JP2009170242A - 積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物 - Google Patents

積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥膜密度が高く、表面粗さが小さく、連続性に優れた焼成膜を形成でき、内部電極の薄層化に対応できる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペーストを提供すること。
【解決手段】Pd、Ag、Niなどから選ばれる金属粉末、合金粉末からなる導電性粉末(A)、誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材(B)、及び有機バインダ(C)からなる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物において、有機バインダ(C)は、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどから選ばれる水溶性樹脂(C1)及びグリコール系化合物から選ばれる水溶性溶剤(C2)を含み、水溶性樹脂(C1)の含有量が、ペースト全量に対して1.0〜5.0重量%となるように配合して、導電性粉末(A)及び共材(B)を有機バインダ(C)中に十分に分散させた積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物により提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物に関し、より詳しくは、乾燥膜密度が高く、表面粗さが小さく、連続性に優れた焼成膜を誘電体シートに形成でき、内部電極の薄層化に対応できる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペーストに関するものである。
近年、電子機器の軽薄短小化が進んできている。これに伴い、その電子機器に使用される積層セラミック電子部品においても、より一層の小型化・高容量化が進められている。積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを小型化・高容量化するために最も効果的な方法は、内部電極と誘電体層を双方ともに可能な限り薄くし(薄層化)、および、平滑化、かつ、それらを可能な限り多く積層する(多層化)ことである。
積層セラミックコンデンサは、一般に次の工程を経て製造される。すなわち、チタン酸バリウム等で代表される誘電体粉末(セラミック粉末)と、ポリビニルブチラール、アクリル等の有機バインダからなる誘電体(セラミック)グリーンシート表面に、Pd、Ag、Ag/Pd、Ni、Ni/Cu、Cu等の導電性粉末を含有する導電性ペーストを所定パターンでスクリーン印刷し、これを乾燥する。次に、内部電極とグリーンシートとが交互に重なるよう積層した後、熱圧着し、該熱圧着体を目的の大きさに切断する。続いて、有機バインダ除去を目的として、通常、250〜330℃、空気雰囲気、窒素雰囲気、あるいは空気と窒素との混合気体下で加熱して有機バインダを除去し、続いて、約850〜1350℃で焼成して内部電極、および誘電体を一体焼結させる。このようにして得た積層セラミックコンデンサ素体に、外部回路と接合するための外部電極が取り付けられ、製品となる。
積層セラミックコンデンサに使用される内部電極形成用の導電性ペーストは、前記導電性粉末と、共材として誘電体グリーンシートを構成する材料成分のBaTiO、BaTiZr1−x、TiO等と、有機バインダとを混合し、ボールミル、ビーズミル、スリーロールミル等によって前記導電性粉末と共材とを有機バインダ中に均一分散し、最終的に目的の粘度に合わせ込むため、有機溶剤を希釈剤として加えて得る。
有機バインダとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル等の樹脂が使用され、溶剤としては、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、オクタノール、デカノール、トリデカノール、酢酸ブチル、石油系炭化水素等が使用されてきた。また、ペーストに所定のレオロジー特性を付与し、無機物の安定分散を実現させる目的で、各種界面活性剤等も使用されている。このように、導電性ペーストは、ほとんどが非水溶性の材料で構成され、諸特性、保存性などを安定させている(特許文献1参照)。
かかる導電性ペーストは、前述のように、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷された後、加熱・乾燥され有機バインダが除去されるが、その際に得られる導電性ペーストの乾燥体が高い密度を有するようにすることが、焼成後の内部電極の薄層化を実現するために重要である。すなわち、少ない金属塗布量で、薄くて高密度、かつ目標容量値を有する内部電極を形成するためには導電性ペーストを乾燥後に得られる膜(以下、単に「乾燥膜」という。)の単位体積、あるいは、スクリーン印刷単位面積当りの導電性粉末の充填密度(これを「乾燥膜密度」という)をどれだけ高くできるかが大きな課題となる。また、導電性ペーストの乾燥膜は、薄層化を実現するためには表面の平滑性が重要である。すなわち、乾燥後の表面粗さ(Ra)が重要なファクターで、どれだけ小さくできるかが課題である。
そのために、導電性ペーストは、通常、導電性粉末と共材との分散性を上げなければならないが、特許文献1のように、界面活性剤を使用して導電性粉末と共材の表面を被覆することが提案されている程度であって、決め手となる分散性向上の技術はまだ開発されていない。その一方で、近年では、環境への配慮、即ち環境負荷の低減という点から、VOC(揮発性有機化合物)使用量の削減が求められている。そこで、環境問題から、樹脂、溶剤などを水溶性のものに代替した水性導電性ペーストの開発が求められている。
