JP6616788B2 - 干渉観察装置 - Google Patents

干渉観察装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6616788B2
JP6616788B2 JP2016571807A JP2016571807A JP6616788B2 JP 6616788 B2 JP6616788 B2 JP 6616788B2 JP 2016571807 A JP2016571807 A JP 2016571807A JP 2016571807 A JP2016571807 A JP 2016571807A JP 6616788 B2 JP6616788 B2 JP 6616788B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
beam splitter
interference
optical path
branched
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016571807A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016121248A1 (ja
Inventor
豊彦 山内
秀直 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Publication of JPWO2016121248A1 publication Critical patent/JPWO2016121248A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6616788B2 publication Critical patent/JP6616788B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B9/00Measuring instruments characterised by the use of optical techniques
    • G01B9/02Interferometers
    • G01B9/02015Interferometers characterised by the beam path configuration
    • G01B9/02029Combination with non-interferometric systems, i.e. for measuring the object
    • G01B9/0203With imaging systems
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B9/00Measuring instruments characterised by the use of optical techniques
    • G01B9/02Interferometers
    • G01B9/02015Interferometers characterised by the beam path configuration
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B9/00Measuring instruments characterised by the use of optical techniques
    • G01B9/02Interferometers
    • G01B9/02049Interferometers characterised by particular mechanical design details
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/41Refractivity; Phase-affecting properties, e.g. optical path length
    • G01N21/45Refractivity; Phase-affecting properties, e.g. optical path length using interferometric methods; using Schlieren methods
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material
    • G01N33/4833Physical analysis of biological material of solid biological material, e.g. tissue samples, cell cultures
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/06Means for illuminating specimens
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/36Microscopes arranged for photographic purposes or projection purposes or digital imaging or video purposes including associated control and data processing arrangements
    • G02B21/361Optical details, e.g. image relay to the camera or image sensor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B9/00Measuring instruments characterised by the use of optical techniques
    • G01B9/02Interferometers
    • G01B9/02041Interferometers characterised by particular imaging or detection techniques
    • G01B9/02042Confocal imaging

