JP2020122252A - 合成皮革 - Google Patents

合成皮革 Download PDF

Info

Publication number
JP2020122252A
JP2020122252A JP2019229428A JP2019229428A JP2020122252A JP 2020122252 A JP2020122252 A JP 2020122252A JP 2019229428 A JP2019229428 A JP 2019229428A JP 2019229428 A JP2019229428 A JP 2019229428A JP 2020122252 A JP2020122252 A JP 2020122252A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
synthetic leather
mass
base material
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019229428A
Other languages
English (en)
Inventor
和孝 大崎
Kazutaka Osaki
和孝 大崎
祥太郎 池田
Shotaro Ikeda
祥太郎 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Achilles Corp filed Critical Achilles Corp
Priority to CN202010075373.0A priority Critical patent/CN111501371A/zh
Publication of JP2020122252A publication Critical patent/JP2020122252A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)

Abstract

【目的】国際規格EN45545−2における発熱特性や発煙特性を満たすと共に、シート用の表皮材としての耐久性や椅子張り特性に優れた合成皮革を提供することを目的とする。【構成】少なくとも繊維基材、樹脂層を積層させた合成皮革であって、合成皮革の有機質量は400g/m2以下であり、樹脂層に含有される難燃剤はリン系難燃剤を含み、樹脂層における樹脂はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むよう合成皮革を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、合成皮革に関する。
鉄道向け内装材に用いられる表皮材には、国際規格EN45545−2が適用されるケースが世界的に増えてきている。とりわけ、該規格の発熱特性と発煙特性が重要視されている。
一方で、国際規格EN45545−2にはないが、鉄道向け内装材に用いられるシート用の表皮材には、一般論として耐久性や椅子張り特性に優れたものが求められている。
たとえば、特許文献1に記載されているように、車両シートに用いた場合の張り映えが良好で、且つ、自動車内装用途に適した耐久性を有する合成皮革が提案されている。
国際公開第WO2015/001732号パンフレット
ところが、特許文献1記載の合成皮革では、国際規格EN45545−2における発熱特性や発煙特性を満たすことが困難である問題があった。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、国際規格EN45545−2における発熱特性や発煙特性を満たすと共に、シート用の表皮材としての耐久性や椅子張り特性に優れた合成皮革を提供することを目的とする。
本発明の合成皮革は、
少なくとも繊維基材、樹脂層を積層させた合成皮革であって、
合成皮革の有機質量は、400g/m2以下であり、
樹脂層に含有される難燃剤は、リン系難燃剤を含み、
樹脂層における樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の合成皮革は、国際規格EN45545−2における発熱特性や発煙特性を満たすと共に、耐久性や椅子張り特性に優れたものである。
本発明の合成皮革の第一実施形態を示す断面図である。 本発明の合成皮革の第二実施形態を示す断面図である。 本発明の合成皮革の第三実施形態を示す断面図である。 本発明の合成皮革の第四実施形態を示す断面図である。
本発明の合成皮革は、
少なくとも繊維基材、樹脂層を積層させた合成皮革であって、
合成皮革の有機質量は、400g/m2以下であり、
樹脂層に含有される難燃剤は、リン系難燃剤を含み、
樹脂層における樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする。
以下に、本発明の合成皮革の各構成についてさらに詳細に説明する。
なお、合成皮革における樹脂層の表面は、適宜、絞模様等が付与され、皮革調の外観を呈してもよい。
(合成皮革)
本発明の合成皮革は、少なくとも繊維基材と、樹脂層とを積層させたものであって、合成皮革の有機質量が400g/m2以下である。有機質量が400g/m2以下であることにより、国際規格EN45545−2における発熱特性において、当該規格値50kW/m2以下とすることができる。かかる観点から、上記有機質量は、350g/m2以下であることが好ましく、300g/m2以下であることがより好ましい。なお、有機質量が200g/m以上とすることで、合成皮革として必要とされる引張り強度や引裂き強度等の機械的強度を確実に担保することができる。
ここで「合成皮革の有機質量」とは、合成皮革を構成する全固形物を有機物と無機物に分けた時、固形となる有機物のみの単位面積当たりの質量を意味するものである。
本発明の合成皮革は、有機材料だけではなく、無機材料を含んでもよい。無機材料を含む場合、無機質量は合成皮革を構成する全固形物100質量部に対して、25質量部以下であることが好ましい。上記範囲で無機材料を含むことで、合成皮革の機械的強度(たとえば引張強度)を良好に維持しつつ、難燃性を向上させることができる。
ここで「合成皮革の無機質量」とは、合成皮革を構成する全固形物を有機物と無機物に分けた時、固形となる無機物のみの単位面積当たりの質量を意味するものである。
(樹脂層)
