JP2005267900A - 導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、緻密で、優れた導電性と膜強度を有する導電膜を形成できる導電性ペースト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の導電性ペースト11は、銀と、酸化銀と、該酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12とから構成されている。この導電性ペースト11は、前記有機化合物12中において、前記銀と前記酸化銀は、それぞれ独立した粒子をなしていることが好ましい。また他の形態として、前記有機化合物中において、前記酸化銀は、前記銀を包み込むようにして設けられた2層構造からなる複合粒子をなしていることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性膜,導電性配線,電極等を形成することのできる導電性ペースト及びその製造方法に関する。
従来より、導電性ペーストとしては、銀微粒子,バインダ,溶剤等が混合されてなる銀導電性ペーストが用いられている。例えば、銀導電性ペーストを基材表面に塗布、乾燥することによって、導電膜を形成できる。
しかし、このような銀導電性ペーストにより形成された導電膜では、以下に示されたように金属銀が本来有する導電性が得られなかった。
銀導電性ペーストにより形成された導電膜内において、銀微粒子同士は物理的に接触しているのみであり、更に銀微粒子同士の接触抵抗が生じるため、導電膜の導電性が、金属銀に比べて劣ったものとなる。
更に、バインダ含有量が多くなると、銀微粒子間にバインダが介在し、導電膜の導電性が大幅に低下してしまう場合がある。
そこで、銀導電性ペーストを塗布後、高温で加熱することにより、銀微粒子を溶融させ、銀微粒子同士が融着した導電膜を形成し、導電性を向上させる試みもなされている。
しかし、この場合、500℃以上の高温に加熱する必要があり、耐熱性の高い基材のみにしか使用できず、用途が限定されてしまう。また高温度に加熱する必要があるため、製造設備に係るコストやランニングコストが高くなってしまう問題点があった。
一方、銀微粒子の代わりに、酸化銀微粒子を含有する導電性ペーストも提案されている。酸化銀微粒子を含有する導電性ペーストを基材等の表面に塗布後、加熱し、酸化銀微粒子を還元して銀微粒子とする。還元されたばかりの活性な銀粒子同士が融着するため、導電性に優れた導電膜を形成できる。
しかしながら以下の式(1)に示されたように酸化銀が還元反応によって銀となるためには、400℃程度の高温にする必要があり、200℃以下の低温では還元反応が十分に起こらず、優れた導電性が得られない場合があった。
AgO→2Ag+1/2O (1)
そこで、導電性ペーストに還元剤を添加することによって、酸化銀微粒子の還元反応の低温度化を図る試みも行われている。
しかし、導電性ペーストを基材表面に塗布後、加熱する際、還元剤等が分解して分解生成ガスが発生したり、酸化銀微粒子の還元によって酸素ガスが発生し、これらガスによって導電膜中にポア(空隙)が形成され、非常にポアが多く、密度の低い銀の導電膜となる場合があった。
このようなポアを多く含み、密度の低い導電膜では、金属銀が本来有する導電性が得られず、また十分な膜強度が得られない場合があった。
公知の酸化銀微粒子を含有した導電性ペーストとしては、以下の特許文献1等がある。
特開2003−308730号公報
本発明の目的は、上記した事情に鑑みなされたものであり、緻密で、優れた導電性と膜強度を有する導電膜を形成できる導電性ペースト及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、銀と、酸化銀と、該酸化銀を還元する性質をもった有機化合物とから構成されていることを特徴とする導電性ペーストである。
請求項2に係る発明は、前記有機化合物中において、前記銀と前記酸化銀は、それぞれ独立した粒子をなしていることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペーストである。
請求項3に係る発明は、前記有機化合物中において、前記銀と前記酸化銀は、前記酸化銀が前記銀を包み込むようにして設けられた2層構造からなる複合粒子をなしていることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペーストである。
請求項4に係る発明は、前記銀粒子又は前記酸化銀粒子の粒子形状は、板状又は針状であることを特徴とする請求項2に記載の導電性ペーストである。
請求項5に係る発明は、前記複合粒子の粒子形状は、板状又は針状であることを特徴とする請求項3に記載の導電性ペーストである。
請求項6に係る発明は、銀と、酸化銀と、該酸化銀を還元する性質をもった有機化合物とから構成されている導電性ペーストの製造方法であって、銀粒子にオゾンを接触させて粒子表面を酸化させ、銀を包み込むようにして酸化銀が設けられた2層構造からなる複合粒子を形成する工程と、前記複合粒子と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物を混合する工程とを具備することを特徴とする導電性ペーストの製造方法である。
本発明の導電性ペーストによれば、銀と共に酸化銀が含有されたことによって、銀が含まれておらず酸化銀のみが含有されている従来の導電性ペーストに比べて、導電性ペースト中の酸化銀の含有量が少なくてよく、この酸化銀を還元するために必要となる有機化合物の含有量も低減できる。
