以下、本発明の実施の形態による圧縮装置を、4輪自動車等の車両のエアサスペンション機構に適用する場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1,図2は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、エアサスペンション機構は、貯留タンク1、エアサスペンション6、主管路7、圧縮装置21を含んで構成されている。
貯留タンク1は、第1貯留体を構成し、後述の圧縮装置21により大気圧を超えて加圧された加圧気体を貯留するものである。貯留タンク1と圧縮装置21とは後述の主管路7、補給管路2を介して接続され、圧縮装置21から吐出した加圧気体は、主管路7、補給管路2を通じて貯留タンク1内に蓄えられる。そして、貯留タンク1内に蓄えられた加圧気体(または、圧縮装置21から吐出される加圧気体)は、主管路7、後述の分岐管路8を通じて各エアサスペンション6に供給される。
補給管路2は、後述の給排切換バルブ10とエアドライヤ12との間で主管路7から分岐し、加圧気体を貯留タンク1に補給するための管路である。また、補給管路2は、後述の貯留切換バルブ4が給排位置(c)にあるときに、貯留タンク1内の加圧気体を直接的に各エアサスペンション6側に向けて供給することもできる。
タンクバルブ3と貯留切換バルブ4とは、例えば補給管路2と貯留タンク1との間に設けられている。このうちタンクバルブ3は、2ポート2位置の電磁弁により構成されている。ここで、タンクバルブ3は、補給管路2を開いて貯留タンク1に対する気体の給排を許す開位置(a)と、補給管路2を閉じて貯留タンク1に対する気体の給排を遮断する閉位置(b)とに選択的に切換えられる。
貯留切換バルブ4は、後述する圧縮装置21の吸込側または吐出側を貯留タンク1に対して選択的に接続するため、例えば、3ポート2位置の電磁方向切換弁により構成されている。ここで、貯留切換バルブ4は、補給管路2を通じて加圧気体を貯留タンク1に給排する給排位置(c)と、貯留タンク1内の加圧気体を第1バイパス管路5を通じて圧縮装置21の吸込側に供給する切換位置(d)とに選択的に切換えられる。即ち、貯留切換バルブ4は、加圧気体の流れ方向を変更する切換機構を構成している。
第1バイパス管路5は、後述の吸込管路16と貯留切換バルブ4との間に配置され、貯留切換バルブ4が切換位置(d)に切換えられたときに、貯留タンク1内の加圧気体を吸込管路16に向けて流通させるものである。
エアサスペンション6は、車両の前,後と左,右の車輪(いずれも図示せず)にそれぞれ対応するように、車両の車軸側と車体側(いずれも図示せず)との間に4つ設けられている。各エアサスペンション6は、加圧気体が供給または排出されると、このときの給排量(加圧気体量)に応じて上,下に拡張または縮小して車両の車高調整を行うものである。これらのエアサスペンション6は、加圧気体を貯留する第2貯留体を構成し、主管路7、各分岐管路8を介して圧縮装置21に接続されている。
主管路7は、後述する圧縮装置21の吐出側を各エアサスペンション6に接続し、各エアサスペンション6に対する加圧気体の給排を行う給排管路を構成している。主管路7の上流側に位置する一端は後述のエアドライヤ12(圧縮装置21の吐出側)に接続され、主管路7の下流側に位置する他端は各分岐管路8に接続されている。この主管路7は、圧縮装置21で加圧(圧縮)された気体を貯留タンク1または各エアサスペンション6に供給するものである。
給排気バルブ9は、各エアサスペンション6と後述の給排切換バルブ10との間に位置して各分岐管路8の途中に設けられている。この給排気バルブ9は、タンクバルブ3とほぼ同様に、2ポート2位置の電磁弁により構成され、各分岐管路8を開いて各エアサスペンション6に対する加圧気体の給排を許す開位置(a)と、各分岐管路8を閉じて各エアサスペンション6に対する加圧気体の給排を遮断する閉位置(b)とに選択的に切換えられる。
給排切換バルブ10は、給排気バルブ9と圧縮装置21との間に位置して主管路7の途中に設けられている。この給排切換バルブ10は、貯留切換バルブ4とほぼ同様に、3ポート2位置の電磁方向切換弁により構成されている。ここで、給排切換バルブ10は、主管路7、各分岐管路8を通じて各エアサスペンション6に加圧気体を給排する給排位置(c)と、各エアサスペンション6内の加圧気体を第2バイパス管路11を通じて圧縮装置21の吸込側に供給する切換位置(d)とに選択的に切換えられる。即ち、給排切換バルブ10は、加圧気体の流れ方向を変更する切換機構を構成している。
第2バイパス管路11は、後述の吸込管路16と給排切換バルブ10との間に配置され、給排切換バルブ10が切換位置(d)に切換えられたときに、各エアサスペンション6内の加圧気体を吸込管路16に向けて流通させるものである。
エアドライヤ12は、給排切換バルブ10と圧縮装置21との間に位置して主管路7の途中に設けられている。具体的には、エアドライヤ12は、後述の排気管路13よりも各エアサスペンション6側に位置して主管路7の途中に配置されている。このエアドライヤ12は水分吸着剤(図示せず)等を内蔵し、圧縮装置21から供給される気体(給気)が流通するときに、内部の水分吸着剤で水分を吸着し、乾燥した加圧気体(ドライエア)を各エアサスペンション6に向けて供給する。一方、各エアサスペンション6から排出される気体(排気)は、エアドライヤ12内を逆流することにより、水分吸着剤に吸着された水分を奪い取り、この水分吸着剤を再生する。
