以下に添付図面を参照して、この発明にかかる碍子連吊上げ装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(碍子連吊上げ装置の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置の構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置を示す説明図である。図1においては、不使用時における碍子連吊上げ装置の全体を示している。図2においては、図1に示した碍子連吊上げ装置を、図1における矢印A方向から見た状態を示している。
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置100は、一対の支持部材101を備えている。一対の支持部材101を構成する各支持部材101a、101bは、絶縁性の良好な材料を用いて形成され、棒形状をなしている。各支持部材101a、101bの外径は、円柱形状であることが好ましい。各支持部材101a、101bの外径を円柱形状とすることにより、支持部材101(101a、101b)を把持する際の方向や各支持部材101a、101bの姿勢を意識する必要がないので、使いやすい。各支持部材101a、101bの長手方向の寸法は、吊上げ対象とする碍子連(図3および図4を参照)の長さと同等あるいは当該碍子連の長さよりも長いことが好ましい。
各支持部材101a、101bの外周面には、吊りフック102が設けられている。吊りフック102は、支持部材101a、101bの外周面の一部を利用した環形状をなしている。吊りフック102は、鈎形状であってもよく、あるいは、独立した環形状をなしていてもよい。
吊りフック102は、絶縁性の良好な材料を用いて形成されている。吊りフック102は、支持部材101a、101bと一体に形成することができる。吊りフック102は、支持部材101a、101bとは別に形成された後に、ボルトや接着剤などを用いて一体化されたものであってもよい。
一対の支持部材101の間には、布ベルト(帯状部材)103が設けられている。碍子連吊上げ装置100は、複数の布ベルト103を備えている。布ベルト103は、一定の幅をもった帯形状をなしている。布ベルト103は、長手方向の一端が、一対の支持部材101のうちの一方の支持部材101aに固定されている。また、布ベルト103は、長手方向の他端が、一対の支持部材101のうちの他方の支持部材101bに固定されている。これにより、一対の支持部材101は、布ベルト103によって連結されている。一対の支持部材101を布ベルト103によって連結することにより、碍子連吊上げ装置100は、全体として梯子状の外観をなしている。
この実施の形態1の布ベルト103は、長手方向の両端を折り返し、端部を当該布ベルト103に固定することによって形成されたループ201を備えている。これにより、布ベルト103は、ループ201に支持部材101を貫通させることによって当該支持部材101に取り付けることができる。布ベルト103は、吊上げ対象とする碍子連の大きさや、当該碍子連を構成する懸垂碍子(図3および図4を参照)の数などに応じた数を支持部材101に取り付けることができる。
このように、ループ201に支持部材101を貫通させることによって当該支持部材101に布ベルト103を取り付けることにより、たとえば、布ベルト103の両端に紐を取り付けて当該紐を支持部材101に結びつけることによって、当該支持部材101に布ベルト103を取り付ける場合と比較して、取り付けや取り外しを容易に短時間でおこなうことができる。また、ループ201に支持部材101を貫通させることによって当該支持部材101に布ベルト103を取り付けることにより、たとえば、吊上げ作業の途中で布ベルト103が支持部材101から外れてしまうことを確実に防止できる。
布ベルト103は、柔軟性を有する材料によって形成された帯形状をなす。布ベルト103は、紐やロープのように立体的な形状ではなく、厚みが薄く、一定の幅のある形状であることが好ましい。布ベルト103を、一定の幅をもたせた形状とすることにより、吊上げ作業に際して、布ベルト103が碍子連に接触する面積を確保することができる。これにより、布ベルト103と碍子連との間に適度な摩擦を生じさせ、吊上げ作業に際して碍子連を安定して吊上げることができる。
具体的には、布ベルト103は、たとえば、化学繊維や天然繊維などの繊維を織って製造された布によって実現することができる。たとえば、化学繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、など、絶縁性に優れた、公知の各種の材料を用いて形成された繊維を用いることができる。天然繊維としては、たとえば、麻、綿などを用いることができる。また、布ベルト103は、布のように織られることによって製造されたものに限らず、たとえば、ゴムやビニールなど絶縁性の良好な材料を用いて形成されたシートなどによって実現することができる。
