JP6623266B1 - 分散液及び導電性接合部材の製造方法 - Google Patents

分散液及び導電性接合部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、例えば、電子部品等の被接合体同士の接合材料として用いる際に、焼結による接合部分の割れの発生を抑制し、さらには印刷塗布において良好な印刷性を示す金属微粒子を含む分散液、並びにこれを用いた導電性接合部材の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る分散液は、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と、有機溶媒(S)とを含み、かつ、B型粘度計により25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が、1000Pa以上3000Pa以下の範囲である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品等の被接合体同士の接合材料として用いる際に、焼結による接合部分の割れの発生を抑制し、さらには印刷塗布においても良好な印刷性を示す金属微粒子を含む分散液、並びにこれを用いた導電性接合部材の製造方法に関する。
電気電子機器の実装工程において、半導体素子等の電子部品同士の接合は一般的にハンダ付けによって行われる。このようなハンダ材料としては、例えば、錫−鉛(Sn−Pb)系ハンダのような鉛を含むハンダが広く用いられている。しかしながら、鉛は人体に有害であり、また、鉛を含む製品を廃棄物として処分する際、廃棄された電子部品のハンダ材料が酸性雨により鉛が溶け出し、地下水が汚染される等、自然環境に対して悪影響を及ぼすことが懸念されている。そのため、近年では、比較的環境負荷が低い材料として、鉛フリーハンダ等の鉛を含まない材料への切り替えが進められている。
鉛を含まない材料の1つに、金属微粒子を含むペースト(以下、「金属ペースト」という)が知られている。金属ペーストは、ナノメートルオーダーのサイズ(1μm未満のサイズをいう)の金属微粒子を含む分散液であり、金属微粒子、有機溶媒等を混合し、ペースト状とすることにより作製される。金属ペーストを、例えば、電子部品の接合面に塗布し、焼結工程を経て形成された接合面上の焼結体は、電子部品同士を接合するための導電性接合部材として利用することができる。
例えば、特許文献1には、被接合部材の接合面に、有機保護膜で被覆された金属ナノ粒子とバインダーとを含む接合材料を塗布して被接合部材同士を重ね合わせ、接合材料がその接合温度以上となるように加熱することが開示されている。そして、接合工程の比較的初期段階では、接合材料から生じるガスの排出が円滑に行われる加圧条件とし、接合材料の焼成が進行して接合材料からのガスの排出が止まった時点で、接合強度を向上させる加圧条件とすることで、接合材料の加熱・焼成時におけるガス排出性と、接合性とを両立させている。
しかしながら、特許文献1に開示されている接合方法では比較的早い段階で加圧をするため、接合材料に含まれる溶媒の押し出しの問題がある。溶媒が加圧によって押し出され、接合面以外にも溶剤が飛散する結果、電子部品の汚染を招くおそれがある。また、溶媒の加圧は加熱と共に行われるため、接合部分である導電性接合部材に空隙(ボイド)が多く発生することが予測される。そのため、空隙の発生に伴い、導電性接合材に割れが発生しやすくなり、これにより導電性が低下してしまう懸念がある。
また、金属ペーストを用いて半導体素子と基板とを接合する場合、半導体素子若しくは基板の接合面、又は両方の接合面に、ディスペンサー、スクリーン印刷等により金属ペーストを塗布して塗膜を形成し、次いでこの塗膜を150℃〜300℃で所定時間(1分〜1時間程度)焼結する。これにより、金属ペースト中の有機溶媒が揮発して除去されると共に、活性状態にある金属微粒子同士が互いに結合し、その金属成分の焼結膜である導電性接合部材が形成される。
一方、スクリーン印刷等の印刷により半導体素子、基板等の接合面に金属ペーストを塗布する場合、溶媒等の量を調節して、金属ペーストの粘度をある程度低くする必要がある。しかしながら、金属ペーストの粘度を低くし過ぎると、金属ペーストを接合面に塗布する際に、金属ペーストが飛散して接合面以外の部分に付着し、半導体素子、基板が汚染されてしまうおそれがある。
このように、金属ペーストは、金属微粒子と溶媒とを含む分散液を焼結することにより、金属微粒子同士が熱によりネッキングされて導電パスを形成するため、導電性接合部材として用いることができる。しかしながら、分散液を焼結させる際、分散液中の溶媒は、金属微粒子同士の焼結を活性化させる作用を有するものの、同時に溶媒が分解して蒸発することもある。そして、溶媒の蒸発を伴う焼結により導電性接合材に空隙が発生し、それに伴い割れが生じやすい。また、この割れに起因して導電性も阻害される。そのため、高い導電性を維持するためには、導電性接合材に割れができる限り少ないことが望まれている。