排気管路13は、圧縮装置21の吐出側とエアドライヤ12との間で主管路7から分岐し、加圧気体を外部の大気中に排出するための管路である。
排気バルブ14は、主管路7に接続された排気管路13を大気に対して連通、遮断させる弁である。この排気バルブ14は、タンクバルブ3とほぼ同様に、2ポート2位置の電磁弁により構成され、排気管路13を開いて排気口14Aからの気体の排出を許す開位置(a)と、排気管路13を閉じて排気口14Aからの気体の排出を遮断する閉位置(b)とに選択的に切換えられる。即ち、排気バルブ14は、常時は閉弁して排気管路13を排気口14Aに対し遮断している。そして、排気バルブ14が開弁した場合、排気管路13を排気口14Aに連通させ、排気管路13内の気体を大気中に排出(放出)する。
吸気バルブ15は、圧縮装置21の吸込側に接続された吸込管路16を大気に対して連通、遮断させる弁である。この吸気バルブ15は、タンクバルブ3とほぼ同様に、2ポート2位置の電磁弁により構成され、吸込管路16を開いて圧縮装置21による気体の吸込みを許す開位置(a)と、吸込管路16を閉じて圧縮装置21による気体の吸込みを遮断する閉位置(b)とに選択的に切換えられる。即ち、吸気バルブ15は、常時は閉弁して圧縮装置21の吸込管路16を大気に対して遮断している。そして、吸気バルブ15が開弁した場合、吸込管路16を大気と連通させ、吸気フィルタ15Aから吸込んだ空気を圧縮装置21に対して流入させる。
圧力センサ17は、貯留切換バルブ4と圧縮装置21との間に位置して補給管路2の途中に設けられている。この圧力センサ17は、補給管路2の圧力を検出することにより、貯留タンク1内の加圧気体の圧力を検出する。
次に、本発明の特徴部分である圧縮装置21の構成および動作について詳しく説明する。
圧縮装置21は、第1バイパス管路5、吸込管路16、主管路7、分岐管路8を介して、貯留タンク1と各エアサスペンション6との間に設けられている。具体的には、圧縮装置21は、吸込側が吸込管路16に接続され、吐出側が主管路7に接続して設けられている。この圧縮装置21は、駆動機構としての電動モータ22と、該電動モータ22によって駆動される圧縮機本体23とにより構成されている。圧縮装置21は、貯留タンク1から吸引した加圧気体をさらに圧縮(加圧)して、各エアサスペンション6に加圧気体を供給する圧気源をなしている。
電動モータ22は、モータ軸22Aを介して圧縮機本体23を駆動する駆動源を構成する。この電動モータ22は、コントローラ(図示せず)によって回転速度等が制御される。電動モータ22のモータ軸22Aは、クランク軸として形成され、後述するクランク機構26の一部を構成している。電動モータ22は、モータ軸22Aを回転可能に支持するモータケース(図示せず)を備えている。このモータケースには、クランクケース24(例えば、筒部24Aの後側)が着脱可能に固定されている。
圧縮機本体23は、クランクケース24、連接棒25、第1シリンダ27、第2シリンダ28、第1ピストン29、第2ピストン30、第1室32、第2室33、第1連通路34、第2吐出口35B、第1チェック弁36、第2チェック弁37等を含んで構成されている。この圧縮機本体23は、電動モータ22によって駆動された各ピストン29,30により、外部から吸込んだ気体を圧縮して加圧気体を生成する。
圧縮機本体23のクランクケース24は、例えばアルミニウム材料等の金属材料からなる中空容器として形成されている。このクランクケース24は、前記モータケースに取付けられる筒部24Aと、該筒部24Aの後側(電動モータ22側)を開口したクランク機構開口24Bと、筒部24Aの一側(例えば、下側)に開口して設けられた第1シリンダ取付部24Cと、筒部24Aの他側(例えば、上側)に開口して設けられた第2シリンダ取付部24Dと、から構成されている。また、このクランクケース24内は、後述のクランク機構26を回転可能に収容するためのクランク室24Eとなっている。
連接棒25は、クランクケース24のクランク室24E内を上,下方向に延びて収納されている。連接棒25の一側となる下端側は、第1シリンダ27内に位置して第1ピストン29の裏面中央部位に一体的に取付けられている。一方、連接棒25の他側となる上端側は、第2シリンダ28内に位置して第2ピストン30の裏面中央部位に一体的に取付けられている。そして、連接棒25の略中間部位にはクランク機構26が連結されている。これにより、連接棒25は、クランク機構26の回転により、クランク室24E内を上,下方向に往復動する。
クランク機構26は、電動モータ22のモータ軸22Aの先端に回転可能に連結して設けられている。このクランク機構26は、一端側が電動モータ22のモータ軸22Aに回転可能に取り付けられたリンク26Aと、該リンク26Aの他端側を連接棒25の中間部位に回転可能に連結した連結ピン26Bとを含んで構成されている。これにより、クランク機構26は、電動モータ22のモータ軸22Aが回転運動するときに、この回転をリンク26A、連結ピン26Bを介して連接棒25の往復動に変換する。即ち、クランク機構26は、電動モータ22のモータ軸22Aと連接棒25との間で、回転運動を直線運動に変換する変換機構を構成している。