しかしながら、水性導電性ペーストには、乾燥が速すぎる、印刷性の確保が難しい、保存安定性に欠ける等の問題点がある。また、導電性粉末についても、有機バインダを水性樹脂に切り替えた場合には分散性が悪化するという問題点がある。このようなことから、環境負荷が低減されるだけでなく、現状の非水性有機バインダを用いた導電性ペーストと同等以上の焼成膜特性が得られる水性導電性ペーストが求められている。
特開2004−200449号公報
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、乾燥膜密度が高く、表面粗さが小さく、連続性に優れた焼成膜を誘電体シート上に形成でき、内部電極の薄層化に対応できる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ね、Pd、Ag、Ni、Cuから選ばれる金属粉末または/および合金粉末からなる導電性粉末と、誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材と、有機バインダとを含む積層セラミックコンデンサの誘電体シートに内部電極を形成するための導電性ペースト組成物において、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど特定の水溶性樹脂と、グリコール系化合物など特定の水溶性溶剤を含む有機バインダを採用して、これに前記導電性粉末を十分に分散させることで、乾燥膜密度が高く、表面粗さが低減し、連続性に優れた焼成膜が誘電体シート上に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、Pd、Ag、Ni、またはCuから選ばれる金属粉末および/または合金粉末からなる導電性粉末(A)、誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材(B)、及び有機バインダ(C)からなる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物において、有機バインダ(C)は、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、又はこれらのセルロース誘導体から選ばれる水溶性樹脂(C1)及びグリコール系化合物から選ばれる水溶性溶剤(C2)を含み、水溶性樹脂(C1)の含有量が、ペースト全量に対して1.0〜5.0重量%となるように配合して、導電性粉末(A)及び共材(B)を有機バインダ(C)中に十分に分散させたことを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、導電性粉末(A)は、CVD法によって製造されたNi粉末であって、その平均粒径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、導電性粉末(A)の含有量は、ペースト全量に対して30〜70重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、共材(B)は、主要成分がBaTiOであって、平均粒径が0.01〜2.0μm、かつ含有量がペースト全量に対して1〜30重量%であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、水溶性樹脂(C1)は、分子量が2万〜40万の範囲内であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、水溶性溶剤(C2)は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、又はトリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種のグリコール系化合物であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、さらに、水を含有し、その含有量が、ペースト全量に対して0〜10重量%であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物が提供される。
本発明の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物は、有機樹脂バインダとして特定のセルロース系の水溶性樹脂およびグリコール系の水溶性溶剤を用いていることから、環境負荷が低減され、従来の非水溶性樹脂および非水溶性溶剤をベースとしたペーストと比べて作業環境が改善される。また、従来の導電性ペースト組成物と比べて乾燥膜の表面粗さが同様以上であり、しかも高い乾燥膜密度、高い焼成膜連続性が従来と同様以上であるために、コンデンサ内部電極の薄層化に対応することができる。
以下、本発明の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物(以下、水性導電性ペースト組成物ともいう)を詳細に説明する。
本発明の水性導電性ペースト組成物は、Pd、Ag、Ni、またはCuから選ばれる金属粉末および/または合金粉末からなる導電性粉末(A)、誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材(B)、及び有機バインダ(C)からなる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物において、有機バインダ(C)は、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、又はこれらのセルロース誘導体から選ばれる水溶性樹脂(C1)及びグリコール系化合物から選ばれる水溶性溶剤(C2)を含み、水溶性樹脂(C1)の含有量が、ペースト全量に対して1.0〜5.0重量%となるように配合して、導電性粉末(A)及び共材(B)を有機バインダ(C)中に十分に分散させたことを特徴とする。