また、例えば、マスク等のパターンを用いて金属ペーストを印刷塗布する場合、金属ペーストに未充填部(空隙)があると、印刷後の加熱処理等により、未充填部において接合欠陥が発生する可能性があり、さらには、得られた導電性接合部材が被接合体から脱離しやすくなる。そのため、金属ペーストを印刷塗布する場合、形成される塗膜は、金属ペーストに未充填部がない良好な印刷性を示すことが望ましい。印刷性が悪い金属ペーストを使用すると、印刷後に形成された金属ペーストの塗膜の厚さに分布(中央が厚く、端部周辺が薄い)が生じるため、被接合体との接合時に焼結の粗密が発生し、接合欠陥を発生しやすくなる。また、未充填部が発生しやすい金属ペーストでは、未充填部において接合欠陥が発生するだけでなく、未充填部の周辺においても焼結密度の低い領域が発生し、その領域を起点としてさらなる接合欠陥をもたらす可能性がある。そのため、金属ペーストの印刷塗布においても良好な印刷性を示すことが必要とされる。
特許第4873160号公報
本発明は、例えば、電子部品等の被接合体同士の接合材料として用いる際に、焼結による接合部分の割れの発生を抑制し、さらには印刷塗布において良好な印刷性を示す金属微粒子を含む分散液、並びにこれを用いた導電性接合部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属ペーストとして、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と有機溶媒(S)とを含む分散液を用いて、印刷塗布により塗膜を形成する際、印刷初期のせん断速度の非常に小さい領域における分散液の粘性が非常に重要であるとの知見を得た。そして、せん断速度が非常に小さい領域における分散液の粘性を表す物性値として、分散液のせん断降伏応力を特定の範囲に制御することにより、印刷塗布において良好な印刷性を示し、さらには、焼結による接合部分の割れの発生をも抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と、有機溶媒(S)とを含み、かつ、
B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が、1000Pa以上3000Pa以下の範囲である分散液。
[2]前記金属微粒子(P)の平均一次粒子径が10nm以上500nm以下である、上記[1]に記載の分散液。
[3]前記金属微粒子(P)が、銅、銀、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、上記[1]または[2]に記載の分散液。
[4]前記有機溶媒(S)が、温度20℃において1mPa・s以上100mPa・s以下の粘度を有する、上記[1]乃至[3]までのいずれかに記載の分散液。
[5]前記有機溶媒(S)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される多価アルコールである、上記[1]乃至[4]までのいずれかに記載の分散液。
[6]前記有機溶媒(S)に対する前記金属微粒子(P)の重量比(P/S)が、55/45〜75/25の範囲である、上記[1]乃至[5]までのいずれかに記載の分散液。
[7]被接合体同士の接合材料として使用するための、上記[1]乃至[6]までのいずれかに記載の分散液。
[8]前記被接合体が電子部品である、上記[7]に記載の分散液。
[9]前記電子部品が、半導体素子、回路基板の電極端子及び導電性基板からなる群から選択される、上記[8]に記載の分散液。
[10]有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と有機溶媒(S)とを含み、かつ、B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa以上3000Pa以下の範囲である分散液を、第1の被接合体上に印刷塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜の形成後、該塗膜内に残存する前記有機溶媒(S)を除去する乾燥工程と、
前記乾燥工程後、前記塗膜上に第2の被接合体を載せ、前記塗膜を焼結することにより形成される導電性接合部材を介して、前記第1の被接合体と前記第2の被接合体とを接合する接合工程と、
を含むことを特徴とする導電性接合部材の製造方法。
[11]前記金属微粒子(P)の平均一次粒子径が10nm以上500nm以下である、上記[10]に記載の製造方法。
[12]前記金属微粒子(P)が、銅、銀、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、上記[10]または[11]に記載の製造方法。
[13]前記有機溶媒(S)が、温度20℃において1mPa・s以上100mPa・s以下の粘度を有する、上記[10]乃至[12]までのいずれかに記載の製造方法。
[14]前記有機溶媒(S)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される多価アルコールである、上記[10]乃至[13]までのいずれかに記載の製造方法。
[15]前記有機溶媒(S)に対する前記金属微粒子(P)の重量比(P/S)が、55/45〜75/25の範囲である、上記[10]乃至[14]までのいずれかに記載の製造方法。
[16]前記乾燥工程が、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、90℃以上150℃以下の温度、かつ60秒以上300秒以下の熱処理により行われる、上記[10]乃至[15]までのいずれかに記載の製造方法。
[17]前記第1の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板であり、
