には、運転者による選択操作部材の操作に基づいて第1状態と第2状態とに切り換えることも可能である。
なお、切換装置は、2つの動力式流体圧供給装置のうちのいずれか一方を選択する選択装置と称することができる。
(2)当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材の操作によってそれに応じた流体圧を発生させるブレーキ操作依拠流体圧発生装置を含まない(1)項に記載のブレーキ装置。
動力式流体圧供給装置が2つ設けられれば、例えば、マスタシリンダ等のブレーキ操作依拠流体圧発生装置は不可欠ではなくなる。
【0006】
(3)前記ブレーキ操作部材の操作状態を検出するブレーキ操作状態検出装置を含む(1)項または(2)項に記載のブレーキ装置。
ブレーキ操作部材の操作状態は、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク,操作速度等で表すことができ、ブレーキ操作状態検出装置には、ブレーキ操作力検出装置,操作ストローク検出装置,操作速度検出装置等が該当する。
(4)前記ブレーキ操作部材の運転者による操作状態に応じた反力をブレーキ操作部材に付与する反力付与装置を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
ブレーキ装置に、マスタシリンダ等のブレーキ操作依拠流体圧発生装置が設けられない場合には、運転者のブレーキ操作フィーリングの低下を抑制し、違和感が生じないようにするために反力付与装置が設けられることが望ましい。ブレーキ操作部材に、操作状態に応じた反力が加えられるようにすれば、運転者は反力を感じつつブレーキ操作部材を操作することとなる。すなわち、所望のブレーキ力とブレーキ操作部材への反力とを対応付けて記憶し、その記憶に基づいてブレーキ操作部材を操作することとなるため、ブレーキ操作依拠流体圧発生装置が設けられている場合と同様のブレーキ操作フィーリングが得られ、ブレーキ力の制御が容易となる。
反力付与装置は、スプリング等の弾性部材等を含むものとすることができる。弾性部材がブレーキ操作部材の操作に応じて伸縮,湾曲等の弾性変形をさせられるようにすれば、その弾性変形に応じた反力をブレーキ操作部材に付与することができる。
なお、ブレーキ操作部材,ブレーキ操作状態検出装置,反力発生装置等によってブレーキ操作装置が構成されると考えることができる。
【0007】
(5)前記2つの動力式流体圧供給装置の少なくとも一方が、電力の供給により作動させられる電動駆動源と、その電動駆動源への供給電力を制御することにより前記ブレーキアクチュエータに供給される流体圧を制御する電力制御部とを含む電動駆動装置を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
動力式流体圧供給装置の動力駆動源としては供給電力の制御により流体圧を容易に制御可能な電動駆動源を含むものとすることが望ましい。電動駆動源としては、例えば、電動モータが該当する。
また、2つの動力式流体圧供給装置の両方が、電動駆動装置を含む場合において、これら電動駆動源、電力制御部、電動駆動源に電力を供給する電力供給装置(電源)等はそれぞれ専用に設けることが望ましい。
【0008】
(6)前記切換装置が、前記2つの動力式流体圧供給装置の少なくとも一方の状態に基づいて、前記第1状態と第2状態との間の切り換えを行う状態対応切換部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(7)前記切換装置が、前記一方の動力式流体圧供給装置の異常時に、前記第1状態から第2状態に切り換える異常時切換部を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(8)前記切換装置が、前記2つの動力式流体圧供給装置のうちの少なくとも一方の異常を検出する異常検出装置を含む(7)項に記載のブレーキ装置。
一方の動力式流体圧供給装置の異常時に他方の動力式流体圧供給装置が利用されるため、異常時にも十分な大きさの流体圧をブレーキアクチュエータに供給することができる。
2つの動力式流体圧供給装置のうちの少なくとも一方の異常が異常検出装置によって検出される。異常検出装置は、2つの動力式流体圧供給装置それぞれの異常を検出する必要は必ずしもない。たとえば、通常時には、一方の動力式流体圧供給装置が使用され、その一方の動力式流体圧供給装置の異常時に他方の動力式流体圧供給装置が使用される場合には、一方の動力式流体圧供給装置の異常が検出されればよい。
(9)前記切換装置が、車両の走行状態と運転者による選択操作部材の操作状態との少なくとも一方に基づいて、前記第1状態と第2状態との間の切り換えを行う通常時切換部を含む(1)項ないし(8)項に記載のブレーキ装置。
【0009】
(10)前記ブレーキアクチュエータが液圧により作動するブレーキシリンダである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項のブレーキ装置は、液圧ブレーキを含む液圧ブレーキ装置である。
(11)前記2つの動力式流体圧供給装置のうちの少なくとも一方が、前記ブレーキシリンダに接続された容積室と、その容積室の容積の少なくとも減少を、動力の供給により生じさせる容積可変装置とを含む(10)項に記載のブレーキ装置。
