JP3647636B2 - 冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 - Google Patents
冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3647636B2 JP3647636B2 JP03251798A JP3251798A JP3647636B2 JP 3647636 B2 JP3647636 B2 JP 3647636B2 JP 03251798 A JP03251798 A JP 03251798A JP 3251798 A JP3251798 A JP 3251798A JP 3647636 B2 JP3647636 B2 JP 3647636B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hot water
- hollow fiber
- fiber membrane
- cold
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、1つのビルディング等の冷暖房のみならず、近隣の複数のビルディングの冷暖房を一括して行うことが可能な冷暖房方式として、循環冷熱水による地域冷暖房システムの導入が進んでいる。循環冷熱水による冷暖房システムとは、例えば電力で稼働するヒートポンプなどを使用して、多量の熱水と冷水とを作って蓄熱槽に貯留し、暖房が必要なところへは熱水を、冷房が必要なところへは冷水を供給して冷暖房を行い、使用により温度の低下した熱水および温度の上昇した冷水をそれぞれ回収し、ヒートポンプなどによって所定の温度の冷熱水にして再度使用するシステムのことである。上記の熱水の温度としては40〜50℃、冷水の温度としては5〜10℃のものを用いることが一般的とされている。
【0003】
この冷暖房システムでは、配管に由来した金属酸化物や水に混入した細菌によって循環冷熱水の汚染が起こることが知られている。例えば、循環冷熱水と室内の空気との間での熱交換が行われる熱交換器には熱伝導性の良好な銅管が使用されているが、銅管は鉄サビなどの金属酸化物の影響により腐食を受けることが知られている。また、金属酸化物に由来したスケールの付着により熱効率の低下が生じる場合がある。さらに、循環冷熱水中に存在する細菌類によっても同様に、銅管の腐食や熱効率の低下が生じる場合がある。
【0004】
金属酸化物や細菌類の発生を防ぐ対策として、従来、防食剤、防錆剤、殺菌剤などの化学薬品を循環冷熱水に添加することが知られている。また、生成した金属酸化物や細菌類を除去するために、ワインドタイプやプリーツタイプのフィルターにより循環冷熱水を濾過することが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
防食剤、防錆剤、殺菌剤などの化学薬品を添加した場合、ある程度の浄化効果は認められるものの、完全に金属酸化物の発生や細菌の増殖を抑制することは不可能である。さらに近年の防災意識の向上に伴い、該循環冷熱水を緊急時の飲料水として使用したいとの要望が高まっており、化学薬品を添加することは好ましくないといえる。また、ワインドタイプやプリーツタイプのフィルターにより循環冷熱水を濾過して、混入した金属酸化物などを除去する方法では、必ずしも満足できる分離精度が得られず、さらに、該フィルタが目詰まりすることにより頻繁にフィルタを交換することが必要になることが知られている。
【0006】
本発明の目的は、冷暖房用循環冷熱水中の金属酸化物、細菌類などの不純物を効率的に除去することが可能な冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそのために使用する浄化装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の浄化方法は、循環することにより冷房または暖房に供される冷水または熱水を中空糸膜モジュールに原液として加圧した状態で導入し、該原液に含まれる微粒子を中空糸膜によって濾過し、濾過時に中空糸膜によって捕捉された微粒子を物理的方法により剥離させ、該剥離した微粒子を原液とともに濾過系外に排出することを特徴とする。中空糸膜モジュールでの濾過速度は、中空糸膜の有効膜面積1m2あたり30〜150リットル/時の範囲内であることが好ましい。
【0008】