これにより、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物の分解生成ガスの発生量を低減でき、かつ酸化銀の還元によって生成される酸素ガスの量も低減できるため、これらガスによって導電膜中に形成されるポアの量を大幅に低減できる。
このため、緻密な導電膜を形成できるため、優れた導電性が得られ、かつ優れた膜強度が得られる。
導電性ペーストが、銀粒子と酸化銀粒子を含有する場合、通常の塗布方法を用いて基板等の基材上に塗布した後、加熱すると、導電性ペースト中の酸化銀粒子が還元されて活性な銀粒子となり、この還元されたばかりの活性な銀粒子を介して、導電性ペーストに含有されていた銀粒子同士とを融着させることができる。
このように、酸化銀粒子が還元されて生成した活性な銀粒子を介して、導電性ペーストに含有されていた銀粒子同士が融着されるため、銀粒子間の接触抵抗を低減できる。更に、前記したように、ポアが少なく緻密な導電膜が形成されるため、更に優れた導電性が得られ、かつ優れた膜強度が得られる。
導電性ペーストが、複合粒子を含有する場合、この複合粒子では、銀を包み込むようにして設けられた酸化銀は、粒子表面近傍に存在するため、酸化銀粒子のように粒子全体が酸化銀から構成されているものに比べて、酸化銀と、この酸化銀を還元する性質をもった有機化合物との接触確率が高く、酸化銀の還元反応が進行しやすい。
このため、酸化銀粒子に比べて、複合粒子の酸化銀を還元させるための有機化合物の量を少なくでき、この有機化合物の分解生成ガスの発生量を低減できる。これにより、ガスによって導電膜中に形成されるポアの量を低減できる。
このため、導電性ペーストを用いることによって、緻密で、優れた導電性と膜強度を有する導電膜を形成できる。
本発明の導電性ペーストの製造方法によれば、複合粒子の粒子形状,粒子径,銀と酸化銀の含有比を精度良くかつ容易に調整できる。このため、複合粒子の粒子形状,粒子径,銀と酸化銀の含有比を精度良く調整することによって、緻密で、優れた導電性、膜強度を有する導電膜を形成できる導電性ペーストを製造できる。
本発明の導電性ペースト及びその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[第一の実施形態]
図1は、本実施形態の導電性ペーストの一例を示す模式図である。この導電性ペースト11は、銀と、酸化銀と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12とから少なくとも構成されたものである。特に、銀と酸化銀とは、それぞれ粒子をなし、銀粒子13と酸化銀粒子14として導電性ペースト11中に含有されている。
ここで、前記銀とは、銀単体すなわち金属銀である。
導電性ペースト11中に含まれる酸化銀粒子14としては、酸化銀(I)(AgO),酸化銀(II)(AgO),三酸化銀(Ag),一酸化三銀(AgO)等の酸化銀から構成されている粒子が挙げられる。
酸化銀粒子14としては、特に限定されないが、粒子の一部又は全てが酸化数の低い酸化銀(I)又は一酸化三銀(AgO)から構成されている酸化銀粒子が好ましい。
酸化銀(I)又は一酸化三銀(AgO)は、酸化数が低いため、還元されて銀粒子となるために受容する電子の数が少なくて済み、酸化銀を還元させるための有機化合物12の量を低減でき、この有機化合物12の分解生成ガスの発生量を低減できる。
また、酸化銀(I)又は一酸化三銀(AgO)は、還元によって生成される銀の量に対して、還元によって生成される酸素ガスの量が少なく、酸素ガスによって導電膜中に形成されるポアの量を低減できる。
酸化銀粒子14の平均一次粒子径は、5nm以上、500nm以下が好ましい。これにより、酸化銀粒子14の表面積が大きいため、酸化銀粒子14は反応性に富み、また酸化銀粒子14と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面を大きくすることができる。このため、酸化銀粒子14が還元されやすくなり、100℃以上、200℃以下の低温度で酸化銀粒子14を還元させることができる。
酸化銀粒子14は、その平均一次粒子径が5nm以上、500nm以下であると共に、導電性ペースト11中の全ての酸化銀粒子14の一次粒子径が5nm以上、500nm以下であることが更に好ましい。
このような酸化銀粒子14は、粒度が揃っているため充填性に優れる。このため、酸化銀粒子14が銀粒子13同士の粒子間に高濃度に充填しやすく、この酸化銀粒子14が含有された導電性ペースト11を用いることによって、緻密な導電膜を形成できる。
酸化銀粒子14の平均一次粒子径が500nmよりも大きい場合、酸化銀粒子14の表面積が小さく、酸化銀粒子14は反応し難くなり、また酸化銀粒子14と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面が小さくなってしまう。このため、酸化銀粒子14を還元させるためには200℃よりも高い温度で加熱しなければならなくなるため、好ましくない。
また、酸化銀粒子14の平均一次粒子径が5nmよりも小さい場合、酸化銀粒子14は凝集しやすく、均一に分散した粒子とすることが難しい。このため、凝集体を多く含有してしまい、酸化銀粒子14と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面が小さくなってしまうため、好ましくない。
酸化銀粒子14の製造方法としては、例えば硝酸銀等の銀塩と、高分子分散剤と、界面活性剤等を水等の溶媒に溶解させ、この銀塩が溶解された溶液と、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液とを混合して、酸化銀粒子からなる沈殿物を得る方法等が挙げられる。