ブレーキシリンダと容積室とが連通させられた状態にあれば、容積室の容積を増加させたり、減少させたりすることにより、ブレーキシリンダの液圧を減圧、増圧させることができる。この場合において、少なくとも容積室の容積を減少させれば、ブレーキシリンダの液圧を増加させることができるのであり、ブレーキを作動させることができる。
容積可変装置は、例えば、前記液圧室に対応する受圧面を有する可動部材と、その可動部材に供給電力に応じた駆動力またはストロークを付与する電動モータとを含むものとすることができる。電動モータは少なくとも、可動部材の前方の液圧室の容積を減少可能な方向に駆動可能なものとすればよい。
本項に記載の動力式流体圧供給装置は、例えば、動力式液圧シリンダを含むものとすることができる。動力式液圧シリンダは、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンとを含み、ピストンの前方の液圧室が容積室とされ、ピストンおよびピストンを作動させる電動モータ等により容積可変装置が構成されると考えることができる。
(12)前記2つの動力式流体圧供給装置のうちの少なくとも一方が、作動液を汲み上げて加圧するポンプと動力の供給によりポンプを作動させるポンプモータとを含むポンプ装置を含む(10)項または(11)項に記載のブレーキ装置。
ポンプモータへの供給動力の制御によりポンプ装置から供給される液圧を制御することができる。また、ポンプ装置とブレーキシリンダとの間に液圧制御弁を設けることができる。その場合には、ポンプ装置からの出力液圧が一定であっても、液圧制御弁の制御により、ブレーキシリンダの液圧を制御することができる。
なお、動力式流体圧供給装置はアキュムレータを含むものとすることができる。
このように、2つの動力式流体圧供給装置の一方を前記ポンプ装置を含むものとし、他方を動力式液圧シリンダを含むものとすることができる。また、両方をポンプ装置を含むものとしたり、両方を動力式液圧シリンダを含むものとしたりすることができる。
なお、高圧のエアをブレーキアクチュエータに供給可能な動力式流体圧供給装置を、ポンプ装置を含むものとすることもできる。
【0010】
(13)流体圧により作動するブレーキアクチュエータを備え、車輪の回転を抑制するブレーキと、
ブレーキ操作部材の操作状態に応じた動力の供給により作動させられ、前記ブレーキアクチュエータに流体圧を供給可能な2つ以上の動力式流体圧供給装置と、
これら2つ以上の動力式流体圧供給装置から、前記ブレーキアクチュエータに流体圧を供給する1つの動力式流体圧供給装置を選択する供給装置選択装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置には、(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(14)流体圧により作動するブレーキアクチュエータを備え、車輪の回転を抑制するブレーキと、
動力の供給により作動させられ、前記ブレーキアクチュエータに流体圧を供給可能な2つの動力式流体圧供給装置と、
前記ブレーキアクチュエータに2つの動力式流体圧供給装置のうちのいずれか一方から流体圧が供給される第1状態と他方から流体圧が供給される第2状態とに切り換える切換装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置には、(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、液圧ブレーキ装置は、第1,第2の2つの動力式液圧源10,12、ブレーキ操作装置14、前輪16に設けられ、ブレーキシリンダ18を含むブレーキ20、後輪24に設けられ、ブレーキシリンダ26を含むブレーキ28等を含む。本実施形態においては、ブレーキシリンダ18,26がブレーキアクチュエータである。
ブレーキ20,28は、それぞれ、摩擦ブレーキであり、液圧により非回転体に保持された摩擦係合部材が車輪と共に回転させられるブレーキ回転体に押し付けられることによって、車輪16,24の回転を抑制する液圧ブレーキである。
【0012】
第1動力式液圧源10は、ポンプ30およびそのポンプ30を駆動するポンプモータ32を含むポンプ装置33と、アキュムレータ34とを含む。ポンプ30は、リザーバ36の作動液を加圧して吐出するものであり、ポンプ30から吐出された高圧の作動液がアキュムレータ34に蓄えられる。アキュムレータ34の液圧はアキュムレータ圧センサ38によって検出される。ポンプモータ32は、電力の供給により作動させられる電動モータであり、アキュムレータ圧センサ38による検出液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように制御される。ポンプ30の吐出圧側には、ポンプ30への作動液の逆流を防止するための逆止弁39が設けられている。第1動力式液圧源10とリザーバ36との間には、液圧が設定圧以上になると、第1動力式液圧源10からリザーバ36への作動液の流れを許容するリリーフ弁40が設けられている。リリーフ弁40によって第1動力式液圧源10の出力液圧が過大になることが回避される。
