以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明を適用する立体造形装置の一例の概要について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同立体造形装置の概略平面説明図、図2は同じく概略側面説明図、図3は同じく造形部の断面説明図、図4は同じく具体的構成の要部斜視説明図である。なお、図3は造形時の状態で示している。
この立体造形装置は、粉体造形装置(粉末造形装置ともいう。)であり、粉体(粉末)が結合された層状造形物である造形層30が形成される造形部1と、造形部1の層状に敷き詰められた粉体層31に造形液10を吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。
造形部1は、粉体槽11と、平坦化手段(リコータ)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化手段は、回転体に代えて、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
粉体槽11は、造形槽22に供給する粉体20を保持する供給槽21と、造形層30が積層されて立体造形物が造形される造形槽22と、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって移送供給される粉体20のうち、粉体層31を形成しないで落下する余剰の粉体20を溜める余剰粉体受け槽29を有している。
供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に造形層30が積層された立体造形物が造形される。余剰粉体受け槽29の底面には粉体20を吸引する機構が備えられた構成や、余剰粉体受け槽29が簡単に取り外せるような構成となっている。
供給ステージ23は、例えば図4に示すように、モータ27によって矢印Z方向(高さ方向)に昇降され、造形ステージ24は、同じく、モータ28によって矢印Z方向に昇降される。
平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粉体20を造形槽22に移送して供給し、平坦化手段である平坦化ローラ12によって供給した粉体の層の表面を均して平坦化して、粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿って矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置され、往復移動機構25によって移動される。また、平坦化ローラ12は、モータ26によって回転駆動される。
一方、造形ユニット5は、造形ステージ24上の粉体層31に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された2つ(1又は3つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)52a、52bを備えている。
キャリッジ51は、ガイド部材54及び55に移動可能に保持されている。ガイド部材54及び55は、両側の側板70、70に昇降可能に保持されている。
このキャリッジ51は、後述するX方向走査機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に往復移動される。
2つのヘッド52a、52b(以下、区別しないときは「ヘッド52」という。)は、造形液を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ2列配置されている。一方のヘッド52aの2つのノズル列は、シアン造形液及びマゼンタ造形液を吐出する。他方のヘッド52bの2つのノズル列は、イエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。なお、ヘッド構成はこれに限るものではない。
これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液、ブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、供給チューブなどを介してヘッド52a、52bに供給される。
また、X方向の一方側には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。
メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63で構成される。キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった粉体の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出が行われない場合に、ヘッドのノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向と直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するY方向走査機構552によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に配置され、後述するZ方向昇降機構551によってZ方向に昇降される。