銀塩が溶解された溶液とアルカリ性溶液とを混合する際の溶液の水素イオン濃度(pH),混合温度,撹拌速度等を調整したり、高分子分散剤や界面活性剤等の化学種を適宜選択することによって、酸化銀粒子の粒子径や粒子形状を調整することができる。
なお、前記酸化銀の沈殿物を洗浄後、加熱して、酸化銀粒子14の粒子径や粒子形状を調整しても構わない。
導電性ペースト11に含有されている銀粒子13は、銀から構成されている粒子である。
銀粒子13の平均一次粒子径は、20nm以上、15μm以下が好ましい。これにより、銀粒子13は、酸化銀粒子14と均一に混合されやすく、銀粒子13同士の粒子間に酸化銀粒子14が分散した状態とすることができる。このため、酸化銀粒子14が還元されて活性な銀粒子となる際、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士が融着しやすくなる。
特に、銀粒子13の平均一次粒子径が前記した範囲である場合、銀粒子13の平均一次粒子径に対する酸化銀粒子14の平均一次粒子径の比を十分に小さくすることができる。これにより、酸化銀粒子14の含有量が少量であっても、銀粒子13の表面に酸化銀粒子14が付着した状態とすることができる。
銀粒子13の表面に酸化銀粒子14が付着している場合、酸化銀粒子14を介して銀粒子13同士が接触した状態となりやすい。このため、酸化銀粒子14が還元されて活性な銀粒子となると、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士は、確実にかつ容易に融着される。
このように、酸化銀粒子14の含有量が少量であっても、酸化銀粒子14が還元されて生成した銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士を融着できるため、必要となる酸化銀粒子14の含有量を低減できる。
これにより、酸化銀粒子14を還元する性質をもった有機化合物12の分解生成ガスの発生量を更に低減でき、かつ酸化銀粒子14の還元によって生成される酸素ガスの量も更に低減できるため、ガスによって形成されるポアの量を更に低減でき、より緻密な導電膜を形成でき、より優れた導電性と膜強度が得られる。
銀粒子13は、その平均一次粒子径が20nm以上、15μm以下であると共に、導電性ペースト11中の全ての銀粒子13の一次粒子径が20nm以上、15μm以下であることが更に好ましい。
このような銀粒子13は、粒度が揃っているため充填性に優れる。このため、この銀粒子13が含有された導電性ペースト11を用いることによって、緻密な導電膜を形成できる。
銀粒子13の平均一次粒子径が20nmよりも小さい場合、銀粒子13が凝集しやすくなり、この銀粒子13同士の粒子間に酸化銀粒子14が分散した状態になり難くなってしまう。また、銀粒子13の粒界領域(銀粒子13の粒子間の界面)が増加し、銀粒子13同士を融着させるために必要となる酸化銀粒子14の必要量が増加してしまうため、好ましくない。
また、銀粒子13の平均一次粒子径が15μmよりも大きい場合、銀粒子13の充填性が悪くなり、緻密な導電膜が得られ難くなりため、好ましくない。
銀粒子13の製造方法としては、例えば硝酸銀等の銀塩と、ポリビニルピロリドン等の分散剤等を水等の溶媒に溶解させ、この銀塩が溶解された溶液と、ヒドロキノン等の還元剤が溶解された溶液とを混合して、銀粒子等から構成された沈殿物を得て、この沈殿物をろ過、洗浄する方法等が挙げられる。
銀塩が溶解された溶液と還元剤が溶解された溶液とを混合する際の溶液の水素イオン濃度(pH),混合温度,撹拌速度等を調整したり、還元剤や分散剤の化学種を適宜選択することによって、銀粒子13の粒子径や粒子形状を調整することができる。
導電性ペースト11中の銀粒子13の含有量(C)に対する酸化銀粒子14の含有量(C)の比(C/C)(質量比)は、1/100以上、1/1以下が好ましい。
これにより、銀粒子13同士の粒子間に十分な量の酸化銀粒子14が分散した状態とすることができる。このため、酸化銀粒子14が還元されて活性な銀粒子となると、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士は、確実にかつ容易に融着される。
前記C/Cが1/100よりも小さい場合、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14の含有量が少ないため、銀粒子13同士の粒子間に酸化銀粒子14が分散した状態とすることが難しくなる。このため、酸化銀粒子14が還元されて生成した活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士が融着し難くなるため、好ましくない。
前記C/Cが1/1よりも大きい場合、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14の含有量が多いため、酸化銀を還元するために有機化合物12の含有量を多くする必要がある。
このため、導電性ペースト11を面状の基材等に塗布後、加熱する際、前記有機化合物12の分解生成ガスが多く発生し、また酸化銀粒子14の還元によって多くの酸素ガスが発生し、これらガスによって多くのポアが生じ密度の低い導電膜となってしまうため好ましくない。
前述した酸化銀粒子14又は銀粒子13の粒子形状は、特に限定されないが、板状,針状が好ましい。これにより、酸化銀粒子14同士,銀粒子13同士,又は酸化銀粒子14と銀粒子13とは、面接触することになり、接触面積を大きくすることができる。また、銀粒子13の充填性が向上し、銀粒子13間の粒子間隔を低減できる。