第1動力式液圧源10には、主液通路42および個別通路44を介して各ブレーキ20,28のブレーキシリンダ18,26が接続される。ブレーキシリンダ18,26には、アキュムレータ34に蓄えられた作動液が供給される。
なお、ポンプ30は、プランジャポンプであっても、ギヤポンプであってもよい。
【0013】
第2動力式液圧源12は、2つの動力式液圧シリンダ50,52を含む。動力式液圧シリンダ50,52は、それぞれ、ハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン54,55を含むものであり、ピストン54,55がそれぞれ電動モータ56,57の駆動により作動させられる。ピストン54,55のピストンロッド58,59が電動モータ56,57の出力軸に駆動伝達装置60,61を介して連携させられ、電動モータ56,57の駆動によってピストン54,55が移動させられる。ハウジングの底部とピストン54,55との間にはスプリング62,63が配設される。駆動伝達装置60,61は、電動モータ56,57の回転を直線運動に変換する運動変換装置でもある。また、ピストン54,55の前方の液圧室64,65には、液通路66,67を介して左前輪のブレーキシリンダ18,左後輪のブレーキシリンダ26がそれぞれ接続される。
【0014】
電動モータ56,57が作動させられると、その駆動力が駆動伝達装置60,61を経てピストン54,55に伝達される。ピストン54,55はスプリング62,63の付勢力に抗して前進(液圧室64,65の容積が減少する方向)させられ、液圧室64,65の容積が減少させられる。液圧室64,65の液圧が増加し、ブレーキシリンダ18,26の液圧が増加する。ピストン54,55には、少なくとも、前進方向の力が加えられればよく、ピストンロッド58,59と電動モータ56,57の出力軸とは必ずしも連結されていなくてもよい。少なくとも電動モータ56,57の前進方向の駆動力が伝達され得る状態で係合させられていればよいのである。
【0015】
ブレーキシリンダ18,26の液圧の方が液圧室64,65の液圧より高い場合には、ブレーキシリンダ18,26から液圧室64,65に作動液が供給され、液圧室64,65の液圧が増加させられる。電動モータ56,57に電力が供給されない場合には、液圧室64,65の液圧によって電動モータ56,57の逆方向(ピストン54,55が後退する方向)の回転が許容され、ピストン54,55の後退が許容される。第1動力駆動源10の作動中においては、ピストン54,55は後退端位置まで戻されることが多い。本実施形態においては、駆動伝達装置(運動変換装置)60,61がボールねじ機構を含むものであるため、逆効率がよく、液圧室64,65の液圧によって電動モータ56,57が容易に回転させられるのである。
本実施形態においては、液圧室64,65が容積室に対応し、ピストン54,55、電動モータ56,57および駆動伝達装置60,61等によって容積可変装置が構成される。
【0016】
左右前輪16の2つのブレーキシリンダ18、左右後輪24の2つのブレーキシリンダ26は、互いに連結通路70,71によって連結される。それぞれの連結通路70,71には、連通弁72,73がそれぞれ設けられる。連通弁72,73はソレノイドに電流が供給されない場合に開状態にある常開弁であり、開状態において、第2動力式駆動源12の液圧がすべてのブレーキシリンダ18,26に供給されることになる。
【0017】
また、個別通路44には、それぞれ、個別液圧制御弁装置としてのリニアバルブ装置80が設けられる。リニアバルブ装置80は、それぞれ、増圧用リニアバルブ90と減圧用リニアバルブ92とを含むものであり、増圧用リニアバルブ90が上述の個別通路44に設けられ、減圧用リニアバルブ92がブレーキシリンダ18,26とリザーバ36とを接続する液通路94に設けられる。ブレーキシリンダ18,26の液圧が、第1動力式液圧源10の液圧を利用して、リニアバルブ装置80の制御により別個に制御され得る。
【0018】
増圧用リニアバルブ90,減圧用リニアバルブ92は、図2に示すように、いずれも常閉弁であり、コイル100を含むソレノイド102と、弁子104および弁座106とスプリング108とを含むシーティング弁110とを含む。
シーティング弁110においては、弁子104を弁座106に着座させる方向にスプリング108の付勢力が作用するとともに、弁子104を弁座106から離間させる方向に当該リニアバルブの前後の液圧差に応じた差圧作用力とコイル100への供給電流量に応じた電磁駆動力とが作用する。
コイル100に電流が供給されない状態において、差圧作用力がスプリング108の付勢力より小さい場合は、弁子104が弁座106に着座させられた閉状態に保たれるが、差圧作用力が付勢力より大きい場合は、弁子104が弁座106から離間させられる。
コイル100に電流が供給される状態においては、弁子104の弁座106に対する相対位置が、電磁駆動力,スプリング108の付勢力,差圧作用力の関係によって決まるのであり、相対位置が電磁駆動力の制御によって制御される。
【0019】
増圧用リニアバルブ90に加えられる差圧作用力は、ポンプ装置12の液圧(アキュムレータの液圧)とブレーキシリンダ液圧との差に応じた力であり、減圧用リニアバルブ92に加えられる差圧作用力は、ブレーキシリンダ液圧とリザーバ36の液圧との差に応じた力であり、リザーバ36の液圧はほぼ大気圧であるため、ブレーキシリンダの液圧に応じた力になる。いずれにしても、電磁駆動力を制御すれば(コイル100への供給電流を制御すれば)、ブレーキシリンダの液圧を制御することができる。
