JP6616593B2 - 膜の洗浄方法 - Google Patents

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本発明は、外圧式中空糸膜モジュールの膜の洗浄方法に関する。
中空糸膜モジュールを用いたろ過方式のうち、中空糸膜の外表面から内側へろ過する方式を外圧式ろ過という。外圧式ろ過では、安定的に運転するために、通常、定期的に物理洗浄が実施される。具体的には、膜の処理水を使用して二次側(処理水側)から一次側(原水(被処理水)側)へと通水する逆洗や、膜の一次側に気体を導入して膜を振動させることにより膜面の懸濁物質等を剥離する空気洗浄等がある。
例えば、特許文献1には、空気洗浄を行う工程と逆洗と同時に空気洗浄を行う工程とを組み合わせて、多数本のろ過膜で構成される膜モジュールの洗浄を行うことが記載されている。
また、特許文献2には、膜モジュール内における一次側の水を系外に排出した後に、逆洗を行い、一次側を水で満たしてから空気洗浄を行う工程と一次側に水を供給しながら空気洗浄を行う工程とのいずれかを行い、膜モジュール内における一次側の水を系外に排出する洗浄方法が記載されている。
上記のような逆洗や、逆洗と空気洗浄との組み合わせは膜表面の懸濁物質の除去に有効な手法であるが、逆洗では膜の処理水を用いた洗浄を行うため、頻繁に逆洗を行うほど被処理水供給量に対して得られる処理水量の比(回収率)が低下する。一方で、逆洗の頻度を少なくしたり、空気洗浄のみでは、膜表面に懸濁物質が堆積して、その除去が困難となり、安定運転の妨げとなる。
特許第4698274号公報 特許第4968413号公報
本発明の目的は、外圧式中空糸膜モジュールを用いるろ過処理において、処理水の回収率の低下を抑制するとともに、安定運転を行うことができる膜の洗浄方法を提供することにある。
本発明は、外圧式中空糸膜モジュールを用いて懸濁物質を含み、濁度が50度以上の被処理水のろ過処理を行うろ過工程の後、前記外圧式中空糸膜モジュールへの前記被処理水の送液を停止させて、前記外圧式中空糸膜モジュールの一次側のみから気体のみを導入して中空糸膜を洗浄する工程を含む気体洗浄工程を行い、その後、前記ろ過工程に戻る、第1のサイクルと、前記ろ過工程を行った後、前記ろ過工程で得られた処理水の少なくとも一部を前記外圧式中空糸膜モジュールの二次側から導入して前記中空糸膜を洗浄する逆洗工程を行い、その後、前記ろ過工程に戻る、第2のサイクルと、を含み、前記第1のサイクルを複数回行った後、前記第2のサイクルを行う膜の洗浄方法である。
前記膜の洗浄方法において、前記気体洗浄工程を行うタイミングを、被処理水について予め求めた前記ろ過工程における膜間差圧上昇速度と、許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定することが好ましい。
前記膜の洗浄方法において、前記膜間差圧上昇速度を、下記式(1)に基づいて決定することが好ましい。
膜間差圧上昇速度=(被処理水が膜面に形成されたケーキを通過する際の、単位ケーキ量あたりの抵抗)×(被処理水の粘度)×(被処理水のSS濃度)×(被処理水のろ過流束) (1)
前記膜の洗浄方法において、前記単位ケーキ量あたりの抵抗αを、定圧ろ過試験における下記に示すルースのろ過式に基づいて決定することが好ましい。
抵抗α[m/g]=ろ過定数K[s/m ]×ろ過抵抗[Pa]/(被処理水の粘度[Pa・s]×SS濃度[g/m ])
前記膜の洗浄方法において、前記被処理水のSS濃度を、前記被処理水の濁度に基づいて決定することが好ましい。
前記膜の洗浄方法において、前記ろ過工程の前に前記被処理水に凝集剤を添加する凝集処理を行うことが好ましい。
本発明では、外圧式中空糸膜モジュールを用いるろ過処理において、処理水の回収率の低下を抑制するとともに、安定運転を行うことができる膜の洗浄方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る膜の洗浄方法を適用する、外圧式中空糸膜モジュールを用いるろ過処理装置の一例を示す概略構成図である。 実施例および比較例で用いた実験装置を示す概略構成図である。 実験1の比較例1における通水結果を示す図である。 実験1の実施例1における通水結果を示す図である。 図4の通水時間0から10時間までを拡大した図である。 実験2における通水結果を示す図である。 実験3における通水結果を示す図である。 実験4における通水結果を示す図である。 原水SSと空気洗浄(AS)運転時ろ過時間と回収率の関係(2.0m/d)を示す図である。 実験5における原水SSと空気洗浄(AS)運転時ろ過時間と回収率の関係(2.0m/d)を示す図である。 実験5における通水結果を示す図である。 実験6における原水SSと空気洗浄(AS)運転時ろ過時間と回収率の関係(2.0m/d)を示す図である。 実験6における通水結果を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る膜の洗浄方法を適用する、外圧式中空糸膜モジュールを用いるろ過処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。ろ過処理装置50は、原水槽52と、凝集槽54と、膜モジュール56と、処理水槽58と、を備える。