このため、酸化銀粒子14が還元されて生成した活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士が融着する際、銀粒子13間の導電パスが形成されやすくなる。これにより、銀粒子13同士は、面接触した状態で融着し、導電パスが多数形成されて緻密な導電膜となり、優れた導電性と膜強度が得られる。
また、球状の酸化銀粒子14に比べて、板状又は針状の酸化銀粒子14は、粒子の表面積が大きく、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面積を大きくすることができる。このため酸化銀粒子14は前記有機化合物12によって還元されやすくなり、銀粒子13同士をより確実に融着させることができる。
なお、酸化銀粒子14又は銀粒子13の一部の粒子の粒子形状が、板状又は針状であればよく、例えば、板状の粒子と針状の粒子との混合物、板状の粒子又は針状の粒子と、球状等の他の粒子形状の粒子との混合物等であっても構わない。
酸化銀粒子14の粒子形状が、板状又は針状の場合、酸化銀粒子14の平均一次粒子径は、5nm以上、500nm以下が好ましい。これにより、酸化銀粒子14と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面積を十分に大きくすることができる。このため酸化銀粒子14が還元されやすくなり、少量の有機化合物12で、かつ低温度で酸化銀粒子14を還元させることができる。
また、銀粒子の13粒子形状が、板状又は針状の場合、銀粒子13の平均一次粒子径は、20nm以上、10μm以下が好ましい。これにより、銀粒子13表面に酸化銀粒子14が付着しやすくなり、少量の酸化銀粒子14で銀粒子13同士を確実に融着させることができる。
ここで、板状の粒子の一次粒子径とは、粒子の長径を言い、針状の粒子の一次粒子径とは、粒子の長さを言う。
次に、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12について説明する。
この酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12は、100℃以上、200℃以下で加熱されると、酸化銀粒子14を還元する性質を有するものである。
前記有機化合物12としては、一般に還元剤として利用されているものに限定されず、テルピネオール,イソホロン,ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,エチルセルロース等のバインダや溶媒として利用されるものも適用できる。
酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12として、前記したバインダや溶媒として利用されるものを用いることによって、バインダや溶剤を還元剤として併用できる。
前記有機化合物12として適用できる化合物のうち、一般に還元剤として利用されているものとしては、特に限定されないが、分子構造中に、置換基としてヒドロキシル基を有するベンゼン環を備えたもの、又は有機酸が好ましく、これにより100℃以上、200℃以下の低温度で酸化銀粒子を還元できる。
更に、分解温度の低い有機化合物12が好ましく、また、還元剤として機能した後の反応生成物(酸化物)の沸点、分解温度が比較的低いものが好ましい。これにより、導電性ペーストを基材等に塗布後、加熱して導電膜を形成する際、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12の反応生成物(酸化物)が残留有機物としてほとんど残留せず、残留有機物による導電性の低下を抑制できる。
前記置換基としてヒドロキシル基を有するベンゼン環を備えた分子構造の有機化合物12としては、特に限定されないが、例えば、フェノール,ヒドロキノン,ピロカテキン,レゾルシン,オルシン,クルシオール,ピロガロール,フロログルシン,ヒドロキシヒドロキノン,ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
また、ベンゼン環を2つ以上備えていても構わず、またヒドロキシル基と共に他の置換基を有していても構わない。
特に、ヒドロキノン,ピロカテキン,レゾルシンは、還元力が比較的強く、また還元剤として機能した後の反応生成物(酸化物)の沸点、分解温度が比較的低いため、好ましく用いることができる。前記したヒドロキノン,ピロカテキン,レゾルシンのうち1種以上が含有された導電性ペーストを基材等に塗布後、加熱して導電膜を形成した際に、還元性を有する有機化合物12の反応生成物(酸化物)が残留有機物としてほとんど残留しないため、残留有機物による導電性の低下を抑制できる。
前述した有機酸としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸,ゲンチシン酸,プロトカテク酸,没食子酸,蟻酸,酢酸,シュウ酸,クエン酸等が挙げられる。
特に、蟻酸は、還元力が比較的強く、また還元剤として機能した後の反応生成物(酸化物)の沸点、分解温度が比較的低く、導電性ペーストを基材等に塗布後、加熱して導電膜を形成した際に、蟻酸の反応生成物(酸化物)が残留有機物としてほとんど残留せず、好ましく用いることができる。
有機化合物12の含有量は、酸化銀粒子14の粒子径、有機化合物12の種類によって異なるが、酸化銀粒子14に対して1質量%以上、30質量%以下が好ましく、これにより酸化銀粒子14をほぼ完全に還元でき、かつ有機化合物12の反応生成物(酸化物)が導電膜中にほとんど残留しないようにすることができる。