ここで、造形部1の詳細について説明する。
粉体槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22と、余剰粉体受け槽29の3つの上面が開放された槽とを備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。
供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
造形槽22の隣りには余剰粉体受け槽29が設けられている。
余剰粉体受け槽29には、粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって移送供給される粉体20のうちの余剰の粉体20が落下する。余剰粉体受け槽29に落下した余剰の粉体20は供給槽21に粉体を供給する粉体供給装置に戻される。
供給槽21上には後述す図5の粉体供給装置554が配置される。造形の初期動作時や供給槽21の粉体量が減少した場合に、粉体供給装置554を構成するタンク内の粉体を供給槽21に供給する。粉体供給のための粉体搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。
平坦化ローラ12は、供給槽21から粉体20を造形槽22へと移送供給して、表面を均すことで平坦化して所定の厚みの層状の粉体である粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉体が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構25によってステージ面に沿ってY方向(副走査方向)に往復移動される。
この平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉体20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉体20を平坦化することで粉体層31が形成される。
また、図2にも示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去するための粉体除去部材である粉体除去板13が配置されている。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。
次に、上記立体造形装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。図5は同制御部のブロック図である。
制御部500は、この立体造形装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる制御を含む立体造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、造形データ等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50の各ヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させるX方向走査機構550を構成するモータを駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させるY方向走査機構552を構成するモータを駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させるZ方向昇降機構551を構成するモータを駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構25のモータ553を駆動するモータ駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ26を駆動する516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する供給系駆動部517と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518を備えている。
制御部500は、粉体後供給部80から粉体20の供給を行わせる後供給駆動部519を備えている。
制御部500は、後述する粉体回収手段90の移送スクリュー97、97を回転駆動するモータ555を駆動するモータ駆動部520を備えている。
制御部500のI/O507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
なお、造形データ作成装置600と立体造形装置(粉体積層造形装置)601によって造形装置が構成される。
次に、造形の流れについて図6も参照して説明する。図6は造形の流れの説明に供する模式的説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図6(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、粉体層31表面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が次に形成する粉体層31の厚さ(積層ピッチ)に相当する。間隔Δt1は、数十〜100μm程度であることが好ましい。