また、碍子連吊上げ装置100は、キャップ部材104を備えている。キャップ部材104は、断面が楕円形状の有底筒形状をなし、支持部材101の端部に被せることができる凹部104aを備えている。凹部104aの形状は、支持部材101の外径と略同等の内径の2つの円を連結した楕円形状とされている。これにより、2本並べた支持部材101の端部をまとめて覆うように、支持部材101の端部にキャップ部材104を被せることができる。
キャップ部材104は、楕円形状の1つの凹部104aを備えた形状に限るものではなく、支持部材101の外径と略同等の内径の2つの凹部を備えた形状であってもよい。並べた状態の支持部材101の端部にキャップ部材104を被せることにより、一対の支持部材101を固定することができる。
キャップ部材104は、各支持部材101a、101bの両端に被せることができるよう、1つの碍子連吊上げ装置100に対し、2個ずつ設けることができる。キャップ部材104は、並べた状態の各支持部材101a、101bの少なくとも一方の端部に被せるものであればよく、碍子連吊上げ装置1001つに対し、少なくとも1つ設けられていればよい。
キャップ部材104は、支持部材101と別体であってもよく、図示を省略する紐や鎖などを用いて一方の支持部材101a部材の端部に取り付けることによって支持部材と一体にされていてもよい。キャップ部材104を支持部材101と一体に設ける場合、各支持部材101a、101bの一方の端部に取り付けることが好ましい。これにより、それぞれの支持部材101a、101bがキャップ部材104を一体に備えることになり、たとえば、任意の支持部材101どうしを組み合わせて使用する場合にも、常に、キャップ部材104が用意されていることになる。
(碍子連吊上げ装置100の使用方法)
図3および図4は、この発明にかかる実施の形態の碍子連吊上げ装置100を用いて吊上げる碍子連を示す説明図である。図3および図4に示すように、碍子連301は、複数の懸垂碍子401を連結することによって構成されている。碍子連301は、たとえば、鉄塔302などの電気設備に取り付けられる。具体的に、碍子連301の一端は、アークホーンなどを備えた支持金具402を介して、鉄塔302におけるアーム303の先端に固定されている。碍子連301の他端は、送電線304を挟持することによって固定するクランプやアークホーンなどを備えた支持金具403を介して、送電線304に連結されている。
上述したように、図3および図4に示すような、懸垂碍子401の連結方向を水平方向に揃えた状態で取り付けられる碍子連301は、碍子連301の自重などによって碍子連301にたわみが発生していると、碍子連301と鉄塔302との連結点が合わなくなってしまう。図5および図6は、従来の方法によって吊上げた状態の碍子連301を示す説明図である。
図5においては、碍子連301の1箇所にロープ501をかける、「1点吊り」によって吊上げる場合の碍子連301を示している。図6においては、碍子連301の2箇所にロープ501をかける、「2点吊り」によって吊上げる場合の碍子連301を示している。図5および図6に示すように、従来のように碍子連301に直接ロープ501をかけて引き上げる方法は、碍子連301にたわみが生じてしまっていた。
碍子連301を構成する個々の懸垂碍子401は10Kg以上の重量があり、複数の懸垂碍子401が連結された碍子連301を碍子連301に生じたたわみを矯正するために作業員が鉄塔302上において作業員自身の体で碍子連301を支えることは作業員に大きな負担がかかってしまう。これに対し、この発明にかかる実施の形態の碍子連吊上げ装置100を用いることにより、碍子連301をたわませることなく吊上げることができる。
図7および図8は、この発明にかかる実施の形態の碍子連吊上げ装置100を用いた、碍子連301の吊上げ作業を示す説明図である。碍子連吊上げ装置100を用いた碍子連301の吊上げ作業に際しては、まず、図7に示すように、碍子連吊上げ装置100を吊上げ対象とする碍子連301に取り付ける。
具体的には、碍子連吊上げ装置100における一方の支持部材101aの長さ方向を碍子連301の連結方向に沿わせて、当該一方の支持部材101aの位置を固定する。このとき、碍子連吊上げ装置100における各布ベルト103が、懸垂碍子401どうしの連結部分(外径が細くなっている部分)の位置に位置付けられるように、碍子連301に対する一方の支持部材101aの位置を合わせる。
つぎに、一方の支持部材101aの位置を固定した状態で、布ベルト103を碍子連301に巻き付けるようにして、他方の支持部材101bを移動させる。他方の支持部材101bは、碍子連301を構成する各懸垂碍子401を布ベルト103によって覆ってから、一方の支持部材101aに隣り合うように移動させる(図7における矢印Bを参照)。そして、並べられた一対の支持部材101の端部にキャップ部材104を被せる。これにより、一対の支持部材101がキャップ部材104によって抱き合わされた状態となり、碍子連301を構成する各懸垂碍子401を布ベルト103によって確実に保持することができる。