【0020】
また、液通路72の増圧用リニアバルブ90と第1動力式液圧源10との間には、液圧センサ120が設けられている。液圧センサ120によって増圧用リニアバルブ90の高圧側の作動液の液圧が検出される。増圧用リニアバルブ90の高圧側の液圧として液圧センサ120による検出値が採用されれば、第1動力式液圧源10と増圧用リニアバルブ90との間の圧力損失の影響を小さくすることができ、アキュムレータ圧センサ38による検出値を採用する場合に比較して、リニアバルブ装置80の制御精度を向上させることができる。
【0021】
ブレーキ操作装置14は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル130、ブレーキペダル130に運転者によって加えられる操作力を検出する操作力センサ132、反力付与装置134等を含む。
ブレーキペダル130は、図3に示すように、一端部において車体側部材140にピン141の回りに回動可能に支持され、他端部にブレーキパッド142が設けられる。中間部には、クレビス144を介してロッド146が連結される。
ブレーキペダル130にはレバー150の一端部がピン152を介して回動可能に連結される一方、クレビス144にピン154を介して軸方向に僅かな移動および回動を許容した状態で連結される。
レバー150の他端部とブレーキペダル130とに、それぞれスプリングリテーナ160,162が設けられ、これらの間にスプリング164が設けられる。上述の操作力センサ132の本体が、ブレーキペダル130側のスプリングリテーナ162に取り付けられる。
【0022】
操作力センサ132は、ハウジングと、そのハウジングに移動可能に収容された可動部材166と、可動部材166をハウジングから突出する向きに付勢する弾性部材としての図示しないスプリングとを含む。可動部材166は、本体からレバー150側に突出した状態で設けられ、レバー150の、可動部材166に対向する部分に設けられた係合部材168に加えられる操作力を受ける。この意味に置いて係合部材168を操作力伝達部材と称することができる。
操作力センサ132は、可動部材166のストロークに応じて変化する信号を出力する。可動部材166のストロークと係合部材168に加えられる操作力とが対応するようにされているため操作力に応じた信号を出力することになる。操作力センサ132は、可動部材166の直線的な変位を電気抵抗の変化に基づいて検出する直線型ポテンショメータ式のものとしたり、可動部材166の変位を電磁誘導を利用して検出する差動トランス式のものとしたり、可動部材166の変位を半導体の磁気抵抗効果を利用して非接触で検出する半導体磁気抵抗素子変位センサとしたりすることができる。
【0023】
反力付与装置134は、前記ロッド146に連結された連結部材170と、連結部材170をガイドするガイド部材172と、連結部材170の移動に応じた弾性力を発生させるスプリング等の弾性部材174とを含み、ブレーキペダル130に加えられた操作力に応じた弾性力を発生し、運転者に反力を付与する。
ブレーキペダル130が踏み込まれると、レバー150が時計回りに回動させられ、それによって、係合部材168が可動部材166に当接し、可動部材166が移動させられる。ブレーキパッド142に加えられた操作力とレバー150の係合部材168によって可動部材166に加えられる力との間には予め関係が成立するため、可動部材166のストロークに基づけば操作力を求めることができる。また、ブレーキペダル130の回動に伴うロッド146の移動に伴って運転者には反力が付与される。
【0024】
本液圧ブレーキ装置は、ブレーキ液圧制御装置180によって制御される。図4に示すように、ブレーキ液圧制御装置180は、4つのCPU182〜188,記憶部189等を有するコンピュータを主体とするものである。
4つのCPU182〜188のうちの2つのCPU182,184がメインCPUでCPU186,188がサブCPUである。また、CPU182,186が第1動力式液圧源10等を制御するためのものであり、CPU184,188が第2動力式液圧源12等を制御するためのものである。
第1動力式液圧源10が正常な場合には、メインCPU182は、ブレーキ操作力に基づいてリニアバルブ装置80を制御する。また、メインCPU182の指令に基づいて、アンチロック制御、トラクション制御、ビークルスタビリティ制御等がリニアバルブ装置80の制御により行われる。
メインCPU184は、後述する第1状態においてはメインCPU182を監視し、第2状態においてはブレーキ操作力に基づいて電動モータ56,57を制御する。
サブCPU186はメインCPU182の監視用であり、サブCPU188はメインCPU184の監視用である。
記憶部189には、図5のフローチャートで表される切換プログラム等が格納されている。
【0025】