次いで、図6(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図6(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させて、造形槽22に粉体20を均しながら供給する(平坦化:供給と均しの意味である。)。これにより、図6(d)に示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔt1になる粉体層31が形成される。このとき、粉体層31の形成に使用されなかった余剰の粉体20は余剰粉体受け槽29に落下する。
粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は、図6(d)に示すように、Y1方向に移動されて初期位置(原点位置)に戻される(復帰される)。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔt1の粉体層31を形成できる。
その後、図6(e)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、粉体層31に造形層30を積層形成する(造形)。
なお、造形層30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
次いで、上述した粉体供給・平坦化よる粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層30を形成する。このとき、新たな造形層30とその下層の造形層30とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。
以後、粉体の供給・平坦化よる粉体層31を形成する工程、ヘッド52による造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
次に、本発明の第1実施形態について図7ないし図9を参照して説明する。図7は同実施形態における造形部の模式的説明図、図8は図7のA−A線に相当する模式的断面説明図、図9は粉体供給中の拡大説明図である。
本実施形態においては、平坦化ローラ12で移送供給する粉体20のうちの一部の粉体20を回収し、平坦化ローラ12が供給槽21側に復帰したときに供給槽21に回収した粉体20を排出して供給する粉体回収手段90を備えている。
粉体回収手段90は、平坦化ローラ12の移送方向前方側(移送方向における下流側)に配置されて、平坦化ローラ12の移動に合わせて移動可能である。
ここで、粉体回収手段90は、内部に粉体20を収容する本体収容部91を備え、本体収容部91には、粉体20を取り入れる回収口92と、本体収容部91内に収容された粉体20を排出する排出口93とを有している。
本体収容部91の回収口92及び排出口93は、いずれも下方に向かって開口し、平坦化ローラ12と粉体20の表面との接線よりも高い位置に配置されている。そして、本体収容部91は、回収口92が平坦化ローラ12に近い側になり、排出口93は平坦化ローラ12から遠い側になる状態で配置されている。
平坦化ローラ12は移動方向と同じ方向に回転しながら粉体20を移送供給しているので、平坦化ローラ12の移動方向前方側には、図9に示すように、粉体20が盛られた粉体溜まり120が形成される。粉体回収手段90は粉体溜まり120の粉体20を回収するように、回収口92が平坦化ローラ12に近接して配置される。
本体収容部91には排出口93を開閉する開閉部材である蓋部材94を有している。この蓋部材94はばね95によって開閉可能に常時は閉じた状態に保持されている。
また、本体収容部91内には、Z方向及びY方向に粉体20を移送する移送スクリュー96、97が配置されている。移送スクリュー96、97は、図8に示すように、平坦化ローラ12の移送方向と直交する方向には複数配置され、隣り合う移送スクリュー96、97の間は仕切り板98で仕切られている。
粉体20を本体収容部91内に移送する手段として移送スクリュー96を用いる場合、移送スクリュー96は先端が粉体溜まり120に接する状態で配置される。これにより、移送スクリュー96が粉体溜まり120の粉体20を掻き揚げることができる。
なお、移送スクリュー96,97は、前述したようにモータ555によって回転駆動される。
ただし、移送スクリュー96,97の駆動と平坦化ローラ12の回転駆動を行う駆動源を共通化することもできる。
この場合には、平坦化ローラ12を回転させるモータ26の駆動出力軸に伝達ギアが接続され、この伝達ギアに、平坦化ローラ12の回転軸と移送スクリュー96、97の回転軸を接続する。モータ26の駆動により伝達ギアが回転し、その回転力が平坦化ローラ12と移送スクリュー96,97に伝達されて駆動される。
これにより、移送スクリューの駆動源を別途設ける必要がないので、装置の小型化、コスト削減が可能となる。
ここで、粉体回収手段90は、平坦化ローラ12の移動に合わせて移動する(同動する)。この場合、粉体回収手段90と平坦化ローラ12とを別の移動機構で同期をとりながら移動させることができる。また、粉体回収手段90と平坦化ローラ12とを例えば1つの共通のベース部材に配置してユニット化し、ベース部材を移動させる移動機構を用いて粉体回収手段90と平坦化ローラ12とを移動させることもできる。