1.導電性粉末(A)
導電性粒子としては、Pd、Ag、Ni、Cuなどの金属粒子やこれらの合金粒子が使用され、好ましくはNi、Cuなどの金属粒子やこれらの合金粒子が使用される。
例えば、Ni金属粉末であれば、水分率が1%以下である塩化ニッケル(無水塩化ニッケル)が原料として使用されており、ニッケル塩蒸気を水素ガスで還元する化学気相反応法(CVD法)により微細なニッケル金属粉末として製造される。この原料となる塩化ニッケルは、水分率が1%以上に上昇すると気相還元反応の際にニッケル粉の回収歩留まりが低下するという問題があるので、高純度で特に硫黄含有率の低い金属ニッケルを500〜1000℃に加熱し、塩素ガスにより塩化することにより、塩化ニッケル蒸気を生成させた後、凝縮回収することで製造されたものが好ましい(例えば、特開平11−228145号公報参照)。
導電性ペーストは、誘電体シートに塗布後、乾燥されるが、コンデンサの薄層化を実現するためには、この乾燥膜表面の平滑性を高めることが重要である。すなわち、乾燥後の表面粗さ(Ra)が重要なファクターで、どれだけ小さくできるかが課題である。そのため、導電性ペーストは、通常、導電性粉末と共材との分散性を上げるか、導電性粉末と共材とが充填密度が高くなる形状と表面状態を有するようにするか、真密度の高い導電性粉末を使用するなどを考慮しなければならない。
そのために、本発明においても、粒子の形状、粒子の表面状態、真密度、粒径、材質、配合比等を決定し、有機バインダの成分を最適化する。導電性金属粒子の形状は、球形であることが望ましいが、これは球形の粒子であると充填率が板状や無定形の粒子よりも優れた特性を持つためである。
導電性粒子の表面状態は、共材と親和性を有することが望ましく、例えば、導電性粉末の表面を共材と同じ元素を含む化合物、例えば、ビスマス、チタンを含む有機化合物、またはアルミニウム、ジルコニウムもしくはシリコンのいずれか一種以上を含む有機化合物、例えば、チタン系カップリング剤、アルミ系カップリング剤またはシラン系カップリング剤などで被覆することができる。表面処理方法としては特に制限されないが、前記有機化合物を適当な溶剤に溶かした後、ニッケル粉末を加えることによりニッケル粉末表面に前記有機化合物を吸着させるなどの方法を用いることができる。ニッケル粉末のペースト中での分散性を確保するには、ペースト中での濡れ性向上が重要であり、このような有機化合物による粉末の表面処理が有効である。また、導電性金属粒子の真密度は、金属の密度の95%以上であることが好ましい。例えば、Niの場合は8.5〜8.9g/cmであることが好ましい。
本発明の水性導電性ペースト組成物は、導電性粉末の平均粒径が0.05〜2.0μmであることが好ましい。この平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)写真より求められる値である。平均粒径が2.0μmを超えると積層コンデンサの薄層化が難しくなる。また、平均粒径が0.05μmを下回ると、金属粒子の表面活性が高くなりすぎて、適正な粘度特性が得られないことや、導電性ペーストの長期保存中に変質するなどの恐れがある。
微細ニッケル粉末の製造では、CVD法の場合、無水の塩化ニッケルを昇華し、キャリヤーガスとして窒素ガスあるいはアルゴンガスなどの不活性ガスを用いて塩化ニッケル蒸気とし、水素還元されている。この際、粒形、粒径、粒度分布、結晶性が優れた微細ニッケル粉末を得るには、硫黄含有率が10ppm以下である低硫黄ニッケル粉末が得られるように水分や硫黄分などが一層低減される条件に設定することが望ましい。
導電性ペースト中の導電性粉末の含有率は、ペースト全量に対して30〜70重量%とすることが好ましい。その含有量が30重量%未満では焼成時に電極膜形成能力が低く、所定のコンデンサ容量を得ることが難しい。70重量%を超えると電極膜の薄層化が困難となる。
2.共材(B)
本発明の水性導電性ペースト組成物において、共材は、積層セラミックコンデンサの誘電体シートを構成する主要材料であり、導電性ペーストと誘電体シートとの馴染みを良くするために添加されるものである。例えば、BaTiOのほかに、BaTiZr1−x、などが使用される。本発明においては、共材が誘電体シートの誘電率に悪影響をおよぼさないようにしなければならず、主要成分としてBaTiOを用いる場合には、共材中のBaTiOを80重量%以上とすることが好ましい。
共材であるBaTiOの平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましい。平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)写真より求めた値である。平均粒径がこの範囲を外れると焼成後の抵抗値が上昇したり、電極膜形成が不充分で作成した積層コンデンサの静電容量が得られない。
前記の通り、導電性ペーストの乾燥膜は、乾燥後の表面粗さ(Ra)がなるべく小さくなるようにしなければならない。このためには、前記導電性粉末の場合と同様に、分散性を上げるため、共材の充填密度が高くなるような形状と表面状態を有するようにする。
また、ペースト中含有量が1〜30重量%であることが好ましい。含有量が1重量%よりも少ないと、導電性ペーストと誘電体シートとの馴染みが悪く、また、含有量が30重量%よりも多いと、導電性が低下するので好ましくない。
3.有機バインダ(C)
本発明において、有機バインダは、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、又はこれらのセルロース誘導体から選ばれる水溶性樹脂(C1)、及びグリコール系の水溶性溶剤(C2)を含んでいる。
(1)水溶性樹脂(C1)