酸化銀粒子14に対する有機化合物12の含有量が1質量%未満の場合、酸化銀粒子14が還元されずに残留してしまうため好ましくない。また、酸化銀粒子14に対する有機化合物12の含有量が30質量%よりも多い場合、有機化合物12の反応生成物(酸化物)が導電膜中に残留し、導電膜の導電性画低下してしまうため好ましくない。
また、導電性ペースト11には溶剤が含有され、導電性ペースト11の流動性等が調整されている。
前記溶剤としては、銀粒子13、酸化銀粒子14、有機化合物12を混合、分散できるものであれば特に限定されず使用できる。例えばテルピネオール,イソホロン,ジグライム,シクロヘキサノン,ブチルセロソルブ,メタノール,エタノール,トルエン,テトラデカン,プロピレングリコールモノブチルエーテル等から選択された1種、又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
前記溶剤群のうち、テルピネオール,イソホロン,ジグライム,プロピレングリコールモノブチルエーテル等は、100℃以上、200℃以下で加熱されると、酸化銀を還元する性質を有するため、酸化銀を還元する有機化合物12として併用できる。
導電性ペースト11を、スクリーン印刷,グラビア印刷,オフセット印刷,スピンコート,ディップコート,バーコート,インクジェット等の通常の塗布方法を用いて基板等の基材上に塗布した後、100℃以上、200℃以下の低温度で加熱することによって、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14が還元されて銀粒子となり、この還元されたばかりの活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士が融着し、導電膜や導電配線となる。
本実施形態によると、導電性ペースト11中に銀粒子13と共に、酸化銀粒子14が含有されたことによって、導電性ペースト11を基材等に塗布後、加熱すると、酸化銀粒子14が、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12によって還元されて活性な銀粒子となり、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士を融着させることができる。
このため、銀粒子が含まれておらず酸化銀粒子のみが含有されている従来の導電性ペーストに比べて、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14の含有量が少なくてよく、この酸化銀粒子14を還元するために必要となる酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12の含有量も低減できる。
これにより、前記有機化合物12の分解生成ガスの発生量を低減でき、かつ酸化銀粒子14の還元によって生成される酸素ガスの量も低減できるため、ガスによって形成されるポアの量を大幅に低減できる。このため、前記導電性ペースト11を用いることによって、緻密な導電膜を形成できる。
また、酸化銀粒子が含まれておらず銀粒子のみが含有されている従来の導電性ペーストでは、導電膜としたとき、銀粒子同士が物理的に接触しているのみであった。
これに比べて本実施形態では、酸化銀粒子14が還元されて生成した活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11に含有されていた銀粒子13同士が融着されており、銀粒子13間の接触抵抗を低減できる。更に、前記したように、形成された導電膜中にはポアが少なく緻密であるため、更に優れた導電性が得られ、かつ優れた膜強度が得られる。
なお、導電性ペースト11には、用途、目的に応じてエチルセルロース、エポキシ樹脂等の樹脂バインダ等が含有されていても構わない。
また、銀粒子13,酸化銀粒子14は、銀,酸化銀以外の化合物を含有していても構わない。また、導電性ペースト11中には、金,銅等の金属粒子が含有されていても構わない。
[第二の実施形態]
本実施形態が、第一の実施形態と異なる点は、銀粒子13と酸化銀粒子14の代わりに、銀と酸化銀から構成された複合粒子が、導電性ペースト中に含有されている点である。
図2(a)は、本実施形態の導電性ペーストの一例を示す模式図であり、図2(b)は、導電性ペースト中の複合粒子の一例を示す概略断面図である。
この導電性ペースト21は、銀と酸化銀から構成された複合粒子25と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22とから少なくとも構成されている。
前記酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22は、第一の実施形態と同様のものであるため、説明を省略する。
複合粒子25は、コア(核)層25aと、コア層25aの少なくとも一部を被覆するように設けられたシェル(殻)層25bの2層構造からなるコアシェル構造の粒子であり、前記コア層25aが銀から構成され、前記シェル層25bが酸化銀から構成されたものである。
なお、シェル層25bは、2層以上設けられていても構わない。
複合粒子25では、酸化銀から構成されたシェル層25bは、粒子表面近傍に存在するため、酸化銀粒子14のように粒子全体が酸化銀から構成されているものに比べて、酸化銀と有機化合物22との接触確率が高く、酸化銀の還元反応が進行しやすい。
このため、酸化銀粒子14に比べて、複合粒子25の酸化銀を還元させるための有機化合物22の量を少なくでき、この有機化合物22の分解生成ガスの発生量を低減できる。これにより、ガスによって形成されるポアの量を低減できる。