本発明における樹脂層に含有される難燃剤は、リン系難燃剤を含む。樹脂層に含有される難燃剤がリン系難燃剤を含むことにより、国際規格EN45545−2における発煙特性において、当該規格値を200以下とすることが可能である。リン系難燃剤は、燃焼時に炭化皮膜を形成し、酸素を遮断する働きを有するため、難燃性に優れると共に、発煙し難いという特質を備えるからである。発煙特性を良好にするという観点からは、樹脂層に含まれる難燃剤100質量%のうちリン系難燃剤が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上でることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ポリリン酸塩類、赤燐などが挙げられる。樹脂層は、1種のリン系難燃剤または2種以上のリン系難燃剤を含む。
リン系難燃剤の添加量は、樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下であることが好適である。20質量部未満であると、所望の難燃性が得られにくい。また、70質量部を超えると、合成皮革の機械的強度や風合い、ドレープ性が低下する傾向にある。
尚、本発明における樹脂層は、一層でも良いし複層で構成されてもよい。樹脂層が複層で構成される場合に、複層のうちのいずれか1層以上にリン系難燃剤が含まれる。上記複層のうちの2層以上にリン系難燃剤が含有される場合には、それらの合計量が、樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して20質量部以上70質量部以下となるよう調整されることが好ましい。
本発明の樹脂層における樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含む。樹脂層における樹脂としてポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むことにより、耐久性に優れる合成皮革を提供できる。かかる本発明の合成皮革は、とりわけ、加水分解を想定した湿熱老化条件に晒した後に測定される剥離強度および耐摩耗性にも優れる。尚、上記剥離強度は、JIS K 6772に準じて測定することができ、上記耐摩耗性は、JIS K 7204に準じて測定することができる。かかる観点からは、樹脂層を構成する樹脂100質量%のうち、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。樹脂層が複層で構成される場合には、複層を構成する全ての層に含まれる樹脂の総量において、上記割合のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が含まれていることが好ましい。
また、樹脂層が複層で構成される場合、一の層がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂から構成され、他の層がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂以外の樹脂から構成されてもよく、あるいは、樹脂層における任意の層がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂およびそれ以外の樹脂を含んでもよい。湿熱老化条件に晒された場合であっても優れた剥離強度および耐摩耗性を示すという観点からは、複層を構成する全ての層がポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むことが好ましく、複層全てが実質的にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂のみから構成されることがより好ましい。
尚、ここでいう湿熱老化条件とは、70℃雰囲気下で、かつ湿度95%RHの条件下で、5〜10週間合成皮革を放置することをいう。
上記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂としては、合成皮革の樹脂層に用いられ得るものであればいずれも使用できるが、例えば、ポリカーボネートジオール成分と無黄変型ジイソシアネート成分及び低分子鎖伸長剤等を反応させて得られる無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
また、合成皮革としての諸物性を損なわない範囲であれば、上記のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂やポリエステル系ポリウレタン樹脂などを混合してもよい。
上記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂で構成される樹脂層の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、ポリカーボネート系ポリオール、ポリイソシアネート、およびリン系難燃剤を、メチルエチルケトン、トルエン、若しくはジメチルホルムアミドなどの有機溶媒または水等の溶媒に溶解させ、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製する。このとき、必要に応じて、導電剤、着色剤、充填剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を1種以上添加してもよい。そして、調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を、絞付き離型紙等に塗布して乾燥させ、樹脂層を製造することができる。なお、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、1液型または2液型のどちらでも採用することができる。
本発明における樹脂層は、単層でもよいし、複層から構成されてもよい。単層または複層の樹脂層を備える本発明の合成皮革について図1〜図4を用いて説明する。尚、全ての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。また図1〜図4における断面は、いずれも合成皮革を厚み方向に切断した際の断面を示す。
