JP6615943B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶に搭載される舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射に適用される燃料噴射弁に関するものである。
従来、船舶の分野においては、舶用ディーゼルエンジンの機関内燃焼の際に生成される窒素酸化物(NOx)を低減する手法として、シリンダ内の燃焼室に燃料および水を同一の燃料噴射弁から噴射することが有効とされている。例えば、特許文献1には、弁本体内の水路から注水逆止弁を通った高圧の水を燃料油路内の燃料中に注入し、シリンダ内の燃焼室に対して、1サイクルの噴射で燃料および水を燃料−水−燃料の順となるよう3段階に噴射する燃料噴射弁が提案されている。
特開平6−66217号公報
ところで、上述したようにシリンダ内の燃焼室に対して燃料および水を交互に噴射する水噴射技術においては、舶用ディーゼルエンジンの燃費性能およびNOx低減性能を改善するという観点から、燃焼室に対する燃料および水の1サイクルの噴射を、複数の燃料層と注水層とが交互に並ぶ4段階以上の噴射とすることが好ましい。なお、燃料層は、1サイクルの噴射に際して燃料油路内に形成された燃料の層である。注水層は、この燃料油路内の燃料層中に注入された水の層である。
また、このような燃料層および注水層の4段階以上の噴射において、燃料油路内で注水層間に挟まれる燃料層の燃料量(以下、注水層間の燃料量という)は、舶用ディーゼルエンジンの安定した性能を確保する等の観点から、極めて重要な因子である。すなわち、燃焼室に対する1サイクルの噴射で、燃料噴射弁の噴孔から数えて1層目の燃料層(第1燃料層)、1層目の注水層(第1注水層)、2層目の燃料層(第2燃料層)、2層目の注水層(第2注水層)、および3層目の燃料層(第3燃料層)が、この順に噴射される場合、第1注水層と第2注水層との間に挟まれる第2燃料層の燃料量(注水層間の燃料量)は、燃焼室への1サイクル当りの燃料の噴射量(以下、燃料噴射量という)に対して所定の割合となっていることが好ましい。この条件を満足するためには、一般に、燃料油路内に対して第1注水層になる水を注入するための水路の注水逆止弁と第2注水層になる水を注入するための水路の注水逆止弁とを、注水層間の燃料量が適量となるように互いに離間させて配置する。
しかしながら、特許文献1に例示される従来の燃料噴射弁では、注水層間の燃料量が上記の条件を満足するように各注水逆止弁を互いに離間させて燃料噴射弁に内蔵しようとすると、多くの場合、燃料噴射弁が長手方向に大型化(長尺化)してしまう。
なお、各注水逆止弁間の離間距離を確保するためには、第1注水層に対応する注水逆止弁を燃料噴射弁に内蔵し、第2注水層に対応する注水逆止弁を燃料噴射弁に配管等を介して外付けする手法も考えられる。しかしながら、この手法では、舶用ディーゼルエンジンの運転に伴うシリンダおよび燃料噴射弁等の振動に起因して、燃料噴射弁と外付けの注水逆止弁との接合強度(機械的信頼性)が低下する恐れがある。故に、燃料噴射弁においては、上記各注水逆止弁を内蔵した構造とすることが好ましい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、内蔵される各注水逆止弁間の好適な離間距離を確保するとともに、構造の大型化を抑制することができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃料噴射弁は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室へ燃料および水を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、燃料噴射ポンプから圧送された前記燃料を流通させる燃料油路と、一端が前記燃料油路に通じ且つ他端が前記噴孔に通じる先端油路と、前記先端油路を開閉可能に閉塞する針弁と、前記先端油路を閉塞するように前記針弁を前記噴孔側に付勢する針弁ばねと、前記燃料油路の所定の位置に水を注入するための第1の注水路と、前記燃料油路のうち前記第1の注水路よりも前記燃料の圧送方向上流側の位置に水を注入するための第2の注水路と、前記針弁ばねよりも前記噴孔側に配置され、前記第1の注水路を開閉可能に閉塞する第1の注水逆止弁と、前記針弁ばねを基準に前記噴孔とは反対側に配置され、前記第2の注水路を開閉可能に閉塞する第2の注水逆止弁と、を備え、前記第1の注水路内の水は前記第1の注水逆止弁の配置位置から前記燃料油路内に注入され、前記第2の注水路内の水は前記第2の注水逆止弁の配置位置から前記燃料油路内に注入されることを特徴とする。
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記第1の注水逆止弁および前記第2の注水逆止弁は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸の方向に同一軸上に配置されることを特徴とする。
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記第1の注水路は、前記第1の注水逆止弁を囲む環状に形成された環状注水路を有することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記燃料油路は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸を通るように配置されることを特徴とする。
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記燃料油路は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸から径方向に離間した位置に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、内蔵される各注水逆止弁間の好適な離間距離を確保するとともに、構造の大型化を抑制し得る燃料噴射弁を実現することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。 図2は、図1に示す燃料噴射弁のA−A線断面模式図である。 図3は、図1に示す燃料噴射弁のB−B線断面模式図である。 図4は、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。 図5は、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁を別の視点から見た一構成例を示す断面模式図である。 図6は、図4に示す燃料噴射弁のC−C線断面模式図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る燃料噴射弁の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。図2は、図1に示す燃料噴射弁のA−A線断面模式図である。図3は、図1に示す燃料噴射弁のB−B線断面模式図である。図1において、軸方向F1は、燃料噴射弁100の長手方向中心軸の方向である。本実施形態1では、燃料噴射弁100の構成を説明し易くするために、軸方向F1の正側は燃料噴射弁100の先端側とし、軸方向F1の負側は燃料噴射弁100の後端側とする。径方向F2は、燃料噴射弁100の径方向であり、燃料噴射弁100の長手方向中心軸に対して垂直な方向である。