このため、導電性ペースト21を用いることによって、緻密で、優れた導電性と膜強度を有する導電膜を形成できる。
また、酸化銀の還元反応が進行しやすいため、第一の実施形態の導電性ペースト11に比べて、より低温度で短時間の加熱処理によって導電膜を形成できる。
複合粒子25を構成する銀の含有量(C’)に対する酸化銀の含有量(C’)の比(C’/C’)(質量比)は、1/100以上、1/1以下が好ましい。
これにより、銀から構成されたコア層25aは、十分な量の酸化銀から構成されたシェル層25bによって被覆され、複合粒子25同士は、互いにシェル層25bで接触した状態となる。
このため、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22によって、複合粒子25のシェル層25bの酸化銀が還元されると、酸化銀は活性な銀となり、この活性な銀から構成されたシェル層25bを介して、複合粒子25同士は、確実にかつ容易に融着される。
前記C’/C’が1/100よりも小さい場合、複合粒子25中の酸化銀の含有量が少ないため、複合粒子25のコア層25aの大部分は、酸化銀から構成されたシェル層25bによって被覆されていない状態となる。このため、複合粒子25同士が、互いにシェル層25bで接触した状態となり難く、複合粒子25のシェル層25bの酸化銀が還元されても、複合粒子25同士が融着し難くなるため、好ましくない。
前記C’/C’が1/1よりも大きい場合、複合粒子25中の酸化銀の含有量が多いため、この酸化銀を還元するために有機化合物22の含有量を多くする必要がある。
このため、導電性ペーストを基材等に塗布後、加熱する際、有機化合物22の分解生成ガスが多く発生し、また、酸化銀の還元によって多くの酸素ガスが発生し、これらガスによって多くのポアが生じ密度の低い銀の導電膜となってしまうため好ましくない。
前記複合粒子25の粒子形状は、特に限定されないが、板状,針状が好ましい。これにより、第一の実施形態の銀粒子13と同様に、複合粒子25同士が面接触することになり、接触面積を大きくすることができ、また複合粒子25間の粒子間隔を低減できる。
このため、複合粒子25同士は、、面接触した状態で融着し、導電パスが多数形成されて緻密な導電膜となり、優れた導電性と膜強度が得られる。
また,複合粒子25は、その平均一次粒子径が20nm以上、15μm以下であることが好ましく、特に平均一次粒子径が前記範囲内であり、かつ導電性ペースト21中の全ての複合粒子25の一次粒子径が20nm以上、15μm以下であることが更に好ましい。
これにより、コアシェル構造であり、かつC’/C’が1/100以上、1/1以下の複合粒子25を後述する方法により容易に製造できる。また、平均一次粒子径が20nm以上、15μm以下の複合粒子25は、充填性に優れており、導電パスが多数形成されて緻密な導電膜を形成できる。
なお、導電性ペースト21中には、複合粒子25と共に、銀粒子13や酸化銀粒子14が含有されていても構わない。
次に、本発明の導電性ペースト21の製造方法について説明する。
まず複合粒子25を以下の方法により形成する。
銀粒子を用意する。銀粒子の製造方法としては、特に限定されず、例えば第一の実施形態で例示した方法等が適用できる。
そして、銀粒子にオゾンガスを接触させ、粒子の表面層を酸化させて酸化銀とし、銀からなるコア層25aと、酸化銀からなるシェル層25bとから構成されたコアシェル構造の複合粒子25を形成する。
前記銀粒子にオゾンガスを接触させる方法としては、オゾンガス雰囲気中で銀粒子を加熱する方法、オゾンガス雰囲気中で銀粒子を混合又は粉砕する方法、銀粒子を分散させた水等の溶媒中にオゾンガスを吹き込むオゾンバブリング法等が挙げられる。
銀粒子にオゾンガスを接触させると、銀粒子の粒子形状や粒子径は、ほとんど変化せずに、複合粒子25となる。このため、製造する複合粒子25とほぼ同じ粒子形状,粒子径の銀粒子を予め形成し、この銀粒子を用いることによって、所望の粒子形状,粒子径の複合粒子25を製造できる。
また、オゾンガスの濃度、銀粒子にオゾンガスを接触させる時間等を調整することによって、容易に複合粒子25中の銀と酸化銀の含有比を調整できる。
次に、前記複合粒子25と酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22を混合する。
例えば、複合粒子25を構成する酸化銀を還元するために必要となる有機化合物22の含有量を算出し、複合粒子25と酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22の含有量が算出値となるように、複合粒子25と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22と、溶媒と、必要に応じてバインダ等を混合する。
更に、三本ロールミル,ホモジナイザー,ビーズミル,アルティマイザー,混練脱泡機等を用いて混合物の混練、混合、又は分散を行う。以上により導電性ペーストを製造できる。
本発明によれば、複合粒子25の粒子形状,粒子径,銀と酸化銀の含有比を精度良くかつ容易に調整できる。この複合粒子25の粒子形状,粒子径,銀と酸化銀の含有比は、いずれも導電性ペーストから形成された導電膜の導電性,膜強度を左右する物性値である。
このため、複合粒子25の粒子形状,粒子径,銀と酸化銀の含有比を精度良く調整することによって、緻密で、優れた導電性,膜強度を有する導電膜を形成できる導電性ペースト21を製造できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