第1シリンダ27は、連接棒25の一端側に位置し、クランクケース24の下端側に設けられている。この第1シリンダ27は、例えばアルミニウム材料を用いて円筒状に形成され、その内部には第1ピストン29が往復動可能に挿嵌されている。また、第1シリンダ27の下端側には、後述の第1シリンダヘッド31が取付けられ、第1シリンダ27の上端側はクランクケース24の第1シリンダ取付部24Cに取付けられている。さらに、第1シリンダ27内は、第1ピストン29によって、連接棒25の下端側が収納される第1シリンダ室27Aと第1シリンダヘッド31側の後述の第1室32とに画成されている。
第2シリンダ28は、連接棒25の他端側に位置し、クランクケース24の上端側に設けられている。この第2シリンダ28は、第1シリンダ27と同様に、例えばアルミニウム材料を用いて円筒状に形成され、その内部には後述の第2ピストン30が往復動可能に挿嵌されている。また、第2シリンダ28の下端側はクランクケース24の第2シリンダ取付部24Dに取付けられ、第2シリンダ28の上端側には、後述の第2シリンダヘッド35が取付けられている。さらに、第2シリンダ28内は、第2ピストン30によって、連接棒25の上端側が収納される第2シリンダ室28Aと第2シリンダヘッド35側の後述の第2室33とに画成されている。
ここで、クランクケース24のクランク室24Eと第1シリンダ室27Aと第2シリンダ室28Aとは常時連通し、外気の流入出を許す構成となっており、常に大気圧となる。クランクケース24のクランク機構開口24Bは、例えば電動モータ22の回転により発生した冷却風をクランク室24E内に流入出させる通気穴として機能する。
第1ピストン29は、連接棒25の下端側に位置し、第1シリンダ27内に往復動可能(摺動可能)に挿嵌されている。この第1ピストン29は、吸気行程時には吸込管路16から第1シリンダ27内の第1室32に向けて加圧気体を流入(吸入)させ、吐出行程時には第1室32から第1連通路34に向けて、加圧気体を圧縮することなく吐出させる。第1ピストン29は、第1シリンダ27の内径寸法よりも僅かに小さな直径をもった円板体からなり、その周囲にはシール部材29Aが取付けられている。
このシール部材29Aは、第1ピストン29の外周側を取囲むことにより、該第1ピストン29の外周面と第1シリンダ27の内周面との間、即ち、第1室32を気密にシールするものである。また、第1ピストン29の下端側(第1室32側)を表面とした場合、逆側の裏面中央部位には、連接棒25の一端(下端)側が一体的に連結されている。
第2ピストン30は、連接棒25の上端側に位置し、第2シリンダ28内に往復動可能(摺動可能)に挿嵌されている。即ち、第2ピストン30は、第1ピストン29と同一(同等)の受圧面積を有し、吸気行程時には第1連通路34から第2シリンダ28内の第2室33に向けて加圧気体を吸気し、吐出行程時には第2室33から第2吐出口35Bに向けて加圧気体を圧縮して吐出させる。第2ピストン30は、第2シリンダ28の内径寸法よりも僅かに小さな直径をもった円板体からなり、その周囲にはシール部材30Aが取付けられている。
このシール部材30Aは、第2ピストン30の外周側を取囲むことにより、該第2ピストン30の外周面と第2シリンダ28の内周面との間、即ち、第2室33を気密にシールするものである。また、第2ピストン30の上端側(第2室33側)を表面とした場合、逆側の裏面中央部位には、連接棒25の他端(上端)側が一体的に連結されている。
第1シリンダヘッド31は、第1シリンダ27の下端側を閉塞するように該第1シリンダ27の下端側に取付けられている。この第1シリンダヘッド31は、吸込管路16の上流側から加圧気体を流入(吸入)させる第1吸気口31Aと、加圧気体を第1連通路34に流出(吐出)させる第1吐出口31Bとを備えている。
第1室32は、第1シリンダ27の内周壁と第1ピストン29の下端面と第1シリンダヘッド31の上端面とにより画成されている。この第1室32は、吸気行程時には貯留タンク1から第1バイパス管路5(または、各エアサスペンション6から第2バイパス管路11)、吸込管路16、第1シリンダヘッド31の第1吸気口31Aを介して加圧気体が流入し、吐出行程時には第1連通路34を介して第2室33に加圧気体を流出させる。例えば、第1室32に貯留タンク1内の加圧気体が流入したとき、第1室32内は貯留タンク1内の加圧気体の圧力と同等に保たれる。この場合、第1ピストン29は、加圧気体の圧力を受圧して圧縮することはなく、第1シリンダ27内を軸方向に摺動変位する。
第2室33は、第2シリンダ28の内周壁と第2ピストン30の上端面と後述の第2シリンダヘッド35の弁板部35Cとにより画成されている。この第2室33は、吸気行程時には第1室32、第1連通路34を介して加圧気体を吸気し、吐出行程時には後述の第2吐出口35Bを介して各エアサスペンション6(または、貯留タンク1)に、加圧気体を供給する。即ち、第2室33は、貯留タンク1(または、各エアサスペンション6)から供給された加圧気体を、第2ピストン30の往復動によりさらに圧縮して圧縮気体を生成する圧縮室を構成する。