本実施形態1に係る燃料噴射弁100は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ(図示せず)に取り付けられ、燃料噴射ポンプ(図示せず)から圧送された燃料と注水ポンプ(図示せず)から圧送された水とを当該シリンダ内の燃焼室へ順次噴射(例えば層状に噴射)するためのものである。図1に示すように、燃料噴射弁100は、先端に位置するノズル1と、ノズル1の後端側に位置する噴射弁本体11と、この噴射弁本体11の後端側に位置する噴射弁本体40とを備える。ノズル1と噴射弁本体11とは、ナット状のノズル締付金物10によって外周から締結されることにより、軸方向F1に連結した状態で固定されている。また、この噴射弁本体11と後端側の噴射弁本体40とは、ナット状の弁本体締付金物30によって外周から締結されることにより、軸方向F1に連結した状態で固定されている。
ノズル1は、燃料噴射弁100の先端部分を構成するものである。図1に示すように、ノズル1内には、軸方向F1に長手となる孔状の針弁収容部2が設けられる。この針弁収容部2内には、燃料噴射弁100の燃料油路と噴孔4との連通を開放可能に遮断する針弁6が摺動自在に収容される。針弁6内には、軸方向F1に長手となる針弁内油路7が設けられている。これら針弁収容部2の先端側と針弁6の先端側との間には、貯留部3が形成される。針弁6の先端には、針弁内油路7と貯留部3とを連通させる連通孔8が設けられている。また、ノズル1の先端側には、噴孔4および先端油路5が設けられる。先端油路5の一端は、燃料噴射弁100の燃料油路(具体的には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる針弁内油路7)に通じている。先端油路5の他端は、噴孔4に通じている。
噴射弁本体11は、先端側のノズル1と後端側の噴射弁本体40との間の中間部分を構成するものである。図1に示すように、噴射弁本体11内には、軸方向F1に長手となる孔状の逆止弁収容部12が設けられている。この逆止弁収容部12内には、燃料噴射弁100の第1の注水路に対応する注水逆止弁20が収容されている。本実施形態1において、第1の注水路は、燃料噴射弁100の燃料油路における所定の位置(図1に示す第1注水位置P1)に水を注入するための水路である。
注水逆止弁20は、燃料噴射弁100の第1の注水路を開閉可能に閉塞する逆止弁(第1の注水逆止弁)である。図1に示すように、注水逆止弁20は、弁体21と、弁座24と、逆止弁ばね26と、弁体受け部27とによって構成され、後述の針弁ばね50よりも噴孔4側に配置される。
弁体21は、図1に示すように、第1の注水路からの水の圧力を受ける受圧部23を有し、弁体受け部27内に摺動自在に収容される。受圧部23は、図1、2に示すように、弁体21の先端部近傍の外周に亘って環状に形成される。また、弁体21内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる弁体内油路22が設けられている。弁座24は、図1に示すように、弁体受け部27の先端部に締結等によって固定される。弁座24内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる弁座内油路25が設けられている。逆止弁ばね26は、図1に示すように、弁体21の後端部と弁体受け部27との間に配置される。逆止弁ばね26は、弁座24側に付勢する付勢力を弁体21に付与する。注水逆止弁20は、この逆止弁ばね26の付勢力を利用して、弁体21を弁座24に押し付け、これにより、燃料噴射弁100の燃料油路と第1の注水路との連通を開放可能に遮断する。
また、本実施形態1において、注水逆止弁20は、上記の逆止弁としての機能と、針弁6に針弁ばね50の付勢力を伝える押し棒としての機能とを兼ね備える。詳細には、図1に示すように、注水逆止弁20は、針弁6と針弁ばね50との間に介在する。例えば、注水逆止弁20は、弁体受け部27の後端部に針弁ばね50を受けるとともに、弁座24の先端部を針弁6の後端部に押し当てた状態となっている。注水逆止弁20は、逆止弁収容部12内において軸方向F1に摺動自在であり、針弁ばね50の付勢力を利用して、針弁6を先端油路5に押し付ける。また、注水逆止弁20は、貯留部3内の燃料の圧力を利用して先端油路5から離間する方向に摺動する針弁6とともに、針弁ばね50の付勢力に抗する方向(針弁ばね50を圧縮する方向)に摺動する。
また、図1に示すように、噴射弁本体11には柱状注水路72と環状注水路73、75と対称注水路74とが設けられ、注水逆止弁20の弁体受け部27には対称注水路76が設けられる。柱状注水路72は、柱状をなす水路であり、噴射弁本体11の後端部内に穿設される。環状注水路73は、弁本体締付金物30の内壁面と噴射弁本体11の外壁面との間の隙間によって構成され、例えば図1、2に示すように、注水逆止弁20(弁受け部27等)を囲む環状に形成される。対称注水路74は、注水逆止弁20の動作方向中心軸について軸対称に形成される水路である。本実施形態1では、図1、2に示すように、対称注水路74は、注水逆止弁20の動作方向中心軸の周りに等角度間隔で噴射弁本体11内に形成(穿設)される複数(例えば4つ)の水路からなる。環状注水路75は、例えば、噴射弁本体11の内周面(逆止弁収容部12の内壁面)に設けられた溝等によって構成される。環状注水路75は、図1、2に示すように、対称注水路74の出口端と対称注水路76の入口端との間に位置し、注水逆止弁20(弁受け部27等)を囲む環状に形成される。対称注水路76は、注水逆止弁20の動作方向中心軸について軸対称に形成され、注水逆止弁20(具体的には弁体21の受圧部23)と対向する吐出口を有する水路である。本実施形態1では、図1、2に示すように、対称注水路76は、注水逆止弁20の動作方向中心軸の周りに等角度間隔で弁体受け部27内に形成(穿設)される複数(例えば4つ)の水路からなる。
なお、注水逆止弁20の動作方向中心軸は、弁体21の摺動方向の中心軸である。本実施形態1において、注水逆止弁20の動作方向中心軸は、燃料噴射弁100の長手方向中心軸と一致または当該長手方向中心軸に平行である。
上述した柱状注水路72、環状注水路73、75および対称注水路74、76は、各々、燃料噴射弁100の第1の注水路の一部となる水路である。図1、2に示すように、柱状注水路72は環状注水路73に通じ、環状注水路73は対称注水路74に通じ、対称注水路74は環状注水路75に通じ、環状注水路75は対称注水路76に通じている。また、対称注水路76は、弁体21が弁座24から離間した場合に、燃料噴射弁100の燃料油路における第1注水位置P1に通じる。また、図1に示すように、噴射弁本体11の外壁面には、環状注水路73と弁本体締付金物30の先端部との間の位置に、環状注水路73等からの漏水を防止するためのOリング91が設けられている。
一方、噴射弁本体40は、燃料噴射弁100の後端部分を構成するものである。図1に示すように、噴射弁本体40内には、軸方向F1に長手となる孔状の収容部41が設けられている。この収容部41内には、針弁ばね50と、ばね受け部51と、燃料噴射弁100の第2の注水路に対応する注水逆止弁60とが収容されている。本実施形態1において、第2の注水路は、燃料噴射弁100の燃料油路のうち、第1の注水路よりも燃料の圧送方向上流側の位置(例えば図1に示す第2注水位置P2)に水を注入するための水路である。
針弁ばね50は、先端油路5を閉塞するように針弁6を噴孔4側に付勢するものである。図1に示すように、針弁ばね50は、例えばコイルばねによって構成され、ばね受け部51に取り付けられた状態で収容部41内に収容される。ばね受け部51は、針弁ばね50を受けた状態で収容部41内に収容され、上述した注水逆止弁20の弁体受け部27の後端部に形成されている挿入孔29内に摺動自在に取り付けられる。ばね受け部51は、針弁ばね50の一端部を受けるとともに針弁ばね50の他端部を弁体受け部27の後端部に押し付け、これにより、針弁ばね50を圧縮して付勢力を発生させる。また、ばね受け部51内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる、ばね受け部内油路52が設けられている。