銀粒子13として、粒子形状が球状であり、粒子の一次粒子径が20nm以上、10μm以下の範囲内にあり、平均一次粒子径が2μmの粉末を用意した。
また、酸化銀粒子14として、粒子形状が球状であり、全ての粒子の一次粒子径が5nm以上、500nm以下の範囲内にあり、平均一次粒子径が100nmの粉末を用意した。
導電性ペースト11中の銀粒子13の含有量(C)に対する酸化銀粒子14の含有量(C)の比(C/C)(質量比)が1/20となるように、銀粒子粒子13と酸化銀粒子14の混合比を調整して銀粒子13と酸化銀粒子14を混合した。
前記した銀粒子13と酸化銀粒子14と、樹脂バインダとしてエチルセルロースと、溶剤としてα−テルピネオールとを混合した後、三本ロールミルを用いて混練して導電性ペースト11を作製した。
ここで、エチルセルロースとα−テルピネオールとは、200℃以下で加熱されると酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12である。また、導電性ペースト11中のエチルセルロースの含有量は1質量%であり、α−テルピネオールの含有量は10質量%であり、かつ酸化銀粒子14に対する酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12の含有量が5質量%となるように、エチルセルロースとα−テルピネオールの含有量を調整した。
得られた導電性ペースト11をガラス基板に塗布した後、150,180,200℃で30分加熱し、銀導電膜を作製した。
[実施例2]
酸化銀粒子14として、粒子の一次粒子径が5nm以上、500nm以下の範囲内にあり、平均一次粒子径が50nmの粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト11を作製し、この導電性ペースト11を用いて銀導電膜を作製した。
[実施例3]
銀粒子13と酸化銀粒子14の代わりに、銀から構成されたコア層25aと、酸化銀から構成されたシェル層25bとからなるコアシェル構造の複合粒子25を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト21を作製し、この導電性ペースト21を用いて銀導電膜を作製した。
ここで、前記複合粒子25として、粒子形状が球状であり、粒子の一次粒子径が20nm以上、10μm以下の範囲内にあり、平均一次粒子径が2μmの粉末を用いた。複合粒子25を構成する銀の含有量(C’)に対する酸化銀の含有量(C’)の比(C’/C’)(質量比)は、約1/20であった。
[比較例1]
銀粒子13を用いなかった以外は、実施例1と同様にして導電性ペーストを作製し、この導電性ペーストを用いて銀導電膜を作製した。
実施例1〜3、比較例1にて得られた銀導電膜の比抵抗を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005267900
比較例1で得られた銀導電膜の比抵抗率は、8.0×10−6Ω・cmよりも高く、導電性に劣ることがわかった。
銀粒子13が含まれていないため、導電性ペースト中の酸化銀の含有量が多く、酸化銀粒子14の還元によって酸素ガスが多量に発生することになる。このため、酸素ガスによって銀導電膜中にポアが多数形成されて膜密度が低下し、これにより銀導電膜の導電性が低下したと考えられる。
これに対して、実施例1〜3で得られた銀導電膜の比抵抗率は、6.0×10−6Ω・cm以下の低い値であり、優れた導電性を有することがわかった。
実施例1,2では、導電性ペースト11中に、銀粒子13と共に酸化銀粒子14が含有されたことによって、導電性ペースト11をガラス基板に塗布後、加熱すると、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12によって酸化銀粒子14が還元されて活性な銀粒子となり、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士が融着する。このように銀粒子13同士が融着されることによって、銀粒子13間の接触抵抗を低減できる。
更に、酸化銀粒子14と共に銀粒子13が含有されており、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14の含有量は、比較例1に比べて少ないため、ポアが少なく緻密な銀導電膜が形成される。
以上により、優れた導電性が得られたと考えられる。
特に、実施例1〜3で得られた銀導電膜のうち、実施例1で得られた銀導電膜に比べて実施例2で得られた銀導電膜の比抵抗率が低い。
実施例1に比べて、実施例2では、導電性ペースト11中の酸化銀粒子14の平均一次粒子径が小さいため、銀粒子13同士の粒子間や、銀粒子13表面に、酸化銀粒子14が存在しやすくなる。このため、銀粒子13同士は、酸化銀粒子14を介して、より確実に接触した状態となり、銀粒子13が酸化銀粒子14を介して接触していない箇所を低減できる。
このため、酸化銀粒子14が還元されて活性な銀粒子となると、この活性な銀粒子を介して、導電性ペースト11中に含有されていた銀粒子13同士は、確実にかつ容易に融着され、これにより実施例1に比べて比抵抗率が低減したと考えられる。
また、実施例3で得られた銀導電膜では、実施例1〜3の中で最も低い比抵抗率が得られた。
この実施例3の導電性ペースト21中には、コアシェル構造の複合粒子25が含有されており、この複合粒子25同士は、互いにシェル層25bで接触する。このため、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物22によって複合粒子25のシェル層25bの酸化銀が還元されると、酸化銀は活性な銀となり、この活性な銀から構成されたシェル層25bを介して、複合粒子25同士は、確実にかつ容易に融着され、これにより最も小さい比抵抗率が得られたと考えられる。