ここで、物理的洗浄方法による捕捉微粒子の剥離とは、(1)中空糸膜の原液側から気体が放出される圧力よりも小さい圧力の気体を濾液側に導入して加圧工程を行い、該加圧の開始と同時または該加圧を所定時間行った後に、気泡による中空糸膜の洗浄を所定時間実施する方法、(2)ポンプを用いて透過液を濾液側に導入する透過液逆洗浄法、(3)中空糸膜の原液側から気体が放出される圧力よりも大きい圧力の気体を濾液側に導入し、原液側に気体を噴出させる気体逆洗浄法、(4)ドレン排出と満水とを繰り返して中空糸膜表面および中空糸膜モジュール内部の洗浄を行う方法、(5)フラッシング洗浄などを意味する。なお、物理的洗浄方法の種類は、使用する中空糸膜モジュールの特性に応じて適宜選択することが可能である。
【0009】
本発明による冷暖房用循環冷熱水の浄化装置は、冷房または暖房に供される冷水または熱水を循環させる循環配管と、冷水または熱水を貯留する蓄熱槽とを有する循環冷熱水による冷暖房システムとともに使用される装置であって、
(1)冷水または熱水を冷房または暖房を要する箇所に供給する送液ポンプの出口付近に設けられ、中空糸膜モジュールに接続された冷熱水用原液配管と、
(2)当該原液配管から冷水または熱水が原液として加圧状態でそれぞれ導入される中空糸膜モジュールと、
(3)濾過によって当該中空糸膜モジュールに捕捉された微粒子を物理的洗浄方法により剥離させる機構と、
(4)冷水または熱水の濾過により得られた濾液を、蓄熱槽または循環配管に返送する濾液配管とを備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、当該冷暖房システムは、冷水を循環させる冷水用循環配管および熱水を循環させる熱水用循環配管と、冷水を貯留する冷水蓄熱槽および熱水を貯留する熱水蓄熱槽とを有するシステムとすることができ、このシステムであれば、中空糸膜モジュールと、これに接続される原液配管および濾液配管と、物理的洗浄機構とを、冷水循環側および熱水循環側に各別に設ければよい。また、当該冷暖房システムは冷水循環系および熱水循環系のいずれか一方のみを有するものでもよく、さらに、後述するように、1つの系を冷水用と熱水用とに切り替えて使用してもよい。なお、上記の中空糸膜モジュールを構成する中空糸膜の平均孔径は0.2μm以下であることが、細菌類を完全に除去するために好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の冷暖房用循環冷熱水の浄化方法で使用される浄化装置について図面を用いて説明する。本発明による冷暖房用循環冷熱水の流れを図1に模式的に表す。図1において、ヒートポンプAによって熱交換が行われ、所定の温度の熱水および冷水(一般的には40〜50℃の熱水および5〜10℃冷水)が作られ、それぞれ熱水蓄熱槽1および冷水蓄熱槽2に貯留される。暖房が必要な箇所(例えば、あるビルディング)には、この冷暖房システムの熱水蓄熱槽1から熱水送液ポンプ3によって熱水が送液される。この熱水は、暖房機4によって熱交換されて冷却された後にヒートポンプAに返送され、ヒートポンプAによって再度所定の温度の熱水にされる。一方、冷房が必要な箇所(例えば、他のビルディング)には、この冷暖房システムの冷水蓄熱槽2から冷水送液ポンプ5によって冷水が送液される。この冷水は、冷房機6によって熱交換されて加温された後にヒートポンプAに返送され、ヒートポンプAによって再度所定の温度の冷水にされる。
【0012】
ここで、上記の熱水蓄熱槽1および冷水蓄熱槽2の容量は等しくなくてもよく、冷水および熱水の必要量に応じて各容量を適宜設定することができる。また、冷房および暖房の必要量は季節により異なるため、熱水蓄熱槽1および冷水蓄熱槽2の容量を可変とすることが有効である。例えば、蓄熱槽用のタンクを10個用意し、各タンクをまとめ、流路が接続可能な構成としておき、冷水および熱水のそれぞれの必要比率に応じて、冬季には例えば8個を暖房用、2個を冷房用に使用し、逆に夏期には2個を暖房用、8個を冷房用に使用するような方法で冷暖房システムを運転することが可能である。
【0013】
本発明において提供される冷暖房用循環冷熱水の浄化装置は、上記説明した冷水および熱水を中空糸膜により濾過するものである。熱水を浄化する場合、熱水送液ポンプ3の後部にある熱水用原液配管7から熱水の一部が取り出され、濾過装置8へ熱水が供給される。濾過装置8で濾過された濾液は、図1に示すように濾液配管9により熱水蓄熱槽1に直接返送されるか、あるいは熱水送液配管に返送される。同様に、冷水を浄化する場合は、冷水送液ポンプ5の後部にある冷水用原液配管10から冷水の一部が取り出され、濾過装置11へ冷水が供給される。濾過装置11で濾過された濾液は、濾液配管12により冷水蓄熱槽2に直接返送されるか(図1)、あるいは冷水送液配管に返送される。