注水逆止弁60は、燃料噴射弁100の第2の注水路を開閉可能に閉塞する逆止弁(第2の注水逆止弁)である。図1に示すように、注水逆止弁60は、弁体61と、弁座64と、逆止弁ばね66と、弁体受け部67とによって構成され、針弁ばね50を基準に噴孔4とは反対側に配置される。本実施形態1では、第2の注水路に対応する注水逆止弁60と第1の注水路に対応する注水逆止弁20とが、針弁ばね50を挟んで互いに軸方向F1の反対側に配置される。この際、これら2つの注水逆止弁20、60は、軸方向F1に同一軸上に配置されることが好ましい。
弁体61は、図1に示すように、第2の注水路からの水の圧力を受ける受圧部63を有し、弁体受け部67内に摺動自在に収容される。受圧部63は、図1、3に示すように、弁体61の先端部近傍の外周に亘って環状に形成される。また、弁体61内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる弁体内油路62が設けられている。弁座64は、図1に示すように、弁体受け部67の先端部に締結等によって固定される。弁座64内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる弁座内油路65が設けられている。逆止弁ばね66は、図1に示すように、弁体61の後端部と弁体受け部67との間に配置される。逆止弁ばね66は、弁座64側に付勢する付勢力を弁体61に付与する。注水逆止弁60は、この逆止弁ばね66の付勢力を利用して、弁体61を弁座64に押し付け、これにより、燃料噴射弁100の燃料油路と第2の注水路との連通を開放可能に遮断する。弁体受け部67は、噴射弁本体40の収容部41内に螺挿し得るように構成される。この弁体受け部67内には、燃料噴射弁100の燃料油路の一部となる受け部内油路68が設けられている。また、弁体受け部67の後端部には、図1に示すように、受け部内油路68に通じる燃料供給管90が連結されている。燃料供給管90は、燃料噴射ポンプ(図示せず)によって圧送された燃料を燃料噴射弁100の燃料油路内に導入するための配管である。
また、本実施形態1において、注水逆止弁60は、上記の逆止弁としての機能と、針弁ばね50の付勢力(すなわち針弁6の開弁圧)を調整する調整ねじとしての機能とを兼ね備える。詳細には、図1に示すように、注水逆止弁60は、弁体受け部67を噴射弁本体40の収容部41内に螺挿することによって取り付けられる。収容部41内に螺挿された注水逆止弁60は、弁座64の先端部をばね受け部51の後端部に当接させた状態となる。注水逆止弁60は、収容部41内へのねじ込み量を調整することによって、針弁ばね50の付勢力を調整する。具体的には、注水逆止弁60は、収容部41内へのねじ込み量を増やして、噴孔4側へのばね受け部51の押し込み量を増やすことにより、針弁ばね50の圧縮量を増やして付勢力を強く調整する。一方、注水逆止弁60は、収容部41内へのねじ込み量を減らして、噴孔4側へのばね受け部51の押し込み量を減らすことにより、針弁ばね50の圧縮量を減らして付勢力を弱く調整する。
また、図1、3に示すように、噴射弁本体40には柱状注水路71、81が設けられ、注水逆止弁60の弁体受け部67には環状注水路82と対称注水路84とが設けられる。柱状注水路71、81は、柱状をなす水路であり、噴射弁本体40内の互いに異なる位置に各々穿設される。環状注水路82は、例えば、弁体受け部67の外周面に設けられた溝等によって構成される。環状注水路82は、図3に示すように、柱状注水路81の出口端と対称注水路84の入口端との間に位置し、注水逆止弁60(弁体61等)を囲む環状に形成される。対称注水路84は、注水逆止弁60の動作方向中心軸について軸対称に形成され、注水逆止弁60(具体的には弁体61の受圧部63)と対向する吐出口を有する水路である。本実施形態1では、図1、3に示すように、対称注水路84は、注水逆止弁60の動作方向中心軸の周りに等角度間隔で弁体受け部67内に形成(穿設)される複数(例えば4つ)の水路からなる。
なお、注水逆止弁60の動作方向中心軸は、弁体61の摺動方向の中心軸である。本実施形態1において、注水逆止弁60の動作方向中心軸は、燃料噴射弁100の長手方向中心軸と一致または当該長手方向中心軸に平行である。
上述した柱状注水路71は、燃料噴射弁100の第1の注水路の一部となる水路である。図1に示すように、柱状注水路71は、上述した噴射弁本体11内の柱状注水路72に通じている。一方、上述した柱状注水路81、環状注水路82および対称注水路84は、各々、燃料噴射弁100の第2の注水路の一部となる水路である。図1、3に示すように、柱状注水路81は環状注水路82に通じ、環状注水路82は対称注水路84に通じている。また、対称注水路84は、弁体61が弁座64から離間した場合に、燃料噴射弁100の燃料油路における第2注水位置P2に通じる。また、図1に示すように、弁体受け部67の外周面には、環状注水路82を挟む各位置に、環状注水路82等からの漏水を防止するためのOリング92、93が設けられている。
つぎに、本実施形態1に係る燃料噴射弁100の燃料油路について説明する。燃料噴射弁100の燃料油路は、燃料噴射ポンプから圧送された燃料を流通させる通路(油路)である。本実施形態1において、燃料噴射弁100の燃料油路は、図1に示す針弁内油路7と、弁体内油路22、62と、弁座内油路25、65と、受け部内油路28、68と、ばね受け部内油路52とによって構成される。
具体的には、図1に示すように、燃料噴射弁100の燃料油路において、針弁内油路7は、弁座内油路25と連通し、弁座内油路25は、弁体内油路22と連通し、弁体内油路22は、受け部内油路28と連通する。また、受け部内油路28は、ばね受け部内油路52と連通し、ばね受け部内油路52は、弁座内油路65と連通する。さらに、弁座内油路65は、弁体内油路62と連通し、弁体内油路62は、受け部内油路68と連通する。これらの油路によって構成される燃料噴射弁100の燃料油路は、例えば図1に示すように、燃料噴射弁100の長手方向中心軸(図1中の一点鎖線を参照)を通るように配置されている。また、燃料噴射弁100の燃料油路の先端側(噴孔4側)は、針弁内油路7から針弁6の連通孔8を介して貯留部3に通じている。燃料噴射弁100の燃料油路の後端側(燃料噴射ポンプ側)は、受け部内油路68を介して燃料供給管90に通じている。
つぎに、本実施形態1に係る燃料噴射弁100の第1の注水路および第2の注水路について説明する。本実施形態1において、第1の注水路は、注水ポンプから圧送された水を、注水逆止弁20を介して燃料噴射弁100の燃料油路の第1注水位置P1に注入するための通路(水路)である。第1の注水路は、図1、2に示すように、柱状注水路71と柱状注水路72と環状注水路73と対称注水路74と環状注水路75と対称注水路76とをこの順に連通させることによって構成される。また、第1の注水路は、柱状注水路71から給水管(図示せず)を介して注水ポンプに通じている。また、環状注水路73は、注水逆止弁20を囲む環状をなすようにして、水の流通範囲を柱状注水路71、72よりも広くしている。このため、環状注水路73は、径方向F2の水路幅を柱状注水路71、72よりも小さくしても、軸方向F1の単位長さ当たりの水路容積を、柱状注水路71、72と同等に維持している。
また、本実施形態1において、第2の注水路は、注水ポンプから圧送された水を、注水逆止弁60を介して燃料噴射弁100の燃料油路の第2注水位置P2に注入するための通路(水路)である。第2の注水路は、図1、3に示すように、柱状注水路81と環状注水路82と対称注水路84とをこの順に連通させることによって構成される。また、第2の注水路は、柱状注水路81から給水管(図示せず)を介して注水ポンプに通じている。なお、この第2の注水路に水を圧送する注水ポンプは、上述した第1の注水路に水を圧送する注水ポンプと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
