JP4013685B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧燃料を内燃機関に対して噴射供給する燃料噴射弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の燃料噴射弁の一つとして、蓄圧配管(以下、「コモンレール」と記す。)を備えた燃料供給システムに用いられるものが知られている。このような燃料噴射弁には、コモンレールからの高圧燃料が流通する燃料通路と、同燃料通路内の高圧燃料を内燃機関に噴射するための噴孔とが形成されている。また、この燃料噴射弁の内部には、前記噴孔を開閉するためのニードル弁が設けられており、同ニードル弁は、その弁体が前記燃料通路内に表出した状態となっている。
【0003】
ところで、近年、前記燃料供給システムにあっては、コモンレールに圧送される燃料のさらなる高圧化が進んでおり、これに伴って、燃料噴射弁の燃料通路を流通する燃料も高圧化されている。また、このような燃料噴射弁では、前記ニードル弁をアクチュエータにて直接、開閉駆動するのではなく、同ニードル弁に対して液体による押圧力を作用させ、その押圧力を制御することによって、ニードル弁をより小さな駆動力で変位させる技術が提案されている。
【0004】
そして従来、このような燃料噴射弁としては、例えば特開平11―13577号公報や特開2000―34963号公報に記載されるものが知られている。
まず、前者の公報に記載の燃料噴射弁は、図15に示されるように、燃料噴射弁の本体100は複数の分割体から構成され、同本体100には、高圧燃料が流通する燃料通路101と、同燃料通路101内の高圧燃料を噴射するための噴孔102とが形成されている。また、本体100の内部には、噴孔102を開閉するためのニードル弁120がスライド移動可能に設けられており、このニードル弁120は、ばね121により閉弁方向に常に付勢されている。
【0005】
また、ニードル弁120には、その噴孔102側とは反対側の端部120aにピストン122が形成されており、同ピストン122は、本体100内に形成されるシリンダ103内に摺動可能に挿入されている。また、本体100内には、ピストン122の外面とシリンダ103の内面とにより区画される圧力室104が形成されている。この圧力室104には、本体100に対して前記燃料通路101とは別に形成されて、同燃料通路101と同様に高圧燃料が流通する圧力通路105が接続されている。
【0006】
また、本体100内には、圧力通路105の途中において当該燃料噴射弁への燃料供給路と圧力室104との連通状態と遮断状態とを切り替える制御弁130が設けられている。同制御弁130は、弁体131と、同弁体131に対して一体的に形成されるとともに、弁体131の変位方向の両側に設けられる2つのピストン132とを備えている。そして、ピストン132が、本体100の内部に形成されるシリンダ106a,106b内に摺動可能に設けられ、弁体131が、本体100の内部において両シリンダ106a,106bに連通するように形成される弁室107内で往復動可能となっている。なお、両シリンダ106a,106bは、本体100においてそれぞれ異なる分割体に形成されている。
【0007】
また、本体100には、弁室107と各シリンダ106a,106bとの連通部に形成されるとともに、弁体131が接離する弁座部108a,108bが設けられている。
【0008】
ここで、前記圧力通路105は、前記燃料供給路とシリンダ106a,106bのうちの一方のシリンダ106aとを連通するとともに、弁室107と圧力室104とを連通するように形成されている。なお、本体100には、両シリンダ106a,106bのうちの他方のシリンダ106bと燃料タンク(図示略)とを連通するリターン通路109が形成され、同リターン通路109には、その途中に絞り部110が形成されている。また、本体100には、シリンダ106aの内面とピストン132の外面とにより区画される区画室111と上記燃料タンクとを連通するとともに、区画室111内に流入した燃料を燃料タンク内に排出するリターン通路112が形成されている。
【0009】
また、本体100の内部には、制御弁130を弁座部108aに当接するように変位させるアクチュエータ(図示略)と、前記区画室111内に収容されて制御弁130を弁座部108bに当接するように付勢するばね133とが設けられている。
【0010】
このような構成の燃料噴射弁では、上記アクチュエータの非作動時には、ばね133の付勢力により制御弁130が弁座部108bに当接した状態となる。これにより、前記コモンレールと圧力室104とが連通されるとともに、圧力室104と前記リターン通路109とが遮断され、コモンレール内の高圧燃料が圧力室104へ流入する。この状態にあっては、圧力室104内の高圧燃料によりニードル弁120のピストン122に作用する押圧力と前記ばね121の付勢力とにより、ニードル弁120が閉弁位置に保持される。
【0011】
また、前記アクチュエータの作動時には、制御弁130が弁座部108aに当接した状態となる。これにより、前記コモンレールと圧力室104とが遮断されるとともに、圧力室104とリターン通路109とが連通され、圧力室104内の燃料がリターン通路109を介して前記燃料タンク内へ排出される。この状態にあっては、圧力室104内の燃料によりニードル弁120のピストン122に作用する押圧力が低下し、同押圧力とばね121の付勢力との合力よりも前記燃料通路101内の高圧燃料によるニードル弁120に作用する押圧力の方が大きくなる。これにより、ニードル弁120が開弁位置に変位され、燃料通路101内の高圧燃料が噴孔102から噴射される。
【0012】
一方、後者の公報に記載の燃料噴射弁は、図15に示した燃料噴射弁と同様、ニードル弁は、そのピストンに作用する流体の押圧力によって、噴孔を開閉するように変位され、その流体の圧力は、燃料噴射弁内に設けられる制御弁により制御される構成となっている。
【0013】
この燃料噴射弁は、図16にその本体200の内部構造の一部を拡大して示すように、高圧燃料が流通する燃料通路201と、ニードル弁230のピストン230aに対して高圧燃料による押圧力を作用させるための圧力室202とを備えている。また、本体200には、これら燃料通路201と圧力室202とを連通する連通路203と、圧力室202内の燃料を燃料タンク(図示略)へ戻すリターン通路204とが設けられている。
【0014】
また、この燃料噴射弁では、制御弁220は、リターン通路204の途中に設けられるとともに、圧力室202と上記燃料タンクとの連通状態と遮断状態とを切り替えることにより、ニードル弁230のピストン230aに作用する高圧燃料の押圧力を制御する。
【0015】
制御弁220は、複数の部材からなり、弁体221と、圧力ピストン222と、これら弁体221と圧力ピストン222との間に介在する中間ピストン223と、弁体221と圧力ピストン222と中間ピストン223とを挟み込むように設けられる一対の支持ピストン224a,224bとから構成されている。
【0016】
弁体221は、球状をなしており、リターン通路204の途中に形成される弁室205内に往復動可能に設けられている。この弁体221は、弁室205の弁座部205aに着座することにより圧力室202と前記燃料タンクとの連通状態を遮断し、逆に、弁体221が上記弁座部205aから離座することにより圧力室202と燃料タンクとを連通状態にする。
【0017】
また、各ピストン222〜224a,224bは、それぞれ柱状をなしており、本体200の内部に形成されるシリンダ206〜209内に摺動可能に設けられている。ここで、支持ピストン224aの外面とシリンダ208の内面とにより区画される区画室210内には、前記弁体221を弁室205の弁座部205aに当接させる方向に付勢するばね231が設けられている。
【0018】
また、上記区画室210と、支持ピストン224bの外面とシリンダ209の内面とにより区画される区画室211とには、前記燃料通路201から分岐する一対の分岐通路212a,212bがそれぞれ接続されている。これにより、高圧燃料が燃料通路201内へ圧送されている際には、その高圧燃料の一部が各分岐通路212a,212bを介して区画室210,211内に流入する。そして、区画室210,211内に流入した高圧燃料により両支持ピストン224a,224bが互いに接近する方向に押圧され、制御弁220を構成する弁体221やピストン222〜224a,224bが互いに離間しないように支持される。
【0019】
また、この燃料噴射弁において、制御弁220の変位は、本体200の内部に設けられるアクチュエータ(図示略)によって制御される。本体200には、上記アクチュエータと、同アクチュエータにより変位される伝達ピストン232とが収容される収容孔233が形成されており、伝達ピストン232は、アクチュエータの外面と収容孔233の内面とにより区画される区画室234内で摺動可能となっている。また、本体200には、区画室234の内部と、前記シリンダ206の内面と圧力ピストン222及び中間ピストン223の外面とにより区画される区画室235とを連通する連通路236が形成されている。そして、これら両区画室234,235と連通路236とには、作動流体が満たされている。
【0020】
これら各公報に記載の燃料噴射弁では上述のように、いずれも制御弁130,220により、ニードル弁120,230のピストン122,230aに作用する流体の押圧力を制御して、ニードル弁120,230を変位させている。これにより、作動力の小さなアクチュエータを用いても所望のタイミングにて高圧燃料の噴射を行うことができるようになる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これら従来の燃料噴射弁では、それぞれ次のような問題があった。
すなわち、前者の燃料噴射弁では、各シリンダ106a,106bは、本体100においてそれぞれ異なる分割体に形成され、それらのシリンダ106a,106b内を、一体的に形成された制御弁130の各ピストン132が摺動する構成となっている。このため、前記本体100の製造誤差や組付け誤差があると両シリンダ106a,106bの中心線が一致しなくなるため、各シリンダ106a,106bの内面とピストン132の外面との間の間隙を大きく設定しなければ、制御弁130が円滑に変位しにくくなるという問題が生じる。
【0022】
ただし、そうかといって、上記間隙を大きく設定すると、圧力通路105からシリンダ106aへ流入する高圧燃料の一部が区画室111内に漏出し易くなり、リターン通路112を介して燃料タンクへ排出される量が増加する。このような高圧燃料の漏出量の増加は、燃料自身の消費につながるものではないものの、圧力エネルギとして蓄えられていたものが無駄に浪費(低下)されることとなり、ひいてはエネルギーロスが増大することとなる。
【0023】
また、この漏出した燃料の圧力エネルギは、低下する際に熱エネルギに変わり、発熱量が増加することとなる。このため、燃料噴射弁のリターン通路112が、例えばゴムチューブ等を介して燃料タンクに連通されている場合には、発熱して高温となった燃料がゴムチューブ内を流通することにより、ゴムチューブが劣化し易くなるという問題も生じる。
【0024】
一方、後者の燃料噴射弁では、制御弁220の各ピストン222〜224a,224bはそれぞれ別部材で構成されているため、各ピストン222〜224a,224bの外面と各シリンダ206〜209の内面との間の間隙を大きく設定せずとも、制御弁220の変位を円滑に行うことはできる。
【0025】
しかしながら、この燃料噴射弁では、制御弁220の各部材が互いに離間しないようにするために、燃料通路201からの高圧燃料の押圧力を両支持ピストン224a,224bの外面に作用させている。これにより、両区画室210,211内の高圧燃料が、支持ピストン224a,224bの外面と区画室210,211の内面との間の各間隙を介してシリンダ206及び弁室205に漏出し、その漏出した燃料がリターン通路204を介して燃料タンク内へ排出される。従って、この燃料噴射弁にあっても、高圧燃料の漏出量が多くなり、エネルギーロスも大きなものとなる。
【0026】
また、この燃料噴射弁では、制御弁220は、各シリンダ206〜209内で摺動する4つのピストン222〜224a,224bを有している。このため、これらシリンダ206〜209の内面及びピストン222〜224a,224bの外面をそれぞれ平滑にするための加工箇所が多くなり、製造コストの増大を招く要因となる。
【0027】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造を有しつつも、エネルギーロスを抑制してより安定した燃料噴射を実現することのできる燃料噴射弁を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、複数の分割体からなる本体の内部に、高圧燃料の供給口から噴孔に至る燃料通路と、前記噴孔を開閉するニードル弁と、該ニードル弁の一部が壁面の一部をなすように形成される背圧室と、前記燃料通路から分岐されるとともに該背圧室を介して前記高圧燃料の一部を燃料タンクへ排出する排出口に至るリターン通路と、前記背圧室の下流にて同背圧室と前記排出口との間を開閉制御する制御弁と、該制御弁の弁体が設けられる弁室と、前記制御弁の弁体を挟み込む態様でシリンダに収容されて該弁体とともに前記弁室に対して相対変位可能な一対のピストン及びそれらピストンを互いに挟む方向に付勢する一対の付勢部材を有してアクチュエータの駆動に基づき前記制御弁を開弁位置または閉弁位置に変位させる変位機構とを備え、前記制御弁の開閉に応じた圧力バランスの遷移に基づいて前記ニードル弁を開閉する燃料噴射弁において、前記一対のピストンのうちの一方のみが前記制御弁の弁体と一体に設けられるとともに、前記一対の付勢部材は、前記制御弁の弁体を閉弁方向に付勢する側の付勢力が同弁体を開弁方向に付勢する側の付勢力よりも大きく設定されてなることを要旨とする。
【0029】
上記構成によれば、一対のピストンのうちの一方のみを弁体に対して一体に設けるため、本体が例えば制御弁の上方で分割され、それら分割体の製造誤差や組付け誤差等により各シリンダの中心線が一致しない場合があっても、一対のピストンの外周面とシリンダの内周面との間の各間隙がほぼ一定に保たれる。このため、一対のピストンの双方を弁体に対して一体に設ける場合に比べて一対のピストンの外周面とシリンダの内周面との間の各間隙を小さく設定しても、それら一対のピストン及び弁体を円滑に変位させることができ、ひいては簡易な構造を有しつつ、より安定した燃料噴射を実現することができる。
【0030】
また、一対の付勢部材を、前記一対のピストンを互いに挟む方向に付勢するように設けるため、制御弁の開弁時には、一対のピストンのうちの前記弁体に対して一体に設けられていないピストンが、リターン通路内を流通する高圧燃料の押圧力によって弁体から離間する方向に押し戻されることが抑制される。このため、上述した従来の燃料噴射弁のように、複数の分割体からなるピストンに対して高圧燃料による押圧力を作用させてその押圧力により各ピストンを付勢せずとも、前記弁体と同弁体に対して一体に設けられていないピストンとの当接状態が保持される。この結果、開弁位置にある制御弁の弁体が閉弁位置側へ不用意に変位することを抑制することができる。