図1のろ過処理装置50において、原水槽52の入口には、原水配管68が接続されている。原水槽52の出口と凝集槽54の入口とは、ポンプ62を介して原水供給配管70により接続されている。凝集槽54の出口と膜モジュール56の一次側被処理水入口とは、ポンプ64を介して凝集処理水配管72により接続されている。膜モジュール56の二次側出口と処理水槽58の入口とは、ろ過処理水配管74により接続されている。処理水槽58の処理水出口には、処理水配管76が接続されている。処理水槽58の逆洗水出口とろ過処理水配管74とは、ポンプ66を介して逆洗水配管78により接続されている。膜モジュール56の一次側気体入口には、気体供給手段としてのコンプレッサ60が気体供給配管80により接続されている。膜モジュール56の一次側上部排水口には上部排水管88が接続され、一次側下部排水口には下部排水管86が接続されている。気体供給配管80から分岐した気体供給配管90が上部排水管88に接続されている。凝集槽54には、凝集剤供給配管82およびpH調整剤供給配管84が接続されている。
本実施形態に係るろ過処理装置50の動作および膜の洗浄方法について説明する。
懸濁物質(SS成分)等を含む原水は、原水配管68を通して必要に応じて原水槽52に貯留される。原水は、ポンプ62によって原水供給配管70を通して必要に応じて凝集槽54に送液され、凝集槽54において、凝集剤およびpH調整剤が供給され、凝集処理が行われる(凝集処理工程)。
凝集処理された凝集処理水は、ポンプ64によって凝集処理水配管72を通して外圧式中空糸膜を備える膜モジュール56の一次側(原水(被処理水)側)に送液される。膜モジュール56において中空糸膜によりろ過処理が行われ、被処理水(凝集処理水)は中空糸膜の外表面から内側へろ過される(ろ過工程)。
ろ過処理されたろ過処理水は、ろ過処理水配管74を通して処理水槽58へ送液され、貯留される。ろ過処理水の少なくとも一部は、処理水として処理水配管76を通して排出される。ろ過処理水の少なくとも一部は、逆洗水として後述する逆洗処理に用いられてもよい。
膜モジュール56における膜間差圧が上昇し、膜の洗浄が必要になった場合、例えば、後述するように、被処理水について予め求めた膜間差圧上昇速度と、ろ過工程における許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定したタイミングで、気体洗浄が行われる。具体的には、ポンプ64による膜モジュール56への被処理水(凝集処理水)の送液が停止された後、コンプレッサ60が稼働され、空気等の気体が気体供給配管80を通して膜モジュール56の一次側気体入口から供給され、気体により中空糸を振動させることによって中空糸膜が洗浄される(気体洗浄工程)。
ろ過工程と、上記タイミングで実施する気体洗浄工程を繰り返して、処理水を得ればよい(ろ過工程→気体洗浄工程→ろ過工程→・・・)。
そして、ろ過工程と気体洗浄工程の第1のサイクルを複数回行った後、逆洗処理を行う。具体的には、ポンプ64により膜モジュール56への被処理水(凝集処理水)の送液が停止された後、ポンプ66が稼働され、処理水が逆洗水配管78を通して膜モジュール56の二次側から供給され、膜モジュール56の下部排水管86から排水される(逆洗工程)。
このように、外圧式中空糸膜モジュールの洗浄方法において、気体洗浄のみによる懸濁物質等の除去を複数回繰り返した後、逆洗水による洗浄を行うことによって、処理水の回収率の低下を抑制させることができるとともに、安定運転を行うことができる。
本実施形態に係る膜の洗浄方法を適用するろ過処理装置の処理対象である原水は、例えば、河川水、湖沼水等である。特に、濁度が50度以上の高濁度の原水(以下、「高濁度原水」と呼ぶ場合がある)に好適に適用され、濁度が300度以上1000度以下の高濁度の原水により好適に適用される。
高濁度原水の場合、特に濁度300度以上の高濁度原水の場合は、原水中の懸濁物質等の量が多くなるため、安定運転するためのろ過時間が短くなる傾向にある。従来の方法のようにろ過工程の後に逆洗工程を毎回行うと、処理水の回収率が低下する。高濁度原水では懸濁物質等が増加するが、気体洗浄によって膜表面に堆積した全てまたは大部分を除去することができるため、実質的に気体洗浄のみによって対応することができる。これに加えて、必要に応じて逆洗工程を行うことで、逆洗に使用する処理水量を削減し、回収率の低下を抑制することができる。
膜モジュール56において用いられる中空糸膜は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製等のUF膜である。中空糸膜の孔径は、例えば、0.001μm〜0.003μmの範囲、分画分子量では数千〜数十万Daの範囲であり、膜面積は、例えば、20m〜80mの範囲である。
気体洗浄工程で用いられる気体は、特に制限はないが、空気等が挙げられ、コスト等の点から、通常は、空気である。
気体洗浄工程で用いられる気体供給手段としては、特に制限はないが、例えば、コンプレッサ、ブロワ等が挙げられる。