上述のアキュムレータ圧センサ38,液圧センサ120、操作力センサ132、ブレーキシリンダ18,26の液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ190、各車輪16,24の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ192、エンコーダ194,196等が図示しない入力部に接続され、ポンプモータ32、電動モータ56,57、各リニアバルブ装置80のコイル100、連通弁72,73等が図示しない出力部に駆動回路を介して接続される。エンコーダ194,196は、第2動力式液圧源12における電動モータ56,57の回転数を検出するものであり、電動モータ56,57の回転数に基づいて動力式液圧シリンダ50,52におけるピストン54,55のストロークが検出される。
CPU182は、アキュムレータ圧センサ38の出力信号に基づいてポンプモータ32を制御するとともに、操作力センサ132、液圧センサ120,ブレーキ液圧センサ190の出力信号等に基づいて各リニアバルブ装置80等を制御する。
CPU184は、操作力センサ132,エンコーダ194,196等の出力信号等に基づいて電動モータ56,57等を制御する。
【0026】
また、本液圧ブレーキ装置には電源も2つ設けられる。電源200が、第1動力式液圧源10等に電力を供給するものであり、電源202が、第2動力式液圧源12等に電力に供給するものである。電源200,202はそれぞれ、12V、42V、キャパシタ(コンデンサ)等とすることができる。例えば、電源200,202の両方を12Vのものしたり、42Vのものとしたり、キャパシタとしたり、一方を12Vのものとし他方を42Vのものとしたり、一方を12Vまたは42Vのものとし他方をキャパシタとしたりすることができる。
このように、本実施形態においては、第1動力式液圧源10と第2動力式液圧源12とで、電源200,202が別にされ、かつ、CPUも別にされているため、一方に異常が生じても他方を作動させることができるのであり、フェールセーフが図られている。
なお、電源200は、第1動力式液圧源10の液圧によるブレーキ液圧の制御に必要なセンサにも電力を供給し、電源202は、第2動力式液圧源12の液圧によるブレーキ液圧の制御に必要なセンサにも電力を供給するものとすることができる。
本実施形態においては、第1動力式液圧源10、液通路42,44、リニアバルブ装置80、CPU182,186、電源200等により第1動力式液圧供給装置210が構成され、第2動力式液圧源12,液通路66,67、連結通路70,71、CPU184,188、電源202等により第2動力式液圧供給装置212が構成される。
【0027】
次に作動について説明する。
第1動力式液圧供給装置210が正常な場合には、第1動力式液圧源10(アキュムレータ34)の液圧を利用してブレーキシリンダ18、26の液圧が制御される。操作力センサ132によって検出されたブレーキ操作力に基づいて目標ブレーキ液圧が決定され、実際のブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧に近づくようにリニアバルブ装置80が制御される。この状態が第1状態である。ブレーキ液圧の制御はフィードバック制御でもフィードフォワード制御でもよい。
第1動力式液圧供給装置210に異常が検出された場合には第2状態に切り換えられ、第2動力式液圧源12の液圧がブレーキシリンダ18,26に供給される。
第1動力式液圧供給装置210の異常には、電源200,CPU182,186、ポンプモータ32の異常等の電気系統の異常や液通路42,44における液漏れ等が該当する。電気系統の異常は、イニシャルチェック時に検出され、液漏れは第1動力式液圧源10の作動中の液圧センサ120,ブレーキ液圧センサ190等の出力信号に基づいて検出される。
【0028】
第2状態においては、ブレーキ操作力に基づいて目標ブレーキ液圧が求められ、液圧室64,65の液圧が目標ブレーキ液圧に近づくように、電動モータ56,57への供給電流が制御される。電動モータ56,57の作動によりピストン54,55が前進させられ、液圧室64,65の液圧が増加させられ、ブレーキシリンダ18,26に供給される。液圧室64,65の目標液圧に基づいてピストン54,55の目標ストロークが求められ、それに基づいて電動モータ56,57へ電流が供給される。第1状態においては、ピストン54,55は後退端位置にあるため、ピストン54,55のストロークに基づいて液圧室64,65の液圧を制御することができる。この状態において、リニアバルブ装置80は図示する原位置にあり、第1動力式液圧源10への作動液の逆流が阻止される。なお、第2状態においては、ピストン54,55を後退させて液圧室64,65の容積を増加させることによって、ブレーキシリンダの液圧を減圧させることも可能である。
このように、第1状態においては、ピストン54,55が後退端位置まで後退させられるため、第2動力式液圧源12における作動液不足が生じることを回避することができる。また、エンコーダ194,196の0点を検出することができる。
【0029】
なお、液圧室64,65の液圧を検出する液圧センサを設け、液圧センサによって検出された実際の液圧室の液圧が目標液圧に近づくように、電動モータ56,57への供給電流が制御されるようにすることができる。また、エンコーダ194,196によって検出された回転数が目標ブレーキ液圧に対応する大きさになるように電動モータ56,57が制御されるようにすることもできる。