つぎに、本実施形態1に係る燃料噴射弁100の作用について説明する。燃料噴射弁100は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルの噴射で噴孔4から燃料および水を層状に噴射する。
この1サイクルの噴射が終了してから次回の噴射が行われるまでの期間(以下、非燃料噴射期間という)、燃料噴射弁100の燃料油路から貯留部3を介して先端油路5に亘る流通経路内および燃料供給管90内には、燃料噴射ポンプから圧送された燃料が残留している。この段階において、貯留部3内に残留している燃料の圧力は、針弁6の開弁圧よりも低い。したがって、針弁6は、先端油路5を開閉可能に閉塞した状態となっている。なお、針弁6の開弁圧は、針弁6を開放するために必要な圧力であり、注水逆止弁20を介して針弁6に伝わる針弁ばね50の付勢力によって設定される。
また、この非燃料噴射期間、燃料噴射弁100の第1の注水路および第2の注水路の各内部には、注水ポンプから圧送された水が残留している。この段階において、第1の注水路内に残留している水の圧力は、注水逆止弁20の開弁圧よりも低い。したがって、注水逆止弁20は、燃料噴射弁100の燃料油路と第1の注水路との連通を開放可能に遮断した状態となっている。これと同様に、第2の注水路内に残留している水の圧力は注水逆止弁60の開弁圧よりも低いため、注水逆止弁60は、燃料噴射弁100の燃料油路と第2の注水路との連通を開放可能に遮断した状態となっている。なお、注水逆止弁20の開弁圧は、注水逆止弁20を開放するために必要な圧力であり、弁体21を弁座24に押し付ける逆止弁ばね26の付勢力によって設定される。注水逆止弁60の開弁圧は、注水逆止弁60を開放するために必要な圧力であり、弁体61を弁座64に押し付ける逆止弁ばね66の付勢力によって設定される。
ここで、この非燃料噴射期間において、注水逆止弁20の開弁圧を超える高圧の水が注水ポンプから燃料噴射弁100の第1の注水路内に圧送された場合、この高圧の水は、図1、2に示す柱状注水路71、72、環状注水路73、対称注水路74、環状注水路75および対称注水路76の各内部をこの順に流通する。そして、この高圧の水は、対称注水路76の吐出口を通じて、注水逆止弁20の動作方向中心軸に対する軸対称の方向から弁体21を押圧するように流れる。すなわち、弁体21は、この高圧の水の圧力(水圧)を受圧部23で軸対称に受ける。この水圧は注水逆止弁20の開弁圧よりも高圧であるため、弁体21は、この水圧を利用して、逆止弁ばね26の付勢力に抗して摺動し、弁座24から離間する。このようにして、注水逆止弁20は、燃料噴射弁100の燃料油路と第1の注水路との連通を開放する。
この段階において、第1の注水路内の水は、注水逆止弁20の配置位置から燃料噴射弁100の燃料油路内に注入される。詳細には、第1の注水路内の水は、燃料噴射弁100の燃料油路の燃料流通方向中心軸(例えば燃料噴射弁100の長手方向中心軸)に対する軸対称の方向から、この燃料油路内の第1注水位置P1に注入される。この注入された水は、この燃料油路内に軸対称(径方向F2に均一)に拡がりながら、この燃料油路内の残留燃料を軸方向F1の後端側(燃料噴射ポンプ側)に押し戻す。この結果、この燃料油路内に1層目の注水層となる第1注水層が形成される。なお、この第1注水層の下流側(噴孔4側)には、第1注水位置P1よりも噴孔4側の燃料油路内に残留する燃料からなる第1燃料層が形成される。
一方、この非燃料噴射期間において、注水逆止弁60の開弁圧を超える高圧の水が注水ポンプから燃料噴射弁100の第2の注水路内に圧送された場合、この高圧の水は、図1、3に示す柱状注水路81、環状注水路82および対称注水路84の各内部をこの順に流通する。そして、この高圧の水は、対称注水路84の吐出口を通じて、注水逆止弁60の動作方向中心軸に対する軸対称の方向から弁体61を押圧するように流れる。すなわち、弁体61は、この高圧の水の水圧を受圧部63で軸対称に受ける。この水圧は注水逆止弁60の開弁圧よりも高圧であるため、弁体61は、この水圧を利用して、逆止弁ばね66の付勢力に抗して摺動し、弁座64から離間する。このようにして、注水逆止弁60は、燃料噴射弁100の燃料油路と第2の注水路との連通を開放する。
この段階において、第2の注水路内の水は、注水逆止弁60の配置位置から燃料噴射弁100の燃料油路内に注入される。詳細には、第2の注水路内の水は、燃料噴射弁100の燃料油路の燃料流通方向中心軸に対する軸対称の方向から、この燃料油路内の第2注水位置P2に注入される。この注入された水は、この燃料油路内に軸対称(径方向F2に均一)に拡がりながら、この燃料油路内の残留燃料を軸方向F1の後端側(燃料噴射ポンプ側)に押し戻す。この結果、この燃料油路内に2層目の注水層となる第2注水層が形成される。なお、この第2注水層と上述の第1注水層との間には、燃料油路内に残留する燃料からなる第2燃料層が形成される。また、この第2注水層の上流側(燃料噴射ポンプ側)には、第2注水位置P2よりも燃料噴射ポンプ側の燃料油路内に残留する燃料からなる第3燃料層が形成される。
上述した非燃料噴射期間の後、燃料噴射ポンプから燃料噴射弁100の燃料油路内に燃料が圧送されて、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルでの燃料および水の噴射が行われる。
詳細には、この噴射が行われる期間(以下、燃料噴射期間という)、針弁6の開弁圧を超える高圧の燃料が燃料噴射ポンプから燃料供給管90を介して燃料噴射弁100の燃料流路内に圧送される。この場合、燃料噴射ポンプから圧送された燃料の圧力は、燃料噴射弁100の燃料流路内に存在する流体(残留していた燃料および注入された水)を通じて、針弁6の連通孔8から貯留部3内の燃料に伝わる。この結果、貯留部3内の燃料の圧力は、針弁6の開弁圧よりも高圧に昇圧される。針弁6は、この貯留部3内の昇圧された燃料の圧力を先端部で受け、この燃料の圧力を利用して、針弁ばね50の付勢力に抗して摺動し、先端油路5の開口部(シート部)から離間する。この際、注水逆止弁20は、針弁6とともに、針弁ばね50の付勢力に抗する方向(軸方向F1の後端側)に摺動する。このようにして、針弁6は、燃料噴射弁100の燃料油路と噴孔4との連通を開放する。
この段階において、燃料噴射弁100は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に1サイクル分の燃料および水を噴射する。例えば、燃料噴射弁100は、燃料油路内の第1燃料層、第1注水層、第2燃料層、第2注水層および第3燃料層を、この順序で噴孔4からシリンダ内の燃焼室へ層状に噴射する。その後、貯留部3内の燃料の圧力は、針弁6の開弁圧以下に減圧される。この場合、針弁6は、針弁ばね50の付勢力を利用して、噴孔4側に摺動し、再び先端油路5のシート部と接触して先端油路5を開閉可能に閉塞する。このようにして、針弁6は、燃料噴射弁100の燃料油路と噴孔4との連通を開放可能に遮断する。
以上、説明したように、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁100では、針弁6を噴孔4側に付勢する針弁ばね50を基準として、第1の注水路の注水逆止弁20を噴孔4側に配置し、第2の注水路の注水逆止弁60を噴孔4とは反対側に配置するようにし、第1の注水路内の水が注水逆止弁20から燃料油路内の第1注水位置P1に注入され、第2の注水路内の水が注水逆止弁60から燃料油路内の第2注水位置P2に注入されるようにしている。
このため、第1の注水路の注水逆止弁20を針弁6の近傍に配置できるとともに、燃料油路内の第1注水位置P1と第2注水位置P2との間における注水層間の燃料量が1サイクル当りの燃料噴射量に対して適した割合(例えば10〜20%程度)となるように、第1の注水路の注水逆止弁20と第2の注水路の注水逆止弁60とを離間して配置することができ、さらには、これら2つの注水逆止弁20、60間の領域を、針弁ばね50を配置する領域として有効活用することができる。この結果、燃料噴射弁100に内蔵される各注水逆止弁20、60間の好適な離間距離を確保するとともに、燃料噴射弁100の大型化(特に長手方向の構造の長尺化)を抑制することができる。このような燃料噴射弁100を用いて舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室へ燃料および水を噴射することにより、燃焼室に対して燃料噴射の初期段階から水を投入することができ、この結果、燃焼室内において燃料の燃焼初期に発生し易いNOxの生成量を効率よく低減することができる。
また、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁100では、第1の注水路の注水逆止弁20および第2の注水路の注水逆止弁60を、燃料噴射弁100の長手方向中心軸の方向に同一軸上に配置している。このため、これら2つの注水逆止弁20、60の配置に占める領域の幅(燃料噴射弁100の径方向F2の長さ)を低減することができる。この結果、燃料噴射弁100の径方向F2の大型化(幅の長尺化)を抑制することができる。
また、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁100では、第1の注水路を、注水逆止弁20を囲む環状に形成された環状注水路73を有するように構成している。ここで、環状注水路73は、水の流通範囲を環状に拡げることができるから、径方向F2の水路幅を柱状の水路に比べて小さくしても、軸方向F1の単位長さ当たりの水路容積を柱状の水路と同等にすることができる。このため、第1の注水路内における水の流通を阻害することなく、第1の注水路のうち環状注水路73の領域における水路幅を低減することができ、この結果、燃料噴射弁100の径方向F2の小型化を促進することができる。
また、本発明の実施形態1に係る燃料噴射弁100では、燃料噴射ポンプから圧送された燃料を流通させる燃料油路を、燃料噴射弁100の長手方向中心軸を通るように配置している。このため、当該燃料油路を構成する複数の部品(例えば針弁6、注水逆止弁20、60および針弁ばね50のばね受け部51等)を燃料噴射弁100の長手方向中心軸に集約して配置することができる。この結果、これら複数の部品の配置に占める領域の幅を低減できることから、燃料噴射弁100の径方向F2の小型化を促進することができる。
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2について説明する。まず、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁の構成について説明する。図4は、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。図5は、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁を別の視点から見た一構成例を示す断面模式図である。図5には、図4に示す燃料噴射弁を方向Dから見た断面模式図が図示されている。図6は、図4に示す燃料噴射弁のC−C線断面模式図である。なお、軸方向F1および径方向F2の定義は、上述した実施形態1に係る燃料噴射弁100を本実施形態2に係る燃料噴射弁200に置き換えたものと同じである。
本実施形態2に係る燃料噴射弁200は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダに取り付けられ、燃料噴射ポンプから圧送された燃料と注水ポンプから圧送された水とを当該シリンダ内の燃焼室へ順次噴射(例えば層状に噴射)するためのものである。図4、5に示すように、燃料噴射弁200は、先端に位置するノズル101と、ノズル101よりも後端側に位置する噴射弁本体111と、これらノズル101と噴射弁本体111との間に位置する中間金物112とを備える。ノズル101、噴射弁本体111および中間金物112は、ノズル101と噴射弁本体111との間に中間金物112を挟んだ状態でナット状のノズル締付金物110によって外周から締結されることにより、軸方向F1に連結した状態で固定されている。
ノズル101は、燃料噴射弁200の先端部分を構成するものである。図4、5に示すように、ノズル101内には、軸方向F1に長手となる孔状の針弁収容部102が設けられる。この針弁収容部102内には、燃料噴射弁200の燃料油路と噴孔104との連通を開放可能に遮断する針弁106が摺動自在に収容される。針弁106の中途部には、軸方向F1の先端側から後端側に向かって幅広となるテーパ部106aが設けられている。また、針弁収容部102の中途部には、貯留部103が設けられている。針弁106が針弁収容部102内に収容された状態において、テーパ部106aは、貯留部3内に位置している。
また、図4,5に示すように、ノズル101の先端側には、噴孔104および先端油路105が設けられる。先端油路105の一端は、針弁収容部102を介して燃料噴射弁200の燃料油路に通じている。先端油路105の他端は、噴孔104に通じている。また、図4に示すように、ノズル101内には、燃料噴射弁200の燃料油路の一部となる柱状燃料油路174が設けられている。柱状燃料油路174は、柱状をなす油路であり、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向(図4に示す径方向F2の左側)に離間した領域に穿設される。柱状燃料油路174は、軸方向F1に対して傾斜するように延在し、貯留部103から針弁収容部102を介して先端油路105に通じている。なお、針弁106の動作方向中心軸は、針弁106の摺動方向の中心軸である。
中間金物112は、ノズル101と噴射弁本体111との間の中間部分を構成するものである。図4、5に示すように、中間金物112内には、軸方向F1に長手となる挿通孔113が設けられている。この挿通孔113内には、針弁106を噴孔104側に押すための押し棒155が摺動自在に挿通される。また、図4〜6に示すように、中間金物112には、燃料噴射弁200の第1の注水路に対応する注水逆止弁120と、燃料噴射弁200の燃料油路の一部となる柱状燃料油路173と、合流通路176とが設けられる。本実施形態2において、第1の注水路は、燃料噴射弁200の燃料油路における所定の位置(図4に示す第1注水位置P1)に水を注入するための水路である。
注水逆止弁120は、燃料噴射弁200の第1の注水路を開閉可能に閉塞する逆止弁(第1の注水逆止弁)である。本実施形態2において、注水逆止弁120は、特に図示しないが、弁体、弁座、および逆止弁ばね等によって構成され、第1の注水路の一部となる柱状注水路182と合流通路176との連通を開放可能に遮断する。図5に示すように、注水逆止弁120は、後述の針弁ばね150よりも噴孔104側に配置される。また、注水逆止弁120は、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向に離間した領域に位置する。
柱状燃料油路173は、柱状をなす油路であり、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向(図4に示す径方向F2の左側)に離間した領域に穿設される。柱状燃料油路174は、軸方向F1に延在し、ノズル101内の柱状燃料油路174と噴射弁本体111内の柱状燃料油路172とを連通させる。また、合流通路176は、第1の注水路から注水逆止弁120を介して流通する水と燃料噴射弁200の燃料油路内の燃料とを合流させるための通路である。例えば、合流通路176は、中間金物112の端面に設けられた溝等によって構成される。図4〜6に示すように、合流通路176は、一端が注水逆止弁120に通じ且つ他端が柱状燃料油路173に通じている。
噴射弁本体111は、燃料噴射弁200の中途部から後端部に亘る部分を構成するものである。図4、5に示すように、噴射弁本体111内には、軸方向F1に長手となる孔状の収容部141が設けられている。この収容部141内には、針弁ばね150と、ばね受け部151と、押し棒155と、調整ねじ156とが収容されている。
針弁ばね150は、先端油路105を閉塞するように針弁106を噴孔104側に付勢するものである。図4、5に示すように、針弁ばね150は、例えばコイルばねによって構成され、ばね受け部151と調整ねじ156との間に挟まれた状態で収容部141内に収容される。ばね受け部151は、針弁ばね150を受け受ける部品であり、押し棒155の後端部に固定された状態で収容部141内に収容される。ばね受け部151は、針弁ばね150の一端部を受けるとともに針弁ばね150の他端部を調整ねじ156の先端部に押し付け、これにより、針弁ばね150を圧縮して付勢力を発生させる。押し棒155は、収容部141内から挿通孔113内に亘って摺動自在に配置されている。押し棒155の先端部は、針弁106の後端部に接触している。押し棒155の後端部には、ばね受け部151が接触している。押し棒155は、ばね受け部151から伝達された針弁ばね150の付勢力を利用して、針弁106を先端油路105に押し付ける。また、押し棒155は、貯留部103内の燃料の圧力を利用して先端油路105から離間する方向に摺動する針弁106とともに、針弁ばね150の付勢力に抗する方向(針弁ばね150を圧縮する方向)に摺動する。
調整ねじ156は、針弁ばね150の付勢力(すなわち針弁106の開弁圧)を調整するためのものである。図4、5に示すように、調整ねじ156は、噴射弁本体111の収容部141内に螺挿することによって取り付けられる。収容部141内に螺挿された調整ねじ156は、その先端部を針弁ばね150の後端部に当接させた状態となる。調整ねじ156は、収容部141内へのねじ込み量を調整することによって、針弁ばね150の付勢力を調整する。具体的には、調整ねじ156は、収容部141内へのねじ込み量を増やすことにより、針弁ばね150の圧縮量を増やして付勢力を強く調整する。一方、調整ねじ156は、収容部141内へのねじ込み量を減らすことにより、針弁ばね150の圧縮量を減らして付勢力を弱く調整する。
また、図4に示すように、噴射弁本体111内には、燃料噴射弁200の燃料油路の一部となる柱状燃料油路172が設けられている。柱状燃料油路172は、柱状をなす油路であり、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向(図4に示す径方向F2の左側)に離間した領域に穿設される。柱状燃料油路172は、軸方向F1に対して傾斜するように延在し、中間金物112内の柱状燃料油路173に通じている。また、柱状燃料油路172の後端部は、燃料受入部171に通じている。燃料受入部171は、燃料噴射ポンプによって圧送された燃料を受け入れるものである。図4に示すように、燃料受入部171の一端部は、噴射弁本体111の後端部に取り付けられる。燃料受入部171の他端部には、燃料噴射ポンプに通じる燃料供給管90が接続される。燃料受入部171は、燃料供給管90と柱状燃料油路172とを連通させる。
また、図5に示すように、噴射弁本体111内には、燃料噴射弁200の第2の注水路に対応する注水逆止弁160と、ストッパー167と、水受入部181、185と、柱状注水路182、186と、合流通路175とが設けられている。本実施形態2において、第2の注水路は、燃料噴射弁200の燃料油路のうち、第1の注水路よりも燃料の圧送方向上流側の位置(例えば図4に示す第2注水位置P2)に水を注入するための水路である。
注水逆止弁160は、燃料噴射弁200の第2の注水路を開閉可能に閉塞する逆止弁(第2の注水逆止弁)である。本実施形態2において、注水逆止弁160は、特に図示しないが、弁体、弁座、および逆止弁ばね等によって構成され、第2の注水路の一部となる柱状注水路186と合流通路175との連通を開放可能に遮断する。図5に示すように、注水逆止弁160は、針弁ばね150を基準に噴孔104とは反対側に配置される。また、注水逆止弁160は、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向に離間した領域に位置する。ストッパー167は、注水逆止弁160の一端部(図5では下端部)を受けて、注水逆止弁160の摺動範囲を制限する。
柱状注水路182は、燃料噴射弁200の第1の注水路の一部となる柱状の水路であり、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向(図5では右側)に離間した領域に穿設される。柱状注水路182は、軸方向F1に対して傾斜するように延在し、中間金物112内の注水逆止弁120に通じている。また、柱状注水路182の後端部は、水受入部181に通じている。水受入部181は、注水ポンプによって圧送された水を受け入れるものであり、図5に示すように、噴射弁本体111の後端部内に設けられる。水受入部181は、注水ポンプに通じる給水管(図示せず)と柱状注水路182とを連通させる。
柱状注水路186は、燃料噴射弁200の第2の注水路の一部となる柱状の水路であり、針弁106の動作方向中心軸から燃料噴射弁200の幅方向(図5では左側)に離間した領域に穿設される。柱状注水路186は、軸方向F1に延在し、水受入部185と注水逆止弁160とを連通させる。水受入部185は、注水ポンプによって圧送された水を受け入れるものであり、図5に示すように、噴射弁本体111の後端部内に設けられる。水受入部185は、注水ポンプに通じる給水管(図示せず)と柱状注水路186とを連通させる。
合流通路175は、第2の注水路から注水逆止弁160を介して流通する水と燃料噴射弁200の燃料油路内の燃料とを合流させるための通路である。例えば、合流通路175は、噴射弁本体111内に柱状に穿設された通路等によって構成される。図4、5に示すように、合流通路175は、一端が注水逆止弁160に通じ且つ他端が柱状燃料油路172に通じている。
つぎに、本実施形態2に係る燃料噴射弁200の燃料油路について説明する。燃料噴射弁200の燃料油路は、燃料噴射ポンプから圧送された燃料を流通させる通路(油路)である。燃料噴射弁200の燃料油路は、図4に示す柱状燃料油路172、173、174を連結することによって構成される。このような燃料油路は、燃料噴射弁200の長手方向中心軸から径方向F2(図4では左側)に離間した位置に配置されている。
燃料噴射弁200の燃料油路では、図4に示すように、第1の注水路から水が注入される第1注水位置P1は、中間金物112内の柱状燃料油路173と合流通路176とが合流する位置となる。第2の注水路から水が注入される第2注水位置P2は、噴射弁本体111内の柱状燃料油路172と合流通路175とが合流する位置となる。
つぎに、本実施形態2に係る燃料噴射弁200の第1の注水路および第2の注水路について説明する。本実施形態2において、第1の注水路は、注水ポンプから圧送された水を、注水逆止弁120等を介して燃料噴射弁200の燃料油路の第1注水位置P1に注入するための通路(水路)である。第1の注水路は、図5に示すように、柱状注水路182と注水逆止弁120と合流通路176とをこの順に連通させることによって構成される。