水溶性樹脂(C1)は、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、又はこれらのセルロース誘導体から選ばれるいずれかである。セルロース誘導体とは、前記セルロース化合物に塩素などのハロゲン基、アミノ基などの基が結合したものである。これらの物質は、多数の水酸基、あるいは水酸基とカルボキシ基を有する構造であるために、親水性であって水への溶解度が大きい。そして、導電性粉末や共材を均一に分散できる。この水溶性樹脂の分子量は、2万〜40万の範囲内であることが望ましい。分子量が2万未満では、粘度が低くなり過ぎる。40万を超えると溶剤への溶解が困難となる。
これに対して、水溶性樹脂の一種であるポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジノン(PVP)、ポリエチレンオキサイド(PEO)であると、誘電体シートにペーストを塗布、乾燥して得られる乾燥膜の表面粗さが大きくなるので好ましくない。その理由はまだ明確になっていないが、導電性粉末や共材との親和性が上記セルロースと比べて小さいために印刷性、レベリング性が悪くなってしまうからではないかと考えられる。
水溶性樹脂の含有量は、ペースト組成物全量に対して1〜5重量%であることが好ましい。含有量が1重量%未満では、スクリーン印刷に適した粘度を得ることが困難であり、5重量%を超えると脱バインダ時に残留カーボン量が増え、これにより積層チップの層間剥離が起やすくなるので好ましくない。
(2)水溶性溶剤(C2)
水溶性溶剤(C2)は、グリコール系溶剤が使用される。
具体的には、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が好ましい。とくに好ましいものは、プロピレングリコールである。その理由は、ペースト組成物はスクリーン印刷後に、低温で乾燥されるがプロピレングリコールが最も揮発しやすいからである。
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールを用いる場合は、沸点が高いため、加熱温度を高めなければならない。グリコール系溶剤は、プロピレングリコールを単独で使用することが望ましいが、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールを混合して用いても良い。
また、水溶性溶剤(C2)には、水をペースト中に0〜10重量%含有しても良い。好ましくは、5重量%以下、さらに好ましくは、3重量%以下である。水の含有量が、10重量%を超えると、スクリーン印刷で形成した所定パターンが数分間の放置で、周辺部から乾燥を始めてしまい、乾燥速度が速く、ペースト塗布層がレベリングにより平坦になる前に乾燥してしまい、スクリーンメッシュの跡が残る場合もある。10重量%以下であれば、従来の有機溶剤系の導電性ペースト組成物とほぼ同じように、レベリングして平坦化する。
4.水性導電性ペースト組成物の製造
以下、本発明の水性導電性ペースト組成物を作製する手順を説明する。本発明の水性導電性ペースト組成物は、まず、水溶性樹脂の粉末を水溶性溶剤に溶解して有機バインダを調製し、次に、導電性粉末、共材を添加し、有機バインダ中に分散する。
(1)有機バインダの作製
まず、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性樹脂の粉末とグリコールなどの水溶性溶剤を用意し、水溶性樹脂が20〜50重量%の濃度となるように、グリコール系の水溶性溶剤と混合する。そして、引き続き水溶性樹脂が溶解するまで攪拌しながら加熱する。水溶性樹脂がヒドロキシプロピルメチルセルロース、水溶性溶剤がプロピレングリコールであれば、50〜60℃に加温した恒温槽の湯の中に1〜3時間放置することで、均一に溶解させることができる。
(2)導電性ペースト組成物の作製
次に、導電性粉末、共材、作製した有機バインダを所定の量を秤量し、スリーロールミルによって、導電性粉末と共材とを有機バインダ中に均一分散混合させる。
導電性粉末は、ペースト全量に対して1〜30重量%、共材は、ペースト全量に対して30〜70重量%とすることが好ましい。また、有機バインダ中の水溶性樹脂は、ペースト全量に対して1〜5重量%とすることが好ましい。粘度は、一般的にブルックフィールド社製B型粘度計、HBTでスピンドルNo.14を用いスピンドルの回転が10rpmで約10〜80Pa・sの粘度を持ち、かつ10rpmと100rpmのときの粘度比(10rpm値/100rpm値)が4以下になるように調整される。
これにより、導電性粉末(A)及び共材(B)が有機バインダ(C)中に十分に分散しており、積層セラミックコンデンサ内部電極形成時に、乾燥膜の表面粗さが低減された本発明の水性導電性ペースト組成物を得ることが出来る。
以下に、本発明の実施例、比較例を示して詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら制限されることはない。
乾燥膜の表面粗さの評価
各実施例、比較例の水溶性導電性ペースト組成物、または従来の非水溶性導電性ペースト組成物(従来品)を1インチ角のガラス基板上に、スクリーン印刷で塗布し、厚さ約20μmの導電性ペースト薄膜を形成した後、これを100℃、10分間乾燥した。その後、表面粗さ計にて表面粗さ(Ra)を測定した。
判定の基準として、従来品の表面粗さRaを基準とした。そして、下式(1)より得られる値Aにより、表面粗さの判定を行った。
A=[実施例、または、比較例の表面粗さRa(μm)]÷
[従来品の表面粗さRa(μm)]×100(%) (1)
判定基準 ○:A=100%以下
×:A=100%より大きい
乾燥膜密度の評価
各実施例、比較例の導電性ペーストをPETフィルム上にのせ、幅50mm、ゲージの隙間250μmのアプリケータで長さ約100mmに延ばした。続いてこれを120℃、40分間乾燥した。この乾燥体を1インチ角に4枚切断し、PETフィルムをはがした上で各4枚の乾燥膜の厚み、重量を測定して乾燥膜密度を算出した。
