JP6623152B2 - 難燃性合成皮革およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高度な難燃性を有し、インテリア資材、車両用内装材として特に好適に用いられる合成皮革およびその製造方法に関する。
従来、合成皮革は、天然皮革の代替品として、あるいは、天然皮革以上に良好な物性を備えた皮革素材として、衣料、鞄、靴、インテリア資材、車両用内装材など様々な用途に用いられている。これらのうち、インテリア資材、車両用内装材は、火災時の人的被害を考慮し法的に厳しく規制されており、合成皮革にはこの規格をクリアする高い難燃性が要求されている。
合成皮革は、一般に、繊維質基材にポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層した様態を有するものとして知られている。合成皮革を難燃化する方法としては、合成皮革を構成する各層(例えば、繊維質基材、ポリウレタン樹脂層、さらに繊維質基材とポリウレタン樹脂層の間に接着層が設けられることもある。)のうち少なくとも1つを難燃化する方法(特許文献1〜4)や、難燃層を新たに設ける方法(特許文献5)などが開示されている。
しかしながら、これらの手法により、合成皮革の難燃性は向上するものの、合成皮革の色、特にベージュ色や茶色など黄色顔料が多く配合される色の場合、難燃性が低下するという課題がある。
日本国特開平2−264081号公報 日本国特開昭58−144184号公報 日本国特開2005−344224号公報 日本国特開2003−89986号公報 日本国特開平6−146174号公報
本発明は、黄色顔料を配合した時に難燃性低下が生じない、難燃性の良好な合成皮革を提供することを目的とする。
本発明者は、合成皮革の色、特にベージュ色や茶色など黄色顔料が多く配合される色の場合に生じる難燃性の低下が、黄色顔料に起因することを見出した。従来、合成皮革の黄色顔料としては、一般的に含水酸化鉄が用いられている。酸化鉄そのものは難燃剤としても使用されるため、難燃性を阻害するものではない。しかし、酸化鉄は吸油性が高いため、これを含有させた表皮層は溶融状態における粘性が高くなり、燃焼時に着火部分がドロップしにくくなる(火種が下に落ちにくくなる)。このことにより、難燃性が阻害されることを見出した。また、含水酸化鉄は、200〜300℃で脱水反応が起こり、併用する難燃剤のタイプによっては、特には400〜600℃でチャー化して難燃性を付与するタイプにおいては、含水酸化鉄の脱水反応による吸熱効果によりチャー化が妨げられ、難燃性が阻害されることも見出した。ここで、チャー化とは、樹脂の接炎部分の炭化のことを言う。本実施形態は、かかる知見に基づくものである。
本実施形態は、第1に、繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層してなり、リン系難燃剤を含む難燃性合成皮革において、前記表皮層が、黄色顔料として、酸化チタンを含む複合酸化物顔料を、前記表皮層の全体に含有することを特徴とするインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革である。
前記酸化チタンを含む複合酸化物顔料が、アンチモン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、及びニオブからなる群から選ばれた1種または2種の金属とともに酸化チタンを含む複合酸化物顔料であることが好ましい。
本実施形態は、第2に、繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層してなり、リン系難燃剤を含む難燃性合成皮革の製造方法であって、黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を、(1)繊維質基材に塗布するか、または(2)離型性基材上に塗布して塗布面に繊維質基材を貼り合わせることにより、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を前記繊維質基材に積層して、前記表皮層の全体に前記複合酸化物顔料を含有する難燃性合成皮革を得る、ことを特徴とするインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革の製造方法である。
本実施形態によれば、黄色顔料を配合した時に難燃性低下が生じない、難燃性の良好な合成皮革を提供することができる。
本実施形態に係る難燃性合成皮革は、繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層してなる難燃性合成皮革において、前記表皮層に黄色顔料として、酸化チタンを含む複合酸化物顔料(以下、複合酸化物黄色顔料ともいう。)を含有するものである。
本実施形態に用いられる繊維質基材は、特に限定されるものではなく、例えば、織物、編物、不織布などの布帛や、天然皮革(床革含む)を挙げることができる。また、布帛に、従来公知の無溶剤系、溶剤系または水系の高分子化合物、例えば、ポリウレタン樹脂やその共重合体を主成分とする液を塗布または含浸し、乾式凝固または湿式凝固させたものを用いることもできる。また、繊維質基材を構成する繊維の素材も特に限定されるものではなく、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも強度や加工性の観点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましい。