Description

本発明は、干渉観察装置に関するものである。
観察対象物の干渉画像を取得する干渉観察装置は、マイケルソン(Michelson)干渉計またはマッハツェンダ(Mach-Zehnder)干渉計の光学系を用いて、観察対象物で反射または透過した光と参照光とを干渉させることで、観察対象物の干渉画像を取得することができる。非特許文献1に記載された干渉観察装置は、マッハツェンダ干渉計の光学系を用いるものであって、光源から出力された光を分岐して第1分岐光および第2分岐光とし、第1分岐光を観察対象物で透過させ、第1分岐光と第2分岐光とを合波して、その合波により生じる干渉光の画像を取得する。
Pinhas Girshovitz, et al, "Generalized cell morphological parameters based on interferometric phase microscopy and their application to cell life cycle characterization," BIOMEDICAL OPTICS EXPRESS, Vol.3, No.8, pp.1757-1773 (2012). A. A. Freschi, et al, "Adjustable phase control in stabilized interferometry," OPTICS LETTERS, Vol.20, No.6, pp.635-637 (1995). Toyohiko Yamauchi, et al, "Low-coherent quantitative phase microscope for nanometer-scale measurement of living cells morphology," OPTICS EXPRESS, Vol.16, No.16, pp.12227-12238 (2008). Hidenao Iwai, et al, "Quantitative phase imaging using actively stabilized phase-shifting low-coherence interferometry," OPTICS LETTERS, Vol.29, No.20, pp.3299-2401 (2004). Ichirou Yamaguchi, et al, "Active phase-shifting interferometers for shape and deformation measurements," Opt. Eng., Vol.35, No.10, pp.2930-2937 (1996).
非特許文献1に記載された干渉観察装置は、第1分岐光または第2分岐光を本来の光路から側方へ一旦出して、各々の反射面が互いに直交する2個のミラーで順に反射させた後に元の光路に戻す構成を有する。そして、この干渉観察装置は、2個のミラーを移動させることで、第1分岐光と第2分岐光との間の光路長差を変化させることができる。このような構成を有する干渉観察装置は、光学系の開口を大きくして空間分解能が高い画像を取得しようとすると、大型とならざるを得ない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、マッハツェンダ干渉計の光学系を用いて光路長差を調整する機能を有し空間分解能が高い画像の取得が可能で小型化が容易な干渉観察装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態による干渉観察装置は、(1) インコヒーレントな光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を分岐して第1分岐光および第2分岐光を出力する分岐用ビームスプリッタと、第1分岐光と第2分岐光とを合波して合波光を出力する合波用ビームスプリッタとを含み、マッハツェンダ干渉計を構成する干渉光学系と、を備える。この干渉観察装置において、干渉光学系は、第2分岐光の光路上に第2ビームスプリッタおよび第2ミラーを含み、分岐用ビームスプリッタから第2ビームスプリッタに到達した第2分岐光を第2ビームスプリッタで透過または反射させた後に第2ミラーにより反射させ、第2ミラーにより反射されて第2ビームスプリッタに到達した第2分岐光を第2ビームスプリッタで反射または透過させて、分岐用ビームスプリッタから第2ビームスプリッタへの第2分岐光の入力方向と異なる方向へ第2ビームスプリッタから第2分岐光を出力する。第2ミラーの反射面に垂直な方向に第2ミラーが移動自在である。また、干渉光学系は、第1分岐光の光路上に第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射の回数の和が偶数となる光学素子を含む。
本発明によれば、マッハツェンダ干渉計の光学系を用いて光路長差を調整することができ、空間分解能が高い画像の取得が可能で、装置の小型化が容易である。
図1は、第1実施形態の干渉観察装置1Aの構成を示す図である。 図2は、本実施形態における光路長調整機構と比較例の光路長調整機構とを対比して説明する図である。 図3は、第2実施形態の干渉観察装置1Bの構成を示す図である。 図4は、第3実施形態の干渉観察装置1Cの構成を示す図である。 図5は、第4実施形態の干渉観察装置1Dの構成を示す図である。 図6は、第5実施形態の干渉観察装置1Eの構成を示す図である。 図7は、干渉画像を示す図である。 図8は、干渉画像を示す図である。 図9は、位相画像を示す図である。 図10は、第1実施形態の変形例の干渉観察装置1Aaの構成を示す図である。 図11は、第1実施形態の変形例の干渉観察装置1Abの構成を示す図である。 図12は、第1実施形態の変形例の干渉観察装置1Acの構成を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の干渉観察装置1Aの構成を示す図である。干渉観察装置1Aは、光源10、レンズ11、レンズ12、分岐用ビームスプリッタ21、合波用ビームスプリッタ22、ビームスプリッタ31、ミラー32、ビームスプリッタ41、ミラー42、ピエゾ素子43、ステージ44、レンズ51、レンズ52、チューブレンズ53、撮像部(受光部)61、画像取得部71および制御部72を備える。分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到る迄の干渉光学系20Aは、マッハツェンダ干渉計を構成している。
この干渉観察装置1Aは、観察対象物90の透過光に基づいて干渉画像を取得する。観察対象物90は、特定の細胞や生体サンプルに限定されるものではない。例えば、観察対象物として、培養細胞、不死化細胞、初代培養細胞、がん細胞、脂肪細胞、肝臓細胞、心筋細胞、神経細胞、グリア細胞、体性幹細胞、胚性幹細胞、多能性幹細胞、iPS細胞、およびこれらの細胞のうち少なくとも1つの細胞をもとに作られた細胞塊(スフェロイド)などが挙げられる。また、観察対象物として、生体に限らず、透過型の構成で計測可能な工業サンプル、たとえばガラス内部、半導体素子の内部、樹脂素材、液晶、高分子化合物、光学素子なども挙げられる。
光源10は、インコヒーレントな光を出力する。光源10は、例えばハロゲンランプなどのランプ系光源、LED(Light emitting diode)光源、SLD(Super luminescent diode)光源、ASE(Amplified spontaneous emission)光源等である。レンズ11,12は、光源10から出力された光を観察対象物90に集光する。
分岐用ビームスプリッタ21は、光源10と光学的に結合され、光源10から出力されてレンズ11,12を経た光を入力し、その光を2分岐して第1分岐光および第2分岐光とする。分岐用ビームスプリッタ21は例えばハーフミラーであってもよい。分岐用ビームスプリッタ21は、第1分岐光を測定側光学系のビームスプリッタ31へ出力し、第2分岐光を参照側光学系のビームスプリッタ41へ出力する。
測定側光学系には、ビームスプリッタ31およびミラー32が設けられている。ビームスプリッタ31は、分岐用ビームスプリッタ21から出力された第1分岐光を入力してミラー32へ反射させ、また、ミラー32で反射された第1分岐光を入力して合波用ビームスプリッタ22へ透過させる。ビームスプリッタ31は例えばハーフミラーであってもよい。
参照側光学系には、ビームスプリッタ41、ミラー42、ピエゾ素子43およびステージ44が設けられている。ビームスプリッタ41は、分岐用ビームスプリッタ21から出力された第2分岐光を入力してミラー42へ反射させ、また、ミラー42で反射された第2分岐光を入力して合波用ビームスプリッタ22へ透過させる。ビームスプリッタ41は例えばハーフミラーであってもよい。
ピエゾ素子43は、ミラー42の反射面に垂直な方向に該ミラー42を移動させることができる。ステージ44は、ミラー42の反射面に垂直な方向に該ミラー42およびピエゾ素子43を移動させることができる。ピエゾ素子43およびステージ44は、参照側光学系の光路長を調整することができ、第1分岐光と第2分岐光との光路長差を調整することができる。ステージ44は光路長差を粗調整することができ、ピエゾ素子43は光路長差を微調整することができる。
合波用ビームスプリッタ22は、ビームスプリッタ31から出力され観察対象物90およびレンズ51を経た第1分岐光を入力するとともに、ビームスプリッタ41から出力されレンズ52を経た第2分岐光を入力して、これら第1分岐光と第2分岐光とを合波して合波光を出力する。合波用ビームスプリッタ22は例えばハーフミラーであってもよい。
チューブレンズ53は、合波用ビームスプリッタ22から出力された合波光を撮像部61へ導き、その合波光を撮像部61の撮像面上に結像させる。撮像部61は、その合波光を受光して検出信号を出力するものであり、特に撮像面上の合波光の強度分布を表す検出信号を出力する。撮像部61は、例えばCCDエリアイメージセンサやCMOSエリアイメージセンサなどのイメージセンサである。
画像取得部71は、撮像部61から出力された検出信号を入力し、その検出信号に基づいて観察対象物90の干渉画像を取得する。画像取得部71は、FPGA(field-programmable gate array)やGPU(Graphics Processing Unit)などの画像処理プロセッサを含んで構成され、或いは、パーソナルコンピュータやタブレット端末などのコンピュータであってもよい。また、画像取得部71は、干渉画像等を表示する表示部を備えていてもよい。
制御部(コントローラ)72は、ピエゾ素子43およびステージ44の双方または何れか一方を駆動することでミラー42を移動させて、参照側光学系の光路長を調整する。これにより、制御部72は、合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光と第2分岐光との間の位相差を調整することができる。
なお、画像取得部71および制御部72は、プロセッサ及びメモリ等を含むコンピュータである。また、画像取得部71および制御部72は、個別のコンピュータであってもよいし、1つのコンピュータであってもよい。コンピュータは、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末などのスマートデバイスであってもよい。また、画像取得部71または制御部72は、利用者からの入力を受け付ける入力部(キーボード、マウス、タブレット端末等)や、干渉強度等を表示する表示部(ディスプレイ、タブレット端末、スピーカー、バイブレータ)を備えていてもよい。なお、表示部がディスプレイやタブレット端末などのように、画面表示できる装置であれば、干渉強度と合わせて干渉画像などを表示してもよい。