次に、本実施形態における造形の流れについて図10も参照して説明する。図10は造形の流れの説明に供する模式的説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている状態から説明する。
この1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図10(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の上面(粉体層31表面)と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。一方、供給槽21の供給ステージ23は、図9に示すように、仮想線で示す厚みΔt1の粉体層31を形成できる粉体量よりも多くの粉体量が得られる高さs1まで上昇させる。
次いで、図10(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
このとき、粉体回収手段90内の移送スクリュー96、97が回転し、平坦化ローラ12で掻き揚げられて回収口92内に入ってくる粉体20(これも「余剰の粉体」である。)を取り入れて回収し、排出口93側に移送する。なお、排出口93は閉じられているので、移送される粉体20が排出口93から排出されることはない。
つまり、移送スクリュー96,97を回転させるモータ555を駆動させるモータ駆動部520を、平坦化ローラ12を回転させるモータ26を駆動するモータ駆動部516と同期させることにより、平坦化ローラ12の回転動作時に移送スクリュー96が粉体20を掻きあげて、本体収容部91に粉体20を移送することができる。
さらに、図10(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、造形槽22に粉体20を均しながら供給し、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔt1になる粉体層31を形成する(平坦化)。
このときも、粉体層31の形成が終了するまで、平坦化ローラ12で移送される粉体20のうち、掻き揚げられて粉体層31の形成に使用されない粉体20は、粉体回収手段90の回収口92から取り入れて本体収容部91内に回収し、排出口93側に移送しながら収容する。
粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は、図10(d)に示すように、Y1方向に移動されて、初期位置に戻される。このとき、粉体回収手段90も平坦化ローラ12とともに供給槽21上に戻される。
その後、図10(e)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、次の粉体層31に造形層30を積層形成する(造形)。
また、粉体回収手段90の排出口93側の蓋94を開放することで、回収収容されている粉体20が排出口93から供給槽21の粉体20上に排出されて再供給される。
したがって、次の粉体層31を形成するときには、回収された粉体20が再度供給されることになる。
このように、内部に粉体を収容する本体収容部と、本体収容部に粉体を取り入れる回収口と、本体収容部に収容された粉体を排出する排出口とを有し、平坦化手段で粉体を移送供給するときに回収口から一部の粉体を回収して本体収容部内に収容し、平坦化手段が供給槽側に戻ったときに本体収容部内に収容した粉体を供給槽に排出供給する。
なお、「平坦化手段で粉体を移送供給するときに」とは、平坦化手段が粉体を造形槽に移送供給している動作中であり、平坦化手段が供給槽の上部を通過中であっても、造形槽の上部を通過中であっても良い。
これにより、簡単な構成で余剰な粉体の回収と再利用を行うことができ、粉体の使用効率を向上することができるる。
そして、余剰粉体回収手段によって回収供給(落下)された粉体を、次の造形層の造形のための粉体層を形成するための粉体供給に利用できるので、供給槽のステージをZ1方向に上昇させるとき、上昇量を減少させることができる。これにより、造形槽のサイズを小型化することができる。
また、造形時における余剰の粉体を回収することができるため、余剰粉体受け槽のサイズも小型化することができ、装置全体の小型化を図れる。
また、平坦化手段が移送供給する粉体量が多いと、図9に示される平坦化ローラの前方に形成される粉体溜まりも大きくなり、移送供給動作中の平坦化ローラの回転に伴い、粉体が飛散しやすくなる。しかしながら、本実施形態では、平坦化ローラが回転しながら粉体を造形槽に移送供給している動作中に、粉体溜まりの粉体の一部を回収することができるので、粉体の飛散を低減することができる。
なお、上記実施形態においては、平坦化ローラ12を供給槽21側から移動させるときに移送スクリュー96、97を回転させ、粉体20を造形槽22へ移送している間も一部の粉体20を回収しているが、これに限られない。
次に、本発明の第2実施形態について図11及び図12を参照して説明する。図11は同実施形態の説明に供する平面説明図、図12は同じく粉体回収手段の排出口の蓋の開閉動作の説明に供する説明図である。