また、第1状態においても第2状態においても、ブレーキ液圧はブレーキ操作状態に基づいて制御されるのであるが、これらの制御特性は同じにしても異なっていてもよい。例えば、第2状態においては第1状態における場合より高い応答性は不要であるが供給可能な液圧を大きくすることが望ましい。そのため、目標ブレーキ液圧を決定する際の制御ゲインを第1状態における場合より大きくし、トルク重視の制御とすることができる。
【0030】
図5の切換プログラムを表すフローチャートにおいて、ステップ1(以下、S1と略称する、他のステップについても同様とする)において、ブレーキペダル130が操作中か否かが判定される。ブレーキ操作中であることは、ブレーキ操作力センサ132による検出値が設定値以上になったこと等によって検出することができるが、操作力センサ132とは別にブレーキスイッチを設けてもよい。
ブレーキ操作中である場合には、S2において、第1動力式液圧供給装置210が正常であるか否かが判定される。正常である場合には、S3において、第1状態にされる。リニアバルブ装置80の制御により第1動力式液圧源10の液圧を利用してブレーキシリンダ18,26の液圧が制御される。異常である場合には、S4において、第2状態とされ、第2動力式液圧源12の制御によりブレーキシリンダ18,26の液圧が制御される。
【0031】
このように、本実施形態においては、第1動力式液圧供給装置210の異常時でも第2動力式液圧供給装置212から供給される液圧によってブレーキが作動させられる。動力式液圧供給装置が1つしか設けられていない場合には、その動力式液圧源に異常が生じると、運転者によるブレーキ操作力に応じた液圧が発生させられるマスタシリンダ等のマニュアル式液圧源の液圧がブレーキに供給されることになり、ブレーキ液圧が十分とはいえないことがあった。それに対して、本ブレーキ装置においては、2つの動力式液圧供給装置210,212が設けられるため、一方に異常が生じても他方の液圧をブレーキに供給することができ、十分なブレーキ液圧が得られる。本実施形態においては、動力式液圧源、電源、メインCPU、サブCPUがそれぞれ2つずつ、第1,第2動力式液圧供給装置210,212に専用に設けられているため、安全性を向上させることができる。
また、第1状態においても第2状態においてもブレーキ液圧がブレーキ操作状態に基づいて制御されるため、一方に異常が生じても、運転者による操作フィーリングの低下を抑制することができる。
さらに、第2動力式液圧源12が動力式液圧シリンダ50,52の液圧室64,65の容積を制御することによってブレーキシリンダ18,26の液圧が制御されるようにされている。そのため、第2動力式液圧源12の液圧を制御するための専用の電磁制御弁が不要となり、その分、ブレーキ装置の構造を簡単にし、コストアップを抑制することができる。
【0032】
なお、第2動力式液圧源12は前輪16のブレーキシリンダ18に接続されて、後輪24のブレーキシリンダ26に接続されないようにすることもできる。ブレーキは主として前輪のブレーキシリンダの液圧により作動させられるからである。また、電動モータ56,57はそれぞれ別個に制御することもできる。この場合には、前輪16側と後輪24側とで、ブレーキ液圧が異なることなる。
さらに、上記実施形態においては、第2動力式液圧源12が2つの動力式液圧シリンダ50,52を含むものであり、これらが別個に電動モータ56,57によって作動させられるものであったが、2つの動力式液圧シリンダ50,52に対して電動モータを1つとし、これらに共通とすることもできる。図6において、第2動力式液圧源250は、2つの液圧シリンダ50,52と、1つの電動モータ254とを含む。2つの液圧シリンダ50,52それぞれにおいて、電動モータ254の駆動により2つのピストン54,55が同様に作動させられる。
なお、第2動力式液圧源以外の部分や制御については、上記実施形態における場合と同様であるため、説明を省略する。以下の実施形態についても同様とする。
【0033】
さらに、動力式液圧シリンダは、1つのハウジングに対して2つの液圧室を含むものとすることができる。図7に示すように、第2動力式液圧源300に含まれる動力式液圧シリンダ302は、ハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合された2つの加圧ピストン304,306を含み、加圧ピストン304,306の前方がそれぞれ液圧室310,312とされる。これら液圧室310,312に液通路66,67を介してブレーキシリンダ18,26が接続される。ピストン304とハウジングとの間、2つの加圧ピストン304,306の間には、それぞれリターンスプリングが配設され、加圧ピストン304,306を後退方向に付勢する。加圧ピストン306のピストンロッド316には、電動モータ318の出力軸が駆動伝達装置320を介して連携させられ、電動モータ318の駆動力がピストン306に加えられ、液圧室312の液圧が駆動力に応じた大きさに制御される。この場合において、加圧ピストン304の前後の液圧室310,312の液圧は同じ大きさにされ、ブレーキシリンダ18,26の液圧も同じ大きさにされる。また、加圧ピストン306を駆動ピストン、加圧ピストン304を従動ピストンまたは浮動ピストンと称することができる。