つぎに、図8に示すように、支持部材101に設けられた吊りフック102に、鉄塔302に取り付けられた滑車(図示を省略する)にわたされたロープ501などを引っ掛ける。ロープ501は、隣り合うように並べられた状態の一対の支持部材101のそれぞれに設けられた吊りフック102のうち、隣り合う(対向する)吊りフック102どうしをまとめる(引き寄せる)ようにして引っ掛ける。碍子連301の吊上げに際しては、ロープ501に代えて、クレーンの先端のフックなどを吊りフック102に引っ掛けてもよい。
つぎに、一対の支持部材101のそれぞれにロープ501を引っ掛けた状態で当該ロープ501を巻き上げることによって、支持部材101を鉄塔302の上に引き上げる。これにより、支持部材とともに、碍子連301を地上から鉄塔302上まで吊上げることができる。
このとき、各布ベルト103を、懸垂碍子401どうしの連結部分(外径が細くなっている部分)の位置に合わせ、かつ、棒状(直線状)の支持部材を介して碍子連301を吊上げることにより、各布ベルト103が懸垂碍子401どうしを支える部分と、当該布ベルト103を支持する支持部材との距離が等しくなり、碍子連301を支持部材の形状に沿った状態(直線状)としたまま、たわませることなく吊上げることができる。これにより、懸垂碍子401どうしの接触を防止でき、これによって懸垂碍子401の損傷を防止することができる。
また、このとき、フックやロープ501を、隣り合う(対向する)吊りフック102どうしをまとめる(引き寄せる)ようにして引っ掛けているため、一対の支持部材101に対して、碍子連301の自重によって当該一対の支持部材101を鉛直方向下方へ引っ張る力が加わると、その引っ張る力は、吊りフック102を介してフックやロープ501を下方へ引っ張る力として作用する。これにより、吊りフック102に対しては、フックやロープ501により、吊りフック102どうしすなわち一対の支持部材101が互いにくっつくような力が作用する。そして、これにより、複雑なロック機構を設けることなく、吊上げ作業中に一対の支持部材101の間に隙間が生じるなどして、碍子連吊上げ装置100から碍子連301が落下することを確実に防止できる。
そして、鉄塔302上において、碍子連301と鉄塔302との連結点を合わせ、当該碍子連301を鉄塔302に取り付ける。このときも、碍子連301に取り付けた碍子連吊上げ装置100を吊った状態のまま、当該碍子連301を鉄塔302に取り付ける作業をおこなうことにより、碍子連301をたわませることなく、当該碍子連301と鉄塔302との連結点を合わせることができる。これにより、碍子連301と鉄塔302との連結点を容易かつ確実に合わせることができ、作業者に負担をかけることなく、作業を容易かつ確実におこなうことができる。
また、碍子連301がたわんでいることによる、碍子連301のたわみを矯正する作業をおこなう必要がないため、碍子連301と鉄塔302との連結点を合わせる作業が1回ですみ、当該作業のやり直しなどが発生しないため、作業時間を短くすることができる。
その後、支持部材101を吊っていたロープ501を取り外し、つぎに、支持部材101の端部からキャップ部材104を取り外してから、一対の支持部材101を引き離すことによって、碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外す。このとき、碍子連301の鉄塔302への取り付けが既に完了しているため、作業者は、碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外す作業に集中することができる。これにより、碍子連301の位置が確定せず、碍子連301および碍子連吊上げ装置100がともに宙吊りの状態で碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外すよりも、碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外す作業にのみ集中することにより、碍子連301を傷つけることなく碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外すことができる。
また、キャップ部材104を用いて支持部材101どうしの位置を固定することにより、鉄塔302上において、碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外す際に、吊っていたロープ501を取り外した途端に各支持部材101a、101bが不用意に動いたり落下するなどの不測の事態が生じることを防止できる。