本実施形態では、粉体回収手段90の排出口93を開閉する蓋94は、例えば図12(a)に示すように、本体収容部91にスライド可能に保持され、ばね95で常時閉じる方向に勢いを付けられている。あるいは、粉体回収手段90の排出口93を開閉する蓋94は、図12(b)に示すように、本体収容部91に回転可能に保持され、ばね95で常時閉じる方向に勢いを付けられている
一方、供給槽21側には、矢印X方向の両端部側に、粉体回収手段90が初期位置に戻ったときに蓋94と係り合って、蓋94をスライドさせる蓋開放ピン191が配置されている(図12(a))。あるいは、粉体回収手段90が初期位置に戻ったときに蓋94と係り合って、蓋94を回転させる蓋開放ピン191が配置されている(図12(b))。
また、供給槽21の上面上に蓋開放ピン190、191が配置される構成とすることもできる。
このように構成したので、粉体回収手段90を初期位置に戻すだけで、機械的に蓋94が開いて排出口93が開放され、回収された粉体20が供給槽21に排出(供給)され、排出口93を開閉する構成が簡単になる。
次に、本発明の第3実施形態について図13を参照して説明する。図13は同実施形態における造形部部分の模式的説明図である。
本実施形態では、平坦化ローラ12の移送方向下流側であって粉体回収手段90の下方に、移送供給する粉体20に振動を付与する振動付与手段である振動ブレード101を配置している。
振動ブレード101は平坦化ローラ12とともに移動し、移動方向前方側が斜めに立ち上がる傾斜部101aを有している。振動ブレード101は例えば圧電振動子102によって振動が与えられる。
すなわち、造形層30の密度を向上させ、強度を向上させた造形物を造形するために、平坦化の前に振動ブレード101で粉体20を踏み固めながら供給する。この場合、振動ブレード101による振動で下層の造形層30が崩れたり、位置がズレたりすることを防止するためには、振動ブレード101の振動面と粉体20の表面との距離をある程度確保することが好ましい。
そのため、粉体20の種類や粉体特性、粉体20の保管状況、平坦化ローラ12(リコータ)の駆動条件、などにもよるが、供給槽21における供給高さs2は粉体層31の厚み(積層ピッチ)Δt1の倍以上にすることもある。
また、前記第1実施形態のように、振動ブレード101を使用しない場合の供給高さs1と比較しても、供給高さs2は高くなる。
その結果、供給槽21のサイズを増加しなければならないことがある。また、余剰となる粉体20の量が増加することで、余剰粉体受け槽29のサイズも大きくしなければならない。
そこで、粉体回収手段90を備えることで、供給槽21や余剰粉体受け槽29のサイズの増加を抑制できる。
次に、本発明の第4実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態における造形部部分の模式的説明図である。
本実施形態は、粉体回収手段90の本体収容部91と振動付与手段103とを一体にしている。この場合、粉体回収手段90の本体収容部91の一部が粉体20に当って接する振動付与手段103を構成することも、本体収容部91と振動付与手段103とが別部材である構成とすることもできる。
この場合、本体収容部91内の回収した粉体20を移送する経路と振動付与手段103として粉体面と接する面は仕切られる方が好ましい。
また、本体収容部91の排出口93の上流側にメッシュ部材99を設けることが好ましい。回収した粉体20には凝集して大きな粒になっている部分もあるので、供給槽21に排出供給するときには、細かな粉体とするためにふるいにかけることが好ましい。
そこで、排出口93の上流側にメッシュ部材99を設けることで、振動付与手段103による振動で粉体20をふるいにかけるのと同じ効果を得ることができる。
そして、ふるいにかけるための新たな駆動機構を必要としないので、粉体回収手段90を大型化することがない。
なお、振動付与手段は造形槽22上の粉体層31を圧粉することを目的とするので、造形槽22上に振動付与手段があるときにだけ駆動すればよいが、圧電振動子を使用する場合には振動特性の安定化を図るために供給槽21上に位置するときから駆動するようにしている。
次に、本発明の第5実施形態について図15及び図16を参照して説明する。図15は同実施形態における供給槽部分の模式的説明図、図16は同実施形態における造形の流れの説明に供する模式的説明図である。
本実施形態では、粉体回収手段90は、エアー吸引手段としてのエアー吸引機構111を備えている。
エアー吸引機構111は、粉体回収手段90の本体収容部91の上面に配置し、回収口92から粉体20を引き上げるときにエアー吸引を行う。
これにより、確実に余剰粉体を回収することができる。
ただし、粉体20を回収しすぎると、造形槽22に供給する粉体量が減少してしまうため、エアー吸引力を調整する必要がある。例えば、粉体回収手段90に、回収した粉体重量を検知する重量検知手段を搭載し、回収した粉体重量が予め決めた所定重量になったときには、吸引を停止、若しくは、吸引力を低下させることで、供給する粉体を過剰に回収することを抑制することが好ましい。
また、図16(b)のように、エアー吸引は平坦化ローラ12で粉体20を移送供給しているときのみ行い、図16(a)、(c)〜(e)に示すようにその他のときには停止する。