干渉観察装置1Aを用いて以下のようにして観察対象物90の干渉画像を取得することができる。光源10から出力されたインコヒーレントな光は、レンズ11,12を経て、分岐用ビームスプリッタ21により2分岐されて第1分岐光および第2分岐光とされる。分岐用ビームスプリッタ21から出力された第1分岐光は、ビームスプリッタ31を透過して、ミラー32で反射される。ミラー32で反射された第1分岐光は、ビームスプリッタ31で反射されて、観察対象物90に集光され、観察対象物90を透過する。観察対象物90を透過した第1分岐光は、レンズ51を経て合波用ビームスプリッタ22に入力される。この第1分岐光は、観察対象物90における透過の際に光学的な遅れを有する。分岐用ビームスプリッタ21から出力された第2分岐光は、ビームスプリッタ41で反射されて、ミラー42で反射される。ミラー42で反射された第2分岐光は、ビームスプリッタ41を透過して、レンズ52を経て合波用ビームスプリッタ22に入力される。
レンズ51から合波用ビームスプリッタ22に入力された第1分岐光、および、レンズ52から合波用ビームスプリッタ22に入力された第2分岐光は、合波用ビームスプリッタ22により合波される。その合波光は、チューブレンズ53を経て、撮像部61により受光される。画像取得部71により、合波光を受光した撮像部61から出力される検出信号に基づいて、干渉画像が取得される。また、制御部72により駆動されたピエゾ素子43またはステージ44によりミラー42の位置が制御されることにより、第1分岐光と第2分岐光との間の光路長差が調整され、合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光と第2分岐光との間の位相差が調整される。
特に、本実施形態では、干渉光学系20Aの第1分岐光の光路上にビームスプリッタ31およびミラー32が設けられている。分岐用ビームスプリッタ21からビームスプリッタ31に到達した第1分岐光は、ビームスプリッタ31を透過した後にミラー32により反射される。ミラー32により反射された第1分岐光は、ビームスプリッタ31で反射され、分岐用ビームスプリッタ21からビームスプリッタ31への第1分岐光の入力方向と異なる方向へビームスプリッタ31から出力される。
また、干渉光学系20Aの第2分岐光の光路上にビームスプリッタ41およびミラー42が設けられている。分岐用ビームスプリッタ21からビームスプリッタ41に到達した第2分岐光は、ビームスプリッタ41で反射された後にミラー42により反射される。ミラー42により反射された第2分岐光は、ビームスプリッタ41を透過し、分岐用ビームスプリッタ21からビームスプリッタ41への第2分岐光の入力方向と異なる方向へビームスプリッタ41から出力される。
制御部72により駆動されたピエゾ素子43およびステージ44の双方または何れか一方により、ミラー42は反射面に垂直な方向に移動する。このミラー42の移動により、第1分岐光と第2分岐光との間の光路長差が調整される。
なお、ミラー32の反射面に垂直な方向に該ミラー32を移動させることができるピエゾ素子が設けられてもよい。また、ミラー32の反射面に垂直な方向に該ミラー32およびピエゾ素子を移動させることができるステージが設けられてもよい。
干渉光学系20Aにおいて、第1分岐光は、ビームスプリッタ31およびミラー32それぞれにより反射されて、2回の像反転を受ける。また、第2分岐光は、ビームスプリッタ41およびミラー42それぞれにより反射されて、同様に2回の像反転を受ける。その結果、合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光および第2分岐光それぞれの像の方向は互いに一致する。ビームスプリッタ31およびミラー32またはビームスプリッタ41およびミラー42は、第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射の回数の和を偶数とする光学素子である。
一般に、第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射による像反転の回数の和が偶数であれば、合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光および第2分岐光それぞれの像の方向は互いに一致する。合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光および第2分岐光それぞれの像の方向が互いに一致していれば、第1分岐光と第2分岐光とは撮像部61の撮像面の広い範囲において効率よく干渉することができる。
光源10として時間的にインコヒーレントな光源を用いた場合、合波用ビームスプリッタ22により第1分岐光と第2分岐光とが合波されてなる合波光の干渉縞が撮像部61の撮像面において観察されるためには、干渉光学系20Aにおける第1分岐光と第2分岐光との間の光路長差が光のコヒーレンス長以下であることが必要である。第1分岐光は、レンズ51の前焦点面付近に配置された観察対象物90を透過するので、その透過により光学的な遅れを伴う。観察対象物90は例えば培養液中の細胞である。培養液は、観察対象物である細胞によって成分が異なり、成分が異なる故に屈折率も異なる。また、サンプルチャンバの厚みも製造誤差等の影響により一定とは限らない。一方、第2分岐光は、ミラー42の位置に応じて光路長が調整され得る。本実施形態では、観察対象物毎に制御部72によりミラー42の位置を適切に調整することで、第1分岐光と第2分岐光との間の光路長差を光のコヒーレンス長以下とすることができ、観察対象物の干渉画像を取得することができる。
また、本実施形態では、光源10として空間的にインコヒーレントな拡散光を出力する光源(ハロゲンランプやLED等)を用いることができる。すなわち、干渉観察装置1Aでは、光源10からレンズ51,52に到る迄の全ての光学素子は、光源10出力時のビーム径と比べて十分に大きな開口(例えば10mm以上)を有することができるから、空間的にインコヒーレントな光を用いたインコヒーレント照明(つまり、高NAの照明)が可能である。光源10と分岐用ビームスプリッタ21との間に設けられた2つのレンズ11,12により、レンズ51,52の前焦点面付近に光源10の出力光を集光させることができ、それにより光源10の出力光を高効率に利用することができ、かつ、高NAの照明を実現することができる。
図2は、本実施形態における光路長調整機構と比較例の光路長調整機構とを対比して説明する図である。図2(b)に示される比較例の光路長調整機構では、光はミラー141〜145により順次に反射され、ステージ146によりミラー142,143の位置が調整されることで光路長が調整される。この比較例の光路長調整機構では、大きな開口を実現しようとする場合、多くの光学素子が必要であり、大きなサイズの光学系が必要である。それ故、比較例の光路長調整機構では、分岐用ビームスプリッタから合波用ビームスプリッタに到るまでの光路長が長くなるので、照明系のNAを高くすることができないという問題や、振動などの外乱に対して光学系が脆弱になるという問題が発生する。
これに対して、図2(a)に示される本実施形態における光路長調整機構では、必要な光学素子の個数が少なく、光学系のサイズを小さくすることができる。それ故、本実施形態における光路長調整機構では、分岐用ビームスプリッタから合波用ビームスプリッタに到るまでの光路長を短くすることができるので、照明系のNAを高くすることができ、振動などの外乱に対する光学系の脆弱性の問題を抑制することができる。
第1実施形態の変形として、図10〜図12に示される干渉観察装置1Aa,1Ab,1Acの構成を考えることができる。
干渉観察装置1Bの構成においては、サンプル90を別のサンプルに変更した際に、サンプルの厚み又は屈折率が変化して、ステージ44を長い距離にわたって移動させる必要が生じ得る。たとえば厚さ170μmのカバーガラスをサンプルとした場合、ガラスの屈折率を1.5として計算すると、サンプルが無い場合と比べて、サンプルがある場合に生じる光路長の増分は85μm(=170×(1.5−1))である。一方、底面厚さ1mmのプラスチックディッシュ上に深さ3mmの水が満たされているようなサンプルの場合、プラスチックの屈折率を1.7とし、水の屈折率を1.33とすると、サンプルが無い場合と比べて、サンプルがある場合に生じる光路長の増分は1690μm(=1000×(1.7−1)+3000×(1.33−1))となる。したがって、前述のカバーガラスがサンプルであった状態から、前述のプラスチックディッシュ上に水が満たされている物体がサンプルである状態に変更した場合、1605μm分の光路長差が余分に生じることとなる。この光路長差を補償し、サンプルの変更前と同じ次数で干渉度が極大となる光路長差を得るためには、ステージ44を光路長が長くなる方向に802.5μm動かさなくてはならない。このような1mm近いステージの移動は、例えば手動ステージを利用した場合には操作性の低下を招き、あるいは自動ステージを利用する場合は重量の大きなステッピングモータステージを必須としてしまう。
そこで、ステージ44の移動量を小さくするための手法として、第1実施形態の変形例として、図10に示される干渉観察装置1Aaの構成を考えることができる。図10は、第1実施形態の変形例の干渉観察装置1Aaの構成を示す図である。この干渉観察装置1Aaは、干渉観察装置1Aの構成に加えて、参照側光学系上に光路長・分散補償板91を備える。
光路長・分散補償板91は、使用者が用いるサンプルのバリエーションに合わせて、用いるサンプルと概して同じ材質を用いて、ほぼ同じ光路長になるように作成されたものであり、光を透過する板である。たとえば、使用者が、厚さ170μmのカバーガラス、厚さ1mmのスライドガラス、底面厚さ1mmのプラスチックディッシュ上に深さ3mmの水が満たされているような容器、の三種類の保持体の上に被検体が塗布あるいは培養されたサンプルを用いる場合、光路長がそれぞれの保持体と等しい光を透過する板として、光路長・分散補償板A(カバーガラス用)、光路長・分散補償板B(スライドガラス用)および光路長・分散補償板C(プラスチックディッシュ上に水が満たされた容器用)を予め用意することができる。
このような光路長・分散補償板A〜Cを予め用意しておき、例えば厚さ170μmのカバーガラスが保持体である場合は光路長・分散補償板Aを、厚さ1mmのスライドガラスが保持体である場合は光路長・分散補償板Bを、底面厚さ1mmのプラスチックディッシュ上に深さ3mmの水が満たされているような保持体の場合は光路長・分散補償板Cを、それぞれ参照光路内の任意の位置に挿入することで、サンプルを変更した後も変更前と同様に干渉度が極大となる光路長差を変更前と同じ次数で得ることができる。