すなわち、キャップ部材104を用いて支持部材どうしの位置を固定することにより、ロープ501を取り外す作業と、碍子連301から碍子連吊上げ装置100を取り外す作業とを段階的におこなうことができるので、支持部材の落下に注意しながらフックやロープ501を取り外す作業をおこなう場合よりも、各段階の作業に専念することができ、これによって作業の安全性や確実性を確保することができる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置100は、各々が棒形状をなす一対の支持部材101と、柔軟性を有する材料によって形成された帯形状をなし、長手方向の一端が一対の支持部材101のうちの一方の支持部材101aに固定されて他端が他方の支持部材101bに固定された帯状部材としての布ベルト103と、支持部材101に設けられて鈎形状または環形状をなす吊りフック102と、を備えたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置100によれば、碍子連301における各懸垂碍子401を支持する布ベルト103を支持部材101によって支持した状態で、当該支持部材101を吊上げることによって、碍子連301を鉄塔302上に吊上げることができる。これにより、碍子連301をたわませたり懸垂碍子401を傷つけたりすることなく、碍子連301を確実に所望の位置まで吊上げることができる。
そして、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置100によれば、碍子連301を確実に所望の位置まで吊上げることができるので、たわんだ碍子連301を矯正する作業をおこなったり、同じ作業をやり直したりすることをなくすことができる。これによって、作業員の負担軽減を図るとともに作業時間を短くすることができる。
このように、この発明にかかる実施の形態1の碍子連吊上げ装置100によれば、碍子連301の吊上げ作業を容易かつ確実におこなうことができ、作業員の負担軽減、作業時間の短縮および作業に対する信頼性の向上を図ることができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の碍子連吊上げ装置について説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図9は、この発明にかかる実施の形態2の碍子連吊上げ装置の一部を示す説明図である。
図9に示すように、この発明にかかる実施の形態2の碍子連吊上げ装置900は、キャップ部材104に代えて、ロック用のフック部材901を備えている点が、実施の形態1の碍子連吊上げ装置900と異なっている。図9においては、碍子連吊上げ装置900におけるフック部材901の周辺を示している。
フック部材901は、各支持部材101a、101bに設けられている。また、フック部材901は、各支持部材101a、101bにおける長さ方向の一端に設けられている。また、フック部材901は、支持部材101に対して、当該支持部材101の軸心周りに回動可能に固定されている。
このような碍子連吊上げ装置900を用いた碍子連301の吊上げ作業に際しては、実施の形態1と同様にして、一方の支持部材101aに他方の支持部材101bを隣り合うように移動させた状態で、一方の支持部材101aに設けられたフック部材901を回転させ、フック部分を他方の支持部材101bに引っ掛ける。これにより、一対の支持部材101がキャップ部材104によって抱き合わされた状態となる。
このとき、フック部材901におけるフックの向き(先端が曲がる方向)は、他方の支持部材101bを、鉛直方向下方から引っ掛けてもよく、鉛直方向上方から引っ掛けてもよい。いずれの場合にも、抱き合わされた状態の一対の支持部材101の吊りフック102に、フックやロープ501を引っ掛けるまでの間、当該一対の支持部材101における支持部材どうしの位置がずれないように固定されていればよい。吊りフック102にフックやロープ501を引っ掛けた後は、上記のように、フックやロープ501によって支持部材どうしの位置がずれることを防止できる。
この発明にかかる実施の形態2の碍子連吊上げ装置900は、支持部材101に連結されたフック部材901を用いて支持部材101どうしの位置を固定することにより、鉄塔302上において、碍子連301から碍子連吊上げ装置900を取り外す際に、フック部材901の落下を心配しなくてよい。これにより、吊っていたロープ501を取り外した途端に各支持部材101a、101bが不用意に動くことを防止するとともに、フック部材901の落下を気にすることによる作業効率の低下を防止することができる。そして、これにより、碍子連301から碍子連吊上げ装置900を取り外す作業を段階的に確実におこなうことができ、碍子連301の吊上げ作業の安全性や確実性を確保することができる。
また、先端が、支持部材101の外形状に応じて湾曲したフック部材901とすることにより、一方の支持部材101aに対する連結部分を中心としてフック部材901を回動させることによって、支持部材101どうしの位置を容易に固定することができる。これにより、碍子連301の吊上げ作業を容易かつ確実におこなうことができ、作業員の負担軽減、作業時間の短縮および作業に対する信頼性の向上を図ることができる。
(実施の形態3)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置について説明する。実施の形態3においては、上述した実施の形態1、2と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