次に、非水溶性導電性ペースト(従来品)を用いて、前記方法で作製した乾燥膜密度を算出し、これを基準とした。そして、下式(2)より得られる値Bにより、乾燥膜密度の判定を行った。
B=[実施例、または比較例の乾燥膜密度(g/ml)]÷
[従来品の乾燥膜密度(g/ml)]×100(%) (2)
判定基準 ○:B=100%以上
×:B=100%未満
(実施例1〜3:水溶性樹脂の種類)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のメチルセルロース(MC)SM−4(分子量 約25000)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)商品名SEB−04T(分子量 約310000)、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06(分子量 約35000)を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(硫黄含有率が10ppm以下、SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。
なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
その後、各試料によって得られた乾燥膜の表面粗さ、乾燥膜密度の評価を行ったところ、乾燥膜の表面粗さは97〜99%、乾燥膜密度は101〜103%であった。
(従来例:非水溶性樹脂)
一方、表1の実施例1〜3とは別に、有機樹脂として非水溶性のエチルセルロース(EC)を用いて従来品に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した(従来例)。ターピネオール(TPO;α、β、γ混合体)を70℃まで加熱し、インペラーで攪拌しながらエチルセルロース(EC)を所定量まで徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、前記実施例と同様に、このビヒクルに、Ni粉を50重量%、共材としてBaTiOを10重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。粘度はブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定すると10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。その後、各試料によって得られた乾燥膜の表面粗さ、乾燥膜密度の評価を行った。
Figure 2009170242
(実施例4、5:水溶性溶剤の種類)
ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)を約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロースを徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%と、共材として市販のSEMで求めた平均粒径が0.1μmのBaTiOを10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。表2の実施例4〜5に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例6、7:水の含有量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、これに導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を0(なし)、又は10重量%混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表3の実施例6、7に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例8〜12:共材の量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を5、15、20、25、又は30重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表4の実施例8〜12に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜500Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例13〜16:共材の粒径)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiOについて、SEMで求めた平均粒径が0.01、0.1、1.0、又は2.0μmのものを10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表5の実施例13〜16に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例17〜20:金属粉末の量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を30、40、60、又は70重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表6の実施例17〜20に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が10〜400Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例21〜24:金属粉末の粒径)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉について、SEMで求めた平均粒径が0.1、0.4、1.0、又は2.0μmのものを50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