ただし、ほぼ同質のサンプル、例えば市販の公称厚さ170μmのカバーガラスを用いた場合でも、製造誤差や温度等の条件による材料の屈折率差により、光路長・分散補償板91の挿入だけで干渉度が極大となる光路長差を実現できるとは限らない。たとえば公称厚さ170μmのカバーガラスには±10μmの製造誤差があり得る。また、プラスチックディッシュ上に水あるいは培養液を満たした保持体の場合、実際にはディッシュ底面上に細胞等の被測定物体を培養した状態で観察することになるため、細胞の厚みや培養液の組成によって光路長の値は変化する。そのため、光路長・分散補償板91を用いた場合でも、ステージ44あるいはそれに類する機械的な光路長差調整機構が不要となるわけではない。
光路長・分散補償板91を用い、ステージ44として手動のステージを用いた場合、好適には差動マイクロメーターを用いたステージを用いることができる。差動マイクロメーターとは、粗動(長距離を移動できるが分解能が低い)と微動(短距離しか移動できないが分解能が高い)の2つの調整機構が一体となったマイクロメーターである。工場出荷時においては、サンプルなしの状態にて粗動ステージにより光路長差をおおよそゼロとし、粗動ステージを固定する。使用者が観察する際には、被観察サンプルの光路長に対応する光路長・分散補償板91を挿入することで、光路長差をおおよそゼロとした後、微動ステージのみを用いて光路長差を厳密にゼロとすることで、インコヒーレント光の干渉を得ることができる。本実施形態においては、使用者は微動ステージのみを操作すればよいので、粗動ステージを用いた場合と比べて調整範囲が狭く、光路長差ゼロ地点を見落とすおそれが少ない。
光路長・分散補償板91を用い、ステージ44として自動のステージを用いた場合、好適にはピエゾ素子を用いたステージを用いることができる。ピエゾ素子は、長いものでは100μm程度の伸長距離を持つ。工場出荷時においては、サンプルなしの状態にて光路長差がおおよそゼロとなるよう設計し製造する。使用者が観察する際には、被観察サンプルの光路長に対応する光路長・分散補償板91を挿入して光路長差をおおよそゼロとした後、ピエゾ素子を用いたステージ44を用いて光路長差を厳密にゼロとすることで、インコヒーレント光の干渉を得ることができる。また,本実施形態の場合は、ピエゾ素子43を不要とし、ピエゾ素子を用いたステージ44のみによって本発明の機能を実現することも可能である。
なお、本実施例の説明において、光路長差補正用の板のことを「光路長・分散補償板」と呼称しているのは、本光学板を挿入することにより、光路長のみならず種々のサンプルにおいて生じる分散の影響も補償できるからである。二光束干渉計においては、物体光路と参照光路の光路長だけでなく、分散(=光路長の波長依存性)も等しくすることで、干渉縞の鮮明度(visibility)を最も高くすることができる。サンプルの種類にあわせて光路長・分散補償板91を用いることの副次的な効果として、干渉縞の鮮明度(visibility)が高い状態でイメージングが行えるということが挙げられる。
なお、光路長・分散補償板91は参照光路内の任意の位置に挿入することによってその効果を発揮しえるが、好ましくは参照側レンズ52の光源側焦点付近に挿入することで、参照光と物体光の間の波面収差を低減することができる。また、更に好ましくは、光路長・分散補償板91の挿入位置は、参照側光学系のレンズ52の光源側焦点付近でありながらも、厳密な焦点位置よりも数mm(レンズ52の焦点深度の数倍程度)、光源側もしくは撮像部側にずらして挿入することで、光路長・分散補償板91の表面のゴミなどが撮像部61の撮像面に映りこむことを避けることができる。また、光路長・分散補償板91を光路長調整用の折り返し部分(ビームスプリッタ41とミラー42との間)に挿入する場合は、参照光が光路長・分散補償板91を二回透過するので,被観察サンプルの光学的厚さの半分の光学的厚さとなるよう製造した光路長・分散補償板91を用いるのが望ましい。
光路長・分散補償板91を用いる構成は、第1実施形態の変形としてのみならず、後述する第2〜第5の実施形態の変形としても実施し得る。
また、第1実施形態の変形として、図11に示される干渉観察装置1Abの構成のように、被測定サンプルの波長分散をイメージングする構成を考えることができる。本実施形態においては、光源としてインコヒーレントな波長可変光源10b、たとえば浜松ホトニクス社製の型番L12194の光源装置を用いる。本実施形態においては、測定に使用する全帯域を概して含む広帯域な白色光を用いて、最初に光路長差がゼロとなるようにステージ44を調整し、その後に光源を波長可変光源10bに変えてイメージングを行う。測定においては、光源10bの波長を複数回変化させて、被測定サンプルの位相画像(=光学的厚さ分布)を得る。このような計測を行うことで、被測定サンプルの波長分散を得ることができる。
波長分散のないサンプルの場合、サンプルの厚さをLとし、サンプルの比屈折率をΔnとすると、サンプルの光学的厚さOTは、OT=L×Δnであり、波長によらず一定である。サンプルにおいて観察された位相差をΔφとすると、光学的厚さOTは、OT=λ×Δφ/(2π)として容易に計算できる。一方、波長分散のあるサンプルでは、サンプルの比屈折率が波長の関数であるので、サンプルの光学的厚さOTは、OT=L×Δn(λ)となり、波長依存性を持つ。
光源10bの出力光の中心波長をλ,λ,λ…λと変化させて定量位相画像を取得することで、サンプルを透過した光の位相差画像Δφ,Δφ,Δφ…Δφを順次得ることができる。これらから、各波長における光学的厚さOT,OT…OTについても、OTn=λn×Δφn/(2π)として計算することができる。ここで、屈折率差の波長依存性として,Δnratio(λ)=OT/OTを導入すると、Δnratio(λ)=Δn(λ)/Δn(λ)であることから、この値はサンプルの厚さLによらないサンプルの材質固有の値となることが分かる。
種々の物質について屈折率の波長依存性が知られているので、上記手法によって求めた屈折率差の波長依存性をもとにして、被観察サンプルの材質を同定することができる。あるいは屈折率の波長依存性が未知であるような新規材質について、上記手法によって求めた屈折率差の波長依存性をもとにして、その材質の屈折率の波長依存性を求めることができる。
更に、図12に示される干渉観察装置1Acの構成を考えてもよい。この干渉観察装置1Acの構成においては、光源に多波長光源を用いる代わりに、撮像部61cをカラータイプのものとし、光源には広帯域なインコヒーレント白色光源10cを用いる。広帯域なインコヒーレント白色光源10cとは、好適にはハロゲンランプや白色LEDである。カラータイプの撮像部61cとは、好適にはカラーフィルタを撮像面に貼り付けたカラーCCDカメラあるいはカラーCMOSカメラ、または、切り替え可能なカラーフィルタをCCDカメラ前面に用いたマルチスペクトラルカメラである。この構成においても、カメラの感度波長λ,λ,λ…λそれぞれにおける定量位相画像を取得することで、前述の屈折率差の波長依存性を求めることができる。それにより、被観察サンプルの材質を同定することができ、あるいは屈折率の波長依存性が未知であるような新規材質についてその材質の屈折率の波長依存性を求めることができる。
被測定サンプルの波長分散をイメージングする構成は、第1実施形態の変形としてのみならず、後述する第2〜第5の実施形態の変形としても実施し得る。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の干渉観察装置1Bの構成を示す図である。干渉観察装置1Bは、光源10、レンズ11、レンズ12、分岐用ビームスプリッタ21、合波用ビームスプリッタ22、ビームスプリッタ31、ミラー32、ビームスプリッタ41、ミラー42、ピエゾ素子43、ステージ44、ステージ45、レンズ51、レンズ52、チューブレンズ53、ミラー54、ビームスプリッタ55、撮像部(受光部)61、光検出器(受光部)62、画像取得部71および制御部72を備える。分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到る迄の干渉光学系20Bは、マッハツェンダ干渉計を構成している。
図1に示された第1実施形態の干渉観察装置1Aの構成と比較すると、図3に示される第2実施形態の干渉観察装置1Bは、ステージ45、ミラー54、ビームスプリッタ55および光検出器(受光部)62を更に備える点で相違する。
ステージ45は、ビームスプリッタ41と合波用ビームスプリッタ22との間の第2分岐光の光路上に設けられたレンズ52の光軸方向にレンズ52を移動させる。
チューブレンズ53は、合波用ビームスプリッタ22から出力されミラー54で反射された合波光を、ビームスプリッタ55を経て撮像部61の撮像面に結像させる。ビームスプリッタ55は、合波用ビームスプリッタ22から出力されチューブレンズ53を経て到達した光を分岐する分岐部であり、一方の分岐光(第1検出光)を撮像部61へ出力し、他方の分岐光(第2検出光)を光検出器62へ出力する。
合波光を受光して検出信号を出力する受光部は、撮像部61および光検出器62を含む。撮像部61は、ビームスプリッタ55から到達した第1検出光を受光して当該受光信号(第1検出信号)を出力する。撮像部61は、例えば、CCDエリアイメージセンサやCMOSエリアイメージセンサなどのイメージセンサである。光検出器62は、ビームスプリッタ55から到達した第2検出光を受光して当該受光信号(第2検出信号)を出力する。光検出器62は、例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、ラインセンサ(リニアセンサ)、CCDエリアイメージセンサ、CMOSエリアイメージセンサなどである。画像取得部71は、撮像部61から出力された第1検出信号に基づいて干渉画像を取得する。制御部72は、光検出器62から出力された第2検出信号に基づいて制御を行う。
干渉観察装置1Bを用いて以下のようにして観察対象物90の干渉画像を取得することができる。光源10から出力されたインコヒーレントな光は、レンズ11,12を経て、分岐用ビームスプリッタ21により2分岐されて第1分岐光および第2分岐光とされる。分岐用ビームスプリッタ21から出力された第1分岐光は、ビームスプリッタ31を透過して、ミラー32で反射される。ミラー32で反射された第1分岐光は、ビームスプリッタ31で反射されて、観察対象物90に集光され、観察対象物90を透過する。観察対象物90を透過した第1分岐光は、レンズ51を経て合波用ビームスプリッタ22に入力される。この第1分岐光は、観察対象物90における透過の際に光学的な遅れを有する。分岐用ビームスプリッタ21から出力された第2分岐光は、ビームスプリッタ41で反射されて、ミラー42で反射される。ミラー42で反射された第2分岐光は、ビームスプリッタ41を透過して、レンズ52を経て合波用ビームスプリッタ22に入力される。
レンズ51から合波用ビームスプリッタ22に入力された第1分岐光、および、レンズ52から合波用ビームスプリッタ22に入力された第2分岐光は、合波用ビームスプリッタ22により合波される。その合波光は、ミラー54およびチューブレンズ53を経て、ビームスプリッタ55により2分岐されて、撮像部61により受光されるとともに、光検出器62により受光される。画像取得部71により、合波光を受光した撮像部61から出力される第1検出信号に基づいて、干渉画像が取得される。また、制御部72により、合波光を受光した光検出器62から出力される第2検出信号に基づいて、光路長差調整機構(ピエゾ素子43、ステージ44)による光路長差調整動作が制御される。