図1は、単層の樹脂層を備える本発明の合成皮革の第一実施形態の断面図である。図1に示す合成皮革100は、繊維基材20の一方側の面に表皮層10のみからなる樹脂層70を備える。表皮層10は、樹脂層70の主体となる層であり、表皮層10には少なくともポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が含まれる。繊維基材20は、樹脂層70を支持するための層である。ここでは繊維基材20として、縦糸210および横糸220からなる編布を例示している。保護層30は、表皮層10を保護する為の表面処理層であって、本発明の合成皮革の表面側(樹脂層70を介して繊維基材20とは反対側)に任意で設けられる層である。
図2〜図4は、複層の樹脂層を備える本発明の合成皮革の第二実施形態〜第四実施形態の断面図である。
図2に示す合成皮革110は、表皮層10および接着層40からなる樹脂層70を備える。接着層40は、表皮層10と繊維基材20とを接合するための層である。上述する合成皮革100のように接着層を備えない態様であっても、半硬化状態である表皮層10と繊維基材20とを積層させるなどの方法で、これらを接合することができる。ただし、接着層40を備えることで、繊維基材20に対する樹脂層70の剥離強度を向上させることができるため、好ましい。
図3に示す合成皮革120は、表皮層10および接着発泡層50からなる樹脂層70を備える。接着発泡層50は、接着性を有する発泡樹脂層である。そのため、接着発泡層50は、表皮層10と繊維基材20とを接合させるとともに、合成皮革120に対し衝撃吸収による良好な耐久性を付与することが可能である。
図4に示す合成皮革130は、表皮層10、発泡層60、および接着層40からなる樹脂層70を備える。発泡層60は、発泡樹脂層であり、合成皮革130に対し衝撃吸収による良好な耐久性を付与することが可能である。また接着層40は、発泡層60と繊維基材20とを接合させることによって、結果として、樹脂層70と繊維基材20とを接合させる。このように、発泡層60と接着層40とを別層として設けることにより、上述する合成皮革120に比べて、接着層40と繊維基材20との当接面積を増大させることができる。そのため、合成皮革130は、優れた耐久性を示すとともに、より良好な剥離強度を示す。
尚、上述する第一実施形態から第四実施形態は、本発明の態様の例示であって、本発明を何ら限定するものではない。本発明の樹脂を逸脱しない範囲において、上述で説明した合成皮革を構成する一の層と、これに隣り合う他の層との間に、任意の層を適宜配置してもよい。
なお、表皮層、発泡層、接着層または接着発泡層を形成するためのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、1液型または2液型のどちらでも採用することができる。
また、樹脂層が複層の場合、表皮層、発泡層、接着層または接着発泡層のいずれかの層に、リン系難燃剤が含有されていればよく、例えば接着層と発泡層、接着層と表皮層、発泡層と表皮層、接着層と発泡層と表皮層、接着発泡層と表皮層などの複層に含有されていてもよい。
以下に、合成皮革を構成する各層についてさらに詳細に説明する。
(表皮層)
表皮層は、合成皮革における表面を構成する層であり、適宜、絞模様等が付与されて、皮革調の外観を呈してもよい。表皮層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むものであり、リン系難燃剤を含有していてもよい。尚、本発明は、表皮層が合成皮革の最表面に配置される態様、および合成皮革の最表面に近い位置に配置される態様のいずれも包含する。つまり、表皮層よりもさらに表面側に任意の層(例えば保護層)が配置される態様を、本発明は包含する。
表皮層の厚みは特に限定されないが、硬化後の厚みが10μm以上60μm以下であることが好ましい。
(発泡層)
発泡層は、表皮層よりも繊維基材側に積層され、合成皮革に対し風合いや耐久性を付与する層である。発泡層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むものであることが好ましく、リン系難燃剤を含有していてもよい。
また、発泡層の厚みは特に限定されないが、硬化後の厚みが200μm以上500μm以下であることが好ましい。なお、発泡層は、化学発泡剤を発泡させる化学発泡で形成されてもよいし、機械的に発泡させる機械発泡で形成されてもよい。
(接着層)
接着層は、繊維基材と樹脂層とを接合させるための層である。接着層は、例えば繊維基材と表皮層(図2参照)、或いは繊維基材と発泡層(図4参照)とを接着させる層である。接着層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むものであることが好ましく、リン系難燃剤を含有していてもよい。
接着層の厚みは特に限定されないが、硬化後の厚みが30μm以上120μm以下であることが好ましい。
接着層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含む接着剤を用いて構成することができる。例えば表皮層の繊維基材に対面する側の面に対して上記接着剤が塗布される、あるいは発泡層の繊維基材に対面する側の面に対して上記接着剤が塗布されることでて接着層が形成される。
(接着発泡層)
接着発泡層は、繊維基材と樹脂層とを接合させるとともに、合成皮革に対し、衝撃吸収による耐久性を付与可能な層である。
接着発泡剤で表皮層等の層と繊維基材とを接着させる技術は、例えばWO2014/192283に開示されている記載を参照することができる。
形成される接着発泡層は、例えば表皮層の繊維基材に対面する側の面に接着発泡剤がコーティングされ適度な温度で加熱されることで形成される。ここでいう接着発泡剤は、たとえば熱膨張性粒子を含むポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液である。表皮材等にコーティングされた当該熱膨張性粒子は、加熱により発泡し、ポリウレタン樹脂中に気泡を形成する。
そして、当該ポリウレタン樹脂が完全に硬化する前に、接着発泡層に対し繊維基材を積層させることによって、繊維基材と表皮層とを接着させることができる。
接着発泡剤を用いて形成される接着発泡層の厚みは特に限定されないが、硬化後の厚みが50μm以上1000μm以下であることが好ましい。
樹脂層が複層の場合、表皮層、発泡層、接着層または接着発泡層のいずれか1層または2層以上に、リン系難燃剤を含有させることができる。