本実施形態においては、液通路66,67に電磁開閉弁330,332が設けられる。電磁開閉弁330,332は電流が供給されない場合に開状態にある常開弁である。
電磁開閉弁330,332は、第1状態において閉状態とされて、第2動力式駆動源300がブレーキシリンダ18,26から遮断される。本実施形態においては、ブレーキシリンダ18,26から作動液が液圧室310,312に戻されないようにされているのである。
【0034】
また、図8に示すように、2つの動力式液圧源350,352の両方をポンプ装置を含むものとすることができる。2つの動力式液圧源350,352は、それぞれ、ポンプ360,362およびポンプモータ364,366を含むポンプ装置368,370を含むものであり、リザーバ372,アキュムレータ374,アキュムレータ圧センサ376を共通に含む。この場合においても、動力式液圧源350のポンプ装置368の異常時に動力式液圧源370のポンプ装置370を作動させることができる。また、それぞれのポンプ360,362の吐出側に逆止弁378,380が設けられているため、一方が作動状態とされて他方が非作動状態とされても、一方から他方へ高圧の作動液が逆流することが回避される。本実施形態においては、液通路66,67が不要である。また、連通弁72,73および連通路70,71等も不可欠ではない。
【0035】
また、上記実施形態においては、入力操作系としてブレーキペダル130の操作状態としてブレーキ操作力が検出されるようにされていたが、ブレーキペダル130のストロークが検出されるようにすることができる。操作力センサ132の構造についても上記実施形態における場合のそれに限らない。例えば、ブレーキペダル130の歪みに基づいて踏力を検出する歪みゲージを含むものとすることができる。
さらに、反力付与装置の構造等は問わない。作動液を含むものとしたり、コイルスプリングの代わりに板ばね等を含むもの等としたりとすることができる。
【0036】
また、上記各実施形態においては、2つの動力式液圧源の一方がポンプ装置を含み、他方が動力式液圧シリンダを含む場合において、ポンプ装置を含む動力式液圧源が主として使用されるようにされていたが、逆に、動力式液圧シリンダを含む動力式液圧源が主として使用されるようにしてもよい。
さらに、2つとも動力式液圧シリンダを含むものとすることもできる。
また、第1動力式液圧源10において、アキュムレータ34は不可欠ではない。この場合には、ポンプモータ32の制御によりポンプ30から吐出される作動液の液圧を制御することができる。第1動力式液圧源の制御によりブレーキシリンダの液圧が制御されるのである。また、個別液圧制御弁装置が不可欠ではなくなる。それに対して、個別液圧制御弁装置は、リニアバルブ装置80ではなく複数の電磁開閉弁を含むものとすることができる。この場合には、第1状態において、電磁開閉弁の制御によりブレーキ液圧が制御されることになる。
【0037】
また、上記実施形態においては、第1動力式液圧供給装置210と第2動力式液圧供給装置212とで、CPUが個々に設けられていたが、コンピュータが個々に設けられてもよい。逆に、サブCPUは不可欠ではない。
さらに、上記各実施形態においては、第1動力式液圧源10が正常な場合に、原則として、第1状態とされるようにされていたが、それに限らない。例えば、運転者による選択操作部材の操作によって選択されるようにすることができる。第1状態と第2状態とでは操作フィーリングが異なるため運転者の意図に応じていずれか一方が選択されるようにすることができるのである。また、ブレーキ作動回数、ブレーキ作動時間(累積作動時間または作動継続時間)等によっていずれか一方が選択されるようにすることができる。このようにすれば、電動モータ等の動力駆動源の寿命を長くすることができる。
【0038】
また、第1状態において、第2動力式液圧源12の電動モータ56,57に保持トルクが加えられれば、ピストン54,55が後退させられることを阻止することができる。同様に、電動モータ56,57を超音波モータとすれば、保持トルクを加えなくても、液圧室64,65の液圧によりピストン54,55が後退させられることを阻止することができる。電動モータ56.57がブレーキ機能付きのものとしても同様の効果が得られる。
さらに、駆動伝達装置(運動変換装置)60,61がボールねじ機構を含むものとされていたが、通常のねじ機構を含むものとすることができる。この場合には、駆動用電動モータ56,57に保持トルクが加えられなくても、液圧室64,65の液圧によってピストン54,55が後退させられることがない。
【0039】
また、ブレーキ装置は前後2系統ではなく、X配管のものとすることもできる。さらに、ブレーキ装置に動力式供給装置を3つ以上設けることもできる。
また、液圧ブレーキ装置でなく、エアブレーキ装置に適用することもできる。この場合には、各車輪毎に設けられたブレーキアクチュエータとしてのブレーキチャンバに第1動力式エア圧源、第2動力式エア圧源のいずれかのエア圧が供給される。この場合においても、第1動力式エア圧源の異常時に、マニュアルブレーキに頼ることがなくなり、十分なブレーキ力を得ることができる。
エアブレーキ装置においては、ブレーキ操作力はブレーキ操作部材の操作継続時間等に基づいて検出することができる。
【0040】