【0014】
次に、本発明で用いられる濾過装置の一例を図2により説明する。図2に本発明における濾過装置として使用される中空糸膜モジュールの一例の概略断面図を示す。この濾過装置において、中空糸膜エレメント16が収納された濾過装置(中空糸膜モジュール)13は、上部が濾液側B、下部が原液側Cになるように仕切板14によって仕切られている。仕切板14には、中空糸膜エレメント16が収められた保護円筒15が中空糸膜エレメント16に対応した数だけ取り付けられている。濾液側Bには濾液出口17および加圧気体導入口18が設けられており、原液側Cには原液導入口19、気体排出口20、気体導入口21および原液排出口22が設けられている。本発明では、熱水側および冷水側にそれぞれ濾過装置が設けられる。熱水側では所定の配管により熱水送液ポンプ3の出口付近に原液導入口19が接続され、濾液出口17が所定の配管により熱水蓄熱槽9または熱水送液配管に接続され、冷水側では所定の配管により冷水送液ポンプ5の出口付近に原液導入口19が接続され、濾液出口17が所定の配管により冷水蓄熱槽12または冷水送液配管に接続される。
【0015】
次いで、本発明の浄化装置の運転方法の一例を、外圧全濾過方式を例として図3にしたがって説明する。全てのバルブを閉じた状態から、気体排出口バルブ26、原液導入口バルブ23および濾液出口バルブ25を開き、濾過装置27の原液側Dに原液を導入し、気体排出口バルブ26から原液が溢れた後、気体排出口バルブ26を閉じて濾過を開始する。濾過時間の経過に伴い中空糸膜エレメント28の膜表面には金属酸化物や細菌類などが付着し、濾過能力が低下するため、続いて、中空糸膜を洗浄する。すなわち、濾過工程で開いている原液導入口バルブ23および濾液出口バルブ25を閉じて濾過を停止し、次いでエアーコンプレッサー31を作動させながら気体排出口バルブ26および加圧気体導入口バルブ24を開き加圧気体を濾過装置27の濾液側Dに導入して加圧工程を行う。この際、原液側Dおよび中空糸膜内の濾液が中空糸膜の壁面を通じて原液側Eに押し出され、気体排出口バルブ26より外部へ排出される。さらに、該加圧工程開始と同時または該加圧工程を所定時間行った後、気体導入口バルブ30を開き、気泡による洗浄を所定時間実施する。上述した洗浄工程終了後、気体導入口バルブ30を閉じ、原液排出口バルブ29を開いてドレンを排出した後、濾過工程へ戻る。
【0016】
図4に、図3に例示した濾過装置の基本的な運転方法について、各工程と作動バルブの開閉との相関を示す。ここで、図4中、丸印が付されているときに当該バルブが開いていることを意味する。この基本的な運転方法に加えて、ドレン排出と満水とを繰り返すことにより、中空糸膜表面および中空糸膜モジュール内部の洗浄を行う工程、フラッシング洗浄工程など、必要に応じて他の工程を追加することも可能である。
【0017】
本発明で使用される中空糸膜としては、ポリビニルアルコール系樹脂により親水化処理されたポリスルホン系樹脂、親水性高分子が添加されたポリスルホン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、親水化処理されたポリエチレン系樹脂などの親水性素材からなるものが、高い親水性を有するためにSS成分の難付着性、付着したSS成分の剥離性に優れている点で好ましいが、他の素材で構成された中空糸膜を用いることもできる。例えば、ポリオレフィン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、エチレン−ビニルアルコール共重合体系、ポリアクリロニトリル系、酢酸セルロース系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリパーフルオロエチレン系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリエステル系、ポリアミド系などの有機高分子系の素材で構成された中空糸膜、セラミックス系などの無機系の素材で構成された中空糸膜などを使用条件、所望する濾過性能などに応じて選択することができる。ここで、ポリビニルアルコール系樹脂により親水化処理されたポリスルホン系樹脂、親水性高分子が添加されたポリスルホン系樹脂またはポリビニルアルコール系樹脂からなる中空糸膜は、上記した親水性に優れるのみならず、耐熱性にも優れることから、循環熱水の濾過を安定的に行えることから、特に好ましい。有機高分子系の素材を使用する場合、30モル%以内の量で他成分を共重合したもの、または30重量%以内の量で他の素材をブレンドしたものであってもよい。