接着層または接着発泡層に含有されるリン系難燃剤は、接着層または接着発泡層を構成する樹脂100質量部に対して、20質量部以上70質量部以下であることが好ましい。接着層または接着発泡層に含有されるリン系難燃剤が、20質量部以上である場合、樹脂層が元来有する耐摩耗性、屈曲性等の機械的強度を低下させることなく、合成皮革に難燃性を付与することが可能である(以下、難燃性接着層効果1という場合がある)。加えて、当該リン系難燃剤の含有比率が20質量部以上である場合、顔料が含有される表皮層において、発色性に悪影響を及ぼすことがなく、合成皮革に所望の色味を発現させることが可能である(以下、難燃性接着層効果2という場合がある)。
一方、接着層または接着発泡層に含有されるリン系難燃剤が70質量部を超えた場合、接着層に求められる接着性が不充分となり剥離強度が低下して合成皮革としての物性が担保できなくなる場合がある。
とりわけ、接着層または接着発泡層に含有されるリン系難燃剤は、樹脂層に含まれるリン系難燃剤100質量%において50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。かかる範囲であれば、上述する難燃性接着層効果1、2がより充分に発揮されるからである。
接着層の一部を繊維基材の表面に浸みこませた態様は、本発明の合成皮革の好ましい態様の一つといえる。これによって、接着性および難燃性の両方を向上させることが可能である。即ち、接着層と繊維基材とを良好に接着させることができ、合成皮革の剥離強度を向上させることができる。また、繊維基材の接着層が染み込んだ領域は、基材中の空隙が樹脂材料で埋められているため、燃焼に寄与する酸素がないか、または少ない領域となる。そのため、合成皮革の表面から始まった燃焼の燃焼速度は、当該領域に到達した場合に、減速し得る。この際、接着層に難燃剤が多く含まれていれば、さらに難燃性が上がり、燃え広がり難い合成皮革を提供することが可能である。
ここで接着層の一部が繊維基材に浸みこむとは、接着層を構成する樹脂材料が繊維基材を構成する繊維間に入り込み硬化した状態を意味する。
上記効果を充分に享受するために、繊維基材の厚みに対する、接着層を構成する樹脂材料の浸みこみ率が、3%以上30%以下であることが好ましい。3%以上とすることで、有意に燃焼速度の減速および剥離強度の向上を図ることができ、30%以下とすることで、繊維基材の風合いを損ねることなく、難燃性および剥離強度の向上効果を享受することができる。上記浸みこみ率は、以下のとおり確認される。即ち、合成皮革の厚み方向断面を顕微鏡観察し、無作為に選択した10箇所において、繊維基材の厚みX、および繊維基材の接着層側の表面から、当該繊維基材に浸みこんだ樹脂材料の先端までの距離Yを実測する。そして、厚みXおよび距離Yそれぞれを算術平均し、繊維基材の平均厚みXAVおよび平均浸みこみ深さYAVを算出する。繊維基材の平均厚みXAVに対する平均浸みこみ深さYAVの比率が、上記浸みこみ率である。
上述するとおり、本発明における樹脂層は、単層または複層の態様を取り得るが、いずれの態様にしても、樹脂材料を主体とし、また適宜リン系難燃剤等の難燃剤を含有する。またさらに樹脂層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、帯電防止剤などの任意の添加剤を1種以上含んでもよい。
(繊維基材)
繊維基材は、樹脂層を支持する基材である。
また、繊維基材の質量は、発熱特性を考慮すれば、350g/m2以下であることが好ましい。350g/m以下であれば、樹脂層にリン系難燃剤を多量に含有させなくとも、所望の難燃性能を付与することが可能である。
繊維基材の厚みは特に限定されないが、椅子張り特性を考慮すれば、当該厚みは、0.5mm以上1.2mm以下であることが好ましい。
繊維基材の密度についても特に限定されないが、椅子張り特性を考慮すれば、例えば編布の場合、ウェルおよびコースがそれぞれ30以上45以下であることが好ましい。ここでウェルとは、編布の長さ方向における編目の連結(ループ)を意味し、コースとは編布の幅方向における編目の連結(ループ)を意味する。
繊維基材は、特に限定されず、編布、織布、不織布など、繊維を利用した布材であればいずれのものであってもよい。特に限定されないが、椅子張り特性を考慮すれば、適度な伸びを持つ編布が、繊維基材として好ましい。繊維基材を形成する繊維は、特に限定されず、合成繊維、天然繊維などを挙げることができる。合成繊維の材質としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ナイロンなどを例示することができるがこれに限定されない。天然繊維の材質としては、綿、麻、レーヨンなどを例示することができる。
上記繊維は、機械的強度、伸縮性、加工性、コストなどの点から、ポリエステルを主体とするものが好ましい。また、これにレーヨンを一定割合含有させると、難燃性の向上および発煙を抑える利点がある。なお、レーヨンを含有させる場合、その混紡割合はポリエステル:レーヨン=25:75〜90:10が好適である。レーヨンの比率が大きくなると、繊維基材の強度が低下する傾向にあり、レーヨンの比率が小さくなると、レーヨンを添加する有意な効果(発熱および発煙を抑える効果)が得られにくい。
また、繊維基材を構成する繊維は、アラミド繊維やポリフェニレンサルファイド繊維などに代表される難燃繊維や、難燃処理がされた繊維を含んでもよい。
さらには、編布、織布、不織布などに成形された生地に難燃加工を施してもよい。難燃加工の方法は、特に限定されないが、たとえば、繊維基材を染色する際の染色液中に難燃剤を添加し、染色液とともに当該難燃剤を繊維基材に浸みこませることで難燃性を付与する方法(液流難燃方法)が挙げられる。
(製造方法)
本発明の合成皮革の製造方法は、特に限定されない。例えば図4に示す構成の合成皮革を形成する場合、離型紙などに、表皮層用のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液をドクターナイフコーター、コンマドクターコーター、その他通常の塗布手段で塗布し、加熱乾燥して表皮層(半硬化状態も含む)を得た後、得られた表皮層の露出面に、発泡層用のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を上述と同様の塗布手段で塗布し、加熱乾燥して発泡させて発泡層(半硬化状態も含む)を形成し、当該発泡層の露出面に、接着層用のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を上述と同様の塗布手段で塗布し、加熱乾燥して接着層を形成する。半硬化状態の上記接着層に対し、繊維基材を積層させ、次いで、離型紙などを剥離して合成皮革を得ることができる。