[ろ過時間の決め方]
ここで、本実施形態に係る膜の洗浄方法において、気体洗浄運転時のろ過時間は、例えば、被処理水について予め求めた、ろ過工程における膜間差圧が上昇する速度を示す膜間差圧上昇速度と、予め決めた、どこまでの膜間差圧の上昇を許容するかを示す許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定することができる。懸濁物質(SS成分)等を含む原水のろ過、特に例えば濁度が50度以上の高濁度の原水のろ過はSSが高いため、膜の細孔内部のファウリングと比較して膜面のケーキ形成が支配的となる。膜面に形成されたケーキのろ過抵抗は、下記式(*1)で示したとおり、比抵抗α、被処理水の粘度、膜面の単位面積あたりのケーキ量およびろ過流束の積で表すことができる。
ケーキのろ過抵抗[Pa]=比抵抗α[m/g]×被処理水の粘度[Pa・s]×単位面積あたりのケーキ量[g/m]×ろ過流束[m/s]・・・(*1)
ここで、比抵抗αは、被処理水が膜面に形成されたケーキを通過する際の、単位ケーキ量あたりの抵抗である。また、単位面積あたりのケーキ量は、下記式(*2)で示したとおり、被処理水のSS濃度と流量と時間の積を膜面積で除することで算出することができる。
単位面積あたりのケーキ量[g/m]=被処理水のSS濃度[g/m]×流量[m/s]×時間[s]/膜面積[m]・・・(*2)
上記式(*1)と上記式(*2)とから、下記式(*3)を得ることができる。
膜間差圧上昇速度=ケーキのろ過抵抗[Pa]/時間[s]=比抵抗α[m/g]×被処理水の粘度[Pa・s]×被処理水のSS濃度[g/m]×(被処理水のろ過流束)[m/s]・・・(*3)
すなわち、比抵抗αがわかれば、膜間差圧上昇速度を求めることができ、上述のとおり、予め設定した許容膜間差圧上昇値と膜間差圧上昇速度とによりろ過時間を算出することができる。
[実機での運転について]
(a)実機では原水濁度を測定することが多いが、濁度成分の性状によっては濁度/SS比は異なる。そこで、原水をサンプリングして濁度とSSを測定する。
(濁度/SS比)[度/(mg/L)]=原水濁度[度]/原水SS濃度[mg/L]
→ 原水濁度[度]=原水SS濃度[mg/L]×(濁度/SS比)[度/(mg/L)]
よって、濁度/SS比を求めることで、原水濁度を測定して、原水SS濃度を求めることができる。
(b)ケーキのろ過抵抗α[m/mg]は実機に通水して、測定することもできるが、ラボ試験で簡易的に測定することができる。例えば、定圧ろ過試験を行い、ろ過速度の経時変化を測定する。単位膜面積あたりのろ過速度[m/m/s]の逆数[s/m]を単位膜面積あたりのろ液量[m/m]に対してプロットする。ルース(Ruth)のろ過式より、プロットした傾きからケーキのろ過比抵抗α[m/mg]を算出することができる。すなわち、比抵抗α[m/mg]は式(*4)で算出することができる。なお、K[s/m]は、ろ過定数である。
比抵抗α[m/g]=K[s/m]×ろ過抵抗[Pa]/(被処理水の粘度[Pa・s]×SS濃度[g/m])・・・(*4)
(c)式(*3)より、原水濁度に応じて膜間差圧上昇速度を算出することができる。これにより、ろ過工程1サイクルあたりの許容膜間差圧上昇値[kPa]を定めれば、原水SS濃度に対して許容膜間差圧上昇に至る時間を算出できる。この時間をろ過工程のろ過時間とし、このろ過時間の経過後に気体洗浄を行えばよい。
ろ過工程1サイクルあたりの許容膜間差圧上昇値[kPa]は、膜モジュールや配管等の許容圧力等に基づいて決めてもよいし、膜ろ過用のポンプの仕様等に基づいて決めてもよく、特に制限はない。許容膜間差圧上昇値は、例えば、25kPa以下に設定すればよい。許容膜間差圧上昇値が25kPaよりも高いと、膜面に堆積した懸濁物質が圧密されて気体洗浄での剥離効果が低減する場合がある。許容膜間差圧上昇値は、20kPa以下に設定することがより好ましく、10kPa以下に設定することがさらに好ましい。原水に含まれる濁度成分が、圧縮性が高い成分の場合は、許容膜間差圧上昇値を低めの値、例えば10kPa〜25kPaの範囲に設定し、圧縮性が低い成分の場合は、高めの値、例えば25kPa〜50kPaの範囲に設定してもよい。圧縮性が低い成分においても、例えば、10kPa〜25kPaの範囲に設定してもよいが、気体洗浄の回数が多くなり、非効率となる場合がある。
このように、気体洗浄を行うタイミング、すなわちろ過工程のろ過時間を、被処理水について予め求めた膜間差圧上昇速度と、予め決めた、ろ過工程における許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定することができる。
気体洗浄を行うタイミング、すなわちろ過工程のろ過時間を、さらに、原水濁度、色度、SSのいずれかまたは組み合わせに基づいて決定してもよい。
原水濁度が50度未満の原水(以下、「通常原水」と呼ぶ場合がある)に対して、ろ過時間を短くすると気体洗浄が頻繁に行われるため、気体使用量が増加する。これにより、コンプレッサやブロワ等のランニングコストの増加を招く。一方で、ろ過時間を長くすると、膜表面に堆積した懸濁物質等が気体洗浄によって除去されにくくなる。