図10および図11は、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置を示す説明図である。図10においては、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置の全体構成を示している。図11においては、図10に示した碍子連吊上げ装置を、図10における矢印C方向から見た状態を示している。図12は、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置の支持部材の構成を、一部分解して示す説明図である。
図10〜図12に示すように、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000は、外装部材1010と、芯棒(心棒)1101と、によって構成される支持部材1001を備えている。外装部材1010は、絶縁性の良好な材料を用いて形成されている。
外装部材1010は、図11に示すように、複数の短筒部材1011を軸心方向に並べることによって構成されている。短筒部材1011は、たとえば、吊上げ対象とする碍子連301の長さに応じて任意の数を並べることができる。短筒部材1011は、吊りフック102を備えた短筒部材1011(1011a)と、吊りフック102を備えない短筒部材1011(1011b)と、の2種類からなる。また、短筒部材1011は、上述したフック部材901を備えた短筒部材1011を加えた3種類からなるものであってもよい。
これにより、短筒部材1011の組み合わせにより、任意の位置に、任意の数の吊りフック102を備えた外装部材1010を構成することができる。これにより、碍子連301をもっとも安定して平行に吊上げることができる位置に吊りフック102を配置することができる。また、必要に応じて、キャップ部材104を用いるか、フック部材901を用いるかを選択することができる。このように、碍子連吊上げ装置1000の構成の自由度の向上を図ることにより、碍子連301の吊上げ作業の信頼性を確保し、かつ、容易かつ確実に作業をおこなうことができる。
各短筒部材1011には、あらかじめ布ベルト103が取り付けられていてもよい。このように、あらかじめ布ベルト103が設けられた短筒部材1011とすることにより、碍子連301の吊上げ作業をおこなう現場における作業を少なくし、作業にかかる時間短縮を図ることができる。
また、各短筒部材1011にあらかじめ取り付けておく布ベルト103の数は1つであってもよく複数であってもよい。具体的には、たとえば、2つの布ベルト103が取り付けられた短筒部材1011としてもよく、1つの布ベルト103が取り付けられた短筒部材1011としてもよい。
このように、取り付けられた布ベルト103の数が異なる複数種類の短筒部材1011を用意することにより、たとえば、碍子連301の長さや当該碍子連301における懸垂碍子401どうしの連結部分(外径が細くなっている部分)の数などに応じて、2つの布ベルト103が取り付けられた短筒部材1011と1つの布ベルト103が取り付けられた短筒部材1011とを適宜使い分けることができる。
芯棒1101は、図11や図12に示すように、短筒部材1011の内径寸法と同等あるいは短筒部材1011の内径寸法よりも外径の小さい円柱形状の部材であって、複数の短筒部材1011を連結した外装部材1010の内周に挿入される。芯棒1101は、複数の短芯部材1201を連結することによって構成されている。各短芯部材1201は、それぞれ円柱形状をなしている。
各短芯部材1201は、長さ方向における一端側に、内周面に雌ネジが切られた凹部(ネジ穴)を備えている(図示を省略する)。また、各短芯部材1201は、長さ方向における他端側に、外周面にネジ山を備えた雄ネジ1202が設けられている。各短芯部材1201は、一端側に設けられた雌ネジと、別の短筒部材1011の他端側に設けられた雄ネジ1202とを、螺合させて連結することによって構成されている。複数の各短芯部材1201のうち、一端に設けられる短芯部材1201は、両端に、内周面に雌ネジが切られた凹部(ネジ穴)を備えている(図示を省略する)。
芯棒1101は、たとえば、鉄などの硬い材料を用いて形成することができる。外像部材の内側に芯棒1101を挿入して支持部材1001を構成することにより、重量のある碍子連301を吊上げる際にも、芯棒1101すなわち支持部材1001が湾曲したり折れてしまうことを防止し、碍子連301を支持部材1001の形状に沿った状態(直線状)としたまま、たわませることなく吊上げることができる。
芯棒1101は、端末止め具1102を備えている。端末止め具1102は、短芯部材1201の一端側に設けられた雌ネジに螺合できるように切られたネジ山が設けられた雄ネジ1102aを備えている。端末止め具1102の外径は、芯棒1101の外径よりも大きい。