また、図2に示す構成の合成皮革を形成する場合、上述と同様に表皮層を得た後、接着層を得て繊維基材を積層させ、離型紙などを剥離して合成皮革を得てもよい。あるいは図3に示す構成の合成皮革を形成する場合、上述と同様に表皮層を得た後、接着発泡層を得て繊維基材を積層させ、離型紙などを剥離して合成皮革を得てもよい。
また、表皮層の表面に、皮革調の外観を呈するためにエンボス加工を行ってもよい。
また、得られた合成皮革の表皮層上に表面処理層(保護層)などの任意の層を形成してもよい。表面処理層は、表皮層の表面艶出し、摩耗性向上、触感向上などの目的で必要に応じて表皮層の表面に設けられる。表面処理層は、例えばポリウレタン樹脂、シリコーン、有機系フィラーなどを有機溶媒や水に分散させた塗工液を表皮層の表面にコーティングすることにより設けることができる。
(処方1:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液の調製)
以下に示す材料1に対し、材料2〜4を添加した後、混合撹拌してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製した。上記処方1で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、固形分14.7%、有機物質比率93.6%であった。
材料1)1液タイプのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、商品名「クリスボンNY328FTR」)100質量部
材料2)溶剤(ジメチルホルムアミド)30質量部
材料3)溶剤(酢酸エチル)10質量部
材料4)顔料(DIC株式会社製、商品名「ダイラックL−1770」)20質量部
(処方2:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液の調製)
以下に示す材料1に対し、材料2〜5を添加した後、混合撹拌してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製した。処方2で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、固形分61.5%、有機物質比率66.5%であった。
材料1)ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、商品名「クリスボンTA205FT」)100質量部
材料1)溶剤(ジメチルホルムアミド)25質量部
材料2)溶剤(メチルエチルケトン)25質量部、
材料3)触媒(DIC株式会社製、商品名「クリスボンアクセルHM」)5質量部、
材料4)リン系難燃剤(クラリアントジャパン社製、ペコフレームHFC)40質量部、
材料5)架橋剤(TDIのトリメチロールプロパン付加生成物;東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)12質量部
(処方3:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液の調製)
以下に示す材料1に対し、材料2〜6を添加した後、混合撹拌してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製した。処方3で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、固形分61.5%、有機物質比率91.6%であった。
材料1)ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、商品名「クリスボンTA205FT」)100質量部
材料2)溶剤(ジメチルホルムアミド)25質量部
材料3)溶剤(メチルエチルケトン)25質量部、
材料4)触媒(DIC株式会社製、商品名「アクセルHM」)5質量部
材料5)臭素系難燃剤(鈴裕化学社製、ファイアカットFCP−1590)40質量部、
材料6)架橋剤(TDIのトリメチロールプロパン付加生成物;東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)12質量部
(処方4:ポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液の調製)
以下に示す材料1に対し、材料2〜5を添加した後、混合撹拌してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製した。処方4で調製したポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液は、固形分46.9%、有機物質比率100%であった。
材料1)ポリエーテル系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、商品名「クリスボンK−52」)100質量部に対し、
材料2)溶剤(ジメチルホルムアミド)20質量部
材料3)溶剤(メチルエチルケトン)20質量部
材料4)触媒(DIC株式会社製、商品名「アクセルHM」)5質量部
材料5)架橋剤(TDIのトリメチロールプロパン付加生成物;東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)12質量部
(処方5:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液の調製)
以下に示す材料1に対し、材料2〜5を添加した後、混合撹拌してポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を調製した。処方5で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液は、固形分57.1%、有機物質比率79.9%であった。
材料1)ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、商品名「クリスボンTA205FT」)100質量部
材料1)溶剤(ジメチルホルムアミド)25質量部
材料2)溶剤(メチルエチルケトン)25質量部、
材料3)触媒(DIC株式会社製、商品名「クリスボンアクセルHM」)5質量部、