高濁度原水の場合は、濁度が上昇するにしたがって安定運転するためのろ過時間は短くなっていく。そのため、ろ過時間は一定ではなく原水水質に応じて制御されることが好ましい。
原水水質は、原水濁度、色度、SSのいずれかまたは組み合わせが挙げられるが、オンライン監視が容易である原水濁度によって決定することが好ましい。
気体洗浄工程の後はろ過工程に戻ればよいが、膜モジュール56内から気体を追い出すためのフラッシングやドレン、満水等の工程を気体洗浄工程に含めてもよい。
フラッシングは、例えば、凝集処理水配管72を通して原水等を膜モジュール56の一次側に供給し、上部排水管88を通して排出することにより行えばよい。満水工程は、例えば、凝集処理水配管72を通して原水等を膜モジュール56の一次側に供給することにより行えばよい。
コンプレッサ60により空気等の気体が気体供給配管80、気体供給配管90、上部排水管88を通して膜モジュール56の一次側上部排水口から供給されることによる、膜モジュール56の上部からの気体押し出しによるドレンと、下部の一次側気体入口から供給される気体による気体洗浄とがそれぞれ行われてもよい。この場合、例えば、ろ過工程→気体洗浄工程(気体洗浄→ドレン→気体洗浄+フラッシング→満水)の順序で行えばよい。
気体洗浄工程の前に膜モジュール56の一次側の水を排出し、処理水または原水等を導入した後に気体洗浄を行ってもよく、原水を導入しながら気体洗浄を行ってもよいが、回収率が低下するため、処理水または原水等を導入せずに気体洗浄を行ってもよい。
膜モジュール56の一次側に水がないと気体洗浄の効果が低下する場合には、一次側を水で満たすために処理水または原水等を導入した後に気体洗浄を行ってもよい。この際の処理水または原水等の使用量は、膜モジュール1本あたりにつき、膜モジュール56の一次側の体積の1〜1.5倍の範囲が好ましい。
気体洗浄工程の後には、膜表面から除去された懸濁物質等を含む一次側の水を排出すればよい。膜モジュール56の一次側下部排水口から下部排水管86を通して一次側の水を排水してもよいし、原水等を膜モジュール56の一次側に供給して一次側上部排水口から上部排水管88を通して一次側の水を排水してもよい。また、処理水槽58中の処理水をポンプ66によって逆洗水配管78、ろ過処理水配管74を通して膜モジュール56の二次側から一次側に供給して一次側の水を押し出して一次側下部排水口から下部排水管86を通して、または一次側上部排水口から上部排水管88を通して一次側の水を排出してもよい。
膜モジュール56の一次側下部排水口から下部排水管86を通して排水する場合、膜表面から除去された懸濁物質等が膜に捕捉される場合があり、処理水を使用して排出する場合は回収率が低下する場合があるため、原水等を膜モジュール56の一次側に供給して排出することが好ましい。
ろ過工程および気体洗浄工程のサイクルを複数回行い、次のろ過工程の後、逆洗を行ってもよい。逆洗は、処理水槽58中の処理水を逆洗水としてポンプ66によって逆洗水配管78、ろ過処理水配管74を通して膜モジュール56の二次側に供給することによって行われる(逆洗工程)。
膜の洗浄はろ過工程および気体洗浄工程のサイクル(第1のサイクル)を複数回行うが、原水の水質等によっては気体洗浄では除去が困難な懸濁物質等により膜間差圧が上昇する場合がある。よって、第1のサイクルを複数回行い、次のろ過工程の後で、逆洗工程を行うサイクル(第2のサイクル)を1回行う((ろ過工程→気体洗浄工程)×n回(nは2以上)→ろ過工程→逆洗工程)。これにより、気体洗浄では除去が困難な懸濁物質等を除去することができる。
逆洗工程において、逆洗と、例えば、気体洗浄、気体同時逆洗、ドレン、フラッシング、気体同時フラッシング等を組み合わせてもよい。例えば、現状の実験結果で最適な逆洗工程とされているのは、ろ過工程→気体洗浄→気体同時逆洗→逆洗→気体同時フラッシング→フラッシングの順序での組み合わせである。この順序での組み合わせにおいて、気体洗浄を行わないと、洗浄効果が低下する場合があり、また、フラッシングを行わないと、洗浄効果が低下する場合がある。
気体同時逆洗は、コンプレッサ60からの空気等の気体を膜モジュール56の一次側気体入口から供給するとともに、逆洗を行う工程である。気体同時逆洗は、例えば、ポンプ66によって逆洗水配管78、ろ過処理水配管74を通して処理水を膜モジュール56の二次側から一次側に導入するとともに、コンプレッサ60により気体供給配管80を通して膜モジュール56の一次側気体入口から気体を供給し、上部排水管88または下部排水管86から排出すればよい。気体同時フラッシングは、コンプレッサ60からの空気等の気体を膜モジュール56の一次側気体入口から供給するとともに、フラッシングを行う工程である。気体同時フラッシングは、例えば、ポンプ64により凝集処理水配管72を通して原水等を膜モジュール56の一次側に導入するとともに、コンプレッサ60により気体供給配管80を通して膜モジュール56の一次側気体入口から気体を供給し、上部排水管88から排出すればよい。
