以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の加熱調理器の扉閉鎖時の概略正面図を示し、図2は上記加熱調理器の扉開放時の概略正面図を示している。
この第1実施形態の加熱調理器は、図1,図2に示すように、直方体形状の本体ケーシング1と、この本体ケーシング1内に設けられ、前側に開口2aを有する収容部の一例としての加熱庫2と、加熱庫2の開口2aを開閉する扉3とを備えている。
上記本体ケーシング1の上側かつ後側に、吹出口5aを有する排気ダクト5を設けている。また、本体ケーシング1の前面の下部に露受容器6を着脱可能に取り付けている。この露受容器6は、扉3の下側に位置し、扉3の後面(加熱庫2側の表面)や本体ケーシング1の前板55からの水滴を受けることができるようになっている。また、本体ケーシング1の前面の下部には、給水タンク26も着脱可能に取り付けられている。
上記扉3は、本体ケーシング1の前面側に下側の辺を軸に回動可能に取り付けられている。この扉3の前面(加熱庫2とは反対側の表面)には、耐熱性を有する透明な外ガラス7が設けられている。また、扉3は、外ガラス7の上側に位置するハンドル8と、外ガラス7の右側に設けられた操作パネル9とを有している。
上記操作パネル9は、カラー液晶表示部10およびボタン群11を有している。このボタン群11は、途中で加熱を止めるときなどに押す取り消しキー12と、加熱を開始するときに押すあたためスタートキー13とを含んでいる。また、操作パネル9には、スマートフォンなどからの赤外線を受ける赤外線受光部14が設けられている。
上記加熱庫2内には被加熱物15が収容される。また、加熱庫2内への金属製の調理トレイ91,92(図3に示す)の出し入れが可能になっている。加熱庫2の左側部2b,右側部2cの内面には、調理トレイ91を支持する上棚受け16A,16Bが設けられている。また、加熱庫2の右側部2c,左側部2bの内面には、上棚受け16A,16Bよりも下側に位置するように、調理トレイ92を支持する下棚受け17A,17Bが設けられている。
図3は、上記加熱調理器の主要部の構成を説明するための模式図である。この図3では、加熱庫2を左側から見た状態が示されている。なお、図3において、図1,図2と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
上記加熱調理器は、循環ダクト18と、循環ファン19と、上ヒータ20と、中ヒータ21と、下ヒータ22と、循環ダンパ23と、チューブポンプ25と、給水タンク26および蒸気発生装置70を備えている。この上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22は、加熱部の一例であって、それぞれ、例えばシーズヒータから成っている。なお、チューブポンプ25はポンプの一例であり、駆動方向によって給水動作と排水動作とを切り替え可能なポンプであればよい。
上記加熱庫2の上部2eは、水平方向に対して傾斜する傾斜部2fを介して加熱庫2の後部2dと連なっている。この傾斜部2fに、循環ファン19と対向するように複数の吸込口27を設けている(図2参照)。また、加熱庫2の上部2eに上吹出口28を複数設けている。また、加熱庫2の後部2dに、第1後吹出口29、第2後吹出口30および第3後吹出口31を、それぞれ、複数設けている(図2参照)。なお、図3では、複数の吸込口27のうちの1個だけを示している。また、図3では、第1後吹出口29、第2後吹出口30および第3後吹出口31は各1個だけを示している。
上記循環ダクト18は、吸込口27、上吹出口28および第1〜第3後吹出口29〜31を介して加熱庫2内と連通している。この循環ダクト18は、加熱庫2の上側から後側に亘って設けられて、逆L字形状を呈するように延在している。また、循環ダクト18の左右方向の幅は、加熱庫2の左右方向の幅より狭く設定されている。
上記循環ファン19は、遠心ファンであって、循環ファン用モータ56によって駆動される。この循環ファン用モータ56が循環ファン19を駆動すると、加熱庫2内の空気や飽和蒸気(以下、「空気など」と言う)は、複数の吸込口27から循環ダクト18内に吸い込まれ、循環ファン19の径方向外側に吹き出す。より詳しくは、循環ファン19の上側では、空気などは、循環ファン19から斜め上方に流れた後、後方から前方に向かって流れる。一方、循環ファン19の下側では、空気などは、循環ファン19から斜め下方に流れた後、上方から下方に向かって流れる。なお、上記空気などは熱媒体の一例である。
上記循環ダクト18内かつ循環ファン19の外側近傍に庫内温度センサ(図示せず)を配置している。この庫内温度センサにより、加熱庫2内から吸込口27を介して吸い込まれた熱媒体の温度すなわち庫内温度を検出する。
上記上ヒータ20は、循環ダクト18内に配置され、加熱庫2の上部2eに対向している。この上ヒータ20は、上吹出口28へ流れる空気などを加熱する。
上記中ヒータ21は、環状に形成され、循環ファン19を取り囲んでいる。この中ヒータ21は、循環ファン19から上ヒータ20に向かう空気などを加熱したり、循環ファン19から下ヒータ22に向かう空気などを加熱したりする。
上記下ヒータ22は、循環ダクト18内に配置され、加熱庫2の後部2dに対向している。この下ヒータ22は、第2,第3後吹出口30,31へ流れる空気などを加熱する。
上記循環ダンパ23は、循環ダクト18内かつ中ヒータ21と下ヒータ22との間に回動可能に設けられている。この循環ダンパ23の回動は循環ダンパ用モータ(図示せず)によって行われる。
また、蒸気発生装置70は、上側開口を有する金属製の蒸気発生容器71と、その蒸気発生容器71の上側開口を覆う耐熱性樹脂(例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂)からなる蓋部72と、蒸気発生容器71の底部71aに鋳込まれたシーズヒータから成る蒸気発生用ヒータ73とを有する。この蒸気発生容器71の底部71a上には給水タンク26からの水が溜まり、熱源の一例としての蒸気発生用ヒータ73が蒸気発生容器71を介して上記水を加熱する。そして、蒸気発生用ヒータ73による加熱で発生した飽和蒸気は、樹脂製の蒸気チューブ35と金属製の蒸気管36とを流れて、複数の蒸気供給口37を介して加熱庫2内に供給される(図2参照)。なお、図3では、複数の蒸気供給口37のうちの1個だけを示している。
また、上記加熱庫2内の飽和蒸気は、循環ファン19により上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22に送られ、上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22で加熱することにより、100℃以上の過熱蒸気となる。
また、上記蓋部72には、一対の電極棒75a,75bから成る水位センサ75が取り付けられている。この電極棒75a,75bの間が導通状態になったか否かに基づいて、蒸気発生容器71の底部71a上の水位が所定水位になったか否かが判定される。
上記チューブポンプ25は、シリコンゴム等からなる弾性変形可能な給排水チューブ40をローラ(図示せず)でしごいて、そのローラの駆動方向によって、給水タンク26内の水を蒸気発生装置70に流したり、蒸気発生装置70内の水を給水タンク26に流したりする。この給排水チューブ40は、給水経路の一例である。
上記給水タンク26は、給水タンク本体41および連通管42を有する。この連通管42の一端部が給水タンク本体41内に位置する一方、連通管42の他端部が給水タンク26外に位置する。給水タンク26がタンクカバー43内に収容されると、連通管42の他端部がタンクジョイント部44を介して給排水チューブ40に接続される。すなわち、給水タンク本体41内が連通管42などを介して蒸気発生装置70内と連通する。
上記チューブポンプ25と給水タンク26と給排水チューブ40とタンクカバー43とタンクジョイント部44で給水装置を構成している。
図4Aは上記加熱調理器の給気ユニット100を含む構成を説明するための模式図を示している。この図4Aでも、図3と同様に、加熱庫2を左側方から見た状態が示されている。なお、図4Aにおいて、図3と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
また、上記加熱庫2の傾斜部2fに、給気ダンパ51で開閉される複数の給気口50を設けている(図2参照)。この複数の給気口50と給気ファン54を給気通路101を介して接続している。また、給気通路101の給気口50近傍から分岐する第1冷却通路102に冷却ダンパ52を設けている。例えば、給気ファン54はシロッコファンからなる。
また、上記加熱庫2の上部2eに設けられた凹部110に赤外線センサユニット300を配置している。
上記給気ファン54は、循環ファン用モータ56(図3に示す)と赤外線センサユニット300を冷却するための冷却ファンを兼ねている。また、上記給気ダンパ51は、給気口開閉部の一例である。また、冷却ダンパ52は、冷却通路開閉部の一例である。上記給気ダンパ51(給気口開閉部)と冷却ダンパ52(冷却通路開閉部)で切換機構を構成している。
図4Aの下側の円部分に赤外線センサユニット300の構成を示す模式図を示している。上記赤外線センサユニット300は、図4Aに示すように、加熱庫2の上部2eに設けられた凹部110に軸方向が前後方向かつ水平方向に取り付けられた筒状の保持部材301と、その保持部材301内に回転可能に支持された略円筒状の可動部材302と、保持部材301の前面側の一端に取り付けられ、可動部材302を駆動する駆動部の一例としての赤外線センサ用モータ304とを有する。上記可動部材302は、センサの一例としての赤外線センサ303を有する。
この実施形態では、赤外線センサ303は、縦8×横8の64領域の温度を検出するエリアセンサを用いたが、赤外線センサはこれに限らず、センサ部が直線状に並んだラインセンサでもよい。
この赤外線センサユニット300は、赤外線センサ用モータ304により略円筒状の可動部材302を回動させることにより、加熱庫2内に向かって赤外線センサ303の検出面303a(図9Aに示す)を向けると共に、赤外線センサ303の検出面303aに垂直な軸を、本体ケーシング1の左右方向かつ垂直平面に沿って所定の角度範囲(例えば20度)内で回動させる(図6A〜図6D参照)。このとき、加熱庫2の上部2eに設けられた凹部110に、開口部の一例としてのセンサ窓部120を設けている。このセンサ窓部120を介して赤外線センサ303は、加熱庫2内の温度を検出する。
上記加熱庫2のセンサ窓部120の開口面に沿った軸を中心に可動部材302が回転することによって、可動部材302が直線的にスライド移動する場合に比べて、駆動機構の構成を簡略化できると共に、可動部材302と保持部材301および赤外線センサ用モータ304(駆動部)の設置スペースをコンパクトにできる。
図4Aでは、給気ダンパ51が開いた状態で給気ファン54からの空気が複数の給気口50を介して加熱庫2内に供給される。このとき、冷却ダンパ52により第1冷却通路102を閉じている。また、加熱庫2内の余剰な空気などが、自然に、自然排気口45から第4風通路204へ流れ出る。
次に、給気ダンパ51が閉じて複数の給気口50が閉鎖され、冷却ダンパ52により第1冷却通路102を開くと、給気ファン54からの空気の一部が、給気通路101と第1冷却通路102を介して循環ファン用モータ56(図3に示す)に供給される。
さらに、給気ダンパ51を閉じることにより、給気ダンパ51近傍に設けられた第2冷却通路103が開いて、給気ファン54からの空気の残りが天面側に配置された赤外線センサユニット300に供給される。上記給気通路101と第1冷却通路102および第2冷却通路103で、循環ファン用モータ56(図3に示す)と赤外線センサ303を冷却するための冷却通路を構成している。
また、図4Bは、上記加熱調理器の排気ユニット200を含む構成を説明するための模式図を示している。この図4Bでも、図3と同様に、加熱庫2を右側方から見た状態が示されている。なお、図4Bにおいて、201は第1風通路、202は第2風通路、203は第3風通路、207は希釈エリア部である。
上記加熱庫2の後部2dの下端部に自然排気口45を設けている(図2参照)。この自然排気口45は、排気ユニット200の第4風通路204などを介して排気ダクト5に連通している。加熱庫2内の空気などが余剰になると、その余剰な空気などが、自然排気口45から第4風通路204へ自然に流れ出る。また、排気ファン47からの吹出空気の一部を、第3風通路203を介して本体ケーシング1(図1に示す)内の前面側に供給する。
また、上記加熱庫2の傾斜部2fに、排気ダンパ49で開閉される複数の強制排気口48を設けている(図2参照)。この強制排気口48は、排気ユニット200を介して排気ダクト5に連通している。
また、上記排気ユニット200に湿度センサ53を取り付けている。この湿度センサ53は、第2風通路202を流れる排気に含まれる蒸気の量を示す信号を制御装置(図示せず)へ送出する。
なお、蒸し調理の場合は、赤外線センサユニット300の赤外線センサ303を加熱庫2とは反対の方向に向くように、180度判定させることによって、加熱庫2からの湿気の対策をしている。図示しないが、赤外線センサ303から加熱庫2内を覗く窓部が設けられており、この窓部の縁はシールされている。
図5は本体ケーシング1(図1に示す)の上面と両側面を覆う上面板1aと後面板(図示せず)を取り外した加熱調理器を後方かつ斜め上方から見た斜視図を示している。図5において、図1〜図4と同一の構成部には、同一参照番号を付している。
図5に示すように、加熱庫2の後側かつ左側(図5では右側)に給気ユニット100を設けている。この給気ユニット100は、下側に配置された給気ファン54と、その給気ファン54から上方に向かって延在する給気通路101と、給気通路101の上側から分岐して、加熱庫2の後側上部の中央に位置する循環ファン用モータ56に向かって延在する第1冷却通路102を有している。詳しくは、給気ユニット100は、給気ファン54から上方に逆L字形状を呈するように延在している。
また、加熱庫2の後側かつ右側(図5では左側)に排気ユニット200を設けている。この排気ユニット200は、排気ユニット用カバー220を含むハウジング210と、ハウジング210の下側に配置された排気ファン47とを有する。
上記排気ユニット200の上部の右側方(図5では左側)に排気ダンパ用モータ60を配置している。この排気ダンパ用モータ60により、排気ユニット200内の上部に設けられた排気ダンパ49(図4B)を開閉する。
上記加熱庫2の上部2eに、仕切板111を前後方向に立設している。この仕切板111によって、給気ダンパ51(図4Aに示す)近傍に設けられた第2冷却通路103(図4Aに示す)から赤外線センサユニット300の領域に流れる冷却風が本体ケーシング1内の左側面に流れないように遮っている。
また、図6A〜図6Dは上記加熱調理器の赤外線センサ303の動作を説明するための模式図を示している。
図6A,図6Bは上段に載置された調理トレイ91上の被加熱物の温度を検出するときの赤外線センサユニット300の赤外線センサ303(図4Aに示す)による温度検出範囲を示している。図6Aに示す温度検出範囲は、正面視において調理トレイ91上の左側領域であり、図6Bに示す温度検出範囲は、正面視において調理トレイ91上の右側領域である。赤外線センサ用モータ304により赤外線センサ303を有する円筒状の可動部材302を回動させて、赤外線センサ303の検出面303a(図13に示す)を左右方向に振る。なお、この実施形態では、赤外線センサ303の温度検出範囲は、図6Aに示す左側領域と、図6Bに示す右側領域と、左側領域と右側領域との間の中央領域の3つの領域に分けられているが、4以上の複数の領域に分けてもよい。
また、図6C,図6Dは加熱庫2の底面上の被加熱物の温度を検出するときの赤外線センサユニット300の赤外線センサ303(図4Aに示す)による温度検出範囲を示している。図6Cに示す温度検出範囲は、正面視において加熱庫2の底面上の左側領域であり、図6Dに示す温度検出範囲は、正面視において加熱庫2の底面上の右側領域である。なお、この実施形態では、図6A,図6Bと同様に、赤外線センサ303の温度検出範囲は、図6Cに示す左側領域と、図6Dに示す右側領域と、左側領域と右側領域との間の中央領域の3つの領域に分けられているが、4以上の複数の領域に分けてもよい。
図7は上記加熱調理器の赤外線センサユニット300を斜め上方から見た斜視図を示しており、図8は上記赤外線センサユニット300の分解斜視図を示している。
この赤外線センサユニット300は、図7,図8に示すように、半円筒部311aとその半円筒部311aの一端に連なるモータ取付部311bを有するベース311と、ベース311の略中央下側に取り付けられた耐熱性樹脂からなるパッキン310と、ベース311の半円筒部311aに回転可能に嵌合された第1可動筒部312と、第1可動筒部312に取り付けられた基板取付部材313と、基板取付部材313に取り付けられた基板314と、基板314に実装された赤外線センサ303と、赤外線センサ303を覆うように第1可動筒部312に取り付けられた第2可動筒部315と、上記第1可動筒部312,基板取付部材313,基板314,赤外線センサ303,第2可動筒部315を囲むように、ベース311の半円筒部311aに取り付けられた半円筒部316と、半円筒部316上に取り付けられた補強金具317とを有する。上記基板314に配線320が接続されている。上記基板取付部材313と第2可動筒部315は、センサを内部に保持するセンサ保持部の一例である。
上記第1可動筒部312と基板取付部材313と基板314と赤外線センサ303と第2可動筒部315で可動部材302(図4Aに示す)を構成している。第1可動筒部312と第2可動筒部315は、耐熱性と疎水性を有するPPS(polyphenylene sulfide:ポリフェニレンサルファイド)からなる。
また、ベース311と半円筒部316で保持部材301(図4Aに示す)を構成している。ベース311と半円筒部316は、PPSからなる。
上記第1可動筒部312は、半円筒部312aと、半円筒部312aの一端に設けられた第1環状部312bと、半円筒部312aの他端に設けられた第2環状312cと、第2環状312cの軸方向外側に突出するボス312dを有する。
上記ベース311の半円筒部311aの軸方向の一端(モータ取付部311bと反対の側)に半円弧形状の案内溝部311cを設けている。このベース311の案内溝部311cによって、可動部材302の環状突部(図示せず)を案内することによって、保持部材301内における可動部材302の軸方向の移動を規制している。この可動部材302は、保持部材301内に回転可能に保持される。
そして、第1可動筒部312のボス312dに、赤外線センサ用モータ304の駆動軸(図示せず)が連結されている。この赤外線センサ用モータ304により可動部材302を回転駆動する。
図8に示す可動部材302は、赤外線センサ303が外側を向いた状態であり、この状態から可動部材302が180度回転することにより、赤外線センサ303が下側すなわち加熱庫2側を向いた状態になる。
また、図8に示す可動部材302の基板取付部材313は、メッキにより形成された金属膜313aで基板取付部材313本体の全表面が覆われている。また、可動部材302の第2可動筒部315は、メッキにより形成された金属膜315aで第2可動筒部315本体の全表面が覆われている。基板取付部材313本体と第2可動筒部315本体は、樹脂からなり、センサ保持部本体の一例である。
したがって、基板取付部材313と第2可動筒部315に囲まれた基板314,赤外線センサ303は、加熱庫2側から漏れ出たマイクロ波からシールドされる。加熱庫2側から漏れ出るマイクロ波は、センサ窓部120から赤外線センサユニット300側に漏れるマイクロ波だけでなく、加熱庫2の強制排気口48や給気口50などの開口から漏れ出て赤外線センサユニット300側に回り込むマイクロ波などもある。
図9Aは図8に示す赤外線センサユニット300の半円筒部316と補強金具317を外した非検知状態の斜視図を示し、図9Bは上記赤外線センサユニット300の可動部材302の斜視図を示し、図9Cは上記可動部材302の第1可動筒部312を外した状態の斜視図を示している。図9A〜図9Cにおいて、図8と同一の構成部には同一参照番号を付している。
図9A〜図9Cでは、可動部材302は、赤外線センサ303が外側を向いた状態である。
また、図9Cに示すように、第2可動筒部315は、第2可動筒部315本体から軸方向の一方に突出する突起部315bを有する。その突起部315bは、金属膜315aで覆われており、赤外線センサ303から引き出された配線320に沿って突出している。
また、図10Aは図8に示す赤外線センサユニット300の半円筒部316と補強金具317を外した検知状態の斜視図を示し、図10Bは上記赤外線センサユニット300の可動部材302の斜視図を示し、図10Cは上記可動部材302の第1可動筒部312を外した状態の斜視図を示している。図10A〜図10Cにおいて、図8と同一の構成部には同一参照番号を付している。
図10A〜図10Cでは、可動部材302は、図9Aの赤外線センサ303が外側を向いた状態から赤外線センサ用モータ304により180度回転して、赤外線センサ303が加熱庫2側を向いた状態である。
また、図10Cに示すように、基板取付部材313は、基板取付部材313本体から軸方向の一方に突出する突起部313bを有する。その突起部313bは、金属膜313aで覆われており、赤外線センサ303から引き出された配線320に沿って突出している。
上記構成の加熱調理器によれば、赤外線センサ303を内部に保持する基板取付部材313,第2可動筒部315(センサ保持部)の表面に、赤外線センサ303と加熱庫2側とを遮る金属膜313a,315aを形成することによって、加熱庫2側から漏れたマイクロ波が金属膜313a,315aで遮蔽されて基板取付部材313,第2可動筒部315内のセンサ303に影響を及ぼさない。また、赤外線センサ303を内部に保持する基板取付部材313,第2可動筒部315の全表面の金属膜313a,315aは、放熱性がよく、加熱庫2からの高熱が及ぶ基板取付部材313,第2可動筒部315の温度を低減でき、内部の赤外線センサ303の温度も下げることができる。これにより、加熱庫2から漏れたマイクロ波から赤外線センサ303を遮蔽しつつ、そのセンサ303を含む赤外線センサユニット300の小型化と放熱性の向上を図ることができる。
上記基板取付部材313,第2可動筒部315(センサ保持部)の全表面を金属膜313a,315aで覆うことにより、加熱庫2から漏れたマイクロ波に対するシールド効果を高めることができる。
また、上記基板取付部材313,第2可動筒部315(センサ保持部)の内部に保持された赤外線センサ303から引き出された配線320に沿って突出する突起部313b,315bにおいて、表面に金属膜313a,315aが形成されていることによって、加熱庫2側から漏れたマイクロ波が突起部313b,315bの表面に形成された金属膜313a,315aで遮蔽されるので、基板取付部材313,第2可動筒部315内の赤外線センサ303が実装された基板314や配線320の接続先である制御装置に、マイクロ波の誘導ノイズが配線320を介して影響しないようにできる。例えば、金属膜313a,315aによる遮蔽がないと、制御装置は、配線320を介して基板314と行っている通信に異常が発生して、赤外線センサ303からの温度情報が得られなくなる。
また、上記基板取付部材313本体と第2可動筒部315本体の全表面に金属膜313a,315aをメッキにより形成することによって、別にシールド部材を用いることなく、簡単な構成で加熱庫2から漏れたマイクロ波から赤外線センサ303を遮蔽することができる。例えば、赤外線センサ303が内部に保持されたセンサ保持部に蒸着メッキすることにより高いシールド効果が簡単に得られる。また、簡単な構成でシールド効果が得られるので、別にシールド部材を用いることがなく、赤外線センサの設置場所や加熱調理器のサイズの制限が少なくなり、設計の自由度が広がると共に、小型化に対応することができる。
上記第1実施形態では、センサ保持部としての基板取付部材313と第2可動筒部315それぞれの全表面にメッキにより金属膜313a,315aを形成したが、加熱庫2側からのマイクロ波を遮蔽できるように、センサ保持部表面の一部に金属膜を形成してもよい。
例えば、マイクロ波を用いた加熱調理を行う場合、センサ窓部120以外から漏れるマイクロ波が少ない構成であれば、図10A〜図10Cに示すように、赤外線センサ303が加熱庫2側を向いた状態で、可動部材302の第2可動筒部315の表面のみに金属膜を形成して、センサ窓部120から漏れるマイクロ波に対して赤外線センサ303をシールドしてもよい。この場合、マイクロ波を用いない加熱調理では、図9A〜図9Cに示すように、赤外線センサ303が加熱庫2と反対の側の外側を向いた状態で赤外線センサ303を用いないので、基板取付部材313の表面に金属膜を形成しなくともよい。
また、上記第1実施形態では、センサとして赤外線センサ303を備えた加熱調理器について説明したが、センサはこれに限らず、画像センサなどの他のセンサを備えた加熱調理器にこの発明を適用できる。
また、上記第1実施形態では、開口部としてのセンサ窓部120を加熱庫2の天面に設けたが、加熱庫の側面または後面に開口部を設けてもよく、加熱庫の天面と側面(または側面と後面など)に跨がるコーナー部などに設けてもよく、開口部は、天面,側面または後面の少なくとも一方に設けたものであればよい。
〔第2実施形態〕
図11はこの発明の第2実施形態の加熱調理器の排気ユニット200を含む要部の側面図を示しており、図11は加熱調理器の左側方から見た図である。この第2実施形態の加熱調理器は、排気ダンパ49の形態と排気ダンパ49の開閉制御を除いて第1実施形態の加熱調理器と同一の構成をしており、図1〜図5を援用する。
図11に示すように、本体ケーシング1(図1,図2に示す)の後面板400の上側の外壁面を排気ダクト5により覆うことによって、本体ケーシング1と排気ダクト5との間に排気通路を形成している。また、排気ダクト5が取り付けられた後面板400の前面側に、加熱庫2の後部2d,傾斜部2fに沿うように排気ユニット200を取り付けている。加熱庫2の傾斜部2fに設けられた強制排気口48に、排気ユニット200の第2風通路202(図12に示す)の入口202a(図13Aに示す)が接続されている。
上記排気ユニット200の第1風通路201(図12に示す)の出口201a(図13Aに示す)から本体ケーシング1と排気ダクト5との間の排気通路に排出された空気は、排気ダクト5の吹出口5aから前方に向かって吹き出す。
図12は上記排気ユニット200内の気流を説明するための図である。図12は排気ダンパ49を開いた状態の排気ユニット200を後面側から見た図を示している。図12において、60は排気ダンパ用モータである。なお、図12では、排気ユニット用カバー220(図5に示す)を外した状態を示す。
図12に示すように、排気ユニット200のハウジング210(図12では排気ユニット用カバー220を省略)は、排気ファン47からの吹出空気の一部を、本体ケーシング1の上部に設けられた排気ダクト5の吹出口5a(図1,図4Bに示す)に案内する第1風通路201と、加熱庫2(図11に示す)内からの排気が第1風通路201に合流するように、加熱庫2内の強制排気口48(図11に示す)からの排気を案内する第2風通路202と、排気ファン47からの吹出空気の一部を本体ケーシング1(図1に示す)内の前面側に供給するための第3風通路203と、加熱庫2内の自然排気口45(図4A,図4Bに示す)からの排気を第1風通路201に合流するように案内する第4風通路204と、排気ダンパ49を閉じたとき、排気ファン47からの吹出空気の一部が湿度センサ53近傍を通って第1風通路201に合流するように形成された乾燥用風通路205と、第2風通路202と第1風通路201の合流部および第4風通路204と第1風通路201の合流部に設けられたエジェクタ部206(細い点線で囲んだ部分)とを有している。
上記第2風通路202には、排気ダンパ49により開閉される穴202bを設けている。
上記第1風通路201は、第2風通路202との合流部から排気ダクト5の吹出口5a側に向かって縦方向に設けられ、第2風通路202から流入した加熱庫2内の強制排気口48からの排気を排気ファン47からの吹出空気により希釈するための希釈エリア部207を有している。
また、第2風通路202の上流側かつ排気ダンパ49の下流側に、加熱庫2内の強制排気口48からの排気の湿度を検出する湿度センサ53を配置している。
また、排気ユニット200の接続口210aに排気経路46を介して加熱庫2の自然排気口45を接続している。また、排気ユニット200の第3風通路203を出口203aに、加熱庫2の右側面に配置された冷却用ダクト(図示せず)の一端を接続している。
図12に示すように、排気ダンパ49が開いているので、加熱庫2の強制排気口48からの排気は、排気ユニット200の第2風通路202を流入して、エジェクタ部206で排気ファン47からの吹出空気の気流に引き込まれて合流した後、第1風通路201の希釈エリア部207で排気ファン47の吹出空気と混合されて希釈される。同時に、加熱庫2の自然排気口45からの排気は、排気経路46と接続口210aを介して第4風通路204を流入して、エジェクタ部206で排気ファン47からの吹出空気の気流に引き込まれて合流した後、第1風通路201の希釈エリア部207で排気ファン47の吹出空気と混合されて希釈される。
図13Aは図12のXIII−XIII線から見た断面斜視図であり、排気ダンパ49が全閉状態の排気ユニット200内部を示している。図13Aにおいて、図12と同一の構成部には、同一参照番号を付している(図13B,図13C,図13Dも同様)。ここで、排気ダンパ49は、横に長い皿形状の本体部49aと、本体部49aの下側に一端が接続された湾曲アーム部49bと、本体部49a上側の略半分の領域に立設されたU字形状の壁部49cを有する。
この排気ユニット200は、図13Aに示すように、第2風通路202の入口202aに、加熱庫2(図11に示す)内の強制排気口48(図11に示す)との隙間をシールする排気ユニット用パッキン230を取り付けている。
例えば、過熱蒸気を用いた調理や蒸し調理では、排気ダンパ49を全閉状態にし、給気ダンパ51(図4Aに示す)を全閉状態にすることにより、加熱庫2内に過熱蒸気または飽和蒸気が充満して低酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制できる。
また、上記調理終了後の加熱庫2内に蒸気が充満した状態でユーザーが扉3(図1,図2に示す)を開いたときに、加熱庫2の開口2aからユーザー側に蒸気が漏れないようにするため、図13Bに示すように、調理終了時に排気ダンパ49を全開にして、排気ファン47を動作させることにより、加熱庫2内に充満した蒸気を排気ユニット200と排気ダクト5(図1,図2に示す)を介して排出する。このときの排気ユニット200内部の蒸気の流れを図13Bの太線矢印で示している。
ここで、調理終了時(特に蒸し調理の終了時)に排気ダンパ49を全開にすると、図13Bに示すように、第2風通路202を流れる蒸気の一部が湿度センサ53の検出面で結露するという問題がある。湿度センサ53の検出面が結露した状態では、次の調理において、加熱庫2内の湿度を正確に測定できなくなる。
そこで、蒸し調理の終了時に、図13Cに示すように、排気ダンパ49を全開にせずに10deg開くようにすることで、第2風通路202を流れる蒸気が湿度センサ53の検出面から離れて流れる。これは、排気ダンパ49の上流側かつ湿度センサ53側に、U字形状の壁部49cを設けたことにより、排気ダンパ49により開閉される穴202bを通過する蒸気が湿度センサ53の検出面側に流れるのを抑制するからである。
図13Dは上記排気ダンパ49を10deg開いた状態の排気ユニット200内部の蒸気の流れを正面側から見た図を示している。
また、図14は上記排気ダンパ49の斜視図を示している。この排気ダンパ49は、図14に示すように、横に長い皿形状の本体部49aと、本体部49aの下側に一端が接続された湾曲アーム部49bと、本体部49a上側の略半分の領域に立設されたU字形状の壁部49cと、湾曲アーム部49bの他端に接続された軸部49dと、軸部49dに接続されたクランク部49eを有する。この軸部49dは、クランク部49eを介して排気ダンパ用モータ60(図13Dに示す)により回転駆動される。
<比較例>
図15Aは比較例の排気ダンパ1049を10deg開いた状態の排気ユニット200内部の蒸気の流れを示している。図15Aにおいて、図12と同一の構成部には、同一参照番号を付している。この比較例の排気ダンパ1049は、U字形状の壁部49cがない点が第1実施形態の排気ダンパ49と相違する。
図15Bは上記比較例の排気ダンパ1049を10deg開いた状態の排気ユニット200内部の蒸気の流れを正面側から見た図を示している。
図15A,図15Bに示すように、U字形状の壁部49cがない場合は、排気ダンパ1049を10deg開いた状態であって、第2風通路202を流れる蒸気の一部(太い点線で示す矢印)が湿度センサ53の検出面に沿って流れて湿度センサ53の検出面が結露する。
上記構成の加熱調理器によれば、特に蒸し調理の終了後に扉3を開けたときに、加熱庫2内の蒸気が開口2aから一気に排出されないように、かつ、排気ユニット200内に配置された湿度センサ53の検出面が結露しないように、排気ユニット200を介して蒸気を排出することができる。この場合、給気口50は全閉状態とし、給気は行わない。
なお、調理終了時に排気ダンパ49を閉じたままで給気ダンパ51を全開にして、自然排気口45を介して排気する方法があるが、この場合、自然排気口45が給気口50よりも開口面積が小さいため、加熱庫2内の蒸気の一部が自然排気口45から逆流して、電装部に回り込む恐れがある。これに対して、上記第2実施形態では、U字形状の壁部49cを有する排気ダンパ49と排気ダンパ49を10deg開く制御により、電装部への蒸気の回り込みを防ぐことができる。
上記第2実施形態の加熱調理器は、第1実施形態の加熱調理器と同様の効果を有する。
なお、上記第2実施形態では、排気ダンパ49を10deg開いて、加熱庫2内に充満した蒸気を排気したが、排気ダンパの開度はこれに限らず、排気ダンパや風通路の構成に応じて適宜設定してよい。
〔第3実施形態〕
図16はこの発明の第3実施形態の加熱調理器の本体ケーシング1(図1,図2に示す)の一部を取り外した状態の給気ユニット100を含む要部の斜視図を示している。この第3実施形態の加熱調理器は、冷却ダンパ52に連動するシャッタ330(図17A〜図17Cに示す)を除いて第1実施形態の加熱調理器と同一の構成をしており、図1〜図5を援用する。図16において、給気ユニット100は、給気通路101と第1冷却通路102および第2冷却通路103(図4Aに示す)を有する。また、給気通路101は、下端の給気ファン54(図5に示す)に接続された下側給気通路101aと、その下側給気通路101aの上端に連結された上側給気通路101bからなる。
図16に示すように、加熱庫2の傾斜部2fに、給気口50を開閉する給気ダンパ51を設けている。この給気ダンパ51は、給気ダンパ用モータ61により回転駆動されるカム部104により開閉動作する。また、カム部104に同軸に連結された円板部105の回転に連動するように、冷却ダンパ52も開閉する。
図17Aは図16のXVII−XVII線から見た縦断面の冷却ダンパ52が全閉状態の要部を示し、図17Bは図16のXVII−XVII線から見た縦断面の冷却ダンパ52が全開状態の要部を示し、図17Cは図16のXVII−XVII線から見た縦断面の冷却ダンパ52が半開き状態の要部を示している。図17B,図17Cにおいて、図17Aと同一の構成部には同一参照番号を付している。
図17Aでは、加熱庫2(図16に示す)内にマグネトロン(図示せず)からのマイクロ波を供給するマイクロ波加熱において、循環ファン19(図3に示す)を止めた状態で、給気ダンパ用モータ61(図16に示す)により給気ダンパ51を駆動して給気口50を開放すると共に、冷却ダンパ52を駆動して第1冷却通路102を閉鎖する。そして、給気ファン54を動作させることにより、給気ファン54から供給される外気を給気通路101(図16に示す)と複数の給気口50を介して加熱庫2内に供給する(第1切換モード)。
これにより、給気ファン54からの外気は、すべて給気通路101を介して加熱庫2内に給気される。
したがって、加熱庫2内への給気が必要で、かつ、循環ファン用モータ56の冷却が不要なときに、給気ファン54からの外気を、すべて給気通路101を介して加熱庫2内に供給できる。したがって、給気ファン54を加熱庫2内に給気する専用のファンとして使用でき、加熱庫2内に効率的に給気できる。
なお、図17Aに示すように、冷却ダンパ52は、板状部材52aからなっており、板状部材52aに縦方向にスリット52bを設けている。また、カム部104に同軸に連結された円板部105は、円板部本体105aと、その円板部本体105aの端面から突出するフック105bを有する。この円板部105のフック105bが冷却ダンパ52のスリット52bにスライド可能に係合しており、円板部105の回転に従って冷却ダンパ52が第1冷却通路102に対して直交する方向に出退可能になっている。
図17Bでは、飽和蒸気または過熱蒸気を加熱庫2に供給して、循環ファン用モータ56により循環ファン19を駆動して蒸気を循環させながら上ヒータ20,中ヒータ21,下ヒータ22(図3に示す)で加熱するとき、給気ダンパ51により給気口50を閉鎖すると共に、冷却ダンパ52により第1冷却通路102を開放する。そして、給気ファン54を動作させることにより、給気ファン54からの外気は、給気通路101および第1冷却通路102(図16に示す)を介して循環ファン用モータ56(図16に示す)に向かって供給されると共に、給気通路101および第2冷却通路103(図4Aに示す)を介して赤外線センサユニット300に供給される(第2切換モード)。
したがって、加熱庫2内への給気が不要で、かつ、循環ファン用モータ56自身の発熱や加熱庫2からの熱により循環ファン用モータ56の温度が高くなるときに、給気ファン54からの外気の一部を給気通路101および第1冷却通路102を介して循環ファン用モータ56に供給する一方、給気ファン54からの外気の残りを赤外線センサユニット300に供給することができる。したがって、給気ファン54を、循環ファン用モータ56と赤外線センサユニット300を冷却する専用のファンとして使用でき、循環ファン用モータ56と赤外線センサユニット300を効率よく冷却できる。
なお、加熱庫2内の空気を循環させて被加熱物を加熱する熱風を循環させて加熱するときに、給気ユニット100を第2切換モード状態としてもよい。
また、給気ファン54から供給された外気は、循環ファン用モータ56と赤外線センサユニット300を冷却した後、本体ケーシング1(図1,図2に示す)内を流れて、排気ダクト5(図1に示す)を介して外部に排出される。
さらに、図17Cでは、加熱庫2内の被加熱物をマイクロ波加熱するとき、給気ダンパ51により給気口50を開放すると共に、冷却ダンパ52の開度を予め設定された開度、例えば20%の開度にして第1冷却通路102の一部を開放する。そして、給気ファン54を動作させることにより、給気ファン54からの外気のうち予め定められた量(例えば70%)の空気が、給気通路101を介して加熱庫2内に給気される(第3切換モード)。このようにすることで、加熱庫2内への給気量を調整することにより、湿度センサ53よる湿度検出が良好な条件を設定することが可能になる。
上記構成の加熱調理器において、図17A〜図17Cに示すように、加熱庫2の上部2eに設けられた凹部110に設けられた開口部の一例としてのセンサ窓部120を開閉するシャッタ330を、前後方向にスライド可能に配置している。このシャッタ330と冷却ダンパ52とをリンク棒340を介して接続している。したがって、冷却ダンパ52の出退方向に沿ってシャッタ330も連動する。
図17Aでは、シャッタ330は後方(図中右方向)に退いており、センサ窓部120は開いている。また、図17Bでは、シャッタ330は前方(図中左方向)に移動しており、シャッタ330によりセンサ窓部120を閉じている。なお、図17Cでは、シャッタ330は後方に退いており、センサ窓部120は開いている。
したがって、上記第3実施形態の加熱調理器によれば、赤外線センサユニット300は、赤外線センサ用モータ304とその配線320および回転機構などが不要になる。
また、上記第3実施形態の加熱調理器では、赤外線センサユニット300を用いない調理を行うときに、シャッタ330によりセンサ窓部120を閉じることによって、加熱庫2からの熱の影響を防ぐことができると共に、食品の飛び散りが赤外線センサ303の検出面に付着しないようにできる。
また、上記第3実施形態のシャッタ330によりセンサ窓部120を開閉する機構により、1つの排気ダンパ用モータ60で、排気ダンパ49の開閉と、冷却ダンパ52の開閉と、シャッタ330によるセンサ窓部120の開閉を行うことができる。
上記第3実施形態の加熱調理器は、第1実施形態の加熱調理器と同様の効果を有する。
〔第4実施形態〕
図18はこの発明の第4実施形態の加熱調理器の赤外線センサユニット300の回転機構を説明するための模式図を示している。この第4実施形態の加熱調理器は、赤外線センサユニット300の回転機構を除いて第1実施形態の加熱調理器と同一の構成をしており、図1〜図5,図7,図8を援用する。
この第4実施形態の加熱調理器は、冷却ダンパ52に連動して、赤外線センサユニット300の円筒状の可動部材500を回動させる点で第1実施形態の加熱調理器と相違する。なお、この可動部材500は、第1実施形態の可動部材302と同一の構成をしているが、図を簡略化している。
上記加熱調理器は、図18に示すように、第3実施形態のリンク棒340(図17A〜図17Cに示す)の代わりにラック501が冷却ダンパ52の出退方向に沿って前後方向に連動する。
このラック501の前後方向の移動によりピニオン502が回転し、そのピニオン502の回転に伴って、冠歯車503(クラウンギヤ)が回転する。そして、冠歯車503の軸504に連結された可動部材500が回動する。
上記構成の加熱調理器において、まず、マイクロ波を用いないオーブン加熱などの調理では、給気ダンパ用モータ61(図16に示す)により給気ダンパ51を駆動して給気口50を全閉すると共に、冷却ダンパ52を駆動して第1冷却通路102を開いた状態では、赤外線センサユニット300の円筒状の可動部材500は、赤外線センサ303が外側を向いた状態になる。
一方、マイクロ波を用いた加熱調理では、給気ダンパ用モータ61(図16に示す)により給気ダンパ51を駆動して給気口50を開放すると共に、冷却ダンパ52を駆動して第1冷却通路102を閉鎖すると、ラック501が前方(図中右方向)に移動する。これにより、可動部材302は、赤外線センサ303が外側を向いた状態から180度回転して、赤外線センサ303が加熱庫2側を向いた状態になる。
上記第4実施形態の加熱調理器は、第1実施形態の加熱調理器と同様の効果を有する。
また、上記第4実施形態の赤外線センサユニット300の回転機構によって、1つの排気ダンパ用モータ60で、排気ダンパ49の開閉と、冷却ダンパ52の開閉と、赤外線センサユニット300の回転を行うことができる。
なお、上記第3実施形態のシャッタ330によりセンサ窓部120を開閉する機構と、上記第4実施形態の赤外線センサユニット300の回転機構を組み合わせてもよい。この場合、1つの排気ダンパ用モータ60で、排気ダンパ49の開閉と、冷却ダンパ52の開閉と、シャッタ330によるセンサ窓部120の開閉と、赤外線センサユニット300の回転を行うことができる。
この発明の加熱調理器では、オーブンレンジなどにおいて、過熱蒸気または飽和蒸気を用いることによって、ヘルシーな調理を行うことができる。例えば、この発明の加熱調理器では、温度が100℃以上の過熱蒸気または飽和蒸気を食品表面に供給し、食品表面に付着した過熱蒸気または飽和蒸気が凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができる。また、凝縮水が食品表面に付着して塩分や油分が凝縮水と共に滴下することにより、食品中の塩分や油分を低減できる。さらに、加熱庫内は過熱蒸気または飽和蒸気が充満して低酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制した調理が可能となる。ここで、低酸素状態とは、加熱庫内において酸素の体積%が10%以下(例えば0.5〜3%)である状態を指す。
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記第1〜第4実施形態で記載した内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
この発明の加熱調理器は、
加熱庫2と、
上記加熱庫2の天面,側面または後面の少なくともいずれかに設けられた開口部120と、
上記開口部120を介して上記加熱庫2内の状態を検出するセンサ303と、
上記センサ303を内部に保持するセンサ保持部313,315と
を備え、
上記センサ保持部313,315の少なくとも上記加熱庫2側の表面に、上記センサ303と上記加熱庫2側とを遮る金属膜313a,315aが形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、センサ303を内部に保持するセンサ保持部313,315の少なくとも加熱庫2側の表面に、センサ303と加熱庫2側とを遮る金属膜313a,315aを形成するによって、簡単な構成で加熱庫2側から漏れたマイクロ波を金属膜313a,315aで遮蔽して、センサ保持部313,315内のセンサ303にマイクロ波が影響しないようにできる。また、センサ303を内部に保持するセンサ保持部313,315の表面の金属膜313a,315aは、放熱性がよいので、加熱庫2からの高熱が及ぶセンサ保持部313,315の温度を低減でき、内部のセンサ303の温度も下げることができる。これにより、加熱庫2から漏れたマイクロ波からセンサ303を遮蔽しつつ、そのセンサ303を含むセンサユニット300の小型化と放熱性の向上を図ることができる。
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記センサ保持部313,315は、上記センサ保持部313,315の内部に保持された上記センサ303から引き出された配線320に沿って突出し、かつ、少なくとも上記加熱庫2側の表面に上記金属膜313a,315aの一部が形成された突起部313b,315bを有する。
上記実施形態によれば、センサ保持部313,315の内部に保持されたセンサ303から引き出された配線320に沿って突出する突起部313b,315bにおいて、少なくとも加熱庫2側の表面に金属膜313a,315aの一部が形成されていることによって、加熱庫2側から漏れたマイクロ波が突起部313b,315bの表面に形成された金属膜313a,315aで遮蔽されるので、センサ保持部313,315内のセンサ303や配線320の接続先である制御装置に、マイクロ波の誘導ノイズが配線320を介して影響しないようにできる。
また、一実施形態の加熱調理器では、
上記センサ保持部313,315は、樹脂からなるセンサ保持部本体と、上記センサ保持部本体の少なくとも上記加熱庫2側の表面にメッキにより形成された上記金属膜313a,315aとを有する。
上記実施形態によれば、センサ保持部本体の少なくとも加熱庫2側の表面に金属膜313a,315aをメッキにより形成することによって、別にシールド部材を用いることなく、簡単な構成で加熱庫2から漏れたマイクロ波からセンサ303を遮蔽することができる。