材料4)リン系難燃剤(クラリアントジャパン社製、ペコフレームHFC)20質量部、
材料5)架橋剤(TDIのトリメチロールプロパン付加生成物;東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)12質量部
(実施例1)
上記の処方1で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を、離型紙(大日本印刷株式会社製、商品名「DE−73」)に、付着量が150g/mで乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃のオーブンで2分間乾燥し、表皮層を得た。
処方1の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は20.7g/mと算出された。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、上記の処方2で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を付着量150g/mで乾燥後の厚みが90μmとなるように塗布し、70℃のオーブンで2分間乾燥し、半乾燥の接着層を得た。
処方2の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は61.3g/mと算出された。
次いで、得られた半乾燥の接着層上に、繊維基材(ポリエステル製ニット、有機質量=190g/m、密度=ウェル41、コース31)を貼り合わせ、50℃で48時間、接着剤に含まれる合成樹脂の架橋反応を進めた後、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、実施例1の合成皮革の有機質量は、272.0g/mであった。
(実施例2)
繊維基材として、ポリエステル製ニット、有機質量=300g/m、密度=ウェル36、コース43を用いた以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、実施例2の合成皮革の有機質量は、382.0g/mであった。
(実施例3)
繊維基材として、リン系難燃剤が10質量%含まれた染浴中で染色されてなるポリエステル製ニット(有機質量=190g/m、密度=ウェル41、コース31)を用いた以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
実施例3に関し、実施例1に対し増加した無機質量(リン系難燃剤の質量)は、微量であった。つまり無機質量の増加量は、全固形分に対する無機質量の比率において、自然数で現れない程度であった。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、実施例3の合成皮革の有機質量は、272.0g/mであった。
(実施例4)
実施例1の表皮層と同じ方法にて表皮層を得た。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、上記の処方5で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を付着量150g/mで乾燥後の厚みが90μmとなるように塗布し、70℃のオーブンで2分間乾燥し、半乾燥の接着層を得た。
処方5の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は68.4g/mと算出された。
次いで、得られた半乾燥の接着層上に、ポリエステル/レーヨン=70/30(質量比)のポリエステルとレーヨンの混紡繊維からなるニット、有機質量=190g/m、密度=ウェル41、コース31を貼り合わせ、50℃で48時間、接着剤に含まれる合成樹脂の架橋反応を進めた後、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、実施例4の合成皮革の有機質量は、279.1g/mであった。
(比較例1)
上記処方1で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を、離型紙(大日本印刷株式会社製、商品名「DE−73」)に、付着量が200g/mで乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、100℃のオーブンで2分間乾燥し、表皮層を得た。
処方1の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は27.5g/mと算出された。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、上述の処方2で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を付着量200g/mで乾燥後の厚みが120μmとなるように塗布し、70℃のオーブンで2分間乾燥し、半乾燥の接着層を得た。
処方2の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は81.8g/mと算出された。
次いで、得られた半乾燥の接着層上に、繊維基材(ポリエステル製ニット、有機質量=300g/m2、密度=ウェル36、コース43)を貼り合わせ、50℃で48時間、接着剤に含まれる合成樹脂の架橋反応を進めた後、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、409.3g/mであった。
(比較例2)
実施例1の表皮層と同じ方法にて表皮層を得た。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、上記の処方3で調製したポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を付着量150g/mで乾燥後の厚みが90μmとなるように塗布し、70℃のオーブンで2分間乾燥し、半乾燥の接着層を得た。
処方3の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は84.5g/mと算出された。
次いで、得られた半乾燥の接着層上に、繊維基材(ポリエステル製ニット、有機質量=300g/m、密度=ウェル36、コース43)を貼り合わせ、50℃で48時間、接着剤に含まれる合成樹脂の架橋反応を進めた後、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、405.1g/mであった。