第1連通路34は、クランクケース24の外側に位置して、第1室32と第2室33とを連通する通路である。この第1連通路34は、例えば下端側と上端側とが折り曲げられたパイプ等により形成されている。第1連通路34の一端は第1シリンダヘッド31の第1吐出口31Bに接続され、第1連通路34の他端は後述の第2シリンダヘッド35の第2吸気口35Aに接続されている。第1連通路34は、貯留タンク1内の加圧気体を第1室32を介して間接的に第2室33に導くものである。
第2シリンダヘッド35は、第2シリンダ28の上端側を閉塞するように該第2シリンダ28の上端側に取付けられている。この第2シリンダヘッド35は、第1連通路34から加圧気体を流入(吸入)させる第2吸気口35Aと、加圧気体を各エアサスペンション6(または、貯留タンク1)に流出(吐出)させる第2連通路としての第2吐出口35Bと、第2シリンダ28の上端側を閉塞して第2ピストン30との間に第2室33を形成する弁板部35Cと、該弁板部35Cを貫通して設けられ第2吸気口35Aと第2室33とを連通する吸込孔35Dと、弁板部35Cを貫通して設けられ第2室33と第2吐出口35Bとを連通する吐出孔35Eと、第2シリンダヘッド35の上端側を閉塞する蓋体35Fと、により構成されている。第2シリンダヘッド35の第2吐出口35Bは、例えば主管路7の一端側に接続され、主管路7と共に第2連通路を構成する。
第1チェック弁36は、第1連通路34の下流側に位置して第2シリンダヘッド35の吸込孔35Dに設けられた吸込弁である。この第1チェック弁36は、第2シリンダヘッド35の吸込孔35Dに挿嵌される弁体36Aと、該弁体36Aを上側(蓋体35F側)に向けて閉弁方向に付勢する弁ばね36Bと、により構成されている。これにより、第1チェック弁36は吸気行程時に開弁して、第2吸気口35A(吸込孔35D)と第2室33とを連通させる。一方、第1チェック弁36は圧縮行程(吐出行程)時に閉弁し、第2吸気口35A(吸込孔35D)と第2室33とを遮断して第2室33から加圧気体の逆流を防止する。
第2チェック弁37は、第2シリンダヘッド35の吐出孔35E側に設けられた吐出弁である。この第2チェック弁37は、第2シリンダヘッド35の吐出孔35Eを連通、遮断する弁体37Aと、該弁体37Aを下側(弁板部35C側)に向けて閉弁方向に付勢する弁ばね37Bと、により構成されている。第2チェック弁37は、エアサスペンション6(または、貯留タンク1)から第2室33への圧縮気体(加圧気体を再圧縮した気体)の逆流を防止する。これにより、第2室33内の圧力が第2吐出口35B側の圧力および弁ばね37Bの付勢力よりも高くなると、弁体37Aが開弁し、第2室33内の圧縮空気を、吐出孔35E、第2吐出口35Bを介して主管路7側に吐出させる。
本実施の形態によるエアサスペンション機構は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、電動モータ22によりモータ軸22Aを回転駆動させると、モータ軸22Aの回転が、クランク機構26、連接棒25を介して、第1ピストン29および第2ピストン30に伝えられる。そして、第1ピストン29は第1シリンダ27内を往復動し、第1ピストン29が第1シリンダヘッド31から離れる吸気行程と、第1ピストン29が第1シリンダヘッド31に近づく吐出行程とを交互に繰り返す。また、第1ピストン29と同様に、第2ピストン30は第2シリンダ28内を往復動し、第2ピストン30が第2シリンダヘッド35から離れる吸気行程と、第2ピストン30が第2シリンダヘッド35に近づく吐出行程とを交互に繰り返す。この場合、第1ピストン29と第2ピストン30とは1つの連接棒25により連結されているため、第1ピストン29の吸気行程および吐出行程と、第2ピストン30の吸気行程および吐出行程とは、逆の関係となる。
第1ピストン29の吸気行程では、第1ピストン29が第1吸気口31Aを介して第1室32内に流入してくる加圧気体により上向きに押動されるように、第1ピストン29は第1シリンダ27内を上向きに摺動変位する。第1ピストン29の吐出行程では、第1ピストン29が第1シリンダ27内を下向きに摺動変位し、第1室32内から加圧気体を第1吐出口31Bを介して第1連通路34に向けて流出させる。
第2ピストン30の吸気行程では、第2室33内の圧力が第1連通路34内の圧力よりも低くなると、第1チェック弁36は弁体36Aを開弁する。これにより、第1連通路34と第2室33とは第2シリンダヘッド35に設けられた吸込孔35Dを介して連通するから、第1連通路34、第2吸気口35Aおよび吸込孔35Dを介して加圧気体が第2室33内に吸込まれる。
一方、第2ピストン30の吐出行程では、第2室33内の圧力が上昇し、第2室33内の圧力が第2チェック弁37側の設定圧力よりも高くなると、第2チェック弁37の弁体37Aが開弁する。これにより、第2室33内の加圧気体は、再圧縮された状態で吐出孔35E、第2吐出口35Bを介して主管路7側に吐出される。この再圧縮された加圧気体は、貯留タンク1または各エアサスペンション6へと供給される。
ここで、貯留タンク1内に加圧気体が充分に蓄えられていない場合(即ち、貯留タンク1内の圧力が基準の設定圧力よりも低い場合)には、タンクバルブ3および吸気バルブ15を閉位置(b)から開位置(a)に切換え、給排気バルブ9および排気バルブ14を閉位置(b)に保持したまま、貯留切換バルブ4を給排位置(c)に切換えた状態で、電動モータ22により圧縮装置21の圧縮機本体23を作動(即ち、圧縮運転)させる。
これにより、圧縮装置21の圧縮機本体23は、吸気フィルタ15A、吸込管路16を通じて外気を吸込み、この空気を加圧(圧縮)して主管路7に向け吐出する。この加圧気体は、エアドライヤ12によって乾燥された後、補給管路2を介して貯留タンク1内に蓄えられる。そして、例えば貯留タンク1内の圧力が所定の設定圧力に達すると、電動モータ22(即ち、圧縮装置21)を停止させ、タンクバルブ3および吸気バルブ15を共に閉位置(b)に切換える。これにより、貯留タンク1内には充分な量の加圧気体を充填して貯留しておくことができる。
次に、車高を上げる場合には、例えば圧縮装置21を停止させたままの状態でも、貯留タンク1内の加圧気体を各エアサスペンション6に供給することができる。即ち、この場合には、タンクバルブ3を閉位置(b)から開位置(a)に切換え、貯留切換バルブ4および給排切換バルブ10を給排位置(c)に保持した状態で、給排気バルブ9を開位置(a)に切換える。これにより、貯留タンク1内の加圧気体が主管路7に導出され、この加圧気体は、分岐管路8を通じて各エアサスペンション6内に供給される。このように、貯留タンク1内に蓄えられた加圧気体を各エアサスペンション6内に供給して各エアサスペンション6を迅速に伸長させることができるので、例えば圧縮装置21によって生成した加圧気体を直接的に各エアサスペンション6内に供給する場合に比較して、車高を素早く上昇させることができる。
このとき、車両に積載物を搭載して各エアサスペンション6に高い圧力がかかっている場合(特に、貯留タンク1内の圧力よりもエアサスペンション6側が高圧となるような場合)には、貯留タンク1内の加圧気体よりもさらに高い圧力の加圧気体を、各エアサスペンション6に供給して車高を上げる必要がある。そのため、貯留切換バルブ4を切換位置(d)に切換えて、貯留タンク1内の加圧気体を、第1バイパス管路5を介して圧縮装置21の吸込側(即ち、吸込管路16)に流通させる。これにより、貯留タンク1内の加圧気体を圧縮装置21でさらに圧縮でき、高い圧力の加圧気体をエアドライヤ12、給排切換バルブ10等を介して各エアサスペンション6に供給することができる。
車高の上げ動作が完了した後には、給排気バルブ9を閉位置(b)に切換えて分岐管路8を閉じる。これにより、各エアサスペンション6に対する加圧気体の流通を封止して、各エアサスペンション6は伸長状態を保ち、車高を上げた状態に保つことができる。
一方、車高を下げる場合には、タンクバルブ3および給排気バルブ9を開位置(a)に切換え、貯留切換バルブ4を給排位置(c)に保持し、給排切換バルブ10を給排位置(c)から切換位置(d)に切換える。この状態で、圧縮装置21の圧縮機本体23を電動モータ22により動かし始めると、各エアサスペンション6内の加圧気体は、分岐管路8、主管路7を通じて第2バイパス管路11に排出(導出)される。そして、第2バイパス管路11に導出された加圧気体は、吸込管路16を介して圧縮装置21の吸込側から吐出側へと流通する。
このときに、圧縮装置21によって加圧気体(エアサスペンション6からの排出気体)を再圧縮して主管路7側に吐出してもよい。また、加圧気体を実質的に圧縮することなく、単に吸込管路16側から主管路7側に流通させるだけでもよい。即ち、圧縮装置21の運転状態は、貯留タンク1内とエアサスペンション6内との圧力差によって決められる。圧縮装置21から吐出(または、流出)された加圧気体は、主管路7、エアドライヤ12、補給管路2を通じて貯留タンク1内に補給される。この結果、各エアサスペンション6から加圧気体が排出され、各エアサスペンション6が縮小状態に移行することにより、車高を下げることができる。
この場合、各エアサスペンション6から第1シリンダ27内の第1室32に加圧気体を吸気するので、第1室32内は各エアサスペンション6の加圧気体の圧力と同等に保たれる。また、第2シリンダ28内の第2室33では、各エアサスペンション6からの加圧気体を第2ピストン30の往復動により、貯留タンク1内の圧力と同等の圧力に達するまでさらに加圧する。
ここで、貯留タンク1内の圧力が予め決められた設定圧力の上限値まで上昇した場合、例えば圧力センサ17からの検出信号に基づいて、タンクバルブ3を閉位置(b)に戻す。この上で、給排切換バルブ10を切換位置(d)から給排位置(c)に切換えると共に、排気バルブ14を閉位置(b)から開位置(a)に切換える。これにより、各エアサスペンション6からの加圧気体を、排気管路13を介して排気口14Aから外部に直接的に排出することができる。
なお、車高を下げる場合に、各エアサスペンション6内の圧力よりも貯留タンク1内の圧力が低い場合には、給排切換バルブ10を給排位置(c)に切換えたままの状態で、圧縮装置21(エアドライヤ12)を経由せずに、各エアサスペンション6から補給管路2を通じて加圧気体を貯留タンク1に排出させるように流通させることができる。また、貯留切換バルブ4と給排切換バルブ10とを共に給排位置(c)から切換位置(d)に切換えた場合には、各エアサスペンション6から第2バイパス管路11、第1バイパス管路5を通じて加圧気体を貯留タンク1に排出させるように貯留(供給)することもできる。
かくして、本実施の形態によれば、圧縮装置21は、第1ピストン29と第2ピストン30とを連接棒25の一端と他端とに連結し、両者が連接棒25を介して一体的に往復動を繰り返す構成としている。これにより、第1ピストン29が加圧気体により第1シリンダ27内を往復動するときの動きを利用して、第2ピストン30を第2シリンダ28内で往復動させることができ、クランク機構26から電動モータ22のモータ軸22Aにかかる負荷を半減させるように低減できる。即ち、第1ピストン29が下方向に動く場合は第2ピストン30も下方向に動き、このときに、第2シリンダ28の第2室33内に加圧気体を吸込む吸気行程を円滑に行うことができる。そして、第1ピストン29が加圧気体の圧力で上方向に動く場合は、第2ピストン30も上方向に動くため、第2ピストン30による圧縮動作を加圧気体の圧力を利用して円滑に行うことができる。
この結果、第2シリンダ28の第2室33内で加圧気体をさらに加圧して圧縮する場合に、第1ピストン29により第2ピストン30の加圧を補助し助ける方向の助力を発生でき、クランク機構26(特に、第2ピストン30)から電動モータ22に付加される圧縮運転時の負荷を軽減することができると共に、加圧気体の再圧縮を容易に行うことができる。従って、電動モータ22の消費電力を低減することが可能となり、省エネルギ化を図ることができ、電動モータ22を小型化することもできる。
また、クランクケース24内を密閉構造とせずに、クランク室24E、各シリンダ室27A,28Aを外気の流入出を許す構造とし、常に大気圧としている。これにより、電動モータ22のリード線等からのエア漏れを考慮する必要がなく、圧縮装置21を複雑なシール構造とする必要がないので、部品点数を削減でき、圧縮装置21の製造コストを抑制することができる。
また、第1ピストン29と第2ピストン30とを同一受圧面積としているので、第2ピストン30による圧縮運転に対して第1ピストン29による助力を有効に発生できる。このため、圧縮装置21による圧縮運転を円滑に行うことが可能となり、圧縮運転時における電動モータ22の負荷を半減させるように低減することができる。
次に、図3は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、第1連通路を連接棒の内部を貫通して設けたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図3において、圧縮装置41は、駆動機構としての電動モータ22と、該電動モータ22のモータ軸22Aによって駆動される圧縮機本体42とにより構成されている。圧縮機本体42は、第1の実施の形態とほぼ同様に、クランクケース24、連接棒43、第1シリンダ27、第2シリンダ28、第1ピストン44、第2ピストン45、第1室32、第2室33、第1連通路47、第2吐出口48A、第1チェック弁49、第2チェック弁37等を含んで構成されている。しかし、この場合は、連接棒43、第1ピストン44、第2ピストン45、第1シリンダヘッド46、第1連通路47、第2シリンダヘッド48等の構成が第1の実施の形態と相違している。
連接棒43は、クランクケース24のクランク室24E内を上,下方向に延びて収納されている。連接棒43の一側となる下端側は、第1シリンダ27内に位置して第1ピストン44の裏面略中央部位に一体的に取付けられている。一方、連接棒43の他側となる上端側は、第2シリンダ28内に位置して第2ピストン45の裏面略中央部位に一体的に取付けられている。そして、連接棒43の内部には、後述の第1連通路47が軸方向に延びる貫通孔として形成されている。
第1ピストン44は、連接棒43の下端側に位置し、第1シリンダ27内に往復動可能(摺動可能)に挿嵌されている。この第1ピストン44は、第1シリンダ27の内径寸法よりも僅かに小さな直径をもった円板体からなり、その周囲にはシール部材44Aが取付けられている。また、第1ピストン44の内部には、後述の第1連通路47が貫通して形成されている。
第2ピストン45は、連接棒43の上端側に位置し、第2シリンダ28内に往復動可能(摺動可能)に挿嵌されている。この第2ピストン45は、第2シリンダ28の内径寸法よりも僅かに小さな直径をもった円板体からなり、その周囲にはシール部材45Aが取付けられている。また、第2ピストン45の内部には、後述の第1連通路47が貫通して形成されている。
第1シリンダヘッド46は、第1シリンダ27の下端側を閉塞するように該第1シリンダ27の下端側に取付けられている。この第1シリンダヘッド46は、吸込管路16の上流側から加圧気体を流入(吸入)させる第1吸気口46Aを備えている。
第1連通路47は、連接棒43、第1ピストン44、第2ピストン45の内部を貫通して設けられている。この第1連通路47は、第1室32を介して第2室33とを連通する通路である。第1連通路47の一端(下端)は第1室32に常時連通し、第1連通路34の他端(上端)は第2室33に後述の第1チェック弁49を介して接続されている。
第2シリンダヘッド48は、第2シリンダ28の上端側を閉塞するように該第2シリンダ28の上端側に取付けられている。この第2シリンダヘッド48は、加圧気体を各エアサスペンション6(または、貯留タンク1)に流出(吐出)させる第2連通路としての第2吐出口48Aと、第2シリンダ28の上端側を閉塞して第2ピストン30との間に第2室33を形成する弁板部48Bと、該弁板部48Bを貫通して設けられ第2室33と第2吐出口48Aとを第2チェック弁37を介して連通する吐出孔48Cと、第2シリンダヘッド48の上端側を閉塞する蓋体48Dと、により構成されている。
第1チェック弁49は、第2ピストン45の上端面に位置して、弾性(ばね性)を有する平板状の弁板として形成された吸込弁である。この第1チェック弁49の基端部である一端側はボルト等により第2ピストン45上に固定され、第1チェック弁49の他端側は第1連通路47を閉塞する位置に配置されている。第1チェック弁49は、第2ピストン45の吸気行程時に第1連通路47を開き、第2ピストン45の吐出(圧縮)行程時に第1連通路47を閉塞し、第2室33からの加圧気体の逆流を防止する。
かくして、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。第2の実施の形態では、第1連通路47を、連接棒43、第1ピストン44、第2ピストン45の内部を貫通して設ける構成とした。これにより、連接棒43を利用して第1連通路47を形成できるので、圧縮装置41の製造コストを抑制することができ、第1,第2シリンダ27,28の外部に第1連通路を設ける必要がなくなる。
次に、図4は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、圧縮装置の駆動機構としてリニアモータを用いたことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図4において、圧縮装置51は、駆動機構としてのリニアモータ52と、該リニアモータ52によって駆動される圧縮機本体53とにより構成されている。圧縮機本体53は、第1の実施の形態とほぼ同様に、連接棒25、第1シリンダ27、第2シリンダ28、第1ピストン29、第2ピストン30、第1室32、第2室33、第1連通路34、第2吐出口35B、第1チェック弁36、第2チェック弁37等を含んで構成されている。しかし、この場合の圧縮機本体53は、第1の実施の形態の圧縮機本体23と異なり、クランクケースが配設される位置には後述のリニアモータ52が設けられている。
リニアモータ52は、第1シリンダ27と第2シリンダ28との間に位置して設けられている。このリニアモータ52は、固定子としての電機子52Aと可動子52Bとにより大略構成されている。この電機子52Aは、例えば圧粉磁心や積層された電磁鋼板、磁性体片により形成された略筒状のコアと、所定の方向に巻かれてコア内に収納された複数のコイル(いずれも図示せず)とによって構成されている。また、可動子52Bは、電機子52A内で上,下方向に延び連接棒25と一体化して設けられている。この可動子52Bは、複数の永久磁石(図示せず)により大略構成されている。
リニアモータ52は、電機子52Aの複数のコイルに通電することにより、可動子52Bを上,下方向に移動させることができる。これにより、リニアモータ52は、可動子52Bに固定されている連接棒25を上,下方向に往復動させ、各ピストン29,30を吸気行程と吐出行程とを交互に繰り返すように駆動する。
かくして、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。第3の実施の形態では、圧縮装置51の駆動機構としてリニアモータ52を用いる構成とした。これにより、駆動機構としてのリニアモータ52と圧縮機本体53とをクランク機構を用いずに連結することができるので、少ない部品点数で圧縮装置51を製造することができる。この結果、圧縮装置51の製造コストを抑制することができる。
なお、第1の実施の形態では、貯留タンク1を第1貯留体として構成し、エアサスペンション6を第2貯留体として構成した。しかし、本発明はこれに限らず、貯留タンク1を第2貯留体として構成し、エアサスペンション6を第1貯留体として構成してもよい。この点は、第2、第3の実施の形態についても同様である。
また、第1の実施の形態では、第1ピストン29と第2ピストン30とを同一(同等)の受圧面積を有する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、第1ピストンと第2ピストンとを異なる受圧面積としてもよい。この点は、第2、第3の実施の形態についても同様である。
また、第1の実施の形態では、加圧気体を第1室32から第1連通路34を介して間接的に第2吸気口35Aに導く構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、圧縮装置21の吸込側に設けた吸込管路16を第1室32と第2吸気口35Aとに並列に接続し、吸込管路16と第2吸気口35Aとを第1連通路(図示せず)により直接的に接続する構成としてもよい。この点は、第3の実施の形態についても同様である。
また、第1の実施の形態では、圧縮装置21を、電動モータ22と圧縮機本体とにより構成されることとした。しかし、本発明はこれに限らず、圧縮装置21は、各バルブ3,4,9,10,14,15を含む構成としてもよい。この点は、第2、第3の実施の形態についても同様である。
さらに、前記各実施の形態では、往復動型の圧縮装置21,41,51を、4輪自動車等の車両のエアサスペンション機構に適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明はエアサスペンション機構に限らず、例えば、工場の内外等で用いる圧縮装置に適用してもよく、また、冷媒圧縮機等にも広く適用することができる。
次に、上記実施の形態に含まれる発明について、以下に述べる。即ち、本発明は、第1ピストンと第2ピストンとは、同一受圧面積である構成としている。これにより、第2ピストンによる圧縮運転に対して第1ピストンによる助力を有効に発生できるので、圧縮装置による圧縮運転を円滑に行うことが可能となり、駆動機構の負荷を半減させるように低減することができる。
また、本発明は、駆動機構は、リニアモータである構成としている。これにより、駆動機構と圧縮機本体とをクランク機構を用いずに連結することができるので、少ない部品点数で圧縮装置を製造することができる。また、本発明は、第1連通路は、第1室を介して前記第2室に連通する構成としている。これにより、第1室に流入した加圧気体を、第1連通路を介して第2室に流出させることができる。
また、本発明は、第1連通路は、連接棒を貫通して形成される構成としている。これにより、少ない部品点数で第1連通路を形成できるので、圧縮装置の製造コストを抑制することができる。一方、本発明は、連接棒が収納されるシリンダ室は大気圧である構成としている。これにより、シリンダ室を複雑なシール構造とする必要がないので、圧縮装置の製造コストを抑制することができる。
また、本発明の圧縮装置は、第1貯留体と第2貯留体とのうち、一方の貯留体から第1シリンダ内へ供給し、第2シリンダ内で往復動する第2ピストンによりさらに加圧気体を圧縮して他方の貯留体に向けて吐出させるように切換える切換機構を設け、第1室は、他方の貯留体の加圧気体が供給されたとき、他方の貯留体の加圧気体の圧力に保たれ、第2室は、他方の貯留体の加圧気体が供給されて該加圧気体を第2ピストンの往復動により圧縮する構成としている。これにより、他方の貯留体からの加圧気体を一方の貯留体に向けて供給することができるので、例えば、車高の上げ下げをする場合等において、各貯留体間で双方向に加圧気体の給排を行うことができる。
以上の実施形態に基づく圧縮装置としては、例えば以下に記載する態様のものがあげられる。圧縮装置の第1の態様としては、大気圧を超えて加圧された加圧気体を貯留する第1貯留体と第2貯留体との間に設けられ、前記第1貯留体と前記第2貯留体とのうち、一方の貯留体から第1、第2シリンダ内へ供給し、該第1、第2シリンダ内で往復動する第1、第2ピストンによりさらに前記加圧気体を圧縮し、前記第1貯留体と前記第2貯留体とのうち他方の貯留体に向けて吐出する圧縮装置であって、連接棒と、該連接棒を往復動する駆動機構と、前記連接棒の一端側および他端側にそれぞれ設けられた前記第1、第2シリンダと、前記第1、第2シリンダ内にそれぞれ摺動可能に配置され、前記連接棒の一端および他端に連結した前記第1、第2ピストンと、前記第1シリンダと前記第1ピストンとで形成され、前記一方の貯留体の加圧気体が供給されたとき、前記一方の貯留体の加圧気体の圧力に保たれる第1室と、前記第2シリンダと前記第2ピストンとで形成され、前記一方の貯留体の加圧気体が供給されて該加圧気体を前記第2ピストンの往復動により圧縮する第2室と、前記一方の貯留体の加圧気体を直接または間接的に前記第2室に導く第1連通路と、該第1連通路に設けられ、前記第2室から前記加圧気体の逆流を防止する第1チェック弁と、前記第2室で圧縮された加圧気体を前記他方の貯留体に導く第2連通路と、前記第2連通路に設けられ、前記他方の貯留体から前記第2室への圧縮気体の逆流を防止する第2チェック弁と、を有する。
第2の態様によれば、第1の態様において、前記第1ピストンと前記第2ピストンとは、同一受圧面積である。
第3の態様によれば、第1また第2の態様において、前記駆動機構は、リニアモータである。
第4の態様によれば、第1乃至第3のいずれかの態様において、前記第1連通路は、前記第1室を介して前記第2室と連通する。
第5の態様によれば、第1乃至第4のいずれかの態様において、前記第1連通路は、前記連接棒を貫通して形成される。
第6の態様によれば、第1乃至第5のいずれかの態様において、前記連接棒が収納されるシリンダ室は、大気圧である。
第7の態様によれば、第1乃至第6のいずれかの態様において、前記第1貯留体と前記第2貯留体とのうち、前記他方の貯留体から前記第1シリンダ内へ供給し、前記第2シリンダ内で往復動する前記第2ピストンによりさらに前記加圧気体を圧縮して前記一方の貯留体に向けて吐出させるように切換える切換機構を設け、前記第1室は、前記他方の貯留体の加圧気体が供給されたとき、前記他方の貯留体の加圧気体の圧力に保たれ、前記第2室は、前記他方の貯留体の加圧気体が供給されて該加圧気体を前記第2ピストンの往復動により圧縮する。
以上、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。上記実施形態を任意に組み合わせても良い。
また、上述した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
本願は、2015年9月29日付出願の日本国特許出願第2015−191432号に基づく優先権を主張する。2015年9月29日付出願の日本国特許出願第2015−191432号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。
特開2007−182820号公報および特開平9−170552号公報の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。