前記第2の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板である、上記[10]乃至[16]までのいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と、有機溶媒(S)とを含む分散液が、B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa以上3000Pa以下の範囲に制御された粘性パラメータを有している。このような特定の粘性パラメータを有する金属微粒子(P)を含む分散液を、例えば、電子部品等の被接合体同士の接合材料として用いることにより、焼結による接合部分の割れの発生を抑制することができ、さらには印刷塗布において良好な印刷性を示すことが可能となる。
また、本発明によれば、導電性接合部材の製造方法において、接合材料として、このような性能を示す分散液を接合材料として使用している。そのため、割れが非常に少ない導電性接合部材を得ることができ、その結果、高い導電性を維持することができる。また、印刷性の向上に伴い、導電性接合部材と被接合体とがより強固に接合し、その結果、被接合体から導電性接合部材の脱離をより確実に防止することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[分散液]
本発明に従う分散液は、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と、有機溶媒(S)とを含んでいる。このような分散液は、例えば、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)を有機溶媒(S)に添加し、3本ロールミル、遠心混練、超音波発生機(超音波ホモジナイザー)等の分散機を用いて分散処理を行うことで均一分散させ、さらにペースト状になるまで混練することにより得ることができる。そのため、本発明に係る分散液は金属ペーストとして使用される。
金属ペーストとしての分散液は、例えば、クリーム、マヨネーズのような軟塑性体に相当する。このような軟塑性体は、そのまま放置した場合には固体と同じように流動しないが、比較的小さな外力を加えることによって容易に流動させることができる性質を有する。本発明に従う分散液は、特定の粘性パラメータを有しており、具体的には、B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa以上3000Pa以下の範囲である粘性パラメータを有している。ここで、せん断降伏応力値とは、このような性質を有する金属ペーストが流動し始める応力の限界値を意味する。せん断降伏応力値を得るため、まず、B型粘度計により室温(25℃)でせん断速度をゼロから連続的に一定の速度で増加させ、次いでゼロまで連続的に減少させることで分散液のせん断応力を測定する。さらに、温度25℃でのせん断速度に対してせん断応力の値をプロットし、せん断速度4s−1でのせん断応力の値をせん断降伏応力値とする。
金属微粒子と有機溶媒を含んだ分散液の特性は、金属微粒子と有機溶媒との相互作用により、分散液の粘性に影響されることが多い。そのため、分散液の粘性の制御は重要なファクターである。例えば、金属ペーストとしての分散液の場合、分散液の印刷塗布時には粘度が低下して塗布し易くなり、一方で分散液の印刷塗布後は形状(塗膜の形状)を保持することが可能な分散液が理想的である。上記の条件下で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa未満では、分散液の粘性が十分ではないため、分散液を印刷した後、時間の経過に伴い形成された塗膜の厚さに分布が生じ、印刷の形状保持性が劣ってしまう。そのため、各被接合体との接合時に焼結の粗密が発生し、割れ等の接合欠陥を発生しやすくなる。一方、せん断降伏応力値が3000Paを超えると、印刷の形状保持性には優れるものの、分散液の粘性が高すぎるため、分散液の印刷において未充填部が発生しやすい。そのため、分散液の未充填部において印刷欠陥が発生するだけでなく、各被接合体との接合時に未充填部の周辺においても焼結密度の低い領域が発生する。さらに、その領域を起点として、割れ等の接合欠陥をもたらしやすくなる。また、せん断降伏応力値は、2000Pa以上3000Pa以下の範囲であることが好ましく、これにより、形状保持性及び緻密性をより向上させることができる。このように、分散液の粘性パラメータとして、せん断降伏応力値を1000Pa以上3000Pa以下の範囲を適切に制御することにより、焼結による接合部分の割れの発生を抑制することができ、さらには印刷塗布において、形状保持性、印刷欠陥等、良好な印刷性を示すことが可能となる。
本発明の分散液は、上記のような作用を有するため、被接合体同士の接合材料として使用に有益である。その際、被接合体は電子部品であることが好ましく、半導体素子、回路基板の電極端子及び導電性基板からなる群から選択される電子部品であることがより好ましい。
<金属微粒子>
金属微粒子(P)は、特に限定されるものではないが、銅、銀、金、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子であることが好ましい。金属微粒子(P)は、これらの金属元素のうち1種の元素で構成されている微粒子であってもよく、又はこれらの金属元素のうち2種以上の元素で構成されている合金の微粒子であってもよい。また、このような微粒子は、これらの酸化物又は水酸化物等であってもよい。さらに、金属微粒子(P)を、1種単独で使用してもよく、又は2種以上の併用であってもよい。