(比較例3)
比較例1の表皮層と同じ方法にて表皮層を得た。
次いで、得られた表皮層の露出側面に、上記の処方4で調製したポリエーテル系ポリウレタン樹脂溶液を付着量200g/mで乾燥後の厚みが120μmとなるように塗布し、70℃のオーブンで2分間乾燥し、半乾燥の接着層を得た。
処方4の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は93.7g/mと算出された。
次いで、得られた半乾燥の接着層上に、繊維基材(ポリエステル製ニット、有機質量=135g/m、密度=ウェル21、コース27)を貼り合わせ、50℃で48時間、接着剤に含まれる合成樹脂の架橋反応を進めた後、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、256.2g/mであった。
(比較例4)
接着層について、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液を付着量120g/mで乾燥後の厚みが72μmとなるように塗布した以外は比較例2と同じ方法にて合成皮革を得た。
処方3の固形分と有機物質比率と上記付着量とを掛け合わせ、有機質量は67.6g/mと算出された。
[有機質量]
得られた合成皮革について、表皮層、接着層、繊維基材それぞれの有機質量を算出した。その結果、388.3g/mであった。
上述のとおり得られた各実施例および各比較例について、有機質量と無機質量の比率を算出した。算出した値は、表1に示す。
上述のとおり得られた各実施例および各比較例について、以下のとおり燃焼時特性、椅子張り特性、耐久性を測定した。測定結果は、表1に示す。
尚、実施例表において記載する繊維基材の有機質量は、実質的に当該繊維基材の質量同等である。
<燃焼時特性>
[発熱特性]
得られた実施例及び比較例の合成皮革について、国際規格EN45545−2に記載のR21に準拠して、平均発熱速度の最大値(以下発熱特性)を測定した。なお、国際規格EN45545−2に記載のR21には、発熱特性の測定方法は、国際規格ISO5660−1の記載に準拠して測定する旨記載がされているため、その記載に準じて発熱特性を測定した。
(評価基準)
◎:発熱特性の値が30kW/m2未満であった。
○:発熱特性の値が30kWm以上50kW/m2以下であった。
×:発熱特性の値が50kW/m2を超えるものであった。
[発煙特性]
得られた合成皮革について、国際規格EN45545−2に記載のR21に準拠して、10分間の煙の比光学密度の最大値(以下発煙特性)を測定した。なお、国際規格EN45545−2に記載のR21には、発煙特性の測定方法は、国際規格ISO5659−2の記載に準拠して測定する旨記載がされているため、その記載に準じて発煙特性を測定した(評価基準)
○:発煙特性の値が200以下であった。
×:発煙特性の値が200を超えるものであった。
<椅子張り特性>
[引張り強度]
得られた合成皮革について、JIS K 6772に記載の方法に準拠して、引張り強度を測定した。
(評価基準)
○:引張り強度の値が、タテ方向とヨコ方向それぞれで196N/3cm以上であった。
×:引張り強度の値が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで196N/3cm未満であった。
[破断時伸び率]
得られた合成皮革について、JIS K 6772に記載の方法に準拠して、伸び率の値を測定した。
(評価基準)
○:破断時伸び率が、タテ方向とヨコ方向それぞれで70%以上であった。
×:破断時伸び率が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで70%未満であった。
[引裂き強度]
得られた合成皮革について、JIS K 6772に記載の方法に準拠して、引裂き強度の値を測定した。
(評価基準)
○:引裂き強度が、タテ方向とヨコ方向それぞれで29.4N以上であった。
×:引裂き強度が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで29.4N未満であった。
[定荷重伸び率]
得られた合成皮革について、JIS L1096に記載の方法を参考に、8kg×10分の条件下で、定荷重伸び率の値を測定した。なお、測定装置は、大栄科学精機株式会社製、商品名「マルテンス形疲労度試験機」を用いた。
(評価基準)
○:定荷重伸び率が、タテ方向とヨコ方向それぞれで10%以上であった。
×:定荷重伸び率が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで10%未満であった。
[残留歪み率]
得られた合成皮革について、JIS L1096に記載の方法を参考に、8kg×10分の条件下で上記定荷重伸び率試験を実施した後、荷重を除き10分放置したときの残留歪み率の値を測定した。
(評価基準)
○:残留歪み率が、タテ方向とヨコ方向それぞれで10%以下であった。
×:残留歪み率が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで10%を超えるものであった。
<耐久性>
[湿熱老化条件に晒した後の剥離強度]
得られた合成皮革について、湿熱老化条件に晒した後、JIS K 6772に記載の方法に準拠して剥離強度の値を測定した。
また、ここでいう「湿熱老化条件に晒した後」とは、70℃×95%RHの空間中に、得られた合成皮革を10週間放置した後を意味する。
(評価基準)
○:湿熱老化条件後の剥離強度が、タテ方向とヨコ方向それぞれで29.4N/3cm以上であった。
×:湿熱老化条件後の剥離強度が、タテ方向とヨコ方向のいずれかで29.4N/3cm未満であった。
[湿熱老化条件に晒した後の耐摩耗性]
得られた合成皮革について、湿熱老化条件に晒した後、JIS K 7204に記載の方法に準拠して、テーバー摩耗試験を行った。
(評価基準)
○:4級以上であった。
×:4級未満であった。
Figure 2020122252
10・・・表皮層
20・・・繊維基材
30・・・保護層
40・・・接着層
50・・・接着発泡層
60・・・発泡層
70・・・樹脂層
100、110、120、130・・・合成皮革
210・・・縦糸
220・・・横糸