本実施形態では、光学系において外乱により生じる位相差のブレを検知し、制御部72によるミラー42の位置の制御により位相ロックおよび位相シフトを行って、観察対象物90の干渉画像や位相画像を取得する。なお、合波時の第1分岐光と第2分岐光との間の位相差を維持する技術を「位相ロック」といい、また、該フィードバック制御により位相ロックにより維持される該光路長差の値を変更する技術を「位相シフト」という。また、ここで言う外乱には、光学系の機械的振動によるものだけでなく、観察対象物90が液体中の細胞であった場合に液面と空気との境界が振動することによる光路長のブレも含まれる。制御部72による制御について以下に詳細に説明する。
本実施形態では、光源10が出力するインコヒーレントな光を用いて干渉画像を取得することから、光路長差を制御して位相ロックおよび位相シフトを行なうことが必要である。何故なら、インコヒーレント光すなわち白色光の場合、光路長差がコヒーレンス長ΔL以下である場合に干渉が得られるからである。インコヒーレント光の中心波長をλとし、インコヒーレント光のスペクトル幅をΔλとすると、コヒーレンス長ΔLは下記(1)式で表される。LEDの場合、コヒーレンス長ΔLは10μm程度である。ハロゲンランプの場合、コヒーレンス長ΔLは1μm程度である。
位相ロックとしては、非特許文献2,3,4に記載された技術(以下「第1位相ロック技術」という。)を用いることができる。これらの非特許文献に記載された位相ロック技術は、光源10の出力光の波長に比べて十分小さい振幅でミラー42を正弦波的に高速に振動させ、そのときに光検出器62から出力される検出信号をミラー42の振動周波数の1倍波および2倍波で同期検波することで、干渉光の位相を得るというものである。制御部72は、この得られた位相値を目標値に近づけるべくフィードバック制御することで、位相差をロックすることが可能となる。
制御部72は、光検出器62からのアナログ信号である検出信号を入力し、ピエゾ素子43またはステージ44を駆動制御するためのアナログ信号を出力する。制御部72は、内部でアナログ処理をしてもよいしデジタル処理をしてもよい。後者の場合、例えば、制御部72は、入力した検出信号をAD変換してデジタル信号とし、そのデジタル信号を処理し、その処理により得られたデジタル信号をDA変換してアナログ信号とし、そのアナログ信号を出力してもよい。デジタル信号の処理には、マイクロプロセッサやFPGA(Field Programmable Gate Array)が用いられてもよい。
合波の際の第1分岐光と第2分岐光との間の位相差がΔφであるとき、光検出器62が受光する光の強度Vは下記(2)式で表される。受光強度Vは、何れも未知数であるオフセット成分DCおよび振幅ACを含む。それ故、何等かの処理により、DCおよびACを含まない形で位相差Δφを抽出する必要がある。
光源10の出力光の波長に比べて十分小さい振幅でピエゾ素子43によりミラー42を正弦波的に高速に振動させると、光検出器62が受光する光の強度Vは下記(3)式で表される。αは、ミラー42の振動の振幅に応じて決まる変調度である。ωは、振動の角周波数である。tは時間変数である。
この(3)式の右辺をフーリエ級数展開すると、近似式として下記(4)式が得られる。JおよびJは第一種ベッセル関数である。(4a)式の右辺の第2項は振幅Aωtおよび角周波数ωで振動する。また、(4a)式の右辺の第3項は振幅A2ωtおよび角周波数2ωで振動する。したがって、光検出器62から出力される検出信号を角周波数ωで同期検波することで振幅Aωtを得ることができ、検出信号を角周波数2ωで同期検波することで振幅A2ωtを得ることができる。
振幅Aωtと振幅A2ωtとの比は下記(5)式で表される。また、ACは合波光の干渉強度を表しており、その干渉強度ACは下記(6)式で表される。ミラー42の振動の振幅が一定であるので、その振幅に基づいてJ(α)およびJ(α)を求めることができる。(5)式に基づいて光路長差に応じた位相差Δφを求めることができ、(6)式に基づいて干渉強度ACをも求めることができる。制御部72は、以上のような処理を行なう為に、同期検波回路,加算回路および乗除算回路を含む。
非特許文献5に記載された "spatial filtering detector" を用いた位相ロック技術(以下「第2位相ロック技術」という。)も採用可能である。この技術では、光検出器62に替えて、1次元方向に複数の画素が配列されたラインセンサまたは1次元方向に配列された複数の光検出器を用いる。以下では、等間隔に配列された4個の光検出器を用いる場合について説明する。測定側光学系および参照側光学系の双方または何れか一方に傾きを与えることで干渉縞が現れるようにし、この状態において4個の光検出器の受光強度V1〜V4が下記(7)式となるように干渉縞の傾きを調整する。
測定側光学系および参照側光学系の双方または何れか一方に傾きを与えるために、例えば、ミラー32またはミラー42を傾斜させてもよいし、何れかのレンズを傾けてもよいし、また、所定方向に沿って厚みが異なる楔形状のプリズムを光路上に挿入してもよい。
この受光強度V1〜V4から下記(8)式によりA1,A2が求められ、下記(9)式によりA1とA2との比が求められる。また、干渉強度ACは下記(10)式で表される。これらの式から、光路長差に応じた位相差Δφを求めることができ、干渉強度ACをも求めることができる。制御部72は、以上のような処理を単純な電気回路系で実現できることができる。
制御部72は、このようにして光路長差に応じた位相差を求めるとともに干渉強度を求め、光路長差調整部(ピエゾ素子43、ステージ44)による光路長差調整動作を制御して、求めた干渉強度に基づいて光路長差を小さくするとともに、求めた位相差に基づいて光路長差を一定に維持する。なお、光路長差の調整に際して、ピエゾ素子43およびステージ44の何れを制御してもよいが、ステージ44の制御により光路長差を粗調整することができ、ピエゾ素子43の制御により光路長差を微調整することができる。
求めた干渉強度に基づいて光路長差を小さくする際に、自動的にステージ44を移動させてもよい。また、利用者に干渉強度を通知して、利用者の操作によりステージ44を移動させてもよい。例えば、画像取得部71もしくは制御部72の表示部、または、これらとは別に設けた表示部に、干渉強度を表示させて、干渉強度を利用者に知らせる。表示部は、ディスプレイ、LEDバー、アナログパネルメーター、デジタルパネルメーターなどの視覚的なものであってもよいし、干渉強度に応じた大きさの音を出力するブザーやスピーカーなどの聴覚的なものであってもよいし、また、干渉強度に応じた大きさの振動を利用者に与えるバイブレータなどの触覚的なものであってもよい。利用者は、表示部に表示された干渉強度が大きくなるようにステージ44を移動させる。
干渉強度を大きくする際に、光路長差を最小化することがもっとも重要である。ただし、試料側光学系(第1分岐光の光学系)および参照側光学系(第2分岐光の光学系)の何れかの結像系のフォーカスや光軸がずれている場合にも干渉強度が小さくなる。したがって、干渉強度を大きくするには、第1に光路長差を調整して小さくするとともに、試料側光学系および参照側光学系それぞれの結像系のフォーカスや光軸の調整をも行なう。
干渉強度を最大化するアルゴリズムとしては、干渉強度を記録しながら調整機構(光路長差、フォーカス、光軸)のうちの1つを一方向に動かして行き、最適な位置を通り過ぎて干渉強度が下がり始めたら調整機構を逆方向に動かし、一方向のスキャン中に得られた最大強度の誤差数%以内の干渉強度が得られた地点を最適値とみなすという方法が考えられる。調整箇所が複数ある場合は、このような最適値の探索をそれぞれの調整箇所について順番に行い、調整が一巡したら必要に応じてもう一巡もしくは数回調整を繰り返すことで、光学系全体としての最適な状態を実現する、というアルゴリズムが考えられる。
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態の干渉観察装置1Cの構成を示す図である。図4に示される第3実施形態の干渉観察装置1Cは、図3に示された構成の変形例であり、分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到る迄の干渉光学系20Cの構成の点で相違する。すなわち、図4に示される第3実施形態の干渉観察装置1Cは、図3に示された構成に対し、分岐用ビームスプリッタ21が図3におけるビームスプリッタ31の機能を兼ねる点、合波用ビームスプリッタ22が図3におけるビームスプリッタ55の機能を兼ねる点、光路長差補償板35およびミラー56を備える点、ならびに、チューブレンズ53に替えてレンズ57およびレンズ58を備える点、で相違する。図3に示される構成と比べて、図4に示される構成は、ビームスプリッタの個数が2つ少ないので、安価にすることができる。
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態の干渉観察装置1Dの構成を示す図である。干渉観察装置1Dは、光源10、レンズ11、レンズ12、分岐用ビームスプリッタ21、合波用ビームスプリッタ22、像反転プリズム36、ビームスプリッタ41、ミラー42、ピエゾ素子43、ステージ44、レンズ51、レンズ52、チューブレンズ53、撮像部(受光部)61、画像取得部71および制御部72を備える。分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到る迄の干渉光学系20Dは、マッハツェンダ干渉計を構成している。
図1に示された第1実施形態の干渉観察装置1Aの干渉光学系20Aはビームスプリッタ31およびミラー32を含むのに対して、図5に示される第4実施形態の干渉観察装置1Dの干渉光学系20Dは像反転プリズム36を含む点で相違する。像反転プリズム36は測定側光学系に設けられている。像反転プリズム36は例えばペンタプリズムである。
像反転プリズム36は、第1側面36a、第2側面36b、第3側面36cおよび第4側面36dを有する多角柱形状のプリズムである。像反転プリズム36は、分岐用ビームスプリッタ21から到達した第1分岐光を第1側面36aから内部へ透過させ、その第1分岐光を第2側面36bおよび第3側面36cで順次に反射させた後、その第1分岐光を第4側面36dから外部へ透過させて合波用ビームスプリッタ22へ出力する。
本実施形態では、第1分岐光は、像反転プリズム36において2回反射されるので、2回の像反転を受ける。第2分岐光は、ビームスプリッタ41およびミラー42それぞれにより反射されて、同様に2回の像反転を受ける。像反転プリズム36は、第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射の回数の和を偶数とする光学素子である。第1実施形態の場合と同様に、第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射による像反転の回数の和が偶数であるので、合波用ビームスプリッタ22による合波の際の第1分岐光および第2分岐光それぞれの像の方向が互いに一致し、第1分岐光と第2分岐光とは撮像部61の撮像面の広い範囲において効率よく干渉することができる。