[実施例4]
銀粒子13として、粒子形状が板状であり、平均一次粒子径が3μm、平均粒子厚さが100nmの粒子を用い、かつ酸化銀粒子14として、粒子形状が板状であり、平均一次粒子径が500nm、平均粒子厚さが50nmの粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト11を作製し、この導電性ペースト11を用いて銀導電膜を作製した。
なお、前記粒子の平均一次粒子径は、粒子の長径の平均値である。
[実施例5]
銀粒子13として、粒子形状が針状であり、平均粒子長さが3μmの粒子を用い、かつ酸化銀粒子14として、粒子形状が針状であり、平均粒子長さが500nmの粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ペースト11を作製し、この導電性ペースト11を用いて銀導電膜を作製した。
[実施例6]
複合粒子25として、粒子形状が板状であり、平均一次粒子径が3μm、平均粒子厚さが100nmの粒子を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性ペースト21を作製し、この導電性ペースト21を用いて銀導電膜を作製した。
なお、前記粒子の平均一次粒子径は、粒子の長径の平均値である。
[実施例7]
複合粒子25として、粒子形状が針状であり、平均粒子長さが3μmの粒子を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性ペースト21を作製し、この導電性ペースト21を用いて銀導電膜を作製した。
実施例4乃至7にて得られた銀導電膜の比抵抗を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2005267900
実施例1〜3の銀導電膜に比べて、実施例4〜7の銀導電膜では、より低い比抵抗率が得られた。
粒子形状が板状又は針状の場合、粒子同士が面接触することになり、接触面積を大きくすることができ、また粒子間隔を低減できる。
実施例4,5では、銀粒子13の粒子形状が板状又は針状であるため、銀粒子13同士は、面接触した状態で融着し、導電パスが多数形成されて緻密な銀導電膜となる。
同様に、実施例6,7では、複合粒子25の粒子形状が板状又は針状であるため、複合粒子25同士は、面接触した状態で融着し、導電パスが多数形成されて緻密な銀導電膜となり、優れた導電性と膜強度が得られる。
更に、酸化銀粒子14の粒子形状が板状又は針状であるため、球状の酸化銀粒子14に比べて、酸化銀粒子14の表面積が大きく、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12との接触面積を大きくすることができる。このため酸化銀粒子14は、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物12によって還元されやすくなり、銀粒子13同士をより確実に融着させることができる。
以上により、実施例4〜7では、比抵抗率が小さく優れた導電性を有する銀導電膜が形成できたと考えられる。
本発明の導電性ペーストをガラス基板等の基材に塗布後、200℃以下の低温度で加熱すると、緻密で、優れた導電性と膜強度を有する導電性膜となるため、プリント回路基板や、メンブレン回路等の印刷回路基板等の回路配線を形成する際に利用できる。また、各種電極への電子部品の端子やリード線の接着等にも利用できる。
第一の実施形態の導電性ペーストの一例を示す模式図である。 (a)は、第一の実施形態の導電性ペーストの一例を示す模式図であり、(b)は、複合粒子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
11,21‥‥導電性ペースト、12,22‥‥有機化合物、25‥‥複合粒子。

Claims (6)

  1. 銀と、酸化銀と、該酸化銀を還元する性質をもった有機化合物とから構成されていることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記有機化合物中において、前記銀と前記酸化銀は、それぞれ独立した粒子をなしていることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記有機化合物中において、前記銀と前記酸化銀は、前記酸化銀が前記銀を包み込むようにして設けられた2層構造からなる複合粒子をなしていることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
  4. 前記銀粒子又は前記酸化銀粒子の粒子形状は、板状又は針状であることを特徴とする請求項2に記載の導電性ペースト。
  5. 前記複合粒子の粒子形状は、板状又は針状であることを特徴とする請求項3に記載の導電性ペースト。
  6. 銀と、酸化銀と、該酸化銀を還元する性質をもった有機化合物とから構成されている導電性ペーストの製造方法であって、
    銀粒子にオゾンを接触させて粒子表面を酸化させ、銀を包み込むようにして酸化銀が設けられた2層構造からなる複合粒子を形成する工程と、
    前記複合粒子と、酸化銀を還元する性質をもった有機化合物を混合する工程とを具備することを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
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