Claims (2)

  1. 少なくとも繊維基材、樹脂層を積層させた合成皮革であって、
    合成皮革の有機質量は、400g/m2以下であり、
    樹脂層に含有される難燃剤は、リン系難燃剤を含み、
    樹脂層における樹脂は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むことを特徴とする合成皮革。
  2. 繊維基材の質量は、350g/m2以下であることを特徴とする請求項1記載の合成皮革。
JP2019229428A 2019-01-30 2019-12-19 合成皮革 Pending JP2020122252A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202010075373.0A CN111501371A (zh) 2019-01-30 2020-01-22 合成皮革

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019013935 2019-01-30
JP2019013935 2019-01-30

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020122252A true JP2020122252A (ja) 2020-08-13

Family

ID=71992380

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019229428A Pending JP2020122252A (ja) 2019-01-30 2019-12-19 合成皮革

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020122252A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05163683A (ja) * 1991-12-12 1993-06-29 Achilles Corp 皮革様シート状物の製造方法
JP2013189736A (ja) * 2012-02-14 2013-09-26 Toyo Cloth Co Ltd 合成皮革
WO2013187492A1 (ja) * 2012-06-11 2013-12-19 帝人株式会社 難燃性合成皮革
WO2015093606A1 (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 日華化学株式会社 車両シート用難燃性コーティング剤および難燃性車両シート材料の製造方法
JP2016079375A (ja) * 2014-10-15 2016-05-16 大和化学工業株式会社 難燃性ポリウレタン樹脂および難燃性合成皮革
WO2017195661A1 (ja) * 2016-05-09 2017-11-16 株式会社クラレ 銀付調人工皮革

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05163683A (ja) * 1991-12-12 1993-06-29 Achilles Corp 皮革様シート状物の製造方法
JP2013189736A (ja) * 2012-02-14 2013-09-26 Toyo Cloth Co Ltd 合成皮革
WO2013187492A1 (ja) * 2012-06-11 2013-12-19 帝人株式会社 難燃性合成皮革
WO2015093606A1 (ja) * 2013-12-20 2015-06-25 日華化学株式会社 車両シート用難燃性コーティング剤および難燃性車両シート材料の製造方法
JP2016079375A (ja) * 2014-10-15 2016-05-16 大和化学工業株式会社 難燃性ポリウレタン樹脂および難燃性合成皮革
WO2017195661A1 (ja) * 2016-05-09 2017-11-16 株式会社クラレ 銀付調人工皮革

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100544354B1 (ko) 난연성 피혁-유사 시트 기재 및 그 제조 방법
CN101218392B (zh) 阻燃性优异的仿麂皮人工皮革和其制造方法
JP6895458B2 (ja) 合成皮革
US9885148B2 (en) Laminated sheet and method of manufacturing the same
CN106574112B (zh) 阻燃性聚氨酯树脂及阻燃性合成皮革
JP2019052391A (ja) 複合布帛
JP5731086B1 (ja) 合成皮革
US11613109B2 (en) Multilayer substrate materials for application to textile fabrics
US11235556B2 (en) Finished composite textile material
JP2020122252A (ja) 合成皮革
KR101919961B1 (ko) 방염 암막 커튼지 및 그의 제조방법
WO2020218178A1 (ja) 合成皮革および被覆物品
JP3133957B2 (ja) 耐摩耗性に優れる合成皮革
CN111501371A (zh) 合成皮革
EP3774322B1 (en) Treated fabrics and methods of forming same
JP4021299B2 (ja) 難燃性皮革様シート基体およびその製造方法
JP2021041575A (ja) 表皮材及び表皮材の製造方法
JP4014477B2 (ja) 難燃性皮革様シート基材およびその製造方法
JP3851210B2 (ja) 難燃性皮革様シート基体およびその製造方法
JP7506502B2 (ja) 表皮材
JP2020139251A (ja) 合成皮革
WO2020218177A1 (ja) 合成皮革および被覆物品
JP2004019010A (ja) 難燃性皮革様シート基体およびその製造方法
JP2004360123A (ja) 難燃性皮革様シート基体およびその製造方法
JPH0313356B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231020

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240115