金属微粒子(P)の平均一次粒子径は、10nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上100nm以下であることがより好ましい。平均一次粒子径を適切に制御することにより、得られる分散液の粘性パラメータも厳密に制御することが可能になる。また、金属微粒子(P)の平均一次粒子径が、10nm以上500nm以下である場合には、後述する金属微粒子(P)の焼結を行う過程(焼結過程)で有機溶媒(S)の加水分解反応を行う際、金属微粒子(P)が触媒として作用し得る。これにより、加水分解反応の進行速度を向上させ、金属微粒子(P)の焼結を促進させる作用が期待できる。金属微粒子(P)の平均一次粒子径が10nm未満である場合には、金属微粒子(P)が酸化されやすくなる他、凝集しやすくなるため、均一に分散され難く、粘度の保存安定性を低下させるおそれがある。一方、金属微粒子(P)の平均一次粒子径が500nmを超える場合には、金属微粒子(P)の焼結を行う過程(焼結過程)で、焼結温度を上げなければならず、緻密性の高い(割れが少ない)均質な導電性接合部材を形成することができないおそれがある。
ここで、「一次粒子」とは、二次粒子を構成する個々の一次粒子を意味する。また、金属微粒子(P)について、「平均一次粒子径」とは、測定対象に選定した複数個の金属微粒子(P)の一次粒子に対して、それぞれの最長となる直径を測定し、その測定値を個数で除して算出した平均値を意味する。具体的には、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジー社製、製品名:SU8020)を用いて、加速電圧3kV、倍率20万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属微粒子(P)のSEM画像を取得する。取得したSEM画像の中から、任意に20個の金属微粒子(P)の一次粒子を選定する。選定した金属微粒子(P)の一次粒子について、最長となる直径をそれぞれ測定し、各測定値の平均を算出して平均一次粒子径を求めることができる。
(有機保護膜)
有機保護膜は、金属微粒子(P)の表面を被覆して、金属微粒子(P)の凝集を防止できる化合物であれば特に限定されるものではない。ここで「被覆」とは、金属微粒子(P)の表面の少なくとも一部を覆うものであってもよいし、金属微粒子(P)の表面の全体を覆うものであってもよい。
有機保護膜を構成する化合物は、金属微粒子(P)の表面を好適に被覆させる観点から、カルボニル基、ヒドロキシル基及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を分子中に有する化合物であることが好ましい。このような化合物として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、デンプン及びゼラチン等の高分子が挙げられ、これらの中から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
有機保護膜を構成する化合物として、上述した高分子が使用される場合、その高分子の数平均分子量(Mn)は、3,000〜5,000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が3,000未満である場合には、金属微粒子(P)の金属の表面を好適に被覆させることができず、金属微粒子(P)の粒子径がナノサイズよりも大きくなるおそれがあり、これにより、金属微粒子(P)のサイズの制御による焼結促進の作用が期待できなくなる。一方、数平均分子量(Mn)が5,000を超える場合には、金属微粒子(P)の焼結を行う過程(以下、「焼結過程」ともいう)で、焼結した塗膜(以下、「焼結膜」ともいう)内に高分子が残留し、電気抵抗を高めるおそれがある。
有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、液相還元法(電解法又は無電解法)を用いて製造することができる。
電解法による液相還元法では、例えば、金属イオンを含む水溶液及び有機保護膜を構成する化合物を含む混合溶液を電解槽に入れ、電極(陽極:アノード、陰極:カソード)を配置し、アノードとカソード間で通電させる。これによりカソード付近に、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)が電析し、回収される。
無電解法による液相還元法では、例えば、還元剤を含む水溶液に有機保護膜を構成する化合物を添加して攪拌溶解させる。次いで、得られた溶液に金属イオンを含む水溶液を滴下し、金属微粒子の混合溶液を調製する。また、金属微粒子の混合溶液は、金属イオンを含む水溶液に有機保護膜を構成する化合物を添加して、攪拌溶解させ、さらに還元剤を含む水溶液を加えることにより調製されてもよい。ここで用いる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミノボラン、およびトリメチルアミノボラン等が挙げられる。また、金属イオンを形成する金属塩としては、例えば、塩化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、酢酸塩等の金属塩が挙げられる。次に、上記のように調製した金属微粒子の混合溶液に、凝集促進剤などの添加剤を添加し、攪拌し静置した後、沈殿した固形分を含む混合溶液を遠心分離機に供給することによって、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)が分離・回収される。