【0018】
有機高分子系の中空糸膜を使用する場合、中空糸膜の製造方法は特に限定されることはなく、素材の特性および所望する中空糸膜性能に応じて、公知の方法から適宜選択した方法を採用することができる。一般的には溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法などが採用される。
【0019】
本発明で使用される中空糸膜の孔径は特に限定されないが、0.001μm〜1μmの範囲内であることが高い透水性を有し、濾過効率が低下するおそれが小さいことから好ましく、濾過により細菌類を完全に除去可能な0.2μm以下であることが特に好ましい。ここでいう平均孔径とは、コロイダルシリカ、エマルジョン、ラテックスなど粒子径が既知の各種基準物質を中空糸膜で濾過した際、その90%が排除される基準物質の粒子径をいう。孔径は均一であることが好ましい。限外濾過膜であれば、上記のような基準物質に基づいて、孔径を求めることは不可能であるが、分子量が既知の蛋白質を用いて同様の測定を行ったときに、分画分子量として3000以上であることが好ましい。
【0020】
中空糸膜の力学的性質およびモジュールとしての膜面積の観点から、中空糸膜繊維の外径は200〜3000μmの範囲内に設定することが好ましく、500〜2000μmの範囲内であることがより好ましい。同様に中空糸膜の厚さは50〜700μmの範囲内にあることが好ましく、100〜600μmの範囲内であることがより好ましい。
【0021】
本発明において、該中空糸膜はモジュール化されて濾過に使用される。濾過方法、濾過条件、洗浄方法などに応じてモジュールの形態を適宜選択することができ、例えば数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。本発明の中空糸膜モジュールとして、中空糸繊維束の一端を1本ずつフリー状態で封止した「片端フリー」タイプのモジュールを採用することが、先に図3を用いて説明したようなバブリング洗浄および気体逆洗浄による膜表面洗浄効果が極めて高くなり、さらに剥離したSS成分の排出が効率的に行われることから、特に好ましい。
【0022】
本発明において、中空糸膜は単数または複数の中空糸膜エレメントに収納され、この中空糸膜エレメントは筐体内に固定されるが、この固定の方法は特に限定されるものではない。例えば中空糸膜エレメントを筐体に接着しても良く、カートリッジ型中空糸膜エレメントを筐体に金具などで固定しても良い。
【0023】
本発明の浄化方法は、上記したような物理的洗浄方法による中空糸膜の洗浄を必須の工程として有するが、濾過後または逆洗浄後に中空糸膜を薬液洗浄して、中空糸膜に付着した有機物、無機物などを溶解除去することもできる。ここで、薬液洗浄の方法としては、有機物、無機物などを除去するために水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリで処理する方法、金属類を除去するために酸水溶液などの酸で処理する方法、洗浄剤で処理する方法、これらを組み合わせて連続的に行う方法などがあり、これによって中空糸膜の再生が可能である。
【0024】
これまでに述べてきた濾過工程、物理的方法による洗浄工程、薬液洗浄工程などの一連の操作は、シーケンスコントロールにより自動的に行うようにすることができる。例えば一定時間濾過を行った後、気体による加圧および気泡による膜表面洗浄を1回ないし数回実施し、次いで、必要に応じて1回ないし数回水洗を行い、その後薬液洗浄を行うという一連の洗浄工程をシーケンスコントロールにより自動的かつ連続的に行い、濾過と中空糸膜および濾過ラインの洗浄工程とを交互に繰り返しながら長期間安定的に運転を継続することが可能である。また、濾過工程と洗浄工程とをシーケンスコントロールにより連続的に繰り返し、目詰まりが大きくなった時点で手動により逆洗浄する、いわゆるセレクトスイッチ方式で長期間安定的に運転を継続することも可能である。
【0025】