また、繊維質基材は、染料または顔料により着色されたものであってもよい。なお、着色に用いられる染料や顔料は特に限定されないが、黄色顔料を用いる場合は、表皮層同様、酸化チタンを含む複合酸化物顔料を用いることが好ましい。
繊維質基材としては、難燃化されたものを用いてもよい。難燃化の手法は特に限定されず、例えば、繊維質基材を構成する繊維自体に難燃性繊維を用いたり、あるいはまた、繊維質基材を構成する布帛を難燃剤により処理して難燃剤を付着させたりしてもよい。難燃剤としては、特に限定されず、例えばリン系難燃剤を用いることができる。リン系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム塩、リン酸アルミニウム塩、リン酸エステル、リン酸グアニジン、及び、有機ホスフィンオキシドなどが挙げられ、これらはいずれか1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る難燃性合成皮革は、上述の繊維質基材に、樹脂層として、ポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されたものである。
表皮層の形成に用いられるポリウレタン樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができる。これらを1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、難燃性、耐摩耗性および耐光性の観点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、燃焼時比較的多くのチャー(炭化物)を形成し表面を被覆するため、樹脂内部で発生する分解ガスの燃焼場への供給や、外界からの酸素の燃焼場への供給を遮断させることにより、難燃性を付与できる。
また、ポリウレタン樹脂にリン系難燃剤などを添加することにより、一層の難燃効果を発揮するようにしてもよい。すなわち、ポリウレタン樹脂からなる表皮層は、リン系難燃剤などの難燃剤を含有するものであってもよい。リン系難燃剤としては、上記のように、例として、ポリリン酸アンモニウム塩、リン酸アルミニウム塩、リン酸エステル、リン酸グアニジン、及び、有機ホスフィンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
ポリウレタン樹脂の形態は、無溶剤系、ホットメルト系、溶剤系、水系などを問わず、さらには、一液型、二液硬化型を問わず使用可能であり、具体的用途に応じて適宜選択することができる。
本実施形態に係る難燃性合成皮革の表皮層の着色には、黄色顔料として、酸化チタンを主成分とする複合酸化物顔料、即ち、酸化チタンを含む複合酸化物黄色顔料を用いる。黄色顔料以外の顔料としては、特に限定されない。なお、かかる複合酸化物黄色顔料の含有量は、表皮層に求められる色彩により適宜に設定されるので特に限定されず、例えば、表皮層を形成するポリウレタン樹脂100質量部(固形分)に対して1〜50質量部(固形分)でもよく、5〜40質量部(固形分)でもよい。
本実施形態によれば、表皮層には、黄色顔料として、酸化チタンを主成分とする複合酸化物顔料が用いられる。このような酸化チタン系の複合酸化物黄色顔料を含有させた表皮層は溶融状態において粘性が高くならず、燃焼時に着火部分がドロップしやすくなることにより、難燃性に優れる。また、チャー化を妨げることを防ぐことができるため、難燃性に優れる。
上記複合酸化物黄色顔料としては、酸化チタン(より詳細には二酸化チタン)を主成分とし、アンチモン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、及びニオブからなる群から選ばれた1種または2種の金属を含有する複合酸化物顔料が挙げられる。これらのなかでも、汎用性と環境負荷の観点から、クロムチタンイエロー、および/または、酸化チタンに鉄および亜鉛を含有させた複合酸化物顔料を用いることが好ましい。クロムチタンイエローとしては、Ti−Cr−Sb系、Ti−Cr−W系、及び、Ti−Cr−Nb系が挙げられ、いずれか1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。ここで、Ti−Cr−Sb系は、酸化チタンの結晶格子中の4価のチタニウムイオンの一部を5価のアンチモンイオンと、3価のクロムイオンとで置換した複合酸化物顔料である。
上記の複合酸化物黄色顔料は、いずれか1種単独で、または2種以上併用することができる。なお、酸化チタンを主成分とし、鉄を含有する複合酸化物顔料を用いる場合は、本実施形態の効果が阻害されない含有量であることが肝要である。
上記複合酸化物黄色顔料の測定温度23℃での粘度は、500〜10,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1,000〜5,000mPa・sである。粘度が500mPa・s以上であることにより、顔料の貯蔵安定性が良好なものとなる。粘度が10,000mPa・s以下であることにより、これを含有させた表皮層は溶融状態において粘性が高くなりにくく、燃焼時に着火部分がドロップしやすくなることにより、難燃性に優れる。