凝集促進剤としては、ハロゲン系炭化水素が好ましく、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素等の炭素原子数が1の塩素系化合物;塩化エチル、1,1−ジクロルエタン、1,2−ジクロルエタン、1,1−ジクロルエチレン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、四塩化アセチレン、及びびエチレンクロロヒドリン等の炭素原子数が2の塩素系化合物;1,2−ジクロルプロパン、及び塩化アリル等の炭素原子数が3の塩素系化合物;クロロプレン等の炭素原子数が4の塩素系化合物;クロルベンゼン、塩化ベンジル、o−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、p−ジクロルベンゼン、α−クロルナフタリン、およびβ−クロルナフタリン等の芳香族系塩素系化合物;並びに、ブロモホルム、並びにブロムベンゾール等の臭素系化合物;等が挙げられる。
<有機溶媒>
有機溶媒(S)は、特に限定されるものではないが、温度20℃において1mPa・s以上100mPa・s以下の粘度を有する化合物であることが好ましく、10mPa・s以上50mPa・s以下の粘度を有する化合物であることがより好ましい。このような有機溶媒(S)は、多価アルコールであることが好ましく、特に二価アルコール、三価アルコール又はその混合物であることが好ましい。多価アルコールの有機溶媒(S)を用いることで、焼結過程で、有機溶媒(S)がガス成分と水分子(H2O)とに好適に分解される。
また、上記のような有機溶媒(S)は、緻密性の高い均質な焼結膜を形成する観点から、焼結膜を形成する温度(以下、「焼結温度」ともいう)よりも高い沸点を有していることが好ましく、焼結温度よりも40〜50℃高い沸点を有していることがより好ましく、250℃以上高い沸点を有していることがさらに好ましい。有機溶媒(S)の沸点が、焼結温度よりも低い場合には、焼結過程において焼結温度に達する前に有機溶媒(S)が気化して枯渇してしまうおそれがある。
上記のような有機溶媒(S)は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される多価アルコールであることが好ましい。これらの中から選択される多価アルコールを、単独で使用してもよく、又は2種以上の併用であってもよい。
有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と有機溶媒(S)とを含む分散液において、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)の含有量は、分散液の全量100重量%に対して、55重量%以上75重量%以下であることが好ましく、60重量%以上70重量%以下であることがより好ましい。また、有機溶媒(S)の含有量は、分散液の全量100重量%に対して、25重量%以上45重量%以下であることが好ましく、30重量%以上40重量%以下であることがより好ましい。すなわち、有機溶媒(S)に対する有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)の重量比(P/S)は、55/45〜75/25の範囲であることが好ましい。有機溶媒(S)に対する有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)の重量比(P/S)が、55/45未満である場合には、有機溶媒(S)の割合が多過ぎるため、金属微粒子(P)の分散液を接合材料として使用するのに適した粘度よりも低く、液だれしやすいおそれがある。また、焼結過程で、有機溶媒(S)がガス成分と水分子(H2O)とに好適に分解されないおそれがある。一方、上記重量比(P/S)が、75/25を超える場合には、有機溶媒(S)の割合が少な過ぎ、金属微粒子(P)のを接合材料として使用するのに適した粘度よりも高く、印刷塗布が制限されるおそれがある。また、焼結過程で焼結温度に達する前に有機溶媒(S)が枯渇してしまう(気化してしまう)おそれがある。
(他の添加剤)
本発明に係る分散液には、上述した効果を損なわない範囲で、必要に応じて消泡剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤など公知の添加剤を加えることができる。
[導電性接合部材の製造方法]
本発明に係る導電性接合部材の製造方法は、上述した分散液を、第1の被接合体上に印刷塗布して塗膜を形成する塗布工程と、塗布工程後、塗膜内に残存する有機溶媒(S)を除去する乾燥工程と、乾燥工程後、塗膜上に第2の被接合体を載せ、塗膜を焼結することにより形成される導電性接合部材を介して、第1の被接合体と第2の被接合体とを接合する接合工程と、を含んでいる。
<塗布工程>