また、本実施形態2において、第2の注水路は、注水ポンプから圧送された水を、注水逆止弁160を介して燃料噴射弁200の燃料油路の第2注水位置P2に注入するための通路(水路)である。第2の注水路は、図5に示すように、柱状注水路186と注水逆止弁160と合流通路175とをこの順に連通させることによって構成される。なお、この第2の注水路に水を圧送する注水ポンプは、上述した第1の注水路に水を圧送する注水ポンプと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
つぎに、本実施形態2に係る燃料噴射弁200の作用について説明する。燃料噴射弁200は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルの噴射で噴孔104から燃料および水を層状に噴射する。
この1サイクルの噴射が終了してから次回の噴射が行われるまでの非燃料噴射期間、燃料噴射弁200の燃料油路から針弁収容部102を介して先端油路105に亘る流通経路内、燃料受入部171内および燃料供給管90内には、燃料噴射ポンプから圧送された燃料が残留している。この段階において、貯留部103内に残留している燃料の圧力は、針弁106の開弁圧よりも低い。したがって、針弁106は、先端油路105を開閉可能に閉塞した状態となっている。なお、針弁106の開弁圧は、ばね受け部151および押し棒155を介して針弁106に伝わる針弁ばね150の付勢力によって設定される。
また、この非燃料噴射期間、燃料噴射弁200の第1の注水路および第2の注水路の各内部には、注水ポンプから圧送された水が残留している。この段階において、第1の注水路内に残留している水の圧力は、注水逆止弁120の開弁圧よりも低い。したがって、注水逆止弁120は、燃料噴射弁200の燃料油路と第1の注水路との連通を開放可能に遮断した状態となっている。これと同様に、第2の注水路内に残留している水の圧力は注水逆止弁160の開弁圧よりも低いため、注水逆止弁160は、燃料噴射弁200の燃料油路と第2の注水路との連通を開放可能に遮断した状態となっている。
ここで、この非燃料噴射期間において、注水逆止弁120の開弁圧を超える高圧の水が注水ポンプから燃料噴射弁200の第1の注水路内に圧送された場合、この高圧の水は、図5に示す水受入部181および柱状注水路182の各内部をこの順に流通する。そして、この高圧の水は、柱状注水路182から注水逆止弁120内に流入する。この水圧は注水逆止弁120の開弁圧よりも高圧であるため、注水逆止弁120は、この水圧を利用して開弁し、燃料噴射弁200の燃料油路と第1の注水路との連通を開放する。詳細には、注水逆止弁120は、柱状注水路182と合流通路176とを連通させ、この合流通路176を介して柱状注水路182と柱状燃料油路173とを連通させる。
この段階において、第1の注水路内の水は、注水逆止弁120の配置位置から燃料噴射弁200の燃料油路内に注入される。詳細には、第1の注水路内の水は、注水逆止弁120から合流通路176を通じて、この燃料油路内の第1注水位置P1に注入される。この注入された水は、この燃料油路内の残留燃料を軸方向F1の後端側(燃料噴射ポンプ側)に押し戻す。この結果、この燃料油路内に1層目の注水層となる第1注水層が形成される。なお、この第1注水層の下流側(噴孔104側)には、第1注水位置P1よりも噴孔104側の燃料油路内に残留する燃料からなる第1燃料層が形成される。
一方、この非燃料噴射期間において、注水逆止弁160の開弁圧を超える高圧の水が注水ポンプから燃料噴射弁200の第2の注水路内に圧送された場合、この高圧の水は、図5に示す水受入部185および柱状注水路186の各内部をこの順に流通する。そして、この高圧の水は、柱状注水路186から注水逆止弁160内に流入する。この水圧は注水逆止弁160の開弁圧よりも高圧であるため、注水逆止弁160は、この水圧を利用して開弁し、燃料噴射弁200の燃料油路と第2の注水路との連通を開放する。詳細には、注水逆止弁160は、柱状注水路186と合流通路175とを連通させ、この合流通路175を介して柱状注水路186と柱状燃料油路172とを連通させる。
この段階において、第2の注水路内の水は、注水逆止弁160の配置位置から燃料噴射弁200の燃料油路内に注入される。詳細には、第2の注水路内の水は、注水逆止弁160から合流通路175を通じて、この燃料油路内の第2注水位置P2に注入される。この注入された水は、この燃料油路内の残留燃料を軸方向F1の後端側(燃料噴射ポンプ側)に押し戻す。この結果、この燃料油路内に2層目の注水層となる第2注水層が形成される。なお、この第2注水層と上述の第1注水層との間には、燃料油路内に残留する燃料からなる第2燃料層が形成される。また、この第2注水層の上流側(燃料噴射ポンプ側)には、第2注水位置P2よりも燃料噴射ポンプ側の燃料油路内に残留する燃料からなる第3燃料層が形成される。
上述した非燃料噴射期間の後、燃料噴射ポンプから燃料噴射弁200の燃料油路内に燃料が圧送されて、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルでの燃料および水の噴射が行われる。
詳細には、この燃料噴射期間、針弁106の開弁圧を超える高圧の燃料が燃料噴射ポンプから燃料供給管90を介して燃料噴射弁200の燃料流路内に圧送される。この場合、燃料噴射ポンプから圧送された燃料の圧力は、燃料噴射弁200の燃料流路内に存在する流体(残留していた燃料および注入された水)を通じて、貯留部103内の燃料に伝わる。この結果、貯留部103内の燃料の圧力は、針弁106の開弁圧よりも高圧に昇圧される。針弁106は、この貯留部103内の昇圧された燃料の圧力をテーパ部106aで受け、この燃料の圧力を利用して、針弁ばね150の付勢力に抗して摺動し、先端油路105の開口部(シート部)から離間する。このようにして、針弁106は、燃料噴射弁200の燃料油路と噴孔104との連通を開放する。
この段階において、燃料噴射弁200は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に1サイクル分の燃料および水を噴射する。例えば、燃料噴射弁200は、燃料油路内の第1燃料層、第1注水層、第2燃料層、第2注水層および第3燃料層を、この順序で噴孔104からシリンダ内の燃焼室へ層状に噴射する。その後、貯留部103内の燃料の圧力は、針弁106の開弁圧以下に減圧される。この場合、針弁106は、針弁ばね150の付勢力を利用して、噴孔104側に摺動し、再び先端油路105のシート部と接触して先端油路105を開閉可能に閉塞する。このようにして、針弁106は、燃料噴射弁200の燃料油路と噴孔104との連通を開放可能に遮断する。
以上、説明したように、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁200では、針弁106を噴孔104側に付勢する針弁ばね150を基準として、第1の注水路の注水逆止弁120を噴孔104側に配置し、第2の注水路の注水逆止弁160を噴孔104とは反対側に配置するようにし、第1の注水路内の水が注水逆止弁120から合流通路175を通じて燃料油路内の第1注水位置P1に注入され、第2の注水路内の水が注水逆止弁160から合流通路176を通じて燃料油路内の第2注水位置P2に注入されるようにしている。