表7の実施例21〜24に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(実施例25〜28:金属粉末の種類)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末として、Ag、Pd、Cu,Ag/Pd各粉末(SEMで求めた平均粒径が0.05〜2.0μmに入るもの)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μmのもの)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表8の実施例25〜28に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(比較例1〜5:水溶性樹脂の種類)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、ポリエチレンオキサイド(PEO)分子量5万、100万のものを徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。
また、プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、市販のポリビニルアルコール(PVA)#2000(分子量88000)を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、前記同様、Ni粉を50重量%、共材として市販のBaTiOを10重量%、水を5重量%混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。
また、プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、市販の分子量が36万、又は130万のポリビニルピロリジノン(PVP)を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、前記同様、Ni粉を50重量%、共材として市販のBaTiOを10重量%、水を5重量%混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。
前記の方法に従い表9の比較例1〜5に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(比較例6〜7:水溶性溶剤の種類)
純水を約40℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のメチルセルロース(MC)SM−4、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表10の比較例6、7に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が5〜15Pa・sであった。
Figure 2009170242
(比較例8〜9:水の含有量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、これに導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を12.5、15重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表11の比較例8、9に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が10〜20Pa・sであった。
Figure 2009170242
(比較例10〜11:共材の量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を0、35重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表12の比較例10、11に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が10〜1000Pa・sであった。比較例10の試料では、表面粗さ、乾燥膜密度は良いものの、焼成膜が島状になってしまい連続膜が得られなかった。
Figure 2009170242
(比較例12〜13:共材の粒径)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を50重量%、共材として市販のBaTiOについて、SEMで求めた平均粒径が0.005、2.5μmのものを10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表13の比較例12〜13に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
(比較例14〜15:金属粉末の量)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末としてCVD法で作製された市販のNi粉(SEMで求めた平均粒径が0.4μm)を25、75重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。前記の方法に従い表14の比較例14〜15に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が10〜1000Pa・sであった。比較例14の試料では、表面粗さ、乾燥膜密度は良いものの、焼成膜が島状になってしまい連続膜が得られなかった。
Figure 2009170242
(比較例16〜17:金属粉末の粒径)