塗布工程では、上述した分散液、すなわち、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と有機溶媒(S)とを含み、かつ、B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa以上3000Pa以下の範囲である分散液を、第1の被接合体上に印刷塗布して塗膜を形成する。分散液を第1の被接合体上に印刷塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スキージ印刷、スクリーン印刷、マスク印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷等が挙げられる。この中でも、安価で印刷面の様々な大きさに対応可能な観点から、スキージ印刷であることが好ましい。
<乾燥工程>
乾燥工程では、塗布工程後、塗膜内に残存する有機溶媒(S)を除去する。このような乾燥工程は、例えば、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、90℃〜150℃の温度、好ましくは100℃〜120℃の温度で、かつ30秒〜600秒、好ましくは60秒〜300秒の熱処理により行われることが好ましい。本発明に係る分散液は金属ペーストであり、ハンダのように溶融しない。そのため、この乾燥工程において塗膜に空隙、割れ等の欠陥が発生すると、その後の接合工程でもその欠陥が残留してしまうおそれがある。したがって、乾燥条件を適切に制御することにより、焼結後の導電性接合部材に反映される接合欠陥の発生をより確実に抑制することができる。
<接合工程>
接合工程では、乾燥工程後、塗膜上に第2の被接合体を載せ、塗膜を焼結することにより形成される導電性接合部材を介して、第1の被接合体と第2の被接合体とを接合する。この接合工程において、乾燥工程後の塗膜をさらに焼結することにより、接合材料として使用されている本発明に係る分散液から導電性接合部材を作製することができる。焼結条件として、例えば、焼結温度は、200℃〜500℃の温度であることが好ましく、250℃〜350℃の温度であることがより好ましい。また、焼結時間は、5分〜120分であることが好ましく、30分〜60分であることがより好ましい。焼結温度が、200℃未満である場合には、焼結温度が低過ぎるため、金属微粒子(P)の分散溶液の焼結を有効に進行させることが困難となる場合がある。そのため、緻密性の高い均質な焼結膜を形成することができないおそれがある。焼結温度が、500℃を超える場合には、焼結温度が高過ぎるため、使用可能なデバイスおよび基板の選定が狭くなるおそれがある。また、焼結時間が、5分未満である場合には、焼結時間が短過ぎるため、金属微粒子(P)の分散溶液の焼結が不十分になり得るだけではなく、同様に緻密性の高い均質な焼結膜が形成されないおそれがある。焼結時間が、120分を超える場合には、焼結時間が長過ぎるため、粒子同士の焼結が過剰になり、収縮割れが起りやすくなるおそれがある。尚、塗膜上に第2の被接合体を載せる際に、必要に応じて位置合わせを行うことが好ましい。
焼結処理は加圧下で行ってもよい。加圧下の焼結処理は、導電性接合部材を介した各被接合体間の接合をより確実に行うことができるとともに、導電性接合部材の接合面と各被接合体の接合面との接合面積が大きくなり、接合信頼性を一層向上させることができる。加圧条件は、特に限定されるものではないが、各被接合体間の接合をより確実にすると共に、各被接合体の破損を防ぐ観点から、0.5〜15MPaの範囲内であることが好ましい。
(被接合体)
第1の被接合体及び第2の被接合体は、電子部品であることが好ましく、例えば、第1の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板であり、第2の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板であることがより好ましい。第1の被接合体及び第2の被接合体は、用途に応じて、いずれも同じであってもよく、異なっていてもよい。導電性基板の種類は、特に限定されないが、例えば、ガラス基板、セラミック基板および銅基板等が挙げられる。
<導電性接合部材>
接合工程では、塗膜中の金属微粒子(P)が焼結されることにより、第1の被接合体及び第2の被接合体間に導電性接合部材が作製される。導電性接合部材としては、例えば、半導体素子間を接合するための導電性バンプ、半導体素子と導電性基板間を接合するための導電性ダイボンド部等が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、導電性バンプは、半導体素子又は回路基板の電極端子の第1の被接合体と、他の回路基板の電極端子の第2の被接合体とを接合する際、上記接合工程を経て作製することができる。第2の被接合体として使用する他の回路基板の電極端子には、ワイヤボンディングを行う場合の金ワイヤ等のワイヤが含まれていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
<金属微粒子(P)の分離・回収工程>
金属微粒子(P)の原料として酢酸第二銅((CH3COO)2Cu・1H2O)0.2gを蒸留水10mlに溶解させ、酢酸第二銅水溶液10mlを調製した。また、金属イオン還元剤として水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を、濃度が5.0mol/lとなるように蒸留水に混合し、水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlを調製した。