このため、第1の注水路の注水逆止弁120を針弁106の近傍に配置できるとともに、燃料油路内の第1注水位置P1と第2注水位置P2との間における注水層間の燃料量が1サイクル当りの燃料噴射量に対して適した割合(例えば10〜20%程度)となるように、第1の注水路の注水逆止弁120と第2の注水路の注水逆止弁160とを離間して配置することができ、さらには、これら2つの注水逆止弁120、160間の領域を、針弁ばね150を配置する領域として有効活用することができる。この結果、燃料噴射弁200に内蔵される各注水逆止弁120、160間の好適な離間距離を確保するとともに、燃料噴射弁200の大型化(特に長手方向の構造の長尺化)を抑制することができる。このような燃料噴射弁200を用いて舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室へ燃料および水を噴射することにより、燃焼室に対して燃料噴射の初期段階から水を投入することができ、この結果、燃焼室内において燃料の燃焼初期に発生し易いNOxの生成量を効率よく低減することができる。
また、本発明の実施形態2に係る燃料噴射弁200では、燃料噴射ポンプから圧送された燃料を流通させる燃料油路を、燃料噴射弁200の長手方向中心軸から径方向に離間した位置に配置している。このため、燃料噴射弁200の長手方向中心軸の近傍に配置される針弁106、針弁ばね150、ばね受け部151、押し棒155、調整ねじ156等の部品を避けて燃料油路を設けることができる。これにより、燃料噴射弁200の長手方向中心軸の近傍に配置される複数の部品内の通路を連結して燃料油路を構成する必要がなくなることから、燃料油路を構成する部品の点数を少なくして、燃料油路における通路同士の連結箇所を少なくすることができる。
なお、上述した実施形態1では、注水逆止弁の弁体に水を吐出する対称注水路の一例として、注水逆止弁の動作方向中心軸の周りに等角度間隔で形成される4つの水路からなる対称注水路を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、対称注水路は、注水逆止弁の動作方向中心軸の周りに等角度間隔で形成される2つ以上(複数)の水路からなるものであってもよいし、注水逆止弁の動作方向中心軸の周りに連続する環状吐出口をもつ単一の環状水路からなるものであってもよい。
また、上述した実施形態1では、第1の注水路および第2の注水路の一例として環状注水路を有するものを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、第1の注水路および第2の注水路は、注水逆止弁の弁体に吐出口を向けている対称注水路と、注水ポンプから圧送された水を受け入れる柱状注水路とを直接連通させたものであってもよい。
また、上述した実施形態1では、注水逆止弁の弁体の一例として、対称注水路の吐出口から吐出された水の圧力を受ける受圧部を外周に備えた弁体を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、注水逆止弁の弁体は、受圧部が設けられたものではなく、外周部または先端部に水の圧力を受けるものであってもよい。
また、上述した実施形態1では、第1の注水路および第2の注水路の一例として、注水逆止弁の弁体に対し、当該注水逆止弁の動作方向中心軸について軸対称の方向に水を吐出するものを例示したが、本発明は、これに限定されたものではない。例えば、第1の注水路および第2の注水路は、注水逆止弁の弁体に対して非対称の方向(単一方向等)に水を吐出するものであってもよい。
また、上述した実施形態1、2では、2つの注水逆止弁が設けられた燃料噴射弁を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、燃料噴射弁に設ける注水逆止弁の数は、3つ以上であってもよい。この場合、3つめ以上の注水逆止弁は、燃料噴射弁の噴射弁本体後端部に設けてもよいし、燃料噴射ポンプからの配管と注水ポンプからの配管との合流部分等に設けてもよい。
また、上述した実施形態1、2により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態1、2に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 ノズル
2 針弁収容部
3 貯留部
4 噴孔
5 先端油路
6 針弁
7 針弁内油路
8 連通孔
10 ノズル締付金物
11 噴射弁本体
12 逆止弁収容部
20 注水逆止弁
21 弁体
22 弁体内油路
23 受圧部
24 弁座
25 弁座内油路
26 逆止弁ばね
27 弁体受け部
28 受け部内油路
29 挿入孔
30 弁本体締付金物
40 噴射弁本体
41 収容部
50 針弁ばね
51 ばね受け部
52 ばね受け部内油路
60 注水逆止弁
61 弁体
62 弁体内油路
63 受圧部
64 弁座
65 弁座内油路
66 逆止弁ばね
67 弁体受け部
68 受け部内油路
71、72、81 柱状注水路
73、75、82 環状注水路
74、76、84 対称注水路
90 燃料供給管
91、92、93 Oリング
100、200 燃料噴射弁
101 ノズル
102 針弁収容部
103 貯留部
104 噴孔
105 先端油路
106 針弁
106a テーパ部
110 ノズル締付金物
111 噴射弁本体
112 中間金物
113 挿通孔
120 注水逆止弁
141 収容部
150 針弁ばね
151 ばね受け部
155 押し棒
156 調整ねじ
160 注水逆止弁
167 ストッパー
171 燃料受入部
172、173、174 柱状燃料油路
175、176 合流通路
181、185 水受入部
182、186 柱状注水路
F1 軸方向
F2 径方向
P1 第1注水位置
P2 第2注水位置

Claims (5)

  1. 舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室へ燃料および水を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、
    燃料噴射ポンプから圧送された前記燃料を流通させる燃料油路と、
    一端が前記燃料油路に通じ且つ他端が前記噴孔に通じる先端油路と、
    前記先端油路を開閉可能に閉塞する針弁と、
    前記先端油路を閉塞するように前記針弁を前記噴孔側に付勢する針弁ばねと、
    前記燃料油路の所定の位置に水を注入するための第1の注水路と、
    前記燃料油路のうち前記第1の注水路よりも前記燃料の圧送方向上流側の位置に水を注入するための第2の注水路と、
    前記針弁ばねよりも前記噴孔側に配置され、前記第1の注水路を開閉可能に閉塞する第1の注水逆止弁と、
    前記針弁ばねを基準に前記噴孔とは反対側に配置され、前記第2の注水路を開閉可能に閉塞する第2の注水逆止弁と、
    を備え、前記第1の注水路内の水は前記第1の注水逆止弁の配置位置から前記燃料油路内に注入され、前記第2の注水路内の水は前記第2の注水逆止弁の配置位置から前記燃料油路内に注入されることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記第1の注水逆止弁および前記第2の注水逆止弁は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸の方向に同一軸上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記第1の注水路は、前記第1の注水逆止弁を囲む環状に形成された環状注水路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記燃料油路は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸を通るように配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の燃料噴射弁。
  5. 前記燃料油路は、当該燃料噴射弁の長手方向中心軸から径方向に離間した位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
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