本発明の浄化方法の中核をなす中空糸膜モジュールでの濾過速度は、原水となる循環冷熱水の汚染度、温度などの要因に大きく依存するが、中空糸膜の有効膜面積1m2あたり30〜150リットル/時の範囲内であることが好ましく、50〜100リットル/時の範囲内であることがより好ましい。濾過速度を低く設定した場合、目詰まりが生じにくいため、濾過寿命が長くなる点では好ましいが、設置スペースおよび装置コストの面で問題が生じる場合がある。一方濾過速度を高く設定した場合、設置スペースおよび装置コストの点では好ましいが、目詰まりが早期に進行するため濾過寿命の点で問題が生じるおそれがある。
【0026】
本発明の浄化方法による循環冷熱水の浄化量は、原水となる循環冷熱水の汚染度、希望する浄化程度などの要因により、適宜設定することができる。すなわち完璧な浄化を希望するのであれば、循環冷熱水の全量を浄化装置で処理すればよいが、この場合には装置が非常に大きくなるという問題点が生じる。一般に、スケールおよびスライム低減効果の点では、1日〜1週間程度で全量を処理可能な規模の浄化装置を設置することが好ましい。
【0027】
本発明による浄化措置は、図1に模式的に示すように、熱水と冷水の循環ラインにそれぞれ設置することが好ましいが、配管をバルブなどで切り替えることにより、1基の浄化装置で熱水および冷水の双方を交互に浄化する方式を採用してもよい。また、図1では、熱水循環ラインおよび冷水循環ラインを有する装置を示したが、本発明が利用される冷暖房システムは、熱水または冷水のいずれか一方のみの循環ラインを有するものでもよい。例えば、図1ではヒートポンプを利用した冷暖房システムを示したが、夜間の安価な電気を利用して夜間のうちに水から氷を作っておき、昼間この氷から冷水を作り、この冷水を循環させる冷房システム(氷蓄熱空調システム)に上記説明した通りの浄化装置を取り付けても良い。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。以下の実施例の結果から、本発明によれば、長期間安定した冷暖房用循環冷熱水の浄化が可能であることが明らかである。
【0029】
電力で稼働するヒートポンプにより50℃の熱水および5℃の冷水を作り、蓄熱槽の総容量が1500トンであって、熱水と冷水との比が1:1である地域冷暖房システムにおいて、熱水送液ポンプ出口から熱水を20トン/時で取り出し、中空糸膜モジュールを使用し、外圧全濾過方式、流量10トン/時の条件で定流量濾過を行った。中空糸膜モジュール内の中空糸膜は、ポリビニルアルコールにより表面親水化処理されたポリスルホン系樹脂からなり、平均孔径が0.1μm、膜面積が7.0m2である。「片端フリー」タイプの該中空糸膜で構成された中空糸膜モジュールが37本収納された総膜面積266m2の濾過装置の洗浄は、24時間に1回、中空糸膜モジュールの濾液側に、圧力2.0kg/cm2の空気を導入することにより60秒間加圧操作し、次いで中空糸膜モジュールの原液側の下部から、圧力1.0kg/cm2の空気を22200ノルマルリットル/時の流量で1分間噴出させ、その後原液側の液体を全量排出することにより行った。上記の条件で1年間連続運転したが、膜間差圧は常時0.5kg/cm2以下で安定しており、この間に配管の腐食は認められなかった。1年間連続運転後、配管中のスケール付着状況を確認したところ、状態は非常に良好であった。また、全期間を通じて濾液中の鉄分、一般細菌数および大腸菌群数は飲料水の水質基準を満たしていた。
【0030】
比較例1
上記の実施例において、本発明による浄化装置を使用せず地域冷暖房システムを稼働させた。2ヶ月経過後には暖房効率の低下が認められ、3ヶ月経過時点で運転を停止し、配管内を調査したところ、多量のスケールが付着しており、さらに銅管部分には腐食が発生していたため、銅管の更新が必要であった。また、循環熱水中の鉄分および一般細菌数は飲料水の水質基準を越えていた。
【0031】
比較例2
実施例1において、中空糸膜を用いた濾過装置の代わりに、公称孔径が1μmで長さ75cmの糸巻きフィルターが12本ケーシング内に収納された濾過装置を使用して、流量10トン/時の条件で冷暖房用循環熱水の濾過を行ったところ、6日経過時点でフィルターの目詰まりによる流量低下が生じ、フィルターの全量交換が必要であった。その後1年間運転を継続したが、平均7日周期でフィルターの交換が必要であった。また、濾液中の鉄分および一般細菌数は飲料水の水質基準を越えていた。