次に、本発明の第6実施形態について図17を参照して説明する。図17は同実施形態における供給槽部分の模式的説明図である。
本実施形態では、粉体回収手段90の本体収容部91が排出口93側を支点として、回収口92側を上方に回転可能とし、排出口93は本体収容部91が回転したときに供給槽21に向かって開口する位置に設けている。
このように構成したので、図17(a)に示すように、粉体回収手段90で粉体20を回収した後、図17(b)に示すように、粉体回収手段90の本体収容部91を矢印方向に回転させる。これにより、排出口93が下方を向いて、収容されていた粉体20が自重落下して排出される。
このように、粉体回収手段90の本体収容部91が回転することで、回収した粉体20が供給槽21上に落下する構成であるので、排出口93に蓋を設けることなく、穴形状にすることができ、構成が簡単になる。
粉体回収手段90の本体収容部91の回転機構については、回転駆動源を設けることできるが、前述したように供給槽21の左右にピン部材を配置し、平坦化ローラ12の原点位置にてピン部材に押され回転する機構をとることもできる。また、左右にレールを設けて回転する機構をとることもできる。
また、本体収容部91に回転したときに排出口93に向かって下がる傾斜面91aを設けることで、粉体20が自然に落ちやすくなる。
次に、本発明の第7実施形態について図18ないし図20を参照して説明する。図18はどう実施形態に係る立体造形装置の概略平面説明図、図19は同じく概略側面説明図、図20は同じく造形部の断面説明図である。なお、図20は造形時の状態で示している。
本実施形態では、供給槽21に供給する粉体20を貯留する粉体貯留部300を備えている。粉体貯留部300は、前述した粉体供給装置554を構成している。
また、造形槽22外に排出される余剰な粉体を受ける余剰粉体受け部29は、ロート形状をなし、底部に粉体20を排出可能な排出口29aを有している。
次に、本実施形態における粉体回収再生手段について図21を参照して説明する。図21は同粉体回収再生手段の説明に供する模式的説明図である。
この装置では、造形槽22外に排出される粉体20を回収し、回収した粉体20を再利用可能とする処理を行う第1回収再生手段201と、造形槽22内の粉体20を回収し、回収した粉体20を再利用可能とする処理を行う第2回収再生手段202とを備えている。
第1回収再生手段201は、造形槽22外に排出される余剰の粉体20を受ける余剰粉体受け部29の排出口29aから送られる粉体20を再利用可能とする処理を行う処理手段211を備えている。処理手段211で再利用可能に処理された粉体は移送手段212で粉体貯留部300に移送する。
第2回収再生手段202は、造形槽22内の粉体20を吸引して回収する吸引回収手段221と、回収された粉体20を再利用可能とする処理を順次行う処理手段222、223、224とを備えている。処理手段222〜224を経て再利用可能に処理された粉体は移送手段225で粉体貯留部300に移送する。
第2回収再生手段202が処理手段222〜224で行う処理の少なくとも一部は、第1回収再生手段201の処理手段211で行う処理とは異なっている。
次に、本実施形態における制御部について図22を参照して説明する。図22は同制御部の説明に供するブロック説明図である。
制御部500は、第1回収再生手段201及び第2回収再生手段202の各部を駆動する回収再生駆動部530を備えている。
なお、上記以外の構成は、前述した図1ないし図5で説明した各部と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施形態における造形の流れの概要について図23も参照して説明する。図23は造形の流れの概要の説明に供する模式的説明図である。
本実施形態においても、第1層目の造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図23(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の粉体層31の表面(粉体面)の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。
この場合、平坦化ローラ12は供給槽21及び造形槽22の上端面に対してギャップを置いて配置している。したがって、本実施形態では、造形槽22に粉体20を移送供給して平坦化するとき、粉体層31の表面(粉体面)は供給槽21及び造形槽22の上端面よりも高い位置になる。
これにより、平坦化ローラ12が供給槽21及び造形槽22の上端面に接触することを確実に防止できて、平坦化ローラ12の損傷が低減する。平坦化ローラ12の表面が損傷すると粉体層31の表面にスジが発生して平坦性が低下する。
その他は、前記図6で説明した流れと同様であるので、説明を省略する。
次に、第1回収再生手段について図24を参照して説明する。図24は第1回収再生手段の模式的説明図である。
処理手段211は、容器210内に粉体20を通過させることで凝集した粉体を排除して分級するフィルタ231を有し、容器210の外側に容器210全体を振動させる振動手段232を備えている。振動手段232で容器210全体を振動させることで、凝集した粉体を解砕しながら分級できる。