外圧式中空糸膜モジュールの洗浄方法において、気体洗浄のみで懸濁物質等を大部分除去し、気体洗浄では除去し切れない懸濁物質等に対しては逆洗工程を行うことで、回収率の向上と安定運転とを同時に成し遂げることができる。
外圧式中空糸膜モジュールの一般的な逆洗間隔は、30分〜2時間程度であるが、例えば、原水濁度が50度以上のような高濁度の原水では、逆洗間隔は短くなる。しかし、気体洗浄工程(第1のサイクル)を複数回行うことで、高濁度の原水に対しても逆洗間隔を一般的な逆洗間隔(30分〜2時間)程度とすることができる。また、原水の濁度によっては、逆洗間隔を一般的な逆洗間隔よりも延ばすこともできる。
逆洗工程を行う判断、すわなち、逆洗を行うタイミングを、ろ過工程におけるろ過時間の合計に基づいて決定してもよい。この場合、ろ過時間の合計が予め定めた時間を超えた場合に、逆洗工程を行えばよい。ろ過時間の合計に基づく決定の場合は、一定の周期ごとに逆洗工程を行うため、原水水質によらず回収率を一定に保つことができる。
逆洗工程を行う判断、すわなち、逆洗を行うタイミングを、ろ過工程における膜間差圧に基づいて決定してもよい。膜間差圧は、絶対値(気体洗浄後の膜間差圧)を使用してもよいし、ろ過工程中に上昇した値(上昇値)を使用してもよい。膜間差圧の絶対値は逆洗によっても除去されない有機物や金属等の膜の閉塞物質により上昇するため、ろ過工程中の上昇値を使用することが好ましい。ここで、ろ過工程中の上昇値とは、気体洗浄工程または逆洗工程の後にろ過が再開された際の膜間差圧と現在値との差である。
判断に用いる上昇値の設定値は、例えば、逆洗工程において、逆洗の前に気体洗浄を行う場合、気体洗浄後の膜間差圧が、所定の許容膜間差圧(例えば、25kPa)以上とすることができる。
逆洗工程を行う判断は、上記ろ過時間の合計と、ろ過工程における膜間差圧とを組み合わせて行ってもよい。
図1では、膜モジュール56でのろ過工程の前に、凝集槽54において被処理水に凝集剤を添加する凝集処理を行っているが、凝集処理は行っても、行わなくてもよい。
凝集処理を行うと、膜モジュール56における膜の細孔内部に吸着して目詰まりの原因になるような有機物等を膜の表面で捕捉することができるようになる。膜の表面に捕捉されているものであれば、気体洗浄または逆洗により除去することができる。高濁度原水に対して、凝集処理を行わない場合、気体洗浄での洗浄効果が低減する場合がある。
凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化鉄、硫酸バンド、ポリシリカ鉄等が挙げられ、浄水場で広く使われているポリ塩化アルミニウム(PAC)が好ましい。
凝集剤の添加量は、ジャーテストで決定することができる。凝集剤の添加量が少なすぎると、凝集不良を起こし膜の閉塞を招く場合がある。凝集剤を過剰に注入すると、汚泥量が増加し、排水処理コストがかさむ場合がある。
膜モジュール56でのろ過工程の前に、被処理水に酸化剤を添加する酸化処理を行ってもよい。酸化処理を行うと、膜モジュール56における膜の細孔内部に吸着して目詰まりの原因になるような金属等を膜の表面で捕捉することができるようになる。膜の表面に捕捉されているものであれば、気体洗浄または逆洗により除去することができる。
酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、塩素酸等が挙げられ、浄水場で広く使われており、酸化力も強いことから、次亜塩素酸ナトリウムの使用が好ましい。
酸化剤の添加量は、原水のSS成分やアンモニア等によって添加量が変わるため、例えば、残留塩素濃度で管理するのが好ましい。残留塩素濃度は膜モジュール56の出口で例えば0.1〜0.5mg/Lとなるように酸化剤を添加するのが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
図2に実施例および比較例で用いた実験装置の概略構成図を示す。原水槽10にはろ過水と、ベントナイト貯槽13からポンプ16により懸濁物質としてベントナイトを供給し、所定の原水濁度になるよう高濁度模擬原水を調製した。原水槽10およびベントナイト貯槽13には、撹拌装置21,20をそれぞれ設置した。高濁度模擬原水は、ポンプ17によって凝集槽11と原水濁度計へ供給した。凝集槽11には、凝集剤貯槽15からポンプ19により凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を添加し、撹拌装置22により85rpm(G値(撹拌強度の指標)=150/s)で急速撹拌を行った。また、凝集槽11にはpHセンサ24を設置し、pH調整剤貯槽14からポンプ18によりpH調整剤を添加して、ベントナイトによってpHが7を超えないように凝集pHを調整した。
凝集槽11の凝集処理水は、ポンプ8によって膜モジュール30に供給した。膜モジュール30の一次側上部および一次側下部にはコンプレッサ23からの空気供給ラインを接続し、気体洗浄工程において、膜モジュール30の一次側上部から供給する空気押し出しによるドレンと、一次側下部から供給するエアスクラビングとをそれぞれ行った。処理水はろ過水弁2を開き、処理水槽12に貯留し、逆洗は、ポンプ9により処理水を逆洗水として膜の二次側から供給して行った。
