JP6620396B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、トレッド部の溝の内面に、グルーブクラックと呼ばれる亀裂が発生する可能性がある。グルーブクラックの発生を抑制するための技術の一例が特許文献1に開示されている。
特開2013−177113号公報
グルーブクラックの原因として、トレッド部のゴムに含まれる配合剤の組成、トレッド部のゴムの経時劣化、走行時の空気入りタイヤの変形、溝の内面に対するオゾンの接触、及び溝の内面に対する紫外光の照射などが挙げられる。
本発明の態様は、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生を抑制できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、中心軸を中心に回転する空気入りタイヤであって、接地面を有するトレッドゴムと、前記トレッドゴムに設けられ、底面及び前記底面と前記接地面とを結ぶ側面を含む内面を有する溝と、前記内面の少なくとも一部を覆うように配置され、前記内面に照射される紫外光を低減するコーティング膜と、を備える空気入りタイヤが提供される。
本発明の態様によれば、コーティング膜によって、トレッドゴムの溝の内面に対する紫外光の照射量が低減されるので、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が抑制される。
トレッドゴムの溝は、主溝(周方向溝)、ラグ溝、傾斜溝、及びサイプの少なくとも一つを含む。主溝とは、4.0mm以上の幅を有する周方向溝をいう。主溝は、4.0mm以上の幅を有し、5.0mm以上の深さを有してもよい。ラグ溝とは、1.5mm以上の幅を有する横溝をいう。ラグ溝は、1.5mm以上の幅を有し、4.0mm以上の深さを有してもよく、部分的に4.0mm未満の深さを有してもよい。サイプとは、1.5mm未満の幅を有する横溝をいう。
本発明の態様において、前記内面と前記コーティング膜との間に配置され、水系アクリルエマルジョンを主成分とするプライマー膜を備えてもよい。
これにより、コーティング膜とトレッドゴムの内面との接着強度が向上する。
本発明の態様において、前記溝の深さをH、前記溝の幅をW、前記トレッドゴムの厚さをD、としたとき、H ≧ 0.3D、且つ、H/W ≦ 5、の条件を満足してもよい。
これにより、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が効果的に抑制される。
本発明の態様において、前記内面の中心線表面粗さ(Ra75)は、1μm以上100μm以下でもよい。
これにより、コーティング膜とトレッドゴムの内面との接着性が向上する。
本発明の態様において、新品時における前記溝の深さをH、としたとき、前記コーティング膜は、前記溝の深さ方向に関して、前記接地面から0.5Hの部位よりも前記底面側の前記内面を覆うように配置されてもよい。
これにより、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、空気入りタイヤの新品時、摩耗初期、及び摩耗中期において、コーティング膜が地面を接触することが抑制される。したがって、コーティング膜の劣化、及びトレッドゴムからのコーティング膜の剥離などが抑制される。
本発明の態様において、前記溝に設けられたスリップサインを備え、前記コーティング膜は、前記溝の深さ方向に関して、前記スリップサインの上面よりも前記底面側の前記内面を覆うように配置されてもよい。
これにより、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、空気入りタイヤの新品時、摩耗初期、及び摩耗中期において、コーティング膜が地面を接触することが抑制される。したがって、コーティング膜の劣化、及びトレッドゴムからのコーティング膜の剥離などが抑制される。
本発明の態様において、前記コーティング膜は、第1コーティング膜と、間隙を介して前記第1コーティング膜の隣に配置される第2コーティング膜と、を含んでもよい。
これにより、例えば、第1コーティング膜及び第2コーティング膜の一方がトレッドゴムから剥離しても、第1コーティング膜及び第2コーティング膜の他方がトレッドゴムから剥離することが抑制される。すなわち、第1コーティング膜と第2コーティング膜との間にコーティング膜の間欠部が設けられることにより、剥離の伝播が抑制される。
本発明の態様において、前記溝は、前記中心軸の周方向に配置される主溝を含み、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜とは、前記主溝において前記周方向に配置され、前記周方向に関して、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜との間の前記コーティング膜の間欠部の寸法は、前記第1コーティング膜の寸法及び前記第2コーティング膜の寸法よりも小さくてもよい。
これにより、紫外光遮蔽機能が維持されつつ、剥離の伝播が抑制される。
本発明の態様において、前記溝は、前記主溝と結ばれるラグ溝を含み、前記間欠部は、前記主溝と前記ラグ溝との交差部に配置されてもよい。
これにより、第1コーティング膜及び第2コーティング膜の剥離が抑制される。空気入りタイヤの走行において、主溝とラグ溝との交差部は変形しやすい。変形しやすい交差部にコーティング膜を設けないようにすることで、コーティング膜の剥離が抑制される。
本発明の態様において、前記溝は、前記中心軸の周方向に配置される主溝を含み、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜とは、前記主溝において前記中心軸と平行な幅方向に配置され、前記幅方向に関して、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜との間の前記コーティング膜の間欠部の寸法は、前記第1コーティング膜の寸法及び前記第2コーティング膜の寸法よりも小さくてもよい。
これにより、紫外光遮蔽機能が維持されつつ、剥離の伝播が抑制される。
本発明の態様において、前記コーティング膜の厚さは、5μm以上120μm以下でもよい。
これにより、コーティング膜は、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、トレッドゴムの変形に十分に追従することができる。そのため、コーティング膜の剥離が抑制される。
本発明の態様において、290nm以上380nm以下の波長の前記紫外光に対する前記コーティング膜の透過率は、0.5以下でもよい。
これにより、トレッドゴムの内面に対する紫外光の照射量が十分に抑制される。
本発明の態様において、前記コーティング膜は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、カーボンブラック又は顔料と、を含んでもよい。
これにより、コーティング膜に照射された紫外光は、コーティング膜によって十分に吸収される。そのため、トレッドゴムの内面に対する紫外光の照射量が十分に抑制される。
本発明の態様において、前記コーティング膜は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、ベンゾトリアゾール系の紫外光吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外光吸収剤、サリシレート系の紫外光吸収剤、シアノアクリルレート系の紫外光吸収剤、ニッケル系の紫外光吸収剤、トリアジン系の紫外光吸収剤、及びヒンダードアミン系の光安定剤の少なくとも一つと、を含んでもよい。
これにより、コーティング膜に照射された紫外光は、コーティング膜によって十分に吸収される。そのため、トレッドゴムの内面に対する紫外光の照射量が十分に抑制される。
本発明の態様において、前記コーティング膜は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、酸化チタン又は酸化亜鉛と、を含んでもよい。
これにより、コーティング膜に照射された紫外光は、コーティング膜によって十分に反射される。そのため、トレッドゴムの内面に対する紫外光の照射量が十分に抑制される。
本発明の態様において、前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系ウレタンを主成分としてもよい。
これにより、コーティング膜は、トレッドゴムの変形に十分に追従することができる。そのため、コーティング膜の剥離が抑制される。
本発明の態様によれば、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生を抑制できる空気入りタイヤが提供される。
図1は、第1実施形態に係るタイヤの一例を示す断面図である。 図2は、第1実施形態に係るタイヤの一部を拡大した断面図である。 図3は、第1実施形態に係るタイヤのトレッド部の一例を示す図である。 図4は、第1実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す図である。 図5は、第1実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す図である。 図6は、第1実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す図である。 図7は、第2実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す斜視図である。 図8は、第2実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す斜視図である。 図9は、第2実施形態に係るタイヤの溝の一例を示す斜視図である。 図10は、タイヤの評価試験の結果の一例を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の一例を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図である。以下の説明においては、空気入りタイヤ1を適宜、タイヤ1、と称する。
タイヤ1は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転可能である。図1及び図2はそれぞれ、タイヤ1の中心軸AXを通る子午断面を示す。タイヤ1の中心軸AXは、タイヤ1の赤道面CLと直交する。
本実施形態においては、タイヤ1の中心軸AXとY軸とが平行である。すなわち、本実施形態において、中心軸AXと平行な方向は、Y軸方向である。Y軸方向は、タイヤ1の幅方向又は車幅方向である。赤道面CLは、Y軸方向に関してタイヤ1の中心を通る。θY方向は、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向である。X軸方向及びZ軸方向は、中心軸AXに対する放射方向である。タイヤ1が走行(転動)する路面(地面)は、XY平面とほぼ平行である。
本実施形態においては、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向を適宜、周方向、と称する。中心軸AXに対する放射方向を適宜、径方向、と称する。中心軸AXと平行な方向を適宜、幅方向、と称する。周方向は、中心軸AXの周方向又はタイヤ1の周方向を示す。幅方向は、タイヤ1の幅方向を示す。径方向は、タイヤ1の径方向を示す。
タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部10と、サイドウォール部9とを備えている。トレッド部10は、トレッドゴム6に配置される。サイドウォール部9は、サイドウォールゴム8に配置される。カーカス部2、ベルト層3、及びベルトカバー4のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス部2、ベルト層3、及びベルトカバー4のような補強材を含む層をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス部2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部2は、コードを含む。カーカス部2のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部2は、ビード部5に支持される。ビード部5は、Y軸方向に関してカーカス部2の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス部2は、ビード部5において折り返される。カーカス部2は、有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス部2は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、コードを含む。ベルト層3のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層3は、カーカス部2とトレッドゴム6との間に配置される。ベルト層3は、例えばスチールなどの金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のベルトコードを含んでもよい。本実施形態において、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、コードを含む。ベルトカバー4のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー4は、タイヤ1の中心軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、例えばスチールなどの金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
ビード部5は、カーカス部2の両端を固定する強度部材である。ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、スチールワイヤの束である。なお、ビード部5が、炭素鋼の束でもよい。
トレッドゴム6は、カーカス部2を保護する。トレッドゴム6は、トレッド部10と、トレッド部10に設けられた複数の溝20とを有する。トレッド部10は、路面と接触する接地面7を含む。トレッドゴム6は、接地面7を有する。溝20は、トレッドゴム6に設けられる。溝20は、内面40を有する。トレッド部10は、溝20の間に配置される陸部を含む。接地面7は、陸部に配置される。
本実施形態において、タイヤ1は、溝20の内面40の少なくとも一部を覆うように配置され、内面40に照射される紫外光を低減するコーティング膜50を備えている。溝20の内面40は、底面41と、側面42と、を含む。側面42は、底面41と接地面7とを結ぶように配置される。本実施形態において、コーティング膜50は、少なくとも底面41を覆うように配置される。
サイドウォールゴム8は、カーカス部2を保護する。サイドウォールゴム8は、Y軸方向に関してトレッドゴム6の一側及び他側のそれぞれに配置される。サイドウォールゴム8は、Y軸方向に関してトレッド部10の一側及び他側のそれぞれに配置されるサイドウォール部9を有する。
本実施形態において、タイヤ外径はODである。タイヤリム径はRDである。タイヤ総幅はSWである。トレッド接地幅はWである。トレッド展開幅はTDWである。
タイヤ外径ODとは、規定リムにタイヤ1を装着して、タイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で、タイヤ1に荷重を加えないときの、タイヤ1の直径をいう。
タイヤリム径RDとは、タイヤ1に適合するホイールのリム径をいう。タイヤリム径RDは、タイヤ内径と等しい。
タイヤ総幅SWとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で、タイヤ1に荷重を加えないときの、中心軸AXと平行な方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。すなわち、タイヤ総幅SWとは、トレッドゴム6の+Y側に配置されたサイドウォール部9の最も+Y側の部位と、−Y側に配置されたサイドウォール部9の最も−Y側の部位との距離をいう。サイドウォール部9の表面にそのサイドウォール部9の表面から突出する構造物が設けられている場合、タイヤ総幅SWとは、その構造物を含むY軸方向に関するタイヤ1の最大の寸法をいう。サイドウォール部9の表面から突出する構造物は、サイドウォール部9においてサイドウォールゴム8の少なくとも一部によって形成された文字、マーク、及び模様の少なくとも一つを含む。
本実施形態において、トレッド接地幅Wとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに測定されるタイヤ1の中心軸AXと平行な方向に関する接地幅の最大値をいう。
本実施形態において、トレッド展開幅TDWとは、タイヤ1を正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で、荷重を加えないときの、タイヤ1のトレッド部10の展開図における両端の直線距離をいう。
「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。但し、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、このタイヤが組まれる純正ホイールを用いる。
「正規内圧」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
「正規荷重」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤ1が乗用車である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。タイヤ1が新車装着タイヤの場合には、車両の車検証記載の前後軸重をそれぞれタイヤの数で除して求めた輪荷重とする。
図3は、タイヤ1のトレッド部10の一例を示す図である。図3に示すように、タイヤ1は、トレッド部10に設けられた溝20を有する。溝20は、タイヤ1の周方向に延びる主溝(周方向溝)21と、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるラグ溝(横溝)22と、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるサイプ23と、を含む。溝20の周囲に、陸部が設けられる。陸部は、溝20と、その溝20に隣り合う溝20との間に設けられる。トレッド部10は、複数の陸部を含む。
主溝21は、タイヤ1の周方向に形成される。主溝21の少なくとも一部は、タイヤ1のトレッド部10のセンター部11に設けられる。主溝21は、内部にスリップサイン(トレッドウェアインジケータ)を有する。スリップサインは、摩耗末期を示す。主溝21は、4.0mm以上の幅を有する。主溝21は、4.0mm以上の幅を有し、5.0mm以上の深さを有してもよい。図3に示す例において、タイヤ1は、4つの主溝21を有する。
ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ1の幅方向に形成される。ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ1のトレッド部10のショルダー部12に設けられる。ショルダー部12は、幅方向(Y軸方向)に関してセンター部11の一側(+Y側)及び他側(−Y側)のそれぞれに配置される。ラグ溝22は、1.5mm以上の幅を有する。ラグ溝22は、4.0mm以上の深さを有してもよく、部分的に4.0mm未満の深さを有していてもよい。
サイプ23の少なくとも一部は、タイヤ1の幅方向に形成される。サイプ23は、タイヤ1の陸部に形成される。本実施形態において、サイプ23の少なくとも一部は、タイヤ1のトレッド部10のショルダー部12に設けられる。サイプ23は、1.5mm未満の幅を有する。
図4は、本実施形態に係るトレッドゴム6に設けられた溝20の一例を示す断面図である。以下の説明においては、溝20が主溝21である例について説明する。なお、溝20は、ラグ溝22でもよいし、サイプ23でもよい。溝20は、周方向及び幅方向の両方に対して傾斜する方向に延びる傾斜溝でもよい。
図4に示すように、トレッドゴム6は、接地面7を有する。トレッドゴム6に主溝21が設けられる。主溝21は、内面40を有する。内面40は、底面41及び側面42を含む。側面42は、底面41の端部と、接地面7の端部とを結ぶように配置される。
以下の説明において、底面41と結ばれる側面42の端部42Bを適宜、内端部42B、と称する。接地面7と結ばれる側面42の端部42Uを適宜、外端部42U、と称する。
コーティング膜50は、内面40の少なくとも一部を覆うように配置される。コーティング膜50は、少なくとも底面41を覆うように配置される。本実施形態において、コーティング膜50は、底面41と、側面42の一部とを覆うように配置される。本実施形態において、コーティング膜50は、内端部42Uを含む側面42の内側領域421を覆うように配置される。径方向に関して内側領域421の外側に配置される側面42の外側領域422には、コーティング膜50は配置されない。側面42の外側領域422において、トレッドゴム6の表面は露出する。
コーティング膜50は、トレッドゴム6の表面である内面40に照射される紫外光の照射量(照度)を低減する。コーティング膜50は、内面40に照射される単位時間当たりの紫外光の照射量を低減する。コーティング膜50は、内面40に照射される紫外光の強度を低減する。
コーティング膜50は、例えば、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、その樹脂組成物に含有されるカーボンブラックと、を含む。カーボンブラックは、紫外光を吸収可能である。カーボンブラックを含む樹脂組成物によってコーティング膜50が形成されることにより、コーティング膜50は、高い紫外光遮蔽機能(紫外光吸収機能)を発揮する。これにより、内面40に照射される紫外光が低減される。
なお、コーティング膜50は、例えば、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、その樹脂組成物に含有される顔料と、を含んでもよい。顔料を含む樹脂組成物によってコーティング膜50が形成されることによっても、高い紫外光遮蔽機能(紫外光吸収機能)を発揮する。
コーティング膜50は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、ベンゾトリアゾール系の紫外光吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外光吸収剤、サリシレート系の紫外光吸収剤、シアノアクリルレート系の紫外光吸収剤、ニッケル系の紫外光吸収剤、トリアジン系の紫外光吸収剤、及びヒンダードアミン系の光安定剤の少なくとも一つと、を含んでもよい。
なお、上述の紫外光吸収剤のうち、特に、特にベンゾトリアゾール系の紫外光吸収剤が好ましく、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体が好ましい。
ベンゾトリアゾール系の紫外光吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外光吸収剤、サリシレート系の紫外光吸収剤、シアノアクリルレート系の紫外光吸収剤、ニッケル系の紫外光吸収剤、トリアジン系の紫外光吸収剤、及びヒンダードアミン系の光安定剤の少なくとも一つが含有された樹脂組成物によってコーティング膜50が形成されることによっても、高い紫外光遮蔽機能(紫外光吸収機能)を発揮する。また、トレッドゴム6が変形しても、コーティング膜50は、トレッドゴム6の変形に十分に追従することができる。
樹脂組成物に含有される紫外光吸収剤(添加剤)として、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン−○(※○の中は数字)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、t−ブチルメトキシジベンソイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシジベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、 メチレンビズベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びオクチルトリアゾンの少なくとも一つが添加されてもよい。
また、コーティング膜50は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、その樹脂組成物に含有される酸化チタンと、を含んでもよい。酸化チタンは、紫外光を反射可能(散乱可能)である。酸化チタンを含む樹脂組成物によってコーティング膜50が形成されることにより、コーティング膜50は、高い紫外光遮蔽機能(紫外光反射機能)を発揮する。これにより、内面40に照射される紫外光が低減される。
なお、コーティング膜50は、例えば、ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、その樹脂組成物に含有される酸化亜鉛と、を含んでもよい。酸化亜鉛を含む樹脂組成物によってコーティング膜50が形成されることによっても、高い紫外光遮蔽機能(紫外光反射機能)を発揮する。
樹脂組成物は、エステル系ウレタンを主成分としてもよいし、エーテル系ウレタンを主成分としてもよいし、ポリカーボネート系ウレタンを主成分としてもよい。本実施形態において、樹脂組成物は、ポリカーボネート系ウレタンを主成分とする。ポリカーボネート系ウレタンを主成分とする樹脂組成物のコーティング膜50は、トレッドゴム6が変形しても、そのトレッドゴム6の変形に十分に追従することができる。
本実施形態においては、290nm以上380nm以下の波長の紫外光に対するコーティング膜50の透過率が、0.5以下になるように、コーティング膜50の材料及び厚さが定められている。なお、コーティング膜50の透過率は、JIS K 7105に基づく。
290nm以上380nm以下の波長の紫外光に対するコーティング膜50の透過率(JIS K 7105)が、0.5以下であるので、タイヤ1を長期間使用して、トレッドゴム6に紫外光が照射されても、グルーブクラックの発生が十分に抑制される。
本実施形態において、コーティング膜50の厚さは、5μm以上120μm以下である。これにより、コーティング膜50は、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、トレッドゴム6の変形に十分に追従することができる。すなわち、コーティング膜50の厚さが5μmより薄いと、十分な紫外光遮蔽機能が得られなくなる可能性が高くなる。コーティング膜50の厚さが120μmより厚いと、トレッドゴム6の変形に十分に追従することができず、コーティング膜50がトレッドゴム6の内面40から剥離する可能性が高くなる。コーティング膜50の厚さが5μm以上120μm以下に定められることにより、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、トレッドゴム6からの剥離が抑制される。
なお、コーティング膜50の厚さは、8μm以上100μm以下であることが好ましい。コーティング膜50の厚さが8μm以上100μm以下に定められることにより、高い紫外光遮蔽機能を発揮しつつ、トレッドゴム6からの剥離が十分に抑制される。
本実施形態において、主溝21(溝20)の内面40とコーティング膜50との間に、プライマー膜60が配置される。プライマー膜60は、水系アクリルエマルジョンを主成分とする。プライマー膜60は、トレッドゴム6の表面である内面40と、コーティング膜50との接着強度を高める。本実施形態において、コーティング膜50は、プライマー膜60を介して、内面40に接続される。
本実施形態において、プライマー膜60の厚さは、3μm以上20μm以下である。これにより、プライマー膜60の接着機能が維持されつつ、トレッドゴム6が変形しても、プライマー膜60は、トレッドゴム6の変形に追従することができる。すなわち、プライマー膜60の厚さが3μmより薄いと、十分な接着機能が得られなくなる可能性が高くなる。プライマー膜60の厚さが20μmより厚いと、トレッドゴム6の変形に十分に追従することができず、プライマー膜60がトレッドゴム6の内面40から剥離する可能性が高くなる。プライマー膜60の厚さが3μm以上20μm以下に定められることにより、接着機能を維持しつつ、トレッドゴム6からの剥離が抑制される。
なお、本実施形態において、プライマー膜60は省略されてもよい。すなわち、コーティング膜50が、内面40に直に接触してもよい。
本実施形態において、内面40の中心線表面粗さ(Ra75)は、1μm以上100μm以下である。中心線表面粗さ(Ra75)は、JIS B0601:2001に基づく。中心線表面粗さは、レーザ式非接触型表面粗さ測定装置で測定可能である。内面40が所定の表面粗さを有することにより、プライマー膜60(又はコーティング膜50)と内面40との接着性が向上する。
本実施形態においては、主溝21(溝20)の内面40が上述の表面粗さを有するように、タイヤ1の加硫において使用される金型(加硫金型)の表面が加工されている。加硫金型の表面の形状が主溝21の内面40に転写されることによって、内面40は所定の表面粗さを有することができる。
次に、本実施形態に係る主溝21(溝20)の寸法と、コーティング膜50との関係について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る主溝21の一例を示す断面図である。
図5に示すように、主溝21の深さをH、主溝21の幅をW、トレッドゴム6の厚さをD、としたとき、主溝21は、
H ≧ 0.3D …(1)
H/W ≦ 5 …(2)
の条件を満足するように形成される。主溝21は、(1)式の条件及び(2)式の条件の両方を満足する。
主溝21の深さHは、タイヤ1が新品時(未摩耗時)における深さHである。主溝21の幅Wは、タイヤ1が新品時における幅Wである。トレッドゴム6の厚さDは、タイヤ1が新品時における厚さDである。
図5に示すように、主溝21の深さHは、径方向に関する接地面7と底面41との距離である。深さHは、タイヤ1が新品時における内端部42Bと外端部42Uとの距離と実質的に等しい。
図5に示すように、主溝21の幅Wは、周方向に関する一方の側面42の外端部42Uと他方の側面42の外端部42Uとの距離(幅方向の距離)である。
図5に示すように、トレッドゴム6の厚さDは、径方向に関する接地面7とトレッドゴム6の内面13との距離である。本実施形態において、トレッドゴム6の内面13は、ベルトカバー4との境界面を含む。
(1)式の条件及び(2)式の条件を満足する溝20においては、内面40(特に底面41)に紫外光(直射日光)が照射され、グルーブクラックが発生する可能性が高い。(1)式は、深さHに比べて幅Wが大きく、直射日光が底面41に照射されやすいことを示す。(2)式は、トレッドゴム6の厚さDに対して深い溝20が形成されていることを示し、底面41と内面13との距離が短いことを示す。そのため、(1)式の条件及び(2)式の条件を満足する溝20の底面41には紫外光が照射され易く、且つ、その底面41にグルーブクラックが発生する可能性が高い。
特に、溝20が主溝21である場合、内面40に紫外光が照射される可能性が高い。主溝21は、4.0mm以上の幅Wを有する周方向溝である。ラグ溝22は、1.5mm以上の幅を有する横溝である。サイプ23は、1.5mm未満の幅を有する横溝である。なお、ラグ溝22の幅は、ラグ溝22の側面の外端部間の距離(例えば周方向の距離)である。サイプ23の幅は、サイプ23の側面の外端部間の距離(例えば周方向の距離)である。
すなわち、主溝21の幅は、ラグ溝22の幅及びサイプ23の幅よりも大きい場合が多い。そのため、ラグ溝22の内面40に照射される紫外光の照射量よりも、主溝21の内面40に照射される紫外光の照射量のほうが高い場合が多い。
本実施形態においては、タイヤ1に設けられる複数の溝20のうち、少なくとも、(1)式の条件及び(2)式の条件を満足する溝20(主溝21、横溝22、及びサイプ23を含む)の内面40にコーティング膜50が設けられる。したがって、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が抑制される。
また、本実施形態においては、主溝21、ラグ溝22、及びサイプ23を含む複数の溝20のうち、少なくとも主溝21の内面40にコーティング膜50が設けられる。本実施形態においては、タイヤ1に設けられる複数の溝20のうち、少なくとも、(1)式の条件及び(2)式の条件を満足する主溝21の内面40に、コーティング膜50が設けられる。したがって、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が抑制される。
本実施形態において、タイヤ1が新品時における溝20の深さをH、としたとき、コーティング膜50は、溝20の深さ方向に関して、接地面7から0.5Hの部位100よりも底面41側の内面40を覆うように配置される。部位100は、側面42における部位である。
すなわち、本実施形態において、径方向に関して最も外側のコーティング膜50の部位200は、側面42の部位100よりも、径方向に関して内側に配置される。
コーティング膜50は、内端部42Bを含む側面42の内側領域421を覆うように配置される。内側領域421は、径方向に関して、部位100よりも内側の領域である。径方向に関して内側領域421の外側に配置される側面42の外側領域422には、コーティング膜50は配置されない。外側領域422は、径方向に関して、部位100よりも外側の領域を含む。
コーティング膜50が、径方向に関して部位100よりも外側に配置されている場合、タイヤ1の走行において、コーティング膜50が地面と接触する可能性が高くなる。また、走行により、タイヤ1は摩耗する。そのため、接地面7とコーティング膜50の部位200との距離が短いと、タイヤ1の摩耗初期においても、コーティング膜50が地面と接触する可能性がある。
コーティング膜50が地面と接触すると、コーティング膜50が劣化したり、コーティング膜50がトレッドゴム6から剥離したりする可能性が高くなる。
本実施形態においては、タイヤ1が新品時において、接地面7の近くにはコーティング膜50を設けないようにしたので、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、タイヤ1の新品時、摩耗初期、及び摩耗中期において、コーティング膜50が地面と接触することが抑制される。したがって、コーティング膜50の劣化、及びトレッドゴム6からのコーティング膜50の剥離などが抑制される。
なお、本実施形態においては、コーティング膜50は、少なくとも底面41に配置されることが好ましい。側面42にはコーティング膜50が配置されてなくてもよい。なお、側面42のうち、少なくとも、内端部42B(底面41)と、径方向に関して内端部42Bから0.3Hの部位との間に、コーティング膜50が設けられてもよい。
図6は、本実施形態に係る主溝21の一部を示す断面図である。上述したように、主溝21は、内部にスリップサイン(トレッドウェアインジケータ)を有する。図6に示すように、主溝21にスリップサイン300が設けられる。スリップサイン300は、摩耗末期を示す。
コーティング膜50は、主溝21の深さ方向に関して、スリップサイン300の上面よりも底面41側の内面40を覆うように配置されてもよい。
図6に示す例においても、タイヤ1の新品時、摩耗初期、及び摩耗中期において、コーティング膜50が地面を接触することが抑制される。したがって、コーティング膜50の劣化、及びトレッドゴム6からのコーティング膜50の剥離などが抑制される。
なお、スリップサイン300の上面にコーティング膜50が配置されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、コーティング膜50によって、トレッドゴム6の溝20の内面40に対する紫外光の照射量が低減されるので、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が抑制される。
また、本実施形態によれば、内面40とコーティング膜50との間に、水系アクリルエマルジョンを主成分とするプライマー膜60が設けられる。これにより、コーティング膜50とトレッドゴム6の内面40との接着強度が向上する。
また、本実施形態においては、タイヤ1に設けられる複数の溝20のうち、少なくとも、(1)式の条件及び(2)式の条件を満足する溝20の内面にコーティング膜50が設けられる。これにより、紫外光の照射に起因するグルーブクラックの発生が効果的に抑制される。
また、本実施形態においては、内面の中心線表面粗さ(Ra75)は、1μm以上100μm以下である。これにより、コーティング膜50(又はプライマー膜60)とトレッドゴム6の内面40との接着性が向上する。
また、本実施形態においては、図5を参照して説明したように、タイヤ1が新品時における溝20の深さをH、としたとき、コーティング膜50は、溝20の深さ方向に関して、接地面7から0.5Hの部位100よりも底面41側の内面40を覆うように配置される。あるいは、図6を参照して説明したように、コーティング膜50は、溝20の深さ方向に関して、スリップサイン300の上面よりも底面41側の内面40を覆うように配置される。すなわち、タイヤ1が新品時において、コーティング膜50は、接地面7の近くに配置されず、接地面7から離れて配置される。これにより、紫外光遮蔽機能を維持しつつ、タイヤ1の新品時、摩耗初期、及び摩耗中期において、コーティング膜50が地面を接触することが抑制される。したがって、コーティング膜50の劣化、及びトレッドゴム6からのコーティング膜50の剥離などが抑制される。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図7は、本実施形態に係るタイヤ1の溝20の一部を模式的に示す斜視図である。図7に示すように、タイヤ1のトレッドゴム6は、周方向に配置される主溝21と、主溝21と結ばれるラグ溝22とを有する。コーティング膜50は、主溝21の内面40に配置される。
本実施形態において、コーティング膜50は、コーティング膜50Aと、間隙を介してコーティング膜50Aの隣に配置されるコーティング膜50Bと、を含む。コーティング膜50Aとコーティング膜50Bとは、主溝21において周方向に配置される。
以下の説明において、コーティング膜50Aとコーティング膜50Bとの間のコーティング膜50が存在しない部分を適宜、間欠部70、と称する。間欠部70においては、トレッドゴム6の内面40が露出する。
周方向に関して、コーティング膜50の間欠部70の寸法は、コーティング膜50Aの寸法及びコーティング膜50Bの寸法よりも小さい。
なお、図7は、主溝21の一部を示す。本実施形態においては、主溝21の例えば4箇所に間欠部70が設けられる。主溝21には、第1のコーティング膜と、間隙を介して第1のコーティング膜の隣に配置される第2のコーティング膜と、間隙を介して第2のコーティング膜の隣に配置される第3のコーティング膜と、間隙を介して第3のコーティング膜の隣に配置される第4のコーティング膜と、が配置される。なお、間欠部70の数(周方向に配置されるコーティング膜の数)は、4つに限定されない。間欠部70の数(周方向に配置されるコーティング膜の数)は、2つでもよいし、3つでもよいし、5つ以上の複数でもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、コーティング膜50が分割して配置されるので、複数のコーティング膜50のうち、例えば、コーティング膜50Aが損傷し、トレッドゴム6から剥離しても、コーティング膜50Aの隣のコーティング膜50Bがトレッドゴム6から剥離することが抑制される。
例えば、コーティング膜50が周方向に連続的に配置されていると、そのコーティング膜50の一部分が損傷し、トレッドゴム6から剥離した場合、その剥離がコーティング膜50の他の部分に伝播する可能性がある。その結果、コーティング膜50全体が劣化してしまう可能性がある。
本実施形態においては、コーティング膜50Aとコーティング膜50Aとの間にコーティング膜50の間欠部70が設けられることにより、剥離の伝播が抑制される。コーティング膜50Aが剥離しても、間欠部70によって、剥離の伝播が停止され、コーティング膜50Bが剥離することが抑制される。したがって、コーティング膜50の紫外光遮蔽機能が低下することが抑制される。
また、本実施形態においては、周方向に関して、間欠部70の寸法は、コーティング膜50(50A、50B)の寸法よりも小さい。これにより、紫外光遮蔽機能が維持されつつ、剥離の伝播が抑制される。
図8は、本実施形態に係るタイヤ1の溝20の一部を模式的に示す斜視図である。図8に示すように、タイヤ1のトレッドゴム6は、周方向に配置される主溝21と、主溝21と結ばれるラグ溝22とを有する。コーティング膜50は、主溝21の内面40に配置される。コーティング膜50は、間欠部70を介して、周方向に複数配置される。
図8に示す例において、間欠部70は、主溝21とラグ溝22との交差部80に配置される。
以上説明したように、図8に示す例においては、コーティング膜50の剥離が抑制される。タイヤ1の走行において、主溝21とラグ溝22との交差部80は変形しやすい。変形しやすい交差部80にコーティング膜50を設けないようにすることで、コーティング膜50の剥離が抑制される。
図9は、本実施形態に係るタイヤ1の溝20の一部を模式的に示す斜視図である。図9に示すように、タイヤ1のトレッドゴム6は、周方向に配置される主溝21と、主溝21と結ばれるラグ溝22とを有する。コーティング膜50は、主溝21の内面40に配置される。
本実施形態において、コーティング膜50は、コーティング膜50Aと、間隙を介してコーティング膜50Aの隣に配置されるコーティング膜50Bと、を含む。コーティング膜50Aとコーティング膜50Bとは、主溝21において幅方向に配置される。コーティング膜50Aとコーティング膜50Bとの間に間欠部70が設けられる。
幅方向に関して、コーティング膜50の間欠部70の寸法は、コーティング膜50Aの寸法及びコーティング膜50Bの寸法よりも小さい。
なお、間欠部70の数(周方向に配置されるコーティング膜の数)は、3つ以上の複数でもよい。
以上説明したように、図9に示す例においても、コーティング膜50が分割して配置されることにより、例えば、コーティング膜50Aが損傷し、トレッドゴム6から剥離しても、コーティング膜50Aの隣のコーティング膜50Bがトレッドゴム6から剥離することが抑制される。
<実施例>
タイヤ1の評価試験を実施した。図10は、タイヤ1の評価試験の結果の一例を示す図である。図10において、実施例1及び実施例2は、上述の実施形態で説明した、コーティング膜50を有するタイヤ1の評価試験の結果を示す。実施例1のコーティング膜50は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物及びカーボンブラックを含む。実施例2のコーティング膜50は、ウレタンを主成分とする樹脂組成物及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。実施例1及び実施例2の両方とも、コーティング膜50は、主溝21の内面40に配置される。また、タイヤ1が新品時における溝20の深さをH、としたとき、実施例1及び実施例2の両方とも、コーティング膜50は、溝20の深さ方向に関して、接地面7から0.5Hの部位100よりも底面41側の内面40を覆うように配置されている。
比較例は、コーティング膜50が設けられていないタイヤ1の評価試験の結果を示す。
実施例1のタイヤ1のサイズ、実施例2のタイヤ1のサイズ、及び比較例のタイヤのサイズは、全て、215/60R16 95Hである。
評価試験では、促進耐候試験機(キセノンウェザーメータ)を使って照射エネルギー150W/mの紫外光をタイヤに800時間照射する処理、及び紫外光が照射されたタイヤをドラム試験機において2万km走行させる処理が実施された。なお、ドラム試験機においては、タイヤの内圧が200kPaに調整され、そのタイヤに対して5.0kNの負荷をかけた状態で、80km/hで走行させた。走行後のグルーブクラックの発生の有無を評価した。
図10に示すように、比較例1では、グルーブクラックが発生したのに対し、実施例1及び実施例2では、グルーブクラックが発生しなかった。コーティング膜50を設けることによって、グルーブクラックの発生を抑制できることが確認できた。
1 タイヤ(空気入りタイヤ)
2 カーカス部
3 ベルト層
4 ベルトカバー
5 ビード部
6 トレッドゴム
7 接地面
8 サイドウォールゴム
9 サイドウォール部
10 トレッド部
11 センター部
12 ショルダー部
13 内面
20 溝
21 主溝
22 ラグ溝
23 サイプ
40 内面
41 底面
42 側面
42B 内端部
42U 外端部
50 コーティング膜
60 プライマー膜
70 間欠部
80 交差部
100 部位
200 部位
300 スリップサイン
421 内側領域
422 外側領域
AX 中心軸
OD タイヤ外径
RD タイヤリム径
SW タイヤ総幅
W トレッド接地幅
TDW トレッド展開幅

Claims (15)

  1. 中心軸を中心に回転する空気入りタイヤであって、
    接地面を有するトレッドゴムと、
    前記トレッドゴムに設けられ、底面及び前記底面と前記接地面とを結ぶ側面を含む内面を有する溝と、
    前記内面の少なくとも一部を覆うように配置され、前記内面に照射される紫外光を低減するコーティング膜と、を備え
    前記コーティング膜は、第1コーティング膜と、間隙を介して前記第1コーティング膜の隣に配置される第2コーティング膜と、を含む、
    空気入りタイヤ。
  2. 前記内面と前記コーティング膜との間に配置され、水系アクリルエマルジョンを主成分とするプライマー膜を備える請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記溝の深さをH、
    前記溝の幅をW、
    前記トレッドゴムの厚さをD、としたとき、
    H ≧ 0.3D、且つ、
    H/W ≦ 5、
    の条件を満足する請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記内面の中心線表面粗さ(Ra75)は、1μm以上100μm以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 新品時における前記溝の深さをH、としたとき、
    前記コーティング膜は、前記溝の深さ方向に関して、前記接地面から0.5Hの部位よりも前記底面側の前記内面を覆うように配置される請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記溝に設けられたスリップサインを備え、
    前記コーティング膜は、前記溝の深さ方向に関して、前記スリップサインの上面よりも前記底面側の前記内面を覆うように配置される請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記溝は、前記中心軸の周方向に配置される主溝を含み、
    前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜とは、前記主溝において前記周方向に配置され、
    前記周方向に関して、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜との間の前記コーティング膜の間欠部の寸法は、前記第1コーティング膜の寸法及び前記第2コーティング膜の寸法よりも小さい請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記溝は、前記主溝と結ばれるラグ溝を含み、
    前記間欠部は、前記主溝と前記ラグ溝との交差部に配置される請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記溝は、前記中心軸の周方向に配置される主溝を含み、
    前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜とは、前記主溝において前記中心軸と平行な幅方向に配置され、
    前記幅方向に関して、前記第1コーティング膜と前記第2コーティング膜との間の前記コーティング膜の間欠部の寸法は、前記第1コーティング膜の寸法及び前記第2コーティング膜の寸法よりも小さい請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記コーティング膜の厚さは、5μm以上120μm以下である請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 290nm以上380nm以下の波長の前記紫外光に対する前記コーティング膜の透過率は、0.5以下である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記コーティング膜は、
    ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、
    カーボンブラック又は顔料と、
    を含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記コーティング膜は、
    ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、
    ベンゾトリアゾール系の紫外光吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外光吸収剤、サリシレート系の紫外光吸収剤、シアノアクリルレート系の紫外光吸収剤、ニッケル系の紫外光吸収剤、トリアジン系の紫外光吸収剤、及びヒンダードアミン系の光安定剤の少なくとも一つと、
    を含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  14. 前記コーティング膜は、
    ウレタンを主成分とする樹脂組成物と、
    酸化チタン又は酸化亜鉛と、
    を含む請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  15. 前記樹脂組成物は、ポリカーボネート系ウレタンを主成分とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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