【0031】
また、この一対の付勢部材は、制御弁の弁体を閉弁方向に付勢する側の付勢力が、同弁体を開弁方向に付勢する側の付勢力よりも大きく設定される。このため、アクチュエータの非作動時には、前記制御弁の弁体が閉弁位置に保持され、リターン通路における背圧室と排出口との間が制御弁によって閉とされている状態に保持することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記弁体と一体に設けられるピストンは、前記弁体を閉弁方向に付勢する付勢部材側に設けられたピストンであり、該ピストンと前記弁体とは、ともに円柱状をなすものであり、該ピストンは、その直径が前記弁体の直径未満であることを要旨とする。
【0033】
上記構成によれば、弁体における前記弁体と一体に設けられるピストンが接続される側面には、前記燃料通路内に高圧燃料が圧送されている際において、前記弁室内の高圧燃料による押圧力の一部が前記制御弁の弁体を閉弁方向に変位させるように作用するようになる。このため、アクチュエータの非作動時には、前記制御弁の弁体が閉弁位置に保持され、リターン通路における背圧室と排出口との間が制御弁によって閉とされている状態に好適に保持することができる。
【0034】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の燃料噴射弁において、前記弁体と、同弁体と一体に設けられるピストンとは、その間が縮径された棒状の部材によって連結されてなることを要旨とする。
【0035】
上記構成によれば、前記制御弁の弁体のみならず、前記弁体と一体に設けられるピストンも前記棒状の部材よりも大きな直径を有することとなる。これにより、弁体と一体に設けられるピストンにおける前記棒状の部材が接続される側面には、燃料通路内に高圧燃料が圧送されている際において、前記弁体に対して一体に設けられるピストンに対応するシリンダ内の高圧燃料による押圧力の一部が前記制御弁の弁体を開弁方向に変位させるように作用するようになる。
【0036】
このため、アクチュエータの作動力を小さく設定しても、前記制御弁の弁体を開弁方向に変位させたり、同弁体を開弁位置に保持したりすることが可能となり、同アクチュエータの小型化、ひいては当該燃料噴射弁の小型化を図ることができる。
【0037】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記本体は、前記背圧室と前記排出口との間が前記制御弁によって閉とされている状態にあるときに同制御弁の弁体の上方のシート部が着座する弁座部を有し、前記制御弁が開弁されるときの該弁座部での最大有効開口面積は、前記リターン通路における前記弁座部よりも下流側での最小通路断面積未満に設定されてなることを要旨とする。
【0038】
上記構成によれば、前記本体のリターン通路における弁座部の下流側において、同リターン通路の通路断面積が最小となる部分は、前記弁座部の最大有効開口面積をなす部分である。これにより、リターン通路には、前記弁座部の下流において絞りとして作用する部分がなく、制御弁の弁体が開弁した状態にあるときに、リターン通路における弁座部の下流で燃料の圧力が大きく上昇することが抑制される。このため、一対のピストンのうちの前記制御弁の弁体と一体に設けらていないピストンが、リターン通路における弁座部よりも下流にある燃料の押圧力によって、弁体と当接した状態から離間する方向に押し戻されることを抑制することができる。
【0039】
また、このようにリターン通路における弁座部よりも下流側の内部において絞りとして作用する部分がないため、弁室内からリターン通路における弁室よりも下流側の内部へ流出した燃料は、排出口を介して速やかに燃料タンク内へと排出される。このため、制御弁の弁体を閉弁させる際には、その弁体が閉弁方向に変位しにくくなることを抑制することができる。
【0040】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の燃料噴射弁において、前記制御弁の弁体の前記上方のシート部と前記本体の弁座部とは、ともに前記制御弁の軸線に対して直交する平面状に形成されてなることを要旨とする。
【0041】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の燃料噴射弁において、前記制御弁の弁体は、その上方のシート部がテーパ状または曲面状に形成されてなるとともに、前記本体の弁座部及びその近傍は、前記制御弁の軸線に対して直交する平面状に形成され、該弁座部には、前記テーパ状または曲面状に形成された弁体のシート部に係合可能で且つ当該弁座部と接離可能なリングが設けられてなることを要旨とする。
【0042】
これら請求項5または6の各構成によれば、本体が例えば制御弁の上方で分割され、それら分割体の製造誤差や組付け誤差により各分割体の軸線が一致しない場合でも、制御弁の弁体の閉弁時において、同弁体の上方のシート部と前記本体の弁座部またはリングとを当接させることができる。このため、前記本体のリターン通路における背圧室と排出口との間が遮断された状態を確保することができ、制御弁の閉弁時おいて、弁室内の高圧燃料が前記弁体の上方のシート部と本体の弁座部との間の間隙を介してリターン通路内へ漏出することを抑制することができる。また、複数の分割体からなる本体を組み付ける際、それら分割体の組付け時の調芯を簡素化することが可能となり、燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。
【0043】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の燃料噴射弁において、前記リングは、前記弁体のシート部に係合する内縁が、同弁体のシート部のテーパ面または曲面に倣う形状に形成されてなることを要旨とする。
【0044】
上記構成によれば、制御弁の弁体における上方のシート部とリングにおける前記上方のシート部に係合する内縁との接触面積が増大され、弁体が閉弁した状態にある際の同弁体とリングとの接触応力が緩和される。このため、それら弁体及びリングの耐久性を向上することができる。
【0045】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の燃料噴射弁において、前記本体の弁座部及び前記制御弁の弁体の上方のシート部の少なくとも一方は、それら互いに当接する部分がテーパ状または曲面状に形成されてなるとともに、前記弁体及び該弁体と一体に設けられるピストン間を連結する棒状の部材が弾性変形の可能な低剛性部材からなることを要旨とする。
【0046】
上記構成によれば、本体が例えば制御弁の上方で分割され、各分割体の製造誤差等により、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダと、前記弁座部との両中心線が一致しない場合があっても、制御弁の閉弁時に上方のシート部が弁座部に当接すると低剛性部材が弾性変形して両中心線のずれが吸収される。これにより、制御弁の閉弁時において、リターン通路における背圧室と排出口との間が遮断された状態を確保でき、弁室内の高圧燃料が上方のシート部と弁座部との間の間隙を介してリターン通路における弁室も下流へ漏出することを抑制することができる。このため、各分割体の製造時及び組付け時において、前記弁座部と、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダとの両中心線を精度良く一致させる必要がなくなり、当該燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。
【0047】
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の燃料噴射弁において、前記複数の分割体からなる本体は、少なくとも前記弁室に対応する部位にて前記制御弁の軸線に直交する面と平行をなすように分割されてなり、それら分割された各分割体は、その各軸線が同一直線上に位置するように位置合わせする位置合わせ部材を介して接合されてなることを要旨とする。
【0048】
上記構成によれば、位置合わせ部材により互いに接合された各分割体の軸線が一致するとともに、前記本体の弁座部の中心線と前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの中心線とが一致する。このように、これら両中心線の正確な軸合わせが可能となるため、前記本体の弁座部及び弁体の上方のシート部の少なくとも一方がテーパ状または曲面状に形成される場合でも、前記弁体の閉弁時のリターン通路における背圧室と排出口との間が遮断された状態を確保することができる。このため、前記弁体の閉弁時において、弁室内の高圧燃料が前記弁体の上方のシート部と本体の弁座部との間の間隙を介してリターン通路における弁室より下流へ漏出することを抑制することができる。
【0049】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の燃料噴射弁において、前記位置合わせ部材が、前記弁室に対応する部位にて分割された各分割体の分割面同士が当接された状態でその当接部に対応する部分に外嵌される同軸合わせブッシュであることを要旨とする。
【0050】
上記構成によれば、同軸合わせブッシュを、複数の分割体に対してそれらの分割面同士が当接された状態でその当接部に対応する部分に外嵌させるのみであるため、それら分割体の軸線を容易に一致させることができる。
【0051】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記制御弁の弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの底面には、前記付勢部材の一方が収容されるとともにそれらピストン及びシリンダ間のリーク燃料が貯溜されるリーク溜まり室が形成されてなり、同リーク溜まり室と、前記リターン通路における前記弁室よりも下流側との間をバイパスするバイパス通路を更に備えることを要旨とする。
【0052】
上記構成によれば、弁室内の高圧燃料の一部が、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応したシリンダの内周面とそのピストンの外周面との間の間隙を介してリーク溜まり室内へ漏出しても、その漏出した燃料を、前記バイパス通路を介してリターン通路における弁室より下流へ流出させることが可能となる。このため、リーク溜まり室内に前記弁室内から漏出した燃料があっても、前記アクチュエータが作動した際には、リーク溜まり室内の燃料をバイパス通路を介してリターン通路における弁室より下流へ流出しつつ、前記制御弁を閉弁位置から開弁位置へと迅速且つ確実に変位させることができる。
【0053】
なお、上述のように、前記弁体に対して一体に設けられるピストンの外周面と同ピストンに対応するシリンダの内周面との間の間隙を小さく設定することが可能であるため、弁室内からリーク溜まり室内へ漏出される高圧燃料の量が低減される。これにより、リーク溜まり室内の燃料のバイパス通路を介したリターン通路内への流出量、すなわち燃料噴射弁内から燃料タンク内への排出量が減少される。このため、燃料噴射弁内で蓄えられる高圧燃料の圧力エネルギの低下が抑制されることとなり、エネルギーロスを低減することができる。
【0054】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の燃料噴射弁において、前記バイパス通路は、前記制御弁の弁体及び該弁体と一体に設けられるピストンとをその軸方向に貫通するように形成されてなることを要旨とする。
【0055】
上記構成によれば、特別な治具を用いなくてもバイパス通路を設けることができるため、前記本体に対してバイパス通路を設ける場合に比べ、同バイパス通路を形成する際の加工コストを低減することができる。また、同バイパス通路を形成する際の加工を容易に行うことができる。
【0056】
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の燃料噴射弁において、前記バイパス通路には絞りが更に形成されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、バイパス通路内に絞りを設けるため、制御弁の弁体が閉弁する際には、前記リターン通路における弁体よりも下流側の内部の燃料がバイパス通路を介して前記リーク溜まり室内に流入しにくくなる。これにより、前記制御弁の閉弁方向への変位に伴ったリーク溜まり室の容積の拡大がされにくくなり、制御弁の閉弁方向への変位速度が低下される。このため、前記制御弁の弁体の上方のシート部が前記本体の弁座部に着座する際の衝撃が緩和され、これら制御弁の弁体と本体との耐久性を向上することができる。
【0057】
請求項14に記載の発明は、請求項11〜13のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記バイパス通路内には、前記リターン通路内の燃料の該バイパス通路を介した前記リーク溜まり室への流入を禁止する逆止弁が設けられてなることを要旨とする。
【0058】
上記構成によれば、制御弁の弁体が開弁した際、弁室内からリターン通路における弁室よりも下流の内部へ流出した高圧燃料の一部がバイパス通路を介してリーク溜まり室内へ逆流することを抑制することができる。これにより、制御弁の開弁時において、リーク溜まり室内の圧力が急激に上昇することが抑制されるとともに、制御弁が閉弁方向に押し戻されて意図せず閉弁することが抑制される。このため、制御弁が不用意に閉弁することがなくその閉弁タイミングを確実に制御することができるうえ、前記弁体の上方のシート部が本体の弁座部に激しく衝突することを抑制でき、それら弁体及び本体が損傷することを回避することができる。
【0059】
請求項15に記載の発明は、請求項2〜14のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記制御弁の弁体は、前記弁体と一体に設けられるピストンまたは前記棒状の部材に連結される下方にもシート部を備えるとともに、前記本体は前記制御弁の開弁時に前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの上部においてこのシート部が着座されるシリンダ側弁座部を備え、且つ前記本体には、前記燃料通路から分岐して同通路内の高圧燃料の一部を前記シリンダ内に直接導入する導入通路を備えることを要旨とする。
【0060】
上記構成によれば、制御弁が閉弁位置から開弁位置へ変位すると、弁体の上方のシート部が本体の弁座部から離座して背圧室と排出口との間が連通される一方、弁体の下方のシート部が本体のシリンダ側弁座部に着座して、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応したシリンダと弁室との間が遮断される。