これにより、端末止め具1102を芯棒1101に取り付けた場合、端末止め具1102が芯棒1101の外周面よりも外周側に突出した状態となる。端末止め具1102のうち、少なくとも一方は、外装部材1010の内側に芯棒1101を挿入した後に、当該芯棒1101の端部に取り付ける。端末止め具1102が芯棒1101の外周面よりも外周側に突出した状態となるとなるため、端末止め具1102を取り付けることにより、外装部材1010が芯棒1101から脱落する(芯棒1101が外装部材1010から抜ける)ことを防止できる。
(碍子連吊上げ装置1000の使用方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000の使用方法について説明する。碍子連吊上げ装置1000の使用に際しては、まず、短芯部材1201を連結して、芯棒1101を組み立てる。芯棒1101は、短筒部材1011の連結数(外装部材1010の長さ)に応じた数の短芯部材1201を連結することによって組み立てる。芯棒1101の組み立て(連結)に際しては、短芯部材1201どうしを連結するとともに、芯棒1101の一端に端末止め具1102を取り付ける。
つぎに、組み立てた芯棒1101に、短筒部材1011を通して、外装部材1010を組み立てる。このとき、外装部材1010は、吊上げ対象とする碍子連301の長さに応じて、適宜任意の数の短筒部材1011を芯棒1101に通す。外装部材1010にあらかじめ布ベルト103が取り付けられていない場合は、ここで、外装部材1010に布ベルト103を取り付ける。
布ベルト103は、両端部に設けられたループ201に外装部材1010を貫通させることによって取り付けることができる。布ベルト103は、たとえば、碍子連301における懸垂碍子401どうしの連結部分(外径が細くなっている部分)の数に応じた数を取り付ける。その後、芯棒1101の両端のうち端末止め具1102が取り付けられていない方の端部に、端末止め具1102を取り付ける。これによって、碍子連吊上げ装置1000を組み立てることができる。
このように組み立てた碍子連吊上げ装置1000は、上述と同様にして碍子連301の吊上げに用いることができる。短芯部材1201どうしはネジの螺合によって互いに固定されているため、重量のある碍子連301を吊上げた場合にも、途中で分解してしまうことを防止し、作業を容易かつ確実におこなうことができる。
実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000のように、碍子連301の長さに応じて短芯部材1201を連結して芯棒1101を構成し、これらの外装部材1010と芯棒1101とを組み合わせて支持部材1001を構成することにより、碍子連301の長さに応じて複数種類の支持部材1001を用意することなく、様々な長さの碍子連301を容易かつ確実に吊上げることができる。
なお、各短筒部材1011の一端側において、内周面に雌ネジを切り、各短筒部材1011の他端側において、外周面に雄ネジを切り、これらのネジの螺合によって短筒部材1011連結することによって外装部材1010を構成するようにしてもよい。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000は、支持部材1001が、筒形状をなす外装部材1010と、当該外装部材1010の内周に設けられる芯棒(心棒)1101と、によって構成され、外装部材1010が、複数の短筒部材1011を軸心方向に連結することによって構成されていることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000によれば、複数の短筒部材1011を連結することによって外装部材1010を構成することにより、吊上げ対象とする碍子連301の長さに応じて任意の数の短筒部材1011を連結したり、碍子連301をもっとも安定して平行に吊上げることができる位置に吊りフック102を配置したりすることができる。このように、碍子連吊上げ装置1000の構成の自由度の向上を図ることにより、碍子連301の吊上げ作業の信頼性を確保し、かつ、容易かつ確実に作業をおこなうことができる。
具体的には、たとえば、碍子連301の長さに対して長すぎる支持部材1001が吊上げ作業の支障になったり、碍子連301における各懸垂碍子401を傷つけたりすることを防止できる。これにより、碍子連301の吊上げ作業の信頼性を確保し、かつ、容易かつ確実に作業をおこなうことができる。
また、この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000は、芯棒1101が、複数の短芯部材1011を長さ方向に連結することによって構成されていることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態3の碍子連吊上げ装置1000によれば、短筒部材1011の連結数(外装部材1010の長さ)に応じた数の短芯部材1201を連結して芯棒1101を構成することができるので、吊上げる碍子連301の長さなどに応じて適宜作業に適した碍子連吊上げ装置1000を構成することができる。これにより、碍子連301の吊上げ作業の信頼性を確保し、かつ、容易かつ確実に作業をおこなうことができる。