次に、上記調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlに、有機保護膜を構成する化合物としてポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量(Mn):約3,500)0.1g(金属微粒子(P)の全量に対して0.5重量%)を添加して攪拌溶解させた。続いて、窒素ガス雰囲気中で、上記調製した酢酸第二銅水溶液10mlをこの溶液に滴下し、金属微粒子の混合溶液を調製した。
次に、上記調製した金属微粒子の混合溶液に、凝集促進剤としてクロロホルム(CHCl3)5mlを添加して数分間攪拌した。さらに数分間静置した後、沈殿した固形分を含む混合溶液を遠心分離機に供給し、有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)を分離、回収した。
ここで、上記分離・回収した金属微粒子(P)の一部を採取し有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)の一次粒子径を下記の方法により測定し、平均一次粒子径を算出した。
<金属微粒子(P)の分散液を得る工程>
上記金属微粒子(P)の分離・回収工程で回収された金属微粒子(P)を、下記表1に示す有機溶媒(S)に所定の含有量になるように有機溶媒(S)に添加して、超音波発生機(超音波ホモジナイザー)による分散処理を30分間行い、金属微粒子の分散液を作製した。尚、表1中に示す有機溶媒(S)の粘度(mPa・s)は、三協化学株式会社のSDSシート(安全データシート:Safety Data Sheet)に記載の文献値に基づく値である。
<導電性接合部材の作製>
上記で得られた金属微粒子(P)の分散液を、無酸素銅基板(C1020、厚さ1.2mm)上に、スキージ印刷(マスク厚150μm、10mm角パターン)により印刷し、塗膜(厚さ:150μm)を形成した。次いで、この塗膜を大気雰囲気中で下記表1に示す乾燥工程の条件下で乾燥し、塗膜中に残存する溶媒を除去した。さらに、塗膜上に半導体チップとしてのシリコンチップ(サイズ7×7×0.23mm)を載せ、窒素ガス雰囲気中、下記表1に示す接合工程の条件下で塗膜を焼結した。これにより、銅基板と半導体チップとが金属微粒子含有焼結体を介して接合された導電性接合部材を作製した。
<せん断降伏応力値の測定>
温度25℃の環境で、B型粘度計(ブルックフィールド社製)を用いて回転数(せん断速度)をゼロから連続的に一定の速度で増加させ、次いでゼロまで連続的に減少させることで分散液のせん断応力を測定した。次いで、得られた測定値に基づき、回転数(せん断速度)をX軸、せん断応力をY軸にプロットし、回転数0.1rpm(せん断速度4s−1)の時のせん断応力をせん断降伏応力値として読み取った。
<平均一次粒子径の測定>
走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジー社製、製品名:SU8020)を用いて、加速電圧3kV、倍率20万倍の条件下で観察し、測定対象となる金属微粒子(P)のSEM画像を取得した。取得したSEM画像の中から、任意に20個の金属微粒子(P)の一次粒子を選定した。選定した金属微粒子(P)の一次粒子について、最長となる直径をそれぞれ測定し、各測定値の平均を算出して平均一次粒子径を求めた。
<印刷性の評価>
(形状保持性)
スキージ印刷により分散液を印刷した後、レーザ変位形により、印刷直後と印刷後5分経過した後に印刷パターン幅及び印刷厚さをそれぞれ測定した。印刷直後と印刷後5分経過した後に、幅又は厚さのいずれが変化した割合が、10%を超える場合を「×」、5%以上かつ10%以下である場合を「○」、5%未満である場合を「◎」として評価した。
(印刷欠陥)
スキージ印刷により分散液を印刷した後、得られた印刷体の断面について透過X線観察を行い、未充填部(空隙)の存在について観察した。空隙の存在については、透過X線観察により得られた画像を画像処理し、印刷体がマスク及び空気と接する界面全域において、印刷体がこれらと接していない部分の割合を算出した。この割合(空隙率)が3%以上である場合を「×」、1%を越え、3%未満である場合を「○」、1%以下である場合を「◎」として評価した。
<導電性接合部材の評価>
(ポーラス部率)
金属微粒子(P)の焼結過程で得られた焼結膜を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて500倍率で観察した。焼結膜に発生した空隙の大きさを画像処理ソフトで2値化し、所定の単位面積当たり50%以上の空隙を有する部分をボイド(ポーラス部)とみなし、焼結膜に発生したボイドの含有率(ポーラス部率(%))を算出した。
(緻密性)
作製した導電性接合部材を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、導電性接合部材の断面を1000倍で観察した。導電性接合部材に発生した割れについて、導電性接合部材全体で割れが観察された場合を「×」、導電性接合部材の中央部には割れは観察されず、端部のみに割れが観察された場合を「○」、導電性接合部材の中央部、端部共に割れが観察されかなった場合を「◎」として評価した。
Figure 0006623266
表1に示すように、実施例1〜4では、形状保持性、印刷欠陥及び緻密性の評価がいずれも「○」以上であり、印刷性、緻密性共に良好であった。特に、実施例1〜3では、優れた形状保持性及び緻密性を示していた。