【0032】
【発明の効果】
本発明の冷暖房用循環冷熱水の浄化方法によれば、冷暖房用冷熱水中の金属酸化物、細菌類などの不純物を高精度で除去可能であり、金属酸化物によるスケール付着や細菌類によるスライム生成を回避することが可能であることから、スケールやスライムに起因する配管の腐食や熱効率の低下を防止することが可能となる。また、本発明によれば、金属酸化物や細菌類などを物理的に除去可能であることから、従来添加されている防食剤、防錆剤、殺菌剤などの化学薬品の添加量低減が可能となる。本発明により、配管寿命の延長、熱効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が利用された循環冷熱水による冷暖房システムの模式図である。
【図2】本発明で用いられる中空糸モジュールの一例の概略断面図である。
【図3】本発明による浄化装置の運転方法の一例を示す図である。
【図4】図3に示した濾過装置の基本的な運転方法を示す図である。
【符号の説明】
1:熱水蓄熱槽
2:冷水蓄熱槽
3:熱水送液ポンプ
4:暖房機
5:冷水送液ポンプ
6:冷房機
7,9,10,12:配管
8,11,13,27:濾過装置(中空糸モジュール)
Claims (5)
- 循環することにより冷房または暖房に供される冷水または熱水を中空糸膜モジュールに原液として加圧した状態で導入し、該原液に含まれる微粒子を中空糸膜によって濾過し、濾過時に中空糸膜によって捕捉された微粒子を物理的洗浄方法により剥離させ、該剥離した微粒子を原液とともに濾過系外に排出することを特徴とする冷暖房用循環冷熱水の浄化方法。
- 中空糸膜モジュールでの濾過速度が、中空糸膜の有効膜面積1m2あたり30〜150リットル/時の範囲内である請求項1記載の冷暖房用循環冷熱水の浄化方法。
- 冷房または暖房に供される冷水または熱水を循環させる循環配管と、冷水または熱水を貯留する蓄熱槽とを有する循環冷熱水による冷暖房システムとともに使用される浄化装置であって、
冷水または熱水を冷房または暖房を要する箇所に供給する送液ポンプの出口付近に設けられ、中空糸膜モジュールに接続された冷熱水用原液配管と、
当該原液配管から冷水または熱水が原液として加圧状態でそれぞれ導入される中空糸膜モジュールと、
濾過によって当該中空糸膜モジュールに捕捉された微粒子を物理的洗浄方法により剥離させる機構と、
冷水または熱水の濾過により得られた濾液を、蓄熱槽または循環配管に返送する濾液配管とを備えたことを特徴とする冷暖房用循環冷熱水の浄化装置。 - 冷水を循環させる冷水用循環配管および熱水を循環させる熱水用循環配管と、冷水を貯留する冷水蓄熱槽および熱水を貯留する熱水蓄熱槽とを有する循環冷熱水による冷暖房システムとともに使用される浄化装置であって、中空糸膜モジュールと、これに接続される原液配管および濾液配管と、物理的洗浄機構とが、冷水循環側および熱水循環側に各別に設けられた請求項3記載の冷暖房用循環冷熱水の浄化装置。
- 中空糸膜モジュールを構成する中空糸膜の平均孔径が0.2μm以下である請求項3記載の冷暖房用循環冷熱水の浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03251798A JP3647636B2 (ja) | 1998-02-16 | 1998-02-16 | 冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03251798A JP3647636B2 (ja) | 1998-02-16 | 1998-02-16 | 冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11226363A JPH11226363A (ja) | 1999-08-24 |
JP3647636B2 true JP3647636B2 (ja) | 2005-05-18 |
Family
ID=12361171
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03251798A Expired - Lifetime JP3647636B2 (ja) | 1998-02-16 | 1998-02-16 | 冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3647636B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5743490B2 (ja) * | 2010-10-27 | 2015-07-01 | オルガノ株式会社 | 水処理システム及び水処理方法 |