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態の干渉観察装置1Eの構成を示す図である。干渉観察装置1Eは、光源10、レンズ11、レンズ12、分岐用ビームスプリッタ21、合波用ビームスプリッタ22、ビームスプリッタ31、ミラー32、ビームスプリッタ41、ミラー42、ピエゾ素子43、ステージ44、レンズ51、レンズ52、チューブレンズ53、撮像部(受光部)61、画像取得部71および制御部72を備える。本実施形態における分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到る迄の干渉光学系20Eは、マッハツェンダ干渉計を構成しており、第1実施形態における干渉光学系20Aと同様の構成を有する。
本実施形態では、光源10および干渉光学系20Eは筐体80により保持されている。また、筐体80には第1取付部81が設けられている。この第1取付部81は、干渉光学系20Eの合波用ビームスプリッタ22から出力された合波光を外部へ出力する開口を有する。これら光源10、干渉光学系20E、筐体80および第1取付部81を含んで干渉光学装置2が構成される。
また、本実施形態では、チューブレンズ53、撮像部61、ミラー54および第2取付部82を含んで顕微鏡装置3が構成される。第2取付部82は、第1取付部81の開口と光学的に結合される開口を有し、第1取付部81に対して光学的結合が自在である。撮像部61は、干渉光学系20Eから出力された合波光を受光して検出信号を出力する。干渉光学系20Eから出力された合波光は、第1取付部81の開口、第2取付部82の開口、ミラー54およびチューブレンズ53を経て、撮像部61により受光される。この顕微鏡装置3は、市販のものが用いられ得る。すなわち、通常の市販の顕微鏡装置において対物レンズが取り付けられる取付部を上記の第2取付部82とすればよい。
本実施形態の干渉観察装置1Eは、光源10および干渉光学系20Eを筐体80により保持して小型化・一体化した干渉光学装置2と通常の顕微鏡装置3とを組み合わせることで構成することができる。本実施形態では、既存の顕微鏡装置3を用いることができるので、干渉観察装置1Eを安価に構成することができる。
本実施形態では、ビームスプリッタ31、観察対象物90、合波用ビームスプリッタ22、第1取付部81の開口および第2取付部82の開口が縦一列に配列されている。したがって、ビームスプリッタ31の上方に設けられた照明装置で観察対象物90を照明することで、観察対象物90の明視野画像を撮像部61により取得することができる。また、顕微鏡装置3が蛍光顕微鏡である場合、合波用ビームスプリッタ22の下方に設けられた励起照明装置で観察対象物90を照明し励起することで、観察対象物90の蛍光画像を撮像部61により取得することができる。
なお、本実施形態の構成と同様に、第1〜第4の実施形態の干渉観察装置1A〜1Dにおいても、分岐用ビームスプリッタ21から合波用ビームスプリッタ22に到るまでの干渉光学系20A〜20Dおよび光源10を筐体により保持して干渉光学装置とし、この干渉光学装置と顕微鏡装置3とを互いに光学的に結合することで構成してもよい。
(変形例)
本発明の一側面による干渉観察装置は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
上記の実施形態による干渉観察装置は、(1) インコヒーレントな光を出力する光源と、(2) 光源から出力された光を分岐して第1分岐光および第2分岐光を出力する分岐用ビームスプリッタと、第1分岐光と第2分岐光とを合波して合波光を出力する合波用ビームスプリッタとを含み、マッハツェンダ干渉計を構成する干渉光学系と、を備える。この干渉観察装置において、干渉光学系は、第2分岐光の光路上に第2ビームスプリッタおよび第2ミラーを含み、分岐用ビームスプリッタから第2ビームスプリッタに到達した第2分岐光を第2ビームスプリッタで透過または反射させた後に第2ミラーにより反射させ、第2ミラーにより反射されて第2ビームスプリッタに到達した第2分岐光を第2ビームスプリッタで反射または透過させて、分岐用ビームスプリッタから第2ビームスプリッタへの第2分岐光の入力方向と異なる方向へ第2ビームスプリッタから第2分岐光を出力する。第2ミラーの反射面に垂直な方向に第2ミラーが移動自在である。また、干渉光学系は、第1分岐光の光路上に第1分岐光および第2分岐光それぞれの反射の回数の和が偶数となる光学素子を含む。
上記の干渉観察装置において、干渉光学系は、第1分岐光の光路上に光学素子として第1ビームスプリッタおよび第1ミラーを含み、分岐用ビームスプリッタから第1ビームスプリッタに到達した第1分岐光を第1ビームスプリッタで透過または反射させた後に第1ミラーにより反射させ、第1ミラーにより反射されて第1ビームスプリッタに到達した第1分岐光を第1ビームスプリッタで反射または透過させて、分岐用ビームスプリッタから第1ビームスプリッタへの第1分岐光の入力方向と異なる方向へ第1ビームスプリッタから第1分岐光を出力するのが好適である。
上記の干渉観察装置は、合波光を受光して検出信号を出力する受光部を更に備えるのが好適である。
上記の干渉観察装置は、第1分岐光または第2分岐光の光路上に置かれた観察対象物の干渉画像を検出信号に基づいて取得する画像取得部を更に備えるのが好適である。
上記の干渉観察装置は、第1分岐光および第2分岐光の何れか一方の光路上に観察対象物が配置され、他方の光路上に光路長・分散補償板が設けられ、光路長・分散補償板が、観察対象物の配置による光路長の変化および分散の影響を補償するのが好適である。
上記の干渉観察装置は、光源がインコヒーレントな波長可変光源であり、受光部が光源から出力される各波長の光それぞれについて合波光を受光して検出信号を出力し、各波長についての検出信号に基づいて観察対象物の波長分散を求めるのが好適である。また、上記の干渉観察装置は、光源がインコヒーレントな白色光源であり、受光部が光源の出力帯域内の各波長の光それぞれについて合波光を受光して検出信号を出力し、各波長についての検出信号に基づいて観察対象物の波長分散を求めるのも好適である。
上記の干渉観察装置は、(1) 光源および干渉光学系を保持する筐体と、(2) 筐体に設けられ、干渉光学系から出力された合波光を外部へ出力する開口を有する第1取付部と、(3) 第1取付部の開口と光学的に結合される開口を有する第2取付部と、干渉光学系から出力され第1取付部の開口および第2取付部の開口を経た合波光を受光して検出信号を出力する受光部と、を含む顕微鏡装置と、を備えるのが好適である。
第1位相ロック技術および第2位相ロック技術の何れの場合にも、位相ロック用の光検出器62として、複数の画素が2次元配列されたカメラを用いて、何れかの画素から出力される検出信号に基づいて位相ロックを行なってもよい。
また、撮像部61の何れかの画素から出力される検出信号に基づいて位相ロックを行なってもよい。また、干渉画像取得用の撮像部61および位相ロック用の光検出器62の双方の機能を有する1つの受光素子を用いてもよい。これらの場合には、受光部を1つの受光素子で構成できるので、装置を小型化することができ、光学系を容易に調整することができる。
また、干渉画像取得用の撮像部61から出力される検出信号に基づいて合波光の干渉強度を求めてもよい。また、撮像部61および光検出器62それぞれから出力される検出信号に基づいて合波光の干渉強度を求めてもよい。
撮像部61により撮像された画像に干渉縞が複数現れる状態においては、撮像部61の2次元配列された複数の画素のうち何れかの画素を、ラインセンサまたは1次元配列された複数の光検出器の代替物とみなして、第2位相ロック技術により干渉強度を求めることができる。或いは、第1位相ロック技術と同様に、撮像部61の撮像速度と比べて十分遅い周波数でピエゾ素子を変調して、撮像部61により得られた干渉画像の時間変化から前述のアルゴリズムによって干渉強度を計算することもできる。
また、撮像部61の何れかの画素からの検出信号を高速に読み出すことで、干渉強度のモニタリングに限らず位相ロックまでをも行うこととしてもよい。近年のCCDカメラやCMOSカメラの技術革新により1kHzを超えるフレームレートが実現されており、このようなフレームレートは、第1位相ロック技術および第2位相ロック技術の何れの場合においても、位相情報を導出するのに十分な速度である。
また、干渉光学系における分岐から合波までの第1分岐光の光路および第2分岐光の光路の双方または何れか一方に、印加電圧値によって屈折率または幾何学的厚みが変化する液晶素子(例えば、液晶レンズ)やプリズムを挿入してもよく、この場合にも干渉光学系における分岐から合波までの第1分岐光の光路と第2分岐光の光路との間の光路長差を調整することができる。
図4に示された構成の干渉観察装置1Cを用いた実施例について説明する。本実施例では、光源10として波長580nmのLEDを用いた。レンズ12は、おおよそレンズ51,52の前側焦点面に光が集光するようにした。参照側光学系ではビームスプリッタ1個分だけ多くガラスを光が透過するので、物体側光学系に光路長差補償板35としてビームスプリッタと同じ大きさのガラス板を挿入した。レンズ51,52として倍率20倍の対物レンズを用いた。
撮像部61としてCCDエリアイメージセンサを搭載したカメラを用いた。また、光検出器62としてフォトダイオードを用いた。分岐用ビームスプリッタ21からレンズ51,52に到る迄の全ての光学素子は、その位置でのLED光のビーム径を十分にカバーできる大きさの開口とした。
観察対象物として、乾燥固定したコンフルエントなHeLa細胞を用いた。観察時は、この細胞の上に純水を数滴たらし、その上にカバーガラスをかぶせ、下方から対物レンズ51で細胞を観察した。
ピエゾ素子43によるミラー42の振動の角周波数ωを2.3kHzとした。制御部72により、光検出器62から出力された検出信号のうち2.3kHz成分および4.6kHz成分を同期検波した。この同期検波結果に基づいて上記(5)式から位相差Δφを求め、この位相差Δφに基づいてピエゾ素子43によるミラー42の振動の中心位置をフィードバック制御して、位相ロックおよび位相シフトを行なった。
図7および図8は、位相シフトおよび位相ロックを行なって取得された干渉画像を示す図である。図7(a)に示される干渉画像I1(x,y)に対し、図7(b)に示される干渉画像I2(x,y)はπ/2だけ位相が異なり、図8(a)に示される干渉画像I3(x,y)はπだけ位相が異なり、図8(b)に示される干渉画像I4(x,y)は3π/2だけ位相が異なる。これらの干渉画像I1〜I4から下記(11)式で定量位相画像Ψ(x,y)が求められた。なお、x、yは、各画像における位置を示す変数である。このΨ(x,y)を位相アンラッピングし、ゼルニケ多項式を用いたシェーディング補正の計算によって背景の歪み成分を平坦化すると、図9に示される定量位相画像が得られた。
本発明の一側面は、マッハツェンダ干渉計の光学系を用いて光路長差を調整する機能を有し空間分解能が高い画像の取得が可能で小型化が容易な干渉観察装置として利用可能である。
1A〜1E…干渉観察装置、2…干渉光学装置、3…顕微鏡装置、10…光源、11,12…レンズ、20A〜20E…干渉光学系、21…分岐用ビームスプリッタ、22…合波用ビームスプリッタ、31…第1ビームスプリッタ、32…第1ミラー、35…光路長差補償板、36…像反転プリズム、41…第2ビームスプリッタ、42…第2ミラー、43…ピエゾ素子、44…ステージ、45…ステージ、51,52…レンズ、53…チューブレンズ、54…ミラー、55…ビームスプリッタ、56…ミラー、57,58…レンズ、61…撮像部(受光部)、62…光検出器(受光部)、71…画像取得部、72…制御部、80…筐体、81…第1取付部、82…第2取付部、90…観察対象物(サンプル)、91…光路長・分散補償板。

Claims (8)

  1. インコヒーレントな光を出力する光源と、
    前記光源から出力された光を分岐して第1分岐光および第2分岐光を出力する分岐用ビームスプリッタと、前記第1分岐光と前記第2分岐光とを合波して合波光を出力する合波用ビームスプリッタとを含み、マッハツェンダ干渉計を構成する干渉光学系と、
    前記合波光を受光して検出信号を出力するイメージセンサを含む撮像部と、
    前記第1分岐光または前記第2分岐光の光路上に置かれた観察対象物の干渉画像を前記検出信号に基づいて取得する画像取得部と、
    を備え、
    前記干渉光学系は、
    前記第2分岐光の光路上に第2ビームスプリッタおよび第2ミラーを含み、前記分岐用ビームスプリッタから前記第2ビームスプリッタに到達した前記第2分岐光を前記第2ビームスプリッタで透過または反射させた後に前記第2ミラーにより反射させ、前記第2ミラーにより反射されて前記第2ビームスプリッタに到達した前記第2分岐光を前記第2ビームスプリッタで反射または透過させて、前記分岐用ビームスプリッタから前記第2ビームスプリッタへの前記第2分岐光の入力方向と異なる方向へ前記第2ビームスプリッタから前記第2分岐光を出力し、前記第2ミラーの反射面に垂直な方向に前記第2ミラーが移動自在であり、
    前記第1分岐光の光路上に前記第1分岐光および前記第2分岐光それぞれの反射の回数の和が偶数となる光学素子を含み、
    前記合波用ビームスプリッタは、前記分岐用ビームスプリッタから出力され第1のレンズを経た前記第1分岐光を入力するとともに、前記分岐用ビームスプリッタから出力され第2のレンズを経た前記第2分岐光を入力して、これら第1分岐光と第2分岐光とを合波して前記合波光を出力し、
    前記光源から前記第1および前記第2のレンズに到るまでの全ての光学素子は、前記光源の出力時のビーム径と比べて大きな開口を有し、前記第1および前記第2のレンズの前焦点面付近に前記光源の出力光を集光させる、
    干渉観察装置。
  2. 前記干渉光学系は、前記第1分岐光の光路上に前記光学素子として第1ビームスプリッタおよび第1ミラーを含み、前記分岐用ビームスプリッタから前記第1ビームスプリッタに到達した前記第1分岐光を前記第1ビームスプリッタで透過または反射させた後に前記第1ミラーにより反射させ、前記第1ミラーにより反射されて前記第1ビームスプリッタに到達した前記第1分岐光を前記第1ビームスプリッタで反射または透過させて、前記分岐用ビームスプリッタから前記第1ビームスプリッタへの前記第1分岐光の入力方向と異なる方向へ前記第1ビームスプリッタから前記第1分岐光を出力する、
    請求項1に記載の干渉観察装置。
  3. 前記第1分岐光および前記第2分岐光の何れか一方の光路上に前記観察対象物が配置され、他方の光路上に光路長・分散補償板が設けられ、
    前記光路長・分散補償板が、前記観察対象物の配置による光路長の変化および分散の影響を補償する、
    請求項1または2に記載の干渉観察装置。
  4. 前記光源がインコヒーレントな波長可変光源であり、
    前記撮像部が前記光源から出力される各波長の光それぞれについて前記合波光を受光して前記検出信号を出力し、
    各波長についての前記検出信号に基づいて前記観察対象物の波長分散を求める、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の干渉観察装置。
  5. 前記光源がインコヒーレントな白色光源であり、
    前記撮像部が前記光源の出力帯域内の各波長の光それぞれについて前記合波光を受光して前記検出信号を出力し、
    各波長についての前記検出信号に基づいて前記観察対象物の波長分散を求める、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の干渉観察装置。
  6. 前記光源の出力光の波長に比べて小さい振幅で前記第2ミラーを振動させて位相ロックを行う、
    請求項1〜5の何れか1項に記載の干渉観察装置。
  7. 前記撮像部の何れかの画素から出力される検出信号に基づいて位相ロックを行なう、
    請求項6に記載の干渉観察装置。
  8. 前記光源および前記干渉光学系を保持する筐体と、
    前記筐体に設けられ、前記干渉光学系から出力された前記合波光を外部へ出力する開口を有する第1取付部と、
    前記第1取付部の開口と光学的に結合される開口を有する第2取付部と、前記干渉光学系から出力され前記第1取付部の開口および前記第2取付部の開口を経た前記合波光を受光して検出信号を出力する撮像部と、を含む顕微鏡装置と、
    を備える請求項1〜7の何れか1項に記載の干渉観察装置。
JP2016571807A 2015-01-30 2015-12-14 干渉観察装置 Active JP6616788B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015016266 2015-01-30
JP2015016266 2015-01-30
PCT/JP2015/084917 WO2016121248A1 (ja) 2015-01-30 2015-12-14 干渉観察装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016121248A1 JPWO2016121248A1 (ja) 2017-11-02
JP6616788B2 true JP6616788B2 (ja) 2019-12-04

Family

ID=56542882

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016571807A Active JP6616788B2 (ja) 2015-01-30 2015-12-14 干渉観察装置
JP2016571809A Active JP6630292B2 (ja) 2015-01-30 2015-12-14 干渉観察装置および干渉観察方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016571809A Active JP6630292B2 (ja) 2015-01-30 2015-12-14 干渉観察装置および干渉観察方法

Country Status (5)

Country Link
US (2) US10393500B2 (ja)
JP (2) JP6616788B2 (ja)
CN (2) CN107209000A (ja)
DE (1) DE112015006083T5 (ja)
WO (2) WO2016121248A1 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6646426B2 (ja) * 2015-12-14 2020-02-14 浜松ホトニクス株式会社 干渉観察装置および干渉観察方法
CN107167071A (zh) * 2017-06-30 2017-09-15 哈尔滨理工大学 基于消偏振分光棱镜的同步相移干涉测量装置
GB2566284A (en) 2017-09-07 2019-03-13 Univ Aston Laser detection system
CN107843597A (zh) * 2017-12-13 2018-03-27 天津师范大学 一种观测不融合液面间空气层干涉现象的装置及其使用方法
JP6986452B2 (ja) 2018-01-04 2021-12-22 浜松ホトニクス株式会社 蛍光測定装置および蛍光測定方法
JP6984822B2 (ja) 2018-01-16 2021-12-22 浜松ホトニクス株式会社 干渉画像取得装置および干渉画像取得方法
JP7071849B2 (ja) * 2018-03-09 2022-05-19 リオン株式会社 パーティクルカウンタ
WO2019211910A1 (ja) * 2018-05-02 2019-11-07 オリンパス株式会社 データ取得装置
JP7158220B2 (ja) * 2018-09-11 2022-10-21 浜松ホトニクス株式会社 測定装置および測定方法
US10976151B2 (en) * 2018-12-26 2021-04-13 Industrial Technology Research Institute Optical interferometer with reference arm longer than sample arm
CN113251943A (zh) * 2020-02-12 2021-08-13 三营超精密光电(晋城)有限公司 基于光干涉的测量系统及方法
DE102020209268B3 (de) 2020-07-22 2021-10-14 Hochschule Emden/Leer Optisches System
CN111928879B (zh) * 2020-08-26 2021-12-07 南京英特飞光电技术有限公司 带输出的偏振马赫-曾德干涉系统
CN113237635A (zh) * 2021-04-27 2021-08-10 南昌虚拟现实研究院股份有限公司 液晶透镜相位检测装置和方法
KR20240035921A (ko) * 2021-08-13 2024-03-18 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 도파관 결합기들 및 메타표면들을 위한 풀-필드 계측 툴
DE102022128898A1 (de) 2022-11-01 2024-05-02 Eberhard Karls Universität Tübingen, Körperschaft des öffentlichen Rechts Interferenzreflexionsmikroskop und Verfahren zum Analysieren einer Probe

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DD233430B1 (de) * 1984-12-28 1988-03-30 Zeiss Jena Veb Carl Universal-polarisationsmikroskop
JPH0579815A (ja) * 1991-09-19 1993-03-30 Olympus Optical Co Ltd 半導体レーザー測長器
ATA107495A (de) * 1995-06-23 1996-06-15 Fercher Adolf Friedrich Dr Kohärenz-biometrie und -tomographie mit dynamischem kohärentem fokus
JPH10232204A (ja) * 1996-12-16 1998-09-02 Seitai Hikari Joho Kenkyusho:Kk 屈折率測定装置
JP4132308B2 (ja) * 1998-11-20 2008-08-13 株式会社キーエンス 形状測定器
JP4151159B2 (ja) * 1999-06-17 2008-09-17 松下電器産業株式会社 媒質の測定装置
US6624894B2 (en) 2001-06-25 2003-09-23 Veeco Instruments Inc. Scanning interferometry with reference signal
US7557929B2 (en) * 2001-12-18 2009-07-07 Massachusetts Institute Of Technology Systems and methods for phase measurements
CN1623085A (zh) * 2002-01-24 2005-06-01 通用医疗公司 使用光谱带并行检测的低相干干涉测量法(lci)和光学相干层析成像(oct)信号的测距和降噪的装置和方法
CN100590421C (zh) 2003-06-19 2010-02-17 麻省理工学院 用于相位测量的系统和方法
JP4243159B2 (ja) 2003-09-17 2009-03-25 京セラ株式会社 Fbgセンシングシステム
JP2005345288A (ja) * 2004-06-03 2005-12-15 Olympus Corp マッハツェンダー干渉計及びマッハツェンダー干渉計による光学素子の検査方法
EP1952091A1 (en) 2005-10-17 2008-08-06 Arryx, Inc. Apparatus and method for detecting deformability of cells using spatially modulated optical force microscopy
US7812959B1 (en) 2007-03-22 2010-10-12 University Of South Florida Total internal reflection holographic microscope
CN100552376C (zh) 2007-04-13 2009-10-21 南京师范大学 光学干涉测量中分光、成像及同步移相的方法和装置
US7990540B2 (en) 2007-09-14 2011-08-02 University Of Rochester Apparatus and methods using highly optically dispersive media
JP2009116082A (ja) * 2007-11-07 2009-05-28 Nsk Ltd 光走査ユニット及び観察装置
JP4909244B2 (ja) * 2007-11-16 2012-04-04 浜松ホトニクス株式会社 干渉測定装置
JP5249739B2 (ja) * 2008-12-10 2013-07-31 浜松ホトニクス株式会社 観察装置および観察方法
JP5563439B2 (ja) * 2010-12-22 2014-07-30 日本電信電話株式会社 光位相測定装置、光位相測定方法およびプログラム
US8693000B2 (en) 2011-12-22 2014-04-08 General Electric Company Quantitative phase microscopy for label-free high-contrast cell imaging

Also Published As

Publication number Publication date
JP6630292B2 (ja) 2020-01-15
JPWO2016121248A1 (ja) 2017-11-02
CN107209000A (zh) 2017-09-26
US20180017371A1 (en) 2018-01-18
WO2016121250A1 (ja) 2016-08-04
CN107209001A (zh) 2017-09-26
US10393500B2 (en) 2019-08-27
US10209056B2 (en) 2019-02-19
JPWO2016121250A1 (ja) 2017-11-02
WO2016121248A1 (ja) 2016-08-04
DE112015006083T5 (de) 2017-11-02
US20170356735A1 (en) 2017-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6616788B2 (ja) 干渉観察装置
US9671601B2 (en) Microscope having an autofocusing device and autofocusing method for microscopes
US10139346B2 (en) Optical microscopy system and method for Raman scattering with adaptive optics
US9297980B2 (en) Optical device for transmission-type scanning by moving scanning beam without moving observation sample
US10451402B2 (en) Single shot full-field reflection phase microscopy
US20150160450A1 (en) Embedded pupil function recovery for fourier ptychographic imaging devices
Booth et al. Adaptive optics for biomedical microscopy
JP6241858B2 (ja) 共焦点顕微鏡
Chakrova et al. Development of a DMD-based fluorescence microscope
US11156448B2 (en) Interference observation device and interference observation method
JP6576369B2 (ja) 干渉光学装置、干渉観察装置および干渉観察方法
US11940609B2 (en) Image conversion module with a microelectromechanical optical system and method for applying the same
Booth et al. Adaptive optics for fluorescence microscopy
JP2011220903A (ja) 屈折率測定方法および屈折率測定装置
Knell et al. Interferometric sensors based on sinusoidal optical path length modulation
Gröschl et al. Evaluation of the optical performance of a novel high-speed focal-distance-modulated fibre-coupled confocal sensor
US20210096349A1 (en) Imaging device and method for imaging an object using a microscope
WO2017017476A1 (en) Apparatus for spectroscopic analysis of light from a sample
Fink et al. Stray light rejection by structured illumination

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6616788

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250