移送手段212は、処理手段211を通過した粉体20を粉体貯留部300まで移送する移送経路233と、粉体20を移送する複数のスクリュー234と、スクリュー234を回転駆動する複数のスクリュー回転モータ235とを備えている。
次に、第2回収再生手段について図25を参照して説明する。図25は第2回収再生手段の模式的説明図である。
吸引回収手段221は、可動式の吸引口部241と、吸引口部241に吸引圧を生じさせる吸引手段242と、吸引回収される粉体20を収容する容器240とを有する。吸引回収手段221で吸引回収した粉体20は、搬送スクリュー244aで搬送経路243aを介して処理手段222に移送する。
吸引回収手段221は、造形終了後、造形槽22内の未結合の粉体20を回収するときに使用し、吸引口部241の吸引先端部以外は多少伸縮可能な形状(蛇腹形状など)のチューブなどで構成される。チューブの長さは、吸引口部241の吸引先端部が造形槽22内の隅まで届くのに十分な長さである。また、造形中は平坦化ローラ12や液体吐出ユニット50と干渉しない位置に固定できるような構成である。吸引手段242のON/OFFスイッチは、操作パネル522などに配置し、造形後、ユーザーが自由なタイミングで吸引手段242をON/OFFできるようにしている。
処理手段222は、ヒータ245を有するドラム状容器246備え、粉体20を乾燥、除湿する処理を行う。処理手段222で乾燥、除湿した粉体は、搬送スクリュー244bで搬送経路243bを介して処理手段223に移送する。なお、容器246は矢印方向に回転することで均一な乾燥、除湿を行う。
処理手段223は、ビーズ247が収容され、矢印方向に回転するドラム状容器248を備え、粉体20を解砕する処理を行う。処理手段223で解砕した粉体は、搬送スクリュー244cで搬送経路243cを介して処理手段224に移送する。
処理手段224は、前記第1回収再生手段201の処理手段211と同様に、容器250内に粉体20を通過させることで凝集した粉体を排除して分級するフィルタ251を有し、容器250の外側に容器250全体を振動させる振動手段252を備えている。振動手段252で容器250全体を振動させることで、凝集した粉体を解砕しながら分級できる。
なお、フィルタ251は、第1回収再生手段201のフィルタ231と同様な分級を行うことで、第1回収再生手段201及び第2回収再生手段202で同程度の分級を行うことができる。
処理手段224で分級された粉体は、移送手段225の搬送スクリュー244dで搬送経路243dを通じて粉体貯留部300に移送される。搬送スクリュー244dはスクリュー回転モータ255で回転駆動される。
次に、この装置における粉体の回収、再生について説明する。
造形槽22に供給された粉体20の内の粉体層31の形成に使用されなかった余剰な粉体20は、ヘッド52から吐出される造形液のミストなどの付着量が少なく、凝集が少ない。したがって、簡単な処理で再利用可能な粉体とすることができる。
そこで、第1回収再生手段201では処理手段211で分級処理を行い、再利用可能な粉体に再生して粉体貯留部300に移送している。
一方、造形槽22内の粉体20は造形液の吐出に伴って生じるミストなどが付着することが多く、そのために凝集粉体が多く含まれる。したがって、単なる分級処理だけでは再利用可能な粉体に再生することができない。
そこで、第2回収再生手段201では、吸引回収手段221で回収した粉体を回収処理手段222に移送し、回収処理手段222で乾燥、除湿処理を行って、回収した粉体の乾燥、除湿を行う。このとき、ドラム状容器246を回転させながらヒータ245で加熱することで、効率的、均一的な乾燥、除湿を行う。
次いで、乾燥、除湿が終了した粉体を処理手段223に移送し、処理手段223で解砕処理を行う。この解砕処理は、回転するドラム状容器248中でビーズ247などを利用して凝集粉体を解砕する。
ビーズ247の材質はSUS、ジルコニアなどである。ビーズ247の径は100−1000μmで粉体20の粒径より大きいことが好ましい。
また、ビーズ247として除湿材のビーズを使用することができる。除湿機能のあるビーズを使用することで、確実な粉体の除湿作業を実施することができ、粉体特性の更なる安定性を確保することができる。
なお、ドラム状容器248は、傾斜した状態で配置している。傾斜した状態の方が、上流側から下流側へ粉体を搬送しやすくなる。この場合、解砕工程の出口にはフィルタを設け、ビーズ247が次工程に流れ込まないようにする。
次いで、解砕処理が終了した粉体を処理手段224に移送し、処理手段224で分級した粉体を粉体貯留部300に移送する。
つまり、上述したように、造形槽22内の未結合の粉体20は、造形時においてミスト状の造形液が付着することが多く、そのため凝集粉体を多く含んでいる。そこで、リサイクルには凝集粉体を排除し、粉体特性(粒度分布、粉体流動性など)を造形前の粉体20と同等にするため複数の工程を設ける必要がある。そのため、ミスト状の造形液を乾燥・除湿し、凝集粉体の解砕・排除(分級)を行うことで、粉体特性の安定性を得ることができる。
そして、粉体の凝集状態・凝集粉体量が異なる造形槽22内外の未結合の粉体20をそれぞれ別の経路で回収再生する処理を実施することで、確実に凝集を取り除き、粉体特性の安定性を確保することができる。