【0061】
逆に、制御弁が開弁位置から閉弁位置へ変位すると、弁体の上方のシート部が本体の弁座部に着座して背圧室と排出口との間が遮断される一方、弁体の下方のシート部が本体のシリンダ側弁座部から離座して、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応したシリンダと弁室との間が連通される。
【0062】
ここで、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応したシリンダには、前記燃料通路から分岐する導入通路が接続されているため、制御弁が閉弁することにより、前記燃料通路と弁室とが導入通路を介して連通されるようになる。このため、前記リターン通路における弁室よりも上流側の内部には、燃料通路内の高圧燃料が、前記リターン通路との分岐部を経由して流入するのみならず、前記導入通路及び、弁体と一体に設けられるピストンに対応したシリンダ及び、弁室を介して流入するようにもなる。
【0063】
このように、制御弁が開弁位置から閉弁方向に変位した際には、燃料通路内の高圧燃料が2方向からリターン通路における弁室よりも上流側の内部に流入するため、同リターン通路における弁室よりも上流側の内部を速やかに昇圧させることができる。この結果、前記背圧室内の高圧燃料による押圧力が逸早く増大され、その増大された押圧力をニードル弁における前記背圧室の壁面の一部をなす部分に作用させることができる。従って、制御弁が開弁位置から閉弁方向へ変位してからニードル弁によって前記噴孔が閉じられるまでの応答性を向上することができる。
【0064】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の燃料噴射弁において、前記導入通路には導入通路絞りが形成されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、制御弁の弁体における上方及び下方の両シート部がどちらも本体の弁座部及びシリンダ側弁座部に着座していない期間において、前記燃料通路内から導入通路を介して弁室内に導入される高圧燃料の量が減少される。これにより、弁室内からリターン通路における弁室よりも下流側へ流出する燃料の流出量が減少され、エネルギーロスをより低減することができる。また、ニードル弁の急激な開閉等に起因して生じる水撃作用により燃料通路内の高圧燃料に圧力脈動が生じることがあっても、その圧力脈動は、前記弁室内に伝わる途中において導入通路絞りによって減衰されるため、高圧燃料の圧力変動によって制御弁が意図せず振動や衝撃に曝されることを回避することができる。
【0065】
請求項17に記載の発明は、請求項15または16に記載の燃料噴射弁において、前記導入通路は、少なくとも前記シリンダとの接続部において、同シリンダの内周面と接線方向に交わるように接続されてなることを要旨とする。
【0066】
上記構成によれば、燃料通路内の高圧燃料が導入通路を介して前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダ内に導入されると、その導入される高圧燃料は、前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダ内をその内周面に沿って旋回するようになる。この高圧燃料の旋回流によって遠心力が生じ、この遠心力により、前記制御弁の弁体と一体に設けられるピストンは、その軸線が前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの中心線と一致するように調芯されるようになる。このため、前記弁体と一体に設けられるピストンが、同ピストンに対応するシリンダの内周面に片当たりすることを抑制することができる。
【0067】
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の燃料噴射弁において、前記制御弁は、前記シリンダと前記導入通路との接続部に対応する前記棒状の部材の外周面に、外方に向かって突出するフィンを有してなることを要旨とする。
【0068】
上記構成によれば、燃料通路内の高圧燃料が導入通路を介して前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダ内に導入されると、そのシリンダ内に生じる高圧燃料の旋回流により、制御弁が前記旋回流の旋回方向と同一の方向に回転するようになる。このため、前記弁体と一体に設けられるピストンの外周面における前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの内周面との接触に起因した摩耗を、そのピストンの外周面の周方向において均一にすることができる。
【0069】
請求項19に記載の発明は、請求項15〜18のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記制御弁の弁体の下方のシート部と前記本体のシリンダ側弁座部とは、ともにテーパ状に形成されてなり、前記弁体の下方のシート部のテーパ角は、前記本体のシリンダ側弁座部のテーパ角以下となるように設定されてなることを要旨とする。
【0070】
ここで、前記下方のシート部のテーパ角が前記シリンダ側弁座部のテーパ角よりも小さい場合には、下方のシート部のテーパ角がシリンダ側弁座部のテーパ角よりも大きい場合よりも、下方のシート部がシリンダ側弁座部に着座した状態でのシール線の直径が小さくなる。
【0071】
この点、上記構成によれば、前者の場合には、後者の場合に比べて弁体の下方のシート部が本体のシリンダ側弁座部に着座している際における前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダ内の高圧燃料と前記下方のシート部との接触面積を減少することができる。ここで、前記弁体の下方のシート部に作用する高圧燃料による押圧力は、弁体を前記開弁位置から閉弁方向へ、すなわち弁体の下方のシート部が本体のシリンダ側弁座部から離座する方向へ変位させるように作用する。このため、前記接触面積を減少させることができることにより、前記弁体の下方のシート部が前記本体のシリンダ側弁座部に対して着座している状態を保持するのに必要な前記アクチュエータの作動力を低減することができる。この結果、アクチュエータの小型化、ひいては当該燃料噴射弁の小型化を好適に図ることができる。
【0072】
請求項20に記載の発明は、請求項1〜19のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記弁室には、前記制御弁の弁体の周囲を囲繞するフィルタ材が更に設けられてなることを要旨とする。
【0073】
上記構成によれば、前記供給口を介して燃料通路内に圧送される高圧燃料中に異物が混じっていたとしても、その異物は、前記弁体の上方のシート部と前記本体の弁座部との間の間隙を通過する前にフィルタ材によって捕集される。これにより、前記弁体の上方のシート部が前記本体の弁座部に着座した際に、前記異物を噛み込むことが抑制される。このため、前記弁体の上方のシート部が前記本体の弁座部に着座している際において、前記リターン通路における背圧室と前記排出口との間が遮断された状態をより確実に保持することができる。
【0074】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の燃料噴射弁において、前記フィルタ材は筒状をなし、前記制御弁の弁体の上方のシート部が着座する弁座部の近傍にその周縁の一方が常時当接されるように他方からばねにて付勢されてなることを要旨とする。
【0075】
上記構成によれば、フィルタ材は、その周縁の一方が前記本体の弁座部の近傍から離間することが抑制される。このため、前記フィルタ材の周縁の一方が前記本体の弁座部の近傍から離間することによって前記異物の捕集能力が一時的に低下することを抑制することができる。
【0076】
請求項22に記載の発明は、請求項1〜21のいずれかに記載の燃料噴射弁において、前記燃料通路内を流通する燃料が、内燃機関に搭載される蓄圧配管から圧送される高圧燃料であり、当該燃料噴射弁が、前記高圧燃料を前記内燃機関の燃焼室に噴射供給する蓄圧配管用燃料噴射弁であることを要旨とする。
【0077】
上記構成によれば、前記燃料通路を流通する高圧燃料のさらなる高圧化が進む蓄圧配管用燃料噴射弁であっても、制御弁をその構造を簡易としつつ、エネルギーロスを抑制してより安定した燃料噴射を実現することができる。
【0078】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の燃料噴射弁を具体化した第1実施形態について説明する。
【0079】
まず、図1を参照して、本実施形態の燃料噴射弁の周辺の構成について説明する。
同図1に示されるように、この燃料噴射弁は、内燃機関の燃焼室(ともに図示略)に対して燃料を噴射供給する燃料供給系20に設けられている。同燃料供給系20は、基本的には、燃料噴射弁の他に、燃料を貯溜する燃料タンク21と、同燃料タンク21内から燃料噴射弁へ供給される燃料が流通する供給通路22と、燃料噴射弁へ供給されながらも上記内燃機関へは供給されず燃料タンク21内へ排出される燃料が流通する排出通路23とを備えて構成される。なお、図1では、燃料噴射弁を1つのみ図示しているが、この燃料噴射弁は通常、上記内燃機関の各気筒毎に所定数設けられている。
【0080】
また、供給通路22には、燃料タンク21側から順に、燃料ポンプ24と高圧ポンプ25と蓄圧配管(以下、「コモンレール」と記す。)26とが設けられている。なお、燃料ポンプ24は、燃料タンク21内の燃料を供給通路22内へ汲み出すものであり、高圧ポンプ25は、供給通路22内を昇圧するものであり、コモンレール26は、上記高圧ポンプ25により昇圧された供給通路22内の圧力を蓄えるとともに各燃料噴射弁に対して燃料を高圧状態で分配供給するものである。
【0081】
次に、本実施形態の燃料噴射弁の構成について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
この燃料噴射弁は、図1に示されるように、複数(この例では4つ)の分割体、すなわち同図1において上方に設けられるものから順に第1分割体30a〜第4分割体30dからなる円柱状の本体30を備えている。これら第1分割体30a〜第4分割体30dは、同一直線上に積み重ねられた状態で互いに離間しないようにリテーニングナット31により固定されている。
【0082】
上記第1分割体30a〜第4分割体30dは、それぞれ同一の直径を有し、それらの各分割面が上記本体30の軸線mに対して直交する平面をなすように分割されている。
【0083】
一方、上記リテーニングナット31は、第1分割体30a〜第4分割体30dの外径よりも僅かに大きな内径を有する有底円筒状に形成されている。このリテーニングナット31は、上記第1分割体30a〜第4分割体30dを、それらの軸線mが一致するように積み重なった状態でその軸線mとリテーニングナット31の軸線とが同一方向に指向するように内部に収容することが可能である。また、リテーニングナット31は、その周壁31aの開口部31bが、上記第1分割体30a〜第4分割体30dを内部に収容した状態で第1分割体30aにおける軸線mの方向の中程に対応するように形成されている。
【0084】
また、第1分割体30aの外周面とリテーニングナット31の内周面とには、第1分割体30a〜第4分割体30dが内部に収容された状態で螺合するねじ山が形成されている。
【0085】
このように4つの第1分割体30a〜第4分割体30dからなる本体30には、その最上部に位置する第1分割体30aの上面に供給口32が形成されており、この供給口32には、前記供給通路22の下流側の端部が接続されている。また、本体30には、最下部に位置する第4分割体30dの下面に所定数(図1では2つの場合を図示)の噴孔33が形成されている。そして、本体30の内部には、上記第1分割体30aの供給口32から第4分割体30dの噴孔33に至る燃料通路34が延設されている。
【0086】
また、本体30の内部には、第3分割体30cの下部から第4分割体30dの下部に亘ってそれらの軸線m上に延設されるとともに、第4分割体30dの中央部にて前記燃料通路34に接続される空間部35が形成されている。この空間部35内には、第4分割体30dの前記噴孔33を開閉する棒状のニードル弁36が摺動可能に収容されている。
【0087】
上記ニードル弁36は、上部において上記空間部35の内径よりも僅かに小さな外径を有する大径部36aと、下部において上記大径部36aの外径よりも小さな外径を有する小径部36bと、前記燃料通路34と空間部35との接続部においてその外径が小さくなるように徐変される徐変部36cとを備えている。このニードル弁36は、その徐変部36cから小径部36bの先端部に亘って上記燃料通路34内に表出するように設けられている。ここで、前記空間部35において、その上底面及び内周面とニードル弁36の大径部36aの上面36dとにより区画される空間は、背圧室37となっている。
【0088】
この背圧室37内には、ニードル弁36の大径部36aの上面36dから上方に突出する突出部36eが設けられている。同突出部36eは、ニードル弁36の小径部36bの先端部によって前記噴孔33が閉じられている状態では背圧室37の上底面に当接せず、逆に、同小径部36bの先端部によって上記噴孔33が開けられると当接するようにその突出量が設定されている。
【0089】
また、背圧室37内には、上記ニードル弁36を、その小径部36bの先端部によって前記噴孔33が閉じられる方向に常に付勢するニードル弁付勢ばね38が収容されている。
【0090】
また、前記本体30の内部には、第3分割体30cと第4分割体30dとの分割部にて前記燃料通路34から分岐するリターン通路39が形成されている。このリターン通路39は、その途中において前記背圧室37に接続され、さらに同背圧室37から第1分割体30aの外周面に形成される排出口40に至るように延設されている。なお、この排出口40には、前記排出通路23の上流側の端部が接続されている。
【0091】
また、リターン通路39における前記背圧室37の下流、すなわち同背圧室37と上記排出口40との間には、それら背圧室37と排出口40との間を開閉制御する円柱状の制御弁60が配置されるとともに、その制御弁60の弁体61が収容される弁室41が設けられている。この弁室41は、前記第2分割体30bと第3分割体30cとの分割部における周方向の中央に設けられ、第2分割体30bの下方の分割面と、第3分割体30cの上方の分割面に形成される半球状の凹部42の内面とにより区画されている。
【0092】
また、弁室41の上方の壁面を構成する第2分割体30bの下方側の分割面には、その周方向の中央に、弁体61の外径よりも小さな内径を有して上記弁室41と前記リターン通路39における弁室41よりも下流側とを連通する開口41aが形成されている。ここで、弁室41の内壁面における上記開口41aの周縁は、前記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が前記制御弁60によって閉とされている状態にあるときにその弁体61が着座する上方側弁座部43を構成している。
【0093】
一方、弁体61は、その上端部に、上記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が前記制御弁60によって閉とされている状態にあるときに弁室41の上記上方側弁座部43に着座する上方シート部61aを有している。この弁体61の上方シート部61aは、その先端において上記開口41aの内径よりも小さな径を有するように形成されている。
【0094】
ここで、同図1に示すように、前記リターン通路39には、前記燃料通路34と背圧室37との間に燃料通路側オリフィス部39aが形成されており、同燃料通路側オリフィス部39aは、その通路断面積が前記燃料通路34の通路断面積よりも小さくなるように設定されている。さらに、リターン通路39には、上記背圧室37と前記弁室41との間に弁室側オリフィス部39bが形成されており、同弁室側オリフィス部39bも、その通路断面積が上記燃料通路34の通路断面積よりも小さくなるように設定されている。さらに、これらオリフィス部39a,39bは、燃料通路側オリフィス部39aの通路断面積が弁室側オリフィス部39bの通路断面積よりも小さくなるように設定されている。なお、これらオリフィス部39a,39bの通路断面積は、弁室側オリフィス部39bの通路断面積が燃料通路側オリフィス部39aの通路断面積よりも小さくなるように設定されていてもよいし、両オリフィス部39a,39bの通路断面積が等しくなるように設定されていてもよい。
【0095】
また、前記本体30の内部には、前記制御弁60の弁体61を、前記背圧室37と排出口40との間を連通状態にする開弁位置と、上記背圧室37と排出口40との間を遮断状態にする閉弁位置との間で変位させる変位機構70が設けられている。
【0096】
同図1に示すように、変位機構70は、制御弁60の弁体61を棒部材71,72を介して挟み込む態様で本体30内のシリンダ44,45に収容される一対のピストン73,74と、同一対のピストン73,74を互いに挟む方向に付勢する一対のピストン付勢ばね75,76と、アクチュエータ77とを備える。
【0097】
上記シリンダ44,45は、ともに前記弁室41に開口するとともに、前記本体30の軸線m上を弁室41から上方及び下方に向かって円筒状に延設されている。
【0098】
これらシリンダ44,45のうちの上記弁室41から下方に延びる下方側シリンダ44は、前記制御弁60の弁体61の外径よりも小さな内径を有し、上記本体30の第3分割体30c内においてその軸線mの方向の中央に設けられている。
【0099】
この下方側シリンダ44の内部には、前記一対のピストン73,74のうちの下方側ピストン73と、同下方側ピストン73と前記弁体61との間に設けられる前記棒部材71,72のうちの下方側棒部材71と、前記一対のピストン付勢ばね75,76のうちの下方ピストン付勢ばね75とが収容されている。同下方ピストン付勢ばね75は、下方側ピストン73と下方側棒部材71とを介して上記弁体61を上方に、すなわち弁体61が前記開弁位置から閉弁位置へ向かう方向に常に付勢している。このように、下方側シリンダ44内において下方ピストン付勢ばね75が上記下方側ピストン73の下面と下方側シリンダ44の底面との間に設けられるため、同下方側シリンダ44内には、その底面と下方側ピストン73の下面との間に空間が形成される。そして、その空間は、前記弁室41内から下方側ピストン73の外周面と下方側シリンダ44の内周面との間の間隙を介して流入したリーク燃料が貯溜されるリーク溜まり室44aを構成している。
【0100】
一方、前記シリンダ44,45のうちの上記弁室41から上方に延びる上方側シリンダ45は、前記制御弁60の弁体61の外径よりも大きな内径を有し、上記本体30の第2分割体30b内の下部において前記開口41aを介して前記弁室41と連通するように設けられている。
【0101】
この上方側シリンダ45の内部には、前記一対のピストン73,74のうちの上方側ピストン74と、同上方側ピストン74と前記弁体61との間に設けられる前記棒部材71,72のうちの上方側棒部材72とが収容されている。
【0102】
他方、前記アクチュエータ77は、例えばPZTアクチュエータが用いられ、前記本体30の第1分割体30aに対してその下方の分割面の中央にて開口するとともに同第1分割体30aの軸線mの方向の中央部に上底面を有する係合穴46内に係入されている。このアクチュエータ77は、上記本体30の外部に設けられる電子制御装置(以後、「ECU」と記す。)28に対し、ドライバ29を介して電気的に接続されている。なお、このアクチュエータ77は、上記ECU28からドライバ29を介して通電されると所定の長さに伸長し、逆に、ECU28からドライバ29を介した通電が停止されると元の長さに縮退するように設定されている。
【0103】
また、前記本体30の第2分割体30b内には、その上方の分割面の中央において前記上方側シリンダ45の内径よりも大きな内径を有して開口するとともに、同上方側シリンダ45に連通される円筒状の連通孔47が形成されている。この連通孔47内には、その内径よりも僅かに小さな外径を有する円柱状のブロック体78が摺動可能に設けられている。また、同ブロック体78には、その外周面に周方向に延びる環状溝78aが形成され、同環状溝78aには、上記連通孔47に嵌入可能なシールリング79が係合されている。
【0104】
また、前記第2分割体30bの連通孔47内には、同連通孔47の内径と略同寸の外径を有するとともにブロック体78の下面と連通孔47の底面との間に配置される皿ばね80が設けられている。この皿ばね80は、前記ブロック体78及びアクチュエータ77を常に上方に向かって付勢し、アクチュエータ77の上面が前記係合穴46の上底面から離間しないように、且つアクチュエータ77とブロック体78とが互いに離間しないように保持する役割を担っている。
【0105】
さらに、上記第2分割体30b内には、上記ブロック体78と前記上方側ピストン74との間に、前記一対のピストン付勢ばね75,76のうちの上方ピストン付勢ばね76が収容されている。この上方ピストン付勢ばね76は、上記ブロック体78と上方側ピストン74とを互いに離間する方向に付勢するとともに、同上方側ピストン74と前記上方側棒部材72とを介して前記制御弁60の弁体61を下方に、すなわち同弁体61が前記閉弁位置から開弁位置へ向かう方向に常に付勢している。
【0106】
さて、本実施形態では、前記一対のピストン付勢ばね75,76は、下方側ピストン73を上方に、すなわち前記弁体61を閉弁方向に付勢する下方ピストン付勢ばね75の付勢力が上方ピストン付勢ばね76の付勢力よりも大きく設定されている。
【0107】
また、本実施形態では、前記制御弁60は、前記下方側棒部材71と前記一対のピストン73,74のうちの下方側ピストン73とが上記弁体61に対して一体に設けられることにより構成されている。また、上記弁体61に対して一体に設けられていない前記上方側ピストン74と上方側棒部材72とが一体に設けられている。
【0108】
また、図2に示されるように、この制御弁60は、下方側ピストン73の直径が弁体61の直径よりも小さくなるように、且つ下方側棒部材71の直径が下方側ピストン73の直径よりもさらに小さくなるように形成されている。これにより、制御弁60は、弁体61と下方側ピストン73とが、縮径された下方側棒部材71によって連結され、その軸線方向の両側にて弁体61と下方側ピストン73とが周方向に膨出するように形成されている。
【0109】
また、図3に示されるように、制御弁60の内部には、上記弁体61と下方側棒部材71と下方側ピストン73とをその軸方向に貫通するとともに前記下方側シリンダ44のリーク溜まり室44a内と前記リターン通路39における弁室41よりも下流側との間をバイパスするバイパス通路62が形成されている。なお、本実施形態では、この制御弁60のバイパス通路62は、それのみでは上記リーク溜まり室44aと前記リターン通路39における弁室41よりも下流側との間をバイパスする構成とはなっていない。そのため、前記上方側棒部材72の内部には、上記制御弁60のバイパス通路62が延長されるかたちで同バイパス通路62と上記リターン通路39における弁室41よりも下流側との間を連通する延長通路72aが形成されている。
【0110】
さらに、制御弁60の内部には、上記バイパス通路62の途中において、バイパス通路絞り部63と、前記リターン通路39内の燃料の上記延長通路72a及びバイパス通路62を介したリーク溜まり室44a内への流入を禁止する逆止弁64とが設けられている。
【0111】
上記バイパス通路62は、前記弁体61の上端面と同弁体61の中央との間の大径通路部62aと、弁体61の中央と前記下方側ピストン73の下端面との間の小径通路部62bとを備えている。上記大径通路部62aは、その内径が上記小径通路部62b内径よりも大きくなるように設けられている。
【0112】
このバイパス通路62内には、その大径通路部62aと対応する部分に上記小径通路部62bの内径よりも大きな直径を有するボール64aが係入されている。そして、このボール64aがバイパス通路62内で上記小径通路部62bの上端64bに当接することにより、前記リターン通路39における弁室41よりも下流側の内部の燃料の上記延長通路72a及びバイパス通路62を介したリーク溜まり室44a内への流入が禁止される。なお、上記上方側棒部材72の延長通路72aは、上記ボール64aの直径よりも小さな内径にて形成されており、上記上方側棒部材72と制御弁60の弁体61とが当接している状態では、ボール64aが制御弁60のバイパス通路62の内部から前記リターン通路39の内部に移動することはない。
【0113】
また、同図3に示されるように、前記本体30の弁室41内には、前記上方側弁座部43と前記弁体61の上方シート部61aとの間に設けられ、同上方シート部61aに係合可能で且つ上記上方側弁座部43と接離可能な平板状のリング65が収容されている。このリング65は、その内径が前記弁体61におけるテーパ状に設けられた上方シート部61aの上端部の最小外径よりも大きく且つ同シート部61aの最大外径(弁体61の外径)よりも小さくなるように形成されている。また、同リング65は、上記弁体61の上方シート部61aに係合する内縁が直角をなし、上記弁体61の上方シート部61aと線接触している。
【0114】
また、前記制御弁60の弁体61には、前記下方側棒部材71に連結される下方にもテーパ状のシート部61bが形成されている。一方、本体30の第3分割体30cには、上記制御弁60が開弁されているとき、すなわち弁体61の上方シート部61aが本体30の上方側弁座部43から所定だけ下方に変位したときに前記下方側シリンダ44の上部において弁体61の下方シート部61bが着座されるシリンダ側弁座部48が設けられている。
【0115】
また、図2に示すように、上記本体30の第3分割体30cには、前記リターン通路39の他に、前記第2分割体30bとの分割部において前記燃料通路34から分岐して同燃料通路34内の高圧燃料の一部を前記下方側シリンダ44内に直接導入する導入通路49が延設されている。この導入通路49は、上記下方側シリンダ44に接続される端部が第3分割体30cの軸線mの方向において前記制御弁60の下方側棒部材71と対応するように設けられている。さらに、導入通路49には、その内部に導入通路絞り部50が設けられている。
【0116】
また、本実施形態では、前記制御弁60が開弁されているときにおける本体30の上方側弁座部43での最大有効開口面積が、前記リターン通路39における上記上方側弁座部43よりも下流側での最小通路断面積未満となるように設定されている。
【0117】
すなわち、制御弁60の開弁時において、図4に示すように、本体30の前記開口41aの内周面と前記上方側棒部材72の外周面との間の最大有効開口面積S1(同図4(b)参照)は、上記リターン通路39における上方側弁座部43よりも下流側での最小通路断面積S2(同図4(a)参照)未満となっている。
【0118】
次に、上述のように構成される燃料噴射弁の動作について説明する。
まず、前記コモンレール26を介した燃料通路34内への高圧燃料の圧送が行われず、ECU28からドライバ29を介したアクチュエータ77への通電がない場合には、同アクチュエータ77の伸長はなく、燃料通路34及びリターン通路39内の燃料の圧力は低い。
【0119】
ここで、本実施形態では、前記一対のピストン付勢ばね75,76は、下方側ピストン73を上方に、すなわち前記弁体61を閉弁方向に付勢する下方ピストン付勢ばね75の付勢力が上方ピストン付勢ばね76の付勢力よりも大きく設定されている。このため、上記制御弁60は、その弁体61の上方シート部61aとリング65の内周縁とが当接するとともに、同リング65の上面と本体30の上方側弁座部43とが当接した状態となり、前記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が弁体61によって閉とされている状態に保持される。
【0120】
また、前記ニードル弁36は、その徐変部36cと小径部36bとが上記燃料通路34内に表出しているため、同徐変部36cと小径部36bとの外面には、燃料通路34内の高圧燃料による押圧力の一部が作用する。そして、この高圧燃料による押圧力のうちの上記徐変部36cに作用する押圧力は、ニードル弁36を前記本体30の噴孔33を開く方向に変位させるように作用する。
【0121】
また、このニードル弁36には、前記背圧室37の壁面の一部をなす上面36dや突出部36eの上端面において、前記背圧室37内の燃料による押圧力が上記噴孔33を閉じる方向へ変位させるようにも作用する。
【0122】
なお、上述のように、燃料通路34内の燃料の圧力は低いため、ニードル弁36の徐変部36c及び上面36d及び突出部36eの上端面に作用する燃料の押圧力も低い。これにより、ニードル弁36の徐変部36cに作用する燃料の押圧力よりも、上記上面36d及び突出部36eの上端面に作用する燃料の押圧力と前記ニードル弁付勢ばね38の付勢力との合力の方が大きくなる。この合力により、ニードル弁36は噴孔33を閉じた状態に保持され、上記燃料通路34内から噴孔33を介した内燃機関への高圧燃料の噴射供給は行われない。
【0123】
一方、ECU28からアクチュエータ77への通電がない状態で、コモンレール26から燃料噴射弁の燃料通路34内へ高圧燃料が圧送される場合には、前記制御弁60は前記閉弁位置に保持され、燃料通路34とリターン通路39における弁室41よりも上流側との内部が所定の圧力まで高められる。
【0124】
ここで、本実施形態では、制御弁60における弁体61と下方側ピストン73とは、同下方側ピストン73の直径が弁体61の直径未満となるように設けられるとともに、前記下方側ピストン73の直径よりも小さな直径を有する下方側棒部材71を介して連結されている。
【0125】
これにより、両通路34,39内の圧力が高められると、図5(a)に示されるように、前記弁体61には、下方側棒部材71との接続部における下方シート部61bのテーパ面の全体(図5(a)中の領域S3)に高圧燃料による押圧力が作用し、制御弁60が閉弁方向へ付勢される。また、同じく図5(a)に示されるように、前記下方側ピストン73には、下方側棒部材71が接続されるテーパ状の接続部73aにおけるテーパ面の全体(図5(a)中の領域S4)に高圧燃料による押圧力が作用し、制御弁60が開弁方向へも付勢される。
【0126】
また、同図5(a)に示すように、制御弁60の下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力と、接続部73aに作用する高圧燃料による押圧力とでは、下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力の方が大きい。このため、上記制御弁60は、その全体に作用する高圧燃料による押圧力のうちの前記領域S3から領域S4を差し引いた領域(S3−S4)に作用する高圧燃料の押圧力により閉弁方向へ付勢されることとなる。
【0127】
また、前記ニードル弁36は、その徐変部36cに作用する燃料通路34内の高圧燃料による押圧力により、前記本体30の噴孔33を開く方向へ変位するように付勢されている。さらに、ニードル弁36は、前記ニードル弁付勢ばね38による付勢力に加えて、前記背圧室37内にあって同背圧室37の壁面の一部をなすニードル弁36の前記上面36dや前記突出部36eの上端面に作用する高圧燃料の押圧力により、上記噴孔33を閉じる方向へ変位するようにも付勢されている。
【0128】
ここで、上記ニードル弁36を変位させるように作用する付勢力のうち、同ニードル弁36を、上記噴孔33を閉じる方向へ付勢する付勢力の方が大きい。このため、ニードル弁36は、噴孔33を閉じた状態に保持され、燃料通路34内から噴孔33を介した内燃機関への高圧燃料の噴射供給は行われない。
【0129】
他方、コモンレール26から燃料噴射弁の燃料通路34内へ高圧燃料が圧送されている状態で、ECU28からアクチュエータ77へ通電される場合には、まず、アクチュエータ77が第1分割体30aの係合穴46内で所定の長さだけ伸長する。また、このアクチュエータ77の伸長に伴い、ブロック体78が第2分割体30bの連通孔47内をアクチュエータ77の伸長方向、すなわち下方に向かって変位する。
【0130】
ここで、上記第2分割体30bの連通孔47内におけるブロック体78と上方側ピストン74との間の空間には、前記燃料タンク21内に貯溜される燃料と同一の燃料が燃料噴射弁の組付け時に充填されている。これにより、上述のようにブロック体78が第2分割体30bの連通孔47内を変位すると、そのブロック体78は、連通孔47内の燃料と前記上方ピストン付勢ばね76とを押圧して、前記上方側ピストン74と上方側棒部材72とを第2分割体30bの上方側シリンダ45内で下方へと変位させる。
【0131】
また、これら上方側ピストン74及び上方側棒部材72の下方への変位に伴い、前記制御弁60は、上方側棒部材72からの押圧により、同上方側棒部材72と弁体61とが当接した状態で前記弁室41及び下方側シリンダ44に対して下方へと変位する。この制御弁60の下方への変位により、弁体61の上方シート部61a(リング65)が本体30の上方側弁座部43から離座して前記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が連通した状態となる。なお、この制御弁60は、弁体61の下方シート部61bが上記本体30のシリンダ側弁座部48に着座する前記開弁位置に到達するまで前記アクチュエータ77の駆動に基づいて変位される。
【0132】
また、このように変位する制御弁60には、弁体61の両シート部61a,61bが本体30の上方側弁座部43及びシリンダ側弁座部48のどちらにも着座していない状態では、弁室41及び下方側シリンダ44内の高圧燃料による押圧力が以下のように作用している。
【0133】
図5(b)に示すように、まず、前記弁体61には、その下方シート部61bのテーパ面の全体(図5(b)中の領域S3)に高圧燃料による押圧力が作用しており、制御弁60が閉弁方向へ付勢されている。また、前記下方側ピストン73には、前記接続部73aのテーパ面の全体(図5(b)中の領域S4)に高圧燃料による押圧力が作用しており、制御弁60が開弁方向へも付勢されている。ここで、上記下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力と接続部73aに作用する高圧燃料による押圧力とでは、下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力の方が大きい。このため、上記制御弁60は、その全体に作用する高圧燃料による押圧力のうちの前記領域S3から領域S4を差し引いた領域(S3−S4)に作用する高圧燃料による押圧力により閉弁方向へ付勢される。
【0134】
また、上記制御弁60には、弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48に着座している状態では、弁室41及び下方側シリンダ44内の高圧燃料による押圧力が以下のように作用している。
【0135】
図5(c)に示すように、まず、弁体61には、その下方シート部61bのテーパ面における前記下方側シリンダ44内に表出する部分(図5(c)中の領域S5)に高圧燃料による押圧力が作用しており、制御弁60が閉弁方向へ付勢されている。なお、上記下方側シリンダ44は、その内径が上記弁体61の外径よりも小さく設定されているため、図5(c)中に示す上記領域S5は、図5(a)及び(b)に示す前記領域S3よりも小さくなっている。
【0136】
また、図5(a)及び(b)に示した状態と同様に、前記下方側ピストン73には、前記接続部73aのテーパ面の全体(図5(c)中の領域S4)に高圧燃料による圧力が作用しており、制御弁60が開弁方向へも付勢されている。ここで、上記下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力と接続部73aに作用する高圧燃料による押圧力とでは、下方シート部61bに作用する高圧燃料による押圧力の方が大きい。このため、上記制御弁60は、その全体に作用する高圧燃料による押圧力のうちの前記領域S5から領域S4を差し引いた領域(S5−S4)に作用する高圧燃料による押圧力により閉弁方向へ付勢される。なお、この場合、上記制御弁60の外面に対して閉弁方向へ付勢するように作用する高圧燃料による押圧力は、図5(a)及び(b)に示した位置にある制御弁60の外面に作用する高圧燃料による押圧力に比べて低くなっている。
【0137】
さて、こうして制御弁60が前記閉弁位置から開弁位置へと変位すると、前記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が連通され、リターン通路39における弁室41よりも上流側の高圧燃料や燃料通路34内の高圧燃料の一部がリターン通路39における弁室41よりも下流側へ流出可能となる。また、リターン通路39における弁室41よりも下流側へ流出した燃料は、上記排出口40を介して前記排出通路23内へと排出され、さらに燃料タンク21内に戻流される。
【0138】
ここで、リターン通路39には、燃料通路34と背圧室37との間に燃料通路側オリフィス部39aが設けられている。このため、制御弁60の開弁時において燃料通路側オリフィス部39aを介した燃料通路34内から背圧室37内への高圧燃料の流出が低減され、リターン通路39内の圧力が低下する。
【0139】
このように、リターン通路39における弁室41よりも上流側の内部の圧力が低下すると、背圧室37内にあって前記ニードル弁36の上面36dや前記突出部36eの上端面に作用する高圧燃料による押圧力が低くなる。そして、ニードル弁36の徐変部36cに作用する燃料通路34内の高圧燃料による押圧力が、上記ニードル弁36の上面36dや前記突出部36eの上端面に作用する高圧燃料による押圧力と背圧室37内の前記ニードル弁付勢ばね38による付勢力との合力よりも大きくなり、同ニードル弁36が上方へ変位される。こうしてニードル弁36が上方へ変位されると、前記本体30の噴孔33が開けられ、燃料通路34内の高圧燃料が噴孔33を介して噴射される。
【0140】
また、本体30の噴孔33から高圧燃料が噴射されている状態で、ECU28からアクチュエータ77への通電が停止されると、同アクチュエータ77は、元の長さに縮退する。また、このアクチュエータ77の縮退に伴い、ブロック体78が前記第2分割体30bの連通孔47内の皿ばね80と上方ピストン付勢ばね76との付勢力により連通孔47内を上方へ変位される。
【0141】
さらに、ブロック体78の上方への変位に伴い、上方側ピストン74と制御弁60とは、第3分割体30cの下方側シリンダ44内の下方ピストン付勢ばね75の付勢力により、前記上方側棒部材72と弁体61とが当接した状態で、それぞれ対応するシリンダ44,45内を上方へ変位される。
【0142】
この制御弁60の上方への変位により、弁体61の下方シート部61bが第3分割体30cのシリンダ側弁座部48から離座し、前記下方側シリンダ44の内部と弁室41の内部とが連通される。また、同じく制御弁60の上方への変位により、弁体61の上方シート部61a(リング65)が第2分割体30bの上方側弁座部43に着座し、前記リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が遮断される。
【0143】
こうして、リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が遮断されると、同リターン通路39における弁室41よりも上流側の内部の高圧燃料による圧力が徐々に高められる。これにより、前記ニードル弁36の上面36d及び突出部36eの上端面に作用する高圧燃料による押圧力が高められる。
【0144】
そして、前記背圧室37内のニードル弁付勢ばね38による付勢力と、ニードル弁36の上面36dと突出部36eの上端面とに作用する高圧燃料による押圧力との合力が、ニードル弁36の前記徐変部36cに作用する高圧燃料による押圧力よりも大きくなると、ニードル弁36が下方へと変位される。このニードル弁36の下方への変位により、同ニードル弁36の小径部36bの先端が前記本体30の噴孔33に当接して同噴孔33が閉じられ、燃料通路34の内部から噴孔33を介した高圧燃料の噴射が停止される。
【0145】
上述のように、この燃料噴射弁では、前記制御弁60の開閉に応じた燃料通路34及びリターン通路39内の高圧燃料の圧力バランスの遷移に基づいて前記ニードル弁36を開閉し、そのニードル弁36の開閉を通じて内燃機関に対する燃料の噴射供給が間欠的に行われる。
【0146】
以上詳述したように、この実施形態にかかる燃料噴射弁によれば、以下に示すような多くの優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第2分割体30bと第3分割体30cとが弁室41に対応する部位にて分割された本体30を用いるとともに、一対のピストン73,74のうちの下方側ピストン73のみを弁体61に対して一体に設けている。これにより、それら分割体30b,30cの製造誤差や組付け誤差等により各シリンダ44,45の中心線が一致しない場合があっても、一対のピストン73,74の外周面とシリンダ44,45の内周面との間の各間隙がほぼ一定に保たれる。
【0147】
このため、一対のピストンの双方を弁体に対して一体に設けた従来の燃料噴射弁に比べ、一対のピストン73,74の外周面とシリンダ44,45の内周面との間の各間隙を小さく設定しても、それら一対のピストン73,74及び弁体61を円滑に変位させることができる。この結果、燃料通路34を流通する高圧燃料のさらなる高圧化が進む蓄圧配管用燃料噴射弁であっても、簡易な構造を有しつつ、より安定した燃料噴射を実現することができる。
【0148】
(2)本実施形態では、一対のピストン付勢ばね75,76を、一対のピストン73,74を互いに挟む方向に付勢するように設けている。これにより、制御弁60の開弁時において、一対のピストン73,74のうちの上方側ピストン74が、リターン通路39における弁室41よりも下流側の内部を流通する高圧燃料による押圧力によって弁体61から離間する方向に押し戻されることが抑制される。
【0149】
このため、上述した従来の燃料噴射弁のように複数の分割体からなるピストンに対して高圧燃料による押圧力を作用させ、その押圧力により各ピストンを付勢せずとも、前記弁体61と上方側ピストン74との当接状態が保持される。この結果、開弁位置にある制御弁60の弁体61が閉弁位置側へ不用意に変位することを抑制することができる。
【0150】
(3)本実施形態では、前記一対のピストン付勢ばね75,76は、制御弁60の弁体61を閉弁方向に付勢する下方ピストン付勢ばね75の付勢力が、同弁体61を開弁方向に付勢する上方ピストン付勢ばね76の付勢力よりも大きく設定している。このため、アクチュエータの非作動時、すなわちECU28からアクチュエータ77への通電が停止されているときには、制御弁60の弁体61が閉弁位置に保持され、リターン通路39内において背圧室37と排出口40との間が制御弁60によって閉とされている状態に保持することができる。
【0151】
また、リターン通路39内において背圧室37と排出口40との間が遮断された状態で、高圧燃料がコモンレール26から燃料通路34内に圧送されると、その燃料通路34内の高圧燃料の一部はリターン通路39を介して弁室41内に流入するものの、リターン通路39における弁室41よりも下流へは流出しない。このため、制御弁60が閉弁位置にあるとき、すなわち燃料噴射弁から高圧燃料が噴射されていないときにおいて、燃料通路34内に圧送された高圧燃料が、意図せずリターン通路39における弁室41よりも下流へ流出し、排出口40を介して排出通路23内へ排出されることを抑制することができる。
【0152】
このように、制御弁60の閉弁時において、本体30に圧送された高圧燃料の排出通路23への漏出が抑制されるため、燃料通路34を流通する燃料のさらなる高圧化が進む蓄圧配管用燃料噴射弁であっても、エネルギーロスを低減することができる。
【0153】
(4)本実施形態では、制御弁60の弁体61と下方側ピストン73とを、ともに円柱状をなすように設けるとともに、それら弁体61と下方側ピストン73とを、同下方側ピストン73の直径よりも小さな直径を有する下方側棒部材71により連結している。これにより、図5(b)及び(c)に示したように、下方側ピストン73の接続部73aにおけるテーパ面には、コモンレール26内から燃料通路34内へ高圧燃料が圧送されている際において、下方側シリンダ44内の高圧燃料による押圧力の一部が制御弁60の弁体61を開弁方向へ変位させるように常に作用する。
【0154】
このため、アクチュエータ77の作動力を小さく設定しても、上記制御弁60の弁体61を開弁方向に変位させたり、同弁体61を開弁位置に保持したりすることが可能となり、アクチュエータ77の小型化、ひいては当該燃料噴射弁の小型化を図ることができる。
【0155】
(5)本実施形態では、制御弁60の弁体61と下方側ピストン73とにおいて、下方側ピストン73の直径は弁体61の直径未満となるように設定している。これにより、図5(a)に示したように、コモンレール26内から燃料通路34内へ高圧燃料が圧送されている際において、弁体61の下方シート部61bのテーパ面には、下方側ピストン73の接続部73aのテーパ面に作用する高圧燃料による押圧力よりも大きな押圧力が作用する。
【0156】
このため、制御弁60は、コモンレール26内から燃料通路34内へ高圧燃料が圧送されている際において、制御弁60の表面に作用する高圧燃料による押圧力により閉弁側へ付勢されるようになる。こうして、アクチュエータ77の非作動時には、リーク溜まり室44a内の下方ピストン付勢ばね75の付勢力に加えて、弁体61の上方シート部61aに作用する高圧燃料による押圧力によっても、弁体61が閉弁方向へ付勢される。この結果、アクチュエータ77の非作動時において、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が弁体61によって閉とされている状態に好適に保持することができる。
【0157】
(6)本実施形態では、制御弁60が開弁されているときにおける本体30の上方側弁座部43での最大有効開口面積を、前記リターン通路39における上記上方側弁座部43よりも下流側での最小通路断面積未満となるように設定している。これにより、本体30のリターン通路39における弁室41の下流側において絞りとして作用する部分がなく、制御弁60の弁体61が開弁した状態にあるときに、リターン通路39における弁室41の下流で燃料の圧力が大きく上昇することが抑制される。
【0158】
このため、一対のピストン73,74のうちの上方側ピストン74が、リターン通路39における弁室41よりも下流側の内部にある燃料の押圧力によって、弁体61と当接した状態から離間する方向に押し戻されることを抑制することができる。
【0159】
また、このようにリターン通路39における弁室41よりも下流側の内部において絞りとして作用する部分がないため、弁室41内からリターン通路39における弁室41よりも下流側の内部へ流出した燃料は、排出口40を介して速やかに排出通路23内へと排出される。このため、制御弁60の弁体61を閉弁させる際には、その弁体61が閉弁方向に変位しにくくなることを抑制することができる。
【0160】
(7)本実施形態では、本体30の弁室41内に、第2分割体30bの下方側の分割面の上方側弁座部43と、制御弁60の弁体61の上方シート部61aとの間に設けられ、同上方シート部61aに係合可能で且つ上方側弁座部43と接離可能な平板状のリング65を収容している。
【0161】
ここで、制御弁60の閉弁時には、弁体61の上方シート部61aとリング65の内周縁とが当接するとともに、同リング65の上面と本体30の上方側弁座部43とが当接することにより、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態となる。また、本体30の上方側弁座部43とリング65の上面とは、ともに制御弁60の軸線mに対して直交する平面をなしているため、これらリング65と上方側弁座部43とが当接した状態では、リング65の上面は、上方側弁座部43に対する位置に拘わらずその全面が上方側弁座部43に当接する。
【0162】
これにより、第2分割体30bと第3分割体30cとの製造誤差や組付け誤差により、第2分割体30bの開口41aの中心線と第3分割体30cの下方側シリンダ44の中心線とが一致しない場合があっても、制御弁60の閉弁時において、リング65の上面の全体を上方側弁座部43に対して当接させることができる。
【0163】
このため、制御弁60の閉弁時おいて、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態を確保することができ、弁室41内の高圧燃料が弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43との間の間隙を介してリターン通路39内へ漏出することを抑制することができる。また、本体30を組み付ける際、第1分割体30a〜第4分割体30dの調芯を簡素化することが可能となり、燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。
【0164】
(8)本実施形態では、下方側シリンダ44のリーク溜まり室44a内とリターン通路39における弁室41よりも下流側との間をバイパスするバイパス通路62を設けている。また、上方側棒部材72の内部に、上記バイパス通路62が延長されるかたちで同バイパス通路62と、リターン通路39における弁室41よりも下流側との間を連通する延長通路72aを設けている。
【0165】
これにより、弁室41内の高圧燃料の一部が、下方側シリンダ44の内周面と下方側ピストン73の外周面との間の間隙を介してリーク溜まり室44a内へ漏出しても、その漏出した燃料を、バイパス通路62と延長通路72aとを介してリターン通路39における弁室41より下流側へ流出させることが可能となる。このため、リーク溜まり室44a内に弁室41内から漏出した燃料があっても、アクチュエータ77の作動時には、リーク溜まり室44a内の燃料をバイパス通路62と延長通路72aとを介してリターン通路39における弁室41より下流へ流出しつつ、制御弁60を開弁側へ迅速且つ確実に変位させることができる。
【0166】
なお、上述のように、下方側ピストン73の外周面と下方側シリンダ44の内周面との間の間隙を小さく設定することが可能であるため、弁室41内からリーク溜まり室44a内へ漏出される高圧燃料の量が低減される。これにより、リーク溜まり室44a内の燃料のバイパス通路62と延長通路72aとを介したリターン通路39内への流入量、すなわち燃料噴射弁内から燃料タンク21内への排出量が減少される。
【0167】
このため、燃料噴射弁内で蓄えられる高圧燃料の圧力エネルギの低下が抑制されることとなり、エネルギーロスをより低減することができる。また、弁室41内から上方側ピストン74の外周面と上方側シリンダ45の内周面との間隙を介して連通孔47内に流入した高圧燃料は、リターン通路39内へ直接排出されることはない。これによっても、燃料噴射弁内で蓄えられる高圧燃料の圧力エネルギの低下が抑制されることとなり、エネルギーロスを好適に低減することができる。
【0168】
(9)本実施形態では、上記バイパス通路62を、弁体61と下方側棒部材71と下方側ピストン73とをその軸方向に貫通するように設けているため、特別な治具を用いなくてもバイパス通路62を設けることができる。このため、本体30の第3分割体30cに対してバイパス通路を設ける場合に比べ、そのバイパス通路を形成する際の加工コストを低減することができるとともに、その加工を容易に行うことができる。
【0169】
(10)本実施形態では、制御弁60内のバイパス通路62の途中に、バイパス通路絞り部63を設けている。これにより、制御弁60の弁体61が閉弁する際には、リターン通路39における弁室41よりも下流側の内部の高圧燃料が延長通路72aとバイパス通路62とを介してリーク溜まり室44a内に流入しにくくなる。
【0170】
これにより、制御弁60の閉弁方向への変位に伴ったリーク溜まり室44aの容積の拡大がされにくくなり、制御弁60の閉弁方向への変位速度が低下される。また、同様に、制御弁60の弁体61が開弁する際には、リーク溜まり室44a内の高圧燃料がバイパス通路62と延長通路72aとを介してリターン通路39における弁体61よりも下流側の内部に排出されにくくなる。これにより、制御弁60の開弁方向への変位に伴ったリーク溜まり室44aの容積の縮小がされにくくなり、この際にも制御弁60の開弁方向への変位速度が低下される。
【0171】
これらのことより、制御弁60の弁体61の上方シート部61aが本体30の上方側弁座部43(リング65)に着座する際、及び弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48に着座する際の衝撃が緩和され、制御弁60の弁体61とリング65と本体30との耐久性を向上することができる。
【0172】
(11)本実施形態では、リターン通路39における弁室41よりも下流側の内部の燃料の上記延長通路72a及びバイパス通路62を介したリーク溜まり室44a内への流入を禁止する逆止弁64を設けている。これにより、制御弁60の弁体61が開弁した際、弁室41内からリターン通路39における弁室41よりも下流の内部へ流出した高圧燃料の一部が延長通路72aとバイパス通路62とを介してリーク溜まり室44a内へ逆流することを抑制することができる。
【0173】
このため、制御弁60の開弁時において、リーク溜まり室44a内の圧力が急激に上昇することが抑制されるとともに、制御弁60が閉弁方向に押し戻されて意図せず閉弁することが抑制される。この結果、制御弁60が不用意に閉弁することがなくその閉弁タイミングを確実に制御することができる。また、制御弁60の弁体61の上方シート部61aが本体30の上方側弁座部43(リング65)に激しく衝突することを抑制でき、それら弁体61とリング65と本体30とが損傷することを回避することができる。
【0174】
(12)本実施形態では、制御弁60の弁体61における下方側棒部材71に連結される下方にテーパ状のシート部61bを、一方、本体30の第3分割体30cに、制御弁60が開弁されているときに弁体61の下方シート部61bが着座されるシリンダ側弁座部48を設けている。また、本体30の第3分割体30cに、第2分割体30bとの分割部にて燃料通路34から分岐し、燃料通路34内の高圧燃料の一部を下方側シリンダ44内に直接導入する導入通路49を設けている。
【0175】
これにより、制御弁60の弁体61が開弁位置から閉弁位置へ変位すると、本体30の燃料通路34の内部と弁室41の内部とが導入通路49を介して連通されるようになる。このため、リターン通路39における弁室41よりも上流側の内部には、燃料通路34内の高圧燃料が、リターン通路39との分岐部を経由して流入するのみならず、上記導入通路49及び下方側シリンダ44及び弁室41を介して流入するようにもなる。
【0176】
このように、制御弁60の弁体61が開弁位置から閉弁方向へ変位した際には、燃料通路34内の高圧燃料が2方向からリターン通路39における弁室41よりも上流側の内部へ流入するため、同リターン通路39における弁室41よりも上流側の内部を速やかに昇圧させることができる。この結果、背圧室37内の高圧燃料による押圧力が逸早く増大され、その増大された押圧力をニードル弁36の上面36dや突出部36eの上端面に作用させることができる。従って、制御弁60が開弁位置から閉弁方向へ変位した後においてニードル弁36を逸早く変位させることが可能となり、制御弁60が閉弁方向へ変位してからニードル弁36によって本体30の噴孔33が閉じられるまでの応答性を向上することができる。
【0177】
(13)本実施形態では、本体30の第3分割体30cの導入通路49内に導入通路絞り部50を設けている。これにより、制御弁60の弁体61における両シート部61a,61bがどちらも本体30の弁座部43,48に着座していない期間において、燃料通路34内から導入通路49を介して弁室41内に導入される高圧燃料の量が減少される。このため、弁室41内からリターン通路39における弁室41よりも下流側へ流出する高圧燃料の流出量が減少され、エネルギーロスを好適に低減することができる。
【0178】
また、ニードル弁36の急激な開閉等に起因して生じる水撃作用により燃料通路34内の高圧燃料に圧力脈動が生じることがあっても、その圧力脈動は、弁室41内に伝わる途中において導入通路絞り部50によって減衰される。この結果、高圧燃料の圧力変動によって制御弁60が意図せず振動や衝撃に曝されることを回避することができる。
【0179】
なお、上記第1実施形態は、例えば以下のように適宜変更することもできる。
・上記実施形態において、リング65の内縁を、例えば図6に示す態様にて、制御弁60の弁体61の上方シート部61aのテーパ面に倣う形状に形成する構成としてもよい。このようにした場合には、制御弁60の弁体61の上方シート部61aとリング65の内縁との接触面積が増大され、弁体61が閉弁した状態にあるときの同弁体61とリング65との接触応力を緩和することができる。このため、それら弁体61及びリング65の耐久性を向上することができる。
【0180】
・上記実施形態において、リング65は平板状をなすものには限定されない。同リング65は、その中心線を含む平面での断面形状が、例えば、円形状、楕円形状、多角形状等をなすものであってもよい。
【0181】
・上記実施形態において、制御弁60の弁体61の上方シート部61aを、例えば図7に示すような球面等の曲面状に形成する構成としてもよい。また、このようにした場合、リング65の内縁を、弁体61の上方シート部61aが係合されるように、例えば同図7に示した態様にてリング65の上面から下面に向かうにつれて徐々にその内径が大きくなるテーパ状に形成する構成としてもよいし、弁体61の曲面の一部に倣うように形成する構成としてもよい。
【0182】
・上記実施形態において、例えばバイパス通路62の内径が全体的に小さく設けられている場合等には、バイパス通路62内のバイパス通路絞り部63を省略してもよい。
【0183】
・上記実施形態において、逆止弁64は、球状のボール64aを備える構成には限定されない。このボール64aは、柱状や錐状等であってもよい。また、この逆止弁64を省略してもよい。
【0184】
・上記実施形態において、上方側棒部材72の内部の延長通路72aは、図3に示したような逆L字状に設けられることには限定されない。要は、上方側棒部材72によってバイパス通路62における弁体61側の開口が閉塞されない構成であればよく、例えば、上方側棒部材72における弁体61との当接部に凹溝を設ける構成としてもよい。
【0185】
(第2実施形態)
つぎに、本発明にかかる燃料噴射弁の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態では、前記第1実施形態と同様、燃料噴射弁は、図1にて示した燃料供給系20と同一の構成の燃料供給系に設けられている。
【0186】
この燃料噴射弁では、前記第1実施形態の燃料噴射弁に対して、本体30の第3分割体30cと制御弁60との構成が変更されている。以下、図8を参照して、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、同図8において、図2及び図3と同一の構成については同一の符号を付している。
【0187】
同図8に示すように、本実施形態の燃料噴射弁内に設けられる制御弁60は、弁体61の上方シート部61aが制御弁60の軸線mに対して直交する平面状に形成されている。また、本体30の弁室41内において、弁体61の上方シート部61aと弁室41の上方側弁座部43との間には、先の図1〜図3にて示したリング65は設けられていない。これにより、この平面状の上方シート部61aを有する弁体61は、閉弁された状態では、本体30の第2分割体30bにおける下方の分割面に設けられる上方側弁座部43に直接着座する。
【0188】
また、本実施形態では、制御弁60の内部には、図2及び図3にて示したバイパス通路62は形成されておらず、本体30の第3分割体30cの内部においてリーク溜まり室44aの内部とリターン通路39における弁室41よりも下流側の内部とをバイパスするようにバイパス通路82が形成されている。また、このように制御弁60内にはバイパス通路62が形成されていないため、上方側棒部材72の内部には、図2及び図3にて示した延長通路72aは形成されていない。
【0189】
また、本実施形態では、同図8に示すように、弁室41を構成する第3分割体30cの凹部42におけるシリンダ側弁座部48の周縁が、テーパ状に形成されている。
【0190】
また、このテーパ状のシリンダ側弁座部48と、弁体61の同じくテーパ状の下方シート部61bとは、弁体61の下方シート部61bのテーパ角αが本体30のシリンダ側弁座部48のテーパ角βよりも小さくなるように設定されている。
【0191】
以上説明したように、この実施形態にかかる燃料噴射弁によれば、前記第1実施形態における(1)〜(6)、(8)、(12)、(13)に記載した効果に加えて、以下に示すような優れた効果が得られるようになる。
【0192】
(14)本実施形態では、制御弁60の弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43とを、ともに制御弁60の軸線mに対して直交する平面状に形成している。ここで、制御弁60の閉弁時には、弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43とが直接当接することにより、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態となる。また、弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43とは、ともに制御弁60の軸線mに対して直交する平面をなしているため、上方シート部61aが上方側弁座部43に着座すると、上方シート部61aは、上方側弁座部43に対する位置に拘わらずその全周縁が上方側弁座部43に当接する。
【0193】
これにより、第2、第3分割体30b,30cの製造誤差等により、第2分割体30bの開口41aの中心線と第3分割体30cの下方側シリンダ44の中心線とが一致しない場合があっても、制御弁60の閉弁時において、弁体61の上方シート部61aの全周縁を上方側弁座部43に対して当接させることができる。このため、制御弁60の閉弁時おいて、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態を確保することができ、弁室41内の高圧燃料が弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43との間の間隙を介してリターン通路39内へ漏出することを抑制することができる。また、本体30を組み付ける際、第1分割体30a〜第4分割体30dの調芯を簡素化することが可能となり、燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。
【0194】
(15)本実施形態では、本体30のシリンダ側弁座部48と弁体61の下方シート部61bとを、下方シート部61bのテーパ角αがシリンダ側弁座部48のテーパ角βよりも小さくなるように設定している。ここで、下方シート部61bのテーパ角αがシリンダ側弁座部48のテーパ角βよりも小さい場合には、下方シート部61bのテーパ角αがシリンダ側弁座部48のテーパ角βよりも大きい場合よりも、下方シート部61bがシリンダ側弁座部48に着座した状態でのシール線の直径が小さくなる。
【0195】
これにより、前者(α<β)の場合には、後者(α>β)の場合に比べ、弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48に着座している際における下方側シリンダ44内の高圧燃料と下方シート部61bとの接触面積を減少させることができる。ここで、弁体61の下方シート部61bに作用する高圧燃料の押圧力は、同弁体61を開弁位置から閉弁方向へ、すなわち弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48から離座する方向へ変位させるように作用する。
【0196】
このため、上記接触面積を減少させることができることにより、弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48に対して着座している状態を保持するのに必要な前記アクチュエータ77(図1参照)の作動力を低減することができる。この結果、アクチュエータ77の小型化、ひいては当該燃料噴射弁の小型化を好適に図ることができる。
【0197】
なお、上記第2実施形態は、例えば以下のように適宜変更することもできる。
・上記実施形態において、本体30のバイパス通路62内にバイパス通路絞り部を設ける構成としてもよい。
【0198】
・上記実施形態において、本体30のバイパス通路82内に、リターン通路39内の燃料の該バイパス通路82を介したリーク溜まり室44a内への流入を禁止する逆止弁を設ける構成としてもよい。この逆止弁としては、例えば図3に示したようなボール64aを備えるものを用いることができる。
【0199】
・上記実施形態において、弁体61の下方シート部61bのテーパ角αと本体30のシリンダ側弁座部48のテーパ角βとが等しくなるように設定する構成としてもよい。このような構成としても、下方シート部61bのテーパ角αがシリンダ側弁座部48のテーパ角βよりも大きい場合に比べ、弁体61の下方シート部61bが本体30のシリンダ側弁座部48に着座している際における下方側シリンダ44内の高圧燃料と下方シート部61bとの接触面積を減少させることができる。
【0200】
その他、前記各実施形態に共通した変更可能な要素としては、以下のようなものがある。
・上記各実施形態において、制御弁60の弁体61の上方シート部61aの全体を、図2中ではテーパ状に、一方図8中では制御弁60の軸線mに対して直交する平面状に形成する例を示した。しかしながら、弁体61の上方シート部61aの形状はこれらの形状には限定されない。同弁体61の上方シート部61aを、本体30の上方側弁座部43またはリング65の内縁と対応する部分及びその近傍において制御弁60の軸線mに対して直交する平面状に形成する構成としてもよい。
【0201】
・上記各実施形態において、導入通路49の内径が全体的に小さく設けられている場合等には、導入通路49内の導入通路絞り部50を省略してもよい。
・上記各実施形態において、例えば図9に示すように、本体30の第3分割体30c内の導入通路49の全体を、下方側シリンダ44に対してその内周面と接線方向に交わるように接続する構成としてもよい。
【0202】
このようにした場合には、燃料通路34内の高圧燃料が導入通路49を介して下方側シリンダ44内に導入されると、その導入される高圧燃料は、下方側シリンダ44内をその内周面に沿って旋回するようになる。この高圧燃料の旋回流によって遠心力が生じ、この遠心力により、制御弁60の下方側棒部材71がその軸線と下方側シリンダ44の中心線とが一致するように調芯される。このため、制御弁60の下方側ピストン73(図2参照)もその軸線と下方側シリンダ44の中心線とが一致するように調芯され、下方側ピストン73が下方側シリンダ44の内周面に片当たりすることを抑制することができる。
【0203】
なお、上記導入通路49は、その全体が下方側シリンダ44の内周縁と接線方向に交わるように接続されることには限定されず、少なくとも下方側シリンダ44との接続部が同下方側シリンダ44の内周縁と接線方向に交わるように接続される構成であればよい。
【0204】
さらに、本体30のリターン通路39における背圧室37と弁室41との間における少なくとも弁室41との接続部を、弁室41内において前記下方側シリンダ44内に生じる旋回流と同一の方向に旋回する旋回流が生じるように、上記弁室41の内周面と接線方向に交わるように接続する構成としてもよい。
【0205】
・また、上記各導入通路49を、下方側シリンダ44に対してその内周面と接線方向に交わるように接続する場合には、例えば図10に示すような態様で、制御弁60の下方側棒部材71の外周面に外方に向かって突出するフィン66を設ける構成としてもよい。
【0206】
このようにした場合には、燃料通路34内の高圧燃料が導入通路49を介して下方側シリンダ44内に導入され、下方側シリンダ44内に高圧燃料の旋回流が生じると、制御弁60がその旋回流の旋回方向と同一の方向に回転するようになる。このため、制御弁60の下方側ピストン73の外周面における下方側シリンダ44の内周面との接触に起因した摩耗を、下方側ピストン73の外周面の周方向において均一にすることができる。なお、この場合、このフィン66の大きさ、形状、数等は、図10に示した態様には限定されず、制御弁60の大きさ等に応じて変更可能である。
【0207】
・上記各実施形態において、本体30の第3分割体30cの導入通路49を省略してもよい。なお、このようにした場合には、制御弁60の弁体61の下方シート部61bも省略可能である。
【0208】
・上記各実施形態において、本体30の分割体の数や分割位置等は、図1にて示した態様には限定されず、同本体30の内部構造等に応じて適宜変更可能である。ただし、本体30は、少なくとも弁室41に対応する部位にて前記軸線mに直交する面と平行をなすように分割される。
【0209】
・上記各実施形態において、制御弁60の下方側棒部材71を、弾性変形可能な低剛性部材にて形成する構成としてもよい。同下方側棒部材71を弾性変形可能とすべく、例えば図11示すような態様で下方側棒部材71を、通常の使用に耐え得る範囲内で小径に形成したり、軟質材料から形成したりしてもよい。なお、図11では、弁体61の上方シート部61a及び本体30の上方側弁座部43をともにテーパ状に形成した例を示しているが、これら上方シート部61aと上方側弁座部43とのどちらか一方のみがテーパ状または曲面状に形成されていてもよい。ただし、上方シート部61aと上方側弁座部43とのどちらか一方のみがテーパ状または曲面状に形成される場合には、そのテーパ状または曲面状に形成される一方は、自身のテーパ面または曲面に対して他方が係合可能となるように設けられる。
【0210】
この場合には、各分割体30b,30cの製造誤差等により、上方側弁座部43の開口41aと下方側シリンダ44との両中心線が一致しなくても、制御弁60の閉弁時に上方シート部61aが上方側弁座部43に当接すると、下方側棒部材71が弾性変形して両中心線のずれが吸収される。これにより、制御弁60の弁体61の閉弁時において、リターン通路39における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態を確保でき、弁室41内の高圧燃料が上方シート部61aと上方側弁座部43との間の間隙を介してリターン通路39における弁室41よりも下流へ漏出することを抑制することができる。このため、第2分割体30bと第3分割体30cとの製造時及び組付け時において、それら分割体30b,30cにおける上記開口41aと下方側シリンダ44との両中心線を精度良く一致させる必要がなくなり、当該燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。
【0211】
・上記各実施形態において、第1分割体30a〜第4分割体30dを、それらの軸線mが同一直線上に位置するように位置合わせする位置合わせ部材を介して接合する構成としてもよい。この位置合わせ部材としては、例えば図12に示すように、第1分割体30a〜第4分割体30dに対し、それらの分割面同士が当接された状態でその当接部に対応する部分に外嵌される筒状の同軸合わせブッシュ83を用いることができる。なお、この同軸合わせブッシュ83は、第1分割体30a〜第4分割体30dの各分割部のうちの少なくとも第2分割体30bと第3分割体30cとの分割部に外嵌される。
【0212】
このようにした場合には、互いに接合された第1分割体30a〜第4分割体30dの軸線mが一致するとともに、本体30の上方側弁座部43の開口41aの中心線と下方側シリンダ44の中心線とが一致する。このように、これら両中心線の正確な軸合わせが可能となるため、本体30の上方側弁座部43及び弁体61の上方シート部61aの少なくとも一方がテーパ状または曲面状に形成される場合でも、弁体61の閉弁時のリターン通路39における背圧室37と排出口40との間が遮断された状態を確保することができる。
【0213】
このため、前記同軸合わせブッシュ83を設けることによっても、弁体61の閉弁時において、弁室41内の高圧燃料が弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43との間の間隙を介してリターン通路39における弁室41より下流へ漏出することを抑制することができる。
【0214】
また、同軸合わせブッシュ83を、第1分割体30a〜第4分割体30dに対してそれらの分割面同士が当接された状態でその当接部対応する部分に外嵌させるのみであるため、第1分割体30a〜第4分割体30dの軸線mを容易に一致させることができる。
【0215】
なお、こうした位置合わせ部材は、第1分割体30a〜第4分割体30d同士の当接部に外嵌される同軸合わせブッシュ83には限定されない。同位置合わせ部材として例えば棒体を使用し、その棒体を、互いに当接される分割体30a〜30dの両分割面において対向するように設けられる一対の係合穴に係合させる構成としてもよい。
【0216】
・上記各実施形態において、例えば図13に示すような態様で、本体30の弁室41内に、制御弁60の弁体61を囲繞する筒状のフィルタ材84を設ける構成としてもよい。また、このフィルタ材84は焼結金属からなるものであり、同フィルタ材84を、同図13に示すように、本体30の上方側弁座部43の近傍にその上方側の周縁84aが常時当接するように下方側の周縁84bからフィルタ材付勢ばね85にて付勢する構成としてもよい。
【0217】
このように、弁室41内にフィルタ材84を設けることにより、本体30の燃料通路34内に供給される高圧燃料中に異物が混じっていたとしても、その異物は、弁体61の上方シート部61aと本体30の上方側弁座部43との間の間隙を通過する前にフィルタ材84によって捕集される。これにより、制御弁60の弁体61の上方シート部61a(リング65(図2参照))が本体30の上方側弁座部43に着座した際に、上記異物を噛み込むことが抑制される。このため、弁体61の上方シート部61aが本体30の上方側弁座部43に着座している際において、リターン通路39における背圧室37と排出口40(ともに図1参照)との間が遮断された状態をより確実に保持することができる。
【0218】
また、このフィルタ材84を、上記上方側弁座部43の近傍にその上方側の周縁84aが常時当接するように下方側の周縁84bからフィルタ材付勢ばね85にて付勢するため、フィルタ材84は、その上方の周縁84aが上方側弁座部43の近傍から離間することが抑制される。このため、フィルタ材84の上方の周縁84aが本体30の上方側弁座部43の近傍から離間することによって前記異物の捕集能力が一時的に低下することを抑制することができる。
【0219】
また、燒結金属は目が細かいため、フィルタ材84本来のフィルタとしての機能に加えて、オリフィスとしての機能を持たせることができる。
なお、このフィルタ材84は、焼結金属からなるものには限定されず、例えば金属製のメッシュ等であってもよい。
【0220】
また、例えば、フィルタ材84自身が弾性を有し、同フィルタ材84が、その上方の周縁84aが本体30の上方側弁座部43の近傍に当接するとともに、下方の周縁84bが弁室41と下方側シリンダ44との接続部の近傍に当接するように設けられる場合等には、フィルタ材付勢ばね85を省略してもよい。
【0221】
・上記各実施形態において、制御弁60の弁体61と下方側ピストン73とを、縮径された下方側棒部材71によって連結するのではなく、例えば図14に示すような態様で、弁体61の直径未満の直径を有する下方側棒部材71を弁体61に対して直接接続する構成としてもよい。
【0222】
このようにした場合でも、アクチュエータ77の非作動時には、リーク溜まり室44a内の下方ピストン付勢ばね75の付勢力に加えて、弁体61の上方シート部61aに作用する高圧燃料による押圧力によっても、弁体61が閉弁方向へ付勢される。このため、アクチュエータ77の非作動時において、リターン通路39内における背圧室37と排出口40との間が弁体61によって閉とされている状態に好適に保持することができる。
【0223】
・上記各実施形態において、弁体61に対して上方側棒部材72と上方側ピストン74とを一体に設けることにより制御弁60を構成するようにしてもよい。また、このようにした場合には、制御弁60の閉弁時に弁体61の下方シート部61bが着座される弁座部を、例えば第3分割体30cの上方側の分割面に設ける構成としてもよい。
【0224】
・上記各実施形態では、燃料供給系20に蓄圧配管26を備える蓄圧配管用燃料噴射弁の例を示したが、本発明は、蓄圧配管用燃料噴射弁以外に、蓄圧配管26を有しない燃料供給系20に設けられる燃料噴射弁にも同様に適用することができる。
【0225】
その他、前記実施形態、並びに以上の記載から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
(イ)前記フィルタ材が、焼結金属製である請求項20に記載の燃料噴射弁。
【0226】
上記構成によれば、燒結金属は目が細かいため、フィルタ材本来のフィルタとしての機能に加えて、オリフィスとしての機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる燃料噴射弁の第1実施形態についてその断面構造を示す断面図。
【図2】同実施形態にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図3】同燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造をさらに拡大して示す部分断面図。
【図4】図2の4a―4a線及び4b―4b線に沿った断面図。
【図5】制御弁に作用する高圧燃料による押圧力を説明するための説明図。
【図6】変形例にかかる燃料噴射弁についてその制御弁とリングとの当接部を拡大して示す部分断面図。
【図7】同じく変形例にかかる燃料噴射弁についてその制御弁とリングとの当接部を拡大して示す部分断面図。
【図8】第2実施形態にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図9】変形例にかかる燃料噴射弁について図2の8―8線に沿った断面構造を拡大して示す部分断面図。
【図10】同じく変形例にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図11】同じく変形例にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図12】同じく変形例にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図13】同じく変形例にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図14】同じく変形例にかかる燃料噴射弁について制御弁及びその周辺構造を拡大して示す部分断面図。
【図15】従来の燃料噴射弁についてその断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。
【図16】同じく従来の燃料噴射弁についてその断面構造の一部を拡大して示す部分断面図。
【符号の説明】
20…燃料供給系、21…燃料タンク、22…供給通路、23…排出通路、24…燃料ポンプ、25…高圧ポンプ、26…蓄圧配管(コモンレール)、28…電子制御装置(ECU)、29…ドライバ、30…本体、30a〜30d…第1〜第4分割体、31…リテーニングナット、31a…周壁、31b…開口部、32…供給口、33…噴孔、34…燃料通路、35…空間部、36…ニードル弁、36a…大径部、36b…小径部、36c…徐変部、36d…上面、36e…突出部、37…背圧室、38…ニードル弁付勢ばね、39…リターン通路、39a…燃料通路側オリフィス部、39b…弁室側オリフィス部、40…排出口、41…弁室、41a…開口、42…凹部、43…上方側弁座部、44…下方側シリンダ、44a…リーク溜まり室、45…上方側シリンダ、46…係合穴、47…連通孔、48…シリンダ側弁座部、49…導入通路、50…導入通路絞り部、60…制御弁、61…弁体、61a…上方シート部、61b…下方シート部、62,82…バイパス通路、62a…大径通路部、62b…小径通路部、63…バイパス通路絞り部、64…逆止弁、64a…ボール、64b…上端、65…リング、66…フィン、70…変位機構、71…下方側棒部材、72…上方側棒部材、72a…延長通路、73…下方側ピストン、73a…接続部、74…上方側ピストン、75…付勢部材としての下方ピストン付勢ばね、76…付勢部材としての上方ピストン付勢ばね、77…アクチュエータ、78…ブロック体、78a…環状溝、79…シールリング、80…皿ばね、83…同軸合わせブッシュ、84…フィルタ材、84a…上方の周縁、84b…下方の周縁、85…フィルタ材付勢ばね。

Claims (22)

  1. 複数の分割体からなる本体の内部に、高圧燃料の供給口から噴孔に至る燃料通路と、前記噴孔を開閉するニードル弁と、該ニードル弁の一部が壁面の一部をなすように形成される背圧室と、前記燃料通路から分岐されるとともに該背圧室を介して前記高圧燃料の一部を燃料タンクへ排出する排出口に至るリターン通路と、前記背圧室の下流にて同背圧室と前記排出口との間を開閉制御する制御弁と、該制御弁の弁体が設けられる弁室と、前記制御弁の弁体を挟み込む態様でシリンダに収容されて該弁体とともに前記弁室に対して相対変位可能な一対のピストン及びそれらピストンを互いに挟む方向に付勢する一対の付勢部材を有してアクチュエータの駆動に基づき前記制御弁を開弁位置または閉弁位置に変位させる変位機構とを備え、前記制御弁の開閉に応じた圧力バランスの遷移に基づいて前記ニードル弁を開閉する燃料噴射弁において、
    前記一対のピストンのうちの一方のみが前記制御弁の弁体と一体に設けられるとともに、前記一対の付勢部材は、前記制御弁の弁体を閉弁方向に付勢する側の付勢力が同弁体を開弁方向に付勢する側の付勢力よりも大きく設定されてなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記弁体と一体に設けられるピストンは、前記弁体を閉弁方向に付勢する付勢部材側に設けられたピストンであり、該ピストンと前記弁体とは、ともに円柱状をなすものであり、該ピストンは、その直径が前記弁体の直径未満である
    請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記弁体と、同弁体と一体に設けられるピストンとは、その間が縮径された棒状の部材によって連結されてなる
    請求項2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記本体は、前記背圧室と前記排出口との間が前記制御弁によって閉とされている状態にあるときに同制御弁の弁体の上方のシート部が着座する弁座部を有し、前記制御弁が開弁されるときの該弁座部での最大有効開口面積は、前記リターン通路における前記弁座部よりも下流側での最小通路断面積未満に設定されてなる
    請求項1〜3のいずれかに記載の燃料噴射弁。
  5. 前記制御弁の弁体の前記上方のシート部と前記本体の弁座部とは、ともに前記制御弁の軸線に対して直交する平面状に形成されてなる
    請求項4に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記制御弁の弁体は、その上方のシート部がテーパ状または曲面状に形成されてなるとともに、前記本体の弁座部及びその近傍は、前記制御弁の軸線に対して直交する平面状に形成され、該弁座部には、前記テーパ状または曲面状に形成された弁体のシート部に係合可能で且つ当該弁座部と接離可能なリングが設けられてなる
    請求項4に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記リングは、前記弁体のシート部に係合する内縁が、同弁体のシート部のテーパ面または曲面に倣う形状に形成されてなる
    請求項6に記載の燃料噴射弁。
  8. 前記本体の弁座部及び前記制御弁の弁体の上方のシート部の少なくとも一方は、それら互いに当接する部分がテーパ状または曲面状に形成されてなるとともに、前記弁体及び該弁体と一体に設けられるピストン間を連結する棒状の部材が弾性変形の可能な低剛性部材からなる
    請求項4に記載の燃料噴射弁。
  9. 前記複数の分割体からなる本体は、少なくとも前記弁室に対応する部位にて前記制御弁の軸線に直交する面と平行をなすように分割されてなり、それら分割された各分割体は、その各軸線が同一直線上に位置するように位置合わせする位置合わせ部材を介して接合されてなる
    請求項4に記載の燃料噴射弁。
  10. 前記位置合わせ部材が、前記弁室に対応する部位にて分割された各分割体の分割面同士が当接された状態でその当接部に対応する部分に外嵌される同軸合わせブッシュである
    請求項9に記載の燃料噴射弁。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の燃料噴射弁において、
    前記制御弁の弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの底面には、前記付勢部材の一方が収容されるとともにそれらピストン及びシリンダ間のリーク燃料が貯溜されるリーク溜まり室が形成されてなり、同リーク溜まり室と、
    前記リターン通路における前記弁室よりも下流側との間をバイパスするバイパス通路を更に備える
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  12. 前記バイパス通路は、前記制御弁の弁体及び該弁体と一体に設けられるピストンとをその軸方向に貫通するように形成されてなる
    請求項11に記載の燃料噴射弁。
  13. 請求項11または12に記載の燃料噴射弁において、
    前記バイパス通路には絞りが更に形成されてなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  14. 前記バイパス通路内には、前記リターン通路内の燃料の該バイパス通路を介した前記リーク溜まり室への流入を禁止する逆止弁が設けられてなる
    請求項11〜13のいずれかに記載の燃料噴射弁。
  15. 請求項2〜14のいずれかに記載の燃料噴射弁において、
    前記制御弁の弁体は、前記弁体と一体に設けられるピストンまたは前記棒状の部材に連結される下方にもシート部を備えるとともに、前記本体は前記制御弁の開弁時に前記弁体と一体に設けられるピストンに対応するシリンダの上部においてこのシート部が着座されるシリンダ側弁座部を備え、且つ前記本体には、前記燃料通路から分岐して同通路内の高圧燃料の一部を前記シリンダ内に直接導入する導入通路を備える
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  16. 請求項15に記載の燃料噴射弁において、
    前記導入通路には導入通路絞りが形成されてなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  17. 前記導入通路は、少なくとも前記シリンダとの接続部において、同シリンダの内周面と接線方向に交わるように接続されてなる
    請求項15または16に記載の燃料噴射弁。
  18. 請求項17に記載の燃料噴射弁において、
    前記制御弁は、前記シリンダと前記導入通路との接続部に対応する前記棒状の部材の外周面に、外方に向かって突出するフィンを有してなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  19. 前記制御弁の弁体の下方のシート部と前記本体のシリンダ側弁座部とは、ともにテーパ状に形成されてなり、前記弁体の下方のシート部のテーパ角は、前記本体のシリンダ側弁座部のテーパ角以下となるように設定されてなる
    請求項15〜18のいずれかに記載の燃料噴射弁。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の燃料噴射弁において、
    前記弁室には、前記制御弁の弁体の周囲を囲繞するフィルタ材が更に設けられてなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  21. 請求項20に記載の燃料噴射弁において、
    前記フィルタ材は筒状をなし、前記制御弁の弁体の上方のシート部が着座する弁座部の近傍にその周縁の一方が常時当接されるように他方からばねにて付勢されてなる
    ことを特徴とする燃料噴射弁。
  22. 前記燃料通路内を流通する燃料が、内燃機関に搭載される蓄圧配管から圧送される高圧燃料であり、当該燃料噴射弁が、前記高圧燃料を前記内燃機関の燃焼室に噴射供給する蓄圧配管用燃料噴射弁である
    請求項1〜21のいずれかに記載の燃料噴射弁。
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