一方、分散液のせん断降伏応力値が40Paである比較例1では、分散液の粘性が十分ではないため、印刷の形状保持性が劣っており、割れ等の接合欠陥も発生していた。また、分散液のせん断降伏応力値が5000Paである比較例2では、印刷の形状保持性には優れるものの、分散液の粘性が高すぎるため、分散液の未充填部において印刷欠陥が発生しており、割れ等の接合欠陥も発生していた。
上記のように、本発明に係る分散液は、焼結による接合部分の割れの発生を抑制し、さらには印刷塗布において良好な印刷性を示す。そのため、本発明に係る分散液は、特に、電子部品等の被接合体同士の接合材料として有用であることがわかる。また、導電性接合部材の製造方法において、本発明に係る分散液を接合材料として使用している。そのため、割れが非常に少ない導電性接合部材を得ることができ、その結果、高い導電性を維持することができる。また、分散液の印刷性の向上に伴い、導電性接合部材と被接合体とがより強固に接合し、その結果、被接合体から導電性接合部材の脱離をより確実に防止することができる。

Claims (16)

  1. 有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と、有機溶媒(S)とを含み、かつ、
    B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が、1000Pa以上3000Pa以下の範囲であることを特徴とする、被接合体同士の接合材料として使用するための分散液。
  2. 前記金属微粒子(P)の平均一次粒子径が10nm以上500nm以下である、請求項1に記載の分散液。
  3. 前記金属微粒子(P)が、銅、銀、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項1または2に記載の分散液。
  4. 前記有機溶媒(S)が、温度20℃において1mPa・s以上100mPa・s以下の粘度を有する、請求項1乃至3までのいずれか1項に記載の分散液。
  5. 前記有機溶媒(S)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される多価アルコールである、請求項1乃至4までのいずれか1項に記載の分散液。
  6. 前記有機溶媒(S)に対する前記金属微粒子(P)の重量比(P/S)が、55/45〜75/25の範囲である、請求項1乃至5までのいずれか1項に記載の分散液。
  7. 前記被接合体が電子部品である、請求項1乃至6までのいずれか1項に記載の分散液。
  8. 前記電子部品が、半導体素子、回路基板の電極端子及び導電性基板からなる群から選択される、請求項に記載の分散液。
  9. 有機保護膜で被覆された金属微粒子(P)と有機溶媒(S)とを含み、かつ、B型粘度計により温度25℃かつせん断速度4s−1で測定されるせん断降伏応力値が1000Pa以上3000Pa以下の範囲である分散液を、第1の被接合体上に印刷塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布工程後、該塗膜内に残存する前記有機溶媒(S)を除去する乾燥工程と、
    前記乾燥工程後、前記塗膜上に第2の被接合体を載せ、前記塗膜を焼結することにより形成される導電性接合部材を介して、前記第1の被接合体と前記第2の被接合体とを接合する接合工程と、
    を含むことを特徴とする導電性接合部材の製造方法。
  10. 前記金属微粒子(P)の平均一次粒子径が10nm以上500nm以下である、請求項に記載の製造方法。
  11. 前記金属微粒子(P)が、銅、銀、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項または10に記載の製造方法。
  12. 前記有機溶媒(S)が、温度20℃において1mPa・s以上100mPa・s以下の粘度を有する、請求項乃至11までのいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記有機溶媒(S)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される多価アルコールである、請求項乃至12までのいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記有機溶媒(S)に対する前記金属微粒子(P)の重量比(P/S)が、55/45〜75/25の範囲である、請求項乃至13までのいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記乾燥工程が、大気雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で、90℃以上150℃以下の温度、かつ60秒以上300秒以下の熱処理により行われる、請求項乃至14までのいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記第1の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板であり、
    前記第2の被接合体が、半導体素子、回路基板の電極端子、又は導電性基板である、請求項乃至15までのいずれか1項に記載の製造方法。
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