さらに、簡易な処理のみで利用可能に再生(リサイクル)できる造形槽22の外の粉体をすばやく粉体貯留部300に搬送することで、リサイクル効率の向上、リサイクル時間の短縮を図ることができる。また、次の造形のための待ち時間も短縮することができる。
次に、本発明の第8実施形態について図26を参照して説明する。図26は同実施形態における第2回収再生手段の模式的説明図である。
処理手段222は、回転するドラム状容器246内に風(気流)251を流して粉体の乾燥、除湿を行う。この場合、熱風を使用すると、より効率的な乾燥、除湿を行って時間を短縮することができる。
次に、本発明の第9実施形態について図27を参照して説明する。図27は同実施形態における第2回収再生手段の模式的説明図である。
処理手段222は、気流が流されるドラム状容器246内に、粉体を攪拌する攪拌手段262を備えている。攪拌手段262は、搬送スクリュー243bに連動して回転する回転軸263に取り付けた攪拌部材264を備えている。なお、攪拌部材246を搬送スクリュー243bとは別の駆動源で駆動することもできる。
攪拌手段262を利用することで粉体が攪拌され、気流による乾燥、除湿時間を短縮することができる。
次に、本発明の第10実施形態について図28を参照して説明する。図28は同実施形態における第1、第2回収再生手段の模式的説明図である。
本実施形態では、第1回収再生手段201と第2回収再生手段202に共通する分級処理については、共通する処理手段227で処理する。
これにより、部品点数の低減や装置の小型化を図れる。
次に、本発明の第11実施形態について図29を参照して説明する。図29は同実施形態における粉体貯留部分の模式的説明図である。
本実施形態では、第1回収再生手段201で再利用可能にした粉体は粉体貯留部300に移送する。一方、第2回収再生手段202で再利用可能にした粉体は中間粉体貯留部302に移送する。そして、中間粉体貯留部302から供給調整手段303を介して粉体貯留部300に移送する。
このように構成したので、第2回収再生手段202で再利用可能にした粉体の使用量ないし使用割合を調整することができる。
次に、本発明の第12実施形態について図30ないし図32を参照して説明する。図30は同実施形態の説明に供する模試的説明図、図31は同じく平坦化手段が造形槽上にある状態の平面説明図、図32は同じく平坦化手段が初期位置にある状態の平面説明図である。
本実施形態では、平坦化手段である平坦化ローラ12の上方に配置され、平坦化ローラ12の外周の一部に対向するカバー部材401を備えている。カバー部材401は平坦化ローラ12ととともに移動する。
ここでは、カバー部材401は、平坦化ローラ12が粉体20と接触する部分以外の上部全体を覆い、カバー部材401内の粉体20を吸引するための吸引口401aが設けられている。この吸引口401aよりカバー部材401内に舞い上がった粉体20を吸引することができる。なお、カバー部材401は平坦化ローラ12の上方に配置されているが、横方向から対向する位置に配置してもよい。
カバー部材401は吸引経路402を介して粉体貯留部400に接続され、吸引経路402にはカバー部材401内を吸引する吸引手段403が設けられている。
このように構成したので、図32に示すように、平坦化ローラ12が初期位置にある状態から、前述したように、平坦化ローラ12を移動させて、粉体20の造形槽22への移送供給と粉体層31の形成を行う。
このとき、吸引手段403を駆動してカバー部材401内に吸引圧を発生させておくことで、平坦化ローラ12により平坦化を行うときに、平坦化ローラ12の周囲に舞い上がる粉体20を吸引して粉体貯留部400に回収することができる。
この場合、平坦化ローラ12の回転速度や移動速度は粉体20の種類や環境条件によって最適な条件を設定する。粉体20の種類、粒子径等により粉体20の飛散は違ってくる。また、粉体20の飛散は温度や湿度等の環境にも影響を受けることがある。
そこで、使用する粉体20の種類や粒子径、温度、湿度等の環境条件により吸引口からの吸引量を変化させることが好ましい。粉体20の舞い上がり量が多ければ、吸引量も大きくする。
これにより、装置内への粉体の飛散を低減することができ、飛散粉体がヘッド52のノズル面に付着して造形液10の吐出不良(噴射曲り、吐出不能)などを防止できる。また、装置内の汚れ等も低減することができる。
次に、本実施形態の造形動作の制御について図33のフロー図を参照して説明する。
まず、使用する粉体20の種類、環境等の条件に基づいて平坦化ローラ12のカバー部材401の吸引口401aからの吸引量を設定する。また、最適なリコート処理(平坦化処理)を行うため、平坦化ローラ12の回転、移動速度等も予め設定する。
次に、平坦化ローラ12の回転、移動を開始し、また、カバー部材401内の吸引を開始する。そして、平坦化ローラ12で粉体20を供給槽21から造形槽22に移送供給して、造形槽22に粉体層31を形成する。
造形槽22における粉体層31の形成が完了したときには吸引手段403を停止して、カバー部材401内の吸引動作を停止し、平坦化ローラ12を初期位置に復帰する。
その後、ヘッド52を移動させて3次元スライスデータに従って造形動作を行い、造形完了まで一連の動作を繰り返し、立体造形物を造形する。
この場合、粉体の舞い上がりを低減するとともに、粉体を回収して再利用に供することで、粉体の使用効率を向上することができる。