膜モジュール30における中空糸膜としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の外圧式加圧型UF膜を用いた。中空糸膜の孔径は、0.01μm、膜面積は、4mのものを用いた。
<実験1:高濁試験24時間>
[比較例1(従来法)]
図3に比較例1の実験結果を示す。比較例1では、濁度が500度である高濁度模擬水を8時間通水後、100度の高濁度模擬水を16時間通水した。所定のろ過時間経過後、空気洗浄、ドレン、上排水逆洗、下排水逆洗、フラッシングの順の逆洗工程を実施した。図3において、差圧が回復している時点で逆洗工程を実施している。
空気洗浄は、図2の下部空気弁7と上部排水弁3を開き、コンプレッサ23から加圧空気を供給して行った。ドレンは、上部空気弁6と下部排水弁4を開き、加圧空気により膜モジュール30の一次側の水を排水した。上排水逆洗は、逆洗入口弁5と上部排水弁3を開き、ポンプ9により処理水を膜の二次側から一次側へ供給し、上部排水弁3を通じて排出した。下排水逆洗は、逆洗入口弁5と下部排水弁4を開き、ポンプ9により処理水を膜の二次側から一次側へ供給し、下部排水弁4を通じて排出した。フラッシングは、供給水弁1と上部排水弁3を開き、ポンプ17により原水を膜モジュール30の一次側に供給し、上部排水弁3を通じて排出した。
ろ過フラックスが2.0m/dで通水時には、膜間差圧がろ過工程中に最大で100kPaまで増加し、安定運転できていないとみなした。1.2m/dにろ過フラックスを下げたところ、膜間差圧の最大値は80kPaであった。濁度100度の高濁度模擬水に対しては、2m/dで安定運転ができた。
[実施例1]
図4に実施例1の通水結果を示し、図5に拡大図を示す。比較例1と同様に濁度が500度である高濁度模擬水を8時間通水後、100度の高濁度模擬水を16時間通水した。表1に運転条件を示す。濁度に応じてろ過時間を変え、500度に対しては5分、100度に対しては10,20,30分のろ過時間で実験を行った。逆洗工程に入る判断は、ろ過時間の積算値にて制御し、60,90,120分に設定した。ろ過フラックスは実験中2m/dに設定した。回収率と稼働率を加味したNetFluxを表1に合わせて記載した。
空気洗浄(AS)運転ろ過時間が5分、逆洗頻度が60分の場合、「ろ過5分、空気洗浄工程」をサイクルAとすると、サイクルAを11回繰り返した後に、ろ過5分を経て積算ろ過時間が60分になるため、逆洗工程に入る。空気洗浄工程は、空気洗浄、ドレン、フラッシングの順で行った。空気洗浄は、図2の下部空気弁7と上部排水弁3を開き、コンプレッサ23から加圧空気を膜モジュール30の一次側に導入した。これにより、膜が揺れて膜表面の懸濁物質が剥離した。ドレンは、上部空気弁6と下部排水弁4を開き、コンプレッサ23から加圧空気を膜モジュール30の一次側に導入した。これにより、懸濁物質を含む水が排出された。フラッシングは、供給水弁1と上部排水弁3を開き、ポンプ17により原水を膜モジュール30の一次側に導入した。
逆洗工程は、空気洗浄、空気同時逆洗、下排水逆洗、空気同時フラッシング、フラッシングの順で行った。空気洗浄は、図2の下部空気弁7と上部排水弁3を開き、コンプレッサ23から加圧空気を膜モジュール30の一次側に導入した。空気同時逆洗は、下部空気弁7と逆洗入口弁5と上部排水弁3を開き、ポンプ9により処理水を膜モジュール30の二次側から一次側に導入されるとともに、膜モジュール30の一次側の下部から加圧空気を導入した。下排水逆洗は、逆洗入口弁5と下部排水弁4を開き、ポンプ9により処理水を膜の二次側から一次側へ供給し、下部排水弁4を通じて排出した。空気同時フラッシングは、下部空気弁7と上部排水弁3と供給水弁1を開き、ポンプ17により原水を膜モジュール30の一次側に導入するとともに、膜モジュール30の一次側の下部から加圧空気を導入した。フラッシングは、供給水弁1と上部排水弁3を開き、ポンプ17により原水を膜モジュール30の一次側に供給し、上部排水弁3を通じて排出した。
表2に比較例1と実施例1の結果を示す。NetFluxはろ過Flux×回収率×稼働率から計算した。実施例1では、比較例1と比べて回収率、NetFlux共に改善された。これは、実施例1において、ろ過時間を短くして空気洗浄を行うことで、膜表面の懸濁物質が圧密される前に剥離することができたためと推測される。
<実験2(濁度100度)>
図6に実施例2として、濁度100度(SS:400mg/L)での通水結果を、表3に運転工程を示す。濁度100度に対してNetFlux1.79m/d、回収率96.6%で運転した。空気洗浄により膜間差圧が9割程度回復し、逆洗により初期圧近傍にまで回復することを確認することができた。
<実験3(濁度300度)>
図7に実施例3の実験結果を、表4に運転工程を示す。濁度300度に対して、NetFlux1.58m/d、回収率93.3%で運転した。実施例2と同様に、空気洗浄で膜間差圧を所定量回復させ、差圧上昇を抑制できることが確認された。これに加えて、60minに一度逆洗を行うことで安定運転を行うことができた。ろ過時間10分間の差圧上昇は15kPa程度であった。