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置の回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置のリニアバルブ装置を示す図である。
【図3】上記ブレーキ装置のブレーキペダル周辺を示す図である。
【図4】上記ブレーキ装置のブレーキ制御装置を概念的に示す図である。
【図5】上記ブレーキ制御装置の記憶部に記憶された切り換えプログラムを表すフローチャートである。
【図6】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部回路図である。
【図7】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図である。
【図8】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の回路図である。
【符号の説明】
10,12動力式液圧源
18,26ブレーキシリンダ
33ポンプ装置
50,52動力式液圧シリンダ
80リニアバルブ装置
132操作力センサ
180ブレーキ液圧制御装置
210,212動力式液圧供給装置
250第2動力式液圧源
300第2動力式液圧源
302動力式液圧シリンダ
350,352動力式駆動源
368,370ポンプ装置

Claims (5)

  1. 液圧により作動させられるブレーキシリンダを備え、車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    動力の供給により作動させられ、前記ブレーキシリンダにブレーキ操作部材の操作状態に応じた液圧を供給可能な2つの動力式液圧供給装置と、
    前記ブレーキシリンダに2つの動力式液圧供給装置のうちのいずれか一方から液圧が供給される第1状態と他方から液圧が供給される第2状態とに切り換える切換装置とを含むブレーキ装置であって、
    前記いずれか一方の動力式液圧供給装置が、
    作動液を汲み上げて加圧するポンプと動力の供給によりポンプを作動させるポンプモータとを備えたポンプ装置と、
    そのポンプ装置と前記ブレーキシリンダとの間に設けられた液圧制御弁と、
    その液圧制御弁をブレーキ操作状態に基づいて制御することにより前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する第1制御部とを含み、
    前記他方の動力式液圧供給装置が、
    電動モータと、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能であって前記電動モータの駆動により作動させられるピストンとを備え、前記ピストンの前方の液圧室に前記ブレーキシリンダが接続された動力式液圧シリンダと、
    前記電動モータの回転を直線運動に変換するとともに、前記電動モータの駆動力を前記ピストンに伝達し、かつ、前記電動モータに電流が供給されない状態で、前記液圧室の液圧による前記電動モータの、前記ピストンを後退させる向きの回転を許容する駆動伝達装置と、
    前記電動モータへの供給電流をブレーキ操作状態に基づいて制御することにより、前記ピストンの前方の液圧室の液圧を制御して、前記ブレーキシリンダに供給される液圧を制御する第2制御部とを含み、
    前記切換装置が、前記一方の動力式液圧供給装置の異常時に、前記第1状態から第2状態に切り換える異常時切換部を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記一方の動力式液圧供給装置が、前記ポンプ装置に電力を供給する第1電源を含み、前記他方の動力式液圧供給装置が、前記動力式液圧シリンダに電力を供給する、前記第1電源とは別の第2電源を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記一方の動力式液圧供給装置が、前記液圧制御弁を制御する第1CPUを含み、前記他方の動力式液圧供給装置が、前記動力式液圧シリンダの前記電動モータへの供給電流を制御する、前記第1CPUとは別個の第2CPUを含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。
  4. 当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材の操作によってそれに応じた反力を前記ブレーキ操作部材に付与する反力付与装置を含み、前記ブレーキシリンダに、前記ブレーキ操作部材の操作により液圧を発生させ、その液圧を前記ブレーキシリンダに供給するマスタシリンダを含まない請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  5. 前記ブレーキシリンダが複数設けられ、前記一方の動力式液圧供給装置が、前記複数のブレーキシリンダの各々に対応して設けられた個別液圧制御弁装置を含み、前記切換装置が、前記複数のブレーキシリンダの液圧を個別に制御する場合に、前記第1状態とする切換部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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