なお、本明細書において、複合酸化物黄色顔料の粘度は、ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)を分散媒とする固形分濃度(顔料濃度)35質量%の顔料液の測定温度23℃での粘度であり、以下のように測定する。すなわち、使用する顔料液の固形分濃度が35質量%のときは当該顔料液について、そのまま粘度を測定する。この種の顔料製品(顔料液)は分散媒がDMF主体であるため、顔料液の固形分濃度が35質量%であれば、そのまま粘度を測定すればよい。一方、固形分濃度が35質量%を超えるときは分散媒としてDMFを用いて希釈し、35質量%未満のときは分散媒(DMF)を気化させることにより、固形分濃度35質量%となるように調液し、得られた顔料液について粘度を測定する。粘度の測定はBM型粘度計(ローター:No.3、12rpm、23℃)を用いて行う。
また、上記複合酸化物黄色顔料の測定温度23℃でのPVI(Printing Viscosity Index)値は、0.3〜0.8であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.6である。PVI値が0.3以上であることにより、これを含有させた表皮層は溶融状態において粘性が高くなりにくく、燃焼時に着火部分がドロップしやすくなることにより、難燃性に優れる。PVI値が0.8以下であることにより、色安定性が良好なものとなる(色むらがなくなる)。
なお、本明細書において、複合酸化物黄色顔料のPVI値は、DMFを分散媒とする固形分濃度35質量%の顔料液の測定温度23℃でのPVI値であり、以下のように測定する。すなわち、使用する顔料液の固形分濃度が35質量%のときは当該顔料液について、そのまま粘度を測定する。一方、固形分濃度が35質量%を超えるときには分散媒としてDMFを用いて希釈し、35質量%未満のときは分散媒(DMF)を気化させることにより、固形分濃度35質量%となるように調液し、得られた顔料液について粘度を測定する。粘度の測定は、BM型粘度計(ローター:No.3、23℃)を用いて、回転数6rpmと60rpmで行い、以下の式を用いてPVI値を算出する。
PVI値=(60rpm時の粘度[mPa・s])÷(6rpm時の粘度[mPa・s])
表皮層には、必要に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲内で、従来公知の添加剤、例えば、ウレタン化触媒、架橋剤、熱安定剤、耐光安定剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、染料、顔料、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、レベリング剤などを用いることができる。表皮層の厚みは、特に限定されず、例えば、10〜50μmでもよい。
本実施形態に係る難燃性合成皮革においては、上述の繊維質基材に、樹脂層として、ポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されたものである。典型的には、繊維質基材の少なくとも一方の面に、直接または接着層を介して、ポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されたものである。接着層として用いられる接着剤としては、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂が好ましく用いられ、表皮層に用いられる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。従って、接着層は、難燃性の観点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂からなることが好ましい。また、難燃効果を高めるために、接着層には、リン系難燃剤などの難燃剤を含有させてもよい。なお、接着層の厚みは、特に限定されず、例えば、50〜300μmでもよい。
本実施形態に係る難燃性合成皮革は、リン系難燃剤などの難燃剤を含んでもよい。難燃剤は、合成皮革を構成する各層のうちの1層以上に含ませることができる。例えば、合成皮革が繊維質基材と表皮層からなる場合、繊維質基材と表皮層のいずれか一方または両方に含有させることができ、また、合成皮革が繊維質基材と表皮層と接着層からなる場合、繊維質基材と表皮層と接着層のいずれか1層以上に含有させることができる。難燃剤の含有量は特に限定されない。例えば、繊維質基材に付与する場合、繊維質基材に対する難燃剤の付着量は5〜20質量%でもよい。表皮層に付与する場合、難燃剤の添加量は、表皮層を形成するポリウレタン樹脂100質量部(固形分)に対して5〜40質量部でもよい。接着層に付与する場合、難燃剤の添加量は、接着層を形成するポリウレタン樹脂100質量部(固形分)に対して5〜40質量部でもよい。
次に、本実施形態に係る難燃性合成皮革の製造方法について説明する。前記製造方法は、黄色顔料として酸化チタンを主成分とする複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を調製する工程と、前記ポリウレタン樹脂組成物を、(1)繊維質基材に塗布するか、または、(2)離型性基材上に塗布して該塗布面に繊維質基材を貼り合わせることにより、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を繊維質基材に積層する工程と、を含むものである。
より詳細には、上記難燃性合成皮革は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(1)黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を、繊維質基材の少なくとも一方の面に塗布後、乾式凝固、湿式凝固などにて固化させることにより、繊維質基材上に、直接、表皮層を形成して積層する。(上記(1)の一様態)
(2)黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を離型性基材に塗布後、固化させることにより表皮層を形成し、これを繊維質基材の少なくとも一方の面に圧着にて貼り合わせ、最後に離型性基材を剥離することにより、繊維質基材上に、直接、表皮層を積層する。(上記(2)の一様態)
(3)黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を離型性基材に塗布後、完全に固化しない状態のものを、繊維質基材の少なくとも一方の面に貼り合わせ、最後に離型性基材を剥離することにより、繊維質基材上に、直接、表皮層を積層する。(上記(2)の一様態)
(4)黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を離型性基材に塗布後、固化させることにより表皮層を形成し、これを繊維質基材の少なくとも一方の面に接着剤を用いて貼り合わせ、最後に離型性基材を剥離することにより、繊維質基材上に表皮層を積層する。(上記(2)の一様態)
上記複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を、繊維質基材または離型性基材に塗布する方法としては従来公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、ナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーターなどの装置を用いた方法を挙げることができる。なかでも均一な薄膜層の形成が可能であるという点で、ナイフコーターによる塗布が好ましい。
本実施形態に用いられる離型性基材は特に限定されるものでなく、ポリウレタン樹脂に対して離型性を有する基材、あるいは離型処理を施した基材であればよく、例えば、離型紙、離型処理布、撥水処理布、ポリエチレン樹脂またはポリプロピレン樹脂などからなるオレフィンシートまたはフィルム、フッ素樹脂シートまたはフィルム、離型紙付きプラスチックフィルムなどを挙げることができる。
ポリウレタン樹脂組成物の塗布厚は、適宜設定すればよい。
次いで、必要により熱処理を行う。熱処理は、ポリウレタン樹脂組成物中の溶媒を蒸発させ、樹脂を乾燥させるとともに、熱処理によって架橋反応を起こす架橋剤を用いる場合や、二液硬化型の樹脂を用いる場合にあっては、反応を促進し、十分な強度を有する皮膜を形成するために行われる。熱処理温度は50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。熱処理温度が50℃以上であると、熱処理に時間がかかることがないため工程負荷が大きくなることはなく、さらに樹脂の乾燥や架橋も十分になされるため十分な塗膜強度が得られる。熱処理温度が150℃以下であると、得られる合成皮革の風合いに優れる。また、熱処理時間も特に限定されるものではないが、2〜20分間であることが好ましく、より好ましくは2〜10分間である。熱処理時間が2分間以上であると、樹脂の乾燥や架橋が十分であるため、十分な塗膜強度が得られる。熱処理時間が20分間以下であると、熱処理に時間がかかることがないため工程負荷が大きくなることはない。
かくして、本実施形態に係る難燃性合成皮革が得られる。ただし、本実施形態に係る難燃性合成皮革を製造するための方法は、上記方法に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は質量基準であるものとする。また、得られた難燃性合成皮革の評価は、以下の方法に従った。
[難燃性]
米国自動車安全基準FMVSS302の試験方法に準拠して評価した。
得られた合成皮革の裏面に、厚さ1.3mmの軟質ウレタンフォーム(EL68F、株式会社イノアックコーポレーション製、比重0.03g/cm3)と、裏布としてナイロンハーフトリコットをフレームラミネート法により積層一体化して、複合積層体とし、前記複合積層体を幅100mm、長さ350mmに裁断した試験片の端部に、ガスバーナーで15秒間接炎させて着火操作を行い、着火した炎が端部から38mmの位置に設けた標線を越えてから消火するまでの距離と時間を測定した。タテ方向、ヨコ方向でそれぞれ5点ずつ測定し、燃焼速度を算出し、最も燃えたものについて以下の基準に従って判定した。
A:試験片に着火しなかったもの、または、着火した炎が標線前に消火したもの
B:燃焼速度の最大値が80mm/分以下のもの
C:燃焼速度の最大値が80mm/分を超えるもの
[実施例1]
処方1
・ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂:100質量部
(クリスボンNY−328、固形分20質量%、DIC株式会社製)
・黄色顔料:16質量部
(酸化チタンを主成分とし、鉄および亜鉛を含有する複合酸化物黄色顔料、L−7875S、固形分35質量%、粘度2,300mPa・s、PVI値0.43、DIC株式会社製)
・白色顔料(酸化チタン):1.5質量部
(L−1781S、固形分40質量%、DIC株式会社製)
・茶色顔料(酸化鉄):3質量部
(L−1777S、固形分30質量%、DIC株式会社製)
・溶剤(ジメチルホルムアミド):40質量部
上述の処方1に従い調製した、粘度2,000mPa・s(B型粘度計、ローター:No.4、60rpm、測定温度23℃)の表皮層用ポリウレタン樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて、ウェット塗布厚が200μmとなるように離型紙に塗布し、乾燥機にて100℃で2分間熱処理して乾燥固化させることにより、厚さ45μmの表皮層を形成した。ここで、表皮層の厚さは、以下のように算出した。すなわち、難燃性合成皮革の垂直断面をマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、デジタルHFマイクロスコープVH−8000)で観察し、任意の10箇所について凸部頂点と表皮層最下部の高低差を測定した値と、任意の10箇所について凹部の底と表皮層最下部の高低差を測定した値の平均値を表皮層の厚さとした。
次いで、前記表皮層上に、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(クリスボンTA−205、固形分70質量%、DIC株式会社製)100質量部にリン系難燃剤(ATCパウダー、固形分100質量%、アークロマジャパン株式会社製)を8質量部混合したものにジメチルホルムアミドを加え、粘度5,000mPa・s(B型粘度計、ローター:No.4、60rpm、測定温度23℃)に調整した接着剤を、ナイフコーターを用いて、ウェット塗布厚が200μmとなるように塗布し、乾燥機にて100℃で1分間熱処理して予備乾燥し、ポリエステルトリコット布と重ねて4kgf/cm2(39.2N/cm2)で1分間加圧して、難燃性合成皮革を得た。得られた合成皮革の難燃性の評価は「A」であり、良好な難燃性を有するものであった。
[実施例2]
上記処方1において、黄色顔料を、クロムチタンイエロー(L−8299S、Ti−Cr−Sb系、固形分35質量%、粘度2,400mPa・s、PVI値0.49、DIC株式会社製)に変更した以外は、全て実施例1と同様にして難燃性合成皮革を得た。得られた合成皮革の難燃性の評価は「A」であり、良好な難燃性を有するものであった。
[実施例3]
ポリエステルトリコット布に、難燃剤(HF−2300、トリフェニルホスフィンオキシド、固形分50質量%、日華化学株式会社製)を7%owfで130℃30分間浴中処理した以外は、すべて実施例1と同様にして難燃性合成皮革を得た。得られた合成皮革の難燃性の評価は「A」であり、良好な難燃性を有するものであった。
[比較例1]
上記処方1において、黄色顔料を、酸化鉄(L−1778S、固形分30質量%、粘度19,000mPa・s、PVI値0.20、DIC株式会社製)に変更した以外は、全て実施例1と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革の難燃性の評価は「C」であった。
[比較例2]
上記処方1において、黄色顔料を、酸化鉄(L−1778S、固形分30質量%、粘度19,000mPa・s、PVI値0.20、DIC株式会社製)に変更した以外は、すべて実施例3と同様にして合成皮革を得た。得られた合成皮革の難燃性の評価は「B」であった。

Claims (7)

  1. 繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層してなり、リン系難燃剤を含む難燃性合成皮革において、前記表皮層が、黄色顔料として、酸化チタンを含む複合酸化物顔料を、前記表皮層の全体に含有する、ことを特徴とするインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  2. 前記酸化チタンを含む複合酸化物顔料が、アンチモン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、モリブデン、タングステン、及びニオブからなる群から選ばれた1種または2種の金属とともに酸化チタンを含む複合酸化物顔料である、請求項1に記載のインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  3. 前記酸化チタンを含む複合酸化物顔料が、クロムチタンイエロー、および/または、酸化チタンに鉄および亜鉛を含有させた複合酸化物顔料である、請求項1に記載のインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  4. 前記酸化チタンを含む複合酸化物顔料は、固形分濃度35質量%の顔料液について温度23℃で測定した粘度が500〜10,000mPa・sである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  5. 前記酸化チタンを含む複合酸化物顔料は、固形分濃度35質量%の顔料液について温度23℃で測定したPVI(Printing Viscosity Index)値が0.3〜0.8である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  6. 前記ポリウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革。
  7. 繊維質基材上に、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を積層してなり、リン系難燃剤を含む難燃性合成皮革の製造方法であって、黄色顔料として酸化チタンを含む複合酸化物顔料を混合したポリウレタン樹脂組成物を、(1)繊維質基材に塗布するか、または(2)離型性基材上に塗布して塗布面に繊維質基材を貼り合わせることにより、ポリウレタン樹脂からなる表皮層を前記繊維質基材に積層して、前記表皮層の全体に前記複合酸化物顔料を含有する難燃性合成皮革を得る、ことを特徴とするインテリア資材用または車両用内装材用の難燃性合成皮革の製造方法。
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