<実験4(凝集剤有無の比較)>
図8に実験4の結果を示す。実験4では凝集剤の有無の影響を比較した。濁度400〜500(SS:800〜1000mg/L)度に対して、比較例4−1では凝集剤を添加しなかった。この場合は空気洗浄での回復性が悪く、差圧が上昇した。一方で、実施例4−1,4−2,4−3では、凝集剤の添加により、差圧の上昇が抑制できることを確認することができた。
[ろ過時間の決め方]
懸濁物質(SS成分)等を含む原水のろ過、特に例えば濁度が50度以上の高濁度の原水のろ過はSSが高いため、膜の細孔内部のファウリングと比較してケーキろ過が支配的となる。ここで、ろ過抵抗は膜面のケーキを形成するSS量に比例する。つまり、膜面に形成されたケーキのろ過抵抗は、下記式(*1)で示したとおり、比抵抗α、被処理水の粘度、膜面の単位面積あたりのケーキ量およびろ過流束の積で表すことができる。
ケーキのろ過抵抗[Pa]=比抵抗α[m/g]×被処理水の粘度[Pa・s]×単位面積あたりのケーキ量[g/m]×ろ過流束[m/s]・・・(*1)
ここで、比抵抗αは、被処理水が膜面に形成されたケーキを通過する際の、単位ケーキ量あたりの抵抗である。また、単位面積あたりのケーキ量は、下記式(*2)で示したとおり、被処理水のSS濃度と流量と時間の積を膜面積で除することで算出することができる。
単位面積あたりのケーキ量[g/m]=被処理水のSS濃度[g/m]×流量[m/s]×時間[s]/膜面積[m]・・・(*2)
上記式(*1)と上記式(*2)とから、式(*3)を得ることができる。
膜間差圧上昇速度=ケーキのろ過抵抗[Pa]/時間[s]=比抵抗α[m/g]×被処理水の粘度[Pa・s]×被処理水のSS濃度[g/m]×(被処理水のろ過流束)[m/s]・・・(*3)
すなわち、比抵抗αがわかれば、膜間差圧上昇速度を求めることができ、上述のとおり、予め設定した許容膜間差圧上昇値とによりろ過時間を算出することができる。
実験1〜3の結果により、式(*3)を用いて比抵抗αを算出したところ、α=6.8×1013[m/kg]であった。この値を用いて、ろ過流速を決めれば、原水SSに対して膜間差圧上昇速度が式(*3)より算出することができる。なお、今回αは実験機(膜ろ過モジュールを用いた現場試験)の結果から算出したが、実験機を用いなくても、ラボで算出してもよい。(定圧ろ過試験等)
これより、ろ過工程1サイクルあたりに許容される膜間差圧の上昇値(許容膜間差圧上昇値[kPa])を定めれば、原水SS濃度に対して許容膜間差圧上昇に至る時間を算出できる。この時間を空気洗浄(AS)運転時のろ過時間とする。
空気洗浄運転時のろ過時間[min]=許容膜間差圧上昇値[kPa]/膜間差圧上昇速度[kPa/min]・・・(*5)
次に、逆洗頻度を定めれば、上式により算出した空気洗浄運転時のろ過時間から稼働率を算出できる。また、ろ過流量とろ過時間、逆洗頻度から回収率を算出できる。
図9に原水SS濃度と空気洗浄運転時のろ過時間と回収率の関係を示す。表5に計算条件を示す。図9より、原水SSがわかれば空気洗浄運転時のろ過時間を算出することができる。
[実機での運転について]
(a)実機では原水濁度を測定することが多いが、濁度成分の性状によっては濁度/SS比は異なる。原水をサンプリングして濁度とSSを測定する。
(濁度/SS比)[度/(mg/L)]=原水濁度[度]/原水SS濃度[mg/L]
→原水SS濃度[mg/L]=原水濁度[度]/(濁度/SS比)[度/(mg/L)]
よって、
流入SS量=流量[L/min]×原水濁度[度]/(濁度/SS比)[度/(mg/L)]・・・(*6)
(b)比抵抗は実機に通水して、測定することもできるが、ラボ試験で簡易的に測定することができる。定圧ろ過試験を行い、ろ過速度の経時変化を測定する。単位膜面積あたりのろ過速度[m/m/s]の逆数[s/m]を単位膜面積あたりのろ液量[m/m]に対してプロットする。Ruthのろ過式より、プロットした傾きからケーキのろ過比抵抗α[m/mg]を算出することができる。
(c)式(*3)より、原水濁度に応じて膜間差圧上昇速度を算出することができる。これにより、ろ過工程1サイクルあたりの許容膜間差圧上昇値[kPa]を定めれば、原水SS濃度に対して許容膜間差圧上昇に至る時間を算出できる。この時間をろ過工程のろ過時間とし、このろ過時間の経過後に気体洗浄を行えばよい。
[実験5]
実験1〜3で用いたベントナイトAとは濁度/SS比が異なるベントナイトBを用いて、濁度500度(SS:1000mg/L)の通水試験を行った。ベントナイトBの濁度/SS比は2であった。比抵抗は同じベントナイトであるからベントナイトAと同じ6.8×1013m/kgとした。許容膜間差圧上昇値は10kPaとした。この条件での原水SSと空気洗浄(AS)運転時ろ過時間と回収率の関係(2.0m/d)を図10に示す。実験5では原水SSが1000mg/Lであるから、図10よりろ過時間を5分に設定した。図11に通水結果を示す。1サイクルあたりの差圧上昇は想定した10kPa程度であり、安定的に運転できることが確認できた。これにより、本手法の有効性が示された。
[実験6]