CN103209928B (zh) * | 2010-10-27 | 2015-08-05 | 奥加诺株式会社 | 水处理系统和水处理方法 |
JP5743489B2 (ja) * | 2010-10-27 | 2015-07-01 | オルガノ株式会社 | 水処理システム |
JPWO2014128850A1 (ja) * | 2013-02-20 | 2017-02-02 | 積水化学工業株式会社 | 水処理方法及び水処理装置 |
JPWO2014128851A1 (ja) * | 2013-02-20 | 2017-02-02 | 積水化学工業株式会社 | 水処理方法及び水処理装置 |
JP6616593B2 (ja) * | 2015-06-10 | 2019-12-04 | オルガノ株式会社 | 膜の洗浄方法 |
-
1998
- 1998-02-16 JP JP03251798A patent/JP3647636B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11226363A (ja) | 1999-08-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN101830592B (zh) | 含镍清洗废水回用处理系统 | |
EP1985589B1 (en) | Water purifying apparatus | |
KR101199434B1 (ko) | 폐수의 열회수장치 | |
JP3647636B2 (ja) | 冷暖房用循環冷熱水の浄化方法およびそれに使用する浄化装置 | |
JPH0255098B2 (ja) | ||
JP4402969B2 (ja) | ろ過器 | |
RU2199377C1 (ru) | Мембранная установка для разделения растворов | |
JP6206204B2 (ja) | 逆洗型ろ過装置およびプレート式熱交換器 | |
RU22434U1 (ru) | Установка для разделения растворов | |
JP2011056340A (ja) | 膜ろ過システム | |
JP2005313034A (ja) | 給水システム | |
CN214597243U (zh) | 一种闪蒸罐节水装置及系统 | |
CN211226474U (zh) | 滤芯清洗系统及净水装置 | |
CN216395914U (zh) | 一种反渗透装置的双向清洗系统 | |
CN216106331U (zh) | 一种ro水处理自动化控制系统 | |
CN211346506U (zh) | 一种板式换热器清洗装置 | |
CN218025735U (zh) | 一种双水源净水机 | |
CN100416188C (zh) | 中央空调水过滤排污装置 | |
JP2000093769A (ja) | 中空糸膜の洗浄方法及び循環水浄化方法 | |
CN218860393U (zh) | 一种自动清洗净水设备 | |
CN207356708U (zh) | 一种用于废铅酸蓄电池废酸处理的多介质陶瓷膜过滤系统 | |
CN220012168U (zh) | 含氨冷凝液过滤器 | |
CN220548132U (zh) | 抛光液自动供液系统 | |
JPH1028848A (ja) | 蓄熱水の濾過方法及び蓄熱水濾過用膜モジュールエレメント | |
JP3518858B2 (ja) | 上水膜ろ過装置の凍結防止方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040928 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050118 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050209 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140218 Year of fee payment: 9 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |