JP6619255B2 - 1,3−ブタジエン合成用触媒、1,3−ブタジエンの製造装置及び1,3−ブタジエンの製造方法 - Google Patents

1,3−ブタジエン合成用触媒、1,3−ブタジエンの製造装置及び1,3−ブタジエンの製造方法 Download PDF

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本発明は、1,3−ブタジエン合成用触媒、1,3−ブタジエンの製造装置及び1,3−ブタジエンの製造方法に関する。
1,3−ブタジエン等のブタジエンは、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の原料として用いられている。従来、ブタジエンは石油からエチレンを合成するナフサクラッキングの際に副生するC4留分から精製されたものが使用されていた。しかし、シェールガスの利用量の増加に伴って石油の利用量が減少し、その結果、石油のナフサクラッキングで得られるブタジエンの生産量も減少している。そのため、1,3−ブタジエンを製造するための代替方法が求められている。
1,3−ブタジエンの製造方法としては、例えば、1−ブテンを原料とした酸化的脱水素反応により1,3−ブタジエンを得る方法が知られている。しかし、該方法では、生成物中に1,3−ブタジエンと分離が困難な1−ブテンが残存するため、精製過程が煩雑になり経済性が劣る。
ところで、近年では、石油から得られる化学工業原料に代えてバイオマス由来原料から誘導された化学工業原料が注目されており、1,3−ブタジエンについてもサトウキビやトウモロコシ等のバイオマス由来のバイオエタノールから製造することの重要度が増している。エタノールの二量化反応により1,3−ブタジエンを製造する方法としては、例えば、以下の方法(i)、(ii)が提案されている。
(i)Hf、Cu、Znを中心とした1元系又は多元系の担持触媒を用いてエタノールから1,3−ブタジエンを製造する方法(非特許文献1)。
(ii)マグネシウムシリケート構造を有する触媒にエタノールを接触させて1,3−ブタジエンを得る方法(特許文献1)。
しかし、方法(i)、(ii)でも、エタノールからエチレンを介して1−ブテンが副生するため、1−ブテンを除去するには精製過程が煩雑になり経済性が劣る問題がある。
特開2015−34151号公報
ACS Catal.2015,5,3393−3397
本発明は、1−ブテンの副生を充分に抑制しつつエタノールから1,3−ブタジエンを合成できる1,3−ブタジエン合成用触媒、並びに該1,3−ブタジエン合成用触媒を用いた1,3−ブタジエンの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明の1,3−ブタジエン合成用触媒は、エタノールから1,3−ブタジエンを合成するための1,3−ブタジエン合成用触媒であって、成分(A):Cuと、成分(B):Znと、成分(C):B、Ba、Ca、Ge、K、Li、Mg、Na、Ta及びWからなる群から選ばれる1種以上と、を含む。
前記成分(C)は、B、Ba、Ca、Ge、K、Li、Na及びWからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記成分(C)は、B、Ba、Ca及びGeからなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、本発明の1,3−ブタジエン合成用触媒が充填された反応管と、エタノールを前記反応管内に供給する供給手段と、前記反応管から生成物を排出する排出手段と、を備える。
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、本発明の1,3−ブタジエン合成用触媒にエタノールを接触させて1,3−ブタジエンを得る方法である。
本発明の1,3−ブタジエン合成用触媒を用いれば、1−ブテンの副生を充分に抑制しつつエタノールから1,3−ブタジエンを合成できる。
本発明の1,3−ブタジエンの製造装置を用いれば、1−ブテンの副生を充分に抑制しつつエタノールから1,3−ブタジエンを製造することができる。
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法によれば、1−ブテンの副生を充分に抑制しつつエタノールから1,3−ブタジエンを製造することができる。
本発明の1,3−ブタジエンの製造装置の一例を示した概略構成図である。 比較例1の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。 実施例1の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。 実施例2の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。 実施例3の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。 実施例4の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。 実施例5の1−ブテンの選択率の測定結果を示したグラフである。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「1,3−ブタジエンの選択率」とは、合成用触媒を用いた反応で消費されたエタノールのモル数のうち、1,3−ブタジエンへ変換されたエタノールのモル数が占める百分率を意味する。
「1−ブテンの選択率」とは、合成用触媒を用いた反応で消費されたエタノールのモル数のうち、1−ブテンへ変換されたエタノールのモル数が占める百分率を意味する。
[1,3−ブタジエン合成用触媒]
本発明の1,3−ブタジエン合成用触媒(以下、単に「合成用触媒」という。)は、エタノールから1,3−ブタジエンを合成するための触媒である。本発明の合成用触媒は、成分(A):Cuと、成分(B):Znと、成分(C):B、Ba、Ca、Ge、K、Li、Mg、Na、Ta及びWからなる群から選ばれる1種以上と、を含む。本発明の合成用触媒が成分(A)〜(C)を含むことで、1−ブテンの副生を充分に抑制しつつエタノールから1,3−ブタジエンを合成することができる。
成分(C)としては、1−ブテンの副生を抑制する効果がより高い点から、B、Ba、Ca、Ge、K、Li、Na及びWからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、成分(C)としては、1−ブテンの副生に加えてエチレンの副生も抑制できる点から、B、Ba、Ca及びGeからなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。
本発明の合成用触媒は、下記(1)式で表される組成の触媒であることが好ましい。
aCu・bZn・cM ・・・・(1)
ただし、(1)式中、Mは、B、Ba、Ca、Ge、K、Li、Mg、Na、Ta及びWからなる群から選ばれる1種以上を表し、a、b及びcは多孔質担体に対する質量百分率を表す。
(1)式中のaは、10〜0.01が好ましく、5〜0.1がより好ましく、2.5〜0.5がさらに好ましい。aが前記下限値未満であれば、反応中間体であるアセトアルデヒドの生成量が増加する(1,3−ブタジエンの選択率が減少する)。aが前記上限値超であれば、副生物であるエチレンの生成量が増加する(1,3−ブタジエンの選択率が減少する)。
(1)式中のbは、10〜0.01が好ましく、5〜0.05がより好ましく、1〜0.1がさらに好ましい。bが前記下限値未満であれば、副生物であるエチレンの生成量が増加する(1,3−ブタジエンの選択率が減少する)。bが前記上限値超であれば、副生物であるプロピレンの生成量が増加する(1,3−ブタジエンの選択率が減少する)。
(1)式中のcは、10〜0.01が好ましく、5〜0.1がより好ましい。cが前記下限値未満であれば、原料転化率(エタノールが反応物へ変化する割合)が減少する。cが前記上限値超であれば、C4以上の副生物質が増加する(1,3−ブタジエンの選択率が減少する)。
本発明の合成用触媒における成分(A)と成分(B)との質量比(A/B)は、100〜0.1が好ましく、10〜0.5がより好ましい。質量比(A/B)が前記範囲内であれば、1−ブテンの副生を抑制する効果がより高くなる。
本発明の合成用触媒における成分(A)と成分(C)との質量比(A/C)は、100〜0.1が好ましく、10〜0.5がより好ましい。質量比(A/C)が前記範囲内であれば、1−ブテンの副生を抑制する効果がより高くなる。
本発明の合成用触媒としては、1,3−ブタジエンの選択率がより高くなる点から、成分(A)〜(C)が多孔質担体に担持された担持触媒が好ましい。多孔質担体の材質は、特に限定されず、例えば、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア等が挙げられる。なかでも、比表面積や細孔直径が異なる種々の製品が市場で調達できることから、シリカが好ましい。
多孔質担体の大きさは特に限定されず、例えば、シリカの多孔質担体であれば、粒子径150〜2360μmのものが好ましい。多孔質担体の粒子径は、篩分けにより調節される。多孔質担体は、粒子径分布ができるだけ狭いものが好ましい。
多孔質担体における細孔容積の合計(全細孔容積)は、0.10〜2.50mL/gが好ましく、0.25〜1.50mL/gがより好ましい。全細孔容積が前記下限値以上であれば、充分な量の成分(A)〜(C)を担持しやすく、1,3−ブタジエンの選択率がより高くなる。全細孔容積が前記上限値以下であれば、エタノールと合成用触媒との接触時間が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率が高くなりやすい。
なお、多孔質担体の全細孔容積は、水滴定法により測定される値である。水滴定法とは、多孔質担体の表面に水分子を吸着させ、分子の凝縮から細孔分布を測定する方法である。
多孔質担体の平均細孔直径は、0.1〜100nmが好ましく、1.0〜50nmがより好ましい。平均細孔直径が前記下限値以上であれば、充分な量の成分(A)〜(C)を担持しやすく、1,3−ブタジエンの選択率がより高くなる。平均細孔直径が前記上限値以下であれば、エタノールと合成用触媒との接触時間が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率が高くなりやすい。
なお、平均細孔直径は、以下の手法で測定される値である。平均細孔直径が0.1nm以上10nm未満の場合、平均細孔直径は、全細孔容積とBET比表面積とから算出される。平均細孔直径が10nm以上の場合、平均細孔直径は、水銀圧入法ポロシメーターにより測定される。BET比表面積は、窒素を吸着ガスとし、その吸着量とその時の圧力から算出される値である。水銀圧入法は、水銀を加圧して多孔質担体の細孔に圧入させ、その圧力と圧入された水銀量から平均細孔直径を算出するものである。
多孔質担体の比表面積は、50〜1000m/gが好ましく、100〜750m/gがより好ましい。比表面積が前記下限値以上であれば、成分(A)〜(C)の担持量が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率がより高くなる。比表面積が前記上限値以下であれば、エタノールと合成用触媒との接触時間が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率が高くなりやすい。
なお、前記比表面積は、窒素を吸着ガスとし、BET式ガス吸着法により測定されるBET比表面積である。
多孔質担体における全細孔容積と比表面積との積は、5〜7500mL・m/gが好ましく、500〜5000mL・m/gがより好ましい。前記積が前記下限値以上であれば、成分(A)〜(C)の担持量が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率がより高くなる。前記積が前記上限値以下であれば、エタノールと合成用触媒との接触時間が充分となりやすく、1,3−ブタジエンの選択率が高くなりやすい。
多孔質担体への成分(A)〜(C)の合計の担持量は、多孔質担体の質量に対して、1.0〜10.0質量%が好ましく、2.5〜5.0質量%がより好ましい。担持量が前記下限値以上であれば、充分な量の成分(A)〜(C)が担持されることで1,3−ブタジエンの選択率が高くなりやすい。担持量が前記上限値以下であれば、成分(A)〜(C)を均一かつ高分散状態にしやすいため、1,3−ブタジエンの選択率を高めやすい。
本発明の合成用触媒は、触媒金属として成分(A)〜(C)を用いる以外は、従来公知の触媒の製造方法に準じて製造できる。本発明の合成用触媒を担持触媒とする場合、例えば、含浸法、イオン交換法等が挙げられ、含浸法が好ましい。含浸法を用いて得た担持触媒は、成分(A)〜(C)がより均一に分散され、エタノールとの接触効率がより高められるため、1,3−ブタジエンの選択率をより高めることができる。
含浸法では、例えば、成分(A)〜(C)の原料化合物を溶媒に溶解した溶液(含浸液)に多孔質担体を浸漬する等して、含浸液を多孔質担体に含浸させた後、乾燥し、焼成して、還元処理を施して合成用触媒とする。
成分(A)〜(C)の原料化合物としては、特に限定されず、金属触媒を調製する際に通常用いられるものを用いることができる。具体的には、例えば、酸化物、塩化物、硫化物、硝酸塩、炭酸塩等の無機塩、シュウ酸塩、アセチルアセトナート塩、ジメチルグリオキシム塩、エチレンジアミン酢酸塩等の有機塩又はキレート化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物、アンミン錯体、アルコキシド化合物、アルキル化合物等が挙げられる。なかでも、塩化物又は硫化物が好ましい。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
含浸液を多孔質担体に含浸させる方法としては、全ての原料化合物を溶解した溶液を担体に含浸させる方法(同時法)、各原料化合物を別個に溶解した溶液を調製し、逐次的に担体に各溶液を含浸させる方法(逐次法)等が挙げられる。
乾燥温度及び焼成温度は、溶媒の種類等に応じて適宜決定できる。例えば、溶媒が水の場合、乾燥温度を80〜120℃、焼成温度を300〜600℃とすることができる。
以上説明した本発明の合成用触媒は、成分(A)〜(C)を含むため、1−ブテンの副生を抑制しつつ1,3−ブタジエンを合成できる。そのため、1−ブテンを除去するための煩雑な精製工程を必要とせず、経済性に優れている。また、本発明の合成用触媒を用いれば、バイオエタノールから1,3−ブタジエンを合成できるため、環境負荷も低減できる。
[1,3−ブタジエンの製造装置]
本発明の1,3−ブタジエンの製造装置は、本発明の合成用触媒が充填された反応管と、エタノールを前記反応管内に供給する供給手段と、前記反応管から生成物を排出する排出手段と、を備える。以下、本発明の1,3−ブタジエンの製造装置の一例について、図1に基づいて説明する。
本実施形態の1,3−ブタジエンの製造装置10(以下、単に「製造装置10」という。)は、本発明の合成用触媒が充填されて反応床2が形成された反応管1と、反応管1に接続された供給管3と、反応管1に接続された排出管4と、反応管1に接続された温度制御部5と、排出管4に設けられた圧力制御部6と、を備える。
反応床2は、本発明の合成用触媒のみが充填されたものでもよく、本発明の合成用触媒と希釈材とが充填されたものでもよい。なお、エタノールから1,3−ブタジエンを合成する反応は吸熱反応であるため、本発明の合成用触媒が過度に発熱することを防止する目的で使用される希釈剤は通常不要である。
希釈材としては、例えば、合成触媒の担体と同様のものや、石英砂、アルミナボール、アルミボール、アルミショット等が挙げられる。
反応床2に希釈材を充填する場合、希釈材/合成用触媒で表される質量比は、それぞれの種類や比重等を勘案して決定され、例えば、0.5〜5が好ましい。
反応管1は、材料ガス及び合成された生成物に対して不活性な材料からなるものが好ましく、100〜500℃程度の加熱、又は10MPa程度の加圧に耐え得る形状のものが好ましい。反応管1としては、例えば、ステンレス製の略円筒形の部材が挙げられる。
供給管3は、材料ガスを反応管1内に供給する供給手段であり、例えば、ステンレス製等の配管が挙げられる。
排出管4は、反応床2で合成された生成物を含むガスを排出する排出手段であり、例えば、ステンレス製等の配管が挙げられる。
温度制御部5は、反応管1内の反応床2を任意の温度にできるものであればよく、例えば、電気炉等が挙げられる。
圧力制御部6は、反応管1内の圧力を任意の圧力にできるものであればよく、例えば、公知の圧力弁等が挙げられる。
なお、製造装置10は、マスフロー等、ガスの流量を調整するガス流量制御部等の周知の機器を備えていてもよい。
以上説明した本発明の1,3−ブタジエンの製造装置では、成分(A)〜(C)を含む本発明の合成用触媒を用いるため、1−ブテンの副生を抑制しつつ1,3−ブタジエンを製造することができる。そのため、1−ブテンを除去するための煩雑な精製工程を必要とせず、経済性に優れている。また、バイオエタノールから1,3−ブタジエンを製造することもできるため、環境負荷も低減できる。
[1,3−ブタジエンの製造方法]
本発明の1,3−ブタジエンの製造方法は、前記した本発明の合成用触媒を用いてエタノールから1,3−ブタジエンを製造する方法である。本発明の1,3−ブタジエンの製造方法では、本発明の合成用触媒にエタノールを接触させる。これにより、エタノールの二量化反応を経て1,3−ブタジエンが得られる。
エタノールと合成用触媒との接触させる態様は、特に限定されず、例えば、反応管内に合成用触媒を充填して反応床を形成し、該反応管にエタノールを供給して反応床の合成用触媒と接触させる態様が挙げられる。なお、反応床は、固定床、移動床、流動床等のいずれでもよい。
合成用触媒に接触させるエタノールは、転化率を高くしやすい点から、ガス状であることが好ましい。なお、合成用触媒に接触させるエタノールは、液状であってもよい。合成用触媒にエタノールを接触させる際には、エタノールのみを接触させてもよく、本発明の目的を損なわない範囲であればエタノールとその他の成分の混合物を接触させてもよい。
ガス化したエタノールと不活性ガスを含む混合ガスとして合成用触媒に接触させてもよい。不活性ガスを含有していると、1,3−ブタジエンの合成効率のさらなる向上を図れる。混合ガス中の不活性ガスの含有量は、例えば、5〜50体積%が好ましく、10〜40体積%がより好ましく、15〜30体積%がさらに好ましい。
エタノールと合成用触媒とを接触させる際の温度(反応温度)は、300〜500℃が好ましく、350〜450℃がより好ましい。反応温度が前記下限値以上であれば、酸化反応の速度が充分に高まり、1,3−ブタジエンをより効率的に製造できる。反応温度が前記上限値以下であれば、合成用触媒の劣化を抑制しやすい。
エタノールと合成用触媒とを接触させる際の圧力(反応圧力)、例えば、常圧〜1MPaとされる。
合成用触媒と接触させるエタノールの空間速度は、標準状態換算で、0.1〜10000L/L−触媒/hrが好ましく、10〜5000L/L−触媒/hrがより好ましく、100〜2500L/L−触媒/hrがさらに好ましい。空間速度は、反応圧力及び反応温度を勘案して、適宜調整される。
例えば、製造装置10を用いる場合は、温度制御部5及び圧力制御部6により反応管1内を任意の温度及び任意の圧力とし、ガス化されたエタノールを含むガス20を供給管3から反応管1内に流入させる。反応管1内においてエタノールが合成用触媒に接触して反応し、1,3−ブタジエンが生成する。1,3−ブタジエンを含む生成ガス22は、排出管4から排出される。生成ガス22には、アセトアルデヒド、プロピレン、エタン等の化合物が含まれていてもよい。
合成用触媒との接触による反応後に得られた1,3−ブタジエンを含む生成物に対しては、必要に応じて気液分離や蒸留精製等の精製を行い、未反応のエタノールや副生物を除去する。
以上説明した本発明の1,3−ブタジエンの製造方法によれば、成分(A)〜(C)を含む本発明の合成用触媒を用いるため、1−ブテンの副生を抑制しつつ1,3−ブタジエンを製造することができる。そのため、1−ブテンを除去するための煩雑な精製工程を必要とせず、経済性に優れている。また、バイオエタノールから1,3−ブタジエンを製造することもできるため、環境負荷も低減できる。
以下、比較例及び実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[比較例1]
成分(A)の原料化合物である硝酸銅三水和物(和光純薬社製)0.0761gと、成分(B)の原料化合物である硝酸亜鉛六水和物(和光純薬社製)0.0455gと、を含む水溶液2.10gを調製した(一次含浸溶液)。次いで、該水溶液を多孔質担体(シリカ、粒子径:1.18〜2.36mm、平均細孔直径:14.7nm、全細孔容積:0.99mL/g、比表面積:195m/g)2.0gに滴下して含浸させた(一次含浸工程)。次いで、該多孔体担体を110℃で3時間乾燥し、さらに400℃で4.5時間焼成して一次担持体を得た(一次担持工程)。続いて、成分(C)の原料である塩化ハフニウム(和光純薬社製)0.107gを含む水溶液2.09gを調製した。該水溶液を用いて、一次担持体に一次含浸工程と同様の処理を行い、合成用触媒(1−1)を得た。
得られた合成用触媒(1−1)における成分(A)〜(C)の割合は、多孔質担体の質量に対して、成分(A)が1質量%、成分(B)が0.5質量%、成分(C)が3.0質量%であった。
[実施例1〜5]
成分(C)の原料化合物を変更し、多孔質担体の質量に対する成分(A)〜(C)の割合を表1に示すとおりにした以外は、比較例1と同様にして各合成用触媒を得た。各実施例の成分(C)の原料化合物としては、以下に示すものを使用した。
実施例1:酢酸バリウム(和光純薬社製)。
実施例2:硝酸カルシウム四水和物(和光純薬社製)。
実施例3:硝酸カリウム(和光純薬社製)。
実施例4:硝酸リチウム(和光純薬社製)。
実施例5:硝酸ナトリウム(和光純薬社製)。
Figure 0006619255
[1−ブテンの選択率の測定]
各例の合成用触媒0.0500gを直径1/16インチ(0.159cm)、長さ11インチ(27.9cm)のステンレス製の円筒型の反応管に充填して反応床を形成した。
次いで、反応床の温度(反応温度)を400℃、425℃、又は450℃として、空間速度500L/L−触媒/hr、常圧でガス状のエタノールを反応管に供給し、反応床を通過させて生成ガスを得た。それぞれの反応温度での反応中に回収した生成ガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、1−ブテンの選択率を求めた。
各例においては、時間経過とともに反応温度を400℃、425℃、450℃の順に変化させ、各反応温度において2回ずつ1−ブテンの選択率を測定した。
実施例1〜5及び比較例1の合成用触媒を用いたそれぞれの反応について、各反応温度での1−ブテンの選択率を図2〜7に示す。
図2〜7に示すように、成分(A)〜(C)を含む三元系触媒である実施例1〜5の合成用触媒では、Cu、Zn及びHfの三元系触媒である比較例1の合成用触媒に比べて、1−ブテンの副生を抑制できた。
1 反応管
2 反応床
3 供給管
4 排出管
5 温度制御部
6 圧力制御部
10 1,3−ブタジエンの製造装置

Claims (3)

  1. エタノールから1,3−ブタジエンを合成するための1,3−ブタジエン合成用触媒であって、
    成分(A):Cuと、成分(B):Znと、成分(C):Ba、Ca、K、Li及びNaからなる群から選ばれる1種以上と、を含む、1,3−ブタジエン合成用触媒。
  2. 請求項1に記載の1,3−ブタジエン合成用触媒が充填された反応管と、エタノールを前記反応管内に供給する供給手段と、前記反応管から生成物を排出する排出手段と、を備える、1,3−ブタジエンの製造装置。
  3. 請求項1に記載の1,3−ブタジエン合成用触媒にエタノールを接触させて1,3−ブタジエンを得る、1,3−ブタジエンの製造方法。
JP2016026239A 2016-02-15 2016-02-15 1,3−ブタジエン合成用触媒、1,3−ブタジエンの製造装置及び1,3−ブタジエンの製造方法 Expired - Fee Related JP6619255B2 (ja)

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