ベントナイトBによる高濁度模擬水を用いて、濁度700度(SS:1400mg/L)で通水試験を行った。許容膜間差圧上昇値が20kPaでの、原水SSと空気洗浄(AS)運転時ろ過時間の関係を図12に示す。許容膜間差圧上昇値を20kPaに設定し、SS1400mg/Lに対するろ過時間を7.5分とした。通水結果を図13に示す。想定した1サイクルあたりの差圧上昇は20kPaであるが、実際には30kPa程度差圧上昇が確認された。これは、懸濁物質が膜面上に堆積し、圧密されたためであると考えられる。一方で、空気洗浄により急激な差圧上昇を抑制でき、さらに逆洗を行うことにより初期近傍の圧力まで回復できることが確認された。
表6に、実施例1の運転条件と結果をまとめる。許容膜間差圧上昇値は、実験条件の原水SSに対する空気洗浄(AS)運転ろ過時間から計算される差圧上昇値を示した。例えば、原水SS2000mg/L(2kg/m)に対して、2m/d(2.3×10−5m/s)で5分運転した場合、式(*3)より、ケーキ抵抗[Pa]=6.8×1013[m/kg]×0.000892[Pa・s]×2[kg/m]×5×60[s]×(2.3×10−5[m/s]≒20kPaとなる。空気洗浄回復性は、逆洗間における空気洗浄後の差圧をプロットし、この傾きが5kPa/h以下を◎、5〜10kPa/hを○、10kPa/h以上を△と示した。逆洗回復性は逆洗後の差圧が初期圧に対して+5kPa以下である場合に○とした。
これより、許容膜間差圧上昇と空気洗浄回復性の結果から、25kPa以下の範囲において安定運転できることが確認できた。より好ましくは、20kPa未満に設定し、さらに好ましくは10kPa以下に設定することにより、安定的に運転できた。
このように、外圧式中空糸膜モジュールを用いるろ過処理において、被処理水について予め求めた膜間差圧上昇速度と、ろ過工程における許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定したタイミングで気体洗浄を行うことにより、処理水の回収率の低下を抑制するとともに、安定運転を行うことができた。
1 供給水弁、2 ろ過水弁、3 上部排水弁、4 下部排水弁、5 逆洗入口弁、6 上部空気弁、7 下部空気弁、8,9,16,17,18,19,62,64,66 ポンプ、10,52 原水槽、11,54 凝集槽、12,58 処理水槽、13 ベントナイト貯槽、14 pH調整剤貯槽、15 凝集剤貯槽、20,21,22 撹拌装置、23,60 コンプレッサ、24 pHセンサ、30,56 膜モジュール、50 ろ過処理装置、68 原水配管、70 原水供給配管、72 凝集処理水配管、74 ろ過処理水配管、76 処理水配管、78 逆洗水配管、80,90 気体供給配管、82 凝集剤供給配管、84 pH調整剤供給配管、86 下部排水管、88 上部排水管。

Claims (6)

  1. 外圧式中空糸膜モジュールを用いて懸濁物質を含み、濁度が50度以上の被処理水のろ過処理を行うろ過工程の後、前記外圧式中空糸膜モジュールへの前記被処理水の送液を停止させて、前記外圧式中空糸膜モジュールの一次側のみから気体のみを導入して中空糸膜を洗浄する工程を含む気体洗浄工程を行い、その後、前記ろ過工程に戻る、第1のサイクルと、
    前記ろ過工程を行った後、前記ろ過工程で得られた処理水の少なくとも一部を前記外圧式中空糸膜モジュールの二次側から導入して前記中空糸膜を洗浄する逆洗工程を行い、その後、前記ろ過工程に戻る、第2のサイクルと、
    を含み、
    前記第1のサイクルを複数回行った後、前記第2のサイクルを行うことを特徴とする膜の洗浄方法。
  2. 請求項1に記載の膜の洗浄方法であって、
    前記気体洗浄工程を行うタイミングを、被処理水について予め求めた前記ろ過工程における膜間差圧上昇速度と、許容膜間差圧上昇値とに基づいて決定することを特徴とする膜の洗浄方法。
  3. 請求項2に記載の膜の洗浄方法であって、
    前記膜間差圧上昇速度を、下記式(1)に基づいて決定することを特徴とする膜の洗浄方法。
    膜間差圧上昇速度=(被処理水が膜面に形成されたケーキを通過する際の、単位ケーキ量あたりの抵抗)×(被処理水の粘度)×(被処理水のSS濃度)×(被処理水のろ過流束) (1)
  4. 請求項3に記載の膜の洗浄方法であって、
    前記単位ケーキ量あたりの抵抗αを、定圧ろ過試験における下記に示すルースのろ過式に基づいて決定することを特徴とする膜の洗浄方法。
    抵抗α[m/g]=ろ過定数K[s/m]×ろ過抵抗[Pa]/(被処理水の粘度[Pa・s]×SS濃度[g/m])
  5. 請求項3または4に記載の膜の洗浄方法であって、
    前記被処理水のSS濃度を、前記被処理水の濁度に基づいて決定することを特徴とする膜の洗浄方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の膜の洗浄方法であって、
    前記ろ過工程の前に前記被処理水に凝集剤を添加する凝集処理を行うことを特徴とする膜の洗浄方法。
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