プロピレングリコールを約60℃まで加熱し、インペラー(羽根車)で攪拌しながら、信越化学(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)60SH−06を徐々に加えてビヒクルを作製した。次いで、このビヒクルに、導電性金属粉末として、市販のSEMで求めた平均粒径が0.03μmのAg粉、市販のSEMで求めた平均粒径が2.5μmのNi粉を50重量%、共材として市販のBaTiO(SEMで求めた平均粒径が0.1μm)を10重量%、水を5重量%、溶剤を混合し、スリーロールミルを用いて完全分散させた。
前記の方法に従い表15、16の比較例16、17に示す組成で導電性ペーストの試料を作製した。なお、粘度は全てブルックフィールド社製B型粘度計を用いて測定したが10rpm粘度が20〜50Pa・sであった。
Figure 2009170242
Figure 2009170242
上記比較例の結果をまとめて示すと、比較例1、2の試料では、レベリング性が悪く、印刷スクリーンメッシュの跡が残り、表面粗さが悪く、印刷不良となった。比較例3の試料では、印刷スクリーンメッシュを抜けた後に、転写された膜が泡を巻き込み、印刷不良となった。比較例4、5の試料では、レベリング性が悪く、縞模様が残り、印刷不良となった。比較例6〜9の試料では、レベリングする前に、スクリーン印刷された膜の乾燥が速く、表面粗さが悪く、印刷不良となった。スクリーン上での導電性ペーストの乾燥も速く、連続印刷ができなかった。比較例10の試料では、表面粗さ、乾燥膜密度は良いものの、焼成膜が島状になってしまい連続膜が得られなかった。比較例11では、粘度が高すぎて印刷ができなかった。比較例12では、ロール混練で2次凝集がほぐれず、均一に分散していなかった、かつ、乾燥膜表面に細かな凝集物が存在し、所望の表面粗さが得られなかった。比較例13の試料では、粒子が均一に分散しているが、共材粒子があるところとないところでの凸凹があり、所望の表面粗さが得られなかった。比較例14の試料では、表面粗さ、乾燥膜密度は良いものの、焼成膜が島状になってしまい連続膜が得られなかった。比較例15の試料では粘度が高すぎて印刷ができなかった。比較例16の試料では、ロール混練で2次凝集がほぐれず、均一に分散していなかった、かつ、乾燥膜表面に細かな凝集物が存在し、所望の表面粗さが得られなかった。比較例17の試料では、粒子が均一に分散しているが、Ni粒子があるところとないところでの凸凹があり、所望の表面粗さが得られなかった。
「評価」
実施例の試料は、特定のセルロース系水溶性樹脂及びグリコール系化合物の水溶性溶剤(C2)を含み、水溶性樹脂(C1)の含有量が、ペースト全量に対して1.0〜5.0重量%となるように配合していることから、導電性粉末(A)及び共材(B)が有機バインダ(C)中に十分に分散されている。
これに対して、比較例の試料は、水溶性の有機樹脂であっても特定のセルロース系水溶性樹脂ではないか、特定のセルロース系水溶性樹脂を用いてもグリコール系化合物以外の溶剤を用いるために、導電性粉末(A)及び共材(B)が有機バインダ(C)中に十分に分散されていない。
以上の実施例、比較例より明らかなように、有機バインダが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどから選ばれる水溶性樹脂と、グリコール系の水溶性溶剤から構成された水性導電性ペースト組成物は、非水溶性の導電性ペーストと同等以上の高い乾燥膜密度および低減された表面粗さを有することが分かった。

Claims (7)

  1. Pd、Ag、Ni、またはCuから選ばれる金属粉末および/または合金粉末からなる導電性粉末(A)、誘電体シートを構成する材料と共通成分を含む共材(B)、及び有機バインダ(C)からなる積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物において、
    有機バインダ(C)は、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、又はこれらのセルロース誘導体から選ばれる水溶性樹脂(C1)及びグリコール系化合物から選ばれる水溶性溶剤(C2)を含み、
    水溶性樹脂(C1)の含有量が、ペースト全量に対して1.0〜5.0重量%となるように配合して、導電性粉末(A)及び共材(B)を有機バインダ(C)中に十分に分散させたことを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  2. 導電性粉末(A)は、CVD法によって製造されたNi粉末であって、その平均粒径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  3. 導電性粉末(A)の含有量は、ペースト全量に対して30〜70重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  4. 共材(B)は、主要成分がBaTiOであって、平均粒径が0.01〜2.0μm、かつ含有量がペースト全量に対して1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  5. 水溶性樹脂(C1)は、分子量が2万〜40万の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  6. 水溶性溶剤(C2)は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、又はトリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種のグリコール系化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
  7. さらに、水を含有し、その含有量が、ペースト全量に対して0〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用水性導電性ペースト組成物。
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